JP2000109274A - 繊維強化プラスチック製巻芯 - Google Patents

繊維強化プラスチック製巻芯

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JP2000109274A
JP2000109274A JP11085703A JP8570399A JP2000109274A JP 2000109274 A JP2000109274 A JP 2000109274A JP 11085703 A JP11085703 A JP 11085703A JP 8570399 A JP8570399 A JP 8570399A JP 2000109274 A JP2000109274 A JP 2000109274A
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core
thermoplastic resin
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reinforced plastic
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Masahiko Hori
正彦 堀
Hiroshi Matsuoka
寛 松岡
Mitsuhiro Kitajima
満広 北嶋
Michio Kawabe
倫生 川辺
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Nitto Shinko Corp
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Nitto Shinko Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 外周面および/または内周面の真円度が高
く、かつ低コストで製造し得る繊維強化プラスチック製
巻芯を提供すること。 【解決手段】 繊維強化プラスチックにより中空円筒形
状に形成される巻芯本体14の外周面および内周面の少
なくとも一方に、熱可塑性樹脂層15、16を設ける。
これによって、その外周面および/または内周面の真円
度を高くでき、成形されるフィルムの巻き取りに使用し
た場合には、その巻き取ったフィルムの厚さを均一にす
ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、繊維強化プラスチ
ック製巻芯、詳しくは、フィルム、シート、各種織物な
どを巻き取るために使用される繊維強化プラスチック製
巻芯に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、フィルム、シート、各種織物など
を巻き取る巻芯として、表面平滑性および寸法安定性に
優れる強化プラスチック製巻芯が使用されるようになっ
てきている。このような繊維強化プラスチック製巻芯
は、一般に、強化繊維としてガラス繊維などが使用さ
れ、また、樹脂としてエポキシ樹脂や不飽和ポリエステ
ル樹脂などが使用されて、フィラメントワインディング
法によって中空円筒形状に成形されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、フィルムなど
の製造においては、フィルムなどを広幅化、長尺化して
コストの低減を図りたい要請がある。その一方で、ある
種のフィルム、たとえば、写真フィルム、インクリボ
ン、偏光板などでは、近年、厳しい表面平滑性が要求さ
れている。
【0004】そのため、巻芯の外周面に少しでもうねり
や凹凸があると、その巻芯で巻き取ったフィルムには、
その巻芯に対応したうねりや凹凸が生じ易く、そのうね
りや凹凸は、巻けば巻くほどその巻き取ったフィルムに
顕著に影響して、不良品の発生を招く原因となる。とり
わけ、キャスティングや押し出しにより成形されるフィ
ルムを巻き取るような場合には、巻芯の外周面のうねり
や凹凸に起因して、一定のテンションで巻き取ることが
できず、フィルムの厚みが均一とならないという不具合
を生じる。
【0005】また、巻芯の内周面にうねりや凹凸がある
場合にも、巻き取り時においては、その巻芯に挿入され
るコーンの回転によって巻芯が偏心して回転し、巻き取
られるフィルムが波打ち、やはりキャスティングや押し
出しにより成形されるフィルムを巻き取るような場合に
は、テンションが変化してフィルムの厚みが均一になら
ないという不具合を生じる。
【0006】そのため、巻芯の外周面および内周面には
真円度が要求されるが、フィラメントワインディング法
によって巻芯を成形すると、その外周面および内周面に
うねりや凹凸が生じやすく、一方、真円度を高めるため
に、成形された巻芯に研磨などの仕上げ加工を施すと、
手間がかかりコストの低減を図ることができない。
【0007】本発明は上記した不具合に鑑みなされたも
ので、その目的は、外周面および/または内周面の真円
度が高く、かつ低コストで製造し得る繊維強化プラスチ
ック製巻芯を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明の繊維強化プラスチック製巻芯は、繊維強化
プラスチックにより中空円筒形状に形成される巻芯本体
の外周面および内周面の少なくとも一方に、熱可塑性樹
脂層が設けられていることを特徴としている。また、前
記巻芯本体はフィラメントワインディング法によって成
形されていることが好ましく、また、前記熱可塑性樹脂
層は押し出し成形法によって成形されていることが好ま
しい。
【0009】また、前記巻芯本体と前記熱可塑性樹脂層
との間には、接着層を介在させていることが好ましく、
その接着層を形成する成分が、(A)エチレン−アクリ
ル酸共重合体およびエチレン−酢酸ビニル共重合体の少
なくとも一方と、(B)メチルエーテル化メラミン樹脂
とを含有する樹脂組成物であることが好ましい。
【0010】さらに、前記熱可塑性樹脂層が設けられる
前記巻芯本体の外周面および内周面の少なくとも一方に
は、前記熱可塑性樹脂層の剥離を防止するための溝が形
成されていることが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の繊維強化プラスチック製
巻芯において、巻芯本体を形成する繊維強化プラスチッ
クは、プラスチックと強化繊維とが複合化されたもので
あって、その原料として樹脂と強化繊維とが使用され
る。
【0012】原料として使用される樹脂は、何ら制限さ
れることなく、繊維強化プラスチックの原料として使用
し得る公知の樹脂を使用することができる。このような
樹脂としては、たとえば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエ
ステル樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、尿
素樹脂、メラミン樹脂、メラミン変性フェノール樹脂な
どの熱硬化性樹脂が挙げられる。これらのうち、好まし
くは、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエス
テル樹脂が挙げられる。
【0013】また、原料として使用される強化繊維とし
ては、何ら制限されることなく、繊維強化プラスチック
の原料として使用し得る公知の強化繊維を使用すること
ができる。このような強化繊維としては、たとえば、ガ
ラス繊維、カーボン繊維、珪素繊維、ボロン繊維、アラ
ミド繊維、金属ウイスカなどが挙げられる。これらのう
ち、ガラス繊維が好ましく使用される。また、これら強
化繊維は、その成形方法や適用箇所に応じて、連続スト
ランド、ロービング、ロービングクロス、チョップドス
トランド、チョップドストランドマットなどの公知の形
態で使用することができる。
【0014】そして、これら樹脂と強化繊維とは、成形
された繊維強化プラスチック中の強化繊維含有率が、好
ましくは50〜85重量%、さらに好ましくは55〜8
0重量%となるような割合で使用される。
【0015】また、巻芯本体の外周面および/または内
周面に設けられる熱可塑性樹脂層を形成するために使用
される熱可塑性樹脂としては、何ら制限されることな
く、公知の熱可塑性樹脂を使用することができる。この
ような熱可塑性樹脂としては、たとえば、ポリ塩化ビニ
ル、ポリ酢酸ビニル、アクリロニトリルブタジエンスチ
レンコポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ
スチレン、ナイロン、ポリカーボネートなどが挙げられ
る。これら熱可塑性樹脂は、その目的および用途によっ
て適宜選択して使用することができるが、たとえば、寸
法精度の点からはアクリロニトリルブタジエンスチレン
コポリマーが好ましく、耐溶剤性の点からはポリプロピ
レンが好ましい。また、これら熱可塑性樹脂は、曲げ弾
性率が8000kg/cm2 以上であることが好まし
い。8000kg/cm2 未満であると、フィルムの巻
き取りなどにおいてそのフィルムの巻締めによって変形
する場合がある。
【0016】また、本発明の繊維強化プラスチック製巻
芯には、上記成分以外にも、その目的および用途によっ
て、たとえば、ビニロン、ポリエステルなどの不織布
や、充填剤、着色剤などの公知の添加剤を使用してもよ
い。また、巻芯の表面の静電気の発生を防止するため
に、熱可塑性樹脂に、たとえば、カーボン、酸化錫など
の導電性材料を含有させてもよい。
【0017】次に、本発明の繊維強化プラスチック製巻
芯を製造する方法について説明する。巻芯本体は、たと
えば、フィラメントワインディング法、ハンドレイアッ
プ法、スプレイアップ法、バルクモールディングコンパ
ウンド法、シートモールディングコンパウンド法などの
公知の成形方法によって成形することができる。これら
のうち、中空円筒形状の巻芯本体を形成するには、フィ
ラメントワインディング法が好ましい。フィラメントワ
インディング法によれば、低コストでかつ強度の高いも
のを製造することができる。
【0018】また、巻芯本体の外周面上および/または
内周面上に設けられる熱可塑性樹脂層は、圧縮成形法、
射出成形法、押し出し成形法など公知の成形方法によっ
て成形することができる。これらのうち、中空円筒形状
の巻芯本体の外周面上および/または内周面上に成形す
るには押し出し成形法が好ましい。押し出し形成法によ
れば、低コストでかつ比較的簡易に外径および/または
内径の寸法精度の良いものを製造することができる。
【0019】図1は、巻芯本体をフィラメントワインデ
ィング法によって成形し、熱可塑性樹脂層を押し出し成
形法によって成形するための製造ラインの一例を示す概
略図である。この図1を参照して、本発明の繊維強化プ
ラスチック製巻芯を製造するための好ましい製造方法に
ついて、さらに詳しく説明する。
【0020】図1に示すように、この製造ラインでは、
2つの押出機、すなわち、内層形成用押出機1と外層形
成用押出機2とが、所定間隔を隔てて対向状に配置され
ている。そして、これら内層形成用押出機1および外層
形成用押出機2の間には、マンドレル3が、内層形成用
押出機1のダイ4と外層形成用押出機2のダイ5とに挿
入された状態で配置されている。また、このマンドレル
3の近くには、ロール状に巻回された複数の強化繊維の
ロービング6と、その強化繊維のロービング6に樹脂を
含浸させるための複数の樹脂浴7と、ロール状に巻回さ
れた複数の繊維マット8とが配置されている。さらに、
マンドレル3の長さ方向における外層形成用押出機2の
外側には、サイジング装置9、硬化装置10、引取装置
11、および裁断装置12が順次配置されている。
【0021】そして、このような製造ラインを使用して
繊維強化プラスチック製巻芯を製造するには、まず、内
層形成用押出機1において溶融された熱可塑性樹脂を、
そのダイ4からマンドレル3の外周面上に、一定の厚み
となるように押し出し、これによって、内層側熱可塑性
樹脂層を形成する。次いで、この内層側熱可塑性樹脂層
の外周面上に、樹脂浴7で樹脂が含浸された強化繊維の
ロービング6を所定の厚みとなるように巻回する。
【0022】なお、この巻回において、使用される強化
繊維のロービング6の種類、数、巻回される厚みおよび
層数、ならびにマンドレル3の回転速度などは、その目
的および用途により適宜選択され、また、強化繊維のロ
ービング6はマンドレル3の軸線方向に対して任意の角
度で巻回し得る。その巻回方法は、パラレル、ヘリカ
ル、ポーラー、レベルなど公知の巻回方法であってよ
い。
【0023】好ましい巻回の態様としては、たとえば、
複数の強化繊維のロービング6を使用して、マンドレル
3の軸線方向に沿って巻回される層と、マンドレル3の
軸線方向に対して所定の角度を持って巻回される層と
を、交互に多層として巻回する態様や、たとえば、複数
の強化繊維のロービング6を使用して、マンドレル3の
軸線方向に対して80±5°となる角度で巻回される層
(80度層)と、マンドレル3の軸線方向に対して50
±5°となる角度で巻回される層(50度層)とを、交
互に多層として巻回する態様が挙げられる。特に、80
度層と50度層とを交互に多層として巻回することによ
り、曲げ応力、圧縮応力、剪断応力などの種々の応力が
種々の方向から作用しても、それを分散させることがで
き、これによって強度の向上を図ることができる。
【0024】そして、強化繊維のロービング6が巻回さ
れた外周面上を繊維マット8によって被覆した後に、外
層形成用押出機2において、溶融された熱可塑性樹脂を
そのダイ5から繊維マット8の外周面上に、一定の厚み
となるように押し出し、これによって、外層側熱可塑性
樹脂層を形成する。なお、強化繊維のロービング6の外
周面上に被覆される繊維マット8の被覆層は、特に形成
せずともよく、また、繊維マット8とともに、またはこ
れに代えて不織布を使用してもよい。
【0025】次いで、サイジング装置9によって、所定
の外径寸法および内径寸法に規制した後、硬化装置10
によって硬化する。この時の硬化条件は、使用される樹
脂に応じて、加熱硬化または常温硬化など、適宜決定す
ればよい。
【0026】なお、図1に具体的に示されていないが、
強化繊維のロービング6に含浸されている樹脂の硬化
は、外層側熱可塑性樹脂層を形成する前に行なってもよ
く、また、外層側熱可塑性樹脂層を形成する前後の両方
において行なってもよい。
【0027】そして、硬化した巻芯を、定尺の切断装置
12によって、所定の長さに裁断することにより、繊維
強化プラスチック製巻芯13を得る。なお、この製造ラ
インにおいて、引取装置11は、製造される繊維強化プ
ラスチック製巻芯を常に切断装置12側に牽引してい
る。なお、図1には示されていないが、必要により、得
られた繊維強化プラスチック製巻芯の内周面および外周
面を、JIS−R−6001に規定される#1000〜
#2000の研磨材を使用して研磨するなど、その目的
に応じて適宜仕上げ加工を施してもよい。
【0028】このように、連続引き抜きフィラメントワ
インディング法と押し出し成形法とが組み合わされた製
造ラインを使用して、繊維強化プラスチック製巻芯を製
造すれば、巻芯本体の内周面および外周面に熱可塑樹脂
層が設けられる繊維強化プラスチック製巻芯を、簡易な
ラインによって連続で製造することができる。そのた
め、繊維強化プラスチック製巻芯の生産性を向上できる
とともに、製造される繊維強化プラスチック製巻芯のコ
ストを低減することができる。
【0029】このようにして製造される繊維強化プラス
チック製巻芯は、たとえば、図2に示されるように、中
空筒形状の巻芯本体14の内周面に、内層側熱可塑性樹
脂層15が設けられるとともに、巻芯本体14の外周面
に、外層側熱可塑性樹脂層16が設けられる。また、巻
芯本体14は、強化繊維のロービングがその巻芯本体1
4の長さ方向に沿って配置される層14aと、巻芯本体
14の長さ方向に対して所定の角度を持って配置される
層14bとが交互に形成され、その上に繊維マットの被
覆層14cが形成されるような多層として形成される。
【0030】そして、たとえば、図3に示されるよう
に、その全長Lが、10〜5000mm程度、その外径
Dが75〜300mm程度、その厚みTが、1〜100
mm程度であり、内層側熱可塑性樹脂層15の厚みTi
および外層側熱可塑性樹脂層16の厚みToが、ともに
1〜5mm、好ましくは1〜3mm程度である。
【0031】なお、内層形成用押出機1および外層形成
用押出機2において使用される熱可塑性樹脂は、同じ種
類のものでも、異なる種類のものでもよい。また、図1
において、内層形成用押出機1および外層形成用押出機
2のいずれか一方のみを配置して、巻芯本体14の内周
面および外周面のいずれか一方のみに熱可塑性樹脂層を
設けるようにしてもよい。
【0032】また、本発明の繊維強化プスチック製巻芯
は、巻芯本体と熱可塑性樹脂との間に接着層を介在させ
るようにしてもよい。接着層を介在させることにより、
巻芯本体と熱可塑性樹脂層との密着性を高めることがで
きる。そのため、熱可塑性樹脂層の成形収縮時などに、
巻芯本体と熱可塑性樹脂層との間の界面剥離を有効に阻
止することができ、また、フィルムを高速で巻き取った
時に高いトルクが巻芯に作用しても、熱可塑性樹脂層と
巻芯との間で界面剥離を起こさせることなく、空回りを
有効に防止することができる。
【0033】このような、接着層が介在する繊維強化プ
ラスチック製巻芯は、たとえば、まず、フィラメントワ
インディング法によって巻芯本体を製造し、次いで、そ
の巻芯本体の内周面および/または外周面に接着層を形
成してから、その接着層が形成された上に熱可塑性樹脂
層を設け、その後に必要により接着層を硬化させること
によって製造すればよい。
【0034】この方法において、フィラメントワインデ
ィング法により、巻芯本体を製造するには、まず、巻回
工程において円筒形状のマンドレル上に、樹脂が含浸さ
れた強化繊維を巻回して、次いで、硬化工程において、
この巻回された強化繊維に含浸されている樹脂を硬化さ
せて、その後、必要により、トリミングなどの仕上げ加
工を行なえばよい。
【0035】具体的には、この巻回工程は、たとえば、
図4に示すように、ロール状に巻回されている強化繊維
のロービング17を引き出して、樹脂浴18において樹
脂を連続的に含浸させた後、その樹脂が含浸された強化
繊維のロービング17を、等速で回転しているマンドレ
ル19上に所定の厚みとなるまで巻回すればよい。この
巻回工程において、使用される強化繊維のロービング1
7の種類、数、巻回される厚みおよび層数、および各層
の樹脂の種類、ならびにマンドレル19の回転速度など
は、その目的および用途により適宜選択され、また、強
化繊維のロービング17はマンドレル19の軸線方向に
対して任意の角度で巻回し得る。その巻回方法は、パラ
レル、ヘリカル、ポーラー、レベルなど公知の巻回方法
であってよい。
【0036】好ましい巻回の態様としては、上記したと
同様に、たとえば、複数の強化繊維のロービング17を
使用して、マンドレル19の軸線方向に沿って巻回され
る層と、マンドレル19の軸線方向に対して所定の角度
を持って巻回される層とを、交互に多層として巻回する
態様や、たとえば、複数の強化繊維のロービング17を
使用して、マンドレル19の軸線方向に対して80±5
°となる角度で巻回される層(80度層)と、マンドレ
ル19の軸線方向に対して50±5°となる角度で巻回
される層(50度層)とを、交互に多層として巻回する
態様が挙げられる。特に、80度層と50度層とを交互
に多層として巻回することにより、曲げ応力、圧縮応
力、剪断応力などの種々の応力が種々の方向から作用し
ても、それを分散させることができ、これによって強度
の向上を図ることができる。
【0037】また、各層の厚みは、通常、3〜20mm
であり、層数は、各層の厚みなどによって適宜決定され
るが、通常、3〜10層である。また、最外層として繊
維マットや不織布などからなる被覆層を形成するように
してもよい。
【0038】そして、硬化工程において、この巻回され
た強化繊維に含浸されている樹脂に応じた硬化方法(た
とえば、常温硬化または加熱硬化)によって硬化させ、
必要によりトリミングなどの切削加工を行なうことによ
り巻芯本体を得るようにすればよい。
【0039】次いで、得られた巻芯本体の内周面および
/または外周面に接着層を形成するには、たとえば、そ
の内周面および/または外周面に、接着剤を塗布すれば
よい。塗布の方法は、機械塗り、手塗りを問わず公知の
方法を使用すればよい。なお、接着剤の塗布量は、たと
えば、10〜30g/m2 であることが好ましい。
【0040】このような接着層を形成するための接着剤
は、何ら制限されることなく、従来から使用されている
公知の接着剤を使用することができる。このような接着
剤としては、たとえば、接着性ポリエチレン、エチレン
−酢酸ビニル共重合体(以下、EVAと称する。)、ナ
イロンなどが挙げられるが、本発明においては、(A)
成分としてエチレン−アクリル酸共重合体(以下、EA
Aと称する。)およびEVAの少なくとも一方と、
(B)成分としてメチルエーテル化メラミン樹脂とを含
有する樹脂組成物が好ましく使用される。接着剤とし
て、(A)成分および(B)成分が含有される樹脂組成
物を使用することによって、巻芯本体と熱可塑性樹脂層
との接着をより強固にすることができる。
【0041】(A)成分のEAAとしては、共重合体中
のエチレン含有量が75〜85重量%のものが好まし
い。エチレン含有量が75重量%未満では接着力が低下
する場合があり、また、85重量%を越えると保存安定
性が低下する場合がある。また、EAAの数平均分子量
は13000〜18000であることが好ましく、その
融点は、70〜100℃、さらには、80〜95℃であ
ることが好ましい。このようなEAAは、通常、エマル
ジョンタイプのものが使用され、その場合には、共重合
体の固形分濃度が、好ましくは、20〜50重量%、さ
らに好ましくは、28〜38重量%である。固形分濃度
が20重量%未満では巻芯本体に対する接着力が低下す
る場合があり、また、50重量%を越えると巻芯本体に
付着する量が多くなり、外径精度が低下する場合があ
る。
【0042】また、(A)成分のEVAとしては、共重
合体中の酢酸ビニル含有量が75〜85重量%のものが
好ましい。酢酸ビニル含有量が75重量%未満では接着
力が低下する場合があり、また、85重量%を越えると
保存安定性が低下する場合がある。また、EVAの数平
均分子量は13000〜18000であることが好まし
く、その最低造膜温度は、50〜85℃、さらには、6
0〜75℃であることが好ましい。このようなEVA
は、通常、エマルジョンタイプのものが使用され、その
場合には、共重合体の固形分濃度が、好ましくは、35
〜60重量%、さらに好ましくは、40〜55重量%で
ある。固形分濃度が35重量%未満では巻芯本体に対す
る接着力が低下する場合があり、また、60重量%を越
えると巻芯本体に付着する量が多くなり、外径精度が低
下する場合がある。
【0043】そして、これら(A)成分としてのEAA
およびEVAは、強化繊維、それに含浸される樹脂、お
よび熱可塑性樹脂の種類などによって、適宜単独または
併用して使用される。たとえば、熱可塑性樹脂層がポリ
エチレンである場合には、EAAを単独で使用すること
が好ましく、また、熱可塑性樹脂層がポリプロピレンで
ある場合には、EVAを単独で使用することが好まし
い。さらに、熱可塑性樹脂層がポリ塩化ビニルである場
合には、EAAとEVAとを併用することが好ましい。
EAAとEVAとを併用する場合には、たとえば、この
両者の混合割合は、重量比で、EAA:EVA=1:1
〜5:1の範囲であることが好ましい。
【0044】また、(B)成分としてのメチルエーテル
化メラミン樹脂は、たとえば、下記式(1)に示す構造
を有するものが挙げられる。
【0045】
【化1】
【0046】このようなメチルエーテル化メラミン樹脂
は、たとえば、メラミン樹脂をメタノールによってアル
キルエーテル化することにより得ることができる。たい
ていの場合、メラミン1モルに対してホルムアルデヒド
が3〜6モル、メチロールが0〜2モル程度付加する。
また、縮合の程度にあっては、一般に低縮合タイプでは
1核体の割合が多い。さらに、このメチルエーテル化メ
ラミン樹脂のメチル化度は、50〜70%が好ましく、
さらには、55〜65%が好ましい。メチル化度が50
%未満では接着力が低下する場合があり、また、70%
を越えると保存安定性が低下する場合がある。このよう
なメチルエーテル化メラミン樹脂は、水を溶媒としたも
のが好ましく、その不揮発分が76〜82重量%である
ことが好ましい。
【0047】このような(A)成分と(B)成分との配
合割合は、たとえば、(A)成分100重量部に対して
(B)成分が1.0〜100重量部の割合であることが
好ましく、さらには、3〜60重量部の割合であること
が好ましい。(B)成分の配合割合が1.0重量部未満
では接着力が向上しない場合があり、また、100重量
部を越えると保存安定性が低下し、作業性が低下する場
合がある。
【0048】さらに、このような(A)成分および
(B)成分が含有される樹脂組成物には、パラトルエン
スルホン酸を配合することが好ましい。パラトルエンス
ルホン酸を配合することにより、硬化時間の短縮および
硬化温度の低下を図ることができる。パラトルエンスル
ホン酸の配合割合は、たとえば、(A)成分100重量
部に対して6重量部以下の割合であることが好ましく、
さらには、2重量部以下の割合であることが好ましい。
パラトルエンスルホン酸の配合割合が6重量部を越える
と保存安定性が低下する場合がある。
【0049】さらに、この樹脂組成物には、必要に応じ
て、たとえば、メタノール、イソプロピルアルコールな
どのアルコールを適宜に添加してもよい。アルコールを
添加することにより、樹脂組成物の溶液の表面張力を低
くして、濡れ性を一層向上させ、これによってより均一
な塗布性を得ることができる。アルコールの添加量は、
(A)成分100重量部に対して0.5〜5重量部の割
合であることが好ましい。添加量が0.5重量部未満で
はアルコールの添加による濡れ性の向上が図れない場合
があり、また、5重量部を越えると塗膜にピンホールが
発生する場合がある。
【0050】そして、このような樹脂組成物は、(A)
成分のエマルジョンおよび(B)成分、さらに場合によ
りパラトルエンスルホン酸を混合攪拌し、これに必要に
応じてアルコールを添加することにより得ることができ
る。なお、混合攪拌時にエマルジョンが発泡する場合に
は、これに公知の消泡剤を添加してもよい。
【0051】次いで、このようにして形成された接着層
の上に熱可塑性樹脂層を設けるには、たとえば、上記し
た押し出し成形法などにより成形すればよい。
【0052】そして、熱可塑性樹脂層が形成された後
に、必要により接着層を硬化させることによって、接着
剤が介在する熱可塑性樹脂層が設けられる繊維強化プラ
スチック製巻芯を得ることができる。この場合の硬化条
件としては、たとえば、約60℃で約3時間、あるい
は、約250℃で約30秒である。なお、必要により、
得られた繊維強化プラスチック製巻芯の内周面および/
または外周面に、その目的および用途によって、適宜研
磨などの仕上げ加工を施してもよい。
【0053】なお、上記の製造方法に以外に、たとえ
ば、まず、フィラメントワインディング法により、マン
ドレル上に樹脂が含浸された強化繊維のロービングを巻
回し、次いで、その内周面および/または外周面に接着
層を形成し、さらに、その接着層が形成された上に熱可
塑性樹脂層を設けて、その後にこれを硬化させるように
してもよい。
【0054】このようにして製造される繊維強化プラス
チック製巻芯は、たとえば、上記した図3のものと同様
の寸法のものとして得ることができ、図5に示すよう
に、中空筒形状の巻芯本体14の内周面に、内周側接着
層20を介して内周側熱可塑性樹脂層15が設けられる
とともに、巻芯本体14の外周面に、外周側接着層21
を介して外周側熱可塑性樹脂層16が設けられる。な
お、図5において、巻芯本体14は、強化繊維のロービ
ングがその巻芯本体14の長さ方向に対して80±5°
となる角度で巻回される層(80度層)14cと、50
±5°となる角度で巻回される層(50度層)14dと
が交互に形成されるような多層として形成されている。
【0055】また、本発明の繊維強化プラスチック巻芯
は、巻芯本体の外周面および/または内周面に、接着層
を形成する代わりに、熱可塑性樹脂層の剥離を防止する
ための溝を形成するようにしてもよい。このような溝を
形成することにより、巻芯本体と熱可塑性樹脂層との密
着性を高めることができる。そのため、熱可塑性樹脂層
の成形収縮時などに、巻芯本体と熱可塑性樹脂層との間
の界面剥離を有効に阻止することができ、また、フィル
ムを高速で巻き取った時に高いトルクが巻芯に作用して
も、熱可塑性樹脂層と巻芯との間で界面剥離を起こさせ
ることなく、空回りを有効に防止することができる。
【0056】このような溝は、バイトによる切削など、
公知の方法により形成することができ、より具体的に
は、たとえば、図6〜図9に概略的に示されるような溝
が挙げられる。
【0057】図6に示す溝は、巻芯本体14の外周面
に、長さ方向に沿う1本のらせん状の溝22が1方向に
のみ形成されている。この溝22は、たとえば、線幅
が、0.3〜1mm程度、線深さが、0.3〜1mm程
度、線密度が、1〜25本/10mm程度である。
【0058】また、図7に示す溝は、巻芯本体14の外
周面に、長さ方向に沿う2本のらせん状の溝22が2方
向(交差状)に形成されている。この溝22は、たとえ
ば、線幅が、0.3〜1mm程度、線深さが、0.3〜
1mm程度、線密度が、1〜25本/10mm程度であ
る。
【0059】また、図8に示す溝は、巻芯本体14の外
周面に、その長さ方向に沿う筋状の溝22が複数本形成
されている。この溝22は、たとえば、線幅が、0.3
〜1mm程度、線深さが、0.3〜1mm程度、線密度
が、3〜30本/10mm程度である。
【0060】さらに、図9に示す溝は、巻芯本体14の
外周面に、その周方向に沿う筋状の溝22が複数本形成
されている。この溝22は、たとえば、線幅が、0.3
〜1mm程度、線深さが、0.3〜1mm程度、線密度
が、2〜25本/10mm程度である。
【0061】なお、図6〜図9において、溝22は、巻
芯本体14の外周面のみに形成されているが、熱可塑性
樹脂層が内周面のみに形成される場合には、溝22は内
周面のみに形成され、また、熱可塑性樹脂層が内周面お
よび外周面の両方に形成される場合には、溝22は内周
面および外周面の両方に形成される。
【0062】そして、このような溝が形成された巻芯本
体の内周面および/または外周面の上に、上記と同様の
方法により、熱可塑性樹脂層を設けることによって、本
発明の繊維強化プラスチック製巻芯を得るようにすれば
よい。このような繊維強化プラスチック製巻芯は、たと
えば、上記した図3のものと同様の寸法のものとして得
ることができる。
【0063】さらに、本発明の繊維強化プラスチック巻
芯は、巻芯本体の外周面および/または内周面に、上記
したような熱可塑性樹脂層の剥離を防止するための溝を
形成した後に、さらに上記したような接着層を形成し、
その上から熱可塑性樹脂層を設けるようにしてもよい。
このようにすれば、巻芯本体と熱可塑性樹脂層との密着
性をより高めることができ、その結果、巻芯本体と熱可
塑性樹脂層との間の界面剥離を一層有効に阻止すること
ができる。なお、このように溝を形成した後に接着層を
形成する場合にも、その接着層に使用する接着剤として
は、上記した(A)成分および(B)成分が含有される
樹脂組成物を使用することが好ましい。
【0064】このようにして得られる本発明の繊維強化
プラスチック製巻芯は、その内周面および/または外周
面が熱可塑性樹脂層であるため、その表面にはうねりや
凹凸などがほとんどなく、その中心点粗さ(Ra)を、
0.25μm以下、さらには、0.1μm以下とするこ
とができ、また、真円度(互いに直交する直径の差)を
0.2mm以下、さらには0.15mm以下とすること
ができる。そのため、うねりや凹凸などがなく、平滑
で、かつ真円度の高い外周面を形成することができる。
したがって、フィルムを巻き取っても、そのフィルムの
表面に凹凸などが生じにくく、また、多くの量を巻き取
っても不良品などを発生させないようにすることができ
る。また、うねりや凹凸などがなく、平滑で、かつ真円
度の高い内周面を形成することができる。したがって、
フィルムの巻き取り時において、その巻芯に挿入される
コーンの回転によって巻芯が偏心して回転することを防
止でき、巻き取られるフィルムを波打たせることなく、
一定のテンションで良好に巻き取ることができる。
【0065】よって、近年要求されているフィルムなど
の広幅化、長尺化に対応する巻芯として有効に使用で
き、たとえば、キャスティングや押し出しにより成形さ
れるフィルムの巻き取りなどに使用する場合にも、常に
一定のテンションで巻き取ることができ、得られるフィ
ルムの厚みを均一にすることができる。したがって、本
発明の繊維強化プラスチック製巻芯を使用することによ
り、厚みが均一でかつ表面平滑性が良好なフィルムを、
効率よく生産することができる。
【0066】また、巻芯本体をフィラメントワインディ
ング法によって成形した場合には、うねりや凹凸が生じ
やすいが、その場合にも、その内周面および/または外
周面に熱可塑性樹脂層を設けることによって、研磨など
の仕上げ加工を施さなくても、上記したように、平滑
で、かつ真円度の高い内周面および/または外周面を形
成することができる。そのため、強度が高く、かつ真円
度の高い繊維強化プラスチック製巻芯を生産性良く、低
コストで得ることができる。さらに、熱可塑性樹脂層を
押し出し成形法によって成形した場合には、外径および
/または内径の寸法精度の良いものを得ることができる
ため、真円度のより高い繊維強化プラスチック製巻芯を
得ることができる。
【0067】さらに、本発明の繊維強化プラスチック製
巻芯では、形成された熱可塑性樹脂層を再生することも
できる。すなわち、加熱することによって熱可塑性樹脂
層を剥ぎ取り、再び押し出し成形法によって新たな熱可
塑性樹脂層を設けることができる。これによって、巻芯
本体を再度使用することができ、コストの低減を図るこ
とができる。なお、この再生においては、熱可塑性樹脂
層をすべて剥ぎ取っもよく、また、表面だけを薄く剥ぎ
取ってもよい。
【0068】なお、以上の説明において、熱可塑性樹脂
層は、その目的および用途などによって、適宜、内周面
および外周面の両方に設け、あるいは、内周面または外
周面のいずれか一方にのみに設けるようにすればよい。
また、熱可塑性樹脂層は、巻芯の長さ方向の全長にわた
って設ける必要はなく、たとえば、フィルムを巻回する
部分、挿入されるコーンと接触する部分などの、特定の
部分のみに設けてもよい。
【0069】
【実施例】以下、実施例および比較例を挙げて本発明を
さらに具体的に説明するが、本発明は何らこれらに限定
されるものではない。
【0070】実施例1 上記に述べた図1に示す製造ラインを使用し、熱可塑性
樹脂としてアクリロニトリルブタジエンスチレンコポリ
マー(メルトフローレート9g/10min、試験条件
220℃×10kg、JIS K−6874に準拠、以
下同じ。)を、強化繊維のロービングとしてガラスロー
ビング(1150g/km、以下同じ。)を、そのガラ
スロービングに含浸する樹脂として、エポキシ樹脂(ビ
スフェノールA型エポキシ樹脂と酸無水物系硬化剤の混
合物、以下同じ。)をそれぞれ使用して、本発明の繊維
強化プラスチック製巻芯を製造した。なお、この繊維強
化プラスチック製巻芯の巻芯本体は、図2に示すよう
に、ガラスロービングをマンドレルの軸線方向に沿って
巻回する層と、マンドレルの軸線方向に対して所定の角
度を持って巻回する層とを交互に4層形成した上に、ガ
ラスマットの被覆層を形成するようにして成形した。ま
た、エポキシ樹脂の硬化条件は、150℃で3時間であ
った。
【0071】そして、得られた繊維強化プラスチック製
巻芯は、その全長Lが、1450mm、その外径Dが1
67mm、その厚みTが、7.5mmであり、内層側熱
可塑性樹脂層の厚みTiが1.5mm、外層側熱可塑性
樹脂層の厚みToが2.0mmであった。また、繊維強
化プラスチック製巻芯の内周面および外周面の中心点粗
さ(Ra)は0.1μm、真円度は、内周面および外周
面ともに0.1mm、うねりは10μmであった。な
お、うねりは、長さ方向1mにわたって1cm間隔で外
径を測定したときの標準偏差として表わしている。
【0072】比較例1 内層側熱可塑性樹脂層および外層側熱可塑性樹脂層を設
けないように成形したこと以外は、実施例1と同様の方
法によって、繊維強化プラスチック製巻芯を製造した。
【0073】得られた繊維強化プラスチック製巻芯は、
その全長Lが、1450mm、その外径Dが167m
m、その厚みTが、7.5mmであった。また、繊維強
化プラスチック製巻芯の内周面および外周面の中心点粗
さ(Ra)は0.4μm、真円度は、内周面および外周
面ともに0.4mm、うねりは70μmであった。な
お、うねりは、実施例1と同様に、長さ方向1mにわた
って1cm間隔で外径を測定したときの標準偏差として
表わしている。
【0074】試験例(フィルムの製造) 1)トリアセチルセルロースの酢酸エチル溶液をキャス
ティングすることにより、トリアセチルセルロースフィ
ルムを作製し、これを実施例1および比較例1の繊維強
化プラスチック製巻芯を使用して10km巻き取った
(なお、従来では約3kmしか巻き取らない)。巻き取
った後のフィルム(原反)の外観を観察するとともに、
幅方向および長さ方向の厚みを下記の方法で測定した。
その結果を表1に示す。
【0075】原反幅方向厚み:フィルムの幅方向1mに
わたって1cm間隔で厚みを測定し、その平均値および
標準偏差を算出した。
【0076】原反長さ方向厚み:フィルムの長さ方向1
0mにわたって10cm間隔で厚みを測定し、その平均
値および標準偏差を算出した。 2)ポリエステルフィルムを押し出し成形により作製し
て、これを実施例1および比較例1の繊維強化プラスチ
ック製巻芯を使用して60km巻き取った(なお、従来
では約20kmしか巻き取らない)。巻き取った後のフ
ィルム(原反)の外観を観察するとともに、幅方向およ
び長さ方向の厚みを上記と同様の方法で測定した。その
結果を表1に示す。
【0077】
【表1】
【0078】表1から明らかなように、実施例1の繊維
強化プラスチック製巻芯は、比較例1の繊維強化プラス
チック製巻芯よりも、外観が良好で、幅方向および長さ
方向の厚みが均一であることがわかる。
【0079】実施例2〜6 上記に述べた図4に示すフィラメントワインディング法
による製造装置によって、強化繊維のロービングとして
ガラスロービングを、そのガラスロービングに含浸する
樹脂としてエポキシ樹脂(ビスフェノールA型エポキシ
樹脂/酸無水物系硬化剤)をそれぞれ使用して、繊維強
化プラスチック製巻芯の巻芯本体を製造した。
【0080】なお、この繊維強化プラスチック製巻芯の
巻芯本体は、ガラスロービングをマンドレルの軸線方向
に対して80°となる角度で巻回される層と、50°と
なる角度で巻回される層とを交互に5層形成した。
【0081】次いで、このようにして得られた巻芯本体
の外周面に、表2に示す組成の樹脂組成物を、塗布量約
20g/m2 で塗布することによって接着層を形成し、
その上に、熱可塑性樹脂としてのポリプロピレンを押し
出し成形することにより、熱可塑性樹脂層を設けた。こ
れを、60℃で3時間硬化させ、さらに、旋盤で表面を
研磨することによって、繊維強化プラスチック製巻芯を
製造した。
【0082】得られた繊維強化プラスチック製巻芯の外
周面の中心点粗さ(Ra)は、いずれも、0.5μm、
真円度は、0.15mm、うねりは、30μmであっ
た。
【0083】なお、うねりは、長さ方向1mにわたって
1cm間隔で外径を測定したときの標準偏差として表わ
している。
【0084】実施例7〜10 実施例2と同様の方法により巻芯本体を製造し、得られ
た巻芯本体の外周面に、図6〜図9に示す形態の溝を、
バイトによりそれぞれ設けた。なお、各実施例の溝の線
幅、線深さ、および線密度は、表2に示す通りである。
【0085】次いで、このような溝が形成された巻芯本
体の外周面の上に、熱可塑性樹脂としてのポリプロピレ
ンを押し出し成形することにより、熱可塑性樹脂層を設
けた。これを、60℃で3時間硬化させ、さらに、旋盤
で表面を研磨することによって、繊維強化プラスチック
製巻芯を製造した。
【0086】得られた繊維強化プラスチック製巻芯の外
周面の中心点粗さ(Ra)は、いずれも、0.5μm、
真円度は、0.15mm、うねりは、30μmであっ
た。
【0087】実施例11 実施例2と同様の方法により巻芯本体を製造し、得られ
た巻芯本体の外周面に、図4に示す形態の溝を、バイト
により設けた。なお、溝の線幅、線深さ、および線密度
は、表2に示す通りである。次いで、このようにして得
られた巻芯本体の外周面に、表2に示す組成の樹脂組成
物を、塗布量約20g/m2 で塗布することによって接
着層を形成し、その上に、熱可塑性樹脂としてのポリプ
ロピレンを押し出し成形することにより、熱可塑性樹脂
層を設けた。これを、60℃で3時間硬化させ、さら
に、旋盤で表面を研磨することによって、繊維強化プラ
スチック製巻芯を製造した。
【0088】得られた繊維強化プラスチック製巻芯の外
周面の中心点粗さ(Ra)は、0.5μm、真円度は、
0.15mm、うねりは、30μmであった。
【0089】比較例2 巻芯本体の上に接着層を形成することなく熱可塑性樹脂
層を設けたこと以外は、実施例2と同様の方法によっ
て、繊維強化プラスチック製巻芯を製造した。
【0090】得られた繊維強化プラスチック製巻芯の外
周面の中心点粗さ(Ra)は、0.5μm、真円度は、
0.15mm、うねりは、30μmであった。
【0091】試験例(密着力測定試験) 得られた実施例2〜11および比較例2の、巻芯本体と
熱可塑性樹脂層との間の密着力を次に述べる試験方法に
よって評価した。
【0092】この試験方法は、図10に示すように、各
実施例および比較例で得られた繊維強化プラスチック製
巻芯の両端部の熱可塑性樹脂層16を剥ぎ取って、これ
を試料とした。そして、熱可塑性樹脂層16が剥ぎ取ら
れた巻芯本体14の両端部を治具23で固定して、中央
部に残された熱可塑性樹脂層16の表面に、空気圧を駆
動力としたトルク測定機を使用して矢印方向の回転力を
加え、巻芯本体14から熱可塑性樹脂層16がずれた時
のトルクを測定し、この値を密着力として評価した。そ
の結果を表2に示す。
【0093】
【表2】
【0094】表2において、接着層を有する実施例2〜
6、および、巻芯本体の外周面に溝が形成される実施例
7〜10、ならびに、巻芯本体の外周面に溝が形成さ
れ、かつ接着層を有する実施例11は、接着層がなく、
かつ巻芯本体の外周面に溝が形成されない比較例2より
も、巻芯本体と熱可塑性樹脂層との間の密着力が高いこ
とがわかる。
【0095】
【発明の効果】本発明の繊維強化プラスチック製巻芯
は、その外周面および/または内周面の真円度が高く、
フィルムを巻き取っても、そのフィルムの表面に凹凸な
どを生じさせにくく、均一な厚さで巻き取ることがで
き、近年要求されているフィルムなどの広幅化、長尺化
に対応する巻芯として有効に使用することができる。
【0096】また、巻芯本体と熱可塑性樹脂層との間に
接着層を介在させ、あるいは、熱可塑性樹脂層が設けら
れる巻芯本体の外周面および/または内周面に、熱可塑
性樹脂層の剥離を防止するための溝を形成した場合に
は、巻芯本体と熱可塑性樹脂層との密着性を高めること
ができるので、熱可塑性樹脂層の成形収縮時などに、巻
芯本体と熱可塑性樹脂層との間の界面剥離を有効に阻止
することができ、また、フィルムを高速で巻き取った時
に高いトルクが巻芯に作用しても、熱可塑性樹脂層と巻
芯との間で界面剥離を起こさせることなく、空回りを有
効に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の繊維強化プラスチック製巻芯を製造す
るために、好適に使用することができる製造ラインの一
例を示す概略図である。
【図2】本発明の繊維強化プラスチック製巻芯の内部構
造の一例を示す斜視図である。
【図3】本発明の繊維強化プラスチック製巻芯の一例を
示す一部省略断面図である。
【図4】本発明の繊維強化プラスチック製巻芯の巻芯本
体を製造するために、好適に使用することができる製造
装置の一例を示す概略図である。
【図5】本発明の繊維強化プラスチック製巻芯の内部構
造の一例を示す斜視図である。
【図6】本発明の繊維強化プラスチック製巻芯の巻芯本
体に形成される溝の一形態を示す斜視図である。
【図7】本発明の繊維強化プラスチック製巻芯の巻芯本
体に形成される溝の一形態を示す斜視図である。
【図8】本発明の繊維強化プラスチック製巻芯の巻芯本
体に形成される溝の一形態を示す斜視図である。
【図9】本発明の繊維強化プラスチック製巻芯の巻芯本
体に形成される溝の一形態を示す斜視図である。
【図10】巻芯本体と熱可塑性樹脂層との間の密着力を
評価するための、試験装置を説明する概略斜視図であ
る。
【符号の説明】
13 繊維強化プラスチック製巻芯 14 巻芯本体 15 内層側熱可塑性樹脂層 16 外層側熱可塑性樹脂層 20 内周側接着層 21 外周側接着層 22 溝
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B29K 101:12 105:08 B29L 23:00 (72)発明者 北嶋 満広 福井県福井市二の宮2丁目7番1号 日東 シンコー株式会社内 (72)発明者 川辺 倫生 福井県福井市二の宮2丁目7番1号 日東 シンコー株式会社内 Fターム(参考) 3F068 AA01 KA02 4F205 AA13 AA39 AD04 AD16 AF01 AG08 AH81 HA02 HA33 HA37 HA47 HB01 HC16 HM02 HT13 HT26 4F207 AA13 AA39 AD04 AD16 AF01 AG08 AH81 KA01 KA17 KB13 KB26 KK84

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維強化プラスチックにより中空円筒形
    状に形成される巻芯本体の外周面および内周面の少なく
    とも一方に、熱可塑性樹脂層が設けられていることを特
    徴とする、繊維強化プラスチック製巻芯。
  2. 【請求項2】 前記巻芯本体がフィラメントワインディ
    ング法によって成形されている、請求項1に記載の繊維
    強化プラスチック製巻芯。
  3. 【請求項3】 前記熱可塑性樹脂層が押し出し成形法に
    よって成形されている、請求項1または2に記載の繊維
    強化プラスチック製巻芯。
  4. 【請求項4】 前記巻芯本体と前記熱可塑性樹脂層との
    間に、接着層を介在させている、請求項1〜3のいずれ
    かに記載の繊維強化プラスチック製巻芯。
  5. 【請求項5】 前記接着層を形成する成分が、(A)エ
    チレン−アクリル酸共重合体およびエチレン−酢酸ビニ
    ル共重合体の少なくとも一方と、(B)メチルエーテル
    化メラミン樹脂とを含有する樹脂組成物である、請求項
    4に記載の繊維強化プラスチック製巻芯。
  6. 【請求項6】 前記熱可塑性樹脂層が設けられる前記巻
    芯本体の外周面および内周面の少なくとも一方に、前記
    熱可塑性樹脂層の剥離を防止するための溝が形成されて
    いることを特徴とする、請求項1〜5に記載の繊維強化
    プラスチック製巻芯。
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