JP2000107750A - 浄化給水システム - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 水道水中に含まれる有機ハロゲン等を効率よ
く除去しながらも、その除去性能を長く保つことがで
き、有機ハロゲンを除去するカートリッジの小型化及び
軽量化を可能とし、そのカートリッジの交換が容易な有
機ハロゲン除去装置を装備した浄化給水システムの提供
を課題とする。 【解決手段】 水道水Ｗ中に含まれる有機ハロゲン等を
除去して給水する浄化給水システムであって、疎水性の
疎水膜で仕切られた通水流路１１ｃと換気流路７ａとを
有する浄水容器部７と、換気流路７ａ内の換気を行う換
気装置部１０とを備えてなる有機ハロゲン除去装置１を
設け、該有機ハロゲン除去装置１を、水道水Ｗの供給元
である本配管３側に設けた構成とした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、水道水中に含まれ
る有機ハロゲン等を除去して給水する浄化給水システム
であり、特に家庭用水道水の浄化給水に用いて好適な浄
化給水システムに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】塩素臭や塩素により生成される有機ハロ
ゲンであるトリハロメタン（以下、ＴＨＭと略す）、或
いはかび臭など、消費者の水道水に対する不安、不満を
解決するために、浄水器が広く普及しつつある。これら
浄水器の多くは、濁質を除去するフィルタ及び溶質を除
去する吸着材からなるものであり、また、用途は、飲用
や調理用に限定されるものであった。さらに、浴室など
の前記水道水を大量に使用する場所においては、該水道
水中に含まれる前記ＴＨＭが気化して家庭内の空気を汚
染する恐れが指摘されるようになっている。このような
問題を解決するために、前記水道水を供給する本配管
に、家庭に供給される前記水道水全ての浄化を行う大型
の浄水器が上市されつつある。この様な浄水器は、Ｐｏ
ｉｎｔ Ｏｆ Ｅｎｔｒａｎｃｅ浄水器（以下、ＰＯＥ
浄水器と略す）と呼ばれる。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】これらＰＯＥ浄水器の
殆どは、吸着材として活性炭を使用しているが、活性炭
は、使用するに伴って有機ハロゲンの除去性能が低下す
るという問題と、処理量が大量であるために活性炭を収
めるカートリッジが大型化して重量が重くなるため、そ
の交換が困難であるといった問題とを有していた。

【０００４】本発明は、上記事情を鑑みてなされたもの
であって、下記をその目的としている。すなわち、水道
水中に含まれる有機ハロゲン等を効率よく除去しながら
も、その除去性能を長く保つことができ、有機ハロゲン
を除去するカートリッジの小型化及び軽量化を可能と
し、その交換が容易な有機ハロゲン除去装置を装備した
浄化給水システムの提供を目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明の浄化給水システ
ムは、上記課題を解決するために以下の手段を採用し
た。すなわち、請求項１記載の浄化給水システムは、水
道水中に含まれる有機ハロゲン等を除去して給水する浄
化給水システムであって、疎水性の疎水膜で仕切られた
通水流路と換気流路とを有する浄水容器部と、前記換気
流路内の換気を行う換気装置部とを備えてなる有機ハロ
ゲン除去装置が設けられ、該有機ハロゲン除去装置が、
前記水道水の供給元である本配管側に設けられているこ
とを特徴とする。上記請求項１記載の浄化給水システム
によれば、浄化処理前の水道水を通水流路内に流すとと
もに、有機ハロゲンを含まない外気で換気流路内を換気
することで、液相と気相の有機ハロゲンの分圧差を駆動
力として水道水中に溶存しているトリハロメタン等の有
機ハロゲンが除去される。また、本配管側に設けること
で、必要とされる有機ハロゲン除去装置の設置台数が少
なくて済む。

【０００６】請求項２記載の浄化給水システムは、請求
項１記載の浄化給水システムにおいて、前記有機ハロゲ
ン除去装置の下流には、前記水道水中の残留塩素または
濁質のいずれか一方もしくは両方を除去する除去カート
リッジが設けられていることを特徴とする。上記請求項
２記載の浄化給水システムによれば、水道水に含まれて
いる残留塩素または濁質のいずれか一方もしくは両方
は、吐水直前に除去カートリッジによって取り除かれ
る。

【０００７】請求項３記載の浄化給水システムは、請求
項１または２記載の浄化給水システムにおいて、前記浄
水容器部内には、前記疎水膜からなる管形状の中空糸膜
が配設されており、該中空糸膜の内部空間または外部空
間のいずれか一方が前記通水流路とされ、他方が前記換
気流路とされていることを特徴とする。上記請求項３記
載の浄化給水システムによれば、疎水膜を管形状とした
ことで、平膜とした場合に比べて容積効率が良く、大量
の疎水膜が充填出来る。

【０００８】請求項４記載の浄化給水システムは、請求
項１から３のいずれかに記載の浄化給水システムにおい
て、前記疎水膜が、非多孔性とされていることを特徴と
する。上記請求項４記載の浄化給水システムによれば、
非多孔性としたことで、液相から気相への水の浸透が防
げられる。

【０００９】請求項５記載の浄化給水システムは、請求
項２から４のいずれかに記載の浄化給水システムにおい
て、前記除去カートリッジには、活性炭もしくは亜硫酸
カルシウムのいずれか一方もしくはその両方が含まれて
いることを特徴とする。上記請求項５記載の浄化給水シ
ステムによれば、活性炭もしくは亜硫酸カルシウムによ
り、水道水に含まれている残留塩素が吐水前に分解除去
される。

【００１０】請求項６記載の浄化給水システムは、請求
項２から５のいずれかに記載の浄化給水システムにおい
て、前記除去カートリッジには、多孔性の中空糸膜が備
えられていることを特徴とする。上記請求項６記載の浄
化給水システムによれば、水道水中に含まれる鉄錆、細
菌等は、中空糸膜によって捕らえられて吐水前に除去さ
れる。

【００１１】

【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態につい
て、図面を参照しながら説明する。図１は、本発明に係
わる浄化給水システムを示す系統図である。符号１は、
各家庭に向けて供給される水道水の供給元となる本配管
３に取り付けられた有機ハロゲン除去装置である。更
に、該有機ハロゲン除去装置１から各給水栓４に水道水
を供給する各配管５には、残留塩素及び濁質除去を行う
除去カートリッジ６がそれぞれ取り付けられている。こ
れら各除去カートリッジ６は、例えばキッチンでは、鉄
サビや細菌等を除去する中空糸膜と、残留塩素を除去す
る活性炭とからなる除去カートリッジ６が使用され、バ
スルームでは、残留塩素を除去する活性炭または亜硫酸
カルシウムからなる除去カートリッジ６が使用されるな
ど、設置場所に応じて使用する除去カートリッジ６のタ
イプが適宜選択された構成となっている。

【００１２】図２を参照しながら、有機ハロゲン除去装
置１について以下に説明する。この有機ハロゲン除去装
置１の浄水容器部７には、外気Ａを吸い込む吸気口８
と、水道水中から除去された有機ハロゲン及び水蒸気
Ａ’を排気する排気口９とが備えられている。この排気
口９には、浄水容器部７内の空気を換気する吸気ポンプ
である換気装置部１０が接続されている。

【００１３】また、浄水容器部７の内部には、多数本の
中空糸膜１１が配設されており、これら中空糸膜１１
は、その両端が、それぞれポッティング樹脂１２の外側
端面に開口して支持固定されている。これら中空糸膜１
１は、疎水性を有する非多孔性の疎水膜からなる管形状
を有しており、前記疎水膜の内部空間は通水流路１１ｃ
とされ、外部空間は換気流路７ａとされている。従い、
前記疎水膜は、実質、浄水容器部７内の空間を通水流路
１１ｃと換気流路７ａとに仕切っている。なお、中空糸
膜１１は、交換可能なカートリッジ式となっている。ま
た、浄水容器部７には、通水流路１１ｃに水道水Ｗを通
す入口となる導入口１３と、出口となる導出口１４とが
設けられており、これらは、それぞれ本配管３と配管５
に接続されている。

【００１４】上記説明の浄化給水システムによる給水
は、以下のように行われる。まず、本配管３から、浄化
処理前の水道水Ｗを有機ハロゲン除去装置１へと供給す
ると同時に、換気装置部１０を起動して換気流路７ａ内
に有機ハロゲンを含まない外気Ａを取り入れて換気す
る。すると、水道水Ｗが通水流路１１ｃ内を流れる際
に、液相と気相の有機ハロゲンの分圧差を駆動力とし
て、水道水Ｗ中に溶存しているトリハロメタン等の有機
ハロゲンが換気流路７ａへと除去される。このとき、前
記疎水膜は非多孔性とされているので、液相から気相へ
の水の浸透は防がれている。このようにして浄化された
水道水Ｗ’は、配管５を通って各給水栓４へと供給さ
れ、さらに、除去カートリッジ６によって水道水Ｗ’中
にまれている残留塩素、濁質、鉄錆、細菌等が、栓吐水
前に除去されて水道水Ｗ”となって給水される。

【００１５】したがって、軽量で有機ハロゲンの除去性
能に優れた前記疎水膜を用いた有機ハロゲン除去装置１
を採用したことで、水道水Ｗ中に含まれる有機ハロゲン
を効率良く除去しながらも、その除去性能を長く保つこ
とができ、中空糸膜１１を収める前記カートリッジの小
型化及び軽量化を可能とし、その交換が容易な有機ハロ
ゲン除去装置を装備した浄化給水システムの提供が可能
となる。この浄化給水システムにより、水道水Ｗ中に含
まれた有機ハロゲンが揮発して家庭内の空気中に混入
し、空気を汚染することが防止される。さらに、有機ハ
ロゲン除去装置１を本配管３に設けたことで、その下流
側の全ての配管４に向かう水道水Ｗの有機ハロゲンの除
去がなされるので、装置台数を減らして低コスト化でき
る浄化給水システムとすることも可能となる。

【００１６】また、管形状の中空糸膜１１を用いたの
で、平膜に比べて容積効率が向上し、大量の前記疎水膜
を浄水容器部７内に充填できるので、有機ハロゲンを効
率良く除去し、小型化と軽量化が可能な浄化給水システ
ムとすることも可能となる。

【００１７】また、前記疎水膜を非多孔性としたこと
で、液相から気相への水の浸透が防げられるので、中空
糸膜１１からの水道水Ｗの漏れが防げる浄化給水システ
ムとすることも可能となる。また、除去カートリッジ６
に、活性炭及び亜硫酸カルシウムを含めたことで、水道
水Ｗに含まれている残留塩素が吐水前に分解除去される
ので、給水された水道水から塩素臭が発生する問題のな
い浄化給水システムとすることも可能となる。また、除
去カートリッジ６に多孔性の中空糸膜を備えたことで、
水道水Ｗ中に含まれる鉄錆、細菌等が中空糸膜１１によ
って捕らえられて除去されるので、これらの混入のない
水道水Ｗ”が供給できる浄化給水システムとすることも
可能となる。

【００１８】なお、上記実施形態において、中空糸膜１
１の内部空間を通水流路１１ｃとし、外部空間を換気流
路７ａとしたが、これに限らず、中空糸膜１１の外部空
間に水道水Ｗを流して通水流路とし、内部空間を換気装
置部１０で吸引して換気流路とした構成としても良い。

【００１９】

【発明の効果】本発明によれば、軽量で有機ハロゲンの
除去性能に優れた前記疎水膜を用いた有機ハロゲン除去
装置を採用することで、水道水中に含まれる有機ハロゲ
ンを効率良く除去しながらも、その除去性能を長く保つ
ことができ、中空糸膜を収めるカートリッジの小型化及
び軽量化を可能とし、その交換が容易な有機ハロゲン除
去装置を装備した浄化給水システムの提供が可能とな
る。この浄化給水システムにより、水道水中に含まれた
有機ハロゲンが揮発して空気中に混入し、家庭内の空気
を汚染することが防止される。さらに、有機ハロゲン除
去装置を本配管に設けることで、その下流側の全ての配
管に向かう水道水の有機ハロゲンの除去がなされるの
で、装置台数を減らして低コスト化できる浄化給水シス
テムとすることも可能となる。

【００２０】また、除去カートリッジを設けることで、
水道水に含まれている残留塩素及び濁質が吐水前に取り
除かれるので、給水された水道水から塩素臭などが発生
する問題のない浄化給水システムとすることも可能とな
る。

【００２１】また、管形状の中空糸膜を用いることで、
平膜に比べて容積効率が向上し、大量の疎水膜を浄水容
器部内に充填できるので、有機ハロゲンを効率良く除去
し、小型化と軽量化が可能な浄化給水システムとするこ
とも可能となる。

【００２２】また、前記疎水膜を非多孔性とすること
で、液相から気相への水の浸透が防げられるので、中空
糸膜からの水道水の漏れが防げる浄化給水システムとす
ることも可能となる。

【００２３】また、除去カートリッジに、活性炭及び亜
硫酸カルシウムを含めることで、水道水に含まれている
残留塩素が吐水前に分解除去されるので、給水された水
道水から塩素臭が発生する問題のない浄化給水システム
とすることも可能となる。

【００２４】また、除去カートリッジに多孔性の中空糸
膜を備えることで、水道水中に含まれる鉄錆、細菌等が
中空糸膜によって捕らえられて除去されるので、これら
の混入のない水道水が供給できる浄化給水システムとす
ることも可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の浄化給水システムを示す図であって、
概略系統図である。

【図２】同浄化給水システムを示す図であって、有機ハ
ロゲン除去装置の概略構成図である。

【符号の説明】

１・・・有機ハロゲン除去装置 ３・・・本配管 ６・・・除去カートリッジ ７・・・浄水容器部 ７ａ・・・換気流路 １０・・・換気装置部 １１・・・中空糸膜 １１ｃ・・・通水流路 Ｗ・・・水道水

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 水道水中に含まれる有機ハロゲン等を除
   去して給水する浄化給水システムであって、疎水性の疎
   水膜で仕切られた通水流路と換気流路とを有する浄水容
   器部と、前記換気流路内の換気を行う換気装置部とを備
   えてなる有機ハロゲン除去装置が設けられ、 該有機ハロゲン除去装置は、前記水道水の供給元である
   本配管側に設けられていることを特徴とする浄化給水シ
   ステム。
2. 【請求項２】 請求項１記載の浄化給水システムにおい
   て、 前記有機ハロゲン除去装置の下流には、前記水道水中の
   残留塩素または濁質のいずれか一方もしくは両方を除去
   する除去カートリッジが設けられていることを特徴とす
   る浄化給水システム。
3. 【請求項３】 請求項１または２記載の浄化給水システ
   ムにおいて、 前記浄水容器部内には、前記疎水膜からなる管形状の中
   空糸膜が配設されており、該中空糸膜の内部空間または
   外部空間のいずれか一方が前記通水流路とされ、他方が
   前記換気流路とされていることを特徴とする浄化給水シ
   ステム。
4. 【請求項４】 請求項１から３のいずれかに記載の浄化
   給水システムにおいて、 前記疎水膜は、非多孔性とされていることを特徴とする
   浄化給水システム。
5. 【請求項５】 請求項２から４のいずれかに記載の浄化
   給水システムにおいて、 前記除去カートリッジには、活性炭もしくは亜硫酸カル
   シウムのいずれか一方もしくはその両方が含まれている
   ことを特徴とする浄化給水システム。
6. 【請求項６】 請求項２から５のいずれかに記載の浄化
   給水システムにおいて、 前記除去カートリッジには、多孔性の中空糸膜が備えら
   れていることを特徴とする浄化給水システム。