JP2000102870A - 自動溶接方法及びその装置並びに溶接構造物 - Google Patents

自動溶接方法及びその装置並びに溶接構造物

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JP2000102870A
JP2000102870A JP10275356A JP27535698A JP2000102870A JP 2000102870 A JP2000102870 A JP 2000102870A JP 10275356 A JP10275356 A JP 10275356A JP 27535698 A JP27535698 A JP 27535698A JP 2000102870 A JP2000102870 A JP 2000102870A
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welding
torch
wire
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arc
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JP10275356A
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Yoshinobu Makino
吉延 牧野
Keizo Honda
啓三 本多
Kouya Takinami
航也 滝波
Yoshiyuki Onouchi
善之 小野内
Tei Odawara
禎 小田原
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Toshiba Corp
Toshiba Plant Construction Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
Toshiba Plant Construction Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】横向き姿勢や全姿勢での溶接構造物への溶接を
高能率で、且つ高品質にて実施することにある。 【解決手段】溶接トーチ24内の溶接ワイヤ27と溶接継手
21との間に溶接アークを発生させて溶接継手21上に溶融
池を形成し、かつ溶接アークにより溶接ワイヤ27を溶融
させてその溶滴を前記溶融池に移行させる自動溶接装置
において、溶接トーチ24を溶接継手21における被溶接部
分の溶接方向に走行させる溶接走行台車22と、溶接トー
チ24を前記被溶接部分の溶接方向に対してほぼ垂直に揺
動させるトーチ動揺手段と、溶接トーチ24に溶接ワイヤ
27に供給する溶接ワイヤ供給装置29と、溶接トーチ24の
動作期間に一致させて溶接ワイヤ27が予め設定されたワ
イヤ供給速度となるように溶接ワイヤ供給装置29を周期
的に制御する溶接ワイヤ送給制御手段とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば電力送配電
設備用ガス遮断器の外装容器をなす溶接継手のような溶
接構造からなる構造体の自動溶接方法及びその装置並び
にこの溶接により製作された溶接構造物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、溶接構造からなる構造体には、高
い信頼性を有する溶接法が採用されている。特に最近で
は、高能率化の観点から各種の溶接法が適用されてい
る。例えば、特開平8−1360号公報に見られるよう
な溶接構造物においては、図21に示すようにステンレ
ス鋼製のパイプ1の両端開口部に、炭素鋼製のフランジ
2からなる環状継手を接合する場合、高品質・高能率化
を図るためにレーザ溶接が行なわれている。
【0003】このレーザ溶接は、図示しないレーザ発振
器から発生したレーザ光を所定の図示しない集光光学系
により集光し、これを所定の相対速度で移動させながら
行なうものである。従って、図21に示すような溶接構
造物の継手をレーザ溶接する場合には、レーザ光の集光
光学系をパイプ1の周囲を回転させる必要がある。
【0004】しかし、レーザ光の伝送系と一体になって
いる集光光学系をパイプ1の周囲を回転させることは容
易でないため、通常はパイプ1自体を回転させてレーザ
溶接を実施している。
【0005】また、レーザ溶接に代るものとして電子ビ
ーム溶接があるが、この電子ビーム溶接は一般的に真空
中で実施されることから、電子ビームガンをパイプ1の
周囲を回転させることは容易ではない。したがって、通
常は電子ビーム溶接においてもパイプ1を回転させなが
ら溶接している。
【0006】しかし、図21に示すようにパイプ1の長
手方向中央部に有する分岐パイプ4とフランジ3とをレ
ーザ溶接やビーム溶接により接合する際に、パイプ側を
回転させることは容易なことではない。特に、主胴側の
パイプ1が長尺の場合、実用的には分岐パイプ4を回転
させることは不可能である。
【0007】このため、分岐パイプ4にフランジ3を溶
接する手段として、高品質で、高能率化を図るため、レ
ーザ溶接や電子ビーム溶接を適用することは困難であ
る。また、溶接構造からなる大型構造物として、例えば
図22に示すような大型タンクがある。この大型タンク
は外周面にポート7,8が取付けられ、且つ内部に内容
物が組込まれた胴部5と、この胴部5の両開口部に設け
られる鏡板6とから構成されている。
【0008】このような大型タンクにおいて、胴部5と
鏡板6との溶接に当たっては、胴部5を横にしたり、回
転移動させる必要があるが、実際にこの胴部5を回転さ
せたり、移動させることは困難である。そのため、前述
と同様に電子ビーム溶接やレーザ溶接を適用することは
事実上不可能である。
【0009】このように、溶接構造物を回転および移動
させることが困難な大型構造物の場合、高品質・高能率
化のために電子ビーム溶接やレーザ溶接を採用すること
は困難である。
【0010】そこで、大型構造物の溶接手段としては、
一般的に熱源部分を移動させることが容易なアークある
いはプラズマを熱源とした溶接法により、溶接熱源を被
溶接物に発生させる溶接トーチを動作させながら溶接を
行なう方法が好適である。
【0011】ところが、この方法では溶接構造物の継手
の位置によって溶接姿勢は必ずしも下向きになるとは限
らない。例えば、図21に示すような溶接構造物におい
て、フランジ3と分岐パイプ4から形成される継手で
は、横向き姿勢となる。また、図22に示すような溶接
構造物において、胴部5と鏡板6からなる継手でも同様
に横向き姿勢となる。
【0012】従って、溶接構造物全体を横に倒した場
合、当該溶接継手に対して、溶接トーチは図23に示す
ごとく、下向き→立向き→上向き→立向き→下向きの全
姿勢となる。このため、溶接施工上、全溶接では溶融金
属に対してあらゆる向きで重力が作用することから、溶
接条件を各々の姿勢ごとに変更させることが必要とな
り、溶接難易度は極めて高い。
【0013】そこで、下向きの溶接姿勢が最も望ましい
が、前述のごとく構造物の制約から下向き溶接が確保で
きない継手については、横向き姿勢で溶接を実施するこ
とが一般的である。
【0014】以上述べたように大型構造物や溶接構造物
の形状による制約から、構造物を回転移動できず、横向
き姿勢や全姿勢で溶接トーチを移動させながら高品質
で、高能率な溶接を実施することが求められている。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】以上の制約から、主と
してアーク溶接が上記溶接構造物の継手の溶接に適用さ
れているが、横向き姿勢や全姿勢での高品質、且つ高能
率に溶接することは必ずしも容易なことではない。この
うち、溶接の高能率化のために、大入熱化、具体的には
溶接トーチへの大電流投与を行なうと、溶接金属が重力
の影響によってたれ落ちる現象が顕著になり、溶接品質
を低下させてしまう。
【0016】よって、横向き姿勢等での溶接では、高品
質化を達成するために高能率化を諦めざるを得えないの
が現状である。そこで、圧力容器等の重要溶接構造物の
場合、アーク溶接の中でも高品質が得られるガスタング
ステンアーク溶接(以下、GTA溶接と称する)が採用
されている。
【0017】図24はかかるGTA溶接の原理を示すも
のである。図24において、溶接トーチ10には電極1
1が備えられ、この電極11に図示しない溶接電源から
電気エネルギーが供給される。この電気エネルギーの供
給により電極11と母材12との間には溶接アーク13
が発生し、母材12上に溶融池14が形成される。さら
に、溶接アーク13にフィラーワイヤ15が送り込ま
れ、この溶接アークによってフィラーワイヤ15の先端
が溶融され、これにより溶滴が形成されて溶融池14に
移行する。以上の作用が継続されることにより、溶接が
進行する。
【0018】このGTA溶接と対比される溶接法とし
て、ガスメタルアーク溶接法(以下GMA溶接と称す
る)がある。図25はこのGMA溶接の原理を示すもの
である。図25に示すGMA溶接では、GMA溶接用の
溶接トーチ16に備えられた給電チップ17中を通った
溶接ワイヤ18の先端と母材12との間に溶接アーク1
3を発生させ、溶接ワイヤ18を溶融させ、消耗させな
がら溶接を進行させている。このとき、溶接アーク13
を維持している間は、常に溶接ワイヤ18が消耗し、溶
融池14に溶融金属を供給する。このため、作業能率は
高いが、その反面溶融金属が多量に形成されるため、横
向き姿勢などではこれに伴うたれ落ち等の欠陥が発生し
やすい。
【0019】これらの溶接法の特性を考慮して、横向き
姿勢などでは、GTA溶接が多く採用されている。すな
わち、GTA溶接では、電極11によって溶融池14を
確保しながら、たれ落ちを防止するためにフィラーワイ
ヤ15の供給を適度に抑制して溶接が進行される。これ
によって高品質化は達成されるが、高能率化は極めて困
難である。
【0020】他方、横向き姿勢などでGMA溶接を適用
する場合もあるが、高能率化は達成できるものの高品質
化は極めて困難であり、高い信頼性の要求される圧力容
器などの重要溶接構造物への適用は不可能である。
【0021】本発明は上記のような事情に鑑みてなされ
たもので、横向き姿勢および全姿勢での溶接構造物に対
して高品質で高能率にして溶接を行うことができる自動
溶接方法及びその装置並びにこの溶接で製作された溶接
構造物を提供することを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】請求項1に対応する発明
は、溶接トーチ内の溶接ワイヤと母材との間に溶接アー
クを発生させて前記母材上に溶融池を形成し、且つ溶接
アークにより溶接ワイヤを溶融させてその溶滴を前記溶
融池に移行させながら溶接を実行する自動溶接方法にお
いて、前記溶接トーチを前記母材の被溶接部分の溶接方
向に対しほぼ垂直方向に揺動させ、前記溶接トーチの揺
動の上向き動作期間に一致させて前記溶接トーチに供給
する溶接ワイヤの供給速度を予め設定された速度に高め
ることにより、溶接電流をパルス状に出力させて溶接す
る。
【0023】請求項2に対応する発明は、溶接トーチ内
の溶接ワイヤと母材との間に溶接アークを発生させて前
記母材上に溶融池を形成し、且つ溶接アークにより溶接
ワイヤを溶融させてその溶滴を前記溶融池に移行させな
がら溶接を実行する自動溶接方法において、前記溶接ト
ーチを前記母材における溶接方向に対しほぼ垂直方向に
揺動させるとともにその揺動の両端で停止させ、この揺
動の両端停止期間に一致させて前記溶接トーチに供給す
る溶接ワイヤの供給速度を予め設定された速度に高める
ことにより、溶接電流をパルス状に出力させて溶接す
る。
【0024】請求項3に対応する発明は、溶接トーチ内
の溶接ワイヤと母材との間に溶接アークを発生させて前
記母材上に溶融池を形成し、且つ溶接アークにより溶接
ワイヤを溶融させてその溶滴を前記溶融池に移行させな
がら溶接を実行する自動溶接方法において、前記溶接ト
ーチに供給する溶接ワイヤの供給速度を周期的に増減さ
せることにより、溶接電流をパルス状に出力させて溶接
する。
【0025】請求項4に対応する発明は、請求項3に対
応する発明の自動溶接方法において、開先の下側角度を
0°〜40°、上側角度を30°〜70°とする。請求
項5に対応する発明は、溶接トーチ内の溶接ワイヤと母
材との間に溶接アークを発生させて前記母材上に溶融池
を形成し、且つ溶接アークにより溶接ワイヤを溶融させ
てその溶滴を前記溶融池に移行させながら溶接を実行す
る自動溶接装置において、前記溶接トーチを前記母材に
おける被溶接部分の溶接方向に走行させる溶接走行手段
と、前記溶接トーチを前記被溶接部分の溶接方向に対し
てほぼ垂直に揺動させるトーチ揺動手段と、前記溶接ト
ーチに前記溶接ワイヤを供給する溶接ワイヤ供給手段
と、前記溶接トーチの動作期間に一致させて前記溶接ワ
イヤが予め設定されたワイヤ供給速度となるように前記
溶接ワイヤ供給手段を周期的に制御する溶接ワイヤ送給
制御手段とを備える。
【0026】請求項6に対応する発明は、溶接トーチ内
の溶接ワイヤと母材との間に溶接アークを発生させて前
記母材上に溶融池を形成し、且つ溶接アークにより溶接
ワイヤを溶融させてその溶滴を前記溶融池に移行させな
がら溶接を実行する自動溶接装置において、前記溶接ト
ーチを前記母材における被溶接部分の溶接方向に走行さ
せる溶接走行手段と、前記溶接トーチを前記被溶接部分
の溶接方向に対してほぼ垂直に揺動させるトーチ動揺手
段と、前記溶接トーチに前記溶接ワイヤを供給する溶接
ワイヤ供給手段と、前記溶接トーチの揺動の上向き動作
期間に一致させて前記溶接ワイヤが予め設定されたワイ
ヤ供給速度となるように前記ワイヤ供給手段を制御する
溶接ワイヤ送給制御手段とを備える。
【0027】請求項7に対応する発明は、溶接トーチ内
の溶接ワイヤと母材との間に溶接アークを発生させて前
記母材上に溶融池を形成し、かつ溶接アークにより溶接
ワイヤを溶融させてその溶滴を前記溶融池に移行させな
がら溶接を実行する自動溶接装置において、前記溶接ト
ーチを前記母材における被溶接部分の溶接方向に走行さ
せる溶接走行手段と、前記溶接トーチを前記母材の被溶
接部分における溶接方向に対してほぼ垂直方向に揺動さ
せるトーチ揺動手段と、この前記溶接トーチがその揺動
両端で停止するように前記トーチ揺動手段を制御すると
ともに、前記溶接トーチの揺動の両端停止期間に一致さ
せて前記溶接ワイヤが予め設定されたワイヤ供給速度と
なるように前記ワイヤ供給手段を制御する溶接ワイヤ送
給制御手段とを備える。
【0028】請求項8に対応する発明は、溶接トーチ内
の溶接ワイヤと母材との間に溶接アークを発生させて前
記母材上に溶融池を形成し、且つ溶接アークにより溶接
ワイヤを溶融させてその溶滴を前記溶融池に移行させな
がら溶接を実行する自動溶接装置において、前記溶接ト
ーチを前記母材における被溶接部分の溶接方向に走行さ
せる溶接走行手段と、前記溶接トーチに溶接ワイヤを供
給する溶接ワイヤ供給手段と、溶接走行の動作期間に一
致させて前記溶接ワイヤが予め設定されたワイヤ供給速
度となるように前記ワイヤ供給手段を制御する溶接ワイ
ヤ送給制御手段とをとを備える。
【0029】請求項9に対応する発明は、請求項5乃至
請求項8のいずれか一つの項に対応する発明の自動溶接
装置において、溶接電源としてパルス溶接電源を用い
る。従って、このような自動溶接方法およびその装置に
あっては、溶接構造物の横向き姿勢に代表される姿勢溶
接に対し、高品質で高能率な溶接が可能となる。
【0030】請求項10に対応する発明は、溶接トーチ
を母材の被溶接部分の溶接方向に対しほぼ垂直方向に揺
動させ、この溶接トーチの揺動の上向き動作期間に一致
させて溶接トーチに供給する溶接ワイヤの供給速度を予
め設定された速度に高めることにより、溶接電流をパル
ス状に出力させ、溶接トーチと母材との間に溶接アーク
を発生させて母材上に溶融池を形成すると共に溶接アー
クにより溶接ワイヤを溶融させてその溶滴を溶融池に移
行させることを繰り返しながら母材を溶接して製作され
た溶接構造物である。
【0031】請求項11に対応する発明は、溶接トーチ
を母材における溶接方向に対しほぼ垂直方向に揺動させ
るとともにその揺動の両端で停止させ、この揺動の両端
停止期間に一致させて溶接トーチに供給する溶接ワイヤ
の供給速度を予め設定された速度に高めることにより、
溶接電流をパルス状に出力させ、溶接トーチと母材との
間に溶接アークを発生させて母材上に溶融池を形成する
と共に溶接アークにより溶接ワイヤを溶融させてその溶
滴を溶融池に移行させることを繰り返しながら母材を溶
接して製作された溶接構造物ぶある。
【0032】請求項12に対応する発明は、溶接トーチ
に供給する溶接ワイヤの供給速度を周期的に増減させる
ことにより、溶接電流をパルス状に出力させ、溶接トー
チと母材との間に溶接アークを発生させて母材上に溶融
池を形成すると共に溶接アークにより溶接ワイヤを溶融
させてその溶滴を溶融池に移行させることを繰り返しな
がら母材を溶接して製作された溶接構造物である。
【0033】従って、このような溶接により溶接構造物
を製作すれば、溶接部に対し溶接金属の湯流れや不整ビ
ードの形成が抑制された高品質で後加工の不要な溶接構
造物となる。
【0034】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態について
図面を参照して説明する。図1は本発明の第1の実施の
形態を示す自動溶接装置の構成図である。図1におい
て、20は高力アルミ合金製で円筒状に形成された溶接
構造物で、この溶接構造物20には溶接継手21が存在
し、かつ大型であることや変形を防止する目的から円筒
を立てた状態とし、且つ溶接継手21を溶接する際の溶
接姿勢は横向きにして溶接が進行可能にしてある。
【0035】この溶接構造物20の円筒外周面には、一
対の走行レール23が適宜の間隔を存して取付けられ、
これら一対の走行レール23間に跨がって溶接走行台車
22が設けられる。
【0036】この溶接走行台車22は、走行レール23
を全周にわたって走行しながら溶接を実施するもので、
溶接走行台車22の図示上面側の側面に溶接熱源として
の溶接アークを発生する溶接トーチ24が溶接トーチ駆
動部25によって位置決め可能に支持されている。
【0037】また、溶接走行台車22の走行方向の一方
の端面には、溶接トーチ24にコンジットケーブル28
を通して溶接ワイヤ27を供給する溶接ワイヤ供給装置
29が取付けられている。
【0038】さらに、溶接トーチ27は溶接ワイヤ供給
装置29に繋がるコンジットケーブル28を把持し、且
つこのコンジットケーブル28を通して供給される溶接
ワイヤ27を溶接継手21に設けられた開先26に向け
て溶接の進行とともに送り込めるようになっている。
【0039】また、溶接トーチ24には、この溶接トー
チ24と溶接構造物20との間に溶接アークを発生させ
るための電気エネルギーを供給する溶接電源30が接続
されている。この場合、溶接電源30は溶接構造物20
に対しても通電回路を形成するために電気的に接続され
ている。
【0040】一方、31は溶接電源30を駆動電源とし
て溶接走行台車22に接続された制御装置で、この制御
装置31は溶接走行台車22の走行および溶接トーチ2
4の動作、溶接ワイヤ供給装置29の動作を制御する機
能を有している。
【0041】図2はかかる制御装置31の構成を示すブ
ロック図である。図2に示すように中央処理装置部(C
PU)32には、バス33を介して設定及び表示部34
と記憶部35とが接続されるとともに、バス36を介し
て入出力ポート(I/Oポート)37が接続されてい
る。
【0042】上記設定及び表示部34は溶接の動作シー
ケンスの設定と表示を行なう機能を有するものであり、
記憶部35には溶接の動作シーケンスが記憶されてい
る。また、上記入出力ポート37には、上記溶接電源3
0が接続されると共に、台車走行駆動部38、台車トー
チ駆動部39、溶接ワイヤ供給駆動部40および位置検
出部41が接続されている。これらの内、台車走行駆動
部38は溶接走行台車22を走行レール23上に走行駆
動する機能を有し、台車トーチ駆動部39は溶接トーチ
24を駆動する機能を有し、溶接ワイヤ供給駆動部40
は溶接ワイヤ供給装置29を駆動する機能を有してい
る。
【0043】上記中央処理装置部32は、記憶部35へ
の情報の書き込みと情報の読み出しを制御し、かつ記憶
された動作シーケンスのフローチャートに従って台車走
行駆動部38、台車トーチ駆動部39、溶接ワイヤ供給
駆動部40および位置検出部41の動作を制御する機能
を有している。
【0044】また、中央処理装置部32は台車トーチ駆
動部39に対して動作命令を発し、溶接トーチ24を溶
接構造物20における溶接継手21の方向に対してほぼ
垂直方向に揺動させる。
【0045】さらに、中央処理装置部32は溶接トーチ
24の揺動の上向き動作期間に溶接トーチ24に供給す
る溶接電流のピーク時間を一致させるために、溶接ワイ
ヤ供給駆動部40に対して指令を発し、溶接トーチ24
の揺動動作に一致させて溶接ワイヤ27のワイヤ供給速
度を設定する機能を有している。
【0046】本実施形態で採用する溶接法は、前述のG
MA溶接の一種である。GMA溶接においては、図24
に示すように溶接ワイヤ18と母材12の間に発生させ
た溶接アークによって溶接ワイヤ自身が溶融し、溶融池
14に移行する。
【0047】このとき、溶接ワイヤの供給速度と溶接電
流は、溶接ワイヤの材質、径などの溶接条件が一定の場
合、図3のような関係を示すことが知られている。そこ
で、ここでは溶接トーチ24の揺動上向き動作期間に溶
接トーチ24に供給する溶接電流のピーク時間を一致さ
せるために、溶接ワイヤ供給駆動部40に対して指令を
発し、溶接トーチ24の揺動動作に一致させて溶接ワイ
ヤ27のワイヤ供給速度を設定する方法が採られる。
【0048】次に上記のごとく構成された装置の作用に
ついて、図4に示す動作シーケンスのフローチャートお
よび図5に示す動作シーケンスのタイミングチャートに
従って説明する。
【0049】まず、制御装置31において、設定及び表
示部34はステップ#1にて動作シーケンスに必要な溶
接パラメータを記憶部35に記憶する。この溶接パラメ
ータは、溶接に必要とされるウィービング幅(mm)、ウィ
ービング周期(sec) とピーク時間及びベース時間、ピー
ク電流値(A) を設定するためのピーク時間の溶接ワイヤ
供給速度(mm/min)、ベース電流値(A) を設定するための
ベース時間の溶接ワイヤ供給速度(mm/min)、クレータ時
間(sec) 、クレータ電流値(A) を設定するためのクレー
タ時間の溶接ワイヤ供給速度(mm/min)、台車走行速度(m
m/min)および溶接距離(mm)である。
【0050】ここで、溶接構造物20に対する溶接は上
記のごとく溶接走行台車22が横向き姿勢で進行するの
で、溶接トーチ24は溶接進行方向に対して垂直な方向
に揺動させるウィービングが適用される。アルミ合金の
溶接では、粘性および融点の低い溶融金属のたれ落ち防
止や凝固後の溶接ビード外観を整えることから、一般に
ウィービングが適用される。
【0051】特に横向き姿勢では、重量の影響を少なく
するために不可欠である。このウィービングの開始にあ
たっては、溶接構造物から見て上向き動作でウィービン
グを始める方法と下向き動作から始める方法とがある。
【0052】ここでは下向きのウィービング動作から始
めるように溶接パラメータが設定されているものとす
る。以上の溶接パラメータの設定終了後、ステップ#2
にて設定及び表示部34の起動ボタンがオン(ON)さ
れると、次のステップ#3において台車走行駆動部38
と台車トーチ駆動部39とが起動し、これにより溶接走
行台車22は走行レール23を走行する。この溶接走行
台車22の走行により、ステップ#4にて位置検出部4
1が予め溶接構造物20に取付けられた図示しない溶接
開始点検出用ドグを検出すると、ステップ#5にて台車
走行駆動部38は走行動作を停止すると共に、台車トー
チ駆動部39も溶接トーチ24の駆動を停止する。
【0053】次にステップ#6において溶接電源30が
起動し、続いてステップ#7にて所定の速度(低速)で
溶接ワイヤ27の供給を開始し、給電されたワイヤ先端
を溶接構造物に瞬時短絡する。そして、ステップ#8で
中央処理装置部32は溶接ワイヤ先端から溶接アークが
発生していることを検出した後、ステップ#9に移って
台車トーチ駆動部39に動作指令を発し、溶接トーチ2
4に対してまず下向きのウィービング動作を開始させ
る。
【0054】このとき、溶接ワイヤ駆動部40はステッ
プ#10からステップ#11に移り、予め設定したベー
ス時間だけ溶接ワイヤ供給速度(mm/min)で溶接ワイヤ2
7を溶接トーチ24に供給する。その結果、溶接ワイヤ
と母材間に発生した溶接電流は、所望のベース電流値に
達する。この状態で溶接トーチ24は、ウィービング動
作によって下端まで進行する。ここで、予め設定された
ウィービング周期に基づいて溶接開始点からウィービン
グ下端までの所要時間を算出する。そして、ステップ#
12において、図示しないシーケンスタイマの計測にて
溶接トーチ24の下端到着時間に到達すると、台車トー
チ駆動部39は溶接トーチ24を上向きにウィービング
動作させて上端まで進行させる。
【0055】このとき、溶接ワイヤ駆動部40は予め設
定したピーク時間だけワイヤ供給速度(mm/min)で溶接ワ
イヤ27を溶接トーチ24に供給する。その結果、溶接
ワイヤと母材間に発生した溶接電流は、所望のピーク電
流値に達する。ここで、溶接トーチ24は、予め設定さ
れたウィービング周期の2分の1時間、すなわちピーク
時間をもってウィービング上端位置に到達する。
【0056】さらに、ステップ#14にて溶接トーチ2
4がウィービング上端位置に到達すると、再びステップ
#10を通してステップ#11に戻り、溶接ワイヤ供給
駆動部40は、予め設定したベース時間溶接ワイヤ供給
速度(mm/min)で溶接ワイヤ27を溶接トーチ24に供給
する。その結果、溶接ワイヤと母材に発生した溶接電流
には、所望のベース電流値が得られる。そして、このま
ま溶接トーチ24のウィービング動作を下端まで進行さ
せる。
【0057】以上の溶接トーチ24のウィービング動作
を予め設定された溶接距離(mm)と台車走行速度(mm/min)
により算出した溶接時間まで継続する。このように溶接
トーチ24のウィービング動作を実施し、ステップ#1
0の判断により溶接終了時間になると、ステップ#15
に移って溶接ワイヤ供給駆動部40は予め設定したクレ
ータ時間の溶接ワイヤ供給速度(mm/min)で溶接ワイヤ2
7を溶接トーチ24に供給する。その結果、溶接ワイヤ
と母材間に発生した溶接電流には、所望のクレータ電流
値が得られる。
【0058】これと同時に中央処理装置部32は、台車
走行駆動部38を停止させ、さらにステップ#16にて
予め設定したクレータ時間の終了を判断した後、ステッ
プ#17にて溶接ワイヤ供給駆動部40を停止させ、ス
テップ#18にて溶接電源30を停止し、全シーケンス
を終了する。
【0059】ここで、溶接構造物20が例えば板厚15
mmの高力アルミ合金製の場合について、初期に設定する
溶接パラメータの例を図6に示す。図6において、A条
件からD条件は本実施の形態の溶接条件例である。比較
のために、市販のGMA溶接装置を用いた従来法によ
り、図6と同様の条件で台車走行速度を380mm/min から
500mm/min の範囲として試験溶接をした。得られた溶接
試験片の放射線透過試験を実施したところ、本実施の形
態で得られた試験片はA条件からD条件のいずれの溶接
条件においてもJIS2級(2類)以上の結果を呈し、
一方、従来法による試験片では、JIS4級以下(4類
以下)であった。以下にその理由を説明する。
【0060】本実施の形態では、GMA溶接の横向き姿
勢におけるウィービング動作のうち、下向き動作期間に
溶接ワイヤの送給速度を相対的に低く設定して、GTA
溶接でよく知られている低周波パルスアーク溶接法にお
けるベース電流期間と一致させた。このことにより、下
向き動作期間は溶接電流値とそれに対応する溶融金属量
を高く設定して、ピーク電流期間とした。その結果、比
較的高い溶接電流値、高いワイヤ供給速度を適用してい
ながらも、溶融金属のたれ落ちは抑制されて開先26に
とどまり、安定した溶接ビートが形成される。すなわ
ち、本実施の形態における溶接条件A〜Dのいずれも、
ウィービングの下向き動作では、溶接電流およびワイヤ
の送給速度を低く設定して溶融金属の生成を抑制し、か
つ溶融金属の温度上昇を抑えているので、たれ落ちのな
い溶接部が得られる。
【0061】また、ウィービングの上向き動作では、溶
接電流値、ワイヤの送給速度を高めているので、多量に
生成された溶融金属は、開先26の上方部に向かって形
成される。これにより、多少のたれ落ちが生じても開先
26の内部に残存し、たれ落ちの懸念がなくGMA溶接
特有の高能率溶接は達成される。
【0062】従来のGMA溶接方法では、ウィービング
動作をしても、その動作に対しピーク電流期間およびベ
ース電流時間は特定の制御をなされておらず、ランダム
に設定される。
【0063】従って、ピーク電流を発生している時間に
ウィービング動作が下向き動作となる場合があり、ピー
ク電流を高めることが困難となる。このため、溶接ワイ
ヤ供給速度を高めることができず、結果的に溶接走行台
車22の走行速度を高く確保することができない。敢え
て、溶接ワイヤ供給速度を高めて溶接速度を確保しよう
とすると、溶接金属のたれ落ちが著しくなり、高品質な
溶接部は得られなかった。
【0064】これに対し、本実施の形態では溶接金属の
たれ落ちを抑制しつつ溶接を進行するので、GMA溶接
の高能率性を確保したまま、高品質な溶接が可能とな
る。また、本実施の形態では、溶接ワイヤ27のピーク
電流時間のワイヤ供給速度あるいはベース電流時間のワ
イヤ供給速度を個別に設定し、これを繰り返し出力する
ので、その結果として得られた溶接ビートは極めて安定
したリップル模様を呈し、開先の深さに合わせたワイヤ
供給速度を選定すれば、溶接により余盛を必要以上設け
ることが防止でき、溶接後のビード仕上げも不必要とな
る。
【0065】このように第1の実施の形態によれば、高
能率性を確保しつつ高品質に溶接を行なうことの難しい
溶接金属の粘性が低いアルミ合金からなる溶接構造物2
0の溶接に対し、横向き姿勢および全姿勢での溶接構造
物20の溶接を高能率かつ高品質にでき、品質の高い溶
接構造物が得られる。
【0066】また、第1の実施の形態ではアルミ合金か
らなる溶接構造物を対象としたが、これに限定されるこ
となく、アルミ合金より粘性が高いが、やはり湯流れ性
のよい軟鋼の溶接構造物でも同様の効果が得られる。
【0067】次に本発明の第2の実施の形態について、
図7に示す動作シーケンスのフローチャートおよび図8
に示す動作シーケンスのタイミングチャートに従って説
明する。
【0068】第2の実施の形態は、第1の実施の形態よ
りも溶融金属の粘性の高いステンレス鋼や合金鋼等から
なる溶接構造物を対象とした場合に特に効果を発揮す
る。図7において、ステップ#1からステップ#9まで
は第1の実施の形態と同様なので、その説明を省略す
る。その後、ステップ#9で台車トーチ駆動部39に動
作指令を発し、溶接トーチ24に対してまず下向きのウ
ィービング動作を開始させる。このとき、溶接ワイヤ供
給駆動部40はステップ#10からステップ#11に移
り、予め設定したベース時間のワイヤ供給速度(mm/min)
で溶接ワイヤ27を溶接トーチ24に供給する。その結
果、溶接ワイヤと母材間に発生した溶接電流には所望の
ベース電流値が得られる。
【0069】この状態で溶接トーチ24はウィービング
動作によって下端まで進行する。ここで、予め設定され
たウィービング周期に基づいて溶接開始点からウィービ
ング下端までの所要時間を算出する。そして、ステップ
#12において図示しないシーケンスタイマの計測にて
溶接トーチ24の下端到着時間に到達すると、ステップ
#13にて台車トーチ駆動部39はウィービング動作を
停止し、溶接ワイヤ供給駆動部40は予め設定したピー
ク時間ワイヤ供給速度(mm/min)で溶接ワイヤ27を溶接
トーチ24に供給する。その結果、溶接ワイヤと母材間
に発生した溶接電流は、所望のピーク電流値が得られ
る。
【0070】ここで、台車トーチ駆動部39は予め設定
したピーク時間だけウィービング動作の停止を続け、ス
テップ#14でピーク時間が終了すると、ステップ#1
5で、台車トーチ駆動部39は溶接トーチ24を上向き
にウィービング動作させて上端まで進行させる。
【0071】このとき、溶接ワイヤ駆動部40は予め設
定したベース時間ワイヤ供給速度(mm/min)で溶接ワイヤ
27を溶接トーチ24に供給する。その結果、溶接ワイ
ヤと母材間に発生した溶接電流には、所望のベース電流
値が得られる。ここで、溶接トーチ24は、予め設定さ
れたベース時間をもってウィービング上端位置に到達す
る。
【0072】さらに、ステップ#16で溶接トーチ24
がウィービング上端位置に到達すると、ステップ#17
で再び台車トーチ駆動部39はウィービング動作を停止
し、溶接ワイヤ供給駆動部40は予め設定したピーク時
間だけワイヤ供給速度(mm/min)で溶接ワイヤ27を溶接
トーチ24に供給する。その結果、溶接ワイヤと母材間
に発生した溶接電流には所望のピーク電流値が得られ
る。
【0073】ここで、台車トーチ駆動部39は予め設定
したピーク時間だけウィービング動作の停止を続け、ス
テップ#18でピーク時間が終了すると、再びステップ
#10を通してステップ#11に戻り、溶接ワイヤ駆動
部40は予め設定したベース時間ワイヤ供給速度(mm/mi
n)で溶接ワイヤ27を溶接トーチ24に供給する。その
結果、溶接ワイヤと母材間に発生した溶接電流には所望
のベース電流値が得られる。そして、このまま溶接トー
チ24のウィービング動作を下端まで進行させる。
【0074】以上の溶接トーチ24のウィービング動作
を予め設定された溶接距離(mm)と台車走行速度(mm/min)
により算出した溶接時間まで継続する。このように溶接
トーチ24のウィービング動作を実施し、ステップ#1
0の判断により溶接終了時間になると、ステップ#19
にて溶接ワイヤ供給駆動部40は予め設定したクレータ
時間の溶接ワイヤ供給速度(mm/min)で溶接ワイヤ27を
溶接トーチ24に供給する。その結果、溶接ワイヤと母
材間に発生した溶接電流には所望のクレータ電流値が得
られる。
【0075】これと同時に中央処理装置部32は、台車
走行駆動部38を停止させ、さらにステップ#20にて
予め設定したクレータ時間の終了を判断した後、ステッ
プ#21において溶接ワイヤ供給駆動部40を停止さ
せ、ステップ#22にて溶接電源30を停止し、全シー
ケンスを終了する。
【0076】ここで、溶接構造物20が例えば板厚18
mmのステンレス鋼製の場合について、初期に設定する溶
接パラメータの例を図9に示す。図9において、E条件
からG条件は本実施の形態の溶接条件例である。比較の
ために、市販のGMA溶接装置を用いた従来法により、
図9と同様に台車走行速度を350mm/min から500mm/min
の範囲として試験溶接をした。
【0077】このようにして得られた溶接試験片の放射
線透過試験を実施したところ、本実施形態で得られた試
験片はE条件からG条件のいずれの溶接条件においても
JIS2級(2類)以上の結果を呈し、一方、従来法に
よる試験片では、JIS4級以下(4類以下)であっ
た。以下にその理由を説明する。
【0078】本実施の形態では、ステンレス鋼の横向き
姿勢におけるGMA溶接において、ウィービング動作の
両端停止期間に溶接ワイヤの送給速度を相対的に高く設
定することにより、高い溶接電流値が与えられる。すな
わち、GTA溶接の低周波パルスアーク溶接法における
ピーク電流期間とウィービングの両端停止期間を一致さ
せている。これによって、開先26の壁面を確実に溶融
させ、融合不良を防止する。
【0079】さらに、ウィービング動作期間には溶接ワ
イヤの送給速度を相対的に低く設定し、溶接電流値を低
くして溶接金属の生成を抑制する。その結果として、溶
接トーチの動作に伴って動き回る溶接金属が少なくで
き、たれ落ちや不整ビート(外観などが整わない溶接ビ
ート)の形成が防がれる。
【0080】以上のように第1の実施の形態と第2の実
施の形態によれば、横向き姿勢や全姿勢におけるGMA
溶接にて、溶接金属の湯流れによるたれ落ちや不整ビー
トの形成を抑制し、高品質な溶接部を得つつ、GMA溶
接独自の高能率な溶接施工を遂行することができる。
【0081】なお、その適用にあたっては、前述の材質
による選定に固定されるものではなく、被溶接部材の板
厚や開先形状によって、第1の実施形態をステンレス鋼
や合金鋼等に適用する場合や第2の実施形態をアルミ合
金や軟鋼等に適用する場合もあることは言うまでもな
い。
【0082】次に本発明の第3の実施の形態について、
図を用いて説明する。本実施の形態は特に溶接構造の圧
力容器の事例である。設計の要求から、溶接継手に対し
て部材の板厚相当の強度が要求される場合、図10に示
すごとく部材42の板厚全体を溶接する全厚溶接43が
実施される。
【0083】ここで、設計要求から部材42の板厚が厚
く、全厚溶接が1層で終了できない場合の第1層すなわ
ち初層溶接44、あるいは1層で溶接される程度の板厚
の場合の当該溶接は、図11のように部材裏側まで貫通
して実施する必要がある。
【0084】しかし、実際にはMGA溶接を適用した場
合、図12のごとく溶接エネルギーが不足の場合は不完
全な溶接部を形成し、図13のごとく溶接エネルギーが
過多な場合は、貫通はしたもののとけ落ち46を伴う溶
接部47を形成し、図11に示したような良好な初層溶
接を得ることは極めて難しい。
【0085】そこで、横向き姿勢や全姿勢で全厚溶接が
必要な場合は、初層のみ能率は劣るが入熱制御の容易な
GTA溶接を採用し、その後、GMA溶接にて全厚溶接
を得ていた。しかし、複数の溶接法を採用することで煩
雑さを増し、GTA溶接自体の能率も低いことから、全
厚溶接をGMA溶接のみで実施することは強く求められ
ていた。
【0086】本実施の形態はこの要求に応じて実施され
たものであり、GMA溶接で横向き姿勢や全姿勢におい
て良好な初層を得ることができるように配設されてい
る。図14は第3の実施の形態の動作シーケンスを示す
ものである。前述のように、ここでは初層の溶接が行わ
れる。
【0087】まず、制御装置の起動ボタンを押すと台車
が走行して溶接開始位置を検出し、台車トーチ駆動部3
9が溶接継手21上に溶接トーチ24を位置決めする。
その後、台車トーチは前述の実施の形態の如くウィービ
ング、すなわち横向き姿勢における上下運動は行なわず
台車のみ進行する。
【0088】このとき、予め設定されたベース時間ワイ
ヤ供給速度(mm/min)で溶接ワイヤ27を溶接トーチ24
に供給し、その結果、溶接ワイヤと母材間に発生する溶
接電流は所望のベース電流値に達する。同様に次の予め
設定されたピーク時間になると、溶接ワイヤ駆動部40
が予め設定したピーク時間ワイヤ供給速度(mm/min)で溶
接ワイヤ27を溶接トーチ24に供給し、その結果、溶
接ワイヤと母材間に発生する溶接電流は、所望のピーク
電流値に達する。
【0089】以上のように、従来はGTA溶接で実施さ
れている低周波パルス溶接が、GMA溶接でも任意のピ
ーク電流、ベース電流、ベース時間で行なえるので、G
MA溶接の高能率性を確保しつつ図11に示す如く良好
な初層溶接が実施できる。
【0090】図15はH条件からJ条件に本実施の形態
の溶接条件例を示すものである。図15に示したいずれ
の溶接条件で実施した全厚溶接試験片とも、放射線透過
試験結果はJIS2級(2類)以上であった。
【0091】一方、比較のために従来のGMA溶接によ
る試験片では不完全溶け込みなどのためにJIS4級以
下(4類以下)であった。次にその理由を説明する。従
来のGMA溶接により初層溶接を行なった場合、溶接エ
ネルギーの過不足により安定した貫通溶接(溶接用語で
裏波溶接という)が得難いことを示した。
【0092】これに対し、第3の実施の形態では、溶接
ワイヤの供給速度を増減することにより、図15に示す
ように従来はGTA溶接で実施される低周波パルス溶接
をGMA溶接でも実現し、ピーク時間に高いピーク電流
により貫通溶接を確保し、その後ベース時間になると低
いベース電流により溶融池を相対的に冷却し、溶け落ち
を防止する。これによって、溶接部材の材質、板厚、開
先等に関わらず、GMA溶接で貫通溶接(裏波溶接)が
確実に実施される。
【0093】さらに、以上の初層溶接では溶接品質を一
層安定させるために溶接開先を適正な形状に設定するこ
とが効果的である。実験の結果、本実施の形態の横向き
姿勢では、図16に示す開先形状のうち、開先角度θ1
を0°〜40°としθ2を30°〜70°としたとき、
図17に示すように安定した貫通溶接(裏波溶接)が得
られる。
【0094】以上述べた実施の形態では、基本的には直
流を出力するGMA用の溶接電源30に対し、溶接ワイ
ヤ供給駆動部40にて溶接ワイヤ供給速度を高、低繰り
返すことにより、溶接電流を低周波(数Hz以下程度)
に揺動させてパルス電流化を実現できる。
【0095】ところで、近年、溶接電流に数百Hzのパ
ルス脈動を重畳させることにより溶接ワイヤからの溶滴
移行を制御するパルスMAG(あるいはパルスMIG)
溶接電源(参考文献1;溶接学会誌,Vol.67,No4,June,
p316-320,1998)が広く市販されている。前述した第1乃
至第3の実施の形態では、これらの溶接電源においても
適用可能であり、その場合は安定した溶滴移行制御のた
めの中周波パルスに、貫通溶接(裏波溶接)ために溶融
池の過熱冷却をする低周波パルスが重畳されたパルス溶
接となり、両者の効果が得られる。
【0096】一方、中周波パルスを発生するパルス溶接
電源の中には、図18に示す如く高い波高値の中周波パ
ルス48と低い波高値の中周波パルス49の異なる2種
類の中周波パルスを交互に繰り返し発生させ、本実施の
形態のように溶接ワイヤ送給の増減ではなく、溶接電源
の機能のみによって中周波パルスに低周波パルスを重畳
させるものがある。(参考文献2;溶接技術,1998年4
月号,p72-80) 。
【0097】しかし、このような溶接方法では溶接電源
によって発生できる中周波パルスの波形(特に波高値)
に制約があり、低周波パルスを自由に設定することがで
きない。
【0098】従って、本実施の形態のように溶接材料の
材質や板厚、開先形状に合わせて低周波パルス波形を任
意に設定することができず、横向きや全姿勢での溶接を
高能率で、高品質に実施できるという効果は得られな
い。
【0099】次に本発明の第4の実施の形態について図
面を参照して説明する。図19はガス絶縁開閉装置の一
部を構成する電力設備用大型圧力容器に適用した自動溶
接装置の構成図である。
【0100】この電力設備用大型容器(以下、容器と省
略する)は、主管50に対して分岐した従管51を設け
たものである。主管50は合金鋼からなるもので内径が
800mmに形成されている。従管51は主管50と同様
に合金鋼からなり、内径が600mmに形成され、組成加
工によって押し出されて成形されている。この従管51
に溶接される短管52とフランジ53とは、すでに加工
程において自動溶接されている。
【0101】この容器は、他の機器とフランジ53でボ
ルト締結され、開閉装置をなすものである。この容器内
には、例えば絶縁のためのSF6ガスが一定圧力以下に
封入されて使用される。従って、この容器は気密性を保
つ必要がある。そして、溶接継手を構成する開先54
は、設計基準に基づき全厚溶接が求められる。
【0102】この自動溶接装置には多関節型の溶接ロボ
ット55が備えられている。この溶接ロボット55の先
端部には第1の実施の形態と同様の溶接トーチ24が取
り付けられている。この溶接ロボット55はロボット台
車56に搭載され、台車走行レール57上を走行するよ
うになっている。
【0103】また、溶接ワイヤ供給装置29は軽量化の
ため,溶接ワイヤリール58を別設置しているが、その
性能は第1の実施の形態の溶接ワイヤ供給装置29と変
わりはない。
【0104】なお、図中30は溶接電源で、第1の実施
の形態で述べたのと同様に溶接トーチ24、溶接ワイヤ
供給装置29、溶接ワイヤリール58及びロボットコン
トローラ59にそれぞれ接続されている。
【0105】一方、ロボットコントローラ59はロボッ
ト台車56の走行、溶接トーチの動作、溶接ワイヤ供給
装置29の動作を制御する機能を有するもので、図20
に示すような構成となっている。
【0106】図20において、中央処理装置部(CP
U)60にはバス61を介して設定及び表示部62と記
憶部63とが接続されると共に、バス64を介して入出
力ポート(I/Oポート)65が接続されている。設定
及び表示部62は溶接の動作シーケンス設定及び表示を
行なう機能を有するもので、記憶部63には溶接の動作
シーケンスが記憶されている。
【0107】上記入出力ポート65には溶接電源30が
接続されると共に、溶接ロボット駆動部66、ロボット
台車駆動部67、溶接ワイヤ供給駆動部68および位置
検出部69が接続されている。
【0108】このうち接続ロボット駆動部66は溶接ロ
ボット55の動作を制御する機能を有し、ロボット台車
駆動部67はロボット台車56を駆動して走行レール5
7上に走行させる機能を有し、溶接ワイヤ供給駆動部6
8は溶接ワイヤ供給装置29の動作を制御する機能を有
し、位置検出部69は、溶接の開始位置を検出する機能
を有している。
【0109】上記中央処理装置部60は記憶部63への
情報の書き込みと情報の読み出しを制御し、且つこの記
憶部63に記憶された図4に示す動作シーケンスのフロ
ーチャートに従って溶接ロボット駆動部66、ロボット
台車駆動部67、溶接ワイヤ供給駆動部68および位置
検出部69の動作を制御する機能を有している。
【0110】また、この中央処理装置部60は溶接ロボ
ット駆動部66に対して動作指令を発し、溶接トーチ2
4を容器における開先54の方向に対して垂直方向に揺
動させると共に、溶接トーチ24の揺動の上向き動作期
間に溶接トーチ24に供給する溶接電流のピーク時間を
一致させる機能を有している。
【0111】さらに、中央処理装置部60は溶接ワイヤ
供給駆動部68に対して指令を発し、溶接トーチ24の
揺動の上向き動作期間に溶接ワイヤ27のワイヤ供給速
度を高く設定する機能を有している。
【0112】次に、上述のごとく構成された装置の作用
について、図4に示す動作シーケンスのフローチャート
及び図5に示す動作シーケンスのタイミングチャートに
従って簡単に説明する。
【0113】まず、ロボットコントローラ59の設定及
び表示部62はステップ#1において、第1の実施の形
態と同様に動作シーケンスに必要な溶接パラメータを記
憶部63に記憶する。この後、設定及び記憶部34の起
動ボタンがオンされると、ステップ#3にて溶接ロボッ
ト駆動部66及びロボット台車駆動部67が起動し、ロ
ボット台車56は走行レール57上を走行する。
【0114】このロボット台車56の走行により、位置
検出部69がステップ#4において溶接開始点検出用ド
グを検出すると、ステップ#5にてロボット台車駆動部
67は走行動作を停止し、溶接ロボット駆動部66も溶
接トーチ24の駆動を停止する。
【0115】次にステップ#6にて溶接電源30を起動
すると、ステップ#7にて所定のゆっくりとした速度で
溶接ワイヤ27の供給を開始し、給電されたワイヤ先端
を溶接構造物に瞬時短絡させる。そして、ステップ#8
にて中央処理装置部60は溶接ワイヤ先端から溶接アー
クが発生していることを検出した後、ステップ#9に移
って溶接トーチ24に下向きウィービング動作を開始さ
せる。
【0116】このとき、溶接ワイヤ供給駆動部68はス
テップ#10からステップ#11に移り、予め設定した
ベース時間だけ溶接ワイヤ27をワイヤ供給速度(mm/mi
n)で溶接トーチ24に供給する。その結果、溶接ワイヤ
と母材間に発生した溶接電流は、所望のベース電流値に
到達する。
【0117】この状態で溶接トーチ24はウィービング
動作にて下端まで進行する。ここで予め設定されたウィ
ービング周期に基づいて溶接開始点からウィービング下
端までの所要時間を算出する。そして、ステップ#12
にて溶接トーチ24の下端到達を確認すると、溶接ロボ
ット駆動部66は溶接トーチ24を上向きのウィービン
グ動作に変え、ウィービング上端まで進行させる。
【0118】このとき、溶接ワイヤ供給駆動部68は、
予め設定したピーク時間ワイヤ供給速度(mm/min)で溶接
ワイヤ27を溶接トーチ24に供給する。その結果、溶
接ワイヤと母材間に発生した溶接電流は、所望のピーク
電流値に到達する。
【0119】このように溶接トーチ24がウィービング
上端位置に到達すると、再びステップ#11に戻り、溶
接トーチ24のウィービング動作を下端まで進行させ
る。このように溶接トーチ24のウィービング動作を実
施してフランジ付の短管52と従管51が開先54にて
溶接される。
【0120】このように溶接トーチ24のウィービング
動作を実施し、ステップ#10の判断により溶接終了時
間になると、ステップ#15に移って、溶接ワイヤ供給
駆動部68は予め設定したクレータ時間だけ溶接ワイヤ
27を溶接ワイヤ供給速度(mm/min)で溶接トーチ24に
供給する。その結果、溶接ワイヤと母材間に発生した溶
接電流として所望のクレータ電流値が得られる。
【0121】これと同時に、中央処理装置部60は溶接
ロボット駆動部66を停止させ、さらにステップ#16
にて予め設定したクレータ時間の終了を判断した後、ス
テップ#17において溶接ワイヤ供給駆動部68を停止
させ、ステップ#18にて溶接電源30を停止し、全シ
ーケンスを終了する。
【0122】このように第4の実施の形態であれば、前
述した第1乃至第3の実施の形態と同様に、高能率な溶
接法であるGMA溶接法を採用しながら溶接構造の圧力
容器などの横向き姿勢および全姿勢での溶接を、高品質
に実施することができる。
【0123】さらに、高能率で高品質な溶接を電力送配
電設備用ガス遮断器の容器に適用することによって、高
品質な電力送配電設備を高能率に建造できる。ここで、
本実施の形態の溶接法と、従来の溶接法との能率を比較
すると、従来は品質確保の面からGTA溶接法を適用せ
ざるを得なかったため、溶接速度は50mm/minから200mm/
min 程度であったが、本実施の形態では図6、図9及び
図15に示すごとく、溶接速度は350mm/min から500mm/
min と大幅に高能率化されている。
【0124】また、本実施の形態であれば、溶接構造物
であるガス絶縁開閉装置の容器の溶接継手は、従管51
のサイズによって大小さまざまであるが、上記溶接ロボ
ット55はこれら従管51のサイズに容易に対応でき
る。
【0125】なお、従管51のサイズが溶接ロボット5
5の稼働範囲を超えて大きい場合、溶接ロボット55は
開先54の全溶接線をカバーできないが、その場合には
ロボット台車56により走行レール57上の所定の位置
まで溶接ロボットを移動させて上記同様な溶接を行なえ
ばよい。
【0126】
【発明の効果】以上詳細に述べたように本発明によれ
ば、横向き姿勢や全姿勢での溶接構造物への溶接を高能
率で、且つ高品質にて実施できる自動溶接方法及びその
装置並びにこの溶接で製作された溶接構造物を提供する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る自動溶接装置の第1の実施の形態
を示す構成図。
【図2】同実施の形態における制御装置のブロック構成
図。
【図3】GMA溶接の特性を説明する図。
【図4】同実施の形態における動作シーケンスのフロー
チャート。
【図5】同実施の形態における動作シーケンスのタイミ
ングチャート。
【図6】アルミ合金製の溶接構造物について、初期に設
定する溶接パラメータの例を示す図。
【図7】本発明に係る自動溶接装置の第2の実施の形態
における動作シーケンスのフローチャート。
【図8】同実施の形態における動作シーケンスのタイミ
ングチャート。
【図9】ステンレス鋼製の溶接構造物について、初期に
設定する溶接パラメータの例を示す図。
【図10】全厚溶接を示す図。
【図11】良好な初層溶接を示す図。
【図12】良好でない初層溶接(不完全な溶接)を示す
図。
【図13】良好でない初層溶接(とけ落ち)を示す図。
【図14】本発明に係る自動溶接装置の第3の実施の形
態における動作シーケンスのタイミングチャート。
【図15】全厚溶接試験片についての溶接パラメータの
例を示す図。
【図16】本発明に係る自動溶接方法で用いられた溶接
開先の説明図。
【図17】溶接開先の特性を説明する図。
【図18】従来のパルス溶接電源による溶接電流波形の
説明図。
【図19】本発明に係る自動溶接装置をガス絶縁開閉装
置の一部を構成する容器に適用した第4の実施の形態を
示す構成図。
【図20】同実施の形態におけるロボットコントローラ
の構成図。
【図21】従来のパイプおよびフランジからなる溶接構
造物を示す図。
【図22】従来の大型タンクの溶接構造物を示す図。
【図23】溶接構造物を横に倒した場合の溶接継手に対
する溶接トーチの全姿勢の状態を示す図。
【図24】GTA溶接の原理を示す図。
【図25】GMA溶接の原理を示す図。
【符号の説明】
20:溶接構造物 21:溶接継手 22:溶接走行台車 23:走行レール 24:溶接トーチ 25:溶接トーチ駆動部 26:開先 27:溶接ワイヤ 28:コンジットケーブル 29:溶接ワイヤ供給装置 30:溶接電源 31:制御装置 32,60:中央処理装置部(CPU) 34,62:設定・表示部 35,63:記憶部 38:台車走行駆動部 38:台車トーチ駆動部 40,68:溶接ワイヤ供給駆動部 41,69:位置検出部 42:部材 43:全厚溶接 44:初層溶接 45:不完全な溶接部 46:溶け落ち 47:溶け落ちを伴う溶接部 48:高い波高値の中周波パルス 49:低い波高値の中周波パルス 50:主管 51:従管 52:短管 53:フランジ 54:開先 55:溶接ロボット 56:ロボット台車 57:台車走行レール 58:溶接ワイヤリール 59:ロボットコントローラ 66:溶接ロボット駆動部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B23K 9/12 350 B23K 9/12 350D 37/02 301 37/02 301A (72)発明者 本多 啓三 東京都港区芝浦一丁目1番1号 株式会社 東芝本社事務所内 (72)発明者 滝波 航也 神奈川県横浜市鶴見区末広町2丁目4番地 株式会社東芝京浜事業所内 (72)発明者 小野内 善之 神奈川県川崎市川崎区浮島町2番1号 株 式会社東芝浜川崎工場内 (72)発明者 小田原 禎 東京都港区西新橋三丁目7番1号 東芝プ ラント建設株式会社内 Fターム(参考) 4E001 AA03 BB12 CB01 DE04 DF04 EA03 EA09 4E081 AA12 BA08 BA27 BB03 CA09 DA19 DA49 DA62 EA17 EA32 EA51 EA56 4E082 AA03 AA20 BA04 EF26

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶接トーチ内の溶接ワイヤと母材との間
    に溶接アークを発生させて前記母材上に溶融池を形成
    し、且つ溶接アークにより溶接ワイヤを溶融させてその
    溶滴を前記溶融池に移行させながら溶接を実行する自動
    溶接方法において、前記溶接トーチを前記母材の被溶接
    部分の溶接方向に対しほぼ垂直方向に揺動させ、前記溶
    接トーチの揺動の上向き動作期間に一致させて前記溶接
    トーチに供給する溶接ワイヤの供給速度を予め設定され
    た速度に高めることにより、溶接電流をパルス状に出力
    させて溶接することを特徴とする自動溶接方法。
  2. 【請求項2】 溶接トーチ内の溶接ワイヤと母材との間
    に溶接アークを発生させて前記母材上に溶融池を形成
    し、且つ溶接アークにより溶接ワイヤを溶融させてその
    溶滴を前記溶融池に移行させながら溶接を実行する自動
    溶接方法において、前記溶接トーチを前記母材における
    溶接方向に対しほぼ垂直方向に揺動させるとともにその
    揺動の両端で停止させ、この揺動の両端停止期間に一致
    させて前記溶接トーチに供給する溶接ワイヤの供給速度
    を予め設定された速度に高めることにより、溶接電流を
    パルス状に出力させて溶接することを特徴とする自動溶
    接方法。
  3. 【請求項3】 溶接トーチ内の溶接ワイヤと母材との間
    に溶接アークを発生させて前記母材上に溶融池を形成
    し、且つ溶接アークにより溶接ワイヤを溶融させてその
    溶滴を前記溶融池に移行させながら溶接を実行する自動
    溶接方法において、前記溶接トーチに供給する溶接ワイ
    ヤの供給速度を周期的に増減させることにより、溶接電
    流をパルス状に出力させて溶接することを特徴とする自
    動溶接方法。
  4. 【請求項4】 開先の下側角度を0°〜40°、上側角
    度を30°〜70°としたことを特徴とする請求項3記
    載の自動溶接方法。
  5. 【請求項5】 溶接トーチ内の溶接ワイヤと母材との間
    に溶接アークを発生させて前記母材上に溶融池を形成
    し、且つ溶接アークにより溶接ワイヤを溶融させてその
    溶滴を前記溶融池に移行させながら溶接を実行する自動
    溶接装置において、前記溶接トーチを前記母材における
    被溶接部分の溶接方向に走行させる溶接走行手段と、前
    記溶接トーチを前記被溶接部分の溶接方向に対してほぼ
    垂直に揺動させるトーチ揺動手段と、前記溶接トーチに
    前記溶接ワイヤを供給する溶接ワイヤ供給手段と、前記
    溶接トーチの動作期間に一致させて前記溶接ワイヤが予
    め設定されたワイヤ供給速度となるように前記溶接ワイ
    ヤ供給手段を周期的に制御する溶接ワイヤ送給制御手段
    とを具備したことを特徴とする自動溶接装置。
  6. 【請求項6】 溶接トーチ内の溶接ワイヤと母材との間
    に溶接アークを発生させて前記母材上に溶融池を形成
    し、且つ溶接アークにより溶接ワイヤを溶融させてその
    溶滴を前記溶融池に移行させながら溶接を実行する自動
    溶接装置において、前記溶接トーチを前記母材における
    被溶接部分の溶接方向に走行させる溶接走行手段と、前
    記溶接トーチを前記被溶接部分の溶接方向に対してほぼ
    垂直に揺動させるトーチ動揺手段と、前記溶接トーチに
    前記溶接ワイヤを供給する溶接ワイヤ供給手段と、前記
    溶接トーチの揺動の上向き動作期間に一致させて前記溶
    接ワイヤが予め設定されたワイヤ供給速度となるように
    前記ワイヤ供給手段を制御する溶接ワイヤ送給制御手段
    とを具備したことを特徴とする自動溶接装置。
  7. 【請求項7】 溶接トーチ内の溶接ワイヤと母材との間
    に溶接アークを発生させて前記母材上に溶融池を形成
    し、かつ溶接アークにより溶接ワイヤを溶融させてその
    溶滴を前記溶融池に移行させながら溶接を実行する自動
    溶接装置において、前記溶接トーチを前記母材における
    被溶接部分の溶接方向に走行させる溶接走行手段と、前
    記溶接トーチを前記母材の被溶接部分における溶接方向
    に対してほぼ垂直方向に揺動させるトーチ揺動手段と、
    この前記溶接トーチがその揺動両端で停止するように前
    記トーチ揺動手段を制御するとともに、前記溶接トーチ
    の揺動の両端停止期間に一致させて前記溶接ワイヤが予
    め設定されたワイヤ供給速度となるように前記ワイヤ供
    給手段を制御する溶接ワイヤ送給制御手段とを具備した
    ことを特徴とする自動溶接装置。
  8. 【請求項8】 溶接トーチ内の溶接ワイヤと母材との間
    に溶接アークを発生させて前記母材上に溶融池を形成
    し、且つ溶接アークにより溶接ワイヤを溶融させてその
    溶滴を前記溶融池に移行させながら溶接を実行する自動
    溶接装置において、前記溶接トーチを前記母材における
    被溶接部分の溶接方向に走行させる溶接走行手段と、前
    記溶接トーチに溶接ワイヤを供給する溶接ワイヤ供給手
    段と、溶接走行の動作期間に一致させて前記溶接ワイヤ
    が予め設定されたワイヤ供給速度となるように前記ワイ
    ヤ供給手段を制御する溶接ワイヤ送給制御手段とを具備
    したことを特徴とする自動溶接装置。
  9. 【請求項9】 溶接電源としてパルス溶接電源を用いた
    ことを特徴とする請求項5乃至請求項8のいずれか一つ
    に記載された自動溶接装置。
  10. 【請求項10】 溶接トーチを母材の被溶接部分の溶接
    方向に対しほぼ垂直方向に揺動させ、この溶接トーチの
    揺動の上向き動作期間に一致させて溶接トーチに供給す
    る溶接ワイヤの供給速度を予め設定された速度に高める
    ことにより、溶接電流をパルス状に出力させ、溶接トー
    チと母材との間に溶接アークを発生させて母材上に溶融
    池を形成すると共に溶接アークにより溶接ワイヤを溶融
    させてその溶滴を溶融池に移行させることを繰り返しな
    がら母材を溶接して製作されたことを特徴とする溶接構
    造物。
  11. 【請求項11】 溶接トーチを母材における溶接方向に
    対しほぼ垂直方向に揺動させるとともにその揺動の両端
    で停止させ、この揺動の両端停止期間に一致させて溶接
    トーチに供給する溶接ワイヤの供給速度を予め設定され
    た速度に高めることにより、溶接電流をパルス状に出力
    させ、溶接トーチと母材との間に溶接アークを発生させ
    て母材上に溶融池を形成すると共に溶接アークにより溶
    接ワイヤを溶融させてその溶滴を溶融池に移行させるこ
    とを繰り返しながら母材を溶接して製作されたことを特
    徴とする溶接構造物。
  12. 【請求項12】 溶接トーチに供給する溶接ワイヤの供
    給速度を周期的に増減させることにより、溶接電流をパ
    ルス状に出力させ、溶接トーチと母材との間に溶接アー
    クを発生させて母材上に溶融池を形成すると共に溶接ア
    ークにより溶接ワイヤを溶融させてその溶滴を溶融池に
    移行させることを繰り返しながら母材を溶接して製作さ
    れたことを特徴とする溶接構造物。
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