JP2000096260A - 保護皮膜の形成方法および保護皮膜 - Google Patents
保護皮膜の形成方法および保護皮膜Info
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Abstract
で、かつ、加工後容易に短時間で除去可能な保護皮膜の
形成方法および保護皮膜を提供する。 【解決手段】 ダイヤモンド面上にメタライズ層、また
はメタライズ層とその上層にろう付け層を設け、さらに
その上層にアルゴン以外の気体を含むアルゴン中でBN
をターゲットとしてRFスパッタ法を用いて成膜する。
Description
るヒートシンク、またはセンサ、ICなどに形成される
メタライズ層の保護皮膜を形成させる方法、および保護
皮膜に関する。より詳細には、レーザー加工時にメタラ
イズ層がアブレーションで損傷することを防止すること
が可能で、かつレーザー加工後に容易に除去することが
可能な保護皮膜の形成方法およびその形成方法を用いて
形成する保護皮膜に関する。
断などの手段としては、レーザーなどの熱的加工手段が
用いられることが多い。しかし、例えば半導体レーザー
用のヒートシンクとしてダイヤモンドが用いられる場
合、ダイヤモンドの表面にはメタライズ層が設けらてお
り、レーザーを照射されるとアブレーションにより、メ
タライズ層が損傷する。これを防止するため、ダイヤモ
ンドの表面にメタライズ層を設け、さらにその上層に保
護皮膜を形成させることにより、レーザーによるアブレ
ーションを防止することが行われている。
O2、BN、C(炭素)、ITO(インジウム錫酸化
物)のいずれかであることが好ましく、レーザー加工後
は水、酸またはアルカリ水溶液、もしくは有機溶媒の中
に浸漬することにより、容易に除去することができる。
特に、保護皮膜がBNの場合は、水中に浸漬するだけで
比較的短時間で除去することができる。BN皮膜は、メ
タライズ層が形成されたダイヤモンド上にRFスパッタ
法を用いて形成されるが、成膜条件によっては除去不能
であったり、除去に長大な時間を要する皮膜となること
が判明した。
する技術課題は、レーザー加工時のアブレーションが防
止可能で、かつ、加工後容易に短時間で除去可能な保護
皮膜の形成方法および保護皮膜を提供することにある。
面上にメタライズ層を設け、さらにその上層にアルゴン
以外の気体を含むアルゴン中でBNをターゲットとして
RFスパッタ法を用いて成膜することを特徴とする保護
皮膜の形成方法、またはダイヤモンド面上にメタライズ
層を設け、その上層にろう付け層を設け、さらにその上
層にアルゴン以外の気体を含むアルゴン中でBNをター
ゲットとしてRFスパッタ法を用いて成膜することを特
徴とする保護皮膜の形成方法であり、アルゴン中に含ま
れるアルゴン以外の気体の量が、0.1〜0.5体積%で
あり、アルゴン以外の気体が酸素または水素であること
を特徴とする。さらに本発明は、ダイヤモンド面上に設
けられたメタライズ層、またはメタライズ層の上層に設
けられたろう付け層のさらに上層に、上記の保護皮膜の
形成方法を用いて成膜してなるBNを主体とする保護皮
膜である。
タライズ層を形成させた後、その上層に酸素や水素な
ど、アルゴン以外の気体を含有するアルゴン中でBNを
ターゲットとしてスパッタすることにより、レーザー加
工時のアブレーションを防止することが可能で、かつ、
加工後に水中に浸漬するだけで容易に短時間で除去する
ことが可能な保護皮膜が得られることを見出した。
発明の保護膜を被覆するダイヤモンドについて説明す
る。本発明においては、ダイヤモンド素材は合成ダイヤ
モンド、高圧合成ダイヤモンド、あるいは天然ダイヤモ
ンドのいずれでも差し支えなく、また単結晶体あるいは
多結晶体のいずれの構造を有していても差し支えない。
しかし、生産性の観点から、マイクロ波プラズマCVD
法などの気相合成法を用いて製造されたダイヤモンドを
用いることが好ましい。
次いで水素プラズマクリーニング、または酸素プラズマ
クリーニングを施した後、DCマグネトロンスパッタ
法、またはRFマグネトロンスパッタ法を用いてメタラ
イズ層を形成させる。W、Ti、Mo、Ni、Cr、P
t、Pd、Au、Ag、Cuの1種以上で1層以上の単
体膜、合金膜、または複合膜であることが好ましく、ダ
イヤモンドと化学的に反応して接着力を向上させ、耐熱
性を有し、かつ、ろう付けが可能であることが必要であ
る。
つ、ろう付けが可能であることが好ましいが、高温では
破壊するような半導体レーザーチップ、またはセンサ、
ICなどを低温でろう付けを可能とするために、上記の
メタライズ層を形成させた上下面のどちらかの1面に、
比較的低温でろう付けが可能な接着層を設けることが好
ましい。このようなろう付け層としては、例えばRFマ
グネトロンスパッタ法やDCマグネトロンスパッタ法を
用いて形成されるAu−Sn合金層、あるいは湿式めっ
き法、またはRFスパッタ法もしくはDCスパッタ法の
いずれかによる半田層であることが好ましい。
イズ層およびろう付け層を形成させた後、保護皮膜を形
成させる。保護皮膜はYAGレーザー、ガスレーザー、
エキシマレーザーなどのレーザーで切断される際の加熱
に耐える十分な耐熱性を有し、かつ切断後に上記のメタ
ライズ層やろう付け層を劣化させることなく容易に剥離
可能な物質からなるものでなくてはならない。これらの
要求を満足させる物質としては、炭素、炭化物、酸化
物、窒化物などがあるが、中でも ZnO、Ta2O5、
SiO2、ITO(インジウム錫酸化物)、BN、炭素
が好ましい。これらの保護皮膜はアルゴン雰囲気中にお
けるRFマグネトロンスパッタ法により、前記のメタラ
イズ層、またはろう付け層の上に形成される。その中で
もBNによる保護皮膜は、水中に浸漬するだけで比較的
短時間で除去することが可能であり特に好ましい。
よる保護皮膜は、水中浸漬による除去に要する時間が成
膜条件によって異なることに気付いた。すなわち、RF
マグネトロンスパッタ時のアルゴン雰囲気中に含まれる
アルゴン以外の気体の含有量が多いほど、得られた保護
皮膜を水中に浸漬した際に除去される時間が短い。この
原因は良くは分からないが、BNをターゲットとしてR
Fマグネトロンスパッタする際に、アルゴン雰囲気中に
アルゴン以外の気体が存在していると、気体原子の殆ど
がBNからなる保護皮膜中に取り込まれる。このとき、
アルゴン雰囲気中のアルゴン以外の気体の量が多いほど
保護皮膜中に取り込まれる気体原子の量も多くなり、保
護皮膜中に空孔が増加して皮膜の連続性が減少するため
に、水に浸漬した際に水が空孔に浸透し、さらに保護皮
膜とメタライズ層の界面、または保護皮膜とろう付け層
の界面に水が浸透するようになり、保護皮膜が分解剥離
しやすくなるためと考えられる。
としては、酸素、水素、窒素、二酸化炭素、酸化窒素、
塩素などの不活性気体以外の気体のいずれでもよいが、
取扱の容易さから、酸素、水素、窒素であることが好ま
しく、また、アルゴン中に含まれる量は、0.1〜0.5
体積%であることが好ましい。アルゴン以外の気体の量
が 0.1体積%未満の場合は得られるBN保護皮膜は水
中に浸漬しても容易に除去できない。一方アルゴン以外
の気体の量が 0.5体積%を越える場合は得られるBN
保護皮膜の強度が低下し、レーザーで切断する際にメタ
ライズ層から剥離するようになる。また保護皮膜の厚さ
は0.8〜1.5μmであることが好ましい。 0.8μm
未満の場合はレーザーによるアブレーションを完全に防
止することができない。一方 1.5μmを越える場合は
皮膜のメタライズ層やろう付け層に対する接着強度が低
下し、皮膜形成後またはレーザーで切断する際に剥離す
るようになる。
タライズ層とろう付け層、およびBNを主体とする保護
皮膜が形成されたダイヤモンドを、レーザーを用いて所
定の寸法に切断する。次いで水中に浸漬して保護皮膜を
除去する。
に具体的に説明する。 [ダイヤモンドの作成]マイクロ波CVD法を用いて、厚
さ 0.35mm、縦25mm、横25mmのダイヤモン
ドを作成した。このダイヤモンドの上下面を研磨し、
0.25mmの厚さとした。
ンドを水素プラズマでクリーニングした後、この上下面
にDCマグネトロンスパッタ法を用いて、Ti、Pt、
Auの順に各層を形成させた。各層の厚さはTi:10
0nm、Pt:100nm、Au:500nmとした。
ズ層が形成されたダイヤモンドの一部には、メタライズ
層のさらに上層にろう付け層を形成させた。すなわち、
メタライズ層が形成されたダイヤモンドの片面に、DC
マグネトロンスパッタ法を用いてAu−Sn合金層(A
u/Sn=80重量%/20重量%)を 2.8μmの厚
さで形成させた。
イズ層、およびメタライズ層とろう付け層が形成された
ダイヤモンドの両面に、RFマグネトロンスパッタ法を
用いて表1に示す条件でBNを主体とする保護皮膜を形
成させた。得られた保護皮膜の状態を表1に示す。
形成されたダイヤモンドを、Nd−YAGレーザーを用
い、下記の条件で分割切断した。 平均出力 : 10W Qスイッチ周波数: 5kHz 加工速度 : 15mm/sec スキャン回数 : 20回 切断後の保護皮膜の状態を表1に示す。
断されたダイヤモンドを水中に浸漬し、ダイヤモンド上
に残存している保護皮膜を除去した。保護皮膜の除去に
要した時間を表1に示す。
ズ層、またはメタライズ層とその上層にろう付け層を設
け、さらにその上層にアルゴン以外の気体を含むアルゴ
ン中でBNをターゲットとしてRFスパッタ法を用いて
成膜する保護皮膜の形成方法、およびその形成方法を用
いて得られた保護皮膜であり、本発明の方法を用いるこ
とにより、レーザー加工時のアブレーションを防止する
ことが可能で、かつ、加工後に水中に浸漬するだけで容
易に短時間で除去することが可能な保護皮膜が得られ
る。
Claims (6)
- 【請求項1】 ダイヤモンド面上にメタライズ層を設
け、さらにその上層にアルゴン以外の気体を含むアルゴ
ン中でBNをターゲットとしてRFスパッタ法を用いて
成膜することを特徴とする保護皮膜の形成方法。 - 【請求項2】 ダイヤモンド面上にメタライズ層を設
け、その上層にろう付け層を設け、さらにその上層にア
ルゴン以外の気体を含むアルゴン中でBNをターゲット
としてRFスパッタ法を用いて成膜することを特徴とす
る保護皮膜の形成方法。 - 【請求項3】 アルゴン中に含まれるアルゴン以外の
気体の量が、0.1〜0.5体積%であることを特徴とす
る請求項1または2に記載の保護皮膜の形成方法。 - 【請求項4】 前記アルゴン以外の気体が酸素である
ことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の保
護皮膜の形成方法。 - 【請求項5】 前記アルゴン以外の気体が水素である
ことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の保
護皮膜の形成方法。 - 【請求項6】 ダイヤモンド面上に設けられたメタラ
イズ層、またはメタライズ層の上層に設けられたろう付
け層のさらに上層に、請求項1〜3のいずれかに記載の
保護皮膜の形成方法を用いて成膜してなるBNを主体と
する保護皮膜。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28205298A JP3900708B2 (ja) | 1998-09-18 | 1998-09-18 | 保護皮膜の形成方法および保護皮膜 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP28205298A JP3900708B2 (ja) | 1998-09-18 | 1998-09-18 | 保護皮膜の形成方法および保護皮膜 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JP2000096260A true JP2000096260A (ja) | 2000-04-04 |
JP3900708B2 JP3900708B2 (ja) | 2007-04-04 |
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JP28205298A Expired - Fee Related JP3900708B2 (ja) | 1998-09-18 | 1998-09-18 | 保護皮膜の形成方法および保護皮膜 |
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Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3900708B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN108315711A (zh) * | 2018-02-26 | 2018-07-24 | 南京航空航天大学 | 一种提高掺硼金刚石电极膜基结合性能的纳秒激光基体预处理方法 |
-
1998
- 1998-09-18 JP JP28205298A patent/JP3900708B2/ja not_active Expired - Fee Related
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CN108315711A (zh) * | 2018-02-26 | 2018-07-24 | 南京航空航天大学 | 一种提高掺硼金刚石电极膜基结合性能的纳秒激光基体预处理方法 |
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JP3900708B2 (ja) | 2007-04-04 |
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