JP2000091989A - 光パルスのための分散補償方法および伝送装置 - Google Patents

光パルスのための分散補償方法および伝送装置

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JP2000091989A
JP2000091989A JP10261299A JP26129998A JP2000091989A JP 2000091989 A JP2000091989 A JP 2000091989A JP 10261299 A JP10261299 A JP 10261299A JP 26129998 A JP26129998 A JP 26129998A JP 2000091989 A JP2000091989 A JP 2000091989A
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dispersion
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ペルシ マーク
Yasuhiro Matsui
康浩 松井
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GIJUTSU KENKYU KUMIAI FUEMUTOBYOU TECHNOLOGY KENKYU KIKO
Oki Electric Industry Co Ltd
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GIJUTSU KENKYU KUMIAI FUEMUTOBYOU TECHNOLOGY KENKYU KIKO
Oki Electric Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 3次分散を効果的に補償し得る方法を提供す
る。 【解決手段】 光パルス12aの時間軸を拡張し、3次
分散の補償のための正弦波信号波形の一部を使用して、
拡張パルス12bに位相変調を施した後、拡張パルス1
2bの時間軸を元に戻す。これにより、3次分散が補償
された光パルス12aが復元される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光パルスの伝送中
での3次分散による光パルスの波形の歪みを補償する分
散補償方法およびこの3次分散による光パルスの波形の
歪みを低減できる光パルスのための伝送装置に関する。
【0002】
【従来の技術】光パルスの伝送路としては、一般的に光
ファイバが使用されている。光パルスがこのような伝送
路を伝わるとき、光ファイバに限らず、この伝送路から
分散を受ける。この分散による効果は、光伝搬モードの
伝搬常数βを光の角周波数ωの回りにテイラー展開す
ることにより得られる1次分散係数、2次分散係数およ
び3次以上の各高次分散係数に依存する。
【0003】1次分散係数は、光パルスの群速度の逆数
で表されることから、この1次分散係数が光パルスの波
形に歪みを与えることはない。2次分散係数は、群速度
分散係数と称され、伝送中の光パルスの広がりを決める
値である。そのため、2次分散係数は、光パルスの波形
の歪みに大きな影響を及ぼすが、この2次分散について
は、例えば2次分散係数が零となるいわゆるゼロ分散波
長を使用することにより、2次分散による光パルス波形
の歪みを防止する技術が確立されている。
【0004】ところで、光通信におけるデータ伝送容量
の増大に伴い、光パルスの高速化すなわちパルス幅の縮
小化が図られている。このような高速光パルスは、その
パルス幅が狭くなる程、高次である3次の分散係数によ
る分散の影響を強く受けることから、高速パルスを取り
扱う上で、3次分散の影響は無視できない。
【0005】この3次分散を補償するための従来技術と
して、例えば、1996年に発行されたエレクトロン・
レター(Electron.Lett.)、第32巻、第916〜91
8頁、1993年に発行されたIEEE・フォトンテクノロ
ジーレター(Photon. Technol. Lett.)、第5巻、第1
94〜197頁、および1997年に発行されたIEEEジ
ャーナル・量子エレクトロン(J.Quantum.Electro
n.)、第33巻、第1455〜1464頁に示されてい
るように、2本の光ファイバの組み合わせを選択するこ
とにより、2次分散および3次分散の両者を補償する技
術が提案された。
【0006】この従来技術によれば、理論的には、一組
の光ファイバの各2次分散係数および3次分散係数と、
それぞれの長さ寸法とを特定の関係で組み合わせること
により、2次分散および3次分散を低減することはでき
る。しかしながら、各光ファイバの各分散係数が決まる
と、各光ファイバの長さ寸法も一義的に決まる。そのた
め、この光ファイバを伝送路として利用するには、設計
上の自由度は極めて低い。また、実験では、すなわち現
実的には、3次分散を充分に補償することはできなかっ
た。
【0007】また、3次分散を補償する他の従来技術
に、光パルスを各周波数スペクトル成分に空間的に分散
させ、それぞれのスペクトル成分毎に毎に、光伝送路か
ら受ける3次分散を補償すべく、これと逆符号の3次分
散をあたえる方法が提案されている。
【0008】光伝送路から受ける光パルスの3次分散の
補償のために、これと逆符号の3次分散を光パルスに与
える液晶位相変調器(参照、オプティカルレター(Opt.
Lett. )、第23巻、第283〜285頁、1998
年)が提案されている。液晶位相変調器は、空間的に分
散された各周波数スペクトル成分に対応する液晶位相変
調ピクセルを備え、該ピクセル群により、光パルスは光
伝送路から受ける3次分散と逆符号の3次分散を受ける
ことにより、その3次分散が補償される。
【0009】また、レンズ系に一対の格子を用いて光パ
ルスを各周波数スペクトル成分に空間的に分散させかつ
2次分散および3次分散を補償する技術(参照、IEEE
ジャーナル・量子エレクトロン(J.Quantum.Electro
n.)、第28巻、第2742〜2748頁、1997
年)が提案されている。
【0010】さらに、光ファイバに多数のブラック格子
を組み込み、その格子ピッチを順次変化させることによ
り、光パルスを光ファイバ内で空間的に各周波数スペク
トル成分毎に分散させかつ3次分散を補償する技術(参
照、エレクトロン・レター(Electron.Lett.)、第33
巻、第1891〜1893頁、1997年)が提案され
た。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記し
たような3次分散補償のために光パルスを空間的に分散
させる方法では、光パルスを空間的に分散するための機
構が大型化し、あるいは分散された各周波数スペクトル
成分に逆符号の3次分散を与える位相変調機構が大型化
することから、取り扱いは容易ではなく、あるいは格子
の加工精度上、コンパクト化に大きな制限を受ける。そ
のため、設計の自由度が高く、3次分散をより効果的に
補償し得る方法および取り扱いが容易であり、しかも効
果的に3次分散を低減し得る伝送装置が望まれていた。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、基本的には、
3次分散補償のために光パルスを時間的に分散させる、
すなわち光パルスの時間軸を拡張することにより、この
拡張された光パルスの3次分散の補償のために正弦波信
号波形の一部を使用することができることに着目し、光
パルスから一時的に拡張光パルスを生成し、この拡張パ
ルスに正弦波信号波形で位相変調を施すという構想に立
脚する。
【0013】〈構成〉ために、本発明は、光パルスにそ
の伝送中に生じる3次分散を補償する方法であって、光
パルスの時間軸を拡張してパルス幅が拡張された拡張光
パルスを生成し、伝送中に生じる3次分散の補償のため
に、前記拡張光パルスを正弦波で位相変調し、その後、
位相変調を受けた前記拡張光パルスの時間軸を圧縮して
元のパルス幅の光パルスに戻すことを特徴とする。
【0014】また、本発明に係る光パルスのための伝送
装置は、相互に2次分散を補償する第1および第2の光
伝送路であって光パルスの時間軸を拡張してパルス幅が
拡張された拡張光パルスを生成する第1の光伝送路およ
び前記拡張光パルスの時間軸を圧縮して該拡張光パルス
を元のパルス幅の光パルスに戻す第2の光伝送路と、該
両伝送路間に挿入され、該両光伝送路における3次分散
を補償すべく該両伝送路を経る光パルスに正弦波位相変
調を施す位相変調器とを含むことを特徴とする。
【0015】〈作用〉本発明に係る前記分散補償方法で
は、例えば光ファイバのような光伝送路の2次分散を利
用することにより光パルスの時間軸が拡張され、この拡
張光パルスに、正弦波位相変調が施されることにより、
補償すべき3次分散と逆符号の3次分散が与えられ、こ
の位相変調により逆符号の3次分散を与えられた拡張光
パルスは元のパルス幅に時間軸を圧縮されることによ
り、元のパルス幅に戻される。
【0016】位相変調に使用される前記正弦波の最適な
周波数は、補償すべき前記光伝送路の3次分散、取り扱
う光パルスのスペクトル帯域、拡張パルスのパルス幅等
に応じて、適宜選択することができる。また、3次分散
補償の対象として、前記光パルスの全伝送路における3
次分散を考慮することにより、光パルスの全伝送路の伝
送中における3次分散を効果的に抑制することができ
る。
【0017】従って、正弦波位相変調によって3次分散
を補償することができることから、前記光パルスの伝送
路の設計に際し、この伝送路における3次分散を考慮す
ることなく、2次分散補償を考慮すれば良いことから、
伝送路の設計についての自由度は高まる。また、本発明
に係る前記3次分散補償方法では、光パルスは空間的に
分散を受けることはないことから、空間的な制約を強く
受けることはなく、比較的容易に実施することができ
る。
【0018】また、本発明に係る前記光パルス伝送装置
では、前記第1および第2の光伝送路は、互いに逆符号
の2次分散を示す第1および第2の光ファイバからな
る。第1の光ファイバは、その2次分散により、光パル
スの時間軸を拡張して拡張パルスを生成する。拡張パル
スは、例えば光電式位相変調器のような位相変調器を用
いて3次分散の補償のために変調を受ける。変調を受け
た拡張パルスは、元のパルス幅の光パルスに戻すべく、
第1の光ファイバの2次分散と逆符号の2次分散を受け
る。
【0019】光パルスの時間軸を拡張するための手段お
よび拡張光パルスから元のパルスを復元すべく拡張光パ
ルスのパルス幅を元に戻す手段として、取り纏め及び取
り扱いが容易な光ファイバが用いられていることから、
この光ファイバの少なくとも一方を実質的な伝送路とし
て利用することにより、取り扱いが容易であり、効果的
に3次分散を抑制し得る光パルス伝送装置が得られる。
【0020】前記第1の光ファイバおよび第2の光ファ
イバは、それぞれの2次分散係数およびその伝送路長の
積の和が零となるように設定され、これにより、光パル
スの前記した拡張および復元が可能となるが、これは2
次分散が補償されていることをも意味する。従って、前
記光パルス伝送装置によれば、3次分散に加えて、2次
分散をも補償することができる。しかも、3次分散は、
前記変調器による変調作用により確実に補償されること
から、2次分散の補償に関して、各光ファイバの3次分
散係数の拘束を受けることなく、設定することができ、
各光ファイバの2次分散係数およびそれらの長さ寸法に
ついての設計上の自由度は増大する。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図示の実施の形態
について詳細に説明する。 〈具体例〉図1は、本発明に係る3次分散補償方法を適
用した光パルス伝送装置を概略的に示す。本発明に係る
光パルス伝送装置10は、光パルスを発生するための例
えばモード同期半導体レーザのような光パルス発生源1
1から発せられる光パルス12aを所望箇所に案内する
ための伝送路13(13aおよび13b)と、該伝送路
中に挿入される例えば光電気位相変調器のような光位相
変調器14とを含む。
【0022】本発明に係る光パルス伝送装置10は、光
パルス12aのパルス波形およびパルス幅に関して限定
されることはなく、所望の波長の光を所望のパルス波形
およびパルス幅を有する光パルス12aの伝送に利用す
ることができるが、以下では、光パルス発生源11から
は、例えばほぼ1550nmの波長の光が、トランスフ
ォームリミットの、すなわちチャープが零の光パルス1
2aとして、出力される例に沿って説明する。
【0023】伝送路13(13aおよび13b)は、図
示の例では、第1の光ファイバ13aおよび第2の光フ
ァイバ13bからなる。各光ファイバ13aおよび13
bは、その材質に応じたそれぞれに固有の2次分散係数
βおよび3次分散係数βを有する。第1の光ファイ
バ13aは、長さ寸法Lを有し、光パルス発生源11
から受けた光パルス12aを光位相変調器14に案内す
る伝路で、案内される光パルス12aに、長さ寸法L
と2次分散係数β2−1との積で表される2次分散を与
える。この2次分散により、光パルス12aは時間軸を
延長され、拡張パルス12bとして、光位相変調器14
に案内される。
【0024】光位相変調器14から前記所望箇所に伸び
る第2の光ファイバ13bは、長さ寸法Lを有し、か
つ第1の光ファイバ13aとは逆の2次分散を示す。す
なわち、第1の光ファイバ13aが例えば正常分散を示
すとき、第2の光ファイバ13bは、これとは逆の、異
常分散を示す光ファイバが選択される。この第2の光フ
ァイバ13bを伝わる拡張パルス12bは、長さ寸法L
と2次分散係数β2−2との積で表される逆の2次分
散を与えられることにより、その時間軸が圧縮される。
【0025】従って、次式 L×β2−1+L×β2−2=0 …(1) が成り立つように、光ファイバ13aおよび13bを設
定することにより、第1の光ファイバ13aにより拡張
された拡張パルス12bの時間軸を第2の光ファイバ1
3bにより圧縮して元の時間軸に戻すことができる。ま
た、式(1)は、両光ファイバ13aおよび13bでの
2次分散が相互に補償されていることを示すことから、
光ファイバ13aおよび13bにより、2次分散の影響
を及ぼすことなく光パルス12aを伝送できることを意
味する。
【0026】例えば、Lを1.6kmとし、L
8.4kmとすることにより、全伝送路Lを10kmと
することができる。また、第1の光ファイバ13aの2
次分散係数β2−1を例えば20ps/kmとしたと
き、第2の光ファイバ13bの2次分散係数β
2−2は、これらの値L、L、β2−1を用いて、
式(1)より求めることができ、これにより、2次分散
を補償することができる。
【0027】この光ファイバ13aおよび13bからな
る伝送路により光パルス12aが受ける3次分散を効果
的に補償するために、光ファイバ13aおよび13b間
に光位相変調器14が挿入されている。光位相変調器1
4は、これに入力する光信号を例えば正弦波電気信号1
4aで、位相変調する。各光ファイバ13aおよび13
bの3次分散係数は、一般的には、相互に異なる値を示
すが、説明の簡素化のために、両第光ファイバ13aお
よび13bが同一の3次分散係数βを有するものとし
て、以下に説明する。
【0028】本発明に係る前記光位相変調器14は、拡
張パルス12bに、正弦波電気信号14aの波形の一部
を用いて、位相変調を施すことにより、全伝送路13
(13aおよび13b)における3次分散を補償する。
この3次分散を効果的に抑制し得る最適な正弦波信号波
形を示す正弦波関数は、次のような算術処理により、得
られる。
【0029】周波数fを有する光が、長さL(L=
)+(L)を有しかつ3次分散係数βを有する
伝送路13(13aおよび13b)から与えられる位相
のずれφ(f)は、1989年にアカデミック・プレス
から発行されたジー・ピー・アグラワル(G.P.Agrawa
l)著による「ノンリニア・ファイバ・オプティクス(N
onlinear Fiber Optics.)」、第2版に示されていると
おり、次式で与えられる。 φ(f)=(βL)/6・(2πf) …(2)
【0030】また、光位相変調器14に入力する拡張パ
ルス12bの位相は、次式で与えられる。 φinitial(f)=Kf−(βL)/6・(2πf) …(3) ここで、kは1次分散係数を示し、kfの線形項によっ
てはパルス光は、そのパルス波形に乱れを与えられるこ
となく、伝搬路を所定の時間遅延を与えられるに過ぎな
い。
【0031】今、例えばハイパーボリックセカンド型
(sech型)の光パルス12aが第1の光ファイバ13a
に入力すると、該光ファイバ13a内の進行に伴い、入
力光パルス12aの周波数成分は、次式に示すとおり、
時間tの経過に従って分散される。 f(t)〜(FBW/TS)・t …(4)
【0032】ここで、FBWは光パルス12aのスペクト
ル成分の周波数帯域であり、TSは、第1の光ファイバ
13aから光位相変調器14に入力される拡張パルス1
2bのパルス幅(最大強度の半値幅)を示す。
【0033】式(4)によって与えられる拡張パルス1
2bが光位相変調器14へ入力されることから、式
(4)を式(3)に代入することができ、その結果、次
式 φinitial(f)=K(FBW/TS)・t−(βL)/6・(2π(FBW /TS)・t) …(5) が得られる。
【0034】この式(5)に関して、その極大値および
極小値を与える時間で、最大位相値φを示す正弦波位
相関数がその約半周期にわたりほぼ一致する。
【0035】式(5)で表される関数の極大値が正弦波
位相関数の最大位相値φに一致するように、式(5)
の係数kを計算することにより、補償すべき3次分散に
ついての位相変調関数が、次式 φ(t)=φsin{−π[|β|L/(3φ)]1/3・(FBW/ TS)・t} …(6) で求められる。
【0036】式(5)と式(6)との一致する度合いが
図2のグラフに示されている。図2のグラフでは、光パ
ルス12aのパルス幅(半値幅)が530fs、そのス
ペクトル成分の周波数帯域FBWは594GHzであり、
極大値における位相φは3πであり、拡張パルス12
bのパルス幅(半値幅)TSは、120psであり、3
次分散係数βが−0.1ps/kmであり、両光フ
ァイバ13aおよび13bの合計長L(L=L
)は10kmの条件下で求められた式(5)に関す
る位相特性が示され、また、式(5)に一致する正弦波
関数が示されている。
【0037】前記グラフの特性線(A)は、式(5)に
より表される分散特性を示し、特性線(B)は、式
(5)の右辺、第1項である時間に関する1次項を示
す。また、前記グラフの特性線(C)は、式(5)に一
致する関数として、2.56GHzの正弦波信号関数を
示す。特性線(A)および特性線(C)の比較から明ら
かなように、式(5)から得られた特性線(C)で示さ
れる正弦波信号は、入力光パルス12aの周波数帯域F
BWの約2.1倍に拡張された拡張パルス12bの周波数
帯域に対応して、特性線(A)の極大値および極小値を
与える時間に一致するほぼ250psの期間、特性線
(A)に一致する。
【0038】従って、特性線(A)と対称をなす特性線
(D)で表された3次分散を示す拡張パルス12bに、
式(6)で示される正弦波信号関数で位相変調を施すこ
とにより、その3次分散を補償することができ、この3
次分散を低減することができる。
【0039】第2の光ファイバ13bでの3次分散をも
予め見込んでこれを補償すべく位相変調を受けた拡張パ
ルス12bは、光位相変調器14から第2の光ファイバ
13bに入射される。
【0040】位相変調を受けて第2の光ファイバ13b
に入射された拡張パルス12bは、第1の光ファイバ1
3aと逆符号の2次分散特性を示しかつ前記式(1)に
沿って設定された第2の光ファイバ13bを経る間に、
元の時間軸となるように圧縮を受ける。その結果、第2
の光ファイバ13bからは、2次分散および3次分散係
数β分散を受けることなく、従って、これら分散によ
る波形の歪みを受けることなく、ほぼ入射した光パルス
12aにほぼ等しい光パルス12aが出射される。
【0041】本発明に係る前記光パルス伝送装置10で
は、前記したように、光ファイバ13aおよび13bの
全3次分散および長さ寸法L、入力光パルス12aの周
波数帯域FBW、拡張パルス12bのパルス幅TSを含む
各パラメータに従って、光位相変調器14の位相変調周
波数を適正に選択することにより、光ファイバ13aお
よび13bからなる伝送路13での3次分散を効果的に
補償することができる。
【0042】また、伝送路13(13aおよび13b)
の2次分散補償について、前記したとおり、3次分散に
関する拘束を受けることなく、前記式(1)に従って伝
送路13(13aおよび13b)を設定できることか
ら、伝送路13(13aおよび13b)についての長さ
寸法が3次分散係数βとの関係で制限を受けることは
なく、これにより伝送路13(13aおよび13b)の
設計自由度が増大する。
【0043】さらに、光パルス12aは、空間的に分散
されることなく光ファイバ13aおよび13bにより時
間的に拡張および圧縮を受けることから、比較的コンパ
クトな構成により、2次分散および3次分散を一括的に
補償することができる。
【0044】前記伝送路13(13aおよび13b)の
長さに関し、前記したように不等長とし、その長さの大
きな伝送路(13aまたは13b)を実質的な伝送路と
して利用することが望ましい。
【0045】本発明に係る前記光パルス伝送装置10
は、数ピコ秒以下のパルス幅を有するパルスに適用する
ことができ、効果的に3次分散を補償することができ
る。この補償効果は、前記文献、「ノンリニア・ファイ
バ・オプティクス(Nonlinear Fiber Optics.)」に示
されたシミュレーションで確認できた。このとき530
fsのパルス幅の入力光パルス12aは、長さ寸法L
が1.6kmおよび2次分散係数β2−1が20ps
/kmの第1の光ファイバ13aにより、そのパルス幅
が120psとなるように拡張された。
【0046】この拡張パルス12bは、光位相変調器1
4により、2.56GHz、最大位相φが3πの正弦
波で位相変調を受けた後、長さ寸法Lが8.4kmを
有し、第1の光ファイバ13aによる2次分散を確実に
補償し得る2次分散係数β −2係数を有する第2の光
ファイバ13bで、元のパルスの時間軸に圧縮された。
両光ファイバ13aおよび13bが同一の3次分散係数
βを有しているとき、光パルス伝送装置10の前記3
次分散は、(L+L)とβとの積で表される。
【0047】第3図のグラフは、全伝送路13(13a
および13b)が10km(L+L)を用いたパル
ス伝送において、3次分散補償を行った前記光パルス伝
送装置10によるパルス伝送と、3次分散補償を行わな
いパルス伝送との比較を示す。なお、任意入力パルスの
ピークパワーを1Wとし、ファイバ損失および電力依存
非線形効果は無視した。この電力依存非線形効果を無視
することは、拡張パルスの伝送では、全光ファイバ経路
の大部分にわたり、広いパルス幅と低いピークパワーが
補償されるため、一般的に有効なものである。
【0048】図3のグラフに特性線Eで示されるよう
に、位相変調を行わない場合には、3次分散により、出
力パルスの半値幅TFWHMが1.4psまで広げら
れ、またそのピークパワーは0.297Wまで低減す
る。さらに、パルスの終わり部分は10ps以上にわた
って長く振動する。
【0049】他方、本願発明に係る方法により正弦波位
相変調を施した場合には、図3のグラフの特性線Fで示
されるとおり、パルス幅すなわち半値幅TFWHMは8
04psまで圧縮され、ピークパワーは0.685Wま
で増加する。さらに、3次分散によるパルスの終わり部
分の振幅は大きく抑制される。全伝送路13の長さ寸法
の低減を図り、あるいはピーク位相φpの値を増加させ
ることにより、拡張パルス12bのパルス帯域を広げる
ことができ、これにより出力パルスの3次分散による波
形の歪みをより確実に防止し、出力パルスの品質を一層
向上させることができる。
【0050】本実施例において使用した前記各変数はそ
れに限定されるものではなく、入力拡張パルスのパルス
幅に対応して適宜選択することができ、また、大きさが
任意の正および負の2次分散係数βと大きさおよび符号
が任意の3次分散係数β3を有する光ファイバ13aお
よび13bの組み合わせを使用することができる。
【0051】前記したところでは、光パルスの拡張およ
び圧縮に光ファイバを利用した例について説明したが、
光ファイバ以外の2次分散特性を示す手段を適宜用いる
ことができる。
【0052】
【発明の効果】本発明に係る前記分散補償方法によれ
ば、前記したように、位相変調による3次分散補償によ
り、光パルスの全伝送路の伝送中における3次分散を効
果的に抑制することができることから、前記光パルスの
伝送路の設計に際し、この伝送路における3次分散を考
慮することなく、2次分散補償を考慮すれば良いことか
ら、伝送路の設計についての自由度は高まる。また、本
発明に係る前記3次分散補償方法では、光パルスは空間
的に分散を受けることはないことから、空間的な制約を
強く受けることはなく、比較的容易に実施することがで
きる。
【0053】また、本発明に係る前記光パルス伝送装置
によれば、前記したように、光パルスの拡張手段および
復元手段として互いに逆符号の2次分散を示す第1およ
び第2の光ファイバを用いることにより、取り扱いが容
易であり、3次分散に加えて、2次分散をも効果的に補
償することができ、しかも、各光ファイバの2次分散係
数およびそれらの長さ寸法について、該光ファイバの3
次分散係数の拘束を受けることなく、設定することがで
きることから、それらの設計上の自由度は増大する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る分散補償方法を適用した光パルス
伝送装置を概略的に示す図面である。
【図2】本発明に係る3次分散補償方法の原理を説明す
るための、3次分散と正弦波信号波形との関係を示すグ
ラフである。
【図3】本発明に係る3次分散補償方法の効果を示す出
力パルスの波形を表すグラフである。
【符号の説明】
10 光パルス伝送装置 11 光パルス発生源 12a 入力光パルス 12b 拡張パルス 13(13aおよび13b) 伝送路(第1および第2
の光ファイバ) 14 光位相変調器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松井 康浩 茨城県つくば市東光台5丁目5番地 技術 研究組合 フェムト秒テクノロジー研究機 構内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光パルスの伝送中該光パルスに生じる3
    次分散を補償する方法であって、光パルスの時間軸を拡
    張してパルス幅が拡張された拡張光パルスを生成するこ
    と、伝送中に生じる3次分散の補償のために、前記拡張
    光パルスを正弦波で位相変調すること、位相変調を受け
    た前記拡張光パルスの時間軸を圧縮して元のパルス幅の
    光パルスに戻すことを特徴とする、光パルスの分散補償
    方法。
  2. 【請求項2】 相互に2次分散を補償する第1および第
    2の光伝送路であって光パルスの時間軸を拡張してパル
    ス幅が拡張された拡張光パルスを生成する第1の光伝送
    路および前記拡張光パルスの時間軸を圧縮して該拡張光
    パルスを元のパルス幅の光パルスに戻す第2の光伝送路
    と、該両伝送路間に挿入され、該両光伝送路における3
    次分散を補償すべく該両伝送路を経る光パルスに正弦波
    位相変調を施す位相変調器とを含む光パルスのための伝
    送装置。
  3. 【請求項3】 前記第1および第2の光伝送路は、互い
    に逆符号の2次分散を示す第1および第2の光ファイバ
    からなり、前記第1の光ファイバの2次分散係数および
    その長さの積と、第2の光ファイバの2次分散係数およ
    びその長さの積との和は、ほぼ零である請求項2記載の
    伝送装置。
  4. 【請求項4】 前記第1の光ファイバと第2の光ファイ
    バは、不等長である請求項3記載の伝送装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002185404A (ja) * 2000-10-16 2002-06-28 Alcatel 光ファイバ伝送システムにおける波長分散補償及び補償ファイバ
JP2016502685A (ja) * 2012-12-04 2016-01-28 トプティカ フォトニクス アクチエンゲゼルシャフトTOPTICA Photonics AG 電磁放射の合成のための方法及び装置

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JP2002185404A (ja) * 2000-10-16 2002-06-28 Alcatel 光ファイバ伝送システムにおける波長分散補償及び補償ファイバ
JP4548998B2 (ja) * 2000-10-16 2010-09-22 アルカテル−ルーセント 光ファイバ伝送システムにおける波長分散補償及び補償ファイバ
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