JP2000089168A - 色消し光学系 - Google Patents

色消し光学系

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JP2000089168A
JP2000089168A JP10257307A JP25730798A JP2000089168A JP 2000089168 A JP2000089168 A JP 2000089168A JP 10257307 A JP10257307 A JP 10257307A JP 25730798 A JP25730798 A JP 25730798A JP 2000089168 A JP2000089168 A JP 2000089168A
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wavelength
diffraction
optical system
light source
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JP10257307A
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Kazuya Kitamura
和也 北村
Tetsuo Iwaki
哲男 岩木
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Original Assignee
Sharp Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光学系の小型化と色収差の低減を図ることが
できる共に、解像度を向上させることができる色消し光
学系を提供する。 【解決手段】 色消し光学系を、特定波長の光を発する
光源2と、この光源2から特定波長の光の内の少なくと
も1つ波長の光を回折する回折手段1とを有する構成と
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、色消し光学系に関
し、特に光学系の小型化、色収差の低減、及び解像度の
向上を図ることを可能とする色消し光学系に関する。
【0002】
【従来の技術】映像投影機等の照明光学系においては、
その投影用レンズにおいて、球面、コマ、非点、湾曲、
及び歪曲の5収差、並びに色収差について、従来より種
々の方法によりその補正がなされている。一方、近年で
は映像投影機の小型化が進むと共に、このような照明光
学系のレンズ長の短縮化に対する要求が高まりつつあ
る。この小型化を実現するのに、特に色収差の問題が発
生し、その補正が大きな課題となっていた。
【0003】こうした課題に対し、従来よりいくつかの
色収差の補正方法が提案されている。従来より最も多く
用いられる色収差の補正方法として、屈折率の波長特性
が異なる2種類のレンズ材料を使い、凸屈折レンズと凹
屈折レンズを組み合わせて色収差を低減する方法があ
る。
【0004】しかしながら、この方法では、凸屈折レン
ズと凹屈折レンズの2枚で色収差を補正するためレンズ
長が長くなり、光学系が大きくなるため、装置全体を小
型化できないという問題があった。また、凸屈折レンズ
又は凹屈折レンズの内少なくともいずれか一方のガラス
材料は特殊で高価な材料を使う必要があり、コストが高
くなるという問題があった。更には、2つ乃至3つの波
長においては色収差をなくすことはできるが、その他の
波長においては2次スペクトルによる色収差が残存する
という問題があった。
【0005】そこで、レンズ長の短縮化と色収差の低減
を両立させる方法として、回折素子を用いて色収差を低
減する方法が提案されている。この方法で用いる回折素
子101は、図7に示すように、平面形状は同心円状の
輪帯からなり、その断面は図8に示すように鋸歯状とな
っている。この回折素子101は、1次回折光を用いて
おり、鋸歯の高さは設計波長における位相の2π分に相
当している。例えば、設計波長を550nm、基板16
の屈折率を1.5とすると鋸歯の高さh’は、1.1μ
mとなる。
【0006】ここで、このような回折素子を用いた従来
の色収差の補正方法を以下に詳しく説明する。まず、回
折素子の鋸歯の頂上部と底部の間の高さh’は、設計波
長をλ、回折部の屈折率をnとすると、下記(1)式で
表される。 h’=λ/(n−1)・・・・(1) また、各輪帯の半径は、j番目の輪帯半径をrj、回折
次数をm、焦点距離をfとすると、rjは下記(2)式
で表される。 rj=√(2・f・m・j・λ)・・・・(2)
【0007】次に、上記(2)式を変形すると、焦点距
離fは下記(3)式で表される。 f=rj 2/(2・j・λ)・・・・(3) 上記(3)式におけるrj、jは定数であるから、rj 2
/(2・j)=Cとすると、焦点距離fは下記(4)式
で表される。 f=C/λ・・・・(4) 上記(4)式の両辺をλで微分すると、下記(5)式と
なる。 df/dλ=−C/λ2=−f/λ・・・・(5)
【0008】ここで、上記(5)式のdf、dλをそれ
ぞれ微小量Δf、Δλと置き換えると、下記(6)式と
なる。 Δf=−f(Δλ/λ)・・・・(6) 従って、色分散を表す指数であるアッベ数νdは、d線
の波長をλd、F線の波長をλF、C線の波長をλCとす
ると、下記(7)式となる。 νd=λd/(λF−λC)・・・・(7) 上記(7)式に各数値を代入すると、νd=587.5
6/(486.13−653.17)=−3.453と
なる。
【0009】通常の光学ガラス材料のアッベ数は、+2
0〜+90であるから、回折素子のアッベ数は通常の光
学ガラス材料を用いた屈折レンズのアッベ数とは異符号
であり、色分散特性は逆の関係になる。この関係を利用
して、正の色分散特性の屈折レンズと組み合わせ色収差
を補正することができる。このような形状の回折素子
は、特開昭60−182526号公報(従来例1)に開
示されている。また、回折素子を応用した色収差の補正
の方法については、特開平5−157963号公報(従
来例2)に開示されている。
【0010】上記の他に、回折素子による色収差の補正
については、以下に説明する高次でかつ複数の回折光を
用いる方法がある。高次でかつ複数の回折光を用いる回
折素子(以下、高次回折素子という。)は、平面形状が
同心円状の輪帯からなり、その断面は鋸歯状であること
は上記従来例1における1次回折光を用いた回折素子と
同等である。この鋸歯の頂上部と底部の間の高さhは、
設計波長をλ、回折次数をm、回折部の屈折率をnとす
ると、下記(8)式となる。 h=m・λ/(n−1)・・・・(8) また、各輪帯の半径は、j番目の輪帯半径をrj、回折
次数をm、設計基準波長λ、焦点距離をfとすると、下
記(9)式となる。 rj=√(2・f・m・j・λ)・・・・(9)
【0011】ここで、f=rj 2/(2・m・j・λ)で
あるので、rj 2/(2・j)=B(定数)とおくと、上
記(9)式は下記(10)式となる。 f=B/(m・λ)・・・・(10) 従って、m・λが一定となる組み合わせにより、離散的
な波長(設計波長)で焦点位置が一定となり、色収差の
ない画像が得られる。この高次回折素子については、A
PPLIED OPTICS Vol.34,No.1
4 pp.2469−2475(10 May 199
5)に詳しく記載されている(従来例3)。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来例1〜従来例3の色収差の補正方法による場合に
は、いずれも、回折素子が設計された波長以外の光を像
面に結ばないため、フレア光となって解像度を悪化させ
るという問題があった。
【0013】本発明は、こうした従来技術の課題を解決
するものであり、光学系の小型化と色収差の低減を図る
ことができる共に、解像度を向上させることができる色
消し光学系を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の色消し光学系
は、特定波長の光を発する光源と、該光源からの該特定
波長の光の内の少なくとも1つの波長の光を回折する回
折手段とを有しており、そのことにより上記目的が達成
される。
【0015】好ましくは、前記回折手段を、1次回折光
又は−1次回折光以外の複数の回折次数の回折光を回折
する構成とする。
【0016】また、好ましくは、前記回折手段と、特定
の波長の光を選択する波長選択手段とを組み合わせる構
成とする。
【0017】また、好ましくは、前記波長選択手段とし
て、波長選択フィルター、波長選択プリズム、又は波長
選択ミラーを用いる構成とする。
【0018】また、好ましくは、前記回折手段を、複数
の回折素子を組み合わせる構成とする。
【0019】以下に、本発明の作用について説明する。
上記構成によれば、光源から特定波長の光が発せられ、
回折手段が光源からの特定波長の光の内の少なくとも1
つの波長の光を回折する。一般に、ある波長λと回折次
数mを想定して設計された高次回折素子による回折手段
では、回折次数mと波長λの積が設計値と同じになる他
の組み合わせにおいても同じ焦点距離fとなる。従っ
て、上記の回折手段と光源を組み合わせることにより、
複数の波長の光の色収差が補正されるので、投写レンズ
を介して映像投影面に良好な画像が投影される。他方、
フレアとなりうる光は、特定波長の光を発する光源から
発光されないのでフレアとなることがない。
【0020】即ち、色収差の低減と解像度の向上を可能
とする色消し光学系が得られる。しかも、色消し光学系
が上記の回折手段と光源を組み合わせるだけの簡素な構
成であるため、光学系の小型化も可能となる。
【0021】上記回折手段を、1次回折光又は−1次回
折光以外の複数の回折次数の回折光を回折する構成とし
たり、複数の回折素子を組み合わせる構成にすると、色
収差の低減効果を一層向上させることが可能となる。
【0022】また、上記回折手段と、特定の波長の光を
選択する波長選択手段とを組み合わせる構成にすると、
色収差の低減効果をより一層向上させることが可能とな
る。
【0023】尚、上記波長選択手段として、波長選択フ
ィルター、波長選択プリズム、又は波長選択ミラーを用
いることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を図
面に基づいて具体的に説明する。 (実施形態1)図1に、本発明の実施形態1による色消
し光学系として、単板式投写型液晶プロジェクターの光
学系の構成図を示す。この実施形態1の色消し光学系
は、図1に示すように、特定波長の光を発する光源2
と、この光源2からの光を略平行にするコンデンサーレ
ンズ4と、このコンデンサーレンズ4により略平行とさ
れた光が入射され所望の映像を出射する液晶パネル3
と、この液晶パネル3から出射された映像に対し、特定
波長の光の内の少なくとも1つ波長の光を回折する回折
手段としての高次回折素子1とを有し、光源2が発した
光が、コンデンサーレンズ4により略平行にされた後、
液晶パネル3に入射し、その後高次回折素子1を含む投
写レンズに入射し、その出射光により映像投影面5に所
望の映像が投写される構成としている。
【0025】ここで、光源2は、反射板を伴うメタルハ
ライドランプであり、図4に示す発光スペクトル分布を
有しており、410nm、440nm、530nm、5
90nm、660nmの5種類の波長に強いスペクトル
を持っている。
【0026】高次回折素子1は、図2及び図3に示すよ
うに、同心円状でかつ断面が鋸歯状の輪帯で形成されて
いる。一般に、この鋸歯の底部に対する頂上部の高さh
は、波長をλ、回折次数をm、回折部の屈折率をnとす
ると、下記(11)式となる。 h=m・λ/(n−1)・・・・(11) 本実施形態1では、高次回折素子1を、光源2が有して
いる5種類の強いスペクトルの中央の波長530nmに
ついて10次回折光に基づいて設計しており、この場合
の鋸歯の底部に対する頂上部の高さhは、10.6μm
である。
【0027】また、各輪帯の半径は、一般にj番目の輪
帯半径をrj、回折次数をm、波長をλ、焦点距離をf
とすると、下記(12)式となる。 rj 2=2・f・m・j・λ・・・・(12) 上記(12)式に、λ=530nm、m=10を代入す
ると、下記(13)式となる。 rj 2=0.0106・f・j(単位:mm)・・・・(13)
【0028】一方、上記(12)式において、rj 2
(2・j)=B(定数)とおくと、下記(14)式とな
る。 f=B/(m・λ)・・・・(14) 従って、一般にある波長λと回折次数mを想定して設計
された高次回折素子1においては、回折次数mと波長λ
の積が設計値と同じになる他の組み合わせにおいても同
じ焦点距離fとなる。本実施形態1では、回折次数mと
波長λの積が設計値と同じになる他の組み合わせは、図
5に示すように、設計波長の530nm(m=10)以
外に、410nm(m=13)、440nm(m=1
2)、480nm(m=11)、590nm(m=
9)、660nm(m=8)の5種類の波長において同
じ焦点距離となり、色収差が除去される。
【0029】図3に示す高次回折素子1の鋸歯状の各輪
帯の曲面形状は、位相多項式から得られる以下に示す
(15)式により決定される。 Z=aR2+bR4+cR6+dR8+eR10・・・・(15) ここで、Zは光軸方向の座標、Rは光軸からの距離であ
る。図3に示す実際の鋸歯状の各輪帯の曲面形状は、上
記(15)式において、Z座標についてh=0からh=
10.6μmの範囲に置換した形状となっている。本実
施形態1では、f=20mm、F=2.8として、下記
の表1に示す高次回折素子1を作成した。
【0030】
【表1】
【0031】表1に示す第1面と第2面は、回折面で下
記の表2に示す係数の多項式により表される。
【0032】
【表2】
【0033】このような高次回折素子1と光源2を組み
合わせることにより、図5に示す6つの波長の内、41
0nm、440nm、530nm、590nm、660
nmの5種類の波長の光は、色収差が十分に補正された
状態で投写レンズを通過し、映像投影面5に良好な画像
が投影される。一方、図5中の波長480nmの光を含
むその他のフレアとなりうる光は、特定波長の光を発す
る光源2から発光されないのでフレアとなることがな
い。
【0034】実際のプロジェクターにおいては、液晶パ
ネル3に赤、緑、青の3原色の色フィルターが使用され
る。従って、この色フィルターの特性は、上記の5種類
の波長を適宜選択、組み合わせるように設計されている
必要がある。
【0035】上述した実施形態1では、回折手段を1つ
の高次回折素子1で構成する例を示したが、回折手段を
2つの高次回折素子を組み合わせて構成してもよい。例
えば、f=50mm、F=2.5として、下記の表3に
示す高次回折素子を作成した。
【0036】
【表3】
【0037】表3に示す第1面と第3面は、回折面で下
記の表4に示す係数の多項式により表される。
【0038】
【表4】
【0039】このように、2つの異なる高次回折素子を
組み合わせることにより、色収差の補正の効果を向上さ
せることができる。
【0040】(実施形態2)図6に、本発明の実施形態
2による色消し光学系として、3板式投写型液晶プロジ
ェクターの光学系の構成図を示す。この実施形態2の色
消し光学系は、図6に示すように、高次回折素子11
a、11bと、反射板を伴うメタルハライドランプ等か
らなり特定波長の光を発する光源12と、紫外光及び赤
外光を除去し可視光のみを透過するUV・IRフィルタ
ー13と、赤色光用液晶パネル14aと、緑色光用液品
パネル14bと、青色光用液晶パネル14cと、光源1
2からの光を略平行にするコンデンサーレンズ15a、
15b、15cと、多層膜からなり赤色光のみを反射し
他の光を透過する赤色光用ダイクロイックミラー16a
と、多層膜からなり緑色光のみを反射し他の光を透過す
る緑色光用ダイクロイックミラー16b、16dと、多
層膜からなり青色光のみを反射し他の光を透過する青色
光用ダイクロイックミラー16cと、アルミミラー17
a、17bとを有し、投写レンズを介して所望の映像を
映像投影面18に投写する構成としている。尚、このよ
うな光学系には、必要に応じて偏光ビームスプリッタ、
1/2波長板等(図示せず)が配置される。
【0041】ここで、高次回折素子11a、11bは、
上述した実施形態1の高次回折素子1と同様に設計され
ており、図5に示す波長λと回折次数mの組み合わせで
ある、410nm(m=13)、440nm(m=1
2)、480nm(m=11)、530nm(m=1
0)、590nm(m=9)、660nm(m=8)の
6種類の波長において同じ焦点距離となり、色収差が除
去される。具体的には、例えば、f=50mm、F=
2.5として、下記の表5に示す高次回折素子を作成し
た。
【0042】
【表5】
【0043】表5に示す第1面と第3面は、回折面で下
記の表6に示す係数の多項式により表される。
【0044】
【表6】
【0045】尚、本実施形態2では、第1面及び第3面
が共に球面をベースとする面上に回折面が形成されてい
る。上記構成により、光源12が発した光は、直接又は
反射板を介してUV・IRフィルター13に入射され、
UV・IRフィルター13により可視光のみが透過され
る。その透過光は、赤色光用ダイクロイックミラー16
aで赤色光のみが直角に反射され、その反射光は、更に
アルミミラー17bにより直角に反射される。この反射
光は、赤色光用コンデンサーレンズ15a、赤色光用液
晶パネル14a、緑色光用ダイクロイックミラー16
d、青色光用ダイクロイックミラー16cを通り、高次
回折素子11a、11bを含む投写レンズ19に入射さ
れ、その赤色の出射光が映像投影面18に投写される。
【0046】また、赤色光用ダイクロイックミラー16
aを透過した透過光は、緑色光用ダイクロイックミラー
16bで緑色光のみが直角に反射され、緑色光用コンデ
ンサーレンズ15b、緑色光用液晶パネル14bを通
り、緑色光用ダイクロイックミラー16dで更に直角に
反射され、その反射光が青色光用ダイクロイックミラー
16cを通り、高次回折素子11a、11bを含む投写
レンズ19に入射され、その緑色の出射光が映像投影面
18に投写される。
【0047】また、赤色光用ダイクロイックミラー16
a及び緑色光用ダイクロイックミラー16bを透過した
透過光は、青色光用コンデンサーレンズ15c、青色光
用液晶パネル14cを通り、アルミミラー17aで直角
に反射され、その反射光が青色光用ダイクロイックミラ
ー16cで更に直角に反射される。この反射光は、高次
回折素子11a、11bを含む投写レンズ19に入射さ
れ、その青色の出射光が映像投影面18に投写される。
これにより、赤、緑、青の各色の光線が映像投影面18
で結像し、所望のカラー映像が表示される。
【0048】このように、高次回折素子11a、11b
と、ダイクロイックミラー16a、16b、16c、1
6dのような波長選択フィルターと、光源12を組み合
わせることにより、図5に示す6つの波長の内、410
nm、440nm、530nm、590nm、660n
mの5種類の波長の光は、色収差が十分に補正された状
態で投写レンズ19を通過し、映像投影面18に良好な
画像が投影される。一方、図5中の480nmを含むそ
の他のフレアとなりうる光は、特定波長の光を発する光
源12から発光されないのでフレアとなることがない。
つまり、上記構成の組み合わせにより、高次回折素子1
1a、11bの設計以外の収差補正されていない波長の
光を投写レンズ19に入射させることなく、色収差が補
正された図5に示す波長の光のみを映像投影面18上に
結ぶので、良好な画像を得ることができる。尚、上記の
光源12は、実施形態1の場合と同じメタルハライドラ
ンプであり、図4の発光スペクトル分布で示すように、
410nm、440nm、530nm、590nm、6
60nmの5種類の波長に強いスペクトルを持つものと
した。
【0049】しかしながら、本実施形態2においては、
ダイクロイックミラー16a、16b、16c、16d
を用いて、光源12からの光を赤色光、緑色光、青色光
に分離していることから、ダイクロイックミラー16
a、16b、16c、16dの特性を、上記の5種類の
波長から適宜選択して組み合わせて設定する必要があ
る。また、ダイクロイックミラー16a、16b、16
c、16dを、図5の6種類の波長から中から適宜選択
して組み合わせ、赤、緑、青の3原色を形成するように
設定されていることから、光源2は特に特定波長に強い
スペクトルを持つものでなくても構わない。
【0050】また、上述した実施形態2では、赤、緑、
青の3原色の生成方法として、光源12とダイクロイッ
クミラー16a、16b、16c、16dの組み合わせ
を採用したが、本発明はこれに限るものではなく、光源
12としてレーザ光又はLEDを使用してもよい。この
場合には、ダイクロイックミラー16a、16b、16
c、16dによる色分離を省略することができ、しかも
レーザ光のスペクトルは非常にシャープであることか
ら、本発明の効果を更に顕著なものとすることができ
る。
【0051】尚、本発明は上述した実施形態1及び実施
形態2の構成に限るものではなく、回折面と屈折面の組
み合わせ、回折素子と屈折素子の組み合わせ等による別
の構成としてもよく、少なくとも回折面を1面以上含む
回折素子が1つ以上含まれていればよい。
【0052】また、回折素子の製造に関し、プラスチッ
ク等の材料を用いて射出成形法で作成する場合には、回
折素子の両面を回折面とすることが製造上可能であり、
又コスト的にも有利である。他方、フォトリソグラフィ
ー法で回折素子を作成する場合には、両面を回折面とす
るよりは片面を回折面とする回折素子を複数枚作成する
ほうが有利である。従って、上記の製造上の制約、コス
トの問題、光学的特性等を考慮して、回折素子の組み合
わせと製造方法を適宜選択すればよい。
【0053】また、上述した実施形態1及び実施形態2
では、光源2としてメタルハライドランプを用いる例を
示したが、本発明はこれに限るものではなく、ハロゲン
ランプ、キセノンランプ、蛍光光源等の特定波長に強い
スペクトルを持つ他の光源を用いてもよい。
【0054】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の色消し光
学系によれば、光源から特定波長の光が発せられ、回折
手段が光源からの特定波長の光の内の少なくとも1つの
波長の光を回折する。一般に、ある波長λと回折次数m
を想定して設計された高次回折素子による回折手段で
は、回折次数mと波長λの積が設計値と同じになる他の
組み合わせにおいても同じ焦点距離fとなる。従って、
上記の回折手段と光源を組み合わせることにより、複数
の波長の光の色収差を補正することができるので、投写
レンズを介して映像投影面に良好な画像を投影すること
ができる。他方、フレアとなりうる光は、特定波長の光
を発する光源から発光されないのでフレアとなることが
ない。
【0055】つまり、色収差を低減し、解像度を向上さ
せた色消し光学系を得ることができる。しかも、色消し
光学系が上記の回折手段と光源を組み合わせるだけの簡
素な構成であるため、光学系を小型化することもでき
る。
【0056】特に、上記回折手段を、1次回折光又は−
1次回折光以外の複数の回折次数の回折光を回折する構
成としたり、複数の回折素子を組み合わせる構成にする
と、色収差の低減効果を一層向上させることができる。
【0057】また、特に、上記回折手段と、特定の波長
の光を選択する波長選択手段とを組み合わせる構成にす
ると、色収差の低減効果をより一層向上させることがで
きる。
【0058】尚、上記波長選択手段として、波長選択フ
ィルター、波長選択プリズム、又は波長選択ミラーを用
いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1による色消し光学系の構成
を示す図である。
【図2】本発明の実施形態1による色消し光学系に用い
る回折素子を示す平面図である。
【図3】本発明の実施形態1による色消し光学系に用い
る、図2に示す回折素子のa−a’断面を示す断面図で
ある。
【図4】本発明の実施形態1による色消し光学系に用い
る、特定波長の光を発する光源の発光特性を示す特性図
である。
【図5】本発明の実施形態1による色消し光学系に用い
る、回折素子の回折光の波長と回折次数の関係を示す表
である。
【図6】本発明の実施形態2による色消し光学系の構成
を示す図である。
【図7】従来の色消し光学系に用いる回折素子を示す平
面図である。
【図8】従来の色消し光学系に用いる、図7に示す回折
素子のb−b’断面を示す断面図である。
【符号の説明】
1、11a、11b 高次回折素子(回折手段) 2、12 光源 3 液晶パネル 4 コンデンサーレンズ 5、18 映像投影面 13 UV・IRフィルター 14a 赤色光用液晶パネル 14b 緑色光用液晶パネル 14c 青色光用液晶パネル 15a 赤色光用コンデンサーレンズ 15b 緑色光用コンデンサーレンズ 15c 青色光用コンデンサーレンズ 16a 赤色光用ダイクロイックミラー 16b、16d 緑色光用ダイクロイックミラー 16c 青色光用ダイクロイックミラー 17a、17b アルミミラー 19 投写レンズ

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 特定波長の光を発する光源と、 該光源からの該特定波長の光の内の少なくとも1つの波
    長の光を回折する回折手段とを有する色消し光学系。
  2. 【請求項2】 前記回折手段を、1次回折光又は−1次
    回折光以外の複数の回折次数の回折光を回折する構成と
    した請求項1記載の色消し光学系。
  3. 【請求項3】 前記回折手段と、特定の波長の光を選択
    する波長選択手段とを組み合わせる構成とした請求項1
    又は請求項2記載の色消し光学系。
  4. 【請求項4】 前記波長選択手段として、波長選択フィ
    ルター、波長選択プリズム、又は波長選択ミラーを用い
    る請求項3記載の色消し光学系。
  5. 【請求項5】 前記回折手段を、複数の回折素子を組み
    合わせる構成とした請求項1〜請求項4のいずれかに記
    載の色消し光学系。
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