JP2000087188A - Ti酸化物皮膜を有するフェライト系ステンレス鋼及びその製造方法 - Google Patents

Ti酸化物皮膜を有するフェライト系ステンレス鋼及びその製造方法

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JP2000087188A
JP2000087188A JP25120898A JP25120898A JP2000087188A JP 2000087188 A JP2000087188 A JP 2000087188A JP 25120898 A JP25120898 A JP 25120898A JP 25120898 A JP25120898 A JP 25120898A JP 2000087188 A JP2000087188 A JP 2000087188A
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Koichi Tozawa
宏一 戸澤
Tetsuya Mega
哲也 妻鹿
Toshiyuki Hoshino
俊幸 星野
Atsuto Honda
厚人 本田
Nobuyuki Morito
延行 森戸
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Kawasaki Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 TiO2 層の密着性、耐溶出性、耐剥離性及
び成形時の加工性に優れ、安価で量産も可能にすること
ができるのは勿論のこと、皮膜中のTiO2 濃度がそれ
ほど高くなくても抗菌性、脱臭性及び防汚性を確実に付
与する。 【解決手段】 0.1〜2.0重量%のTiと11〜1
8重量%のCrとを含有するフェライト系ステンレス鋼
に対して、純度が99.9〜99.999%の不活性ガ
ス中、露点が0〜−60°Cに設定された100体積%
のH2 ガス中又は露点が0〜−60°Cに設定された9
0体積%以上のH2 と不活性ガスとの混合ガス中の雰囲
気で、600°C以上850°C未満の温度で0.5〜
8時間の焼鈍処理を行い、これにより、Tiを3原子%
以上20原子%未満を含む厚み0.1μm以上のアナタ
ーゼ型結晶形TiO2 皮膜を表面に有するフェライト系
ステンレス鋼を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、TiO2 皮膜によ
って光触媒効果による防汚性、脱臭性、抗菌性等の有機
物分解作用が付与されたフェライト系ステンレス鋼及び
その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に使用される鋼板については、加工
性、溶接性、耐錆性等の材料特性を重視して製造されて
いる。
【0003】しかし、建築物内外壁材、医療・食品関連
設備、家電製品分野等に使用される鋼板では、雑菌の増
殖、悪臭、汚れ、有害物質等の人間の衛生健康問題や地
球環境問題の関心が高まってきており、上記材料面での
諸特性に加えて、防汚性、脱臭性、抗菌性等の特性を有
するものが要求されている。
【0004】これらの諸特性を有する鋼板の具体的用途
としては、例えば、防汚建材、抗菌厨房器具、脱臭フィ
ルター、NOX 分解建材、排水浄化槽が挙げられる。防
汚性、抗菌性を鋼板に付与する技術しては、例えば特開
平8−25548号公報に示すように、鋼板上に抗菌剤
および汚れ防止剤を含む樹脂を塗布する方法、また、特
開平9−201905号公報に示すように、鋼板上に無
機系の抗菌剤を取り込んだ複合メッキ被膜を形成する方
法、更に、特開平9−170053号公報に示すよう
に、マトリックス中に抗菌作用を有するCuの析出相を
形成した鋼板等が知られている。
【0005】しかしながら、特開平8−25548号公
報に示すような抗菌剤および汚れ防止剤を含む樹脂が塗
布された鋼板や、特開平9−201905号公報に示す
ような無機系の抗菌剤を取り込んだ複合メッキ被膜が形
成された鋼板においては、成形時の加工性が悪く、鋼板
表面から樹脂あるいはメッキ被膜が剥離しやすいという
問題がある。また、抗菌剤および汚れ防止剤を含む樹脂
が塗布された鋼板については、使用時に溶出した抗菌剤
や汚れ防止剤が人体および環境に悪影響をおよぼすとい
う問題もある。
【0006】更に、特開平9−170053号公報に示
すように、抗菌作用を有するCuの相をマトリックス中
に析出させる場合には、抗菌性を示すCuの大半が鋼中
に埋没してしまうために雑菌・細菌と接触する表面には
疎らにしか存在せず、Cuを密に析出させるには鋼中に
多量に添加する必要が生じて素材コストが高くなるとい
う問題がある。
【0007】ところで、上述した防汚性、抗菌性を鋼板
に付与する技術に代わるものとして、TiO2 の光触媒
作用による有機物分解効果を利用して、鋼板に抗菌性、
脱臭性及び防汚性を付与する技術が提案されている。
【0008】TiO2 は太陽光、室内灯の光、紫外線等
を照射すると、雑菌やウイルスを死滅させたり、N
X 、アセトアルデヒド、油汚れ等の有機物質を分解す
る光触媒としての作用を示すことが知られており、特に
アナターゼ型結晶形のTiO2 はルチル型結晶形のTi
2 と比べてこの光触媒作用を強く示すとされている。
また、TiO2 は化学的に安定な物質で、環境や人体へ
の影響はほとんどなく、触媒としての作用は他の抗菌剤
や防汚剤と異なり半永久的に持続する。
【0009】このようなTiO2 の光触媒作用による有
機物分解効果を利用した技術としては、例えば特開平9
−310185号公報に示すように、金属板表面にSi
2からなる下地層を形成したのち、有機チタン又はチ
タニアゾルを塗布し、次いで、熱処理をしてTiO2
を形成する方法や、特開平8−193218号公報に示
すように、露点が+10〜−65°Cに制御されたH2
ガス又は90体積%以上のH2 とN2 との混合ガス中
で、0.1〜1重量%のTiを含むステンレス鋼板を8
50〜1150°Cで熱処理して素材表面にTiO2
してのTiを20原子%以上含む皮膜を形成する方法が
知られている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
9−310185号公報に示す方法においては、塗布に
より金属表面にTiO2 層を形成するようにしているの
で、鋼板との密着性が低下して加工性に問題があり、ま
た、下地層の形成や有機チタン又はチタニアゾルの塗布
等の製造工程が複雑で、工業的に安価で大量生産するに
は適さないという問題もある。
【0011】一方、特開平8−193218号公報に示
ように、鋼板を熱処理することにより表面にTiO2
析出させる方法では、TiO2 皮膜の鋼板との密着性、
耐溶出性、耐剥離性及び成形時の加工性に優れ、量産も
可能であることから、安価で多様な用途に適用可能な鋼
板を提供することができるが、この方法で製造された鋼
板のTiO2 皮膜は、900°C以上の高温で熱処理し
た場合に、十分な抗菌性を示さないことがあった。
【0012】なお、特公平6−76614号公報や特開
昭62−267416号公報には、鋼板表面にTi酸化
物の皮膜を熱処理により形成して耐蝕性を有する鋼板を
製造する方法が開示されているが、これらの方法で製造
した鋼板を抗菌用素材として用いると、上記同様に90
0°C以上の高温で熱処理した場合に、十分な抗菌性を
示さないことがあった。
【0013】本発明はかかる不都合を解消するためにな
されたものであり、TiO2 層の密着性、耐溶出性、耐
剥離性及び成形時の加工性に優れ、安価で量産も可能に
することができるのは勿論のこと、表面皮膜中のTiO
2 濃度がそれほど高くなくても抗菌性、脱臭性及び防汚
性を確実に付与することができるフェライト系ステンレ
ス鋼及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者等が鋭意検討し
た結果、かかる目的を達成するためには、抗菌性の低い
ルチル型結晶形のTiO2 皮膜ではなく、光触媒作用を
最も強く示すアナターゼ型結晶形のTiO2 皮膜を鋼板
表面に所定厚さ以上形成させること、そのためには、鋼
中へのTiの適正量の添加と、鋼板に最適な熱処理パラ
メータの設定が必要なことを知見し、かかる知見に基づ
いて本発明を完成するに至った。
【0015】即ち、請求項1に係るフェライト系ステン
レス鋼は、0.1〜2.0重量%のTiと11〜18重
量%のCrとを含有するフェライト系ステンレス鋼にお
いて、Tiを3原子%以上20原子%未満を含む厚み
0.1μm以上のアナターゼ型結晶形TiO2 皮膜を表
面に有することを特徴とする。
【0016】請求項2に係るフェライト系ステンレス鋼
の製造方法は、純度が99.9〜99.999%の不活
性ガス中、露点が0〜−60°Cに設定された100体
積%のH2 ガス中又は露点が0〜−60°Cに設定され
た90体積%以上のH2 と不活性ガスとの混合ガス中の
雰囲気で、0.1〜2.0重量%のTiと11〜18重
量%のCrとを含有するフェライト系ステンレス鋼に対
して、600°C以上850°C未満の温度で0.5〜
8時間の熱処理を行うことを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態の一例
を説明する。この実施の形態では、0.1〜2.0重量
%のTiと11〜18重量%のCrとを含有するフェラ
イト系ステンレス鋼に対して、純度が99.9〜99.
999%の不活性ガス中、露点が0〜−60°Cに設定
された100体積%のH2 ガス中又は露点が0〜−60
°Cに設定された90体積%以上のH2 と不活性ガスと
の混合ガス中の雰囲気で、600°C以上850°C未
満の温度で0.5〜8時間の焼鈍処理を行い、これによ
り、Tiを3原子%以上20原子%未満を含む厚み0.
1μm以上のアナターゼ型結晶形TiO2 皮膜を表面に
有するフェライト系ステンレス鋼を得る。
【0018】ここで、Tiは鋼板表面にアナターゼ型結
晶形TiO2 皮膜層を形成させるための必要不可欠な元
素である。TiO2 としてのアナターゼ型結晶形Ti酸
化皮膜の厚さを0. 1μm以上としたのは、0.1μm
未満では光照射時の触媒作用が不十分で良好な抗菌性、
防汚性及び脱臭性を付与することができないためであ
る。
【0019】鋼中のTi含有量を0.1〜2.0重量%
としたのは、0. 1重量%未満ではアナターゼ型結晶形
TiO2 の光触媒作用を有効にするために必要な0. 1
μm以上の厚さを確保できず、一方、2.0重量%を超
えて多量に添加しても、その効果が飽和してしまうと共
に、FeTi, Fe2 Ti等の金属間化合物が多量に生
成し、成形時の加工性が低下するためである。従って、
鋼中のTi含有量は、0.1〜2.0重量%とした。
【0020】最終焼鈍段階での雰囲気を純度が99.9
〜99.999%の不活性ガス中としたのは、鋼中のT
iだけを選択的、かつ効率的に酸化させるためであり、
また、鋼中に添加されたFeやMn,Si,P等の元素
あるいは他の不純物の酸化を抑制するためである。
【0021】不恬性ガスの純度が、99.9%未満とな
ると、酸素、水蒸気等が不活性ガス中に混入し、雰囲気
中の酸素ポテンシャルが高くなって、Mn,Si,Fe
等の酸化物が形成され、Ti酸化物の表面濃度が低下し
てTiO2 の光触媒作用効果が著しく低下する。
【0022】一方、純度が99.999%以上になる
と、アナターゼ型結晶形TiO2 が形成されるのに必要
な十分な量の酸素ポテンシャルを得られず、まったく酸
化さないか、TiOあるいはTi2 3 等の酸素濃度が
小さく、光触媒作用を示さないTi酸化物が形成され
る。従って、不活性ガス雰囲気でのガスの純度を99.
9〜99.999%とした。
【0023】最終焼鈍段階での雰囲気は、露点を制御し
たH2 ガス雰囲気でも可能である。このとき、露点が0
〜−60°C、H2 ガス濃度が100体積%以上で、M
n,Si,Fe等の酸化物をほとんど含まない光触媒作
用を十分に発揮するアナターゼ型結晶形TiO2 皮膜を
鋼板表面に形成することができる。
【0024】また、最終焼鈍段階での雰囲気は、露点を
制御したH2 と不活性ガスの混合ガス雰囲気でも可能で
ある。このとき、露点が0〜−60°C、H2 ガス濃度
が90体積%以上で、Mn,Si,Fe等の酸化物をほ
とんど含まない光触媒作用を十分に発揮するアナターゼ
型結晶形TiO2 皮膜を鋼板表面に形成することができ
る。ここで、雰囲気ガスとしてN2 を使用しなかったの
は光触媒作用を示さないTiN等のTi窒化物を生成さ
せないためである。
【0025】最終焼鈍段階の雰囲気下での加熱温度を6
00°C以上850°C未満としたのは、600°C未
満ではMn,Si等の酸化物が生成し易くなると共に、
鋼中Tiの表面拡散が遅く、0.1μm以上のアナター
ゼ型結晶形TiO2 層を得るには極めて長時間の加熱時
間を必要として製造コストが増加し、一方、850°C
以上の高温では鋼板の結晶粒径が粗大となるとともに、
鋼中のAlが酸化される傾向が現れるからである。加熱
温度の上限を850°C未満とする主なる根拠は、最も
光触媒作用を示すアナターゼ型結晶形のTiO2 の生成
が多くなるためである。一方、加熱温度が850°C以
上になると、光触媒作用を強く示さないルチル型結晶形
のTiO2 が生成されやすくなる。従って、加熱温度は
600°C以上850°C未満とした。
【0026】加熱時間は、材料の形状、炉の性能、加熱
温度等を考慮して、0.5〜8hの範囲で適宜設定すれ
ばよい。加熱時間が0.5h以下では、鋼板表面に光触
媒作用を得るために必要とされる0.1μm以上のアナ
ターゼ型結晶形TiO2 皮膜を形成できず、また、8h
以上加熱すると、焼鈍工程に要する時間が長くなって生
産性が低下する。従って、加熱時間は0.5〜8hとし
た。
【0027】鋼板表面の酸化物皮膜中のTiO2 として
のTiを3原子%以上20原子%未満としたのは、60
0°C以上850°C未満の加熱温度であれば、アナタ
ーゼ型結晶形のTiO2 が生成するため、少なくとも3
原子%以上のTiO2 としてのTiが含まれていれば十
分な抗菌作用を示し、また、20原子%未満としたのは
TiO2 濃度が高い程、抗菌作用は良いと考えられる
が、その効果は20原子%程度で飽和するためである。
【0028】
【実施例】表1に示すA、B2種の供試材(フェライト
系ステンレス鋼)を真空溶解法により溶製し、鍛造後熱
間圧延を行って厚さ7mmの板材とし、さらに冷間圧延
により厚さ3mmの板材を作成した。供試材Aは本発明
で定めた範囲(Ti:0.1〜2.0重量%:Cr:1
1〜18重量%)の組成を有するフェライト系ステンレ
ス鋼、供試材BはTi含有量が本発明の範囲を外れたフ
ェライト系ステンレス鋼である。
【0029】
【表1】
【0030】次いで、これらの供試材A,Bの表面をエ
メリー紙で800番まで研摩し、表2に示す条件(加熱
温度、加熱時間、加熱雰囲気)で再結晶焼鈍を兼ねた熱
処理を施した後、生成したTi酸化物皮膜の厚さの測
定、Ti酸化物皮膜の組成分析、及び抗菌性試験を行っ
た。
【0031】
【表2】
【0032】皮膜厚さは、IMMA(Ion Micro Mass A
nalyser )を使用して供試材の表面から板厚方向にイオ
ンスパッタリング分析を行って求めた。皮膜組成はX線
電子分光分析装置(ESCA)によって分析し、分析結
果をCを除いた原子%で整理して、金属状態の金属及び
酸化物、又は窒化物状態の金属の総金属分及び酸素の合
計を100%とした。
【0033】また、抗菌性試験は、次の条件で行った。 (1)試験菌 Escherichia coli IFO3972(大腸菌) (2)試験用培地 NA培地:普通寒天培地(栄研化学(株)) NB培地:肉エキスを0.2%添加した普通ブイヨン培
地(栄研化学(株)) (3)菌液の調製 試験菌を普通ブイヨン培地で30±1°Cで、16〜2
0時間培養した。培養後の菌体を生理食塩水で希釈し
て、1ml当たり菌数が1.0×105 〜5.0×10
5 となるよう調製した。 (4)試料の調製 検体を中性洗剤/イオン交換水で洗った後、70°Cで
乾燥させ、180°C、3時間乾熱滅菌したものを試料
とした。 (5)試験操作 各試料(50×50×1〜3mm)の試験面に菌液0.
1mlをそれぞれ滴下し、その上にポリエチレンフィル
ムをかぶせ、密着させた。これらを透明プラスチック容
器内にセットして35±1°C、相対湿度90%以上の
条件下で蓋をしたまま上からブラックライトを照射(照
射距離9cm)しながら2時間保存した。なお、比較の
ため暗(ブラックライト照射なし)試験を実施した。ま
た、ポリエチレンフィルムを対照試料とし、同様に試験
した。 (6)生菌数の測定 保存4時間後に、生理食塩水を用いて試料から生残菌を
洗い出し、この洗い出し液の生菌数をNA培地を用いた
寒天平板培養法(混釈法、35°C、1日間培養)によ
り測定し、試料1個当たりに換算した。また、接種直後
の測定は対照試料で行った。
【0034】表2から明らかなように、No.1〜N
o.8は本発明で定めた範囲の組成を有するフェライト
系ステンレス鋼(供試材A)を用い、適正な条件で加熱
処理を行った本発明例であり、鋼表面にアナターゼ型結
晶形TiO2 からなる0.1μm以上の適正な厚さのT
iO2 濃度が3%〜20%未満の抗菌性に優れた皮膜が
形成されているのが判る。
【0035】これに対して、Ti含有量が本発明で定め
た範囲の組成から外れるTiが0.1重量%に満たない
供試材Bを用いた比較例(No.9、No.10)で
は、加熱温度、加熱時間、加熱雰囲気の条件が本発明の
範囲内であっても、生成するアナターゼ型結晶形Ti酸
化皮膜の厚さが0.1μmに達せず、十分な抗菌効果が
得られない。
【0036】また、供試材Aでも、加熱温度高い(85
0°C以上)比較例(No.11〜No.13)では、
Ti酸化皮膜の厚さは0.1μm以上で且つTiO2
度が20原子%以上であっても抗菌効果が得られていな
い。これは加熱温度が高いため、抗菌性の低いルチル型
結晶形のTiO2 が生成されたためである。但し、加熱
温度が高くても加熱時間を長くした比較例No.14で
は、アナターゼ型結晶形Ti酸化皮膜の厚みが厚く、T
iO2 濃度も高くなり、抗菌性を示す場合もあるが、生
産性の低下を招いてしまう。
【0037】なお、本発明の条件で製造した鋼板でも光
を照射しない比較例(No.15)では、光触媒効果が
発現しないので抗菌性も見られない。
【0038】
【発明の効果】上記の説明から明らかなように、鋼板表
面にアナターゼ型結晶形のTiO2 被膜を所定厚さ以上
生成するようにしたので、TiO2 層の密着性、耐溶出
性、耐剥離性及び成形時の加工性に優れ、安価で量産も
可能にすることができるのは勿論のこと、皮膜中のTi
2 濃度がそれほど高くなくても光触媒効果による抗菌
性、脱臭性及び防汚性を確実に付与することができると
いう効果が得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 星野 俊幸 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 (72)発明者 本田 厚人 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 (72)発明者 森戸 延行 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 Fターム(参考) 4H011 AA02 BA01 BB18 BC18

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 0.1〜2.0重量%のTiと11〜1
    8重量%のCrとを含有するフェライト系ステンレス鋼
    において、Tiを3原子%以上20原子%未満を含む厚
    み0.1μm以上のアナターゼ型結晶形TiO2 皮膜を
    表面に有することを特徴とするフェライト系ステンレス
    鋼。
  2. 【請求項2】 純度が99.9〜99.999%の不活
    性ガス中、露点が0〜−60°Cに設定された100体
    積%のH2 ガス中又は露点が0〜−60°Cに設定され
    た90体積%以上のH2 と不活性ガスとの混合ガス中の
    雰囲気で、0.1〜2.0重量%のTiと11〜18重
    量%のCrとを含有するフェライト系ステンレス鋼に対
    して、600°C以上850°C未満の温度で0.5〜
    8時間の熱処理を行うことを特徴とするフェライト系ス
    テンレス鋼の製造方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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