JP2000086697A - 新規蛋白質、その製造法及び用途 - Google Patents

新規蛋白質、その製造法及び用途

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JP2000086697A
JP2000086697A JP10274408A JP27440898A JP2000086697A JP 2000086697 A JP2000086697 A JP 2000086697A JP 10274408 A JP10274408 A JP 10274408A JP 27440898 A JP27440898 A JP 27440898A JP 2000086697 A JP2000086697 A JP 2000086697A
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ocif
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protein
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English (en)
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Yukinao Kobayashi
之直 小林
Shigeyuki Haketa
慈之 羽毛田
Kyoji Yamaguchi
京二 山口
Hideyori Tsuda
英資 津田
Kanji Too
侃二 東尾
Takashi Miyata
隆 宮田
Takeo Yamada
多啓男 山田
Masayoshi Kumegawa
正好 久米川
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Sankyo Co Ltd
Snow Brand Milk Products Co Ltd
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Sankyo Co Ltd
Snow Brand Milk Products Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 破骨細胞傾城抑制因子(OCIF)に親和性を有
し、特異的に結合する新規蛋白質及びその製造法の提
供。 【解決手段】 新規蛋白質は、成熟破骨細胞の膜画分を
可溶解化し、OCIF固定化カラムを用いて精製するこ
とにより得ることができる。分子量約14万 (非還元条件
下、SDS-ボリアクリルアミドゲル電気泳動法による) 。
この新規蛋白質あるいはそれを発現する細胞を用いて破
骨細胞の骨吸収活性を誘導及び/又は阻害する物質をス
クリーニングすることができる。また、この新規蛋白質
あるいはスクリーニングされた物質は、骨代謝異常の研
究、診断用試薬、医薬等として用いることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、成熟破骨細胞の膜
画分から得られる、破骨細胞形成抑制因子 (osteoclast
ogenesis inhibitory factor; OCIF)に結合する新規な
蛋白質に関する。また、本発明は、成熟破骨細胞の膜画
分から、この新規な蛋白質を製造する方法に関する。さ
らに、本発明は、この新規蛋白質あるいはこの新規蛋白
質を発現している細胞を用いてこの発現を誘導又は阻害
する物質をスクリーニングする方法に関する。また、さ
らに本発明は、この新規蛋白質あるいはこれを用いてス
クリーニングされた物質を有効成分とする医薬に関す
る。本発明の新規な蛋白質あるいはスクリーニングされ
た物質は、骨代謝異常の治療、研究及び診断用試薬とし
て有用である。
【0002】
【従来の技術】骨代謝は、骨形成を担当する骨芽細胞と
骨吸収を担当する破骨細胞により制御されている。骨形
成と骨吸収の均衡が崩れることにより、骨代謝異常が発
生すると考えられている。骨代謝の異常による疾患とし
ては、骨粗鬆症、高カルシウム血症、骨ページェット
病、腎性骨異栄養症、慢性関節リューマチ、及び変形性
関節炎などが知られている。これらの骨代謝異常疾患の
代表として知られる骨粗鬆症は、破骨細胞による骨吸収
が骨芽細胞による骨形成を上まわることにより発生する
疾患であり、骨の石灰質と骨基質が等しく減少すること
を特徴とする。 この疾患の発生メカニズムについては
未だ完全に解明されていない。また、この疾患は骨の疼
痛が発生し、骨の脆弱化による骨折が起こる疾患であ
る。高齢人口の増加に伴い、骨折による寝たきり老人の
原因となるこの疾患は社会問題にもなっており、その治
療薬の開発が急務となっている。このような骨代謝異常
による骨量減少症は、その治療薬の開発が急務となって
いる。このような骨代謝異常による骨量減少症は、骨吸
収の抑制、骨形成の促進、あるいはこれらのバランスの
改善により治療できることが期待される。即ち、骨形成
は、骨形成を担当する骨芽細胞の増殖、分化、機能を促
進すること、破骨細胞前駆細胞からの破骨細胞への分
化、成熟を抑制すること、あるいは破骨細胞の骨吸収活
性などの機能を抑制することにより促進されると期待さ
れる。このような活性を有するホルモン、低分子物質、
あるいは生理活性蛋白質について、現在精力的な探索及
び開発研究が進められている。
【0003】骨に関わる疾患の治療及び治療期間の短縮
を図る医薬品として、既にカルシトニン製剤、活性型ビ
タミンD3製剤、エストラジオールを含有するホルモン製
剤、イプリフラボン、ビタミンK2、ビスフォスフォネー
ト系化合物などがあり、さらに、より副作用が少なく、
有効性に優れた治療薬の開発を目指して、活性型ビタミ
ンD3誘導体、エストラジオール誘導体、第2世代又は第
3世代のビスフォスフォネート系化合物などの臨床試験
が実施されている。しかし、これらの薬剤を用いた治療
法は、その効果並びに治療結果において必ずしも満足で
きるものではなく、より安全かつ有効性の高い新しい治
療薬の開発が期待されている。又、骨代謝疾患の治療に
使用されている薬剤の中には、その副作用により治療可
能な疾患が限定されているものもある。更に現在、骨粗
鬆症などの骨代謝疾患の治療は、複数の薬剤を同時に使
用する多剤併用療法が主流になってきている。このよう
な観点から、従来の医薬品とは異なった作用メカニズム
を持ち、しかもより有効性が高くかつ副作用の少ない医
薬品の開発が期待されている。
【0004】本発明者らは、このような状況に鑑み鋭意
探索を進めた結果、ヒト胎児肺線維芽細胞、IMR-90 (AT
CC CCL186)の培養液中に破骨細胞形成抑制因子 (osteoc
lastogenesis inhibitory factor, OCIF)を見出した
(WO96/26217号公報)。引き続き、本発明者らは、OC
IFのcDNAクローニング、動物細胞を用いた遺伝子組み
換え型OCIFの生産、遺伝子組み換え型OCIFによ
in vivo薬効 (骨代謝改善効果) の確認などに成功し
た(WO96/26217号公報)。OCIFは、従来の医薬品よ
りも有効性が高くかつ副作用が少ない、骨代謝異常に関
連する疾患の予防及び治療剤として期待されている。
【0005】前述したように、骨代謝を担当する細胞は
骨芽細胞と破骨細胞である。これらの細胞は互いに密接
に相互作用していることが知られており、この現象はカ
ップリングと呼ばれている。即ち、破骨細胞の分化、成
熟には骨芽細胞様ストローマ細胞が分泌するサイトカイ
ン類、インターロイキン1 (IL-1)、3 (IL-3)、6 (IL-
6)、11 (IL-11)、顆粒球コロニー刺激因子 (GM-CSF) 、
マクロファージコロニー刺激因子 (M-CSF)、インターフ
ェロンガンマー(IFN−γ) 、TNF-α、トランスジェニッ
クフォーミング増殖因子β(TGF−β) などが促進的又は
抑制的に作用することが報告されている。骨芽細胞様ス
トローマ細胞は、未熟な破骨細胞前駆細胞や破骨細胞と
の細胞間接着により、それぞれ破骨細胞の分化、成熟や
成熟破骨細胞による骨吸収などの機能に重要な役割を演
じていることが知られている。一方、成熟破骨細胞に作
用し、その骨吸収活性を抑制する物質として、カルシト
ニン、エストラジオール、ビタミンK及びビスフォスフ
ォネートなどが知られている。しかしながら、カルシト
ニンはエスケープ現象の出現、エストラジオールは子宮
への作用による発癌の危険性、またビスフォスフォネー
トは骨組織への蓄積性等の問題があり、医薬品として必
ずしも満足できるものではなく、より副作用が少なく、
有効性に優れた治療薬の開発が望まれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは上述の状
況に鑑み、より副作用が少なく、有効性に優れた骨代謝
異常に関連する疾患の予防及び/又は治療剤を求め鋭意
探索した結果、破骨細胞形成抑制因子OCIFは成熟破
骨細胞に特異的に結合することにより成熟破骨細胞の骨
吸収を用量依存的に抑制することを見出し、さらにOC
IFに結合する新規な蛋白質を見出した。従って本発明
は、破骨細胞形成抑制因子OCIFに結合する新規蛋白
質、その製造方法、該蛋白質を用いて該蛋白質に結合
し、その機能を促進及び/又は阻害する物質のスクリー
ニング方法、及びこれらの蛋白質あるいはスクリーニン
グにより得られた物質を有効成分とする医薬、特に骨代
謝異常症治療剤を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、破骨細胞形成
抑制因子OCIFに結合する新規な蛋白質に関する。ま
た、本発明は、成熟破骨細胞から膜画分を調製し、界面
活性剤で膜蛋白質を可溶化し、OCIF固定化アフィニ
ティカラムを用いて精製することよりなる、該蛋白質の
製造方法に関する。また、本発明は、該蛋白質を細胞表
面に発現している動物細胞を用いて、その発現を誘導及
び/又は阻害する物質をスクリーニングする方法に関す
る。さらに、本発明は、該蛋白質を用いて、該蛋白質と
特異的に結合し破骨細胞の骨吸収活性を促進及び/又は
阻害する物質をスクリーニングする方法に関する。さら
にまた、本発明は、該蛋白質に結合しOCIFによる破
骨細胞の骨吸収抑制活性を促進及び/又は阻害する物質
をスクリーニングする方法に関する。又、該蛋白質に対
する抗体に関する。さらに、本発明は、該蛋白質又は該
スクリーニングにより得られた物質を含有する医薬に関
する。また、医薬として特に、骨代謝異常症治療剤に関
する。本発明は、骨代謝異常症の研究及び診断用試薬、
あるいは医薬として有用である。尚、本発明のスクリー
ニング方法により得られた物質は、本発明蛋白質の発現
を誘導及び/又は阻害、あるいは該蛋白質に結合しその
活性を促進及び/又は阻害するのみでなく、その発現あ
るいは活性が低い時には高め、高いときには低めるよう
な「調節する」(modulate)機能を有するものも含む。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の蛋白質は、次の物理化学
的性質及び生理的機能を示す。 a.親和性 :(i) 破骨細胞形成抑制因子 (osteoclastogen
esis inhibitory factor; OCIF) に親和性を有し、特異
的に結合する。 (ii) OCIFのN末端に存在するシステインに富む4
つの領域に結合する。 b.分子量 :(i) 非還元化条件下におけるSDS-ポリアクリ
ルアミドゲル電気泳動による分子量測定で、約 140,000
±10,000 kDaの分子量を示す。 (ii) モノマータイプのOCIFとクロスリンクさせた
場合の見かけ上の分子量は、約 200,000±20,000を示
す。 c.生理的機能: OCIFの活性を抑制する活性を有す
る。
【0009】本発明の蛋白質は破骨細胞上に発現してお
り、分離した破骨細胞から得ることができる。破骨細胞
の回収は、哺乳動物、例えばマウス、ラット、ウサギ、
ヒトなど、好ましくはウサギの全骨細胞をコラーゲンゲ
ル上に播種し、プロナーゼ/EDTA、希釈コラゲナー
ゼ処理で破骨細胞以外の細胞を除去した後、コラゲナー
ゼ処理し破骨細胞のみを回収することにより、純度95%
以上の純粋な破骨細胞を得ることができる。このように
して得られた破骨細胞は、使用するまでの間-80 ℃で保
存しておくことができる。本発明の蛋白質は、このよう
にして得られた細胞の膜画分から精製することにより、
効率良く精製することができる。膜画分の調製は、細胞
内器官の分画に利用される通常の方法に従って行うこと
ができる。膜画分の調製に使用する緩衝液には、好まし
くは各種プロテアーゼ阻害剤を添加する。添加するプロ
テアーゼ阻害剤としては、例えばPMSF、APMSF 、EDTA、
o-フェナントロリン、ロイペプチン、ペプスタチンA、
アプロチニン、大豆トリプシンインヒビター等のセリン
プロテアーゼ阻害剤、チオールプロテアーゼ阻害剤、又
はメタロプロテアーゼ阻害剤などが挙げられる。細胞の
破砕には、Daunceホモジナイザー、ポリトロンホモジナ
イザー、超音波破砕装置などを用いることができる。破
砕した細胞は0.5 M シュクロースを加えた緩衝液に懸濁
させ、 600×gで10分間遠心分離することにより、細胞
核と未破砕の細胞を沈澱画分として分離することができ
る。得られた上清を 150,000×gで90分間遠心分離する
ことにより、沈澱画分として膜画分を得ることができ
る。このようにして得た膜画分を各種の界面活性剤で処
理することにより、細胞膜に存在する本発明蛋白質を効
率良く可溶化し、抽出することができる。可溶化に用い
る界面活性剤としては、細胞膜蛋白質の可溶化に一般的
に使用されている各種界面活性剤、例えばCHAPS (3-
[(3-cholamidopropyl)-dimethylammonio]-1-propanesul
fonate) 、Triton X-100、Nikkol、n−オクチルグリコ
シドなどを用いることができる。好ましくは、0.5 % C
HAPSを添加して4℃で2時間攪拌し、本発明蛋白質を可
溶化するのが良い。このようにして調製したサンプル
を、 150,000×gで60分間遠心分離し、その上清を可溶
化膜画分して得ることができる。
【0010】このようにして得られた可溶化膜画分か
ら、OCIFを固定化したカラム、ゲル、樹脂などを用
いることにより、本発明の蛋白質を効率よく精製するこ
とができる。固定化に使用するOCIFとしては、WO96
/26217号公報記載の方法に従って、ヒト胎児肺線維芽細
胞、IMR-90 (ATCC CCL186)の培養液から単離したもの、
あるいは遺伝子工学的手法により得られたもの(遺伝子
組み換え型OCIF、rOCIF)を使用することがで
きる。これらのrOCIFはヒト、ラット、あるいはマ
ウスのcDNAを常法に従って発現ベクターに組み込み、CH
O 細胞、 BHK21細胞、Namalwa 細胞などの動物細胞ある
いは昆虫細胞などで発現させ、精製することにより得る
ことができる。このようにして得られたOCIFは、分
子量約60 kDa(モノマー型)と120 kDa (ダイマー型)
の分子量を示すが、固定化にはいずれのタイプのOCI
Fも使用することができる。OCIFを固定化するため
のゲルあるいは樹脂としては、例えばECH セファロース
4B、EAH セファロース4B、チオプロピルセファロース6
B、CNBr- 活性化セファロース4B、活性化CHセファロー
ス4B、エポキシ活性化セファロース6B、活性化チオール
セファロース4B (ファルマシア社) 、TSKgel AF-エポキ
シトヨパール650 、TSKgel AF-アミノトヨパール650 、
TSKgel AF-フォルミルトヨパール650 、TSKgel AF-カル
ボキシトヨパール650 、TSKgel AF-トレシルトヨパール
(東ソー社)、アミノ−セルロファインカルボキシ−セ
ルロファイン、FMP 活性化セルロファイン、フォルミル
−セルロファイン(生化学工業社)、アフィゲル10、ア
フィゲル15、アフィプレップ10(BioRad社)などを用い
ることができる。又、OCIFを固定化するためのカラ
ムとしては、例えばHiTrap NHS-activatedカラム(ファ
ルマシア社)、TSKgel Tresyl-5PW (東ソー社)などを
用いることができる。
【0011】HiTrap NHS-activatedカラム(1 ml、ファ
ルマシア社) を用いたOCIFの固定化法として、具体
的には以下の方法を挙げることができる。即ち、OCI
F 13.0 mgを含む0.2 M NaHCO3/0.5 M NaCl (pH 8.3)溶
液 1 ml をカラムに添加し、室温で30分間カップリング
反応させる。次いで、0.5 M エタノールアミン/0.5 MNa
Cl (pH 8.3)と0.1 M 酢酸/0.5 M NaCl (pH 4.0)を流
し、再度0.5 M エタノールアミン/0.5 M NaCl (pH 8.3)
に置き換え、室温で1時間放置し、過剰な活性基を不活
性化する。その後、0.5 M エタノールアミン/0.5 M NaC
l (pH 8.3)と0.1M 酢酸/0.5 M NaCl (pH 4.0)でそれぞ
れ2度洗浄し、50 mM Tris/1M NaCl/0.1% CHAPS緩衝
液 (pH 7.5) で置換することにより、OCIF固定化カ
ラムを作製する。このようにして作製したOCIF固定
化カラムやOCIF固定化ゲルあるいは樹脂などを用
い、本発明の蛋白質を効率よく精製することができる。
本発明の蛋白質の精製中での分解を防ぐために、精製に
用いる緩衝液にも前述の各種プロテアーゼ阻害剤を添加
するとよい。本発明の蛋白質は、上記の可溶化膜画分を
OCIF固定化カラムに負荷する、あるいはOCIF固
定化ゲル又は樹脂などと混合して攪拌することによって
吸着させ、酸、各種蛋白質変性剤、カコジレートバッフ
ァーなどによってOCIF固定化カラム、ゲルあるいは
樹脂などから溶出させることできる。好ましくは、本発
明の蛋白質の変性を最小限に抑えるため、酸を用いて溶
出し直ちに中和するとよい。溶出に用いる酸性緩衝液と
しては、例えば0.1 M グリシン−塩酸緩衝液 (pH 3.0)
、0.1 M グリシン−塩酸緩衝液 (pH2.0) 、及び0.1 M
クエン酸ナトリウム緩衝液 (pH 2.0) などを用いること
ができる。好ましくは、0.1 M グリシン−塩酸緩衝液が
用いられる。
【0012】このようにして得られた本発明の蛋白質
は、生物試料からの蛋白質の精製に汎用される通常の方
法を用いて、本発明の蛋白質の物理化学的性質を利用し
た各種の精製操作により更に精製することができる。本
発明の蛋白質溶液の濃縮には、限外濾過、凍結乾燥、又
は塩析など、通常蛋白質の精製過程で用いられる手法が
挙げられる。好ましくは、Centricon-10 (BioRad社) な
どを用いた遠心による限外濾過が用いられる。又、精製
手段としては、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾
過クロマトグラフィー、疎水クロマトグラフィー、逆相
クロマトグラフィー、調製用電気泳動などを用いた通常
の蛋白質の精製に利用される各種の手法を組み合わせて
用いることができる。本発明の蛋白質は分子量が約 14
0,000±10,000 (SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動
法による) と大きいため、Superose 12 カラム(ファル
マシア社)などを用いたゲル濾過クロマトグラフィーを
用いて精製するのが好ましい。又、精製過程中の本発明
の蛋白質の同定は、固定化OCIFとの結合活性、ある
いはOCIFとの結合物を抗OCIF抗体による免疫沈
降後、SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAG
E)で分析することにより同定できる。
【0013】純化した本発明の蛋白質の分子量は、ゲル
濾過クロマトグラフィーやSDS-PAGEなどを用いて測定さ
れる。より正確に分子量を測定するためには、SDS-PAGE
を用いるのが好ましい。本発明の蛋白質は、非還元条件
下でのSDS-PAGEで約140,0000±10,000の分子量を有し、
またモノマータイプのOCIFとクロスリンクさせた場
合、200,000±20,000の分子量を有する蛋白質として特
定される。OCIFに特異的に結合する蛋白質 (OCIF b
inding protein; OBP)はすでに同定されており、OBP
は活性型ビタミンD3 や副甲状腺ホルモン (PTH)の
ような骨吸収因子およびデキサメサゾンの存在下で培養
した骨芽細胞様ストローマ細胞上に発現していることが
認められている。OBPはモノマータイプのOCIFと
クロスリンクさせた場合は、約100,000 の見かけの分子
量を有する蛋白質として特定されている(Yasuda et a
l., Endocrinology, 139, 1329-1337(1998))。また、こ
のOBPは破骨細胞分化誘導活性を有する蛋白質である
ことから、破骨細胞分化誘導因子(Osteoclast differen
tiation factor; ODF)と名付けられ、その遺伝子(cDNA)
もすでにクローニングされており、SDS-PAGEで約40,000
の蛋白質として特定されている (Yasuda et al., Proc.
Natl. Acad. Sci. U.S.A. 95,3597-3602 1998))。本発
明のOCIFに結合する蛋白質は、成熟破骨細胞に発現
しており発現細胞株が異なること、また本発明蛋白質単
独あるいはモノマータイプのOCIFとクロスリンクし
た時の分子量も明らかに異なることから、新規な蛋白質
として特定される。本発明の蛋白質のOCIFへの特異
的結合は、OCIFを標識し、その標識体の本発明の蛋
白質を細胞表面に発現している動物細胞への結合性を試
験することによって評価することができる。OCIF
は、放射性同位元素による標識や蛍光標識などのような
通常の蛋白質標識法を用いることによって標識すること
ができる。例えば、OCIFの放射性同位元素による標
識としてチロシン残基の 125I標識が挙げられ、ヨード
ジェン法、クロラミンT法、及び酵素法などの標識法を
利用することができる。このようにして得た標識OCI
Fを用いたOCIFの動物細胞膜表面への結合試験は、
WO96/26217号公報記載の方法に従い実施することがで
き、又、結合試験に用いる標識OCIFの 100倍から 4
00倍濃度の未標識OCIFを添加することにより、非特
異的な結合量を測定することができる。OCIFの特異
的結合量は、標識OCIFの総結合量から非特異的な結
合量を差し引くことにより算出される。
【0014】OCIF結合蛋白質を発現している動物細
胞は、上記のような 125I標識OCIFを用いた特異的
結合試験により調べることができる。本発明の蛋白質
は、ウサギの全骨細胞から分離した破骨細胞上に発現さ
れる蛋白質として特定される。また、OCIFはこの破
骨細胞上に発現される本発明の蛋白質に結合することに
より、用量依存的に破骨細胞による骨吸収を抑制するこ
とから、本発明の蛋白質は、OCIFの結合を通して破
骨細胞の骨吸収活性を抑制するシグナルを伝達する生理
的機能、即ち、OCIFの活性を抑制する活性を有する
蛋白質として特定される。
【0015】本発明の蛋白質を利用することにより、
本発明の蛋白質を発現している細胞を用い、本発明の蛋
白質の発現を誘導及び/又は促進する物質のスクリーニ
ング、本発明の蛋白質に結合し、破骨細胞による骨吸
収を抑制する物質(アンタゴニスト)のスクリーニン
グ、本発明の蛋白質に結合し、破骨細胞による骨吸収
を活性化させる物質 (アゴニスト) のスクリーニングな
ど、骨代謝異常症治療薬として有用な物質のスクリーニ
ングが可能である。具体的には、既に増血ホルモンであ
るエリスロポエチン (EPO)のレセプターを用い、多様性
に富んだペプチドライブラリーからEPO 様活性を発現す
る低分子ペプチドアゴニストのスクリーニング、その立
体構造解析、及びその立体構造に基づいた有機合成展開
によるEPO活性を発現する低分子物質(アゴニスト)の
創製がすでに行われている(Nicholas et al.: Science
273, 458-463, 1996) 。EPO 以外に、トロンボポエチン
(TPO)についてもそのレセプターであるc-mpl を用い、
低分子ペプチドライブラリーからTPO と同じモル数(10
0 pmol)でTPO 活性(血小板増強活性))発現する低分
子ペプチド(アゴニスト)が得られている(Steven E.
C. et al.: Science 276, 1696-1698, 1997)。このよう
に、生理活性を有する蛋白質に対するレセプターを用い
て、その蛋白質と同様の活性を有するペプチドあるいは
化合物などの低分子アゴニストをスクリーニングするコ
ンビナトリアルケミストリーの手法を応用することに本
発明の蛋白質に特異的に結合し、破骨細胞による骨吸収
活性を阻害あるいは増強する物質をスクリーニングする
ことができ、生体の骨代謝機構に基づいた新規の骨代謝
異常症治療薬の開発が可能である。本発明の蛋白質を用
いたコンビナトリアルケミストリーにおいて、アンタゴ
ニストあるいはアゴニストの探索に必要なペプチドライ
ブラリーは、具体的には以下の2つの方法で作製するこ
とができる。その一つにスプリット法が挙げられる。即
ち、合成担体 (ビーズ) にそれぞれのアミノ酸 (ユニッ
ト) を結合させたものを各ユニット毎、別々に合成す
る。この合成された担体を一度全て混合し、次にユニッ
トの数に等分し、次のユニットをまた各々結合させる。
この操作をn回繰り返すことにより、担体にn個のユニ
ットが結合したライブラリーが作製される。このように
合成したものは、一つの担体群には一種類の配列しか合
成されないので、本発明の蛋白質を用いた上記スクリー
ニング法で陽性を示した担体群を選びだし、そのアミノ
酸配列を決定すればよい。
【0016】又、別の方法として、ファージディスプレ
イ法を用いることもできる。この方法は、ランダムなペ
プチドをコードする合成遺伝子をファージで発現させる
もので、前述のスプリット法による上記合成ライブラリ
ーに比べ、ライブラリー中の分子数を多く出来るという
利点があるものの、ファージが嫌う配列はライブラリー
に存在し得ず、分子数当たりの多様性が低いという欠点
がある。ファージディスプレイ法でもスプリット法同様
に、本発明の蛋白質を用いたスクリーニング系を利用
し、それに特異的に結合するファージをパニングにより
濃縮し、得られた特異的結合を有するファージを純化
し、それぞれを大腸菌に感染、増幅し、それぞれのペプ
チドをコードするDNAの塩基配列を決定すればよい。
更に、上記スクリーニングにおいて、ペプチドライブラ
リーから本発明の蛋白質に特異的でかつ高親和性のペプ
チドをスクリーニングしたい場合には、スクリーニング
時にOCIFを共存させ、その濃度を徐々に上げなが
ら、陽性を示した担体あるいはファージをスクリーニン
グすることにより、特異的かつ極めて高親和性のペプチ
ドを得ることができる。より具体的には、本発明の蛋白
質を10μg/mlとなるように0.1M重炭酸ナトリウムに溶解
し、その溶液を 100μl ずつ96ウェルプレートの各ウェ
ルに添加し、4℃で一夜放置して本発明蛋白質を各ウェ
ルに固相化する。各ウェルの溶液を捨て、0.5 %の牛血
清アルブミン及び0.02%アジ化ナトリウムを含む重炭酸
ナトリウム(pH8.6) を各ウェルに 200μl ずつ添加し、
96ウェルプレートを少なくとも4℃で1時間以上放置し
て各ウェルをブロッキングする。次いで、各ウェルを
0.1%ポリソルベート20を含む50mMトリス−塩酸緩衝液
(TBST)で6〜10回洗浄し、7個のアミノ酸あるいは15個
のアミノ酸からなるランダムな配列をコードする合成遺
伝子をファージに発現させたペプチドライブラリー(ペ
プチド中に2つあるいはそれ以上のシステインを含むの
でS−S結合したペプチドが得られる)を作製する。ラ
ンダムなアミノ酸配列を有するペプチドを発現したファ
ージを1mlのTBSTで希釈し、それぞれのファージ希釈液
100μl を上記の本発明蛋白質を固相化した各ウェルに
加え、室温で2時間放置する。ファージ液を捨てた後、
各ウェルをTBSTで10回以上洗浄し、ウェルに結合しない
ファージを除去する。洗浄後、各ウェルに結合したファ
ージを酸性下(例えば1mg/ml BSA を含む0.2Mグリシン
−塩酸緩衝液、pH2.2)で回収する。回収したそれぞれの
ファージを大腸菌に再感染させ、ファージを増幅した
後、得られたファージをさらに上記のように本発明蛋白
質を固相化した96ウェルプレートの各ウェルに添加し、
上記の操作を繰り返して本発明蛋白質に特異的に結合す
るペプチドを発現したファージを濃縮する(これら一連
の操作をパニングと称する)。
【0017】また、上記のパニング過程において、各ウ
ェルに固相化する本発明蛋白質量を低下させたり、ある
いはファージの洗浄除去の過程で段階的にOCIF濃度
を上げたTBSTで洗浄することにより、より本発明蛋白質
に特異的かつ高親和性のペプチドを発現するファージを
選択することができる。かくして得られた本発明蛋白質
に特異的に結合するペプチドをコードする遺伝子の塩基
配列を決定する。この遺伝子の塩基配列に基づき、目的
のペプチドを合成する。合成したペプチドを本発明に記
載のように純粋分離した成熟破骨細胞に加えて、破骨細
胞の象牙切片における骨吸収活性に及ぼす合成ペプチド
の影響を調べ、破骨細胞の骨吸収活性を阻害及び/又
は修飾するペプチド、あるいはOCIFによる破骨細
胞の骨吸収抑制活性を阻害及び/又は修飾するペプチド
を選択する。かくして得られたペプチドと同じような生
物活性を有する低分子化合物は、これらペプチドの立体
構造を機器分析により決定し、この立体構造をミミック
した物質を化学合成することにより得ることができる。
又、このようにして得られた低分子ペプチドの立体構造
を解析し、それを基に有機合成展開することにより同様
の活性を有する低分子化合物を得ることもできる。
【0018】本発明の蛋白質に対する抗体は、本発明の
蛋白質あるいはその加水分解ペプチドなどを免疫原とし
て、常法により作製される。これらの抗原を用いて、ま
た必要に応じ免疫アジュバントを併用して、適当な哺乳
動物を免疫し、その血清から常法により精製することに
より、本発明の蛋白質に対するポリクローナル抗体を得
ることができる。又、免疫された動物から脾臓細胞を採
取し、常法(KoehlerG. et al., Nature, 256, 495-49
7, 1975)によりミエローマ細胞株と細胞融合させハイブ
リドーマを作製し、本発明の蛋白質に対する抗体を産生
するハイブリドーマを選択することにより、本発明の蛋
白質に対するモノクローナル抗体を得ることができる。
得られたポリクローナルあるいはモノクローナル抗体を
アイソトープや酵素で標識することにより、ラジオイム
ノアッセイ(RIA) やエンザイムイムノアッセイ(EIA) の
測定系に使用することができる。この測定系を用いるこ
とにより、血液や腹水などの生体試料や細胞培養液など
に含まれる可溶化された本発明の蛋白質の濃度を容易に
測定できる。又、この抗体の性質から、骨粗鬆症などの
骨量減少症、リウマチ、変形性関節症、又は多発性骨髄
種などの骨代謝異常疾患、あるいはこれらの骨代謝異常
疾患に伴う高カルシウム血症などの骨代謝疾患治療剤と
して用いることもできる。さらに、前述のスクリーニン
グ方法において、本発明の蛋白質とOCIFの結合の検
出に用いることもできる。
【0019】本発明の蛋白質は、その活性から大理石病
などの治療及び改善を目的とした医薬組成物、あるいは
このような疾患の免疫学的診断を確立するための抗原、
さらには上述のスクリーニングなどに用いる生化学試薬
として有用である。本発明の蛋白質及びスクリーニング
する方法により得られた物質は、製剤化して経口あるい
は非経口的に、ヒトあるいは動物に対して安全な薬剤と
して投与することができる。非経口的投与には、例えば
静脈注射、筋肉内注射、皮下注射、腹腔内注射、経皮投
与、経肺投与、経鼻投与、経腸投与、口腔内投与、経粘
膜投与等が挙げられ、これらの製剤が投与される。例え
ば注射剤、坐剤、エアゾール剤、経皮吸収テープなどが
挙げられる。経口投与製剤として例えば錠剤(糖衣錠、
コーティング錠、バッカル錠を含む)、散剤、カプセル
剤(ソフトカプセルを含む)、顆粒剤(コーティングさ
れたものも含む)、丸剤、トローチ剤、液剤、又はこれ
らの製剤学的に許容され得る徐放化製剤等が挙げられ
る。経口投与用液剤には懸濁剤、乳剤、シロップ剤(ド
ライシロップを含む)、エリキシル剤などが挙げられ
る。これらの製剤は公知の製剤学的製法に準じ、製剤と
して薬理学的に許容され得る担体、賦形剤、崩壊剤、滑
沢剤、着色剤等と共に医薬組成物として投与される。こ
れらの製剤に用いる担体や賦形剤としては、例えば乳
糖、ブドウ糖、白糖、マンニトール、馬鈴薯デンプン、
トウモロコシデンプン、炭酸カルシウム、リン酸カルシ
ウム、硫酸カルシウム、結晶セルロース、カンゾウ末、
ゲンチアナ末など、結合剤としては例えばデンプン、ト
ラガントガム、ゼラチン、シロップ、ポリビニルアルコ
ール、ポリビニルエーテル、ポリビニルピロリドン、ヒ
ドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチ
ルセルロース、カルボキシメチルセルロースなど、崩壊
剤としては例えばデンプン、寒天、ゼラチン末、カルボ
キシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセ
ルロースカルシウム、結晶セルロース、炭酸カルシウ
ム、炭酸水素ナトリウム、アルギン酸ナトリウムなど、
滑沢剤としては例えばステアリン酸マグネシウム、タル
ク、水素添加植物油、マクロゴールなど、着色剤として
は医薬品に添加することが許容されているものを、それ
ぞれ用いることができる。錠剤、顆粒剤は必要に応じ白
糖、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、精製セ
ラック、ゼラチン、グリセリン、ソルビトール、エチル
セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキ
シプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、
フタル酸セルロースアセテート、ヒドロキシプロピルメ
チルセルロースフタレート、メチルメタクリレート、メ
タアクリル酸重合体などで被膜しても良く、又これらの
2種以上を用いた層で被膜しても良い。さらにエチルセ
ルロースやゼラチンのような物質のカプセルでも良い。
又、注射剤を調製する場合は、主薬に必要に応じpH調
整剤、緩衝剤、安定化剤、可溶化剤などを添加して、常
法により各注射剤とする。
【0020】
【実施例】以下の実施例をもって本発明をより詳細に説
明するが、これらは単に例示するのみであり、本発明は
これらによって何ら限定されるものではない。
【0021】
【実施例1】本発明の蛋白質の製造 (1) 破骨細胞の調製 氷冷した容器中で、 0.3%のタイプI型コラーゲン溶液
(新田ゼラチン社)8ml を10倍濃度のα-MEM(ギブコ
BRL社)及び2.2 % NaHCO3 を含む0.2 M HEPES/NaOH
(pH 7.4) の各々1mlと素早く混合し、その混合液3ml
を100 mm径の組織培養用ディシュに加えた。37℃で3時
間保温し、ゲルがポリメライズした後、5% FBSを含む
α-MEMをそのゲル上に添加し、そのゲルを使用するまで
5% CO2インキュベーター内で保温した。ウサギ由来の
未分画骨細胞は、10日齢のウサギの脛骨、大腿骨、上腕
骨、尺骨、とう骨から調製した。ウサギ未分画骨細胞(1
×108cells)をコラーゲンゲル上に注ぎ込み、5% FBS
を含むα-MEM中で4時間培養した。非接着性細胞及び小
さな骨破片を保温したリン酸塩緩衝生理食塩水(PBS) で
洗い流した後、その培養を5mlの0.02% EDTA を含む
0.001%プロナーゼE溶液で室温、5分間処理し、非接
着性の増血細胞及びそのゲルに緩めに接着したストロー
マ細胞を除去した。次いで、PBS で3回洗浄した後、そ
の培養に 0.01%細菌由来コラゲナーゼを含むPBS 5ml
を加え、室温で5分間放置した。この希釈コラゲナーゼ
処理により、ゲル表面上のほとんどのストローマ細胞は
ほぼ完全に担体から剥がれるが、破骨細胞はなおゲル上
に保持される。PBS で数回洗浄した後、次いでその培養
を 0.1%細菌由来コラゲナーゼを含む PBS 5mlで、ゲル
上に残っている細胞が無くなるまで37℃で10分間消化し
た。低速遠心 (500 rpm 、2分間) により遊離した細胞
を集め、保温したPBSで洗浄して、ウサギ破骨細胞を
調製した。かくして得られた高純度の破骨細胞は、使用
するまで-80 ℃で保存した。
【0022】(2) 膜画分の調製と膜結合蛋白質の可溶化 高純度に単離した破骨細胞、容量約12 ml に、プロテア
ーゼ阻害剤(2mM APMSF, 2mMEDTA, 2mM o-phena
ntheoline ,1mM leupeptin, 1μg/ml pepstatin A及
び100 units/ml aprotinin) を含む10 mM トリス−塩酸
緩衝液 (pH 7.2) を3倍容量(36ml)加えた。ボルテッ
クスミキサーを用いて30秒間この細胞を激しく攪拌し
後、氷中で10分間放置した。次いでホモジナイザー(DO
UNCE TISSUE GRINDER, A syringe, WHEATON SCIENTIFIC
社)を用い、細胞を破砕した。この細胞破砕液に、上記
のプロテアーゼ阻害剤、0.5 M シュークロース、0.1 M
塩化カリウム、10 mM 塩化マグネシウム、及び2mM塩化
カルシウムを加えた10 mM トリス−塩酸緩衝液 (pH 7.
2) の等量 (48 ml)を加え、攪拌した後、4℃、 600×
gで10分間遠心した。この遠心分離により、細胞核と未
破砕の細胞を沈澱画分として分離した。遠心分離で得た
上清を4℃、 150,000×gで90分間遠心し、沈澱画分と
して破骨細胞の膜画分を得た。この膜画分に、上記のプ
ロテアーゼ阻害剤、150 mM塩化ナトリウム、及び0.1 M
シュクロースを含む10 mM トリス−塩酸緩衝液 (pH 7.
2) 8 mlを加えた後、20% CHAPA (3-[3-(cholamidoprop
yl)-dimethylammonio]-1-propanesulfonate、Sigma 社)
200 μl を加え、4℃で2時間攪拌した。この液を4
℃、 150,000×gで60分間遠心し、その上清を可溶化膜
画分として得た。
【0023】
【実施例2】本発明の蛋白質の精製 (1) OCIF固定化アフィニティーカラムの調製 HiTrap NHS-activated カラム (1ml, ファルマシア
社) 内のイソプロパノールを1mM塩酸で置換した後、WO
96/26217号公報に記載の方法で調製した遺伝子組み換え
型OCIF 13.0 mgを含む0.2 M NaHCO3/0.5 M NaCl (p
H 8.3)溶液1mlをシリンジ(5ml、テルモ社)を用いカ
ラムに添加した。室温で30分間カップリング反応させた
後、過剰な活性基を不活性化するため、0.5 M エタノー
ルアミン/0.5 M NaCl (pH 8.3)と0.1 M 酢酸/0.5 M NaC
l (pH 4.0)を3mlずつ交互に3回流し、再度0.5 M エタ
ノールアミン/0.5 M NaCl(pH 8.3) に置き換え室温で1
時間放置した。その後、0.5 M エタノールアミン/0.5 M
NaCl (pH 8.3)と0.1 M 酢酸/0.5 m NaCl (pH 4.0)で2
度洗浄し、1M NaCl及び0.1 % CHAPSを含む50 mM トリ
ス−塩酸緩衝液 (pH 7.5) に置換した。
【0024】(2) OCIF固定化アフィニティーカラム
による本発明の蛋白質の精製 OCIF結合蛋白質の精製は、特に記載しない限り4℃
で行った。前述のOCIF固定化アフィニティーカラム
を、実施例1−(2) 記載のプロテアーゼ阻害剤、0.15 M
塩化ナトリウム、及び0.5 % CHAPSを加えた10 mM トリ
ス−塩酸緩衝液(pH 7.2) で平衡化した。このカラム
に、実施例1−(2) で得られた可溶化膜画分約8mlを流
速0.01ml/分で負荷した。このカラムに、上記のプロテ
アーゼ阻害剤、0.15 M塩化ナトリウム、及び0.5 % CHA
PSを含む10 mM トリス−塩酸緩衝液(pH 7.2) を流速0.5
ml/ 分で100 分間流してカラムを洗浄した。次に、プ
ロテアーゼ阻害剤、0.2 M 塩化ナトリウム及び0.5 % C
HAPSを含む0.1 M グリシン−塩酸緩衝液 (pH 2.9) を流
速0.1 ml/分で50分間流し、カラムに吸着した蛋白質を
溶出した。溶出液は0.5 ml/フラクションにて分取し
た。分取した画分には、2Mトリス溶液を加え、直ちに
中和した。各溶出フラクション (0.5 ml) をセントリコ
ン-10 (Centricon-10, Amicon, USA) を用いて 50 〜 1
00μl に濃縮した。濃縮した各フラクションの一部を分
取し、それぞれにOCIFを添加後、OCIFポリクロ
ーナル抗体で免疫沈澱させた。その沈澱画分をSDS 処理
した後、SDS-PAGEにかけてOCIFに特異的な結合能を
有する蛋白質のバンドが出現するフラクション (フラク
ションNo. 3〜15) を本発明の蛋白質画分とした。
【0025】(3) ゲル濾過による本発明の蛋白質の精製 実施例2−(2) 記載の方法で精製し、濃縮したOCIF
結合蛋白質 (0.1 M グリシン−塩酸緩衝液、pH 2.9 溶
出画分) を0.5 M NaCl、0.5 % CHAPSを含む10mMトリス
−塩酸緩衝液 (pH 7.0) で平衡化したSuperose 12 HR10
/30 カラム(ファルマシア社、 1.0×30cm)に負荷し、
そのカラムを平衡化緩衝液で流速0.5 ml/分で展開し、
0.5 mlずつ画分を集めた。得られた画分について、実施
例2−(2) 記載の方法により本発明の蛋白質画分を同定
し、本発明の蛋白質を含む画分を集めた後、Centricon-
10 (Amicon) で濃縮した。
【0026】
【実施例3】精製された本発明の蛋白質のSDS-PAGE 実施例2−(2) で得られた本発明蛋白質部分精製標品、
及びその部分精製標品を更にゲル濾過により精製を行っ
た実施例2−(3) で得られた精製標品を、それぞれSDS-
PAGEにかけた。図1(レーン2)に示したように、OCI
F固定化アフィニティーカラムで精製した部分精製品
は、分子量約 140,000の本発明の蛋白質のバンド以外に
分子量約40,000以下に数本の薄い蛋白質バンドが検出さ
れたが、OCIF固定化アフィニティーカラムにより、
OCIFに特異的に結合する蛋白質、即ち本発明の蛋白
質が選択的に濃縮、精製されることが明らかになった。
一方、ゲル濾過クロマトグラフィーにより更に精製した
本発明の蛋白質は、図1( レーン3)に示したように、分
子量40,000以下の数種の蛋白質は完全に除去され、高度
に精製されていることがわかる。高度に精製された本発
明の蛋白質は電気泳動的に均一であり、その分子量は約
140,000±10,000であった。
【0027】
【実施例4】OCIFの破骨細胞表面に発現している本
発明の蛋白質への結合試験 (1) 125I標識OCIFの調製 OCIFはヨードジェン(Iodogen)法により 125I標識
した。即ち、2.5 mg/ml ヨードジェン−クロロホルム溶
液20μl を1.5 mlエッペンドルフチューブに移し、40℃
でクロロホルムを蒸発させて、ヨードジェンコートした
チューブを調製した。このチューブを0.5 M リン酸ナト
リウム緩衝液(Na-Pi, pH 7.0) 400μlで3回洗浄した
後、0.5 M Na-Pi(pH 7.0)0.5 μl を加えた。このチュ
ーブにNa-125I溶液(Amersham社、NEZ-033H20) 1.3 μ
l(8.5 MBq)を加えた後、直ちに1mg/ml rOCIF溶液
(モノマー型あるいはダイマー型)10μl を加え、ボル
テックスミキサーで攪拌した後、室温で30秒間放置し
た。この溶液を、予め10 mg/mlヨウ化カリウム、0.5 M
Na-Pi(pH 7.0)80μl と5%牛血清アルブミンを含むPB
S 5μl を添加しておいたチューブに移し、2,000 rpm
で5分間遠心した。カラムから溶出された画分に0.25%
牛血清アルブミンを含む PBS 400μl を加え攪拌した後
その2μl を取り、放射能をガンマーカウンターで測定
した。このようにして調製した 125I標識OCIF溶液
の放射化学純度は10%トリクロロ酢酸(TCA) により沈澱
する画分の放射能を測定することにより求めた。また、
125I標識OCIF溶液のOCIF生物活性は、WO96/2
6217号公報に記載の方法に従い測定した。また、 125
標識OCIF濃度は以下のようにELISA により測定し
た。
【0028】(2) 125I標識OCIF濃度のELISA によ
る測定 WO96/26217号公報に記載の方法により得られたウサギ抗
OCIFポリクローナル抗体を2μg/mlになるように溶
解させた50 mM NaHCO3 (pH 9.6) 100 μl ずつを、96ウ
ェルイムノプレート(MxiSorPTM、Nunc社) の各ウェルに
加えて4℃で一夜放置した。この液を吸い取った後、25
%ブロックエース(雪印乳業社)を含むリン酸塩緩衝生
理食塩水300 μl ずつを各ウェルに加え、室温で2時間
放置した。この液を捨てた後、各ウェルを0.01%ポリソ
ルベート80を含むリン酸塩緩衝生理食塩水 (P-PBS)で3
回洗浄し、次いで 125I標識OCIFサンプルあるいは
OCIF標準品を添加した25%ブロックエースを含むリ
ン酸塩緩衝生理食塩水 (BA-PBS)100μl ずつを各ウェル
に加え、室温で2時間放置した。パーオキシダーゼ標識
したウサギ抗OCIFポリクローナル抗体を含むBA-PBS
を 100μl ずつ各ウェルに加え、室温で2時間放置し
た。この溶液を吸い取った後、P-PBS 200 μlで各ウェ
ルを6回洗浄した。TMB 溶液 (TMB Soluble Reagent, H
igh Sensitivity, Scytek 社) 100 μl ずつを各ウェル
に加え、室温で2〜3分間放置した後、停止液 (Stoppi
ng Reagent, Scytek社) を100 μl ずつ各ウェルに加え
た。各ウェルの490 nmにおける吸光度をマイクロプレー
トリーダーで測定した。OCIF標準品を用いて作製し
た検量線より、 125I標識OCIFの濃度を求めた。
【0029】(3) OCIFの破骨細胞表面に発現してい
る本発明の蛋白質への結合試験 実施例1に記載の方法に従い、ウサギ全骨細胞を24ウェ
ルプレート中、5%牛胎児血清(FBS) を含むα-MEMで一
夜培養した。培養後、細胞をプロナーゼE/EDTAで
処理し、破骨細胞を単離した。このようにして得られた
破骨細胞を24ウェルプレート中、同培地で2時間前培養
した。その後、上記の 125I標識OCIF (モノマー
型) 20 ng/mlを加えた結合試験用培地 (0.2 %牛血清ア
ルブミン、20 mM Hepes 緩衝液、0.2 % NaN3 を加えた
α-MEM培地) 200 μl を各24ウェルプレートに加えた。
また、別の破骨細胞を培養した24ウェルプレートには、
2μg/ml rOCIF (100 倍濃度) を更に添加した結合
試験用培地を200 μl 加え、非特異的吸着量の測定に供
した。CO2 インキュベーター中で1時間培養した後、1
mlのリン酸塩緩衝生理食塩水1mlで3回洗浄した。洗浄
後、0.1 N NaOH溶液 500μl を各ウェルに加え、室温に
10分間放置することにより細胞を溶解させ、細胞に結合
したOCIF量をガンマーカウンターで測定した。図2
に示すように、125I標識OCIFは破骨細胞に特異的
に結合し、本発明の蛋白質は破骨細胞上に発現している
膜結合蛋白質であることが明らかになった。
【0030】
【実施例5】本発明の蛋白質の生理的機能 (1) OCIFの結合を通して破骨細胞の骨吸収活性を抑
制するシグナルを伝達する機能 実施例1記載の方法により単離したウサギ成熟破骨細胞
を200 cells/象牙薄片になるように播種し、5%FBS
を含むα-MEMで1時間前培養した。このように調製した
成熟破骨細胞を、A)種々の濃度のOCIFで20時間処
理、及びB)一定濃度のOCIF、即ち10 ng/mlのOCI
Fで6 、12及び24時間それぞれ処理した時の、破骨細胞
により掘られた象牙薄片上の骨吸収窩の面積 (pit are
a; Takada et al., Bone and Mineral, 17, 347-359, 1
992) 及び酒石酸耐性酸性ホスファターゼ (TRAP) 陽性
破骨細胞の数を測定した。その結果、OCIFが実施例
2記載のように破骨細胞に特異的に結合し、図3Aに示
すようにOCIFの添加濃度に依存して、pit areaが減
少することが明らかになった。また、図3Bに示すよう
にOCIF無添加の場合、破骨細胞により掘られるpit
areaは培養時間に依存して増大するが、OCIF (10 n
g/ml) の処理によりそのpit areaの増加が抑制されるこ
とがわかる。以上の結果から、破骨細胞上に発現してい
る本発明の蛋白質はOCIFの結合を通して、破骨細胞
による骨吸収を抑制するシグナルを同細胞に伝達する機
能を有していることが明らかになった。
【0031】(2) OCIFのN末領域のシステインに富
む4つの領域と結合する能力を有し、その結合を通して
破骨細胞の骨吸収活性を抑制するシグナルを伝達する生
理的機能 OCIFは7つのドメイン、即ちN末端領域にはシステ
インに富む4つの領域(ドメイン 1-4)、C末端領域に
は2つのデスドメイン類似領域(ドメイン 5-6)及びヘ
パリン結合領域(ドメイン 7)から成り立っている。N
末端領域の4つのシステインに富む領域(ドメイン 1-
4)は、intactなOCIFの活性の1/10であるが、OC
IFの活性発現に必須の領域である(Yamaguchi K, et
al., J.Biol.Chem., 273, 5117-5123, 1998)。実施例5
-(1)のOCIFの代わりに、N末端の4つのシステイン
に富む領域のみを持つOCIFミューテイン、ΔD567-O
CIF(Yamaguchi K, et al., J.Biol.Chem., 273, 5117-
5123, 1998 )を用い同様に破骨細胞による骨吸収に及
ぼす影響を調べた。結果を図4に示す。破骨細胞を種々
の濃度のΔD567-OCIF で処理したところ、OCIFに比
べ弱いものの用量依存的に破骨細胞により形成されるpi
t areaを減少させた(図4)。即ち、破骨細胞上に発現
している本発明の蛋白質はOCIFのN末領域の4つの
システインに富む領域 (ドメイン 1-4) と結合する能力
があり、その結合を通してその情報を破骨細胞に伝達す
る生理的機能を有していることがわかる。
【0032】
【実施例6】 125I標識OCIFと本発明の蛋白質との
クロスリンキング試験 本発明の蛋白質の存在をさらに確認するため、 125I標
識OCIFと本発明の蛋白質とのクロスリンキングを行
った。実施例1記載の方法で単離した破骨細胞を24ウェ
ルプレート中、5%FBSを含むα-MEMで2時間前培養
した後、細胞をリン酸塩緩衝生理食塩水で洗浄した。洗
浄した破骨細胞に、実施例4-(1)記載と同様に125 I標
識したOCIF (モノマー型) 20 ng/mlを加えた結合試
験培地 (0.2 %牛血清アルブミン、20 mM Hepes 緩衝
液、0.2 % NaN3 、及び100 μg/mlヘパリンを加えたα
-MEM培地) 200 μl を各ウェルに添加した。また、別の
24ウェルプレート中の破骨細胞には、 125I標識OCI
Fの100 倍濃度の未標識OCIFを更に添加した結合試
験用培地を添加し、非特異的吸着試験に供した。CO2
ンキューター中で1時間培養した後、100 μg/mlヘパリ
ンを加えたリン酸緩衝生理食塩水1mlで3回洗浄した。
これらの各ウェルに100 μg/mlのクロスリンキング剤、
DSS (Disuccinimidyl suberate、Pierce社) を溶解させ
たリン酸塩緩衝生理食塩水500 μl を加え、0℃で10分
間反応させた。これらのウェル中の細胞を0℃に冷却し
たリン酸塩緩衝生理食塩水1mlで2回洗浄した後、1%
TritonX-100 、2mM PMSF (phenylmethylsulfonyl flu
oride) 、10μM pepstatin A 、10μM leupeptin 、10
μM antipain、及び2mM EDTAを加えた20 mM Hepe
s緩衝液 100μl を各ウェルに加え室温で30分間放置し
て細胞を溶解させた。これらのサンプル 15 μl を常法
により非還元下でSDS 化した後、SDS-ポリアクリルアミ
ドゲル電気泳動ゲル (4-20%ポリアクリルアミドグラジ
エント、第一化学社) とBioMax MS 増感スクリーン (Ko
dak 社) を用いて -80℃で24時間感光させた。感光させ
たフィルムを常法により現像した。図5に示すように、
125I標識OCIF(モノマー型、分子量約 60,000 )
を用いた場合には、分子量約 200,000±20,000のクロス
リンクされた蛋白質が検出された。しかしながら、 125
I標識OCIFの100 倍濃度の未標識OCIFを添加し
た場合、分子量約 200,000±20,000のクロスリンクされ
た蛋白質は検出されなかった。以上の結果から、本発明
蛋白質は破骨細胞上に存在し、OCIFと特異的に結合
する膜結合蛋白質であることが示された。
【0033】
【発明の効果】本発明によると、破骨細胞形成抑制因子
OCIFに結合する新規な蛋白質、その製造方法、該蛋
白質を細胞表面に発現している動物細胞を用いて、その
発現を調節する物質のスクリーニング方法、該蛋白質を
用いて該蛋白質と特異的に結合し破骨細胞の骨吸収活性
を阻害及び/又は修飾する物質のスクリーニング方法、
該蛋白質に結合しOCIFによる破骨細胞の骨吸収抑制
活性を阻害及び/又は修飾する物質のスクリーニング方
法、及び該蛋白質、あるいはこれらスクリーニングによ
り得られた物質を含有する医薬、特に骨代謝異常症治療
剤が提供される。本発明の新規蛋白質あるいはスクリー
ニングされた物質は骨代謝異常の研究及び診断用試薬、
あるいは骨代謝異常症治療等の医薬として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の蛋白質のSDS-PAGEの結果を示す(実施
例3)。
【符号の説明】
レーン1:分子量マーカー レーン2:ウサギ成熟破骨細胞の可溶化膜蛋白質からO
CIF固定化アフィニティクロマトグラフィーで精製し
た本発明の蛋白質の部分精製標品 (0.1 M グリシン−塩
酸緩衝液、pH 2.9で溶出した画分) レーン3:ゲル濾過クロマトグラフィーで精製した本発
明の蛋白質の高純度精製標品 レーン4:分子量マーカー
【図2】125I標識したOCIFの、ウサギ破骨細胞表
面に発現している本発明の蛋白質への結合試験の結果を
示す(実施例4)。
【図3】本発明の蛋白質の生理的機能試験の結果を示す
(実施例5)。
【符号の説明】
A: ウサギ破骨細胞を種々の濃度のOCIFで20時間処
理した時の破骨細胞により掘られた象牙薄片上の骨吸収
窩の面積 (pit area) 及びTRAP陽性破骨細胞数の変化を
示す。 B: ウサギ破骨細胞を一定濃度 (10 ng/ml) のOCIF
で6 、12及び24時間それぞれ処理した時の象牙薄片上の
pit areaの変化を示す。 ○: OCIF無添加の時のpit area ●: OCIFを10 ng/mlを添加した時のpit area
【図4】OCIFミューテイン (Δ567-OCIF) を用いた
本発明の蛋白質の生理的機能及びOCIFとの結合サイ
トの試験結果を示す(実施例5)。
【図5】125I標識OCIFと本発明の蛋白質とのクロ
スリンキング試験の結果を示す(実施例6)。
【符号の説明】
レーン1:分子量マーカー レーン2: 125I標識OCIFに100 倍量の未標識OC
IF (cold OCIF)を添加してウサギ破骨細胞とクロスリ
ンクさせたもの レーン3: 125I標識OCIFとウサギ破骨細胞をクロ
スリンクさせたもの
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 33/566 A61K 37/02 (72)発明者 山口 京二 埼玉県大宮市島町702−2 ライオンズガ ーデン東大宮1−524 (72)発明者 津田 英資 栃木県河内郡南河内町祇園2−13−1 ダ イアパレス自治医大5番館407 (72)発明者 東尾 侃二 埼玉県川越市山田1769−10 (72)発明者 宮田 隆 東京都中野区沼袋1−44−2 (72)発明者 山田 多啓男 東京都清瀬市梅園3−3−41 (72)発明者 久米川 正好 埼玉県川越市霞ヶ関東3−1−16 Fターム(参考) 4C084 AA01 AA02 AA06 AA07 AA17 BA05 CA25 DB60 ZA962 4H045 AA10 AA20 AA30 CA40 DA50 EA20 FA71 HA07

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次の物理化学的性質及び生理的機能を有
    する新規蛋白質。 a.親和性:破骨細胞形成抑制因子(osteoclastogenesis
    inhibitory factor;OCIF)に親和性を有し、OCIFのN
    末端に存在するシステインに富む4つの領域に結合す
    る。 b.分子量:i)非還元条件下におけるSDS-ポリアクリルア
    ミドゲル電気泳動による分子量測定で、約140,000 ±1
    0,000kDa の分子量を示す。 ii)モノマータイプのOCIFとクロスリンクさせた場合の
    見かけの分子量は、非還元条件下におけるSDS-ポリアク
    リルアミドゲル電気泳動による分子量測定で、約200,00
    0 ±20,000kDa の分子量を示す。 c.生理的機能:OCIFの活性を抑制する活性を有する。
  2. 【請求項2】 成熟破骨細胞から膜画分を調製し、界面
    活性剤で膜蛋白質を可溶化し、OCIF固定化アフィニティ
    カラムを用いて精製することを特徴とする、以下の物理
    化学的性質及び生理的機能を有する新規蛋白質の製造方
    法。 a.親和性:破骨細胞形成抑制因子(osteoclastogenesis
    inhibitory factor;OCIF)に親和性を有し、OCIFのN
    末端に存在するシステインに富む4つの領域に結合す
    る。 b.分子量:i)非還元条件下におけるSDS-ポリアクリルア
    ミドゲル電気泳動による分子量測定で、約140,000 ±1
    0,000kDa の分子量を示す。 ii)モノマータイプのOCIFとクロスリンクさせた場合の
    見かけの分子量は、非還元条件下におけるSDS-ポリアク
    リルアミドゲル電気泳動による分子量測定で、約200,00
    0 ±20,000kDa の分子量を示す。 c.生理的機能:OCIFの活性を抑制する活性を有する。
  3. 【請求項3】 以下の物理化学的性質及び生理的機能を
    有する新規蛋白質を細胞表面に発現している動物細胞を
    用いて、該蛋白質の発現を誘導する物質をスクリーニン
    グする方法。 a.親和性:破骨細胞形成抑制因子(osteoclastogenesis
    inhibitory factor;OCIF)に親和性を有し、OCIFのN
    末端に存在するシステインに富む4つの領域に結合す
    る。 b.分子量:i)非還元条件下におけるSDS-ポリアクリルア
    ミドゲル電気泳動による分子量測定で、約140,000 ±1
    0,000kDa の分子量を示す。 ii)モノマータイプのOCIFとクロスリンクさせた場合の
    見かけの分子量は、非還元条件下におけるSDS-ポリアク
    リルアミドゲル電気泳動による分子量測定で、約200,00
    0 ±20,000kDa の分子量を示す。 c.生理的機能:OCIFの活性を抑制する活性を有する。
  4. 【請求項4】 以下の物理化学的性質及び生理的機能を
    有する新規蛋白質を細胞表面に発現している動物細胞を
    用いて、該蛋白質の発現を抑制する物質をスクリーニン
    グする方法。 a.親和性:破骨細胞形成抑制因子(osteoclastogenesis
    inhibitory factor;OCIF)に親和性を有し、OCIFのN
    末端に存在するシステインに富む4つの領域に結合す
    る。 b.分子量:i)非還元条件下におけるSDS-ポリアクリルア
    ミドゲル電気泳動による分子量測定で、約140,000 ±1
    0,000kDa の分子量を示す。 ii)モノマータイプのOCIFとクロスリンクさせた場合の
    見かけの分子量は、非還元条件下におけるSDS-ポリアク
    リルアミドゲル電気泳動による分子量測定で、約200,00
    0 ±20,000kDa の分子量を示す。 c.生理的機能:OCIFの活性を抑制する活性を有する。
  5. 【請求項5】 以下の物理化学的性質及び生理的機能を
    有する新規蛋白質を用いて、該蛋白質に特異的に結合
    し、破骨細胞の骨吸収活性を促進する物質をスクリーニ
    ングする方法。 a.親和性:破骨細胞形成抑制因子(osteoclastogenesis
    inhibitory factor;OCIF)に親和性を有し、OCIFのN
    末端に存在するシステインに富む4つの領域に結合す
    る。 b.分子量:i)非還元条件下におけるSDS-ポリアクリルア
    ミドゲル電気泳動による分子量測定で、約140,000 ±1
    0,000kDa の分子量を示す。 ii)モノマータイプのOCIFとクロスリンクさせた場合の
    見かけの分子量は、非還元条件下におけるSDS-ポリアク
    リルアミドゲル電気泳動による分子量測定で、約200,00
    0 ±20,000kDa の分子量を示す。 c.生理的機能:OCIFの活性を抑制する活性を有する。
  6. 【請求項6】 以下の物理化学的性質及び生理的機能を
    有する新規蛋白質を用いて、該蛋白質に特異的に結合
    し、破骨細胞の骨吸収活性を抑制する物質をスクリーニ
    ングする方法。 a.親和性:破骨細胞形成抑制因子(osteoclastogenesis
    inhibitory factor;OCIF)に親和性を有し、OCIFのN
    末端に存在するシステインに富む4つの領域に結合す
    る。 b.分子量:i)非還元条件下におけるSDS-ポリアクリルア
    ミドゲル電気泳動による分子量測定で、約140,000 ±1
    0,000kDa の分子量を示す。 ii)モノマータイプのOCIFとクロスリンクさせた場合の
    見かけの分子量は、非還元条件下におけるSDS-ポリアク
    リルアミドゲル電気泳動による分子量測定で、約200,00
    0 ±20,000kDa の分子量を示す。 c.生理的機能:OCIFの活性を抑制する活性を有する。
  7. 【請求項7】 以下の物理化学的性質及び生理的機能を
    有する新規蛋白質を用いて、該蛋白質に特異的に結合
    し、OCIFによる破骨細胞の骨吸収活性を促進する物
    質をスクリーニングする方法。 a.親和性:破骨細胞形成抑制因子(osteoclastogenesis
    inhibitory factor;OCIF)に親和性を有し、OCIFのN
    末端に存在するシステインに富む4つの領域に結合す
    る。 b.分子量:i)非還元条件下におけるSDS-ポリアクリルア
    ミドゲル電気泳動による分子量測定で、約140,000 ±1
    0,000kDa の分子量を示す。 ii)モノマータイプのOCIFとクロスリンクさせた場合の
    見かけの分子量は、非還元条件下におけるSDS-ポリアク
    リルアミドゲル電気泳動による分子量測定で、約200,00
    0 ±20,000kDa の分子量を示す。 c.生理的機能:OCIFの活性を抑制する活性を有する。
  8. 【請求項8】 以下の物理化学的性質及び生理的機能を
    有する新規蛋白質を用いて、該蛋白質に特異的に結合
    し、OCIFによる破骨細胞の骨吸収活性を抑制する物
    質をスクリーニングする方法。 a.親和性:破骨細胞形成抑制因子(osteoclastogenesis
    inhibitory factor;OCIF)に親和性を有し、OCIFのN
    末端に存在するシステインに富む4つの領域に結合す
    る。 b.分子量:i)非還元条件下におけるSDS-ポリアクリルア
    ミドゲル電気泳動による分子量測定で、約140,000 ±1
    0,000kDa の分子量を示す。 ii)モノマータイプのOCIFとクロスリンクさせた場合の
    見かけの分子量は、非還元条件下におけるSDS-ポリアク
    リルアミドゲル電気泳動による分子量測定で、約200,00
    0 ±20,000kDa の分子量を示す。 c.生理的機能:OCIFの活性を抑制する活性を有する。
  9. 【請求項9】 請求項1記載の蛋白質を含有する医薬。
  10. 【請求項10】 請求項1記載の蛋白質を有効成分とす
    る骨代謝異常症治療剤。
  11. 【請求項11】 請求項3〜7記載の方法により得られ
    た物質を含有する医薬。
  12. 【請求項12】 請求項3〜7記載の方法により得られ
    た物質を有効成分とする骨代謝異常症治療剤。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2002062990A1 (fr) * 2001-02-07 2002-08-15 Sankyo Company, Limited Anticorps et utilisation de cet anticorps
US7749960B2 (en) 2001-04-03 2010-07-06 Nestec S.A. Osteoprotegerin in milk

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