JP2000086534A - 糖応答型高分子複合体 - Google Patents

糖応答型高分子複合体

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JP2000086534A
JP2000086534A JP11297752A JP29775299A JP2000086534A JP 2000086534 A JP2000086534 A JP 2000086534A JP 11297752 A JP11297752 A JP 11297752A JP 29775299 A JP29775299 A JP 29775299A JP 2000086534 A JP2000086534 A JP 2000086534A
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sugar
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acid group
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Yasuhisa Sakurai
靖久 櫻井
Mitsuo Okano
光夫 岡野
Kazunori Kataoka
一則 片岡
Yoshiyuki Koyama
義之 小山
Masayuki Yokoyama
昌幸 横山
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、糖の濃度に応じて、薬物の放出を制
御する糖尿病治療システム、糖センサーなどとして利用
できる糖応答型高分子複合体を提供する。 【解決手段】ボロン酸基含有モノマー、多官能モノマー
及びこれらと共重合可能なモノマーを一段で共重合させ
て得る架橋高分子と、薬物からなる糖応答型高分子複合
体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、糖応答型高分子複
合体に関する。糖応答型高分子複合体は糖の濃度に応じ
て、薬物の放出を制御する糖尿病治療システム、糖セン
サーなどとして利用できる。
【0002】
【従来の技術】従来から、ポリビニルアルコール水溶液
中にホウ酸を加えることにより、ポリビニルアルコール
がゲル化を起こすという事実は知られている。また、ア
ガロースゲル中にボロン酸基を導入したものとしてアミ
コン社製マトレックス(Matrex、登録商標) PBA-30(ベ
ンゼンボロン酸−架橋アガロースゲル)があり、pH=8.
5 の緩衝液中においてボロン酸基とシス−ジオール基含
有糖類とがコンプレックスを形成することを利用して、
アフィニティークロマトグラフィー用のゲル担体として
用いられている。
【0003】一般に生体内においては、健康な状態では
生体内調節機構(ホメオスタシス)が十分に作用し、例
えば各種の血液中のイオン濃度や血糖値等は常に一定に
保たれるように、種々の高度なフィードバックシステム
により厳密に調節されている。しかしながら、何らかの
原因でこの調節機構に問題が生じた場合、例えば糖尿病
や高血圧症等のように慢性的な病気に罹った場合、外部
からその治療薬としてインスリンや薬剤等を症状に応じ
て定期的に投与する必要がある。その際に投与する薬剤
の量およびその時期については、十分考慮して行うべき
ものである。特に生体内の調節機構のバランスを大きく
変化させることは、重大な結果をもたらすことになるた
め、特に注意が必要である。これまでのところ、糖尿病
の主たる治療法は、医療が進歩し、様々な医療機器が氾
濫する現在においても、食事療法とインスリンの自己注
射である。
【0004】このような観点から、必要な時にのみ薬物
放出を行い、正常になると放出が直ちに停止するオート
フィードバック機構を内蔵する糖尿病治療システムの必
要性が増大してきている。エリオットらは、血糖値をブ
ドウ糖検出器で検知し、これに応じた量のインスリン
を、ポンプにより静脈中に注入する携帯可能な小型の装
置を報告している (J. Am. Med. Assoc., 241, 223(197
9))。また、他の分野でも糖の一種であるグルコース計
測の必要性が増大してきており、医療、食品、発酵プロ
セスなどの分野で、グルコースセンサーの開発が盛んに
行われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、ポリビニルア
ルコール水溶液中にホウ酸を加える方法は、加えるホウ
酸が低分子であるために、物質内の拡散あるいは透過が
容易であり、しかも毒性があるために医療用への応用に
は適さなかった。インスリンの自己注射の方法は、イ
ンスリンの注射量と必要量が一致しない、操作が煩わ
しい、低血糖昏睡などの事故の危険がある、患者自
身の強い自己制御力を必要とする、等の欠点があり、よ
り簡便で安全なインスリン放出制御デバイス(人工膵
臓)の開発が待ち望まれている。
【0006】またエリオットらの方法は、ブドウ糖セン
サーを長期にわたり患者の血流中に皮膚を通じて接続し
ているため、接続口からの細菌の感染や血栓の発生など
の問題があり、さらにまた、インスリンの結晶化による
注入針のつまりや、機械的あるいは電子的回路の故障に
起因するトラブル等が予想されるため、安全性および信
頼性において十分なものではない。また、これまでのグ
ルコースセンサーでは酵素を用いるため、その寿命が1
週間程度であるという欠点があった。
【0007】これまでのところ、合成高分子中にボロン
酸基を導入して、糖とのコンプレックス形成により架橋
性高分子が膨潤変化を起こすことを利用したものは報告
されていない。本発明では、毒性が低く、成形性が容易
な糖応答型高分子複合体を提供することを目的としてい
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、ボロン酸基含
有モノマー、多官能モノマー及びこれらと共重合可能な
モノマーを一段で共重合させて得る架橋高分子と、薬物
からなる糖応答型高分子複合体である。
【0009】架橋高分子は、ボロン酸基含有モノマー、
多官能モノマーを必須成分として含み、必要に応じて共
重合可能な他のモノマーと共重合して得られる。ボロン
酸基含有モノマーとしては、例えば、アクリロイルアミ
ノベンゼンボロン酸、メタクリロイルアミノベンゼンボ
ロン酸、4−ビニルベンゼンボロン酸などが挙げられ
る。
【0010】多官能モノマーとしては、例えば、ポリエ
チレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジ
オールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアク
リレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、
ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2−ビ
ス〔4−(アクリロキシジエトキシ)フェニル〕プロパ
ン、2,2−ビス〔4−(アクリロキシポリエトキシ)
フェニル〕プロパン、2−ヒドロキシ−1−アクリロキ
シ−3−メタクリロキシプロパン、2,2−ビス〔4−
(アクリロキシポリプロポキシ)フェニル〕プロパン、
エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリ
コールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメ
タクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレー
ト、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、
1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペン
チルグリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリ
コールジメタクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジ
メタクリロキシプロパン、2,2−ビス〔4−(メタク
リロキシエトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス
〔4−(メタクリロキシエトキシジエトキシ)フェニ
ル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(メタクリロキシエ
トキシポリエトキシ)フェニル〕プロパン、トリメチロ
ールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメ
タントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリ
アクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレー
ト、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ジペ
ンタエリスリトールヘキサアクリレート、N,N’−メ
チレンビスアクリルアミド、N,N’−メチレンビスメ
タクリルアミド、ジエチレングリコールジアリルエーテ
ル、ジビニルベンゼンなどが挙げられる。
【0011】本発明で用いることのできるボロン酸基含
有モノマーまたは多官能モノマーと共重合可能なモノマ
ーとしては、例えば、アクリルアミド、N−メチルアク
リルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N
−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジ
メチルアミノプロピルアクリルアミド各種四級塩、アク
リロイルモルホリン、N,N−ジメチルアミノエチルア
クリレート各種四級塩、アクリル酸、各種アルキルアク
リレート、メタクリル酸、各種アルキルメタクリレー
ト、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、グリセロー
ルモノメタクリレート、N−ビニルピロリドン、アクリ
ロニトリル、スチレンなどである。
【0012】本発明で用いることのできる架橋型高分子
としては、水酸基、アミノ基およびカルボキシル基など
を有する官能基含有高分子とジイソシアネート、ジアル
デヒド、ジアミン、ジカルボン酸クロリドなどの架橋剤
とを反応させたものである。
【0013】水酸基を有する高分子は、例えばポリビニ
ルアルコール、ガラクトマンナン、プルラン、デキスト
ラン、アミロースなどが挙げられる。アミノ基を有する
高分子は、ポリアリルアミンおよびタンパク質などであ
る。カルボキシル基を有する高分子は、アクリル酸、マ
レイン酸、フマル酸、イタコン酸などを重合させたもの
である。
【0014】本発明の高分子複合体の製造方法を以下に
例示することができる。
【0015】例えば前記ボロン酸基含有モノマー、多官
能モノマー及びこれらと共重合可能なモノマーを一段で
共重合させて得ることができる。また一方、官能基含有
高分子を適当な架橋剤で架橋させた後、ボロン酸基含有
モノマーと多官能モノマーとを含浸させてから共重合さ
せて合成することも出来る。
【0016】さらに、本発明で用いることのできる架橋
型高分子は、多官能モノマーと不飽和カルボン酸とを共
重合させたポリマーを一級アミノ基を有する多価水酸基
化合物、例えばトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタ
ンなどとの縮合反応によって合成することもできる。
【0017】また、一級アミノ基を含む重合可能なモノ
マー、例えば、アミノスチレン、ビニルベンジルアミン
などを重合または共重合して得られるポリマー中のアミ
ノ基を、カルボン酸基を有する多価水酸基化合物、例え
ば、プロトカテク酸、ガリック酸、トリシン、2,2−
(ジヒドロキシメチル)プロピオン酸などとアミド反応
して得られるポリマーであってもよい。
【0018】ボロン酸基を有するモノマーの使用量とし
ては全モノマー中、0.1 〜90モル%の範囲で用いられる
が、好ましくは0.5 〜30モル%の範囲で用いる。多官能
モノマーの使用量としては全モノマー中、0.01〜50モル
%の範囲で用いられる。共重合可能なモノマーの使用量
としては全モノマー中、0.1 〜98モル%の範囲で用いら
れる。
【0019】本発明のポリマーは、ラジカル重合法によ
る公知の溶液、塊状、乳化、逆相懸濁重合で、重合温度
0〜100 ℃、重合時間10分〜48時間で得ることが出来
る。ここで用いる重合開始剤としては、過酸化ベンゾイ
ル、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、ターシ
ャリブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、タ
ーシャリブチルペルオキシビバレート、ターシャリブチ
ルペルオキシジイソブチレート、過酸化ラウロイル、ア
ゾビスイソブチロニトリル、2,2´−アゾビス(2,
4−ジメチルバレロニトリル)、あるいは各種レドック
ス開始剤系などの群から選ばれる1種または2種以上を
用いることができ、0.01〜5.0 重量%で使用される。
【0020】本発明の高分子複合体は糖濃度に応じて、
糖が複合体中のボロン酸基と結合することにより、複合
体中のボロンが負電荷を有し、その反発力によって膨潤
し、糖濃度が低下することによって複合体が収縮を起こ
す糖応答型高分子複合体である。また、複合体中に形成
したボロン酸基と多価水酸基とのコンプレックス形成
後、糖の添加によって、糖が複合体中のボロン酸基と結
合することにより、複合体中の多価水酸基がボロン酸基
から解離して、反発力によって膨潤し、糖濃度が低下す
ることによって再びボロン酸基と多価水酸基とのコンプ
レックス形成が促進されて収縮を起こす糖応答型高分子
複合体である。
【0021】すなわち本発明の複合体は、糖の濃度に応
じて、架橋した高分子自体が膨潤変化を起こし、複合体
内の物質拡散あるいは透過が容易になり、糖濃度の低下
により収縮を起こして複合体内の物質拡散が抑制される
糖応答型高分子複合体となる。
【0022】本発明の複合体は水系の媒体中、あるい
は、50%以下の有機溶媒を含む水系の媒体中で使用さ
れ、望ましくは緩衝液を用いて使う。その緩衝液として
は、リン酸ナトリウム緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液、
o−クロロフェノール緩衝液、砒酸ナトリウム緩衝液、
炭酸ナトリウム緩衝液、ヘペス緩衝液、チェス緩衝液な
どを用いることができる。又、この際のpH値は6.0 以上
が特に好ましい。本複合体は、1〜50℃の温度で用いら
れる。
【0023】本発明の高分子複合体が応答する糖は、例
えばグルコース、ガラクトース、フルクトースおよびマ
ンノースなどである。
【0024】本発明の複合体は糖濃度0.1mg/dl以上で
応答するが、好ましくは1〜10000mg/dlの糖濃度で用
いるのがよい。本複合体は、薬物を放出制御するための
透過膜として用いることにより、糖応答性の薬物放出体
としても用いられる。例えば、薬物としてインスリンを
用いた場合には、糖尿病におけるインスリン投与などの
ように食後、血糖値の増加に応じて服用されることが望
まれる薬物の投与に用いられる種々の製剤、あるいは糖
尿病治療システムとして利用される。本複合体に応用可
能な薬物としては、水溶液に可溶な全ての薬物が使用可
能であり、特に、インスリン、グルカゴン、ソマトスタ
チン、副腎皮質ホルモンなどが有効である。また、これ
らの薬物2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0025】また、本発明の高分子複合体と分光学的に
測定可能な物質、例えば、染色剤などと用いることによ
り、糖センサーとしても利用される。この場合、好まし
くは1〜10000mg/dlの糖濃度で用いるのがよい。
【0026】
【発明の効果】本発明の複合体は、グルコースをはじめ
とする糖濃度に応答して膨潤変化し、内部に保持した薬
物の放出を制御するというオートフィードバック機構を
有するものであり、糖尿病治療のためのデバイスや糖セ
ンサーとして用いることができる。また、高分子化ホウ
素を使用しているので毒性が極めて低い。
【0027】
【実施例】次に実施例により本発明をさらに詳細に説明
するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものでは
ない。 実施例1 3−メタクリロイルアミノベンゼンボロン酸2.05g(10m
mol) と2−ヒドロキシエチルメタクリレート11.7g(90
mmol)に架橋剤としてエチレングリコールジメタクリレ
ート0.099g(0.5mmol) を加え、開始剤としてターシャ
リブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート0.07g
を加えて、20分間窒素置換した後に製膜用の容器に流し
込んで製膜した。
【0028】製膜は、2枚のガラス板上にポリエチレン
テレフタレートフィルム(厚さ:100μm)を貼り、その
間にモノマー溶液を流し込むための枠(テフロン、厚
さ:0.1〜1.0mm)を作り、モノマー溶液を流し込んだ後
でポリエチレンテレフタレートフィルムを貼ったガラス
板で挟んで、オーブン中(60℃、12時間、窒素気流下)
で重合することにより行った。得られた複合体からフェ
ニルボロン酸基が放出していないかどうかについては、
UV(254nm)測定により確認したところ、蒸留水中ある
いは緩衝液中に10日間浸した後でも検出されなかった。
得られた複合体は、37℃の緩衝液中において糖存在下と
不存在下での膨潤変化について調べた。その結果を表1
に示す。
【0029】実施例2 3−メタクリロイルアミノベンゼンボロン酸2.05g(10m
mol) と2−ヒドロキシエチルメタクリレート10.4g(80
mmol)とジエチルアミノエチルメタクリレート1.85g(10
mmol)に架橋剤としてエチレングリコールジメタクリレ
ート0.099g(0.5mmol)を加え、開始剤としてターシャリ
ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート0.072g
を加えて、20分間窒素置換した後に製膜用の容器に流し
込んで製膜した。
【0030】製膜方法は実施例1と同様の方法にて行っ
た。合成した後の複合体からのボロン酸基の放出につい
ての確認は実施例1と同様にして行い、蒸留水中あるい
は緩衝液中に10日間浸した後でも検出されなかった。得
られた複合体は、37℃の緩衝液中において糖存在下と不
存在下での膨潤変化について調べた。その結果を表1に
示す。
【0031】実施例3 3−メタクリロイルアミノベンゼンボロン酸0.82g(4mm
ol)とN,N−ジメチルアクリルアミド3.569g(36mmol)
をジメチルホルムアミド14.355g中に加え、架橋剤とし
てエチレングリコールジメタクリレート0.396g(2mmol)
を加え、開始剤としてターシャリブチルペルオキシ−
2−エチルヘキサノエート0.096gを加えて、20分間窒
素置換した後に製膜用の容器に流し込んで製膜した。
【0032】製膜方法は実施例1と同様の方法にて行っ
た。合成した後の複合体からのボロン酸基の放出につい
ての確認は実施例1と同様にして行い、蒸留水中あるい
は緩衝液中に10日間浸した後でも検出されなかった。得
られた複合体は、37℃の緩衝液中において糖存在下と不
存在下での膨潤変化について調べた。その結果を表1に
示す。
【0033】実施例4 3−メタクリロイルアミノベンゼンボロン酸0.41g(2mm
ol)とN,N−ジメチルアクリルアミド3.569g(36mmol)
とグリセロールモノメタクリレート0.32g(2mmol) をジ
メチルホルムアミド14.085g中に加え、架橋剤としてエ
チレングリコールジメタクリレート0.396g(2mmol) を
加え、開始剤としてターシャリブチルペルオキシ−2−
エチルヘキサノエート0.094gを加えて、20分間窒素置
換した後に製膜用の容器に流し込んで製膜した。
【0034】製膜方法は実施例1と同様の方法にて行っ
た。合成した後の複合体からのボロン酸基の放出につい
ての確認は実施例1と同様にして行い、蒸留水中あるい
は緩衝液中に10日間浸した後でも検出されなかった。得
られた複合体は、37℃の緩衝液中において糖存在下と不
存在下での膨潤変化について調べた。その結果を表1に
示す。
【0035】実施例5 実施例4におけるモノマーの中で、3−メタクリロイル
アミノベンゼンボロン酸を3−アクリロイルアミノベン
ゼンボロン酸0.764g(4mmol) に代えて、他の条件は同
様にて重合を行った。合成した後の複合体からのボロン
酸基の放出についての確認は実施例1と同様にして行
い、蒸留水中あるいは緩衝液中に10日間浸した後でも検
出されなかった。得られた複合体は、37℃の緩衝液中に
おいて糖存在下と不存在下での膨潤変化について調べ
た。その結果を表1に示す。
【0036】実施例6 蒸留水12mlに3−メタクリロイルアミノベンゼンボロン
酸33mg(0.16mmol)、アクリルアミド1.14g(16.0mmol)、
グリセロールモノメタクリレート26mg(0.16mmol)、架橋
剤としてN,N´−メチレンビスアクリルアミド90mg
(0.58mmol)を加え、開始剤として過硫酸アンモニウム
(0.6g/ml) 水溶液0.2ml、N,N,N´,N´−テト
ラメチルエチレンジアミン0.1mlを加えたものを、トル
エン−クロロホルム系の溶媒にアラセルC(関東化成
製) 0.4mlを加えた溶液に加える逆相懸濁重合(0℃、
1時間、窒素気流下)によって得た。合成した後の複合
体からのボロン酸基の放出についての確認は実施例1と
同様にして行い、蒸留水中あるいは緩衝液中に10日間浸
した後でも検出されなかった。得られた複合体は、37℃
の緩衝液中において糖存在下と不存在下での膨潤変化に
ついて調べた。その結果を表1に示す。
【0037】比較例1 2−ヒドロキシエチルメタクリレート13.0g(100mmol)
に架橋剤としてエチレングリコールジメタクリレート0.
099g(0.5mmol) を加え、実施例1と同様の方法で重合
を行った。得られた複合体は、37℃の緩衝液中において
糖存在下と不存在下での膨潤変化について調べた。その
結果を表1に示す。
【0038】比較例2 実施例3におけるモノマーの中で、3−メタクリロイル
アミノベンゼンボロン酸は加えずに、N,N−ジメチル
アクリルアミドの量を、3.965g(40mmol)に、ジメチル
ホルムアミドの量を13.084gにそれぞれ変えて、他の条
件は同様にて重合を行った。得られた複合体は、37℃の
緩衝液中において糖存在下と不存在下での膨潤変化につ
いて調べた。その結果を表1に示す。
【0039】比較例3 実施例3において、3−メタクリロイルアミノベンゼン
ボロン酸の代わりに、グリセロールモノメタクリレート
0.64g(4mmol)に変えた以外は同様の方法で重合を行っ
た。得られた複合体は、37℃の緩衝液中において糖存在
下と不存在下での膨潤変化について調べた。その結果を
表1に示す。
【0040】膨潤度について実施例1〜6と比較例1〜
3をまとめて表1に示した。膨潤度は複合体1g当たり
に含まれる溶媒の量で表している。
【0041】表1の測定に用いた溶液は、A:リン酸生
理緩衝液(pH=7.4)、B:ヘペス緩衝液(pH=8.5)、
C:ヘペス緩衝液(pH=8.5)、グルコース100mg/dl、
D:ヘペス緩衝液(pH=8.5)、グルコース1000mg/dl、
E:ヘペス緩衝液(pH=8.5)、ガラクトース1000mg/dl
をそれぞれ用いた。
【0042】
【表1】 表1の結果から実施例のものは糖濃度に応じて膨潤度が
増大しているが、比較例のものはすべて膨潤度は一定で
あることがわかる。
【0043】実施例7 実施例3の複合体については、膜(直径20mm) を介して
二層(一層の容量は20ml)からなる透過装置を用いて、
37℃の恒温槽中でインスリンの透過について調べた。緩
衝液としてはヘペス緩衝液(pH=8.5)を用い、片方には
インスリン0.5mg/mlを含むヘペス緩衝液を、他方には
ヘペス緩衝液、あるいはグルコース濃度1000mg/dlのヘ
ペス緩衝液を加えて測定した。なお、インスリンは、シ
グマ社製の牛インスリンを用い、インスリンの定量はU
V測定(274nm)により行った。その結果、6時間後にお
けるインスリンが透過してくる側のインスリン濃度は、
透過側にヘペス緩衝液を加えた場合には32μg/ml、透
過側にグルコース濃度1000mg/dlのヘペス緩衝液を加え
た場合には63μg/mlであった。
フロントページの続き (72)発明者 横山 昌幸 千葉県松戸市新松戸3−222新松戸中央プ ラザハイツ205

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ボロン酸基含有モノマー、多官能モノマー
    及びこれらと共重合可能なモノマーを一段で共重合させ
    て得る架橋高分子と、薬物からなる糖応答型高分子複合
    体。
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Cited By (5)

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