JP2000084871A - マスタスレーブマニピュレータ - Google Patents

マスタスレーブマニピュレータ

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JP2000084871A
JP2000084871A JP10263246A JP26324698A JP2000084871A JP 2000084871 A JP2000084871 A JP 2000084871A JP 10263246 A JP10263246 A JP 10263246A JP 26324698 A JP26324698 A JP 26324698A JP 2000084871 A JP2000084871 A JP 2000084871A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 操作性を高めつつ、操作者の意図しない操作
入力がなされ、スレーブが意図しない動きをすることを
防止する。 【解決手段】 マスタ・スレーブ型マニピュレータMに
おいて、操作部1に加わる力を検知する力検知装置4
と、操作者2の把持力と把持位置を検知する入力状態検
知装置5と、力検知信号および入力状態検知信号を記録
する情報記録装置6と、力検知装置4、入力状態検知装
置5および情報記録装置6のデータによる各出力信号に
基づいて入力信号が正常に入力された信号であるか否か
を判断する正常入力判断部7と、操作者2に反力を返す
マスタ駆動装置11とを備え、マスタ駆動装置11は、
正常入力判断部7に入力された信号と、正常入力判断部
7から出力された信号と、現在のスレーブの位置姿勢を
基に反力を計算する安全管理部3の出力にしたがって、
操作部1に反力を発生させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、操作者が操作部を
把持して操作するマスタマニピュレータと、このマスタ
マニピュレータによって出力される指令信号に基づいて
作業を行うスレーブマニピュレータとを有し、マスタ・
スレーブ形式で操作されるマスタスレーブマニピュレー
タに関するものである。
【0002】
【従来の技術】以下の説明では、マスタマニピュレータ
をマスタ、スレーブマニピュレータをスレーブと称す
る。マスタは、ジョイスティックのような形状や、スレ
ーブと相似の形状など、その形態はさまざまであるが、
操作者が把持する操作部を有し、操作部に入力した操作
指令に基づいて、実際に作業を行う装置を駆動させるた
めの操作入力装置を意味する。
【0003】操作は操作者が操作部を把持することによ
り行われる。ただし、操作部へ操作入力を行う状態とし
ては、実際に手で把持するだけでなく、そのマスタの正
しい入力の状態として予め規定された方法に従い、操作
者の身体の一部を操作部の窪みや中空の部位に通した
り、ベルトなどを用いて固定するなどの方法で、操作者
と操作部をつなぎ、操作者の操作入力指令をマスタに入
力できる形態も含む。
【0004】従来、マスタ・スレーブ間の制御では、操
作者がマスタを操作すると、その操作量に応じた各軸の
位置、姿勢のデータがセンサなどから検出され、検出さ
れるデータ信号は通信手段を介してスレーブに伝達さ
れ、スレーブはマスタに入力される操作量に応じて作業
を行う。さらに、スレーブが受ける力をマスタに帰還さ
せ、その力を反力として操作者に伝えることで、スレー
ブが作業対象からどのような力を受けているか操作者が
おおよそ知ることもできる。
【0005】ところで、特開平8−150578号公報
は、操作者が操作部を手で握っていない状態において、
マスタアームの操作部に対する意図しない不用意な接触
により、スレーブ側が操作者の予期せぬ動作をすること
を防止するために、マスタの操作部に接触検知手段を設
け、操作者の手が前記操作部を掴んでいる場合に動作可
能とするマスタアーム装置を提案している。
【0006】また、特開平4−46783号公報は、マ
スタの操作性を各作業者に適合させるため、作業内容や
操作者に合わせてスレーブを駆動する制御パラメータを
可変にする制御装置を提案している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従来の一般的な技術や
特開平8−150578号公報、特開平4−46783
号公報は、作業対象(本発明における作業対象は、「作
業環境」を含むものとする。以下同じ)からスレーブが
受ける反力が微小である場合の操作性については考慮さ
れていない。
【0008】例えば、スレーブが作業対象から受ける微
小な反力を、そのままマスタに再現する場合、操作者は
微妙な力の差を判別することが難しい。前記微小な力を
拡大して操作者に帰還させるとき、実際にはどのくらい
の力がかかっているか把握することは難しく、かえって
操作者の混乱を招く。また、どのくらいの力でマスタに
入力すれば、スレーブから意図する力を発生するのか把
握することが難しい。さらに、スレーブからマスタへの
力の信号を拡大した時に、ノイズと信号の大きさの差が
小さい場合、無意味な信号まで拡大されるので、マスタ
の操作性は悪くなる。これらの理由で作業対象からの反
力が弱い場合は、力の情報に頼らない制御が望ましい。
【0009】反力が弱く、破損し易いなどの理由で作業
対象または作業環境への圧迫を避けたい場合に、スレー
ブが対象に作用させる力を操作者が正確に把握すること
は困難であるので、帰還される力の情報を頼りにスレー
ブを操作することは危険である。
【0010】以上のように、作業対象からの反力が弱
く、破損し易いような環境下では、スレーブにかかる外
力を、操作者に反力として伝えることは、操作性および
安全性の悪化につながる。
【0011】一方、操作者が操作中に意図しない入力を
行ってしまい、スレーブが操作者の意図しない動きをし
てしまう場合がある。例えば、操作している手が滑る、
何らかの物体や第三者が、操作者の体の一部に衝突し、
操作している手に不意に外力が加わる場合などである。
これらの場合は、いずれも操作部には急激な力変化と姿
勢の変化が生じ、これにともない、スレーブも操作者が
意図しない運動をしてしまう。スレーブの作業対象への
接触や圧迫を避けたい場合などにおいて、このような意
図しないスレーブの動きは非常に危険である。
【0012】従来の一般的な技術や、特開平4−467
83号公報では操作者が意図しない外力または操作者自
身の不用意な操作による作業対象への安全性が考慮され
ていない。また、特開平8−150578号公報では、
操作者が操作部を把持していない時に、操作者が意図し
ない外力で操作部が勝手に動いてしまうことを防ぐ技術
を提案しているが、操作者が操作部を把持している時の
不用意な操作については考慮されていない。
【0013】一般に、駆動速度が固定されていないマス
タスレーブマニピュレータの場合、マスタの操作速度に
比例してスレーブの動作速度が決定される。対象部位ま
たは作業環境の境界に近いところで、慎重に操作しよう
としていたにも関わらず、手の滑りなどで、急激にかつ
大きな位置変化をするような入力を行ってしまった場
合、接触したくない部位や、大きな力をかけたくない部
位に対して、接触あるいは圧迫を生じる恐れがある。特
開平8−150578号公報の技術でも、操作者が操作
部を把持している限り、手の滑りなどによって生じる予
期せぬ操作を防ぐことはできない。
【0014】特開平4−46783号公報では、操作者
の操作特性や作業内容に応じて、制御パラメータを変化
させ、スレーブに加わった力の量をマスタを介して操作
者に戻す際に、操作部に生じる反力のゲインを大きくし
たり小さくしたりする技術が開示されているが、上記に
示したように、反力が弱く、破損しやすい環境で作業す
る時は、スレーブにかかる力を反力として操作者に伝え
ることは操作性が悪化する恐れがある。また、操作部の
反力を大きくし、操作するために必要な力を大きく設定
したとしても、予期せぬ外力がそれ以上の力で生じた場
合は、操作者の予期せぬ動きを防ぐことは難しい。この
場合、操作するために必要な力を極端に大きくすること
は操作性の悪化につながる。また、たとえ、作業内容や
作業場所に応じてゲインを設定したとしても、手の滑り
や、意図しない外力が操作者に加えられた場合などに、
操作者の予期しない操作を防ぐことは困難である。
【0015】本発明の課題は、操作性を高めつつ、操作
者の意図しない操作入力によりスレーブが意図しない動
きをすることを防止することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
本発明は、操作者が操作部を把持して操作するマスタマ
ニピュレータと、作業対象に対して動作するスレーブマ
ニピュレータと、前記マスタマニピュレータおよびスレ
ーブマニピュレータを制御する制御装置とを有するマス
タスレーブマニピュレータにおいて、前記制御装置は、
前記マスタマニピュレータからの入力信号が正常に入力
された信号であるか否かを判断する入力判断手段を備え
てなることである。
【0017】制御装置の入力判断手段は、マスタマニピ
ュレータからの入力信号が正常に入力された信号である
か否かを判断する。上記入力信号が正常に入力された信
号である場合には、制御装置は、スレーブマニピュレー
タに作業をさせる指示信号を発信し、この指示信号に基
づいてスレーブマニピュレータは操作者の操作に基づく
作業を行う。もし、上記入力信号が正常に入力された信
号でないと判断される場合には、マスタマニピュレータ
およびスレーブマニピュレータは作業をしない。従っ
て、このマスタスレーブマニピュレータは、操作者の意
図しない操作入力によりスレーブが意図しない動きをす
ることを防止する。
【0018】さらに、前記マスタマニピュレータは、前
記操作部に加わる力を検知する力検知手段と、前記操作
者が前記操作部を把持する力の強弱と把持する位置との
少なくとも一つを検知する入力状態検知手段とを備え、
前記制御装置は、前記力検知手段が検知する力検知信号
および、前記入力状態検知手段が検知する入力状態検知
信号を記録する記録手段と、前記力検知手段および前記
入力状態検知手段の出力信号と前記記録手段に記録され
ているデータとに基づいて、前記マスタマニピュレータ
からの入力信号が正常に入力された信号であるか否かを
判断する入力判断手段とを備えてなることである。
【0019】操作者がマスタマニピュレータの操作部を
把持して操作すると、力検知手段は操作部に加わる力を
検知し、入力状態検知手段は操作者が操作部を把持する
力の強弱と把持する位置との少なくとも一つを検知す
る。この際、制御装置の記録手段は、力検知手段が検知
する力検知信号および入力状態検知手段が検知する入力
状態検知信号を記録する。さらに、マスタマニピュレー
タは、力検知手段および入力状態検知手段の出力信号を
制御装置に入力する。これらの出力信号は記録手段に記
録される。そして、制御装置の入力判断手段は、マスタ
マニピュレータから入力された力検知手段および入力状
態検知手段の出力信号と、記録手段に記録された過去の
データとに基づいて、マスタマニピュレータからの入力
信号が正常に入力された信号であるか否かを判断する。
上記入力信号が正常に入力された信号である場合には、
制御装置は、スレーブマニピュレータに作業をさせる指
示信号を発信し、この指示信号にしたがいスレーブマニ
ピュレータは操作者の操作に基づく作業を行う。もし、
上記入力信号が正常に入力された信号でないと判断され
る場合には、マスタマニピュレータおよびスレーブマニ
ピュレータは作業をしない。従って、このマスタスレー
ブマニピュレータは、操作者の意図しない操作入力によ
りスレーブが意図しない動きをすることを防止する。
【0020】さらに、マスタマニピュレータは、前記操
作部を介して前記操作者に反力を返す反力発生手段を備
え、前記制御装置は、前記入力判断手段の出力信号およ
び、前記スレーブマニピュレータの位置姿勢を基に、前
記操作部に発生させる反力の大きさと向きを計算する安
全管理手段を備え、前記反力発生手段は、前記安全管理
手段の出力を基に前記操作部に反力を発生させる。これ
により、センサ系からの信号に混入するノイズによる反
力の信頼性とマスタの操作性の低下の影響から逃れ、操
作者は反力を安全に関する情報として素直に理解し、操
作に反映させることが可能になり、安全管理手段にて危
険と判断された場合はマスタおよびスレーブの駆動を停
止させるなどの安全管理に関わる制御が可能になるの
で、マスタマニピュレータの操作性と、スレーブを駆動
する際の安全性を高めることができる。
【0021】さらに、前記入力判断手段は、前記力検知
手段および前記入力状態検知手段の出力信号と前記記録
手段に記録されているデータと、該出力信号およびデー
タのそれぞれに対する予め設定されるしきい値との相対
関係に基づいて出力を行い、前記しきい値の大きさが、
前記入力状態検知手段の出力信号に基づいて変更できる
ので、操作者は操作中に、把持している力を変えたり、
把持する場所を変えることで、操作者の意図の基に、操
作性を変更させることができるので、マスタスレーブマ
ニピュレータの操作性を一層向上させることができる。
【0022】さらに、前記入力状態検知手段は、前記操
作部に沿って移動可能な移動体に設けられ前記操作者が
前記操作部を把持する力の強弱を検知する第1のセンサ
と、前記移動体の前記操作部上の位置を検知する第2の
センサとを有してなることである。操作部を把持する
と、第1のセンサにより操作者が操作部を把持する力の
強弱が検知される。操作者が操作部に沿って移動体を移
動させると、第2のセンサにより操作部上の把持位置を
検知する。操作部を把持する力の強弱および把持位置を
検知することにより、正常な入力を行っているか否かを
判断する信号を得ることができる。
【0023】そして、前記入力状態検知手段は、前記操
作者が前記操作部を把持する力の強弱を検知する第1の
センサと、可視光、紫外線、赤外線のうち少なくとも一
つを送受信し、該送信された光の光路が遮断されたか否
かにより前記操作者が把持する前記操作部上の位置を検
知する第3のセンサとを有してなることである。第1の
センサにより操作者が操作部を把持する力の強弱を検知
する。さらに、操作部に第3のセンサである光センサを
配置し、操作部を把持する時に、それらの光路が遮断さ
れることで操作部上の位置を検知する。これによって、
簡便な手段で把持力と把持位置を検知できる。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係るマスタスレー
ブマニピュレータの実施の形態を図面に基づいて詳細に
説明する。尚、図1〜11において、同等部分には同一
符号を付けて示す。
【0025】図11は、本発明に係るマスタスレーブマ
ニピュレータの構成を示し、(A)は制御装置がマスタ
マニピュレータとスレーブマニピュレータとの間にある
構成図、(B)は複数の制御装置がマスタマニピュレー
タとスレーブマニピュレータの間にある構成図である。
本実施形態のマスタスレーブマニピュレータMは、操作
者2が操作部1を把持して操作し指令信号を出力するマ
スタMmと、この指令信号が入力される制御装置Pまた
はPmと、この制御装置PまたはPmによって出力され
る指示信号に基づいて作業を行うスレーブMsとを有す
る。ここで、図11(B)に示すマスタスレーブマニピ
ュレータの形態においては、スレーブMs側にスレーブ
側制御部である制御装置Psを有する。
【0026】図1は、本発明に係るマスタスレーブマニ
ピュレータの制御の一実施形態を示す系統図である。本
実施形態のマスタスレーブマニピュレータMは、図11
(B)に相当する実施形態で、マスタMmと、スレーブ
Msと、マスタMm側に設ける制御装置Pmと、スレー
ブMs側に設ける制御装置Psとを有する。
【0027】マスタMmは、操作者2が操作中に意図し
ない入力を行ってしまい、スレーブMsが操作者2の意
図しない動きをしてしまうことを防ぐために、操作部1
に加わる力を検知する力検知手段としての力検知装置4
と、操作者2が操作部を把持する力の強弱と把持する位
置を検知する入力状態検知手段としての入力状態検知装
置5と、反力発生手段としてのマスタ駆動装置11と、
マスタの各軸の回転角度の変位量または絶対量を検知す
る位置・姿勢検知装置12とを備える。入力状態検知装
置5は、正常な操作入力が行われているか否かを判断す
るための信号検知手段であり、例えば、後述のように把
持力を検知できる移動体が設けられ、操作部1に設ける
ガイドに沿ってこの移動体を移動させ把持位置を検知し
ても良いし、把持力を検知できる操作部1に光センサを
配置し、操作部1を把持する時に、それらの光路が遮断
されることで把持力と把持位置を同時に検知しても良
い。
【0028】制御装置Pmは、検知信号を記録する記録
手段としての情報記録装置6と、安全管理手段としての
安全管理部3と、通信装置13とを備え、安全管理部3
は正常な入力がなされたか否かを判断する正常入力判断
部7を有する。
【0029】情報記録装置6は、力検知装置4が検知す
る力検知信号および入力状態検知装置5が検知する入力
状態検知信号を記録し、操作部1の把持状態と操作入力
される力を周期的または継続的に記録し、これらの過去
の記録データと、把持状態の時間変化、操作入力される
力の時間変化を記録する。ここで、把持状態とは、把持
した位置と把持力の大きさを意味する。
【0030】安全管理部3は、マスタMmの操作およ
び、スレーブMsの動きにおいて、下記に示すような防
がねばならない状態が存在する場合、センサの検知信号
に基づいた計算を行い、マスタMmおよびスレーブMs
の現在の状態と、現在操作入力された指令に基づいて駆
動したときに予想される状態が、防がねばならない状態
となるかどうかを管理する。安全管理部3が出力する信
号(または情報)としては、防がねばならない状態であ
るか否かの二値表現であっても良いし、確率であっても
良い。さらに、これらの信号に加え、マスタに発生させ
る反力の大きさと向きの情報を加えてもよい。
【0031】作業対象(先に記したように、本発明にお
ける作業対象は、特に断らない限り「作業環境」も含む
意味に用いる。)からの反力が弱く、破損し易いような
環境下で使用する場合の操作性および安全性を向上させ
るために、スレーブMsが外部から受けた力に比例する
反力をマスタMmの操作部1に発生させるのではなく、
スレーブMsが外部から受ける力とは無関係に、安全管
理部3では、正常入力判断部7に入力された信号と、正
常入力判断部7から出力された信号と、現在のスレーブ
の位置姿勢を基に、操作入力された情報に従って駆動し
た場合にスレーブが安全に作業できるかどうかを算出
し、その結果を反力の大きさと向きに変換する。反力発
生手段であるマスタ駆動装置11は安全管理部3が出力
した反力の大きさと向きに従って反力を発生させる。
【0032】防がねばならない状態とは、マスタスレー
ブマニピュレータMを使用する環境によって異なるが、
例えば、作業対象に対するスレーブMsの不用意な接触
や設定以上の圧力による接触、作業領域内に存在する障
害物および作業対象以外の個所に対するスレーブMsの
不用意な接触や設定以上の圧力による接触、作業可能領
域と作業不可領域の境界に対するスレーブMsの接触
や、複数のスレーブMsやマスタMmを使用する場合の
スレーブMs同士あるいはマスタMm同士の接触などで
ある。以後、上記で示した、それぞれの防がねばならな
い状態を単に危険と表記する。
【0033】また、マスタMmの正常な操作入力とは、
操作者2がスレーブMsを駆動することを目的として、
操作者2の意志により行う入力であり、そのときの、マ
スタMmとスレーブMsの位置、姿勢、速度、加速度お
よび入力される力の大きさ、その大きさの単位時間当た
りの変化率などの入力信号が、予め設定される範囲内で
あり、入力される指令によって駆動するスレーブMsが
上記の危険な状態にならない入力動作を意味する。
【0034】安全管理部3は、設定調整ルーチン8およ
び正常入力判断ルーチン9を有する入力判断手段として
の正常入力判断部7と、安全判断ルーチン10およびス
レーブ位置姿勢監視ルーチン16とを含むものである。
【0035】正常入力判断部7は、力検知装置4および
入力状態検知装置5の出力信号と、情報記録装置6に記
録される記録データによる出力信号と、さらに把持状態
の時間変化、操作入力される力の時間変化などから入力
信号が正常であるか否かを判断する。さらに、操作者2
が、マスタスレーブマニピュレータの操作性を意図的に
変化させることを可能とし作業性を向上させるため、正
常入力判断部7の設定調整ルーチン8は、操作者2が把
持している位置あるいは把持力に応じて、操作入力の力
の信号およびその時間変化の割合を基に、正常な操作入
力であるか否かを判断する際の基準となるしきい値を変
化させる。なお、安全管理部3や正常入力判断部7など
のうち、少なくともそれらの一部を、マスタマニピュレ
ータと互いに通信可能で、スレーブマニピュレータでは
ない別のCPUによって実行させても良い。安全管理部
3のその他の判断部およびルーチンについては後述す
る。
【0036】マスタ駆動装置11は、安全管理部3の出
力信号を基に反力を発生させる。マスタ駆動装置11と
しては、アクチュエータによってマスタの各軸を駆動し
たり、ブレーキやクラッチを利用して、マスタの各軸の
動きを制御したり、あるいは各軸に設けられるダンパの
硬さを変化させることなどが有効である。
【0037】次に、本実施形態のマスタスレーブマニピ
ュレータMについて、さらに詳しく説明する。
【0038】操作者2は、マスタMmの一部である操作
部1を持ってマスタMmを操作する。マスタMmは、操
作部1に設けた入力状態検知装置5により、操作部1を
把持する力の強弱と把持する位置を検知する。その検知
信号を正常入力判断ルーチン9および設定調整ルーチン
8に伝達し、さらにその検知信号を情報記録装置6に記
録する。
【0039】これとは別に、マスタMmに設ける力検知
装置4によって、操作者2が操作入力を行う力の大きさ
と方向を検知する。この検知信号を正常入力判断ルーチ
ン9へ伝達し、さらにその検知信号を情報記録装置6に
記録する。
【0040】正常入力判断ルーチン9は、次に示す幾つ
かの判断結果から現在の操作が正常な入力であるか否か
を判断する。先ず、入力状態検知装置5から伝達される
検知信号と、情報記録装置6に記録される過去の入力状
態検知装置5の記録データから、把持する位置と力の大
きさおよびそれらが単位時間当たりに変化する割合に基
づき、操作者2が操作部1を正常に把持しているか否か
の判断と、不意の外力が生じていないかの判断を行う。
この判断結果を判断1と呼ぶ。ここでの判断のアルゴリ
ズムは後述の図2で説明する。ここでは、把持する位置
を、操作部1に設けるセンサの番号にて識別することと
するが、把持位置を変えることで連続的に出力値が変化
する構造の操作部を用いて把持位置を計測することも可
能である。この操作部1の構造については後述の図6以
降で説明する。
【0041】さらに、正常入力判断ルーチン9は、力検
知装置4が検知する検知信号から、操作部1になされる
操作入力の大きさに基づく判断を行う。この判断結果を
判断2とする。また、力検知装置4で検知する最も新し
い検知信号(入力されたばかりの力の方向と大きさ)
と、情報記録装置6に記録される過去の記録データとを
基に判断する。この判断結果を判断3とする。この判断
のアルゴリズムは後述の図3および図5で説明する。
【0042】判断1から判断3までのすべての結果に
て、正常な入力であると判断される場合、現在入力され
る操作を正常な入力であると最終的に決定する。また、
判断1から判断3の内少なくとも一つの結果から、異常
な入力であると判断される場合、現在入力される操作は
正常な入力ではないと決定する。
【0043】以上の判断を正常入力判断ルーチン9で行
い、正常入力と判断される場合は、操作者2によって入
力される操作力と操作方向の検知信号が安全判断ルーチ
ン10へ伝達される。同時に状況通知装置17を介し
て、操作者2に正常な入力がなされていることを知らせ
る。それは、モニタなどに表示されるマークの位置、色
の種類、明度、彩度あるいはメータなどで表示される数
字、スピーカなどから発生する音の種類、高低などの予
め決められる状況信号18を用いて行われる。
【0044】正常入力判断ルーチン9で、正常入力では
ないとの判断が下される場合は、安全判断ルーチン10
でアクチュエータの停止指令がマスタ駆動装置11へ発
信され、かつ、現在生じているエラーの状況を意味する
ように予め決められる状況信号18によって操作者2に
正常に入力が処理されていないことを知らせる。
【0045】正常な入力であるという判断結果を受け取
る安全判断ルーチン10は、操作部1からマスタMmへ
入力される信号と、スレーブ位置姿勢監視ルーチン16
で監視するスレーブMsの位置姿勢の信号とを基に、入
力される信号に従ってスレーブMsを駆動する場合、ス
レーブMsとスレーブMsの周りの環境および対象に対
する危険が無いかどうかを計算する。ここでの判断結果
は現在の状況を意味する状況信号18を、状況通知装置
17を介して操作者2へ伝える。さらに、危険であると
判断される場合は、マスタ駆動装置11へアクチュエー
タの停止指令を発信し、安全であると判断される場合
は、マスタ駆動装置11へ入力信号に基づく駆動指令を
出す。
【0046】上記制御は、正常な入力であるか、異常な
入力であるかの2値信号に基づいてアクチュエータを駆
動する場合を示す。従って、安全判断ルーチン10はア
クチュエータの停止か駆動かの選択を行っている。しか
し、正常入力判断ルーチン9で、各段階での判断におい
て、正常な入力であるか異常な入力であるかを確率で出
力し、その出力に基づいてアクチュエータを駆動するこ
とで、アクチュエータの駆動から停止までの間を滑らか
につなげ、操作性や作業性を向上させることも有効であ
る。
【0047】マスタMmが駆動することによって、マス
タMmの各軸の位置姿勢が変化する。これを位置・姿勢
検知装置12で検知し、マスタ側の通信装置13および
スレーブ側の通信装置15を介して、スレーブ側制御装
置14へ位置・姿勢検知装置12の信号を伝達する。ス
レーブMsはその信号に基づく駆動を行い、その結果変
化する位置・姿勢などの信号を通信装置15および通信
装置13を介して、マスタ側制御装置Pmへ伝達する。
マスタ側制御装置Pmは、その信号をスレーブ位置姿勢
監視ルーチン16で管理し、安全判断ルーチン10の判
断材料とする。
【0048】図2は、図1の正常入力判断部7の前半の
フローチャートである。図2を用いて判断1のアルゴリ
ズムを説明する。すべての入力状態検知装置5の出力F
kをチェックし(ブロック20)、把持する力が二つの
しきい値の間にある装置が存在するか否かを確かめる
(ブロック21)。これにより、操作者2が操作部1を
正常に把持しているかどうかを判定する。上限および下
限のしきい値Fmin、Fmaxは、通常操作者が操作
入力を行う時に生じる把持力から設定する。
【0049】図5は、しきい値判断後の出力値の例で、
入力状態検知装置の出力Fkと力検知装置の出力Aのし
きい値を同一軸上に取って画いている。この図では入力
と出力の関係が直線の場合である。
【0050】操作部1の角度や動きに応じて、Fmi
n、Fmaxを変化させることも有効である。出力Fk
が下限のしきい値Fminを下回る場合は、把持してい
ないと考えられ、上限を上回るような強い力で把持する
場合は、通常ではあり得ない力が操作部1にかかってお
り、正常な操作がなされていないと考えられる。通常で
はあり得ないこれらの場合に入力される信号を正常な信
号と区別することで、把持力と把持位置から判断できる
操作者が意図していない操作を防ぐことができる。
【0051】出力が二つのしきい値Fmin、Fmax
の間である装置がある場合、その装置番号kが安定して
いるかどうかを確かめる(ブロック22)。これによ
り、人が正常に把持し、操作入力の状態が整っているこ
とを判定する。正常に把持しない場合や、操作者以外の
外力が操作部1にかかる場合は、操作部1へ力をかける
場所が安定していない。これらの場合に入力される信号
を正常な信号と区別することで、装置番号の安定から判
断できる操作者が意図していない操作を防ぐことができ
る。
【0052】ブロック22において、装置番号kが安定
していることが確認できた場合、装置番号kの出力Fk
が時間当たりどれだけ変化しているか、すなわちFkの
値の単位時間当たりの変化率Hkを、情報記録装置6の
過去の記録データと照らし合わせて算出する(ブロック
23)。ここで、出力Fkがしきい値を超えるような変
化をしてるようならば、操作者に対し、外力が加えられ
たか、手の滑りなどが生じたかなどの場合が考えられる
ので、危険と判断する。出力Fkがしきい値を超えずに
安定している場合、入力状態検知装置5の出力による判
定では、正常な入力状態にあると判断され、判断1をO
Kとする。
【0053】図2のブロック21、22、24のそれぞ
れでNOと判定された時、正常な入力がなされていない
と判断し、状況通知装置17へその情報を伝え(ブロッ
ク29)、状況信号18を用いて操作者2に状況を知ら
せる。同時に、今回入力されたデータはここで止めら
れ、以降の判断の対象とはならない。よって、これらの
データにしたがってマスタが駆動されることはない。
【0054】次に、操作部1に設けられる入力状態検知
装置5のセンサについて、操作者の把持する位置と把持
する力の強弱(把持力)を検知する形態を図6ないし図
10を用いて説明する。
【0055】図6は、抵抗値変化によって把持力と把持
位置を検知する操作部の斜視図である。圧力によって出
力が変化するもの、たとえば圧電ゴム55を用いて複数
のセンサ部材を操作部1に設け、どのセンサ部材に圧力
がかかるかによって把持する位置を検知し、その圧力の
大きさで把持力を特定する。
【0056】図7は、抵抗値変化によって把持力と把持
位置を検知する別の操作部を示し、(A)は斜視図、
(B)は抵抗値変化の説明図である。操作部1は、ガイ
ド56が設けられ、そのガイド56に沿って動く移動体
57を有する。移動体57には把持する力の強弱を検知
する第1のセンサとして圧電ゴム55が設けられる。さ
らに、ガイド56には抵抗体56aが設けられており、
移動体57の移動によって、R1〜R2間の抵抗値を連
続的に変化させることができ、第2のセンサとして働
き、図示していない操作者2は移動体57を把持して操
作部1を持ち操作することで、把持位置が検知される。
【0057】図8は、光路の遮断によって把持力と把持
位置を検知する操作部の斜視図である。図9は、図8の
操作部の構造を示す先端側断面図である。図8に示すよ
うに、把持力は、第1のセンサとして圧力によって出力
が変化するもの、たとえば圧電ゴム55が操作部の長手
方向に沿って設けられる。図9に示すように、操作部1
に幾つかの溝1aを設け、各溝1aに第3のセンサであ
る光センサ59を埋め込み、操作者が把持し赤外線58
を遮断することにより把持する位置を検知する。
【0058】図10は、光の遮断によって把持力と把持
位置を検知する別の操作部を示し、(A)は斜視図、
(B)は(A)のSS−TT間透視図である。図10
(A)に示すように、本操作部1は、図7で示したもの
と同様の移動体57を有し、移動体57には把持する力
の強弱を検知する第1のセンサとして圧電ゴム55が設
けられる。さらに、移動体57の操作部上の位置を光セ
ンサで検知する第3のセンサとして、図10(B)の透
視図に示すように、ガイド56を挟むように受光側光セ
ンサ60と発光側光センサ61を複数対で装備する。移
動体57は、ガイド56上を上下するリング63の表面
に圧電ゴム55が取り付けられ、さらに、リング63に
光センサの送受信を遮る遮光板62が固定される。圧電
ゴム55の出力から把持力を検知し、移動体57を移動
させたとき、移動体の遮光板62で遮られる光センサを
特定することで、移動体57の位置を検知する。
【0059】また、操作部1の検知手段として、図示し
ていないが、操作部に図10に示したような圧電ゴム
(第1のセンサ)を取り付けたリングを設け、このリン
グを移動する方向に沿って、操作部1の表面に外部に向
けて複数の反射型センサ(第3のセンサ)を列状に埋め
込んでも良い。この場合、操作部に埋め込まれた光セン
サの上にリングが位置する時、リングにより反射した光
で光センサが反応する。リングが存在しない場所の光セ
ンサは反射光を受信することができないので、リングの
位置を特定することができる。また、移動体に発光側ま
たは受光側の光センサを取り付け、操作部にはそれと対
になるセンサを複数、列状に埋め込むことで同様の効果
を得ることができる。これらの実施形態で示した、操作
部を上下するリングは、上下運動ではなく、操作部を回
転軸とした回転運動でも良い。また、リングは円周の一
部が切り取られた形状でも良い。
【0060】以上説明したように、入力状態検知装置5
のセンサを操作部1に設けることにより、把持する位置
と把持する力の少なくとも一つを検知することが可能で
ある。
【0061】図3は、図1の正常入力判断部7の後半の
フローチャートである。判断1でOKと判断される場合
は、図3のフローチャートにしたがって、正常入力判断
2が処理される。以下に判断2のアルゴリズムについて
説明する。
【0062】図3の判断2では、力検知装置4の出力A
が二つのしきい値Amin、Amaxの間に存在するか
どうかを基に、正常な入力がなされるかどうかを判断す
る。判断1=OKの装置番号k、出力Fkの値により設
定値Amin、Amaxの変更があるかの判定(ブロッ
ク30)を行う。出力Fkの値により変更がある場合
は、設定調整ルーチン8で二つのしきい値Amin、A
maxを変更する(ブロック31)。力検知装置4の出
力をAとし(ブロック32)、ブロック33で力検知装
置4の出力Aが二つのしきい値Amin、Amaxの間
に存在するか否かを判定する。Amin≦A≦Amax
であるならば、判断2はOKとする。もし、操作部1に
操作力が加えられていなければ、Aが下限のしきい値A
minを下回るので、駆動の必要がない。もし、外力な
どが存在する時は、Aが上限のしきい値Amaxを上回
るので、マスタMmの駆動は行わない。
【0063】上記において、しきい値を変更することで
次のようなことが可能になる。マスタMmの操作性を損
なわないために、操作速度の上限は安全な領域で操作す
るのに十分な速度を確保する必要がある。安全な領域で
の操作ではAminを小さくする、あるいはAmaxを
大きくするという操作のうち少なくとも片方を実施し、
正常な入力であると判断する範囲を広くしておく。これ
により、特に操作力に気を配らずに操作しても異常操作
と判断されることなく操作できるため、操作性を損なう
ことはない。また、作業対象の境界付近で、微妙な操作
が要求される時は、Aminを大きくする、あるいはA
max小さくするという操作のうち少なくとも片方を実
施し、正常な入力であると判断する範囲を狭くする。ま
た、Aminを大きくする方向へ変更することで、操作
しようという意識の無いまま不用意に軽い力が入った場
合の操作による駆動を抑制し、Amaxを小さくする方
向へ変更することで、作業対象の境界付近での微妙な操
作を行っている最中に手のすべりや何らかの外力により
操作が行き過ぎたりすることを抑制することができる。
【0064】上限のしきい値を下げるために、強く把持
して出力Fkを大きくするか、軽く把持してFkを小さ
くするかは操作者の好みで設定すればよい。上限のしき
い値を小さな値に固定してしまうと、慎重さを要しない
位置で操作するときにも操作する力に気を配らなくては
ならないので、操作性が損なわれる。よって、そのよう
な時は把持力を変化させることで、上限のしきい値Am
axを大きくする。
【0065】先に挙げた図5においては、力検知装置の
出力Aのしきい値判断後の出力値の例である。
【0066】次に、図3の判断3について説明する。判
断3では、力検知装置4の出力Aの単位時間当たりの変
化量Cがしきい値Cmaxを超えていないかどうかを基
準に、正常な入力がなされたかどうかを判断する。判断
1=OKの装置番号k、出力Fkの値により設定値Cm
axの変更があるかの判定(ブロック36)を行う。出
力Fkの値により変更がある場合は、設定調整ルーチン
8でしきい値Cmaxを変更する(ブロック37)。力
検知装置4の出力をAとし、一つ前のサンプリングで計
測した出力をBとし、その差分CをA−Bとする(ブロ
ック38)。ブロック39で出力Aの変化量Cがしきい
値Cmax以下であるか否かを判断する。C≦Cmax
ならば、判断3はOKとする。もし、操作部1に外力に
よる衝撃や、操作者の手の滑りなどが発生した場合は、
単位時間当たりの出力Aの変化量Cは大きくなり、しき
い値Cmaxを超える。よって、この時はマスタMmの
駆動を行わないことで、操作者2の意図しない入力を防
ぐことができる。スレーブMsが比較的安全な領域にあ
る場合はCmaxのしきい値を大きくする方向へ変更
し、俊敏な操作を可能にすることで操作性を向上させ、
スレーブMsが重大な注意を必要とする操作対象付近に
ある時はCmaxを小さくする方向へ変化させ、急激な
操作を抑制することで、不用意な操作を防ぐことが可能
になる。
【0067】ブロック42で判断2がOKで、かつ判断
3がOKであるかどうかを判定し、どちらもOKである
場合は、正常な入力がなされたと判断し、入力判断=O
Kとする(ブロック43)。どちらかがNOである場合
は正常な入力ではないと判断し、NGとする(ブロック
28)。これらの結果を安全判断ルーチン10へ送る
(ブロック44)。また、状況通知装置17へも判断結
果を送り、操作者2へ現在の状況を伝える(ブロック2
9)。
【0068】図4は、図1の安全管理部3のフローチャ
ートである。安全管理部3において、正常入力判断ルー
チン9から安全判断ルーチン10に信号を伝達した後の
処理について示している。ブロック45の正常入力判断
部での処理は、図2と図3で行った処理を意味してい
る。先ず、ブロック45の正常入力判断ルーチン9の出
力信号を受け取る(ブロック46)。正常入力判断ルー
チン9が正常入力と判断するときは、ブロック48で現
在入力する信号で駆動した後のスレーブMsの位置姿勢
を計算する。その位置姿勢が作業対象に対して損傷を与
えることがないかどうかを判定する(ブロック49)。
次に、スレーブMsからフィードバックされる現在の位
置と姿勢の信号から、スレーブMsと作業対象の位置関
係を計算し(ブロック50)、危険な位置、姿勢である
かどうか、安全に関して確認を行う(ブロック51)。
現在の位置、姿勢と、現在入力される信号から推定され
る次の位置、姿勢の両方で安全が確認された後、マスタ
Mmの駆動装置に駆動指令を出す(ブロック52)。ま
た、上記のどちらかで安全ではないと判定される場合、
その結果を状況通知装置17へ送り(ブロック53)、
さらに、マスタ駆動装置に停止指令を出す(ブロック5
4)。これにより、安全管理部3での作業が終了する。
【0069】以上の処理を行うことにより、本実施形態
のマスタスレーブマニピュレータMは、操作性を高めつ
つ、操作者2の手の滑りや外力の影響で操作者の意図し
ない不用意な操作や外力による入力、あるいは操作者2
の意図しない急激な操作や外力による急激な操作による
入力によって、スレーブMsが意図しない動きをするこ
とを防止する。また、作業環境または作業対象からの反
力が弱く、破損し易い環境内でスレーブMsを操作する
場合でも、作業環境または作業対象に対する安全を確保
することが可能となる。
【0070】さらに、スレーブMsが外部から受ける力
と無関係に、安全管理を行う安全管理部3からの信号を
基にマスタ駆動装置11が反力を発生させることによ
り、作業対象からの反力が弱く、破損し易い環境内でス
レーブMsを操作する場合でも、作業対象に対する安全
を確保することが可能となる。
【0071】マスタMmから受ける反力にはノイズなど
が含まれることがなく、すべての反力が安全管理に関す
る信号であることを迷わず把握することができるので、
操作者2は、マスタMmが発生する信号を十分に利用
し、スレーブMsの作業対象に対する安全性を向上させ
ることができる。
【0072】さらに、スレーブMsが受ける外力の大き
さに関わらず、危険な操作に対しては大きな反力を与
え、あるいは操作を停止させるので、操作者2が予期し
ない操作が行われることを防ぐ。この時の操作性につい
ては、安全性の信号としての反力を発生させるだけで良
いので、ノイズの影響が多いスレーブMsの反力を利用
する時に比べて、高い操作性を実現することができる。
【0073】正常入力判断部7で使用する一つ以上のし
きい値(基準の値)の大きさを、操作者2が操作部1を
把持する位置や把持力の強弱など入力状態検知装置5の
信号に応じて変化させることができるので、正常な操作
と判断される力の大きさ、操作の素早さなどを、操作す
る人の意図に合わせて変化させることができる。また、
この場合、手が滑ったり、外力が加えられたりして、操
作者2が意図しない操作が行われる場合でも、操作部1
にかかる力がしきい値を超え、また、単位時間当たりの
力の変化量がしきい値を超えることで、正常な操作では
ないと判断し、操作者2が意図しない操作を防ぐことが
できる。これにより、操作性を高めつつ、作業対象に対
する安全性を向上できる。
【0074】把持力と位置を同時に検知できる移動体5
7を設ける操作部1を用いることで、常に、操作者2の
操作入力の状態を把握することが可能になり、安全性を
向上できる。把持位置を特定するための複数の光センサ
(第2のセンサ)と把持力を検知するセンサ(第1のセ
ンサ)を設ける操作部1を用いることで、常に、操作者
2の操作入力の状態を把握することが可能になり、安全
性を向上できる。
【0075】なお、上記実施形態では操作部1に反力を
発生させる手段として、マスタMmの各軸を駆動するマ
スタ駆動装置11を用いて説明したが、マスタ駆動装置
11の代わりに、各軸に取り付けられるブレーキやクラ
ッチ、またはダンパなどを制御することも有効である。
【0076】
【発明の効果】本発明のマスタスレーブマニピュレータ
によれば、操作性を高めつつ、操作者の意図しない操作
入力がなされることにより、スレーブが意図しない動き
をすることを防止し、作業対象に対する安全性を高める
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るマスタスレーブマニピュレータの
制御の一実施形態を示す系統図である。
【図2】図1の正常入力判断部の前半のフローチャート
である。
【図3】図1の正常入力判断部の後半のフローチャート
である。
【図4】図1の安全管理部のフローチャートである。
【図5】しきい値と出力の関係図である。
【図6】抵抗値変化によって把持力と把持位置を検知す
る操作部の斜視図である。
【図7】抵抗値変化によって把持力と把持位置を検知す
る別の操作部を示し、(A)は斜視図、(B)は抵抗値
変化の説明図である。
【図8】光の遮断によって把持力と把持位置を検知する
操作部の斜視図である。
【図9】図8の操作部の構造を示す先端側断面図であ
る。
【図10】光の遮断によって把持力と把持位置を検知す
る別の操作部を示し、(A)は斜視図、(B)は(A)
のSS−TT間透視図である。
【図11】本発明に係るマスタスレーブマニピュレータ
の構成を示し、(A)は制御装置がマスタマニピュレー
タとスレーブマニピュレータとの間にある構成図、
(B)は複数の制御装置がマスタマニピュレータとスレ
ーブマニピュレータの間にある構成図である。
【符号の説明】 M マスタスレーブマニピュレータ Mm マスタマニピュレータ Ms スレーブマニピュレータ P、Pm 制御装置 1 操作部 2 操作者 3 安全管理部(安全管理手段) 4 力検知装置(力検知手段) 5 入力状態検知装置(入力状態検知手段) 6 情報記録装置(記録手段) 7 正常入力判断部(入力判断手段) 11 マスタ駆動装置(反力発生手段) 55 圧電ゴム(第1のセンサ) 57 移動体 59 光センサ(第3のセンサ) 60 受光側光センサ(第3のセンサ) 61 発光側光センサ(第3のセンサ)

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 操作者が操作部を把持して操作するマス
    タマニピュレータと、作業対象に対して動作するスレー
    ブマニピュレータと、前記マスタマニピュレータおよび
    スレーブマニピュレータを制御する制御装置とを有する
    マスタスレーブマニピュレータにおいて、前記制御装置
    は、前記マスタマニピュレータからの入力信号が正常に
    入力された信号であるか否かを判断する入力判断手段を
    備えてなるマスタスレーブマニピュレータ。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記マスタマニピュ
    レータは、前記操作部に加わる力を検知する力検知手段
    と、前記操作者が前記操作部を把持する力の強弱と把持
    する位置との少なくとも一つを検知する入力状態検知手
    段とを備え、前記制御装置は、前記力検知手段が検知す
    る力検知信号および、前記入力状態検知手段が検知する
    入力状態検知信号を記録する記録手段を備え、前記入力
    判断手段は、前記力検知手段および前記入力状態検知手
    段の出力信号と前記記録手段に記録されているデータと
    に基づいて、前記マスタマニピュレータからの入力信号
    が正常に入力された信号であるか否かを判断してなるマ
    スタスレーブマニピュレータ。
  3. 【請求項3】 請求項1または2において、前記マスタ
    マニピュレータは、前記操作部を介して前記操作者に反
    力を返す反力発生手段を備え、前記制御装置は、前記入
    力判断手段の出力信号および、前記スレーブマニピュレ
    ータの位置姿勢を基に、前記操作部に発生させる反力の
    大きさと向きを計算する安全管理手段を備え、前記反力
    発生手段は、前記安全管理手段の出力を基に前記操作部
    に反力を発生させてなるマスタスレーブマニピュレー
    タ。
  4. 【請求項4】 請求項2または3において、前記入力判
    断手段は、前記力検知手段および前記入力状態検知手段
    の出力信号と前記記録手段に記録されているデータと、
    該出力信号およびデータのそれぞれに対する予め設定さ
    れるしきい値との相対関係に基づいて出力を行い、前記
    しきい値の大きさは、前記入力状態検知手段の出力信号
    に基づいて変更してなるマスタスレーブマニピュレー
    タ。
  5. 【請求項5】 請求項2ないし4のいずれかにおいて、
    前記入力状態検知手段は、前記操作部に沿って移動可能
    な移動体に設けられ前記操作者が前記操作部を把持する
    力の強弱を検知する第1のセンサと、前記移動体の前記
    操作部上の位置を検知する第2のセンサとを有してなる
    マスタスレーブマニピュレータ。
  6. 【請求項6】 請求項2ないし5のいずれかにおいて、
    前記入力状態検知手段は、前記操作者が前記操作部を把
    持する力の強弱を検知する第1のセンサと、可視光、紫
    外線、赤外線のうち少なくとも一つを送受信し、該送信
    された光の光路が遮断されたか否かにより前記操作者が
    把持する前記操作部上の位置を検知する第3のセンサと
    を有してなるマスタスレーブマニピュレータ。
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