JP2000081347A - 熱式空気流量素子及び熱式空気流量計 - Google Patents

熱式空気流量素子及び熱式空気流量計

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JP2000081347A
JP2000081347A JP10250703A JP25070398A JP2000081347A JP 2000081347 A JP2000081347 A JP 2000081347A JP 10250703 A JP10250703 A JP 10250703A JP 25070398 A JP25070398 A JP 25070398A JP 2000081347 A JP2000081347 A JP 2000081347A
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thermal air
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protective film
thermal
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Masamichi Yamada
雅通 山田
Kaoru Uchiyama
内山  薫
Izumi Watanabe
渡辺  泉
Keiichi Nakada
圭一 中田
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Hitachi Ltd
Hitachi Automotive Systems Engineering Co Ltd
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Hitachi Ltd
Hitachi Car Engineering Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】省電力で、かつ汚損の影響を受けることなく、
計測精度の向上が可能な熱式空気流量素子及び熱式空気
流量計を実現する。 【解決手段】熱式空気流量素子1は空洞部8を有する半
導体基板2と、この空洞部8上に電気絶縁膜7aを介し
て形成された発熱抵抗体4a、4bと、発熱抵抗体4
a、4bの近傍であって、基板2上の絶縁膜7a上に形
成された凹凸形状の上流及び下流側抵抗体6a、6b
と、抵抗体4a、4b、6a、6b上に形成された保護
膜7bとを備える。保護膜7bの表面は凹凸形状の抵抗
体6a、6bに応じて付着液体に対し親液性を示す凹凸
形状を有する。発熱抵抗体4a、4bが形成された上部
の保護膜7b上に付着した汚染物質を含む液体は保護膜
7bの凹凸形状の領域に表面張力により移動される。こ
れにより、省電力で汚損の影響なく計測精度の向上が可
能な熱式空気流量素子及び熱式空気流量計が実現され
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱式空気流量素子
及び熱式空気流量計に係り、特に、内燃機関の吸入空気
量を測定するのに好適な熱式空気流量素子及び熱式空気
流量計に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、自動車などの内燃機関の空気
吸入通路に設けられ、吸入空気量を測定する空気流量計
としては、熱式空気流量計が、質量空気量を直接検知で
きることから主流となってきている。この熱式空気流量
計によって検出された空気流量を示す信号に変換され、
この信号を用いて、内燃機関の電子制御燃料噴射装置が
燃料噴射量を制御する。
【0003】上記熱式空気流量計に用いられる熱式空気
流量素子としては、例えば、特表平3−502966号
公報に記載されているように、半導体基板上に、半導体
マイクロマシニング技術により製造された空気流量素子
が知られている。そして、上記公報に記載された空気流
量素子は、コストが低減でき、且つ低電力で駆動するこ
とが出来ることから注目されている。
【0004】半導体基板を用いた熱式空気流量素子は、
半導体基板に電気絶縁膜を介して発熱抵抗体と測温抵抗
体とを形成し、これら抵抗体の表面を保護膜で覆うとと
もに、発熱抵抗体と測温抵抗体とが形成された領域の下
側の半導体基板に空洞を形成するようにして構成されて
いる。
【0005】熱式空気流量素子は、被測定空気流の空気
温度を測温抵抗体により計測し、計測された空気温度よ
り発熱抵抗体の温度が一定温度高くなるように、発熱抵
抗体に加熱電流が供給される。そして、発熱抵抗体の近
傍に配置された他の測温抵抗体により空気流の冷却効果
による温度勾配の変化が検出され、これにより空気流量
が計測される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、電気絶
縁膜と、発熱抵抗体及び測温抵抗体と、保護膜とによっ
て構成された従来の半導体基板を用いた熱式空気流量素
子においては、素子の厚さが約2μmと薄く構成されて
いるため、自動車の内燃機関のように、過酷な環境に適
用した場合、空気流に含まれる水分、油分、ダスト等が
保護膜表面に付着し、熱式空気流量素子が汚損される
と、この素子の熱容量が大きくなり、かかる汚損の影響
を受けやすくなって、計測精度が低下するという問題が
あった。
【0007】このような問題を解決するために、特開平
10−122925号公報に記載の半導体基板を用いた
従来の熱式空気流量素子では、発熱抵抗体の空気上下流
の半導体基板の上部に付着物を除去するための発熱抵抗
体を新たに設けている。
【0008】しかし、上記特開平10−122925号
公報記載の熱式空気流量素子の構成では、付着物を除去
するための発熱抵抗体が半導体基板の上部に形成されて
いるため、付着物の除去に必要な温度を得るには、熱容
量の大きい半導体基板全体を加熱する必要があり、多大
の電力を必要とする問題があった。
【0009】また、付着物の除去に必要な温度が得られ
た場合においても、半導体基板の熱容量が大きいため
に、今度は半導体基板が被測定空気流の温度に戻りにく
く、半導体基板上に形成された空気温度補償用の抵抗体
に悪影響を及ぼし、空気流量計測精度を劣化させるとい
う問題があった。
【0010】本発明の目的は、省電力で、かつ汚損の影
響を受けることなく、計測精度の向上が可能な熱式空気
流量素子及び熱式空気流量計を実現することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は次のように構成される。 (1)空洞部を有する半導体基板と、この基板上に電気
絶縁膜を介して形成された発熱抵抗体と、この発熱抵抗
体の上に形成された保護膜とを有する熱式空気流量素子
において、上記発熱抵抗体の近傍の保護膜に、付着液体
に対して親液性を示す凹凸形状の領域が形成されてい
る。
【0012】上記構成により、保護膜上に付着した汚染
物質を含んだ液体は、親液性を示す様に凹凸形状の領域
に集中し発熱抵抗体上の保護膜より除去され、加熱電力
を必要とすることなく計測精度を向上し得る。
【0013】(2)好ましくは、上記(1)において、
上記保護膜の凹凸形状の領域は、発熱抵抗体の空気流の
上下流領域に形成されている。
【0014】上記構成により、上記保護膜の凹凸形状の
領域の付着液体に対する親液性がより高まり、保護膜上
に付着した汚染物質を含んだ液体は発熱抵抗体上の保護
膜より除去され、加熱電力を必要とすることなく計測精
度を向上し得る。
【0015】(3)また、好ましくは、上記(1)にお
いて、上記保護膜の凹凸形状の領域は、発熱抵抗体の下
流領域に形成されている。
【0016】上記構成により、保護膜上に付着した汚染
物質を含んだ液体は、下流領域に配置した上記保護膜の
凹凸形状の領域に集中し、計測精度に影響を与える発熱
抵抗体の上流側から除去され、加熱電力を必要とするこ
となく計測精度を向上し得る。
【0017】(4)また、好ましくは、上記(1)にお
いて、上記保護膜の凹凸形状は、発熱抵抗体の直上部及
び直下部の保護膜領域を含む空気流の通路を回避して形
成されている。
【0018】上記構成により、保護膜上に付着した汚染
物質を含んだ液体は、計測精度に影響を与える発熱抵抗
体の上下流領域以外に配置した上記保護膜の凹凸形状の
領域に集中し、発熱抵抗体の上下流領域から除去され、
加熱電力を必要とすることなく計測精度を向上し得る。
【0019】(5)また、好ましくは、上記(1)から
(4)のうちのいずれかにおいて、上記保護膜の凹凸形
状は、この凹凸形状の領域の一部が上記半導体基板の空
洞部上を覆うように形成されている。
【0020】上記構成により、上記空洞部上の保護膜に
付着した汚染物質を含んだ液体は、上記保護膜の凹凸形
状の領域に集中し、より容易に空洞部上の発熱抵抗体領
域から除去され、加熱電力を必要とすることなく計測精
度を向上し得るとともに、空洞部上に形成された薄膜部
材の強度を向上させ得る。
【0021】(6)また、好ましくは、上記(1)から
(5)のうちのいずれかにおいて、上記保護膜の凹凸形
状は、発熱抵抗体と同一材料からなる部材を、上記電気
絶縁膜上に凹凸形状パターンに形成した後、上記部材に
保護膜を積層して形成される。
【0022】上記構成により、上記保護膜の凹凸形状は
発熱抵抗体を所定の形状にパターン形成する際に同時に
形成できることから製造工程を簡略化することができ
る。
【0023】(7)また、好ましくは、上記(1)から
(6)のうちのいずれかにおいて、上記保護膜は二酸化
ケイ素または窒化ケイ素から構成され、上記発熱抵抗体
は不純物ドープした多結晶ケイ素から構成される。
【0024】上記構成により、上記保護膜を二酸化ケイ
素または窒化ケイ素で形成することにより上記保護膜の
凹凸形状領域の親液性が高まり、また、上記発熱抵抗体
を比抵抗率の高い不純物ドープした多結晶ケイ素で形成
したことにより、発熱抵抗体の膜厚が厚くでき上記保護
膜の凹凸形状の段差を十分確保出来ることから、上記保
護膜の凹凸形状領域の親液性をより高めることができ
る。
【0025】(8)また、好ましくは、上記(1)から
(7)のうちのいずれかにおいて、上記保護膜上に含フ
ッ素被膜が形成される。
【0026】上記構成により、上記発熱抵抗体上の前記
保護膜から上記保護膜の凹凸形状領域に、汚染物質を含
んだ液体が容易に移動除去され、加熱電力を必要とする
ことなく計測精度を向上し得る。
【0027】(9)また、好ましくは、上記(1)から
(3)、(5)から(8)のうちのいずれかにおいて、
上記凹凸形状の領域は、空気流の方向に延びる複数の溝
が形成され、上記空気流の方向にほぼ垂直な方向に凹凸
を繰り返す形状である。
【0028】(10)また、上記(1)、(2)、
(4)から(8)のうちのいずれかにおいて、上記凹凸
形状の領域は、空気流の方向にほぼ垂直な方向に延びる
複数の溝が形成され、上記空気流の方向に凹凸を繰り返
す形状である。
【0029】(11)また、熱式空気流量計において、
上記(1)から(10)のうちのいずれかの熱式空気流
量素子が、空気流通通路に配置されている。
【0030】上記構成により、保護膜上に付着した汚染
物質を発熱抵抗体上の保護膜より容易に除去し、加熱電
力を必要とすることなく計測精度を向上した熱式空気流
量計を実現できる。
【0031】(12)また、熱式流量計において、上記
(1)から(10)のうちのいずれかの熱式空気流量素
子が、空気流通通路に配置され、上記凹凸形状の保護膜
下に形成された発熱抵抗体と同一材料からなる部材に給
電し、発熱により付着物を除去するように構成される。
【0032】上記構成により、比較的少ない加熱電力に
より、保護膜上に付着した汚染物質を発熱抵抗体上の保
護膜より容易に除去し、計測精度を向上した熱式空気流
量計を実現できる。
【0033】
【発明の実施の形態】以下、図1〜図12を用いて、本
発明の実施形態による熱式空気流量素子を用いた熱式空
気流量計の構成について説明する。
【0034】最初に、図1〜図3を用いて、本実施形態
の第1の実施形態である熱式空気流量素子の構成につい
て説明する。図1は、本発明の第1の実施形態である熱
式空気流量素子の平面図であり、図2は、図1のA−
A’断面図、図3は、図1のB−B’断面図である。
【0035】図1において、本発明の第1の実施形態に
よる熱式空気流量素子1は、上流側発熱抵抗体4aと、
下流側発熱抵抗体4bと、空気温度測温抵抗体5と、保
護膜7b(図2に示す)に付着液体への親液性を有する
凹凸形状(空気流11の順流方向からみて凹凸形状であ
り、空気流11の順流方向に垂直な方向からみて長方形
形状)の上流側抵抗体6a及び下流側抵抗体6bとを備
えている。そして、これら、上流側発熱抵抗体4aと、
下流側発熱抵抗体4bと、空気温度測温抵抗体5と、上
流側抵抗体6aおよび下流側抵抗体6bとは、シリコン
基板2の上に形成されている。
【0036】上流側発熱抵抗体4aは、吸入空気流11
の方向(順流)に対して、上流側に配置されており、下
流側発熱抵抗体4bは、上流側発熱抵抗体4aの下流側
に配置されている。また、空気温度測温抵抗体5は、吸
入空気の温度を測定するものであり、この例では、下流
側発熱抵抗体4bの下流側近辺に配置されているが、上
流側発熱抵抗体4aの上流に配置することも可能であ
る。シリコン基板2の大きさは、例えば、図示の例で
は、短辺(図の横方向)が2mmであり、長辺(図の縦
方向)が6mm程度の小型なものである。
【0037】上流側発熱抵抗体4aと、下流側発熱抵抗
体4bとは、図2を用いて後述するように、シリコン基
板2に形成された空洞部8上のダイヤフラム部3上に電
気絶縁膜7aを介して形成されている。また、凹凸形状
の上流側抵抗体6aおよび下流側抵抗体6bは、シリコ
ン基板2上に電気絶縁膜7aを介して形成され、これら
抵抗体6a、6bの一部がダイヤフラム部3上に電気絶
縁膜7aを介して形成されている。また、抵抗体4a、
4bと抵抗体6a、6bとは同一材料から構成される。
【0038】シリコン基板2の端部には、端子電極10
a、10b、10c、10d、10e、10f、10
g、10h、10iが形成されている。上流側発熱抵抗
体4aの一端である下方側端部は、引出線9fによって
端子電極10fに接続され、上流側発熱抵抗体4aと下
流側発熱抵抗体4bの接続点は、引出線9iによって端
子電極10iに接続されている。また、下流側発熱抵抗
体4bの一端である下方側端部は、引出線9eによって
端子電極10eに接続されている。空気温度測温抵抗体
5の両端は、それぞれ、引出線9a、9bによって端子
電極10a、10bに接続されている。
【0039】また、凹凸形状の上流側抵抗体6aおよび
下流側抵抗体6bの両端は、それぞれ、引出線9g、9
hおよび9c、9dによって端子電極10g、10hお
よび10c、10dに接続されている。
【0040】次に、図2および図3を用いて、本発明の
第1の実施形態による熱式空気流量素子1の断面構造に
ついて説明する。上述したように、図2は、図1のA−
A’断面を、図3は、図1のB−B’断面を示してい
る。
【0041】図2及び図3において、シリコン基板2上
には、電気絶縁膜7aが形成されている。電気絶縁膜7
aとしては、二酸化ケイ素(SiO2)若しくは、窒化
ケイ素(Si34)が用いられる。また、電気絶縁膜7
aとしては、二酸化ケイ素(SiO2)と窒化ケイ素
(Si34)の積層されたものでもよい。
【0042】電気絶縁膜7aとして、二酸化ケイ素(S
iO2)と窒化ケイ素(Si34)を積層したものを用
いると、二酸化ケイ素は、シリコン基板に比べて熱膨張
係数が約1/10と小さいため、シリコン基板2より熱
膨張係数の若干大きく、しかも、機械的強度が高い窒化
ケイ素を用いることにより、シリコン基板2と電気絶縁
膜7aとの間の熱応力を低減して、強度を向上すること
ができる。
【0043】電気絶縁膜7aの上に、多結晶ケイ素(P
oly−Si)に不純物をドープした半導体薄膜によっ
て、発熱抵抗体4a、4b、測温抵抗体5、上流側抵抗
体6a、下流側抵抗体6bが形成される。
【0044】抵抗体4a、4b、5、6としては、多結
晶ケイ素の半導体薄膜の代わりに、白金(Pt)等の金
属薄膜を用いてもよいが、金属薄膜は半導体薄膜に比較
して比抵抗率が小さいため、所定の抵抗値を実現するに
は膜厚が薄くなり、上流側抵抗体6aおよび下流側抵抗
体6bの凹凸形状の段差(T)が小さくなり親液性が損
なわれる。
【0045】抵抗体4a、4b、5、6として、多結晶
ケイ素の半導体薄膜を用いた場合には、凹凸形状の段差
(T)が0.5〜2μmを実現でき、一方、白金(P
t)等の金属薄膜を用いた場合には、凹凸形状の段差
(T)が0.2μm以下になり十分な段差(T)の値が
得られない。また、多結晶ケイ素半導体薄膜を抵抗体6
a、6bに、白金(Pt)等の金属薄膜を抵抗体4a、
4b、5に各々使い分けてもよいが、製造工程が増える
ことになる。
【0046】次に、 抵抗体4a、4b、5、6a、6
bの上に、保護膜7bが形成される。保護膜7bとして
は、二酸化ケイ素(SiO2)若しくは窒化ケイ素(S
34)が用いられる。また、保護膜7bとしては、二
酸化ケイ素(SiO2)と窒化ケイ素(Si34)とを
積層したものとすることもできる。保護膜7bは、吸入
空気中に含まれる油や水等の異物から抵抗体4a、4
b、5、6a、6bを保護するために形成される。
【0047】特に、抵抗体6a、6b上の保護膜7b
は、抵抗体6a、6bの凹凸形状が転写されることによ
り、保護膜7b表面への付着液体に親液性を持たせるた
めの段差(T)の凹凸形状が形成される。この構成で
は、多結晶ケイ素の半導体薄膜を用いた場合には、凹凸
形状の段差(T)が0.5〜2μmであり、また、凹凸
形状の溝幅(L1−L2)は段差(T)に対して同程度
から10倍程度に選択される。
【0048】溝幅(L1−L2)は、段差(T)に対し
て同程度より小さいと、親液性を示す保護膜7b表面の
有効面積が減少し、また、段差(T)に対して10倍程
度以上になると親液性の効果が低減する。
【0049】また、シリコン基板2の中央部であって、
発熱抵抗体4a、4bの下の領域には、空洞部8が形成
される。空洞部8は、シリコン基板2を異方性エッチン
グすることにより、電気絶縁膜7aとの境界面まで形成
される。
【0050】空洞部8を形成することにより、発熱抵抗
4a、4bは、電気絶縁膜7aと保護膜7bとによって
支持される構造となり、空洞部8により熱絶縁された構
造となる。これによって、空洞部8の所にシリコン基板
2が存在する場合に比べて、発熱抵抗4a、4bからな
る空気流量を測定するセンサ部分の熱容量を小さくし
て、熱式空気流量素子の応答性を向上することができ
る。
【0051】次に、同じく図2を用いて、この第1の実
施形態による熱式空気流量素子の製造プロセスについて
説明する。シリコン基板2上に、電気絶縁膜7aとし
て、二酸化ケイ素薄膜を約O.5μmの厚さで、熱酸化
あるいはCVD(Chemical Vapor De
position)等の方法で形成する。
【0052】次に、抵抗体4a、4b、5、6を形成す
るために、多結晶ケイ素の半導体薄膜を0.5〜2μm
の厚さで、CVD等の方法で形成し、さらに、不純物元
素としてリンを熱拡散またはイオン注入によりドーピン
グする。その後、公知のホトリソグラフィ技術によりレ
ジストを所定の形状に形成し、反応性イオンエッチング
等の方法により、半導体薄膜をパターンニングすること
により、各抵抗体4a、4b、5、6a、6bを形成す
る。
【0053】次に、引出電極9a〜9i及び端子電極1
0a〜10iをアルミニウムで形成した後に、端子電極
10a〜10i以外の部分に、保護膜7bとして、二酸
化ケイ素薄膜約0.5μmの厚さで熱酸化あるいはCV
D等の方法で形成する。
【0054】最後に、シリコン基板2の裏面より、二酸
化ケイ素若しくはエッチング選択比の高い窒化ケイ素を
マスク材として、水酸化カリウム(KOH)等のエッチ
ング液を用いて、異方性エッチングにより空洞部8を形
成し、ダイシングすることにより熱式空気流量素子1が
得られる。
【0055】次に、図4及び図5(a)、(b)、
(c)、(d)を用いて、本発明の第1の実施形態の熱
式空気流量素子1の付着液体に対する親液性を示す凹凸
形状の保護膜7bの作用について説明する。
【0056】図4は、凹凸形状の表面についての親液性
の原理の説明図である。図4において、23は保護膜7
bに対応する表面であり、24は段差(T)でその溝幅
が徐々に狭くなっていく溝であり、25は液体である。
このように、傾斜面を持った溝24に液体24が付着す
ると、矢印で示すように、液体24は溝幅の広いほうか
ら溝幅の狭いほうに表面張力の効果により引き付けら
れ、移動される。
【0057】したがって、溝24に親液性を持たせるた
めには、段差(T)に対して溝幅が同程度から10倍程
度の溝を多数形成すれば、溝を形成してない領域から溝
を形成した親水性の領域に液体が引き付けられ、移動さ
れることになる。
【0058】次に、図5を用いて、本発明の第1の実施
形態の熱式空気流量素子の作用について説明する。図5
の(a)は、図1の熱式空気流量素子1のダイヤフラム
部3の領域を示したもので、発熱抵抗4a、4bの上下
流に凹凸形状の抵抗体6a、6b及び保護膜7b(図示
せず)上に、測定対象の空気に含まれる汚染物質が含ま
れる水分や油分等の付着液体26aが付着した初期の状
態を示したものである。
【0059】図5の(a)において、例えば、凹凸形状
の抵抗体6a、6bが配置されていない従来の構成で
は、付着液体26aが、ダイヤフラム3上に付着したま
まで乾燥した場合、付着液体26aに含まれる汚染物質
の塊がセンサ部(空洞部8の上に形成されたダイヤフラ
ム部3)全体に付着し、センサ部の熱容量が増加する。
センサ部の熱容量が増加すると、センサ部の応答性が低
下する。
【0060】また、空気流量の測定は、発熱抵抗体4
a、4bからの発熱が空気流11によって奪われること
によって行われるが、汚染物質の塊がセンサ部に付着す
ると、熱伝搬状態が変わり、発熱抵抗体4a、4bから
の発熱が空気流11によって奪われるよりも、電気絶縁
膜7aを介して半導体基板2に熱伝導する量が多くな
り、測定精度が低下することになる。
【0061】一方、このような従来技術と比較して、凹
凸形状の抵抗体6a、6bを配置した本発明の第1の実
施形態においては、図5の(a)→(b)→(c)→
(d)というように、時間経過とともに変化する状況を
示したように、付着液体26aが26b→26c→26
dと乾燥とともに、親液性を示す凹凸形状の抵抗体6
a、6bの領域に引き付けられる。これによって、付着
液体26aに含まれる汚染物質の塊が乾燥時には凹凸形
状の抵抗体6a、6bの領域に集中することによりセン
サ部に付着することがない。
【0062】さらに、凹凸形状の抵抗体6a、6bに加
熱電流を流す構成とすれば、この抵抗体6a、6b近辺
のみ加熱すれば、付着液体及び付着液体に含まれる汚染
物質を有効に除去することができる。これに比較して、
凹凸形状の抵抗体6a、6bが無い従来技術は、半導体
基板2全体を加熱する必要がある。したがって、本発明
の第1の実施形態は、従来技術に比較して、少ない加熱
電力でより有効に汚染物質を除去することが可能とな
る。
【0063】また、保護膜7b上に含フッ素被膜を形成
すれば、含フッ素被膜は撥水性を示すことから、容易に
発熱抵抗体4a、4b上の保護膜から汚染物質を含んだ
液体が押し出され、親液性を示す凹凸形状の抵抗体6
a、6b上の保護膜領域に移動する。
【0064】このため、汚染物質を含んだ液体がより容
易に移動除去される。含フッ素被膜としては、パーフル
オロポリオキシアルキル基またはパーフルオロアルキル
基を少なくとも含んだフッ素化合物を選択することがで
きる。
【0065】以上のように、熱式空気流量素子1の発熱
抵抗4a、4bの上下流に、空気流11の順方向からみ
て、複数の凹凸形状であって、空気流11の順方向に沿
って延長する複数の溝が形成されるように、抵抗体6
a、6bを構成することにより、汚染物質を有効に除去
でき、熱式空気流量素子1の信頼性を向上して、測定精
度を向上することができる。
【0066】次に、図6を用いて、本発明の第1の実施
形態による熱式空気流量素子を用いた熱式空気流量計の
回路構成について説明する。図6は、本発明の第1の実
施形態による熱式空気流量素子を用いた熱式空気流量計
の回路図である。
【0067】図6において、上流側発熱抵抗体4a及び
下流側発熱抵抗体4bは、電流検出抵抗20cと直列に
接続されており、トランジスタ19aのコレクタ及びエ
ミッタを介して、電源18から加熱電流が供給される。
【0068】加熱電流は、電流検出抵抗20cの両端電
圧(電位E)として、制御回路21の入力回路21aに
取り込まれ、空気流量の検出に用いられる。入力回路2
1aは、A/D変換器(図示せず)を含んでいる。ま
た、上流側発熱抵抗体4a及び下流側発熱抵抗体4bの
両端電圧(電位C、D、E)は、それぞれ、制御回路2
1の入力回路21aに取り込まれ、空気流の方向の検出
に用いられる。
【0069】空気温度測温抵抗体5は、抵抗20dとと
もに、図示するように、抵抗体4a、4b、抵抗20c
とブリッジ回路を構成している。ブリッジ回路の各辺の
中点電圧(電位E、F)は、それぞれ、制御回路21の
入力回路21aに取り込まれる。制御回路21のCPU
21bは、上流側発熱抵抗体4a及び下流側発熱抵抗体
4bの加熱された温度(Th)が、空気温度測温抵抗体
5によって検出される空気温度(Ta)よりも一定温度
(ΔTh=Th−Ta=150℃)となるように制御す
る。
【0070】CPU21bは、出力回路21cから抵抗
20aを介して制御信号をトランジスタ19aのベース
に出力して、トランジスタ19aをオン/オフ制御す
る。これにより、発熱抵抗体4a、4bを流れる電流を
制御して、発熱抵抗体4a、4bの発熱量を制御する。
【0071】また、凹凸形状の抵抗体6a、6bは互い
に並列に接続され、これら抵抗体6a、6bは、トラン
ジスタ19bのエミッタ及びコレクタを介して、電源1
8に接続されている。制御回路21のCPU21bは、
出力回路21cから制御信号を抵抗20bを介してトラ
ンジスタ19bのベースに出力して、トランジスタ19
bを制御する。これにより、付着汚損物質を除去するた
めの抵抗体6a、6bへの加熱電流供給のオン/オフを
制御して、発熱量を後述するように時間制御する。
【0072】なお、メモリ回路22には、所定の補正値
が記憶されており、制御回路21は、この補正値を用い
て空気流量と空気温度との補正演算を行い、出力回路2
1cから空気流量Q(空気温度Taの出力も可)の信号
を電子制御燃料噴射装置等に出力する。
【0073】次に、図6に示した回路の動作について説
明する。最初に、本発明の第1の実施形態による熱式空
気流量素子の空気流量検知動作について説明する。
【0074】上流側発熱抵抗体4a及び下流側発熱抵抗
体4bは、トランジスタ19aを介して電源18から加
熱電流が供給されており、この加熱電流により発熱す
る。上流側発熱抵抗体4a及び下流側発熱抵抗体4bの
温度(Th)は、電位差(C−E)として、制御回路2
1に入力される。
【0075】一方、吸入空気通路に流入する吸入空気の
温度(Ta)は、空気温度測温抵抗体5により検出さ
れ、電位差(C−F)として、制御回路21に入力され
る。制御回路21は、発熱抵抗体4a、4bの温度(T
h)が、吸入空気の温度(Ta)に対して、所定温度Δ
Th(例えば、150℃)だけ高くなるように、トラン
ジスタ19aをオン/オフして、発熱抵抗体4a、4b
に供給する加熱電流を制御する。
【0076】発熱抵抗体4a、4bの温度が設定値より
も低い場合には、制御回路21は、トランジスタ19a
をオンとし、発熱抵抗体4a、4bの温度が設定値より
も高い場合には、制御回路21は、トランジスタ19a
をオフとする。発熱抵抗体4a、4bから奪われる熱量
は吸入空気の量に比例するため、発熱抵抗体4a、4b
を加熱する加熱電流の値が、空気流量に対応した値とな
る。
【0077】そこで、電流検出抵抗20cの両端電圧
(電位E)が制御回路21に入力されて、加熱電流が検
出され、メモリ回路22に記憶されている補正値が用い
られて補正された後、空気流量Qとして出力される。ま
た、空気温度測温抵抗体5の電圧(電位F)は、制御回
路21に入力されて、メモリ回路22に記憶されている
補正値が用いられて補正された後、空気温度Taとして
出力されることも可能である。
【0078】次に、本発明の第1の実施形態による熱式
空気流量素子による空気流11の方向検知動作について
説明する。空気流11の流量が零のときには、上流側発
熱抵抗体4aと下流側発熱抵抗体4bとの間に温度差は
生じない。これに対して、空気の流れが発生し、図1に
示したように、その方向が、空気流11の方向(順流)
の場合には、上流側発熱抵抗体4aの方が下流側発熱抵
抗体4bより空気流11による冷却効果が大きい。
【0079】そして、発熱抵抗体4a、4bは、図6に
示したように、互いに直列接続されており、両抵抗体4
a、4bには同じ加熱電流が流れているため、両抵抗体
4a、4bの発熱量は一定であることから、上流側発熱
抵抗体4aの温度が下流側発熱抵抗体4bより低い値と
なる。
【0080】また、空気流11が、図1に示した方向と
逆(逆流)の場合には、順流の場合とは反対に、下流側
発熱抵抗体4bの方が上流側発熱抵抗体4aより空気流
11による冷却効果が大きく、下流側発熱抵抗体4bの
方が上流側発熱抵抗体4aの温度よりも低くなる。
【0081】そこで、制御回路21は、上流側発熱抵抗
体4aの両端電圧(電位Cと電位D)と、下流側発熱抵
抗体4bの両端電圧(電位Dと電位E)とを比較して、
両抵抗体4a、4bの互いの温度(抵抗値)を比較する
ことにより、空気流の方向を検知する。
【0082】また、、凹凸形状の抵抗体6a、6bは、
制御回路21からの制御信号によってトランジスタ19
bがオンとされることにより、電源18から、これら抵
抗体6a、6bに通電され、付着汚損物質を除去するた
めに加熱される。制御回路21は、空気流量を計測して
いる動作時間中にはトランジスタ19bをオフとし、空
気流量計測動作時間外に、トランジスタ19bをオンと
して、抵抗体6a、6bを加熱させる。空気流量を計測
している動作時間外とは、例えば、空気流量計の計測開
始前まである。
【0083】自動車のキースイッチをオンとすると、制
御回路21も動作を開始し、発熱抵抗体4a、4bへの
通電を開始する。この通電が開始されてから、発熱抵抗
体4a、4bが所定の温度(空気温度よりも150℃高
い温度)になって、空気流量の計測が可能になるまでに
は、例えば、100ms程度を要する。
【0084】そこで、キースイッチのオン直後から、抵
抗体6a、6bを加熱させ、熱式空気流量素子1の表面
に付着した汚染物質の加熱除去を開始し、熱式空気流量
計が計測動作を開始するまでの間加熱させる。また、制
御回路21は、空気流量計の計測終了後に、抵抗体6
a、6bを加熱させるようにしてもよい。
【0085】また、制御回路21は、トランジスタ19
bにパルス電流を供給して、抵抗体6a、6bにパルス
電流を流すようにしているので、トランジスタ19bに
出力するパルス信号のパルス幅を制御することにより、
抵抗体6a、6bの加熱温度を制御することができる。
【0086】さらに、制御回路21は、汚染物質の加熱
除去を行うときには、抵抗体6a、6bの加熱とともに
発熱抵抗体4a、4bの加熱電流を空気流量計測時の電
流よりも大きくすることで、加熱を促進することができ
る。
【0087】ここで、抵抗体6a、6bの加熱を空気流
量を計測している動作時間中に行わない理由は、抵抗体
6a、6bの加熱により、空気温度測温抵抗体5の温度
が上昇し、空気流量の計測精度に誤差を与える可能性が
あるためである。したがって、抵抗体6a、6bの加熱
は、空気流量計の計測開始(始動)前、終了後、または
計測時間のタイミングが予め決定しているのであれば、
各計測時間と計測時間との間に間欠的に行われる。
【0088】以上に説明したように、本発明の第1の実
施形態によれば、省電力で、かつ汚損の影響を受けるこ
となく、計測精度の向上が可能な熱式空気流量素子及び
熱式空気流量計を実現することができる。
【0089】次に、図7〜図10を用いて、本発明の他
の実施形態について説明する。図7は、本発明の第2の
実施形態である熱式空気流量素子のセンサ部の要部平面
図である。なお、この第2の実施形態と上述した第1の
実施形態との共通する部分には同一符号を付している。
【0090】本発明の第2の実施形態においては、第1
の実施形態の抵抗体6bと同様な形状、材質からなる、
凹凸形状の抵抗体6cが、発熱抵抗体4a、4bの下流
側に形成され、発熱抵抗体4a、4bの上流側には凹凸
形状の抵抗体は形成されていない。他の構成は第1の実
施形態と同様であるので、図示及びその詳細な説明は省
略する。
【0091】このように、凹凸形状の抵抗体6cを、発
熱抵抗体4a、4bの下流側にのみ形成したことによ
り、汚染物質を含んだ付着液体は下流側に配置した凹凸
形状の抵抗体6cの領域に引き付けられ、乾燥後におい
ても汚染物質は凹凸形状の抵抗体6c領域に集中し、空
気流量を計測する発熱抵抗体4a、4bの上流側の汚染
物質を除去することが出来る。
【0092】したがって、上述した第2の実施形態によ
れば、第1の実施形態と同様な効果を得ることができる
他、発熱抵抗体4a、4bの上流側の空気流の流れが安
定し、汚染物質等による空気流の乱れが無くなることか
ら安定したノイズの少ない空気流量の計測を行うことが
できる。また、第1の実施形態と同様に、抵抗体6cに
加熱電流を流す構成とすれば、付着液体及び付着液体に
含まれる汚染物質がより有効に除去することが可能とな
る。
【0093】図8は、本発明の第3の実施形態である熱
式空気流量素子のセンサ部の要部平面図である。なお、
この第3の実施形態と上述した第1の実施形態との共通
する部分には同一符号を付している。
【0094】本発明の第3の実施形態においては、抵抗
体4a、4bと同様な材質からなる凹凸形状の抵抗体6
1a、61b、62a、62bを発熱抵抗体4a、4b
の直接上流及び直接下流以外の領域(ダイヤフラム部3
の4隅の領域)に配置し、且つ凹凸形状は空気流11の
方向に凹凸を繰り返す様に形成している。
【0095】つまり、凹凸形状の抵抗体61aは、発熱
抵抗体4aの空気流11の順流方向通路での上流側に位
置するが、直接の上流ではなく、図の上側に偏位して配
置され、凹凸形状の抵抗体61bは、発熱抵抗体4aの
空気流11の順流方向通路での上流側に位置するが、直
接の上流ではなく、図の下側に偏位して配置される(凹
凸形状の抵抗体61a、61bは、発熱抵抗体4a、4
bの直上部及び直下部の保護膜領域を含む空気流の通路
を回避して形成されている)。
【0096】そして、これら凹凸形状の抵抗体61a、
61bは、空気流11の順流方向に垂直な方向に延びる
複数の溝が形成されている。
【0097】凹凸形状の抵抗体62aは、発熱抵抗体4
bの空気流11の順流方向通路での下流側に位置する
が、直接の下流ではなく、図の上側に偏位して配置さ
れ、凹凸形状の抵抗体62bは、発熱抵抗体4bの空気
流11の順流方向通路での下流側に位置するが、直接の
上流ではなく、図の下側に偏位して配置される。
【0098】そして、これら凹凸形状の抵抗体62a、
62bは、空気流11の順流方向に垂直な方向に延びる
複数の溝が形成されている。他の構成は第1の実施形態
と同様であるので、図示及びその詳細な説明は省略す
る。
【0099】このように、凹凸形状の抵抗体61a、6
1b、62a、62bをダイヤフラム部3の4隅の領域
に配置する構成とすることにより、汚染物質を含んだ付
着液体はダイヤフラム部3の4隅に配置した凹凸形状の
抵抗体61a、61b、62a、62b領域に引き付け
られ、乾燥後においても汚染物質は凹凸形状の抵抗体6
1a、61b、62a、62b領域に集中し、空気流量
を計測する発熱抵抗体4a、4bの上下流側の汚染物質
を除去することが出来る。したがって、上述した第3の
実施形態においても、第1の実施形態と同様な効果を得
ることができる。
【0100】図9は、本発明の第4の実施形態である熱
式空気流量素子のセンサ部の要部平面図である。なお、
この第4の実施形態と上述した第1の実施形態との共通
する部分には同一符号を付している。
【0101】本発明の第4の実施形態では、第3の実施
形態と同様に、抵抗体4a、4bと同様な材質からなる
凹凸形状の抵抗体63a〜63e、64a〜64eによ
り、空気流11の順流方向に垂直な方向に延びる複数の
溝が形成されている。
【0102】そして、凹凸形状の抵抗体63a、63
b、63c、63d、63e、64a、64b、64
c、64d、64eを発熱抵抗体4a、4bの上下流に
配置し、且つ空気流11の方向に繰り返す凹凸形状のピ
ッチを中央部(抵抗体63c、64c)から周辺(63
a、63e、64a、64e)に行くに従い狭くなるよ
うに形成している。他の構成は第1の実施形態と同様で
あるので、図示及びその詳細な説明は省略する。
【0103】このように構成することにより、センサ部
(発熱抵抗体4a、4b)が図の上下に長い形状でダイ
ヤフラム部3の4隅に形成された抵抗体63a、63
e、64a、64eが上下に離れた場合においても、汚
染物質を含んだ付着液体は凹凸形状のピッチが狭くなる
方向に抵抗体63c、64cから63b、63d、64
b、64dを介してダイヤフラム部3の4隅に配置した
63a、63e、64a、64eが配置された領域に容
易に引き付けられる。
【0104】したがって、乾燥後においても汚染物質は
ダイヤフラム部3の4隅に配置した63a、63e、6
4a、64e領域に集中し、空気流量を計測する発熱抵
抗体4a、4bの上下流側の汚染物質を除去することが
出来る。
【0105】このことにより、上述した本発明の第4の
実施形態によれば、第1の実施形態と同様な効果を得る
ことができる他、センサ部(発熱抵抗体4a、4b)が
上下に長い形状の場合でも、発熱抵抗体4a、4bの上
下流側の空気流の流れが安定し、汚染物質等による空気
流の乱れが無くなることから安定したノイズの少ない空
気流量信号の計測を行うことができる。
【0106】また、第1の実施形態と同様に、抵抗体6
3a、63b、63c、63d、63e、64a、64
b、64c、64d、64eに加熱電流を流す構成とす
ることにより、付着液体及び付着液体に含まれる汚染物
質がより有効に除去することが可能となる。
【0107】図10は、本発明の第5の実施形態である
熱式空気流量素子のセンサ部の要部平面図である。な
お、この第5の実施形態と上述した第1の実施形態との
共通する部分には同一符号を付している。
【0108】本発明の第5の実施形態は、図9に示した
第4の実施形態と同様に、凹凸形状の抵抗体により、空
気流11の順流方向に垂直な方向に延びる複数の溝が形
成される。そして、空気流11の方向に繰り返す凹凸形
状のピッチを中央部から周辺に行くに従い狭くなるよう
に形成しており、第4の実施形態と同様の効果を奏す
る。
【0109】この第5の実施形態と第4の実施形態との
異なる点は、抵抗体65と66は、それぞれに加熱電流
が流せるように連続抵抗パターンとなっているが、抵抗
体65と66のパターンの内部に形成された他の抵抗体
65a、65b、65c、66a、66b、66cは、
互いに分離されたダミー抵抗パターンとなっていること
である。
【0110】図示したように、ダミー抵抗パターン65
a、65b、65c、66a、66b、66cを抵抗体
65と66のパターン内部に上下に形成したことによ
り、凹凸形状のピッチが中央部から周辺に行くに従い狭
くなるように形成できる。
【0111】このように構成しても、第4の実施形態と
同様に、センサ部(発熱抵抗体4a、4b)が上下に長
い形状においても、汚染物質を含んだ付着液体は凹凸形
状のピッチが狭くなる方向(ダイヤフラム部3の4隅)
に容易に引き付けられる。
【0112】したがって、乾燥後においても汚染物質は
ダイヤフラム部3の4隅の領域に集中し、空気流量を計
測する発熱抵抗体4a、4bの上下流側の汚染物質を除
去することが出来る。
【0113】また、第1の実施形態と同様に、抵抗体6
5、66に加熱電流を流す構成とすることにより、付着
液体及び付着液体に含まれる汚染物質をより有効に除去
することが可能となる。
【0114】次に、図11及び図12を用いて、上述し
た本発明の第1〜第5の実施形態による熱式空気流量計
を内燃機関の吸気管に取り付けた場合の状態について説
明する。
【0115】図11は、本発明の実施形態による熱式空
気流量計を内燃機関の吸気管へ取り付けた状態を示す断
面図であり、図12は、図11の熱式空気流量素子1の
拡大図である。
【0116】図11に示すように、熱式空気流量素子1
は、支持体14の端部に取り付けられている。支持体1
4の上には、制御回路基板15も固定されており、熱式
空気流量素子1と制御回路基板15とは、リード線17
及び端子電極16等によって接続されている。熱式空気
流量素子1と、制御回路基板15と、支持体14とは、
一体化されており、インサート型の熱式空気流量計を構
成している。
【0117】自動車等の内燃機関の吸気通路12の中に
は、空気流の一部を流通する副通路13が設けられてい
る。吸気通路12の側壁には、支持体14が挿入可能な
開口が形成されており、先端に熱式空気流量素子1を備
えた支持体14が、この開口内に挿入され、吸気通路1
2に固定される。このとき、熱式空気流量素子1は、副
通路13の中に挿入される。
【0118】図12に示した支持体14は、空気流11
に対して端面が略流線形に形成されており、熱式空気流
量素子1は、その薄膜形成面が支持体14の表面とほぼ
同一高さで、且つ副通路13の中心軸に一致するように
埋込まれる。
【0119】ここで、通常では吸入空気は、図示した空
気流11の方向に流れており、ある内燃機関の条件によ
って、逆の方向(逆流)に吸入空気が流れる場合もある
が、この場合においても、本発明は適用可能である。
【0120】なお、以上の説明では、熱式空気流量素子
は、図1に示したような発熱抵抗体から直接加熱温度を
検知する直熱方式の構成として説明したが、この構成と
は異なる、発熱抵抗体及び加熱温度を検知する測温抵抗
体から成る傍熱方式、発熱抵抗体と発熱抵抗体の上下流
に測温抵抗体を配置した温度差検知方式等の方式におい
ても、半導体基板上に発熱抵抗体を形成した熱式空気流
量素子及び熱式空気流量計に対しても、同様に、適用で
きるものである。
【0121】なお、上述した例においては、凹凸の抵抗
体6a等を電気絶縁膜7aを介してシリコン基板2に形
成した後に、これら抵抗体6a等の上に保護膜7bを形
成して、この保護膜7bに凹凸が形成されるように構成
したが、抵抗体6aを形成すること無く、保護膜7bに
凹凸を形成することもできる。例えば、抵抗体6aを形
成すること無く保護膜7bを電気絶縁膜7a上に形成
し、その後、エッチング等により、保護膜7bの一部を
除去することにより、凹凸を形成することもできる。
【0122】また、上述した第3、4、5の実施形態に
おいては、抵抗体6a等による溝は、空気流11の順流
方向に垂直な方向に延びる方向に形成されているが、ダ
イヤフラム部3を中心にして、放射状に延びる方向に溝
を形成することも可能である。このように構成すれば、
より効果的にダイヤフラム部3から付着液体を除去する
ことができる。
【0123】
【発明の効果】本発明は、以上説明したように構成され
ているため、次のように構成される。熱式空気流量素子
の発熱抵抗体の近傍の保護膜に、付着液体に対して親液
性を示す様に凹凸形状の領域を備えるようにしたことに
より、自動車の内燃機関の様に過酷な環境に適用した場
合においても、省電力で、空気流に含まれるダスト等を
含んだ水分、油分による表面汚損の影響を低減し、応答
性が高く、且つ精度を向上することができる。
【0124】すなわち、省電力で、かつ汚損の影響を受
けることなく、計測精度の向上が可能な熱式空気流量素
子及び熱式空気流量計を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態である熱式空気流量素
子の平面図である。
【図2】図1のA−A’断面図である。
【図3】図1のB−B’断面図である。
【図4】本発明の親液性の原理を説明するための図であ
る。
【図5】本発明の第1の実施形態による熱式空気流量素
子に用いた凹凸形状の抵抗体6a、6bの作用の説明図
である。
【図6】本発明の第1の実施形態による熱式空気流量素
子を用いた熱式空気流量計の回路図である。
【図7】本発明の第2の実施形態による熱式空気流量素
子のセンサ部の要部平面図である。
【図8】本発明の第3の実施形態である熱式空気流量素
子のセンサ部の要部平面図である。
【図9】本発明の第4の実施形態である熱式空気流量素
子のセンサ部の要部平面図である。
【図10】本発明の第5の実施形態である熱式空気流量
素子のセンサ部の要部平面図である。
【図11】本発明の実施形態による熱式空気流量計の内
燃機関の吸気管への取付状態を示す断面図である。
【図12】図11の熱式流量素子1の部分の拡大図であ
る。
【符号の説明】
1 熱式空気流量素子 2 シリコン基板 3 ダイヤフラム部 4a 上流側発熱抵抗体 4b 下流側発熱抵抗体 5 空気温度測温抵抗体 6a 上流側抵抗体 6b、6c 下流側抵抗体 7a 電気絶縁膜 7b 保護膜 8 空洞部 9a〜9i 引出電極 10a〜10i 端子電極 11 空気流 12 吸入空気通路 13 副通路 14 支持体 15 制御回路 16 端子電極 17 リード線 18 電源 19a、19b トランジスタ 20a〜20d 抵抗 21 制御回路 21a 制御回路 21b CPU 21c 出力回路 22 メモリ 61a、61b 凹凸形状の抵抗体 62a、62b 凹凸形状の抵抗体 63a〜63e 凹凸形状の抵抗体 64a〜64e 凹凸形状の抵抗体 65、66 抵抗体 65a〜65c ダミー抵抗パターン 66a〜66c ダミー抵抗パターン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 内山 薫 茨城県ひたちなか市大字高場2520番地 株 式会社日立製作所自動車機器事業部内 (72)発明者 渡辺 泉 茨城県ひたちなか市高場2477番地 株式会 社日立カーエンジニアリング内 (72)発明者 中田 圭一 茨城県ひたちなか市大字高場2520番地 株 式会社日立製作所自動車機器事業部内 Fターム(参考) 2F035 AA02 EA04 EA08 EA09

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】空洞部を有する半導体基板と、この基板上
    に電気絶縁膜を介して形成された発熱抵抗体と、この発
    熱抵抗体の上に形成された保護膜とを有する熱式空気流
    量素子において、 上記発熱抵抗体の近傍の保護膜に、付着液体に対して親
    液性を示す凹凸形状の領域が形成されていることを特徴
    とする熱式空気流量素子。
  2. 【請求項2】請求項1記載の熱式空気流量素子におい
    て、上記保護膜の凹凸形状の領域は、発熱抵抗体の空気
    流の上下流領域に形成されていることを特徴とする熱式
    空気流量素子。
  3. 【請求項3】請求項1記載の熱式空気流量素子におい
    て、上記保護膜の凹凸形状の領域は、発熱抵抗体の下流
    領域に形成されていることを特徴とする熱式空気流量素
    子。
  4. 【請求項4】請求項1記載の熱式空気流量素子におい
    て、上記保護膜の凹凸形状は、発熱抵抗体の直上部及び
    直下部の保護膜領域を含む空気流の通路を回避して形成
    されていることを特徴とする熱式空気流量素子。
  5. 【請求項5】請求項1から4のうちのいずれかに記載の
    熱式空気流量素子において、上記保護膜の凹凸形状は、
    この凹凸形状の領域の一部が上記半導体基板の空洞部上
    を覆うように形成されていることを特徴とする熱式空気
    流量素子。
  6. 【請求項6】請求項1から5のうちのいずれかに記載の
    熱式空気流量素子において、上記保護膜の凹凸形状は、
    発熱抵抗体と同一材料からなる部材を、上記電気絶縁膜
    上に凹凸形状パターンに形成した後、上記部材に保護膜
    を積層して形成されることを特徴とする熱式空気流量素
    子。
  7. 【請求項7】請求項1から6のうちのいずれかに記載の
    熱式空気流量素子において、上記保護膜は二酸化ケイ素
    または窒化ケイ素から構成され、上記発熱抵抗体は不純
    物ドープした多結晶ケイ素から構成されることを特徴と
    する熱式空気流量素子。
  8. 【請求項8】請求項1から7のうちのいずれかに記載の
    熱式空気流量素子において、上記保護膜上に含フッ素被
    膜が形成されることを特徴とする熱式空気流量素子。
  9. 【請求項9】請求項1から3、5から8のうちのいずれ
    かに記載の熱式流量素子において、上記凹凸形状の領域
    は、空気流の方向に延びる複数の溝が形成され、上記空
    気流の方向にほぼ垂直な方向に凹凸を繰り返す形状であ
    ることを特徴とする熱式流量素子。
  10. 【請求項10】請求項1、2、4から8のうちのいずれ
    かに記載の熱式流量素子において、上記凹凸形状の領域
    は、空気流の方向にほぼ垂直な方向に延びる複数の溝が
    形成され、上記空気流の方向に凹凸を繰り返す形状であ
    ることを特徴とする熱式流量素子。
  11. 【請求項11】請求項1から10のうちのいずれかに記
    載の熱式空気流量素子が、空気流通通路に配置されてい
    ることを特徴とする熱式空気流量計。
  12. 【請求項12】請求項1から10のうちのいずれかに記
    載の熱式空気流量素子が、空気流通通路に配置され、上
    記凹凸形状の保護膜下に形成された発熱抵抗体と同一材
    料からなる部材に給電し、発熱により付着物を除去する
    ように構成されることを特徴とする熱式空気流量計。
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