JP2000080945A - 内燃機関の始動時燃料供給制御装置 - Google Patents

内燃機関の始動時燃料供給制御装置

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JP2000080945A
JP2000080945A JP10252194A JP25219498A JP2000080945A JP 2000080945 A JP2000080945 A JP 2000080945A JP 10252194 A JP10252194 A JP 10252194A JP 25219498 A JP25219498 A JP 25219498A JP 2000080945 A JP2000080945 A JP 2000080945A
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Japan
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compression
internal combustion
combustion engine
fuel supply
battery voltage
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JP10252194A
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English (en)
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Mamoru Yoshioka
衛 吉岡
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Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Publication date
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    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
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    • Y02T10/10Internal combustion engine [ICE] based vehicles
    • Y02T10/40Engine management systems

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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 内燃機関の気筒のコンプレッション状態を把
握し、このコンプレッション比率に応じて燃料の供給量
を補正して燃料噴射弁から燃料を供給し、前記気筒の空
燃比を可燃範囲に入れて、良好な始動性を得る燃料供給
制御装置を提供する。 【構成】 内燃機関の始動時において、吸気弁4あるい
は排気弁6にカーボン等の異物が噛み込んで燃料室1内
の吸入混合気が圧縮行程で洩れる時に、正規状態とのず
れをバッテリ電圧計25の変動で捉える。4気筒の場合
に圧縮上死点と前後90°時点とのバッテリ電圧の比を
コンプレッション比率として求め、該コンプレッション
比率に応じて燃料供給制御装置20で制御して燃料噴射
弁7からの燃料供給量を補正することにより前記気筒の
空燃比を可燃範囲に調整し、良好な始動性を得る。前記
内燃機関の温度や始動操作前バッテリ電圧やクランキン
グ回転数に応じて補正することもできる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は内燃機関の始動操作
時の燃料供給を制御することによって、前記内燃機関の
始動性を向上させる内燃機関の始動時燃料供給制御装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】内燃機関の始動操作時に通常運転時とは
異なる燃料供給制御を行い、該内燃機関の始動性を向上
させる始動時燃料供給制御については種々の装置が考案
されている。この種の装置の中には、例えば特開平8−
100693号公報に開示されたものがある。この公報
の内容について説明する。
【0003】内燃機関の運転中には燃料の燃焼によって
カ−ボン粒子が発生するが、このカーボン粒子が燃焼室
の壁面に堆積して薄い層を形成する。このカーボン層は
前記内燃機関の運転中に剥離し、また新たに堆積しとい
う繰り返しが起きている。ここで剥離したカーボンは通
常は燃焼ガスと共に排気通路に排出される。
【0004】しかしながら前記内燃機関の始動操作時に
カーボン層の剥離が生じると、剥離したカーボン粒子が
吸気弁や排気弁の弁体とバルブシートとの間に噛み込ん
でしまい吸気弁や排気弁の閉弁不良を生じる場合があ
る。例えば、始動後極めて短時間で前記内燃機関が停止
したような場合、燃焼室内には未燃の燃料や水分が残留
するが、この状態である程度の時間が経過すると燃焼室
壁面に堆積したカーボンに未燃燃料や水分が浸透して堆
積したカーボンが非常に剥離し易くなる。このような状
態の時に、前記内燃機関の始動操作を行うと、始動時の
機械的衝撃で堆積したカーボンが一挙に剥離して前記吸
気弁あるいは排気弁に噛み込んでしまう場合がある。
【0005】例えば前記吸気弁が閉弁不良となると、そ
の気筒の圧縮行程時には気筒内に吸入された混合気の一
部が吸気通路に吹き戻される。このため、吸入空気量が
低下してゆくが、始動時の燃料噴射量は通常一定である
から混合気がリッチ(過濃)となる。また気筒内に吸入
された燃料の一部が吸気通路に吹き返され、次の吸気行
程で新しく供給された燃料と共に前記気筒内に吸入され
ることにもなるから、前記混合気はリッチとなる。
【0006】一方排気弁が閉弁不良となった場合には、
圧縮行程時に気筒内の混合気が一部排気通路に排出され
る。この時供給された燃料の一部は燃焼室壁面に付着し
て残留するために、圧縮上死点付近では燃焼室内に残留
した燃料の量に比べて燃焼室内の空気が少ない状態とな
る。従って混合気がリッチになる。
【0007】このようなカーボン等の異物が前記吸気弁
あるいは排気弁に噛み込んだ時には閉弁不良となり、こ
の気筒内で圧縮行程時に圧縮圧力(以下コンプレッショ
ンと呼ぶ。)が正規の圧力まで達せずに低下する。また
燃焼室内の吸入空気と燃料との混合気の比で表される空
燃比が前述のように、リッチとなって可燃空燃比の範囲
を越えてしまう為に前記内燃機関が始動不良を起こすと
いう問題がある。
【0008】このような問題を解消すべく、前述の特開
平8−100693号公報においては、内燃機関の始動
操作中の気筒のコンプレッションが低下することを、バ
ッテリ電圧の変化で検出し、燃料供給量を前記コンプレ
ッションの低下が検出されない時に比べて減量するよう
にしている。前記内燃機関の各気筒は順次吸気→圧縮→
膨張→排気を繰り返すが、圧縮行程の時にスタータモー
タの負荷は大きくなる。特にこの負荷は圧縮上死点付近
で急激に増大し、最も大きな負荷となる。この為前記バ
ッテリ電圧は始動操作時には図14(A)に示すような
変動を繰り返す。この図において縦軸の最も小さなバッ
テリ電圧を示す時が前記スタータモータの負荷が最大に
なる時であり、各気筒の圧縮上死点の時である。
【0009】この場合に、吸気弁あるいは排気弁にカー
ボン等の異物が噛み込んで閉弁不良が発生すると、気筒
内のコンプレッションが低下するために圧縮上死点付近
でのスタータモータの負荷が減少する。従って各気筒の
圧縮上死点付近でのバッテリ電圧は図14(B)の如く
となる。そこで閉弁不良の有無の識別は、圧縮上死点時
のバッテリ電圧とクランク回転角30°ごとに検出され
るバッテリ電圧との比を求めることで可能となる。
【0010】このように吸気弁あるいは排気弁の閉弁不
良を検出して、燃料噴射弁からの燃料噴射量を異物噛み
込みがない場合に対して一定の率で低減(例えば半減)
することによって気筒内の混合気の空燃比をリッチから
リーン側に変化させて可燃範囲に入れることによって良
好な始動性を回復する制御を行う。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】このような従来の技術
の内燃機関の始動時燃料供給制御装置においては、カー
ボン等の異物が吸気弁あるいは排気弁に噛み込んだか否
かを検出し、異物を噛み込んで閉弁不良と判断した時に
は、異物が噛み込んでいない時に比べて一定割合で減量
した量の燃料を前記燃料噴射弁から供給するというもの
であり、必ずしもその時点におけるコンプレッションの
状態に応じた最適な量の燃料を供給するものではなく、
空燃比を可燃範囲に入れるのが難しいという問題があっ
た。
【0012】かかる問題を解決するために、本発明では
吸気弁や排気弁に異物を噛み込んだりしてコンプレッシ
ョンが正規でないことを検出し、そのコンプレッション
の状態に応じた適量の燃料を供給し、空燃比を可燃範囲
に入れることを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】前述の課題を解決するた
めに以下の手段を提供する。請求項1に記載の発明は、
内燃機関の始動操作時に該内燃機関への燃料供給を制御
する内燃機関の始動時燃料供給制御装置であって、前記
内燃機関始動操作中に於ける前記内燃機関の気筒の圧縮
行程時のコンプレッションの状態を検出するコンプレッ
ション検出手段と、該コンプレッション検出手段によっ
て検出された前記コンプレッションの状態に応じて前記
内燃機関の燃料供給量を変化させて供給する燃料供給手
段と、を備えたことを特徴とする内燃機関の始動時燃料
供給制御装置である。
【0014】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
の内燃機関の始動時燃料供給制御装置において、前記コ
ンプレッション検出手段は、クランク回転角検出手段
と、バッテリ電圧検出手段と、該クランク回転角検出手
段及び該バッテリ電圧検出手段によって検出される圧縮
行程の上死点時のバッテリ電圧と圧縮行程の連続する気
筒の上死点の中間時点のバッテリ電圧の比から前記コン
プレッション比率を算出するコンプレッション比率算出
手段とを備えたものであることを特徴とする内燃機関の
始動時燃料供給制御装置である。
【0015】請求項3に記載の発明は、請求項2に記載
の内燃機関の始動時燃料供給制御装置において、前記コ
ンプレッション検出手段は、前記内燃機関の水温あるい
は油温を検出する温度検出手段と、該温度検出手段によ
って検出された水温あるいは油温によって前記コンプレ
ッション比率を補正する温度補正手段とを備えたもので
あることを特徴とする内燃機関の始動時燃料供給制御装
置である。
【0016】請求項4に記載の発明は、請求項2あるい
は3に記載の内燃機関の始動時燃料供給制御装置におい
て、前記コンプレッション検出手段は、前記バッテリ電
圧検出手段によって始動操作前バッテリ電圧あるいは圧
縮行程の連続する気筒の上死点の中間時点のバッテリ電
圧を検出し、前記操作前バッテリ電圧あるいは前記中間
時点バッテリ電圧によって前記コンプレッション比率を
補正する操作前バッテリ電圧補正手段とを備えたもので
あることを特徴とする内燃機関の始動時燃料供給制御装
置である。
【0017】請求項5に記載の発明は、請求項2あるい
は3あるいは4に記載の内燃機関の始動時燃料供給制御
装置において、前記コンプレッション検出手段は、前記
内燃機関のクランキング回転数を検出するクランキング
回転数検出手段と、該クランキング回転数検出手段によ
って検出されたクランキング回転数によって前記コンプ
レッション比率を補正するクランキング回転数補正手段
とを備えたものであることを特徴とする内燃機関の始動
時燃料供給制御装置である。
【0018】請求項6に記載の発明は、請求項2あるい
は3あるいは4あるいは5に記載の内燃機関の始動時燃
料供給制御装置において、前記クランク回転角検出手段
によって各気筒の圧縮行程を識別し、各気筒ごとのコン
プレッション比率を前記コンプレッション検出手段によ
って求め、該コンプレッション検出手段の各気筒ごとの
前記コンプレッション比率に応じて各気筒ごとに前記内
燃機関の燃料供給量を変化させることを特徴とする内燃
機関の始動時燃料供給制御装置である。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態の始動時燃料
供給装置が取り付けられた内燃機関の一部を図1に概略
図で示す。ここでは1つの気筒だけを示しているが、他
の気筒についても同様の構造となっている。吸入された
空気は吸気通路3を通って燃焼室1へ導き入れられる。
この時吸気通路3と燃焼室1との境に吸気弁4が設けら
れていて、ピストン2の上下方向の往復運動に連動して
開閉を繰り返す。吸気弁4の近傍の上流側に燃料噴射弁
7が配置されていて、吸入空気量と燃料供給量との比で
ある空燃比を制御するように調整された量の燃料を噴射
する。吸入空気にこの燃料が混ぜられた混合気は、吸気
弁4の開放時に燃焼室1に導き入れられる。燃焼室1の
上方には点火栓8が配置されていて、燃焼室1内の燃料
を点火し燃焼させる。この燃焼時の膨張圧力でピストン
2は下方に押し下げられる。排気時はピストン2が押し
上げられ、排気弁6が開かれて排気ガスは排気通路5へ
押し出される。その後この排出された排気ガスは排気通
路5に連結された排気管10に導かれるが、排気管10
の途中には触媒コンバータ9が具備されていて、排気ガ
ス中のHC、CO、NOX 等を酸化あるいは還元し清浄
化する。
【0020】前記燃料噴射弁7による燃料噴射量の噴射
タイミングや噴射量を制御する装置が、マイクロコンピ
ュータで構成される燃料供給制御装置20である。この
燃料供給制御装置20には吸気通路3の前に配置され吸
入空気量を検出するための空気流量計21と、前記内燃
機関の温度を検出する温度検出手段である水温センサ2
2と、クランキング回転数検出手段であり前記内燃機関
の回転数を検出する回転速度センサ23と、スロットル
開度を検出するためのスロットル開度センサ24と、バ
ッテリ電圧検出手段であるバッテリ電圧計25と、クラ
ンク角検出手段であるクランク角センサ26等からの制
御情報が送られて来るように接続されている。前記温度
検出手段としては前記水温センサ22でなくて、前記内
燃機関の油温を検出する油温センサ27であっても良
い。燃料供給制御装置20は前述の各種の制御情報を基
に圧縮行程時のコンプレッションを検出する後述のコン
プレッション検出手段及びこのコンプレッション検出手
段の情報に基づいて燃料噴射弁7の燃料供給量を制御す
る燃料供給手段を有する。このコンプレッション検出手
段はクランク角センサ26によるクランク回転角検出手
段と後述のコンプレッション比率を算出するコンプレッ
ション比率算出手段を有する。
【0021】前述のように始動時に剥離されたカーボン
が吸気弁4や排気弁6に噛み込んだりして閉弁不良を起
こした場合においても、燃焼室内の混合気の空燃比が可
燃範囲に調整されるなら燃焼させることができる。一旦
燃焼室内で混合気の燃焼が生じれば、燃焼によって発生
した燃焼ガスにより吸気弁4や排気弁6に噛み込んだカ
ーボン等の異物を吹き飛ばしたり燃焼圧により押しつぶ
すことができるので、良好な始動が可能となる。
【0022】カーボン等の異物が吸気弁4や排気弁6に
噛み込んだことを判断するには、圧縮行程においてのコ
ンプレッション(前述のように圧縮圧力のことであ
る。)が正規状態とどの程度異なっているかを検出すれ
ば良い。即ち吸気弁4や排気弁6に異物の噛み込みがあ
って閉弁不良が発生していれば、圧縮行程時一部の混合
気が洩れていってしまうからコンプレッションが低下す
ることになるので、これを検出することで噛み込みの有
無が判断できる。
【0023】前記コンプレッションの検出については、
燃焼圧センサで測定する方法や、吸気通路圧力の変動に
基づいて検出する方法等があるが、ここではバッテリ電
圧の変化に基づく検出を用いる。内燃機関の始動時はス
タータモータで初期の回転を得るが、気筒の圧縮行程に
おいては負荷が大きくなってゆき前記スタータモータの
駆動に要する電圧が大となる。従って図2(A)に示す
ように前記スタータモータ駆動時のクランキングの状態
においては、始動操作前即ちクランキング前に比べてバ
ッテリ電圧は低下させられ、特に圧縮行程に応じて前記
バッテリ電圧は低下し、圧縮の上死点TDCの時に最低
のバッテリ電圧を示す。この図2は4気筒の内燃機関の
場合を示していて、横軸はクランク回転角を縦軸はバッ
テリ電圧を示す。圧縮行程について見ると第1番目の気
筒(以下#1と記し、その他の気筒についても同様に表
示する。)が圧縮行程になった後は#3が、次いで#4
が、次いで#2がという順序で圧縮行程となり再び#1
に戻って繰り返してゆく。従って各気筒の圧縮行程はク
ランクシャフトの2回転に1回あるが、4つの気筒があ
るので次々と圧縮行程が繰り返され、図2(A)に示す
ようにバッテリ電圧は180°に1回ずつ最も小さい値
を記録してゆく。ここで前記内燃機関のピストンが最も
上に来た時を上死点TDCで表し、最も下に来た時を下
死点BTCで表す。また上死点の前をBTDCと表し、
後をATDCと表す。
【0024】前述の異物の噛み込みなどによって吸気弁
4あるいは排気弁6の閉弁不良が発生すると、図2
(B)の細い曲線で示すようにバッテリ電圧の低下が緩
やかになる。コンプレッションが正規に出ている時は、
太い曲線のようにバッテリ電圧はより大きく低下され
る。ここで、圧縮の上死点時即ちバッテリ電圧が最低と
なる時のバッテリ電圧をVtdc と置く。また図2(A)
の各気筒の連続する圧縮の上死点TDCの中間時点のバ
ッテリ電圧をV90と置く。このV90というバッテリ電圧
は、圧縮行程にある気筒において前記ピストンが上死点
TDCと、圧縮行程の始まる時の下死点BTCあるいは
膨張行程の最後の下死点BTCとの中間の時点であり、
ちょうどTDCの時点から90°前あるいは後のクラン
ク回転角の時のバッテリ電圧である。これは図2(A)
に示す曲線の波形状の山谷の中央の少し上側に横に引い
てある実線の直線で示すバッテリ電圧であり、#1から
#4まで各気筒によるメカニカル損失によって、点線の
直線で示す始動操作前のバッテリ電圧より低下したバッ
テリ電圧となっている。それに上乗せして圧縮行程の後
半分で負荷が増すので、バッテリ電圧としては更に低下
するわけである。
【0025】従ってコンプレッション比率をVC とし
て、 VC =Vtdc /V90 (1) を算出すると、このコンプレッション比率VC は気筒の
コンプレッションの状態を示す値となり、小さい値なら
正規のコンプレッションが出ていることを意味し、1に
近づくほどコンプレッションが出ずに漏れが発生してい
ることを示す。即ちこのような電圧の比をもってコンプ
レッション比率VC として算出することによってコンプ
レッションを推定することができる。以上の説明におい
ては前記内燃機関が4気筒の場合であるが、6気筒の場
合においては圧縮行程の上死点TDCから60°前ある
いは後のクランク回転角の時点のバッテリ電圧V60を検
出して、コンプレッション比率VC を求めれば良い。こ
の時は、 VC =Vtdc /V60 (2) で算出される。
【0026】異物の噛み込みが有ったことを、前記コン
プレッション比率VC の値によって検出したとしても、
前記燃料噴射弁7からの燃料供給量を一律に減少するの
であっては、空燃比を可燃範囲に必ずしも収められな
い。そこで図3に示すような燃料補正係数kTAUST
がコンプレッション比率VC によって変化するようにし
て、前記燃料供給量を決める始動時燃料供給量TAUS
Tにこの燃料補正係数kTAUSTを乗じることによっ
て、前記コンプレッションに応じた適量の燃料を供給す
ることが可能となる。
【0027】以上の場合は前記内燃機関の温度が低温で
なく、始動操作前のバッテリ電圧が正規に維持されてい
て、クランキング回転数がある程度の高さとなっている
時については、図3に示すような燃料補正係数kTAU
STで適量となる。しかしながら前記内燃機関の温度が
低かったり、始動操作前のバッテリ電圧が低かったり、
クランキング回転数が低かったりした時には、コンプレ
ッション比率VC をそのまま算出して燃料補正係数kT
AUSTを求めてしまっては、適当な可燃範囲の空燃比
にできない恐れがある。前記内燃機関の温度が低い時に
は、前記ピストンの上下往復運動におけるフリクション
が大きくなるので、圧縮行程時の前記スタータモータの
負荷が大きくなるから図2(B)の曲線は、図5(B)
に示すように低温であると、バッテリ電圧は全体に低下
して上下の変化を繰り返す。これに対して高温の時は図
5(A)に示すように図2(B)と同様の曲線である
が、全体に高い値の上下の変動となる。
【0028】そこで、前記内燃機関の温度を水温あるい
は油温を検出して、この水温あるいは油温に基づいて補
正したコンプレッション比率VC とする必要がある。図
7に示す太線が高温の時のコンプレッション比率VC に
対応する燃料補正係数kTAUSTであり、点線が一例
としての或る低温の時の燃料補正係数kTAUSTを示
すものである。このように同じコンプレッション比率V
C =αであっても、高温の時であれば噛み込みが有り燃
料補正係数kTAUST=γとなるのに対して、低温の
場合は同じ状況の異物噛み込みであっても、そのままの
コンプレッション比率VC を算出するとVC =βとな
り、太線のグラフで読むと燃料補正係数kTAUST=
1.0となって噛み込みがなく正常であると判断されて
しまう。そこで温度の違いを補正するために、点線のグ
ラフのように燃料補正係数kTAUSTを算出する必要
がある。
【0029】そこで前述の実線のグラフであっても点線
のグラフに相当するように、それぞれの温度に応じて求
められるように、水温THWに応じて補正するコンプレ
ッション比率VC の水温補正係数kTHWのグラフを示
したものが図8である。
【0030】同様に始動時前のバッテリ電圧を検出し
て、この始動時前のバッテリ電圧V0に基づいてコンプ
レッション比率VC を補正する必要があり、この場合の
バッテリ電圧V0 に応じたバッテリ電圧補正係数kV0
のグラフの考えを示したものが図10である。(図10
にては始動操作前バッテリ電圧V0 に置き換えて圧縮上
死点前後90°のバッテリ電圧V90に応じたバッテリ電
圧補正係数kV0 を示している。) 同様にクランキング回転数NEに基づいてコンプレッシ
ョン比率VC を補正する必要があり、このクランキング
回転数NEに応じたクランキング回転補正係数kNEの
グラフを示したものが図12である。
【0031】本発明の第1の実施の形態において、始動
時に前述の各種検出手段からの制御情報に基づいて燃料
供給制御装置20が適切な供給量の燃料を燃料噴射弁7
から噴射させる制御のフローチャートを図4に示してい
る。ステップ101(S101と呼び以下のステップも
同様に扱う)で前記内燃機関が始動中であるか否かを判
断する。NO即ち始動中でないならばS113へ進んで
通常の運転時の燃料供給制御を実施する。そしてリター
ンへ進んで前記内燃機関を継続制御してゆく。
【0032】S101にてYES即ち始動操作中であれ
ばS102へ進む。S102においては温度検出手段で
ある水温センサ22から水温THWを、また回転速度検
出手段である回転速度センサ23からクランキング回転
数NEを取り込む。次にS103へ進んで、前記水温T
HWと前記クランキング回転数NEを基に予め設定して
ある燃料供給量設定マップから始動時燃料供給量TAU
STを演算する。その後S104へ進む。
【0033】S104で前記内燃機関のある気筒が圧縮
の上死点TDCにあるのかそうでないのかを判断する。
もしYES即ち圧縮の上死点TDCにあるならS106
へ進み、S106においてこの時のバッテリ電圧Vb を
バッテリ電圧計25から取り込んで圧縮上死点バッテリ
電圧Vtdc として与える。そしてS108へ進む。
【0034】一方S104においてNO即ち圧縮の上死
点TDCでない場合はS105へ進んで、更にこの時が
圧縮の上死点TDCの前90°である圧縮90°BTD
Cであるか、あるいは圧縮の上死点TDCの後90°で
ある圧縮90°ATDCであるのかを判定する。もしY
ES即ち前述のどちらかであるなら、S107へ進んで
この時のバッテリ電圧Vb を取り込んでV90にVb の値
を入れる。そしてS108へ進む。
【0035】S108においてはS106からの圧縮上
死点バッテリ電圧Vtdc とV107からの圧縮上死点9
0°前あるいは後のバッテリ電圧V90を基に前述の
(1)式を用いてコンプレッション比率Vc を算出す
る。このコンプレッション比率Vcはバッテリ電圧の比
であるが、やはり前述したように前記気筒のコンプレッ
ションの状態を表す値となっている。このコンプレッシ
ョン比率Vc が算出されると、S110へ進む。
【0036】S110ではコンプレッション比率Vc に
対応して燃料補正係数kTAUSTを求める。これは前
述のように予め作成された図3のグラフによって、コン
プレッション比率Vc が与えられると一意的に燃料補正
係数kTAUSTが読み取れる。次いでS111へ進
む。S111においてはS103で算出されている始動
時燃料供給量TAUSTに対して、S111で求めた燃
料補正係数kTAUSTを乗ずることによって改めて補
正された始動時燃料供給量TAUSTを算出する。この
値が燃料供給制御装置20から制御情報として燃料噴射
弁7へ送られ、この燃料噴射弁7から補正された供給量
が噴射される。
【0037】S105においてNO即ち、圧縮の上死点
90°前あるいは後でもない時はS109へ進む。S1
09においてはコンプレッション比率Vc が演算されて
いるのか未だなのかが判定される。NO即ち既に演算済
みであればS110へ進むのであるが、この場合はそれ
以前迄に算出されたコンプレッション比率Vc をそのま
ま用いる。またYES即ちコンプレッション比率Vc が
演算済みではない場合はS112へ進む。S112にて
は燃料補正係数kTAUSTを1.0と置く。そしてS
111へ進む。これは図3からも分かるように圧縮のコ
ンプレッションが正常であって特別に燃料供給量を補正
しなくても良い状態にすることを意味する。S111で
始動時燃料供給量TAUSTを決めてからリターンされ
る。
【0038】以上の図4の一連のフローチャートにおい
て、S108のコンプレッション比率Vc はコンプレッ
ション検出手段によって算出される。このコンプレッシ
ョン検出手段はクランク角センサ26のクランク回転角
検出手段と、バッテリ電圧計25のバッテリ電圧検出手
段と、コンプレッション比率算出手段で構成される。ま
たS110とS111で燃料補正係数kTAUSTから
始動時燃料供給量TAUSTを求め、燃料を補正して供
給する燃料供給手段は燃料供給制御装置20の一部と燃
料噴射弁7で構成される。
【0039】このような図4に示す一連のフローチャー
トの処理によって、前記内燃機関の吸気弁4あるいは排
気弁6にカーボンなどの異物が噛み込んだ場合に、これ
をコンプレッションの状態で把握して、このコンプレッ
ションの状態に応じて燃料噴射弁7からの燃料の供給量
を補正することにより、前記気筒の空燃比を可燃範囲に
入れ、良好な始動性を確保できるという優れた効果があ
る。また前記コンプレッションの状態を前記バッテリ電
圧の変動から前記コンプレッション比率Vc として精度
良く把握することが可能となる。
【0040】次にこの第1の実施の形態の制御におい
て、更に精度良く補正された燃料供給量を供給する制御
装置について、図6のフローチャートを用いて説明す
る。このフローチャートにおいては図4のフローチャー
トと基本的なところは同じであるので、同じ判定や作業
については、同じステップ番号を共通して使用してい
る。ここでは異なるところを中心に説明する。
【0041】前述のようにS108においてコンプレッ
ション比率Vc が演算されるとS301へ進む。S10
3では前記内燃機関の水温THWによってコンプレッシ
ョン比率Vc を補正し、より精度の高い補正を行うこと
によって燃料の供給量を制御するものである。このS3
01では水温THWに対応して予め求められている前述
の図8のグラフから水温補正係数kTHWを求める。そ
してS302へ進む。S302においてコンプレッショ
ン比率Vc にS301で求めた水温補正係数kTHWを
乗じて補正されたコンプレッション比率Vc を新しく算
出する。
【0042】このように前記内燃機関の水温THWの高
低に応じてコンプレッション比率が補正される。図5に
示すように水温THWによってバッテリ電圧は始動操作
前の値から始まり、操作中の上下する値の変動値も変化
するので、そのままの読み取り値をもとにコンプレッシ
ョン比率を求めると必ずしも精度が良いとは限らない。
これを図6で示したフローチャートの制御によって精度
良く補正することができるから、始動時燃料供給量TA
USTが精度良く補正され、結局精度良い燃料の供給が
実施されることになる。
【0043】ここで、前記コンプレッション比率Vc を
補正する処理を行うS301,S302は燃料供給制御
装置20内の温度補正手段によって実施される。
【0044】前記水温THWと同様に操作前のバッテリ
電圧の高低についても補正すると更に精度が向上する。
前記バッテリは使用状態によっては正規の電圧より低下
しているような場合も時にはあり得る。このような時に
は当初の静止状態からつまり始動操作前の状態から低い
電圧値を示し、始動操作中も図5の水温の低い時と同じ
ように低いバッテリ電圧の変動となる。始動操作前バッ
テリ電圧V0 は図2(A)の上方の点線直線で示すもの
であるが、始動操作中のバッテリ電圧においては、前記
気筒のメカニカル損失による電圧低下分(ほぼ一定の値
を取る。)を差し引いたバッテリ電圧が、ちょうど前述
した圧縮の上死点TDCの前後の90°時点のバッテリ
電圧であるV90となる。従って、前記バッテリ電圧V90
を始動操作前バッテリ電圧V0 に置き換えて扱うことも
できる。図6のフローチャートでは始動操作前バッテリ
電圧V0 に替えてバッテリ電圧V90を用いた場合を示し
ている。次に水温による補正と同じように図4のフロー
チャートとの違いのところのみを図9を用いて説明す
る。
【0045】S401においてバッテリ電圧V90から図
10を用いてバッテリ電圧補正係数kV90を求める。次
いでS402へ進む。S402においてはこのバッテリ
電圧補正係数kV0 をコンプレッション比率Vc に乗じ
て新しく補正されたコンプレッション比率Vc を求め
る。その後はこのコンプレッション比率Vc によってS
110で燃料補正係数kTAUSTを求めるから、始動
操作前のバッテリ電圧の高低に影響されない精度の良い
燃料供給量の補正が可能となる。
【0046】ここで、前記コンプレッション比率Vc を
補正する処理を行うS401,S402は燃料供給制御
装置20内のバッテリ電圧補正手段によって実施され
る。
【0047】前述の水温THWや始動操作前バッテリ電
圧V0 あるいはバッテリ電圧V90と同様に、クランキン
グ回転数NEに応じても補正して、精度の良い燃料供給
をする場合について、次に図11に示すフローチャート
を用いて説明する。この場合も図4のフローチャートと
の違いのところを中心に説明することとする。
【0048】S108でコンプレッション比率Vc が算
出されるとS501へ進む。このS501ではクランキ
ング回転数NEに応じてコンプレッション比率Vc を補
正するクランキング回転補正係数kNEを求める。これ
は予め作成されている図12に示すようなグラフから求
められる。次にS502へ進む。ここではS501で求
められたクランキング回転補正係数kNEをコンプレッ
ション比率Vc に乗じることによって、改めてクランキ
ング回転数NEで補正されたコンプレッション比率Vc
を算出する。S502で算出されたコンプレッション比
率Vc を用いて前述のS110にて燃料補正係数kTA
USTを求めれば、クランキング回転数に影響されない
精度の高い制御が可能となる。
【0049】ここで、前記コンプレッション比率Vc を
補正する処理を行うS501,S502は燃料供給制御
装置20内のクランキング回転数補正手段によって実施
される。
【0050】図6、図9、図11のフローチャートでは
水温やバッテリ電圧やクランキング回転数の個々に応じ
て、燃料供給量を補正して供給する場合について説明し
たが、これらの幾つかを組み合わせたりあるいは全てを
組み合わせて制御することによって、一層の精度向上を
図っても良いことは言うまでもない。
【0051】以上は或る気筒について、吸気弁4あるい
は排気弁6に異物が噛み込んだ場合において、燃料噴射
弁7からの供給燃料量を補正して良好な始動性を確保す
る制御装置の実施の形態について述べたものであり、こ
れらの制御を更に水温や始動時前のバッテリ電圧やクラ
ンキング回転数によって補正して、より精度の高い燃料
の供給をすることで、空燃比を可燃範囲に入れることに
ついての実施の形態についても述べた。これらの場合に
は例えば4気筒であった時に、4つの気筒全てに異物が
噛み込んで同一の空燃比になるということは稀であるか
ら全てを同一の補正の制御とすることでは、必ずしも精
度良い燃料供給量を与えることはできない。そこで個々
の気筒ごとにコンプレッションを推定するためにコンプ
レッション比率を求め、個々の気筒ごとに燃料供給量を
補正すると、個々の気筒において精度の良い燃料供給が
可能となる。このような個々の気筒を可燃範囲の空燃比
に維持することで良好な始動性を確保する制御のやり方
である本発明の第2の実施の形態について図13のフロ
ーチャートを用いて説明する。
【0052】図13においてS101から始まる100
番台のステップについては第1の実施の形態と同様なの
で、説明を省略する。S604−1において第1気筒
(以下前述と同様に#1と記し、他の気筒についても同
じ扱いをする。)が圧縮行程の上死点TDCにあるのか
否かを判定する。YES即ち上死点TDCであるならS
606−1へ進む。S606−1においてその時のバッ
テリ電圧Vb を読み込んで、この値を#1の上死点バッ
テリ電圧Vtdc 1 として置く。その後S608−1へ進
んで、S107で求められたV90を用いて、(1)式を
用いて#1のコンプレッション比率Vc 1 を算出する。
次いでS610−1へ進む。
【0053】S610−1においては、S608−1で
算出されたVc 1 を用いて前述の図3のグラフを流用
し、燃料補正係数kTAUST 1を求める。図3のグラ
フはどの気筒についても成り立つものであるから#1か
ら#4までの各気筒について流用可能である。次いでS
611−1へ進みこの燃料補正係数kTAUSTで補正
した始動時燃料供給量TAUSTを算出する。即ちそれ
までに算出されている#1の燃料供給係数TAUST 1
に燃料補正係数kTAUST 1を乗じて、改めて補正し
た始動時燃料供給量TAUST 1とする。次いでS61
3−1へ進む。S613−1において#1の始動時燃料
供給量TAUSTをS611−1で求めた始動時燃料供
給量TAUST 1とする。これで燃料供給噴射弁7の中
の#1対応のものが補正された燃料供給量を#1に供給
する。
【0054】S604−1において、NO即ち#1の圧
縮上死点TDCでない場合には、次の順序の気筒である
#3のためにS604−3へ進む。ここで#1と同じよ
うに今度は#3の圧縮上死点TDCなのかそうではない
のかを判定する。YESの場合は図13の下方へ飛び、
S606−3へ進む。この後の処理は前述の#1のS6
06−1からS613−3までと同様でステップの番号
も対応するものとなっている。まずS606−3におい
てその時のバッテリ電圧Vb を読み込んで#3の上死点
時バッテリVtdc 3 へその値を入れる。次いでS608
−3へ進んで、このVtdc 3 とS107からのV90との
比である#3のコンプレッション比率Vc 3 を算出す
る。その後S610−3へ進む。
【0055】S610−3においては、図3を流用して
#3のコンプレッション比率Vc 3S604−3におい
て、NO即ち#3の圧縮上死点TDCでないならS60
4−4へ進む。ここでその時点が#4の圧縮上死点であ
るか否かを判定する。この時にYES即ち#4の上死点
TDCであるなら、前述迄の#1の場合のS606−1
からS613−1まであるいは#3の場合のS606−
3からS613−3までのステップと同様の処理を#4
についても実施する。この#4のステップは図13のフ
ローチャートでは省略されているが、#1及び#3と同
様にS606−4からS613−4まで同様の処理をし
て、#4の始動時燃料供給量TAUSTを算出して、そ
の後リターンへゆく。
【0056】S604−4でNO即ち#4の圧縮の上死
点TDCでないならS604−2へ進む。ここで#2の
圧縮上死点TDCであるか否かを判定する。もしその時
点がYES即ち圧縮上死点TDCであるなら、前述の#
4のS606−4からS613−4までのステップと同
様の処理を実施し、リターンへゆく。この#2について
も図13のフローチャートでは#1及び#3と同様なの
で省略されている。
【0057】S604−2において、NO即ち#2の圧
縮上死点TDCでない時は、#1、#3、#4の圧縮上
死点TDCでもなかったわけで、全ての気筒の圧縮の上
死点TDCではないことを意味している。この時はS6
05−1へ進む。ここでは#1のコンプレッション比率
Vc 1 の計算のタイミングであるか否かを判定する。こ
こでYES即ち#1のコンプレッション比率Vc 1 の計
算のタイミングであれば、S105へ進む。ここではそ
の時点が任意の気筒の圧縮の上死点TDCの前後90°
であるか否かを判定する。この場合#1に限定して圧縮
の上死点TDCの前後90°で判定しても良い。この判
定においてYES即ち圧縮上死点TDCの前後90°で
ある90°BTDCあるいは90°ATDCであれば、
S107へ進む。そしてその時のバッテリ電圧Vb をV
90へ入れる。この後は前述したようにS608−1へ進
み、このバッテリ電圧V90を用いて#1のコンプレッシ
ョン比率Vc 1 を算出する。
【0058】S105においてNO即ち圧縮の上死点の
前後の90°BTDCあるいは90°ATDCでないな
ら、S609−1へ進む。S609−1においてコンプ
レッション比率Vc 1 が演算されているのか未だなのか
を判定する。NO即ち既に演算済みであるならS610
−1へ進む。YES即ち演算が未だであるなら、S61
2−1へ進む。この時は燃料補正係数kTAUSTを
1.0とする。そしてS611−1へ進む。これはその
時点では#1は正常な状態と判断し、燃料供給量を低減
するような補正は未だしないでおくということを意味す
る。
【0059】S605−1においてNO即ち#1のコン
プレッションVc 1 の計算のタイミングでないなら、S
605−3へゆく。S605−3において今度は#3の
コンプレッション比率Vc 3 の計算のタイミングである
か否かを判定する。ここでYESであれば#1の場合で
圧縮の上死点前後の90°BTDCあるいは90°AT
DCか否かを判定したS105及びそれ以降のステップ
と同様の処理を行うので、説明は省略する。
【0060】S605−3でNO即ち#3のコンプレッ
ション比率Vc 3 の計算のタイミングではない場合は更
にS605−4へ進んで、#4のコンプレッション比率
Vc4 の計算のタイミングであるか否かを判定する。S
605−4でYESであれば、前述の#1の時のS10
5と同様なステップを踏む。#1のところで説明済みで
あるから、ここでは省略する。またS605−4にてN
Oであれば、更にS605−2へ進んで#2のコンプレ
ッション比率Vc 2 の計算のタイミングにあるか否かを
判定する。このS605−2では他の気筒のコンプレッ
ション比率の計算のタイミングでなかったわけで、残る
は#2のみであるからYESのみとなり、前述の#1の
S105からのステップ及びそれ以降のステップと同様
の処理を行う。
【0061】以上が図13のフローチャートの説明であ
るが、前述の如く個々の気筒ごとにコンプレッションを
推定すべく、コンプレッション比率を算出し、このコン
プレッション比率から燃料供給量の補正を決めてやり、
個々の気筒に対して適正な燃料供給を実施するものであ
る。この場合に第1の実施の形態で述べた前記内燃機関
の温度や始動操作前のバッテリ電圧あるいはクランキン
グ回転数を考慮して補正し、更に精度を向上しても良
い。また図13のフローチャートを用いた第2の実施の
形態では4気筒の場合について説明したが、必ずしも4
気筒に限定されるものではなく、6気筒や8気筒等の複
数気筒についても、同様の考えが適用される。
【0062】このように第2の実施の形態によれば、前
記内燃機関の個々の気筒ごとにコンプレッションの状況
を前記コンプレッション比率Vc 1 からVc 4 までとし
て捉えることができ、それらの値に応じて個々の気筒ご
との適切な燃料供給量の補正が可能であり、個々の気筒
の空燃比を可燃範囲に調整することが可能となるので、
良好な始動性を得ることができる。
【0063】
【発明の効果】本発明の内燃機関の始動時燃料供給制御
装置は請求項1によれば、内燃機関の気筒の圧縮行程時
のコンプレッションの状態を捉えて、このコンプレッシ
ョンのの状態に応じて補正し前記内燃機関の燃料供給量
を変化させて供給するので、前記気筒の空燃比を可燃範
囲に調整することが可能となり、良好な始動性を確保す
ることができるという優れた効果を有する。
【0064】請求項2によれば、前記気筒の圧縮行程上
死点時点とその前後の気筒の圧縮行程上死点時との中間
時点を検出し、前記気筒の圧縮行程上死点と前記中間時
点のバッテリ電圧の比から前記コンプレッション比率を
算出するので、前記気筒のコンプレッションの状態を前
記コンプレッション比率として前記バッテリ電圧から精
確に把握することができる。従ってこの前記コンプレッ
ション比率から前記燃料供給量を精確に補正するので、
前記気筒の空燃比を可燃範囲に入れることができ、良好
な始動性が得られるという優れた効果を有する。
【0065】請求項3によれば、前記コンプレッション
比率を算出するに当たって、前記内燃機関の水温あるい
は油温によって補正するので、水温や油温の影響で前記
バッテリ電圧が変動する影響を取り除いてコンプレッシ
ョン比率を算出することができる。従ってこの前記コン
プレッション比率から前記燃料供給量を精確に補正する
ので、前記気筒の空燃比を可燃範囲に入れることがで
き、良好な始動性が得られるという優れた効果を有す
る。
【0066】同様に請求項4によれば、前記コンプレッ
ション比率を算出するに当たって、前記内燃機関の操作
前バッテリ電圧あるいは圧縮行程の連続する気筒の上死
点の中間時点のバッテリ電圧によって補正するので、例
えば前記操作前電圧が正規のバッテリ電圧より低くて、
操作時のバッテリ電圧から算出する前記コンプレッショ
ン比率が影響されてしまうようなことを回避してコンプ
レッション比率を算出することができる。従ってこの補
正された前記コンプレッション比率から精確な前記燃料
供給量が制御されるので、前記気筒の空燃比を可燃範囲
に入れることができ、良好な始動性が得られるという優
れた効果を有する。
【0067】同様に請求項5によれば、前記コンプレッ
ション比率を算出するに当たって、前記内燃機関のクラ
ンキング回転数によって補正するので、前記クランキン
グ回転数による影響を排除して前記コンプレッション比
率が算出される。従ってこの補正された前記コンプレッ
ション比率から精確な前記燃料供給量が制御されるの
で、前記気筒の空燃比を可燃範囲に入れることができ、
良好な始動性が得られるという優れた効果を有する。
【0068】前述の請求項1から5までが任意の気筒に
ついての制御であったのに対して、請求項6において
は、クランク角を検出して前記内燃機関の個々の気筒に
ついて、それぞれ個別に前記コンプレッション比率を算
出し、個々の気筒ごとに燃料供給量を精度良く補正して
制御するものであり、これによって個々の気筒ごとに空
燃比を可燃範囲に入れることが可能となり、良好な始動
性が得られるという優れた効果が得られる。
【0069】以上の如く本発明の内燃機関の始動時燃料
供給制御装置は、当初の目的を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の始動時燃料供給制御装置を備えた内
燃機関の一部とシステムを示す概略図である。
【図2】 4気筒の内燃機関の各気筒の行程と、圧縮行
程時のバッテリ電圧の変動を示す図が(A)である。横
軸はクランク回転角、縦軸はバッテリ電圧である。また
正常な場合のバッテリ電圧と吸気弁あるいは排気弁に異
物を噛み込む等によって正常でない場合のバッテリ電圧
を示す図が(B)である。
【図3】 コンプレッション比率Vc に対応する始動時
の燃料補正係数kTAUSTの値を示すグラフである。
【図4】 コンプレッション比率Vc を算出して、この
コンプレッション比率Vc に応じて始動時燃料供給量T
AUSTを求める制御の流れを示すフローチャートであ
る。
【図5】 図5(A)に内燃機関の温度が高温の時のバ
ッテリ電圧の変動を示し、低温の時のバッテリ電圧の変
動を図5(B)に示す。
【図6】 図4のフローチャートに対して、内燃機関の
温度に応じて前記コンプレッション比率Vc を補正する
ようにした制御の流れを示すフローチャートである。
【図7】 図3のコンプレッション比率Vc と始動時の
燃料補正係数kTAUSTの値を示す実線のグラフに対
して、温度による補正をしない場合には点線で示すグラ
フになることを示した説明用のグラフである。
【図8】 前記内燃機関の水温THWと水温補正係数k
THWとの関係を示すグラフである。
【図9】 始動操作前のバッテリ電圧に対応するバッテ
リ電圧V90に応じて前記コンプレッション比率Vc を補
正するようにした制御の流れを示すフローチャートであ
る。
【図10】 前記内燃機関のバッテリ電圧V90とバッテ
リ電圧補正係数kV90との関係を示すグラフである。
【図11】 クランキング回転数NEに応じて前記コン
プレッション比率Vc
【図12】 前記内燃機関のクランキング回転数NEと
クランキング回転数補正係数kNEとの関係を示すグラ
フである。
【図13】 各気筒ごとにコンプレッション比率Vc 1
からVc 4 までを算出して、この個々のコンプレッショ
ン比率Vc 1 からVc 4 に応じて始動時燃料供給量TA
USTを求める制御の流れを示すフローチャートであ
る。
【図14】 従来の技術の時間経過とバッテリ電圧の変
化を示す図であり、図14(A)は正常な時であり、図
14(B)は吸気弁あるいは排気弁に異物が噛み込んだ
りして正常でなくなった時を示す。
【符号の説明】
1・・・燃焼室 2・・・ピストン 3・・・吸気通路 4・・・吸気弁 5・・・排気通路 6・・・排気弁 7・・・燃料噴射弁 8・・・点火栓 9・・・触媒コンバータ 10・・・排気管 20・・・燃料供給制御装置 21・・・空気流量計 22・・・水温センサ 23・・・回転速度センサ 24・・・スロットル開度センサ 25・・・バッテリ電圧計 26・・・クランク角センサ 27・・・油温センサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3G084 BA09 BA13 BA22 CA01 DA09 DA27 EA05 EB22 EC04 FA03 FA07 FA10 FA20 FA21 FA33 FA36 FA38 3G301 HA01 JA03 JA05 JB09 KA01 LB02 LC01 MA01 MA12 NA08 NA09 ND04 ND17 ND37 NE03 NE08 PA01Z PA11Z PB03A PB06B PC01B PE01Z PE03Z PE08Z PF16Z PG01Z

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】内燃機関の始動操作時に該内燃機関への燃
    料供給を制御する内燃機関の始動時燃料供給制御装置で
    あって、前記内燃機関始動操作中に於ける前記内燃機関
    の気筒の圧縮行程時のコンプレッションの状態を検出す
    るコンプレッション検出手段と、該コンプレッション検
    出手段によって検出された前記コンプレッションの状態
    に応じて前記内燃機関の燃料供給量を変化させて供給す
    る燃料供給手段と、を備えたことを特徴とする内燃機関
    の始動時燃料供給制御装置。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の内燃機関の始動時燃料供
    給制御装置において、前記コンプレッション検出手段
    は、クランク回転角検出手段と、バッテリ電圧検出手段
    と、該クランク回転角検出手段及び該バッテリ電圧検出
    手段によって検出される圧縮行程の上死点時のバッテリ
    電圧と圧縮行程の連続する気筒の上死点の中間時点のバ
    ッテリ電圧の比から前記コンプレッション比率を算出す
    るコンプレッション比率算出手段とを備えたものである
    ことを特徴とする内燃機関の始動時燃料供給制御装置。
  3. 【請求項3】請求項2に記載の内燃機関の始動時燃料供
    給制御装置において、前記コンプレッション検出手段
    は、前記内燃機関の水温あるいは油温を検出する温度検
    出手段と、該温度検出手段によって検出された水温ある
    いは油温によって前記コンプレッション比率を補正する
    温度補正手段とを備えたものであることを特徴とする内
    燃機関の始動時燃料供給制御装置。
  4. 【請求項4】請求項2あるいは3に記載の内燃機関の始
    動時燃料供給制御装置において、前記コンプレッション
    検出手段は、前記バッテリ電圧検出手段によって始動操
    作前バッテリ電圧あるいは圧縮行程の連続する気筒の上
    死点の中間時点のバッテリ電圧を検出し、前記操作前バ
    ッテリ電圧あるいは前記中間時点バッテリ電圧によって
    前記コンプレッション比率を補正するバッテリ電圧補正
    手段とを備えたものであることを特徴とする内燃機関の
    始動時燃料供給制御装置。
  5. 【請求項5】請求項2あるいは3あるいは4に記載の内
    燃機関の始動時燃料供給制御装置において、前記コンプ
    レッション検出手段は、前記内燃機関のクランキング回
    転数を検出するクランキング回転数検出手段と、該クラ
    ンキング回転数検出手段によって検出されたクランキン
    グ回転数によって前記コンプレッション比率を補正する
    クランキング回転数補正手段とを備えたものであること
    を特徴とする内燃機関の始動時燃料供給制御装置。
  6. 【請求項6】請求項2あるいは3あるいは4あるいは5
    に記載の内燃機関の始動時燃料供給制御装置において、
    前記クランク回転角検出手段によって各気筒の圧縮行程
    を識別し、各気筒ごとのコンプレッション比率を前記コ
    ンプレッション検出手段によって求め、該コンプレッシ
    ョン検出手段の各気筒ごとの前記コンプレッション比率
    に応じて各気筒ごとに前記内燃機関の燃料供給量を変化
    させることを特徴とする内燃機関の始動時燃料供給制御
    装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010007503A (ja) * 2008-06-25 2010-01-14 Denso Corp 内燃機関の制御装置
JP2013181524A (ja) * 2012-03-05 2013-09-12 Mazda Motor Corp 圧縮自己着火式エンジンの始動制御装置

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