JP2000075776A - ホログラム複製方法 - Google Patents

ホログラム複製方法

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JP2000075776A
JP2000075776A JP10246102A JP24610298A JP2000075776A JP 2000075776 A JP2000075776 A JP 2000075776A JP 10246102 A JP10246102 A JP 10246102A JP 24610298 A JP24610298 A JP 24610298A JP 2000075776 A JP2000075776 A JP 2000075776A
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hologram
light
duplication
wavelength
original
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Motoji Ono
元司 小野
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Asahi Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】原版ホログラムの作製条件にとらわれず、所望
の光学的特性を持つホログラムを容易にかつ量産性よく
複製する。 【解決手段】複製時のスペーシャルフィルタ12の位置
を、原版ホログラム1の作製時の2つのスペーシャルフ
ィルタ位置のいずれとも異ならせ、かつ原版ホログラム
1に向けて白色光を照射したときの各点からの回折光の
ピーク波長と複製の波長との差がピーク半値全幅の半分
以下となる位置とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ホログラム複製方
法に関し、特にホログラム光学素子用のホログラム複製
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ホログラム光学素子などの光学特性を決
めている回折波長、回折角度、焦点距離などで所望のも
のを有するホログラムを作製するためには、ホログラム
感光材料への2つ照射光である物体光および参照光の発
散点位置、つまりホログラム感光材料に立てた法線と入
射する照射光のなす角度およびホログラム感光材料と照
射光の発散点との距離、などを光学設計の手法などに従
って設計する。その設計結果に基づいてホログラム感光
材料を選定し、その後計算された2つの発散点位置に光
発散用の光学部品であるスペーシャルフィルタを正確な
位置に固定するなどしてホログラム作製のため光学系を
組み、光の照射つまり露光を行う必要がある。ここでホ
ログラムを複製するのでなければ、基準となるのは複製
用原版ホログラムでなくホログラム感光材料である。
【0003】また、ホログラム感光材料に立てた法線と
入射する照射光とのなす角度とは次のように決めるもの
とする。ホログラム感光材料に入射する照射光は、スペ
ーシャルフィルタを通過しているため一般に円錐状の発
散光となり、この円錐を回転対称体と考えると、円錐の
頂点を通る回転対称軸を定義することができる。上記の
角度は法線とこの回転対称軸のなす角度とする。さら
に、この回転対称軸は円錐状である物体光および参照光
それぞれの回転対称軸が作る平面内に通常はある。以
下、角度の定義はこれに従う。
【0004】そして、この作製されたホログラムと同じ
光学特性を有するホログラムを多数枚作製するために
は、この手間のかかる位置決めを何度も繰り返して行わ
なければならず、時間と手間のかかる作業であった。
【0005】一方、まず複製用原版ホログラムを作製
し、その複製用原版ホログラムに例えばフィルム状のホ
ログラム感光材料を密着させ、ホログラム感光材料の側
から1つの照射光である発散光を照射してホログラムの
複製を行う方法が知られている。この複製方法は反射型
ホログラムに対するものであり、参照光と物体光との発
散点位置は、複製用原版ホログラムの作製時にはホログ
ラム感光材料を挟んで互いに反対側にある。複製時に
は、2つの発散点位置のうちいずれかの複製用の発散光
の発散点位置から光照射を行う。以下、「複製時に使用
する」を単に「複製時の」と表現することもある。
【0006】この複製時の発散光の発散点位置は、複製
用原版ホログラム作製時の参照光側にホログラム感光材
料を密着させた場合には、複製用原版ホログラム作製時
の参照光と同じ位置に、物体光側にホログラム感光材料
を密着させた場合には、複製用原版ホログラム作製時の
物体光と同じ位置に固定しなければならない。
【0007】さらに、このときの発散光の波長は、複製
用原版ホログラム作製時に用いた参照光または物体光の
入射角度と同じ角度で白色光を複製用原版ホログラムへ
入射したとき、物体光または参照光の入射角度と同じ角
度で複製用原版ホログラムから回折した光の波長と同じ
である。ここでは参照光の入射角度で入射した白色光
は、物体光の入射角度で回折する光の波長であり、一方
物体光の入射角度で入射した白色光は、参照光の入射角
度で回折する光の波長である。このことを今後単に、物
体光の角度で回折する光または参照光の角度で回折する
光と表現する。
【0008】この方法に従うと、スペーシャルフィルタ
の面倒な位置決めを何度も繰り返して行わずとも、多数
枚連続して同じホログラムが作製できる利点がある。さ
らに、使用するレーザ光は1つでよく2つに分離しなく
てすむので、露光のパワーが高くて露光時間が短縮でき
るため量産性の向上が図れ、さらに光学部品の振動など
による外乱の影響を回避できるため生産歩留まりの向上
も図れる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来のホログ
ラムの複製方法によると、複製用原版ホログラム作製時
における参照光または物体光の発散点と同じ位置から、
複製用原版ホログラムによって物体光の角度で回折する
光または参照光の角度で回折する光の波長と同じ波長の
光で照射しなければならない。
【0010】一般に作製された複製用原版ホログラムか
らの回折光で、物体光の角度で回折する光または参照光
の角度で回折する光の波長は、作製中のホログラム感光
材料の収縮などにより作製時のこれら参照光または物体
光である照射光の波長とは異なりシフトしている。ま
た、その波長のシフト量(変化量)はホログラム感光材
料によってまちまちである。したがって、複製用原版ホ
ログラムによる回折光の波長に複製時の照射光の波長を
合わせるためには、波長可変の色素レーザ装置からの光
を使用するのが主要な方法であった。
【0011】しかし、この色素レーザ装置は、メンテナ
ンスに高度な技術と熟練を要し作業性がきわめて悪い。
さらに、発振出力も不安定で、波長によっては出力が低
下したり、発振しない場合もあり、安定して複製ホログ
ラムを作製することは困難であった。その結果、複製ホ
ログラム一枚あたりのコストは高くなり、色素レーザ装
置を用いた従来のホログラム複製方法は、量産性がきわ
めて低く、ほとんど実用化されていない。
【0012】本発明の目的は、複製用原版ホログラムの
作成条件にとらわれずに、実用的なレーザ装置などの光
源を用いて、所望の光学的特性を有するホログラムを、
容易にかつ量産性高く複製する方法の提供にある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、前述の課題を
解決すべくなされたものであり、複製用原版ホログラム
にホログラム感光材料を重ねて積層体とし、積層体に光
を照射してホログラムを複製するホログラム複製方法に
おいて、ホログラムの複製時に使用する光の発散点位置
を複製用原版ホログラムの作製時に使用する光の2つの
発散点位置のいずれとも異なるように配置し、かつ前記
複製時に使用する光の発散点位置から複製用原版ホログ
ラムに向けて白色光を照射したとき、前記複製用原版ホ
ログラムの面内の各点における回折光の回折効率波長依
存性曲線のピーク波長と前記複製時に使用する光の波長
との差が前記各点での回折効率波長依存性曲線のピーク
半値全幅の半分以下となるようにしたことを特徴とする
ホログラム複製方法を提供する。
【0014】また、前記積層体が、ホログラム感光材料
と複製用原版ホログラムと照射する光の吸収物質とがこ
の順に重ねられているかまたは複製用原版ホログラムと
ホログラム感光材料と照射する光の反射防止物質とがこ
の順に重ねられている上記のホログラム複製方法を提供
する。また、ホログラムの複製時に使用する光の発散点
位置を、前記複製時に使用する光の発散点位置から複製
用原版ホログラムに向けて白色光を照射したとき、前記
複製用原版ホログラムの面内の各点での前記ピーク波長
と前記複製時に使用する光の波長との差の自乗をそれぞ
れ加え合わせたものが最小となるように配置した上記の
ホログラム複製方法を提供する。さらに、複製用原版ホ
ログラムおよび複製されるホログラムがともに体積位相
型ホログラムである上記のホログラム複製方法を提供す
る。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明は、複製用原版ホログラム
にホログラム感光材料を重ねた積層体に光を照射してホ
ログラムを複製するホログラム複製方法に関するもので
あり、複製用原版ホログラムを作製するときに使用した
参照光と物体光の発散点位置のいずれとも異なる発散点
位置から照射した光によって、ホログラムを複製する。
ここで、発散点位置とは、複製用原版ホログラムに立て
た法線と複製用原版ホログラムに入射する照射光のなす
角度および複製用原版ホログラムの中心と照射光の発散
点との距離の2つの変数を同時に表現するために導入し
たものである。
【0016】ここで、距離は複製用原版ホログラムのど
こから測ってもよいが、複製用原版ホログラムの中心か
ら照射光の発散点までと決めておく方が都合がよい。角
度に関しては、「従来の技術」の項で既に定義した。以
後複製用原版ホログラムのことを、単に原版ホログラム
という。
【0017】発散点とは、レーザ装置などから出射した
ビーム光を発散光とするために使用するスペーシャルフ
ィルタなどの設置位置のことであり、ビーム光が発散
(拡大)し始める点を意味する。
【0018】さらに、本発明では複製時の光の発散点位
置を定める要件として上記の原版ホログラム作製時とは
異なる発散点位置に加えて、複製時の光の発散点位置か
ら原版ホログラムに向けて白色光を照射したとき、原版
ホログラムの面内の各点における回折光の回折効率波長
依存性曲線のピーク波長λc と複製時に用いる波長との
差が各点での回折効率波長依存性曲線のピーク半値全幅
の半分以下となるような位置として定められる。
【0019】図4は、白色光をホログラムに向けて照射
したときの回折光の回折効率波長依存性曲線を示す概念
図である。横軸は波長のリニヤスケール、縦軸は回折効
率のリニヤスケールである。回折効率ηはピーク波長λ
c の位置で最大値ηm を示し、ピーク半値全幅|λa
λb |は回折効率の最大値ηm の半分の値となるときの
波長幅であり、半値全幅の半分とは、|λa −λb |の
与える幅の半分の値である。したがって、ピーク波長と
複製時に使用する光の波長との差が回折効率波長依存性
曲線のピーク半値全幅の半分以下ということは、複製時
に使用する光の波長がピーク半値全幅の間に位置すると
いうことであり、回折効率が最大値ηmの半分以上とな
る。
【0020】これは、複製時の照射用つまり露光用の光
の波長の近くに、回折光のピーク波長がくるように複製
時の光の発散点位置を定めるものであり、上記2つの要
件、つまり異なる発散点位置と半値全幅の半分以下とに
よって、回折効率の優れたホログラムの複製を可能にし
ている。
【0021】ここで、ピーク波長は一般的に原版ホログ
ラムを作製したときの波長ではなく、「発明が解決しよ
うとする課題」の項でも述べたように原版ホログラムか
ら物体光の角度で回折する光または参照光の角度で回折
する光の波長である。
【0022】本発明によれば、このように複製時に使用
する波長の光は、原版ホログラムの作製時のものと一般
的には同じでないピーク波長の光であり、このピーク波
長は複製時の発散点位置を変化させて安定な光を発振す
るレーザ装置などの波長に近づけられるため、特に出力
不安定な色素レーザ装置の波長に限定する必要がないと
いう大きな効果をもたらす。
【0023】ここで対象となるホログラムの種類は、体
積型ホログラム、エンボス型ホログラム、表面レリーフ
型ホログラム、薄型ホログラムなどあらゆる種類のホロ
グラムを例示できる。
【0024】ホログラム複製時の、原版ホログラムおよ
び複製されるホログラム感光材料との積層体と照射光と
の位置関係は、次のようになる。反射型ホログラムを複
製する場合は、積層体のホログラム感光材料側から照射
光を当てる。これは、原版ホログラムの作製時の参照光
の発散点位置であっても物体光の発散点位置であって
も、ホログラム感光材料側から照射するという状況は同
じである。透過型ホログラムを複製する場合は、積層体
の原版ホログラム側から照射光を当てる。この場合は、
原版ホログラムの作製時の参照光の発散点位置と物体光
の発散点位置とは共に原版ホログラムに対して同じ側に
あるが、発散点位置はそれぞれ異なる。
【0025】この積層体は、原版ホログラムとホログラ
ム感光材料が直接接触していてもよいが、原版ホログラ
ムとホログラム感光材料が接触することによって、材料
成分の移動などによってこれらの材料に悪影響を与える
場合にはこれらの材料間に透明な基板であるカバーガラ
スなどのような両者を物理的に分離し両材料間の接触を
遮るものがあることが好ましい。ここで、透明な基板は
カバーガラスに限らずプラスチック製の基板などでもよ
い。
【0026】また、照射光が積層体を透過する際に積層
体の空気と接する出射側端面で迷光などが発生して複製
するホログラムの光学特性に影響を与えることもあり、
これを防止するために、反射型ホログラムの場合は、原
版ホログラムにホログラム感光材料を重ねた積層体の照
射光の入射側とは反対側の面に、つまり原版ホログラム
側に照射光に対する吸収物質が装着されていることが好
ましい。ここで、吸収物質とは黒色吸収体や照射光の吸
収に適した色の濃色ガラスなどであり、境界面で照射光
を吸収するものがよい。
【0027】また、透過型ホログラムの場合にも、積層
体の照射光の入射側とは反対側の面ではあるが、反射型
ホログラムの場合とは異なりホログラム感光材料側に、
照射光に対する反射防止物質が装着されていることが好
ましい。反射防止物質とは照射光に対する反射防止膜な
どであり、誘電体の多層膜などで形成される。
【0028】以下、より具体的な実施例を交えながら、
本発明の実施の形態を詳しく説明する。なお、必要に応
じ図面に基づいて本発明の実施例を説明する。本実施例
では、参照光の入射角度が30°、参照光の距離が20
0mm、物体光の入射角度が20°、物体光の距離が1
000mm、参照光または物体光の角度で回折する光の
波長が546nmという光学特性を有する原版ホログラ
ムから複製を行った。また、原版ホログラムのサイズ
は、縦48mm×横120mmである。
【0029】図2は、原版ホログラムの露光系の概念図
である。図2において、8は基板ガラス、9はホログラ
ム感光材料、10、11はそれぞれ参照光と物体光であ
る。参照光10の入射角度は30°、12はスペーシャ
ルフィルタであり、参照光用のスペーシャルフィルタか
らホログラム感光材料の中心までの距離は200mm、
物体光11の入射角度は20°、物体光用のスペーシャ
ルフィルタからホログラム感光材料の中心までの距離は
1000mmである。ここで、原版ホログラム中心部で
の回折光の波長を546nmにするために、原版ホログ
ラムの作製にはホログラム作製中の収縮を考慮して、発
振波長557nmの色素レーザ装置を用いた。
【0030】図1は、本発明のホログラム複製方法を示
す概念図である。図1において、1は原版ホログラム、
2はカバーガラス、3はホログラム感光材料、4は発散
光、5は黒色吸収体である。また、図示してないが原版
ホログラム1とカバーガラス2は接着剤で固定してあ
る。12はスペーシャルフィルタ、13はミラー、7は
レーザ装置である。
【0031】カバーガラス2とホログラム感光材料3と
の境界面と、原版ホログラム1と黒色吸収体5との境界
面までの距離、つまりカバーガラス2と原版ホログラム
1を重ねた厚さは、複製時に用いる照射光(通常はレー
ザ光)の可干渉距離に応じて変化させる。つまりその厚
さは、発散光として入射する照射光と原版ホログラムで
回折した照射光とが干渉し合うように照射光の可干渉距
離の1/2以下にすることが望ましい。しかし、その厚
さが薄すぎると、機械的強度の点で問題が生じる。この
厚さは1〜10mmが好ましい。本実施例では、1.1
mmのカバーガラスを用いた。
【0032】複製時に使用するの照射光としては、干渉
フィルタを透過した単色光などでもよいが、可干渉距離
の長いレーザ光が好ましい。エタロンにより発振線幅を
狭くしたレーザ光は、可干渉距離がより大きくなってさ
らに好ましい。
【0033】図1で使用されている黒色吸収体5は、原
版ホログラム1の2つの面のうちカバーガラス2が無い
方の面で発生する、照射光の内部反射に基づく迷光を低
減する効果を有する。本実施例では、発散光である照射
光の波長での透過率が20%の濃色ガラスを用いた。
【0034】使用する接着剤は、透明度が高く光の散乱
が小さい(低ヘイズの)ものが望ましい。また、泡の混
入が少なく、さらに原版ホログラム1やカバーガラス2
に凸凹が生じている場合この凸凹に馴染み、かつ充填し
やすい低い粘性をもつものが好ましい。接着の際には、
接着層から泡を除去し接着層の厚さを均一とするため
に、加重物を載せ数時間静置することが好ましい。
【0035】接着剤の硬化の種類としては、熱硬化型、
紫外線硬化型、2液混合硬化型、熱溶融硬化型(ホット
メルト)などが好ましい。また、接着剤の材料として
は、ゴム系、アクリル系、シリコーン系、ホットメルト
系などが挙げられる。本実施例では、紫外線硬化型光学
接着剤(米国ノーランド社製NOA−61)を使用し
た。
【0036】接着剤の成分が原版ホログラム1の光学特
性などに悪影響を与えることを防止するために、保護層
を原版ホログラム1と接着剤との界面に介在させること
が望ましい。保護層としては、ポリビニルアセテートフ
ィルム、エバールフィルム(クラレ社製)やポリエチレ
ンテレフタレートフィルムなどが使用できるが、複屈折
性がなく、屈折率が1.5程度のものが好ましい。本実
施例では、ポリビニルアセテートフィルムを用いた。
【0037】ホログラム感光材料3には米国デュポン社
製のアクリル系のフォトポリマーを使用した。ホログラ
ム感光材料としては、上記の他にポリビニルカルバゾー
ル系などのフォトポリマー、重クロム酸ゼラチン、光レ
ジスト、銀塩系などの種々の感光材料を使用できる。
【0038】本発明の複製方法においては、従来の複製
方法と異なり、レーザ装置7からのレーザ光の波長を、
原版ホログラムから物体光の角度で回折する光または参
照光の角度で回折する光の波長(546nm)に一致さ
せる必要はなく、したがってこの波長を発振する出力不
安定で取り扱いが困難な色素レーザ装置を使用する必要
はない。
【0039】本実施例では、発振波長532nmの半導
体レーザ励起固体レーザ装置を使用し、原版ホログラム
作製時の参照光側から複製用のレーザ光の発散光4を照
射した。この場合、複製のための発散光4の発散点位置
は、原版ホログラムの中心から距離1624mm、入射
角度27.4°の位置が最適であった。この発散点位置
は、以下のようにして求めた。
【0040】一般的に述べると、ホログラムの複製時に
使用する光の発散点位置は、この発散点位置から原版ホ
ログラムに向けて白色光を照射したとき、この原版ホロ
グラムの面内の各点における回折光の回折効率波長依存
性のグラフのピーク波長と複製時に使用する光の波長と
の差の自乗をそれぞれ加え合わせたものが最小となるよ
うな位置として定められることが好ましい。
【0041】実際の手続きを述べると、まず、積層体近
くの空間中の任意の点から原版ホログラムの面内のある
点(微小な部分)へ白色光が入射した場合に、原版ホロ
グラムのその点での回折光の回折効率の最大値ηm を与
えるピーク波長λc を算出する。同様の計算を原版ホロ
グラムの面内の各点iで行い、それぞれの各点iでのピ
ーク波長λciと複製時に使用する光の波長λo との差
(λci−λo )の自乗を作り、これをiについて加え合
わせたものが最小となるように、原版ホログラムに立て
た法線と原版ホログラムに入射する照射光のなす角度お
よび原版ホログラムの中心と照射光の発散点との距離と
を種々変化させ、発散点位置を決定することが望まし
い。
【0042】図3は、本発明の方法で決められたの発散
点位置(入射角度27.4°、距離1624mm)から
の照射光が原版ホログラム面内の各点で回折したときの
回折光の波長分布を示す図である。A領域では回折波長
域が530.00〜531.00nm、B領域では53
1.00〜532.00nm、C領域では532.00
〜533.00nm、D領域では533.00〜53
4.00nm、そしてE領域では534.00〜53
5.00nmとなっている。
【0043】複製時に使用する光の波長が532nmで
あり、原版ホログラム面内のいずれの場所においても、
ピーク波長はこの複製時に使用する光の波長の値の±3
nm以内に収まっていることがわかる。原版ホログラム
面内での回折効率波長依存性曲線のピーク半値全幅は、
場所によって異なり16〜26nmであることが測定結
果によりわかっており、複製時に使用する光の波長の値
からのズレの最大値である3nmは、このピーク半値全
幅の半分である8〜13nmより充分小さい。このよう
に充分小さい理由は次のことによる。
【0044】本発明では、原版ホログラム面内の各点か
らの回折光のピーク波長と複製時に使用する光の波長と
の差が原版ホログラムのピーク半値全幅の半分以下とな
る発散光位置ならどこでもよいが、この条件に加えて上
述のピーク波長と上述の複製時に使用する光の波長との
差の自乗の和が最小となるような位置が、複製されるホ
ログラムの回折特性つまり光の利用効率が最大となって
さらに好ましい。
【0045】したがって、本実施例では、上記の半値全
幅の半分以下の条件に波長の差の自乗和が最小となる条
件を加えて発散光位置を求めたことにより、ズレの最大
値が3nmという結果を得た。しかし、上記の自乗の和
は必ずしも最小に限定されず、要求される回折特性が満
たされていれば実用上、最小の近傍であってもよい。
【0046】また、本実施例では、複製用の照射光の光
源として発振波長が532nmの半導体レーザ励起固体
レーザ装置を使用し安定して良質のホログラムが得られ
たが、Arレーザ装置の波長が515nmの光や、他に
He−Ne、Krなどのガスレーザ装置の波長の光も、
上記のピーク波長と複製時に使用する光の波長との差が
半値全幅の半分以下の波長のズレや、ピーク波長と複製
時に使用する光の波長との差の自乗和が最小との条件を
満たす発散点位置から光照射すれば使用でき、従来の複
製方法と比べて安定な照射光の波長選択の自由度が大き
い。
【0047】本実施例では、反射型ホログラムの複製を
行ったが、透過型ホログラムを複製する場合は、上述の
ように積層体の原版ホログラム側から照射光を当てる。
この場合は、原版ホログラムの作製時の参照光の発散点
位置と物体光の発散点位置とはともに原版ホログラムに
対して同じ側にあるが、発散点位置はそれぞれ異なる。
【0048】また、本発明では、原版ホログラムおよび
複製されるホログラムがともに体積位相型ホログラムで
あることが好ましい。体積位相型ホログラムであると、
高い回折効率が得られさらに半値全幅が狭いため、回折
光にクロストーク(ボケ)の少ない良好な信号を得るこ
とができる。この体積型ホログラムの場合は、ピーク波
長はブラッグ条件を満たすものとして求められ、狭い半
値全幅の中から一意に決められる。
【0049】また、原版ホログラムおよび複製されるホ
ログラムがともに反射型回折素子の体積位相ホログラム
であることがさらに好ましい。反射型の体積位相ホログ
ラムは、100%近い、きわめて高い回折効率を有し、
透過型の体積位相ホログラムと比べ半値全幅が狭いた
め、高効率でクロストークのほとんどないホログラムを
得られ、回折素子として使用するには好適である。
【0050】体積位相型のホログラムとする場合、ホロ
グラム感光材料は、前述のアクリル系やポリビニルカル
バゾール系などのフォトポリマー、重クロム酸ゼラチン
などが好ましく使用され、その厚さは10〜60μmで
あるが照射光の可干渉距離が大きければ、さらに厚くて
もよい。さらに好ましい厚さは25〜60μmであり、
厚いほど光の利用効率が高く、クロストークも少ない。
【0051】また、ホログラム感光材料はポリビニルカ
ルバゾール系や重クロム酸ゼラチンなどのようにホログ
ラムが湿式の作業工程で作製されるもの、アクリル系の
フォトポリマーなどのように乾式の作業工程で作製され
るものがあるが、乾式の作業工程でホログラムが作製で
きるホログラム感光材料を使用することが、ホログラム
作製作業の効率化を図るうえで好ましい。ここで、湿式
の作業工程とは、ホログラム作製作業を写真の現像、定
着に見立てるならば、現像液、定着液に対応する処理溶
液が必要な工程である。これに対し、乾式の作業工程で
は、現像、定着は、紫外線の照射や加熱のみでよく処理
溶液の操作を必要としない。
【0052】
【発明の効果】本発明によれば、従来の複製法とは異な
り複製用原版ホログラムを作製したときに使用した照射
光の発光点位置および複製用原版ホログラムからの回折
光のピーク波長に限定されない、発光点位置および波長
によりホログラムが複製できるので、照射光の光源であ
るレーザ装置などが限定されず、所望の光学的特性を持
つホログラムを容易にかつ量産性よく得られる。その結
果、複製されたホログラムのコストも大幅に低減でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のホログラム複製方法を示す概念図。
【図2】原版ホログラムの露光系の概念図。
【図3】本発明の方法で決められた発散点位置(角度2
7.4°、距離1624mm)からの照射光が複製用原
版ホログラム面内の各点で回折したときの回折光の波長
分布を示す図。
【図4】白色光をホログラムに向けて照射したときの回
折光の回折効率波長依存性曲線を示す概念図。
【符号の説明】
1:原版ホログラム 2:カバーガラス 3、9:ホログラム感光材料 4:発散光 5:黒色吸収体 7:レーザ装置 8:基板ガラス 10:参照光 11:物体光 12:スペーシャルフィルタ 13:ミラー

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複製用原版ホログラムにホログラム感光材
    料を重ねて積層体とし、積層体に光を照射してホログラ
    ムを複製するホログラム複製方法において、ホログラム
    の複製時に使用する光の発散点位置を複製用原版ホログ
    ラムの作製時に使用する光の2つの発散点位置のいずれ
    とも異なるように配置し、かつ前記複製時に使用する光
    の発散点位置から複製用原版ホログラムに向けて白色光
    を照射したとき、前記複製用原版ホログラムの面内の各
    点における回折光の回折効率波長依存性曲線のピーク波
    長と前記複製時に使用する光の波長との差が前記各点で
    の回折効率波長依存性曲線のピーク半値全幅の半分以下
    となるようにしたことを特徴とするホログラム複製方
    法。
  2. 【請求項2】前記積層体が、ホログラム感光材料と複製
    用原版ホログラムと照射する光の吸収物質とがこの順に
    重ねられているかまたは複製用原版ホログラムとホログ
    ラム感光材料と照射する光の反射防止物質とがこの順に
    重ねられている請求項1に記載のホログラム複製方法。
  3. 【請求項3】ホログラムの複製時に使用する光の発散点
    位置を、前記複製時に使用する光の発散点位置から複製
    用原版ホログラムに向けて白色光を照射したとき、前記
    複製用原版ホログラムの面内の各点での前記ピーク波長
    と前記複製時に使用する光の波長との差の自乗をそれぞ
    れ加え合わせたものが最小となるように配置した請求項
    1または2に記載のホログラム複製方法。
  4. 【請求項4】複製用原版ホログラムおよび複製されるホ
    ログラムがともに体積位相型ホログラムである請求項
    1、2または3に記載のホログラム複製方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011081163A (ja) * 2009-10-07 2011-04-21 Dainippon Printing Co Ltd ホログラム複製装置、ホログラム複製方法及びそれにより複製されたホログラム
WO2017104421A1 (ja) * 2015-12-14 2017-06-22 コニカミノルタ株式会社 ホログラフィック光学素子の製造方法

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