JP2000075099A - 荷電粒子輸送装置 - Google Patents

荷電粒子輸送装置

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JP2000075099A JP10247308A JP24730898A JP2000075099A JP 2000075099 A JP2000075099 A JP 2000075099A JP 10247308 A JP10247308 A JP 10247308A JP 24730898 A JP24730898 A JP 24730898A JP 2000075099 A JP2000075099 A JP 2000075099A
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deflection
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emittance
electromagnet
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 荷電粒子のビーム輸送系において偏向電磁石
の磁極間距離を小さくし、その電源も小さい定格とする
ことができ、製造コストおよびランニングコストを低減
することができる荷電粒子照射装置を得る。 【解決手段】 円形加速器から直下流側のビーム輸送系
において、互いに偏向面がねじれの位置にある偏向電磁
石3b1,3b2を配置する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、荷電粒子、特に
陽子や重粒子などのイオンからなるビームを輸送し物体
や人体に照射する物理実験やがん治療装置などの荷電粒
子照射装置等に用いて好適な荷電粒子輸送装置に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】図6、例えば「The Heavy Ion Medical A
ccelerator:Final Design Summary June 1984,Lawrence
Berkeley Laboratory PUB-5122」に示された従来の荷電
粒子輸送装置の一例を示す配置図である。
【0003】図において、1は荷電粒子の円形の加速器
(シンクロトロン)であり、2は加速器1より取り出さ
れたビームを輸送するビーム輸送系、3はビーム輸送系
2の一部である水平面内にビームを偏向する偏向電磁
石、4は四極電磁石である。この他にもビームの散乱を
防ぐためにビーム軌道を真空に保つ真空ダクト、真空排
気装置、ビーム診断機器、それぞれの電源、制御系機器
等があるがここには示していない。
【0004】次に動作について説明する。加速器1から
取り出された荷電粒子(例えば、陽子、重イオン)のビ
ームは、ビーム輸送系2により建屋内の各目的の場所へ
所定の形状でビームを供給する。その各部屋の照射点に
置かれた物や人に対してビームを照射することを目的と
している。ビーム輸送系2を構成する偏向電磁石3はそ
の電源(図示せず)により2極磁場を作り出し荷電粒子
との相互作用によりビームの中心軌道を決定する働きを
もつ。また同様に四極電磁石4はその電源(図示せず)
により四極磁場を作り出し荷電粒子との相互作用により
ビームの形状を整える働きを持つ。つまり光学系で言う
ところのレンズの働きをする。
【0005】加速器1から取り出された荷電粒子のビー
ムは、加速器1の性質によって、取出したビームの水平
方向および垂直方向のエミッタンス(発散の度合い)が
決定されてビーム輸送系2をとおるビームの性質とな
る。ビーム輸送系2においては四極電磁石4によって形
状(ビームサイズ)を整えながら輸送するが、その絶対
量はエミッタンスの大小によって決まる。装置の設計に
あたっては、ビームサイズの大きさからそれを含むビー
ムダクトの形状が決められ、偏向電磁石3と四極電磁石
4の必要な磁極間隔が決定される。通常の建屋における
ビームを届ける各部屋の配置は水平面内に展開されてお
り、従ってビーム輸送系2も水平面で展開され、分岐や
偏向をつかさどる偏向電磁石3は殆どの場合水平面にビ
ームを偏向する。
【0006】図7は、図6の荷電粒子輸送装置を模式的
に示すもので、図7(a)はその鳥瞰図、図7(b)はその平
面図、図7(c)はその側面図である。図において、偏向
電磁石3aは、加速器1の偏向面と同じ面で偏向してい
る。また、5は偏向電磁石3aの上流側の輸送ラインで
あり、加速器1から取出されてきたビームが通るライン
である。6aは偏向電磁石3aの下流側の輸送ラインで
あり、従ってこの輸送ライン6aと加速器1のビームラ
インとは同じレベルでありこの下流側に輸送系が展開し
ていく。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来の荷電
粒子輸送装置は以上のように構成されているので、加速
器からのビームのエミッタンスが水平方向より垂直方向
に大きいと、ビーム輸送系の全体にわたって垂直方向に
ビームサイズが大きくなり、水平面内にビームを引き回
す偏向電磁石において磁極間隔を大きくする必要があ
る。このことは、偏向電磁石の形状を大きくし、また磁
束密度を得るためにより大きな電源を必要とするという
問題点があった。
【0008】一方、加速器からのビームのエミッタンス
が水平方向に大きい場合は、偏向電磁石において有効磁
場の領域を大きくする必要があり、これは磁極幅を大き
くしなければならない設計上の影響を及ぼすが、磁極間
隔を大きくする影響に比べると非常に容易であり製造コ
ストとランニングコストへの影響も小さい。
【0009】この発明は上記のような課題を解決するた
めになされたものであり、ビーム輸送系において偏向電
磁石を小さくするとともに、その電源容量も小さく設計
でき、製造コストおよびランニングコストを削減するこ
と、あるいはその下流側にある照射系機器(例えば回転
ガントリー)に適したビームの発散やサイズに調整する
ことができる荷電粒子輸送装置を得ることを目的とす
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明に係る荷
電粒子輸送装置は、荷電粒子を加速する加速器と、該加
速器の直後に設けられた同じ偏向角を持つ複数個の偏向
電磁石を含み、上記加速器により加速されて取り出され
たビームを輸送するビーム輸送系とを備え、該ビーム輸
送系を、上記偏向電磁石の偏向面が上記円形加速器の偏
向面も含めて互いに異なる面になる部分をもつように構
成したものである。
【0011】請求項2の発明に係る荷電粒子輸送装置
は、請求項1の発明において、上記加速器には、ビーム
に高周波電場を印加する高周波ノックアウト法を用いて
ビームを取出すビーム取出し手段が設けられているもの
である。
【0012】請求項3の発明に係る荷電粒子輸送装置
は、請求項1または2の発明において、互いに異なる偏
向面をつくる上記偏向電磁石には、上記加速器の偏向電
磁石と同じ仕様の電磁石が用いられているものである。
【0013】請求項4の発明に係る荷電粒子輸送装置
は、請求項1〜3のいずれかの発明において、上記ビー
ム輸送系の終端部に回転自在に接続され、該ビーム輸送
系からのビームを回転照射する回転ガントリーを備えた
ものである。
【0014】請求項5の発明に係る荷電粒子輸送装置
は、請求項1または2の発明において、上記加速器を複
数個設け、該加速器のそれぞれのビーム輸送系が1つの
ビーム輸送系に合流するように構成したものである。
【0015】請求項6の発明に係る荷電粒子輸送装置
は、請求項1〜5のいずれかの発明において、上記加速
器が円形加速器であるものである。
【0016】
【発明の実施の形態】先ず、この発明の基本的概念を説
明する。この発明は、荷電粒子を加速する例えば円形の
加速器と、それにより加速されて取り出されたビームを
輸送するビーム輸送系を備えた装置において、円形加速
器からの輸送系において取出し直後の偏向電磁石をその
偏向面が水平面と角度をなすように設置し、(上流側の
ビーム軸を中心に回転した状態)、それに続く偏向電磁
石もその上流の偏向電磁石の偏向面とある角度をなすよ
うに配置することにより、垂直方向と水平方向のエミッ
タンスを混合し、その下流側の輸送系において水平面内
を引き回すビーム輸送系の偏向電磁石の磁極間隔を広げ
なくてすむようにしたり、その下流側に接続される照射
系や回転ガントリーなどに最適となるようにビームのエ
ミッタンスを調整するものである。
【0017】この荷電粒子輸送装置では、以下の性質を
利用している。陽子や重粒子等のビームは円形加速器に
おいて加速された場合、円形加速器に入射された時のエ
ミッタンスが加速されたエネルギーに応じて水平・垂直
両方向とも同じ割合で小さくなるが、さらに取出し方法
に依存して1方向のエミッタンスを変えることができ
る。例えば加速器においてはRF(高周波)ノックアウト
法を使用することにより水平方向において著しくエミッ
タンスを小さくすることができ、特にがん治療装置など
に使われるビームのエネルギー領域では、垂直方向(円
形加速器を水平においた場合)よりも水平方向のエミッ
タンスを小さく出来る。
【0018】一方、偏向面を水平から傾けた偏向電磁石
を組み合わせることで、上流側のビームとは高低差がつ
くものの結果として出てくるビーム軸を水平にすること
が出来る。この時、その偏向角の大きさ、曲率半径、偏
向磁石間の間隔やその間に置いた四極電磁石の強さ等に
依存して、水平方向と垂直方向のエミッタンスの混合す
る割合が決まる。このことより、続く水平面に展開した
ビーム輸送系の偏向電磁石の磁極間方向(垂直方向)の
ビームサイズを磁極面方向(水平方向)のビームサイズ
より全体的に小さくしたり、調整することができる。
【0019】以下、この発明の実施の形態を図について
説明する。 実施の形態1.図1はこの発明の実施の形態1を示す配
置図であり、図1(a)はその鳥瞰図、図1(b)はその平面
図、図1(c)はその側面図である。なお、図1におい
て、図6および図7と同一または相当部分には同一符号
を付し、その説明を省略する。図において、3b1は図
1(a)において上流側のライン5を中心に偏向磁石3a
(図7)を実質的に回転したような配置の偏向電磁石であ
る。従って偏向面はもはや加速器1と同じ面(例えば水
平)ではない。その偏向磁石3b1のつくる出口側の軌
道は従ってななめに降りるライン7となる。3b2はそ
のななめのライン7を入口とし、水平方向を出口の軌道
とする偏向電磁石である。従って、この偏向面も加速器
1の軌道の面や偏向電磁石3b1の偏向面とは異なる面
にある。
【0020】またこの実施の形態1では簡単の為に四極
電磁石や電磁石等の架台その他の機器は省いている。6
bは3b2から下流側の輸送系ラインであり、その端部
には照射実験や治療照射の為の照射機器や、例えば回転
ガントリー8(図2)等が接続されている。
【0021】この実施の形態1による荷電粒子輸送装置
では、加速器1から出射されるビームは、加速器1の性
能によって水平方向のエミッタンスと垂直方向のそれが
異なっている。従来例のように、加速器1と同じ面内で
ビームを引回す場合は、水平と垂直方向のエミッタンス
は輸送系の終端部まで変らない。しかし、本実施の形態
のように偏向電磁石3b1と3b2を通ることにより、
座標系が回転し、水平方向と垂直方向のエミッタンスが
偏向電磁石3b1と3b2の配置や角度に応じて変換さ
れて、図2(a)に示すように、垂直方向と水平方向の割
合を変えることが出来る。
【0022】この配置と角度を加速器1から取出された
エミッタンスの水平と垂直の違いに応じて選んでやるこ
とにより偏向電磁石3b2より以降の下流側の輸送系ラ
イン6bでは、水平と垂直のエミッタンスの値を等しく
し、図2(b)に示すように、終端に回転自在に接続され
た回転ガントリー8に最適なビーム条件を与えることが
できる。
【0023】このように、この実施の形態1によれば、
加速器の垂直方向のエミッタンスと水平方向のエミッタ
ンスが異なって取出されたにも拘らず、下流側の輸送ラ
イン6bにおいては等しくなっているので、下流側の輸
送系全体にわたってエミッタンスが等しく下流側の輸送
系の最終端に接続された回転ガントリー8に最適なビー
ム条件を与えることができる。この為従来エミッタンス
を等しくするために用いられてきたコリメータを設ける
必要がなく、またそのコリメータによってビームが削り
取られる際に発生を余儀なくされる放射線が無くなり、
ビーム利用率のアップとともに、放射線対策の設備費用
が削減できる。
【0024】つまり、本実施の形体によれば、必要に応
じて水平・垂直のエミッタンスの割合を換えることが出
来る。また、このことにより垂直方向のエミッタンスを
最少の値に調整でき、偏向磁石の磁極間隔を大きく製作
することなくビーム輸送をすることができるので、全体
的な偏向電磁石および架台と、その電源がコンパクトに
でき、またランニングコストも大幅に削減される。ま
た、後続する回転ガントリーなど照射系機器への最適な
エミッタンスのビームとするために、従来はビームを削
ることで対応してきたが、本実施の形態によれば磁石の
組み合わせによりエミッタンスを調整することが可能と
なり、削ることによる有害な放射線の発生を無くし、利
用効率の高いビームを供給することができる。
【0025】実施の形態2.図3はこの発明の実施の形
態2を示す配置図であって、図3(a)はその断面図、図
3(b)はその平面図、図3(c)はそのビーム断面と電磁
石断面を示す図である。図3において、図1および図2
と同一または相当部分には同一符号を付して説明する。
図において、加速器1はRFノックアウトなどの取出し
方法により、水平方向のエミッタンスが垂直方向よりも
小さくなっているものである。3b1は90度偏向角を
持ったの偏向電磁石で構成され上流側の輸送系ラインラ
イン5を偏向して真下にビームを曲げる偏向電磁石であ
る。3b2はその垂直なライン7を入口とし、水平方向
を出口の軌道とする同じ90度の偏向角度の偏向電磁石
であるがその下流側の輸送系ライン6bは3b2の上流
側の輸送系5のラインとは捩じれの位置にあり平面上に
投影した場合直角の角度をなしている。
【0026】この実施の形態2では、加速器1から出射
されるビームは、RFノックアウト法などのビーム取出
し方法によって水平方向のエミッタンスが垂直方向より
も小さくなっている。従って、全般的に、偏向電磁石3
b1までの上流側の輸送ライン5では垂直方向のビーム
サイズが水平方向よりも大きい。しかし、偏向電磁石3
b1と3b2を通ることにより、座標系が回転し、水平
方向と垂直方向のエミッタンスが入れ替えることが出来
る。これにより偏向電磁石3b2より以降の下流側の輸
送系ライン6bでは、取出したあとの上流側の輸送系ラ
イン5よりも縦方向のビームサイズを小さくできる。
【0027】このように、この実施の形態2によれば、
下流側の輸送系ライン6bにおいては、垂直方向のエミ
ッタンスが水平方向のエミッタンスよりも小さくなって
いるので、下流側の輸送系全体にわたってビームサイズ
が垂直方向の方が小さく、下流側の輸送系を構成する偏
向電磁石内の磁極間隔方向のビームサイズが小さく、そ
の結果ビームを通すビームダクトの垂直方向の高さを小
さくでき、偏向電磁石の磁極間隔を小さく設計できる。
これによって、その下流側の輸送系の偏向電磁石の小型
化およびその電磁石電源類(図示せず)の仕様の低減が
可能となり、また、ランニングコストも節約され、経済
的に優れた装置を得ることが出来る。
【0028】実施の形態3.図4はこの発明の実施の形
態3を示す配置図であって、図4(a)はその平面図、図
4(b)はその結線図である。図4において、図1および
図2と同一または相当部分には同一符号を付して説明す
る。図において、3は加速器を構成する偏向電磁石であ
り、ここでは60度の偏向電磁石6台を使った加速器と
なっている。3b1と3b2は本発明に係わる輸送系の
偏向電磁石であり、加速器を構成する偏向電磁石3と同
じ型の偏向電磁石である。3b1の上流側の輸送系のラ
イン5は長方形の建屋の1辺(縦)と平行に走ってお
り、本発明に関る電磁石配置により偏向電磁石3b2の
下流側の輸送系ライン6bは加速器とレベルが異なる
が、建屋のもう1辺(横)と平行に走っている。また、
加速器の電磁石とこの偏向電磁石は直列励磁にしてあ
り、同時に同じ励磁をする。
【0029】この実施の形態3による荷電粒子輸送装置
では、加速器1から出射されたラインが建屋の縦方向で
あるにも拘わらず、加速器と同じ60度の偏向電磁石2
台によって、輸送系のラインを建屋の横方向に平行に変
えている。加速器と同じ平面に配置したのでは、120
度の角度となり、目的の方向へ輸送系を導くことができ
ない。このように、加速器と同じ磁石を使って目的の角
度に曲げようとした場合に、偏向電磁石3b1と3b2
のそれぞれをその偏向面が同一平面とは異なるように配
置したことで目的の角度に曲げることが可能である。
【0030】このように、この実施の形態3によれば、
直角方向に輸送系を曲げる際に2台の加速器と同じ型の
60度の偏向電磁石を用いることで目的を達成すること
ができる。また、同じ型であることから加速器の電磁石
と直列に接続して電源を共有することが可能となる。こ
れによって、輸送系の偏向磁石として新たに電磁石を設
計製作すること無しに、加速器の電磁石を量産すること
で済み、量産効果が発揮される。また、電源を共有する
ことができるので、経済的な装置を得ることが出来る。
またこの実施の形態3の配置では、2台の加速器と同じ
偏向電磁石を用いたが3台以上で構成してより幅の広い
偏向角度に対応することも可能である。
【0031】つまり、本実施の形態によれば、建屋等の
配置により一定の角度にビームを偏向させる場合に、輸
送系との間に高低差をつけることで、加速器に使用され
る偏向電磁石を輸送系の磁石にも利用して任意の角度に
ビーム方向を偏向させることができる。
【0032】実施の形態4.図5はこの発明の実施の形
態4を示す配置図であり、図5(a)はその鳥瞰図、図5
(b)はその 平面図、図5(c)はその説明図である。な
お、図5において、図1と同一または相当部分には同一
符号を付して説明する。図において、1aと1bは異な
る垂直方向のエミッタンスをもった加速器であり、それ
ぞれから取出されたビームは本発明に係わる偏向電磁石
の3b2の下流側において、この磁石の励磁と消磁を行
うことにより、その下流側の共通な下流側の輸送系ライ
ン6bをとおるようになっている。加速器1aはRFノ
ックアウト等の取出し方法により、水平方向のエミッタ
ンスが垂直方向のそれより小さいものである。また、加
速器1bの垂直方向のエミッタンスは加速器1aのそれ
より小さいものである。
【0033】偏向電磁石3b2を励磁・消磁する電源
は、加速器1aと1bの出射のタイミングに同期をとる
ことにより、一方の加速器から出たビームパルスの間に
他方のビームパルスを重ね合わせることが可能となって
いる。また、加速器1aからのビームの垂直方向のエミ
ッタンスが、本発明に関る偏向電磁石の系を通ることに
より加速器1bからのビームの垂直方向のエミッタンス
と一致するように、これらの偏向電磁石3b1、3b2
が捩じれの配置となっている。
【0034】この実施の形態4による荷電粒子輸送装置
では、加速器1aから出射されたビームの垂直方向のエ
ミッタンスが加速器1bのそれと異なって大きいにも拘
らず、捩じれの位置にある本発明に係わる偏向電磁石2
台によって、合流した地点より同じ値をとるようにする
ことが可能である。
【0035】このように、この実施の形態4によれば、
従来の平面で合流する方式では、異なる垂直方向のエミ
ッタンスを持つ加速器からのビームを合流する際に、そ
のうちの大きいエミッタンスに対応したビーム輸送系の
製作、つまり偏向電磁石のギャップが大きくなるととも
に電源定格の増加の必要があったが、本実施の形体で
は、両者の垂直方向のエミッタンスを最小化したものに
対して、それをカバーするビーム輸送系を作ればよい。
従って、偏向電磁石のギャップが削減され、それに応じ
てそれらの電源の定格の減少によって製作費およびラン
ニングコストの削減を達成することができる。この例で
は、片方の加速器からのビームをそのまま下流側のビー
ム輸送系に持ってきたが、両方の加速器からのビームを
本発明に関る捩じれの配置にある偏向電磁石系を通すこ
とによって、それぞれ垂直方向のエミッタンスを最小化
させることにより、より経済的な輸送系を得ることがで
きる。
【0036】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の発明に
よれば、荷電粒子を加速する加速器と、該加速器の直後
に設けられた同じ偏向角を持つ複数個の偏向電磁石を含
み、上記加速器により加速されて取り出されたビームを
輸送するビーム輸送系とを備え、該ビーム輸送系を、上
記偏向電磁石の偏向面が上記円形加速器の偏向面も含め
て互いに異なる面になる部分をもつように構成したの
で、加速器の垂直方向のエミッタンスと水平方向のエミ
ッタンスが異なって取出されたにも拘らず、下流側の輸
送ラインにおいては等しくなり、下流側の輸送系全体に
わたってエミッタンスが等しく下流側の輸送系の最終端
に接続された回転ガントリーに最適なビーム条件を与え
ることができ、以って、従来エミッタンスを等しくする
ために用いられてきたコリメータを設ける必要がなく、
またそのコリメータによってビームが削り取られる際に
発生を余儀なくされる放射線が無くなり、ビーム利用率
のアップとともに、放射線対策の設備費用が削減できる
という効果がある。
【0037】請求項2の発明によれば、上記加速器に
は、ビームに高周波電場を印加する高周波ノックアウト
法を用いてビームを取出すビーム取出し手段が設けられ
ているので、下流側の輸送系の偏向電磁石の小型化およ
びその電磁石電源類の仕様の低減が可能となり、また、
ランニングコストも節約され、経済的に優れた装置を得
ることが出来るという効果がある。
【0038】請求項3の発明によれば、互いに異なる偏
向面をつくる上記偏向電磁石には、上記加速器の偏向電
磁石と同じ仕様の電磁石が用いられているので、加速器
の電磁石と直列に接続して電源を共有することが可能と
なり、輸送系の偏向磁石として新たに電磁石を設計製作
すること無しに、加速器の電磁石を量産することで済
み、量産効果が発揮され、また、電源を共有することが
できるから経済的な装置を得ることが出来るという効果
がある。
【0039】請求項4の発明によれば、上記ビーム輸送
系の終端部に回転自在に接続され、該ビーム輸送系から
のビームを回転照射する回転ガントリーを備えたので、
磁石の組み合わせによりエミッタンスを調整することが
可能となり、以って、従来の後続する回転ガントリーな
ど照射系機器への最適なエミッタンスのビームとするた
めこのビームを削ることによる有害な放射線の発生を無
くし、利用効率の高いビームを供給することができると
いう効果がある。
【0040】請求項5の発明によれば、上記加速器を複
数個設け、該加速器のそれぞれのビーム輸送系が1つの
ビーム輸送系に合流するように構成したので、偏向電磁
石のギャップが削減され、それに応じてそれらの電源の
定格の減少によって製作費およびランニングコストの削
減を達成することができるという効果がある。
【0041】請求項6の発明によれば、上記加速器が円
形加速器であるので、荷電粒子、特に陽子や重粒子など
のイオンからなるビームを輸送し物体や人体に照射する
物理実験やがん治療装置などの荷電粒子照射装置等に用
いて好適な荷電粒子輸送装置が得られるという効果があ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1を示す配置図であ
る。
【図2】 この発明の実施の形態1を示す配置図であ
る。
【図3】 この発明の実施の形態2を示す配置図であ
る。
【図4】 この発明の実施の形態3を示す配置図であ
る。
【図5】 この発明の実施の形態4を示す配置図であ
る。
【図6】 従来の荷電粒子輸送装置を示す配置図をであ
る。
【図7】 従来の荷電粒子輸送装置を模式的に示す配置
図をである。
【符号の説明】
1,1a 円型加速器、 2 ビーム輸送系、 3,3
b1,3b2 偏向電磁石、 5 上流側の輸送系、
6a,6b 下流側の輸送系、 7 ななめのライン、
7a 垂直なライン 8 回転ガントリー。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 荷電粒子を加速する加速器と、 該加速器の直後に設けられた同じ偏向角を持つ複数個の
    偏向電磁石を含み、上記加速器により加速されて取り出
    されたビームを輸送するビーム輸送系とを備え、該ビー
    ム輸送系を、上記偏向電磁石の偏向面が上記円形加速器
    の偏向面も含めて互いに異なる面になる部分をもつよう
    に構成したことを特徴とする荷電粒子輸送装置。
  2. 【請求項2】 上記加速器には、ビームに高周波電場を
    印加する高周波ノックアウト法を用いてビームを取出す
    ビーム取出し手段が設けられていることを特徴とする請
    求項1記載の荷電粒子輸送装置。
  3. 【請求項3】 互いに異なる偏向面をつくる上記偏向電
    磁石には、上記加速器の偏向電磁石と同じ仕様の電磁石
    が用いられていることを特徴とする請求項1または2記
    載の荷電粒子輸送装置。
  4. 【請求項4】 上記ビーム輸送系の終端部に回転自在に
    接続され、該ビーム輸送系からのビームを回転照射する
    回転ガントリーを備えたことを特徴とする請求項1〜3
    のいずれかに記載の荷電粒子輸送装置。
  5. 【請求項5】 上記加速器を複数個設け、該加速器のそ
    れぞれのビーム輸送系が1つのビーム輸送系に合流する
    ように構成したことを特徴とする請求項1または2記載
    の荷電粒子輸送装置。
  6. 【請求項6】 上記加速器は円形加速器であることを特
    徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の荷電粒子輸送
    装置。
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