JP2000070763A - 分離部材と分離容器及び遠心分離方法 - Google Patents

分離部材と分離容器及び遠心分離方法

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JP2000070763A JP10284686A JP28468698A JP2000070763A JP 2000070763 A JP2000070763 A JP 2000070763A JP 10284686 A JP10284686 A JP 10284686A JP 28468698 A JP28468698 A JP 28468698A JP 2000070763 A JP2000070763 A JP 2000070763A
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separating
centrifugal
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Toshimasa Yamamoto
俊昌 山本
Kikuko Yamamoto
紀久子 山本
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Abstract

(57)【要約】 【構成】本発明の分離部材と分離容器及び遠心分離方法
は、液体混合物を収容し、遠心分離し、分離された液体
を流出する開口部を有する上部容器と、上部容器の底部
に接続され、上部容器より流出する液体を貯溜する下部
容器より構成される分離容器と、下方に開放する空洞部
を有し、分離される2液の比重の中間の比重を持つゴム
弾性の分離シートを保持する、上記開口部に固定する分
離部材より構成されていて、相互に溶け合わない比重の
異なる2液の液体混合物、又は、分離された液体の比重
が連続に変化する液体を、遠心分離する際に使用する。 【効果】この分離部材及び分離容器を使用した遠心分離
方法によれば、充分な分離が完了した後に、比重の小さ
い液体を上部容器に、比重の大きい液体を下部容器に別
々に保管できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は相互に溶け合わない、比
重の異なる2つの液体の混合物を、遠心分離により各成
分に分離する際に使用する分離容器と分離部材及び分離
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】相互に溶け合わない2つの液体の混合物
を各成分に分離するには、各成分の比重差を利用して分
離している。従来法としは、混合物を試験管等の容器に
入れ、一定時間自然放置して重力に基づく比重分離を行
い、しかるのちにピペット等を利用して目的成分を取り
出す方法や、または自然放置の時間を短縮したり成分間
の境界をはっきりさせるために遠心力を利用する方法な
どがある。遠心分離後も目的成分を採取するためにはピ
ペットなどを利用して慎重に取り出す必要がある。目的
の成分を簡単に取り出す方法として、例えば血液検査で
は、血液検体を遠心分離操作により血清と血餅に分離す
る際にチクソトロピー性を有する血清分離剤や血液分離
部材を使用する方法がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
方法には次に示すような幾つかの欠点があつた。即ち、 相互に溶け合わない液体同志の混合物を、自然放置し
て重力分離させた後に、目的の成分のみをピペット等の
器具で採取するのは、液体を攪拌しない様に慎重に行う
必要があり、面倒な作業が必要であった。 比重分離を遠心力により、短時間に達成するのは効率
がよいが、分離操作の終了後に目的の成分をピペット等
の器具で採取するのは同様慎重さが必要であり面倒で
あった。 遠心力による比重分離の場合便利な方法が提案されて
いる。例えば、臨床検査の血液検査で用いられるチクソ
トロピー性で粘性を有する血清分離剤を使用する場合に
おいては、遠心後に血清を取り出すとき血清分離剤によ
り血清と血餅の境界に隔壁が出来ていて、簡単に血清を
取り出すことが出来る。しかしながら、血清分離剤は低
分子量で低粘度の合成樹脂が主成分であり、かつ種々の
薬品が混合された混合物であり、遠心分離時に流動化し
血液と接触しながら採血管内を移動するため、血清分離
剤と血液の間での成分の移動や化学変化など何らかの物
理的及び化学的な変化を生じ、血液検査値にバラツキを
生じる恐れがある。又、経時変化による物性の変化(例
えば粘度の変化)化学変化(例えば酸化)が懸念され
る。更に、チクソトロピー性のため遠心分離時に流動化
するが、流動化が早すぎると完全に血清と血餅の分離が
完了しない内に血清分離剤の隔壁が出来てしまい、完全
な分離が得られない場合がある。図8には血清分離剤を
使った血清と血餅の分離が描かれている。図8(a)に
は予め血清分離剤1が入れてある採血管2に全血3が注
入されたところが示されている。図8(b)には全血3
が入った採血管2を一定時間自然放置し、血液凝固が完
了し、血清4と血餅5が生成しているところを示してい
る。図8(c)には血液凝固が完了した採血管2を遠心
分離にかけ、血清分離剤1が流動性を発揮し、血清4と
血餅5の境界付近に移動しているところを示している。
しかし、この時点では、血液凝固は完了しているが、微
細な血餅の粒は遠心分離による沈降が遅く、血清4と血
餅5が混在する血清・血餅混在相6が存在しているの
で、血清分離剤1の流動化が早いと、血清・血餅混在相
6の下に隔壁を形成する可能性がある。図8(d)に
は、設定遠心力で設定時間経過して、血清分離剤1によ
る隔壁7が形成され、血清4と血餅5を分離していると
ころを示している。しかしながら、血清・血餅混在相6
の下で隔壁7が形成されているならば、隔壁7の上に若
干の血餅5が載っている可能性があり、血清4の分析に
悪影響を及ぼす可能性が考えられる。 又、血清分離剤でなく、採血管の内径より僅か大きい
径を有する円盤状のシートを有する、ゴム状の弾性体で
構成された血液分離部材もあるが、遠心力で部材が血清
と血餅の境界に確実に到達するのが難しい。血清と血餅
の境界で隔壁を構成しても部材の上に重い成分の血餅が
載る場合がある。隔壁を通して検査対象とする分析項目
(例えばカリウム等)が、時間経過で移行する恐れがあ
る等の欠点がある。
【0004】本発明は、上記事情に鑑みて為されたもの
であり、相互に溶け合わない比重の異なる2つ液相同志
の混合物を遠心分離で各々の相に分離した後に、遠心操
作の終了段階である、設定遠心力と遠心停止の間に、比
重の大きい液体を別の容器へ移し替えることを目的とし
ている。
【0005】
【課題を解決するための手段】かかる課題は、遠心力に
より完全に分離が為された後に、2液を同一の容器に収
納せず別々の容器に収納することにより解決される。即
ち、相互に溶け合わない比重の異なる2つの液体同志の
混合物を各々の液体に分離する、分離容器と分離部材に
おいて、上記分離容器は、上記混合物を収納し遠心分離
する上部容器と、分離された比重の大きい方の液体を収
納する下部容器から成り、上記上部容器の底部には、分
離された比重の大きい方の液体を上記下部容器に流下さ
せる開口部を有する穴を有しており、上記分離部材は、
液体混合物に埋没する部分に、下方に開放する空洞部を
有し、上記分離部材は、上記上部容器の開口部分を塞ぎ
液体の流下を防ぎ、上記上部容器の底部に固定する上記
上部容器との嵌合機構を有し、液体混合物を遠心分離す
る際に一定の遠心力において上記嵌合機構が外れる様な
機構であることを特徴とし、更に、上記嵌合機構が外れ
た後でも、遠心力場での上記分離部材の重力と浮力の合
計値がプラスの一定値以上では、液体が上記上部容器よ
り上記下部容器へ流出しないような液体流下防止端部を
上記分離部材に設けることを特徴とする請求項1記載の
分離容器と分離部材を使用することにより解決される。
【0006】また、上記上部容器の開口部と、上記開口
部へ挿入される上記分離部材の下部とにより生じる隙間
を塞ぐことを特徴とする請求項2の液体流下防止端部に
より解決される。
【0007】また、分離すべき2つの液体の比重の中間
の比重を有し、更に、ゴム弾性を有するドーナツ状の分
離シートを、上記分離部材の空洞部と液体流下防止端部
との間の部材首部に差し込むことを特徴とする請求項3
の分離シートを保持する分離部材を使用することにより
解決される。。
【0008】また、上記分離部材を収納部材に収納し、
上記収納部材を分離容器に挿入することを特徴とする請
求項4記載の分離部材と収納部材及び分離容器を使用す
ることにより解決される。
【0009】また、請求項5記載の遠心分離方法により
解決される。
【0010】また、請求項6記載の遠心分離方法により
解決される。
【0011】また、請求項7記載の遠心分離方法により
解決される。
【0012】
【作用】請求項1の分離容器と分離部材は、上述した様
に、分離部材に下方に開放する空洞部を設け、液体を上
部容器に分離部材が埋没する程度に充填した後の遠心操
作により、空洞部内の気相の圧縮による分離部材の見か
けの重力と、分離部材の液体中での浮力の合計がプラス
の場合は上部容器の開口部は分離部材により塞がれ液体
の流下はないが、上記合計値がマイナスの場合は分離部
材は液体中に浮いた状態となり液体は流下する現象を利
用している。設定遠心力により2液の分離が完了し遠心
力が減少し始めたら、分離部材の重力と浮力の合計値が
マイナスとなり比重の大きい方の液体が下部容器に流下
し始め、比重の大きい方の液体が全量下部容器へ流下
し、分離部材廻りの液体が比重の小さい方の液体に代わ
り、従って分離部材の浮力が小さくなり、分離部材の重
力と浮力の合計がプラスに転じたら、液体の流下は停止
する。
【0013】又、請求項2記載の液体流下防止端部によ
り、分離部材と上部容器との嵌合機構が外れたあとで
も、遠心力場での分離部材の重力と浮力の合計がプラス
の一定値以上であれば、液体が下部容器へ流出すること
はないので、設定遠心力を、液体が下部容器へ流出しな
いような遠心力に選定することにより、又は、液体の分
離に必要な遠心力で、液体が下部容器へ流出しないよう
な分離部材の形状や材質の比重を選定することにより、
設定遠心力で設定時間遠心分離が可能となる。
【0014】又、請求項3記載の分離シート保持の分離
部材を使用すれば、上記嵌合機構が外れ、上記液体流下
防止端部の働きで、液体の上記下部容器への流出が無い
状態で、設定遠心力で設定時間遠心分離がなされた後、
遠心力が減少し上記分離部材に働く重力と浮力の合計値
がマイナスとなり、比重の大きい重液が上記下部容器へ
流出を開始するが、重液が全量流出し、軽液が流出を開
始する直前で、上記分離部材に働く重力と浮力の合計値
がプラスに転じないでマイナスのままでも、上記分離シ
ート保持の分離部材であれば、上記軽液の流出が防止で
きるので、遠心分離の操作範囲が幅広くとれ、使用範囲
が広くなる。
【0015】又、請求項4記載の分離部材と収納部材及
び分離容器を使用すれば、分離容器を一体化出来るの
で、本発明の構成部品の製作と分離操作が簡略化出来
る。
【実施例1】以下実施例を挙げて本発明を説明する。実
施例として、図1に試験管に類似した円筒形で細長い容
器に応用した実施例を示す。
【0016】図1(a)には、本実施例の構成部品であ
る、分離容器8と分離部材9を組み立てた状態が示され
ている。分離容器8は上部容器17と下部容器23より
構成されている。分離部材9は上部容器17の底部に固
定されている。なお、分離容器8及び分離部材9は同心
円状なので、縦断面図により本発明を説明する。
【0017】図1(b)には分離部材9の断面図が示さ
れている。分離部材本体10は分離部材9の上部を構成
する部分であり、遠心分離後の重い成分が流下し易いよ
うに上部がコーン状となっている。部材空洞部11は分
離部材本体10の下部の周辺にあり、下部開放であり、
同心円状に一巡する空間である。部材空洞部11の役目
は、存在する気相が遠心操作において圧縮され、液体が
浸入することを利用して、部材空洞部11を含めた分離
部材9の遠心中での見掛けの重力を変化させることであ
り、そのことによって、遠心中の分離部材9の見かけの
重力と浮力の合計をプラス又はマイナスに変化させ、分
離部材9と上部容器17の開口部分との嵌合が外れるこ
とや、分離部材9が上部容器17の開口部分を塞ぐこと
を可能とする。分離シート12は薄いドーナツ状の円盤
であり、部材首部13に差し込まれた形で部材本体下端
面10aと液体流下停止端部14の間に挟まれている。
分離シート12の厚みは部材首部13の高さより若干小
さく、かつドーナツ状の内側の径は部材首部13の径よ
りも若干大きく、設置された位置において、上下方向に
自由に動けるようになっている。また、分離シート12
の下側の面と、液体流下停止端部14の端部上面14a
は接触したときに密着するように平滑面であることが必
要である。一方、分離シート12の上面と部材本体下端
面10aが接触するときは、密着することは必要でな
く、両者が接触している時でも部材空洞部11内の液体
が自由に出入りできるように、特に部材本体下端面10
aは平滑面でなく放射状に溝をつけたり、凹凸をつける
ことが必要である。又、端部下面14bは、遠心中の分
離部材9の見かけ重力と浮力の合計値がプラスの時に上
部容器17の開口部分を塞ぐように開口部分の部材接触
面と接するので、平滑であることが必要である。部材下
部15は上部容器17の開口部分に貫通する様に配置さ
れ、形状は円柱である。部材固定用突起16は分離部材
9を上部容器17の開口部分に、開口部分を塞ぐ形で固
定するためのものであり、部材下部15の外側に突き出
た、円周を一巡する突起であり、上部容器17の開口部
の分離部材固定用凹部19と嵌合い、液体の流下を防
ぐ。なお部材固定用突起上面16aは、上部容器17の
開口部分より外れた分離部材9が、遠心力が減少する遠
心操作の終了段階において、分離部材9の見掛け重力と
浮力の合計値がマイナスとなり、分離部材9が浮上しよ
うとして、上部容器17の開口部端面と接するが、部材
固定用突起上面16aと上部容器開口部端面18aの接
触面より液体が流下するように、部材固定用突起上面1
6aには、例えば、放射状に溝を設けておく。なお、分
離シート12は、比重が被分離液である2液の比重の中
間の値であること以外に、柔軟なゴム弾性を有すること
が必要である。ゴム弾性を有することにより、分離部材
9の端部上面14aと上部容器17のシート接触面21
aとの隙間を、分離シート12が遠心力により隙間を埋
め込むように若干変形することにより、密着度が増し、
より確実に塞ぐことが可能となる。
【0018】図1(c)には上部容器17が示されてい
る。上部容器17の下部には、部材下部15を貫通させ
る上部容器開口部18がある。分離部材固定用凹部19
は、部材固定用突起16と嵌合うことにより、分離部材
9を上部容器開口部18に固定し液体の流下を防ぐ。上
部容器開口部端面18aは、部材固定用突起上面16a
と接し、分離部材9が更に上方に移動することを防ぐ。
穴20は上部容器開口部18が構成する穴であり、液体
が流下する個所である。部材接触面21は、分離部材9
が上部容器開口部18の嵌合個所より外れ下方へ落下す
る時に、液体流下停止端部14の端部下面14bと接
し、落下が防止され、かつ液体の流下が停止する。シー
ト接触面21aは分離シート12と接し、液体の流下が
停止する。上部容器接合部22は下部容器23の下部容
器接合部24と接合する。
【0019】図1(d)は下部容器23を示す。下部容
器23は遠心分離された比重の大きい方の液体を貯溜す
る容器であり、下部容器接合部24と、上部容器17の
上部容器接合部22とを嵌め込むことにより、分離容器
8を構成する。
【0020】図2は分離部材9を、上部容器17と下部
容器23を組み立てた分離容器8に挿入し、液体混合物
25を充填したところを示している。遠心分離開始以前
では、分離部材9と上部容器17の内壁との隙間である
上部隙間26、及び分離部材9の液体流下停止端部14
と上部容器17の底部との隙間である下部隙間27、及
び部材下部15と上部容器開口部18との隙間である開
口部隙間28及び部材空洞部11には液体混合物25は
入り込んでいない。又、部材固定用突起16と分離部材
固定用凹部19とは嵌合状態となっていて、分離部材9
は上部容器開口部18に固定されていることが示されて
いる。分離シート12は分離部材9の端部上面14aの
上に載っているところが示されている。
【0021】ここで、遠心力場での分離部材9の重力と
浮力の関係について述べる。遠心力場での分離部材の下
向きの力F(=重力と浮力の合計)は次の様に表わせ
る。
【0022】
【数1】F=F1+F2−FB
【0023】ここで、数1の中の文字の意味は次の通り
である。 F1:分離部材9の構成要素である、部材本体10、部
材首部13、流体落停止端部14、部材下部15及び分
離シート12の遠心力場での重力の合計である。 F2:部材空洞部11内に浸入する液体の遠心力場での
重力であり。遠心力に基づく液体の圧力により、浸入す
る液体の量は変動する。 FB::分離部材9の構成要素の内、液体に埋没してい
る部分の遠心力場での浮力であるが、部材空洞部11の
体積も含む。但し、下部容器23の空間に開放されてい
る部分の浮力は生じないものとする。 ここで、物体の遠心力場での重力F0は、物体を円柱状
とすると、円柱の軸が遠心機の回転の中心と物体の重心
とを結ぶ線と一致するとして、次の様に表わせる。
【0024】
【数2】F0=0.5x(G1+G2)xS1xdx
(L2−L1)
【0025】ここで、遠心機の回転の中心と物体の上面
との距離をL1、遠心力をG1とし、遠心機の回転の中
心と物体の下面との距離をL2、遠心力をG2とし、物
体の断面積をS1、物体の比重をdとする。又、液中の
物体の遠心力場での浮力FBは、物体の形状と遠心機の
位置関係を上述の重力の場合と同じとし、物体の下面の
面積のうちS2の面積が下部容器の気相に曝されている
とすると、次の様に表わせる。
【0026】
【数3】FB=P2x(S1−S2)−P1xS1
【0027】ここで、物体の上面での液深さでの液体の
圧力をP1とし、物体の下面の位置での液体の圧力をP
2とする。又、遠心力場での液体中の圧力Pは、液体の
比重をdliq、液体の深さをh、深さhでの遠心力を
G、遠心機の回転の中心と深さhとの距離をLとし、液
面上の圧力をP0とすると、次の様に表わせる。
【0028】
【数4】P=0.5xGxdliqxhx(1−((L
−h)/L)**2)+P0
【0029】分離部材9が液体に埋没していれば、遠心
力により部材空洞部11の気相(通常の場合、空気であ
る)は圧縮されるが、圧縮の程度は液体の比重、深さ及
び遠心機の回転速度に影響される。液体の比重と液体の
深さを一定とすると、遠心機の回転数が大きくなるにつ
れ圧縮の程度が大きくなる。従って、部材空洞部11に
入り込む液体も多くなる。そのため回転数が大きくなる
につれ、部材空洞部内の液体の遠心力場での重力の上昇
の程度は、体積が固定している分離部材9の構成成分
(分離部材本体10、部材首部13、液体流下停止端部
14、部材下部15、及び分離シート12)や浮力の上
昇の程度より大きくなる。従って、分離部材9の形状と
比重及び部材空洞部11の大きさを適正に選択すること
により、遠心機の回転数が低い時には、分離部材9の重
力と浮力の合計がマイナスであっても、回転数が高くな
ると、プラスに転ずることが可能となる。このことによ
り、分離部材9の重力と浮力の合計値が一定の値以上に
達したら、分離部材9が固定個所より外れる様な設計を
行うことが可能となる。
【0030】図3には、遠心分離が進み、液体混合物の
分離がある程度進んだ状態の図3(a)と、遠心分離が
更に進み遠心力が設定値に近くなり(例えば、設定値が
1000gの場合、遠心力が1000gに近くまで上昇
したこと)、分離部材9の遠心力場での重力が浮力に打
ち勝ち、下向きの力となり、この下向きの力により分離
部材9の部材固定用突起16が上部容器17の分離部材
固定用凹部19から外れたところが図3(b)に示され
ている。
【0031】図3(a)では、遠心操作が進み、ある程
度分離が進んだ状態であり、完全ではないが、液体混合
物25は比重の小さい軽液29と比重の大きい重液30
に分離される。又、遠心力により上部隙間26と下部隙
間27と開口部隙間28は重液30で満たされる。更
に、遠心力により生じた部材空洞部11周辺の下部隙間
27に充満している重液30の圧力により部材空洞部1
1は圧縮され、重液30は分離部材空洞部11の内部を
圧力が平衡するまで上昇し、空洞部内液体31を生じ
る。分離シート12は比重を軽液29の比重と重液30
の比重の中間に選定してあるので、下部隙間27の液体
(=重液30)中に存在しているのであり、浮力により
浮上しようとして部材本体下端面10aと接するように
なる。しかし、部材本体下端面10a平滑面でなく、凹
凸状や溝をつけたりして、部材空洞部11への液体の出
入りは拘束を受けない。図3(a)の段階での遠心力で
は、分離部材9の下向きの力は、分離部材9と上部容器
17のとの嵌合を外すまでには至ってない。
【0032】図3(b)では、更に遠心が進み、遠心力
が設定値に達した時点の状態を示している。部材空洞部
11の気相の圧縮が最大となり、空洞部内液体31は最
大量となる。分離部材9の下向きの力がプラスに転じ、
遠心力が設定値に達する前に、分離部材9が上部容器1
7との嵌合個所より外れる。即ち、分離部材9の部材固
定用突起16が上部容器17の分離部材固定用凹部19
より外れ、分離部材9は下方へ移動するが、液体流下停
止端部14が上部容器17の部材接触面21と接触し、
分離部材9の移動は停止し安定する。又、この時端部下
面14bと部材接触面21は平滑面同志の接触であり、
かつ遠心力が大きく、分離部材9に下向きの力が働いて
いるので、両者の接触は押し付け合う様な状態であり、
重液30が漏れ出すことはない。分離シート12は、比
重が、軽液29と重液30の比重の中間であるので、下
部隙間27で浮いた状態となっている。上述の状態で設
定遠心力で、設定時間遠心分離が行われ、充分な分離が
行われる。
【0033】図4は、充分な遠心分離が行われ、遠心操
作の終了段階に移り、遠心力が減少する段階が示されて
いる。
【0034】図4(a)は、遠心操作の終了段階で、遠
心力が減少し、部材空洞部11の気相の圧縮度が減少
し、空洞部内液体31の液量が減少する。即ち、部材空
洞部11の液深さは、図3(b)よりも図4(a)のほ
うが小さくなる。従って、遠心力場での分離部材9の重
力の減少する割合の方が、浮力の減少する割合より大き
くなる。したがって分離部材9に上向きの力が働くよう
になり、分離部材9は上方へ移動するが、部材固定用突
起上面16aが上部容器開口部端面18aぶつかり、移
動が停止する。部材固定用突起上面16aには、放射状
の溝や凹凸の突起が設けられていて、上部容器開口部端
面18aとぶつかっても、平滑面同志の密着ではないの
で、液体の流出は可能である。分離シート12の廻りの
液体は重液30であり、分離シート12は浮上して、部
材本体下端面10aと接触している。この様にして、重
液30は上部容器17より、上部隙間26、下部隙間2
7、開口部隙間28を通り、流出液32となって下部容
器23へ流出を開始する。遠心力が減少しながら重液3
0は流出するが、軽液29と重液30の界面33は、遠
心力が作用している状態なので、乱されることなく、重
液30の流出とともに下方へ移動していく。重液30の
流出により、重液30がほとんどなくなり、軽液29が
上部隙間26、下部隙間27、開口部隙間28を通り、
下部容器23へ流出しようとするが、軽液29が分離部
材9の周囲へ存在すると、分離部材9の遠心場での浮力
は周囲が重液の場合より小さくなり、分離部材9の下向
きの力が上昇し、プラスに転じれば、分離部材9が下方
へ動き、液体流下停止端部14の端部下面14bが上部
容器17の部材接触面21と接触し、液の流れが停止
し、軽液29と重液30の分離を完了することが可能で
ある。しかしながら、分離部材9の周囲の液体が重液3
0から軽液29へ置換されると、分離部材9の下向きの
力がプラスに転ずる様に設計するのは、分離すべき液量
にも関係してくるので、設計の条件の幅が狭くなる。そ
こで使用範囲をより広くするためは、分離部材9の周囲
の液が重液より軽液に置換されたら、分離部材9の下向
きの力がマイナスの場合でも、液体の流出を停止させる
ために、分離すべき2液の比重の中間の比重を持つ分離
シート12を分離部材9に保持させることが効果的であ
る。
【0035】図4(b)は、重液30の流出が完了し、
分離部材9の周囲の隙間に軽液29が充満し、特に、下
部隙間27には軽液29が充満し、軽液29の比重より
大きい比重を有する分離シート12が沈降し、分離部材
9の端部上面14aと上部容器17のシート接触面21
aの両者の上に載った状態となり、液体が流出するのを
停止する。この時、端部上面14aとシート接触面21
aは段差がなく水平であることが必要である。このよう
にして、遠心分離された2つの液体は別々の容器に分け
た状態で得られたことになる。
【0036】図5により、本実施例1分離操作の挙動を
図でもって説明する。図5には遠心の開始以後の時間経
過に従って、回転速度の変化、分離部材の動作、液体の
流れ及び部材に働く力の変化が示されている。簡略化の
ため、変化が直線でない部分も直線で描いた。
【0037】図5の最下段には、遠心時間の経過と回転
速度の関係が示されている。遠心開始後より回転速度は
上昇し、t2時間経過後に設定遠心力に相当する回転速
度R2に到達する。設定遠心力でt3時間まで遠心が継
続される。t3での回転速度はR3であるが、通常R2
とR3は等しい様に運転される。t3−t2の時間が分
離に必要な設定時間である。t3で分離が完了し、遠心
機は減速し、t6時間で停止する。遠心時間と回転速度
の関係は、回転速度の上昇と下降を直線で近似すると概
略台形で示される。
【0038】図5の中段には、遠心時間の経過に伴う分
離部材に働く力(遠心力による分離部材の重力と方向を
考慮した浮力の合計)の変化を示す。ポイントP0は遠
心開始点であり、この時の遠心力による分離部材に働く
力はF0で示されるが、この時点では遠心力による力は
発生してないので、F0=0である。遠心が進むと共
に、部材空洞部の液体の体積が重力に寄与するので、遠
心力が小さい段階では、分離部材に働く力はマイナスの
状態で、ポイントP1に至るが、その後遠心力が高くな
るにつれて、部材空洞部内へ液体が入り込み分離部材の
重力が増加するので、プラスに転じる。更に遠心力が上
昇していくと、分離部材に働く力が、分離部材と上部容
器の嵌合機構を外すまでに至る。このポイントがP2で
あり、この時の力がF2であり、この時の遠心時間はt
1である。遠心が更に進み、ポイントP3に至り、設定
遠心力となる。この時分離部材に働く力は最大値のF3
となり、この状態がt3時間まで続く。設定時間(=t
3−t2)の遠心が終わると、回転数が減少し始める。
回転数の減少と共に分離部材に働く力も減少し、P5の
ポイントに至り、0になる。P5以降分離部材に働く力
はマイナスになり、分離部材は浮上し始め、比重の大き
い重液が上部容器の開口部より流出を開始する。重液が
流出し始めると、分離容器内の液面が下がるが、液面が
下がる事により液体に接している分離部材の上面と下端
(=部材本体下端面)の遠心力場での、圧力の比は、液
体の深さが小さい方が大きくなる事、及び分離容器内の
液面が下がると、部材空洞部内の気相が膨張し部材空洞
部の重力が小さくなる事の2点より、分離部材の浮力が
増大し、分離部材に働くマイナスの値は更に大きくなり
P6のポイントに至る。P6のポイントは分離部材の重
液層が無くなったポイントである。P6以降は分離部材
の廻りの液体が重液より軽液へと置換される過程であ
り、この過程では、分離部材と分離容器の間の隙間の容
積が小さく分離容器内の液面の減少が無視できるとする
ならば、分離部材廻りの液体の平均比重は重液より軽液
へと置換されるに従い小さくなり分離部材の浮力は小さ
くなるので、分離部材の重力と浮力の合計は増加するこ
とになる。この増加は分離部材の廻りの液体が全量軽液
に置換されるまで続くが、全量軽液に置換されたポイン
トがP7であり、この時の力がF5で示されている。F
5がプラスであれば、分離部材が沈降しようとして、液
体流下防止端部が上部容器の開口部を塞ぎ、軽液の流出
は出来なくなる。しかるに、P7のポイントでプラスと
なる様な分離部材の設計は設計条件が複雑となるので、
重液と軽液の中間の比重を持つ分離シートを使う事によ
り、上部容器の開口部を塞ぐのが効果的である。分離シ
ートを使うことにより、P7ポイント以降液体の流出無
しに遠心機の停止するP8ポイントに至り、分離操作が
終わる、
【0039】図5の上段では、遠心時間の経過ととも
に、分離操作がどの様に進むかが示されている。図5の
上段のA,B,C,Dの意味は次の通りである。 A:分離部材と上部容器との嵌合機構が外れている区間 B:液体流下防止端部が上部容器の開口部を塞いでいる
区間 C:分離シートが上部容器の開口部と分離部材の隙間を
塞いでいる区間 D:液体(重液)が流出する区間
【0040】以上述べた様に、本実施例によれば、相互
に溶け合わない比重の異なる液体の混合物を遠心分離に
より、充分分離した後遠心操作の終了段階の遠心力が減
少する段階において、被分離液の比重の大きい方の液体
を下部容器に移し、比重の小さい方の液体を上部容器に
残留させることが出来る。なお、本実施例は、本発明の
実施例の1つの例であり、本発明が上述の実施例に限定
されるものではない。
【0041】実施例1の被分離液体は、相互に溶け合わ
ない比重の異なる2液の混合物であったが、本発明の適
用は上記液体混合物に限定されるものでなく、分離され
た液体が、比重が連続して変化するような被分離液であ
っても、分離シートの比重を上記連続して変化する比重
の任意の中間の比重として、本発明の分離部材を併用す
ることにより、上記任意の比重のところで液体を分離で
きる。
【0042】又、本発明の分離部材の使用方法として、
分離部材と分離容器をある特定の液体混合物の分離に、
設計・製作しても、分離シートの比重を変えることによ
り、上記特定の液体混合物以外の液体の分離にも適用で
きるという長所を有する。
【0043】なお、本発明の分離部材の材質は成形が容
易なプラスチックがよく、成形体も一体化の分離部材で
もよいが、形状が複雑な場合は予め複数個の部品を作っ
ておき、組み立てることにより分離部材となすことも出
来る。
【0044】
【実験例】実施例1の分離容器と分離部材を使用して、
比重0.92の菜種油と水(比重1.0)を等量づつ混
合した混合物を遠心分離した場合について述べる。図6
に分離部材と分離容器の寸法及び遠心分離機の回転の中
心からの距離について記す。なお、図6を見やすくする
ため、横方向の尺度を縦方向の尺度よりも緩くしてあ
る。 L1:遠心機の回転の中心34と分離容器8の底部との
距離であり、13.5cm L2:分離容器8の全長であり、10.0cm L3::分離容器8の上端と分離部材9の上端の距離で
あり、5.0cm L4:部材本体10の高さであり、1.0cm L5:部材首部13、液体流下停止端部14及び部材下
部15合計の高さであり、1.0cm L6:分離容器8のうちの下部容器23の有効長さであ
り、3.0cm L7:部材空洞部11の高さであり、0.8cm L8:部材本体下端面10aと端部上面14aとの距離
であり、0.2cm L9:分離シート12の厚みであり、0.1cm L10:液体混合物25の液深さであり、4.0cm D1:上部容器17の内径であり、1.3cm D2:分離部材9の外径であり、1.2cm D3:部材下部15の外径であり、0.3cm D4:上部容器17の開口部の内径であり、0.35c
m D5:部材固定用突起の外径であり、4.0cm S::部材空洞部11の断面積であり、0.45cm2 又、分離部材9の材質はポリプロピレン製とし、比重は
0.9である。分離シート12は、天然ゴムに無機質を
混入して、菜種油と水の中間の比重の0.96に比重調
整されたものを使用した。菜種油と水の分離は易しく、
遠心分離では容易に分離される混合物だが、本発明を効
果的に説明するために用いた。
【0045】遠心条件は、3000rpm(分離部材底
部での設定遠心力が1000Gに相当)で設定時間5分
とする。遠心中の試験管の内部は観察できないので、遠
心中の分離部材に働く下向きの力(=重力と浮力の合計
を下向きをプラスとして表わす)を、遠心分離の各段階
において求め、その時の分離部材の挙動と液体の分離に
ついて計算で求めた。なお、遠心中の分離部材に働く遠
心力、液体に生ずる圧力及び部材空洞部の気相の圧縮の
程度は、遠心機の回転数、回転の中心からの距離及び分
離部材、液体、分離シートの比重より計算で求めた。
又、上部容器の開口部より下部容器の空間に開放されて
いる部分は、分離部材に液体による浮力が生じないこと
も考慮して計算した。結果を表1に示す。
【0046】
【表1】
【0047】ここで、各順番について説明する。 順番1:遠心分離直後で回転数が500rpmの場合で
あり、分離部材の下向きの力はマイナスであり、実際は
分離部材には上向きの力が働いていることになるが、分
離部材は上部容器との嵌合個所に固定されているので、
動かず、液体の流下もない。 順番2:回転数が1000rpmに上昇するが、まだ部
材の下向きの力はマイナスである。液体の分離が進んで
いる過程と考えられる。 順番3:回転数が更に進み2000rpmの場合であ
り、遠心力の増大により、部材空洞部の気相の圧縮が進
み、そのため部材空洞部への液体の浸入が進み、従って
分離部材の遠心力場での見かけの重力が増大し、分離部
材の下向きの力がプラスになっている。: 順番4:分離部材の下向きの力が分離部材の嵌合いの力
より勝り、分離部材が外れる。しかし分離部材の液体流
下停止端部と上部容器の部材接触面が接触し、液体の流
下はない。 順番5:設定条件(3000rpmx5分)で遠心分離
が行われ、液体の分離が完了する。 順番6::遠心分離の終了段階であり、回転数が減少す
る。1100rpmで分離部材の下向きの力が0にな
り、分離部材が浮き上がり、重液の水が下部容器へ流出
を開始する。 順番7::回転数が減少しながら、重液(水)の流出が
続き、分離部材の周囲に軽液(菜種油)が充満するよう
になり、分離部材の下向きの力が−3.4gとマイナス
であるが、分離シートの比重が軽液より大きいので、下
部隙間の中を沈降し、分離部材と上部容器の隙間を塞ぐ
ようになり、軽液の流出は出来なくなる。この時の回転
数は1000rpmである。但し、液体の流出の停止の
回転数は液体の流出速度に関係しているのであり、流出
が早い場合は1100rpmから1000rpmまで下
がらないうちに重液流出が完了してしまうが、本発明の
実験例の計算値として1000rpmとした。 順番8:分離操作が終了し、回転数が0になる。この時
でも、分離シートが分離部材と上部容器の隙間を塞いで
いるので、軽液の流出はない。 ここで、順番2(回転数1000rpm)と順番7(1
000rpm)では同じ回転数でも分離部材に働く下向
きの力が異なるのは、順番7は重液(水)が流出したの
で分離部材の上の液体の深さが重液分だけ減少している
こと、分離部材の周囲が軽液(菜種油)に置換されてい
ること、部材空洞部へ浸入している液体の量が減少して
いること、及び分離部材が嵌合個所から外れているので
遠心機の回転の中心からの距離が若干増加していること
等が影響しているからである。なお、実際の遠心分離の
結果は、菜種油と水の分離は完全であり、水が全量下部
容器の方に移り、菜種油は上部容器の方へ残っていた。
この実験結果より遠心分離の途中の挙動は観察出来ない
が、上に示す計算結果と実際の挙動は近いものと考えら
れる。
【0048】又、上の実験例では、順番7で、重液の流
出が完了しても、分離部材に働く下向きの力が、−3.
4gとマイナスであり、軽液も下部容器へ流出しようと
するが、分離シートが分離部材と上部容器の開口部の隙
間を塞ぎ、軽液の流出は不可能となる。
【0049】
【実施例2】請求項4の実施例であり、図7に示す。実
施例2では、分離容器を2つに分割せず、通常の試験管
の様な管を用いる。以下図7で説明する。図7におい
て、分離容器8は円筒状の細長い管である。分離部材9
は斜線を施した収納部材35に収納された形で、分離容
器8へ挿入する。分離部材9と収納部材35を分離容器
8の所定の場所に固定するには、分離容器8の内壁に段
差を設けてもよいし、内径の変化、即ち、分離容器8の
上端と下端では内径が異なる、いわゆるテーパーを利用
してもよい。図7の分離容器8には、段差36を設けて
段差36より下の分離容器8の内径を小さくした例が示
されている。本実施例での分離部材は実施例1の分離部
材と類似のタイプであり、その働きも同様であり、説明
は省略する。
【0050】
【発明の効果】以上説明した様に、本発明の分離容器と
分離部材によれば、請求項1乃至2記載の分離部材と分
離容器を使用することにより、所定の遠心力で所定の時
間遠心分離を行った後に、遠心分離機の回転数が減少す
る段階で比重の大きい重液を下部容器に流出させること
が出来るので、極めて理想的な遠心分離が可能となる。
更に、従来遠心分離された液体は別々の容器に移す必要
があったが、本発明によれば、分離された液体は遠心分
離完了とともに既に上部容器と下部容器に分離されてい
るので、作業の手間とミスを軽減することが可能とな
る。
【0051】又、請求項3記載の分離シートを併用する
ことにより、重液の下部容器への流出が完了した時点
で、分離部材に働く下向きの力がマイナスであっても比
重の小さい軽液の下部容器への流出を防げるので操作範
囲が幅広くとれ応用も広い。
【0052】又、請求項4記載の分離部材と収納部材及
び分離容器では、1つの容器の中で空間を隔てて分離さ
れた液体を保持できるというメリットが有る。
【0053】又、請求項7記載の様に、分離すべき液体
は、、相互に溶け合わない比重のことなる液体の混合物
だけでなく、分離された液体の比重が連続して変化する
液体であっても、分離シートの比重を上記連続して変化
する比重の任意の中間の比重とすることにより上記液体
の分離に適用できる。
【0054】又、本発明の分離容器と分離シートを保持
した分離部材の使用方法として、分離シートの比重を変
えることにより、種々の液体の分離に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1の分離容器と分離部材及び組
立体の縦断面図である。
【図2】本発明の実施例1の説明図である。
【図3】本発明の実施例1の説明図である。
【図4】本発明の実施例1の説明図である。
【図5】本発明の実施例1の分離操作の挙動の説明図で
ある。
【図6】本発明の実施例1の実験例の分離部材と分離容
器の寸法説明図である。
【図7】本発明の実施例2の説明図である。
【図8】従来例である。
【符号の説明】
1‥‥血清分離剤 21‥
‥部材接触面 2‥‥採血管 21a
‥‥シート接触面 3‥‥全血 22‥
‥上部容器接合部 4‥‥血清 23‥
‥下部容器 5‥‥血餅 24‥
‥下部容器接合部 6‥‥血清・血餅混在相 25‥
‥混合液体 7‥‥隔壁 26‥
‥上部隙間 8‥‥分離容器 27‥
‥下部隙間 9‥‥分離部材 28‥
‥開口部隙間 10‥‥分離部材本体 29‥
‥軽液 10a‥‥部材本体下端面 30‥
‥重液 11‥‥部材空洞部 31‥
‥空洞部内液体 12‥‥分離シート 32‥
‥流出液 13‥‥部材首部 33‥
‥界面 14‥‥液体流下停止端部 34‥
‥遠心機の回転の中心 14a‥‥端部上面 35‥
‥収納部材 14b‥‥端部下面 36‥
‥段差 15‥‥部材下部 16‥‥部材固定用突起 16a‥‥部材固定用突起上面 17‥‥上部容器 18‥‥上部容器開口部 18a‥‥上部容器開口部端面 19‥‥分離部材固定用凹部 20‥‥穴

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】相互に溶け合わない比重の異なる液体混合
    物を遠心分離により、各々の液体に分離する、分離容器
    と分離部材であって、上記分離容器は、上記液体混合物
    を収納し、遠心分離し、分離された液体を流出する穴を
    有する開口部を底部に有する上部容器と、上記上部容器
    の底部に接続され、上記開口部より流出する液体を貯溜
    する下部容器より構成され、上記分離部材は、下部が上
    記開口部に挿入され、下方に開放する空洞部分を有し、
    上記分離容器と上記分離部材とは、上記上部容器の底部
    に上記分離部材を固定し、液体の流出を防止する嵌合機
    構を有し、上記嵌合機構は、遠心場での上記分離部材の
    重力と浮力の合計値がプラスの一定値以上で外れる特徴
    を有し、上記嵌合機構が外れた後でも、遠心力場での上
    記分離部材の重力と浮力の合計値がプラスの一定値以上
    では、液体が上記上部容器より上記下部容器に流出しな
    い様な液体流下防止端部を、上記分離部材にもうけるこ
    とを特徴とする分離容器と分離部材。
  2. 【請求項2】上記液体流下防止端部は、上記上部容器の
    開口部と、上記開口部へ挿入される上記分離部材の下部
    とにより生じる隙間を塞ぐことを特徴とする液体流下防
    止端部。
  3. 【請求項3】分離すべき2つの液体の比重の中間の比重
    を有し、更に、ゴム弾性を有するドーナツ状の分離シー
    トを保持する分離部材であって、上記分離部材の上記空
    洞部分と上記液体流下防止端部との間の部材首部に、上
    記ドーナツ状分離シートの開口部を、上下方向に自由に
    移動可能の状態で差し込むことにより、遠心力場での上
    記分離部材に働く重力と浮力の合計値がマイナスとな
    り、液体が上記下部容器に流出している場合でも、分離
    された重液が全量上記下部容器へ流出し、軽液が上記下
    部容器へ流出する直前に軽液の流出を防ぐことを可能と
    する分離シートを保持する分離部材。
  4. 【請求項4】請求項1乃至3記載の分離部材と、上記分
    離部材を収納する収納部材と、上記収納部材を挿入する
    円筒状の分離容器であって、上記収納部材は、上記上部
    容器の嵌合個所を含む部分と同じとし、上記分離容器の
    内側には、上記収納部材を固定するための段差又は、内
    径に変化を持たせたことを特徴とする、分離部材と収納
    部材及び分離容器。
  5. 【請求項5】請求項1乃至3記載の分離部材分及び分離
    容器を用いた遠心分離方法。
  6. 【請求項6】請求項4記載の分離部材と収納部材及び分
    離容器を用いた遠心分離方法。
  7. 【請求項7】請求項3記載の分離シートを保持する分離
    部材を用いた遠心分離方法において、分離された液体
    が、比重が連続して変化する場合であって、上記分離シ
    ートの比重を、上記連続して変化する比重の任意の中間
    の比重とする遠心分離方法。
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