JPH11314011A - 分離部材及び分離方法 - Google Patents

分離部材及び分離方法

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JPH11314011A
JPH11314011A JP10159795A JP15979598A JPH11314011A JP H11314011 A JPH11314011 A JP H11314011A JP 10159795 A JP10159795 A JP 10159795A JP 15979598 A JP15979598 A JP 15979598A JP H11314011 A JPH11314011 A JP H11314011A
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JP
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separation
specific gravity
cavity
separation member
liquid
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JP10159795A
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Toshimasa Yamamoto
俊昌 山本
Kikuko Yamamoto
紀久子 山本
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Abstract

(57)【要約】 【構成】本発明の分離部材および分離方法は、下方が開
放状態の空洞部を有する部材本体と、空洞部に嵌合う状
態で挿入されている逆流防止機構と、部材本体を覆う概
略円筒状であってゴム弾性の外筒より構成されている分
離部材および該分離部材を使用する分離方法に関する発
明であり、該分離方法としては、加圧比重分離や遠心分
離方法が挙げられる。 【効果】この分離部材及び該分離部材を使用した分離方
法によれば、分離操作が終了直前に、つまり分離が完了
した後に、強固な隔壁を形成されるので、精度よい分離
が可能であり、純度の高い成分が選られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は相互に溶け合わない、比
重の異なる2つ以上の液体同士または液体と固体の混合
物を、比重差を利用する比重分離、又は、遠心力を利用
する遠心分離法により各成分に分離する際に使用する分
離部材及びこの分離部材を使用した分離方法に関する。
【0002】
【従来の技術】相互に溶け合わない2つ以上の液体同士
または液体と固体との混合物を各成分に分離するには、
各成分の比重差を利用して分離している。従来法として
は、混合物を試験管等の容器に入れ、一定時間自然放置
して重力に基づく比重分離を行い、しかるのちにピペッ
ト等を利用して目的とする成分を取り出す方法や、また
は自然放置の時間を短縮したり成分間の境界をはっきり
させるために遠心力を利用する方法などがある。遠心分
離後も目的成分を採取するためにはピペットなどを利用
して慎重に取り出す必要がある。目的の成分を簡単に取
り出す方法として、例えば血液検査では、血液検体を遠
心分離操作により血清と血餅に分離する際にチクソトロ
ピー性を有する血清分離剤や、血液分離部材を使用する
方法がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
方法には次に示すような幾つかの欠点があった。すなわ
ち、 相互に溶け合わない液体と液体または液体と固体の混
合物を、自然放置して重力分離させた後に、目的の成分
のみをピペット等の器具で採取するのは、液体を攪拌し
ない様に慎重に行う必要があり、面倒な作業が必要であ
った。 比重分離を遠心力により、短時間に達成するのは効率
がよいが、終了後目的の成分をピペット等の器具で採取
するのは同様慎重さが必要であり面倒であった。 遠心力による比重分離の場合、臨床検査の血液検査で
用いられるチクソトロピー性で粘性を有する血清分離剤
を使用すると、遠心後に血清を取り出すとき血清分離剤
により血清と血餅の境界に隔壁が出来ていて、簡単に血
清を取り出すことかできる。しかしながら、血清分離剤
は低分子量で粘性の合成樹脂が主成分でありかつ種々の
薬品が混合された混合物であり、遠心分離時に流動化し
血液と接触しながら採血管内を移動するため、血清分離
剤と血液との間での成分の移動や化学変化など何らかの
物理的及び化学的な変化を生じ、血液検査値にバラツキ
を生じる恐れがある。又、経時変化による物性の変化
(例えば粘度の変化)や化学変化(例えば酸化等)が懸
念される。更に、チクソトロピー性のため遠心分離時に
流動化するが、流動化が早すぎると完全に血清と血餅の
分離が完了しない内に血清分離剤の隔壁が出来てしま
い、完全な分離が得られない場合ががある。図5には血
清分離剤を使った血清と血餅の分離が描かれている。図
5(a)には予め血清分離剤1が入れてある採血管2に
全血3が注入されたところが示されている。図5(b)
には全血3が入った採血管2を一定時間自然放置し、血
液凝固が完了し、血清4と血餅5が生成しているところ
を示している。図5(c)には血液凝固が完了した採血
管2を遠心分離にかけ、血清分離剤1が流動性を発揮
し、血清4と血餅5の境界付近に移動しているところを
示している。しかし、この時点では、血液凝固は完了し
ているが、微細な血餅の粒は遠心分離による沈降が遅
く、血清4と血餅5が混在する血清・血餅混在相6が存
在しているので、血清分離剤1の流動化が早いと、血清
・血餅混在相6の下に隔壁を形成する可能性がある。図
5(d)には、設定遠心力で設定時間経過して、血清分
離剤1による隔壁7が形成され、血清4と血餅5を分離
しているところを示している。しかしながら、血清・血
餅混在相6の下で隔壁7が形成されているならば、 隔
壁7の上に若干の血餅5が載っている可能性があり、血
清4による分析に悪影響を及ぼす可能性が考えられる。 又、血清分離剤でなく、採血管の内径より僅か大きい
径を有する円板状のシートを有する、ゴムの様な弾性体
で構成された血液分離部材もあるが、遠心力で部材が血
清と血餅の境界に確実に到達するのが難しい。血清と血
餅の境界で隔壁を構成しても部材の上に重い成分の血餅
が載る場合かある。隔壁を通して検査対象とする分析項
目(例えばカリウム等)が、時間経過で移行する恐れが
ある等の欠点がある。
【0004】本発明は、上記事情に鑑み為されたもので
あり、相互に溶け合わない比重の異なる2つの液相同志
の混合物あるいは液相と固相の混合物を比重分離や遠心
分離等で各々の相に分離した後に、各々の相の境界に強
固な隔壁を作ることを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】かかる課題は、完全に分
離が為された後に強固な隔壁を設けることにより解決出
来る。即ち、相互に溶け合わない比重の異なる2つの液
相同志の混合物あるいは液相と固相の混合物を各々の相
に分離する分離部材において、該分離部材は下方が開放
している同心円状の空洞部を有する部材本体と、該空洞
部に嵌合う状態で挿入されている逆流防止機構と、ゴム
弾性を有し、加圧気体により膨張しやすい概略円筒状で
あって該部材本体を覆う外筒より構成されていて、該部
材本体には該空洞部から該部材本体と該外筒との境界に
通ずる1つ以上の貫通口を有する請求項1記載の分離部
材を使用することにより、解決される。
【0006】また、請求項1記載の分離部材を相互に溶
け合わない比重の異なる2つの液相同志の混合物あるい
は液相と固相の混合物の入った、内径が該分離部材の外
径よりも大きい密閉可能な筒状容器に挿入し、静置など
の方法により該混合物が比重の異なる2つの相に分離し
た後に、該筒状容器を密閉し、しかる後に、該筒状容器
の気相部分を加圧することにより、該分離部材の空洞部
の気相は圧縮されるので、該空洞部の圧縮された体積を
含めた見かけ比重は増加するが、該分離部材の見かけ比
重を2つの相の比重の中間となる様に加圧力を設定する
ことにより、該分離部材が沈降し2つの相の境界に達し
た後、沈降が停止する。しかる後、該気相の加圧を解除
することにより、該空洞部の圧縮された気相の膨張を、
該部材本体の貫通口より外筒と該部材本体との境界に導
入し、該外筒を膨張させることにより、該分離部材の横
方向の断面積を増大させ、比重の異なる2つの相の隔壁
となす請求項2記載の加圧比重分離方法により解決され
る。
【0007】また、請求項2記載の加圧比重分離方法に
おいて、密閉容器内部の気相の圧力を任意に変化させる
ことにより、該分離部材の見かけの比重を変化させ、液
中の沈降速度を任意に変えることを可能とする請求項3
の加圧比重分離方法の制御方法により、微調整が出来
る。
【0008】また、請求項1記載の分離部材を、相互に
溶け合わない比重の異なる2つの液相同志の混合物ある
いは液相と固相との混合物の入った、内径が該分離部材
の外径よりも若干大きい有底の筒状容器に、上方より挿
入し、該筒状容器を遠心分離にかけることにより、該分
離部材及び該混合物に遠心力が発生し、該分離部材の空
洞部の気相が圧縮されるので、該分離部材の空洞部の圧
縮された体積を含めた該分離部材見かけの比重が増加す
るが、遠心時の該分離部材の見かけ比重を2つの相の比
重の中間となる様に遠心力を設定することにより、遠心
力により該分離部材が沈降を開始し、2つの相の境界に
達し、沈降を停止し、分離が完了した後、遠心分離操作
を解除し、該空洞部の圧縮された気相の膨張を、部材本
体の貫通口より外筒と部材本体の間に導入し、該外筒を
膨張させることにより、該分離部材の横方向の断面積を
増大させ、比重の異なる2つの相の隔壁とする請求項4
の遠心分離方法により解決される。
【0009】また、請求項1の分離部材において、該分
離部材を構成する材料の比重と空洞部の体積を含めた該
分離部材の見かけ比重を、分離しようとする混合物のう
ちの比重の小さい方の値よりも小さくする請求項5の分
離部材により解決される。
【0010】また、請求項1の逆流防止機構を、ゴム弾
性材料により製作し、上部を上面が湾曲又は凹んだシー
ト状円板とし、下部を下方が開放している同心円状の空
洞部を有する半円筒状部分とし、該上部のシート状部分
と該下部の半円筒状部分は中心部において、細い首で繋
がっていて、該シート状部分の裏側と該半円筒状部分の
空洞部とは1個乃至2個以上の貫通口で繋がっていて、
該シートの径は請求項1の分離部材の空洞部の内径より
僅か大とし、該円筒状部分の外径は該分離部材の空洞部
の内径と等しいか僅か大とする請求項6の逆流防止機構
により、上記課題をより効果的に解決できる。
【0011】
【作用】本発明の分離部材は、上述したように、分離部
材の下部に下方が開放の空洞部を設け、空洞部内の気相
の圧縮により、分離部材の見かけ比重を、2つの被分離
物の比重の中間となるように、分離部材の比重と体積及
び空洞部の体積を選定した分離部材なので、分離操作が
完了して被分離物が各相に分離した後に2つの相の境界
に移動して隔壁を設けることが可能となるので、良好な
分離物が選られる。
【0012】又、分離部材を、被分離液体の入った、内
径が分離部材の外径よりも若干大きい密閉可能な筒状容
器に挿入し、被分離液体が各々の液体に分離した後、該
容器内の気相部分を加圧し、気圧の上昇と共に容器内の
被分離液体の圧力も増加し、逆流防止機構を通り被分離
液体が空洞部に入り込み空洞部の気圧が上昇し、空洞部
の気相の体積は減少する。従って、分離部材の見かけ比
重は増加するが、設定された加圧圧力での分離部材の見
かけ比重を、2つの被分離液体の比重の中間になるよう
に設定しておけば分離部材は液中を沈降し、2つの相の
境界に達し停止する。しかる後に、該容器内の気相の加
圧を解除すると、分離部材の空洞部の圧縮された気相は
元に戻ろうとするが、空洞部の下部にある逆流防止機構
により、空洞部の気相の体積は減少したままとなり、膨
張しようとする気相は、分離部材の部材本体にある貫通
口を通って、部材本体と外筒の間に入り込み、外筒を膨
らませる。この事により、外筒部分の横方向の断面積が
大きくなり、2つの相の隔壁となる。上述した分離部材
の作用を加圧比重分離に適用する事により、良好な分離
が可能となる。
【0013】また、本発明の分離部材を使用した加圧比
重分離方法では、容器内の気相の圧力を任意に変化させ
る事により、分離部材の見かけ比重を任意に変えられる
ので、例えば、分離部材の液中での沈降速度の微調整が
可能となる等の、加圧比重分離の制御が可能となる。
【0014】また、本発明の分離部材を被分離液体の混
合物の入った容器に、上方より挿入した後に、遠心分離
操作にかける事により、遠心力により加圧された被分離
液体は逆流防止機構を通り空洞部内に入り込み、空洞部
内の気相が圧縮され、分離部材の見かけ比重は増加す
る。従って、設定された遠心力において分離部材の見か
け比重が分離しようとする液体の比重の中間の比重とな
るように、分離部材の材料の比重、体積及び空洞部の体
積を予め定めておけば、設定遠心力において、分離部材
は分離された2つの液相の境界に位置するようになる。
この時点では分離部材と容器との間には隙間があり、分
離部材は隔壁となっていないので、設定遠心力の保持時
間を延ばす事により、より精度の高い分離が可能とな
る。充分な分離が選られた後に、遠心力を解除すると、
空洞部内の気相の圧力が元に戻ろうとして膨張するが、
逆流防止機構により空洞部内の気相体積は減少したまま
であり、膨張する気相は部材本体の貫通口を通り、部材
本体と外筒の境界に入り、ゴム弾性の外筒を膨らませ
る。従って、分離部材の横方向の断面積が大きくなり、
容器の内壁を圧するようになり、隔壁を形成する。上記
説明の作用を持つ、本分離部材を遠心分離に適用するこ
とにより、良好な分離が可能となる。
【0015】また、本発明の分離部材において、大気圧
下での空洞部の容積を含めた分離部材の見かけ比重を、
被分離液体の小さい方の比重よりも小さく設定する事に
より、分離操作が始まる前の時点では、分離部材は被分
離液体に浮いた状態となる。従って、分離部材の上に被
分離液体が存在しない状態より分離操作が開始されるの
で、より完全な分離が期待できる。
【0016】また、本発明の分離部材の空洞部に嵌込ま
れている逆流防止機構をゴム弾性体で製作し、上部を上
面が湾曲又は凹んだシート状の円板とし、下部を下方が
開放している同心円状の空洞部を有する半円筒状部分と
し、上部のシート状部分と下部の半円筒状部分は、中心
部が細い首で繋がっていて、シート状部分の裏側と下部
の空洞部とは1個乃至2個以上の貫通口で繋がっている
ので、分離部材の1部又は全部が液中に没し、加圧比重
分離操作又は遠心分離操作などの分離操作により、液体
の圧力が増すと、加圧された液体は逆流防止機構の下部
の空洞部より貫通口を通りシートの下側へ出て、湾曲し
たシートの縁の部分を押し通り抜け、部材本体の空洞部
へ入り込み、既に存在していた気相を圧縮し、気相の圧
力と液体の圧力が平衡するまで気相は圧縮される。この
ようにして空洞部の気相の体積は減少するので、分離部
材の見かけ比重は増加する。見かけ比重が被分離液体の
比重の中間であれば分離部材は沈降し2つの相の境界で
停止する。分離操作を解除すると、液体に働いている圧
力も解消し、空洞部内の圧縮された気相は膨張しようと
して、空洞部へ入り込んだ液相を通してシートを押すこ
とになる。しかしながら、シートは上方へ湾曲している
ので、湾曲面を押すとシート径が大きくなり、空洞部内
壁を圧する様になり、密着度が増大して逆流防止機構を
押し戻す事は出来ない。一方、分離操作が解除されてい
るので、分離部材の周囲の液相の圧力も分離操作前のほ
ぼ大気圧の状態に戻っている。それゆえ空洞内の圧縮さ
れた気相は部材本体の貫通口を通り、部材本体と外筒の
境界に入り込み、ゴム弾性体の外筒を押し広げる。以上
説明した作用は分離部材の隔壁として利用できる。
【0017】
【実施例1】以下実施例を挙げて本発明を説明する。図
1に実施例1の分離部材を示す。分離部材及びその構成
成分は同心円状又は左右対称なので、縦断面図により本
発明を説明する。分離部材11は部材本体12と、流体
の逆止弁の役目をなす逆流防止機構16及び、部材本体
12の外側を覆う円環状の外筒23より構成されてい
る。部材本体12には、下部に下方が開放状態の同心円
状の空洞部13がある。空洞部13の側面には、部材本
体12の外側に通じる複数個の貫通口14がある。図1
は貫通口14が2個対称の位置にある場合を示してい
る。更に、部材本体12の外側表面には外筒23を嵌込
むための、周方向に一巡する凹み15を有している。
又、空洞部13の内壁の下部には、逆流防止機構16の
鍔状突起22bと噛合う凹み22aが設けられている。
【0018】逆流防止機構16は、ゴム弾性の材料より
出来ていて、その上部は上面が湾曲又は凹んだシート部
17となっていて、その下部は下方が開放している逆流
防止空洞部18を有している半円筒状部分19となって
いる。逆流防止機構16の上部と下部はそれぞれの中心
部において細い首20で繋がっている。又、逆流防止空
洞部18とシート部17の裏側とは1個以上の逆流防止
貫通口21で繋がっている。図1では逆流防止貫通口2
1が2個対称の位置にある場合を示している。シート部
17の外径は空洞部13の内径より若干大きくなってい
て、液体などの流体が、シート部17の下側よりシート
部17と空洞部13の内壁との接触個所を通って、シー
ト部17の上方へ通り抜けるのは容易だが、逆に、シー
ト部17の上方にある流体が、シート部17の下側へ通
り抜けるのは、シート部17の周辺部を押し広げるよう
になり、液体の通り抜けが困難な構造になっている。更
に、シート部17の上方の圧力により押されたシート部
17は逆流防止貫通口21を塞ぐ形になり、流体の逆流
をより確実に防ぐ構造となっている。又、逆流防止機構
16の下部の半円筒状部分19と空洞部13の内壁とは
空洞部13の圧力により、逆流防止機構16がスッポ抜
けない様な嵌合部を設けている。嵌合い構造としては、
図1に示す様な逆流防止機構16の半円筒状部分19の
側面に円周部分を一周する鍔状突起22bを設け、空洞
部13の内壁の凹み22aと噛合わせる方法や、ねじ込
み方式や圧入方式などがある。
【0019】外筒23はゴム弾性体より出来ている円環
状の筒であり、上部と下部には外筒肉厚部24があり、
上部と下部の間の外筒中央部25は薄肉となっていて、
内側の圧力が高まると容易に膨張する様になっている。
部材本体12の貫通口14は空洞部13と外筒23の外
筒中央部25の内面とを繋ぐものであり、空洞部13の
圧力が高まると外筒中央部25が膨張する。
【0020】分離部材11には実質的に2つの空間部分
がある。即ち、空洞部13のうち、逆流防止機構16の
シート部17より上部の空間である空洞部空間26及び
逆流防止機構16の下部にある、逆流防止空間27の2
つである。従って、 ●部材本体12の重量をW1、材料の比重をd1 ●逆流防止機構16の重量をW2、材料の比重をd2 ●外筒23の重量をW3、材料の比重をd3 ●空洞部空間26の体積をV1 ●逆流防止空間27の体積をV2 の様に記号化すると、2つの空間体積を含めた、分離部
材11の見かけ比重をdaとすると、da=(W1+W
2+W3)/((W1/d1)+(W2/d2)+(W
3/d3)+V1+V2)で表わせる。部材本体12と
逆流防止機構16の2つの貫通口の空間体積及び逆流防
止機構16の上部のシート部17と下部の半円筒状部分
19との間の空間体積があるが、微少であり、無視して
も見かけ比重daに大きな影響は無い。
【0021】daの値が分離部材11の周囲の液体の比
重よりも小さければ、分離部材11は浮いた状態にな
り、周囲の液体の比重よりも大きければ、分離部材11
は沈む。更に、周囲の液体が、相互に溶け合わない、比
重の異なる2つの液体の混合物であり、2つの液体の境
界面が既に出来ていて、かつ分離部材11の比重daが
2つの液体の比重の中間の値であれば、分離部材11は
2つの液体の境界に位置する。
【0022】又、分離部材11の周囲の液体に圧力をか
けたり、分離部材11と周囲の液体に遠心力をかけるこ
とにより圧力が発生し、空洞部空間26及び逆流防止空
間27を圧縮させることにより、分離部材11の見かけ
比重daを変化させる事が出来る。以上説明したよう
に、本発明の分離部材によれば、部材内部の空間体積を
変化させることによりに見かけ重を変化させる特徴を有
するので、分離操作に極めて効果的に応用出来る。
【0023】上記説明の実施例1は、1つの例であり、
部材本体、逆流防止機構及び外筒は上記の形式に限定し
たわけではない。例えば、部材本体と外筒は材料をゴム
弾性に選定し、一体化に成形することも可能であり、
又、逆流防止機構も他の形の逆止弁でもよい。
【0024】
【設計例】図1の分離部材11の具体的な設計例を図2
に示す。図2(a)には分離部材11の部材本体12の
縦断面図を示す。部材本体12を比重1.4の(ポリエ
チレンテレフタレート(PET)を用い、次に示す寸法
で製作した。 部材本体12の全高さH1=30mm 部材本体12の上部円錐部の高さH2=5mm 部材本体12の胴部の高さH3=1mm 部材本体12の胴部の高さH4=6mm 部材本体12の胴部の高さH5=8mm 部材本体12の胴部の高さH6=6mm 部材本体12の胴部の高さH7=4mm 部材本体12の下部外径D1=12.5mm 部材本体12の上部外径D6=12.5mm 部材本体12の胴部外径D2=10.5mm 部材本体12の胴部外径D3=11.9mm 部材本体12の胴部外径D5=10.5mm 空洞部13の高さH8=25mm 空洞部13の内径D4=8.5mm 貫通口14の内径D7=0.5mm 嵌合部22aの幅H9=1mm 嵌合部22aの部材本体12の下端よりの高さH10=
2mm 嵌合部22aの内径D8=9.5mm 貫通口14は対称の位置に2個設けてある。又、部材本
体12の材料の占める体積は1328mm3であり、空
洞部空間26の体積V1は、空洞部13の全体積より逆
流防止機構16及び逆流防止空間27の体積V2を差引
いた体積であり、453mm3である。
【0025】又、図2(b)に逆流防止機構16の縦断
面図を示す。逆流防止機構16を、硬度45度、比重
0.9のエラストマーを用い、次の寸法で製作した。 半円筒状部分19の高さH11=16mm 逆流防止空間27の高さH12=10mm 首部20の高さH13=0.3mm シート部17の湾曲の深さH14=0.5mm 嵌合部22bの突起と部材本体12の下端との高さH1
5=2mm 嵌合部22bの幅H16=1mm シート部17の外径D9=8.8mm 半円筒状部分19の外径D10=8.5mm 逆流防止空間27の内径D11=4mm 嵌合部22bの突起の外径D12=10mm 首部20の外径D13=2mm 逆流防止貫通口21の内径D14=0.5mm 逆流防止貫通口21は対称の位置に2個設けてある。
又、半円筒状部分19を部材本体12の空洞部13へ圧
入出来る程度の寸法がよく、そのためには、半円筒状部
分19の外径D10は空洞部13の内径D4に等しいか
僅か大とするのがよい。又、シート部17の外径D9
は、本実験例の空洞部13の内径8.5mmに対して
は、0.2mm〜0.5m程度大きい径とするのがよ
く、本実験例では8.8mmとした。逆流防止機構16
の材料が占める体積は838mm3であり、逆流防止空
間27の体積V2は126mm3である。
【0026】又、図2(c)に外筒23の縦断面図を示
す。外筒23を天然ゴム(比重0.93)を用い、次の
寸法で成形した。 外筒23の全高さH17=20mm 外筒23の部分高さH18=6mm 外筒23の部分高さH19=8mm 外筒23の部分高さH20=6mm 外筒23の外径D15=12mm 外筒23の部分内径D16=10mm 外筒23の部分内径D17=11.4mm 外筒23の部分内径D18=10mm 外筒23は部材本体12へ嵌込み、外筒肉厚部24で部
材本体12を締め付けておく必要があり、本実験例で
は、成形時の寸法で、外筒23の寸法を0.5〜1.0
mmだけ部材本体12の嵌込み部分より小さくするのが
よい。外筒23の材料が占める体積は503mm3であ
る。以上の3つの構成成分で構成され、空洞部分の体積
を含めた、分離部材11の見かけ比重da1は、da1
=(1328*1.4+838*0.9+503*0.
93)/(1328+838+503+453+12
6)=0.95となる。
【0027】
【実験例1】実験例1では、実施例1の設計例の分離部
材を用いて図3で説明する。相互に溶け合わない液体と
して、10%濃度の食塩水(比重1.079at10
c)を液体28aとし、シリコンオイル(比重0.9
8)を液体28bとした2液を用いた。又、容器として
は、内径が分離部材11の外径の12.5mmより大き
い14mmで、長さが100mmのアクリル製の有底
で、栓29により密閉可能な容器30を使用した。容器
30の上部側面に、気体の導入・排出により容器30内
の気相空間31を加圧又は減圧する導管32を接続し
た。又、導管32には気体の導入又は排出の切り替えを
する弁33を設けてある。
【0028】図3(a)では、液体28aと液体28b
を混合した混合物を容器30に入れ、自然放置し、2液
の界面34が出来た後に、分離部材11を入れた状態を
示している。分離部材11の見かけ比重は、実施例1の
設計例で述べた様に、0.95であり、軽い相の液体2
8bの比重より小さいので、浮いた状態となっている。
容器30の気相空間31の圧力P0は容器30が加圧さ
れてなく、ほぼ大気圧に等しい状態であることを示して
いる。
【0029】図3(b)は矢印35に示す様に、容器3
0に気体を導入して、容器30の内部圧力をP1まで高
めたところである。容器30の加圧された圧力は液体2
8a及び液体28bにも伝わる。これらの液体は逆流防
止機構16の逆流防止空間27を押し上げ、逆流防止貫
通口21を通り、空洞部13の気相を圧縮し、空洞部1
3の気相の圧力と液体28a又は液体28bの圧力が均
衡するところで、空洞部13への浸入は停止する。この
時の空洞部13の液面が空洞部内液面36で示されてい
る。空洞部13の圧縮された気相空間が、空洞部圧縮空
間37である。
【0030】空洞部圧縮空間37の体積をV3、分離部
材11の内部へ浸入した液体の体積をV4とすると、V
1+V2=V3+V4の関係がある。又、容器30の気
相空間31を加圧することにより、空洞部13へ浸入す
る液体は、分離部材11は最初浮いた状態であるので、
比重の小さい液体の液体28bが大部分である。2つの
液体のうち、小さい比重をd(s)とすると,分離部材
11の圧縮見かけ比重da2は大略、 da2=(W1+W2+W3+(V4*d(s)))/
((W1/d1)+(W2/d2)+(W/d3)+V
1+V2) で示される。実験例では、気体を空気とし、容器30内
をゲージ圧で1kg/cm2(0.098MPa)とし
た。容器30内の液深さに基づく液圧の影響は、液深さ
が100mmに満たないので、僅かであり無視した。空
洞部空間26の体積V1と逆流防止空間27の体積V2
は、合計で約1/2に減少する。したがって、空洞部圧
縮空間37の体積V3は、液体28bが空洞部13まで
浸入したとすると、(V1+V2)/2となり、分離部
材11の内部へ浸入した液体の体積V4は、(V1+V
2)/2となる。上記の関係と、実施例1の設計例の諸
値と実験例の値を上式へ代入すると、da2は da2=(1328*1.4+838*0.9+503
*0.93+(1/2)*579*0.98)/(13
28+838+503+479)=1.036 となる。da2は液体28bの比重0.98より大きい
が、液体28aの比重1.079より小さいので、シリ
コンオイルの中を沈降し、2つの液の界面に至り、大き
い比重の液体28aに浮力と重力が平衡するところまで
没入し、停止する。この時点では、外筒23の外側の液
体にも圧力が加わっているので外筒23は膨張しない。
【0031】図3(c)は、矢印38に示すように容器
30の加圧気体を排出したところを示している。容器3
0の気相空間31の圧力が減じ、加圧時のP1より大気
圧のP0まで減ずると、圧力の減少は液体28a又は液
体28bを通し、分離部材11の空洞部13内にも伝わ
る。それゆえ、空洞部13内の圧縮気体は膨張しようと
して空洞部液面36を圧する。この圧力は液体28a又
は液体28aを通し逆流防止機構16のシート部17を
圧するようになる。しかしながら、シート部17は上面
が湾曲しているので、上面を液体28a又は液体28b
で均一に圧すると湾曲面は広がろうとするので、空洞部
13の内壁との密着がより強固となり、シート部17の
上方にある液体28a又は液体28bがシート部17の
下側へ逆流することはない。更に、液体28a又は液体
28bに圧されたシート部17は、首20の周りに同心
円状の緩い凹み39が出来、逆流貫通口21を閉塞する
様になり、液体28a又は液体28bのシート部17の
上方から下方への逆流がより確実に防げることになる。
【0032】逆流防止機構16により、空洞部13の下
方へ逆流する事が出来なくなった圧縮気体は貫通口14
を通り、部材本体12と外筒23の外筒中央部25との
間に入り込み膨張する。この様にして、分離部材11の
外径は大きくなり、外筒中央部25が容器30の内壁と
密着する様になり、隔壁が形成される。外筒23と部材
本体11との境界は膨張して外筒膨張空間40が形成さ
れる。外筒膨張空間40の体積をV5とすると、分離部
材11の膨張見かけ比重da3は、da3=(W1+W
2+W3+(V4*d(s)))/((W1/d1)+
(W2/d2)+(W3/d3)+V1+V2+V5)
で示される。膨張見かけ比重da3は加圧時の圧縮見か
け比重da2より小さく、da3が液体28bの比重d
(s)より小さければ、浮力を生じ、分離部材11は浮
き上がろうとする。しかしながら、既に分離部材11の
膨張した外周部分が容器30の内壁と密着しているの
で、浮上することはない。
【0033】図3(c)の隔壁を形成した分離部材11
の性能を見るため、容器30の栓29を取り除き、逆さ
にして液体28b(シリコンオイル)を流出させたとこ
ろ、分離部材11の下の液体28a(食塩水)は全く漏
れ出る事はなかった。又、細い棒で分離部材11の上を
突ついても分離部材11は動かなく、強固な隔壁である
事が判明した。更に、よく観察すると、外筒中央部25
の外面と容器30の内壁との接触は帯状の面接触であ
り、糊で接着した様な緻密な密着状態であった。又、同
じ実験を行った他の実験例では、液体28aと液体28
bの隔壁の状態のまま容器30を1週間放置しておいた
ところ、隔壁の状態に何ら変化はなく、外筒23の膨張
部分より空気の漏出はないことが判った。この事より、
使用した天然ゴム製の外筒23は充分使用出来る事が判
った。上記の実験は図3に記述した機器以外に容器30
を支えるスタンドやコンプレッサーや圧力計を使用した
が、本発明の説明には特に必要でないので省いた。
【0034】以上説明した様に、本発明の分離部材を加
圧比重分離に使用すると、隔壁形成を任意の時間に出来
る。特に、比重分離の最終段階で隔壁形成が出来るの
で、極めて分離の良い操作が可能となる。
【0035】又、他の方法としては、被分離液体と分離
部材の入った容器を多数個開栓状態で収納容器に収納
し、該収納容器を密閉した後、該収納容器内部の気相部
分を加圧することにより、一度に多数個の加圧比重分離
が可能となる。
【0036】又、上述の加圧比重分離において、容器3
0の気相空間31の加圧圧力を変化させたり、又は、設
定圧力までの昇圧時間を長くしたり、又は短くする事に
より、分離部材の見かけ比重の変化を制御できる。従っ
て、分離部材の液中での沈降速度を自由に制御でき、き
め細かい分離が可能となる。更に、分離部材11の見か
け比重を、被分離液体の大きい方の比重よりも大きくな
る様に加圧圧力を上げることにより、沈降速度を上げ、
界面に達したら、加圧圧力を解除して隔壁を形成させる
事も出来る。
【0037】
【実験例2】本発明の分離部材を遠心分離操作に応用し
た例である。具体例として、臨床検査で使われる採血管
の遠心分離について、図4で説明する。分離部材の機能
は、実施例1と実験例1で詳細に説明したので、実験例
2では、分離部材を遠心分離に応用した場合の効果を主
に説明する。
【0038】図4(a)には採血管2へ全血3が注入さ
れ、全血3に分離部材11が浮かんだ状態が示されてい
る。分離部材11は、採血管2に全血3を注入した後に
挿入してもよいし、予め分離部材11を採血管2に入れ
ておいてもよい。又、最近汎用化している真空採血管に
も利用できる。真空採血管に分離部材11を使用するに
は、分離部材11を採血管2に挿入した後に真空引きを
行えばよく、分離部材11に何等支障はない。
【0039】分離部材11の外径は、採血管2の内径よ
りも1〜3mm程度小さくするのがよく、現在汎用され
ているプラスチック採血管での内径の変化、つまり内径
が上方では大きく、底に向かって小さくなる、いわゆる
テーパーがあっても何等支障が無い。例えば、一般的な
10ml採血管で長さが100mmの場合、採血管の上
端の内径が14.0mmで底部の内径が12.5mmの
場合が多いが、この様な場合は、分離部材11の外径を
11〜12mmに設定するのがよい。
【0040】又、分離部材11の空洞部13の空間体積
を含めた見かけの比重を、全血より小さくする必要があ
り、好ましくは、血液の軽い成分の血清(又は血漿)の
比重より小さく設定するのがよい。全血の比重が1.0
5、血清(血漿)の比重が1.025程度であるから、
分離部材11の見かけ比重を0.85〜1.0程度にす
ればよい。分離部材11には、部材本体12と逆流防止
機構16と外筒23の3つの構成成分があるが、3つの
構成成分の各々の比重と各々の材料が占める体積から求
めた平均比重をdm(実験例1の記号で表わすならdm
=(W1+W2+W3)/((W1/d1)+(W2/
d2)+(W3/d3))として、3つの構成成分の各
々の重量を加えた全重量をWt(実験例1の記号で表わ
すなら、Wt=W1+W2+W3)とし、空洞部空間2
6の体積と逆流防止空間27の体積の合計をVo(実験
例1の記号で表わすならVo=V1+V2)とすると、
図4(a)の遠心操作前の段階での分離部材11の見か
け比重da4は、 da4=Wt/((Wt/dm)+Vo) で示される。Da4が血清(血漿)の比重より小さい様
に分離部材11を設計する。
【0041】図4(b)は全血3と分離部材11が入っ
た採血管2を一定時間自然放置し、血液凝固が起こり、
血清4と血餅5が生成したところを示している。この時
点では遠心分離操作を行っていないので、分離部材11
は血清4に浮いたままである。
【0042】図4(c)は、血液凝固が完了した採血管
2を設定遠心力(例えば、1000gや2000gな
ど)で設定時間(例えば、5分や10分など)遠心分離
にかけた状態を示している。遠心分離の最中であり、実
際に観察は出来ないが、本発明の分離部材の挙動を推定
したものである。遠心中では、分離部材11と血液(血
清4と血餅5)に遠心力が発生し空洞部空間26と逆流
防止空間27の空間が圧縮され、空洞部13内の空洞部
内液面36まで血清4又は血餅5が浸入し、分離部材1
1の見かけ比重が増加し、血清4中を沈降していく。分
離部材11の空洞部13へ浸入していく血液は、分離部
材11が上方より沈降するのであるから、大部分が血清
4と考えてよい。空洞部圧縮空間37の圧力は上昇して
いるが、分離部材11の外側の血清4又は血餅5の圧力
も上昇しているので、外筒23は膨張することはない。
遠心力により空間体積VoがVxまで減少したとする
と、空間体積の減少分のVo−Vxに血清4が浸入する
ので、遠心中の分離部材11の見かけ比重da5は、血
清4の比重をd(serum)として、da5=(Wt
+d(serum)*(Vo−Vx))/(Wt/dm
+Vo)となる。血清4と血餅5の界面での位置におけ
る遠心力において、da5が血清4と血餅5の中間の比
重であれば、分離部材11は血清4と血餅5の界面で停
止する。分離部材11が血清4と血餅5の境界に位置し
た状態で遠心分離が継続され、更に分離が進む場合で
も、分離部材11と採血管2の内壁との間には隙間があ
るので、重い成分である血餅5は分離部材11の上方か
ら下方へ移り、軽い成分である血清4(血漿)は分離部
材11の下方から上方へ移行する事が可能である。更
に、分離部材11の上部は円錐状となっているので、円
錐部分に載った血餅5は遠心力で円錐面を滑り落ちる様
になっている。
【0043】図4(d)は、遠心力が解除されて分離操
作が終了した時点での採血管2内の分離部材11の状態
が示されている。遠心力が解除されると、遠心力に基づ
く圧力も消滅する。従って、分離部材11の空洞部圧縮
空間37の圧縮空気は膨張しようとするが、逆流防止機
構16により、空洞部13の下方への膨張は出来ず、空
洞部13の貫通口14を通り、分離部材11と外筒23
の間に入り込む。空洞部圧縮空間37の圧力と外筒23
の外側の血液との圧力とでは、設定遠心力が働いている
時は、ほぼ同じ程度であるが、遠心力が無くなると、外
筒23の外側の血液に働く圧力は、採血管2内の血液表
面と外筒23の外側までの液深さによる大気圧下での液
圧による圧力のみであり、空洞部圧縮空間37の圧力の
方が遥かに大きい。又、外筒23は軟らかい弾性ゴムで
出来ているので、外筒23は外側へ膨張し、採血管2の
内壁と密着する様になり、隔壁が形成される。遠心分離
の終了段階で、遠心力が小さくなり始め、分離部材11
の外筒23が膨張し始めると、分離部材11の見かけ比
重は小さくなり、血清4の比重より小さくなった場合は
浮上しようとするが、実験結果によると、浮上する前に
採血管2の内壁と密着する隔壁が出来てしまい、浮上す
る事はない。この事は、採血管2の1000g〜200
0g程度の設定遠心力では、遠心分離操作の終了段階で
の設定遠心力より停止するまでの時間は高々60秒前後
であり、この時間内では分離部材11が浮上できない事
を意味している。
【0044】以上説明した如く、本発明の分離部材を遠
心分離に適用すると、分離が完了して、遠心分離操作が
終了する直前に隔壁が形成されるので、完全な分離物が
得られる特徴を有する。
【0045】
【発明の効果】以上説明した様に本発明の分離部材及び
分離方法によれば、請求項1では、分離部材を、空洞を
有する部材本体と、逆止弁の役目を持つ逆流防止機構
と、部材本体を覆うゴムチューブ状の外筒より構成し、
空洞部内の気相を加圧し、又は減少する事により分離部
材の見かけ比重を変化させる事ができ、又、空洞部内の
圧力が高められた気体を外筒と部材本体の間に導入し、
外筒を膨らませることにより、分離部材の外径を大きく
することが出来るので、相互に溶け合わない、比重の異
なる液体同志又は液体と固体の分離の隔壁として利用出
来る。
【0046】又、請求項2では、請求項1の分離部材
を、分離しようとする液体の混合物の入った密閉可能な
容器に入れ、この容器の内部を加圧する事により、分離
部材の空洞部の気相を圧縮し、見かけ比重を2液の比重
の中間にする事により、2相の境界に移動させ、しかる
後、容器内の圧力を減少して、分離部材の径を増大さ
せ、隔壁とする事により加圧比重分離が可能となる。
【0047】又、請求項3では、請求項2の加圧比重分
離において、加圧又は減圧段階を制御する事により、分
離部材の見かけ比重を任意に変化させ、分離部材の液中
の沈降速度を任意に変える事が出来るので、比重分離操
作の微調整が可能となり正確な分離が可能となる。
【0048】又、請求項4では、請求項1の分離部材を
遠心分離に適用する場合であり、遠心力により、分離部
材の空洞部の気相は圧縮され、見かけ比重は増加する。
増加した見かけ比重を、分離しようとする2液の中間の
比重になる様に設定する事により、分離部材を2つの液
の界面に移動し、充分な分離の後に遠心力を解除し、分
離部材の径を膨らませ隔壁とする。この方法の特徴は、
2つの液の隔壁を、分離が完了し、遠心操作の終了直前
に隔壁を形成出来ることである。
【0049】又、請求項5では、請求項1の分離部材で
空洞部の気相の体積を含めた見かけ比重を、分離しよう
とする2つの液のうちの軽い液の比重より小さく設定す
る事により、分離操作の始まる前の段階では、分離部材
は被分離液に浮いた状態となるので、分離部材の上に重
い成分が載る事が無く良好な分離が可能となる。
【0050】又、請求項6では、請求項1の逆流防止機
構を、上部がゴム弾性で上方へ湾曲したシート状の円板
とし、下部が下方が開放している空洞状態の半円筒状と
し、上部と下部を細い首で繋ぎ、下部よりシート状円板
の裏側へ抜ける貫通口を設ける事にしたので確実に逆流
を防ぐ事が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1分離部材の縦断面図である。
【図2】本発明の実施例1の設計例であり、分離部材の
構成成分の縦断面図である。
【図3】本発明の実験例1であり、加圧比重分離の実験
例である。
【図4】本発明の実験例2であり、分離部材を遠心分離
に適用した例である。
【図5】従来例である。
【符号の説明】
1−−−−−血清分離剤 26−−
−−−空洞部空間 2−−−−−採血管 27−−
−−−逆流防止空間 3−−−−−全血 28a−
−−−−液体(10%食塩水) 4−−−−−血清 28b−
−−−−液体(シリコンオイル) 5−−−−−血餅 29−−
−−−栓 6−−−−−血清・血餅混在相 30−−
−−−容器 7−−−−−隔壁 31−−
−−−気相空間 8、9、10−−−−−欠番 32−−
−−−導管 11−−−−−分離部材 33−−
−−−弁 12−−−−−部材本体 34−−
−−−界面 13−−−−−空洞部 35−−
−−−矢印 14−−−−−貫通口 36−−
−−−空洞部内液面 15−−−−−凹み 37−−
−−−空洞部圧縮空間 16−−−−−逆流防止機構 38−−
−−−矢印 17−−−−−シート部 39−−
−−−同心円状の緩い凹み 18−−−−−逆流防止空洞部 40−−
−−−外筒膨張空間 19−−−−−半円筒状部分 20−−−−−首 21−−−−−逆流防止貫通口 22a−−−−−凹み 22b−−−−−鍔状突起 23−−−−−外筒 24−−−−一外筒肉厚部 25−−−−−外筒中央部

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】相互に溶け合わない、比重の異なる2つの
    液相同志の混合物あるいは液相と固相の混合物を各々の
    相に分離する分離部材において、該分離部材は、下方が
    開放している同心円状の空洞部を有する部材本体と、該
    空洞部に嵌合う状態で挿入されている逆流防止機構と、
    ゴム弾性を有し加圧された気体により膨張しやすい概略
    円筒状であって該部材本体を覆う外筒より構成されてい
    て、該部材本体には該空洞部から該部材本体と該外筒と
    の境界に通ずる1つ以上の貫通口を有する分離部材。
  2. 【請求項2】請求項1の分離部材を、相互に溶け合わな
    い比重の異なる2つの液相同志の混合物あるいは液相と
    固相の混合物の入った、内径が該分離部材の外径よりも
    若干大きい密閉可能な筒状容器に、上方より挿入し、該
    混合物が静置等の方法で比重の異なる2つの相に分離し
    た後に、該容器を密閉し、該容器内の気相空間を加圧す
    ることにより、該分離部材の空洞部の気相は圧縮され、
    該空洞部の体積を含めた該分離部材の見かけ比重は増加
    するが、加圧時の該分離部材の見かけ比重が2つの相の
    比重の中間となる様に加圧圧力を設定することにより、
    該分離部材が沈降を開始し2つの相の境界に達し、沈降
    が停止し、しかる後に、該気相の加圧を解除することに
    より、該空洞部の圧縮された気相の膨張を、部材本体の
    貫通口より外筒と部材本体の境界に導入し、該外筒を膨
    張させることにより、該分離部材の横方向の断面積を増
    加させ、比重の異なる2つの相の隔壁となす加圧比重分
    離方法。
  3. 【請求項3】請求項2の加圧比重分離方法において、密
    閉容器内部の気相の圧力を任意に変化させることによ
    り、該分離部材の見かけの比重を変化させ、液中の沈降
    速度を任意に変えることを可能とする加圧比重分離方法
    の制御方法。
  4. 【請求項4】請求項1の分離部材を、相互に溶け合わな
    い比重の異なる2つの液相同志の混合物あるいは液相と
    固相の混合物の入った、内径が該分離部材の外径よりも
    若干大きい有底の筒状容器に、上方より挿入し、該筒状
    容器を遠心分離にかけることにより、該分離部材及び該
    混合物に遠心力が発生し、該分離部材の空洞部の気相が
    圧縮され、該分離部材の空洞部の圧縮された体積を含め
    た該分離部材の見かけ比重が増加するが、遠心時の該分
    離部材の見かけ比重が2つの相の比重の中間となる様に
    遠心力を設定することにより、遠心力により該分離部材
    が沈降を開始し、2つの相の境界に達し、沈降を停止
    し、分離が完了した後、遠心分離操作を解除し、該空洞
    部の圧縮された気相の膨張を、部材本体の貫通口より外
    筒と部材本体の境界に導入し、該外筒を膨張させること
    により、該分離部材の横方向の断面積を増大させ、比重
    の異なる2つの相の隔壁となす遠心分離方法。
  5. 【請求項5】請求項1の分離部材において、該分離部材
    を構成する材料の比重と大気圧下での空洞部の体積を含
    めた該分離部材全体の見かけ比重を、分離しようとする
    混合物のうちの比重の小さい方の値よりも小さくする分
    離部材。
  6. 【請求項6】請求項1の逆流防止機構を、ゴム弾性材料
    より製作し、上部を上面が湾曲又は凹んだシート状円板
    とし、下部を下方が開放している同心円状の空洞部を有
    する半円筒状部分とし、該上部のシート状部分と該下部
    の半円筒状部分とは中心部において細い首で繋がってい
    て、該シート状部分の裏側と該下部の空洞部とは1個乃
    至2個以上の貫通口で繋がっていて、該シート状円板の
    径は請求項1の分離部材の空洞部の内径より僅か大と
    し、該半円筒状部分の外径は該分離部材の空洞部の内径
    と等しいか僅か大とする逆流防止機構。
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