JP2000068096A - 大気圧プラズマによる表面処理方法および表面処理装置 - Google Patents

大気圧プラズマによる表面処理方法および表面処理装置

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JP2000068096A
JP2000068096A JP10233318A JP23331898A JP2000068096A JP 2000068096 A JP2000068096 A JP 2000068096A JP 10233318 A JP10233318 A JP 10233318A JP 23331898 A JP23331898 A JP 23331898A JP 2000068096 A JP2000068096 A JP 2000068096A
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electrode
frequency
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atmospheric pressure
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Yoshiaki Mori
義明 森
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 大気圧下において生成したプラズマによって
被処理物に物理的な表面処理を行えるようにする。 【解決手段】 表面処理装置10は、プラズマ生成用の
ヘリウムとアルゴンとの混合ガスが処理ガス源24から
供給される。プラズマ処理室12の内部には、高周波電
源18に接続した高周波電極14と、これに対向して配
置した接地電極16とが設けてある。高周波電極14
は、放電面積が接地電極16より小さくなっていて、高
周波電源18から供給された電力によってプラズマ22
が生成された際に、接地電極16より大きなセルフバイ
アスが発生し、高周波電極14に固定した被処理物20
にプラズマイオンが大きな速度で衝突するようにしてあ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、気体をプラズマ化
して被処理物に照射する表面処理方法に係り、特に大気
圧下において生成したプラズマを放電用の電極に配置し
た被処理物に照射する大気圧プラズマによる表面処理方
法および表面処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】大気圧またはその近傍の圧力下において
生成したプラズマによる表面処理として、コロナ放電処
理が知られている。また、近年は、ヘリウムなどの希ガ
スを母体ガスとしたグローライク放電の利用も行われて
いる。そして、これらの放電とガス種との組み合わせに
より、半導体装置の製造工程におけるアッシング処理
や、半田の濡れ性を改善するなどの各種の表面処理がな
されている。これらの表面処理は、電力を供給する電源
に接続した電極と、この電極に対向している接地された
対電極との間に高周波あるいは低周波の電圧を印加し、
接地された対電極側にセットした被処理物をプラズマに
晒すことにより行われる。また、プラズマを発生させる
プラズマ領域で生成した活性種をプラズマ領域と異なる
場所に輸送して被処理物に照射して表面処理を行う方法
も知られている。これらの表面処理は、化学的な反応を
利用したもので、プラズマの物理的な効果への寄与は少
ない。
【0003】ところで、上記のような表面処理を行う
と、被処理物の濡れ性を改善することができるところか
ら、接着、接合のための前処理として被処理物の表面を
プラズマ処理して接着力、接合力の向上を図ることが考
えられる。そして、例えばプラスチックフィルムなどの
絶縁性の被処理物を接地した電極上に配置し、大気圧下
におけるグローライク放電により生成したヘリウムのプ
ラズマを被処理物に照射する場合、絶縁性の被処理物に
はセルフバイアス(フローティングポテンシャル)が−
数Vから−10V程度発生するため、放電により生成し
た活性種により化学的処理を行うと同時に、前記セルフ
バイアスによってプラズマイオンが加速されて被処理物
に衝突するため、物理的効果も得られる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】部材を接着または接合
する場合、接着力、接合力は、化学的な結合力よりも部
材の表面の凹凸、粗さなどの物理的要因が大きく影響し
ていると考えられている。しかし、上記した従来の表面
処理においては、セルフバイアスがわずかであってイオ
ンの加速力が小さく、また質量の小さなヘリウムのイオ
ンによるため、物理的効果はさほど期待することができ
ない。このため、従来の大気圧プラズマによる表面処理
では、被処理物表面の活性化、アッシング効果による洗
浄程度の効果しか得られず、接着性、接合性を向上させ
るという意味においては、真空中におけるプラズマ処理
の効果に対して劣っている。また、従来の大気圧プラズ
マによる表面処理の場合、接着性、接合性が向上する主
な理由は、被処理物の表面に官能基が形成されることに
よると考えられ、プラズマ処理後に被処理物を長時間放
置しておくと官能基が消滅して接着性、接合性が低下
し、処理効果の持続性が真空中において荷電粒子を衝突
させて被処理物の表面を削ったり荒らしたりするいわゆ
る逆スパッタには及ばない。
【0005】真空における逆スパッタは、被処理物にア
ルゴンイオンなどを衝突させて物理的に被処理物の表面
を削る、あるいは表面を荒らすという効果がある。この
ため、接着性、接合性を向上することに対する逆スパッ
タ処理の効果は、化学的処理よりも高く、しかも処理後
長時間にわたってその効果を維持することができる。し
かし、真空におけるプラズマ処理は、真空容器や真空ポ
ンプなどの高価な機器を必要として設備費が高いばかり
でなく、運転コストも高くなる。また、真空容器内にお
いて処理する必要があるため、被処理物の大きさが制限
されるとともに、連続的な処理を行うことができない。
【0006】本発明は、前記従来技術の欠点を解消する
ためになされたもので、大気圧下において生成したプラ
ズマによって被処理物に物理的な表面処理を行えるよう
にすることを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明に係る大気圧プラズマによる表面処理方法
は、高周波電圧を印加する対向させた電極間に、大気圧
またはその近傍の圧力下にある処理ガスを供給してイオ
ン化し、生成したイオンを被処理物に照射する大気圧プ
ラズマによる表面処理方法において、前記被処理物を対
向する電極の一方に配置するとともに、前記被処理物を
配置した前記一方の電極のプラズマ生成時における直流
電圧成分の絶対値を他方の電極より大きくすることを特
徴としている。
【0008】気体プラズマを発生させた場合、プラズマ
の放電電位(プラズマポテンシャル)が正であるのに対
して、電極の表面電位であるセルフバイアス、すなわち
プラズマ生成時の電極の直流電圧成分は負となる。この
ため、プラスのイオンであるプラズマ粒子(プラズマイ
オン)は、負の電位となっている電極に引かれてこれに
衝突する。そこで、対向している電極の被処理物を配置
する一方の電極の直流電圧成分の絶対値を他方の電極よ
り大きくすればセルフバイアスが大きくなり、プラズマ
粒子が大きく加速されてより大きな運動量をもって被処
理物に衝突し、プラズマにって表面を荒らすなどの大き
な物理的効果を得ることができ、プラズマ処理した被処
理物の接着性、接合性を向上することができる。
【0009】一方の電極の放電面積を前記他方の電極よ
り小さくすると、放電面積を小さくした一方の電極のセ
ルフバイアスを他方の電極より容易に大きくすることが
できる。すなわち、一方の電極の放電面積(放電に寄与
する面積)をS1 、この電極のセルフバイアスをV1
し、他方の電極の放電面積をS2 、セルフバイアスをV
2 とした場合、次の関係式が成立する。
【0010】
【数1】
【0011】従って、被処理物を配置する一方の電極の
セルフバイアスV1 は、例えば、一方の電極の放電面積
1 を他方の電極の放電面積S2 の1/2とすることに
より、他方の電極のセルフバイアスV2 の16倍とする
ことができ、プラズマイオンを大きく加速することが可
能で、大きな物理的効果を得ることができる。
【0012】被処理物を配置する一方の電極は、高周波
電圧を発生する高周波電源に接続する電源側とし、他方
の電極を接地側とすることが望ましい。高周波電源に接
続した電極(高周波電極)は、接地電極に比較して放電
面積を小さくしやすい。すなわち、高周波電極に対して
その周囲は、一般に接地側となっており、高周波電極を
接地電極より小さくすることが容易である。
【0013】高周波電圧の周波数は、電子に対するカッ
トオフ周波数より低くすると、処理ガスを電離してプラ
ズマを生成した際に生じた電子が一方の電極に配置した
絶縁性の被処理物に到達して帯電し、被処理物の負の電
位が大きくなってプラズマイオンがより効率的に衝突
し、プラズマによる物理的効果を大きくすることができ
る。
【0014】また、本発明に係る大気圧プラズマによる
表面処理方法は、大気圧またはその近傍の圧力下におい
て高周波放電によりプラズマを生成して被処理物に照射
する大気圧プラズマによる表面処理方法において、前記
被処理物に直流電圧を印加プラズマ粒子を加速すること
を特徴としている。
【0015】このように構成した本発明は、高周波放電
によってプラズマを生成する。そして、被処理物が金属
などの導電性を有する場合、被処理物に直接直流電圧を
印加することにより、プラズマイオンを加速して被処理
物に衝突させる。また、被処理物に印加する直流電圧の
大きさを変えることにより、プラズマイオンの加速力を
任意に制御することが可能で、プラズマによる物理的な
表面処理の速度を正確に制御でき、容易に所望の表面処
理を高精度で行うことができる。
【0016】そして、上記の各表面処理においては、処
理ガスとしてアルゴンと酸素との少なくともいずれか一
方とヘリウムとの混合ガスを用いると、ヘリウムが容易
に電離してプラズマ化するとともに、ヘリウムプラズマ
が比較的電離しにくいアルゴンや酸素分子と衝突してこ
れらを電離させ、質量の大きなアルゴンイオンや酸素イ
オンが被処理物に衝突するために大きな物理的効果を得
ることができる。
【0017】上記の表面処理方法を実施するための表面
処理装置は、対向している電極間に処理ガスを供給する
とともに高周波電圧を印加してプラズマを生成し、生成
したプラズマを被処理物に照射する表面処理装置におい
て、前記対向している電極の、前記被処理物を配置する
一方の電極の放電面積を他方の電極の放電面積より小さ
くしたことを特徴としている。これにより、上記したよ
うに被処理物を配置する一方の電極のセルフバイアスを
他方の電極より大きくすることが可能で、プラズマによ
る物理的効果を容易に得ることができる。
【0018】放電面積の小さな一方の電極は、高周波電
源に接続された電源側電極であることが望ましい。接地
電極に比較して放電面積を小さくしやすいことによる。
そして、高周波電源によって電子に対するカットオフ周
波数より低い周波数の高周波電圧を発生させ、これを対
向している電極間に印加することにより、プラズマ生成
の際に生じた電子が被処理物に到達して帯電し、プラズ
マイオンを効率的に衝突させることができる。
【0019】また、本発明に係る表面処理装置は、大気
圧またはその近傍の圧力下にある処理ガスを高周波放電
によりプラズマ化して被処理物に照射する表面処理装置
において、前記被処理物に直流電圧を印加する直流電源
を有することを特徴としている。このように構成した本
発明は、被処理物が金属などの導電性である場合、高周
波のみによるプラズマ処理に比較して、電極の構造や高
周波電圧の周波数をプラズマの発生、維持が可能であれ
ば任意なものとすることができ、被処理物に印加した直
流電圧を制御してプラズマの衝突速度を制御するため、
処理速度などのプラズマによる表面処理の制御性を向上
することができる。
【0020】処理ガスは、アルゴンと酸素との少なくと
も一方とヘリウムとの混合ガスとし、容易にプラズマを
生成できるようにするとともに、ヘリウムより質量の大
きなアルゴンイオンや酸素イオンを被処理物に照射する
ことにより、ヘリウムイオンよりも大きな物理的効果を
発揮させることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明に係る大気圧プラズマによ
る表面処理方法および表面処理装置の好ましい実施の形
態を、添付図面に従って詳細に説明する。
【0022】図1は、本発明の第1実施の形態に係る表
面処理装置の概略説明図である。図1において、表面処
理装置10は、プラズマ処理室12を有している。プラ
ズマ処理室12の内には、上部に板状の電源側電極であ
る高周波電極14が、下部に接地されている接地電極1
6が適宜の間隔(この実施形態においたは、1〜3m
m)をもって対向して配置してある。そして、高周波電
極14は、高周波電源18に接続してある。また、高周
波電極14は、プラズマ生成時に、接地電極よりも大き
なセルフバイアス(直流電圧成分)が得られるように、
放電に寄与する放電面積が接地電極16より小さく形成
してあって、接地電極16との対向面にプラスチック板
などの絶縁性の被処理物(ワーク)20が配置、固定し
てある。
【0023】高周波電源18は、高周波電極14に高周
波電力を供給するとともに、高周波電極14と接地電極
16との間に高周波電圧を印加してプラズマ22を生成
する。そして、プラズマ処理室12には、被処理物20
の表面処理を行うためのプラズマを得るための処理ガス
をプラズマ処理室12に供給する処理ガス源24が接続
してあるとともに、排気ポンプ26が接続してあって、
プラズマ処理室12内を強制的に排気できるようにして
ある。また、処理ガス源24は、供給配管28を介して
プラズマ処理室12に接続したヘリウムガス30を供給
するヘリウムガス源32と、供給配管28を流れる母体
ガスであるヘリウムガス30に配管34を介してアルゴ
ンガス36を混合するアルゴンガス源38とから構成し
てある。
【0024】このように構成した第1実施形態において
は、高周波電極に被処理物20を固定したのち、処理ガ
ス供給源24からヘリウムガス30とアルゴンガス36
との混合ガスを処理ガスとしてプラズマ処理室12に大
気圧状態で供給する。また、高周波電源18によって高
周波電極14と接地電極16との間に高周波電圧を印加
するとともに、排気ポンプ26によってプラズマ処理室
26の内部を排気する。電極14、16間に高周波電圧
が印加されると、グローライク放電が生じてプラズマ2
2が生成される。そして、プラズマ22は、高周波電極
14に配置した被処理物20に衝突して被処理物20の
表面処理が行われる。
【0025】なお、アルゴンガス36の混合率は、プラ
ズマ処理室12に供給する混合ガス全体の数%〜20%
程度である。また、高周波電源18の出力する周波数
は、プラズマ22を生成した際に生じる電子が絶縁性被
処理物20に到達して被処理物20に帯電するように、
電子に対するカットオフ周波数より小さな周波数となっ
ている。
【0026】カットオフ周波数fc は、電界の強さを
E、電極間距離をdとすると、次式により求めることが
できる。
【0027】
【数2】
【0028】ただし、ここにμは電子またはイオンの移
動度であり、πは円周率である。
【0029】従って、1気圧(760Torr)のヘリ
ウム中における電子の移動度を0.13m /V・s
ecとし、電極間距離を1mm、電極14と電極16と
の電位差を1kVとすると、カットオフ周波数fc は約
40MHzとなる。そこで、この実施形態においては、
電極14、16間に印加する電圧の周波数を13.56
MHzとし、対向電極間に生じた電子が被処理物20に
十分到達できるようにしている。ちなみに、電極間距離
が1mmにおけるヘリウムイオンのカットオフ周波数
は、200kHzである。
【0030】高周波電極14は、接地電極16よりも放
電面積が小さくなるように形成してある。このため、高
周波電極14と接地電極16との間に高周波電圧を印加
してプラズマ22を発生させると、高周波電極14に生
じるセルフバイアスV1 4 は、前記した数式1から、
【0031】
【数3】
【0032】となる。ただし、ここにV1 6 は接地電
極16のセルフバイアスであり、S1 4は高周波電極1
4の放電面積(放電に寄与する面積)、S1 6 は接地電
極16の放電面積である。従って、高周波電極14の放
電面積S1 4 を接地電極16の放電面積S1 6 の1/
2とした場合、接地電極16のセルフバイアスV1 6
を−10Vとすれば、高周波電極14のセルフバイアス
1 4 、すなわち直流電圧成分は−160Vとなって、
大きなセルフバイアスを得ることができる。
【0033】そして、プラズマ22を構成しているプラ
ズマイオンは、高周波電極14のセルフバイアスによっ
て大きく加速され、大きな運動エネルギーをもって被処
理物20に衝突するため、被処理物20の表面の原子結
合が切断されるとともに、表面がエッチングされた状態
となり、大きな物理的効果を得ることができる。このた
め、大気圧プラズマによって被処理物20の表面処理を
行うことにより、被処理物20の接着性、接合性を大幅
に改善することができる。しかも、被処理物20は、表
面がプラズマイオンの衝突によって荒らされ、物理的に
変化しているために長時間その効果が維持される。ま
た、実施の形態においては、ヘリウムガスに粒径および
質量の大きなアルゴンを混入しているため、大きな物理
的効果を得ることができる。そして、実施の形態におい
ては、排気ポンプによってプラズマ処理室12内を排気
できるようにしているため、電極14、16間の印加電
圧が大きくなって被処理物20のエッチング量が多くな
り、被処理物20から生じたパーティクルが被処理物2
0に再付着して処理効果を低下させるおそれがある場合
には、排気ポンプ26による排気量を多くすることによ
り、パーティクルの再付着を防止することができる。ま
た、高周波電源18の出力周波数を電子のカットオフ周
波数より低い周波数の13.56MHzとしたことによ
り、プラズマ22を生成した際に生じた電子が被処理物
20に到達して帯電し、プラズマイオンを効率よく被処
理物20に衝突させることができる。
【0034】なお、前記実施の形態においては、グロー
ライク放電を発生させて表面処理を行う場合について説
明したが、コロナ放電を発生させた場合にも同様であ
る。そして、前記実施の形態においては、高周波電源1
8の出力周波数が13.56MHzである場合について
説明したが、出力周波数は電子のカットオフ周波数より
低ければこれに限定されない。さらに、前記実施の形態
においては、処理ガスがヘリウムとアルゴンとの混合ガ
スである場合について説明したが、ヘリウムと酸素との
混合ガス、またはヘリウムとアルゴンと酸素との3者の
混合ガスであってもよい。また、前記実施の形態におい
ては、対向させた電極が板状である場合について説明し
たが、電極の形状は、面状、円筒状や線状等であっても
よい。
【0035】図2は、第2実施の形態に係る表面処理装
置の説明図である。図2において、表面処理装置40
は、高周波電源18に接続した高周波電極14が対向し
ている接地電極16より小さく形成してある。そして、
高周波電極14は、金属からなる電極本体42と、この
電極本体42の接地電極16との対向面に設けた絶縁体
44とから構成してあって、この絶縁体44に銅やアル
ミニウムなどの導電性の被処理物46を固定するように
なっている。また、この第2実施形態においては、高周
波電極14と接地電極16とを覆うチャンバが設けられ
ておらず、複数(実施形態においては2つ)の処理ガス
源が設けてあって、それぞれがヘリウムガス源32a、
32bとアルゴンガス源38a、38bとを有し、高周
波電極14と接地電極16との間にヘリウムガスとアル
ゴンガスとの混合ガスからなる処理ガス48を供給する
ようになっている。
【0036】この実施の形態においては、高周波電極1
4に絶縁体44を設けたことにより、絶縁性の被処理物
ばかりでなく、金属などの導電性被処理物46の表面処
理をすることができる。
【0037】図3は、第3実施形態の要部の説明図であ
る。この実施形態においては、高周波電極14がコンデ
ンサ50を介して高周波電源18に接続してあって、金
属からなる高周波電極14に導電性の被処理物46を直
接固定できるようになっている。他の構成は、図1また
は図2と同様である。この実施形態においても前記の実
施形態と同様の効果を得ることができる。
【0038】図4は、第4実施の形態の説明図である。
図4において、表面処理装置60は、高周波電源18に
接続した高周波電極62が図4の紙面に直交した方向に
長い帯状に形成してある。また、高周波電極62の上方
には、高周波電極62に対向させて接地電極64が配設
してある。接地電極64は、幅が高周波電極62より大
きく形成してあるとともに、高周波電極62と同等以上
の長さを有している。そして、接地電極64の高周波電
極62との対向側周縁には、カバー66が設けてあっ
て、処理ガス源24からカバー66内に供給されたヘリ
ウムとアルゴンとの混合ガスが容易に拡散しないように
してある。
【0039】高周波電極62の幅方向(図4の左右方
向)一側には、被処理物であるプラスチックフィルム6
8を巻回した供給ロール70が配置してあり、矢印72
のように回転することにより、プラスチックフィルム6
8を繰り出すようになっている。また、高周波電極62
の他側には、矢印74のように回転可能な巻取りロール
76が設けてあって、供給ロール70が繰り出したプラ
スチックフィルム68を巻き取ることができるようにし
てある。そして、供給ロール70と巻取りロール76と
は、高周波電極62より低い位置に設置してあって、矢
印78のように移動するプラスチックフィルム68が確
実に高周波電極62の上面に接触するようにしてある。
このように構成した本実施形態においては、プラスチッ
クフィルム62などの長尺ものの被処理物を連続的に処
理することができ、処理コストの低減が図れる。
【0040】図5は、第5実施の形態に係る表面処理装
置を示したものである。図5(1)に示した表面処理装
置80は、高周波電源18に接続した高周波電極14の
下方に接地電極16が対向して配置してある。そして、
高周波電極14と接地電極16とは、同じ形状、大きさ
に形成してあって、放電面積が等しくなっている。ま
た、接地電極16の上面には、金属などの導電性の被処
理物46が配置してある。さらに、接地電極16には、
可変直流電源82の負極側が接続してあり、接地電極1
6を介して被処理物46に負の直流電圧を印加できるよ
うにしてある。
【0041】このように構成した実施の形態において
は、高周波電極14と接地電極16との間に高周波電源
18によって高周波電圧を印加してプラズマを発生させ
るとともに、可変直流電源82によって被処理物46に
負の直流電圧を印加する。これにより、両電極14、1
6間に生じたプラズ粒子(プラズママイオン)は、被処
理物46の負の電圧に吸引されて被処理物46に衝突
し、被処理物46の表面処理が行われる。そして、可変
直流電源82の出力を調整することにより、被処理物4
6に印加する直流電圧の大きさを変えることにより、プ
ラズマの加速力を制御することができ、プラズマによる
物理的表面処理(逆スパッタ)速度を任意に制御するこ
とが可能で、迅速かつ高精度な表面処理を行うことがで
きる。しかも、この第5実施形態に係る表面処理装置8
0の場合、電極の構造や高周波電源18の出力周波数
は、プラズマの発生、維持が可能であれば任意に選択で
き、装置を簡素にすることができる。
【0042】図5(2)に示した表面処理装置80は、
高周波電極14の上方に接地電極16が対向して配置し
てある。そして、高周波電極14の上には、導電性被処
理物46が配置してある。また、高周波電極14には、
高周波電源18とともに可変直流電源82の負極が接続
してあり、高周波電極14を介して負の直流電圧を印加
できるようにしてある。ただし、接地電極16には、直
流電源が接続されていない。このように構成した図5
(2)に示した表面処理装置80においても、図5
(1)に示した表面処理装置80と同様の効果を得るこ
とができる。
【0043】
【発明の効果】以上に説明したように、対向させた一対
の電極の被処理物を装着する一方の電極の、プラズマ生
成時における直流電圧成分の絶対値(セルフバイアス)
を他方の電極より大きくしたことにより、被処理物に照
射されるプラズマイオンの衝突速度を大きくすることが
でき、大気圧プラズマによって大きな物理的効果を奏す
ることができ、被処理物の接着性、密着性を向上するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施の形態に係る表面処理装置の
概略説明図である。
【図2】本発明の第2実施の形態に係る表面処理装置の
説明図である。
【図3】本発明の第3実施の形態に係る表面処理装置の
要部説明図である。
【図4】本発明の第4実施の形態に係る表面処理装置の
説明図である。
【図5】本発明の第5実施の形態に係る表面処理装置の
説明図であって、(1)は接地電極に可変直流電源を接
続した実施形態の説明図であり、(2)は高周波電極に
可変直流電源を接続した実施形態の説明図である。
【符号の説明】
10 表面処理装置 12 プラズマ処理室 14、62 電源側電極(高周波電極) 16、64 接地電極 18 高周波電源 20 被処理物 22 プラズマ 24 処理ガス源 26 排気ポンプ 32 ヘリウムガス源 38 アルゴンガス源 40、60 表面処理装置 46 導電性被処理物 68 被処理物(プラスチックフィルム) 80 表面処理装置 82 可変直流電源

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高周波電圧を印加する対向させた電極間
    に、大気圧またはその近傍の圧力下にある処理ガスを供
    給してイオン化し、生成したイオンを被処理物に照射す
    る大気圧プラズマによる表面処理方法において、前記被
    処理物を対向する電極の一方に配置するとともに、前記
    被処理物を配置した前記一方の電極のプラズマ生成時に
    おける直流電圧成分の絶対値を他方の電極より大きくす
    ることを特徴とする大気圧プラズマによる表面処理方
    法。
  2. 【請求項2】 前記一方の電極の放電面積を前記他方の
    電極の放電面積より小さくしたことを特徴とする請求項
    1に記載の大気圧プラズマによる表面処理方法。
  3. 【請求項3】 前記一方の電極は、前記高周波電圧を発
    生する高周波電源に接続した電源側電極であることを特
    徴とする請求項1または2に記載の大気圧プラズマによ
    る表面処理方法。
  4. 【請求項4】 前記高周波電圧の周波数は、電子に対す
    るカットオフ周波数より低いことを特徴とする請求項1
    ないし3のいずれかに記載の大気圧プラズマによる表面
    処理方法。
  5. 【請求項5】 大気圧またはその近傍の圧力下において
    高周波放電によりプラズマを生成して被処理物に照射す
    る大気圧プラズマによる表面処理方法において、前記被
    処理物に直流電圧を印加してプラズマ粒子を加速するこ
    とを特徴とする大気圧プラズマによる表面処理方法。
  6. 【請求項6】 前記処理ガスが、アルゴンと酸素との少
    なくともいずれか一方とヘリウムとの混合ガスであるこ
    とを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の大
    気圧プラズマによる表面処理方法。
  7. 【請求項7】 対向している電極間に大気圧またはその
    近傍の圧力下にある処理ガスを供給するとともに高周波
    電圧を印加してプラズマを生成し、生成したプラズマを
    被処理物に照射する表面処理装置において、前記対向し
    ている電極の、前記被処理物を配置する一方の電極の放
    電面積を他方の電極の放電面積より小さくしたことを特
    徴とする表面処理装置。
  8. 【請求項8】 前記放電面積の小さな一方の電極は、高
    周波電源に接続された電源側電極であることを特徴とす
    る請求項7に記載の表面処理装置。
  9. 【請求項9】 前記高周波電源は、出力周波数が電子に
    対するカットオフ周波数より低いことを特徴とする請求
    項7または8に記載の表面処理装置。
  10. 【請求項10】 大気圧またはその近傍の圧力下にある
    処理ガスを高周波放電によりプラズマ化して被処理物に
    照射する表面処理装置において、前記被処理物に直流電
    圧を印加する直流電源を有することを特徴とする表面処
    理装置。
  11. 【請求項11】 前記処理ガスは、アルゴンと酸素との
    少なくとも一方とヘリウムとの混合ガスであることを特
    徴とする請求項7ないし10のいずれかに記載の表面処
    理装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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FR2855911A1 (fr) * 2003-06-05 2004-12-10 Semiconductor Leading Edge Tec Procede de fabrication d'une pellicule isolante multicouche pour un dispositif a semiconducteur
JP2015149423A (ja) * 2014-02-07 2015-08-20 株式会社日立ハイテクノロジーズ プラズマ処理方法

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