JP2000063813A - 潜熱蓄熱材の加熱方法及びそれを用いた蓄熱装置 - Google Patents

潜熱蓄熱材の加熱方法及びそれを用いた蓄熱装置

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JP2000063813A
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Masanori Yamazaki
正典 山崎
Hiroyuki Kakiuchi
博行 垣内
Masayoshi Yabe
昌義 矢部
Shoichi Chihara
彰一 千原
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 潜熱蓄熱材を効率的に短時間で融解させ、一
定時間内に蓄放熱サイクルを複数回行うことを可能にす
る潜熱蓄熱材の加熱方法及びそれを用いた蓄熱装置の提
供。 【解決手段】 1.少なくとも、潜熱蓄熱材を収蔵し、
該蓄熱材の加熱手段を備え、且つ伝熱壁を介して熱交換
を行う蓄熱槽を有する蓄熱装置において、該加熱手段が
遠赤外線ヒーター加熱及び/又は中赤外線ヒーター加熱
であることを特徴とする蓄熱装置。 2.潜熱蓄熱材を遠赤外線ヒーター加熱及び/又は中赤
外線ヒーター加熱により加熱することを特徴とする潜熱
蓄熱材の加熱方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、潜熱蓄熱材の加熱
方法及びそれを用いた蓄熱装置に関する。詳しくは、潜
熱蓄熱材を遠赤外線ヒーター加熱及び/又は中赤外線ヒ
ーター加熱により短時間で、効率的に加熱する方法及び
それを用いた蓄熱装置に関する。
【0002】
【従来の技術】蓄熱材は、大きく潜熱蓄熱型、顕熱蓄熱
型、化学蓄熱型の三つに分類できるが、装置の簡便さや
蓄熱密度等の観点から潜熱型蓄熱材が注目されている。
潜熱型蓄熱材は、比熱によって定まる顕熱だけでなく、
相変化に伴う潜熱を利用できることから狭い温度範囲で
大量の熱エネルギーを貯蔵、放出することが可能で一定
温度での熱の取り出しや装置の小型化等に利用検討が行
われている。
【0003】潜熱蓄熱材としては氷、硫酸ナトリウム十
水塩、塩化カルシウム六水塩、酢酸ナトリウム三水塩、
パラフィンワックス等が知られている。最近、高い相変
化温度を有する蓄熱材組成物として、エリスリトール、
マンニトール、ガラクチトール等の糖アルコールを用い
ることが提案されている(特開平5−32963号公
報、特公表63−500946号公報、米国特許第4,
395,517号明細書)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、糖アル
コールについては、相転移により放出する熱エネルギー
が大きいものの、これは蓄熱時に蓄熱材を融解する際に
大きな熱エネルギーを必要とすることを意味し、蓄熱に
長時間を要する。この蓄熱には、一般的に夜間電力を利
用してヒーター等を用いて蓄熱材を直接加熱する方法が
採られているが、蓄熱操作が非常に長時間に亘るため、
ある一定時間内幾度も蓄放熱サイクルを行わせるという
蓄熱装置の効率的な運転をすることができないという問
題がある。本発明の目的は、潜熱蓄熱材を効率的に短時
間で融解させ、一定時間内に蓄放熱サイクルを複数回行
うことを可能にする潜熱蓄熱材の加熱方法及びそれを用
いた蓄熱装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる事
情に鑑み鋭意検討した結果、多価アルコールのような潜
熱蓄熱材については、分子内水酸基の伸縮、回転振動に
基づく大きな電磁波吸収が、中赤外線領域及び遠赤外線
領域にあり、中赤外領域から遠赤外領域の全般に亘る波
長を効率的に吸収する。そして、この分子振動に基づく
波長の吸収は熱に変換されるため通常のヒーター加熱を
併用して用いることにより糖アルコールの融解を短時間
で効率的に行うことができることを見出し、本発明を完
成するに至った。
【0006】即ち、本発明の要旨は、 1.少なくとも潜熱蓄熱材を収蔵し、該蓄熱材の加熱手
段を備え、且つ伝熱壁を介して熱交換を行う蓄熱槽を有
する蓄熱装置において、該加熱手段が遠赤外線ヒーター
加熱及び/又は中赤外線ヒーター加熱であることを特徴
とする蓄熱装置 2.潜熱蓄熱材を遠赤外線ヒーター加熱及び/又は中赤
外線ヒーター加熱により加熱することを特徴とする潜熱
蓄熱材の加熱方法、にある。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の蓄熱装置は、少なくとも、潜熱蓄熱材を収蔵
し、該蓄熱材の加熱手段を備え、且つ伝熱壁を介して熱
交換を行う蓄熱槽を有する蓄熱装置であって、該加熱手
段として、遠赤外線ヒーター加熱及び/又は中赤外線ヒ
ーター加熱を具備してなるものである。
【0008】本発明の蓄熱装置を図面に基づいて説明す
る。図1は、本発明の蓄熱装置の一態様を示すフローチ
ャートである。図1において、蓄熱装置1は蓄熱材を収
蔵し、伝熱壁を介して熱交換を行う蓄熱槽2を有してい
る。蓄熱装置1は、熱源装置3に連結されている。熱源
装置3の材質、構造は利用される熱源に応じて適当なも
のを使用することができ、例えば、ゴミ焼却炉等の焼却
炉の熱エネルギーを利用するときは、炉内又は煙道に金
属製の管体(図示せず)を設置し、管体内に熱媒体を通
すことによって熱エネルギーを取り入れることができ
る。
【0009】蓄熱槽2と熱源装置3は、弁体4、5、6
及びポンプ7を介してループを形成しており、ポンプ7
を駆動することによって熱源装置3で取り入れた熱エネ
ルギーを蓄熱槽2に蓄えることができる。なお、蓄熱槽
2の内側には蓄熱材の加熱手段(図示せず)が蓄熱槽2
内の蓄熱量が減少した場合に利用側の流路を止めること
なく、蓄熱するために用いられる。
【0010】また、蓄熱装置1は熱交換器8を有し、被
加熱体流路9から導入された被加熱体を熱交換によって
加熱するように構成されている。熱交換器8と蓄熱槽2
は、弁体5、三方弁10、ポンプ11、弁体6を介して
ループを形成するように構成され、ポンプ11を駆動す
ることによって、蓄熱槽2で加熱された熱媒体を熱交換
器8に送給して被加熱体を加熱するようになっている。
【0011】なお、三方弁10は、蓄熱槽2から送られ
る加熱媒体と、バイパス管12を通して熱交換器8から
帰還する熱媒体との混合割合を調整するための弁体で、
熱交換器8の加熱温度調整に用いられる。なお、これら
に例示される本発明の蓄放熱装置には、圧力計、流量
計、過加熱防止装置、漏電防止装置、温度センサー、温
度制御装置、断熱材、補助ポンプ、減圧弁、或いは蓄熱
材の相転移等による熱媒体のオーバーフロー或いは減少
を吸収するための熱媒体補助タンク等を必要に応じて使
用する。
【0012】本発明の蓄熱装置を利用して蓄熱するとき
は、三方弁10を閉とし、弁体4、5、6を開としてポ
ンプ7を駆動すると、熱源装置3で加熱された熱媒体
は、弁体4、5を経由して蓄熱槽2に入り、伝熱壁を介
して蓄熱材に熱エネルギーを伝達する。熱源装置3で加
熱された熱媒体は、蓄熱材の融点より5℃以上、好まし
くは10℃以上高い温度となるように加熱される。熱媒
体によって熱エネルギーを与えられた蓄熱材は、固相状
態から液相状態への相転移による融解潜熱及び顕熱とし
て蓄熱される。蓄熱材を加熱して自体は冷却された熱媒
体は弁体6、ポンプ7を経由して熱源装置3で再度加熱
される。
【0013】蓄熱槽2内に蓄熱された熱エネルギーを利
用するときは、弁体4を閉とし、弁体5、三方バルブ1
0の弁体とポンプ11間の流路及び弁体6を開としてポ
ンプ11を駆動すると、蓄熱槽2の蓄熱材によって加熱
された熱媒体は、三方弁10、ポンプ11を経由して熱
交換器8に送給され、被加熱体流路9から送給される被
加熱体を加熱する。一方、潜熱を放出した蓄熱材は固相
に転移する。
【0014】被加熱体を加熱した熱媒体は弁体6を経由
して蓄熱槽2に入り再度加熱される。熱交換器8の加熱
温度は、三方弁10の調整によって、蓄熱槽2で加熱さ
れた熱媒体と、バイパス管12を経由して熱交換器8を
循環する熱媒体の混合比を調整することによって調整す
ることができる。また、被加熱体を加熱するときに熱源
装置3が熱エネルギーを放出しているときには、バルブ
4を開として熱源装置3からの熱媒体をそのまま、或い
は蓄熱槽2で加熱された媒体と混合して熱交換器8に送
給することもできる。本発明にいう蓄熱装置の実施形態
として具体的には、カプセル型蓄熱装置、シェル&チュ
ーブ型蓄熱装置、アイスオンコイル型蓄熱装置、プレー
ト型蓄熱装置等が好ましく挙げられるが、これらの中、
シェル&チューブ型及びアイスオンコイル型が好まし
い。
【0015】シェル&チューブ型は図2に示すように、
槽体13を有し、槽体13には熱媒体の導出入口14a
から主管15が延び、主管15には多数の支管16が連
結され、支管16の他端は、他方の導出入口側の主管1
7に連結されており、他方の熱媒体導出入口14bから
他の機構に送給されるように構成されている。前記の主
管15、17及び支管16は伝熱壁に該当し、主管1
5、17及び支管16の外側の蓄熱室18には蓄熱材が
充填され、且つ蓄熱材の加熱手段19が設けられてい
る。
【0016】アイスオンコイル型は図3に示すように、
槽体13を有し、槽体13には熱媒体の導出入口14a
からコイル20が延び、コイル20は枝分かれせずに、
ある一定のピッチと配列をもって槽体13内を巡ってお
り、他方の導出入口14bから他の機構に送給されるよ
うに構成されている。前記のコイル20は伝熱壁に該当
し、コイル20の外側の蓄熱室18には蓄熱材が充填さ
れ、且つ蓄熱材の加熱手段19が設けられている。
【0017】本発明にいう伝熱壁とは、蓄熱材と、蓄熱
材に熱の受け渡しをする熱媒体との間に介在する固体壁
を指す。伝熱壁の材質としては既知の配管用材質であれ
ばよく、銅、ステンレス、アルミ、亜鉛メッキ炭素鋼等
の金属類;ポリフェニレンエーテル、架橋ポリオレフィ
ン、ポリフェニレンスルフィド等の樹脂類を任意に使用
することができる。また、伝熱壁の成形方法としては既
知の成形方法であれば何ら制限はない。なお、伝熱壁と
しては、通常、金属製のチューブが用いられる。
【0018】なお、本発明における潜熱蓄熱材と熱媒体
との間で熱交換を行う工程とは、低温の潜熱蓄熱材組成
物が高温の熱媒体により加熱される蓄熱工程及び高温の
潜熱蓄熱材組成物が低温の熱媒体により冷却される放熱
工程から少なくとも構成される工程を指す。本発明にい
う熱媒体としては、既知のものを任意の組成にて使用す
ることができる。例としては、流動パラフィン等の飽和
炭化水素系オイル、ハロゲン化ビフェニル等の芳香族炭
化水素系オイル、空気、窒素、アルゴン、水、水蒸気、
シリコーンオイル、グリコール水溶液等が挙げられる。
これらの中、通常、水が用いられる。
【0019】本発明に用いられる潜熱蓄熱材の加熱手段
とは、遠赤外線ヒーター加熱及び/又は中赤外線ヒータ
ー加熱である。ここで、遠赤外線ヒーター加熱とは、波
長4〜400ミクロンを含む電磁波及びヒーターの両方
を用いて加熱する手段のことをいい、ヒーター及び遠赤
外線を含む電磁波放射部分が一体であっても分かれてい
ても良い。通常は、ヒーター表面に遠赤外線を効率よく
放射するセラミックス等をコーティングし、ヒーター加
熱によって遠赤外線が同時に放射される遠赤外線ヒータ
ーを用いる。多価糖アルコールは、遠赤外線を良く吸収
するが、更に効率よく蓄熱材を融解するために蓄熱材の
周囲にある容器及び装置内部等を黒色にし、遠赤外線吸
収効果及び加熱効果を高めることも効果的である。更
に、多価糖アルコール等の潜熱蓄熱材に蓄熱量を損わな
い範囲において遠赤外線及び/又は中赤外線を良く吸収
する物質、例えば黒色物質等を混合しても良い。これら
の物質は、多価糖アルコールの使用温度範囲、100〜
200℃で酸化、分解等を引き起こさない物質がよい。
【0020】中赤外線ヒーター加熱とは、波長2〜4ミ
クロンを含む電磁波及びヒーターの両方を用いて加熱す
る手段のことをいい、ヒーター及び遠赤外線を含む電磁
波放射部分が一体であっても分かれていても良い。通常
は、ヒーター表面に中赤外線を効率よく放射するセラミ
ックス等をコーティングし、ヒーター加熱によって中赤
外線が同時に放射される中赤外線ヒーターを用いる。多
価糖アルコールは、中赤外線を良く吸収するが、更に効
率よく蓄熱材を融解するために蓄熱材の周囲にある容器
及び装置内部等を黒色にし、中赤外線吸収効果及び加熱
効果を高めることも効果的である。更に、多価糖アルコ
ール等の潜熱蓄熱材に蓄熱量を損わない範囲において遠
赤外線及び/又は中赤外線を良く吸収する物質、例えば
黒色物質等を混合しても良い。これらの物質は、多価糖
アルコールの使用温度範囲、100〜200℃で酸化、
分解等を引き起こさない物質がよい。
【0021】また、本加熱方法においては、特に中赤外
線、遠赤外線のみを発生するヒーターに制限されない。
多価糖アルコールでは中赤外線、遠赤外線の何れも良く
吸収するため、中赤外、遠赤外の波長を含む電磁波であ
れば何れの電磁波も用いることができる。従って、波長
2〜400ミクロンの電磁波成分を含むものであれば、
効率的に蓄熱材を融解することが可能である。
【0022】なお、ヒーターの配置の仕方や伝熱面積の
向上のためにフィン等を設けることである程度の加熱効
率向上は望めるもののヒーター加熱では基本的にはヒー
ター伝面の局部的な加熱であるために蓄熱材融解に際し
ては蓄熱材の対流及び伝熱のみによる融解にならざるを
得ず、融解に長時間を要する。一方で、遠赤外線及び/
又は中赤外線ヒーターでは蓄熱材をヒーターによる加熱
のみならず、電磁波吸収による分子運動を熱として変換
可能であるために、蓄熱材を内部より加熱することが可
能で非常に加熱効率が良く、従って、蓄熱装置の効率的
且つ自由度の大きな使用法が可能となる。
【0023】本発明に用いられる潜熱蓄熱材としては、
分子内に遠赤外〜中赤外の領域に吸収波長を有する化合
物であれば、特に限定はされないが、蓄熱量が大きく、
融解に長時間を要するため、本加熱方法により融解効率
を大巾に改善できるという観点から、多価糖アルコール
類を主成分として含む潜熱蓄熱材組成物が好ましい。こ
の場合、糖アルコール類の含有率は、通常、10〜10
0重量%、好ましくは30〜100重量%である。
【0024】多価糖アルコール類については、炭素数4
以上のものが好ましく、その具体例としては、例えばエ
リスリトール、D−スレイトール、L−スレイトール、
キシリトール、リビトール、マンニトール、ソルビトー
ル、ガラクチトール、D−アラビトール、アリトール、
イジトール、タリトール、ペンタエリスリトール、トリ
メチロールプロパン、トリメチロールエタン等が挙げら
れる。これらの中、120℃付近に融点を持ち、蓄熱密
度が高く、結晶性に優れた安価な材料として、meso
−エリスリトールが好ましい。
【0025】本発明の潜熱蓄熱材組成物には副成分とし
て、主成分となる化合物に相溶し、共晶可能なものを添
加することができる。その添加量については主成分の蓄
熱材性能を著しく損わない範囲、通常は、重量で主成分
量を越えない範囲で使用することができる。本発明の潜
熱蓄熱材組成物については、過冷却を防止するため、必
要に応じて過冷却防止剤を添加することができ、過冷却
防止剤としては、水に難溶性の無機塩が好ましい。水に
難溶性とは、25℃の水100gに対して5g以上溶解
しないことを意味する。このような無機塩の具体例とし
ては、例えば、炭酸カルシウム、リン酸三カルシウム、
硫酸カルシウム、ピロリン酸カルシウム、リン酸アルミ
ニウム、リン酸銀、硫酸銀、塩化銀、ヨウ化銀等が挙げ
られる。これらは、単独又は組み合わせて用いることが
できる。
【0026】また、本発明の潜熱蓄熱材組成物には、熱
安定剤、難燃剤、増粘剤、ゲル化剤、酸化防止剤、熱伝
導性改良剤等の添加剤を適宜使用することができる。本
発明にいう過冷却状態とは、蓄熱材が融点以下に冷却さ
れても結晶化せず、液相状態を維持している状態をさ
す。また、シェル&チューブ型蓄熱装置において、蓄熱
材の相転移に伴う容積変化を吸収するために、蓄熱槽内
に減圧或いは加圧された空隙を設けておくことも重要な
技術である。
【0027】本発明の蓄熱材組成物の用途を説明する
が、用途はこれらに限定されるものではない。給湯目的
では深夜電力を利用した蓄熱式電気温水器がある。シス
テムを複合化させれば24時間風呂とも共用が可能であ
る。暖房目的では蓄熱式床暖房システムがある。また、
北欧等寒い地域で自動車のエンジン始動時に触媒温度が
上がるまで、触媒の活用が上がらず有害なガスが排出さ
れる問題がある。この問題を解決するために、走行時の
ラジエターの熱を蓄熱しておき、始動時に利用して昇温
を加速することも考えられる。ラジエター内の熱触媒は
不凍液(エチレングリコール水溶液)であるが、走行中
の液温は90℃前後である。
【0028】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明
するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施
例に限定されるものではない。
【0029】実施例1 多価糖アルコールであるエリスリトール(三菱化学フー
ズ社製)1gを乳鉢で磨潰し、近赤外〜遠赤外領域の吸
収スペクトルを測定した。結果を表1に示す。特に吸収
強度の大きい領域の吸収スペクトル範囲を波数(波長の
逆数)で示した。
【0030】実施例2 次にエリスリトール200gを高さ15cm、直径4.
5cmのガラス製容器に入れ、これに遠赤外線ヒーター
(30W、ヒーター部表面積110cm2 )を投入して
エリスリトールを融解した。遠赤外線ヒーターから放射
される波長は2〜10ミクロンのものを用いた。ヒータ
ー表面温度は140℃になるように温度コントロール装
置によりヒーターをオンオフ制御してコントロールし
た。このときの融解時間を測定した。なお、ガラス製容
器は特に断熱を施さずにそのまま用いた。結果を表2に
示す。
【0031】比較例1 次にエリスリトール200gを高さ15cm、直径4.
5cmのガラス製容器に入れ、これに通常の投げ込み式
のヒーター(30W、ヒーター部表面積110cm2
を投入してエリスリトールを融解した。ヒーター表面温
度は140℃になるように温度コントロール装置により
ヒーターをオンオフ制御してコントロールした。このと
きの融解時間を測定した。なお、ガラス製容器は特に断
熱を施さずにそのまま用いた。結果を表2に示す。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】
【発明の効果】以上、本発明によれば、遠赤外域から中
赤外域の電磁波を放出する加熱ヒーターを用いることで
効率よく短時間に蓄熱材を融解することができ、本加熱
方法を用いた装置では、従来不可能であった時間内で複
数回の蓄熱放熱サイクルを行うことが可能であることが
分かる。特に多価糖アルコールを用いた蓄熱材では、遠
赤外域、中赤外域の電磁波吸収が顕著で、蓄熱時間を大
幅に短縮可能で、蓄熱装置運転に関して、目的に応じた
蓄放熱サイクルを効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の蓄熱装置の一形態を示す概念図。
【図2】本発明のシェル&チューブ型蓄熱装置の蓄熱槽
の一形態を示す縦断面図。
【図3】本発明のアイスオンコイル型蓄熱装置の蓄熱槽
の一形態を示す縦断面図。
【符号の説明】
1 蓄熱装置 2 蓄熱槽 3 熱源装置 4 弁体 5 弁体 6 弁体 7 ポンプ 8 熱交換器 9 被加熱体流路 10 三方弁 11 ポンプ 12 バイパス管 13 槽体 14a 熱媒体入口 14b 熱媒体出口 15 主管 16 支管 17 主管 18 蓄熱室 19 加熱手段 20 コイル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 矢部 昌義 茨城県稲敷郡阿見町中央八丁目3番1号 三菱化学株式会社筑波研究所内 (72)発明者 千原 彰一 茨城県稲敷郡阿見町中央八丁目3番1号 三菱化学株式会社筑波研究所内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも、潜熱蓄熱材を収蔵し、該蓄
    熱材の加熱手段を備え、且つ伝熱壁を介して熱交換を行
    う蓄熱槽を有する蓄熱装置において、該加熱手段が遠赤
    外線ヒーター加熱及び/又は中赤外線ヒーター加熱であ
    ることを特徴とする蓄熱装置。
  2. 【請求項2】 蓄熱装置がシェルアンドチューブ型又は
    アイスオンコイル型であることを特徴とする請求項1に
    記載の蓄熱装置。
  3. 【請求項3】 遠赤外線ヒーター加熱及び/又は中赤外
    線ヒーター加熱において、加熱媒体が2〜400ミクロ
    ンの波長を含む電磁波を放射することを特徴とする請求
    項1又は2に記載の蓄熱装置。
  4. 【請求項4】 潜熱蓄熱材が炭素数4以上の多価糖アル
    コールを主成分とすることを特徴とする請求項1ないし
    3のいずれかに記載の蓄熱装置。
  5. 【請求項5】 炭素数4以上の多価糖アルコールがエリ
    スリトール、マンニトール又はガラクチトールを主成分
    として含むことを特徴とする請求項4に記載の蓄熱装
    置。
  6. 【請求項6】 潜熱蓄熱材を遠赤外線ヒーター加熱及び
    /又は中赤外線ヒーター加熱により加熱することを特徴
    とする潜熱蓄熱材の加熱方法。
  7. 【請求項7】 遠赤外線ヒーター加熱及び/又は中赤外
    線ヒーター加熱において、加熱媒体が2〜400ミクロ
    ンの波長を含む電磁波を放射することを特徴とする請求
    項6に記載の潜熱蓄熱材の加熱方法。
  8. 【請求項8】 潜熱蓄熱材が炭素数4以上の多価糖アル
    コールを主成分とすることを特徴とする請求項6又は7
    に記載の潜熱蓄熱材の加熱方法。
  9. 【請求項9】 炭素数4以上の多価糖アルコールがエリ
    スリトール、マンニトール又はガラクチトールを主成分
    として含むことを特徴とする請求項6ないし8のいずれ
    かに記載の潜熱蓄熱材の加熱方法。
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