JP2000060643A - 歯ブラシの製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 毛束を無駄に使用することがなく、製造コス
トを低減することができるとともに、毛束先端面の輪郭
付けが一定となり、高品質で使用感に優れた歯ブラシを
製造できるインモールド法による歯ブラシの製造方法を
提供する。 【解決手段】 毛束４を規定寸法に切断した後、毛束圧
縮プレート６の毛束圧縮孔に挿入して規定の充填率まで
圧縮し、一対の輪郭付けピン８，８を圧縮された毛束４
の両端面に押し当てて毛束両端面の輪郭付けを行なった
後、該輪郭付けによって生じた毛束４の埋設側基端部端
面の不要な凹凸を切り落として平面状に整形し、次い
で、金型内に臨まされた毛束基端部を熱的手段で溶かし
て溶融肥大部を形成した後、金型内に熱可塑性樹脂を注
入して溶融肥大部を含む毛束基端部を歯ブラシヘッド部
に埋設し、該成形完了後、歯ブラシを金型から取り出し
て毛先を研磨加工して完成品とする。

Description

【発明の詳細な説明】 【０００１】 【発明の属する技術分野】本発明は、インモールド法に
よる歯ブラシの製造方法に関する。 【０００２】 【従来の技術】インモールド法によって製造される歯ブ
ラシにおいて植毛される毛束の輪郭付けを行なう方法
は、例えば、特開平２−１１１３０５号で提案されてい
る。この先願に係る方法は、毛束の一定寸法切断、毛束
の締め付け、研磨による毛束先端の輪郭付け、不要部分
の切断、インモールド法によるブラシヘッド部への埋設
の順で構成されている。 【０００３】 【発明が解決しようとする課題】上記先願方法の場合、
毛束を一定寸法に切断した後、研磨によって毛束先端の
輪郭付けを行うため、一定寸法に切断された毛束先端側
の揺動部分（毛腰によって自由に揺れ動く部分）の有効
寸法が少なくなり、良好な研磨を行なって良好な輪郭付
けをうことが難しい。一方、毛束先端側の揺動部分を長
くして良好な研磨を行なうために、切断する毛束の寸法
を必要以上に長くすると、輪郭付け後に切断して廃棄す
る不要な毛束部分が多くなり、不経済となってコスト上
昇の原因となる。 【０００４】本発明は、上記のような問題を解決するた
めになされたもので、歯ブラシを製造する際に毛束を無
駄に使用することがなく、製造コストを低減することが
できるとともに、毛束先端面の輪郭付けが一定となり、
高品質で使用感に優れた歯ブラシを製造することができ
るインモールド法による歯ブラシの製造方法を提供する
ことを目的とする。 【０００５】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明方法は、熱可塑性樹脂からなる複数本の刷毛
を束ねた毛束を規定寸法に切断した後、毛束圧縮プレー
トの毛束圧縮孔に挿入して規定の充填率まで圧縮し、前
記毛束圧縮孔の左右の孔端面から一対の輪郭付けピンを
挿入し、前記圧縮された毛束の両端面に押し当てて毛束
両端面の輪郭付けを行なった後、該輪郭付けによって生
じた毛束の埋設側基端部端面の不要な凹凸を切り落とし
て平面状に整形し、次いで、前記輪郭付けされた毛束を
インモールド用成形金型の毛束挿入孔に挿入してその基
端部を金型内に臨ませ、該金型内に臨まされた毛束基端
部を熱的手段で溶かして溶融肥大部を形成した後、金型
内に熱可塑性樹脂を注入して溶融肥大部を含む毛束基端
部を歯ブラシヘッド部に埋設し、該インモールド法によ
る成形完了後、歯ブラシを金型から取り出して毛先を研
磨加工して完成品とするものである。 【０００６】 【発明の実施の形態】本発明の実施の形態について図面
を参照して説明する。図１〜図１６は本発明方法による
歯ブラシの製造工程の模式説明図であって、製造開始
（図１）から毛先先端の研磨による歯ブラシ完成（図１
６）までの全工程を順を追って図示したものである。以
下、これらの図に従って本発明方法を詳細に説明する。 【０００７】（１）毛束の一定寸法切断処理 図１において、１は第１クランプ、２は第２クランプ、
３は移送プレート、３ａは移送プレート３に形成された
毛束挿入孔、４は熱可塑性樹脂からなる刷毛（フィラメ
ント）を複数本束ねて構成された毛束である。この図１
は毛束保持の初期状態、すなわち、歯ブラシの製造開始
状態を示すもので、歯ブラシヘッド部に埋め込むための
所要個の毛束４を第１および第２クランプ１，２に差し
通した後、第１クランプ１のみによって毛束４を定位置
に保持する。 【０００８】次に、図２に示すように、開放状態にある
第２クランプ２を前進させて移送プレート３に当接させ
た後、図３に示すように、毛束４を保持したまま第１ク
ランプ１を第２クランプ２に当接するまで前進させる。
これによって、各毛束４も第１クランプ１と一緒になっ
て前進し、各毛束４は図示するように移送プレート３の
毛束挿入孔３ａ内に挿入される。 【０００９】次に、図４に示すように、第２クランプ２
によって毛束４を保持し、第１クランプ１の保持を開放
して元の位置まで後退させた後、図５に示すように、第
１クランプ１によって毛束４を保持し、第２クランプの
保持を開放して元の位置まで後退させる。これによっ
て、毛束４は第１のクランプ１の進退した距離だけ前方
へ送り出される。したがって、予めこの第１のクランプ
１の進退する距離を歯ブラシヘッド部に植毛する毛束の
規定寸法長に設定しておけば、毛束４を規定寸法だけ前
方へ押し出すことができる。 【００１０】次に、図６に示すように、第１および第２
クランプ１，２によって毛束４を保持しながらカッター
５で毛束４を切断し、すべての毛束４を植毛に必要な規
定の寸法に切断して切り揃える。そして、図７に示すよ
うに、第２クランプ２を開放し、第１クランプ１に当接
する位置まで完全に後退させ、毛束４の一定寸法切断処
理を終了する。 【００１１】なお、前記第１クランプ１は、毛束の形状
に対応した孔形状のものを複数組用意しておき、埋設す
る毛束の形状に応じて使い分けることが望ましい。なぜ
なら、このクランプは、左右のプレートの間に挟まれた
真ん中の移動プレートを上下に動かすことにより、毛束
をはさみ付けてクランプするものであるため、毛束の形
状によってはクランプ力（圧縮保持力）が変わるおそれ
があるからである。 【００１２】（２）毛束の圧縮処理 次に、図８に示すように、規定寸法に切り揃えられた毛
束４を挿入された移送プレート３の一方の側面（図では
右側面）に毛束圧縮プレート６を当接して沿わせた後、
反対側の側面（図では左側面）から第１押し込みピン７
を用いて各毛束４を毛束圧縮プレート６の毛束圧縮孔６
ａ内に押し込んでいき、図９に示すように、規定寸法に
切り揃えられた毛束４を半径方向に圧縮する。なお、こ
の毛束圧縮プレート６の毛束圧縮孔６ａは、所定径から
なる刷毛を所定本数束ねて押し込んだときに所定の充填
率となるように予めその孔径が設定されている。 【００１３】（３）毛束端面の輪郭付け処理 次に、図１０に示すように、前記毛束圧縮孔６ａの左右
の孔端面から一対の輪郭付けピン８，８を挿入して前進
させ、この輪郭付けピン８，８を毛束４の両端面に押し
当てることにより、毛束両端面の輪郭付けを行なう。な
お、この毛束端面の輪郭形状としては、例えば、山切り
カット、斜めカット、凸状カット、凹状カットなど、周
知の毛先形状を採用することができる。 【００１４】次に、図１１に示すように、毛先側を構成
する左側の輪郭付けピン８を僅かな距離だけ前進させ、
反対側の埋設側基端部端面（図では右側の先端面）に前
記輪郭付けによって発生した不要な凹凸をカッター９に
よって切り落とし、その端面をこの後に続く溶融肥大部
の形成処理に都合のよい平らな面に整形し直す。 【００１５】（４）溶融肥大部の形成処理 次に、図１２に示すように、毛束圧縮プレート６の金型
設置面側（図では右側）にカセット金型１０を沿わせる
とともに、反対面側（図では左側）に第２の押し出しピ
ン１１を配置する。そして、この第２の押出ピン１１を
前進させることによって、毛束圧縮プレート６の毛束圧
縮孔６ａ内に入っている毛束４をカセット金型１０の毛
束挿入孔１０ａに押し込んでいき、最終的な毛束の圧縮
を行なうと同時に、図１３に示すように、各毛束４をカ
セット金型１０内の所定の位置に位置決めし、毛束４の
埋設側基端部が金型内に規定の寸法だけ突出して臨むよ
うに設定する。 【００１６】次に、図１４に示すように、平面熱板１２
などの熱的手段を毛束基端部に直接接触させ、あるいは
非接触状態で間接的に当てることにより、毛束基端部を
溶かして溶融肥大部４ａを形成し、この溶融肥大部４ａ
によって毛束４を構成する複数本の刷毛を一体化すると
同時に、毛束４を歯ブラシヘッド部へ埋設した際のアン
カーとする。 【００１７】（５）インモールド法による歯ブラシの成
形処理 次に、図１５に示すように、カセット金型１０を射出成
形機の成形金型１３，１３の所定位置（ヘッド部位置）
に挿入配置した後、図１６に示すように、左右の金型１
３，１３同士を突き合わせ、金型のキャビティ内に熱可
塑性樹脂１４を注入する。これによって、溶融肥大部４
ａを含む毛束４の基端部が歯ブラシヘッド部に埋設され
るとともに、歯ブラシヘッド部に続く首部、柄部も一体
成形される。 【００１８】（６）毛先の研磨処理 そして、金型内に注入した樹脂が冷却・固化した後、成
形された歯ブラシ１５を金型内から取り出し、図１７に
示すように、毛先研磨装置１６によってその毛先を研磨
した後、完成品として出荷される。なお、この毛先研磨
装置１６による研磨はあくまでも毛先を磨いて綺麗にす
るためのものであり、従来方法のように毛束先端の輪郭
付けを行なうものではない。 【００１９】上記各処理工程からわかるように、本発明
方法の場合、使用する毛束にまったく無駄がなくなり、
従来のように研磨後不要部分を切り取って廃棄するとい
うようなことがなくなる。 【００２０】 【発明の効果】以上説明したように、本発明方法による
ときは、毛束圧縮プレートの毛束圧縮孔内で輪郭付けピ
ンを用いて埋設する毛束端面の輪郭付けを行ない、この
輪郭付けされた毛束をインモールド法によってブラシヘ
ッド部に埋設するようにしているので、使用する毛束に
無駄な部分が生じることがなく、従来方法のように不要
な部分を切断して廃棄するなどの無駄がなくなり、歯ブ
ラシ製造におけるコスト低減を図ることができる。ま
た、輪郭付けピンによって毛束先端面を所望の形状に輪
郭付けするので、従来の研磨加工による輪郭付けに比
べ、毛束先端面に形成される輪郭形状が一定となり、高
品質で使用感に優れた歯ブラシを得ることができる。

【図面の簡単な説明】 【図１】本発明方法の第１処理工程の模式説明図であ
る。 【図２】本発明方法の第２処理工程の模式説明図であ
る。 【図３】本発明方法の第３処理工程の模式説明図であ
る。 【図４】本発明方法の第４処理工程の模式説明図であ
る。 【図５】本発明方法の第５処理工程の模式説明図であ
る。 【図６】本発明方法の第６処理工程の模式説明図であ
る。 【図７】本発明方法の第７処理工程の模式説明図であ
る。 【図８】本発明方法の第８処理工程の模式説明図であ
る。 【図９】本発明方法の第９処理工程の模式説明図であ
る。 【図１０】本発明方法の第１０処理工程の模式説明図で
ある。 【図１１】本発明方法の第１１処理工程の模式説明図で
ある。 【図１２】本発明方法の第１２処理工程の模式説明図で
ある。 【図１３】本発明方法の第１３処理工程の模式説明図で
ある。 【図１４】本発明方法の第１４処理工程の模式説明図で
ある。 【図１５】本発明方法の第１５処理工程の模式説明図で
ある。 【図１６】本発明方法の第１６処理工程の模式説明図で
ある。 【図１７】本発明方法の最終処理工程の模式説明図であ
る。 【符号の説明】 １ 第１クランプ ２ 第２クランプ ３ 移送プレート ３ａ 毛束挿入孔 ４ 毛束 ４ａ 溶融肥大部 ５ カッター ６ 毛束圧縮プレート ６ａ 毛束圧縮孔 ７ 第１押し込みピン ８ 輪郭付けピン ９ カッター １０ カセット金型 １０ａ 毛束挿入孔 １１ 第２押し込みピン １２ 平面熱板（熱的手段） １３ 成形金型 １４ 熱可塑性樹脂 １５ 歯ブラシ １６ 毛先研磨装置

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 【請求項１】 熱可塑性樹脂からなる複数本の刷毛を束
   ねた毛束を規定寸法に切断した後、毛束圧縮プレートの
   毛束圧縮孔に挿入して規定の充填率まで圧縮し、 前記毛束圧縮孔の左右の孔端面から一対の輪郭付けピン
   を挿入し、前記圧縮された毛束の両端面に押し当てて毛
   束両端面の輪郭付けを行なった後、該輪郭付けによって
   生じた毛束の埋設側基端部端面の不要な凹凸を切り落と
   して平面状に整形し、 次いで、前記輪郭付けされた毛束をインモールド用成形
   金型の毛束挿入孔に挿入してその基端部を金型内に臨ま
   せ、 該金型内に臨まされた毛束基端部を熱的手段で溶かして
   溶融肥大部を形成した後、金型内に熱可塑性樹脂を注入
   して溶融肥大部を含む毛束基端部を歯ブラシヘッド部に
   埋設し、 該インモールド法による成形完了後、歯ブラシを金型か
   ら取り出して毛先を研磨加工して完成品とすることを特
   徴とする歯ブラシの製造方法。