JP2000058863A - 半導体装置 - Google Patents

半導体装置

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JP2000058863A
JP2000058863A JP23025399A JP23025399A JP2000058863A JP 2000058863 A JP2000058863 A JP 2000058863A JP 23025399 A JP23025399 A JP 23025399A JP 23025399 A JP23025399 A JP 23025399A JP 2000058863 A JP2000058863 A JP 2000058863A
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semiconductor
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nickel
thin film
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JP23025399A
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English (en)
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Koyu Cho
宏勇 張
Toru Takayama
徹 高山
Yasuhiko Takemura
保彦 竹村
Shoji Miyanaga
昭治 宮永
Hisashi Otani
久 大谷
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Semiconductor Energy Laboratory Co Ltd
Original Assignee
Semiconductor Energy Laboratory Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 キャリアの移動度の高い半導体装置を得る。 【解決手段】 基板上に設けられた薄膜トランジスタを
有する半導体装置であって、前記薄膜トランジスタは、
結晶性を有し、かつチャネル形成領域を含む半導体膜を
有しており、前記半導体膜において結晶粒界は一定の方
向に存在しており、前記結晶粒界の方向は、チャネル形
成領域においてキャリアが移動する方向と±20°程度
の範囲で一致していることを特徴とする半導体装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガラス等の絶縁基
板上に設けられたTFT(薄膜トランジスタ)を有する
半導体装置及びその作製方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ガラス等の絶縁基板上にTFTを有する
半導体装置としては、これらのTFTを画素の駆動に用
いるアクティブ型液晶表示装置やイメージセンサー等が
知られている。
【0003】これらの装置に用いられるTFTには、薄
膜状の珪素半導体を用いるのが一般的である。薄膜状の
珪素半導体としては、非晶質珪素半導体(a−Si)か
らなるものと結晶性を有する珪素半導体からなるものの
2つに大別される。非晶質珪素半導体は作製温度が低
く、気相法で比較的容易に作製することが可能で量産性
に富むため、最も一般的に用いられているが、導電率等
の物性が結晶性を有する珪素半導体に比べて劣るため、
今後より高速特性を得る為には、結晶性を有する珪素半
導体からなるTFTの作製方法の確立が強く求められて
いた。尚、結晶性を有する珪素半導体としては、多結晶
珪素、微結晶珪素、結晶成分を含む非晶質珪素、結晶性
と非晶質性の中間の状態を有するセミアモルファス珪素
等が知られている。
【0004】これら結晶性を有する薄膜状の珪素半導体
を得る方法としては、 (1) 成膜時に結晶性を有する膜を直接成膜する。 (2) 非晶質の半導体膜を成膜しておき、レーザー光
のエネルギーにより結晶性を有せしめる。 (3) 非晶質の半導体膜を成膜しておき、熱エネルギ
ーを加えることにより結晶性を有せしめる。 と言った方法が知られている。しかしながら、(1)の
方法は良好な半導体物性を有する膜を基板上に全面に渡
って均一に成膜することが技術上困難であり、また成膜
温度が600℃以上と高いので、安価なガラス基板が使
用できないというコストの問題もあった。また、(2)
の方法は、現在最も一般的に使用されているエキシマレ
ーザーを例にとると、レーザー光の照射面積が小さいた
め、スループットが低いという問題がまずあり、また大
面積基板の全面を均一に処理するにはレーザーの安定性
が充分ではなく、次世代の技術という感が強い。(3)
の方法は、(1)、(2)の方法と比較すると大面積に
対応できるという利点はあるが、やはり加熱温度として
600℃以上の高温にすることが必要であり、安価なガ
ラス基板を用いることを考えると、さらに加熱温度を下
げる必要がある。特に現在の液晶表示装置の場合には大
画面化が進んでおり、その為ガラス基板も同様に大型の
物を使用する必要がある。この様に大型のガラス基板を
使用する場合には、半導体作製に必要不可欠な加熱工程
における縮みや歪みといったものが、マスク合わせ等の
精度を下げ、大きな問題点となっている。特に現在最も
一般的に使用されている7059ガラスの場合には、歪
み点が593℃であり、従来の加熱結晶化方法では大き
な変形を起こしてしまう。また、温度の問題以外にも現
在のプロセスでは結晶化に要する加熱時間が数十時間以
上にも及ぶので、さらにその時間を短くすることも必要
である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
を解決する手段を提供するものである。より具体的には
非晶質珪素からなる薄膜を加熱により結晶化させる方法
を用いた、結晶性を有する珪素半導体からなる薄膜の作
製方法において、結晶化に必要な温度の低温化と時間の
短縮を両立するプロセスを提供することをその目的とす
る。勿論、本発明で提供されるプロセスを用いて作製し
た結晶性を有する珪素半導体は、従来技術で作製された
ものと同等以上の物性を有し、TFTの活性層領域にも
使用可能なものであることは言うまでもないことであ
る。
【0006】〔発明の背景〕本発明人らは、上記従来の
技術の項で述べた、非晶質の珪素半導体膜をCVD法や
スパッタ法で成膜し、該膜を加熱によって結晶化させる
方法について、以下のような実験及び考察を行った。
【0007】まず実験事実として、ガラス基板上に非晶
質珪素膜を成膜し、この膜を加熱により結晶化させるメ
カニズムを調べると、結晶成長はガラス基板と非晶質珪
素との界面から始まり、ある程度の膜厚以上では基板表
面に対して垂直な柱状に進行することが認められた。
【0008】上記現象は、ガラス基板と非晶質珪素膜と
の界面に、結晶成長の基となる結晶核(結晶成長の基と
なる種)が存在しており、その核から結晶が成長してい
くことに起因すると考察される。このような結晶核は、
基板表面に微量に存在している不純物金属元素やガラス
表面の結晶成分(結晶化ガラスと呼ばれるように、ガラ
ス基板表面には酸化珪素の結晶成分が存在していると考
えられる)であると考えられる。
【0009】そこで、より積極的に結晶核を導入するこ
とによって結晶化温度の低温化が可能ではないかと考
え、その効果を確認すべく、他の金属を微量に基板上に
成膜し、その上に非晶質珪素からなる薄膜を成膜、その
後加熱結晶化を行う実験を試みた。その結果、幾つかの
金属を基板上に成膜した場合においては結晶化温度の低
下が確認され、異物を結晶核とした結晶成長が起こって
いることが予想された。そこで低温化が可能であった複
数の不純物金属について更に詳しくそのメカニズムを調
査した。
【0010】結晶化は、初期の核生成と、その核からの
結晶成長の2段階に分けて考えることができる。ここ
で、初期の核生成の速度は、一定温度において点状に微
細な結晶が発生するまでの時間を測定することによって
観測されるが、この時間は上記不純物金属を成膜した薄
膜ではいずれの場合も短縮され、結晶核導入の結晶化温
度低温化に対する効果が確認された。しかも予想外のこ
とであるのだが、核生成後の結晶粒の成長を加熱時間を
変化させて調べたところ、ある種の金属を成膜後、その
上に成膜した非晶質珪素薄膜の結晶化においては、核生
成後の結晶成長の速度までが飛躍的に増大することが観
測された。このメカニズムについては後ほど詳しく述べ
ることにする。
【0011】いずれにしろ、上記2つの効果により、あ
る種の金属を微量に成膜した上に非晶質珪素からなる薄
膜を成膜、その後加熱結晶化した場合には、従来考えら
れなかったような、580℃以下の温度で4 時間程度の
時間で十分な結晶性が得られることが判明した。この様
な効果を有する不純物金属の中で、最も効果が顕著であ
り、我々が選択した材料がニッケルである。
【0012】ニッケルがどの程度の効果を有するのか一
例を挙げると、なんら処理を行なわない、即ちニッケル
の微量な薄膜を成膜していない基板上(コーニング70
59)にプラズマCVD法で形成された非晶質珪素から
なる薄膜を窒素雰囲気中での加熱によって、結晶化する
場合、その加熱温度として600℃とした場合、加熱時
間として10時間以上の時間を必要としたが、ニッケル
の微量な薄膜を成膜した基板上の非晶質珪素からなる薄
膜を用いた場合には、4時間程度の加熱において同様な
結晶化状態を得るこができた。尚この際の結晶化の判断
はラマン分光スペクトルを利用した。このことだけから
も、ニッケルの効果が非常に大きいことが判るであろ
う。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記説明から判る様に、
ニッケルの微量な薄膜を成膜した上から、非晶質珪素か
らなる薄膜を成膜した場合、結晶化温度の低温化及び結
晶化に要する時間の短縮が可能である。そこで、このプ
ロセスをTFTの製造に用いることを前提に、さらに詳
細な説明を加えていくことにする。尚、後ほど詳述する
が、ニッケルの薄膜は基板上のみならず非晶質珪素上に
成膜しても同様の効果を有すること、及びイオン注入で
も同様であったことから、今後本明細書ではこれら一連
の処理を「ニッケル微量添加」と呼ぶことにする。
【0014】まずニッケル微量添加の方法について説明
する。ニッケルの微量添加は、基板上に微量なニッケル
薄膜を成膜し、その後非晶質珪素を成膜する方法でも、
先に非晶質珪素を成膜し、その上から微量なニッケル薄
膜を成膜する方法でも、両者同様に低温化の効果が有
り、その成膜方法はスパッタ法でも、蒸着法でも、塗布
法やスピンコーティング法でも可能で、成膜方法は問わ
ないことが判明している。ただし、基板上に微量なニッ
ケル薄膜を成膜する場合、7059ガラス基板の上から
直接微量なニッケル薄膜を成膜するよりは、同基板上に
酸化珪素の薄膜を成膜し、その上に微量なニッケル薄膜
を成膜した場合の方が効果がより顕著である。この理由
として考えられることとして、珪素とニッケルが直接接
触していることが今回の低温結晶化には重要であり、70
59ガラスの場合には珪素以外の成分がこの両者の接触あ
るいは反応を阻害するのではないかということが挙げら
れる。
【0015】また、微量添加の方法としては、非晶質珪
素の上または下に接して薄膜を形成する以外に、イオン
注入によってニッケルを添加してもほぼ同様の効果が確
認された。ニッケルの量については、1×1015ato
ms/cm3 以上の量の添加において低温化が確認され
ているが、1×1021atoms/cm3 以上の添加量
においては、ラマン分光スペクトルのピークの形状が珪
素単体の物とは明らかに異なることから、実際に使用可
能であるのは1×1015atoms/cm3 〜5×10
19atoms/cm3 の範囲であると思われる。また、
半導体物性として、TFTの活性層に使用することを考
えると、この量を1×1015atoms/cm3 〜1×
1019atoms/cm3 に抑えることが必要である。
【0016】続いて、ニッケル微量添加を行った場合の
結晶成長及び結晶形態の特色について述べ、そこから推
測される結晶化機構について説明を加える。
【0017】上述の通り、ニッケルを添加しない場合に
は、基板界面等の結晶核からランダムに核が発生し、そ
の核からの結晶成長も同様にランダムで、作製方法によ
っては(110)或いは(111)に比較的配向した結
晶が得られることが報告されており、当然ながら薄膜全
体に渡ってほぼ均一な結晶成長が観測される。
【0018】まずこの機構を確認すべく、DSC(示差
走査熱量計)による解析を行った。プラズマCVDで基
板上に成膜した非晶質珪素薄膜を、基板についたまま試
料容器に充填し、一定速度で昇温していった。すると、
およそ700℃前後で明確な発熱ピークが観察され、結
晶化が観測された。この温度は、昇温速度を変えると当
然シフトするが、例えば10℃/minの速度で行った
場合には700.9℃から結晶化が開始した。次に昇温
速度を3種類変えたものを測定し、それらから小沢法に
よって初期核生成後の結晶成長の活性化エネルギーを求
めた。すると、およそ3.04eVという値が得られ
た。また、反応速度式を理論曲線とのフィッティングか
ら求めたところ、無秩序核生成とその成長モデルによっ
て、最も良く説明されることが判明し、基板界面等の結
晶核からランダムに核が発生し、その核からの結晶成長
というモデルの妥当性が確認された。
【0019】前述と全く同様の測定を、ニッケルを微量
添加したものについても行ってみた。すると、10℃/
minの速度で昇温を行った場合には619.9℃から
結晶化が開始し、それら一連の測定から求めた結晶成長
の活性化エネルギーはおよそ1.87eVであって、結
晶成長が容易となっていることが数値的にも明らかとな
った。また、理論曲線とのフィッティングから求めた反
応速度式は、一次元的界面律速のモデルに近く、結晶成
長に一定方向の方向性を有することが示唆された。
【0020】次に、今回のニッケル微量添加したものの
結晶形態についてTEM(透過型電子顕微鏡)で観察し
た結果を示す。TEM観察の結果から判明した特徴的な
現象として、ニッケルを添加した領域と、その近傍の部
分で結晶成長が異なるということが挙げられる。即ち、
ニッケルを添加した領域について、断面から観察する
と、モアレあるいは格子像とみられる縞が基板にほぼ垂
直に観測され、このことは添加したニッケルあるいはそ
の珪素との化合物が結晶核となり、ニッケルを添加して
いないものと同様に基板にほぼ垂直に柱状の結晶が成長
することを示すものと考えられる。ニッケルを添加した
領域について表面から観察すると、エピタキシーのよう
に完全に揃っている訳ではないことが判明した。そのこ
とを示すTED(透過電子線回折)パターンを図4に示
す。図4はニッケルを添加した領域に、膜面に垂直に電
子線を入射して得られたパターンであり、電子線の径は
数ミクロン、また中央の大きな黒丸は(000)からの
パターンである。図4から、少なくとも3種類程度の角
度のずれた結晶が観測され、また完全にはリングとなっ
ていないことから、一つの結晶粒がかなりの大きさを有
することが判明した。このことを更に確認すべく、薄膜
XRD(X線回折)を用いて、配向性の評価を行ったと
ころ、主として{111}あるいは{110}のピーク
が観測された。ここで{hkl}とは、(hkl)面に
等価な面の全てを含んだものを示す記号である。この結
果を、同じ膜厚のニッケルを添加していない薄膜を結晶
化したものの薄膜XRDの結果と比較したところ、今回
のニッケル微量添加したものは{110}に対して{1
11}の強度が明らかに増大しており、ニッケルを添加
することにより配向性が高くなっていることが明らかと
なった。
【0021】次いで、ニッケルを添加した領域の近傍の
結晶形態の観察結果を示す。まず、ニッケルを直接微量
添加していない領域が結晶化すること自体が予想外であ
ったのであるが、ニッケル微量添加部分、その近傍の横
方向の結晶成長部分(以後横成長部分と略)、更に遠方
の非晶質部分( かなり離れた部分では低温結晶化は行わ
れず、非晶質部分が残る) について、ニッケルの濃度を
SIMS( 二次イオン質量分析法) により調べた所、横
成長部分はニッケル微量添加部分部分から約1桁少ない
量が検出され、非晶質部分は更に約1桁少ない量が観測
された。すなわち、ニッケルはかなり広範囲に渡って拡
散しており、ニッケルを添加した領域の近傍の領域の結
晶化もまたニッケル微量添加の効果であると考えられ
る。
【0022】まず、ニッケルを添加した領域の近傍の表
面TEM像を図5に示す。図より明らかなように、特徴
的な、幅の揃った針状または柱状の結晶が基板に平行方
向に観測される。この基板に平行な横成長は、ニッケル
を微量添加した領域から、大きいものでは数百μmも成
長することが観測され、時間の増加及び温度が高くなる
に比例して成長量も増大することも判った。例として、
550℃4時間においては約20μm程度の成長が観測
された。また、これらの結晶が交差する角度はいずれの
場合も約60度であり、場所によらないことも判明して
いる。次いで、上記領域のTEDパターンを図6及び図
7に示す。図6は針状結晶の先端を、図7はある程度針
状結晶が重なっている領域を示す。非常にパターンがシ
ンプルであり、単結晶或いは多くても双晶のようなもの
が見られる程度で、結晶方位は非常に揃っており、この
パターンは〔111〕入射と極めて良く一致している。
その結果、基板に平行な面が(111)であることが明
らかとなった。すると、結晶成長方向は、(111)に
垂直な方向であるので、上記横成長している結晶はその
軸方向が〔110〕方向であることがわかる。この関係
を、図8に簡単に示す。また、(110)面あるいは
〔110〕の軸方向は、〔111〕方向に対して6回対
称性を有しており、そのため前述の約60度で交差する
場合には、それぞれが〔110〕方向に結晶成長可能で
あって、図7のTEDパターンが単結晶ライクであるこ
とと矛盾はない。
【0023】以上の実験事実に基づき、発明者らは以下
のような機構により結晶化が進行すると考えている。
【0024】まず、核発生が起こるが、この際の活性化
エネルギーがニッケルの微量添加により低減される。こ
のことはニッケルを添加することにより、より低温から
結晶化が発生していることから自明であって、この理由
としてはニッケルの異物としての効果以外にも、ニッケ
ルと珪素からなる金属間化合物の内の一つが、結晶シリ
コンと格子定数が近いことに起因している可能性もある
と考えている。また、この核発生はニッケルの添加した
領域全面についてほぼ同時に発生するため、結果として
結晶成長は面のまま成長するような機構となり、この場
合反応速度式は一次元的界面律速過程となり、基板に概
略垂直な柱状の結晶が得られる。しかしながら、膜厚に
制限されること、及び応力等の影響で、完全に揃った結
晶軸を有するとまではいかない。
【0025】しかしながら、基板に水平方向は、垂直方
向と比較して均質であるため、柱状あるいは針状の結晶
がニッケル添加部分を核として横方向に揃って成長し、
その方向は〔110〕となる。勿論この場合も反応速度
式は一次元界面律速型となることが予想される。結晶成
長の活性化エネルギーは、前述の通りニッケルを添加す
ることにより低減されているため、この横方向の成長速
度は非常に速いことが期待され、事実そうなっている。
ただし、〔110〕方向に結晶成長する理由はまだ解明
できていない。
【0026】次に、上記ニッケル微量添加部分とその近
傍の横成長部分についての電気特性を説明する。ニッケ
ル微量添加部分の電気特性は、導電率に関してはほぼニ
ッケルを添加していない膜、即ち600℃程度で数十時
間結晶化を行ったものと同程度の値であり、また導電率
の温度依存性から活性化エネルギーを求めたところ、ニ
ッケルの添加量を前述の様に1017atoms/cm3
〜1018atoms/cm3 程度とした場合には、ニッ
ケルの準位に起因すると思われる様な挙動は観測されな
かった。即ち、この実験事実からは、上記の濃度であれ
ばTFTの活性層等として使用が可能であることが考察
される。
【0027】それに対し、横成長部分は、導電率がニッ
ケル微量添加部分と比較して1桁以上高く、結晶性を有
する珪素半導体としてはかなり高い値を有していた。こ
のことは、電流のパス方向が結晶の横成長方向と合致し
たため、電極間で電子が通過する間に存在する粒界が少
ないあるいは殆ど無かったことによるものと考えられ、
透過電子線顕微鏡写真の結果と矛盾無く一致する。即
ち、キャリアの移動が針状または柱状に成長した結晶の
粒界に沿ったものとなるので、キャリアは移動しやすい
状態が実現されている、と考えることができる。
【0028】そこで、本発明は、上記結晶粒界に概略沿
った方向と半導体装置(例えばTFT)内のキャリアが
移動する方向を概略一致せしめることにより、キャリア
の移動度を向上させるものである。この結晶粒界に沿っ
た方向は、針状または柱状に結晶成長した成長方向であ
り、しかもこの成長方向は、〔110〕の軸方向に結晶
性を有する方向であり、さらにまたこの方向は、前述の
ように他の方向(例えば結晶成長に垂直な方向)に対し
て選択的に高い導電率を有する方向である。また現実問
題として、結晶成長方向とキャリアの流れる方向とが完
全に一致することは困難であり、また結晶も完全に全面
に渡って、一様な方向に揃って成長するわけではない。
そこで実際問題としては、結晶成長の方向は平均的な方
向として定められる。またその方向とキャリアの流れる
方向とは±20°程度の範囲であれば一致しているとみ
なすことができる。
【0029】また、本発明で用いられる基板上の結晶性
珪素膜は、単結晶珪素でなはいことは重要である。即
ち、薄膜状に結晶化した結晶性珪素膜であって、しかも
その結晶成長の方向が〔110〕の軸方向であることが
特徴であり、単結晶珪素とは本質的に異なるものであ
る。従って、特に本発明における結晶性珪素膜を結晶性
を有する非単結晶珪素膜ということができる。
【0030】では最後に、上述の各種特性を踏まえた上
でTFTに応用する方法について説明する。ここでTF
Tの応用分野としてはTFTを画素の駆動に用いるアク
ティブマトリックス型液晶表示装置を想定するものとす
る。
【0031】前述の様に、最近の大画面のアクティブマ
トリックス型液晶表示装置においては、ガラス基板の縮
みを抑えることが重要であるが、本発明のニッケル微量
添加プロセスを用いることにより、ガラスの歪み点に比
較して十分に低い温度で結晶化が可能であり、特に好適
である。本発明を用いれば、従来非晶質珪素を用いてい
た部分を、ニッケルを微量添加し、500〜550℃程
度で4時間程度結晶化させることにより、結晶性を有す
るシリコンに置き換えることが容易に可能である。勿
論、デザインルール等をそれ相応に変更する必要はある
が、装置、プロセス共従来の物で十分に対応可能であ
り、そのメリットは大きいものと考えられる。
【0032】しかも、今回の発明を用いれば、画素に用
いるTFTと、周辺回路のドライバーを形成するTFT
とを、それぞれ特性に応じた結晶形態を利用して作り分
けることも可能であり、アクティブ型液晶表示装置への
応用に特にメリットが多い。画素に用いるTFTは、そ
れほどのモビリティは必要とされておらず、それよりは
オフ電流が小さいことの方がメリットが大きい。そこで
本発明を用いる場合には、画素に用いるTFTとなるべ
き領域に直接ニッケル微量添加を行うことによって、結
晶を縦方向に成長させ、その結果チャネル方向に粒界を
多数形成してオフ電流を低下させることが可能である。
それに対して、周辺回路のドライバーを形成するTFT
は、今後ワークステーションへの応用等を考えた場合に
は、非常に高いモビリティが必要である。そこで本発明
を応用する場合には、周辺回路のドライバーを形成する
TFTの近傍にニッケルの微量添加を行い、そこから一
方向に結晶を成長させ、その結晶成長方向をチャネルの
電流のパス方向と揃えることにより、非常に高いモビリ
ティを有するTFTを作製することが可能である。
【0033】このようにして特定の方向に選択的に結晶
化をおこなわせしめて、結晶性珪素膜を得ることができ
るが、このような結晶性珪素膜の特性をより向上せしめ
んとすれば、結晶化工程の後に、レーザーもしくはそれ
と同等な強光を照射することによって、粒界等に残存す
る結晶化の不十分な成分を結晶化させてやればよい。こ
の工程においては、残っていた非晶質成分は先の加熱工
程によって形成された結晶を核として結晶成長し、粒界
が消滅してしまうのでより高い特性を得ることができ
る。
【0034】(作用)薄膜半導体を用いた半導体装置に
おいて、膜の平面方向に針状または柱状に結晶成長した
結晶性珪素膜の結晶成長方向をキャリアの移動方向とす
ることにより、キャリアの移動を結晶粒界に沿った方向
とすることができ、キャリアを高移動度で動かすことが
できる。
【0035】
【発明の実施の形態】
【0036】
【実施例】〔実施例1〕本実施例は、ガラス基板上に結
晶シリコンを用いたPチャネル型TFT(PTFTとい
う)とNチャネル型TFT(NTFTという)とを相補
型に組み合わせた回路を形成する例である。本実施例の
構成は、アクティブ型の液晶表示装置の画素電極のスイ
ッチング素子や周辺ドライバー回路、さらにはイメージ
センサや集積回路に利用することができる。
【0037】図1に本実施例の作製工程の断面図を示
す。まず、基板(コーニング7059)101上にスパ
ッタリング法によって厚さ2000Åの酸化珪素の下地
膜102を形成した。つぎにメタルマスクまたは酸化珪
素膜等によって形成されたマスク103を設ける。この
マスク103は、スリット状に下地膜102を露呈させ
る。この状態を上面から見ると、スリット状に下地膜1
02は露呈しており、他ぼ部分はマスクされている状態
となっている。
【0038】上記マスク103を設けた後、スパッタリ
ング法によって、厚さ5〜200Å、例えば20Åの珪
化ニッケル膜(化学式NiSix 、0.4≦x≦2.
5、例えば、x=2.0)を100の領域に選択的に成
膜する。(図1(A))
【0039】つぎに、プラズマCVD法によって、厚さ
500〜1500Å、例えば1000Åの真性(I型)
の非晶質珪素膜104を成膜する。そして、これを水素
還元雰囲気下(好ましくは、水素の分圧が0.1〜1気
圧),550℃、または不活性雰囲気化(大気圧),5
50℃、で4時間アニールして結晶化させる。この際、
珪化ニッケル膜が選択的に成膜された100の領域にお
いては、基板101に対して垂直方向に結晶性珪素膜1
04の結晶化が起こる。そして、領域100以外の領域
では、矢印105で示すように、領域100から横方向
(基板と平行な方向)に結晶成長が行われる。
【0040】上記工程の結果、非晶質珪素膜を結晶化さ
せて、結晶性珪素膜104を得ることができる。その
後、スパッタリング法によって厚さ1000Åの酸化珪
素膜106をゲイト絶縁膜として成膜する。スパッタリ
ングには、ターゲットとして酸化珪素を用い、スパッタ
リング時の基板温度は200〜400℃、例えば350
℃、スパッタリング雰囲気は酸素とアルゴンで、アルゴ
ン/酸素=0〜0.5、例えば0.1以下とする。引き
続いて、スパッタリング法によって、厚さ6000〜8
000Å、例えば6000Åのアルミニウム(0.1〜
2%のシリコンを含む)を成膜する。なお、この酸化珪
素膜106とアルミニウム膜の成膜工程は連続的に行う
ことが望ましい。
【0041】そして、珪素膜104をパターニングし
て、ゲイト電極107、109を形成する。さらに、こ
のアルミニウムの電極の表面を陽極酸化して、表面に酸
化物層108、110を形成する。この陽極酸化は、酒
石酸が1〜5%含まれたエチレングリコール溶液中で行
った。得られた酸化物層108、110の厚さは200
0Åであった。なお、この酸化物108と110とは、
後のイオンドーピング工程において、オフセットゲイト
領域を形成する厚さとなるので、オフセットゲイト領域
の長さを上記陽極酸化工程で決めることができる。
【0042】次に、イオンドーピング法によって、活性
層領域(ソース/ドレイン、チャネルを構成する)に一
導電型を付与する不純物を添加する。このドーピング工
程において、ゲイト電極107とその周囲の酸化層10
8、ゲイト電極109とその周囲の酸化層110をマス
クとして不純物(燐およびホウ素)を注入する。ドーピ
ングガスとして、フォスフィン(PH3 )およびジボラ
ン(B2 6 )を用い、前者の場合は、加速電圧を60
〜90kV、例えば80kV、後者の場合は、40〜8
0kV、例えば65kVとする。ドース量は1×1015
〜8×1015cm-2、例えば、燐を2×1015cm-2
ホウ素を5×1015とする。ドーピングに際しては、一
方の領域をフォトレジストで覆うことによって、それぞ
れの元素を選択的にドーピングする。この結果、N型の
不純物領域114と116、P型の不純物領域111と
113が形成され、Pチャネル型TFT(PTFT)の
領域とNチャネル型TFT(NTFT)との領域を形成
することができる。
【0043】その後、レーザー光の照射によってアニー
ル行う。レーザー光としては、KrFエキシマレーザー
(波長248nm、パルス幅20nsec)を用いた
が、他のレーザーであってもよい。レーザー光の照射条
件は、エネルギー密度が200〜400mJ/cm2
例えば250mJ/cm2 とし、一か所につき2〜10
ショット、例えば2ショット照射する。このレーザー光
の照射時に基板を200〜450℃程度に加熱すること
は有用である。このレーザアニール工程において、先に
結晶化された領域にはニッケルが拡散しているので、こ
のレーザー光の照射によって、再結晶化が容易に進行
し、P型を付与する不純物がドープされた不純物領域1
11と113、さらにはNを付与する不純物がドープさ
れた不純物領域114と116は、容易に活性化させる
ことができる。
【0044】続いて、厚さ6000Åの酸化珪素膜11
8を層間絶縁物としてプラズマCVD法によって形成
し、これにコンタクトホールを形成して、金属材料、例
えば、窒化チタンとアルミニウムの多層膜によってTF
Tの電極・配線117、120、119を形成する。最
後に、1気圧の水素雰囲気で350℃、30分のアニー
ルを行い、TFTを相補型に構成した半導体回路を完成
した。(図1(D))
【0045】上記に示す回路は、PTFTとNTFTと
を相補型に設けたCMOS構造であるが、上記工程にお
いて、2つのTFTを同時に作り、中央で切断すること
により、独立したTFTを2つ同時に作製することも可
能である。
【0046】図2に、図1(D)を上面から見た概要を
示す。図2における符号は図1の符号に対応する。図2
に示すように結晶化の方向は矢印で示す方向であり、ソ
ース/ドレイン領域の方向(ソース領域とドレイン領域
を結んだ線方向)に結晶成長が行われている。この構成
のTFTの動作時において、キャリアはソース/ドレイ
ン間を針状あるいは柱状に成長した結晶に沿って移動す
る。即ちキャリアは針状あるいは柱状の結晶の結晶粒界
に沿って移動する。従って、キャリアが移動する際に受
ける抵抗を低減することができ、高移動度を有するTF
Tを得ることができる。
【0047】本実施例においては、Niを導入する方法
として、非晶質珪素膜104下の下地膜102上に選択
的にNiを薄膜(極めて薄いので、膜として観察するこ
とは困難である)として形成し、この部分から結晶成長
を行わす方法を採用したが、非晶質珪素膜104を形成
後に、選択的に珪化ニッケル膜を成膜する方法でもよ
い。即ち、結晶成長は非晶質珪素膜の上面から行っても
よいし、下面から行ってもよい。また、予め非晶質珪素
膜を成膜し、さらにイオンドーピング法を用いて、ニッ
ケルイオンをこの非晶質珪素膜104中に選択的に注入
する方法を採用してもよい。この場合は、ニッケル元素
の濃度を制御することができるという特徴を有する。
【0048】〔実施例2〕本実施例は、アクティブ型の
液晶表示装置において、Nチャネル型TFTをスイッチ
ング素子として各画素に設けた例である。以下において
は、一つの画素について説明するが、他に多数(一般に
は数十万)の画素が同様な構造で形成される。また、N
チャネル型ではなくPチャネル型でもよいことはいうま
でもない。また、液晶表示装置の画素部分に設けるので
はなく、周辺回路部分にも利用できる。また、イメージ
センサや他の装置に利用することができる。即ち薄膜ト
ランジタと利用するのであれば、特にその用途が限定さ
れるものではない。
【0049】本実施例の作製工程の概略を図3に示す。
本実施例において、基板201としてはコーニング70
59ガラス基板(厚さ1.1mm、300×400m
m)を使用した。まず、下地膜203(酸化珪素)をス
パッタリング法で2000Åの厚さに形成する。この後
選択的にニッケルを導入するために、メタルマスクや酸
化珪素膜、またはフォトレジスト等により、マスク20
3を形成する。そして、スパッタリング法により珪化ニ
ッケル膜を成膜する。この珪化ニッケル膜は、スパッタ
リング法によって、厚さ5〜200Å、例えば20Åの
厚さに形成する。この珪化ニッケル膜は、化学式NiS
x 、0.4≦x≦2.5、例えば、x=2.0で示さ
れる。このようにして、選択的に領域204に珪化ニッ
ケル膜が形成される。
【0050】この後、LPCVD法もしくはプラズマC
VD法で非晶質珪素膜205を1000Åの厚さに形成
し、400℃で1時間脱水素化を行った後、加熱アニー
ルによって結晶化を行う。このアニール工程は、水素還
元雰囲気下(好ましくは、水素の分圧が0.1〜1気
圧)、550℃で4時間行った。またこの加熱アニール
工程を窒素等の不活性雰囲気中で行ってもよい。
【0051】このアニール工程において、非晶質珪素膜
205下の一部の領域には、珪化ニッケル膜が形成され
ているので、この部分から結晶化が起こる。この結晶化
の際、図3(B)の矢印で示すように、珪化ニッケルが
成膜されている部分204では、基板201に垂直方向
にシリコンの結晶成長が進行する。また、同様に矢印で
示されるように、珪化ニッケルが成膜されいていない領
域(領域205以外の領域)においては、基板に対し、
平行な方向に結晶成長が行われる。
【0052】こうして、結晶性珪素よりなる半導体膜2
05を得ることができる。次に、上記半導体膜205を
パターニングして島状の半導体領域(TFTの活性層)
を形成する。さらにテトラ・エトキシ・シラン(TEO
S)を原料として、酸素雰囲気中のプラズマCVD法に
よって、酸化珪素のゲイト絶縁膜(厚さ70〜120n
m、典型的には100nm)206を形成する。基板温
度はガラスの縮みやソリを防止するために400℃以
下、好ましくは200〜350℃とする。
【0053】次に、公知のシリコンを主成分とした膜を
CVD法で形成し、パターニングを行うことによって、
ゲイト電極207を形成する。その後、N型の不純物と
して、リンをイオンドーピング法で注入し、自己整合的
にソース領域208、チャネル形成領域209、ドレイ
ン領域210を形成する。そして、KrFレーザー光を
照射することによって、イオンドーピングのために結晶
性の劣化した珪素膜の結晶性を改善させる。このときに
はレーザー光のエネルギー密度は250〜300mJ/
cm2 とする。このレーザー照射によって、このTFT
のソース/ドレインのシート抵抗は300〜800Ω/
cm2 となる。
【0054】その後、酸化珪素によって層間絶縁物21
1を形成し、さらに、画素電極212をITOによって
形成する。そして、コンタクトホールを形成して、TF
Tのソース/ドレイン領域にクロム/アルミニウム多層
膜で電極213、214を形成し、このうち一方の電極
213はITO121にも接続するようにする。最後
に、水素中で200〜300℃で2時間アニールして、
シリコンの水素化を完了する。このようにして、TFT
を完成する。この工程は、同時に他の多数の画素領域に
おいても同時に行われる。
【0055】本実施例で作製したTFTは、ソース領
域、チャネル形成領域、ドレイン領域を構成する活性層
として、キャリアの流れる方向に結晶成長させた結晶性
珪素膜を用いているので、結晶粒界をキャリアが横切る
ことがなく、即ちキャリアが針状あるいは柱状の結晶の
結晶粒界に沿って移動することになるから、キャリアの
移動度の高いTFTを得ることができた。本実施例で作
製したTFTはNチャネル型であり、その移動度は、9
0〜130(cm2 /Vs)であった。従来の600
℃、48時間の熱アニールによる結晶化によって得られ
た結晶シリコン膜を用いたNチャネル型TFTに移動
が、80〜100(cm2 /Vs)であったことと比較
すると、これはこれは大きな特性の向上である。
【0056】また上記の工程と同様な作製方法によっ
て、Pチャネル型TFTを作製し、その移動度を測定す
ると、50〜80(cm2 /Vs)であった。これも従
来の600℃、48時間の熱アニールによる結晶化によ
って得られた結晶性珪素膜を用いたPチャネル型TFT
に移動が、30〜60(cm2 /Vs)であったことに
比較すると大きな特性の向上である。
【0057】〔実施例3〕本実施例は、実施例2に示す
TFTにおいて、結晶の成長方向に大して垂直な方向に
ソース/ドレインを設けた例である。即ち、移動する方
向が結晶成長方向とは垂直になっており、針状あるいは
柱状の結晶の結晶粒界を横切るようにしてキャリアが移
動する構成とした例である。このような構成とすると、
ソース/ドレイン間の抵抗を高くすることができる。こ
れは、針状あるいは柱状に結晶成長した結晶の結晶粒界
を横切るようにキャリアが移動しなければならないため
である。本実施例の構成を実現するには、実施例2に示
す構成において、単にTFTをどのような向きで設ける
かを設定すればよい。
【0058】〔実施例4〕本実施例は、実施例2に示す
構成において、TFTを設ける向き(ここではソース/
ドレイン領域を結ぶ線で定義する。即ち、キャリアの流
れる向きでTFTの方向を決めることとする)を結晶性
珪素膜の基板表面に対する結晶成長方向と任意の角度で
設定することにより、TFTの特性を選択することを要
旨とする。
【0059】前述のように、結晶の成長方向にキャリア
を移動させる場合、キャリアは結晶粒界に沿って移動す
るので、その移動度を向上させることができる。一方、
結晶の成長方向に対して垂直な方向にキャリアを移動さ
せる場合には、キャリアが多数の粒界を横切らなければ
ならないので、キャリアの移動度は低下する。
【0060】そこで、この2つの状態の間で、即ち結晶
成長方向とキャリアの移動する方向との角度を0〜90
°の範囲において設定することにより、キャリアの移動
度を制御することができる。また別な見方をするなら
ば、上記結晶成長方向とキャリアの移動する方向との角
度設定することにより、ソース/ドレイン領域間の抵抗
を制御できることになる。勿論この構成は、実施例1に
示す構成にも利用することができる。この場合、図2に
示すスリット状のニッケル微量添加領域100が0〜9
0°の範囲で回転し、矢印105で示す結晶の成長方向
と、ソース/ドレイン領域を結ぶ線との角度が0〜90
°範囲で選択されることになる。そして、この角度が、
0°に近い場合は移動度が大きく、ソース/ドレイン間
の電気抵抗が小さい構成とすることができる。またこの
角度が90°に近い場合、移動度が大きく、ソース/ド
レイン間の抵抗が小さい構成とすることができる。
【0061】〔実施例5〕 図5に本実施例を示す。ガ
ラス基板301上に、厚さ1000〜5000Å、例え
ば、2000Åの酸化珪素膜302を形成した後、厚さ
300〜1500Å、例えば、500Åの非晶質珪素膜
303をプラズマCVD法によって形成した。さらに、
その上に、500〜1500Å、例えば、500Åの酸
化珪素膜304を形成した。これらの成膜は連続的にお
こなうことが望ましい。そして、酸化珪素膜304を選
択的にエッチングして、ニッケルを導入する窓305を
開けた。窓305はTFTのチャネルとなるべき部分を
避けて形成した。そして、スピンコーティング法によっ
てニッケル塩の膜307を形成した。この方法について
説明すると、まず、酢酸ニッケルもしくは硝酸ニッケル
を水もしくはエタノールによって希釈化して、25〜2
00ppm、例えば、100ppmの濃度にした。
【0062】一方、基板を過酸化水素水もしくは過酸化
水素水とアンモニアの混合溶液に浸漬して、極めて薄い
酸化珪素膜を非晶質珪素膜の露出した部分(窓305の
領域)に形成した。これは、上記のように調製したニッ
ケル溶液と非晶質珪素膜の界面親和性を向上させるため
である。
【0063】このような処理をほどこした基板をスピナ
ーに設置し、緩やかに回転させ、基板上にニッケル溶液
を1〜10ml、例えば、2ml滴下し、基板全面に溶
液を拡げた。この状態を1〜10分、例えば、5分保持
した。その後、基板の回転数を上げてスピンドライをお
こなった。この操作はさらに複数回繰り返してもよい。
このようにしてニッケル塩の薄い膜307を形成した。
(図9(A))
【0064】そして、イオン注入法によって、珪素イオ
ンの注入をおこなった。この際には窓305の部分以
外、すなわち、酸化珪素膜304で覆われた領域におい
ては、珪素イオンが下地の酸化珪素膜302と非晶質珪
素膜303の界面に最も多くのイオンが注入されるよう
におこなった。なお、この際、窓305の領域では、酸
化珪素膜304が存在しないため、珪素イオンはより深
く注入される。
【0065】その後、加熱炉において、520〜580
℃、4〜12時間、例えば、550℃で8時間の加熱処
理をおこなった。雰囲気は窒素とした。この結果、ま
ず、窓305の直下の領域にニッケルが拡散し、この領
域から結晶化が始まった。そして、結晶化領域は矢印3
08に示すように、その周囲に拡がっていった。(図9
(B))
【0066】その後、大気もしくは酸素雰囲気におい
て、KrFエキシマレーザー光(波長248nm)もし
くはXeClエキシマレーザー光(波長308nm)を
1〜20ショット、例えば、5ショット照射して、さら
に結晶性を向上せしめた。エネルギー密度は200〜3
50mJ/cm2 、基板温度は200〜400℃とし
た。(図9(C))
【0067】その後、珪素膜303をエッチングして、
TFTの領域を形成した。そして、全面に厚さ1000
〜1500Å、例えば、1200Åの酸化珪素膜309
を形成し、実施例1の場合と同様にアルミニウムによっ
てPTFTのゲイト電極310、およびNTFTのゲイ
ト電極313、ならびに、それぞれの陽極酸化膜31
2、314によってゲイト電極部を形成した。
【0068】そして、これらゲイト電極部をマスクとし
て、実施例1と同様にN型およびP型の不純物をイオン
ドーピング法によって珪素膜中に注入した。この結果、
PTFTのソース315、チャネル316、ドレイン3
17、周辺回路のNTFTのソース320、チャネル3
19、ドレイン318が形成された。その後、実施例1
と同様に全面にレーザー照射をおこなって、ドーピング
された不純物の活性化をおこなった。(図9(D))
【0069】その後、層間絶縁物として厚さ3000〜
8000Å、例えば、5000Åの酸化珪素膜321を
形成した。この後、TFTのソース/ドレインにコンタ
クトホールを形成し、さらに、スパッタリング法によっ
て、窒化チタン(厚さ1000Å)とアルミニウム(厚
さ5000Å)の2層膜を堆積して、これをパターニン
グ・エッチングして、電極・配線322〜324を形成
した。このようにして、横方向に成長した結晶性珪素に
よってPTFTとNTFTからなるインバータ回路を形
成することができた。(図9(E))
【0070】本実施例でも実施例1と同様に結晶化の方
向508はTFTのキャリヤの流れる方向(すなわち、
ソース−ドレイン方向)と同じである。そのため、本実
施例でもTFTのドレイン電流は大きくなり、高速動作
に都合がよい。加えて、本実施例では図9(C)にある
ように、レーザー照射をおこなう。この工程では、針状
に成長した珪素結晶間に残った非晶質成分まで結晶化さ
れ、しかも、この結晶化は針状結晶を核として、針状結
晶を太くするように結晶化する。このことは電流の流れ
る領域を拡げることとなり、より大きなドレイン電流を
流すことができる。
【0071】この様子を図10に示す。図10は結晶化
した珪素膜を薄膜化して透過型電子顕微鏡(TEM)に
よって観察したものである。図10(A)は横方向への
成長によって結晶化した珪素膜の結晶化領域の先端付近
を見たものであり、針状の結晶が観察される。さらに、
その結晶の間には結晶化していない非晶質領域が多く存
在しているのが分かる。(図10(A))
【0072】これを本実施例の条件でレーザー照射する
と、図10(B)のようになる。この工程によって、図
10(A)の大部分の面積を占めていた非晶質領域は結
晶化するが、この結晶化は乱雑に発生するため、電気的
な特性はあまり良くない。注目すべきは、中央付近に観
察される針状結晶の間のもともと非晶質であったと思わ
れる領域の結晶状態である。ここは、針状結晶から結晶
化成長するように、太い結晶領域が形成されている。
(図10(B))
【0073】図10は分かりやすくするために、比較
的、非晶質領域の多い結晶成長の先端領域を観察したも
のであったが、結晶成長の根元付近や中央付近でも同様
である。このように、レーザー照射によって、非晶質部
分を減らし、針状結晶を太くすることができ、TFTの
特性をさらに向上せしめることができる。
【0074】
【発明の効果】基板上に設けられ、しかも基板表面に平
行な方向に結晶成長した結晶性を有する非単結晶珪素半
導体膜をTFTに利用するに際して、TFT内を移動す
るキャリアの流れの方向を結晶成長が行われた方向と合
わせることにより、キャリアの移動が針状または柱状に
成長した結晶の結晶粒界に沿って(平行に)移動する構
成とすることができ、高移動度を有するTFTを得るこ
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例の作製工程を示す。
【図2】 実施例の概要を示す。
【図3】 実施例の概要を示す。
【図4】 電子線回折像を示す。
【図5】 珪素膜の結晶構造を示す写真である。
【図6】 電子線回折像を示す。
【図7】 電子線回折像を示す。
【図8】 結晶方位を示した模式図である。
【図9】 実施例の作製工程を示す。
【図10】実施例の結晶構造を示す。
【符号の説明】
101 ガラス基板 102 下地膜(酸化珪素膜) 103 マスク 104 珪素膜 105 結晶化の方向 106 ゲイト絶縁膜 107 ゲイト電極 108 陽極酸化層 109 ゲイト電極 110 陽極酸化層 111 ソース/ドレイン領域 112 チャネル形成領域 113 ドレイン/ソース領域 114 ソース/ドレイン領域 115 チャネル形成領域 116 ドレイン/ソース領域 117 電極 118 層間絶縁物 120 電極 119 電極 201 ガラス基板 202 下地膜(酸化珪素膜) 203 マスク 204 ニッケル微量添加領域 205 珪素膜 206 ゲイト絶縁膜 207 ゲイト電極 208 ソース/ドレイン領域 209 チャネル形成領域 210 ドレイン/ソース領域 211 層間絶縁物 213 電極 214 電極 212 ITO(画素電極)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宮永 昭治 神奈川県厚木市長谷398番地 株式会社半 導体エネルギー研究所内 (72)発明者 大谷 久 神奈川県厚木市長谷398番地 株式会社半 導体エネルギー研究所内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に設けられた薄膜トランジスタを
    有する半導体装置であって、 前記薄膜トランジスタは、結晶性を有し、かつチャネル
    形成領域を含む半導体膜を有しており、 前記半導体膜において結晶粒界は一定の方向に存在して
    おり、 前記結晶粒界の方向は、チャネル形成領域においてキャ
    リアが移動する方向と±20°程度の範囲で一致してい
    ることを特徴とする半導体装置。
  2. 【請求項2】 基板上に設けられた薄膜トランジスタを
    有する半導体装置であって、 前記薄膜トランジスタは、結晶性を有し、かつソース領
    域、ドレイン領域及びチャネル形成領域を含む半導体膜
    を有しており、 前記チャネル形成領域上にゲート絶縁膜を介してゲート
    電極が設けられており、 前記半導体膜において結晶粒界は一定の方向に存在して
    おり、 前記結晶粒界の方向は、チャネル形成領域においてキャ
    リアが移動する方向と±20°程度の範囲で一致してい
    ることを特徴とする半導体装置。
  3. 【請求項3】 薄膜トランジスタを有する半導体表示装
    置において、 前記薄膜トランジスタは絶縁表面上に形成された結晶性
    を有する半導体膜を含んでおり、 前記チャネル形成領域において、前記半導体膜は針状ま
    たは柱状の結晶が基板に平行な方向に存在しており、 前記針状または柱状の結晶どうしが交差する角度は約6
    0度であることを特徴とする半導体装置。
  4. 【請求項4】 薄膜トランジスタを有する半導体表示装
    置において、 前記薄膜トランジスタは絶縁表面上に形成された結晶性
    を有する半導体膜を含んでおり、 前記チャネル形成領域において、前記半導体膜は針状ま
    たは柱状の結晶が基板に平行な方向に存在しており、 前記針状または柱状の結晶どうしが交差する角度は約6
    0度であり、 前記針状または柱状の結晶の方向と前記半導体装置にお
    けるキャリアが移動する方向とを一致せしめたことを特
    徴とする半導体装置。
  5. 【請求項5】 請求項1または請求項2において、前記
    結晶粒界の方向は、前記基板の表面に平行であることを
    特徴とする半導体装置。
  6. 【請求項6】 請求項1、請求項2及び請求項5のいず
    れか1項において、前記結晶粒界の方向は〔110〕軸
    の方向に一致していることを特徴とする半導体装置。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至請求項6のいずれか1項に
    おいて、前記半導体膜はニッケルを1×1015atom
    s/cm3 〜1×1019atoms/cm3 の濃度で含
    んでいることを特徴とする半導体装置。
  8. 【請求項8】 請求項1乃至請求項7において、前記半
    導体膜は水素を含んでいることを特徴とする半導体装
    置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100894945B1 (ko) * 2001-12-12 2009-04-27 가부시키가이샤 히타치세이사쿠쇼 화상 표시 장치 및 그 제조 방법

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KR100894945B1 (ko) * 2001-12-12 2009-04-27 가부시키가이샤 히타치세이사쿠쇼 화상 표시 장치 및 그 제조 방법

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