JP3886827B2 - 半導体装置の作製方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガラス等の絶縁基板上に設けられたTFT(薄膜トランジスタ)を有する半導体装置及びその作製方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ガラス等の絶縁基板上にTFTを有する半導体装置としては、これらのTFTを画素の駆動に用いるアクティブ型液晶表示装置やイメージセンサー等が知られている。
【0003】
これらの装置に用いられるTFTには、薄膜状の珪素半導体を用いるのが一般的である。薄膜状の珪素半導体としては、非晶質珪素半導体(a−Si)からなるものと結晶性を有する珪素半導体からなるものの2つに大別される。非晶質珪素半導体は作製温度が低く、気相法で比較的容易に作製することが可能で量産性に富むため、最も一般的に用いられているが、導電率等の物性が結晶性を有する珪素半導体に比べて劣るため、今後より高速特性を得る為には、結晶性を有する珪素半導体からなるTFTの作製方法の確立が強く求められていた。尚、結晶性を有する珪素半導体としては、多結晶珪素、微結晶珪素、結晶成分を含む非晶質珪素、結晶性と非晶質性の中間の状態を有するセミアモルファス珪素等が知られている。
【0004】
これら結晶性を有する薄膜状の珪素半導体を得る方法としては、
(1)成膜時に結晶性を有する膜を直接成膜する。
(2)非晶質の半導体膜を成膜しておき、レーザー光のエネルギーにより結晶性を有せしめる。
(3)非晶質の半導体膜を成膜しておき、熱エネルギーを加えることにより結晶性を有せしめる。
と言った方法が知られている。しかしながら、(1)の方法は良好な半導体物性を有する膜を基板上に全面に渡って均一に成膜することが技術上困難であり、また成膜温度が600℃以上と高いので、安価なガラス基板が使用できないというコストの問題もあった。また、(2)の方法は、現在最も一般的に使用されているエキシマレーザーを例にとると、レーザー光の照射面積が小さいため、スループットが低いという問題がまずあり、また大面積基板の全面を均一に処理するにはレーザーの安定性が充分ではなく、次世代の技術という感が強い。(3)の方法は、(1)、(2)の方法と比較すると大面積に対応できるという利点はあるが、やはり加熱温度として600℃以上の高温にすることが必要であり、安価なガラス基板を用いることを考えると、さらに加熱温度を下げる必要がある。特に現在の液晶表示装置の場合には大画面化が進んでおり、その為ガラス基板も同様に大型の物を使用する必要がある。この様に大型のガラス基板を使用する場合には、半導体作製に必要不可欠な加熱工程における縮みや歪みといったものが、マスク合わせ等の精度を下げ、大きな問題点となっている。特に現在最も一般的に使用されている7059ガラスの場合には、歪み点が593℃であり、従来の加熱結晶化方法では大きな変形を起こしてしまう。また、温度の問題以外にも現在のプロセスでは結晶化に要する加熱時間が数十時間以上にも及ぶので、さらにその時間を短くすることも必要である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題を解決する手段を提供するものである。より具体的には非晶質珪素からなる薄膜を加熱により結晶化させる方法を用いた、結晶性を有する珪素半導体からなる薄膜の作製方法において、結晶化に必要な温度の低温化と時間の短縮を両立するプロセスを提供することをその目的とする。勿論、本発明で提供されるプロセスを用いて作製した結晶性を有する珪素半導体は、従来技術で作製されたものと同等以上の物性を有し、TFTの活性層領域にも使用可能なものであることは言うまでもないことである。
【0006】
〔発明の背景〕
本発明人らは、上記従来の技術の項で述べた、非晶質の珪素半導体膜をCVD法やスパッタ法で成膜し、該膜を加熱によって結晶化させる方法について、以下のような実験及び考察を行った。
【0007】
まず実験事実として、ガラス基板上に非晶質珪素膜を成膜し、この膜を加熱により結晶化させるメカニズムを調べると、結晶成長はガラス基板と非晶質珪素との界面から始まり、ある程度の膜厚以上では基板表面に対して垂直な柱状に進行することが認められた。
【0008】
上記現象は、ガラス基板と非晶質珪素膜との界面に、結晶成長の基となる結晶核(結晶成長の基となる種)が存在しており、その核から結晶が成長していくことに起因すると考察される。このような結晶核は、基板表面に微量に存在している不純物金属元素やガラス表面の結晶成分(結晶化ガラスと呼ばれるように、ガラス基板表面には酸化珪素の結晶成分が存在していると考えられる)であると考えられる。
【0009】
そこで、より積極的に結晶核を導入することによって結晶化温度の低温化が可能ではないかと考え、その効果を確認すべく、他の金属を微量に基板上に成膜し、その上に非晶質珪素からなる薄膜を成膜、その後加熱結晶化を行う実験を試みた。その結果、幾つかの金属を基板上に成膜した場合においては結晶化温度の低下が確認され、異物を結晶核とした結晶成長が起こっていることが予想された。そこで低温化が可能であった複数の不純物金属について更に詳しくそのメカニズムを調査した。
【0010】
結晶化は、初期の核生成と、その核からの結晶成長の2段階に分けて考えることができる。ここで、初期の核生成の速度は、一定温度において点状に微細な結晶が発生するまでの時間を測定することによって観測されるが、この時間は上記不純物金属を成膜した薄膜ではいずれの場合も短縮され、結晶核導入の結晶化温度低温化に対する効果が確認された。しかも予想外のことであるのだが、核生成後の結晶粒の成長を加熱時間を変化させて調べたところ、ある種の金属を成膜後、その上に成膜した非晶質珪素薄膜の結晶化においては、核生成後の結晶成長の速度までが飛躍的に増大することが観測された。このメカニズムは現状では明らかではないが、なにがしかの触媒的な効果が作用しているものと推測される。
【0011】
いずれにしろ、上記2つの効果により、ある種の金属を微量に成膜した上に非晶質珪素からなる薄膜を成膜、その後加熱結晶化した場合には、従来考えられなかったような、580℃以下の温度で4時間程度の時間で十分な結晶性が得られることが判明した。この様な効果を有する不純物金属の中で、最も効果が顕著であり、我々が選択した材料がニッケルである。なお、この結晶化への触媒作用を有する金属元素としては、Fe、Co、Pd、Ptを挙げることができる。
【0012】
ニッケルがどの程度の効果を有するのか一例を挙げると、なんら処理を行なわない、即ちニッケルの微量な薄膜を成膜していない基板上(コーニング7059ガラス)にプラズマCVD法で形成された非晶質珪素からなる薄膜を窒素雰囲気中での加熱によって、結晶化する場合、その加熱温度として600℃とした場合、加熱時間として10時間以上の時間を必要としたが、ニッケルの微量な薄膜を成膜した基板上の非晶質珪素からなる薄膜を用いた場合には、4時間程度の加熱において同様な結晶化状態を得るこができた。尚この際の結晶化の判断はラマン分光スペクトルを利用した。このことだけからも、ニッケルの効果が非常に大きいことが判るであろう。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記説明から判る様に、ニッケルの微量な薄膜を成膜した上から、非晶質珪素からなる薄膜を成膜した場合、結晶化温度の低温化及び結晶化に要する時間の短縮が可能である。そこで、このプロセスをTFTの製造に用いることを前提に、さらに詳細な説明を加えていくことにする。尚、後ほど詳述するが、ニッケルの薄膜は基板上のみならず非晶質珪素上に成膜しても同様の効果を有すること、及びイオン注入でも同様であったことから、今後本明細書ではこれら一連の処理を「ニッケル微量添加」と呼ぶことにする。
【0014】
まずニッケル微量添加の方法について説明する。ニッケルの微量添加は、基板上に微量なニッケル薄膜を成膜し、その後非晶質珪素を成膜する方法でも、先に非晶質珪素を成膜し、その上から微量なニッケル薄膜を成膜する方法でも、両者同様に低温化の効果が有り、その成膜方法はスパッタ法でも、蒸着法でも、スピンコーティング法でも、塗布法でも可能で、成膜方法は問わないことが判明している。ただし、基板上に微量なニッケル薄膜を成膜する場合、7059ガラス基板の上から直接微量なニッケル薄膜を成膜するよりは、同基板上に酸化珪素の薄膜を成膜し、その上に微量なニッケル薄膜を成膜した場合の方が効果がより顕著である。この理由として考えられることとして、珪素とニッケルが直接接触していることが今回の低温結晶化には重要であり、7059ガラスの場合には珪素以外の成分がこの両者の接触あるいは反応を阻害するのではないかということが挙げられる。
【0015】
また、微量添加の方法としては、非晶質珪素の上または下に接して薄膜を形成する以外に、イオン注入によってニッケルを添加してもほぼ同様の効果が確認された。ニッケルの量については、1×1015atoms/cm3 以上の量の添加において低温化が確認されているが、1021atoms/cm3 atoms/cm3 以上の添加量においては、ラマン分光スペクトルのピークの形状が珪素単体の物とは明らかに異なることから、実際に使用可能であるのは1×1015atoms/cm3 〜5×1019atoms/cm3 の範囲であると思われる。ニッケルの濃度が1×1015atoms/cm3 以下であると、ニッケル元素が局在し触媒としての機能が低下する。また、ニッケルの濃度が5×1019atoms/cm3 以上であると、NiSiの化合物となって半導体特性が失われてしまう。そして、結晶化した状態においては、ニッケルの濃度が少ない程、半導体としての使用が可能である。以上のような考察から、半導体として、TFTの活性層等に使用することを考えると、この量を1×1015atoms/cm3 〜1×1019atoms/cm3 に抑えることが必要である。
【0016】
続いて、ニッケル微量添加を行った場合の結晶形態について説明を加える。上述の通り、ニッケルを添加しない場合には、基板界面等の結晶核からランダムに核が発生し、その核からの結晶成長もまたある程度の膜厚まではランダムに、さらに厚い薄膜については一般的に(110)方向が基板に垂直方向に配列した柱状の結晶成長が行われることが知られており、当然ながら薄膜全体に渡ってほぼ均一な結晶成長が観測される。それに対して、今回のニッケル微量添加したものについては、ニッケルを添加した領域と、その近傍の部分で結晶成長が異なるという特徴を有していた。即ち、ニッケルを添加した領域については、添加したニッケルあるいはその珪素との化合物が結晶核となり、ニッケルを添加していないものと同様に基板にほぼ垂直に柱状の結晶が成長することが透過電子線顕微鏡写真より明らかとなった。そして、その近傍のニッケルを微量添加していない領域においてさえも低温での結晶化が確認され、その部分は基板に垂直方向が(111)に配列し、基板と平行に針状あるいは柱状結晶が成長するという特異な結晶成長が観測された。この基板に平行な横方向の結晶成長は、ニッケルを微量添加した領域から、大きいものでは数百μmも成長することが観測され、時間の増加及び温度が高くなるに比例して成長量も増大することも判った。例として、550℃4時間においては約40μm程度の成長が観測された。しかも、透過電子線顕微鏡写真によると、この大きな横方向の結晶は、いずれも単結晶ライクであることが判明している。そして、このニッケル微量添加部分、その近傍の横成長部分、更に遠方の非晶質部分( かなり離れた部分では低温結晶化は行われず、非晶質部分が残る) について、ニッケルの濃度をSIMS(二次イオン質量分析法)により調べた所、横成長部分はニッケル微量添加部分部分から約1桁少ない量が検出され、非晶質珪素内での拡散が観測されている。また、非晶質部分は更に約1桁少ない量が観測された。このことと結晶形態との関係は現状では明らかではないが、いずれにしろニッケル添加量とその位置制御によって、所望の部分に所望の結晶形態の結晶性を有するシリコン薄膜を形成することが可能である。
【0017】
次に、上記ニッケル微量添加部分とその近傍の横成長部分についての電気特性を説明する。ニッケル微量添加部分の電気特性は、導電率に関してはほぼニッケルを添加していない膜、即ち600℃程度で数十時間結晶化を行ったものと同程度の値であり、また導電率の温度依存性から活性化エネルギーを求めたところ、ニッケルの添加量を1017atoms/cm3 〜1018atoms/cm3 程度とした場合には、ニッケルの準位に起因すると思われる様な挙動は観測されなかった。即ち、この事実に限るならば、結晶性珪素半導体膜中のニッケルの濃度が、1018atoms/cm3 以下である場合には、この膜を用いて半導体装置、例えばTFTを作製しても不都合はないということが分かる。
【0018】
それに対し、横成長部分は、導電率がニッケル微量添加部分と比較して1桁以上高く、結晶性を有する珪素半導体としてはかなり高い値を有していた。このことは、電流のパス方向が結晶の横成長方向と合致したため、電極間で電子が通過する間に存在する粒界が少ないあるいは殆ど無かったことによるものと考えられ、透過電子線顕微鏡写真の結果と矛盾無く一致する。
【0019】
しかし、上記結晶の横方向成長部分を透過電子線顕微鏡写真により詳細に観察すると、針状あるいは柱状結晶の結晶方向が基板表面に対しては平行な方向であっても、基板上方から見ると、枝状に成長する部分が観察された。即ち、平均すると、針状あるいは柱状結晶が同一方向に成長しているのだが、一部の結晶は斜め方向に枝分かれして成長している様子が観察された。
【0020】
上記観察結果を考察した結果、本発明者らは以下のような結論に至った。
基板中さらには基板と半導体膜との界面近傍に存在している基板材料の結晶成分や半導体膜中の結晶成分は、結晶成長の核となり得るが、上記のような横方向成長においては、一様な方向への結晶成長を阻害し、ランダムな結晶成長を助長してしまう。
【0021】
そこで、本発明においては、結晶成長を行う領域の基板と非晶質珪素半導体膜(非晶質といっても程度の問題として結晶成分は存在する)との界面およびその近傍の結晶成分を不活性な元素のイオン注入によって、極力取り除き徹底的に非晶質化する。そして、結晶核となるべき成分が無い状態において、横方向(基板表面に平行な方向)に結晶成長を行わせることによって、全体的に結晶の成長方向がそろった針状または柱状の結晶成長を行わすことを要旨とする。特に不活性なイオンの注入を基板内を中心に行うことによって、基板表面近傍(基板表面に下地膜が形成されている場合には、その下地膜表面を基板表面とみなす)、さらには基板と半導体膜との界面、さらには半導体膜そのものを徹底的に非晶質化し、結晶化の際に核となりうる結晶性を有する成分を極力除去することを特徴とする。
【0022】
このようにして選択的に結晶化をおこなわせしめて、結晶性珪素膜を得ることができるが、このような結晶性珪素膜の特性をより向上せしめんとすれば、結晶化工程の後に、レーザーもしくはそれと同等な強光を照射することによって、粒界等に残存する結晶化の不十分な成分を結晶化させてやればよい。この工程においては、残っていた非晶質成分は先の加熱工程によって形成された結晶を核として結晶成長し、粒界が消滅してしまうのでより高い特性を得ることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下に実施例を示しより詳細に本発明の説明を加えることとする。
【0024】
【実施例】
〔実施例1〕
本実施例は、ガラス基板上に結晶シリコンを用いたPチャネル型TFT(PTFTという)とNチャネル型TFT(NTFTという)とを相補型に組み合わせた回路を形成する例である。本実施例の構成は、アクティブ型の液晶表示装置の周辺ドライバー回路やイメージセンサーに利用することができる。
【0025】
図1に本実施例の作製工程の断面図を示す。まず、基板(コーニング7059)101上にスパッタリング法によって、厚さ2000Åの酸化珪素の下地膜102を形成する。つぎにマスクとなる酸化珪素膜103を設ける。この酸化珪素膜103は、スリット状に下地膜102を露呈させるもので、1000Å以上の厚さが必要である。また、このマクス103にゲッタリング効果を有する材料、例えばリンや塩素等を添加することも有用である。この状態を上面から見ると、スリット状に下地膜102は露呈しており、他ぼ部分はマスクされている状態となっている。
【0026】
上記酸化珪素膜103を設けた後、スパッタリング法によって、厚さ5〜200Å、例えば20Åの珪化ニッケル膜(化学式NiSix 、0.4≦x≦2.5、例えば、x=2.0)98を100の領域に選択的に成膜する。即ち、100で示される領域に選択的にニッケル微量添加を行う。(図1(A))
【0027】
つぎに、マスクである酸化珪素膜103を取り除き、プラズマCVD法によって、厚さ500〜1500Å、例えば1000Åの真性(I型)の非晶質珪素膜104を成膜する。この非晶質珪素膜104は、結晶性を有している膜でもよい。即ち、非単結晶珪素膜であればよい。さらに保護膜となる酸化珪素膜99を100〜1000Åの厚さに成膜する。この酸化珪素膜は、後のイオン注入時において、珪素膜104の表面がダメージを受けることを防ぐために設けられるものである。
【0028】
そして、この珪素膜104に対して、不活性な元素である珪素イオンの注入を全面に行う。この珪素イオンの注入は、一様な方向への結晶成長を後の熱アニール工程において行わすために、予め存在する基板(ここでは下地膜102も含めて基板と考える)と非晶質珪素半導体膜との界面における結晶成分(基板中の酸化珪素結晶成分や非晶質半導体膜中の結晶成分)を除去するためのものである。
【0029】
この珪素イオンの注入は、図5に示すようなドース量で注入されるように条件を設定する。図5において、点線で示す部分が、下地膜102と非晶質珪素膜104との界面部分になる。そして、そのドーズ量の最大値は、基板側にあって、5×1014cm-2とした。また、この珪素イオンの注入時には、下地膜102(ここでは下地膜102が基板表面を構成すると考える)と非晶質珪素膜104との界面を中心に、非晶質珪素膜104そのもの、非晶質珪素膜104と酸化珪素膜99との界面およびその近傍が非晶質化される。なお珪素イオンのドーズ量は、1×1014〜9×1016cm-2とすることが好ましい。
【0030】
この珪素イオンの注入工程において、非晶質珪素膜表面は、酸化珪素膜99で覆われているので、加速イオンのダメージを受けるのを低減することができる。また、ニッケル微量添加が行われた100の領域に珪素イオンが注入されることを防ぐために、この領域上にマスクを形成することも有用である。これは、イオン注入時にニッケル元素の不要な拡散を防ぐためである。
【0031】
そして、酸化珪素珪素膜99を取り除き、水素還元雰囲気下(好ましくは、水素の分圧が0.1〜1気圧)または窒素雰囲気化(大気圧)において、550℃で4時間アニールして非晶質珪素膜104を結晶化させる。この際、珪化ニッケル膜が選択的に成膜された100の領域においては、基板101に対して垂直方向に珪素膜104の結晶化が起こる。そして、領域100以外の領域では、矢印105で示すように、領域100から横方向(基板と平行な方向)に結晶成長が行われる。こ結晶化の温度は、450℃〜700℃の範囲において可能であるが、高いと従来の場合のようにガラス基板の耐熱性の問題が生じる。
【0032】
この横方向の結晶成長が行われる領域において、下地膜102と珪素膜104との界面及びその近傍、さらには非晶質珪素膜そのものが、徹底的に非晶質化されているので、矢印105で示す結晶化の際に、その結晶化の方向を乱す原因となる結晶成分が存在せず、一様な横方向成長を行わすことができる。
【0033】
上記工程の結果、非晶質珪素膜を結晶化させて、結晶性珪素膜104を得ることができる。その後、パターニングにより素子間分離を行い、さらにスパッタリング法によって厚さ1000Åの酸化珪素膜106をゲイト絶縁膜として成膜する。スパッタリングには、ターゲットとして酸化珪素を用い、スパッタリング時の基板温度は200〜400℃、例えば350℃、スパッタリング雰囲気は酸素とアルゴンで、アルゴン/酸素=0〜0.5、例えば0.1以下とした。引き続いて、スパッタリング法によって、厚さ6000〜8000Å、例えば6000Åのアルミニウム(0.1〜2%のシリコンを含む)を成膜する。なお、この酸化珪素膜106とアルミニウム膜の成膜工程は連続的に行うことが望ましい。
【0034】
そして、シリコン膜をパターニングして、ゲイト電極107、109を形成する。さらに、このアルミニウムの電極の表面を陽極酸化して、表面に酸化物層108、110を形成する。この陽極酸化は、酒石酸が1〜5%含まれたエチレングリコール溶液中で行った。得られた酸化物層108、110の厚さは2000Åである。なお、この酸化物108と110とは、後のイオンドーピング工程において、オフセットゲイト領域を形成する厚さとなるので、オフセットゲイト領域の長さを上記陽極酸化工程で決めることができる。
【0035】
次に、イオンドーピング法によって、結晶性珪素膜の領域にゲイト電極107とその周囲の酸化層108、ゲイト電極109とその周囲の酸化層110をマスクとして不純物(燐およびホウ素)を注入する。ドーピングガスとして、フォスフィン(PH3 )およびジボラン(B2 6 )を用い、前者の場合は、加速電圧を60〜90kV、例えば80kV、後者の場合は、40〜80kV、例えば65kVとした。ドース量は1×1015〜8×1015cm-2、例えば、燐を2×1015cm-2、ホウ素を5×1015とした。ドーピングに際しては、一方の領域をフォトレジストで覆うことによって、それぞれの元素を選択的にドーピングした。この結果、N型の不純物領域114と116、P型の不純物領域111と113が形成され、Pチャネル型TFT(PTFT)の領域とNチャネル型TFT(NTFT)との領域を形成することができた。
【0036】
その後、レーザー光の照射によってアニール行った。レーザー光としては、KrFエキシマレーザー(波長248nm、パルス幅20nsec)を用いたが、他のレーザーであってもよい。レーザー光の照射条件は、エネルギー密度が200〜400mJ/cm2 、例えば250mJ/cm2 とし、一か所につき2〜10ショット、例えば2ショット照射した。このレーザー光の照射時に基板を200〜450℃程度に加熱することは有用である。このレーザアニール工程において、先に結晶化された領域にはニッケルが拡散しているので、このレーザー光の照射によって、再結晶化が容易に進行し、P型を付与する不純物がドープされた不純物領域111と113、さらにはNを付与する不純物がドープされた不純物領域114と116は、容易に活性化させることができた。
【0037】
続いて、厚さ6000Åの酸化珪素膜118を層間絶縁物としてプラズマCVD法によって形成し、これにコンタクトホールを形成して、金属材料、例えば、窒化チタンとアルミニウムの多層膜によってTFTの電極・配線117、120、119を形成した。最後に、1気圧の水素雰囲気で350℃、30分のアニールをおこなった。以上の工程によって半導体回路が完成した。(図1(D))
【0038】
上記に示す回路は、PTFTとNTFTとを相補型に設けたCMOS構造であるが、上記工程において、2つのTFTを同時に作り、中央で切断することにより、独立したTFTを2つ同時に作製することも可能である。
【0039】
図2に、図1(D)を上面から見た概要を示す。図2におけるNi添加領域が図1(A)で示される領域100の部分になる。横方向の結晶化は、Ni添加領域から、矢印で示されるように基板に平行な方向に概略そろった状態で行われる。そして、ソース/ドレイン間を移動するキャリアの移動方向に針状あるいは柱状に結晶が成長しているので、キャリアが移動する際に粒界を横切ることが少なく、高移動度のTFTを得ることができる。
【0040】
例えば、図1(B)の工程における珪素イオンの注入を行わずに、結晶化を行った場合のTFTの移動度は、PTFTで50〜60cm2 /Vsであったものが、本実施例において作製したPTFTでは、90〜120cm2 /Vsと高移動度を得ることができた。また、NTFTの場合も、珪素のイオン注入を行わない場合には、その移動度が80〜100cm2 /Vsであったものを、本実施例においては、150〜180cm2 /Vsを得ることができた。
【0041】
本実施例においては、Niを導入する方法として、非晶質珪素膜104下の下地膜102上に選択的にNiを薄膜(極めて薄いので、膜として観察することは困難である)として形成し、この部分から結晶成長を行わす方法を採用したが、アモルファスシリコン膜104を形成後に、選択的に珪化ニッケル膜を成膜する方法でもよい。即ち、結晶成長はアモルファスシリコン膜の上面から行ってもよいし、下面から行ってもよい。また、予めアモルファスシリコンを成膜し、さらにイオンドーピング法を用いて、ニッケルイオンをアモルファスシリコン膜104に選択的に注入する方法を採用してもよい。この場合は、ニッケル元素の濃度を制御することができるという特徴を有する。さらに、プラズマ処理によりニッケル微量添加を行うことも可能である。このプラズマ処理によってニッケル元素を導入する場合には、ニッケル微量添加を行おうとする半導体膜(例えば非晶質珪素膜104)の下地(例えば下地酸化珪素膜102)上面か、半導体膜上面に対して行えばよい。またニッケルの他にFe、Co、Pd、Ptを結晶化のための触媒材料として用いた場合でも、同様な工程によって、TFTを作製することができる。
【0042】
〔実施例2〕
本実施例は、アクティブ型の液晶表示装置において、Nチャネル型TFTをスイッチング素子として各画素に設けた例である。以下においては、一つの画素について説明するが、他に多数(一般には数十万)の画素が同様な構造で形成される。
【0043】
本実施例の作製工程の概略を図3に示す。本実施例において、基板201としてはコーニング7059ガラス基板を使用した。まずガラス基板201上に下地膜202(酸化珪素)をスパッタ法で形成する。そしてマスクとなる1000Å厚の酸化珪素膜203を形成する。この酸化珪素膜は、204の領域で下地膜202を露呈するマスクとして機能する。この後珪化ニッケル膜を成膜する。この珪化ニッケル膜は、スパッタリング法によって、厚さ5〜200Å、例えば20Åの厚さに形成する。この珪化ニッケル膜は、化学式NiSix 、0.4≦x≦2.5、例えば、x=2.0で示される。
【0044】
この後、マスクである酸化珪素膜203を除去した後、LPCVD法もしくはプラズマCVD法で非晶質珪素膜205(厚さ300〜1500Å)を形成し、さらに酸化珪素の保護膜200を500Åの厚さに形成する。(図3(B))
【0045】
そして、実施例1と同様な珪素イオンの注入工程を経て、加熱アニールによって結晶化を行った。このアニール工程は、水素還元雰囲気下(好ましくは、水素の分圧が0.1〜1気圧)、550℃で4時間行った。この際、非晶質珪素膜205下の一部の領域には、珪化ニッケル膜が成膜されているので、その部分では基板に対し垂直方向に、他の部分では基板に対して平行な方向に結晶成長が起こり、結晶性珪素膜を得ることができる。
【0046】
そして、この結晶性珪素よりなる半導体領域(204で示される部分)をパターニングして島状の半導体領域(TFTの活性層)を形成する。さらにテトラ・エトキシ・シラン(TEOS)を原料として、酸素雰囲気中のプラズマCVD法によって、酸化珪素のゲイト絶縁膜(厚さ700〜1200Å、ここでは1000Å)206を形成する。
【0047】
次に、シリコンのゲイト電極207を形成する。その後、N型の不純物として、燐をイオンドーピング法で結晶性珪素膜に自己整合的に注入し、TFTのソース/ドレイン208、209を形成する。さらに、図3(C)に矢印で示すように、これにKrFレーザー光を照射して、このイオンドーピングのために結晶性の劣化したシリコン膜の結晶性を改善せしめる。このときにはレーザー光のエネルギー密度は250〜300mJ/cm2 と設定する。このレーザー照射によって、このTFTのソース/ドレインのシート抵抗は300〜800Ω/cm2 となる。
【0048】
その後、酸化珪素によって層間絶縁物211を形成し、さらに、画素電極212をITOによって形成する。そして、コンタクトホールを形成して、TFTのソース/ドレイン領域にクロム/アルミニウム多層膜で電極213、214を形成し、このうち一方の電極214はITOにも接続するようにする。クロム/アルミニウム多層膜は、下層にクロム膜20〜200nm、典型的には100nm、上層にアルミニウム膜100〜2000nm、典型的には500nmが成膜されてできている。これらは連続的にスパッタ法にて形成することが望まれる。最後に、水素中で200〜300℃で2時間アニールして、シリコンの水素化を完了する。このようにして、TFTが完成させる。そして、同時に作製した多数のTFTをマトリクス状に配列せしめてアクティブマトリクス型液晶表示装置とする。
【0049】
また、本実施例のTFTの概略を上面かた見た図を図4に示す。図4には、TFT部分とニッケル微量添加が行われた領域204とが示されている。図4には、ソース/ドレイン領域208、210とチャネル形成領域209、チャネル形成領域上方のゲイト電極207が示されている。熱アニールによる結晶化においては、ニッケルが選択的に導入された領域204から、矢印に示すように、基板に平行な方向にその成長方向がそろった結晶成長が起こる。そしてこの基板に平行な方向に結晶成長した結晶性珪素膜を用いて、ソース/ドレイン領域208、210とチャネル形成領域209とが構成される。TFTの動作時においては、キャリアはチャネル形成領域、即ち領域208と210との間を移動するので、結晶成長方向がそろった結晶性珪素膜中において、キャリアは粒界の影響をほとんど受けずに移動することができる。即ち、高移動度を得ることができる。また、横方向への結晶成長は40μm程度行われるので、活性層の長さを40μm以下の長さとすることが好ましい。またニッケル微量添加領域204がドレイン/ソース領域210と重なってしまってもよい。ただし、チャネル形成領域209とニッケル微量添加領域204とが重なると、チャネル形成領域209において、結晶成長の方向が基板に対して垂直方向となるので、注意が必要である。
【0050】
以上の実施例においては、結晶成長方向に平行な方向にキャリアが流れるように、TFTを形成したが、このTFT内のキャリアの流れる方向と、結晶成長方向とを適当に定めることにより、TFTの特性を制御することができる。即ち、TFT内においてキャリアの流れる方向(ソースとドレインを結ぶ線の方向)と、結の晶成長方向との成す角度によって、キャリアが粒界を横切る割合を制御することができるので、この角度を制御することによって、キャリアが移動に際して受ける抵抗をある程度制御することができる。
【0051】
〔実施例3〕
本実施例は、選択的に珪素イオンの注入を行うことにより、珪素イオンが打ち込まれなかった領域を選択的に結晶成分を有する珪素膜として残し、この領域から珪素イオンが打ち込まれ非晶質化された領域へ横方向の結晶成長を行う例である。
【0052】
例えば図1に示す作製工程において、実施例1と同様に100の領域に選択的にニッケル微量添加を行い、さらに(B)の工程において、100の領域をレジストによってマスクし、珪素イオンの注入を行う。この際、珪素膜104を結晶性を有する膜として形成しておくとよい。すると、加熱による結晶化の際、100の領域上の珪素膜104から、その周囲(珪素イオンが注入されなかった領域)に矢印105で示すような結晶成長を生じさせることができる。
【0053】
また、ニッケル微量添加を珪素膜104全体に行っても同様な効果を得ることができる。ただしこの場合、ニッケルを触媒とした基板101に対する垂直方向への結晶成長も同時に起こる。
【0054】
〔実施例4〕 図6に本実施例を示す。ガラス基板601上に、厚さ1000〜5000Å、例えば、2000Åの酸化珪素膜602を形成した後、厚さ300〜1500Å、例えば、500Åの非晶質珪素膜603をプラズマCVD法によって形成した。さらに、その上に、500〜1500Å、例えば、500Åの酸化珪素膜604を形成した。これらの成膜は連続的におこなうことが望ましい。そして、酸化珪素膜604を選択的にエッチングして、ニッケルを導入する窓605を開けた。窓605はTFTのチャネルとなるべき部分を避けて形成した。そして、スピンコーティング法によってニッケル塩の膜607を形成した。この方法について説明すると、まず、酢酸ニッケルもしくは硝酸ニッケルを水もしくはエタノールによって希釈化して、25〜200ppm、例えば、100ppmの濃度にした。
【0055】
一方、基板を過酸化水素水もしくは過酸化水素水とアンモニアの混合溶液に浸漬して、極めて薄い酸化珪素膜を非晶質珪素膜の露出した部分(窓605の領域)に形成した。これは、上記のように調製したニッケル溶液と非晶質珪素膜の界面親和性を向上させるためである。
このような処理をほどこした基板をスピナーに設置し、緩やかに回転させ、基板上にニッケル溶液を1〜10ml、例えば、2ml滴下し、基板全面に溶液を拡げた。この状態を1〜10分、例えば、5分保持した。その後、基板の回転数を上げてスピンドライをおこなった。この操作はさらに複数回繰り返してもよい。このようにしてニッケル塩の薄い膜607を形成した。(図6(A))
【0056】
そして、イオン注入法によって、珪素イオンの注入をおこなった。この際には窓605の部分以外、すなわち、酸化珪素膜604で覆われた領域においては、珪素イオンが下地の酸化珪素膜602と非晶質珪素膜603の界面に最も多くのイオンが注入されるようにおこなった。なお、この際、窓605の領域では、酸化珪素膜604が存在しないため、珪素イオンはより深く注入される。
その後、加熱炉において、520〜580℃、4〜12時間、例えば、550℃で8時間の加熱処理をおこなった。雰囲気は窒素とした。この結果、まず、窓605の直下の領域にニッケルが拡散し、この領域から結晶化が始まった。そして、結晶化領域は矢印608に示すように、その周囲に拡がっていった。(図6(B))
【0057】
その後、大気もしくは酸素雰囲気において、KrFエキシマレーザー光(波長248nm)もしくはXeClエキシマレーザー光(波長308nm)を1〜20ショット、例えば、5ショット照射して、さらに結晶性を向上せしめた。エネルギー密度は200〜350mJ/cm2 、基板温度は200〜400℃とした。(図6(C))
【0058】
その後、珪素膜603をエッチングして、TFTの領域を形成した。そして、全面に厚さ1000〜1500Å、例えば、1200Åの酸化珪素膜609を形成し、実施例1の場合と同様にアルミニウムによってPTFTのゲイト電極610、およびNTFTのゲイト電極613、ならびに、それぞれの陽極酸化膜612、614によってゲイト電極部を形成した。
【0059】
そして、これらゲイト電極部をマスクとして、実施例1と同様にN型およびP型の不純物をイオンドーピング法によって珪素膜中に注入した。この結果、PTFTのソース615、チャネル616、ドレイン617、周辺回路のNTFTのソース620、チャネル619、ドレイン618が形成された。その後、実施例1と同様に全面にレーザー照射をおこなって、ドーピングされた不純物の活性化をおこなった。(図6(D))
【0060】
その後、層間絶縁物として厚さ3000〜8000Å、例えば、5000Åの酸化珪素膜621を形成した。この後、TFTのソース/ドレインにコンタクトホールを形成し、さらに、スパッタリング法によって、窒化チタン(厚さ1000Å)とアルミニウム(厚さ5000Å)の2層膜を堆積して、これをパターニング・エッチングして、電極・配線622〜624を形成した。このようにして、横方向に成長した結晶性珪素によってPTFTとNTFTからなるインバータ回路を形成することができた。(図6(E))
【0061】
本実施例では図6(C)にあるように、レーザー照射をおこなう。この工程では、針状に成長した珪素結晶間に残った非晶質成分まで結晶化され、しかも、この結晶化は針状結晶を核として、針状結晶を太くするように結晶化する。このことは電流の流れる領域を拡げることとなり、より大きなドレイン電流を流すことができる。
この様子を図7に示す。図7は結晶化した珪素膜を薄膜化して透過型電子顕微鏡(TEM)によって観察したものである。図7(A)は横方向への成長によって結晶化した珪素膜の結晶化領域の先端付近を見たものであり、針状の結晶が観察される。さらに、その結晶の間には結晶化していない非晶質領域が多く存在しているのが分かる。(図7(A))
【0062】
これを本実施例の条件でレーザー照射すると、図7(B)のようになる。この工程によって、図7(A)の大部分の面積を占めていた非晶質領域は結晶化するが、この結晶化は乱雑に発生するため、電気的な特性はあまり良くない。注目すべきは、中央付近に観察される針状結晶の間のもともと非晶質であったと思われる領域の結晶状態である。ここは、針状結晶から結晶化成長するように、太い結晶領域が形成されている。(図7(B))
【0063】
図7は分かりやすくするために、比較的、非晶質領域の多い結晶成長の先端領域を観察したものであったが、結晶成長の根元付近や中央付近でも同様である。このように、レーザー照射によって、非晶質部分を減らし、針状結晶を太くすることができ、TFTの特性をさらに向上せしめることができる。
【0064】
【効果】
選択的に特定の領域に結晶化を助長する金属元素を導入し、この領域から横方向(基板に平行な方向)に結晶成長をさせることによって、結晶成長方向の揃った結晶性珪素膜を得ることができる。そして、この際に横方向への結晶成長が行われる領域に予め結晶成分が存在しないように、不活性イオンの注入によって、徹底的に非晶質化を行わせ、さらに熱アニールをすることによって、結晶成長方向のそろった結晶性半導体膜を得ることができる。そして、この膜を用いてTFTを作製することによって、高移動度のTFTを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例の作製工程を示す。
【図2】 実施例の概要を示す。
【図3】 実施例の作製工程を示す。
【図4】 実施例の概要を示す。
【図5】 珪素イオンのドーズ量を示す。
【図6】 実施例の作製工程を示す。
【図7】 実施例の結晶構造を示す。
【符号の説明】
101 ガラス基板
102 下地膜(酸化珪素膜)
103 マスク
100 ニッケルが導入される領域
99 保護膜(酸化珪素膜)
105 結晶成長方向
107 ゲイト電極
108 陽極酸化層
109 ゲイト電極
110 陽極酸化層
111 ソース/ドレイン領域
112 チャネル形成領域
113 ドレイン/ソース領域
114 ソース/ドレイン領域
115 チャネル形成領域
116 ドレイン/ソース領域
117 電極
118 層間絶縁物
119 電極
120 電極
201 ガラス基板
202 下地膜(酸化珪素膜)
203 マスク
204 ニッケルが導入される領域
206 ゲイト絶縁膜
207 ゲイト電極
208 ソース/ドレイン領域
209 チャネル形成領域
210 ドレイン/ソース領域
211 層間絶縁物
212 ITO(画素電極)
213 電極
214 電極

Claims (11)

  1. 基板上に下地膜を形成し、
    前記下地膜上に非晶質半導体膜を形成し、
    前記非晶質半導体膜の一部に結晶化を助長する金属元素を添加し、
    前記非晶質半導体膜に不活性な元素のイオンを注入することにより、前記非晶質半導体膜および前記下地膜と前記非晶質半導体膜との界面を非晶質化し、
    前記非晶質化された半導体膜を加熱することにより、前記非晶質化された半導体膜を前記金属元素が添加された領域から前記金属元素が添加されない領域へと結晶成長させ、結晶性半導体膜を形成し、
    前記結晶性半導体膜をパターニングし、
    前記パターニングされた結晶性半導体膜中にソース領域、ドレイン領域及びチャネル形成領域を形成する半導体装置の作製方法において、
    前記チャネル形成領域を移動するキャリアの移動方向と前記結晶成長方向とが沿うように、且つ前記結晶性半導体膜に前記金属元素が添加されたところを含まないように前記結晶性半導体膜をパターニングすることを特徴とする半導体装置の作製方法。
  2. 基板上に下地膜を形成し、
    前記下地膜上に非晶質半導体膜を形成し、
    前記非晶質半導体膜の一部に結晶化を助長する金属元素を添加し、
    前記非晶質半導体膜に不活性な元素のイオンを注入することにより、前記非晶質半導体膜および前記下地膜と前記非晶質半導体膜との界面を非晶質化し、
    前記非晶質化された半導体膜を加熱することにより、前記非晶質化された半導体膜を前記金属元素が添加された領域から前記金属元素が添加されない領域へと結晶成長させ、結晶性半導体膜を形成し、
    前記結晶性半導体膜をパターニングし、
    前記パターニングされた結晶性半導体膜中にソース領域、ドレイン領域及びチャネル形成領域を形成する半導体装置の作製方法において、
    前記チャネル形成領域を移動するキャリアの移動方向と前記結晶成長方向とが沿うように、且つ前記チャネル形成領域に前記金属元素が添加されたところを含まないように前記結晶性半導体膜をパターニングすることを特徴とする半導体装置の作製方法。
  3. 請求項またはにおいて、前記不活性な元素のイオンはシリコンイオンであることを特徴とする半導体装置の作製方法。
  4. 請求項1乃至のいずれか一において、前記結晶化を助長させる金属元素は、Niであることを特徴とする半導体装置の作製方法。
  5. 請求項1乃至のいずれか一において、前記結晶化を助長させる金属元素は、Fe、Co、PdまたはPtであることを特徴とする半導体装置の作製方法。
  6. 請求項1乃至のいずれか一において、前記非晶質半導体膜の一部に結晶化を助長する金属元素を添加する方法は、スパッタリング法により前記金属元素を含む膜を成膜すること、蒸着法により前記金属元素でなる膜を成膜すること、及びイオン注入法により前記非晶質半導体膜に前記金属元素を添加することのいずれかであることを特徴とする半導体装置の作製方法。
  7. 請求項1乃至のいずれか一において、前記非晶質半導体膜の一部に結晶化を助長する金属元素を添加する方法は、スピンコーティング法または塗布法で前記金属元素を含む溶液を塗布する方法を含むことを特徴とする半導体装置の作製方法。
  8. 請求項において、前記非晶質半導体膜上に酸化珪素膜を形成し、前記非晶質半導体膜の一部に結晶化を助長する金属元素を添加することを特徴とする半導体装置の作製方法。
  9. 請求項1乃至のいずれか一において、前記結晶性半導体膜における前記結晶化を助長させる金属元素の量は、1×1018atoms/cm以下であることを特徴とする半導体装置の作製方法。
  10. 請求項1乃至のいずれか一において、前記非晶質化された半導体膜を加熱することにより、前記半導体膜を前記金属元素が添加されたところから前記金属元素が添加されないところへと結晶成長させ、結晶性半導体膜を形成した後、前記結晶性半導体膜にレーザー光または前記レーザー光と同等な強光を照射することを特徴とする半導体装置の作製方法。
  11. 請求項1乃至10のいずれか一において、前記結晶性半導体膜は結晶性珪素膜からなることを特徴とする半導体装置の作製方法。
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