JP2000054156A - 塗装後耐蝕性に優れたAl合金材 - Google Patents

塗装後耐蝕性に優れたAl合金材

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JP2000054156A
JP2000054156A JP22437798A JP22437798A JP2000054156A JP 2000054156 A JP2000054156 A JP 2000054156A JP 22437798 A JP22437798 A JP 22437798A JP 22437798 A JP22437798 A JP 22437798A JP 2000054156 A JP2000054156 A JP 2000054156A
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film
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hydrated oxide
corrosion resistance
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Fumihiro Sato
文博 佐藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 成形加工後に研削されたAl合金材の全面また
は部分的な研削面のリン酸塩処理性を改善するととも
に、リン酸塩処理乃至リン酸塩処理+ED塗装に代わりう
る、塗装後の耐食性に優れたAl合金材を提供する。 【解決手段】 全面または部分的に研削面を有するAl
合金材において、前記研削面表面に、Alの水和酸化物皮
膜2 を有するものとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、全面または部分的
な研削面を有し、研削面の塗装後耐蝕性に優れたAl合金
材、特に自動車などの外板や各種部材に使用されて好適
な輸送機用Al合金材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】鉄道車両や船舶やオートバイ或いは航空
機や自動車等の輸送機、その中でも、特に自動車車体な
どには、軽量化を目的として、アルミニウム合金 (以
下、単にAl合金と言う) の板材や押出形材などが用いら
れるようになっている。
【0003】このAl合金材は、従来から用いられている
鋼板などと同様に、プレス成形や曲げ加工などの成形加
工によって、所定形状に成形された後、輸送機の構造部
材として、成形部材同士の溶接乃至機械的な接合による
組み立てが行われる。そして、組み立てられた構造部材
は、塗装下地としてリン酸塩処理された後、電気化学的
な反応によるカチオン電着塗装 (以下単にED塗装と言
う) 、および中塗り、上塗りのスプレー塗装(2コート 2
ベーク) が施される。
【0004】そして、前記プレス成形や曲げ加工などの
成形加工後には、成形加工時のキズ等を除去する乃至表
面矯正のために、成形Al合金材の全面または一部分が研
削されることが多い。
【0005】しかし、これらリン酸塩処理されるAl合金
材は、鋼板に比して、リン酸塩処理性が劣り、リン酸塩
皮膜がAl合金材表面に均一につきにくく、耐糸さび性に
劣るという問題がある。この糸さびは、Al合金塗装材の
表面に糸状に延びるさびであり、Al合金塗装材の外観を
阻害するとともに、Al合金塗装材の耐食性自体も劣化さ
せる。
【0006】特に、前記成形加工後に研削されたAl合金
材の全面または部分的な研削面は、研削されていない他
の非研削面に比して、リン酸塩処理性が劣り、リン酸塩
皮膜がAl合金材表面に均一につきにくいという問題があ
る。この結果、研削面において、あるいは研削面と非研
削面とで塗装後の外観ムラが発生しやすく、また前記塗
装後の耐蝕性が劣化するという問題がある。
【0007】この点、成形加工後に研削されたAl合金材
に研削面と非研削面との表面性状の相違があったとして
も、表面処理性に影響を受けない、言い換えると、この
リン酸塩処理自体に代わりうる、塗装後の耐食性に優れ
た塗装下地処理があれば好ましい。しかし、実際問題と
して、このような塗装下地処理は今まで無かったのが実
情である。
【0008】このため、リン酸塩処理を行うことを前提
に、研削面を有するAl合金材の、前処理やAl合金材の側
を改善する技術が従来から種々提案されている。例え
ば、特開平08-85880号公報などでは、Mgを0.3%以上含有
するAl合金材の全面または部分的な研削面を、無機酸ま
たは無機酸を主成分とする溶液で洗浄し、研削面に生成
しているMgO 酸化皮膜および電気化学的不均質層を除去
したのち、リン酸塩処理することが開示されている。
【0009】また、特開平08-99256号公報などでは、主
要合金成分としてMgを含有し、かつCuを0.02%(質量%)以
上含むAl合金材の全面または部分的な研削を、Alより貴
な金属や貴な金属の酸化物の存在下で行い、Al合金材の
研削面にカソード的因子を与え、リン酸塩処理性を改善
することが開示されている。
【0010】更に、特開平08-277434 号公報などでは、
Al合金材の組成の内、リン酸塩処理性を改善する元素と
してZnを0.3 〜2.0%含有させるとともに、リン酸塩処理
性を低下させるCuを0.03% 以下に規制することが開示さ
れている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、本発明
者らが知見したところによれば、Al合金材の研削面のよ
うに、非研削面に比してAlの金属面 (新生面) が露出し
ている表面のリン酸塩処理性は、表面に酸化物を有する
非研削面のリン酸塩処理性よりも劣っている。したがっ
て、前記特開平08-85880号公報などのような、無機酸ま
たは無機酸を主成分とする溶液で洗浄したとしても、却
って、研削面のリン酸塩処理性の低下が生じてしまう。
【0012】また、リサイクル性に優れ、この分野に使
用されるAl合金材の主流となっている、Si:0.2〜1.8%(m
ass%、以下同じ) 、Mg:0.2〜1.6%を含む6000系Al合金で
は、プレス成形性などの成形性の改善のために、Cuを0.
5 〜1.0%程度含有させることが必要となる場合があるが
ある。この点、前記特開平08-277434 号公報などのよう
に、Cuを0.03% 以下に規制する技術では、このような、
Cuを含む6000系Al合金材には適用できない。また、Znを
0.3 〜2.0%含有させるため、スクラップを再溶解して60
00系Al合金に再利用するリサイクル性にも問題がある。
【0013】更に、Cuを0.02% 以上含むAl合金材を対象
とする、前記特開平08-99256号公報では、研削により表
面に濃化しているCuが除去された研削面を、Cuが表面に
濃化している非研削面と同じ表面状態にするために、研
削時にAlより貴な金属や貴な金属の酸化物を添加して、
研削面に付着させるものである。
【0014】しかし、どういう公知の研削方法をとるに
せよ、研削時にAlより貴な金属や貴な金属の酸化物を添
加し、かつ実際の研削作業の中で、これらAlより貴な金
属や貴な金属の酸化物を研削面に付着させるようにする
のは、非常に困難である。また、Alより貴な金属や貴な
金属の酸化物が表面に付着するだけでなく、Al合金材表
面に埋め込まれた場合、却って表面性状や耐蝕性を阻害
することになる。しかも、研削時にAlより貴な金属や貴
な金属の酸化物を添加することは、研削本来の目的であ
る研削効率を著しく低下させる。したがって、この方法
は、研削をする側から見ると、甚だ非現実的な方法と言
わざるを得ない。
【0015】したがって、以上の点から、成形加工後に
研削されたAl合金材の全面または部分的な研削面のリン
酸塩処理性を改善する技術は、今まで無かったのが実情
である。また、更に進んで、このリン酸塩処理自体に代
わりうる、塗装後の耐食性に優れた塗装下地処理も今ま
で無かったのが実情である。
【0016】本発明はこの様な事情に着目してなされた
ものであって、その目的は、成形加工後に研削されたAl
合金材の全面または部分的な研削面のリン酸塩処理性を
改善するとともに、リン酸塩処理乃至リン酸塩処理+ED
塗装に代わりうる、塗装後の耐食性に優れたAl合金材を
提供しようとするものである。
【0017】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に、本発明の要旨は、全面または部分的に研削面を有す
るAl合金材において、前記研削面表面に、Alの水和酸化
物皮膜を有するものとする。なお、本発明では、Al合金
材の研削面の表面処理性を改善するために、研削面表面
に、Alの水和酸化物皮膜を有するものであるが、勿論、
Al合金材の研削面以外の非研削面乃至Al合金材の表面全
面にAlの水和酸化物皮膜を有しても構わない。
【0018】このような本発明要旨とすることにより、
成形加工後に研削されたAl合金材の全面または部分的な
研削面のリン酸塩処理性を改善するとともに、リン酸塩
処理乃至リン酸塩処理+ED塗装に代わりうる、塗装後の
耐食性に優れたAl合金材を提供することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明における、ベーマイトなど
のAlの水和酸化物皮膜は、研削されたAl合金材の全面ま
たは部分的な研削面のリン酸塩処理性を改善する。即
ち、Alの水和酸化物皮膜は、成形加工後に研削されたAl
合金材に研削面と非研削面との表面性状の相違があった
としても、表面処理性に影響を受けず、研削面と非研削
面の両方に均一に生成する。しかも、このAlの水和酸化
物皮膜は、リン酸塩処理性に優れ、Alの水和酸化物皮膜
上に、均一なリン酸塩皮膜を生成させる。したがって、
成形加工後に研削されたAl合金材に研削面と非研削面と
の表面性状の相違があったとしても、優れたリン酸塩処
理性を発揮し、その結果として、塗装後耐食性にも優れ
る。
【0020】そして、更に進んで、Alの水和酸化物皮膜
を施したAl合金材は、リン酸塩処理を施さずとも、リン
酸塩処理に代わる塗装下地処理となって、塗装性 (付き
回りや塗膜密着性) や塗装後耐食性 (耐糸さび性と耐水
性) の向上に寄与する。したがって、本発明Al合金材
は、従来のコーティングラインをそのまま踏襲して、リ
ン酸塩 (亜鉛) 処理およびED塗装などの塗装下地処理を
施した上で塗装しても良く、更に、これら塗装下地処理
を省略した上で塗装しても良い。
【0021】このAlの水和酸化物皮膜の内でも、特に、
粗な上層皮膜と、緻密な下層皮膜との2 層構造からなる
Alの水和酸化物皮膜が、成形加工後に研削されたAl合金
材の全面または部分的な研削面のリン酸塩処理性を改善
する。即ち、Alの水和酸化物皮膜の内、粗な上層皮膜
が、特に研削されたAl合金材の全面または部分的な研削
面のリン酸塩処理性を改善する。また、塗装性や塗装後
耐食性 (特に耐糸さび性) の向上に寄与する。
【0022】本発明に係る好ましいAlの水和酸化物皮膜
および塗装皮膜の基本構造を図1 に模式的に示す。図1
はリン酸塩処理に代わる塗装下地処理として、Alの水和
酸化物皮膜および塗装皮膜を設けた場合の態様である。
この場合、本発明に係るAl合金材8 は、基本的に、Al合
金材1 の表面に、Alの水和酸化物皮膜2 と、塗装皮膜5
が設けられている。そして、Alの水和酸化物皮膜2 は、
板状 (立て板状) の粗な上層皮膜3 と、粒状の緻密な下
層皮膜4 とからなる。そして、塗装皮膜5 は、例えば、
中塗り6 、上塗り7 のスプレー塗装などの、ED塗装のよ
うな電気化学反応を伴わない塗膜(2コート 2ベーク) か
らなる。
【0023】本発明における、Alの水和酸化物皮膜と
は、一般式、Al2O3 ・XH2Oで表され、Alの酸化物の水和
反応により生成したAlの水和酸化物の皮膜を言う。そし
て、本発明におけるAlの水和酸化物とは、水和の程度(X
の値) などによる水和酸化物の種類や、形態、結晶構造
や結晶度などに特に限定されるものではない。ただ、Al
の水和酸化物の中でも、前記X の値が約1.5 〜1.9 の擬
ベーマイトのものは、ベーマイト皮膜と一般的に総称さ
れている。
【0024】本発明者らの詳細な分析によれば、このAl
の水和酸化物皮膜の内、板状の比較的な粗な上層皮膜3
は、Al2O3 ・XH2OのX が2 以上の水和に富んだ皮膜であ
る。そして、前記図1 のように、板状のAlの水和酸化物
9 が板状の結晶が交互に重なりあった、比較的空間乃至
隙間の多い粗な (ポーラスな) 層である。一方、緻密な
下層皮膜4 は、Al2O3 ・XH2OのX が約1 であり、前記図
1 のように、粒状のAlの水和酸化物10が密集した比較的
緻密な層である。
【0025】そして、これらの皮膜構造の同定は、前記
走査型電子顕微鏡による形態的な観察の他に、赤外線分
光分析法(FT −IR) で行うことができる。即ち、FT−IR
により、3000〜3700cm-1付近に認められるAlO ←→H の
伸縮振動による吸収スペクトル、および1000〜1050cm-1
付近に認められるAl←→OHの伸縮振動による吸収スペク
トル、更に800 〜600cm -1付近に認められるOAl ←→O
の伸縮振動による吸収スペクトルの、いずれか一つ以上
が認められることにより、本発明のAlの水和酸化物皮膜
の存在が確認される。また、板状の粗な上層皮膜3 と、
粒状の緻密な下層皮膜4 との区別および膜厚は、Al合金
材の破面 (例えばAl合金材の180 °曲げによる破面) を
前記した走査型電子顕微鏡による2 万倍以上の観察で行
うことができる。なお、この倍率は、Alの水和酸化物の
膜厚が薄くなるに従い、より高倍率とする必要がある。
また、この他、X 線回折によっても同定が可能であり、
透過型電子顕微鏡によっても形態的な観察が可能であ
る。
【0026】また、本発明におけるAlの水和酸化物皮膜
とは、Al2O3 ・XH2Oの純粋なAlの水和酸化物からのみ構
成される皮膜だけではなく、Alの水和酸化物皮膜を主成
分とするものであれば、混合物、即ち、Alの水和酸化物
皮膜形成時に混入してくる可能性や必然性のある不純物
元素などを含むものであっても構わない。
【0027】例えば、Alの水和酸化物と、Fe、Ni、Co、
Znから選択される1 種以上の金属化合物との複合皮膜と
する (これら金属の金属塩、例えば、硫酸塩、炭酸塩、
酸化物、水酸化物を複合皮膜へのこれら金属化合物の含
有量を金属元素に換算して1.0 at% 以上含有させる) 。
或いは、Alの自然電位よりも電位的に卑な金属化合物で
あるSi、Mnなどの金属化合物を、総和でかつ皮膜中の平
均含有量で1at%以上含む複合乃至混合皮膜とする (これ
ら金属の金属塩、例えば、硫酸塩、炭酸塩、酸化物、水
酸化物を複合皮膜へのこれら金属化合物の含有量を金属
元素に換算して1.0 at% 以上含有させる) 。これらの場
合には、Alの水和酸化物単味の皮膜の場合に比して、耐
水性や耐糸さび性、更には全面腐食などの耐食性がより
優れる。但し、これら金属化合物或いは不純物元素など
の許容量は、Alの水和酸化物皮膜の耐食性や密着性など
の特性を阻害しない範囲とする。
【0028】研削されたAl合金材の全面または部分的な
研削面のリン酸塩処理性を改善するためには、そしてま
た、耐糸さび性の向上効果を発揮するためには、Alの水
和酸化物皮膜の上層皮膜3 の膜厚を50Å以上とすること
が好ましい。板状の粗な上層皮膜3 の膜厚がこれより薄
くなると、研削面のリン酸塩処理性を改善することがで
きなくなる。また、カソード分極を十分に大きくするこ
とができなくなり、耐食性が低下する。また、強酸性環
境下におけるpHを上昇させる中和作用を得ることができ
なくなる可能性がある。一方、あまり厚くなると、塗装
皮膜との密着性を低下させて、塗膜剥離などの現象を起
こす可能性があるので、上層皮膜3 の膜厚の上限は5000
Å以下とすることが好ましい。
【0029】なお、Alの水和酸化物皮膜の作製条件によ
って、前記2 層構造の内の、特に、粒状の緻密な下層皮
膜の膜厚が大きく変化し、これにより、皮膜の耐水性が
大きく影響を受ける。そして、この緻密な下層皮膜の膜
厚が大きくなりすぎた場合には耐水性が劣化し、逆に、
緻密な下層皮膜の膜厚を3000Å以下に抑制すれば、板状
の粗な上層皮膜とともに、耐水性と耐糸さび性に優れた
効果を発揮することができる。
【0030】この耐水性の劣化は、下層皮膜が、水分と
反応することにより生じる。即ち、粒状の緻密な下層皮
膜は、Al2O3 ・XH2OのX が約1 であり、X が2 以上の水
和に富んだ上層皮膜に比して、水分と反応する余地、即
ちX が増加する余地がある。したがって、塗装Al合金材
の、使用中の塗装皮膜の経時劣化や、チッピングなどの
外的な要因による塗装皮膜の損傷に伴い、これらを通じ
て、海水や塩水などが、塗装皮膜を浸透して母材である
Al合金材に接触した場合に、X が2 以上の水和に富んだ
上層皮膜は水と反応しないものの、緻密な下層皮膜は積
極的に水と反応して、皮膜自体の体積増加を生じる。こ
の結果、塗装皮膜のふくれや剥離を生じるなど、母材で
あるAl合金材表面とAlの水和酸化物皮膜との界面、Alの
水和酸化物皮膜と塗装皮膜との界面での密着性を劣化さ
せ、また皮膜自体を破壊して、耐水性を劣化させる。こ
の現象は、特に海水や塩水雰囲気や環境などで著しくな
り、この雰囲気や環境下では、緻密な下層皮膜の膜厚が
大きくなるほど顕著になる。
【0031】この緻密な下層皮膜の膜厚による耐水性の
劣化は、膜厚が3000Åを境に大きく変化し、膜厚を3000
Å以下に抑制することにより、耐水性が向上する。一
方、緻密な下層皮膜には、酸やアルカリなどによるAlの
水和酸化物皮膜の溶解を防止する難溶解性の機能があ
り、Alの水和酸化物皮膜の全面腐食などの一般的な耐食
性を向上させる。そして、この効果を発揮させるために
は、緻密な下層皮膜の膜厚を50Å以上とする必要があ
る。
【0032】そして、一方、この緻密な下層皮膜の耐水
性は、下層皮膜を構成する粒状結晶径が微細なほど向上
する。言い換えると、下層皮膜を構成する粒状結晶径が
微細なほど耐水性の劣化が抑制される。この効果を発揮
するためには、粒状結晶径は40nm以下であることが好ま
しい。
【0033】また、これら上層皮膜と下層皮膜とからな
るAlの水和酸化物皮膜の合計の膜厚(総膜厚) は、100
〜6000Åとするのが好ましい。総膜厚が100 Å未満で
は、研削されたAl合金材の全面または部分的な研削面の
リン酸塩処理性を改善することができなくなり、また、
耐糸さび性を含めた耐食性が全般的に低下する可能性が
ある。一方、総膜厚が6000Åを越えると、Alの水和酸化
物皮膜のAl合金材や塗装皮膜との密着性が低下して、却
って、Alの水和酸化物皮膜や塗装皮膜の剥離を生じ、耐
水性や耐糸さび性を含めた耐食性が全般的に低下してし
まう可能性がある。
【0034】なお、粗な上層皮膜と緻密な下層皮膜とか
らなるAlの水和酸化物皮膜の構成自体は、公知である。
即ち、金属表面技術Vol.37,No.3,1986の第110 〜114
頁、あるいは金属表面技術Vol.24,No.12,1973 の第70
0 〜705 頁などには、高温の脱イオン水処理によるベー
マイト皮膜生成後に加圧水蒸気処理を施すなどの、Alの
水和酸化物皮膜の作製条件によって、前記の文献で
は、上層のひげ状の粗な部分と基層の緻密な部分あるい
は前記の文献では、1 水和物に富むち密な内層と水酸
化物に富む粗な外層とからなることが開示されている。
【0035】そして、これらの文献では、この2 層のAl
の水和酸化物皮膜の耐食性 (CAS 試験や塩水噴霧試験)
が、ベーマイト皮膜に比して優れることが開示されてい
る。しかし、これらの文献は、まず、Al合金材表面に、
Alの陽極酸化皮膜やAlの水和酸化物皮膜を設けただけで
使用するAl合金材を対象とするものである。したがっ
て、本発明のような塗装使用を前提とした輸送機用など
のAl合金材を対象にするものでなく、全面または部分的
に研削面を有するAl合金材を対象にするものでもない。
【0036】この結果、Al合金材の研削面と非研削面と
のリン酸塩処理性の相違と、これを改善しうるAlの水和
酸化物皮膜との関係、あるいは、Alの水和酸化物皮膜が
リン酸塩処理に代わりうる塗装下地処理効果を有するこ
とにたいする知見がない。これらの文献では、2 層のAl
の水和酸化物皮膜自体の前記耐食性を2 層化乃至膜厚増
加による重防食効果と認識しているに過ぎない。
【0037】次に、本発明におけるAlの水和酸化物皮膜
の作製方法について説明する。まず、Al合金材の圧延板
や押出形材を、例えば輸送機用の部材に成形および/ ま
たは溶接接合、更にAl合金材の全面あるいは一部を研削
した後、成形材のAl合金表面乃至特に研削面を、有機溶
剤やアリカリ性溶液あるいは酸性溶液により脱脂乃至洗
浄する適当な前処理を行う。この前処理の中でも、硝酸
水溶液により前処理した場合、後の工程で生成するAlの
水和酸化物皮膜の緻密さを向上させ、水分の浸透を抑制
して耐水性をより向上される効果を有する。
【0038】そして、この前処理の後に、Al合金表面乃
至特に研削面を、高温水や水蒸気に直接接触させる方
法、あるいは成形材のAl合金表面にAlの酸化物層を設け
た後で水和反応によりAlの水和酸化物皮膜に変換する方
法、更に、これらAlの水和酸化物皮膜を設けた後に、加
熱により水和量を調節する方法、あるいは前記特開平05
-70969号公報などのような、高温の中性または弱アルカ
リ性浴( 純水、水道水、トリエタノールアミンやアンモ
ニアの水溶液) に接触させる方法等を適宜選択して、本
発明における2 層のAlの水和酸化物皮膜を作成する。
【0039】しかし、Alの水和酸化物皮膜の作製条件な
どの主要な条件が同じであっても、Alの水和酸化物皮膜
が得られることには変わりはないものの、好ましい態様
である、2 層のAlの水和酸化物皮膜に必ずなるとは限ら
ない。即ち、例え、Alの水和酸化物皮膜作製の主要な条
件が同じであっても、水和酸化物皮膜作製の前処理条
件、更には、Alの水和酸化物皮膜自体の作製の際の細か
い条件などが違えば、2層のAlの水和酸化物皮膜になら
ない場合がある。現に、前記特開平05-70969号公報で
も、高温の中性または弱アルカリ性浴に接触させている
にも拘らず、得られる皮膜はベーマイト1 層のみの水和
酸化物皮膜になっている。したがって、Al合金材の表面
状況や前処理条件を含め、Alの水和酸化物皮膜の作製の
具体的な条件については、2 層のAlの水和酸化物皮膜が
得られるような条件を、個々の場合に応じて、適宜選択
していくことが必要である。
【0040】そして、このAlの水和酸化物皮膜を設けた
成形材に、リン酸塩処理を施し、またはリン酸塩処理を
施さずに、塗装する。この塗装の際に、Al合金表面がア
ルカリ性の範囲にならず、中性若しくは酸性範囲となる
塗装を行うことが好ましい。具体的には、静電塗装、ア
ニオン電着塗装およびスプレー塗装、ロールコーター塗
装、浸漬塗装から選択された非カチオン電着塗装による
塗装を選択的に行う。前記従来技術のように、Alの水和
酸化物皮膜を設けた成形材に、カチオン電着塗装の、Al
合金を陰極とした電気化学的な反応による塗装を施す
と、生成するアルカリ物質により、水和酸化物皮膜が部
分的にダメージを与えるような現象が生じ、却って、耐
糸さび性や耐水性が劣化する可能性がある。
【0041】次に、本発明における適用対象Al合金は、
JIS 5000系、JIS 6000系、JIS 7000系の成分規格のAl合
金が適宜適用可能である。このJIS 規格以外のAl合金で
も、本発明の輸送機などの用途の要求特性を満足するAl
合金は、全て本発明の適用対象となる。
【0042】しかし、自動車、船舶などの輸送機材や構
造材あるいは部品用の内、特に自動車のパネル材やフレ
ーム材としては、合金元素が少なくリサイクル性に優れ
ることが好ましい。また、基本的な特性として、引張強
度が200N/mm2以上および耐力で 90N/mm2以上を有してプ
レス成形性に優れることや、プレス成形後の塗装焼付後
には、好ましくは200N/mm2以上の高い耐力となる焼付硬
化性などの特性に優れていることが必要である。
【0043】したがって、本発明Al合金の化学成分組成
は、前記諸特性を満足するために、Al-Mg-Si系のJIS 60
00系Al合金の成分規格 (JIS 6101、6003、6151、6061、
6N01、6063など) に相当するものとして、基本的にSi:
0.2〜1.8%(mass%、以下同じ)、Mg:0.2〜1.6%を含有し、
その他、Zn:0.005〜1.0%、Cu:0.005〜1.5%、Ti:0.001〜
0.1%、B:1.〜300ppmなどを必要により選択的に含むAl合
金とすることが好ましい。しかし、JIS 6000系Al合金の
各成分規格通りにならずとも、前記基本的な特性を有し
てさえいれば、更なる特性の向上や他の特性を付加する
ための、適宜成分組成の変更は許容される。この点、上
記元素の成分範囲の変更や、より具体的な用途および要
求特性に応じて、Fe、Ni、V 、Mn、Cr、Zr、Sc、Agなど
の他の元素を適宜含むことは許容される。これらJIS 60
00系Al合金は、通常の調質処理である溶体化処理材、H1
16材のいずれかの引張強度で200N/mm2以上および耐力で
90N/mm2以上を有している。また、塑性加工性や成形加
工性や溶接性も良く、無塗装で使用された場合にも優れ
た耐均一腐食性を有するなど、前記基本要求特性を満足
している。
【0044】更に、本発明に係るAl合金材は、常法によ
る圧延、押出、鍛造、鋳造等によって、板乃至形材とし
て製造される。即ち、成分規格範囲内に溶解調整された
アルミ合金溶湯を、例えば、連続鋳造圧延法、半連続鋳
造法(DC鋳造法)等の通常の溶解鋳造法を適宜選択し
て、鋳造する。次いで、このアルミ合金鋳塊に均質化熱
処理を施し、熱間圧延および荒焼鈍や中間焼鈍を必要に
より加えた冷間圧延−調質処理により板材製品とする
か、または押出加工−調質処理により型材製品とする。
また、その他鍛造などの成形加工を行って、製品形状と
しても良い。
【0045】
【実施例】次に、本発明の実施例を説明する。Si:1.0%
、Mg:0.60%、Cu:0.01%、Ti:0.0005%残部Alおよひ不可
避的不純物からなるJIS 6000系Al合金鋳塊およびSi:
1.0%、Mg:0.60%、Cu:0.9% 、Ti:0.0005%残部Alおよひ不
可避的不純物からなるJIS 6000系Al合金鋳塊 (いずれ
も50mm厚み) をDC鋳造法により溶製後、470 ℃×8 時間
の範囲で均質化熱処理を施し、厚さ3.5mm まで熱間圧延
した。次に厚さ2.5mmまで冷間圧延し、硝石炉を用いて5
60 ℃で1 時間の溶体化処理した後水冷 (水焼入れ) を
行ってAl板を作成した。因みに、水冷した供試材は、引
張強度が230N/mm2以上および耐力で120N/mm2以上を有
し、塗装焼付後に200N/mm2以上の耐力となる焼付硬化性
を有していた。
【0046】これらのAl合金板を、各々プレス成形し、
この成形材より、200 ×200mm のサイズの試験片を切り
出し、試験片表面の半分の面積を#250メッシュのグライ
ンダーにて研削し、水洗後Al合金試験片表面 (研削面と
非研削面) に、表1 に示すAlの水和酸化物皮膜を設け
た。なお、表1 の内、発明例No.7については成形材より
切り出した試験片中に溶接部を含むものとした。
【0047】Alの水和酸化物皮膜を設ける条件は以下の
通りとした。表1 の発明例No.3〜11については、各試験
片を40℃の30% 硝酸に2 分間浸漬して水洗後、70〜90℃
の0.5%トリエタノールアミン(TEA) 水溶液中に3 〜10分浸漬して2
層のAlの水和酸化物皮膜を形成するとともに、温度と浸
漬時間を変えて、皮膜厚みと下層の粒径を制御した。ま
た、表1 の発明例No.1については、各試験片を40℃の30
% 硝酸に2 分間浸漬して水洗後、Liの炭酸塩を含む90℃
の水溶液で30分間処理し、Al合金表面にLiの炭酸塩を11
at% 含むAlの水和酸化物との複合皮膜 (2 層で言う上層
のみの皮膜) を設けた。更に、表1 の発明例No.2につい
ては、各試験片を40℃の30% 硝酸に2 分間浸漬して水洗
後、Niの酢酸塩を含む90℃の水溶液で20分間処理し、Al
合金表面にNiの酢酸塩を5.7at%含むAlの水和酸化物との
複合皮膜 (2 層で言う下層のみの皮膜) を設けた。
【0048】各試験片のAlの水和酸化物皮膜をFT−IR法
により同定した結果、3000〜3700cm -1付近に認められる
AlO ←→H の伸縮振動による吸収スペクトル、および10
00〜1050cm-1付近に認められるAl←→OHの伸縮振動によ
る吸収スペクトル、更に800〜600cm -1付近に認められ
るOAl ←→O の伸縮振動による吸収スペクトルの少なく
とも1 つ以上が認められることにより、Alの水和酸化物
皮膜の存在が確認された。更に、上層皮膜3 と下層皮膜
4 との形態的な同定および膜厚の測定は、Alの合金材試
験片の180 °曲げを行った皮膜破面を50000 倍 (膜厚の
薄い例は150000倍) 倍の走査型電子顕微鏡(SEM) による
観察で求めた。この結果、本発明例に係るAlの水和酸化
物皮膜が、上層が板状の粗な上層皮膜と、下層が粒状の
緻密な下層皮膜とからなっていることを確認した。な
お、発明例No.1、2 は、前記した通り、各々上層皮膜の
み、下層皮膜のみであることも確認した。
【0049】これらAlの水和酸化物皮膜を設けた試験片
表面に、表1 の発明例No.1〜6 については、日本パーカ
ーライジング (株) 製PL−4040溶液を使用して室温で30
秒浸漬してリン酸亜鉛処理後、ED塗装をせずに、電気化
学的反応を伴わないスプレー塗装乃至ロールコーター塗
装にて2 コート2 ベーク塗装皮膜を設けた。また、表1
の発明例No.7〜9 については、リン酸亜鉛処理およびED
塗装を施さず、直接スプレー塗装乃至ロールコーター塗
装にて2 コート2 ベーク塗装皮膜を設けた。更に、表1
の発明例No.10 については、発明例No.1〜6 と同じ条件
でリン酸亜鉛処理後、ED塗装を施こし、スプレー塗装に
て2 コート2 ベーク塗装皮膜を設けた。また、表1 の発
明例No.11 については、リン酸亜鉛処理を施さず、ED塗
装を施こし、スプレー塗装にて2 コート2 ベーク塗装皮
膜を設けた。2 コート2 ベーク塗装として、より具体的
には、中塗り塗装として、30μm 厚さのポリエステルメ
ラミン系塗装皮膜を設けて、140 ℃×20分の焼き付けを
行い、更に上塗り塗装として、30μm 厚さのポリエステ
ルメラミン系塗装皮膜を設けて、140 ℃×20分の焼き付
けを行った。
【0050】比較のために、研削面を有するAl合金試験
片をそのままAlの水和酸化物皮膜を設けずに、発明例N
o.10 と同じ条件でリン酸亜鉛処理およびED塗装を施こ
し、スプレー塗装にて2 コート2 ベーク塗装皮膜を設け
た比較例No.12 、13、そして、前記特開平08-99256号公
報のように、研削をCu粉を塗布した研磨紙で行い、研削
面にCu粉を付着させ、発明例No.10 と同じ条件でリン酸
亜鉛処理およびED塗装を施こし、スプレー塗装にて2 コ
ート2 ベーク塗装皮膜を設けた比較例No.14 を準備し
た。
【0051】そして、これら発明例、比較例のリン酸亜
鉛処理を行ったものについて、リン酸塩処理性を、試験
片表面にリン酸亜鉛皮膜が均一に付着しているか否かを
目視で評価した (全面的に均一付着: ◎、部分的に不均
一付着: ○、全面的に不均一付着: ×) 。
【0052】更に、これら発明例、比較例の塗装試験片
に、全て同じ条件で、耐糸さび評価試験、および耐水性
評価試験を行った。これらの評価結果も表1 に示す。耐
糸さび評価試験は、塗装試験片に一片が7cm のクロスカ
ットを施した後、35℃の3%HCl 水溶液に2 分間浸漬した
後、次いで40℃、85%RH の恒温恒湿の雰囲気に1500時間
放置し、その後発生した糸さびの最大長さL(クロスカッ
トより垂直方向の距離) を測定した。そして、比較例N
o.12 の試験片に発生した糸さびの最大長さL を1 と
し、これとの比較で、◎:L≦0.3 、○:0.3<L ≦0.5 、
△:0.5<L ≦1.0 、×: 1.0 <L と評価した。
【0053】更に、耐水性評価試験は、試験片を、40℃
のイオン交換水に10日間浸漬した後、1mm 幅の碁盤目テ
ープ剥離試験し、塗膜の残存率を測定した。そして、塗
膜が100%残存しているものを◎、 90%以上残存している
ものを○、それ以下のものを×として評価した。
【0054】表1 の結果から明らかな通り、発明例No.1
〜11は、Al合金材がCuを含有する、しないに関わらず、
リン酸塩処理性が優れている。そして、リン酸塩処理+
ED塗装+非ED塗装乃至リン酸塩処理+非ED塗装のライン
で処理する、あるいはリン酸塩処理やED塗装せずに直接
非ED塗装するに関わらず、耐水性と耐糸さび性の両者の
塗装後耐蝕性に優れている。特に、Cuの含有量が高く、
通常糸さび性が低下すると言われるAl合金材において
も耐水性と耐糸さび性の両者の塗装後耐蝕性に優れてい
る。また、発明例No.7は溶接部や溶接熱影響部を含め
て、リン酸塩処理性および耐水性と耐糸さび性に優れて
いる。
【0055】そして、この発明例の中でも、2 層のAlの
水和酸化物皮膜とし、かつ下層を含め好ましい膜厚や下
層粒径の範囲とした発明例No.3、4 、7 、8 は、単一層
の発明例No.1、2 や、下層を含め好ましい膜厚や下層粒
径の範囲から外れた発明例No.5、6 などの他の発明例に
比して、特にリン酸塩処理性および耐水性と耐糸さび性
に優れている。また、ED塗装を行った発明例No.10 、11
は、発明例No.3、4 、7 、8 よりも耐水性と耐糸さび性
が劣っており、ED塗装によるAlの水和酸化物皮膜の劣化
が裏付けられる。
【0056】これに対し、研削面を有するAl合金試験片
をそのままAlの水和酸化物皮膜を設ない従来例でもある
比較例No.12 、13、そして、研削面にCu粉を付着させた
比較例No.14 は、耐水性と耐糸さび性が、本発明に比し
て著しく劣っている。特に、比較例No.12 はリン酸塩処
理性自体も悪い。また、比較例No.13 は、Cuの含有量が
高いAl合金材を用いており、リン酸塩処理性はそこそ
こあるものの、耐糸さび性が著しく劣っている。また、
Cuの含有量が高いAl合金材を用いた比較例No.14 も、
リン酸塩処理性はそこそこあるものの、耐糸さび性が著
しく劣っているのが特徴的である。
【0057】したがって、以上の事実から、研削面を有
するAl合金材の、リン酸塩処理性および耐水性と耐糸さ
び性の両者に優れるための、本発明のAlの水和酸化物皮
膜の意義や、膜厚や粒径の好ましい範囲の意義が裏付け
られる。また、リン酸塩処理+ED塗装に代わりうるとと
もに、ED塗装を施さなくても、輸送機用などのAl合金材
としての、耐水性と耐糸さび性に優れる効果も裏付けら
れる。
【0058】
【表1】
【0059】
【発明の効果】本発明によれば、成形加工後に研削され
たAl合金材の全面または部分的な研削面のリン酸塩処理
性を改善するとともに、リン酸塩処理乃至リン酸塩処理
+ED塗装に代わりうる、塗装後の耐食性に優れたAl合金
材を提供することができる。したがって、Al合金材の機
能を向上させるとともに、用途を拡げることができる点
で、多大な工業的価値を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る輸送機用Al合金材のAlの水和酸化
物皮膜および塗装皮膜の基本構造を模式的に示す説明図
である。
【符号の説明】
1:Al合金材、2:Alの水和酸化物皮膜、 3: 上層皮膜、4:
下層皮膜、5:塗装皮膜、6:中塗り、7:上塗り、8:輸送機
用Al合金材、9:板状のAlの水和酸化物、10: 粒状のAlの
水和酸化物、

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 全面または部分的に研削面を有するAl合
    金材であって、前記研削面表面に、Alの水和酸化物皮膜
    を有することを特徴とする塗装後耐蝕性に優れたAl合金
    材。
  2. 【請求項2】 前記Alの水和酸化物皮膜が、板状の粗な
    上層皮膜と粒状の緻密な下層皮膜とからなり、前記粒状
    の緻密な下層皮膜の膜厚が50〜3000Åである請求項1に
    記載の塗装後耐蝕性に優れたAl合金材。
  3. 【請求項3】 前記下層皮膜の粒状結晶径が40nm以下で
    ある請求項1または2に記載の塗装後耐蝕性に優れたAl
    合金材。
  4. 【請求項4】 前記Alの水和酸化物皮膜の膜厚が100 〜
    6000Åである請求項1乃至3のいずれか1項に記載の塗
    装後耐蝕性に優れたAl合金材。
  5. 【請求項5】 前記Al合金材表面が、前記Alの水和酸化
    物皮膜が設けられる前に硝酸水溶液により処理されたも
    のである請求項1乃至4のいずれか1項に記載の塗装後
    耐蝕性に優れたAl合金材。
  6. 【請求項6】 前記Al合金板の塗装焼き付け後の引張強
    さが270N/mm2以上、耐力 (σ0.2)が130N/mm2以上である
    請求項1乃至5のいずれか1項に記載の塗装後耐蝕性に
    優れたAl合金材。
  7. 【請求項7】 前記Al合金材が、輸送機用に成形および
    /または溶接接合された後に、全面または部分的に研削
    されたものである請求項1乃至6のいずれか1項に記載
    の塗装後耐蝕性に優れたAl合金材。
  8. 【請求項8】 前記輸送機が自動車用である請求項1乃
    至7のいずれか1項に記載の塗装後耐蝕性に優れたAl合
    金材。
  9. 【請求項9】 前記Al合金材が、リン酸塩処理および塗
    装されて使用される請求項1乃至8のいずれか1項に記
    載の塗装後耐蝕性に優れたAl合金材。
  10. 【請求項10】 前記Al合金材が直接塗装されて使用さ
    れる請求項1乃至8のいずれか1項に記載の塗装後耐蝕
    性に優れたAl合金材。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007217750A (ja) * 2006-02-16 2007-08-30 Furukawa Sky Kk アルミニウム材及びその製造方法
US7575811B2 (en) * 2005-08-30 2009-08-18 Sumitomo Light Metal Industries, Ltd. Aluminum alloy sheet for superplastic forming

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