JP2000054098A - めっき密着性及び耐ブリスター性に優れた熱延板下地溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法及びその製造装置 - Google Patents

めっき密着性及び耐ブリスター性に優れた熱延板下地溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法及びその製造装置

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JP2000054098A
JP2000054098A JP10216586A JP21658698A JP2000054098A JP 2000054098 A JP2000054098 A JP 2000054098A JP 10216586 A JP10216586 A JP 10216586A JP 21658698 A JP21658698 A JP 21658698A JP 2000054098 A JP2000054098 A JP 2000054098A
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temperature
pickling
steel strip
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JP10216586A
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Masayuki Yamato
正幸 大和
Michitaka Sakurai
理孝 櫻井
Satoru Hashimoto
哲 橋本
Masaru Sagiyama
勝 鷺山
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JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 省エネルギーを図り、酸洗効率を上げて、低
コストでめっき密着性及び耐ブリスター性に優れた熱延
板下地溶融亜鉛めっき鋼板を製造する。 【解決手段】 熱延後の高温鋼帯を300℃以上で保温
装置へ入れ、100〜300℃の鋼帯を酸液で酸洗し、
速やかに、酸洗処理された上記鋼帯を焼鈍し、そして溶
融亜鉛めっき処理を施す。上記方法を実施するために、
高温鋼帯1aの保温装置2と、保温装置内の鋼帯温度を
監視し、温度計測情報を発進するための温度監視・伝達
装置3と、100〜300℃で酸液へ侵入させて酸洗処
理するための酸洗装置5と、速やかに酸洗処理された鋼
帯を焼鈍し溶融亜鉛めっきをつけるための溶融亜鉛めっ
き設備7とを備える。酸洗装置と溶融亜鉛めっき設備と
は、設備ラインが連続していれば望ましい。また、上記
いずれの場合にも、酸洗装置入側に鋼帯を100℃以上
に加熱する装置4を付ければ望ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、めっき密着性及
び耐ブリスター性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板を安価に
製造する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、熱延板下地溶融亜鉛めっき鋼板
は、所望材質になるように熱間圧延された熱延コイル
を、大気中で冷却し、常温まで板温を下げ、その後、酸
洗ラインにて80℃程度の液温の酸液で酸洗し、その後
連続溶融めっきラインにて500〜800℃程度で酸化
・還元し、450℃前後で溶融めっきをつけ、製造す
る。熱延板下地溶融亜鉛めっき鋼板の製造工程として
は、熱延、酸洗及び溶融めっきの3工程に分けて考える
ことができる。上記熱延コイルの3工程間の移動及び保
管に多くの設備費及び運搬費がかかり、また、熱延工程
及び溶融めっき工程においてコイルを加熱する必要があ
るため、多くの燃料費がかかる。
【0003】一方、熱延板下地溶融亜鉛めっき鋼板は、
建築材料の分野を中心にその用途は拡大しつつあり、塗
装性及び加工性等の性能に対する要求がますます厳し
く、従って、耐ブリスター性及びめっき密着性に優れて
いることが要求され、しかも、低価格であることが求め
られている。
【0004】そこで、前記問題を改善するために、各工
程を連続化する等の提案が種々なされている。特開昭5
1−40018号公報には、硫酸・塩酸の混酸による酸
洗ラインを溶融めっきラインに接続することにより、酸
洗ラインを省略し、製造能力を増大させている(以下、
「先行技術1」という)。
【0005】特開平5−295511号公報、特開平6
−116653号公報、特開平6−116695号公報
には、熱延鋼帯を350℃以上の温度で巻き取り、その
後に、歪み付加鋼板の場合は100℃以上で、また、歪
みを付加しない鋼板の場合は350℃以上で、酸液によ
らず鋼板の表面清浄を行ない、350〜600℃での還
元をした後に、溶融めっきをすることにより、省エネル
ギーとめっき性の確保を両立させている(以下、「 先行
技術2」 という)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】先行技術1による方法
は、熱延後にコイルが保有する顕熱を有効に利用してい
ないので、省エネルギーの観点からは不十分であり、ま
た、酸洗液として混酸を使用しているので、廃酸液の再
利用が困難であるといった問題がある。
【0007】先行技術2による方法は、コイルの顕熱を
最大限に利用したものであるが、酸液を利用しない表面
清浄装置であるドライエッチングプロセスを採用してい
る。そのため、設備の建設費や維持費が大きい等の問題
がある他、研削による場合には、研磨材の残存やデスケ
ムラを生じる等の問題があるために、熱源が有効利用さ
れているにもかかわらず、操業性に難があった。
【0008】従って、この発明の目的は、上述した従来
技術の問題点を解決して、めっき密着性及び耐ブリスタ
ー性に優れた熱延板下地溶融亜鉛めっき鋼板を、安価に
製造する方法及びそのような装置を提供することにあ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
を解決して、安価に熱延鋼板を酸洗し、そして溶融めっ
きをつける方法について種々検討した。その結果、熱延
後300℃以上の高温状態にあるコイルを保温装置に一
旦装入し、次いでその板温が、100〜300℃の範囲
内にある間に酸洗装置に通板して酸洗し、引き続き連続
して上記コイルを焼鈍し、溶融亜鉛めっきをすることに
より、上記問題を解決できることを見出した。この点に
ついて更に説明する。
【0010】この発明は、主として下記二つの知見に基
づきなされたものである。 第1点は、熱延後の高温コイルを常温まで冷却せず
に、300℃以上においてこれを保温装置へ装入し、次
いでその板温が100〜300℃の範囲内にある間に、
酸洗ラインで酸洗する。こうすることにより、下記効果
が発揮されることを知見した。
【0011】酸洗ラインへ装入する板温が、100〜3
00℃の範囲内であると、鋼板の酸洗速度が向上する。
これは、鋼板の温度が酸洗液の沸点以上であっても、1
00〜300℃の温度域であれば、酸液は核沸騰状態を
呈し、酸液は循環が促進されるだけであって飛散するこ
とはなく、蒸気の発生量も少ない。80℃程度の酸液に
100〜300℃の鋼板を通すので、むしろ鋼板の急激
な冷却による熱応力の発生と、酸液の高効率の循環とに
より、酸洗効率が上昇する。
【0012】なお、特開平9−3673号公報及び特開
平9−3674号公報には、酸洗ラインに通過させる鋼
板温度が、100〜300℃で酸洗速度が速いことが記
載されている。但し、上記公報では、鋼板温度を100
〜300℃に昇温するために加熱装置を設けているの
で、その設備費及び維持費がかかり、コスト的に問題で
ある。これに対して、本願発明においては、熱延後の高
温鋼板を保温装置に貯留して鋼板の保有熱顕熱を利用す
るので、上記2公報に開示の方法に比べて設備費及び維
持費は安価であり、この点のコストのコスト問題は解消
される。
【0013】 第2点は、上述の通り酸洗された熱延
鋼板をできるだけ速やかに加熱工程に装入し、そしてめ
っきする。こうすることにより、下記効果が発揮される
ことを知見した。
【0014】一般に、酸洗後の熱延鋼板を加熱後めっき
するが、この加熱工程では、最初に、表面に付着した油
脂類を酸化焼却し、次いで還元により酸化皮膜等の異物
を還元して、鋼板表面を活性化させる。この還元過程で
は所要の焼鈍も進行する。
【0015】さて、酸洗後、加熱・めっき工程までの時
間が短いので、鋼板表面に形成される酸化膜の厚さやス
マットと呼ばれる主に酸化鉄・水酸化物による異物生成
量が少ない。これは、酸洗により活性化した鋼板表面
が、常温において酸素や水分等と反応し易く、時間経過
と共にその反応生成物が増えることからわかる。この発
明では従って、酸洗直後に加熱・めっき工程に入るの
で、鋼板表面の異物が少ない状態でめっきをすることが
できる。こうして、めっき密着性に優れた溶融亜鉛めっ
き鋼板の製造が可能となる。また、酸洗直後にめっきを
行なうので、上記異物の生成量が少ない。従って、還元
を低温度で行なっても鋼板表面は清浄になる。よって、
低温還元が可能になる。こうして低温還元が可能になる
と、エネルギーが節約される。そして更に好都合なの
は、還元時に使用される水素ガスの鋼板への浸入が抑制
され、水素吸蔵量が少なくなる。従って、めっき後に鋼
板内部を吸蔵水素が拡散することにより発生するいわゆ
るブリスターの発生が抑制される。そこで、鋼板を塗装
したときに発生する塗装むらを抑えることが可能とな
る。
【0016】なお、このように酸洗直後の鋼板をめっき
ラインに流して加熱するので、酸洗後の鋼板温度である
約80℃前後の鋼板顕熱も有効に利用することができ
る。この発明は、上記知見に基づきなされたものであ
り、その要旨は次の通りである。
【0017】請求項1記載のめっき密着性及び耐ブリス
ター性に優れた熱延板下地溶融亜鉛めっき鋼板の製造方
法は、熱延鋼帯を酸洗し、酸洗された上記熱延鋼帯の表
面に溶融亜鉛めっきを施して製造する溶融亜鉛めっき鋼
板の製造方法において、熱間圧延後の高温の鋼帯を、そ
の鋼帯温度が300℃以上にある間に保温装置へ装入し
て貯留し、所定時期に前記保温装置から保温された前記
鋼帯を抽出し、温度が100〜300℃の間にある上記
鋼帯を酸液に浸入させて酸洗処理し、引き続き速やか
に、酸洗処理された上記熱延鋼帯を焼鈍し、そして溶融
亜鉛めっき処理を施すことすことに特徴を有するもので
ある。
【0018】請求項2記載のめっき密着性及び耐ブリス
ター性に優れた熱延板下地溶融亜鉛めっき鋼板の製造装
置は、熱間圧延された高温の鋼帯を貯留して保温する保
温装置と、上記保温装置内に貯留された上記鋼帯の温度
を監視すると共に、得られた温度計測情報を所定の装置
に送信するための温度監視・伝達装置と、上記保温装置
から抽出された鋼帯をその温度が100〜300℃の範
囲内で酸液へ浸入させて酸洗処理するための酸洗装置
と、引き続き速やかに、上記酸洗処理された鋼帯を焼鈍
し溶融亜鉛めっきをつけるための溶融亜鉛めっき設備と
を備えたことに特徴を有するものである。
【0019】請求項3記載のめっき密着性及び耐ブリス
ター性に優れた熱延板下地溶融亜鉛めっき鋼板の製造装
置は、請求項2記載の製造設備において、上記酸洗装置
と上記溶融亜鉛めっき設備とが、設備ラインとして連続
していることに特徴を有するものである。
【0020】請求項4記載のめっき密着性及び耐ブリス
ター性に優れた熱延板下地溶融亜鉛めっき鋼板の製造装
置は、請求項2又は3記載の発明の装置に、更に、上記
酸洗装置へ装入する前の鋼帯を100℃以上の温度に加
熱するための加熱装置を付加して設けたことに特徴を有
するものである。
【0021】
【実施の形態】この発明の実施形態を説明する。図1
に、この発明を実施するための溶融亜鉛めっき鋼板の製
造設備フロー模式図を示す。同図において、1は熱延コ
イル、1aは鋼帯、2は保温装置、3はコイルの温度監
視・伝達装置、4は加熱装置、5は酸洗装置、6は恒温
装置、7は連続式溶融亜鉛めっき設備である。連続式溶
融亜鉛めっき設備7は、加熱還元炉7a、溶融亜鉛めっ
き装置7b、めっき合金化装置7c及びその他の各種装
置からなっている。この設備フロー例からわかるよう
に、この発明の大きな特徴は、次の2点にある。
【0022】第1点は、熱延後の所要温度にある鋼帯1
aを一旦冷却することなく、酸洗装置5に装入して酸洗
することである。第2点は、酸洗処理が済んだ鋼帯1
a’を引き続き速やかに加熱還元炉7aに装入して、鋼
板表面を清浄化すると共に焼鈍し、次いで溶融亜鉛めっ
き装置7bで所要のめっきをつける。即ち、酸洗装置5
から連続溶融亜鉛めっき設備7へ速やかに(設備的には
連続していれば一層望ましい)鋼帯1aを装入・処理す
る。
【0023】上記設備の使用条件は、次の通りである。
熱間圧延設備(図示せず)において、仕上げ圧延が終っ
た高温状態の熱延鋼帯は、コイルに巻かれて熱延コイル
1になる。この熱延コイル1を、その鋼帯温度が300
℃以上にあるうちに、保温装置2に装入して断熱保温す
る。保温装置2に貯留された熱延コイル1の温度を、温
度監視・伝達装置3で測定管理し、次の酸洗装置の酸液
へ鋼帯1aを100〜300℃の温度範囲内で浸入させ
るように作業工程を調整する。
【0024】こうして酸洗装置5において100〜30
0℃の温度範囲内で酸洗された鋼帯1a’は、上述した
通り速やかに加熱還元炉7aへ装入し、次いで連続して
溶融亜鉛めっき装置7bでめっきをつける。なお、鋼板
表面の溶融亜鉛めっきは、製品用途に応じてめっき合金
化装置7cで処理し、合金めっきを形成させる。
【0025】上述した通り、この発明の大きな特徴の一
つは、熱間圧延後のコイルの保有顕熱を利用し、再加熱
せずに上記100〜300℃という通常の酸洗温度約8
0℃よりも相当高温の板温で鋼帯を酸液に浸入させるこ
とにある。それにもかかわらず、この設備フロー例で
は、鋼板の加熱装置4を設けている。これは、非定常操
業時に酸洗装置5へ入る前に鋼帯温度が100℃未満に
下がった場合に適宜、その温度を100〜300℃の間
にまで昇温してから酸洗することにより、酸洗効率を維
持するためである。また、酸洗装置5は、酸液の濃度及
び温度を管理できる装置に構成し、操業温度を80℃程
度とする。この場合、酸洗液温が鋼帯の保有顕熱で上昇
したり、放熱により低下するのを防ぐために、恒温装置
6によりその温度を制御するためのものである。
【0026】なお、上記設備例においては、酸洗装置5
と加熱還元装置7aとの間を完全な連続工程とした。そ
の目的は前述した通り、酸洗後、加熱還元するまでの間
に鋼板表面に生成する異物量を少なく抑えると共に、鋼
板顕熱を有効利用して、低温還元及び省エネルギーをす
るためである。但し、既存の設備レイアウトの特殊性等
により、完全な連続工程でなくても、上記効果が発揮さ
れるようにレイアウトされており、酸洗後速やかに連続
溶融亜鉛めっき設備に鋼帯を装入できればよい。
【0027】次に、この発明における操業条件の限定理
由について説明する。 (1)熱延コイルの保温装置2への装入温度を300℃
以上に規定した。その理由は、次工程において、酸液に
鋼帯を浸入させる温度を100〜300℃の間に制限す
るためには、上記条件が、鋼帯又はコイルの再加熱なし
の条件下での必要かつ十分な条件だからである。熱間仕
上げ圧延後の巻き取り温度のレベルは通常、600℃以
上である。そして、コイルの温度が300℃以下に下が
るのには通常、1日以上かかる。従って、コイル温度が
300℃以上にて、熱延ラインからこれを搬出して前記
保温装置に装入すれば、生産ラインの工程運用面からも
十分余裕がある。
【0028】(2)熱延コイルを酸洗ラインに装入し、
鋼帯を酸液に浸入させるときの鋼帯の温度を、100〜
300℃の範囲内に限定した。その理由は、酸液が核沸
騰を起こす範囲内であって、これにより酸洗効率が向上
するからである。なお、熱延コイルの保有顕熱のみで鋼
帯を100〜300℃で酸液に浸入させることができる
ので、好都合である。省エネルギー効果により製造コス
トも下げられる。
【0029】但し、実操業における工程運用により、コ
イル外周温度が室温まで下がる場合もあり得る。この様
な場合は、水蒸気等を熱源として利用し、その外周部の
みを100℃以上に昇温させることにより、諸経費を抑
えながら酸洗効率を維持するように運用する。
【0030】(3)鋼帯に対する焼鈍、及びこれに次ぐ
溶融亜鉛めっき処理を、酸洗後に連続して行なう理由は
次の通りである。第1は、酸洗後の80〜100℃程度
の鋼板顕熱を利用して酸化・還元に必要な温度までのエ
ネルギーを節約するためである。第2は、酸洗後鋼帯を
放置して、その表面を酸化・水酸化させることなく、ま
た、ハンドリングによる油等の汚れを付着させることな
く、清浄な鋼板表面状態で溶融めっきを行うことによ
り、密着性に優れた溶融めっき鋼板を製造するためであ
る。そして、第3は、上記理由により鋼板表面を清浄に
し、還元温度を低く抑えることができる。こうして、省
エネルギーを図り、また、吸蔵水素量を低減して、耐ブ
リスター性を向上させるためである。
【0031】
【実施例】次に、この発明を実施例により比較例と対比
しながら更に説明する。図1に示した溶融亜鉛めっき設
備を利用して、本発明の範囲内の条件による実施例、及
び本発明の範囲外の条件による比較例により、溶融亜鉛
めっき鋼板の製造試験を行なった。実施例及び比較例の
いずれにおいても、成分及び熱延条件が一定の熱延コイ
ルを試験に供した。即ち、鋼種は、建築材料・家電材料
用として一般的なボロン添加アルミニウムキルド鋼を用
い、熱延仕上げ圧延温度が860℃で板厚2.3mmに
仕上げ、630℃で巻き取った熱延コイルを供試材とし
た。
【0032】〔実施例1〜3〕実施例においては、熱延
後の高温コイルを保温装置2に貯留し、温度監視・伝達
装置3を用いて酸洗装置5へ装入した。酸洗装置5への
装入は、酸液への鋼帯1aの浸入温度が、100℃、2
00℃又は300℃となるように調整した合計3水準を
設定した。次いで、酸洗後の鋼帯を連続して加熱還元炉
7aに装入した。加熱還元炉7aの操業温度は、低温の
500℃とした。次いで溶融亜鉛めっきを施した。
【0033】〔比較例1〜13〕一方、比較例において
は、熱延後の高温コイルを実施例と同じようにして、鋼
帯の酸液への浸入温度を100℃、200℃又は300
℃の3水準に調整したもの、及び、熱延後放冷し、室温
まで温度を下げたものの合計4水準を設定した。酸洗後
の鋼帯は実施例と同様、連続して加熱還元炉に装入した
場合の他に、酸洗後放置してから加熱還元炉に装入した
ものについても試験した。加熱還元炉の操業温度は、低
温の500℃及び高温の800℃の2水準を設けた。次
いで溶融亜鉛めっきを施した。表1に、実施例及び比較
例の試験条件を示す。
【0034】
【表1】
【0035】〔酸洗試験〕酸液への浸入時鋼帯温度によ
る酸洗所要時間を、下記酸洗試験により決定した。酸液
への浸入温度を上記各試験温度に調整した熱延コイル
を、所定時間酸洗装置に浸漬させ、焼鈍及びめっきをせ
ずに所定時間経過後にラインから取り出した。そして、
目視により鋼板表面のスケールの落ち方を観察して決め
た。また、酸洗時間の設定変更は、ラインスピードを変
えることにより行なった。酸洗液は、5wt.%塩酸水溶液
にインヒビターを添加し、80℃に加熱したものを用い
た。
【0036】〔めっき性試験〕めっき性試験は、上記酸
洗試験と同一コイルを用いてすることはできないので、
同一熱延条件の別のコイルを用いて所定の溶融亜鉛めっ
きを施し、下記試験を行なった。めっき密着性の評価試
験は、試験片を180°密着曲げ後、その曲げ部の外側
にセロハンテープを張り、次いでそれを引きはがし、亜
鉛のはがれ程度によって決めた。評価は5段階評価法を
用い、評点5は全く剥離がない場合、評点4はごくわず
か剥離があった場合、明らかな剥離があった場合は評点
3、10〜30%の剥離があった場合は評点2、そして
それ以上の剥離があった場合は評点1とした。なお、評
点4以上であれば、実用上は問題はない。
【0037】〔ブリスター試験〕ブリスター試験は、め
っき鋼板に通常の塗装を施した後に行なった。ブリスタ
ーの評価は、目視による5段階評価法により行なった。
評点5は、ブリスターなしの場合、評点4は目視では殆
ど見えないブリスター、評点3は目視で判別できる微細
ブリスター、評点2は目視で明らかに分かるブリスタ
ー、評点1は全面ブリスターとした。
【0038】上記試験結果を、表1に併記しした。これ
より下記事項が明らかである。 酸洗時間については、熱延鋼板の圧延後顕熱を利用し
て、酸洗液への鋼板の浸入温度を100〜300℃とし
た場合に短く、酸洗効率が向上する(実施例1〜3、比
較例2〜4、6〜8、10〜12)。
【0039】酸洗後のめっき方法としては、酸洗後連
続して加熱還元炉に装入し、低温還元を行ない、そして
連続してめっきを行なう場合に、めっき密着性及び耐ブ
リスター性共に優れている(実施例1〜3)。なお、こ
の場合は省エネルギーの点からも有利であることは明ら
かである。
【0040】以上より、本発明の範囲内の条件による実
施例の試験においては、酸洗効率が向上し、省エネルギ
ーが図られ、且つ、めっき密着性及び耐ブリスター性に
おいて従来よりも優れた熱延板下地溶融亜鉛めっき鋼板
が得られることがわかる。
【0041】
【発明の効果】以上述べたように、この発明によれば、
熱間圧延後の鋼板の顕熱を利用することができ、酸洗効
率を高めることができ、また、連続溶融亜鉛めっき設備
では、低温還元によりめっきを行なうことができる。そ
の結果、生産性の向上、省エネルギー操業が可能とな
る。しかも、めっき密着性及び耐ブリスター性共に優れ
た熱延板下地溶融亜鉛めっき鋼板が得られる。このよう
なめっき鋼板の製造方法及び製造装置を提供することが
でき、工業上有用な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明を実施するための溶融亜鉛めっき鋼板
の製造設備フロー模式図である。
【符号の説明】
1 熱延コイル 1a 鋼帯(酸洗以前) 1a’ 鋼帯(酸洗以後) 2 保温装置 3 温度監視・伝達装置 4 加熱装置 5 酸洗装置 6 恒温装置 7 連続溶融亜鉛めっき設備 7a 加熱還元炉 7b 溶融亜鉛めっき装置 7c 合金化装置 7d トップロール 8 溶融亜鉛めっきコイル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 橋本 哲 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 鷺山 勝 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 Fターム(参考) 4E002 AD04 BD08 BD10 CB10 4K027 AA02 AA22 AB01 AB07 AB42 AC02 AC12 AD01 AD25 AE12

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱延鋼帯を酸洗し、酸洗された前記熱延
    鋼帯の表面に溶融亜鉛めっきを施して製造する溶融亜鉛
    めっき鋼板の製造方法において、熱間圧延後の高温の鋼
    帯を、その鋼帯温度が300℃以上にある間に保温装置
    へ装入して貯留し、所定時期に前記保温装置から保温さ
    れた前記鋼帯を抽出し、温度が100〜300℃の間に
    ある前記鋼帯を酸液に浸入させて酸洗処理し、引き続き
    速やかに、酸洗処理された前記熱延鋼帯を焼鈍し、そし
    て溶融亜鉛めっき処理を施すことを特徴とする、めっき
    密着性及び耐ブリスター性に優れた熱延板下地溶融亜鉛
    めっき鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】 熱間圧延された高温の鋼帯を貯留して保
    温する保温装置と、前記保温装置内に貯留された前記鋼
    帯の温度を監視すると共に、得られた温度計測情報を所
    定の装置に送信するための温度監視・伝達装置と、前記
    保温装置から抽出された前記鋼帯をその温度が100〜
    300℃の範囲内で酸液へ浸入させて酸洗処理するため
    の酸洗装置と、引き続き速やかに、前記酸洗処理された
    鋼帯を焼鈍し溶融亜鉛めっきをつけるための溶融亜鉛め
    っき設備とを備えたことを特徴とする、めっき密着性及
    び耐ブリスター性に優れた熱延板下地溶融亜鉛めっき鋼
    板の製造装置。
  3. 【請求項3】 前記酸洗装置と前記溶融亜鉛めっき設備
    とは、設備ラインが連続していることを特徴とする、請
    求項2記載のめっき密着性及び耐ブリスター性に優れた
    熱延板下地溶融亜鉛めっき鋼板の製造装置。
  4. 【請求項4】 請求項2又は3記載の発明の装置に、更
    に、前記酸洗装置へ装入する前の前記鋼帯を100℃以
    上の温度に加熱するための加熱装置を付加して設けたこ
    とを特徴とする、めっき密着性及び耐ブリスター性に優
    れた熱延板下地溶融亜鉛めっき鋼板の製造装置。
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