JP2000053470A - 窒化アルミニウム焼結体とその製造方法及び半導体基板 - Google Patents

窒化アルミニウム焼結体とその製造方法及び半導体基板

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JP2000053470A
JP2000053470A JP11110351A JP11035199A JP2000053470A JP 2000053470 A JP2000053470 A JP 2000053470A JP 11110351 A JP11110351 A JP 11110351A JP 11035199 A JP11035199 A JP 11035199A JP 2000053470 A JP2000053470 A JP 2000053470A
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sintered body
powder
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average particle
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Masuhiro Natsuhara
益宏 夏原
Hirohiko Nakada
博彦 仲田
Yasuhisa Yushio
泰久 湯塩
Motoyuki Tanaka
素之 田中
Shunji Nagao
俊二 長尾
Akira Shinoda
章 新小田
Kazutaka Sasaki
一隆 佐々木
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Sumitomo Electric Industries Ltd
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Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高熱伝導率であると同時に高強度を有する窒
化アルミニウム焼結体、及びその製造方法、並びにこの
窒化アルミニウム焼結体を用いた半導体基板を提供す
る。 【解決手段】 気相化学合成法で得られた平均粒径1.
0μm以下のAlN粉末1〜95重量%と、残部が他の
AlN粉末からなる原料粉末を調整し、この原料粉末を
非酸化性雰囲気中で焼結した焼結体で、平均粒径が2μ
m以下、X線回析により得られる(302)面回析線の
半価幅が0.24deg以下である。この焼結体上に金
属化層を形成することにより、半導体基板とすることが
できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体基板等に利
用される窒化アルミニウム焼結体、特に高い熱伝導性を
維持し且つ強度を大幅に向上した窒化アルミニウム焼結
体と、その製造方法、及びこの窒化アルミニウム焼結体
を用いた半導体基板に関する。
【0002】
【従来の技術】窒化アルミニウム焼結体は、高い熱伝導
率、電気絶縁性、及びシリコンに近い熱膨張係数を有す
ることから、半導体の放熱基板として使用されてきた。
このため、放熱性の向上を目指して窒化アルミニウムの
高熱伝導率化の研究が進み、近年では熱伝導率が200
W/mKを越える焼結体も得られている。
【0003】しかしながら、このような高熱伝導性の窒
化アルミニウム焼結体では、これを構成している焼結粒
子の粒径が7〜8μm以上と非常に大きくなるために、
強度の低下を引き起こすという問題点があった。このた
め、強度低下を抑える方法が研究され、特開平6−20
6772号公報及び特開平6−329474号公報、特
開平7−172921号公報等に、その方法が提案され
ている。
【0004】例えば、特開平6−206772号公報に
は、平均一次粒径が0.01〜0.3μmで、不純物酸素
量が1.5重量%を越えるAlN粉末に、7重量%以下
の焼結助剤を添加し、非酸化性雰囲気中にて1600℃
以下で焼結する窒化アルミニウム焼結体の製造方法が記
載されている。焼結助剤としては、アルカリ土類元素及
び/又は希土類元素の化合物や、少量のアルミニウム化
合物、シリコン化合物が用いられ、更に必要に応じて遷
移金属元素を含む化合物を着色剤として用いることが記
載されている。
【0005】また、同公報によれば、上記範囲とは異な
る平均一次粒径、例えば平均一次粒径が0.5〜1.0μ
mのAlN粉末を併用する方法も提示されている。その
実施例によれば、平均粒径1.5μm、熱伝導率220
W/mK、4点曲げ強度45kg/mm2(459MP
a)の窒化アルミニウム焼結体が得られたことが紹介さ
れている。
【0006】特開平7−172921号公報には、含有
酸素量が1.5重量%以下で、平均粒径が0.5〜2μm
の微細なAlN粉末を用い、これに周期律表の3A族、
2A族元素の酸化物の少なくとも1種と、少量のSi成
分とAl23とを添加し、必要に応じて更に遷移金属元
素の酸化物を添加して、非酸化性雰囲気中にて1650
〜1900℃で焼結する窒化アルミニウム焼結体の製造
方法が開示されている。このAlN焼結体は、熱伝導率
が150W/mK以上、3点曲げ強度が490MPa以
上、破壊靭性値が2.8MN/m3/2程度と記載されてい
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記したように、高熱
伝導率の窒化アルミニウム焼結体の強度低下を抑える方
法が提案されているが、いずれの方法においても、窒化
アルミニウム原料の酸素量、粉末粒径、焼結助剤、及び
その他の添加物等に関する製造条件が多く且つ厳しいた
め、量産に適した方法とは言えない。
【0008】特に、窒化アルミニウム原料粉末について
は、その製法やメーカーにより酸素量や粒径が異なる
が、上記各公報に記載された方法では原料粉末について
特に明記されておらず、しかも通常の固相法で得られた
安価な窒化アルミニウム粉末には上記各公報の原料粉末
に関する製造条件を満たせるものは少ない。
【0009】即ち、窒化アルミニウムの場合、同一平均
粒径の原料粉末であっても、原料粉末内に存在する格子
欠陥によって、得られる焼結体の特性は大きく異なるこ
とが知られている。例えば、固相法で得られた通常の粉
末は、粉末を合成する際に体積の膨張と収縮が起こるた
め、粉末粒子内に格子歪等の欠陥が生じやすい。この粉
末粒子内の欠陥は焼結体となっても結晶粒子内に残るた
め、外部応力が加えられたとき破壊起点となり、焼結体
の強度低下を引き起こしやすいのである。
【0010】本発明は、このような従来の事情に鑑み、
通常の安価な粉末を含む殆ど全ての窒化アルミニウム粉
末も原料粉末として使用することができ、しかも高熱伝
導率であると同時に高強度を有する窒化アルミニウム焼
結体、及びその製造方法、並びにこの窒化アルミニウム
焼結体を用いた半導体基板を提供することを目的とする
ものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明が提供する窒化アルミニウム焼結体は、平均
粒径が2μm以下であり、X線回析により得られる(3
02)面回析線の半価幅が0.24deg以下であるこ
とを特徴とする。
【0012】また、本発明の窒化アルミニウム焼結体の
製造方法は、気相化学合成法で得られた平均粒径1.0
μm以下の窒化アルミニウム粉末1〜95重量%と、残
部が他の窒化アルミニウム粉末からなる原料粉末を調整
し、この原料粉末に焼結助剤粉末を添加混合し、得られ
た混合粉末を成形し、成形体を非酸化性雰囲気中で焼結
することを特徴とする。
【0013】上記本発明の窒化アルミニウム焼結体は、
その上に金属化層を形成することにより半導体基板とす
ることができる。金属化層としては、W、Mo、Ag、
Pd、Pt、Ru、Ti、Au、Snから選ばれた少な
くとも1種の元素からなるメタライズ層が好ましく、そ
の上にメッ層を設けることもできる。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明においては、窒化アルミニ
ウム原料粉末のうち、1〜95重量%を気相化学合成法
で得られた窒化アルミニウム粉末とし、残りの部分は気
相化学合成法以外で得られた通常の窒化アルミニウム粉
末を用いる。気相化学合成法で得られた窒化アルミニウ
ム粉末は、結晶性及び純度に優れている。また、粒径に
関しても非常に小さい粉末が得られ、具体的には平均粒
径1.0μm以下のものを得ることも容易である。
【0015】このような気相化学合成法で得られた窒化
アルミニウム粉末を原料粉末の一部とし、通常の他の窒
化アルミニウム粉末と混合して用いることにより、量産
に適した一般的な製造条件で製造でき、得られる窒化ア
ルミニウム焼結体の高い熱伝導率を維持しながら、高強
度化を図ることができる。この高強度化のメカニズムは
明らかではないが、およそ以下のごとく考えることがで
きる。
【0016】即ち、気相化学合成法で得られた窒化アル
ミニウム粉末は、窒素とアルミニウムを気相で直接反応
させて得られた粉末であり、粉砕などの処理を行ってい
ないために、結晶性に優れている。しかも、この結晶性
の良い窒化アルミニウム粉末は、直接窒化法や還元窒化
法等の固相法で得られた通常の窒化アルミニウム粉末と
比べて、焼結時に結晶粒成長の核となりやすいため、結
晶性に優れた窒化アルミニウム焼結体が得られる。
【0017】その結果、焼結体の結晶粒子内の欠陥が少
なくなるので、外部応力が焼結体に働いた場合に、粒子
内の欠陥から破壊するのではなく、粒子間の粒界から破
壊する。このため、粒子内に相対的に多くの欠陥が存在
し、この欠陥から破壊する通常の焼結体と比較すると、
粒界で破壊する本発明の焼結体の方が優れた強度を備え
ている。同時にまた、フォノンの散乱も少なくなるた
め、焼結体の熱伝導率も比較的高いものが得られるもの
と考えられる。
【0018】気相化学合成法により得られた粉末の原料
粉末中の添加量としては、1〜95重量%が好適であ
る。その添加量が1重量%未満の場合には、核となる粉
末量が少ないために、気相化学合成法により得られた粉
末以外の粉末によって粒成長の核となる粒子が形成さ
れ、相対的に強度が低下する。また、気相化学合成法で
得られた粉末は、粒径が非常に均一であるため成形性に
劣るので、その添加量が95重量%を越えると、成形体
の割れや脱脂時の膨れなどが生じやすい。
【0019】本発明に使用する気相化学合成法により得
られた粉末の平均粒径は1.0μm以下が好ましい。平
均粒径が1.0μmを越える場合、添加されている気相
化学合成法以外の粉末が粒成長の核となる頻度が高くな
り、相対的に焼結体の強度の向上のレベルが小さくなる
ためである。
【0020】気相化学合成法で得られた窒化アルミニウ
ム粉末以外の原料粉末については、特に制限はなく、市
販の通常の窒化アルミニウム粉末、例えば直接窒化法や
還元窒化法等の固相法で得られた粉末を、単一で又は組
み合わせて使用することができる。従って、原料粉末の
一部として安価な直接窒化法で得られた粉末も使用でき
るため、焼結体の製造コストを上昇させることなく、高
強度の窒化アルミニウム焼結体を得ることが可能であ
る。
【0021】また、本発明に使用できる焼結助剤に関し
ても特に制約はなく、一般的な焼結助剤、例えばY等の
周期律表3A族元素やCa等の周期律表2A族元素の酸
化物等を、単独で又は複数組み合わせて添加することが
できる。このため、成形方法に関しても通常行われてい
る手法、即ちプレス法やドクターブレード法等いずれの
方法も採用でき、特に制約はない。更に、焼結条件に関
しても、使用する焼結助剤に最適の温度で焼結すればよ
い。
【0022】本発明により得られる窒化アルミニウム焼
結体は、X線回析での(302)面回折線のピークの半
価幅が0.24deg以下となる。これは、焼結体中に
存在する各粒子の結晶が気相化学合成法で得られた粉末
を核としているために、結晶性の優れた粒子が結合した
焼結体となっているためである。この半価幅が上記の
0.24degを越えた場合、焼結体中に結晶の欠陥が
多数存在し、結晶粒径のバラツキも大きいために、得ら
れる焼結体の強度が低下する。
【0023】このように、本発明の窒化アルミニウム焼
結体は、粒子の結晶性が優れ、結晶の欠陥が少なく、外
部応力が焼結体に加えられた場合に粒界で焼結体が破壊
するため、高い熱伝導性を維持しながら強度が改善され
る。即ち、3点曲げ強度で450MPa(45.9kg
/mm2)以上のものが得られる。尚、本発明によれ
ば、焼結体の粒径に拘らず強度の改善が得られるが、特
に平均粒径が2.0μm以下の場合に、より一層高い強
度が発現する。このメカニズムは、焼結体の粒径が小さ
い方が破壊の起点となる粒界にかかる応力を分散でき、
相対的に焼結体の強度が高くなるためと考えられる。
【0024】このように、優れた熱伝導性と強度とを兼
ね備えた本発明の窒化アルミニウム焼結体は、その表面
に通常のごとく金属化層を形成することによって、半導
体用の基板とすることができる。例えば、W、Mo、A
g、Pd、Pt、Ru等から選択される厚膜メタライズ
層を形成したり、Ti、Pt、Au、Sn等から選択さ
れる薄膜メタライズ層を形成することが可能である。更
に、金属化層上に、ロウ付け及び耐食性の付与を目的と
して、NiやAu等のメッキ層を形成することもでき
る。
【0025】一般に、窒化アルミニウム焼結体に厚膜メ
タライズ層を焼き付けると、メタライズ層と窒化アルミ
ニウムとの熱膨張率差のため、メタライズ基板に反りが
生じる。しかし、本発明で得られる窒化アルミニウム焼
結体は強度が高いために、通常の焼結体の場合よりも反
りの小さなメタライズ基板を得ることができる。また、
本発明の窒化アルミニウム焼結体は粒径が小さく、且つ
強度に優れているために、薄膜形成する前工程として焼
結体を研磨する際に窒化アルミニウム粒子の脱粒が少な
く、脱粒しても粒径が小さいため、信頼性の高い薄膜回
路パターンを得ることができる。
【0026】
【実施例】実施例1 平均粒径0.2μmの気相化学合成法により得られたA
lN粉末と、直接窒化法により得られた平均粒径2.0
μmのAlN粉末と、還元窒化法により得られた平均粒
径1.0μmのAlN粉末をそれぞれ用意した。これら
の粉末を表1に示す所定の比率で混合し、得られた各原
料粉末100重量%に対して焼結助剤として2.0重量
%のYb23粉末、1.5重量%のNd23粉末及び0.
2重量%のCaO粉末を全て加え、更に有機溶剤とバイ
ンダーを加えて、ボールミルにより24時間混合した。
得られたスラリーをドクターブレード法によりシートに
成形し、所定の大きさに切断した。このときのシート状
成形体の状態を、表1に併せて示した。
【0027】
【表1】 (注)表中の*を付した試料は比較例である。
【0028】上記のごとく作製した各シートを、窒素雰
囲気中にて800℃で脱脂を行い、引き続いて窒素雰囲
気中にて1650℃で10時間焼結した。得られた各A
lN焼結体について、3点曲げ強度、平均粒径、X線回
析による(302)面のピークの半価幅、及び熱伝導率
を測定し、その結果を表2に示した。
【0029】
【表2】 (注)表中の*を付した試料は比較例である。
【0030】表1及び表2から明らかなように、通常の
AlN粉末に気相化学合成法により得られたAlN粉末
を1重量%から95重量%添加した原料粉末を用いるこ
とによって、得られるAlN焼結体の粒径が微細にな
り、優れた結晶性が得られると共に、優れた熱伝導率を
維持したまま、高い3点曲げ強度を達成することができ
る。
【0031】実施例2 上記実施例1の試料6と同じAlN原料粉末の混合比率
で、しかし下記表3に示す種々の焼結助剤を用いて、実
施例1と同様の工程で焼結してAlN焼結体を製造し
た。ただし、各試料の焼結温度は、用いた焼結助剤に適
した温度を採用した。得られた各AlN焼結体につい
て、実施例1と同様に特性値を測定し、その結果を焼結
温度と共に下記表3に示した。
【0032】
【表3】 焼結温度 曲げ強度 平均粒径 半価幅 熱伝導率試料 焼結助剤(添加重量%) (℃) (kg/mm2) (μm) (deg) (W/mK) 12 Y2O3(0.5) 1820 48 1.8 0.24 185 13 Y2O3(3.7) 1820 47 1.8 0.24 182 14 Y2O3(2.0)/CaO(1.7) 1750 52 1.6 0.24 171 15 Y2O3(0.3)/CaO(0.7) 1750 51 1.6 0.24 173 16 CaO(0.5) 1680 53 1.5 0.24 156 17 CaO(3.7) 1680 53 1.5 0.24 154
【0033】上記表3に示したように、本発明によるA
lN焼結体は、窒化アルミニウムの焼結に通常使用され
る焼結助剤であれば、どの焼結助剤を用いても、良好な
特性を有することが分かる。
【0034】実施例3 上記実施例1の試料6と同じ原料粉末及び焼結助剤の混
合比率で、しかし気相化学合成法によるAlN粉末の平
均粒径を下記表4のごとく変化させて、実施例1と同様
に焼結体を製造した。得られた各AlN焼結体につい
て、その特性を実施例1と同様に測定し、その結果を表
4に示した。
【0035】
【表4】 AlN粉末 曲げ強度 平均粒径 半価幅 熱伝導率試料 粒径(μm) (kg/mm2) (μm) (deg) (W/mK) 18 0.1 66 1.5 0.23 175 19 0.5 52 1.3 0.24 169 20 1.0 48 1.6 0.24 163 21* 1.5 43 2.5 0.26 155 (注)表中の*を付した試料は比較例である。
【0036】上記表4の結果から分かるように、原料粉
末中に添加する気相化学合成法によるAlN粉末の平均
粒径は1.0μm以下が好ましい。
【0037】比較例 特開平6−206772号公報に記載の方法に従って、
平均粒径が0.2μmで不純物酸素量が2.3重量%の還
元窒化法により得られたAlN粉末に、焼結助剤として
平均粒径が0.2μmのYF3粉末を5.0重量%加え、
更に有機溶剤とバインダーを添加して、ボールミルによ
り24時間混合してスラリーを作製した。次に、このス
ラリーをドクターブレード法によりシートに形成し、所
定の大きさに切断した。このシートを、大気中600℃
で脱脂し、0.8気圧の窒素雰囲気中において1500
℃で12時間焼結した。
【0038】得られた比較例のAlN焼結体について、
実施例1と同様に特性を評価し、その結果を下記表5に
示した。尚、参考のために、上記表2に示した本発明の
試料5のAlN焼結体の特性を併記した。この結果から
明らかなように、特開平6−206772号公報記載の
方法では、AlN焼結体の熱伝導率の改善は大きいもの
の、3点曲げ強度が極端に低下することが分かる。
【0039】
【表5】
【0040】実施例4 上記実施例1の試料6及び試料11と同一の原料粉末及
び組成にてスラリーを作製し、このスラリーからスプレ
ードライヤーにより顆粒状の粉末を作製した。この顆粒
状の粉末を、焼結体の寸法が50×50×1.0mmサ
イズになるようにプレス成形し、実施例1と同様の条件
で脱脂、及び焼結を行った。
【0041】次に、得られたAlN焼結体を、厚み0.
635mmを目標にラップ研磨を行った。この時点での
基板の反りは、いずれの試料も10μm以下であった。
これらの各AlN基板に対して、下記表6に示す種々の
メタライズペースト、焼成温度及び焼成雰囲気を用いて
メタライズ層を形成し、その密着性、及び全面に塗布し
た場合の基板の反りについて評価した。
【0042】即ち、密着性については、基板上に2mm
角のパターンで各メタライズペーストをスクリーン印刷
し、焼成した後、WとMoのメタライズ層には更にNi
メッキを厚み2〜4μmに施した。各試料について、メ
タライズ層に直径0.6mmのSnメッキ銅線を半田に
より取り付け、そのSnメッキ銅線を引っぱることでメ
タライズ層の密着強度を評価した。また、基板の反りに
関しては、基板と同サイズのパターンを全面スクリーン
印刷し、焼成後の反り量を測定した。その結果を、原料
粉末及び組成が試料6と同一の試料6−a、及び同じく
試料11と同一の試料11−aに分けて下記表6に示し
た。
【0043】
【表6】 メタライズ層: Ag : Ag-Pd : Pt-Pd : RuO2 : W : Mo : 焼成温度(℃): 850 : 850 : 950 : 680 : 1650 : 1650 : 焼成雰囲気 : 大気 : 大気 : 大気 : 大気 : 窒素 : 窒素 :試料6−a 密着強度(kg) 2.8 3.4 3.1 2.9 4.8 4.3 反り量(μm) 25 30 37 18 17 36試料11−a * 密着強度(kg) 2.9 3.2 3.0 3.2 4.5 4.1 反り量(μm) 42 56 71 35 48 74 (注)表中の*を付した試料は比較例である。
【0044】以上の結果より、本発明のAlN焼結体に
メタライズ層を形成した基板では、メタライズ層の密着
強度を低下させることなく、しかも気相化学合成法によ
るAlN粉末を原料としない従来の基板に比べて反り量
を大幅に低減させ得ることが分かる。
【0045】また、Wメタライズ基板とMoメタライズ
基板の全面メタライズを施したものについて、その上に
Niメッキを4〜6μm施し、更にAuメッキを1〜2
μm施した。これらの外観について40倍の顕微鏡で観
察したところ、両者共にメッキ層の膨れ、染み等もな
く、良好なメッキ層が形成されていることが分かった。
次に、形成されたAuメッキ層上に半田を載せ、水素雰
囲気中350℃のベルト炉に投入し、半田の流れ具合を
観察した。その結果、両者共に半田が十分に流れてお
り、チップ等の実装も可能であることが分かった。
【0046】実施例5 上記実施例4と同様にして、原料粉末及び組成が実施例
1の試料6及び試料11と同一のスラリーを作製し、こ
れをドクターブレード法によりグリーンシートに形成し
た。このときのシートの厚みは、焼結後の厚みが0.6
35mmになるように調整した。これを62mm角に切
断し、焼結後の収縮も考えて2.5mm角のパターンを
Wペースト及びMoペーストを用いて印刷した。これら
各試料を、実施例1と同様の条件で脱脂と焼結を行っ
た。得られたメタライズ基板について実施例4と同様に
メタライズ層の密着強度を測定し、その結果を原料粉末
及び組成が試料6と同一の試料6−b、及び同じく試料
11と同一の試料11−bに分けて表7に示した。
【0047】
【表7】 (注)表中の*を付した試料は比較例である。
【0048】また、同様に形成した試料6の別のグリー
ンシートには、全面にWペースト又はMoペーストを印
刷し、実施例1と同様に脱脂と焼結を行った。その後、
実施例4と同様にNi及びAuメッキを施し、外観並び
に半田流れ性を評価した。その結果、両者とも良好な外
観、半田流れ性を有していることが分かった。
【0049】以上の結果から、本発明による窒化アルミ
ニウム焼結体は、グリーンシートの焼結と同時にメタラ
イズ層を焼成することもできることが分かる。
【0050】実施例6 上記実施例4で得られた試料6−aと試料11−aのA
lN焼結体に対して、実施例4と同様に厚みが0.63
5mmになるように鏡面研磨を行った。これらのAlN
基板に、線幅30μm、長さ40mm、ピッチ1mmの
細線40本からなる薄膜パターンを、Ti、Pt、Au
の順番で積層して形成した。
【0051】この結果、試料6−aのAlN焼結体上に
形成した薄膜パターンには断線が認められなかったが、
試料11−aのAlN焼結体では導通不良が2本確認さ
れた。導通不良のものについてSEM観察したところ、
薄膜パターン上にAlN粒子の脱粒があり、これが導通
不良を引き起こしていることが分かった。
【0052】実施例7 上記実施例4で得られた試料6−aのAlN焼結体に対
して、実施例6と同様に鏡面研磨を行った。このAlN
基板上の全面に、Ti、Pt、Auの順番で薄膜を積層
して形成し、その上にAu−Sn膜を形成した。このA
u−Sn膜の上に、5mm角のICチップを取り付けた
ところ、良好な密着性が得られた。
【0053】
【発明の効果】本発明によれば、原料粉末中に気相化学
合成法で得られた窒化アルミニウム粉末を添加すること
で、高熱伝導率であると同時に、高い強度を有し、メタ
ライズ層の形成も可能な窒化アルミニウム焼結体を提供
することがができる。しかも、通気相化学合成法による
粉末以外は、通常の安価な殆ど全ての窒化アルミニウム
粉末を用いることができ、焼成等の製造条件も細かく制
限する必要がないので、その製造上極めて有利である。
フロントページの続き (72)発明者 湯塩 泰久 兵庫県伊丹市昆陽北一丁目1番1号 住友 電気工業株式会社伊丹製作所内 (72)発明者 田中 素之 兵庫県伊丹市昆陽北一丁目1番1号 住友 電気工業株式会社伊丹製作所内 (72)発明者 長尾 俊二 兵庫県伊丹市昆陽北一丁目1番1号 住友 電気工業株式会社伊丹製作所内 (72)発明者 新小田 章 兵庫県伊丹市昆陽北一丁目1番1号 住友 電気工業株式会社伊丹製作所内 (72)発明者 佐々木 一隆 兵庫県伊丹市昆陽北一丁目1番1号 住友 電気工業株式会社伊丹製作所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均粒径が2μm以下であり、X線回析
    により得られる(302)面回析線の半価幅が0.24
    deg以下であることを特徴とする窒化アルミニウム焼
    結体。
  2. 【請求項2】 3点曲げ強度が450MPa以上である
    ことを特徴とする、請求項1に記載の窒化アルミニウム
    焼結体。
  3. 【請求項3】 気相化学合成法で得られた平均粒径1.
    0μm以下の窒化アルミニウム粉末1〜95重量%と、
    残部が他の窒化アルミニウム粉末からなる原料粉末を調
    整し、この原料粉末に焼結助剤粉末を添加混合し、得ら
    れた混合粉末を成形し、成形体を非酸化性雰囲気中で焼
    結することを特徴とする窒化アルミニウム焼結体の製造
    方法。
  4. 【請求項4】 平均粒径が2μm以下であり、X線回析
    により得られる(302)面回析線の半価幅が0.24
    deg以下である窒化アルミニウム焼結体上に、金属化
    層を形成したことを特徴とする窒化アルミニウム半導体
    基板。
  5. 【請求項5】 前記金属化層が、W、Mo、Ag、P
    d、Pt、Ru、Ti、Au、Snから選ばれた少なく
    とも1種の元素からなるメタライズ層であることを特徴
    とする、請求項4に記載の窒化アルミニウム半導体基
    板。
  6. 【請求項6】 前記メタライズ層上にメッキ層を備える
    ことを特徴とする、請求項5に記載の窒化アルミニウム
    半導体基板。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002173361A (ja) * 2000-12-07 2002-06-21 Toshiba Corp セラミック基板、薄膜回路基板およびセラミック基板の製造方法
JP2017135250A (ja) * 2016-01-27 2017-08-03 日本特殊陶業株式会社 窒化アルミニウム基板、半導体製造用部品、cvdヒータ、及び窒化アルミニウム基板の製造方法

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