JP2000050787A - 植物保護装置 - Google Patents

植物保護装置

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JP2000050787A
JP2000050787A JP10236563A JP23656398A JP2000050787A JP 2000050787 A JP2000050787 A JP 2000050787A JP 10236563 A JP10236563 A JP 10236563A JP 23656398 A JP23656398 A JP 23656398A JP 2000050787 A JP2000050787 A JP 2000050787A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 植物生育中に高電界を加えて、昆虫などが喰
うことから保護する。 【解決手段】 本発明の植物保護装置を適用すると、植
物が昆虫等に喰われることが減少する。植物保護装置を
適用して高電圧を発生し、高電圧が印加された導電性部
材を距離保持器に装着し、それらを支柱に固定させて植
物の育成期間に植物の周辺に高電界を印加することによ
り、育成植物が昆虫等に喰われることから保護すること
が可能になる。本発明の装置は、人体感知器も具備して
安全化が実現されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、花、葉、果実、根
菜などを人類に提供する植物が昆虫および昆虫の幼虫な
どによって喰われることから保護する植物育成農業の分
野に関する。
【0002】「本明細書に使用する用語の定義」 (1) 電界バリアー・・・・・発生した高電圧を導電
性の金属などに印加し、プラスとマイナスの導体間に電
界を発生させることにより、高電界の周辺で昆虫が植物
を喰う活動を低下するためのバリアー (2) 高電圧発生器・・・・・電源装置から電源供給
を受けて数百ボルト以上の高電圧を発生する電気回路を
備えた装置であり、本発明の例として、1万ボルトの高
電圧を発生させる。 (3) 距離保持器・・・・・ビニールやプラスティク
などの絶縁材料によって製作され、高電圧が印可された
導電性部材に装着し、プラスの高電圧が印可された導電
性部材とマイナスの高電圧が印可された導電性部材が互
いに接触することを回避するために製作されて距離が保
持される器具である。 (4) 人体検出器・・・・・人体の接近を検出する装
置であり、人体から発する赤外線を用いる人体感知器が
主な方法であるが、光線遮断方式により人体の侵入を感
知する方式もある。 (5) 導電性部材・・・・・電気抵抗が低い材料を用
いる部材であり、通常は金属を用いて製作される。 (6) 絶縁性部材・・・・・電気抵抗が高い材料を用
いて製作された部材であり、通常はプラスティクやビニ
ールなどの化学的に合成された材料を用いて製作され
る。
【0003】
【従来の技術】植物を育成する際に昆虫などによって育
成植物が喰われることを回避する方法の主なものを以下
に記述する。 (1)果実、根菜などを人類に提供する植物が昆虫およ
び昆虫の幼虫によって喰われることから保護するために
は、化学的に生成した農薬を用いて消毒して昆虫を駆除
したり、昆虫および昆虫の幼虫が植物に接近することを
農薬散布により回避させていた。 (2)昆虫などの発生の初期に見つけ次第に捕殺を行
う。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来の方法を用いる
と、次に示す短所がある。 (1)果実、根菜などを人類に提供する植物が昆虫およ
び昆虫の幼虫によって喰われることから保護するために
は、化学的に生成した農薬を用いる従来方法では、農薬
が植物の育成後も残存して、それらを食料とする動物に
悪影響を及ぼす可能性がある。 (2)農薬が劇薬である場合もあり、農薬を散布する人
の健康にも悪影響を及ぼす可能性がある。 (3)化学的に生成した農薬は消耗品であり、これを購
入することは農業人の負担となり、青果物の価格上昇に
なる可能性がある。 (4)農薬を使用して消毒処理を行うと、農薬が土壌に
残留し、植物の育成に関与するバクテリアなどの生物が
死滅する可能性もあり、植物の生育に悪影響を及ぼす可
能性もある。 (5)農薬を使用して消毒処理を行うと、農薬が地下水
に混入し、水資源の汚染や品質劣化に至る可能性もあ
る。 (6)キャベツや白菜などは葉の部分を食料とするが、
葉が重なっていたり巻き込んでいる場合には、農薬が葉
の全表面に散布されることは困難であるので、全表面に
農薬散布を試みると、散布量が増加し、残留農薬の量も
増加し、人体に悪影響を与える可能性も増加する。 (7)昆虫によって適応農薬が異なるので、害を及ぼす
昆虫の種類を確認し、適応農薬を選択して散布する必要
がある。 (8)薬剤を散布しても有効期間が限定されているの
で、定期的に薬剤散布を行う必要もある。 (9)薬剤を散布しても雨期には流されるので、複数回
数の薬剤散布を必要とする。しかし、同一薬剤の連用は
避けなければならない場合もある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の植物保護装置
は、育成中の植物を動物が喰うことから回避するため
に、(a)電源装置と(b)高電圧発生器と、(c)距
離保持器と、(d)導電性部材と、(e)支柱と(f)
絶縁性部材を備えている。植物保護装置は、上記の電源
装置の出力を上記の高電圧発生器に入力することにより
高電圧を発生し、発生する高電圧を複数個の導電性部材
に印加し、上記の導電性部材を絶縁性部材に装着し、上
記の絶縁性部材に上記の距離保持器を装着することによ
り、高電圧が印加された導電性部材のプラス側とマイナ
ス側が直接的に接触して高電圧が短絡することから回避
し、育成する植物の周辺の空間に上記の支柱を配置し、
上記の距離保持器および上記の絶縁性部材を上記の支柱
に装着し、プラスの高電圧が印加された上記の導電性部
材とマイナスの高電圧が印加された上記の導電性部材を
植物の周辺に配置することにより、育成中の植物の周辺
の空間に高電界を構成し、さらに上記の植物が生育する
土壌の周辺にもプラスの高電圧が印加された上記の導電
性部材とマイナスの高電圧が印加された上記の導電性部
材を上記の絶縁性部材に装着して配置し、導電性部材に
印加された高電圧によって土壌の周辺に高電界を構成す
ることにより、昆虫が育成植物を食料化する量を減少さ
せる。
【0006】本発明の請求項2の植物保護装置は、人体
検出器を用いて人間が高電圧に接近することを検出し、
この信号に基づいて高電圧を遮断し、警報器によって警
報を発生することにより安全性を確保する。
【0007】育成植物が昆虫などにより喰われることか
ら回避するために農薬散布の方法を適用する従来の方法
を用いると、前述に示す短所があるので、それらを本発
明の装置によって解決する。 (1) 農薬を用いて果実、根菜などを昆虫などによっ
て喰われることから保護する方法では、農薬が植物の育
成後も残存して、悪影響を与える可能性がある。しか
し、高電界を印加する本発明の植物保護装置では、植物
にほとんど悪影響がないと想定することができるので、
食料としての安全性は確保される。 (2) 農薬が劇薬である場合もあり、農薬を散布する
人の健康にも悪影響を及ぼす可能性があった。しかし、
高電界を印加する本発明の植物保護装置では、高電圧印
加期間には、人体が高電圧に接近することを回避する安
全装置を具備するので、植物育成者に悪影響を及ぼす可
能性は極めて低いと想定される。 (3)化学的に生成した農薬は消耗品であり、これを購
入することは農業人の負担となり、青果物の価格上昇に
結びつく可能性がある。しかし、高電界を印加する本発
明の植物保護装置のランニング・コストは僅かである。
すなわち、高電圧を発生させるが、電圧を解放状態で使
用するので、消費電流はほとんどない。従って、本発明
の装置を使用する際の消費電力は非常に少ないので、本
発明の装置は経済性と実用性を備えている。
【0008】(4)農薬を使用して消毒処理を行うと、
農薬が土壌に残留し、植物の育成に関与するバクテリア
などの生物が死滅する可能性もあり、植物の生育に悪影
響を与える可能性もある。本発明の植物保護装置では、
高電界の印加が土壌に悪影響を与える可能性は低いと想
定されるので、土壌に悪影響を残存する可能性は低いの
で、土壌の安全性は確保されると想定される。 (5)農薬を使用して消毒処理を行うと、農薬が地下水
に混入し、水資源の汚染や品質劣化の可能性もある。本
発明の植物保護装置のみを適用し、農薬散布を停止する
と、地下水系に悪影響を与える可能性は低いと想定され
るので、水資源に悪影響が残存するとは考えられない。 (6)キャベツや白菜などは葉の部分を食料とするが、
葉が重なっていたり巻き込んでいる場合には、農薬が葉
の全表面に散布される可能性は少なくなる。しかし、本
発明の高電界印加法と適用すると、キャベツや白菜など
を貫いて高電界を印加することが可能である。従って、
植物の内部に電極を挿入し電界を発生させなくても、植
物の周辺に電界を発生させるだけで、内部まで高電界を
施すことが可能になる。しかも、高電界の印加を停止す
ると、植物には悪影響がほとんど残存しないと想定する
ことができるので、食料としての安全性は確保される。 (7)高電界印加法を適用して昆虫から植物を保護する
装置は、一度設置すると、労力をほとんど必要としない
ので、害虫捕殺法などと比較すると、手間と時間の節約
になり、薬剤の使用量を減少することも可能となり、環
境への配慮が行われることになる。
【0009】
【発明の実施の形態】育成する植物の例として野菜に関
して記述する。野菜には葉を食料とするものと実を食料
とするものと根を食料とするものに分けられる。いずれ
の種類の野菜にも葉があり、葉が昆虫に喰われると、野
菜の品質は劣化する。従って、従来の野菜栽培の方法で
は、農薬などの化学的に生成された消毒薬を植物に散布
して昆虫などを殺して、植物が昆虫に喰われる事から回
避していた。従来の方法の欠点は、農薬などの散布剤が
野菜に残留することにより、異物が人間の体内に進入し
て悪影響を与える可能性が否定できないことである。し
かし、農薬の使用を停止すれば、野菜の葉がほとんど昆
虫に喰われる可能性もある。本発明の高電界バリアー法
を育成中の野菜に適用すると、野菜の葉が昆虫に喰われ
る可能性が減少する。
【0010】本発明の実施例を図1に基づいて説明す
る。図1は本発明の植物保護装置のブロック図である。
図1に示すように、電源装置1と高電圧発生器2と距離
保持器3と導電性部材4と支柱8と絶縁性部材5を用い
て高電界バリアーを構成する。電源装置1から出力され
る電圧を高電圧発生器2に印加することにより高電圧を
発生する。実際に発生させた高電圧は1万ボルトであっ
た。発生した高電圧を複数個の導電性部材4に印加す
る。実際に使用した導電性部材4の1例は銅線であり、
市販の配線用のビニール被覆電線を適用することも可能
であり、ビニール被覆電線の直径は3〜5mmでも充分
な効果が確認された。さらに、ビニールやプラスティク
などの絶縁材料を用いて製造した距離保持器3を導電性
部材4に装着することにより、高電圧が印加された導電
性部材4のプラス側とマイナス側が直接接触して高電圧
が短絡することから回避する。
【0011】つぎに、育成する被験植物7の周辺の空間
に支柱8をほとんど鉛直方向に配置し、距離保持器3を
支柱8に装着して配置することにより育成する被験植物
7の周辺の空間に高電界バリアーを構成する。支柱8は
絶縁性の材料を用いて製作される場合もある。さらに、
被験植物7が生育する土壌の周辺にも高電界バリアーを
構築する。このためには、プラスの高電圧が印加された
導電性部材4とマイナスの高電圧が印加された導電性部
材4を絶縁性部材5に保持し、絶縁性部材5を地中に打
ち込んで配置する。この際に、プラスの高電圧が印加さ
れた導電性部材4とマイナスの高電圧が印加された導電
性部材4の間に被験植物7を配置する。導電性部材4に
印加された高電圧によって土壌の周辺にも高電界バリア
ーを構成することにより、昆虫が育成中の植物を喰う確
率を減少させることが可能になる。
【0012】本発明においては、図1に示す電源装置1
の種類に限定を与えない。すなわち、電源装置1として
交流あるいは直流の電源も本発明においては使用可能で
ある。さらに、太陽電池を用いて発電し、バッテリーに
蓄電し、使用期間に放電する装置も本発明の電源装置1
に含まれる。結論的には、いかなる種類の電源であって
も電圧と電流を供給するものであるならば、本発明の電
源装置1として使用可能であるので、全ての種類の電源
が本発明の電源装置1に含まれる。図2には、絶縁性部
材5の1例を示す。図2の上部には絶縁性部材5の上面
を示し、図2の下部には絶縁性部材5の側面を示す。絶
縁性部材5の左側の輪のある領域を支柱装着部と呼び、
支柱装着部の輪状の空間には支柱8を差し込み、絶縁性
部材5の右側の輪のある領域を導電性部材装着部と呼
び、導電性部材装着部には導電性部材4が割れ目から差
し込まれて保持される。絶縁性部材5は軟プラスティク
性の材料で製作すると好都合である。導電性部材4とし
てビニール被覆電線などを用いる場合には、それらが細
長いので、絶縁性部材5の軟プラスティクの柔軟性を利
用してハメ込みによりツメをカミ込ませて、一度くい込
むと元に戻らない方法を用いて導電性部材4を支柱8に
固定する方式を採用すると、作業は容易になる。
【0013】図3には、距離保持器3の1例を示す。距
離保持器3を使用する目的は、プラスの高電圧が印加さ
れた導電性部材4とマイナスの高電圧が印加された導電
性部材4が接触することにより高電圧が短絡されること
を避けることである。従って、プラスの高電圧が印加さ
れた導電性部材4とマイナスの高電圧が印加された導電
性部材4が距離保持器3によって一定の距離を保持する
事が可能であれば、いかなる構造であっても本発明にお
いては限定を加えない。図3に示す例の場合には、距離
保持器3はパイプ状であり、支柱8が距離保持器3の中
に挿入される。距離保持器3の両端には、絶縁性部材5
が配置される。絶縁性部材5の右領域の導電性部材装着
部には導電性部材4が装着される。プラスの電位が印加
される導電性部材4とマイナスの電位が印加される導電
性部材4が接触することを回避するために距離保持器3
が一定の距離を確保する。支柱8の先端が尖っているの
は、そこを地中に打ち込むためである。
【0014】図4には、本発明の植物保護装置を植物に
適用した装置の全容を示す。支柱8の立て方には数種類
があり、それらは直立式支柱法と合掌式支柱法とドーム
式支柱法などである。図4には、直立式支柱法を示し、
支柱8はほとんど直立状に立てられる。同図に示すよう
に、支柱全体は右側列と左側列に分けられ、右側列支柱
には、複数個の支柱8をほとんど直線状に配置し、左側
列支柱には、複数個の支柱8をほとんど直線状に配置す
る。導電性部材4は水平方向に配置される。絶縁性部材
5の右領域の導電性部材装着部には導電性部材4が装着
されており、絶縁性部材5の左領域の支柱装着部の輪状
の空間には支柱8が差し込まれている。プラスの電位が
印加される導電性部材4とマイナスの電位が印加される
導電性部材4が接触することを回避するために距離保持
器3が一定の距離を保持する。支柱8の右側列と左側列
の間の地表部に被験植物7が植えられている。なお、こ
の図においては直立支柱が倒れないように、斜めの補助
ロープで大地に接続されている。合掌式支柱法において
は、支柱が斜めに立てられて、上端部が集められて接続
される。ドーム式支柱法においては、支柱が馬蹄型に曲
げられており、地面との接触部はほとんど直立式と同様
である。
【0015】図5には、高電界バリアーの1例を示す。
プラスの電位が印加される導電性部材4から出発する電
気力線はマイナスの電位が印加される導電性部材4まで
到着する。図5に破線で示す電気力線は主なものであ
り、他の電気力線は省略したが、空間に分布して存在す
る。これらの電気力線が電界のバリアーを形成する。被
験植物7あるいは昆虫などが高電界バリアー中に存在す
ると、電気力線を遮断する。被験植物7は電気力線を遮
断してもほとんど悪影響を受けない。ところが、植物に
接近する昆虫は高電界の影響を受ける。すなわち、高電
界の影響を受けて昆虫の感覚毛が静電的に吸引されて、
正常の位置から変位する。この変位によって神経細胞に
誘発電位が発生し、昆虫の脳には正常状態からの変位情
報に相当する信号が伝送される。昆虫は植物の物理的な
形状や表面に存在する化学的な物質の種類を感覚毛で認
識している。感覚毛から脳への信号に基づいて、その昆
虫にとって可食か否かの判断を行う。ところが、高電界
によって感覚毛が吸引されて、その変位量に相当する信
号が脳に伝達されると、正常な食欲状態から離脱する。
すなわち、昆虫の感覚毛は食欲のトリガーになっている
ので、昆虫は高電界中で食欲変調に陥り、植物の葉や実
を正常な感覚で喰うことができなくなる。従って、感覚
体毛の異常変位は食欲に影響を与えて、昆虫が正常な状
態で植物を喰うことができなくなる。故に、本発明の装
置によって昆虫などが喰う動作から植物は保護される。
【0016】本発明の植物保護装置を適用すると、昆虫
などが育成中の植物の葉や果実を喰う確率が減少し、植
物に悪影響を与える可能性は少ない。しかも、本発明の
装置は電圧のみを印加し、消費電流はほとんどないの
で、本発明の植物保護装置の消費電力は微少であり、経
費負担が軽減され実用性は高い。しかし、高電圧を用い
る唯一の欠点は、その安全性である。植物性食料の周辺
に配置された高電圧によって人間が感電の事故を起こす
ことから回避するために、人間が高電圧に接近する場合
には、人間知覚センサーを用いて人間の接近を検出し、
導電性部材4に印加された高電圧を遮断することにより
安全性を確保する。人間知覚センサーとして人体から発
生する赤外線を利用する人体感知器も実用化されてい
る。図6には、本発明の電圧遮断による安全化の実施例
を示す。高電圧の遮断には2種類の構造がある。それら
の1例は電源装置1の出力電圧を人体検出器6からの人
体検出信号に基づいてスイッチ9によって遮断状態にし
て、結果的に高電圧の発生を停止する機構である。他の
遮断機構として、人体検出器6からの信号に基づいて高
電圧発生器2の出力電圧をスイッチ9によって遮断する
ことにより電圧遮断状態を実現し、結果的に高電圧の発
生を停止する機構である。あるいは、人体検出信号に基
づいて高電圧発生器2の出力電圧を短絡することにより
電圧遮断状態を実現し、結果的に高電圧発生機能を停止
する機構もある。
【0017】さらに、人間知覚センサーとして赤外線な
どの光線を発光素子によって発光し、受光素子で受光状
態に設定し、人体が植物に接近すると、赤外線などの光
線を遮断するので、受光素子は光線遮断状態を検出し、
その信号に基づいて高電圧を遮断状態にすることにより
安全性を高める装置は本発明に含まれる。人体が高電圧
に接近し、接触することを回避するために、高電圧の印
加状態を警報や警告音で知らせる機構も有効であり、本
発明の装置に含くまれる。さらに、育成植物の周辺にロ
ープやビニール性のプラスティク部材を張って柵を設け
ることにより、侵入口を狭くし、人間を含む動物などが
接近することを検出するための領域を限定し縮小化して
設定することにより、限定された入口に人体検出器など
を設置し、検出装置の数を減少させたり簡便化するなど
の工夫を施し、これらの検出器の信号に基づいて、高電
圧を遮断し、警報や警告音を発生することにより安全性
を確保することは、本発明の植物保護装置を用いる植物
保護に含まれる。
【0018】
【発明の効果】人類にとって貴重な食料である野菜など
の植物が、昆虫などの動物に喰われることから保護する
装置の効果を説明するには、植物に対する昆虫の動作を
考察する必要がある。全ての昆虫の頭部には1対の触角
がある。昆虫は触角からの信号に基づいて行動する場合
が多い。触角は脳に接近して配置されており、脳に多く
の信号を伝送している。触角は敏感な剛毛で覆われてい
る。高度に発達した哺乳類などは味覚の認識、嗅覚、聴
覚、音感覚および触感覚などを個別のセンサーで知覚す
るが、昆虫などは触角を中心とするセンサーで行う場合
が多い。さらに、昆虫の脚と胴体などの種々の部位に生
えている体毛によって昆虫のセンサー機能を遂行する種
類もある。昆虫の触角にも多くの体毛が生えている。体
毛の種類が複数であり、異種の感覚機能を保持する昆虫
も存在する。これらの体毛に接触する異物に対して昆虫
は敏感に反応する。
【0019】高等動物に見られる目や耳や鼻に相当する
個別の感覚器官は、昆虫の場合にはあまり発達しておら
ず、昆虫の体毛は優れた感覚器官として利用されてい
る。昆虫の触角にある感覚毛で植物に触れることにより
植物の種類などを確認してから喰う習性がある。特に、
貪欲な食欲をもつ昆虫の幼虫は植物の葉を主食としてい
るが、目や舌に相当する個別の感覚器官は未発達状態で
ある。ゾウムシなどは口先が毛深くなっており、食べ物
を喰う際には体毛のセンサーが敏感に働いて感覚器官と
して作用する。
【0020】本発明の植物保護装置においては、高電圧
発生器によって発生する高電圧を導電性部材に印加し、
育成する植物の周辺に導電性部材を配置することによ
り、高電界バリアーが植物の周辺に設置される。育成す
る植物に対して高電界が直接的に悪影響を与える可能性
は殆どないことが実験結果からも確認することができ
た。ところが、植物に接近する昆虫は高電界の影響を受
ける。昆虫は高電界中では正常な行動から逸脱すること
がある。しかし、昆虫が高電圧バリアーを突破して育成
植物に接近することは可能である。すなわち、高電界バ
リアーは植物に接近する昆虫を完全に排除することはで
きない。植物に接近した昆虫の行動や動作には、高電界
が影響を与える。高電界の影響を受けて昆虫の感覚毛が
帯電し静電的な吸引力を受けて正常な位置から変位す
る。この変位によって神経細胞に誘発電位が発生し、昆
虫の脳には正常状態からの変位情報に相当する信号が伝
送される。昆虫は植物の物理的な形状や表面に存在する
化学的な物質の種類を感覚毛で認識している。感覚毛か
ら脳への信号に基づいて、昆虫は喰うことが可能である
か否かの判断を行う。ところが、高電界によって感覚毛
が変位すると、正常な食欲状態から離脱する反応が支配
的になる。すなわち、昆虫の感覚毛は食欲のトリガーに
なっているので、昆虫は高電界中で食欲変調に陥り、植
物の葉や実を正常な感覚で喰うことができなくなる。従
って、感覚体毛の異常変位は食欲に影響を与えて、昆虫
が正常な状態で植物を喰うことができなくなる。その結
果として、植物を無消毒状態に放置しておいても、本発
明の高電界バリアーを植物に適用すると、食物は昆虫に
喰われる可能性が急激に減少する。一方、植物は高電圧
状態でも殆ど悪影響がないので、人類は無農薬で無消毒
な植物を食料とすることが可能になる。しかも、高電界
の除去後には、周辺の環境に悪影響を与えることはほと
んど無いので、農薬による水系の汚染から解放される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の植物保護装置である高電界バリアー法
のブロック図を示す。
【図2】本発明の植物保護装置の絶縁性部材の1例を示
す。
【図3】本発明の植物保護装置の距離保持器の1例を示
す。
【図4】本発明の植物保護装置を植物に適用した装置の
全容を示す。
【図5】本発明の植物保護装置によって発生する高電界
バリアーの1例を示す。
【図6】本発明の植物保護装置の電圧遮断による安全化
の1例を示す。
【符号の説明】
1…電源装置 2…高電圧発生器 3…距離保持器 4…導電性部材 5…絶縁性部材 6…人体検出器 7…被験植物 8…支柱 9…スイッチ
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成11年6月28日(1999.6.2
8)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 植物保護装置
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、花、葉、果実、根
菜などを人類に提供する植物が昆虫および昆虫の幼虫な
どによって喰われることから保護する植物育成農業の分
野に関する。
【0002】「本明細書に使用する用語の定義」 (1) 電界バリアー・・・・・発生した高電圧を導電
性の金属などに印加し、プラスとマイナスの導体間に電
界を発生させることにより、高電界の周辺で昆虫が植物
を喰う活動を低下するためのバリアー (2) 高電圧発生器・・・・・電源装置から電源供給
を受けて数百ボルト以上の高電圧を発生する電気回路を
備えた装置であり、本発明の例として、1万ボルトの高
電圧を発生させる。 (3) 距離保持器・・・・・ビニールやプラスティク
などの絶縁材料によって製作され、高電圧が印可された
導電性部材に装着し、プラスの高電圧が印可された導電
性部材とマイナスの高電圧が印可された導電性部材が互
いに接触することを回避するために製作されて距離が保
持される器具である。 (4) 人体検出器・・・・・人体の接近を検出する装
置であり、人体から発する赤外線を用いる人体感知器が
主な方法であるが、光線遮断方式により人体の侵入を感
知する方式もある。 (5) 導電性部材・・・・・電気抵抗が低い材料を用
いる部材であり、通常は金属を用いて製作される。 (6) 絶縁性部材・・・・・電気抵抗が高い材料を用
いて製作された部材であり、通常はプラスティクやビニ
ールなどの化学的に合成された材料を用いて製作され
る。
【0003】
【従来の技術】植物を育成する際に昆虫などによって育
成植物が喰われることを回避する方法の主なものを以下
に記述する。 (1)果実、根菜などを人類に提供する植物が昆虫およ
び昆虫の幼虫によって喰われることから保護するために
は、化学的に生成した農薬を用いて消毒して昆虫を駆除
したり、昆虫および昆虫の幼虫が植物に接近することを
農薬散布により回避させていた。 (2)昆虫などの発生の初期に見つけ次第に捕殺を行
う。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来の方法を用いる
と、次に示す短所がある。 (1)果実、根菜などを人類に提供する植物が昆虫およ
び昆虫の幼虫によって喰われることから保護するために
は、化学的に生成した農薬を用いる従来方法では、農薬
が植物の育成後も残存して、それらを食料とする動物に
悪影響を及ぼす可能性がある。 (2)農薬が劇薬である場合もあり、農薬を散布する人
の健康にも悪影響を及ぼす可能性がある。 (3)化学的に生成した農薬は消耗品であり、これを購
入することは農業人の負担となり、青果物の価格上昇に
なる可能性がある。 (4)農薬を使用して消毒処理を行うと、農薬が土壌に
残留し、植物の育成に関与するバクテリアなどの生物が
死滅する可能性もあり、植物の生育に悪影響を及ぼす可
能性もある。 (5)農薬を使用して消毒処理を行うと、農薬が地下水
に混入し、水資源の汚染や品質劣化に至る可能性もあ
る。 (6)キャベツや白菜などは葉の部分を食料とするが、
葉が重なっていたり巻き込んでいる場合には、農薬が葉
の全表面に散布されることは困難であるので、全表面に
農薬散布を試みると、散布量が増加し、残留農薬の量も
増加し、人体に悪影響を与える可能性も増加する。 (7)昆虫によって適応農薬が異なるので、害を及ぼす
昆虫の種類を確認し、適応農薬を選択して散布する必要
がある。 (8)薬剤を散布しても有効期間が限定されているの
で、定期的に薬剤散布を行う必要もある。 (9)薬剤を散布しても雨期には流されるので、複数回
数の薬剤散布を必要とする。しかし、同一薬剤の連用は
避けなければならない場合もある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の植物保護装置
は、育成中の植物を昆虫が喰うことから回避するため
に、(a)電源装置と(b)高電圧発生器と、(c)距
離保持器と、(d)導電性部材と、(e)支柱と(f)
絶縁性部材を備えている。植物保護装置は、上記の電源
装置の出力を上記の高電圧発生器に入力することにより
高電圧を発生し、発生する高電圧を複数個の導電性部材
に印加し、上記の導電性部材を絶縁性部材に装着し、上
記の絶縁性部材に上記の距離保持器を装着することによ
り、高電圧が印加された導電性部材のプラス側とマイナ
ス側が直接的に接触して高電圧が短絡することから回避
し、育成する植物の周辺の空間に上記の支柱を配置し、
上記の距離保持器および上記の絶縁性部材を上記の支柱
に装着し、プラスの高電圧が印加された上記の導電性部
材とマイナスの高電圧が印加された上記の導電性部材を
植物の周辺に配置することにより、育成中の植物の周辺
の空間に高電界を構成し、さらに上記の植物が生育する
土壌の周辺にもプラスの高電圧が印加された上記の導電
性部材とマイナスの高電圧が印加された上記の導電性部
材を上記の絶縁性部材に装着して配置し、導電性部材に
印加された高電圧によって土壌の周辺に高電界を構成す
ることにより、昆虫が育成植物を食料化する量を減少さ
せる。
【0006】本発明の請求項2の植物保護装置は、人体
検出器を用いて人間が高電圧に接近することを検出し、
この信号に基づいて高電圧を遮断し、警報器によって警
報を発生することにより安全性を確保する。
【0007】育成植物が昆虫などにより喰われることか
ら回避するために農薬散布の方法を適用する従来の方法
を用いると、前述に示す短所があるので、それらを本発
明の装置によって解決する。 (1) 農薬を用いて果実、根菜などを昆虫などによっ
て喰われることから保護する方法では、農薬が植物の育
成後も残存して、悪影響を与える可能性がある。しか
し、高電界を印加する本発明の植物保護装置では、植物
にほとんど悪影響がないと想定することができるので、
食料としての安全性は確保される。 (2) 農薬が劇薬である場合もあり、農薬を散布する
人の健康にも悪影響を及ぼす可能性があった。しかし、
高電界を印加する本発明の植物保護装置では、高電圧印
加期間には、人体が高電圧に接近することを回避する安
全装置を具備するので、植物育成者に悪影響を及ぼす可
能性は極めて低いと想定される。 (3)化学的に生成した農薬は消耗品であり、これを購
入することは農業人の負担となり、青果物の価格上昇に
結びつく可能性がある。しかし、高電界を印加する本発
明の植物保護装置のランニング・コストは僅かである。
すなわち、高電圧を発生させるが、電圧を解放状態で使
用するので、消費電流はほとんどない。従って、本発明
の装置を使用する際の消費電力は非常に少ないので、本
発明の装置は経済性と実用性を備えている。
【0008】(4)農薬を使用して消毒処理を行うと、
農薬が土壌に残留し、植物の育成に関与するバクテリア
などの生物が死滅する可能性もあり、植物の生育に悪影
響を与える可能性もある。本発明の植物保護装置では、
高電界の印加が土壌に悪影響を与える可能性は低いと想
定されるので、土壌に悪影響を残存する可能性は低いの
で、土壌の安全性は確保されると想定される。 (5)農薬を使用して消毒処理を行うと、農薬が地下水
に混入し、水資源の汚染や品質劣化の可能性もある。本
発明の植物保護装置のみを適用し、農薬散布を停止する
と、地下水系に悪影響を与える可能性は低いと想定され
るので、水資源に悪影響が残存するとは考えられない。 (6)キャベツや白菜などは葉の部分を食料とするが、
葉が重なっていたり巻き込んでいる場合には、農薬が葉
の全表面に散布される可能性は少なくなる。しかし、本
発明の高電界印加法と適用すると、キャベツや白菜など
を貫いて高電界を印加することが可能である。従って、
植物の内部に電極を挿入し電界を発生させなくても、植
物の周辺に電界を発生させるだけで、内部まで高電界を
施すことが可能になる。しかも、高電界の印加を停止す
ると、植物には悪影響がほとんど残存しないと想定する
ことができるので、食料としての安全性は確保される。 (7)高電界印加法を適用して昆虫から植物を保護する
装置は、一度設置すると、労力をほとんど必要としない
ので、害虫捕殺法などと比較すると、手間と時間の節約
になり、薬剤の使用量を減少することも可能となり、環
境への配慮が行われることになる。
【0009】
【発明の実施の形態】育成する植物の例として野菜に関
して記述する。野菜には葉を食料とするものと実を食料
とするものと根を食料とするものに分けられる。いずれ
の種類の野菜にも葉があり、葉が昆虫に喰われると、野
菜の品質は劣化する。従って、従来の野菜栽培の方法で
は、農薬などの化学的に生成された消毒薬を植物に散布
して昆虫などを殺して、植物が昆虫に喰われる事から回
避していた。従来の方法の欠点は、農薬などの散布剤が
野菜に残留することにより、異物が人間の体内に進入し
て悪影響を与える可能性が否定できないことである。し
かし、農薬の使用を停止すれば、野菜の葉がほとんど昆
虫に喰われる可能性もある。本発明の高電界バリアー法
を育成中の野菜に適用すると、野菜の葉が昆虫に喰われ
る可能性が減少する。
【0010】本発明の実施例を図1に基づいて説明す
る。図1は本発明の植物保護装置のブロック図である。
図1に示すように、電源装置1と高電圧発生器2と距離
保持器3と導電性部材4と支柱8と絶縁性部材5を用い
て高電界バリアーを構成する。電源装置1から出力され
る電圧を高電圧発生器2に印加することにより高電圧を
発生する。実際に発生させた高電圧は1万ボルトであっ
た。発生した高電圧を複数個の導電性部材4に印加す
る。実際に使用した導電性部材4の1例は銅線であり、
市販の配線用のビニール被覆電線を適用することも可能
であり、ビニール被覆電線の直径は3〜5mmでも充分
な効果が確認された。さらに、ビニールやプラスティク
などの絶縁材料を用いて製造した距離保持器3を導電性
部材4に装着することにより、高電圧が印加された導電
性部材4のプラス側とマイナス側が直接接触して高電圧
が短絡することから回避する。
【0011】つぎに、育成する被験植物7の周辺の空間
に支柱8をほとんど鉛直方向に配置し、距離保持器3を
支柱8に装着して配置することにより育成する被験植物
7の周辺の空間に高電界バリアーを構成する。支柱8は
絶縁性の材料を用いて製作される場合もある。さらに、
被験植物7が生育する土壌の周辺にも高電界バリアーを
構築する。このためには、プラスの高電圧が印加された
導電性部材4とマイナスの高電圧が印加された導電性部
材4を絶縁性部材5に保持し、絶縁性部材5を地中に打
ち込んで配置する。この際に、プラスの高電圧が印加さ
れた導電性部材4とマイナスの高電圧が印加された導電
性部材4の間に被験植物7を配置する。導電性部材4に
印加された高電圧によって土壌の周辺にも高電界バリア
ーを構成することにより、昆虫が育成中の植物を喰う確
率を減少させることが可能になる。
【0012】本発明においては、図1に示す電源装置1
の種類に限定を与えない。すなわち、電源装置1として
交流あるいは直流の電源も本発明においては使用可能で
ある。さらに、太陽電池を用いて発電し、バッテリーに
蓄電し、使用期間に放電する装置も本発明の電源装置1
に含まれる。結論的には、いかなる種類の電源であって
も電圧と電流を供給するものであるならば、本発明の電
源装置1として使用可能であるので、全ての種類の電源
が本発明の電源装置1に含まれる。図2には、絶縁性部
材5の1例を示す。図2の上部には絶縁性部材5の上面
を示し、図2の下部には絶縁性部材5の側面を示す。絶
縁性部材5の左側の輪のある領域を支柱装着部と呼び、
支柱装着部の輪状の空間には支柱8を差し込み、絶縁性
部材5の右側の輪のある領域を導電性部材装着部と呼
び、導電性部材装着部には導電性部材4が割れ目から差
し込まれて保持される。絶縁性部材5は軟プラスティク
性の材料で製作すると好都合である。導電性部材4とし
てビニール被覆電線などを用いる場合には、それらが細
長いので、絶縁性部材5の軟プラスティクの柔軟性を利
用してハメ込みによりツメをカミ込ませて、一度くい込
むと元に戻らない方法を用いて導電性部材4を支柱8に
固定する方式を採用すると、作業は容易になる。
【0013】図3には、距離保持器3の1例を示す。距
離保持器3を使用する目的は、プラスの高電圧が印加さ
れた導電性部材4とマイナスの高電圧が印加された導電
性部材4が接触することにより高電圧が短絡されること
を避けることである。従って、プラスの高電圧が印加さ
れた導電性部材4とマイナスの高電圧が印加された導電
性部材4が距離保持器3によって一定の距離を保持する
事が可能であれば、いかなる構造であっても本発明にお
いては限定を加えない。図3に示す例の場合には、距離
保持器3はパイプ状であり、支柱8が距離保持器3の中
に挿入される。距離保持器3の両端には、絶縁性部材5
が配置される。絶縁性部材5の右領域の導電性部材装着
部には導電性部材4が装着される。プラスの電位が印加
される導電性部材4とマイナスの電位が印加される導電
性部材4が接触することを回避するために距離保持器3
が一定の距離を確保する。支柱8の先端が尖っているの
は、そこを地中に打ち込むためである。
【0014】図4には、本発明の植物保護装置を植物に
適用した装置の全容を示す。支柱8の立て方には数種類
があり、それらは直立式支柱法と合掌式支柱法とドーム
式支柱法などである。図4には、直立式支柱法を示し、
支柱8はほとんど直立状に立てられる。同図に示すよう
に、支柱全体は右側列と左側列に分けられ、右側列支柱
には、複数個の支柱8をほとんど直線状に配置し、左側
列支柱には、複数個の支柱8をほとんど直線状に配置す
る。導電性部材4は水平方向に配置される。絶縁性部材
5の右領域の導電性部材装着部には導電性部材4が装着
されており、絶縁性部材5の左領域の支柱装着部の輪状
の空間には支柱8が差し込まれている。プラスの電位が
印加される導電性部材4とマイナスの電位が印加される
導電性部材4が接触することを回避するために距離保持
器3が一定の距離を保持する。支柱8の右側列と左側列
の間の地表部に被験植物7が植えられている。なお、こ
の図においては直立支柱が倒れないように、斜めの補助
ロープで大地に接続されている。合掌式支柱法において
は、支柱が斜めに立てられて、上端部が集められて接続
される。ドーム式支柱法においては、支柱が馬蹄型に曲
げられており、地面との接触部はほとんど直立式と同様
である。
【0015】図5には、高電界バリアーの1例を示す。
プラスの電位が印加される導電性部材4から出発する電
気力線はマイナスの電位が印加される導電性部材4まで
到着する。図5に破線で示す電気力線は主なものであ
り、他の電気力線は省略したが、空間に分布して存在す
る。これらの電気力線が電界のバリアーを形成する。被
験植物7あるいは昆虫などが高電界バリアー中に存在す
ると、電気力線を遮断する。被験植物7は電気力線を遮
断してもほとんど悪影響を受けない。ところが、植物に
接近する昆虫は高電界の影響を受ける。すなわち、高電
界の影響を受けて昆虫の感覚毛が静電的に吸引されて、
正常の位置から変位する。この変位によって神経細胞に
誘発電位が発生し、昆虫の脳には正常状態からの変位情
報に相当する信号が伝送される。昆虫は植物の物理的な
形状や表面に存在する化学的な物質の種類を感覚毛で認
識している。感覚毛から脳への信号に基づいて、その昆
虫にとって可食か否かの判断を行う。ところが、高電界
によって感覚毛が吸引されて、その変位量に相当する信
号が脳に伝達されると、正常な食欲状態から離脱する。
すなわち、昆虫の感覚毛は食欲のトリガーになっている
ので、昆虫は高電界中で食欲変調に陥り、植物の葉や実
を正常な感覚で喰うことができなくなる。従って、感覚
体毛の異常変位は食欲に影響を与えて、昆虫が正常な状
態で植物を喰うことができなくなる。故に、本発明の装
置によって昆虫などが喰う動作から植物は保護される。
【0016】本発明の植物保護装置を適用すると、昆虫
などが育成中の植物の葉や果実を喰う確率が減少し、植
物に悪影響を与える可能性は少ない。しかも、本発明の
装置は電圧のみを印加し、消費電流はほとんどないの
で、本発明の植物保護装置の消費電力は微少であり、経
費負担が軽減され実用性は高い。しかし、高電圧を用い
る唯一の欠点は、その安全性である。植物性食料の周辺
に配置された高電圧によって人間が感電の事故を起こす
ことから回避するために、人間が高電圧に接近する場合
には、人間知覚センサーを用いて人間の接近を検出し、
導電性部材4に印加された高電圧を遮断することにより
安全性を確保する。人間知覚センサーとして人体から発
生する赤外線を利用する人体感知器も実用化されてい
る。図6には、本発明の電圧遮断による安全化の実施例
を示す。高電圧の遮断には2種類の構造がある。それら
の1例は電源装置1の出力電圧を人体検出器6からの人
体検出信号に基づいてスイッチ9によって遮断状態にし
て、結果的に高電圧の発生を停止する機構である。他の
遮断機構として、人体検出器6からの信号に基づいて高
電圧発生器2の出力電圧をスイッチ9によって遮断する
ことにより電圧遮断状態を実現し、結果的に高電圧の発
生を停止する機構である。あるいは、人体検出信号に基
づいて高電圧発生器2の出力電圧を短絡することにより
電圧遮断状態を実現し、結果的に高電圧発生機能を停止
する機構もある。
【0017】さらに、人間知覚センサーとして赤外線な
どの光線を発光素子によって発光し、受光素子で受光状
態に設定し、人体が植物に接近すると、赤外線などの光
線を遮断するので、受光素子は光線遮断状態を検出し、
その信号に基づいて高電圧を遮断状態にすることにより
安全性を高める装置は本発明に含まれる。人体が高電圧
に接近し、接触することを回避するために、高電圧の印
加状態を警報や警告音で知らせる機構も有効であり、本
発明の装置に含くまれる。さらに、育成植物の周辺にロ
ープやビニール性のプラスティク部材を張って柵を設け
ることにより、侵入口を狭くし、人間を含む動物などが
接近することを検出するための領域を限定し縮小化して
設定することにより、限定された入口に人体検出器など
を設置し、検出装置の数を減少させたり簡便化するなど
の工夫を施し、これらの検出器の信号に基づいて、高電
圧を遮断し、警報や警告音を発生することにより安全性
を確保することは、本発明の植物保護装置を用いる植物
保護に含まれる。
【0018】
【発明の効果】人類にとって貴重な食料である野菜など
の植物が、昆虫などの動物に喰われることから保護する
装置の効果を説明するには、植物に対する昆虫の動作を
考察する必要がある。全ての昆虫の頭部には1対の触角
がある。昆虫は触角からの信号に基づいて行動する場合
が多い。触角は脳に接近して配置されており、脳に多く
の信号を伝送している。触角は敏感な剛毛で覆われてい
る。高度に発達した哺乳類などは味覚の認識、嗅覚、聴
覚、音感覚および触感覚などを個別のセンサーで知覚す
るが、昆虫などは触角を中心とするセンサーで行う場合
が多い。さらに、昆虫の脚と胴体などの種々の部位に生
えている体毛によって昆虫のセンサー機能を遂行する種
類もある。昆虫の触角にも多くの体毛が生えている。体
毛の種類が複数であり、異種の感覚機能を保持する昆虫
も存在する。これらの体毛に接触する異物に対して昆虫
は敏感に反応する。
【0019】高等動物に見られる目や耳や鼻に相当する
個別の感覚器官は、昆虫の場合にはあまり発達しておら
ず、昆虫の体毛は優れた感覚器官として利用されてい
る。昆虫の触角にある感覚毛で植物に触れることにより
植物の種類などを確認してから喰う習性がある。特に、
貪欲な食欲をもつ昆虫の幼虫は植物の葉を主食としてい
るが、目や舌に相当する個別の感覚器官は未発達状態で
ある。ゾウムシなどは口先が毛深くなっており、食べ物
を喰う際には体毛のセンサーが敏感に働いて感覚器官と
して作用する。
【0020】本発明の植物保護装置においては、高電圧
発生器によって発生する高電圧を導電性部材に印加し、
育成する植物の周辺に導電性部材を配置することによ
り、高電界バリアーが植物の周辺に設置される。育成す
る植物に対して高電界が直接的に悪影響を与える可能性
は殆どないことが実験結果からも確認することができ
た。ところが、植物に接近する昆虫は高電界の影響を受
ける。昆虫は高電界中では正常な行動から逸脱すること
がある。しかし、昆虫が高電圧バリアーを突破して育成
植物に接近することは可能である。すなわち、高電界バ
リアーは植物に接近する昆虫を完全に排除することはで
きない。植物に接近した昆虫の行動や動作には、高電界
が影響を与える。高電界の影響を受けて昆虫の感覚毛が
帯電し静電的な吸引力を受けて正常な位置から変位す
る。この変位によって神経細胞に誘発電位が発生し、昆
虫の脳には正常状態からの変位情報に相当する信号が伝
送される。昆虫は植物の物理的な形状や表面に存在する
化学的な物質の種類を感覚毛で認識している。感覚毛か
ら脳への信号に基づいて、昆虫は喰うことが可能である
か否かの判断を行う。ところが、高電界によって感覚毛
が変位すると、正常な食欲状態から離脱する反応が支配
的になる。すなわち、昆虫の感覚毛は食欲のトリガーに
なっているので、昆虫は高電界中で食欲変調に陥り、植
物の葉や実を正常な感覚で喰うことができなくなる。従
って、感覚体毛の異常変位は食欲に影響を与えて、昆虫
が正常な状態で植物を喰うことができなくなる。その結
果として、植物を無消毒状態に放置しておいても、本発
明の高電界バリアーを植物に適用すると、食物は昆虫に
喰われる可能性が急激に減少する。一方、植物は高電圧
状態でも殆ど悪影響がないので、人類は無農薬で無消毒
な植物を食料とすることが可能になる。しかも、高電界
の除去後には、周辺の環境に悪影響を与えることはほと
んど無いので、農薬による水系の汚染から解放される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の植物保護装置である高電界バリアー法
のブロック図を示す。
【図2】本発明の植物保護装置の絶縁性部材の1例を示
す。
【図3】本発明の植物保護装置の距離保持器の1例を示
す。
【図4】本発明の植物保護装置を植物に適用した装置の
全容を示す。
【図5】本発明の植物保護装置によって発生する高電界
バリアーの1例を示す。
【図6】本発明の植物保護装置の電圧遮断による安全化
の1例を示す。
【符号の説明】 1…電源装置 2…高電圧発生器 3…距離保持器 4…導電性部材 5…絶縁性部材 6…人体検出器 7…被験植物 8…支柱 9…スイッチ

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 育成中の植物を動物が喰うことから回避
    するために、(a)電源装置と(b)高電圧発生器と、
    (c)距離保持器と、(d)導電性部材と、(e)支柱
    と(f)絶縁性部材を備えて、 上記の電源装置の出力を上記の高電圧発生器に入力する
    ことにより高電圧を発生し、発生する高電圧を複数個の
    導電性部材に印加し、上記の導電性部材を絶縁性部材に
    装着し、上記の絶縁性部材に上記の距離保持器を装着す
    ることにより、高電圧が印加された導電性部材のプラス
    側とマイナス側が直接的に接触して高電圧が短絡するこ
    とから回避し、育成する植物の周辺の空間に上記の支柱
    を配置し、上記の距離保持器および上記の絶縁性部材を
    上記の支柱に装着し、プラスの高電圧が印加された上記
    の導電性部材とマイナスの高電圧が印加された上記の導
    電性部材を植物の周辺に配置することにより、育成中の
    植物の周辺の空間に高電界を構成し、さらに上記の植物
    が生育する土壌の周辺にもプラスの高電圧が印加された
    上記の導電性部材とマイナスの高電圧が印加された上記
    の導電性部材を上記の絶縁性部材に装着して配置し、導
    電性部材に印加された高電圧によって土壌の周辺に高電
    界を構成することにより、昆虫が育成植物を食料化する
    量を減少する植物保護装置。
  2. 【請求項2】 人体検出器を用いて人間が高電圧に接近
    することを検出し、この信号に基づいて高電圧を遮断
    し、警報器によって警報を発生することにより安全性を
    確保する請求項1に記載の植物保護装置。
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