JP2000046762A - 試料の評価方法及び評価装置 - Google Patents

試料の評価方法及び評価装置

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JP2000046762A
JP2000046762A JP10210887A JP21088798A JP2000046762A JP 2000046762 A JP2000046762 A JP 2000046762A JP 10210887 A JP10210887 A JP 10210887A JP 21088798 A JP21088798 A JP 21088798A JP 2000046762 A JP2000046762 A JP 2000046762A
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electron beam
sample
semiconductor device
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diffraction image
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JP10210887A
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Naoto Hashikawa
直人 橋川
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Mitsubishi Electric Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 格子定数及び膜厚について高精度かつ迅速な
測定を実現し得る、試料の評価方法及び評価装置を得
る。 【解決手段】 透過型電子顕微鏡4から半導体装置1に
照射された収束電子線2は、透過電子線3として半導体
装置1を透過し、スリット5を介して磁場偏向型エネル
ギーフィルタ7に入射される。磁場偏向型エネルギーフ
ィルタ7は、透過電子線3の中から弾性散乱電子のみを
抽出し、透過電子線3aとして出射する。透過電子線3
aはスリット6を介して画像検出装置8に入射され、画
像検出装置8は、入射された透過電子線3aによって電
子線回折像を得る。ホストコンピュータ9は、電子線回
折像を256階調のディジタル画像として表示し、シミ
ュレーションにより格子定数をパラメータとして所定の
プログラムを用いてフィッティングを行い、半導体装置
1の格子定数を算出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、試料の評価方法
及び評価装置、特に、半導体装置の格子定数及び膜厚の
測定方法及び測定装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年における半導体装置の微細化に伴
い、多層構造や素子分離構造に起因する応力が半導体装
置の特性に及ぼす影響が懸念されている。このため、半
導体装置の極微小領域の格子定数を精度良く測定し、得
られた格子定数に基づいて応力値を算出すること、ある
いは、応力値を見積もるために半導体装置の膜厚を測定
することは、半導体装置の構造設計を行うにあたり重要
な作業である。
【0003】図7は、半導体装置の格子定数の従来の測
定方法を概念的に示す図である。同図において、符号1
01は半導体装置であり、3mm角以下の大きさに切り
出され、500nm以下の厚さに薄膜化されている。ま
た、符号103は、透過型電子顕微鏡を用いてナノメー
トルオーダ領域に絞られた収束電子線である。また、符
号104は半導体装置101を透過した透過電子線であ
り、符号102はネガフィルムである。
【0004】次に、動作について説明する。まず、収束
電子線103を半導体装置101に照射する。収束電子
線103は半導体装置101の内部で回折され、透過電
子線104として半導体装置101を透過する。そし
て、この透過電子線104をネガフィルム102に照射
する。このとき、収束電子線103を円錐状に収束して
いるため、ネガフィルム102の照射面における電子線
回折像105はディスク状に広がったものとなる。これ
をネガフィルム102に記録し、印画紙に焼き付ける。
【0005】図8は、印画紙に焼き付けられた電子線回
折像105を示す図である。電子線回折像105には、
菊池線と呼ばれる複数の線が現れる。そして、菊池線の
パターンは、半導体装置101の格子定数に応じて変化
する。従って、電子線回折像105に現れる菊池線のパ
ターンを調べることにより、半導体装置101の格子定
数を知ることができる。
【0006】以下、図8を参照しつつ、格子定数の算出
方法について具体的に説明する。まず、電子線回折像1
05の中から菊池線の交点を2つ特定する。ここでは、
交点A0及び交点B0を特定するものとする。そして、交
点A0と交点B0との間の交点間距離A00を測長する。
その後、ブラッグの法則に基づいて計算した菊池線の交
点間距離が上記交点間距離A00を再現するように格子
定数をパラメータとしてフィッティングを行い、これに
より半導体装置1の格子定数を算出する。
【0007】このようにして得られた格子定数を参照し
て、半導体装置1の極微小領域の結晶構造を決定し、ま
た、弾性理論を用いて応力値を算出することができる。
【0008】一方、半導体装置1の膜厚は、周知のよう
に、電子顕微鏡像に現れる等厚干渉縞のコントラストに
より算出される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このような半
導体装置の格子定数の従来の測定方法によると、ネガフ
ィルムに記録した電子線回折像を印画紙に焼き付け、こ
れを参照して菊池線の交点間距離を測長するため、測長
誤差が生じたり、測定に長時間を要するという問題があ
る。
【0010】また、半導体装置を透過する透過電子線に
は弾性散乱電子のほかに非弾性散乱電子も含まれている
ため、電子線回折像には非弾性散乱電子によるノイズも
記録され、電子線回折像が不鮮明になるという問題もあ
る。特に、半導体装置の膜厚が厚くなるに従って非弾性
散乱電子によるノイズの影響も大きくなるため、膜厚が
約500nm以上の半導体装置については、菊池線の詳
細観察が困難であるという問題もある。
【0011】一方、半導体装置の膜厚の従来の測定方法
によると、均一な膜厚を有する半導体装置については、
電子顕微鏡像に等厚干渉縞が現れないため、膜厚測定が
不可能であるという問題がある。
【0012】本発明はこのような問題を解決するために
成されたものであり、半導体装置の格子定数及び膜厚に
ついて高精度かつ迅速な測定を実現し得る、試料の評価
方法及び評価装置を得ることを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】この発明のうち請求項1
に記載の試料の評価方法は、(a)試料に収束電子線を
入射する工程と、(b)試料を透過した透過電子線の中
から弾性散乱電子を抽出する工程と、(c)抽出された
弾性散乱電子によって電子線回折像を得る工程と、
(d)電子線回折像の解析を行うことにより、試料の物
理量を算出する工程とを備えるものである。
【0014】また、この発明のうち請求項2に記載の試
料の評価方法は、請求項1に記載の試料の評価方法であ
って、工程(d)は、(d−1)試料の結晶内における
弾性散乱電子の多重散乱を考慮したプログラムに基づい
て、電子線回折像をシミュレートする工程と、(d−
2)工程(c)により得られた電子線回折像と、工程
(d−1)により得られた電子線回折像とを対比するこ
とにより、試料の物理量を算出する工程とを有すること
を特徴とするものである。
【0015】また、この発明のうち請求項3に記載の試
料の評価方法は、請求項2に記載の試料の評価方法であ
って、物理量は格子定数であり、工程(c)及び工程
(d−1)における電子線回折像は、透過電子線の強度
を階調化した第1及び第2のディジタル画像としてそれ
ぞれ得られ、工程(d−2)においては、第1及び第2
のディジタル画像にそれぞれ現れる菊池線のパターン同
士が対比されることを特徴とするものである。
【0016】また、この発明のうち請求項4に記載の試
料の評価方法は、請求項3に記載の試料の評価方法であ
って、菊池線のパターン同士の対比は、第1及び第2の
ディジタル画像にそれぞれ現れる複数の菊池線のうち、
面間隔が最も小さい格子面に対応する菊池線同士の交点
間距離を対比することにより実行されることを特徴とす
るものである。
【0017】また、この発明のうち請求項5に記載の試
料の評価方法は、請求項2に記載の試料の評価方法であ
って、物理量は膜厚であり、工程(c)及び工程(d−
1)における電子線回折像は、透過電子線の強度を階調
化した第1及び第2のディジタル画像としてそれぞれ得
られ、工程(d−2)においては、第1及び第2のディ
ジタル画像におけるそれぞれの透過電子線の強度プロフ
ァイル同士が対比されることを特徴とするものである。
【0018】また、この発明のうち請求項6に記載の試
料の評価方法は、請求項5に記載の試料の評価方法であ
って、強度プロファイルは、第1及び第2のディジタル
画像にそれぞれ現れる複数の菊池線のうち、面間隔が最
も大きい格子面に対応する菊池線同士の交点付近におい
てそれぞれ取得されることを特徴とするものである。
【0019】また、この発明のうち請求項7に記載の試
料の評価装置は、収束電子線を試料に照射する収束電子
線照射手段と、試料を透過する第1の透過電子線を入射
し、透過電子線の中から弾性散乱電子を抽出して第2の
透過電子線として出射するエネルギーフィルタと、第2
の透過電子線による電子線回折像を、第2の透過電子線
の強度を階調化したディジタル画像として得る固体撮像
手段と、ディジタル画像の解析を行うことにより、試料
の物理量を算出する演算手段とを備えるものである。
【0020】
【発明の実施の形態】実施の形態1.本実施の形態1
は、半導体装置の格子定数の測定に関するものである。
【0021】図1は、収束電子線が半導体装置を透過す
る状況を概念的に示す図である。同図において、符号1
は薄膜化された半導体装置(試料)である。また、符号
2は電子顕微鏡によってナノメートルオーダ領域まで絞
られた収束電子線である。また、符号3は半導体装置1
を透過した透過電子線である。半導体装置1に照射され
た収束電子線2は、半導体装置1の内部で回折され、透
過電子線3として半導体装置1を透過する。
【0022】図2は、本発明の実施の形態1に係る半導
体装置の格子定数の測定装置の構成を概略的に示す図で
ある。同図において、符号4は電子顕微鏡である。ま
た、符号7は磁場偏向型エネルギーフィルタであり、従
来から使用されているものを用いることができる。ま
た、符号5は電子顕微鏡4と磁場偏向型エネルギーフィ
ルタ7との間に配置されたスリットである。また、符号
8はCCDカメラ等の固体撮像手段を備えた画像検出装
置である。また、符号6は磁場偏向型エネルギーフィル
タ7と画像検出装置8との間に配置されたスリットであ
る。また、符号9は画像検出装置8に接続されたホスト
コンピュータである。
【0023】次に、動作について説明する。透過型電子
顕微鏡4から半導体装置1に照射された収束電子線2
は、透過電子線3として半導体装置1を透過し、スリッ
ト5を介して磁場偏向型エネルギーフィルタ7に入射さ
れる。透過電子線3は磁場偏向型エネルギーフィルタ7
によって偏向され、透過電子線3aとして出射される。
このとき、磁場偏向型エネルギーフィルタ7に入射され
る透過電子線3には弾性散乱電子のほかに非弾性散乱電
子も含まれているが、磁場偏向型エネルギーフィルタ7
は、弾性散乱電子と非弾性散乱電子とのエネルギーの差
異によって、透過電子線3の中から弾性散乱電子のみを
抽出する。その結果、磁場偏向型エネルギーフィルタ7
から出射される透過電子線3aには弾性散乱電子のみが
含まれることになる。透過電子線3aはスリット6を介
して画像検出装置8に入射され、画像検出装置8は、入
射された透過電子線3aによって電子線回折像を得る。
ホストコンピュータ9は、画像検出装置8によって得ら
れた電子線回折像を、電子線強度を例えば256階調で
表したディジタル画像として記憶するとともに、このデ
ィジタル画像を表示する。
【0024】図3は、ホストコンピュータ9によって表
示された電子線回折像のディジタル画像を示す図であ
る。これは、電子線プローブサイズ10nm、加速電圧
100kVの条件の下、収束電子線2を半導体装置1に
[20 13 0]方向から入射した場合に得られた画像であ
る。電子線回折像のバックグラウンドには、複数の菊池
線が現れている。そして、電子線回折像に現れる菊池線
のパターンは、試料の格子定数に応じて変化することが
知られている。従って、電子線回折像に現れる菊池線の
パターンを調べることにより、半導体装置1の格子定数
を知ることができる。
【0025】以下、半導体装置1の格子定数の算出方法
について具体的に説明する。ホストコンピュータ9は、
図3に示す電子線回折像のディジタル画像の中から菊池
線の交点を2つ特定する。菊池線の交点は、交点付近の
画像で階調が最小の箇所として把握することができる。
ここで、2つの交点を特定するために選択する4本の菊
池線は、後述するシミュレーション結果との対比によ
り、作業者がホストコンピュータ9に教示してもよく、
あるいはホストコンピュータ9が自動的に割り出しても
よい。ここでは、(−57−7)格子面に対応する菊池
線と(−577)格子面に対応する菊池線との交点であ
る交点A、及び(−57−9)格子面に対応する菊池線
と(−579)格子面に対応する菊池線との交点である
交点Bを特定する。但し、交点を得るために選択する菊
池線の組合せは上記に限定するものではなく、格子定数
の変化を反映し易い任意の菊池線、望ましくは、得られ
た電子線回折像の中で面間隔が最も小さい格子面に対応
する菊池線を選択すればよい。その後、ホストコンピュ
ータ9は、交点Aと交点Bとの間の交点間距離ABを求
める。
【0026】一方、ホストコンピュータ9は、半導体装
置1の格子定数を決定するために、菊池線のシミュレー
ションを行う。シミュレーションを行うためのプログラ
ムとしては、ブラッグの法則を用いて菊池線のパターン
をシミュレートする第1のプログラムと、収束電子線2
を構成する電子の半導体装置1の結晶内での多重散乱効
果を考慮して菊池線の強度分布をシミュレートする第2
のプログラムとがある。
【0027】(第1のプログラム)ブラッグの回折条件
を(1)式に示す。
【0028】 2dhkl・sinΘ=λ ・・・・・・(1) (1)式において、Θはブラッグ角、λは入射電子線の
波長である。また、dhklは以下の(2)式で与えら
れる。
【0029】 dhkl=a/(h2+k2+l21/2 ・・・・・・(2) (2)式において、aは格子定数、h,k,lは面指数
である。ここで、dhkl及びλは既知であるため、
(1)(2)式よりブラッグ角Θを求めることができ
る。これにより、電子線回折像に表れる格子面(hk
l)に対応する菊池線のパターンをシミュレートするこ
とができる。
【0030】(第2のプログラム)結晶内での電子の多
重散乱を記述する理論としてBtheの固有値法があ
る。これは、(3)式に示す一電子近似のシュレディン
ガー方程式を用いて電子線の強度をシミュレートする方
法である。
【0031】 (−h2/2m+V)Ψ=EΨ ・・・・・・(3) (3)式において、mは電子の質量、hはプランク定
数、Ψは電子の波動関数、Eは電子の加速電圧である。
また、Vは結晶内で電子が感じるポテンシャル(いわゆ
る結晶ポテンシャル)であり、このポテンシャルVは試
料の格子定数に応じて変化する。菊池線の強度分布は電
子の波動関数Ψを求めることでシミュレートでき、ブラ
ッグ角Θを満たす方向に最も強いコントラストがあらわ
れる。
【0032】図4は、第1のプログラムに基づくシミュ
レーションにより得られた菊池線のパターンの一例を示
す図である。同図において、交点A1は、(−57−
7)格子面に対応する菊池線と(−577)格子面に対
応する菊池線との交点である。また、交点B1は、(−
57−9)格子面に対応する菊池線と(−579)格子
面に対応する菊池線との交点である。即ち、図4に示し
た菊池線のパターンにおける交点A1及び交点B1は、図
3に示した電子線回折像における交点A及び交点Bにそ
れぞれ対応している。
【0033】ホストコンピュータ9は、交点間距離A1
1が交点間距離ABを再現するように、格子定数をパ
ラメータとして第1のプログラム若しくは第2のプログ
ラムを用いてフィッティングを行い、これにより半導体
装置1の格子定数を算出する。即ち、交点間距離A11
が交点間距離ABと等しくなるようなシミュレーション
結果を選び出し、そのシミュレーション結果を与える格
子定数を、半導体装置1の格子定数として決定する。こ
の例の場合、半導体装置1の格子定数は、0.543n
mとなった。
【0034】なお、以上の説明では、収束電子線2を半
導体装置1に[20 13 0]方向から入射する場合について
述べたが、これに限定するものではなく任意の方向から
入射することができる。
【0035】また、以上の説明では、実測により得られ
た電子線回折像とシミュレーションにより得られた電子
線回折像とを対比する際に、特定の交点間距離同士を対
比する場合について説明したが、これは特定の交点間距
離に着目することにより対比が容易になるからであり、
可能であるならば電子線回折像全体のパターン同士を対
比してもよい。
【0036】このように本実施の形態1に係る半導体装
置の格子定数の測定装置及び測定方法によれば、従来の
ようにネガフィルムに記録した電子線回折像を印画紙に
焼き付けるという工程を必要としないため、格子定数の
測定の迅速化を図ることができる。
【0037】また、磁場偏向型エネルギーフィルタによ
って透過電子線の中から抽出された弾性散乱電子のみを
用いて電子線回折像を得るため、得られた電子線回折像
には非弾性散乱電子によるノイズが含まれておらず、菊
池線の強度分布を詳細に観察することができる。
【0038】さらに、電子線回折像に非弾性散乱電子に
よるノイズが含まれていないため、結晶内での電子の多
重散乱を考慮した第2のプログラムによるシミュレーシ
ョンが可能となった。このため、結晶内における電子の
多重散乱による効果が無視できないような入射方向にお
いても、格子定数の測定精度の向上を図ることができ
る。
【0039】加えて、以上のように格子定数の測定を高
精度に行うことができるため、弾性理論を用いて格子定
数から算出する応力値も精度の高いものになるという効
果も得られる。
【0040】実施の形態2.本実施の形態2は、半導体
装置の膜厚の測定に関するものである。測定装置の全体
構成は、図2に示した実施の形態1と同様である。
【0041】上記実施の形態1では、第2のプログラム
を用いることにより菊池線の強度分布をシミュレートす
ることについて述べた。ここで、菊池線の強度分布は、
一次電子線の入射方向、電子の加速電圧及び試料の膜厚
によって変化することが知られている。そして、一次電
子線の入射方向及び加速電圧は既知であるため、膜厚を
パラメータとして菊池線の強度分布を求めることができ
る。
【0042】以下、動作について説明する。まず、実施
の形態1と同様の動作によって、透過電子線3aから電
子線回折像のディジタル画像を得る。図5は、ホストコ
ンピュータ9によって表示された電子線回折像のディジ
タル画像を示す図である。図5(a)(b)は、半導体
装置1のうち、膜厚が異なる2つの箇所に関してそれぞ
れ得られた電子線回折像である。特に、図5(a)は膜
厚が大きい場合、図5(b)は膜厚が小さい場合の電子
線回折像である。この場合の収束電子線2の半導体装置
1への入射方向は、いずれも実施の形態1と同様に[20
13 0]方向である。但し、これに限定するものではなく
任意の方向から入射することができる。なお、上述の第
2のプログラムに基づいて電子線回折像をシミュレート
すると、図5に示す電子線回折像とほぼ同様のシミュレ
ーション結果が得られることが確認されている。
【0043】ホストコンピュータ9は、電子線回折像に
現れる複数の菊池線の中から、(3−51)格子面に対
応する菊池線と(3−5−1)格子面に対応する菊池線
とを選択し、その交点付近の強度分布を求めるためにラ
インXYを特定する。ここで、選択すべき菊池線は、第
2のプログラムに基づくシミュレーション結果との対比
により、作業者がホストコンピュータ9に教示してもよ
く、あるいはホストコンピュータ9が自動的に割り出し
てもよい。なお、ラインXYを特定する交点を得るため
に選択する菊池線の組合せは上記に限定するものではな
く、任意の組合せを選択することができる。但し、得ら
れた電子線回折像の中で面間隔が最も大きい格子面に対
応する菊池線を選択するのが望ましい。面間隔が大きい
格子面に対応する菊池線は電子線の散乱能が大きく、膜
厚の変化を反映し易いためである。
【0044】次に、ホストコンピュータ9は、図5に示
した電子線回折像のディジタル画像から、ラインXYの
強度プロファイルを取得する。図6は、取得した強度プ
ロファイルを示す図である。図6(a)が図5(a)に
対応し、図6(b)が図5(b)に対応している。強度
プロファイルの横軸はラインXYの空間分布であり、縦
軸はディジタル画像の階調(256階調)である。図6
(a)(b)を比較すると、半導体装置1の膜厚に依存
して、強度プロファイルが変化していることが分かる。
【0045】一方、ホストコンピュータ9は、半導体装
置1の膜厚を決定するために、実施の形態1で述べた第
2のプログラムに基づいて、半導体装置の膜厚をパラメ
ータとして強度プロファイルをフィッティングし、半導
体装置1の膜厚を算出する。即ち、シミュレーション結
果から特定したラインXYの強度プロファイルが、実測
によるディジタル画像から取得したラインXYの強度プ
ロファイルと等しくなるようなシミュレーション結果を
選び出し、そのシミュレーション結果を与える膜厚を、
半導体装置1の膜厚として決定する。
【0046】なお、以上の説明では、実測により得られ
た電子線回折像とシミュレーションにより得られた電子
線回折像とを対比する際に、特定の交点付近の強度プロ
ファイル同士を対比する場合について説明したが、これ
は特定の交点に着目することにより対比が容易になるか
らであり、可能であるならば電子線回折像の全体の強度
プロファイル同士を対比してもよい。
【0047】このように本実施の形態2に係る半導体装
置の膜厚の測定方法及び測定装置によれば、電子線回折
像をディジタル画像として階調表示し、強度プロファイ
ルのフィッティングにより半導体装置の膜厚を算出する
ため、従来の等厚干渉縞による膜厚測定法では不可能で
あった、均一な膜厚の半導体装置や格子像のコントラス
トから膜厚が求められない200nm以上の膜厚を有す
る半導体装置についても膜厚測定を行うことが可能とな
る。
【0048】また、ラインXY同士の強度プロファイル
同士を対比することにより、シミュレーションにより得
られた電子線回折像と、実測により得られたディジタル
画像との対比が容易かつ確実となり、半導体装置の膜厚
を精度良く評価することができる。
【0049】さらに、半導体装置に照射する収束電子線
としてナノメートルオーダに収束させた電子線プローブ
を用いるため、ナノメートルオーダ領域での膜厚測定が
可能となる。
【0050】実施の形態3.本実施の形態3は、半導体
装置の格子定数及び膜厚の同時測定に関するものであ
る。測定装置の全体構成は、図2に示した実施の形態1
と同様である。
【0051】以下、動作について説明する。まず、上記
実施の形態1と同様の動作によって、透過電子線3aか
ら電子線回折像のディジタル画像を得る。次に、ホスト
コンピュータ9は、得られた電子線回折像の中から、面
間隔が小さい格子面に対応する菊池線(望ましくは面間
隔が最も小さい格子面に対応する菊池線)を、上記実施
の形態1と同様の方法により解析し、これにより半導体
装置の格子定数を決定する。これと同時に、ホストコン
ピュータ9は、得られた電子線回折像の中から、面間隔
が大きい格子面に対応する菊池線(望ましくは面間隔が
最も大きい格子面に対応する菊池線)を、上記実施の形
態2と同様の方法により解析し、これにより半導体装置
の膜厚を決定する。
【0052】このように本実施の形態3に係る半導体装
置の測定装置及び測定方法によれば、得られた1つの電
子線回折像を用いて、半導体装置の格子定数及び膜厚を
同時に測定することができ、測定の迅速化を図ることが
できる。
【0053】また、格子定数を測定した箇所の膜厚値を
得ることができるために、格子定数の膜厚依存性を知る
ことができる。
【0054】
【発明の効果】この発明のうち請求項1に係るものによ
れば、透過電子線の中から抽出した弾性散乱電子によっ
て電子線回折像を得るため、非弾性散乱電子による電子
線回折像のノイズは低減され、試料の物理量を精度良く
評価することができる。
【0055】また、この発明のうち請求項2に係るもの
によれば、工程(d−1)においては、試料の結晶内に
おける弾性散乱電子の多重散乱を考慮したプログラムに
基づいて電子線回折像をシミュレートする。従って、試
料に対する収束電子線の入射方向が、収束電子線を構成
する電子が試料の結晶内で多重散乱することによる効果
を無視できないような方向であっても、試料の物理量を
高精度に評価することができる。
【0056】また、この発明のうち請求項3に係るもの
によれば、弾性散乱電子の多重散乱を考慮したプログラ
ムに基づいてシミュレートされた電子線回折像から第2
のディジタル画像を得る。従って、得られる電子線回折
像は実測により得られる電子線回折像とほぼ同様であ
り、ブラッグの法則に基づいてシミュレートする場合と
比較すると、試料の格子定数を精度良く評価することが
できる。
【0057】また、この発明のうち請求項4に係るもの
によれば、電子線回折像の全体同士を対比するのではな
く、面間隔が最も小さい格子面に対応する特定の菊池線
の交点間距離同士を対比する。従って、対比が容易であ
り、しかも面間隔が小さい格子面に対応する菊池線は格
子定数の変化を反映し易いことから、試料の格子定数の
評価を高精度に実行することもできる。
【0058】また、この発明のうち請求項5に係るもの
によれば、透過電子線の強度プロファイル同士を対比す
ることにより、第1のディジタル画像と第2のディジタ
ル画像との対比が容易かつ確実なものとなり、試料の膜
厚を精度良く評価することができる。
【0059】また、この発明のうち請求項6に係るもの
によれば、電子線回折像全体の強度プロファイル同士を
対比するのではなく、面間隔が最も大きい格子面に対応
する特定の菊池線の交点付近の強度プロファイル同士を
対比する。従って、対比が容易であり、しかも面間隔が
大きい格子面に対応する菊池線は膜厚の変化を反映し易
いことから、試料の膜厚の評価を高精度に実行すること
もできる。
【0060】また、この発明のうち請求項7に係るもの
によれば、エネルギーフィルタは第1の透過電子線の中
から弾性散乱電子を抽出して第2の透過電子線として出
射し、固体撮像手段は、この第2の透過電子線によって
電子線回折像の画像データを得る。従って、非弾性散乱
電子による電子線回折像のノイズの低減を図ることがで
き、演算手段は試料の物理量を精度良く算出することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 収束電子線が半導体装置を透過する状況を概
念的に示す図である。
【図2】 本発明の実施の形態1に係る半導体装置の格
子定数の測定装置の構成を概略的に示す図である。
【図3】 ホストコンピュータによって表示された電子
線回折像のディジタル画像を示す図である。
【図4】 第1のプログラムに基づくシミュレーション
により得られた菊池線のパターンの一例を示す図であ
る。
【図5】 ホストコンピュータによって表示された電子
線回折像のディジタル画像を示す図である。
【図6】 ホストコンピュータが取得した強度プロファ
イルを示す図である。
【図7】 半導体装置の格子定数の従来の測定方法を概
念的に示す図である。
【図8】 印画紙に焼き付けられた電子線回折像を示す
図である。
【符号の説明】
1 半導体装置、2 収束電子線、3,3a 透過電子
線、7 磁場偏向型エネルギーフィルタ、8 画像検出
装置、9 ホストコンピュータ。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)試料に収束電子線を入射する工程
    と、 (b)前記試料を透過した透過電子線の中から弾性散乱
    電子を抽出する工程と、 (c)抽出された前記弾性散乱電子によって電子線回折
    像を得る工程と、 (d)前記電子線回折像の解析を行うことにより、前記
    試料の物理量を算出する工程とを備える、試料の評価方
    法。
  2. 【請求項2】 前記工程(d)は、 (d−1)前記試料の結晶内における前記弾性散乱電子
    の多重散乱を考慮したプログラムに基づいて、前記電子
    線回折像をシミュレートする工程と、 (d−2)前記工程(c)により得られた前記電子線回
    折像と、前記工程(d−1)により得られた前記電子線
    回折像とを対比することにより、前記試料の前記物理量
    を算出する工程とを有する、請求項1に記載の試料の評
    価方法。
  3. 【請求項3】 前記物理量は格子定数であり、 前記工程(c)及び前記工程(d−1)における前記電
    子線回折像は、前記透過電子線の強度を階調化した第1
    及び第2のディジタル画像としてそれぞれ得られ、 前記工程(d−2)においては、前記第1及び第2のデ
    ィジタル画像にそれぞれ現れる菊池線のパターン同士が
    対比される、請求項2に記載の試料の評価方法。
  4. 【請求項4】 前記菊池線のパターン同士の対比は、前
    記第1及び第2のディジタル画像にそれぞれ現れる複数
    の前記菊池線のうち、面間隔が最も小さい格子面に対応
    する前記菊池線同士の交点間距離を対比することにより
    実行される、請求項3に記載の試料の評価方法。
  5. 【請求項5】 前記物理量は膜厚であり、 前記工程(c)及び前記工程(d−1)における前記電
    子線回折像は、前記透過電子線の強度を階調化した第1
    及び第2のディジタル画像としてそれぞれ得られ、 前記工程(d−2)においては、前記第1及び第2のデ
    ィジタル画像におけるそれぞれの前記透過電子線の強度
    プロファイル同士が対比される、請求項2に記載の試料
    の評価方法。
  6. 【請求項6】 前記強度プロファイルは、前記第1及び
    第2のディジタル画像にそれぞれ現れる複数の前記菊池
    線のうち、面間隔が最も大きい格子面に対応する菊池線
    同士の交点付近においてそれぞれ取得される、請求項5
    に記載の試料の評価方法。
  7. 【請求項7】 収束電子線を試料に照射する収束電子線
    照射手段と、 前記試料を透過する第1の透過電子線を入射し、前記透
    過電子線の中から弾性散乱電子を抽出して第2の透過電
    子線として出射するエネルギーフィルタと、 前記第2の透過電子線による電子線回折像を、前記第2
    の透過電子線の強度を階調化したディジタル画像として
    得る固体撮像手段と、前記ディジタル画像の解析を行う
    ことにより、前記試料の物理量を算出する演算手段とを
    備える、試料の評価装置。
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