JP2000045352A - 抗菌防黴機能を有する排水口用ヌメリ防止具 - Google Patents

抗菌防黴機能を有する排水口用ヌメリ防止具

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JP2000045352A
JP2000045352A JP10209165A JP20916598A JP2000045352A JP 2000045352 A JP2000045352 A JP 2000045352A JP 10209165 A JP10209165 A JP 10209165A JP 20916598 A JP20916598 A JP 20916598A JP 2000045352 A JP2000045352 A JP 2000045352A
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drainage
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fibers
antibacterial
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Mitsuo Yoshida
光男 吉田
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Mitsubishi Paper Mills Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】有機化合物の金属塩よりなる抗菌防黴剤を含有
する繊維状物質を排水口用ヌメリ防止具に適用すること
によって、ヌメリ防止性能に優れ、抗菌・防黴の機能を
十分兼備した、安全で優れた排水口用ヌメリ防止具を提
供することにある。 【解決手段】繊維状物質に特定の有機化合物の金属塩よ
りなる抗菌防黴剤を含有させることにより、極めて良好
な抗菌防黴機能を有する繊維状物質が得られ、該繊維状
物質を含む排水口用ヌメリ防止具を排水口のカゴの上辺
のセットすることにより、流水により各所にまんべんな
く徐々に抗菌防黴機能が発現し、排水口、排水口のカ
ゴ、排水管に付着するヌメリを防止する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、厨房や浴室の排水
口に発生し、付着する「ヌメリ」の抑制に関するもので
ある。さらに詳しくは、本発明の排水口用ヌメリ防止具
を、特に厨房の排水口用ヌメリ防止具として使用した場
合には、流水によって抗菌防黴効果が徐々に発現し、腐
敗し難く、悪臭が軽減される。排水口にセットする筒状
のカゴ、排水口、排水管の壁面に付着するいわゆる「ヌ
メリ」の発生が著しく抑制され、目つまりがなく、極め
て衛生的な排水口用ヌメリ防止具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】家庭、飲食店および病院、学校などの各
種施設における厨房から出される種々のゴミ類は、水と
分離するために一般に水切り袋を使用しているが、排水
口に付着するヌメリに苦慮している。その対策として、
塩素系の漂白剤や中性洗剤で洗浄して対処している。
【0003】また、近年塩素を含有する錠剤を排水口に
ぶら下げるタイプの洗浄剤が開発されているが、この場
合、酸性タイプの洗浄剤や塩素系漂白剤を誤って錠剤に
かけた場合、塩素ガスが発生するため危険である。ま
た、水切り袋に抗菌・防黴剤を含有したものも開発され
ているが、残飯等がたまると常に交換しなければならな
い。
【0004】したがって、従来の方法においては、抗菌
・防黴の機能を十分兼備したユーザーの要望に合致した
排水口用ヌメリ防止具の提供はなされていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】有機化合物の金属塩よ
りなる抗菌防黴剤を含有する繊維状物質(以下、本発明
における繊維状物質と呼称することがある)を排水口用
ヌメリ防止具に適用することによって、ヌメリ防止性能
に優れ、抗菌・防黴の機能を十分兼備した、安全で優れ
た排水口用ヌメリ防止具の提供を可能ならしめたもので
ある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の問
題解決につき、鋭意検討を重ねた結果、これまでに例を
みない画期的な手段、すなわち、有機化合物の金属塩よ
りなる抗菌防黴剤を含有する繊維状物質をシート状物に
して排水口のヌメリ防止に適用することによって、特に
厨房用排水口用ヌメリ防止具として使用した場合には、
抗菌防黴効果が徐々に発現し、腐敗し難く、悪臭が軽減
される。さらに、排水口にセットする袋および容器の壁
面に付着するいわゆる「ぬめり」の発生が著しく抑制さ
れ、水はけのよい、極めて衛生的な排水口用ヌメリ防止
具の提供を可能ならしめたものである。
【0007】1.本発明は、有機化合物の金属塩よりな
る抗菌防黴剤を含有する繊維状物質を含み排水口のカゴ
の上辺に設置する排水口用ヌメリ防止具の発明である。
【0008】2.上記の発明1において、排水口のカゴ
の上辺の形状に合わせてカットされシート状である排水
口用ヌメリ防止具の発明である。
【0009】3.上記発明2において、シートの中心付
近から排水口のカゴの上辺の内側に向けて切り込みがあ
る排水口用ヌメリ防止具の発明である。
【0010】4.上記の発明1、2又は3において、有
機化合物が含窒素複素環、硫黄原子の少なくとも一種を
含有する化合物である排水口用ヌメリ防止具の発明であ
る。
【0011】5.上記の発明4において、含窒素複素
環、硫黄原子の少なくとも1種を含む有機化合物が、ベ
ンズイミダゾール化合物、メルカプトピリジン−N−オ
キシド化合物、イソチアゾロン化合物、ベンゾチアゾー
ル化合物もしくはベンゾチアゾロン化合物から選ばれる
少なくとも1種の化合物である排水口用ヌメリ防止具の
発明である。
【0012】6.上記の発明1〜5において、金属塩が
銀塩、銅塩、亜鉛塩のいずれか1種以上を含有する排水
口用ヌメリ防止具の発明である。
【0013】7.上記の発明1〜6において、有機化合
物の金属塩よりなる抗菌防黴剤を含有する繊維状物質と
有機繊維および/または無機繊維を主体とする排水口用
ヌメリ防止具の発明である。
【0014】8.上記の発明7において、有機繊維が植
物繊維、動物繊維、再生繊維、半合成繊維および合成繊
維から選ばれる繊維を単独あるいは複合したものである
排水口用ヌメリ防止具の発明である。
【0015】9.上記の発明1〜6において、少なくと
も有機化合物の金属塩よりなる抗菌防黴剤を含有する繊
維状物質と、吸着機能を有する物質とからなる排水口用
ヌメリ防止具の発明である。
【0016】10.上記の発明9において、吸着機能を
有する物質が、アルミノケイ酸亜鉛、ゼオライト、活性
炭、活性炭素繊維である排水口用ヌメリ防止具の発明で
ある。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明における各種の排水口用ヌ
メリ防止具の形状は使用される排水口のカゴに合わせて
自在に変えることが出来る。たとえば筒状のカゴがセッ
トされて、カゴの上にゴム製の蓋(パッキン)がセット
されている排水口の場合には、ゴム製の蓋をはずし、カ
ゴの上辺の外枠の円形に合わせてカットし、上辺の縁の
部分を残して円の中心から放射状に切り込みを入れた形
状となる。使用する場合には、排水口用ヌメリ防止具を
カゴの上辺に乗せ、放射状の切れ端を容器の内側に折り
込んで、ゴム製の蓋をして使用するものである。また、
カゴの上辺の形状に合わせたドーナツ状、ドーナツから
カゴの内側に簾状にのびた形状等でも良い。このように
カゴの上部全体に接触させることにより、排水が排水口
用ヌメリ防止具に接触する事により、ヌメリ防止具に含
まれている繊維状物質から極微量ずつ抗菌防黴成分が容
器の表裏全体、さらには排水口内壁、更に排水管までま
んべんなく行き渡ることにより、ヌメリを防止すると共
に、配水管の詰まりも抑制する。
【0018】本発明に用いられる有機化合物の金属塩よ
りなる抗菌防黴剤を含有する繊維状物質は、通常、直径
が0.1〜100μmの糸状の形状を有するものをい
う。本発明では、過酷な使用に耐えねばならない排水口
用ヌメリ防止具に該繊維状物質を適用するのであるか
ら、本発明を好ましく実施するには、本発明における抗
菌防黴剤を繊維構造内もしくは表面に強固かつ密に形成
させねばならない。また、防菌防黴剤を有効に機能させ
る為には、繊維が適度な膨潤性、イオン浸透性、イオン
捕獲性を有することが必要である。
【0019】このような繊維として、いわゆるイオン交
換繊維が用いられ、例えばポリスチレン、ポリアクリ
ル、ポリアミド、ポリエチレン、セルロース等のベース
ポリマーにスルホン酸基、ホスホン酸基、カルボン酸基
等を適度に導入する事によって得られる。
【0020】また通常パルプと称せられる天然のセルロ
ース系繊維を部分的に化学変性することにより好ましく
利用出来る。化学変性処理としては、硫酸化、リン酸
化、硝酸化、カルボキシメチル化、カルボキシエチル
化、カルボキシプロピル化処理が挙げられる。中でも、
カルボキシメチル化処理はプロセスが容易で、経済性、
安全性も良く、かつ膨潤性、イオン浸透性等に優れてお
り本発明の実施に極めて好適であり、特に該セルロース
系繊維の部変性物の置換度が0.5以下のものが好まし
い。
【0021】本発明で好ましく使用されるカルボキシメ
チル変性繊維状物質の素材となるパルプとしては、適度
にカルボキシメチル化された木材パルプ(針葉樹パル
プ、広葉樹パルプなど)は、本発明の実施に好適である
が、この他、レーヨンなどの再生セルロースも同様に使
用可能である。さらには、前記主旨に沿って適度に変性
されたイオン交換能を有する合成繊維、アルギン酸繊維
や可溶性ポリマーの湿式紡糸繊維であっても良い。ま
た、本発明における抗菌・防黴能を有する有機金属複合
塩を含有するポリマー液から製造された湿式紡糸繊維で
あっても良い。
【0022】本発明の排水口用ヌメリ防止具に使用され
る本発明における繊維状物質の好ましい一具体例として
は、天然セルロース系繊維のカルボキシメチル化加工に
よって達成される。
【0023】カルボキシメチル化パルプの製造法は、既
に技術確立されており、例えばシーエムシー社、198
5.8.30出版の「機能性セルロースの開発」60〜
61頁に記載されている水媒法、溶媒法のいずれの方法
によっても実施可能である。
【0024】所望のカルボキシメチル基置換度を持つ繊
維状物質を得るには、基本的には、セルロース系繊維に
対するモノクロル酢酸ナトリウム量、アルカリ量および
水の量、その他反応条件を調整することによって可能で
ある。
【0025】一般的に、カルボキシメチル基置換度は、
グルコース単位当たりのカルボキシメチル基の置換度
(DS)で定義され、その置換率は、一旦、酸型カルボ
キシメチルセルロースに変換後、過剰量のアルカリを加
えて中和した後、酸で逆滴定することによって求められ
る。
【0026】本発明の排水口用ヌメリ防止具に用いられ
る各種のカルボキシメチル基置換度を持つ繊維状物質
は、置換度が大きくなるにつれて、金属イオン捕獲能は
高まり、したがって、本発明における抗菌・防黴能を有
する有機金属複合塩の充填密度は高くなるが、高置換度
では膨潤が過度に進み、繊維強度の低下および、ひいて
は可溶化に至り、本発明の実施には好ましくない。一般
的に、置換度はおよそ0.6で可溶性となる。強度低下
はあるが置換度はおよそ0.5が繊維形状が維持できる
上限レベルである。
【0027】本発明における繊維状物質の好ましい態様
としてのセルロース繊維の置換度の下限値を規定するこ
とは、比較的難しい。例えば、置換度が0.4のカルボ
キシメチル化繊維状物質は、2.5mmol/gの1価
金属イオンを捕獲できるが、本発明によれば、現実的に
有効な捕獲量、およびその後の有機化合物との反応で、
繊維内および少なくとも表面付近に、脱落の少ない形で
複合塩を形成させるには、イオン交換容量の50%程度
に見積るのが妥当との実験結果がある。
【0028】したがって、置換度が0.5のカルボキシ
メチル化繊維状物質で、1〜1.5mmol/g相当の
有機金属複合塩が形成できる。これは、仮に有機金属塩
の分子量を150〜250に見積もれば、固形分として
約15〜40%の固形分(抗菌防黴剤)が形成されるこ
とを示し、抗菌防黴能を得るに十分な量である。
【0029】本発明における繊維状物質の抗菌防黴能
は、上記の固形分で1%程度、あるいはそれ以下でも十
分な作用を発揮するので、それのみでみればかなり低い
置換度の変性でも利用可能であるが、例えば、このよう
にして加工された抗菌防黴繊維状物質を、樹脂業界で言
われている、いわゆるマスターバッチとして一部用い、
他の未加工繊維と混抄して用いる実施態様は、産業的に
は種々の排水口用ヌメリ防止具への応用が可能となり、
また、管理も容易で実用性が高く、各種排水口用ヌメリ
防止具に好適に用いられる。
【0030】このような用途に供するには、少なくとも
5%以上、好ましくは10%以上の抗菌防黴剤を含有さ
せ得る程度の置換率が必要であり、そのためには、置換
度で表せば、少なくとも0.2以上、好ましくは0.3
5以上のものが好ましい。
【0031】しかしながら、金属イオン置換処理、有機
化合物処理を単一ではなく、複数回繰り返すこともで
き、それはより高い密度での抗菌防黴剤の充填を可能に
する。したがって、上記範囲より下限の領域を決して排
除するものではない。
【0032】このようにして作られた極度に高濃度化さ
れた抗菌防黴剤を含有する本発明における繊維状物質を
各種の排水口用ヌメリ防止具に適用した場合は、優れた
抗菌防黴機能を有しており、特に厨房用排水口のカゴの
上辺にヌメリ防止具として使用した場合には、抗菌防黴
効果が徐々に発現し、腐敗し難く、悪臭が軽減される。
さらに、排水口にセットする袋およびカゴの壁面、排水
口の内壁、排水管に付着するいわゆる「ヌメリ」の発生
が著しく抑制され、極めて衛生的な排水口用ヌメリ防止
具の提供が可能となったものである。
【0033】本発明における繊維状物質と併用される有
機繊維および/または無機繊維は、有機繊維としては、
植物繊維、動物繊維、再生繊維、半合成繊維および合成
繊維から選ばれる繊維を単独あるいは混合したものが使
用され、無機繊維としては、ガラス繊維、炭素繊維、セ
ラミック繊維およびウイスカーから選ばれる繊維を単独
あるいは混合したものが使用される。
【0034】植物繊維としては、綿、麻(亜麻、ラミ
ー)が、動物繊維としては、絹、羊毛などの繊維が挙げ
られる。再生繊維としては、レーヨン、キュプラが、半
合成繊維としては、アセテート、トリアセテート、プロ
ミックスが、合成繊維としては、ナイロン、アクリル、
ビニロン、ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリエステ
ル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ベンゾエート、ポ
リクラール、フェノール系などの繊維が挙げられる。
【0035】上記段落0039〜0041に記載の繊維
の定義は、繊維ハンドブック(1993年度版)に拠っ
た。
【0036】なお、本発明においては、上記の繊維の他
に、植物繊維として、針葉樹パルプ、広葉樹パルプなど
の木材パルプや藁パルプ、竹パルプ、ケナフパルプなど
の木本類、草本類を含むものとする。さらに、古紙、損
紙などから得られるパルプ繊維も含まれる。
【0037】本発明における繊維状物質を含む排水口用
ヌメリ防止具は、従来技術の前記問題点を解決し、下記
のような種々の優れた効果を発揮するものである。 (1)特に厨房用排水口用ヌメリ防止具として使用した
場合には、抗菌防黴効果が徐々に発現し、腐敗し難く、
悪臭が軽減される。さらに、排水口にセットする袋およ
びカゴの壁面、排水口の内壁、排水管に付着するいわゆ
る「ヌメリ」の発生が著しく抑制され、極めて衛生的で
ある。 (2)耐久性に優れており、水洗による効果の低下が極
めて少ない為、効果が長期に渡って持続する。 (3)抗菌防黴剤の揮散性が非常に低く、しかも特筆す
べきは抗菌、防黴の双方に極めて有効な事からヌメリ防
止効果が高い。
【0038】次に、本発明の排水口用ヌメリ防止具に用
いられる部分カルボキシメチル化繊維状物質の金属イオ
ン置換処理と抗菌防黴有機化合物について述べる。一例
として、置換度が0.4のNa型カルボキシメチルセル
ロースを使った例を用いて説明する。 1)上記パルプ固形分100g相当量に攪拌が可能な程
度に水を加える。 2)硝酸銀100mmol/相当量(17g)を添加す
る。 3)系のpHが5.5〜6.0となるようにアルカリを
添加する。 4)室温下で30分攪拌し、十分に置換(吸着)させ
る。 5)2−メルカプトピリジン−N−オキシドナトリウム
塩の0.1M/l液1000mlを攪拌しながら少しず
つ添加する。銀電極もしくは白金電極を用いて、電位計
測すると、反応終了点を検知することができる。 6)添加終了後、30分間攪拌し、十分に反応させる。 7)0.1M/lの硫酸液を加えて、系のpHを約4ま
で下げた後、脱水プレスにて脱水する。
【0039】上記の手順により、メルカプトピリジン−
N−オキシド銀塩を含有するパルプが得られる。必要な
らば、再度水中に分散し、水洗することにより、脱落分
をあらかじめ除くことができる。実験結果によれば、一
部脱落はするが90%以上の高収率で繊維内および表面
固着の形で塩が形成されていることが認められた。
【0040】メルカプトピリジン−N−オキシド銀塩を
繊維内もしくは表面に収率良く形成させるには、pHコ
ントロール、攪拌、薬品添加濃度および速度などの最適
化が必要である。
【0041】本発明において、最も効果的に抗菌防黴機
能を発揮する有機化合物の複合塩の作製方法について述
べる。
【0042】基本的には、前記の単一金属塩の場合と同
様に、カルボキシメチルセルロースに対して添加する金
属塩組成を、計算量配合することによって達成できる
し、また、銀電極もしくは白金電極を用いた電位計測に
より、各イオンとの反応をモニターできる。
【0043】一例として、2−メルカプトピリジン−N
−オキシドの複合塩の作製方法を例示すれば、銀、銅、
亜鉛の複合系に2−メルカプトピリジン−N−オキシド
を添加することにより得られる。銀25モル%、銅25
モル%、亜鉛50モル%と2−メルカプトピリジン−N
−オキシドの複合塩を形成させるための具体例を挙げれ
ば、 Na型カルボキシメチルセルロース(DS=0.4)固形分 100g 水 5000g 硝酸銀 25.0mmol 硫酸銅 12.5mmol 硝酸亜鉛 25.0mmol 水 1000g 2−メルカプトピリジン−N−オキシドナトリウム0.1m
/l溶液1000gとなる。また、本発明の好ましい1実
施態様として、硝酸銀添加後、以下、2−メルカプトピ
リジン−N−オキシド化合物添加→硫酸銅添加→2−メ
ルカプトピリジン−N−オキシド化合物添加→硝酸亜鉛
添加→2−メルカプトピリジン−N−オキシド化合物添
加など、各種の添加方法により行うことができる。
【0044】含窒素有機複素環化合物およびチオール化
合物、チオン化合物などの含硫黄化合物の多くは、同様
の思想で形成できる。
【0045】イソチアゾリン−3−オン系化合物も同様
に可能であり、また、イミダゾール誘導体にも、それ自
身(抗菌)防黴作用があるものが多い。この場合、水へ
の溶解度は低く、水溶液の形で添加することはできない
が、水混和性の有機溶剤、例えば、アルコール類、グリ
コール類、DMSOなどの溶剤には可溶であり、それら
の溶液として添加することにより、金属塩を繊維状物質
内に形成できる。
【0046】本発明における繊維状物質は、そのもの自
体のみでシート状にして排水口用ヌメリ防止具に適用す
ることもできるが、他の併用される各種繊維と混抄して
シート状にして使用することがより実用的である。ヌメ
リ防止具の形状は排水口のカゴの上辺に設置することか
ら、厨房や台所で作業する際に邪魔になったり、排水に
悪影響を及ぼしてはならない。そのために、ヌメリ防止
具の厚みは2mm以下であることが好ましく、より好ま
しくは1mm以下である。厚みが2mmを超えると排水
口のカゴの上辺に設置して備え付けのゴムパッキンで押
さえてもゴムパッキンが浮き上がり作業の際に引っかか
ってしまい、作業性を悪化させてしまう事がある。厚み
を薄く押さえるために、通常湿式抄紙で使用されるスー
パーカレンダー処理、マシンカレンダー処理、熱カレン
ダー処理等を行うことも可能である。また、ヌメリ防止
具の重量は、坪量で20〜500g/m2である事が好
ましく、より好ましくは、50〜150g/mであ
る。20g/m未満では薄く硬さが無いために排水口
のカゴの上辺に設置して使用した際に流水によって流さ
れてしまう。一方、500g/m2を超えた場合、厚み
を薄くすることが困難になると共にコストが高くなって
しまう。
【0047】本発明における繊維状物質は、ヌメリ防止
具の重量が坪量で50〜150g/m2である場合、排
水口用ヌメリ防止具を構成する全素材中で、0.1〜7
0重量部、好ましくは1.0〜30重量部である。0.
1重量部未満であると抗菌防黴成分である2−メルカプ
トピリジン−N−オキシドの複合塩の含有量は、約0.
02重量部未満となってしまいヌメリ菌に対して十分な
抗菌防黴機能が発揮されずにヌメリ防止効果が少なくな
り、また、70重量部を超えると抗菌防黴性は非常に良
好であるが過剰な金属塩の流出は環境面から好ましくな
く、コスト面からも望ましくない。
【0048】ヌメリ防止具は頻繁に流水に晒されること
から耐水強度が要求される。一般的なパルプを主体とし
た紙で作製した場合、流水によって破れてしまう。その
ため、耐水強度が優れている合成繊維からなる繊維状の
バインダーを使用することが好ましい。繊維状のバイン
ダーとしては、芯鞘タイプ(コアシェルタイプ)、並列
タイプ(サイドバイサイドタイプ)などの複合繊維が挙
げられる。例えば、ポリプロピレン(芯)とポリエチレ
ン(鞘)の組み合わせ(商品名:ダイワボウNBF−
H:大和紡績製)、ポリプロピレン(芯)とエチレンビ
ニルアルコール(鞘)の組み合わせ(商品名:ダイワボ
ウNBF−E:大和紡績製)、ポリプロピレン(芯)と
ポリエチレン(鞘)の組み合わせ(商品名:チッソES
C:チッソ製)、高融点ポリエステル(芯)と低融点ポ
リエステル(鞘)の組み合わせ(商品名:メルテイ40
80:ユニチカ製)などが挙げられる。また、ビニロン
バインダー繊維(クラレ製)などの熱水溶融タイプなど
も使用できる。
【0049】繊維状のバインダーの繊維径は特に限定さ
れないが、0.3〜5デニールであることが好ましく、
より好ましくは1〜2デニールである。良好な引張り強
度、折り適性を抄造段階で付与させるために繊維状のバ
インダーを配合することにより、排水口用ヌメリ防止具
の内部強度を強くでき、抄造後の接着剤の付与工程、ス
リット工程でテンションが加わった際に起こり易い断紙
や、スリット工程、プリーツ加工工程で排水口用ヌメリ
防止具がこすられた時に起こり易い面剥けを抑える役割
を果たす。
【0050】吸着性を有する物質は、ヌメリ防止具に付
着した臭いや排水口の底に貯まった排水等から発生する
臭いを吸着する。吸着性を有する物質としては、アルミ
ノケイ酸亜鉛、ゼオライト、活性炭、活性炭素繊維等が
挙げられる。特に、水にさらされる本発明の用途には、
高湿度条件下でも吸着性能を維持するアルミノケイ酸亜
鉛が好ましい。
【0051】本発明における繊維状物質を使用した排水
口用ヌメリ防止具を湿式抄紙法で製造して作製する際、
地合を良好にするためには、各種繊維をパルパーなどの
分散タンク内で分散水に均一に分散する必要があり、そ
のために界面活性剤を用いることが望ましい。
【0052】界面活性剤は、アニオン系、カチオン系、
ノニオン系、両性に分類される。アニオン系界面活性剤
としては、例えば、カルボン酸塩、硫酸エステル塩、ス
ルホン酸塩、リン酸エステル塩などが挙げられる。カチ
オン系界面活性剤としては、アミン塩、アンモニウム塩
などが挙げられる。ノニオン系界面活性剤としては、エ
ーテル型、エステル型、アミノエーテル型などが挙げら
れる。両性界面活性剤としては、ベタイン型などが挙げ
られる。これらの中から、繊維の分散性の良好なものを
適宜選択して用いればよい。また、これら例示したもの
から外れるものであっても、繊維の分散性の良好なもの
であれば問題ない。
【0053】均一に混合分散した繊維の分散安定性を向
上させるために、アニオン性のポリアクリルアミド系粘
剤を繊維分散液、または抄紙ヘッドに添加することによ
り、湿式抄造後の排水口用ヌメリ防止具の均一性はさら
に向上する。
【0054】本発明の排水口用ヌメリ防止具は、一般紙
や湿式不織布を製造するための湿式抄紙機、例えば、長
網抄紙機、円網抄紙機、傾斜ワイヤー式抄紙機を単独で
1層であっても、同機種同士、異機種を組み合わせた2
層以上の多層構造であっても良い。
【0055】乾燥には、シリンダードライヤー、エアー
ドライヤー、赤外線ドライヤーなどの乾燥機を用いるこ
とが可能である。
【0056】本発明の排水口用ヌメリ防止具は、湿式抄
紙後乾燥した時点で、強度および腰が良好であるが、取
り扱いのし易さなどの用途により、さらに強度、腰を向
上させるために、湿式抄紙し、乾燥した後、各種バイン
ダーを付与することが可能である。
【0057】バインダーとしては、例えば、アクリル系
ラテックス、酢ビ系ラテックス、ウレタン系ラテック
ス、エポキシ系ラテックス、ポリエステル系ラテック
ス、SBR系ラテックス、NBR系ラテックス、エポキ
シ系バインダー、フェノール系バーンダー、PVA、デ
ンプン、一般的に製紙工程で使用される紙力剤などが挙
げられ、これらを単独、もしくは架橋剤と併用して使用
できる。
【0058】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明
するが、本発明は実施例に限定されるものではない。な
お、実施例中の「部」および「%」は、それぞれ「重量
部」および「重%」を示す。
【0059】製造例A <繊維状物質の作製>前記の発明の実施の形態の記載に
準じて、カルボキシメチル基置換度0・22(DS=0
・22)の変性NBKPに、銀/2−メルカプトピリジ
ン−N−オキシドよりなる抗菌防黴剤を含有する繊維状
物質を作製した(以下、CP22AgMPと略記す
る)。即ち、上記の変性NBKP分散液(固形分100
0g)に硝酸銀0.5molを加え、pHを5.5に調
節してから、30分間攪拌する。0.1M/lの2−メ
ルカプトピリジン−N−オキシドナトリウム液を、変性
NBKP分散液に加えられた硝酸銀と等モル相当量を添
加した。30分間攪拌してから、硫酸でpHを4まで下
げた後、脱水した。脱水パルプに、再び500mlの水
を加え、攪拌水洗して脱水した。これを、銀/2−メル
カプトピリジン−N−オキシドよりなる抗菌防黴剤を含
有するカルボキシメチル基置換度0.22(DS=0.
22)の変性NBKPとした。
【0060】比較例1 0.5m3の分散タンクにアクリル酸ソーダ系アニオン
性界面活性剤(日本アクリル化学社製、プライマル85
0)を全繊維に対して1%になるように添加し、NBK
P(カナダ標準濾水度480ml)、ポリプロピレン繊
維(繊維径約7μm)(PZ0.5デニール、5mm:
大和紡績製)、繊維径2デニール×5mmポリエステル
繊維状バインダー(メルテイ4080、ユニチカ社
製)、水中溶解温度が70℃のビニロンバインダー繊維
(VPB107、1×3mm:クラレ製)を各々35:
15:44:6の比率で配合し、分散濃度0.2%で3
0分間分散した後、乾燥重量で100g/m2になるよ
うに、円網抄紙機で抄紙後、表面温度130℃のシリン
ダードライヤーで乾燥し、排水口用ヌメリ防止具を作製
した。
【0061】実施例1〜5 比較例1のNBKPの一部を、上記製造例Aで得られた
本発明における繊維状物質であるCP22AgMPに、
表1記載の配合量に置き換えた外は、比較例1と同様に
して、実施例1〜5の排水口用ヌメリ防止具を作製し
た。
【0062】実施例6 上記製造例Aで得られた本発明における繊維状物質であ
るCP22AgMP、繊維径2デニール×5mmポリエ
ステル繊維状バインダー(メルテイ4080、ユニチカ
社製)、水中溶解温度が70℃のビニロンバインダー繊
維(VPB107、1×3mm:クラレ製)を各々7
0:25:5の比率で配合すること以外は、実施例1と
同様にして、実施例6の排水口用ヌメリ防止具を作製し
た。
【0063】製造例B <繊維状物の作製>製造例Aと同様であるが、前記の発
明の実施の形態の記載に準じて、CP22AgMPの代
わりに、カルボキシメチル基置換度0.40(DS=
0.40)の変性NBKPに銅/1,2−ベンズイソチ
アゾリン−3−オンよりなる抗菌防黴剤を含有する繊維
状物質を作製した(以下、CP40CuBITと略記す
る)。即ち、上記の変性NBKP分散液(固形分100
0g)に硫酸銅0.5molを加え、pHを5.5に調
節してから、30分間攪拌する。0.1M/lの1,2
−ベンズイソチアゾリン−3−オンナトリウム液を、1
mol相当量を添加した。30分間攪拌してから、硫酸
でpHを4まで下げた後、脱水した。脱水パルプに、再
び500mlの水を加え、攪拌水洗して脱水し、CP4
0CuBITを得た。
【0064】比較例2 0.5m3の分散タンクにアクリル酸ソーダ系アニオン
性界面活性剤(日本アクリル化学社製、プライマル85
0)を全繊維に対して1%になるように添加し、NBK
P(カナダ標準濾水度480ml)、繊維径0.5デニ
ール×5mmポリエステル繊維(帝人社製)、繊維径2
デニール×5mmポリエステル繊維状バインダー(メル
テイ4080、ユニチカ社製)、を各々35:40:2
5の比率で配合し、分散濃度0.2%で30分間分散し
た後、乾燥重量で100g/m2になるように、円網抄
紙機で抄紙後、表面温度130℃のシリンダードライヤ
ーで乾燥した後、アクリルラテックスをサイズプレス装
置にで乾燥重量で2g/m2付与し乾燥させて、排水口
用ヌメリ防止具を作製した。
【0065】実施例7〜11 比較例2のNBKPの一部を、上記製造例Bで得られた
本発明における繊維状物質であるCP40CuBIT
に、表1記載の配合量に置き換えた外は、比較例2と同
様にして、実施例7〜11の排水口用ヌメリ防止具を作
製した。
【0066】実施例12 上記製造例Bで得られた本発明における繊維状物質であ
るCP40CuBIT、繊維径2デニール×5mmポリ
エステル繊維状バインダー(メルテイ4080、ユニチ
カ社製)、水中溶解温度が70℃のビニロンバインダー
繊維(VPB107、1×3mm:クラレ製)を各々7
0:25:5の比率で配合すること以外は、実施例7と
同様にして、実施例12の排水口用ヌメリ防止具を作製
した。
【0067】製造例C <繊維状物の作製>製造例Aと同様であるが、前記の発
明の実施の形態の記載に準じて、CP22AgMPの代
わりに、カルボキシメチル基置換度0.40(DS=
0.40)の変性NBKPに(銀、銅、亜鉛)/2−メ
ルカプトピリジン−N−オキシドよりなる抗菌防黴剤を
含有する繊維状物質を作製した(以下、CP40Ag2
5Cu25Zn50MPと略記する。なお、金属原子の
次の数字は、モル%比を表わす)。即ち、上記の変性N
BKP分散液(固形分1000g)に硝酸銀0.25m
ol、硫酸銅0.25mol、硝酸亜鉛0.5molを
加え、pHを5.5に調節してから、30分間攪拌す
る。0.1M/lの2−メルカプトピリジン−N−オキ
シドナトリウム液を、1mol相当量を添加した。30
分間攪拌してから、硫酸でpHを4まで下げた後、脱水
した。脱水パルプに、再び500mlの水を加え、攪拌
水洗して脱水し、CP40Ag25Cu25Zn50M
Pを得た。
【0068】比較例3 0.5m3の分散タンクにアクリル酸ソーダ系アニオン
性界面活性剤(日本アクリル化学社製、プライマル85
0)を全繊維に対して1%になるように添加し、NBK
P(カナダ標準濾水度480ml)、ポリエステル繊維
(0.5デニール×5mm:帝人社製)、繊維径2デニ
ール×5mmポリエステル繊維状バインダー(メルテイ
4080、ユニチカ社製)、平均繊維径約9μmのガラ
ス繊維(旭ファイバーグラス社製)を各々35:15:
35:15の比率で配合し、分散濃度0.2%で30分
間分散した後、乾燥重量で105g/m2になるよう
に、円網抄紙機で抄紙後、表面温度130℃のシリンダ
ードライヤーで乾燥し、排水口用ヌメリ防止具を作製し
た。
【0069】実施例13〜17 比較例3のNBKPの一部を、上記製造例Cで得られた
本発明における繊維状物質であるCP40Ag25Cu
25Zn50MPに、表1記載の配合量に置き換えた外
は、比較例3と同様にして、実施例13〜17の排水口
用ヌメリ防止具を作製した。
【0070】実施例18 上記製造例Cで得られた本発明における繊維状物質であ
るCP40Ag25Cu25Zn50MP、繊維径2デ
ニール×5mmポリエステル繊維状バインダー(メルテ
イ4080、ユニチカ社製)、水中溶解温度が70℃の
ビニロンバインダー繊維(VPB107、1×3mm:
クラレ製)を各々70:25:5の比率で配合すること
以外は、実施例13と同様にして、実施例18の排水口
用ヌメリ防止具を作製した。
【0071】実施例19 実施例16と同様であるが、繊維径0.5デニールのポ
リエステル繊維の代わりに、活性炭素繊維(平均繊維径
15μm、繊維長8mm、比表面積1000m 2/g)
に置き換えたものを使用して、実施例19の排水口用ヌ
メリ防止具を作製した。
【0072】比較例4 実施例19と同様であるが、本発明における繊維状物質
であるCP40Ag25Cu25Zn50MPを用いず
に、比較例4の排水口用ヌメリ防止具を作製した。
【0073】比較例5 実施例16と同様であるが、本発明における3金属塩併
用系のCP40Ag25Cu25Zn50MP含有繊維
状物質の代わりに、塩化ベンザルコニウム含有繊維状物
質10%を使用して、比較例5の排水口用ヌメリ防止具
を作製した。なお、塩化ベンザルコニウム含有繊維状物
質は、実施例16で用いたカルボキシメチル基置換度
0.40(DS=0.40)の変性NBKP10gに対
して、0.1M/lの塩化ベンザルコニウム液100ml
を加え、pH5.5に調整後、攪拌し、脱水、水洗した
後、再び脱水を行って作製した。
【0074】実施例20 活性炭素繊維30重量部、アルミノケイ酸亜鉛(商品
名:ミズカナイトAP、水澤化学工業社株式会社製)2
0重量部、NBKP(カナダ標準濾水度450ml)4
0重量部および繊維径2デニール×5mmポリエステル
繊維状バインダー(メルテイ4080、ユニチカ社製)
10重量部からなるパルプスラリーと実施例16からな
るパルプスラリーとを乾燥重量で120g/m2(それ
ぞれ60g/m2)になるように円網抄紙機と長網抄紙
機で抄き合わせ抄紙した後、表面温度130℃のシリン
ダードライヤーで乾燥し、複合排水口用ヌメリ防止具を
作製した。
【0075】実施例21 実施例20で作製した排水口用ヌメリ防止具を図2に示
すように切り込みを入れた後、図3に示すように折り、
図4に示すような台所の家庭用排水口のカゴに、図5に
示すようにカゴの上辺にセットして切り込み部分をカゴ
の内側に折り込み、カゴと共に排水口にセットしてゴム
製の蓋をして、4人家族の家庭5件で平成10年6月〜
7月にかけて15日間通常の家事をしてヌメリ防止効果
をテストした。テストの際、予め排水口の内壁、カゴの
内壁、カゴの外壁及び排水管の手の届く範囲を中性洗剤
で洗浄し、テスト開始後は、テスト終了まで排水口、カ
ゴ及び排水管共に全く洗浄しなかった。
【0076】比較例6 実施例21でヌメリ防止効果をテストした家庭5件で、
実施例21のテスト終了後、排水口の内壁、カゴの内
壁、カゴの外壁及び排水管の手の届く範囲を中性洗剤で
洗浄し、ヌメリ防止具なしで15日間通常の家事をし
た。テスト開始後は、テスト終了まで排水口、カゴ及び
排水管共に全く洗浄しなかった。
【0077】このようにして得られた実施例および比較
例の各排水口用ヌメリ防止具について、抗ヌメリ菌性、
および抗菌性能、防黴性能及びヌメリ防止性について測
定、観察した。得られた結果を表1、表2及び表3に示
す。
【0078】<抗ヌメリ菌性>上記実施例および比較例
により得られた各排水口用ヌメリ防止具の試験片2cm
×2cmを2種用意し、一方の試験片はそのまま、他の
一方の試験片は5時間水道水中に浸漬した後取り出し、
水道水で流水水洗後、それぞれをペトリ皿上に配置し、
台所から採取したヌメリ状スライム0.5gを水100
ml中に加え、攪拌棒で攪拌した後、パスツールピペッ
トで上記菌液5滴(約0.1ml)を試験片上に滴下
し、乾燥しないようにカバーして、25℃で24時間経
時した。経時後、試験片のそれぞれをNutrient
Broth寒天培地上に押し当て、試験片上の菌を転
写させて剥離し、38℃で24時間培養し、観察した。
評価は、下記の<試験法−(抗菌(殺菌)性)>と同
様にして行った。
【0079】<試験法−(抗菌(殺菌)性)>大腸菌
(E−coli IFO3301)を液体培地(ペプト
ン・イースト)で24時間前培養し、希釈して2×10
8セル/mlの試験液を調整した。試験片を2cm×2
cmにカットして、ペトリ皿上に配置し、パスツールピ
ペットで上記菌液を5滴(約0.1ml)滴下し、乾燥
しないようにカバーして38℃で24時間経時した。経
時後、試験片のそれぞれをNutrient Brot
h寒天培地上に押し当て、試験片上の菌を転写させて剥
離し、再度38℃で24時間培養し、観察した。評価
は、次のとおりとした。 評価グレード −− 殆ど完全に殺菌し、菌の成育がない。 − 2cm×2cm転写面に5コロニー以下の成育はあるが、殆ど完全 に殺菌。 + 2cm×2cm転写面に100コロニー以下で良好な抗・殺菌作用。 ++ 2cm×2cm転写面に効果は認められるが、弱いか、少ない。 +++ 2cm×2cm転写面に実質的効果なし。
【0080】<試験法−(防黴性)>試験菌株とし
て、黒カビ(Aspergillus niger)を
用いた。斜面培地から胞子を5白金耳採り、少量の湿潤
剤(スルホコハク酸ジオクチルナトリウム液)を加え、
激しく振って胞子を分散させ、ガーゼで濾過し、全量を
50mlに調整した。1.5%の寒天を加えたGP培地
(日本製薬社製)を作り、上記菌液を均一に噴霧し、一
旦、表面を乾燥させ、2cm×2cmにカットした試料
片を乗せ、十分に圧着させ、再度試験菌を全面に噴霧し
て、28℃で経時培養し、最高1週間まで経時観察し
た。なお、表1および表2には、1週間経時の観察結果
を記載した。評価は、次のとおりとした。 評価グレード −− 黴の生育を完全に阻害。 − 黴の生育か否か判断がつきかねる。 + かなり良好な制御力を示すが表面積1/5以下にカビの生育を認める。 ++ 表面積1/3位にカビの生育が認められる。 +++ 全面に黴が生育する。
【0081】
【表1】
【0082】
【表2】 註) 比較5の10.0*は、本発明における3金属塩併用
系のCP40Ag25Cu25Zn50MP含有繊維状
物質の代わりに、塩化ベンザルコニウム含有繊維状物質
10%使用したものを示す。
【0083】
【表3】
【0084】表1、表2及び表3の結果から、次のこと
が解る。
【0085】製造例Aに記載した抗菌防黴剤(CP22
AgMP)を含む本発明における繊維状物質を、排水口
用ヌメリ防止具の構成繊維の一つであるNBKPの一部
に置き換えて使用した場合、抗菌防黴剤を含まない比較
例1に比べて、抗菌性能および防黴性能とも優れている
ことが解った。その配合量は、0.1%から効果が認め
られ、また0.5%から相当良好な抗菌・防黴効果が認
められ、さらに1.0%以上では極めて良好な抗菌・防
黴効果が認められた。排水口用ヌメリ防止具の特性であ
る抗ヌメリ菌性は、配合量は、0.1%から効果が認め
られ、また0.5%から良好な抗ヌメリ菌性改良効果が
認められ、さらに1.0%以上では相当良好な良好な抗
ヌメリ菌性改良効果が認められた。その効果は、水洗前
も水洗後も変わることなく良好であって、水洗による効
果の低下は、全く認められなかった。本発明における繊
維状物質を70%配合した実施例7は、抗菌・防黴効果
および、抗ヌメリ菌性とも、極めて良好な結果が得られ
た。比較例1に比べては格段の効果が認められる。
【0086】製造例Bに記載した抗菌防黴剤(CP40
CuBIT)を含む本発明における繊維状物質を、排水
口用ヌメリ防止具の構成繊維の一つであるNBKPの一
部に置き換えて使用した場合の実施例7〜11および7
0%配合した実施例12とも、実施例1〜5および実施
例7と同様に、抗菌・防黴性能および、抗ヌメリ菌性と
も、良好な結果が得られた。
【0087】製造例Cに記載した抗菌防黴剤(CP40
Ag25Cu25Zn50MP )を含む本発明におけ
る繊維状物質を、排水口用ヌメリ防止具の構成繊維の一
つであるNBKPの一部に置き換えて使用した場合の実
施例13〜17は、ガラス繊維を配合した系であるが、
実施例1〜5および7〜11と同様に、抗菌・防黴性能
および、抗ヌメリ菌性とも良好な結果が得られたが、特
に、抗ヌメリ菌性において良好な結果が得られることが
解った(実施例17)。
【0088】実施例19は、実施例16の0.5デニー
ルのポリエステル繊維の一部を、活性炭素繊維に代え、
抗菌防黴剤は3金属塩併用系を使用した排水口用ヌメリ
防止具であるが、この場合も比較例4に比べて、抗菌・
防黴性能および、抗ヌメリ菌性とも、極めて良好な結果
が得られた。
【0089】実施例20は、実施例16と活性炭素繊
維、アルミノケイ酸亜鉛との抄き合わせ排水口用ヌメリ
防止具であるが、この場合も抗菌・防黴性能および、抗
ヌメリ菌性とも、極めて良好な結果が得られた。
【0090】比較例5は、実施例16と同様であるが、
本発明における3金属塩併用系のCP40Ag25Cu
25Zn50MP含有繊維状物質の代わりに、塩化ベン
ザルコニウム含有繊維状物質10%を使用したものであ
る。この場合には、水洗前の抗ヌメリ菌性のみ良好であ
って、水洗後の抗ヌメリ菌性、および抗菌・防黴性能と
も著しく劣る結果しか得られなかった。このことは、塩
化ベンザルコニウム含有繊維状物質を使用した排水口用
ヌメリ防止具は、初期的な効果は認められるものの、水
洗によって著しい効果低下を示すものであって、本発明
における繊維状物質が、初期的な効果は勿論のこと、水
洗のような過酷な条件下にあっても、抗菌・防黴性能は
もとより、抗ヌメリ菌性などの排水口用ヌメリ防止具の
特性を損なうことなく、効果をよく発揮することが解
る。
【0091】実施例21と比較例6の結果から、排水口
用ヌメリ防止具が実際に台所の排水口の内壁、カゴの内
壁、外壁のヌメリを防止し、においの発生を無くし、排
水の流れをスムーズにする効果があることが確認でき
た。
【0092】
【発明の効果】本発明に使用される抗菌防黴剤を含有し
た繊維状物質を含む排水口用ヌメリ防止具を、排水口の
カゴの上辺にセットすることで流水によって抗菌防黴剤
が極微量ずつ排水口のカゴ、排水口の外壁、排水管に行
き渡ることによって抗菌防黴効果が徐々に発現し、悪臭
が軽減され、排水口のカゴ、排水口の外壁、排水管、及
び排水口用水切り袋に付着する、いわゆる「ヌメリ」の
発生が著しく抑制され極めて衛生的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】排水口にセットする前の排水口用ヌメリ防止具
の形状の例を示す。
【図2】排水口用ヌメリ防止具に切り込みを入れた状態
の例を示す。
【図3】排水口用ヌメリ防止具の切り込みを折った状態
の例を示す。
【図4】排水口に具備されているカゴの例を示す。
【図5】排水口に具備されているカゴの上辺に排水口用
ヌメリ防止具をセットした状態の例を示す。
【符号の説明】
1 排水口に具備されているカゴの上辺 2 排水口に具備されているカゴの本体 3 排水口用ヌメリ防止具

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機化合物の金属塩よりなる抗菌防黴剤
    を含有する繊維状物質を含み排水口のカゴの上辺に設置
    されることを特徴とする排水口用ヌメリ防止具。
  2. 【請求項2】 排水口のカゴの上辺の形状に合わせてカ
    ットされたシート状物であることを特徴とする請求項1
    記載の排水口用ヌメリ防止具。
  3. 【請求項3】 シートの中心付近から排水口のカゴの上
    辺の内側に向けて切り込みがあることを特徴とする請求
    項2記載の排水口用ヌメリ防止具。
  4. 【請求項4】 有機化合物が含窒素複素環、硫黄原子の
    少なくとも1種を含有する化合物である請求項1、2又
    は3記載の排水口用ヌメリ防止具。
  5. 【請求項5】 含窒素複素環、硫黄原子の少なくとも1
    種を含む有機化合物が、ベンズイミダゾール化合物、メ
    ルカプトピリジン−N−オキシド化合物、イソチアゾロ
    ン化合物、ベンゾチアゾール化合物もしくはベンゾチア
    ゾロン化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物であ
    る請求項4記載の排水口用ヌメリ防止具。
  6. 【請求項6】 金属塩が銀塩、銅塩、亜鉛塩の少なくと
    も1種以上を含有する請求項1〜5のいずれか1項に記
    載の排水口用ヌメリ防止具。
  7. 【請求項7】 有機化合物の金属塩よりなる抗菌防黴剤
    を含有する繊維状物質と有機繊維および/または無機繊
    維を主体とする請求項1〜6記載の排水口用ヌメリ防止
    具。
  8. 【請求項8】 有機繊維が植物繊維、動物繊維、再生繊
    維、半合成繊維および合成繊維から選ばれる繊維を単独
    あるいは複合したものである請求項7記載の排水口用ヌ
    メリ防止具。
  9. 【請求項9】 少なくとも有機化合物の金属塩よりなる
    抗菌防黴剤を含有する繊維状物質と、吸着機能を有する
    物質とからなる請求項1〜6記載の排水口用ヌメリ防止
    具。
  10. 【請求項10】 吸着機能を有する物質が、アルミノケ
    イ酸亜鉛、ゼオライト、活性炭、活性炭素繊維である請
    求項9記載の排水口用ヌメリ防止具。
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