JP2000045024A - 方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

方向性電磁鋼板の製造方法

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JP2000045024A
JP2000045024A JP10212655A JP21265598A JP2000045024A JP 2000045024 A JP2000045024 A JP 2000045024A JP 10212655 A JP10212655 A JP 10212655A JP 21265598 A JP21265598 A JP 21265598A JP 2000045024 A JP2000045024 A JP 2000045024A
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steel sheet
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cooling
grain
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Kenichi Sadahiro
健一 定広
Yasuyuki Hayakawa
康之 早川
Mitsumasa Kurosawa
光正 黒沢
Michiro Komatsubara
道郎 小松原
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JFE Steel Corp
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Kawasaki Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 短時間最終仕上焼鈍において生じる鉄損劣
化の問題を解決した方向性電磁鋼板の製造方法を提供す
ることにある。 【解決手段】 Si:1.5 〜7.0 wt%を含有するけい素鋼
素材を熱間圧延して熱延板とし、その後、必要に応じて
熱延板焼鈍を施したのち、1回又は中間焼鈍を挟む2回
以上の冷間圧延を行って最終板厚に仕上げ、次いで、必
要に応じて脱炭焼鈍を施したのち、950 〜1200℃の温度
範囲で均熱保持した後に冷却する工程を含む短時間最終
仕上焼鈍を行う方向性電磁鋼板の製造方法において、前
記冷却を行う際の鋼板に負荷する張力を0.1 〜1.0kgf/m
m2の範囲に制御することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、大型トランス、
大型発電機の鉄心やEIコア用材料として用いられる方
向性電磁鋼板の大幅に合理化された製造方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】方向性電磁鋼板の製造方法は、所望のけ
い素鋼スラブを熱間圧延したのち、−回もしくは中間焼
鈍を挟む二回の冷間圧延により製品板厚に仕上げた後、
脱炭焼鈍を兼ねる一次再結晶焼鈍にひきつづきコイル状
のままバッチ式に長時間の箱焼鈍による2次再結晶およ
び純化処理を行ったのち、平坦化およびコーティング焼
き付けを施し製品を得る方法がー般的である。
【0003】また、比較的長い工程を経る上記製造方法
を合理化するため、長時間の箱焼鈍を連続焼鈍法などに
よる短時間の最終仕上焼鈍に変更することで処理時間を
短縮する試みは比較的古くから実施されている。
【0004】例えば、特開昭49−98721 号公報(一方向
性電磁鋼板の製造方法)には、短時間最終仕上焼鈍の昇
温速度が500 〜10000 ℃/min.の急速加熱に加え、冷却
過程の900 ℃〜400 ℃の範囲を30秒以上かけて徐冷し、
鋼中の析出物のサイズを制御して磁性を改善する技術が
開示されている。
【0005】しかしながら、この公報に記載された電磁
鋼板は、いずれも0.30mm厚材で鉄損値W17/50 (最大磁
束密度1.7 T、周波数50Hzにおける鉄損値)が1.5W/kg
を超えており、現在の汎用方向性電磁鋼板のレベルにま
では達していない。
【0006】また、特公昭62−31050 号公報(磁束密度
の極めて高い含Al一方向性珪素鋼板の製造方法)には、
短時間最終仕上焼鈍のN2 +H2 混合雰囲気中のN2
圧を2段階で制御する手法が開示されている。この技術
では、短時間最終仕上焼鈍後でB8 =1.945 Tの製品が
得られることが報告されている。このように、短時間最
終仕上焼鈍においてもゴス方位粒の方位分散を抑制する
手法はすでに開示されていると言える。
【0007】しかしながら、この技術の場合にも、短時
間最終仕上焼鈍後の鉄損値は極めて劣悪なものである。
そのため、この公報には、短時間最終仕上焼鈍後に箱焼
鈍を行うことにより、鉄損値を通常の方向性電磁鋼板の
レベルにまで低減する方法がさらに提案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】つまり、大幅な製造方
法の合理化によるコストダウンの観点で短時間最終仕上
焼鈍を実用に足る技術とするためには、短時間最終仕上
焼鈍のみで少なくとも現行の汎用方向性電磁鋼板の鉄損
値のレベル(具体的には、板厚0.35mmでW17/50≦1.50W/
kg)にまで改善しなければならない。
【0009】長時間の箱焼鈍を行わずに短時間最終仕上
焼鈍のみで行う従来法においても、素材や熱処理条件を
選べば確かに磁束密度B8 は1.85T以上の製品が得られ
るものの、鉄損W17/50が0.35mm厚みの材料で2.0W/kg 程
度と高く、前述のEIコアや発電機の鉄心材料として使
用できないという課題があった。
【0010】このため、本発明者らが磁束密度が高いの
に対し鉄損の劣化が著しい原因について鋭意調査した結
果、コイル状態で長時間箱焼鈍する従来法の場合には、
冷却が不可避的に極めて徐冷で行われていたため、上記
冷却歪による鉄損への影響は問題にはならなかったが、
コイル状態での長時間箱焼鈍を行わずに短時間の最終仕
上焼鈍のみで行う場合には、この焼鈍の均熱保持後に行
う冷却の際に発生する冷却歪が鉄損W17/50に大きく影響
することが判明した。
【0011】そこで、この発明の目的は、このような短
時間最終仕上焼鈍において生じる鉄損劣化の問題を解決
した方向性電磁鋼板の製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記問題点
を解決するために、最終仕上焼鈍条件、特にその冷却条
件を改善したものであり、具体的には、Si:1.5 〜7.0
wt%を含有するけい素鋼素材を熱間圧延して熱延板と
し、その後、必要に応じて熱延板焼鈍を施したのち、1
回又は中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を行って最終
板厚に仕上げ、次いで、必要に応じて脱炭焼鈍を施した
のち、950 〜1200℃の温度範囲で均熱保持した後に冷却
する工程を含む短時間最終仕上焼鈍を行う方向性電磁鋼
板の製造方法において、前記冷却を行う際の鋼板に負荷
する張力を0.1 〜1.0kgf/mm2の範囲に制御することを特
徴とする方向性電磁鋼板の製造方法である。
【0013】また、950 〜1200℃の温度範囲で均熱保持
する時間を10分間以下とすること、及び/又は、前記冷
却を行う際の前記張力制御を、前記保持温度から700 ℃
までの温度範囲のうちの少なくとも一部の範囲で行うこ
とが好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】次に、短時間最終仕上焼鈍のみで
行っても、箱焼鈍で行った場合と同様な低鉄損値が得ら
れる技術を見出すとともに、この発明を開発するに至っ
た実験について、以下に詳述する。
【0015】(実験1)短時間最終仕上焼鈍時の均熱保
持後に行う冷却の際の鋼板に負荷する張力の磁気特性に
及ぼす影響を調べるための実験 C:0.038 wt%、Si:3.25wt%、Mn:0.067 wt%、Se:
0.017 wt%、Sb:0.025 wt%を含有する珪素鋼スラブを
1400℃の温度で15分間加熱後、熱間圧延を行なって板厚
2.7mm の熱延板とした。次に、この熱延板を1000℃で1
分間焼鈍した後、1.0mm まで冷間圧延し、この圧延板に
1000℃で1分間の中間焼鈍を施したのち、ミスト冷却
し、さらに冷間圧延にて最終板厚0.34mm厚に仕上げた。
その後、820 ℃の温度で2分間の脱炭焼鈍を行なってか
ら短時間の最終仕上焼鈍を行った。
【0016】最終仕上焼鈍は、1050℃で1分間均熱保持
後、以下に示す種々の条件で冷却することにより行っ
た。即ち、前記冷却は、鋼板に負荷する張力を0.05から
1.50kgf/mm2 の範囲で変化させて制御するとともに、前
記張力制御を、1050〜600 ℃の温度範囲にある各所定温
度から500 ℃までの冷却する間だけで行う条件下で行っ
た。
【0017】そして、上記最終仕上焼鈍後の各供試材に
ついて、鉄損W17/50 の値を測定すした。図1に実験結
果を示す。
【0018】図 1の実験結果から明らかなように、前記
冷却時の鋼板に負荷する張力は、0.1kgf/mm2よりも小さ
いか、又は、1.0kgf/mm2よりも大きいと、鉄損の値が劣
化しており、0.1 〜1.0kgf/mm2の範囲のときに、ほぼ1.
50W/kg以下の鉄損値が得られていることが分かる。
【0019】特に、前記冷却を行う際の前記張力制御
を、700 ℃以上の冷却区間で行うことにより、鉄損が有
効に改善されることも判明した。よって、これらの知見
をもとにこの発明を完成させたものである。
【0020】以上の実験から、前記冷却における張力を
制御することは、低鉄損を達成するには重要な技術であ
る。
【0021】この理由については必ずしも明らかではな
いが、短時間最終仕上焼鈍の均熱保持温度である 950〜
1200℃の高温域では、鋼板の変形抵抗が低いために鋼板
内部に冷却歪が導入されて残留・蓄積しやすく、これ
が、鋼板の180 ℃磁区構造を変えて鉄損を劣化させるも
のと考えられるため、鋼板に張力を付与して冷却するこ
とによって、鋼板内部に存在する応力分布を均一化し、
これによって、鉄損の改善効果が得られるものと推測さ
れる。
【0022】尚、高温域において鋼板内部に冷却歪が導
入される場合としては、例えば、冷却時に、鋼板表面の
部位間で冷却速度の差異が生じる場合が考えられ、この
場合には、鋼板内部に部分的な引張もしくは圧縮応力が
作用することになり、高温域では鋼板の変形抵抗が低い
ため、この変形力によって内部に加工歪が残留・蓄積し
やすくなり、結果として、鋼板内部に冷却歪が導入され
ることになる。
【0023】また、前記冷却を行う際の前記張力制御
を、前記保持温度から700 ℃までの温度範囲のうちの少
なくとも一部の範囲で行うことにより鉄損が有効に改善
されるのは、700 ℃以上の高温域で特に鋼板内部に加工
歪みが残留しやすいため、かかる高温域で鋼板に張力を
付与することによって、鋼板内での不均一な応力分布を
緩和して、鋼板内部への加工歪みの蓄積を有効に抑制さ
れるからであると推測される。
【0024】次に、この発明の鋼組成及び製造条件を上
記構成に限定した理由について以下に説明する。 (1) 上記鋼組成に限定した理由 Siは、製品の電気抵抗を高め渦電流損を低減させるため
に必要な成分であるため、この発明では、鋼中のSi含有
量を1.5 〜7.0 wt%にすることを必須の構成とする。即
ち、Si含有量が1.5 wt%未満では短時間最終仕上焼鈍中
にα−γ変態によって結晶方位が損なわれ、また、7.0
wt%を超えると冷延性に問題が生じるからである。
【0025】また、Cは、2次再結晶粒が蚕喰しにくい
とされている{100}面組織を、部分的な変態を利用
して低減することができる成分であり、鋼中に含有させ
ることが有利であるが、スラブ加熱を1300℃以下の温度
で行えば、結晶粒の粗大化が大幅に抑制されて{10
0}面組織が発達しなくなることから、鋼中にCを含有
させることは必ずしも必要ではない。
【0026】よって、1300℃以上の温度で高温スラブ加
熱を行う場合には、鋼中にCを含有させることが好まし
く、その場合のC含有量は、例えば0.02〜0.08wt%の範
囲にすることが{100}面組織の低減に有効である。
【0027】Niは、良好な一次再結晶組織を得るのに有
利な成分であり、鋼中に含有させてもよい。但し、Ni含
有量は、0.01wt%未満では、一次再結晶組織の改善効果
が認められなくなり、一方、0.50wt%超えでは、その改
善効果が飽和し、工業的にはコストの面から不利とな
る。従って、Ni含有量は0.01〜0.50wt%の範囲にするこ
とが好ましい。
【0028】さらに、方向性電磁鋼板の製造にはインヒ
ビターを用いることが望ましいが、例えば、100 μm 厚
等の板厚の薄い鋼板の場合には、結晶粒毎の表面エネル
ギーの差を駆動力として2次再結晶させることができる
ため、鋼中にインヒビターを含有させることは必ずしも
必要ではない。
【0029】また、この発明は、その性質上、上述した
実験や後述する実施例に示すように、特にインヒビター
の種類や有無を限定するものではないが、ここでは、一
例として、一般的なMnおよびS,Seの量、Al及びNの量
並びに粒界偏析型インヒビターについて述べる。
【0030】Mn並びにS及びSeの1種又は2種は、イン
ヒビターとして機能するものであるが、Mn含有量が0.03
wt%未満又はS及びSeの含有量を単独又は合計で0.005
wt%未満の場合にはインヒビター機能が不十分であり、
また、Mn含有量が0.20wt%を超え、又はS及びSeの含有
量が単独又は合計で0.050 wt%を超えると、スラブ加熱
のために必要とされる温度が高くなりすぎたり、短時間
焼鈍での純化不良による磁性劣化が顕著となり、実用的
ではない。従って、Mn含有量は0.03〜0.20wt%の範囲、
S及びSeの1種又は2種の含有量は単独又は合計で0.00
5 〜0.050 wt%の範囲にするのが好ましい。
【0031】AlおよびNは、AlNをインヒビターとする
場合に重要であり、Alの含有量は0.005 〜0.050wt %の
範囲とすることが好ましい。即ち、Al含有量が前記範囲
よりも少ないと磁束密度は低くなり、一方、前記範囲よ
りも多いと2次再結晶が不安定になる傾向があるからで
ある。
【0032】また、N含有量は0.002 wt%未満ではイン
ヒビターとしてのAlN量が不足しがちであり、一方、0.
012 wt%を超えると製品にブリスターが発生したり、短
時間焼鈍での純化不良により磁性が劣化する傾向があ
り、実用的ではなくなる。従って、N含有量は0.002 〜
0.012 wt%の範囲にすることが好ましい。
【0033】さらに、粒界偏析型インヒビターとして粒
界偏析元素(例えば、SbやSn)を鋼中に含有させること
もできる。
【0034】Sbは、磁束密度を向上させるために有効な
成分である。Sb含有量は、0.20wt%を超えると脱炭性が
悪くなり、一方、0.01wt%未満では磁束密度を向上させ
る効果が認められなくなるので0.01〜0.20wt%の範囲に
することが好ましい。
【0035】また、Snは、2次再結晶粒の細粒化による
鉄損改善のために有効な成分である。Sn含有量は、0.20
wt%を超えると脱炭性が悪くなり、0.02wt%未満では鉄
損特性を向上させる効果が認められなくなるので0.02〜
0.20wt%が好ましい。尚、上述したところは、この発明
の鋼組成の一例を示したにすぎず、一般的な方向性電磁
鋼板用の素材成分であり、Si含有量が1.5 〜7.0 wt%の
範囲であれば、他のいかなる成分を含有する鋼素材であ
ってもこの発明に適用することが可能である。
【0036】(2) 上記製造条件に限定した理由 次に、この発明が上記製造条件に限定した理由について
以下で説明する。この発明の方向性電磁鋼板の製造方法
においては、通常行われている製鋼法によって上述した
成分を含有する溶鋼に調製し、かかる溶鋼を連続鋳造法
あるいは造塊法で鋳造し、必要に応じて分塊圧延工程を
挟んでスラブを得、このスラブをガス燃焼炉や誘導加熱
炉などにより1300℃を超える高温スラブ加熱または1300
℃以下の低温スラブ加熱を施したのち、熱間圧延を施
す。
【0037】この後、必要に応じて熱延板焼鈍を施し、
一回もしくは中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延により
最終板厚の冷延板とする。最終冷延の後は、必要に応じ
て脱炭焼鈍を行ない、950 〜1200℃の温度範囲に保持し
た後に冷却する工程を含む短時間最終仕上焼鈍を施す。
【0038】尚、ここでいう短時間最終仕上焼鈍とは、
具体的には、熱処理中に異常粒成長を惹起させ、結晶組
織を(110)〔001〕や(100)〔001〕など
の結晶方位に集積させるための焼鈍をいい、特に短時間
最終仕上焼鈍とは、具体的には、昇温、均熱、冷却を含
めた焼鈍を30分以内の熱処理時間で行うことを意味す
る。
【0039】また、この発明では、短時間最終仕上焼鈍
における均熱保持温度は950 〜1200℃の範囲に設定する
必要がある。即ち、前記保持温度が950 ℃未満では、2
次再結晶の完了率が極めて低くなり十分な磁気特性が得
られなくなるからであり、一方、1200℃超えでは工業的
に困難だからである。
【0040】さらに、前記保持時間としては、下限は特
に無く、充分な徐熱昇温により950〜1200℃の温度域に
到達させて2次再結晶を完了させることも可能である
が、前記保持時間が10分間を超える場合には、短時間最
終仕上焼鈍として工業的に成立しにくくなるため、950
〜1200℃の温度範囲での保持時間を10分間以下とするこ
とが好ましい。
【0041】尚、ここでいう保持時間とは、短時間最終
仕上焼鈍において、材料に応じて決定された950 〜1200
℃の間のある温度での保持時間をいうこととする。
【0042】この発明では、短時間最終仕上焼鈍の冷却
時に鋼板に負荷する張力を制御すること、具体的には、
前記冷却を行う際の鋼板に負荷する張力を0.1 〜1.0kgf
/mm2の範囲に制御することが必要である。
【0043】これにより、鋼板内部に引張応力が作用し
て冷却時における鋼板内部の応力分布の均一化が図れ、
鉄損の改善効果が得られる。
【0044】また、700 ℃以上の高温赤熱状態では、鋼
板の変形抵抗が低下しているために、冷却状態の不均一
による局所的な引張、圧縮による変形が鋭敏に鋼板内部
に発生して鉄損が顕著に劣化することから、冷却時の前
記張力制御は、前記保持温度から700 ℃までの温度範囲
のうちの少なくとも一部の範囲で行うことにより、鉄損
を効果的に改善することができる。
【0045】尚、この発明では、700 ℃未満の温度域で
の前記張力制御については特に限定はしないが、上述し
たことからも明らかなように、700 ℃未満の温度域につ
いても、前記保持温度から700 ℃までの温度範囲の場合
と同様な張力制御を行うことが好ましい。
【0046】そして、短時間最終仕上焼鈍を行ったあ
と、製品の用途に応じて無機系の張力コーティングや、
無機系、有機系および半有機系のコーティングを施して
製品とする。
【0047】以上のことから、この発明の製造方法は、
上記鋼組成及び上記製造条件を採用することによって、
短時間最終仕上焼鈍のみで行っても、箱焼鈍で行った従
来法の場合と同様に、低鉄損を有する方向性電磁鋼板を
製造することができる。
【0048】尚、この発明は、上述したことからも明ら
かなように、特開昭49−98721 号公報に記載の、900 〜
400 ℃の温度域の冷却速度制御によって微細析出物のサ
イズを制御して無害化する技術とは異なり、前記冷却を
行う際の鋼板に負荷する張力を適正に制御することによ
って、はじめて達成できるものである。
【0049】
【実施例】次に、この発明の製造方法によって方向性電
磁鋼板を製造し、磁気特性について評価したので以下に
説明する。
【0050】〔実施例1〕表1に示す方向性けい素鋼ス
ラブ素材Aを1380℃で加熱後、熱間圧延を行なって板厚
2.6mm の熱延板とした。この熱延板を1000℃で1分間焼
鈍した後、中間厚を0.90mmとする2回冷延法によって最
終板厚0.34mmに仕上げた。このときに行う中間焼鈍温度
は950 ℃とした。次いで820 ℃で3分間の脱炭焼鈍を行
なった後、1050℃で3分間の短時間最終仕上焼鈍を行っ
た。
【0051】最終仕上焼鈍における冷却は、表2に示す
ように冷却時に鋼板に負荷する張力及びその張力を制御
する温度区間を変化させた8種の条件1〜8で行った。
また、前記温度区間以外における張力は1.2 kgf/mm2 (
一定) とした。
【0052】かくして得られた製品の磁気特性(500gエ
プスタイン試片による評価)を測定した結果を表2に示
す。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】表2の結果から、発明例では、いずれも磁
束密度及び鉄損の良好な製品が得られている。
【0056】〔実施例2〕表3に示す鋼組成を有する方
向性けい素鋼スラブB〜Iを表3に記載したスラブ加熱
温度で加熱した後、熱間圧延を行なって板厚2.6mm の熱
延板とした。この熱延板を1000℃で1分間焼鈍した後、
一回冷延法又は二回冷延法によって最終板厚0.34mm(鋼
Fについては最終板厚0.15mm)に仕上げた。尚、2回冷
延法の場合の中間厚については表3に示し、また、中間
焼鈍温度は1000℃とした。次いで、鋼B〜Hについて
は、820 ℃で3分間の脱炭焼鈍を行ない、鋼Iについて
は、脱炭焼鈍を省略した。そして、その後に1150℃で1
分間の短時間最終仕上焼鈍した。このときの冷却条件
は、コイルを前半部(枝番1)と後半部(枝番2)とに
分けた前半部では、この発明に従い1150℃から700 ℃の
温度範囲での冷却時の前記張力を0.7kgf/mm2とし、後半
部では、前記張力を1.2kgf/mm2と高張力側の条件とし
た。尚、700 ℃未満の温度範囲での冷却時の前記張力は
0.05kgf/mm2 とした。
【0057】かくして得られた製品の磁気特性(500gエ
プスタイン試片による評価)を測定した結果を表4に示
す。
【0058】
【表3】
【0059】
【表4】
【0060】表4の結果から、本発明例では、いずれも
磁束密度及び鉄損の良好な製品が得られている。
【0061】
【発明の効果】この発明によれば、短時間最終仕上焼鈍
時の前記冷却をを行う際の鋼板に負荷する張力を0.1 〜
1.0kgf/mm2の範囲に制御することにより、長時間の箱焼
鈍を経て製造される方向性けい素鋼板とほぼ同等な鉄損
特性を有する方向性けい素鋼板を短時間最終仕上焼鈍処
理で得ることができ、このような工程の合理化により格
段の低コスト化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】最終仕上焼鈍の冷却の際に鋼板に負荷する張力
と、この張力を制御する温度区間とを変化させたときの
鉄損W17/50 の値をプロットした図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 黒沢 光正 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 (72)発明者 小松原 道郎 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 Fターム(参考) 4K033 AA02 BA01 BA02 CA02 CA03 FA01 FA12 HA03 JA04 MA00 PA09 5E041 AA02 AA11 CA02 HB05 HB07 HB11 NN01 NN17 NN18

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Si:1.5 〜7.0 wt%を含有するけい素鋼
    素材を熱間圧延して熱延板とし、その後、必要に応じて
    熱延板焼鈍を施したのち、1回又は中間焼鈍を挟む2回
    以上の冷間圧延を行って最終板厚に仕上げ、次いで、必
    要に応じて脱炭焼鈍を施したのち、950 〜1200℃の温度
    範囲で均熱保持した後に冷却する工程を含む短時間最終
    仕上焼鈍を行う方向性電磁鋼板の製造方法において、 前記冷却を行う際の鋼板に負荷する張力を0.1 〜1.0kgf
    /mm2の範囲に制御することを特徴とする方向性電磁鋼板
    の製造方法。
  2. 【請求項2】 950 〜1200℃の温度範囲で均熱保持す
    る時間を10分間以下とすることを特徴とする請求項1記
    載の方向性電磁鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記冷却を行う際の前記張力制御を、前
    記保持温度から700℃までの温度範囲のうちの少なくと
    も一部の範囲で行うことを特徴とする請求項1又は2記
    載の方向性電磁鋼板の製造方法。
JP10212655A 1998-07-28 1998-07-28 方向性電磁鋼板の製造方法 Withdrawn JP2000045024A (ja)

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