JP2000044938A - 空気調和機用作動媒体組成物及び該組成物を用いた空気調和機 - Google Patents

空気調和機用作動媒体組成物及び該組成物を用いた空気調和機

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JP2000044938A
JP2000044938A JP10220160A JP22016098A JP2000044938A JP 2000044938 A JP2000044938 A JP 2000044938A JP 10220160 A JP10220160 A JP 10220160A JP 22016098 A JP22016098 A JP 22016098A JP 2000044938 A JP2000044938 A JP 2000044938A
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refrigerant
air conditioner
oil
propane
compressor
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JP10220160A
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Akira Ota
亮 太田
Yutaka Ito
伊藤  豊
Kenichi Kawashima
憲一 川島
Tadashi Iizuka
董 飯塚
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明の空気調和機用作動媒体組成物は、HFC
系混合冷媒に対する炭化水素系冷凍機油の溶解性を向上
させる効果を有し、その組成物を用いた空気調和機は圧
縮機への油戻りを充分に確保でき、信頼性が高いという
効果を有する。 【解決手段】ジフルオロメタンとペンタフルオロエタン
から成る混合冷媒又はジフルオロメタン、ペンタフルオ
ロエタン、1,1,1,2-テトラフルオロエタンから成る混合
冷媒と、これらの冷媒に完全溶解しない炭化水素系冷凍
機油と、プロパンを含む空気調和機用作動媒体組成物、
及び該空気調和機用作動媒体組成物を用いた空気調和
機。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、空気調和機用冷媒
圧縮式作動媒体並びに冷媒圧縮機が使用されている空気
調和機に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、エアコン等の冷媒に使用されてい
るモノクロロジフルオロメタン(HCFC22)は、オゾン層
破壊の原因となるため、この代替冷媒として、分子中に
塩素を含まないハイドロフルオロカーボン(HFC)系冷
媒が採用されつつある。具体的にはHCFC22と近い熱力学
特性を持たせるため、HFC32(ジフルオロメタン)とHFC
125(ペンタフルオロエタン)から構成されるR410A(HF
C32/125:50/50)、R410B(HFC32/125:45/55)、また
はHFC32とHFC125及びHFC 134a(1,1,1,2-テトラフルオ
ロエタン)とから構成されるR407C(HFC32/125/134a:2
3/25/52)、R407E(HFC32/125/134a:25/15/60)が挙げ
られる。
【0003】これらHCFC22の代替冷媒として使用される
冷媒は分子中に塩素を含まないため極圧効果が期待でき
ず、また、R410A及びR410BにおいてはHCFC22と比べ蒸気
圧が高く、圧縮機の摺動条件が厳しくなる。
【0004】冷凍機油は、ル−ムエアコン、パッケ−ジ
エアコン等の空気調和機用圧縮機に使用され、その摺動
部の潤滑、密封、冷却等の役割を果たすものである。近
年、圧縮機は省エネルギー化、小型化、低騒音化、高効
率化が要求され、これに伴って冷凍機油の使用条件が苛
酷化している。このため、圧縮機の信頼性確保の面か
ら、潤滑性、特に耐摩耗性に優れた冷凍機油が要求され
る。
【0005】冷凍機油としては、ナフテン系やパラフィ
ン系鉱油及びアルキルベンゼンがCFC(クロロフルオロ
カーボン)系、HCFC(ハイドロクロロフルオロカーボ
ン)系冷媒との相溶性が良く、安価であることから広く
用いられている。しかし、これらの冷凍機油は代替冷媒
であるHFC系冷媒には全く溶解しないため、一旦、圧縮
機から吐出された油が圧縮機へ戻らず、潤滑不良を起こ
すなどの問題がある。
【0006】前記HFC系冷媒に相溶する冷凍機油として
分子中に極性基を持つ脂肪族系合成油であるポリオール
エステルやポリビニルエーテル等が特開平3−505602号
公報、特開平6−128578号公報等に開示されている。し
かし、これらは加水分解を起こし金属石鹸等を生成やす
く冷凍サイクルを閉塞させたり、脂肪酸による腐食摩
耗、また、酸化安定性や耐摩耗性に劣る等といった問題
があった。
【0007】また、従来から使用してきた安価で、且つ
熱安定性、耐摩耗性に優れる鉱油やアルキルベンゼンを
HFC系冷媒を用いた空気調和機に適応させるための検討
がなされている。即ち、これら油の圧縮機への油戻りを
促進するため、冷凍サイクル内に新たに油分離機構を取
り付ける冷凍システムが特開平5-157379号公報に開示さ
れているが、コストが高くなると言った問題がある。ま
た、特開平9-208940号公報にはHFC系冷媒と完全溶解し
ないアルキルベンゼンの圧縮機への油戻りを確保するた
め、オイルキャリアとしてn-ペンタンやイソペンタンを
HFC系冷媒に配合した冷媒組成物が開示されている。し
かし、これらオイルキャリアはルームエアコン用のHFC
系冷媒であるR410AやR407Cとの沸点に差があるため、効
率が劣る欠点があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記に鑑みな
されたもので、安価で熱安定性や耐摩耗性に優れた鉱油
やアルキルベンゼンを用いた空気調和機においても圧縮
機への油戻りが充分にあり、かつ効率が向上する作動媒
体組成物と該組成物を用いた空気調和機を提供するもの
である。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、下記の
とおりである。
【0010】
【1】 (A)ジフルオロメタンとペンタフルオロエタンか
ら成る混合冷媒、又はジフルオロメタン、ペンタフルオ
ロエタン、1,1,1,2-テトラフルオロエタンから成る混合
冷媒と、(B)混合冷媒に完全溶解しない炭化水素系冷凍
機油及び(C)プロパンとを含むことを特徴とする空気調
和機用作動媒体組成物。
【0011】
【2】 前記炭化水素系冷凍機油がアルキルベンゼン又
は鉱油である項
【1】記載の空気調和機用作動媒体組成物。
【0012】
【3】 前記プロパンが前記混合冷媒に対し、1重量%か
ら20重量%含む項
【1】記載の空気調和機用作動媒体組成物。
【0013】
【4】 圧縮機から吐出された冷媒ガスを凝縮手段、膨
張手段、蒸発手段を介し循環する冷凍サイクルを備えた
空気調和機において、該空気調和機の作動媒体が、(A)
ジフルオロメタンとペンタフルオロエタンから成る混合
冷媒又はジフルオロメタン、ペンタフルオロエタン、1,
1,1,2-テトラフルオロエタンから成る混合冷媒と、(B)
該混合冷媒に完全溶解しない炭化水素系冷凍機油及び
(C)プロパンとを含むことを特徴とする空気調和機。
【0014】
【5】 前記 炭化水素系冷凍機油がアルキルベンゼンま
たは鉱油である項
【4】記載の空気調和機。
【0015】
【6】 前記プロパンが前記混合冷媒に対し、1重量%か
ら20重量%含む項
【4】記載の空気調和機。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明において、空気調和機用作
動媒体の構成成分であるHFC系冷媒として、ジフルオロ
メタン(CH2F2;HFC32)とペンタフルオロエタン(CF3・
CHF2;HFC125)から構成されるR410A、R410B、またはジ
フルオロメタンとペンタフルオロエタン及び1,1,1,2-テ
トラフルオロエタン(CF3・CH2F;HFC134a)とから構成
されるR407C、R407E等の混合冷媒が挙げられる。
【0017】また、炭化水素系冷凍機油としては、ナフ
テン系鉱油、パラフィン系鉱油、ハード型アルキルベン
ゼン、ソフト型アルキルベンゼン等が挙げられる。これ
らは前記HFC系混合冷媒と相溶しない無極性油である。
更にいえば、前記HFC系混合冷媒との低温側臨界溶解温
度が20℃以上の完全溶解しない炭化水素系冷凍機油で
ある。該炭化水素系冷凍機油の粘度グレードは圧縮機の
種類により異なるが40℃における粘度が7〜70mm2/sの範
囲内が好ましい。
【0018】前記混合冷媒に対するプロパンの添加量
は、前述した冷媒に対して1重量%から20重量%であ
り、3重量%から10重量%の割合で配合することがより
好ましい。プロパンの添加量が1重量%未満では圧縮機
への充分な油戻りが期待できない。一方、20重量%を越
えると、冷凍機油に対するプロパンの溶解量が大きく冷
媒/冷凍機油混合液の溶解粘度が低下するため耐摩耗性
が得られない。
【0019】本発明において、ジフルオロメタンとペン
タフルオロエタンから成る混合冷媒又はジフルオロメタ
ン、ペンタフルオロエタン、1,1,1,2-テトラフルオロエ
タンから成る混合冷媒と、該混合冷媒と完全溶解しない
炭化水素系冷凍機油の組合せにおいて、プロパンを前記
混合冷媒に添加することにより圧縮機への油戻りが確実
となり、かつ効率が向上する。
【0020】冷凍機用および空気調和機用冷媒圧縮機に
はスクロール、レシプロ、スクリュー、ロータリー式等
容積形圧縮機とターボ式等の容量形圧縮機がある。
【0021】図1は圧縮機の例としてスクロール式圧縮
機の概略構造を示す。 圧縮機は固定スクロール部材1
の端板3に直立する渦巻状ラップ5と、この固定スクロー
ル部材1と実質的に同一形状の端板4、ラップ6からなる
旋回スクロール部材2とをお互いにラップ5とラップ6と
を向い合わせにして噛み合わせて圧縮機構部を形成し、
旋回スクロール部材2をクランクシャフト7によって旋回
運動させる。固定スクロール部材1及び旋回スクロール
部材2によって形成される圧縮室8(8a、8b……)のう
ち、最も外側に位置している圧縮室は、旋回運動にとも
なって容積が次第に縮小しながら、両スクロール部材
1、2の中心に向かって移動していく。 両圧縮室8a、8b
が両スクロール部材1、2の中心近傍に達したとき、両圧
縮室8a、8bが吐出口9と連通して、両圧縮室内の圧縮ガ
スが吐出され、固定スクロール部材1及びフレーム10に
設けられたガス通路(図示せず)を通ってフレーム下部
の圧縮容器11内に至り、前記圧縮容器11の側壁に設けら
れた吐出パイプ12から圧縮機外に吐出される。
【0022】本圧縮機では、圧力容器11内に電動モータ
13が内蔵されており、圧縮機は一定速あるいは図示しな
いインバータによって制御された電圧に応じた回転速度
でクランクシャフト7が回転し、圧縮動作を行う。ま
た、前記モータ13の下部に油溜め部が設けられており、
この油は圧力差によってクランクシャフトに設けられた
油孔14を通って、旋回スクロール部材2とクランクシャ
フト7との摺動部、滑り軸受け16等の潤滑に供される。
【0023】次に、空気調和機について説明する。図2
は冷暖房兼用のルームエアコンやパッケージエアコンな
どのヒートポンプ式空気調和機の構成図を示す。 室内
を冷房する場合、圧縮機18の吐出パイプより断熱的に圧
縮された高温高圧の冷媒ガスは四方弁19を通り室外熱交
換器20(凝縮手段として使用される)で冷却され、高圧
の液冷媒となる。この冷媒は膨張手段21(例えば、キャ
ピラリーチューブや温度式膨張弁など)で膨張され、僅
かにガスを含む低温低圧液となって室内熱交換器22(蒸
発手段として使用される)に至り、室内の空気から熱を
得て低温ガスの状態で再び四方弁19を通って圧縮機18に
至る。室内を暖房する場合は、四方弁19によって冷媒の
流れは逆方向に変えられ、逆作用となる。
【0024】以下、本発明を実施例により更に詳細に説
明する。
【0025】〔実施例1〜4〕 〔比較例1〜4〕実施例1〜4ではHFC系混合冷媒であるR41
0A、R410B、R407C、R407Eにプロパンを5重量%添加し、
アルキルベンゼンとの相溶性をJIS K2211により評価し
た。比較例1〜4としてプロパンを添加しない系での相溶
性を実施した。いずれもアルキルベンゼンの粘度グレー
ドはVG22である。測定温度が10℃から-20℃における各
冷媒に対する冷凍機油の溶解量を第1表に示した。
【0026】
【表1】
【0027】第1表から明らかなように、本発明の空気
調和機用作動媒体組成物は、プロパンを添加しない各種
冷媒とアルキルベンゼンの溶解量と比べ、冷媒の種類に
関わらずプロパンを5重量%添加することにより、溶解
性が向上している。
【0028】〔実施例5〜11〕 〔比較例5〜11〕実施例5〜11では、前記実施例で溶解性
が向上したことが認められたR410Aにプロパンを5重量%
した系において、油種及びアルキルベンゼンの粘度グレ
ードをVG8からVG56まで変えて実施例1〜4と同様な相溶
性を評価した。また、比較例5〜11ではプロパンを添加
しない系での相溶性を評価した。測定温度が10℃から-2
0℃における冷媒に対する冷凍機油の溶解量を第2表に示
した。
【0029】
【表2】
【0030】第2表から明らかなように、本発明の空気
調和機用作動媒体組成物は、油種や粘度を変えた系にお
いてもプロパンを添加することで、R410Aに対する冷凍
機油の溶解性が向上していることを確認した。しかし、
ポリαオレフィン及びポリブテンより熱安定性に優れる
アルキルベンゼンや鉱油がより好ましい。
【0031】〔実施例12〜16〕 〔比較例12〕実施例12〜16では前記実施例で溶解性が向
上したことが認められたR410Aに対し、プロパンを1重量
%以上添加し、アルキルベンゼンとの相溶性を評価し
た。比較例12としてプロパンを1重量%以上添加した系
での相溶性評価を実施した。いずれもアルキルベンゼン
の粘度グレードはVG22である。測定温度が10℃から-20
℃における各冷媒に対する冷凍機油の溶解量を第3表に
示した。
【0032】
【表3】
【0033】第3表から明らかなように、本発明の空気
調和機用作動媒体組成物は、プロパンを0.1重量%添加
したR410Aとアルキルベンゼンの溶解量と比べ、プロパ
ンを1重量%以上添加することにより、溶解性が向上し
ている。しかし、可燃性を考慮し、プロパンの添加量を
20重量%以下とすることがより好ましい。
【0034】〔実施例17〜20〕 〔比較例13〜16〕前述したスクロール式圧縮機が組み込
まれた空気調和機に、プロパンを5重量%添加したR410
A、R410B、R407C、R407Eとアルキルベンゼンを封入して
稼働させ圧縮機への油戻り量を測定した。比較例13〜16
ではR410A、R410B、R407C、R407Eにプロパンを添加しな
い系のものを試験した。蒸発温度をそれぞれ-18℃と-4
℃に固定し72時間運転後の圧縮機内に存在する冷凍機油
量を測定した。冷媒の封入量は950g、アルキルベンゼン
はVG22を用い、封入量を350mlとした。結果を第4表に示
す。
【0035】
【表4】
【0036】R410A、R410B、R407C、R407Eにプロパンを
添加していないものは、いずれも圧縮機内の残油量が少
なくなっているのに対し、プロパンを添加した系では圧
縮機内の油量が多い。これからR410A、R410B、R407C、R
407Eに対してプロパンを添加することにより圧縮機への
油戻りが充分に確保できることがわかる。
【0037】〔実施例21〜28〕 〔比較例17〜21〕実施例17〜20と同様の手法で、実施例
21〜24ではプロパンを1重量%以上添加したR410Aとアル
キルベンゼンを封入して稼働させ圧縮機への油戻り量を
測定した。また、実施例25〜28ではにプロパンを5重量
%添加したR410Aと油種を変えてナフテン系鉱油及びポ
リαオレフィンとした系での油戻り量を測定した。比較
例17ではプロパンを0.1重量%添加したR410Aとアルキル
ベンゼンの系を、比較例18〜21ではプロパンを添加して
いないR410Aとナフテン系鉱油及びポリαオレフィンの
系での油戻り量を示す。結果を第5表に示す。
【0038】
【表5】
【0039】プロパンを0.1重量%添加したR410Aと比べ
ると、プロパンを1重量%以上添加した系では、いずれ
も圧縮機内の残油量が多い。特に冷媒に対しプロパンの
添加量が多くなるに伴い圧縮機内の油量が多くなる傾向
がある。また、実施例25〜28から油種に関係なくプロパ
ンを冷媒に添加することにより、圧縮機への油戻りが充
分に確保できることがわかる。
【0040】〔実施例29〜32〕 〔比較例22〜24〕スクロール式圧縮機が組み込まれた空
気調和機において、R410Aとアルキルベンゼンまたはポ
リオールエステルを封入し一定条件、一定時間で実機試
験を行った。このスクロール式圧縮機において、フレー
ム〜シャフト間の摩擦条件が苛酷なことから試験前後で
のフレーム〜シャフト間の摩耗による隙間増加量を測定
した。実施例29〜32ではR410Aにプロパンを1重量%から
20重量%添加したものと、冷凍機油にアルキルベンゼン
を用いたものを、比較例22,23ではプロパンを添加しな
い系と、R410Aに対し30重量%添加したものを試験し
た。アルキルベンゼンの粘度グレードはVG22のものを使
用した。比較例24では冷凍機油として現在実施中のR410
Aと相溶性のあるポリオールエステルを用いた。ポリオ
ールエステルの粘度グレードはVG68である。結果を第6
表に示した。
【0041】
【表6】
【0042】フレーム〜シャフト間の隙間増加量が増え
るほど摩耗量が大きいことを示している。
【0043】第6表から明らかなように、本発明の空気
調和機用作動媒体組成物は、圧縮機への油戻りが充分に
確保できるためフレーム〜シャフト間の隙間増加量が少
なく優れた耐摩耗性を示した。しかも冷凍機油にR410A
と相溶性のあるポリオールエステルを用いた場合に比べ
て摩耗量が低減していることがわかる。この理由はアル
キルベンゼンに冷媒及びプロパンが溶解した時の粘度が
ポリオールエステルの冷媒溶解粘度に比べ高いこと、摺
動部に供給される油の絶対量が多いと予測されることな
どがあげられる。
【0044】一方、プロパンを添加しない系では圧縮機
への油戻りが少ないため摩耗量が増大している。また、
R410Aに対してプロパンを30重量%添加した系では、ア
ルキルベンゼンに対する溶解量が大きすぎるため、冷媒
/冷凍機油混合液の溶解粘度が低下し、充分な耐摩耗性
が得られていない。
【0045】〔実施例33〜36〕 〔比較例25〕実施例33〜36ではR410Aに対しプロパンを1
重量%から20重量%添加した系の冷房時における成績係
数(COP)を測定した。COPは冷房能力を圧縮機電気入力
で除したものである。比較例25ではR410A単独でのCOPを
測定し、冷房時のCOPを100%とした。結果を第7表に示
す。
【0046】
【表7】
【0047】第7表から明らかなように、本発明の空気
調和機用作動媒体組成物はR410Aにプロパンを1重量%か
ら20重量%添加することによりCOPが向上することが確
かめられた。
【0048】なお、実施例は主にアルキルベンゼンにつ
いてのみ説明したが、第2表の実施例8〜11、比較例8〜1
1、第5表からわかるように、ナフテン系、パラフィン系
鉱油、ポリαオレフィン、ポリブテン等の炭化水素系冷
凍機油についてもアルキルベンゼンと全く同様の効果が
ある。冷媒についても同様で、実施例17〜20からわかる
ように冷媒の種類に関係なく、プロパンを添加すること
で圧縮機への油戻りが確保できる。また、鉱油、アルキ
ルベンゼンの粘度グレード及びプロパン添加量について
は圧縮機の型式を勘定して決められる。即ち、圧縮機の
信頼性あるいは効率を維持するために必要な最低粘度
(冷媒溶解時の粘度)は、レシプロ型では1〜2mm2/s、
スクロール型では2〜31〜2mm2/s、ロータリ型では3〜5m
m2/s、スクリュー型ではブローホールの密封の面から20
〜30mm2/sである。したがって、空気調和機に使用され
る圧縮機の型式によって冷凍機油の粘度グレード並びに
プロパン添加量が決められるが、これは設計上の問題で
あるため、本発明では言及しない。
【0049】以上の結果から、ジフルオロメタンとペン
タフルオロエタンから成る混合冷媒あるいはジフルオロ
メタン、ペンタフルオロエタン、1,1,1,2-テトラフルオ
ロエタンから成る混合冷媒と、これら冷媒と完全溶解し
ない炭化水素系冷凍機油とで構成される空気調和機用作
動媒体において、プロパンを前記冷媒に1重量%から20
重量%添加することで、上記のHFC系混合冷媒と完全溶
解しない炭化水素系冷凍機油の溶解性を高め、圧縮機へ
の油戻りを充分に確保でき、長期において圧縮機の信頼
性を確保できる。また、冷媒にプロパンを添加すること
でCOPを高めることが確かめられた。
【0050】
【発明の効果】本発明は前記した混合冷媒と、該混合冷
媒と完全溶解しない炭化水素系冷凍機油にプロパンを添
加することにより、完全溶解しない炭化水素系冷凍機油
の溶解性が向上する効果を有する。更に、炭化水素系冷
凍機油としてアルキルベンゼンまたは鉱油を用いること
により熱安定性が優れ、また、プロパンの添加量を1重
量%から20重量%の範囲とすることにより、アルキルベ
ンゼンや鉱油の溶解性を向上させるとともに、空気調和
機用作動媒体の可燃性を小さくできる。
【0051】また、本発明の空気調和機は、前記の作動
媒体組成物を用いることにより、圧縮機への油戻り量が
充分にあるという効果を有し、更に、アルキルベンゼン
あるいは鉱油を用いることで長期信頼性を具備した空気
調和機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】スクロール式圧縮機を説明する断面図である。
【図2】空気調和機の概略を説明する図である。
【符号の説明】
1…固定スクロール部材、2…旋回スクロール部材、3,4
…端版、5,6…ラップ、7…クランクシャフト、8…圧縮
室、9…吐出口、10…フレーム、11…圧力容器、12…吐
出パイプ、13…モータ、14…油孔、15…アルダムリン
グ、16…滑り軸受け、17…吸入パイプ、18…圧縮機、19
…四方弁、20…室外熱交換器、21…膨張手段、22…室内
熱交換器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川島 憲一 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 (72)発明者 飯塚 董 栃木県下都賀郡大平町大字富田800番地 株式会社日立製作所冷熱事業部内 Fターム(参考) 4H006 AA01 AA03 AB93 BB11 BB12 BB49 BM71 EB12 EB13 FE74 4H104 BA03A DA02A LA04 LA20 PA20

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)ジフルオロメタンとペンタフルオロエ
    タンから成る混合冷媒、又はジフルオロメタン、ペンタ
    フルオロエタン、1,1,1,2-テトラフルオロエタンから成
    る混合冷媒と、(B)混合冷媒に完全溶解しない炭化水素
    系冷凍機油及び(C)プロパンとを含むことを特徴とする
    空気調和機用作動媒体組成物。
  2. 【請求項2】前記炭化水素系冷凍機油がアルキルベンゼ
    ン又は鉱油である請求項1記載の空気調和機用作動媒体
    組成物。
  3. 【請求項3】前記プロパンが前記混合冷媒に対し、1重
    量%から20重量%含む請求項1記載の空気調和機用作動
    媒体組成物。
  4. 【請求項4】圧縮機から吐出された冷媒ガスを凝縮手
    段、膨張手段、蒸発手段を介し循環する冷凍サイクルを
    備えた空気調和機において、該空気調和機の作動媒体
    が、(A)ジフルオロメタンとペンタフルオロエタンから
    成る混合冷媒又はジフルオロメタン、ペンタフルオロエ
    タン、1,1,1,2-テトラフルオロエタンから成る混合冷媒
    と、(B)該混合冷媒に完全溶解しない炭化水素系冷凍機
    油及び(C)プロパンとを含むことを特徴とする空気調和
    機。
  5. 【請求項5】前記炭化水素系冷凍機油がアルキルベンゼ
    ン又は鉱油である請求項4記載の空気調和機。
  6. 【請求項6】前記プロパンが前記混合冷媒に対し、1重
    量%から20重量%含む請求項4記載の空気調和機。
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