JP2000034736A - 地盤の地震時液状化防止工法及び、この工法に用いる送排水管構造 - Google Patents

地盤の地震時液状化防止工法及び、この工法に用いる送排水管構造

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 地盤の沈下がなく、しかも、地震があっても
半永久的に液状化防止効果が持続される地盤の液状化防
止工法を提供する。 【解決手段】 粘着力が微弱な地盤中に過飽和空気溶存
水あるいは、空気混合水を注入させることにより地盤中
に微細気泡混入範囲を造成し、微細気泡混入範囲の地下
水の飽和度を地震時に液状化が発生しない程度まで低下
させて液状化を防止することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、地盤の地震時液状
化防止工法と、これに用いる送排水管構造に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】地盤の液状化とは、地下水により飽和し
た粘着力が微弱なゆるい砂質の地盤が地震により激しく
揺すられた際に起きる特異な現象である。砂をゆるく詰
めた容器を激しく揺すると、容器中の砂の空隙容積が縮
小するために砂が揺すり込まれて体積が減ることは、日
常見られる現象である。乾いたゆるい砂地盤が地震によ
り激しく揺すられると同様な現象が生じ、砂の空隙容積
が縮小するために地盤が沈下する。しかし、乾いたゆる
い砂地盤が揺すられる場合には、多少の沈下が生じるほ
かに重大な被害を及ぼすようなことは無い。
【0003】しかし、地盤が地下水により飽和している
場合には、ゆるい砂の空隙容積の縮小は急激な過剰間隙
水圧の上昇を招き、砂粒子間の接触圧は消滅し、あたか
も地下水中に砂粒子が浮遊しているような状態になる。
この状態を液状化という。地盤が液状化すると、地中に
あった軽い物体は浮き上がり重い物体は沈み込む。ま
た、見た目では平らに見えるような極めて緩い傾斜面上
でも、液状化した地盤は低い方へ徐々に流動する。この
ようにして、液状化が生じると地盤は支持力を失い、土
砂が地表面にふき上がる噴砂現象が発生する。
【0004】前記の液状化を起こしやすい土の条件とし
ては、相対密度75%以下、均等係数10以下、
50%粒径D50が0.074〜2.0mm、上載荷
重2Kgf/cm2 以下などが挙げられていたが、阪神淡路大
震災では、D50が2.0mm以上の砂礫地盤でも液状
化が発生した。
【0005】また、前記従来の液状化の対策としては、
地盤を液状化しないように改良する方法と、液状化が発
生しても構造物に致命的な被害を生じないように構造物
を設計する方法が考えられている。
【0006】前記の地盤の性質を改良することによる液
状化防止対策の中にも、(A),密度の増大工法、
(B),固結工法、(C),置換工法(粒度の改良)、
(D),飽和度の低下工法等がある。
【0007】本発明は、地盤改良による液状化防止対策
の中の前記、(D),飽和度の低下工法に属し、従来の
この飽和度工法の欠点を改良するものである。
【0008】従来の飽和度の低下工法には、ディープウ
ェル工法と排水トンネルによる地下水位低下工法が考え
られたことがある。
【0009】ディープウェル工法は、ディープウェルに
より地下水を汲み上げて地下水位を低下させる工法であ
る。この工法では、地下水位の低下による地盤沈下の影
響が大きいので、都市地域では実施不可能であると考え
られる。
【0010】排水トンネル工法は、地中深部に設置した
多孔質トンネルに地下水を流入させ、前記トンネルから
地下水を汲み上げて地下水位を低下させる工法である。
この工法でも、ディープウェル工法と同様に、地下水位
の低下による地盤沈下の影響が大きいので、都市地域で
は実施不可能であると考えられる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】従来の液状化防止対策
としての飽和度(地下水位)低下工法では、地盤沈下が
生じ、構造物の沈下を考慮する必要があるなどの問題が
あった。本発明は前述の課題を解決したもので、地盤沈
下が生じない液状化防止工法を提供することを目的とす
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明に係る地盤の地震時液状化防止工法は、粘着
力が微弱な地盤中に過飽和空気溶存水あるいは、空気混
合水を注入させることにより地盤中に微細気泡混入範囲
を造成し、微細気泡混入範囲の地下水の飽和度を地震時
に液状化が発生しない程度まで低下させて液状化を防止
することを特徴とする。また本発明の地震時液状化防止
工法は、粘着力が微弱な地盤中に過飽和空気溶存水ある
いは空気混合水を注入させることにより、微細気泡混入
範囲を形成するため、微細気泡混入範囲の地表面に不透
気性の被覆を設けると共に、この被覆周囲に沿い地下水
面以下の深さまでの遮断壁を形成し、前記遮断壁の内側
において、前記不透気性の被覆を貫通して地表面から送
水管を地中に貫入させ、その先端から過飽和空気溶存水
あるいは空気混合水を注入することにより、前記不透気
性の被覆下の地中に空気を充満させ、前記不透気性の被
覆の下全面に空気が充満して、前記遮断壁の外側から空
気が漏出するようになった後、前記送水管の挿入と対応
して地中に貫入した集水管から、前記送水管で注入した
過飽和空気溶存水のうちの過飽和分の空気溶存水あるい
は空気混合水の注入と集水を行い、前記の操作を繰り返
して所定の深さまで地盤改良を行うことを特徴とする。
また本発明の地震時液状化防止工法に用いる送排水管構
造は、送水弁を有し注入装置に接続する送水管と、排水
弁を有し排水装置に接続する排水管とを合流させてなる
送排水管を、送水管兼用排水管とし、前記送排水管内に
送水弁を有し高圧送水装置に接続する高圧送水管を導い
て両管で内外2重管とし、前記高圧送水管を地盤掘進用
刃部と噴射水ノズル機構を有する第1管体に接続し、前
記送排水管を、前記第1管体に非連通的に連設されてお
り、かつ送排水用ストレーナを有する第2管体に接続し
た構成を特徴とする。前記第1管体には、前記噴射水ノ
ズルと別に噴射水ノズルから噴射された水を取込む集水
孔を設けるとよい。また、本発明では、前記噴射水ノズ
ルは、環状に噴射水を噴射すべく第1管体の内側に間隙
を有して保持されたほぼ円錐状のガイド部材を有し、か
つ前記第1管体には前記集水孔からの水圧で作動するリ
ングバルブが設けられていることを特徴とする。
【0013】本発明によると、液状化防止対策が施され
るべき地盤に過飽和空気溶存水あるいは空気混合水を送
り込むことで地盤中に気泡が発生し、地盤中の地下水の
飽和度を低下させることができ、前記過飽和空気溶存水
あるいは空気混合水を注入した後の地中には微細気泡が
混入し、滞留することで地盤の沈下が発生せず、かつ、
微細気泡は気泡周囲の地下水が流動しない限り地中に半
永久的に留まるので、地震が発生しても液状化が生ぜず
長期にわたって安定した地盤の状態が保持される。
【0014】本発明の典型的な適用例を図によって説明
すると、まず、微細気泡を混入させようとする範囲の地
表面に不透気性の被覆1を設け、その被覆1の周縁部を
地表面から地下水面まで達する不透気性の遮断壁2で囲
い、図1に示すように空気を混入させようとする範囲の
中央部分に微細網目のストレーナ3(図2に示す)が付
いた送水管4を前記被覆1を貫通して未改良地盤25a
中に土質に応じた適当長を貫入させ、送水管4および、
ストレーナ3を通じて過飽和空気溶存水あるいは空気混
合水を送水管4の周囲地盤25中に注入する。なお、土
質に応じた適当長とは、例えば2〜3mくらいが目安で
ある。
【0015】微細気泡を混入させようとする地表面の範
囲内において、中心対称に配置した送水管4の中心に、
集水管5を送水管4と同様に地盤中に土質に応じた適当
長を貫入させる。集水管5は送水管4から注入した中心
方向へ向かう注入水を集めて排水する。 不透気性の被
覆1の下全面に空気が充満して遮断壁2の外側から空気
が漏出するようになった後、送水管4および集水管5を
さらに土質に応じた適当長を未改良地盤25a中に貫入
させ、送水管4およびストレーナ3を通じて過飽和空気
溶存水あるいは空気混合水を周囲地盤中に注入し、前回
注入した過飽和空気溶存水あるいは空気混合水の下全面
に充満して、遮断壁2の外側および集水管5から注入水
が漏出するようになった後、送水管4および集水管5を
さらに土質に応じた適当長を未改良地盤25a中に貫入
させ、送水管4および、ストレーナ3を通じて過飽和空
気溶存水あるいは空気混合水を前記送水管4の周囲地盤
25中に注入する操作を繰り返し、微細気泡eを混入さ
せようとする範囲の所定の深さまで、注入水から分離し
た空気を充満させる。前記の場合、送水管4および集水
管5は所定長の短尺管を用い、地上において継ぎ足しな
がら未改良地盤25a中に貫入するのがよい。
【0016】図2〜図5に示すように、上述の操作を繰
り返して、地盤中に注入された過飽和空気溶存水あるい
は空気混合水は、ストレーナ3および地盤土間隙を通過
することにより、過飽和空気溶存水では気泡が湧き出
し、空気混合水では気泡が分離して微細な気泡になる。
微細でない空気塊は地盤土間隙を通過して浮上し不透気
性の被覆1の下全面に充満して遮断壁2の外側または、
集水管5から漏出し地上に散逸するが、分裂した微細な
気泡は、地盤土の間隙を通過せず複数個の土粒子により
浮上を妨げられ地盤土中に閉じ込められ、気泡周囲の地
下水が流動しない限り半永久的に最初地盤土中に閉じ込
められた位置に滞留する。
【0017】微細気泡を混入させようとする範囲の全体
に当該土層の全深d(図2〜図5に示す)にわたり確実
に空気を充満させたい場合には、図1の右半分に示すよ
うに集水管5を遮断壁2の外周に沿い送水管4相互の間
隔Sにほぼ等しい間隔で配置し、送水管4および中心位
置の集水管5と同様に土質に応じた適当長ずつ一斉に地
中に貫入させる。また、図1において、集水管5は遮断
壁2の外周の右半分のみ図示したが、左半分にも同様に
設けてもよい。なお、前記遮断壁2の外側の集水管5は
省略することも可能である。
【0018】上記操作により、粘着力が微弱な地盤中に
過飽和空気溶存水あるいは空気混合水を注入することに
より、地下水の飽和度が低い微細気泡混入範囲を造成す
れば、微細気泡混入範囲内の地下水の飽和度は地下水が
流動しない限り、地震時に微細気泡混入範囲内の地盤2
5が液状化を起こさない程度の低さに半永久的に保たれ
る。
【0019】送水管4相互の間隔S、送水管4から不透
気性の被覆1の周辺までの距離Lおよび、送水管4から
集水管5までの距離mは、微細気泡混入範囲を造成しよ
うとする土層の厚さdおよび、当該土層の粒度分布、密
度等を勘案して決める。
【0020】本工法により過飽和空気溶存水あるいは空
気混合水の注入処理を必要とする地点は、都会地の平坦
な沖積地盤または、臨海地区の埋め立て地盤であって水
道および下水道が普及しており、付近に浅い井戸がな
く、仮に井戸があっても常時使用されていないので地盤
浅部で地下水が流動することはない。
【0021】また、本工法により過飽和空気溶存水ある
いは、空気混合水の注入処理を必要とする場所が河川の
河底面または海底面であっても、水底面地盤の勾配が極
めて緩く水平に近いので水底面下地盤中の地下水の流動
は微弱である。
【0022】河底面下地盤中の地下水の流動が微弱であ
って、微細な気泡がほとんど移動していないことは、1
964年の新潟地震における萬代橋および、1995年
の阪神淡路大震災における神崎川橋の基礎ニューマチッ
ク・ケーソンの周囲の微細気泡混入範囲が、ケーソンの
建設後萬代橋では35年間、神崎川橋では27年間ほと
んど移動せずに停滞し、ケーソン周囲地盤の液状化を防
止したことから見ても明らかである。
【0023】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施形態を順を追っ
て説明する。 (a).陸上の地表面に設ける不透気性の被覆1は、図
6に示すように塩化ビニールシートのような不透気性の
シート1aを地表面28上に敷き周囲数か所を小杭、石
塊等で固定し適当な厚さに土1bを被せたものである。
地表面にアスファルト等の不透気性舗装がある場合は、
これらが被覆1の代用として利用できる。不透気性の被
覆1と送水管4、集水管5および地下水面29の位置ま
で伸びる遮断壁2との間隙は、空気の漏出を最小限にと
どめるように例えばブチルゴムのような可塑性材料など
からなる気密材37により閉塞する。
【0024】前記送水管4と集水管5とはそれぞれ別体
の管として構成してもよいが、本発明の図7に示す具体
例では、送水弁15を有し送水装置に接続する送水管1
0と、集水弁16を有し集水装置に接続する排水管11
とを合流させてなる送排水管12を、送水管4兼用集水
管5としている。また、前記排水管4と集水管5は、必
要ならば、圧縮空気吹き込み用の空気吹き込み管および
集気管としても代用できる。送排水管12の先端部は、
前記送排水管12内に送水弁14を有し、高圧水送水装
置に接続する送水管13を導いて両管で内外2重管と
し、送水管13を地盤掘進用の刃部19と噴射水環形ノ
ズル8機構を有する第1管体17に接続し、さらに、送
排水管12を前記第1管体17に非連通的に連設してあ
り、かつ送排水用ストレーナ3を有する第2管体18に
ネジ結合部41で接続した構成としている。
【0025】また、前記第1管体17には、前記噴射水
環形ノズル8とは別に、この噴射水環形ノズル8からの
水を取込む集水孔7が設けられている。前記噴射水環形
ノズル8は、環状に噴射水を噴射すべく第1管体17の
内側に間隙を有して保持されたほぼ円錐形のブロック2
0で構成され、かつ、前記第1管体17の上端部には集
水孔7からの水圧で作動するリングバルブ6が設けられ
ている。リングバルブ6は、その自重または引下げバネ
(図示省略)により環形溝に嵌合閉鎖しているが、集水
孔7からの水圧で作動開口し、集水孔7から進入した水
を上方へ排水する。
【0026】(b).図8に示すように水底面31の地
表面32に設ける不透気性の被覆1では、塩化ビニール
シートのような不透気性のシート1aに多数の石塊など
の重り1cを固定したものを水底に沈めて水底面に敷
き、周囲数か所を大きい石塊または土を詰めた袋などに
より固定しシート1aの上にも多数の石塊、土を詰めた
袋等を載せて波浪、水流等により移動しないようにする
とよい。不透気性の被覆1と送水管4および集水管5と
の間隙は空気が漏れないように密閉する。
【0027】(c).図2〜図5において、不透気性の
被覆1の周囲を地表面28から地下水面29まで達する
不透気性の遮断壁2は、幅の狭い溝に粘土などの不透気
性の材料を詰めたものか、またはトレンチ用の小型のシ
ートパイルを打ち込んだものである。シートパイルは、
過飽和空気溶存水あるいは空気混合水の注入操作が終わ
った後引き抜いて再利用できる。
【0028】図8に示す水底の地表面31に設ける不透
気性の被覆1の周囲には、遮断壁2を設ける必要はな
い。図8では、置き換え砂33の上に基礎捨石34を介
して護岸用ケーソン35が設置され、ケーソン35の背
面に裏込石36が充填されている。
【0029】(d).送排水管12および、ストレーナ
3を未改良地盤25a中に貫入させるためには、図7に
示すような送水弁15を有する送水管4と、排水弁16
を有する排水管11が合流してなる前記の送排水管12
内に送水管13を導入してこの部分を2重管とし、送水
管13の送水弁14を開き、送水弁15を閉じ、排水弁
16を開き、第1管体17の噴射水環形ノズル8を通じ
る高圧噴射水により送排水管12の先端を地中に回転揺
動しながら押し込む方法による。噴射した水は第1、第
2管体17、18の接続部に設けた集水孔7を通じ、ス
トレーナ3内の送排水管12および排水弁16を通じ排
水管11から排水される。過飽和空気溶存水あるいは空
気混合水を注入するには、排水弁16を閉じ、送水弁1
5を開き送水し、第2管体18のストレーナ3を通じ、
過飽和空気溶存水あるいは空気混合水を周囲地盤25中
に放出する。
【0030】噴射水環形ノズル8を形成する円錐形のブ
ロック20は、図7に略図的に示す周囲3か所以上の支
持腕21で第1管体17内に固定されている。
【0031】第2管体18のストレーナ3部分より上の
管体部分と、送排水管12と、地盤との間の隙間には膨
脹性シール9が設けてあり、この膨脹性シール9は送水
管10から供給される注入水により膨脹して、第2管体
18と地盤との間の隙間を密閉し、ストレーナ3から放
出された注入水から湧き出した気泡あるいは分離した気
泡が、第2管体18と地盤との間の隙間を通じて、上昇
し地下水面上に散逸することを防ぐ。
【0032】(e).送水管4として前記方法により地
中に貫入させた送排水管12は、送水弁15および送水
弁14を閉じ、排水弁16を開けることにより集水管5
とすることができる。ストレーナ3を通じて集水した注
入水は、排水弁16を通じて排水管11から地上に放出
する。
【0033】地中に貫入させた送排水管12中の排水経
路は、集水孔7から浸入した水が充満していて、集水能
率が低いが、排水管11には水ポンプの吸い込み口を連
結して排水すれば集水能力を高めることができる。
【0034】(f).噴射水環形ノズル8からの高圧噴
射水のみでは、送水管4または集水管5、つまり、送排
水管12を地盤中に貫入できないような砂礫地盤では、
図6に示すように土質調査用ロータリーボーリング機等
により削孔した小孔4a中に送水管4または集水管5を
押し込む方法による。
【0035】(g).送水管4または集水管5を地盤中
に押し込み、過飽和空気溶存水あるいは空気混合水の注
入操作終了後引き抜くためには、土質調査ボーリング用
の三脚架等を用いる。なお、送水管4または集水管5で
ある送排水管12および、送水管13はそれぞれ所定長
の単管を連結して構成し、この単管を図7に示すネジ結
合による継手部39,40で地上において継ぎ足しなが
ら徐々に地盤中に貫入していく。
【0036】(h).高圧噴射水の供給には、送水管1
3に接続の高圧水ポンプ(図示省略)を用いる。
【0037】(i).注入用の過飽和空気溶存水あるい
は空気混合水の供給には、送水管4に水ポンプを接続
し、適当な圧力の注入を行う。
【0038】(j).送水管4からストレーナ3を通じ
て地盤中へ注入された注入水は、地盤中の地下水を押し
退けながら地中に浸入するが、一様には拡散しないで枝
分かれした束状に浸入する。その地中に浸入する状況
は、薬液注入の場合の割裂注入に似ている。
【0039】低圧の注入水が地下水を押し退けながら地
中に一様に拡散する場合、圧入された注入水の前端の進
行速度は地盤中の透水速度に等しく、粗砂中でも毎分数
ミリメーター程度の極めて遅い速度であって、ストレー
ナ3から微細気泡を混入させようとする範囲の外縁また
は集水管5に達するには、その距離が5mないし10m
の場合には数十時間かかり、注入作業の能率は極めて低
い。そこで注入圧を適当な高さに上げると、注入された
注入水は割裂注入に似た束状になって高い速度で浸入す
るので、空気を混入させようとする範囲の外縁まで数分
間ないし数十分間で到達する。地下水流が常時ある箇所
では、地下水流の上流端にある送水管からの多量の過飽
和空気溶存水あるいは空気混合水を注入し続ける。
【0040】例えば、10mの深さまでを三層に分けて
注入作業を行い、一層当たり100分間かかる場合に
は、全深の作業を完了することが5時間でできる。
【0041】[酸素欠乏空気発生の予防について]過飽
和空気溶存水あるいは空気混合水を注入することによ
り、微細気泡混入範囲を造成しようとする地盤が、酸化
第二鉄を含む場合は、酸素欠乏空気が発生するおそれが
ある。当該地盤が酸化第二鉄を含むかどうかを検査する
には多大な時間と費用がかかる。したがって、全ての場
合に集水管5から排出される空気の酸素濃度を一回の注
入操作が終わる毎に測定し、酸素濃度が21%未満の場
合は酸素濃度が21%に回復するまで過飽和空気溶存水
あるいは、空気混合水を注入し続ける。
【0042】[応用例1.護岸壁の背面地盤および基礎
地盤の地震時液状化防止法]図8、図9に示すように護
岸壁22の背面地盤表面に不透気性の被覆1を設け、そ
の外縁に地表面から地下水面に達する遮断壁2を設け、
護岸壁22の前面水底面31に不透気性の被覆1を設け
る。
【0043】送水管4および集水管5は、護岸壁22の
背面および前面から少し離れた点から図8に示すように
配置し、置き換え砂最深部23へ向けて送水管4および
集水管5の全数を一斉に貫入させながら、本工法の概要
に示した操作と同様に層状に過飽和空気溶存水あるいは
空気混合水を注入する。
【0044】送水管4および集水管5は護岸壁の外周に
図8、図9に示すように配置し、送水管4および集水管
5は、全数を一斉に貫入させながら本工法の概要に示し
た操作と同様に、層状に過飽和空気溶存水あるいは空気
混合水を注入する。送水管4相互の間隔S、送水管4か
ら集水管5までの距離mおよび、集水管5から不透気性
の被覆1の外縁までの距離Lは、注入水の注入処理を行
う粘着力が微弱土層の厚さdおよび当該土層の粒度分
布、密度等を勘案して決める。
【0045】送水管4または集水管5を裏込石および捨
石の部分へ貫入させるには、予めロータリー・ボーリン
グにより裏込石または捨石中に大口径の削孔24を設
け、この削孔24のケーシングに砂を充満させ、砂を補
充しながらケーシングを引き抜くことにより、裏込石3
6または基礎捨石34中に砂柱24を形成し、この砂柱
24内に送水管4または集水管5を噴射水を用いること
により貫入させる。
【0046】図9に示す送水管4相互の間隔S、送水管
4から集水管5までの距離mおよび、集水管5と不透気
性の被覆1の周辺までの距離Lは、微細気泡混入範囲を
造成しようとする土層の厚さdおよび当該土層の粒度分
布、密度等を勘案して決める。
【0047】1回の過飽和空気溶存水あるいは、空気混
合水を注入する間に送水管4から集水管5に流入し、集
水管5に流入する注入水から分離される空気の酸素濃度
を測定して酸素欠乏空気発生の有無を確かめ、酸素欠乏
空気発生のおそれがある場合には、集水管5に流入する
注入水から分離される空気の酸素濃度が21%に回復す
るまで過飽和空気溶存水あるいは空気混合水を続けて注
入させる。
【0048】護岸壁基礎の置き換え砂最深部までの過飽
和空気溶存水あるいは空気混合水の注入が完了すると、
この護岸壁22の背面地盤または基礎の置き換え砂33
中の地下水の飽和度は、半永久的に地震時に液状化を防
止できる低さに保たれ、地震時に地盤または置き換え砂
の液状化により護岸が崩壊することはない。
【0049】[応用例2.直接基礎、杭基礎またはオー
プン・ケーソン基礎地盤の地震時液状化防止法]図1
0、図11に示すように基礎体26に密接して、この基
礎体26の周囲の地表面に不透気性の被覆1を設け、そ
の外縁に地表面から地下水面に達する遮断壁2を設け
る。各図の左半面に示すように基礎体26が円形の場合
には不透気性の被覆1の外縁の形も円形とし、各図の右
半面に示すように基礎体26が四角形の場合には不透気
性の被覆1の外縁の形も四角形とする。
【0050】送水管4は数本をフーチング外縁から少し
離して同心円上に配置し、送水管4の配置間隔Sは、注
入処理を行う粘着力がない土層の厚さdおよび当該土層
の粒度分布、密度等を勘案して決める。
【0051】過飽和空気溶存水あるいは空気混合水の注
入には、全送水管4を一斉に下向きに一定長ずつ貫入さ
せることにより、地表面上における前述の操作と同様に
層状に過飽和空気溶存水あるいは空気混合水を注入す
る。
【0052】図12、図13に示す杭基礎27の場合に
は、杭基礎群の周囲地盤のみでなく、杭基礎間の地盤ま
で空気混入処理をするので、各図に示すように支持杭3
8上端のフーチング27aに削孔しフーチング周囲の送
水管4の本数のほぼ半数の集水管5を設け、フーチング
27a下の地盤に注入された注入水が集水管5へ向けて
流動し、集水管5から地上に排水されるようにする。
【0053】直接基礎、オープン・ケーソン基礎、杭基
礎のいずれの場合でも、集水管5から放出される空気の
酸素濃度を測定して酸素欠乏空気発生の有無を確かめ、
酸素欠乏空気発生のおそれがある場合には、集水管から
放出される空気の酸素濃度が21%に回復するまで過飽
和空気溶存水あるいは空気混合水を注入する。
【0054】水中基礎の周囲に設ける水底地盤表面の不
透水性の被覆1は、前述した本工法の詳細説明に示す要
領により設置する。
【0055】直接基礎、杭基礎またはオープン・ケーソ
ン基礎の粘着力が微弱な地盤の全深に対して、上記の要
領により注入操作を行えば、当該地盤中の地下水の飽和
度は半永久的に地震時に液状化を防止できる低さに保た
れ、当該地盤の液状化が原因で当該基礎により支持され
る構造物が移動、傾斜または倒壊することがない。
【0056】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の地盤の地
震時液状化防止工法によると、粘着力が微弱な地盤中に
過飽和空気溶存水あるいは空気混合水を注入することに
より微細気泡混入範囲を造成し、微細気泡混入範囲の地
下水の飽和度を地震時に液状化が発生しない程度まで低
下させて液状化を防止するもので、飽和度低下による地
盤沈下の不具合を解消でき、しかも、地盤の液状化が原
因で、当該地盤に設置の基礎により支持される構造物が
移動、傾斜または倒壊しないというすぐれた効果を有す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液状化防止工法を実施するための、過
飽和空気溶存水あるいは空気混合水注入装置の平面図で
ある。
【図2】図1のA−A断面図で、第1施工工程を示す図
である。
【図3】図1のA−A断面図で、第2施工工程を示す図
である。
【図4】図1のA−A断面図で、第3施工工程を示す図
である。
【図5】図1のA−A断面図で、第4(最終)施工工程
を示す図である。
【図6】地盤に微細気泡混入範囲を造成するための、不
透明性の被覆を示す断面図である。
【図7】地盤へ微細気泡混入のための送排水管構造の断
面説明図である。
【図8】護岸周囲及び、基礎地盤の過飽和空気溶存水あ
るいは、空気混合水注入処理状態を示す断面図である。
【図9】図8の平面説明図である。
【図10】基礎体周囲地盤の過飽和空気溶存水あるい
は、空気混合水注入処理状態を示す平面説明図である。
【図11】図10のB−B断面図である。
【図12】杭基礎周囲地盤の過飽和空気溶存水あるい
は、空気混合水注入処理状態を示す平面説明図である。
【図13】図12のC−C断面図である。
【符号の説明】
1 不透気性の被覆 2 不透気性の遮断壁 3 ストレーナ 4 空気吹き込み管 5 集水管 6 リングバルブ 7 集水孔 8 噴射水環形ノズル 9 膨張性シール 10 送水管 11 排水管 12 送排水管 13 送水管 14 送水弁 15 送水弁 16 排水弁 17 第1管体 18 第2管体 19 刃部 20 ブロック 21 支持腕 22 護岸壁 23 置き換え砂最深部 24 砂柱 25 微細気泡混入の地盤 26 基礎体 27 杭基礎 28 地表面 29 地下水面 30 腕部 31 水底面 32 地表面 33 置き換え砂 34 基礎捨石 35 護岸用ケーソン 36 裏込石 37 気密材 38 支持杭 39 継手 40 継手 41 ネジ結合部

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粘着力が微弱な地盤中に過飽和空気溶存
    水あるいは空気混合水を注入させることにより地盤中に
    微細気泡混入範囲を造成し、微細気泡混入範囲の地下水
    の飽和度を地震時に液状化が発生しない程度まで低下さ
    せて液状化を防止することを特徴とする地盤の地震時液
    状化防止工法。
  2. 【請求項2】 粘着力が微弱な地盤中に過飽和空気溶存
    水あるいは空気混合水を注入させることにより微細気泡
    混入範囲を形成するため、微細気泡混入範囲の地表面に
    不透気性の被覆を設けると共に、この被覆周囲に沿い地
    下水面以下の深さまでの遮断壁を形成し、前記遮断壁の
    内側において、前記不透気性の被覆を貫通して地表面か
    ら送水管を地中に貫入させ、その先端から過飽和空気溶
    存水あるいは空気混合水を注入することにより、前記不
    透気性の被覆下の地中に空気を充満させ、前記不透気性
    の被覆の下全面に空気が充満して、前記遮断壁の外側か
    ら空気が漏出するようになった後、前記送水管の挿入と
    対応して地中に貫入した集水管から、前記送水管で注入
    した過飽和空気溶存水のうちの過飽和分の空気溶存水あ
    るいは空気混合水の注入と集水を行い、前記の操作を繰
    り返して所定の深さまで地盤改良を行うことを特徴とす
    る地盤の地震時液状化防止工法。
  3. 【請求項3】 送水弁を有し注入装置に接続する送水管
    と、排水弁を有し排水装置に接続する排水管とを合流さ
    せてなる送排水管を、送水管兼用排水管とし、前記送排
    水管内に送水弁を有し高圧送水装置に接続する高圧送水
    管を導いて両管で内外2重管とし、前記高圧送水管を地
    盤掘進用刃部と噴射水ノズル機構を有する第1管体に接
    続し、前記送排水管を、前記第1管体に非連通的に連設
    されており、かつ送排水用ストレーナを有する第2管体
    に接続した構成を特徴とする地震時液状化防止工法に用
    いる送排水管構造。
  4. 【請求項4】 前記第2管体には、前記送排水用ストレ
    ーナと別に噴射水ノズルから噴射された水を取込む集水
    孔を設けてなる請求項3記載の地震時液状化防止工法に
    用いる送排水管構造。
  5. 【請求項5】 前記噴射水ノズルは、環状に噴射水を噴
    射すべく第1管体の内側に間隙を有して保持されたほぼ
    円錐状のガイド部材を有し、かつ前記第1管体には前記
    集水孔からの水圧で作動するリングバルブが設けられて
    いることを特徴とする請求項3記載の地震時液状化防止
    工法に用いる送排水管構造。
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