JP2000032660A - 電力系統事故の選択方法およびその装置 - Google Patents

電力系統事故の選択方法およびその装置

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JP2000032660A
JP2000032660A JP10198775A JP19877598A JP2000032660A JP 2000032660 A JP2000032660 A JP 2000032660A JP 10198775 A JP10198775 A JP 10198775A JP 19877598 A JP19877598 A JP 19877598A JP 2000032660 A JP2000032660 A JP 2000032660A
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博幸 橋本
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伯明 張
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電力系統において,想定される事故に関する
安定限界値を高速に高精度に求め,求められた安定限界
値をもとに事故の厳しさを評価して,想定事故ケースの
中から厳しい事故ケースを高速に求める。 【解決手段】 電力系統解析において,想定される事故
ケースに対する時間領域シミュレーション結果に基づい
て直接法により安定限界値を予測し,得られた安定限界
値を初期値として時間領域シミュレーション法を適用
し、安定限界値を求める。また、上記の安定限界値を求
める計算手順を多段階ステップ構成とすることにより安
定限界値を更に高速に高精度で求めることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電力系統において想
定される事故ケースの中から厳しい事故ケースを高速に
選択することにより、運転員が注視するべき事故ケース
数を電力系統にとって重大な影響を及ぼすものだけに絞
り、電力系統のセキュリティを監視するための運転員の
負荷を軽減する電力系統事故の選択方法およびその装置
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の事故選択手段は、例えば時間領域
シミュレーション法により、適当な初期値から始めて、
例えば二分探索法のような繰り返し手法を適用して、所
望の精度内で安定度限界値が得られるまでシミュレーシ
ョンを繰り返し、安定限界値を求めたりするものがあっ
た。また、想定事故ケースに対して事故発生時の影響を
考慮した重要度を示す指標を作成し、事故ケースの選択
を行なうものがある。例えば、特開平9ー74675号
公報に開示された手法では、定常時の電力系統の潮流状
態に対する感度行列の対角要素と、事故発生時の感度行
列の対角要素を比較することにより、詳細計算を実行す
る想定事故ケースを選択する。定常時と事故発生時のd
P/dδとdQ/dVを求め、両者の感度係数の誤差を
事故の重大さを表す指標としてとり、閾値を越えたも
の、または事故ケースのうち重大なものからあらかじめ
定められた数だけ選択する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】近年の電力系統はます
ます大規模・複雑化し、堅調な電力需要の増加を背景と
して、厳しい条件での運用が求められる。電力系統の運
転員は、安定で効率的な電力供給に向けて、現在の系統
でどこで発生する事故が危険であるか、そしてどの程度
安定であるのかを把握し、事前に事故の影響をできるだ
け小さくする。または事故を回避する制御方策を知るこ
とが重要になる。このような要請から、系統の動的セキ
ュリティをオンラインで監視する技術が必要になる。一
般的に系統の事故は、事故種別と事故発生地点、さらに
その発生確率で定義される。また、事故が系統に与える
影響は潮流状態にも依存する。したがって、系統の事故
を全て考慮することは現実的に不可能である。したがっ
て、事故に対するいくつかの仮定を設定し、あらかじめ
事故ケースを想定する。しかし、一般的に対象とする系
統規模が大きくなると、想定事故ケース数も膨大にな
り、全てのケースに対して詳細な検討を行なうには多大
な計算時間を要する。想定事故を設定する場合に、運転
員があらかじめ監視対象の事故を限定してケース数を減
らしておくことも考えられるが、潮流状態が常に変化す
る系統において厳しい事故ケースを漏らさずに、想定事
故ケースを選択するのは不可能である。したがって、事
故ケースに対して詳細な検討を実施する前に、事故選択
手段を設けて、運転員が注視すべき事故ケースだけを選
択して、想定事故ケース数を高速に合理的に減少させる
ようにする必要がある。ただし、事故ケースを選択する
場合、その選択基準となる指標は運転員にとって物理的
にわかりやすいものが望ましく、またその指標を高速に
正確に演算する必要がある。
【0004】時間領域シミュレーション法による安定度
限界値の探索には、非常に膨大な時間を必要とするため
にオンライン環境での事故選択手段として適用すること
ができない。また、上述した公知例では、選択された事
故ケースにおいて、実際に系統が不安定になるかどうか
は保証できない。また、その指標は運転員にとって物理
的イメージに欠け、直感的に分かりにくいという問題が
ある。
【0005】本発明は、従来技術の上記の問題点を解決
するためになされたもので、電力系統において、想定さ
れる事故に関する安定限界値を高速に高精度に求め、求
められた安定限界値をもとに事故の厳しさを評価して、
想定事故ケースの中から厳しい事故ケースを高速に求め
ることができる電力系統事故の選択方法およびその装置
を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の構成によ
る電力系統事故の選択方法は、電力系統解析において、
想定される事故ケースに対する時間領域シミュレーショ
ン結果に基づいて、系統の安定度に関する解析指標の安
定限界値を直接法により予測し、得られた安定限界値を
初期値として前記解析指標を修正しながら時間領域シミ
ュレーション法を繰り返し適用し、前記解析指標のより
正確な安定限界値を求めるものである。
【0007】また、本発明の第2の構成による電力系統
事故の選択方法は、第1の構成による事故選択方法にお
いて、電力系統の簡易モデルを用いて電力系統の安定度
を評価し、安定な事故ケースを取り除いて厳しい事故ケ
ースを選択するものである。
【0008】また、本発明の第3の構成による電力系統
事故の選択方法は、第1ステップにおいて電力系統の簡
易モデルを使用して第1の構成の事故選択方法を適用
し、安定度を評価して安定な事故ケースを取り除き、残
りのケースを第2ステップにおいて電力系統の詳細モデ
ルを使用して時間領域シミュレーション法により安定度
を評価して厳しい事故ケースを選択するものである。
【0009】また、本発明の第4の構成による電力系統
事故の選択方法は、第1ステップにおいて電力系統の簡
易モデルを使用して第1の構成の事故選択方法を適用
し、安定度を評価して安定な事故ケースを取り除き、残
りのケースに対して、第2ステップにおいて電力系統の
詳細モデルを使用して第1の構成の事故選択方法を適用
し、安定度を評価して厳しい事故ケースを選択するもの
である。
【0010】また、本発明の第5の構成による電力系統
事故の選択方法は、第3または第4の構成による事故選
択方法において、第1ステップの前段に事故発生直後の
系統状態から得られる安定度指標により十分安定な事故
ケースを取り除く手段を設けたものである。
【0011】また、本発明の第6の構成による電力系統
事故の選択方法は、第1から第5のいずれかの構成の事
故選択方法において、想定される事故に関する安定限界
値を求めた後、安定度に関する解析指標を安定限界値よ
り不安定な方向に少し変化させた値を設定して直接法を
適用し、不安定であることを確認する手順を加えたもの
である。
【0012】また、本発明の第7の構成による電力系統
事故の選択装置は、直接法の計算実行手段および、時間
領域シミュレーションの計算実行手段を備え、第1から
第6のいずれかの構成の電力系統事故の選択方法を実行
するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】一般的に、電力系統の動的セキュ
リティを評価するためには、発電機の内部状態をあらわ
す微分方程式と送電線により結合された発電機や母線の
電流・電圧をあらわす系統方程式から成る非線形方程式
を解く必要がある。解析的な解法がないので、一般的に
は数値計算により非線形方程式を解くことが多い。その
結果得られた時間応答波形から、動的セキュリティ評価
が行なわれる。このような数値解法には、主に過渡安定
度を対象にしたステップ・バイ・ステップ手法(SBS
法)のような発電機の運動方程式を解く手法や、微分方
程式を主にルンゲ・クッタ法のような数値積分手法を用
いて解き時間領域シミュレーションを行う手法がある。
時間領域での数値解法では、時間刻みで区切られた各時
刻で微分方程式を解くために計算量が多く、従来、多大
な計算時間を必要とした。しかし、近年、計算機のめざ
ましい発展のおかげで、高速なシミュレーションが行な
えるようになった。この時間領域シミュレーション手法
は、系統の動特性を最も正確に反映する手法であり、動
的セキュリティを評価するうえで最も精度が高いもので
ある。
【0014】一方、大規模な非線形方程式を解かずに、
系統の安定度を直接評価する高速な手法(direct
method;直接法)の研究が1950年頃から行
なわれている。代表的な手法に、エネルギー法や等面積
法(Equal AreaCriterion met
hod)などが挙げられる。これらの手法は、系統の安
定度を評価するという点では、一般的に言って上記の時
間領域シミュレーション法より高速な評価が可能であ
る。しかし、系統の条件によっては、正確な安定度の評
価は難しく、誤差が大きくなる。
【0015】動的セキュリティ評価のための安定限界値
を高速にかつ精度よく求めるために、上記の2つの手法
の長所をうまく活かすことができる安定限界探索のため
の安定限界値計算手段を提案する。当手段の演算フロー
は、以下の通りである。 1.まず、一回の時間領域シミュレーション結果に基づ
いて、直接法を適用して安定度の限界値を予測する。 2.次に、その予測値を時間領域シミュレーション法の
初期値とする。 3.最後に、時間領域シミュレーション法を繰り返し用
いることにより、予測値を修正して正しい安定度限界値
を求める.
【0016】また、高速な事故選択を行なうために、事
故選択手段を多段構成とし、第1ステップでは電力系統
を簡易な系統モデル(例えば、発電機を古典モデル、負
荷を定電力負荷で表現するなど)で表し、そのモデル上
で安定度を評価し、安定な事故ケースは取り除く。厳し
い事故ケースを潜在的に含む残った事故ケースに対し
て、第2ステップでは電力系統を詳細なモデル(例え
ば、発電機を詳細モデルで表し、発電機制御系を考慮す
る。系統の制御機器を考慮する。)で表し、そのモデル
上で安定度を評価し、最終的に厳しい事故ケースを選択
する。
【0017】本発明の事故選択手段によれば、電力系統
において安定度に重大な影響を及ぼす事故ケースを高速
にかつ精度よく求めることができる。また、安定度指標
として、CCT(Critical Clearing
Time;臨界故障除去時間)や潮流限界値などの物
理的に分かりやすい指標を採用することにより、系統の
運転員は現在の系統状態の直感的な把握にとって非常に
有用であると考えられる。事故選択手段を多段構成にす
ることにより、より効率的かつ合理的に安定度に対して
重大な影響を与える事故ケースを選択できる。
【0018】従来の直接法による事故選択手段、例えば
エネルギー関数法では、系統の詳細モデルを考慮した場
合、系統制御機器まで含めるとエネルギー関数の設計が
複雑になり、正確なエネルギー関数の使用が困難となる
ため、得られる安定限界値の精度低下につながる場合が
あった。しかし、本発明の事故選択手段によれば、詳細
モデルにもとずく時間領域シミュレーションにより高精
度の安定限界値が求められる。また、直接法を用いて安
定限界値の初期値を求める過程では、採用するモデルに
より得られる初期値が異なるが、この違いはその後の時
間領域シミュレーションの演算時間に影響を与えるだけ
であり、得られる安定度限界値の精度を低下させること
はない。
【0019】また、系統条件により、事故発生時にダン
ピングの悪い動揺が発生し、multi−swing不
安定現象が起こる場合、従来の直接法による事故選択手
段では安定度の評価に大きな誤差を生じてしまい、その
精度が非常に悪くなることがあった。しかし本発明の事
故選択手段によれば、時間領域シュミレーション法によ
る予測値修正の過程でmulti−swing不安定現
象も反映されるため、動的セキュリティ評価においてロ
バストな手段であるといえる。
【0020】実施の形態1.図1は実施の形態1におけ
る電力系統の事故選択処理フローの概略図である。この
実施の形態では、電力系統の安定度に関する解析指標と
してCT(Clearing Time;故障除去の許
容時間)を用いる。直接法としては、EEAC(Ext
ended Equal Area Criterio
n)を適用する。安定度指標は、CTの安定限界値であ
るCCT(Critical Cleaning Ti
me;臨界故障除去時間)として与えられる。
【0021】まず、予備的な解析として、ある事故ケー
スに対して系統を不安定にし得る十分に大きな事故除去
時間(clearing time)CTを設定し、事
故を発生させて時間領域シミュレーションを行なう。こ
のとき、シミュレーション結果が安定(例えば、任意の
2台の発電機間の位相角差が2π以内である)である場
合、十分安定な事故ケースであるとして捨てる。シミュ
レーション結果が不安定である事故ケースにつき、ある
観測時間において、観測した各発電機の位相角を大きい
ものから降順に並べる。隣接する2つの発電機の位相角
差が最大のところで、その値よりも大きい位相角の発電
機のグループと小さい位相角の発電機のグループに分け
る。このようにして、系統内の発電機を2つのグループ
(以下、グループCとグループRとする)に分けたあ
と、以下のように各グループに属する発電機を等価な一
機の発電機に置き換える。
【0022】
【数1】
【0023】それぞれのグループにおける発電機の運動
方程式は、以下のようになる。
【0024】
【数2】
【0025】さらに、2つの等価発電機を等価一機無限
大系統に置き換える。ここで、等価一機無限大系統の発
電機の内部位相角δを、 δ=δc −δr (3) とする。式(2)と式(3)から、最終的に、等価一機
無限大系統の運動方程式は次式で表される。
【0026】
【数3】
【0027】式(4)で表される運動方程式を事故後の
系統に対して求める。ここで、対象系統が簡易モデルな
らば、各変数は以下の式で求められる。
【0028】
【数4】
【0029】詳細モデルの場合、シミュレーションを行
い得られたデータから式(4)を推定することも可能で
ある。
【0030】また、ある事故除去位相角δt における等
価一機無限大系統の加速エネルギーAacc と最大の減速
エネルギーAdec は以下の式で求められる。図2を参
照。
【0031】
【数5】
【0032】ここで、δu はδu =π−δp +2αで与
えられる不安定平衡点である。δpは安定平衡点、δ0
は事故発生前の運転点である。
【0033】式(6)から、加速エネルギーAacc と最
大の減速エネルギーAdec を求めて、その差η η=Aacc −Adec (7) を求める。η=0となるように、故障除去位相角δt
調整し、臨界故障除去位相角δcct を求める。ここで、
式(4)で表されるようにδは時間tの関数であるが、
δから解析的にtを求めることは困難であるため、時間
tに関する位相角との関係を適当な多項式で近似する。
多項式を用いてδcct に相当する臨界故障除去時間t
cct を求め、初期値CCT0 とする。
【0034】次に、CCT0 を事故除去時間CTの初期
値として故障除去操作を模擬し、時間領域シミュレーシ
ョン法により例えば図3に示すフロー図で事故除去時間
の修正を行ない、精度εでCCTが求められるまで続け
る。ここでは、シミュレーション中に不安定判定条件を
満たすと、その時点でシミュレーションを終了するた
め、CCTを探索する場合にCCTより大きい故障除去
時間の方から探索していく方がシミュレーション時間が
短縮でき、効率的である。そのため、できるだけCCT
より大きい方から探索を行なうように次探索点の設定係
数を非対称とする工夫をしている。
【0035】従来、適当な初期値を設定して時間領域シ
ミュレーション法により求めていたが、直接法により得
られた安定限界値(CCT0 )を初期値として用いるこ
とにより、時間領域シミュレーション法による繰り返し
の回数を減少させ、少ない計算時間で安定限界値を求め
ることができる。また、直接法の結果をそのまま安定限
界値として採用する場合、系統の条件によっては精度が
悪い場合があり、求められた安定限界値の精度を保証す
ることができない。しかし、当手法の手順によれば、時
間領域シミュレーション法による修正により精度の高い
安定限界値を少ない計算時間で求めることができる。こ
のような安定限界値の計算手段を用いることにより、高
速で高精度な電力系統の事故選択が可能となる。
【0036】実施の形態2.図4は本実施の形態の事故
選択手段の構成図である。ここでは、例えば安定度指標
としてCCTを用いる。対象となる電力系統の簡易モデ
ルにおいて、実施の形態1の手順を適用して安定限界値
を求める。この実施例では、電力系統の詳細モデルを使
用していないので、実際の電力系統におけるCCTとは
違う。したがって、閾値1として、例えば保護リレーの
動作時間の2、3倍の時間を設定して、その事故ケース
に対して非常に安定なケースを系統の安定度に対して重
大な影響を及ぼさないケースとして捨てるという簡易な
事故選択手段として用いることができる。また、当手法
により、系統の簡易モデルのもとで精度の高い高速な事
故選択が可能である。
【0037】実施の形態3.図5は本実施の形態の事故
選択手段の構成図である。ここでは、例えば安定度指標
としてCCTを用いる。第1ステップでは、対象となる
系統の簡易モデルを用いて各事故ケースに対するCCT
を演算する。CCTの演算手順は実施の形態1に説明し
た手順と同じである。その結果得られたCCTに対し
て、例えば適当な閾値2を定めて、その閾値2より小さ
い事故ケースを全て選択し、系統の安定度に対して厳し
い事故ケースを潜在的に含むものとして、第2ステップ
に送る。第1ステップで選択されなかった事故ケースに
ついては、安定な事故ケースとして削除する。次に、第
2ステップでは、第1ステップで選択された事故ケース
に対して、対象となる系統の詳細モデルを用いて各事故
ケースに対するCCTを演算する。その場合に、例えば
時間領域シミュレーション法による繰返し演算を行う場
合、第1ステップ結果からCCTを初期値として演算を
始める。演算結果として得られたCCTから、例えば適
当な閾値3を定めて、その閾値3よりも小さい事故ケー
スを最終的に系統の安定度に対して厳しい事故ケースで
あるとする。
【0038】一般的に系統の簡易モデルを用いたほう
が、演算に必要な時間は小さい。さらに、第1ステップ
に実施の形態1の手順を適用することにより、第2ステ
ップでの解析事故ケース数を減少させることができ、大
幅な高速化が図られる。したがって、このような多段ス
テップ構成にすることにより、第1ステップでおおまか
な安定度の評価を行い、想定事故ケース中で大部分を占
めると考えられる十分安定な事故ケースを高速に排除す
ることができるので、事故選択手段全体の演算時間の短
縮につながると考えられる。
【0039】第2ステップに対して、詳細モデルによる
実施の形態1の手順を適用することにより、CCTのよ
り正確な初期値を得てさらに高速化を図ることができ
る。
【0040】実施の形態4.図6は本実施の形態の事故
選択手段の構成図である。前記の実施の形態3の事故選
択手段の前段に事故発生直後の系統状態から得られる安
定度指標により十分安定な事故ケースを取り除く手段を
設けることにより、対象となる事故ケース数をあらかじ
め減らすことができ、より事故選択の高速化を図ること
ができる。例えば、運用者が定める事故条件(例えば、
事故除去時間を150ms)の下で事故発生直後の各発
電機の角速度ωを利用して、以下の式(8)で表される
全発電機の加速エネルギーの和Atotal を求める。
【0041】
【数6】
【0042】適当な閾値4を定めて、 Atotal <閾値4 (9) を満たす事故ケースは、事故の影響が系統に対して小さ
いとして十分安定な事故ケースと判断して、シミュレー
ションを早期に打ち切り除外する。除外されなかった事
故ケースは、そのままシミュレーションを継続し、前記
の実施の形態3の処理を行なう。なお、実施の形態1の
計算手順を多段階ステップ構成のなかで実施する場合、
その予備的な解析過程は不要な場合もあるので、必要に
応じて行なえばよい。
【0043】実施の形態5.図7は本実施の形態の実施
例の装置の構成図である。本実施の形態は信頼性の高い
安定度判別を行う方法に係る。時間領域シミュレーショ
ン法により系統の安定度判別を行なう場合、例えば任意
の2台の発電機間の位相角差が閾値270°以上で不安
定と判定すると、電力系統の詳細モデルを用いて系統制
御機器までをモデル化している場合、位相角差が270
°を超えても動揺波形が発散せずに回復し、動揺波形が
ダンピングして安定な状態になることもある。つまり、
時間領域シミュレーション法の安定判別閾値の設定の仕
方により、正確な安定判別ができない場合がある。その
ような場合に対応するため、実施の形態1の安定限界値
計算手段により安定限界値SLを求めた後、適当な精度
の範囲で安定限界値より不安定な方向に少し変化させた
値SL’=SL+ΔSLを設定して、直接法を適用す
る。例えばEEAC手法ならば、不安定平衡点を通過す
れば、系統が不安定になったことが容易にわかる。通過
しなければ、時間シミュレーション法による探索時の閾
値thをΔthだけ大きくして再び実施の形態1の計算
手段を適用して所望の安定限界値を求める。このような
手段により、より確実な安定/不安定の判別が可能とな
る。
【0044】実施の形態6.図8は本発明の事故選択手
段を実行する環境を説明する図である。現在の電力系統
1の状態を観測する系統状態観測手段2と、観測した結
果から系統状態のもっとも確からしいモデルを推定する
系統状態推定手段3と併せて、本発明の事故選択手段4
を用いることにより、電力系統の運用環境でオンライン
の事故選択手段として使用することが可能になる。つま
り、系統状態観測手段により、現在の系統状態の諸量を
観測し装置に入力する。系統状態推定手段により、前記
観測データから観測できなかったデータや精度の悪いデ
ータなどをデータの冗長性を利用してもっとも確からし
いデータに推定する。このようにして得られた系統状態
に対して本発明による事故選択手段を適用し、想定する
全事故ケースに対して、安定限界値を求め、動的セキュ
リティを評価することにより、運転員は迅速に現在の系
統状態でどの地点で起こる事故が、どの程度厳しいのか
を把握することができるようになる。動的セキュリティ
に関わる情報を得ることにより、現在の系統に対して、
どのような予防対策を施せば良いのかを考慮することが
できる。
【0045】
【発明の効果】本発明に係る電力系統事故の評価方法お
よびその装置によれば、ある系統状態において、想定さ
れる事故に関する安定限界値を高速に求めることによ
り、電力系統の運転員は系統の安定度に対して厳しい事
故ケースを早く把握して、系統状態に対応した柔軟な運
転を行なうことができ、迅速な予防制御手段を考慮する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施の形態1における電力系統の事故選択
手段の処理フローの概略図である。
【図2】 等価一機無限大系統の加速エネルギーAacc
と減速エネルギーAdec の説明図である。
【図3】 時間領域シミュレーション法によるCCT探索
フロー図である。
【図4】 実施の形態2の事故選択手段の構成図であ
る。
【図5】 実施の形態3の事故選択手段の構成図であ
る。
【図6】 実施の形態4の事故選択手段の構成図であ
る。
【図7】 実施の形態5の事故選択手段の構成図であ
る。
【図8】 本発明の事故選択手段を実行する環境を説明
する図である。
【符号の説明】
1 電力系統、2 系統状態観測手段、3 系統状態推
定手段、4 事故選択手段。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 張 伯明 中華人民共和国北京市海淀區清華園 清華 大学電機系工程与応用電子技術系発電教研 室内 Fターム(参考) 5G064 AC09 CB03 CB16 DA01 5G066 AA03 AD01 AD06

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電力系統解析において、想定される事故
    ケースに対する時間領域シミュレーション結果に基づい
    て、系統の安定度に関する解析指標の安定限界値を直接
    法により予測し、得られた安定限界値を初期値として前
    記解析指標を修正しながら時間領域シミュレーション法
    を繰り返し適用し、前記解析指標のより正確な安定限界
    値を求めることを特徴とする電力系統事故の選択方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の事故選択方法において、
    電力系統の簡易モデルを用いて電力系統の安定度を評価
    し、安定な事故ケースを取り除いて厳しい事故ケースを
    選択することを特徴とする請求項1記載の電力系統事故
    の選択方法。
  3. 【請求項3】 第1ステップにおいて電力系統の簡易モ
    デルを使用して請求項1記載の事故選択方法を適用し、
    安定度を評価して安定な事故ケースを取り除き、残りの
    ケースを第2ステップにおいて電力系統の詳細モデルを
    使用して時間領域シミュレーション法により安定度を評
    価して厳しい事故ケースを選択することを特徴とする電
    力系統事故の選択方法。
  4. 【請求項4】 第1ステップにおいて電力系統の簡易モ
    デルを使用して請求項1記載の事故選択方法を適用し、
    安定度を評価して安定な事故ケースを取り除き、残りの
    ケースに対して、第2ステップにおいて電力系統の詳細
    モデルを使用して請求項1記載の事故選択方法を適用
    し、安定度を評価して厳しい事故ケースを選択すること
    を特徴とする電力系統事故の選択方法。
  5. 【請求項5】 請求項3または4に記載の事故選択方法
    において、第1ステップの前段に事故発生直後の系統状
    態から得られる安定度指標により十分安定な事故ケース
    を取り除く手段を設けたことを特徴とする請求項3また
    は4に記載の電力系統事故の選択方法。
  6. 【請求項6】 請求項1から5のいずれかに記載の事故
    選択方法において、想定される事故に関する安定限界値
    を求めた後、安定度に関する解析指標を安定限界値より
    不安定な方向に少し変化させた値を設定して直接法を適
    用し、不安定であることを確認する手順を加えたことを
    特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の電力系統
    事故の選択方法。
  7. 【請求項7】 直接法の計算実行手段および、時間領域
    シミュレーションの計算実行手段を備え、請求項1から
    6のいずれかに記載の電力系統事故の選択方法を実行す
    ることを特徴とする電力系統事故の選択装置。
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