JP2000028554A - 定性分析方法 - Google Patents

定性分析方法

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JP2000028554A
JP2000028554A JP10191329A JP19132998A JP2000028554A JP 2000028554 A JP2000028554 A JP 2000028554A JP 10191329 A JP10191329 A JP 10191329A JP 19132998 A JP19132998 A JP 19132998A JP 2000028554 A JP2000028554 A JP 2000028554A
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Yoshitaka Nagatsuka
義隆 長塚
Yuji Nagasawa
勇二 長沢
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Jeol Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】スペクトルのピーク位置に基づいて元素を同定
したとき、その同定した元素が試料中に存在する確率を
求める。 【解決手段】まず、測定されたスペクトルの各エネルギ
ーまたは波長位置において二次微分値及び標準偏差を求
め、その二次微分値の標準偏差に基づいてピーク検出の
閾値を定めてスペクトル中からピークを検出する。次
に、検出した各ピークについて、各ピーク位置における
二次微分値と標準偏差とから相対偏差値を求め、その相
対偏差値から各ピークの存在確率を求める。そして、各
ピークに対して遷移線を割り付けることによって元素同
定を行う。次に、ピークに対して割り付けられた遷移線
によって元素が同定される確率を求め、この確率と、先
に求めたピークの存在確率とから、同定された元素の存
在確率を求める。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子プローブマイ
クロアナライザ(EPMA)、オージェ電子分光装置
(AES)、X線電子分光装置(XPS)、蛍光X線分
光装置(XRF)等を用いた測定によって得られたスペ
クトルに基づいて定性分析を行う場合の方法に関する。
【0002】
【従来の技術】EPMA、AES、XPS、XRF等を
用いた測定の一つとして定性分析がある。定性分析と
は、これらの測定装置によって得られたスペクトルに基
づいて試料中に含まれる元素を同定することである。
【0003】定性分析の方法としては、まず、得られた
スペクトルよりピークを検出し、その検出されたピーク
に対して、予めエネルギーまたは波長の順に並べた遷移
線表と比較し、検出されたピークのエネルギーまたは波
長の近傍にある遷移線を選出し、選出された遷移線の名
称、強度、形状等の情報を基に、試料中に存在する元素
の同定を行うという方法が一般的に行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来に
おいては、検出されたピークはどの程度確かなものであ
るか、また同定結果にはどの程度の信頼性があるのか、
という定性分析の結果の信頼性について定量的に判定す
ることは行われていなかった。
【0005】例えば、スペクトルの中にはノイズも多く
含まれており、検出されたピークは必ずしも真のピーク
ではなく、ノイズである可能性も完全には否定できな
い。このようなことは、特に、試料中に含まれる元素の
濃度が微量な場合に顕著である。従って、まず検出され
たピークがどの程度確からしいものであるのか、つま
り、検出されたピークが真のピークである確信度が分か
らなければ、定性分析の結果を正しく判定することはで
きない。
【0006】このように、検出されたピークの確信度が
どの程度のものであるのかを定量的に知ることは定性分
析の結果を判定する上で非常に重要なのであるが、従来
においては行われていない。
【0007】また、元素を同定するに際しては、検出さ
れたピークのエネルギーまたは波長の近傍にある遷移線
を選出して、その選出された遷移線の名称、強度、形状
等に基づいて元素を同定するのであるが、いま、スペク
トル中に、あるピークを検出したとして、当該ピークの
エネルギーまたは波長に対して、どの元素の遷移線を割
り付けるかは非常に重要である。なぜなら、当該ピーク
のエネルギーまたは波長の近傍には複数の元素の遷移線
が存在する可能性があるからである。
【0008】従って、当該ピークのエネルギーまたは波
長に対して、ある元素の遷移線を割り付けて元素の同定
を行った場合、実際に当該試料中に当該元素が存在する
確信度は 100%ではなく、ある確率で当該元素が存在す
る可能性があるということなのであって、このことが定
性分析結果の信頼性を図るファクタとして明確になされ
るべきなのであるが、従来においてはこのような同定さ
れた元素が試料中に存在する確率を定量的に求めるとい
うことは行われていないものであった。
【0009】そこで、本発明は、同定元素が試料中に存
在する確率を求めることができる定性分析方法を提供す
ることを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、請求項1記載の定性分析方法は、測定されたスペ
クトルの各エネルギーまたは波長位置において二次微分
値及び標準偏差を求める第1の工程と、第1の工程で求
めた二次微分値の標準偏差に基づいてピーク検出の閾値
を定めてスペクトル中からピークを検出する第2の工程
と、第2の工程で検出した各ピークについて、各ピーク
位置における二次微分値と標準偏差とから相対偏差値を
求め、その相対偏差値から各ピークの存在確率を求める
第3の工程と、第2の工程で検出した各ピークに対して
遷移線を割り付けることによって元素同定を行う第4の
工程と、第4の工程でピークに対して割り付けられた遷
移線によって元素が同定される確率を求める第5の工程
と、第3の工程で求めたピークの存在確率と、第5の工
程で求めたピークに対して割り付けられた遷移線によっ
て元素が同定される確率とから、同定された元素の存在
確率を求める第6の工程とを備えることを特徴とする。
【0011】また、請求項2記載の定性分析方法は、請
求項1記載の定性分析方法において、前記第4の工程に
おいて、一つのピークに対して二つの元素の主遷移線が
割り付けられ、且つ当該二つの元素の一方の元素につい
ては他のエネルギーまたは波長位置にサブ遷移線が存在
することが分かっている場合であって、この一方の元素
のサブ遷移線のピークが存在する確率が大きいにも拘わ
らず、当該サブ遷移線の位置にピークが存在しない場合
には、当該一方の元素の存在を否定することを特徴とす
る。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しつつ発明の実
施の形態について説明する。なお、以下においてはAE
Sによって得られたスペクトルに基づいて定性分析を行
う場合について説明するが、本発明は、EPMA、XP
S、XRF等によって得られたスペクトルに基づいて定
性分析を行う場合にも適用できるものである。
【0013】定性分析方法の処理を図1に示すフローチ
ャートを参照して説明する。 [ステップS1]まず、スペクトルを得る。これは、検
出するオージェ電子のエネルギー(eV)を所望のステ
ップずつ変化させ、各検出エネルギー位置においてオー
ジェ電子のカウント数を測定する操作を、所望のエネル
ギー範囲に渡って行えばよい。ここではEi(i=1,2,…,
N) のN+1点の検出エネルギー位置で測定を行い、各
検出エネルギー位置におけるオージェ電子のカウント数
がpi であったとする。
【0014】[ステップS2]次に、ピークの検出を行
う。ピーク検出のための手法は種々知られており、それ
ぞれの手法には一長一短があるが、ここでは、以下に説
明する手法によりピーク検出を行う。
【0015】まず、スペクトルを二次微分して、各検出
エネルギー位置における二次微分値を得る。このために
は、測定値から二次微分値を得るためのサビツキー−ゴ
ーレイ(Savitzky −Golay)法による二次微分フィルタ
処理を行えばよい。それによれば、検出エネルギー位置
i における二次微分値di は、Savitzky −Golayの係
数をgj として
【0016】
【数1】
【0017】で求められる。ここで、nは、検出エネル
ギー位置Ei における二次微分値diを求めるに際し
て、検出エネルギー位置Ei の片側にとる平滑化点数で
あり、このnの値は、検出エネルギーのステップ幅を
t、スペクトル中のピーク半値幅をwとしたとき、 n=[w/2t] …(2) 程度とすればよいことが知られている。なお、[]の記
号は、括弧内の整数部分を取るガウス記号を示す。
【0018】次に、各検出エネルギー位置Ei における
二次微分値di の分散をσi 2とし、各検出エネルギー位
置Ei におけるオージェ電子のカウント数pi の分散を
δi 2とすると、各検出エネルギー位置Ei におけるカウ
ント数pi は互いに独立であり、互いの相関を無視でき
ると仮定できるから、誤差伝搬の関係から
【0019】
【数2】
【0020】となる。なお、各検出エネルギー位置Ei
におけるカウント数pi が互いに独立であるという仮定
は厳密には正しくないが、二次微分値di の分散を求め
る計算には実際上差し支えないものである。そして、こ
こで、更に、測定が統計的な事象であることを利用すれ
ば、 δi+j 2≒pi+j …(4) となるから、各検出エネルギー位置Ei における二次微
分値di の分散σi 2は、結局、
【0021】
【数3】
【0022】で与えられ、従って、各検出エネルギー位
置Ei における二次微分値di の標準偏差σi は、
【0023】
【数4】
【0024】となる。
【0025】このようにして、各検出エネルギー位置E
i における二次微分値di の標準偏差σi を求めたら、
次に、fを正の定数として、各検出エネルギー位置Ei
における閾値Ti を次式により定める。
【0026】Ti =−f・σi …(7) そして、各検出エネルギー位置Ei における二次微分値
i が di ≦Ti …(8) を満たすとき、この(8)式の条件を満足する二次微分値
i が極小となるエネルギー位置をピーク位置と見な
す。従って、例えばいま測定によって得られたスペクト
ルが図2(a)に示すようであり、その二次微分値が図
2(b)に示すようであり、上記の(7) 式で定められた
閾値Ti が図2(b)の一点鎖線で示すようであったと
き、Z1 とZ2 の位置がピーク位置であると判定される
ことになる。
【0027】このように、Ti はピークとノイズを分け
る閾値であり、fの値が小さくなれば微小なピークが検
出できる代わりにノイズをピークとして検出してしまう
確率が増え、逆にfの値を大きくすれば、ノイズに埋も
れた微小なピークを見落としてしまう確率が増える。通
常、fは 0.5〜 3程度の値を用いればよいことが確認さ
れている。
【0028】以上の手法によって、人間の目で認められ
る大部分のピークを検出することが可能である。なお、
以上の議論においては、スペクトルの各検出エネルギー
位置Ei におけるカウント数pi は、1回の測定によっ
て得られた値であるとしているが、a(aは2以上の自
然数)回の測定を行って、積算し、平均値をとったもの
である場合には、各検出エネルギー位置Ei における二
次微分値di の標準偏差σi
【0029】
【数5】
【0030】として上述した処理を行えばよい。なぜな
ら、この場合には、各検出エネルギー位置Ei における
オージェ電子のカウント数pi の分散δi 2は、(4) 式の
場合の1/aになるからである。
【0031】[ステップS3]以上のようにしてピーク
を検出したら、次に、検出した一つ一つのピークについ
て、そのピークがノイズではなく、真のピークである確
からしさを求める。これを本明細書中ではピークの存在
確率と称する。従って、このステップS3では検出され
たピークの存在確率を求める。
【0032】いま、ステップS2で検出されたピークの
中の一つのピークに着目し、当該ピークのエネルギー位
置における二次微分値をdk 、二次微分値の標準偏差を
σkであるとする。
【0033】このとき、 sk =−dk /σk …(10) によって、当該ピークの存在確率を表す指標sk を求め
る。これを本明細書中では相対偏差値と称することにす
る。
【0034】(7),(8),(10)式より sk ≧f …(11) となるから、検出されたピークの相対偏差値sk は常に
定数fよりも大きくなることが分かる。
【0035】ところで、試料からオージェ電子が放出さ
れる現象の一つ一つはポアソン分布に従うものである
が、その測定数が多くなると正規分布として扱うことが
でき、スペクトル中のノイズは完全な統計現象として扱
うことができると仮定してよいことが知られている。
【0036】従って、正規分布の性質から、sk =1 で
あれば、当該ピークの存在確率、即ち当該ピークが真の
ピークである確率は68.3%であり、sk =2 であれば、
当該ピークの存在確率は95.4%であり、sk =3 であれ
ば、当該ピークの存在確率は99.7%となる。
【0037】このように相対偏差値sk の値が大きい程
ピークの存在確率は大きくなるが、このことは定性的に
いえば、ピークの二次微分値が閾値より大きく下回って
いる程、その存在確率は大きくなることを示している。
従って、図2(b)に示す例においては、Z2 で示すピ
ークの方が、Z1 で示すピークよりも存在確率は大きく
なる。
【0038】つまり、相対偏差値sk は、ピークの二次
微分値が閾値よりどの程度下回っているかを表す指標な
のであり、上述したように、この相対偏差値sk の値に
よってピークの存在確率を求めることができるのであ
る。
【0039】実際に、相対偏差値sk からピークの存在
確率Qを求める手法としては、例えば予め正規分布に基
づいて、種々のsk の値についてピークの存在確率を求
めてテーブル化しておき、(10)式で求められた相対偏差
値sk から当該テーブルによりピークの存在確率Qを求
めるようにすればよい。
【0040】以上の処理をステップS2で検出された全
てのピークについて行う。これによって、検出された全
てのピークについて、その存在確率Qが求められる。
【0041】[ステップS4]次に、元素の同定を行
う。この元素同定は、従来と同様に、各元素毎の遷移線
のエネルギー表を、全元素についてエネルギー順に並び
換えた表を予め用意しておき、検出されたピークのエネ
ルギー値Ek を中心にして、ピークの半値幅程度、通常
は10〜30eV、のエネルギー幅に入る遷移線を選び出し
て割り付ける操作によって行えばよい。なお、このエネ
ルギー幅は、通常は一定値ではなく、また高エネルギー
側のピークほど装置の設定誤差によるエネルギー値のず
れよりも大きくなる傾向にあるため、高エネルギー側で
は多少エネルギー幅を広くなるように選んだ方が有利で
ある。
【0042】[ステップS5]以上のようにして元素の
同定を行ったら、次に、同定した元素が試料中に含まれ
る確信度はどの程度かという、同定元素の存在確率を求
める。そのために、検出されたピークに割り付けられた
遷移線によって元素が同定される確率を考え、それをR
とする。即ち、上述したように、検出されたピークのエ
ネルギー位置の近傍に遷移線を有する元素は複数有るこ
とがあり、従って、あるピークに対して、ある元素が同
定されたからといって、それがそのまま当該元素だけが
存在することを示すものではない。そこで、検出された
ピークに割り付けられた遷移線によって元素が同定され
る確率Rというものを考えるのである。
【0043】そうすると、試料中に同定された元素が存
在する確率(以下、これを同定元素存在確率と称す)を
Pとすると、同定元素存在確率Pは、上述したピークの
存在確率Qと、検出されたピークに割り付けられた遷移
線によって元素が同定される確率Rの積として求めるこ
とができる。即ち、 P=Q・R …(12) となる。
【0044】具体的には次のようである。例えば、リチ
ウムLi〜カリウムK程度までの元素については、2、
3の例外を除いて、これらの元素の同定に用いる遷移線
は1本しかない。従って、スペクトル中にピークが検出
され、そのピークに対して、リチウムLi〜カリウムK
までの元素の遷移線が割り付けられた場合には、 R=1 …(13) としてよく、従って、この場合の同定元素存在確率Pは P=Q …(14) で求められる。ここで、Qは上述したように、当該ピー
クの相対偏差値sk によって決まるので、この場合は同
定元素存在確率Pも当該ピークの相対偏差値skによっ
て決まることになり、sk ≧3 である場合には同定元素
存在確率Pは99.7%となり、3 >sk ≧2 である場合に
は同定元素存在確率Pは95.4%となる。
【0045】次に、例えばカルシウムCaより原子番号
が大きい元素については、それらの元素の同定に用いる
遷移線は、他の元素の遷移線による誤同定を防ぐため
に、2本または3本の主要な遷移線が用いられるのが通
常である。
【0046】そして、いま、例えば、ピークの相対強度
が大きい2本の遷移線を用いて、ある元素を同定したと
する。このとき、これらの遷移線が割り付けられたピー
クの存在確率をそれぞれQ1 ,Q2 、それらのピークに
割り付けられた遷移線によって元素が同定される確率を
それぞれR1 ,R2 とすると、これら二つのピークのそ
れぞれの位置における同定元素存在確率P1 ,P2 は、
それぞれ P1 =Q1 ・R1 …(15) P2 =Q2 ・R2 …(16) であるから、結局、全体としての当該同定元素の存在確
率Pは P=P1 +P2 −P1 ・P2 =Q1 ・R1 +Q2 ・R2 −Q1・Q2・R1・R2 …(17) で求めることができる。ここで、各ピークの存在確率Q
1 ,Q2 については上述したようにして求めればよい
が、これら二つのピークに割り付けられた遷移線によっ
て元素が同定される確率R1 ,R2 が問題になる。これ
らのR1 ,R2 の値としては、例えば、それらの遷移線
の強度の最大のものを1に規格化したときの相対強度を
用いてもよいし、数多くの分析データに当たってこれら
の確率を経験的に求めておき、それを用いてもよい。
【0047】また、ピークの相対強度が大きい3本の遷
移線を用いて、ある元素を同定した場合も同様であり、
このときには、これらの遷移線が割り付けられたピーク
の存在確率をそれぞれQ1 ,Q2 ,Q3 、それらのピー
クに割り付けられた遷移線によって元素が同定される確
率をそれぞれR1 ,R2 ,R3 とすると、これら三つの
ピークのそれぞれの位置における同定元素存在確率P
1 ,P2 ,P3 は、それぞれ P1 =Q1 ・R1 …(18) P2 =Q2 ・R2 …(19) P3 =Q3 ・R3 …(20) であるから、結局、全体としての当該同定元素の存在確
率Pは P=Q1・R1+Q2・R2+Q3・R3−Q1・Q2・R1・R2−Q2・Q3・R2・R3 −Q3・Q1・R3・R1+Q1・Q2・Q3・R1・R2・R3 …(21) で求めることができる。このときのR1 ,R2 ,R3
も、上述したと同様に、これらの遷移線の強度の最大の
ものを1に規格化したときの相対強度を用いてもよい
し、数多くの分析データに当たってこれらの確率を経験
的に求めておき、それを用いてもよい。
【0048】通常の場合には、上述した手法によって同
定元素存在確率を求めることができるが、次に特殊な場
合について説明する。
【0049】例えば、AESによる測定においては、ア
ルミニウムAlと、臭素Brの主遷移線は同じエネルギ
ー位置に表れることが知られている。従って、当該エネ
ルギー位置にピークが検出された場合には、アルミニウ
ムAlと臭素Brの存在が推定されるのであるが、これ
だけではアルミニウムAlと臭素Brの両方が存在する
のか、それとも何れか一方のみが存在するのかを確定す
ることはできない。そこで、このように主遷移線が重な
る場合にはサブ遷移線の有無を調べることになる。
【0050】例えば。いま、二つの元素のX,Yの主遷
移線が同じエネルギー位置にあり、しかも元素Xには主
遷移線の位置とは異なる位置にサブ遷移線が存在し、こ
の元素Xのサブ遷移線の位置には元素Yのサブ遷移線は
存在しないことが分かっているとする。
【0051】このとき、当該主遷移線のエネルギー位置
にあるピークの相対偏差値をsとし、元素Xの主遷移線
に対するサブ遷移線の相対強度をr(%)とすれば、こ
の元素Xのサブ遷移線の期待される相対偏差値s′は、
この値が主遷移線とサブ遷移線の相対強度に比例すると
仮定することができれば、 s:100 =s′:r …(22) であるから、 s′=s・r/100 …(23) となる。従って、s′>2 であれば、即ち、s>200/
rであれば、当該サブ遷移線が検出される可能性は95%
以上と大きなものとなり、逆に、s>200/rというよ
うに元素Xのサブ遷移線の存在する確率が大きいにも拘
わらず、当該サブ遷移線が存在しない場合には、95%以
上の確率で元素Xの存在は否定されることになる。
【0052】このように、二つの元素の主遷移線が重な
り、しかも一方の元素にはサブ遷移線が存在する場合に
は、そのサブ遷移線の存在如何によって、当該一方の元
素の存在が肯定される場合もあり、否定できる場合もあ
るのである。
【0053】以上、本発明の実施形態について説明した
が、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、
種々の変形が可能である。例えば、上記の説明ではAE
Sによる測定の場合を取り上げたのでスペクトルの横軸
はエネルギー(eV)であるが、実施形態の説明の冒頭
で述べたように、本発明は、AES以外にも、EPM
A、XPS、XRF等によって得られたスペクトルに基
づいて定性分析を行う場合にも適用できるものであり、
従って、スペクトルの横軸はエネルギーに限るものでは
なく、波長であってもよいものである。
【0054】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、定性分析において、測定されたスペクトルか
ら検出されたピークが真のピークである確率、またその
ピークに割り付けられた遷移線によって当該元素が同定
される確率を求めることにより、与えられたスペクトル
から元素が同定される確率が求められるため、定性分析
の同定精度を定量的に判断することができ、このことに
よって同定精度の向上が図られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る定性分析方法の処理を示すフロ
ーチャートである。
【図2】 ピーク検出の処理を説明するための図であ
る。
【符号の説明】
1 ,Z2 …ピーク。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01J 37/252 H01J 37/252 Z Fターム(参考) 2G001 AA01 BA04 BA09 FA17 FA19 GA01 GA03 KA01 2G088 FF02 FF15 KK29 LL05 LL15 LL30 5C033 RR04 RR10

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】測定されたスペクトルの各エネルギーまた
    は波長位置において二次微分値及び標準偏差を求める第
    1の工程と、 第1の工程で求めた二次微分値の標準偏差に基づいてピ
    ーク検出の閾値を定めてスペクトル中からピークを検出
    する第2の工程と、 第2の工程で検出した各ピークについて、各ピーク位置
    における二次微分値と標準偏差とから相対偏差値を求
    め、その相対偏差値から各ピークの存在確率を求める第
    3の工程と、 第2の工程で検出した各ピークに対して遷移線を割り付
    けることによって元素同定を行う第4の工程と、 第4の工程でピークに対して割り付けられた遷移線によ
    って元素が同定される確率を求める第5の工程と、 第3の工程で求めたピークの存在確率と、第5の工程で
    求めたピークに対して割り付けられた遷移線によって元
    素が同定される確率とから、同定された元素の存在確率
    を求める第6の工程とを備えることを特徴とする定性分
    析方法。
  2. 【請求項2】前記第4の工程において、一つのピークに
    対して二つの元素の主遷移線が割り付けられ、且つ当該
    二つの元素の一方の元素については他のエネルギーまた
    は波長位置にサブ遷移線が存在することが分かっている
    場合であって、この一方の元素のサブ遷移線のピークが
    存在する確率が大きいにも拘わらず、当該サブ遷移線の
    位置にピークが存在しない場合には、当該一方の元素の
    存在を否定することを特徴とする請求項1記載の定性分
    析方法。
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