JP2000025036A - プリプレグの製法 - Google Patents

プリプレグの製法

Info

Publication number
JP2000025036A
JP2000025036A JP19765398A JP19765398A JP2000025036A JP 2000025036 A JP2000025036 A JP 2000025036A JP 19765398 A JP19765398 A JP 19765398A JP 19765398 A JP19765398 A JP 19765398A JP 2000025036 A JP2000025036 A JP 2000025036A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
prepreg
resin
temperature
producing
surface temperature
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP19765398A
Other languages
English (en)
Inventor
Takeshi Terashita
武 寺下
Hiroaki Ninomiya
宏明 二宮
Hideo Nagata
秀夫 永田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP19765398A priority Critical patent/JP2000025036A/ja
Publication of JP2000025036A publication Critical patent/JP2000025036A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Reinforced Plastic Materials (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、離型紙および/または離型フィルム
との離型性、柔軟性、および自己接着性の良好なプリプ
レグの製法を提供せんとするものである。 【解決手段】本発明のプレプレグの製法は、強化繊維、
水系レゾール樹脂、熱可塑性樹脂を必須構成要素とする
中間体プリプレグを作製した後、一定の表面温度で加熱
処理し、かつ、該表面温度と中実温度の差を5℃以内に
保持した状態で処理することを特徴とするものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、離型紙および/ま
たは離型フィルムとの離型性、柔軟性が良好で、かつ、
自己接着性に優れたプリプレグの製法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、繊維強化複合材料は強化繊維の高
い比強度、比剛性を利用して航空機材料に用いられてき
た。こうした背景を受け、近年では航空機用途のみなら
ずスポーツ・レジャー用途から車両・船舶さらに土木・
建築など一般産業用途へと拡がりを見せている。また、
これら一般産業用途への展開に伴い、耐着火性、低煙性
など耐燃焼特性に関する要求も高まってきている。
【0003】繊維強化複合材料のマトリックス樹脂とし
ては、自己接着性に優れ、また、機械的強度にも優れた
エポキシ樹脂が広く用いられている。しかし、このエポ
キシ樹脂は燃えやすいという大きな欠点があり、前述の
一般産業用途や航空機内装材に用いることは難しい。こ
れに対して、フェノール系樹脂が熱硬化性樹脂の中で優
れた燃焼特性を有していることは広く知られており、フ
ェノール系樹脂を用いたプリプレグは、自己接着性およ
び機械的強度においてエポキシ樹脂プリプレグに劣る傾
向があるにもかかわらず、ますます需要が拡がってきて
いる。
【0004】プリプレグの製造に関しては、一般的に低
粘度のマトリックス樹脂溶液に強化繊維を浸漬するウェ
ット法、および高粘度のマトリックス樹脂溶液を用いる
ホットメルト法という、大きく分けて二つの方法が取ら
れている。ウェット法としては、例えば以下のような方
法が用いられる。まず強化繊維を樹脂液槽に浸漬し、ロ
ールなどにより樹脂付着量を制御する。これを、乾燥炉
を通過させることにより溶剤除去およびフェノール系樹
脂の縮合反応を部分的に進行させ、目的のプリプレグを
製造する。また、ホットメルト法としては、高粘度樹脂
を離型紙などの担体上に塗布し、これを強化繊維の両面
から加圧含浸する方法などが挙げられる。 プリプレグ
を用いた成形品に関しては、様々な形態のものが存在す
るが、近年多用されているものに、ハニカムサンドウィ
ッチパネルがある。ハニカムサンドウィッチパネルは軽
量でかつ剛性に優れているため、航空機用途を始め、ス
ポーツ、車両、船舶などの構造材料として使用されてい
る。ここで、ハニカムサンドウィッチパネルとは、蜂の
巣状の連続した空孔を有するハニカムコアの両面に、ス
キンパネルと呼ばれる表面材を重ね合わせた後、加熱加
圧して得られる成形体である。航空機内装材料として
は、ノーメックスハニカムと呼ばれるアラミド性ハニカ
ムコアにガラス繊維、ケブラー繊維、炭素繊維などで強
化された熱硬化性プリプレグを組合わせたものが用いら
れている。
【0005】近年、一般産業用あるいは航空機内装材用
において、このハニカムサンドウィッチパネルについて
も、フェノール系樹脂プリプレグを用いた難燃品が用い
られるようになっている。しかし、フェノール系樹脂を
マトリックス樹脂として用いる場合、フェノール系樹脂
には硬化時に発生する縮合水、および希釈剤あるいは安
定化剤として含有する溶剤が揮発成分として存在するた
め、ハニカムサンドウィッチパネルを成形する際にハニ
カムコアとプリプレグとの間で剥離が生じてしまうなど
充分な接着強度が得られないことがある。また、揮発分
の脱離に伴い成型品の表面平滑性も低下してしまう。
【0006】上記問題に対して、ウェット法によるプリ
プレグ化では、乾燥工程を設けることにより揮発分を減
少させる手法を用いられており、揮発分量を低減させる
ことによりフェノール系樹脂の粘着性が抑えられ、離型
性が向上する。しかし、揮発分量を低減するのみでは、
フェノール系樹脂の熱安定性が低下するため各プロセス
における温度制御が困難となり、安定したプリプレグ特
性および成形体の力学物性を得ることが困難となる傾向
がある。さらに、樹脂粘度が高くなるため、プリプレグ
とした際のしなやかさが低下してしまう。また、ハニカ
ムサンドウィッチパネルでは、用途によって深絞り成形
など複雑形状の成形が必要とされるため、そのような形
状に追従するプリプレグのしなやかさ、すなわち柔軟性
が重要である。このように、プリプレグの離型性と柔軟
性を両立させることは困難とされてきた。
【0007】これら問題を解決するために、これまで種
々のプリプレグが検討されてきた。例えば、特開平3−
81341号公報では、強化繊維、フェノール系樹脂、
フェノール系樹脂に相溶性のある熱可塑性樹脂を必須構
成要素とするプリプレグが提案されている。フェノール
系樹脂に相溶性のある熱可塑性樹脂として、共重合ナイ
ロン、ポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール、
ポリビニルブチラール、ダイマー酸ポリアミドなどが挙
げられている。しかし、この手法では自己接着性は向上
するがプリプレグの離型性向上にはあまり効果が見られ
なかった。
【0008】また、特開平4−100851号公報で
は、レゾール系フェノール樹脂にポリアクリルアマイ
ド、エポキシ樹脂および無機充填材を添加した樹脂溶液
をロールミルにて均一分散させた後、非反応性希釈剤で
希釈した樹脂溶液を強化繊維に含浸させた後、熱風乾燥
機にて乾燥するプリプレグの製法が提案されている。し
かし、この製法では、熱風乾燥機を用いた乾燥工程によ
り強化繊維の繊維配列が乱れるという欠点を有している
上、ハニカムコアとの接着性向上のために添加している
エポキシ樹脂によりフェノール樹脂の有する燃焼特性を
損なうという問題も有している。
【0009】さらに、特開昭61−15887号公報で
は、フェノール系樹脂に酸化マグネシウムおよび/また
は水酸化マグネシウム、充填剤、離型剤を配合し、熟成
することで増粘させることを特徴とするフェノール系樹
脂プリプレグの製造方法が提案されている。これにより
与えられるプリプレグは、粘着性の低い離型性に優れた
ものであったが、プリプレグの柔軟性が充分でないた
め、複雑形状のハニカムサンドウィッチパネルの成形に
は適していないものであった。さらに、ハニカムコアと
の接着強度も充分なものではなかった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる従来
技術の背景に鑑み、水系レゾール樹脂をマトリックス樹
脂とする繊維強化複合材料プリプレグの製法において、
離型紙および/または離型フィルムとの離型性、柔軟性
および自己接着性が良好なプリプレグの製法を提供せん
とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、かかる課題を
解決するために、次のような手段を採用するものであ
る。すなわち、本発明のプレプレグの製法は、下記
[A]、[B]、[C]からなる繊維強化複合材料用プ
リプレグの製法であって、[A]、[B]、[C]から
なる中間体プリプレグを作製した後、一定の表面温度で
加熱処理し、かつ、該表面温度と中実温度の差を5℃以
内に保持した状態で処理することを特徴とするものであ
る。
【0012】[A]:強化繊維 [B]:水系レゾール樹脂 [C]:熱可塑性樹脂
【0013】
【発明の実施の形態】本発明は、前記課題、つまり離型
紙および/または離型フィルムとの離型性、柔軟性およ
び自己接着性が良好なプリプレグについて、鋭意検討
し、水系レゾール樹脂に熱可塑性樹脂を添加した中間体
プリプレグを作製した後、一定の表面温度で加熱処理
し、かつ、該表面温度と中実温度の差を5℃以内に保持
した状態で処理したところ、かかる課題を一挙に解決す
ることを究明し、本発明を完成させるに至ったものであ
る。
【0014】本発明における中間体プリプレグを作製す
る方法としては、通常、フェノール系樹脂プリプレグを
作製する方法であれば、いかなる方法でも採用すること
ができ、たとえば、低粘度のマトリックス樹脂溶液に強
化繊維を浸漬するウェット法、および高粘度のマトリッ
クス樹脂溶液をもちいるホットメルト法という、大きく
分けて二つの方法が取られている。このうち、ホットメ
ルト法としては、例えば、所定の粘度に調製した水系レ
ゾール樹脂をリバースロールコーターにて離型紙上に塗
布した後、この樹脂フィルムを強化繊維の両面から貼着
し、加熱ロールにより加圧含浸する方法が好ましく用い
られるが、これに限定されない。
【0015】本発明におけるプリプレグの製法は、強化
繊維に対して熱可塑性樹脂を含有する水系レゾール樹脂
を含浸させた中間体プリプレグを作製した後、一定の表
面温度で加熱処理し、かつ、該表面温度と中実温度の差
を5℃以内に保持した状態で処理することを特徴とし、
これにより離型紙および/または離型フィルムとの離型
性、柔軟性および自己接着性が良好なプリプレグを供給
するものである。
【0016】本発明に用いる加熱処理温度は、常温であ
ってもよいが、好ましくは25〜60℃、さらに好まし
くは30〜50℃の範囲の温度をかけるのがよい。25
℃未満であると、中間体プリプレグを所定の表面状態と
するまでに時間を要してしまう。さらに、このように低
すぎると、中間体プリプレグ全体の温度が均一になりに
くく、加熱状態にムラができるため、均質なものが提供
できなくなる傾向がある。また、60℃を越えると、フ
ェノール樹脂の反応制御が困難となり、プリプレグの柔
軟性が低く、作業性の悪いプリプレグとなる傾向にあ
る。
【0017】本発明におけるかかる表面温度と中実温度
の差は、好ましくは5℃以内に保持する。さらに好まし
くは3℃以内に保持した状態で処理することがよい。5
℃を越えると、中間体プリプレグの表面状態と中央部分
の状態にムラができるため、均質なものが提供できなく
なる傾向がある。
【0018】表面温度は、中間体プリプレグの最外層の
温度を表し、中実温度は、中間体プリプレグの中央部分
の温度を表す。中実温度は、たとえば、シート状プリプ
レグの場合、積み重ねたシート総枚数の中央部分の温度
を言う。
【0019】本発明におけるかかる加熱処理の処理時間
は、好ましくは12時間〜30日、さらに好ましくは2
4時間〜20日間の範囲で処理するのがよい。12時間
未満であると、加熱時間が短いために中間体プリプレグ
全体が所定の温度に到達するまでの時間が充分でなく、
中間体プリプレグ全体の温度が一定になりにくい、すな
わち、表面温度と中実温度の差が5℃を越えやすくなる
ため加熱状態にムラができやすい。また、30日を越え
ると加熱過多となるため柔軟性の低い、作業性の悪いプ
リプレグとなりやすい。
【0020】本発明において、加熱処理を施す際の中間
体プリプレグの形態は、テープ状、シート状、ロール状
などの形態が用いられるがこれらに限定されない。例え
ば、長尺の中間体プリプレグを用いる場合、ロール状の
形態が好ましい。また、加熱処理する際、上記中間体プ
リプレグの気密性が保持できる容器または袋に密封保存
することが好ましい。加熱処理を施す際に、開放系、す
なわち中間体プリプレグ表面が直接加熱される場合、中
間体プリプレグに含まれている揮発分の蒸発速度が速く
なり、反応制御が困難となる。特に、ロール状の中間体
プリプレグの場合、巻厚みにより表面温度と中実温度の
差が大きくなり加熱状態にムラができやすくなる。な
お、気密性が保持できる容器または袋の内部圧力は、加
圧、大気圧、減圧のいずれでもよいが、好ましくは大気
圧下で加熱処理を行うのがよい。さらに、気密性が保持
できる容器または袋の内部は、空気封入または窒素封入
状態とすることが好ましく、特に窒素封入状態とするの
がより望ましい。
【0021】本発明において用いる強化繊維は、一般に
高性能強化繊維として用いられる耐熱性および引張強度
の良好な強化繊維であれば使用することができる。かか
る強化繊維としては、例えば、炭素繊維、黒鉛繊維、ア
ラミド繊維、炭化ケイ素繊維、アルミナ繊維、ボロン繊
維などを使用することができる。この内、比強度、比弾
性率が良好で、軽量化に大きな寄与が認められる炭素繊
維や黒鉛繊維の長繊維が、最も好ましく使用される。炭
素繊維や黒鉛繊維は、用途に応じて、あらゆる種類のも
のを用いることが可能であるが、好ましくは、引張強度
4.4GPa、引張伸度1.6%以上のもの、さらに好
ましくは、引張強度4.7GPa、引張伸度1.9%以
上の高強度高伸度炭素繊維が使用される。
【0022】かかる炭素繊維や黒鉛繊維には、他の強化
繊維を混合して用いることも可能である。さらに、かか
る強化繊維は、その形状や配列を限定されず、例えば、
単一方向、ランダム方向、シート状、マット状、織物
状、組み紐状であっても使用することができるが、取扱
いの容易な織物状の配列が好ましく使用され、二次元織
物、すなわち、平織り、綾織り、絡み織り、繻子織りな
どの組織の織物が好ましく使用されるが、これらの中で
も、特に平織り組織の織物が薄い成形体を得やすいため
好ましく使用される。
【0023】本発明に用いる強化繊維は、断面形状が実
質的に円形であることが好ましい。断面形状が円形であ
ると、樹脂を含浸させる際、フィラメントの再配列が起
こりやすくなり、強化繊維間への樹脂の浸み込みが容易
になるからである。なお、断面形状が実質的に円形であ
るとは、その断面の外接円半径Rと内接円半径rとの比
(R/r)を変形度として定義した場合に、この変形度
が1.1以下のものである。変形度が1.1を越える
と、例えば織物として使用する場合、織り組織を構成す
る強化繊維束の嵩が高くなり、プリプレグとする際に樹
脂を充分に含浸することができなくなる。このため、プ
リプレグの表面樹脂量が多くなり離型性が低下してしま
う。さらに、織物として用いる場合、強化繊維束が充分
に広がらないため、織物の織り糸間に形成される空隙部
または空隙部に樹脂のみが充填された部分の面積(以
下、目開きと表記)が大きいプリプレグとなり、成型品
の表面平滑性も悪くなりやすい傾向がある。
【0024】また、本発明に用いる強化繊維は複数のフ
ィラメントから構成される集合体(以下、強化繊維束と
表記)である。この強化繊維束糸条1本中におけるフィ
ラメント数は、6000〜30000本の範囲にあるこ
とが好ましく、さらに6000〜18000本の範囲が
特に望ましい。フィラメント数が6000本未満である
と、単位面積当たりの重量を同一にしようとした場合、
強化繊維束の本数が多くなるため、例えば織物として使
用する場合、クリンプと呼ばれる強化繊維束間における
屈曲部の屈曲度合いが大きくなり、織物の平滑性が低下
してしまう。このため、作製したプリプレグの表面平滑
性も低下し、成形品の表面平滑性も低下する傾向にあ
る。また、30000本を越えると、強化繊維束の本数
が少なくなるため織物の目開きが大きくなる上に、織物
自身の拘束力が低くなるため取扱い性も悪くなる。さら
に、強化繊維束の厚みが増すため、プリプレグ作製ある
いは成形の際に、樹脂が含浸しにくくなる。このため、
プリプレグの表面樹脂量が多くなり離型性が低下する傾
向がある。
【0025】本発明の構成要素である水系レゾール樹脂
は、フェノール類とホルムアルデヒドの縮合反応により
得られる反応生成物である。水を溶剤とするレゾール樹
脂は有機溶媒を溶剤とするものに対して作業環境面にお
いて好ましい。また、用途により水系レゾール型フェノ
ール樹脂に相溶性を有するノボラック型フェノール樹脂
を適宜加えることも可能である。
【0026】本発明では、熱可塑性樹脂を構成要素とし
て含むが、これは前記課題、すなわち水系レゾール樹脂
をマトリックス樹脂とする繊維強化複合材料用プリプレ
グの製法において離型紙および/または離型フィルムと
の離型性、柔軟性および自己接着性が良好なプリプレグ
の製法を達成するために必須のものである。かかる熱可
塑性樹脂の作用について明確ではないが、熱可塑性樹脂
のゴム弾性あるいは凝集力により離型性が向上するもの
と考えられる。また、高分子鎖の三次元的な拡がりによ
り成形中の樹脂流れが制御されることで自己接着性が向
上するものと考えられる。かかる熱可塑性樹脂として
は、ベースとなる水系レゾール樹脂に相溶性を有するも
のであればどのようなものでもよいが、特にポリビニル
フォルマール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアル
コール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアクリルア
ミド、ポリビニルアセタール、ポリエチレングリコー
ル、ポリメチルメタクリレートが好ましい。これら熱可
塑性樹脂の添加量は、水系レゾール樹脂の不揮発分10
0重量部に対して0.5〜30重量部の範囲にあること
が好ましい。すなわち、0.5重量部未満であると、樹
脂粘度が低いため、離型性が低下し離型紙などの担体上
に塗布することが困難となる傾向がある。また、30重
量部を越えると、樹脂粘度が高くなるため、均一な樹脂
フィルムを作製することが困難となる。このため、プリ
プレグの品位が低下すると共に柔軟性が悪くなり作業性
を損なう。さらに、樹脂流れが少なくなるために自己接
着性も悪くなる。
【0027】これらの熱可塑性樹脂のうち、重量平均分
子量が30万〜300万の範囲にある超高分子量のもの
が好ましく、さらに好ましくは50万〜200万のもの
がよい。すなわち、該重量平均分子量が30万未満であ
ると、樹脂粘度が高くなりにくい上、樹脂の粘着性が強
くなるため、離型紙および/または離型フィルムとの離
型性が悪くなる。また、該重量平均分子量が300万を
越えると、樹脂粘度が高くなり、均一な樹脂フィルムを
作製することが困難となる。このため、プリプレグの品
位が低下し、柔軟性が悪くなるため作業性を損なう。さ
らに、樹脂流れが少なくなるために、自己接着性も低下
してしまう。
【0028】本発明に用いるハニカムコアとしては、ア
ルミニウム製、紙製、アラミド製、ガラス製、繊維強化
プラスチック製など公知のものが使用可能であるが、特
にノーメックハニカムと呼ばれるアラミド製のものが好
適に用いられる。
【0029】
【実施例】以下、実施例により本発明をより詳細に説明
する。
【0030】なお、本実施例において用いた種々の物性
などについては以下の手法を用いた。(1)離型性 バーコーターを用いて、離型紙(リンテック(株)製
WBE90R−DT)の離型性の低い重剥離面に、所定
の樹脂目付(80±5g/m2 )のフィルムをコーティ
ングした。このフィルム上に該離型紙の離型性の高い軽
剥離面を貼着した際の剥がれやすさを5段階で評価し
た。××はフィルムの一部が軽剥離面側の離型紙に取ら
れてしまうもの、△は剥がれにくいが軽剥離面側の離型
紙にはフィルムが取られないもの、◎は軽く剥がせるも
のとし、××と△の中間を×、△と◎の中間を○とし
た。
【0031】(2)曲げ弾性率 プリプレグを15×85mmに切出し、これについてJI
S規格「繊維強化プラスチックの曲げ試験法」に従い、
インストロン 4201型万能材料試験機(インストロ
ン・ジャパン(株)製)を用いて曲げ弾性率の測定を行
った。圧子径は4mmφ、負荷速度は1mm/分、スパン間
距離は40mmとした。測定環境は、25℃、50%RH
とした。この測定方法では、曲げ弾性率が高いほど、柔
軟製が低いことを意味する。
【0032】(3)ハニカムサンドウィッチパネルの成
形 所定枚数および構成のプリプレグを積層し、ノーメック
スハニカム(昭和飛行機(株)社製SAH1/8−3.
0)に重ね合せた。この上下にFEPフィルムを置き、
ステンレス製板の間に挟み、プレス成形により加熱加圧
成形した。加熱条件は、138℃/16分とし、圧力は
17kg/cm2 とした。但し、138℃にて測定した
プリプレグのゲルタイムに対して10〜15秒前に1度
プレスを解放し、揮発ガスを除去した後、再度加熱する
手法を用いた。
【0033】(4)ハニカムクライミング・ドラム・ピ
ール強度(以下、CDPと表記) (0°/90°)構成のプリプレグ1プライをノーメッ
クスハニカムコアの両面に、織物プリプレグの経糸方向
がハニカムコアのリボン方向と垂直になるよう配置して
貼り合わせる。これを、上記(4)の条件で成形した
後、12インチ方向がハニカムコアのリボン方向と垂直
になるよう3インチ×12インチに切り出し、ASTM
D1781に従い測定した。
【0034】なお、本発明の実施例には、以下の炭素繊
維織物を用いた。
【0035】 T700S−12K−50C(東レ(株)社製)織物 炭素繊維束1本あたりのフィラメント数 12000本 引張強度 4.9GPa 引張伸度 2.1% 変形度 1.05 構成 平織り 目付 193g/m2 実施例1〜2 ベースとなる水系レゾール樹脂固形分100重量部に対
して所定重量部の熱可塑性樹脂を30℃以下の温度にて
分散させた後、加熱下混練した。これを45℃以下まで
降温した後、無機物を添加混練し、マトリックス樹脂と
した。これを離型紙上にコーティングし、樹脂フィルム
を得た。この樹脂フィルムを炭素繊維織物の両面から貼
着した後、加熱加圧含浸し中間体プリプレグを得た。樹
脂含有量は、ハニカムパネル成形後のスキンパネルにお
いて41%となるよう調整した。この中間体プリプレグ
を40℃および50℃オーブン中で所定の日数加熱処理
しプリプレグを得た。これらのプリプレグは粘着性が低
いため離型紙との離型性が良く、適度な柔軟性を有する
取扱い性の良好なものであった。また、自己接着性も良
好であった。
【0036】加熱処理温度40℃に対して表面温度40
℃、中実温度37℃となり表面温度と中実温度の差は3
℃となった。中実温度はシート状中間体プリプレグ20
ply中、10plyと11plyの間の温度を測定し
た。
【0037】実施例3 加熱処理条件を変更した以外は実施例1と同様にしてプ
リプレグを作製した。加熱処理温度を50℃としたこの
プリプレグは、柔軟性、自己接着性が加熱処理温度40
℃である実施例1および2のプリプレグ対比低下する傾
向が見られたものの取扱い性の良好なプリプレグであっ
た。加熱温度50℃に対して表面温度50℃、中実温度
47℃となった。中実温度の測定は実施例1〜2と同様
にした。樹脂組成と合わせ結果を表1に示した。
【0038】比較例1〜2 加熱処理を行わないこと以外は実施例1〜2と同様にし
てプリプレグを得た。比較例1および2のプリプレグ
は、粘着性が強く離型紙との離型性が悪いものであっ
た。また、これらプリプレグの柔軟性は加熱処理を行っ
た実施例1および2のプリプレグより柔らかいが、柔軟
性がありすぎるため取扱い性の悪いものとなった。ま
た、成形の際、1回の揮発分除去では成形不能であった
ためさらに揮発分除去を行わなければならなかった。
【0039】比較例3〜4 熱可塑性樹脂を添加しない以外は実施例1と同様にして
中間体プリプレグを作製した。
【0040】比較例3は離型性が著しく悪いため、かろ
うじて中間体プリプレグを作製することができた。しか
し、成形中の樹脂流れが多いため、成形体を作製するに
は至らなかった。また、比較例3の中間体プリプレグを
40℃で14日間の加熱処理を施し成形体は得られた比
較例4のプリプレグでは、CDP値の低いものとなっ
た。樹脂組成と合わせ結果を表2に示した。
【0041】
【表1】
【表2】 表2から明らかなように、加熱処理を行わないプリプレ
グは離型性が低く自己接着性も悪いものとなっている。
また、熱可塑性樹脂を添加しないものは、加熱処理を施
さないと成形が不可能であり、加熱処理を施した場合で
あってもCDP値の低いものとなる。
【0042】
【発明の効果】本発明によれば、離型紙および/または
離型フィルムとの離型性、柔軟性、および自己接着性の
良好な繊維強化複合材料用プリプレグを提供することが
でき、かかるプリプレグをスキンパネルとし、サンドウ
ィッチパネルを成形すると、表面平滑性の良好なパネル
を提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // B29K 105:06 Fターム(参考) 4F072 AA07 AA08 AA09 AB10 AB15 AC05 AD13 AG03 AJ04 AJ37 4J002 BE023 BE063 BG063 BG133 BJ003 CC031 CH023 CL062 DA016 DA026 DE146 DJ006 DK006 FA042 FA046 FD012 FD016

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次の構成要素[A]、[B]、[C]か
    らなる繊維強化複合材料用プリプレグの製法であって、
    [A]、[B]、[C]からなる中間体プリプレグを作
    製した後、一定の表面温度で加熱処理し、かつ、該表面
    温度と中実温度の差を5℃以内に保持した状態で処理す
    ることを特徴とするプリプレグの製法。 [A]:強化繊維 [B]:水系レゾール樹脂 [C]:熱可塑性樹脂
  2. 【請求項2】 該加熱処理温度が、25〜60℃の範囲
    であることを特徴とする請求項1記載のプリプレグの製
    法。
  3. 【請求項3】 該加熱処理の時間が、12時間〜30日
    の範囲である請求項1または2記載のプリプレグの製
    法。
  4. 【請求項4】 該熱可塑性樹脂の添加量が、該水系レゾ
    ール樹脂の不揮発分100重量部に対して0.5〜30
    重量部である請求項1〜3のいずれかに記載のプリプレ
    グの製法。
  5. 【請求項5】 該熱可塑性樹脂が、30万〜300万の
    範囲の重量平均分子量を有するものである請求項1〜4
    のいずれかに記載のプリプレグの製法。
  6. 【請求項6】 該強化繊維が、炭素繊維であることを特
    徴とする請求頁1〜5のいずれかに記載のプリプレグの
    製法。
  7. 【請求項7】 該炭素繊維が、実質的に円形の断面形状
    を有するものである請求項6記載のプリプレグの製法。
  8. 【請求項8】 該炭素繊維が、6000〜30000本
    の範囲のフィラメント本数を有する炭素繊維束糸条であ
    ることを特徴とする請求項6または7記載のプリプレグ
    の製法。
JP19765398A 1998-07-13 1998-07-13 プリプレグの製法 Pending JP2000025036A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP19765398A JP2000025036A (ja) 1998-07-13 1998-07-13 プリプレグの製法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP19765398A JP2000025036A (ja) 1998-07-13 1998-07-13 プリプレグの製法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000025036A true JP2000025036A (ja) 2000-01-25

Family

ID=16378088

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP19765398A Pending JP2000025036A (ja) 1998-07-13 1998-07-13 プリプレグの製法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000025036A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005519252A (ja) * 2002-03-08 2005-06-30 ナムローゼ・フェンノートシャップ・ベーカート・ソシエテ・アノニム 補強衝撃ビーム

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005519252A (ja) * 2002-03-08 2005-06-30 ナムローゼ・フェンノートシャップ・ベーカート・ソシエテ・アノニム 補強衝撃ビーム
JP4700913B2 (ja) * 2002-03-08 2011-06-15 ナムローゼ・フェンノートシャップ・ベーカート・ソシエテ・アノニム 補強衝撃ビーム

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0957129B1 (en) Phenolic resin composition for fiber-reinforced composite material, prepreg for fiber-reinforced composite material, and process for producing prepreg for fiber-reinforced composite material
JP5320742B2 (ja) 複合プリプレグ基材の製造方法、積層基材および繊維強化プラスチック
US5626916A (en) Cloth prepreg, process for producing the same and reinforcing fabric
US4764427A (en) Fiber having thermoplastic resin coating
RU2125510C1 (ru) Абразивные изделия, в состав которых входит фиксирующее покрытие, нанесенное ламинированием
EP1085968B1 (en) Composite articles including prepregs, preforms, laminates and sandwich moldings, and methods of making the same
JP5158778B2 (ja) エポキシ樹脂含浸ヤーンおよび予備成形物を製造するためのその使用
JP2009114612A (ja) チョップド繊維束および成形材料の製造方法、成形材料、繊維強化プラスチック
WO2015194457A1 (ja) 強化繊維束およびその製造方法
CN112189031A (zh) 丝束浸料及其制造方法、以及压力容器的制造方法
BR112013018152A2 (pt) artigo à prova de bala, e, processo para fabricar o mesmo
WO2000039188A1 (fr) Composition de resine epoxyde, preimpregne, et rouleau a base de resine renforcee avec des fibres de renforcement
KR20210061305A (ko) 복합 시트의 성형 방법 및 성형 장치
JP2004075914A (ja) エポキシ樹脂組成物及びプリプレグ
EP3307534B1 (en) Composite materials with binder-enhanced properties and method of production thereof
JPS63170428A (ja) プリプレグの製造方法
JP4216409B2 (ja) 炭素繊維用サイズ剤、炭素繊維のサイジング方法、サイジング処理された炭素繊維、該炭素繊維によるシート状物、及び繊維強化複合材料
JP2000025036A (ja) プリプレグの製法
JP2004224979A (ja) プリプレグおよび該プリプレグを用いた繊維強化複合材料成形品の製造方法。
JP2004162055A (ja) プリプレグの製造方法および製造装置
JPH1199580A (ja) 一方向性繊維強化複合材用素材及びその製造方法
KR101242867B1 (ko) 프리프레그의 제조방법
JP2004106347A (ja) Frp成形用中間材料及びその製造方法
JP2007291283A (ja) 一方向炭素繊維プリプレグ材およびその製造方法
JPH11199688A (ja) プリプレグの製法