JP2000019562A - 光学的変調素子 - Google Patents

光学的変調素子

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JP2000019562A JP23339698A JP23339698A JP2000019562A JP 2000019562 A JP2000019562 A JP 2000019562A JP 23339698 A JP23339698 A JP 23339698A JP 23339698 A JP23339698 A JP 23339698A JP 2000019562 A JP2000019562 A JP 2000019562A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光学的変調素子の静電容量を削減、スイッチ
ング特性の改善、上下電極ショートによる欠陥防止を図
る。 【解決手段】 各画素の情報電極7と走査電極4を一方
の透明基板1上に形成し、他方の透明基板11上には、
情報電極7と走査電極4に対向する画素毎に独立した共
通電極17を形成し、情報電極7と走査電極4は、樹脂
層8を介して、互いに直交するマトリクス状に立体配線
し、マトリクス駆動する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、文字や画像を表示
するための表示装置を構成する光学的変調素子に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来の液晶素子としては、例えばストラ
イプ状の電極を組み合わせた単純マトリクス型のものが
用いられてきた。その一例を図14に示す。図中1、1
1は透明基板で、一方の基板1にはR(赤)、G
(緑)、B(青)の各フィルタ13a〜13cからなる
カラーフィルタとブラックマトリクス12、さらに保護
層14が形成され、その上に、ストライプ状の電極14
2が形成されている。他方の基板11上には上記ストラ
イプ電極142に直交する方向のストライプ電極145
が形成されており、ストライプ電極142、145には
それぞれ低抵抗配線141、144が配され、電極上に
は配向膜143、146が形成されている。このような
構成の電極基板を間隙にスペーサー15を配してシール
材(図示しない)にて貼り合わせてセルを構成し、該セ
ル内に液晶16を注入する。
【0003】このような液晶素子の構成については、例
えば「液晶−応用編」(倍風館発行)第90頁、図3−
6に記載されている。
【0004】通常、上記のような液晶素子においては、
直交するストライプ電極142、145の一方に走査信
号を入力し、他方に情報信号を入力する。
【0005】液晶素子の表示画面サイズが拡大するに従
って、画素数が増加し、走査信号線数、情報信号線数も
拡大する。例えば、VGA規格では走査信号線数48
0、情報信号線数600だが、XGA規格では走査信号
線数768、情報信号線数1024となり、SXGA規
格では走査信号線数1024、情報信号線数1280に
なっている。このように大画面化すると、電極間容量の
増加をもたらし、充電電流量も増加してくるため、駆動
ICの電流容量をより大きくしなければならない。この
問題は、強誘電性液晶を用いたSSFLC(表面安定化
強誘電性液晶)型表示素子ではさらに顕著となる。その
理由は、下記(1)、(2)の通りである。
【0006】(1)強誘電性液晶素子の電極間の厚みは
1〜2μmと通常のネマチック液晶素子のセル厚の数分
の一であり、電極間容量は通常のネマチック液晶素子よ
り大きくなる。これは、N.A.クラークらが提唱した
SSFLC型素子においては、基板の拘束量により強誘
電性液晶が本来持っているねじれ状態を解消し、双安定
性を実現するためにはセル厚を薄く設定する必要がある
ためである(詳しくは、N.A.Clark等、MCL
C、1983、Vol.94,p213〜234)。
【0007】(2)強誘電性液晶は自発分極を持ち、そ
れに対して外部電場が作用することで双安定な二状態を
スイッチングさせるため、スイッチング時に分極反転電
流が流れる。この分極反転電流は自発分極が大きくなれ
ばなるほど多く流れる。一方、スイッチング速度を速く
しようとすると(パネルの線順次走査周波数を高くしよ
うとすると)、より大きな自発分極が必要となってい
る。
【0008】上記(1)、(2)の影響は、入力電圧波
形の伝搬遅延やパネル内の発熱量、パネル内の温度分布
に影響する。
【0009】パネル内の発熱は、該パネルの容量に比例
し、非選択信号による液晶の揺らぎ時の電流量にも比例
する。非選択信号の印加(非選択画素に選択ラインの情
報信号が印加されること)が自発分極と作用することで
自発分極に比例した電流が流れる。このパネルの容量に
よる発熱分と自発分極の揺らぎによる発熱分は自発分極
が35nC/cm2 の大きさの時にほぼ同レベルの寄与
がある。また発熱は駆動周波数とも密接な関係があり、
駆動周波数が低いほど、言い換えれば駆動パルス幅が長
ければ長いほど自発分極の揺らぎによる電流消費量は大
きくなってくる。このようなパネル内の発熱分布は強誘
電性液晶のしきい値の温度変化がネマチック液晶と異な
り大きい(強誘電性液晶の場合、約1〜2℃でしきい値
が約1割変動する)ので、表示品質に大きく影響する。
【0010】また、従来のセル構成においては、対向す
る2枚の電極基板のそれぞれに電極配線が形成されてい
るため、各々の基板から電極配線を引き出さなくてはな
らず、液晶注入やIC実装、さらにはセルのパネル匡体
への組み込みにも問題を生じていた。この問題に関して
は、ネマチック液晶を用いた素子においても同様に、実
装基板が両基板にまたがるという問題点がある。このよ
うな問題は、時計表示などの走査信号線数が少ない場合
では、走査電極配線を銀ペースト等の導電体によって情
報電極側基板に落とすなどの手段により解消されていた
が、前記したBGA、XGA、SXGAなどの表示画素
数の多い基板では一方の基板側の配線を他方の基板に落
として同一基板上で実装することは実質不可能であっ
た。
【0011】また、強誘電性液晶素子の場合には、自発
分極が形成する液晶セル内の電場によって液晶セル内の
イオン性不純物が上下の電極基板上に偏在する現象が起
きる(Yutaka Inaba et al.,Fe
rroelectrics,1988,Vol.85,
pp255−264)。このようなイオン性不純物の偏
在によってイオンが形成する電場が自発分極が作り出す
内部電場と釣り合うように形成される。ところが、外部
電場によって液晶の自発分極が反転させられた場合にも
イオン電場は即時に解消されることはなく、液晶のスイ
ッチングを阻害する働きをすることが知られている。こ
のようなスイッチング阻害現象を緩和するためには、
液晶中のイオン性不純物自体を減らす、電極上の誘電
膜の誘電率を大きくする、自発分極の小さなものを使
う、高抵抗の導電材料により上下基板間を接続する、
などの方法がある。
【0012】さらに、強誘電性液晶は、スメクチック相
状態で用いられるため液晶構造の規則性が高く液晶変形
の自由度が低いため、液晶配向(スメクチック層構造)
が壊れ易いという問題がある。この層構造の破壊は、対
向するガラス基板の横方向(セル厚と直交する方向)の
ずれが原因の一つと考えられているが、セルへの変形力
の印加され易さは液晶セルが両基板を実装していること
も原因であると考えられている。この問題に対しては、
対向する2枚の電極基板を接着ビーズを用いて強固に接
着する方法が有効であった。しかしこの方法では、セル
の変形量が極度に抑えられるために液晶注入時の体積収
縮や低温放置時に発生する液晶材料の体積収縮によるセ
ル内の液晶未注入部分の発生を伴い易いという問題があ
った。
【0013】さらにまた、上下基板それぞれに電極配線
が有り、液晶層を挟んで対向しているというセル構成に
は、上下電極間でショートを発生し易いという問題点が
あった。特に、強誘電性液晶素子の場合には、前述のよ
うにセル厚が1〜2μmと通常のネマチック液晶素子の
セル厚の数分の一であることから、上下電極間の電気的
ショートエラーを発生し易かった。液晶セルにおける上
下電極のショートの原因は、液晶製造プロセス内に存在
するステンレス装置の削りかすや液晶パネル保管用カセ
ットのアルミニウムの削りかすなどであるが、セル厚の
薄い強誘電性液晶素子では特に影響が大きかった。単純
マトリクス構成の場合、上下電極のショートが発生する
と、ショート箇所を含むライン状欠陥となるため、表示
品質に致命的な悪影響を与えることになった。この点
は、TFTアクティブマトリクス型のネマチック液晶素
子とは決定的な違いとなっていた。このような問題は、
液晶素子の歩留に大きく関係し、延ては液晶素子のコス
トに大きく影響していた。
【0014】また、反強誘電性液晶も自発分極を有する
液晶であり、当該液晶を用いた液晶素子には、特開平2
−153322号公報に開示されたようなヒステリシス
特性を持つものと、特開平8−328046号公報に開
示されたようなしきい値がなく中間配向状態を示すもの
とが知られている。当該2種の反強誘電性液晶素子の電
圧−透過率特性例を図25に示す。図中(a)は上記ヒ
ステリシス特性を持つタイプであり、(b)が中間配向
状態を示すタイプである。
【0015】具体的には、図25(a)の液晶素子にお
いては、印加電圧が0の状態で第1の光透過率状態を示
し、絶対値において各極性の所定の第1のしきい値(+
1或いは−V1)以上の電圧を印加することによって、
第2の光透過率状態にスイッチングし、該第2の光透過
状態において、絶対値において各極性の所定の第2のし
きい値(+V2或いは−V2)以下の電圧を印加すること
によって、上記第2の光透過状態にスイッチングする。
従って、印加電圧が0の時に最暗状態となるように一対
の偏光板によって液晶素子を挟持することにより、白・
黒二値表示が可能となる。
【0016】また、図25(b)の液晶素子において
は、液晶材料や素子構成を適宜選択することによって、
液晶が、電圧無印加での配向状態(第一の配向状態とす
る)にあるときは第一の透過率を示し、液晶に第一の極
性(例えば正極性側)の電圧を加えたときには、液晶分
子が第一の配向状態から一方の方向にチルトし、所定の
電圧値V3で第二の配向状態となり第二の透過率を示
し、また第一の極性とは逆の第二の極性(例えば負極
性)の電圧を加えたときには、液晶分子が第一の配向状
態から他方の方向へチルトし、所定の電圧−V3で第三
の配向状態となり第二の透過率を示し、印加電圧値に応
じて第一の透過率と第二の透過率との間で連続的に透過
率が変化する電圧−透過率特性を示す。従って、上記第
1の透過率の時が最暗状態となるように一対の偏光板で
当該液晶素子を挟持すると、黒〜白間で印加された電圧
値に対応して連続した中間調を表示することができる。
【0017】強誘電性液晶や反強誘電性液晶は自発分極
を持つために、ネマチック液晶に比べて応答速度が速
く、高速駆動が可能である。しかしながら、自発分極の
反転に要する電流を外部から供給する必要があることか
ら、駆動回路から見た時の負荷が大きいという問題があ
る。特に、自発分極が大きい場合にはこの問題が深刻に
なる。以下に、実際の数値を挙げて説明する。
【0018】通常のTN型液晶素子では、液晶層を挟む
電極間の静電容量は2nF/cm2前後である。1画素
の大きさを70μm×210μmとすると、1画素当た
りの静電容量は約0.3pF(=Cとする)で、これを
10V(=Vとする)で駆動する場合に必要な充電電荷
量は、Q=CV=3pCである。
【0019】強誘電性液晶や反強誘電性液晶を用いた液
晶素子では、TN型液晶素子に比べてセル厚(液晶層
厚)が1/4〜1/5になり比誘電率もTN型液晶の典
型的な材料に比べやはり1/4〜1/5程度である。従
って静電容量はTN型液晶素子と同程度になる。駆動電
圧は応答速度にもよるが、通常10V〜20Vなので必
要な充電電荷量もTN型液晶と同程度かせいぜい2倍で
ある。しかしながら、強誘電性液晶や反強誘電性液晶で
は、上記とほぼ同じ充電電荷に加えて、自発分極の大き
さPsを100nC/cm2とすると、これを完全に反
転させるためにQ=2Ps・S=29pC(Sは1画素
の面積)の電荷が必要となる。即ち、自発分極が100
nC/cm2程度の液晶を用いた場合、同じセル構成で
駆動する場合に必要な電荷量はTN型液晶の約10倍必
要となる。従って、このような自発分極の大きな液晶を
用いたアクティブマトリクス方式の液晶素子をTN型液
晶素子と同じ時間で駆動する場合には、必要な電流量が
10倍以上となり、画素のスイッチング素子の駆動能力
がTN型液晶素子に比べて10倍以上高くなければなら
ない。
【0020】アクティブマトリクス方式の液晶素子にお
いて、スイッチング素子としては通常薄膜トランジスタ
(TFT)が用いられるが、駆動能力即ちゲートオン時
のソース・ドレイン間のコンダクタンスを大きくするに
は、開口率を犠牲にしてTFTのサイズを大きくしなけ
ればならない。しかしながら、10倍以上にすることは
非現実的である。
【0021】特に、図25(b)に示した電圧−透過率
特性を有する液晶素子については、アクティブマトリク
ス駆動により連続的な中間調を表示することができる
が、現状では自発分極が100nC/cm2以上のもの
しか得られていないため、通常のTFTによるアクティ
ブマトリクス駆動は困難であった。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
従来技術に鑑みて、液晶素子の大画面化、表示品質及び
歩留向上とコストダウンを図ることにあり、より具体的
には、液晶素子の静電容量を削減、スイッチング特性の
改善、上下電極ショートによる欠陥の表示への影響抑
制、液晶素子の強度向上、を図ることにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】上記問題を解決するため
に、本発明では、複数の画素を有し、各画素毎に第1電
極を設けた第1の基板と、各画素毎に第1電極に対向配
置された第2電極を設けた第2の基板との間に光学的変
調物質を挟持してなり、各画素において、第1電極が電
気的に独立した複数の領域からなり、第1電極と第2電
極によって、直列接続された複数のキャパシタンスが形
成される光学的変調素子とする。
【0024】
【発明の実施の形態】本発明は、一対の電極基板を対向
配置し、該基板間に光学的変調物質を挟持してなる光学
的変調素子であって、複数の画素を有し、各画素毎に一
方の基板上に走査電極と情報電極を有し且つ他方の基板
上に該走査電極と情報電極に対向する共通電極(対向電
極)を有し、上記走査電極及び情報電極が、それぞれ、
互いに直交するマトリクス状に共通配線されていること
を特徴とする光学的変調素子である。
【0025】即ち、本発明の光学的変調素子は、一方の
基板上にマトリクス電極を作り込み、各画素毎に対応す
る共通電極を他方の基板に形成することによって、前記
した静電容量を大幅に削減することができ、液晶素子の
大画面化を図ることができる。また、共通電極は配線の
引き出しが不要であるため、駆動ICの実装が一方の基
板のみで良く、また、他方の基板として樹脂基板を用い
ることができ、素子の軽量化や耐衝撃性の向上を図るこ
とができる。またさらに、上下電極間でショートを生じ
ても、ショート箇所の欠陥だけで済むため、点欠陥とな
り、表示への影響をアクティブマトリクス型と同レベル
に抑えることができる。
【0026】以下に本発明の電極構成について説明す
る。図2は本発明の手段とその作用を説明するための一
画素の電極構成を示す断面模式図である。図中21、2
2はガラス基板で、基板21上には電極23,24が、
基板22上には該電極23,24に対向する共通電極
(又は対向電極)26が形成され、それぞれに配向膜2
5、27が形成されて、両基板間に液晶が配置される。
液晶としては、ネマチック液晶や反強誘電性液晶等でも
機能するが、ここでは便宜上強誘電性液晶について説明
する。
【0027】強誘電性液晶は自発分極を持ち、該自発分
極の方向と液晶分子の配列方向に一定の関連があるため
に光学素子として用いられるものであるが、例えば、図
2において、電極23と電極24間に、電極23を正極
とする電界を印加すると、強誘電性液晶の自発分極の双
極子は図2中の矢印A、Bのように配向する。即ち、共
通電極26を基準にして考えると電極23上と電極24
上では液晶にかかる電界方向が逆になる。電界としては
一方の電極から共通電極へ、共通電極から他方の電極へ
向かう二つの電界領域が一つの画素内に形成される。従
って、A、Bを白または黒のいずれかの状態に設定でき
れば、同じ基板上にマトリクス状に配線した電極群で複
数の画素を良好にマトリクス駆動することができる。
【0028】上記共通電極26に電気力線が入る方向の
電界を「+」とすると、電極23に「+」電界が印加さ
れる時には電極24には「−」方向の電界が印加される
ことになる。この状態で両電極上に「黒」状態を形成す
るには、図3に示すような配向処理を施す必要がある。
図3中、33は電極23上の配向膜のラビング方向、3
4は電極24上の配向膜のラビング方向、35、36は
それぞれ偏光子の配置方向である。SSFLCの強誘電
性液晶の双安定状態をU1、U2と表記すると、U1と
U2は平均分子軸方向(光軸)がチルト角の2倍だけ異
なることになる。SSFLCの強誘電性液晶のチルト角
をθとすると、電極23上のラビング方向33を基準と
して電極24上のラビング方向34を2θもしくは2θ
+180°の方向にずらせることにより、電極23上の
液晶分子が「+」電界の印加によってU1配置をとり、
一方電極24上の液晶分子は「−」の電界が印加される
のでU2分子配置をとるが、電極23と電極24のラビ
ング方向〜層法線方向を上述のように2θもしくは2θ
+180°ずらすことにより、電極23のU1の分子軸
と電極24のU2の分子軸は同一方向に揃うことにな
り、同一の偏光子の配置(35,36)で黒状態を実現
することができる。
【0029】逆に、電極23を負極とする電界を印加す
ると、電極23上の液晶分子はU2、電極24上の液晶
分子はU1配置をそれぞれとる。どちらの配置もラビン
グ偏光子の吸収軸ないし透過軸から一定角度傾くことに
なるため、偏光子を光が透過し、いずれも白状態を表示
する。この時、電極23、24上でそれぞれ液晶分子が
逆方向に傾いているため、従来の同一方向に反転する電
極構成に比べると視野角特性が改善される。
【0030】以上のように、一画素領域に電界を形成す
る一対の電極を同一基板に形成した構成によって、良好
に二値表示を行なうことができる。従って、複数の画素
について、一方の電極を走査電極、他方の電極を情報電
極として互いの直交する方向にマトリクス配線すること
によって、従来の対面電極構成の単純マトリクス型液晶
素子と同様のマトリクス駆動(時分割駆動等)を行なう
ことができる。
【0031】本発明においては、上記電極構成をとるこ
とにより、一画素の電極面積が実質半分になり、液晶層
厚は実質2倍になるため、同一面積の画素でもその静電
容量を四分の一に減少させることができ、印加電圧波形
の伝搬遅延を小さくすることができる。また、共通電極
が画素毎に独立しているため、共通電極と情報電極また
は走査電極との間で金属片等によりショートを発生した
としても、表示不良はショート箇所の画素のみに留ま
り、点欠陥となる。またさらに、一方の基板にのみ電極
配線を行なうため、他方の基板の構成が極めて単純なも
のとなり、基板の製造歩留が向上して素子のコストダウ
ンが実現する。また、他方の基板には金属配線を用いな
いことにより、さらに素子のコストダウンが図られる。
【0032】また、液晶素子には、駆動波形に重畳され
るDCオフセット電圧に関して通常50〜200mV程
度が印加されることがあるが、強誘電性液晶のように電
圧の極性によって反転する素子の場合にはその影響が大
きく、双安定なスイッチングを妨げることがある。しか
しながら本発明においては、情報電極と走査電極によっ
て電界を印加される液晶層厚が実質2倍になることで、
液晶層に印加される電圧が、DCオフセット電圧値の半
分に減少し、スイッチング特性への影響が低減される。
【0033】図1は、本発明の光学的変調素子の一実施
形態の断面模式図である。図中、1,11は透明基板、
12はブラックマトリクス、13はR、G、Bの各フィ
ルタ13a〜13cからなるカラーフィルタ、14は保
護膜、4は走査電極、7は情報電極、5及び6は情報電
極7の低抵抗化のための金属配線、8は走査電極4と情
報電極7をマトリクス状に立体配線するための樹脂層、
17は各画素毎に独立する共通電極、9及び19は配向
膜、16はカイラルスメクチック液晶、15はスペーサ
ーである。尚、走査電極4についても、後述するよう
に、低抵抗化のための金属配線が形成されている。
【0034】本発明において、共通電極17はフローテ
ィング電極であるため、透明基板11は電極配線の引き
出し結線を行なう必要がない。強誘電性液晶の液晶配向
の破壊の原因として考えられているセルへの変形力の印
加され易さは、液晶セルが両基板を実装していることに
も原因があると考えられているが、本発明では一方の基
板のみを実装するため、当該問題が解消される。
【0035】また、透明基板1、11としては通常ガラ
ス基板を用いるが、透明基板11には樹脂基板を用いる
ことができる。樹脂基板はガラス基板に比べて変形し易
く、駆動IC実装などによりセル厚の変形を生じ易いた
め、従来のIC実装を要する基板には用いることができ
なかった。しかしながら、本発明では透明基板11は実
装されないため、樹脂基板を用いることが可能である。
樹脂基板は変形が容易であるため、セル全体の振動を吸
収する働きがあり、上下基板共にガラス基板で構成した
場合に比べてセル全体の耐衝撃性を改善することができ
る。従って、従来のような上下基板接着ビーズを用いな
くても耐衝撃性が得られ、液晶注入時の体積収縮や低温
放置時に発生する液晶材料の体積収縮によるセル内の液
晶未注入部分の発生を伴わないという利点が得られる。
【0036】上記樹脂基板としては、ポリエステル、ポ
リサルファイド、ポリカーボネイドなどからなる基板を
好ましく用いることができる。このうち、ポリエステル
は延伸性があるので、延伸してフィルム化できるが、ポ
リサルファイド、ポリカーボネイトなどはキャスティン
グ法が用いられる。いずれも100℃以上の耐熱性があ
り(ポリエステル、ポリサルファイドは約180℃まで
の耐熱性がある)、ポリサルファイド、ポリカーボネイ
トは特に透光性が高い。また、樹脂基板として偏光板を
用いることも可能である。
【0037】本実施形態において、透明基板1上に形成
されるブラックマトリクス12及びカラーフィルタ1
3、及びカラーフィルタ13の表面平坦化を兼ねた保護
膜14については、従来のカラー表示の液晶素子で用い
られているものを用いることができ、特に限定されな
い。また、白黒二値表示の場合には、当該カラーフィル
タを形成する必要はない。
【0038】本発明において、同一基板上に形成された
情報電極7と走査電極4は樹脂層8を用いて立体的にマ
トリクス配線されている。図4に本発明の素子における
電極構成を示す。図中(a)は透明基板1側の電極構
成、(b)は透明基板11側の電極構成である。図5は
これらの電極基板を貼り合わせた状態を示す平面図であ
あり、図中51はシール材、52は液晶注入口を示す。
また、図6は図4(a)の各断面を示す図であり、図6
(a)は図4(a)のA−A’断面図、(b)はB−
B’断面図、(c)はC−C’断面図、(d)はD−
D’断面図である。
【0039】本実施形態においては、情報電極7及び走
査電極4はそれぞれ低抵抗化のための金属配線5、6及
び2、3を付されており、情報電極7は図4の横方向に
樹脂層8上で共通に配線され、一方走査電極4は樹脂層
8の下側に形成した下金属配線2により縦方向に共通に
配線されている。
【0040】図7は本実施形態の透明基板1側の電極の
製造工程を示す平面模式図である。先ず、透明基板1上
に下金属配線2、5を形成する(図7(a))。次に、
下金属配線2上には走査電極4に連絡するため部分的な
上金属配線3を、下金属配線5上には同じパターンで上
金属配線6を形成する(図7(b))。各金属配線間を
樹脂層8で埋める(図7(c))。
【0041】上記下金属配線2、5の厚さは、好ましく
は500Å〜5000Åであり、MoTa合金や、Al
合金、Cu、Cu合金などにより形成される。また、上
金属配線3、6は、下金属配線2、5よりも厚膜で、C
uやAl合金、Cu合金などにより好ましくは1μm〜
2μmの厚さで形成される。
【0042】また、樹脂層8は、好ましくは特開平8−
76101号公報に記載された方法でUV硬化型樹脂で
形成する。この方法によれば、上金属配線3、6表面に
樹脂を付着させることなく露出させて平坦な表面の樹脂
層8を形成することができる。
【0043】図7(c)の工程に引き続き、情報電極7
及び走査電極4を形成すると同時に、それぞれ樹脂層8
表面に露出していた上金属配線6、4と接続する(図4
(a))。情報電極7については、低抵抗化のために、
さらに図4の横方向に各画素の情報電極7を共通に接続
する金属配線を設けても良い。その素材としては、銅や
Al合金等が好ましく用いられ、厚みは100Å〜20
00Åで形成される。また、透明基板11上には各画素
毎の共通電極17を直接形成する(図4(b))。尚、
図4〜図7においては便宜状、カラーフィルタ13やブ
ラックマトリクス12、保護膜14については省略し
た。
【0044】上記したように、低抵抗化のための金属配
線と樹脂層を用いることにより、情報電極7と走査電極
4を立体的にマトリクス配線することができる。尚、図
1の断面は、図4におけるD−D’断面に相当する。
【0045】本発明において、情報電極7及び走査電極
4としては、通常用いられているITO等透明導電体が
好ましく用いられ、厚さは好ましくは500Å〜150
0Åである。また、ITO以外にも、例えば導電性粒子
を分散させた樹脂等導電性樹脂膜を用いることもでき
る。このような樹脂膜は塗布により形成し得るため、I
OTなどのように真空スパッタ成膜、エッチングが不要
で製造コストの削減を図ることができる。
【0046】本発明において、配向膜9、19として
は、従来用いられていたポリアミド、ポリイミド、PV
A、ナイロン等を好ましく用いることができる。但し、
前記した通り、情報電極7上と走査電極4上ではラビン
グ方向が異なるため、2回のラビング工程を行なう必要
がある。具体的には、先ず配向膜9全面を一方向にラビ
ング処理した後、図8に示すように一方の電極を覆うレ
ジスト81を形成してもう一方向にラビング処理すれば
良い。また、配向膜19については、対向する側の配向
膜のラビング方向に合わせて、同様に2回ラビング処理
してラビング方向の異なる領域を形成する。
【0047】また、本発明においては、配向膜19とし
てある程度の導電性をもつ配向膜を用いることにより、
強誘電性液晶のスイッチング特性を改善することができ
る。自発分極を原因とする反電場の影響の緩和に関し
て、その原理は明らかではないが、自発分極に由来する
内部電場による電極上のイオンの偏在を解消し易くなる
のではないかと考えられる。液晶がイオンの偏在を伴っ
て配向している(反電場を形成している)安定な状態か
ら、もう一方の安定状態に反転すると、該反転以前の電
極上のイオン配置は不安定なものとなる。この時電極上
のイオン配置を速やかに解消できなければ、逆に反転状
態が不安定なものとなり完全な反転が妨げられるが、こ
のようなイオン偏在を解消するために電極上の導電性が
関係があると考えられている。
【0048】上記、導電性配向膜としては、シート抵抗
値が1×1013Ω/□以下のものであればその効果が得
られ、例えば酸化錫などの導電性粒子を分散させたポリ
イミド、ポリアミド等の樹脂膜や、シリコン酸化物母材
中にSnOx の酸化物超微粒子を分散させた無機膜など
が好適に用いられる。また、このような導電性配向膜で
共通電極17を形成し、配向膜19を形成しない構成に
おいても、同様の効果を得ることができる。
【0049】上述のような構造の液晶素子では、走査電
極4、情報電極7に対し、一般的な単純マトリックス駆
動方式、特に時分割駆動方式を用いて(例えば、図9に
示すような走査信号(a)、情報信号(b)、(c)に
より)駆動することができる。
【0050】本発明において用いられる光学的変調物質
としては、カイラルスメクチック相を示す液晶、強誘電
性液晶、反強誘電性液晶、また双安定型ネマチック液晶
が好ましく用いられる。
【0051】また、その他にもネマチック液晶をOCB
モードで用いることができる。OCBモードは、基板と
の界面において液晶分子がプレチルト角を有し、液晶層
の基板の法線方向の中央部における液晶分子が該法線方
向に平行である、ベンド配向状態をとるモードである。
OCBモードにおいては、上下基板に水平配向膜を形成
し、互いのラビング方向が平行或いはほぼ平行になるよ
うに配置することによって、液晶分子に、基板との界面
においてプレチルト角を有し且つ上記ラビング方向(ラ
ビング方向が上下基板で交差する場合には平均ラビング
方向)に平行に配置したスプレイ配向をとらせる。この
状態で所定のベンド電圧を液晶層に印加すると、液晶層
の基板法線方向中央部の液晶分子が該法線に平行に配向
し、順次基板に近づくに連れて該基板との界面に位置す
る液晶分子のプレチルト角に近づくベンド配向をとる。
このベンド配向は上記ベンド電圧よりも低い保持電圧に
よって維持することができ、該保持電圧よりも高い所定
の電圧を液晶層に印加すると基板との界面付近を除く液
晶層の大部分で液晶分子が基板法線方向に平行に配向す
る。該配向とベンド配向との間の応答時間は速く、且つ
中間状態もとり得るため、保持電圧を低電圧側として印
加電圧を変化させることによって階調表示を行なうこと
ができる。
【0052】上記実施形態においては、アクティブ素子
としてTFTを用いたが、MIM等の2端子素子を用い
ることも可能である。
【0053】本発明は、互いに直交する複数の走査信号
線と情報信号線、及び該信号線の交点を1画素として、
各画素毎に画素電極とスイッチング素子を設けた第1の
基板と、各画素毎に電気的に独立した対向電極を設けた
第2の基板との間に自発分極を有する液晶を挟持してな
り、各画素において、上記画素電極が電気的に独立した
複数の領域からなり、該画素電極と対向電極によって、
直列接続された複数のキャパシタンスが上記スイッチン
グ素子の負荷として形成されていることを特徴とする液
晶素子である。
【0054】特に本発明は、液晶が、電圧無印加で第一
の配向状態にあり、該配向状態では第一の透過率を示
し、該液晶に第一の極性の電圧を加えたときには、液晶
分子が第一の配向状態から一方の方向の第二の配向状態
にチルトし、所定の電圧値V0で第二の透過率を示し、
且つ第一の極性とは逆の第二の極性の電圧を加えたとき
には、液晶分子が第一の配向状態から他方の方向の第三
の配向状態にチルトし、所定の電圧値−V0で第二の透
過率を示し、印加電圧に応じて第一の透過率と第二の透
過率との間で連続的に透過率が変化する電圧−透過率特
性を示すように液晶材料や素子構成を設定することによ
って、良好な階調表示を行うことが可能となる。
【0055】
【実施例】[実施例1]本発明第1の実施例として、図
1に示した構成の強誘電性液晶素子を作製した。共通電
極側の基板11としてガラス基板を用い、基板加熱を行
なわずにスパッタ法でITO膜を成膜し、膜厚70nm
の共通電極17を形成した。また、マトリクス電極側の
基板1としては、ガラス基板を用い、膜厚1.5μmの
顔料系カラーフィルタ13、ブラックマトリクス12を
形成し、その上にPA−1000C(商品名、宇部興産
社製、ポリマー分:10%、溶剤:N−メチル−2−ピ
ロリドン)を用いて1.5μmの厚みの保護膜14を形
成した。
【0056】上記保護膜14を形成した基板上にMoT
a合金を200nmの厚さでスパッタ成膜し、硝酸、酢
酸、リン酸の混合液(通称、混酸)で図7(a)の如く
パターニングを行ない、下金属配線2、5を形成した
後、銅をスパッタ法により1μmの厚みに成膜し、塩化
第二銅溶液で図7(b)の如くパターニングして上金属
配線3、6を形成した。
【0057】上記金属配線を形成した基板に特開平8−
76101号公報記載の方法によりUV硬化型樹脂によ
る平坦化処理を施した。具体的には、上記金属配線基板
にUV照射オゾン処理を5分間行なった後、シランカッ
プリング剤(商品名:A−174、日本ユニカー社製)
をIPA(イソプロピルアルコール)で3.75%に希
釈したものをスピンコートし、100℃で20分間熱処
理を行ない、密着処理を施した。この基板をオーブン中
で60℃に加熱し、同時に、ガラス製の型基板、UV硬
化型樹脂の入ったディスペンサーも60℃に加熱した。
加熱時間は20分とした。オーブンから取り出した金属
配線配線基板上にディスペンサーによりアクリル系UV
硬化型樹脂(ペンタエリスールトリアクリレート:ネオ
ペンチルグリコールジアクリレート:ヒドロキシシクロ
ヘキシルフェニルケトン=50:50:2)を滴下し、
直ちに平滑型基板を貼り合わせて予め60℃に加熱して
おいたプレス機によって20Kg/cm2 の圧力を3分
間加えた。上記金属配線基板と平滑型基板を貼り合わせ
てからプレスを開始するまでの時間は2分間であった。
この後、中心波長365nmのUV光(光強度:200
mJ/cm2 )を照射し、UV硬化型樹脂を光硬化し
た。離型治具を用いて型基板を離型し、イソプロパノー
ル溶液中で超音波洗浄し、未硬化のUV硬化型樹脂を除
去し、金属配線埋込み基板8を得た。
【0058】上記金属配線埋込み基板8上にITOを厚
さ70nmにスパッタ成膜し、図4(a)の如くパター
ニングして情報電極7及び走査電極4を形成すると同時
に、それぞれ金属配線を連絡してマトリクス電極とし
た。
【0059】上記マトリクス電極上にポリイミド系の配
向膜9を10nmの厚みで形成し、全面を一方向にラビ
ング処理した後、図8の如く一方の電極のみをレジスト
で覆い、上記ラビング処理の方向からチルト角の2倍だ
け回転させた方向にラビング処理を施した。また、前記
共通電極17を形成した基板11にも、同様のポリイミ
ド系配向膜を形成し、上下基板でラビング方向が同じに
なるように同様に2回ラビング処理を施した。
【0060】上記上下基板を、SiO2 からなるスペー
サー15(粒径約2.3μm)及びエポキシ樹脂接着ビ
ーズ(粒径5μm)を介して図5に示すように重ねて貼
り合わせ、セルギャップが2.1μmの液晶セルを作製
し、下記組成のカイラルスメクチック液晶A(強誘電性
液晶)を注入して液晶素子を得た。
【0061】
【化1】
【0062】尚、上記物性については下記の測定法によ
り測定した。
【0063】〔チルト角Θ〕±30〜±50V、1〜1
00HzのAC(交流)を液晶素子の上下基板間に電極
を介して印加しながら、直交クロスニコル下、その間に
配置された液晶素子を偏光板と平行に回転させると同時
に、フォトマル(浜松フォトニクス社製)で光学応答を
検知しながら、第1の消光位(透過率が最も低くなる位
置)及び第2の消光位を求める。そしてこの時の第1の
消光位から第2の消光位までの角度の1/2をチルト角
Θとする。
【0064】〔自発分極Ps〕自発分極Psは、K.ミ
ヤサト他「三角波による強誘電性液晶の自発分極の直接
測定方法」(日本応用物理学会誌22、10号(66
1)1983、”Direct Method wit
h Triangular Waves forMea
suring Spontaneous Polari
zationin Ferroelectric Li
quid Crystal”,asdescribed
by K.Miyasato et al.(Ja
p.J.appl.Phys.22.No.10,L6
61(1983)))によって測定した。
【0065】上記液晶素子を動作温度38℃とし、図9
に示した駆動波形を用いて駆動した。図9においてV1
=21.0V、V2 =−21.0V、V3 =9.0V、
4=−9.0V、V5 =9.0V、パルス幅(ΔT)
=9.3μsで良好な駆動を示した。また、V1 =2
9.0V、V2 =−29.0V、V3 =12.0V、V
4 =−12.0V、V5 =12.0V、パルス幅(Δ
T)=7.0μsでも良好な駆動を示した。
【0066】[実施例2]本発明第2の実施例として、
双安定性を有するネマチック液晶を用いて液晶素子を作
製した。この原理的な内容は特公平1−151818号
公報に、また駆動法については特開平6−230751
号公報にそれぞれ詳述されている。液晶材料としては、
市販の液晶材料(商品名:KN−4000、チッソ社
製)に光学活性物質を添加してネマチック液晶のヘリカ
ルピッチを3.4μmに調整した。
【0067】また、セルとしては、実施例1と同じ電極
構成に、配向膜として日産化学社製のSE3140を2
0nmの厚さに形成し、上下基板で反平行になるように
ラビング処理を施した。ラビング方向は、実施例1で行
なったラビング方向の中間方向1種類とした。プレチル
ト角は(J.J.A.P.vol.119(1980)
No.Short Notes2031に記載のクリス
タルローテーション法に準じて測定)約4°、セル厚は
2.1μmに設定した。
【0068】上記液晶素子を、図10に示す駆動波形で
駆動した。図10(a)〜(d)が走査信号線に印加さ
れる走査信号で、図10(e)が情報信号線に印加され
る情報信号である。リセットパルス電圧V1 =±20
V、書込み電圧V2 =±2.5V、情報信号電圧V3
±1.5Vで所望の情報を書き込むことができ、クロス
トークのない良好な画質が得られた。
【0069】[実施例3]本発明第3の実施例として、
反強誘電性液晶を用いた液晶素子を作製した。液晶材料
としては、チッソ社製のCS4000を用いた。またセ
ルは実施例1のセル構成においてセルギャップを1.5
μmとしてらせんピッチを抑制し、強誘電性配向状態と
反強誘電性配向状態を安定に実現した。上下基板上の配
向膜としては東レ社製のLP−64を用い、その膜厚を
10nmとしてラビング方向は実施例2と同様に、上下
基板で反平行で且つ実施例1のラビング方向の中間方向
とした。
【0070】本実施例の液晶素子を、動作温度30℃で
図11に示した駆動波形で駆動したところ、良好な画質
が得られた。図11(a)が走査信号線に印加される走
査信号で、図11(b),(c)が情報信号線に印加さ
れる情報信号である。尚、図11において、V1 =20
V、V2 =12V、V3 =4V、パルス幅(ΔT)=2
50μsに設定した。
【0071】[実施例4]本発明第4の実施例として、
共通電極17側の配向膜19としてシリコン樹脂中にア
ンチモンをドーピングした、酸化錫導電性粒子(径5〜
10nm)を分散させた導電性配向膜を膜厚200nm
に形成した。尚、該導電性配向膜の表面エネルギーは、
27〜35dyne/cmに調整した。また、ラビング
方向が上下基板で同一方向になるようにラビング処理を
施した。
【0072】一方マトリクス電極側基板については実施
例1と同様にして形成し、上下基板を実施例1と同様に
して貼り合わせ、同じカイラルスメクチック液晶Aを注
入して液晶素子を得た。この液晶素子を図9の駆動波形
で駆動した。尚、図9において、V1 =30.0V、V
2 =−30.0V、V3 =12.0V、V4 =−12.
0V、V5 =12.0V、パルス幅22.4μsと設定
した。
【0073】本実施例における導電性配向膜の抵抗値と
駆動の関係を表1に示す。
【0074】
【表1】
【0075】尚、シート抵抗値は、特開平8−2624
77号公報に記載の膜のシート方向の抵抗測定方法を用
いて行った(同公報の図7)。
【0076】[実施例5]本発明第5の実施例として、
図12に示す構成の液晶素子を作製した。即ち、実施例
4において用いた導電性配向膜材料で情報電極7、走査
電極4、共通電極17を形成した(シート抵抗値:1×
108 Ω/□)。尚、各電極は、レジストをパターニン
グしておき、リフトオフ法により形成した。また、共通
電極17側の配向膜は省略した。このように、ITOを
用いないことによって、真空スパッタ成膜、エッチング
工程が不要になり、コストダウンを図ることができる。
【0077】また、共通配線されている情報電極7の該
共通配線部分を通して連続する金属配線121を200
nmの厚みの銅配線により付したものである。これによ
り、情報電極の伝搬遅延は実施例1の約50分の1と格
段に小さくすることができ、波形遅延による表示むらの
ない良好な画像表示ができる。
【0078】[実施例6]本発明第6の実施例として、
実施例1→実施例2と同様の変更事項を実施例4に加え
てネマチック液晶素子を作製した。この液晶素子を実施
例4と同じ駆動波形で駆動したところ、所望の情報を書
き込むことができ、クロストークのない良好な画質が得
られた。
【0079】[実施例7]本発明第7の実施例として、
実施例1→実施例3と同様の変更事項を実施例4に加え
て反強誘電性液晶素子を作製した。但し、情報電極7上
の配向膜9の厚みは6nmとした。この液晶素子を実施
例4と同じ駆動波形で駆動したところ、良好な画質が得
られた。
【0080】[実施例8]本発明第8の実施例として、
図1の構成において透明基板11として樹脂基板を用い
て液晶素子を作製した。
【0081】本実施例においては、厚みが0.1mmの
ポリエステルフィルムを用い、基板加熱を行なわずにI
TO膜17を70nmの厚さでスパッタ成膜し、シリコ
ン樹脂中にアンチモンをドーピングした、酸化錫導電性
粒子(径5〜10nm)を分散させた導電性配向膜19
を膜厚200nmに形成した。尚、該導電性配向膜の表
面エネルギーは、27〜35dyne/cmに調整し
た。
【0082】一方マトリクス電極側基板については実施
例1と同様にして形成し、配向膜にその領域により2方
向のラビング処理を施した。上下基板を実施例1と同様
にして貼り合わせ、同じカイラルスメクチック液晶Aを
注入して液晶素子を得た。この液晶素子を実施例1と同
じ駆動波形で駆動したところ、良好に駆動した。
【0083】[実施例9]本発明第9の実施例として、
図15に示す構成の液晶素子を作製した。
【0084】実施例8と同じ樹脂基板上にフォトレジス
トで共通電極形状のネガパターンを形成し、その上から
SiOx からなるシリコン酸化物母材中に、SnOx
酸化物超微粒子を分散した溶液をスピンコートし、12
0℃に焼成して膜厚40nmの導電性無機膜を得、上記
レジストを除去して共通電極を得た。この膜の表面エネ
ルギーは27〜35dyne/cmに調整し、抵抗値は
6×108 Ω/□とした。
【0085】上下基板間接着ビーズを用いずに、その他
の構成は実施例1と同様にして、液晶素子を作製し、実
施例1と同様に駆動した。本実施例の液晶素子は、接着
ビーズを用いていないものの、セル作製〜液晶注入〜セ
ル駆動表示の各プロセスにおいて、液晶配向の破壊によ
る不良を発生することはなかった。
【0086】[実施例10]本発明第10の実施例とし
て、図13に示す共通電極側基板に偏光板を用いた構成
の液晶素子を作製した。図13中、131と133は樹
脂基板、132は延伸PVAフィルムである。
【0087】本実施例において、偏光板はヨウ素染色P
VA樹脂を延伸したもの(厚み20μm)に保護フィル
ム(厚み100μm)を1μm厚乃接着層を介して貼り
合わせたものである。保護フィルムとしては、トリアセ
テートやポリエステルが用いられるが、本実施例ではト
リアセテートを用いた。
【0088】その他の構成は実施例8と同様にして、液
晶素子を作製した。但し、偏光板の光学特性上の耐熱性
は100℃以上あると考えられるものの、液晶注入温度
は90℃に設定した。
【0089】上記液晶素子を実施例8と同様に駆動した
ところ、良好な表示が得られた。
【0090】このように偏光板を片側の基板として用い
ることにより、15インチサイズの液晶素子において、
約500gの軽量化と、約1000円のコストダウンを
図ることができる。
【0091】[実施例11]本発明第11の実施例とし
て、実施例1→実施例2と同様の変更事項を実施例8に
加えてネマチック液晶素子を作製した。この液晶素子を
実施例8と同じ駆動波形で駆動したところ、所望の情報
を書き込むことができ、クロストークのない良好な画質
が得られた。
【0092】[実施例12]本発明第12の実施例とし
て、実施例1→実施例3と同様の変更事項を実施例8に
加えて反強誘電性液晶素子を作製した。この液晶素子を
実施例8と同じ駆動波形で駆動したところ、良好な画質
が得られた。
【0093】[実施例13]本発明の液晶素子の一実施
例の電極構成例を図16に、図16中のA−A’断面を
図17にそれぞれ示す。図16、17は1画素分の構成
を模式的に示す図であり、図16については便宜上、主
要部材のみ示している。図16、17中、211は走査
信号線、212は情報信号線、213は第1の画素電
極、214は第2の画素電極、215は基準電圧信号
線、216は対向電極、221及び231は基板、22
2はゲート電極、223は半導体層、224はソース電
極、225はドレイン電極、226はゲート絶縁膜、2
27はTFT、228及び232は保護膜、229及び
233は配向膜、230は液晶である。尚、本発明にお
いては、本発明にかかる電極構成を有していれば、各部
材の素材、形状、製法等については、一般の液晶素子、
特にアクティブマトリクス方式の液晶素子の技術を適用
することができる。
【0094】本実施例においては、スイッチング素子と
してTFTを用い、画素電極を第1の画素電極213と
第2の画素電極214に分割することで電気的に独立し
た複数の領域を形成している。第1の画素電極213は
TFT227のドレイン電極225に接続され、液晶2
30を挟んで対向電極216との間にキャパシタンスを
形成している。一方、第2の画素電極214は基準電圧
信号線215に接続され、やはり液晶230を挟んで対
向電極216との間にキャパシタンスを形成している。
対向電極216は画素毎に絶縁され、フローティング状
態とし、第1及び第2の画素電極が形成するキャパシタ
ンスは対向電極216が共通電極となっているため、T
FT227の負荷としてこれらキャパシタンスが直列に
接続されていることになる。
【0095】従って、本実施例の1画素の等価回路は図
18(a)のようになる。図18(a)の各結線に付さ
れた符号は図16、17の符号に対応している。これに
対して、従来の構成の等価回路は図18(b)である。
ここで、図18(a)の構成では第1の画素電極213
と第2の画素電極214の面積が同一で、図18(b)
の構成の画素電極はこれらを合わせた面積で、当該画素
電極と対向電極で形成されるキャパシタンスの容量をC
とする。本実施例において、TFT227から見た負荷
容量は、C/2が直列に2個接続されているので、合成
容量としてはC/4となり、従来の構成の1/4とな
る。但し、情報信号線212より与える駆動電圧は、従
来の電圧値Vの2倍にしなければならない。
【0096】ここで、液晶として自発分極を有する強誘
電性液晶或いは反強誘電性液晶を用いた場合に、全ての
液晶分子の自発分極が一方に向いた状態から、完全に他
方に向けるためには、キャパシタンスを充電させるため
に必要な電荷=(C/4)×2V=CV/2と、自発分
極の反転に費やされる電荷=2Ps・S/2=Ps・S
となり、いずれも従来の半分になる。特に、自発分極の
反転に必要な電荷量が半分になるため、Ps=100n
C/cm2の液晶を用いた場合でも、TFTに必要な駆
動能力はTN型液晶を用いた場合の5倍程度ですむ。
【0097】本発明においては、上記のように画素電極
を分割して、直列に接続された複数のキャパシタンスを
形成することにより、駆動回路から見たTFTの負荷が
軽くなり、TFTに必要とされる駆動能力が小さくて済
む。その結果、画素の開口率を高くして画面全体を明る
くすることができる。
【0098】図19に本実施例の液晶素子を駆動する信
号の電圧波形と印加タイミングを示す。図中G1〜G3
走査信号線に印加される走査信号の電圧波形、S1は情
報信号線に印加される情報信号の電圧波形、Bは基準電
圧信号線の電位(基準電位)、1Fは1フレーム走査期
間、1Hは1ライン走査期間である。基準電位は図19
のように一定でも良いが、図20に示すように、フレー
ム毎に変えても良い。これは従来の液晶素子においてフ
レーム毎に極性を反転する駆動法と同じ駆動形態であ
る。
【0099】図19または図20において、走査信号線
に順次Vgの駆動電圧が与えられると、マトリクス状に
配列した該当ラインの画素のTFTのゲートが順次オン
状態となり、情報信号線に印加された情報信号に応じて
各画素のキャパシタンスが充電される。ここで、ソース
電極に印加された情報信号の電位をVs、基準電位をV0
とすると、各キャパシタンスには(Vs−V0)/2の電
圧がかかり、該電圧に応じた液晶の自発分極量だけの電
荷を消費して配向状態を変化させる。
【0100】本実施例の液晶素子において、電圧−透過
率特性が図25(a)のヒステリシスを持つ液晶パネル
の場合、明状態を表示するには、絶対値において第1の
しきい値(+V1または−V1)以上の電圧を上記(Vs
−V0)/2として設定し、暗状態を表示するには絶対
値において第2のしきい値(+V2または−V2)以下の
電圧を上記(Vs−V0)/2として設定する。また、自
発分極を有するスメクチック液晶を用いた図25(b)
の電圧−透過率特性を示す液晶パネルの場合には、階調
に応じて絶対値において飽和しきい値(+V3または−
3)以下の任意の電圧を上記(Vs−V0)/2として
設定する。
【0101】尚、本実施例の様に画素電極を2分して直
列にキャパシタンスを接続した場合には、第1の画素電
極213の領域と第2の画素電極214の領域とでは液
晶230に印加される電界の方向が逆向きとなる。反強
誘電性液晶においては、明状態の光軸はスメクチック軸
方向に対して左右にチルトした二つの方向をとり、これ
を一定周期毎に切り替えて交流駆動するが、これがフリ
ッカとして視認されることがある。従来、これを防ぐ方
法として1行毎に駆動極性を正負逆にするいわゆる1H
反転駆動法が提案されている(特開平4−182694
号公報)が、通常のアクティブマトリクス方式では対向
電極が共通なためにソース電圧を正負交互に与えなけれ
ばならず、ソース(情報信号)ドライバICに高電圧出
力のものが求められていた。本実施例では、1画素内で
正負2方向が存在するので、1H反転の必要がなく、ソ
ースドライバICの低電圧化が容易になるという利点も
ある。
【0102】[実施例14]上記実施例13において
は、基準電位を情報信号線に平行に配設した基準電圧信
号線から与えたが、これを隣接ラインの走査信号線で代
行することもできる。その電極構成を図21に示す。図
中、261は隣接ラインの走査信号線であり、ゲート絶
縁膜に設けたコンタクトホール262を介して第2の画
素電極214に接続されている。
【0103】本実施例においては、基準電位は非選択走
査信号電位であるが、必要に応じてゲートがオンしない
範囲で図20のように、基準電位を一定周期で変化させ
ることが可能である。
【0104】[実施例15]図22に本発明の別の実施
例の液晶素子の1画素の電極構成を模式的に示す。本実
施形態は、画素電極を1:2の面積比に分割し、図22
に示した位置関係で、対向電極も2:1の面積比に分割
する。即ち、両電極で画素が3つの領域に区分され、個
々が直列に容量接続するように形成する。この場合、フ
ローティング状態の第2の画素電極214、及び、第1
と第2の画素電極213、214の両方に対向するフロ
ーティング状態の第1の対向電極271はいずれもどこ
にも接続されず、第2の画素電極214に対向する第2
の対向電極272を全画素に亘って共通に接続し、外部
の基準電位端子(不図示)に接続する。図23は対向電
極271、272の形状を3×5画素に亘って示したも
のである。
【0105】本実施例の1画素の等価回路を図24に示
す。図24において、基準電位を接地電位にしてある
が、任意の電位を与えることができ、さらに、図20の
ように、一定周期で変化させることもできる。
【0106】本実施例において、各キャパシタンスの面
積は、画素全体の1/3であるため、充電電荷量と反転
電荷量はいずれも従来の1/3になる。従って、スイッ
チング素子(TFT)の必要駆動能力も1/3で済む。
但し、情報信号の振幅は3倍にしなければならないが、
これはソースドライバの電源電圧を高くし、ドライバI
Cの耐圧を高くすることで対処することができる。
【0107】[実施例16]以上の実施例において、液
晶は反強誘電性を示す物質であるが、本発明は強誘電性
液晶にも適用できる。図26はその例を示す。電極の構
造は実施例13と同じで、液晶材料として
【0108】
【化2】
【0109】の混合液晶を用いる。上記液晶は、等方相
からカイラルネマチック(N*)相を経てカイラルスメ
クチックC(SmC*)相に転移するもので、スメクチ
ックA相を持たない。このような液晶はSmC*相にお
いて図26のようにラビング方向310から傾いたスメ
クチック層311、312をなし、ラビング方向と液晶
分子のなす角度はおよそチルト角(θ)の2倍に等し
い。ラビング方向から傾く方向は311と312の左右
2通りあるが、これはN*相からSmC*相に転移する際
に電界を印加することで選択することができる。本実施
例に用いた液晶では、図26の紙面手前を向く電界を印
加すると311の層が実現され、向こう向きの電界を印
加すると312の層が実現される。従ってN*→SmC*
の相転移の前後でTFTのゲートを開き、ソース信号ラ
インに+12Vの電圧を加えると図26のように上の領
域は全面311の層方向、下の領域は全面312の層方
向になる。
【0110】このような処理をしてSmC*相に降温し
た液晶セルは、TFTにつながる第1電極211に正の
電圧を与えたときは図26の313、314に示すよう
に液晶分子がほぼラビング方向310を向き、負の電圧
を与えたときは315、316のようにラビング方向に
対してチルト角(θ)の4倍の角度をなす方向を向く。
なお、315と316の液晶分子位置は通常不安定であ
って、電界を切ると液晶分子は短時間(数10μ秒)で
ラビング方向の位置313と314に戻る。このセルを
一対の直交する偏光板で挟み、偏向軸をラビング方向に
あわせると、負電圧に対して光透過、零または正電圧に
対して光遮断の状態となる。また、弱い電圧に対しては
液晶は315や316の位置まで到達せず、中間的な位
置にとどまるので中間調を表示することもできる。正電
圧の場合は電圧の大きさによらず液晶分子はラビング方
向を向いているので透過率は零である。
【0111】図27はこのセルをTFTアクティブマト
リクス表示素子として用いる場合の駆動電圧の印加タイ
ミングを示すもので、VGがゲート電圧、VSがソース電
圧、VLCが液晶に印加される電圧、Iがそれに対する液
晶の透過率である。液晶に加わる電圧の時間平均値がD
C成分を持たないようにするため、ソース電極には、1
フレーム毎にほぼ絶対値が等しく逆極性の電圧が与えら
れる。負電圧が与えられるフレームでは、液晶が電圧値
に応じた透過率を示して画像が表示され、正電圧が与え
られるフレームでは透過率は零となり、表示には寄与し
ない。
【0112】本発明の電極構造によらず、従来のような
1画素あたり1電極の表示素子に本実施例の液晶を用い
た場合は、液晶分子のラビング方向からの傾きが図26
の315または316のいずれか1方向だけになり、明
状態の分子方向に応じた視角依存性が現れる。本発明の
構造をとると、1画素が2つの分子方向で構成されるの
でそれが平均化されて視角特性が向上する。
【0113】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によると以
下のような効果が得られる。 (1)素子の静電容量を大幅に削減して、入力電圧波形
の遅延や素子の発熱を抑制して表示品質を向上すること
ができる。 (2)上下電極でのショートが点欠陥に留まるため、表
示品質の改善或いは歩留の向上を図り、コストダウンが
実現する。 (3)一方の基板のみに電極配線の引出が必要であるた
め、他方の基板構成が単純になり、製造歩留が向上する
とともに、他方の基板は実装しないため、パネル匡体へ
の組み込み等実装に伴う問題が低減される。 (4)共通電極側の表面層を導電性配向膜で形成するこ
とにより、強誘電性液晶素子におけるスイッチング特性
を向上してより良好な表示が実現される。 (5)共通電極側基板に樹脂基板を用いることができる
ため、軽量化と強度の向上を図ることができ、さらには
液晶の注入不良を防止することができる。また、偏光板
を基板として併用することもでき、さらなるコストダウ
ンを図ることができる。 (6)アクティブマトリクス方式のスイッチング素子に
かかる負荷が低減されるため、より駆動能力の低いスイ
ッチング素子を用いることが可能となり、自発分極を有
する液晶をアクティブマトリクス方式で高速駆動するこ
とが可能となる。さらに本発明においては、液晶とし
て、印加される電圧値に応じて連続的に透過率が変化す
る液晶を用いることにより、アクティブマトリクス方式
で所望の階調表示を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光学的変調素子の一実施形態の断面模
式図である。
【図2】本発明の電極構成の作用の説明図である。
【図3】本発明におけるラビング方向の説明図である。
【図4】本発明における電極構成を示す平面模式図で有
る。
【図5】図4に示した電極基板を貼り合わせた状態を示
す平面模式図である。
【図6】図4に示した電極基板の断面模式図である。
【図7】図4に示した電極基板の製造工程を示す平面模
式図である。
【図8】本発明にかかるラビング処理の一工程を示す平
面模式図である。
【図9】本発明の実施例1で用いた駆動波形を示す図で
ある。
【図10】本発明の実施例2で用いた駆動波形を示す図
である。
【図11】本発明の実施例3で用いた駆動波形を示す図
である。
【図12】本発明の実施例5の液晶素子の断面模式図で
ある。
【図13】本発明の実施例13の液晶素子の断面模式図
である。
【図14】従来の液晶素子の断面模式図である。
【図15】本発明の実施例9の液晶素子の断面模式図で
ある。
【図16】本発明の実施例13の液晶素子の1画素の電
極構成を模式的に示す平面図である。
【図17】図16のA−A’断面模式図である。
【図18】本発明の実施例13及び従来の液晶素子の1
画素の等価回路である。
【図19】本発明の実施例13の液晶素子の駆動タイミ
ングチャートである。
【図20】本発明の実施例13の液晶素子の別の駆動タ
イミングチャートである。
【図21】本発明の実施例14の液晶素子の1画素の電
極構成を模式的に示す平面図である。
【図22】本発明の実施例15の液晶素子の1画素の電
極構成を模式的に示す平面図である。
【図23】本発明の実施例15の液晶素子の対向電極形
状を示す平面図である。
【図24】本発明の実施例15の液晶素子の1画素の等
価回路である。
【図25】本発明の液晶素子の電圧−透過率特性例を示
す図である。
【図26】本発明の液晶素子を示す図である。
【図27】本発明の実施例16の駆動電圧の印加タイミ
ングを示す図である。
【符号の説明】
1,11 透明基板 2,5 下金属配線 3,6 上金属配線 4 走査電極 7 情報電極 8 樹脂層 9,19 配向膜 12 ブラックマトリクス 13 カラーフィルタ 13a〜13c フィルタ 14 保護膜 15 スペーサー 16 カイラルスメクチック液晶 17 共通電極 21,22 ガラス基板 23,24 電極 25,26 配向膜 33,34 ラビング方向 35,36 偏光子方向 51 シール材 52 液晶注入口 81 レジスト 121 金属配線 131,133 樹脂基板 132 延伸PVAフィルム 141,144 低抵抗配線 142,145 ストライプ電極 211 走査信号線 212 情報信号線 213 第1の画素電極 214 第2の画素電極 215 基準電圧信号線 216 対向電極 221、231 基板 222 ゲート電極 223 半導体層 224 ソース電極 225 ドレイン電極 226 ゲート絶縁膜 227 TFT 228、232 保護膜 229、233 配向膜 230 液晶 261 隣接ラインの走査信号線 262 コンタクトホール 271 第1の対向電極 272 第2の対向電極
【手続補正書】
【提出日】平成10年8月21日(1998.8.2
1)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項14
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項15
【補正方法】変更
【補正内容】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 蜂巣 高弘 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 稲葉 豊 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 榎本 隆 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 2H090 HA03 HB07X HC06 HD03 HD05 HD12 KA13 KA14 KA15 LA04 LA15 MA05 MB01 2H092 GA05 HA28 JA03 JA24 JB05 JB24 JB27 JB36 JB52 JB56 JB57 JB58 JB65 KB05 KB25 MA05 MA10 NA01 NA07 NA16 NA22 NA23 NA27 NA28 NA29 PA01 PA02 PA03 PA06 PA08 PA11 QA12 QA13 QA14

Claims (24)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の画素を有し、各画素毎に第1電極
    を設けた第1の基板と、各画素毎に第1電極に対向配置
    された第2電極を設けた第2の基板との間に光学的変調
    物質を挟持してなり、各画素において、第1電極が電気
    的に独立した複数の領域からなり、第1電極と第2電極
    によって、直列接続された複数のキャパシタンスが形成
    されていることを特徴とする光学的変調素子。
  2. 【請求項2】 互いに直交する複数の走査電極と情報電
    極、及び該電極の交点を1画素として、各画素毎に該走
    査電極と該情報電極を設けた第1の基板と、各画素毎に
    該走査電極と該情報電極に対向し且つ各画素毎に電気的
    に独立した対向電極を設けた第2の基板との間に光学的
    変調物質を挟持してなり、各画素において、該走査電極
    と該対向電極と該情報電極によって、直列接続された複
    数のキャパシタンスが形成されている請求項1に記載の
    光学的変調素子。
  3. 【請求項3】 上記対向電極上に導電性配向膜が形成さ
    れている請求項2に記載の光学的変調素子。
  4. 【請求項4】 上記対向電極が上記光学的変調物質に接
    している請求項2に記載の光学的変調素子。
  5. 【請求項5】 上記対向電極、走査電極及び情報電極が
    導電性樹脂層からなる請求項2に記載の光学的変調素
    子。
  6. 【請求項6】 上記対向電極側の基板が樹脂基板である
    請求項2に記載の光学的変調素子。
  7. 【請求項7】 上記樹脂基板が偏光板である請求項6に
    記載の光学的変調素子。
  8. 【請求項8】 上記走査電極と情報電極の配線部分が、
    絶縁層を介して立体配線されている請求項2に記載の光
    学的変調素子。
  9. 【請求項9】 上記走査電極と情報電極に、低抵抗物質
    からなる配線部分が付されている請求項2に記載の光学
    的変調素子。
  10. 【請求項10】 上記対向電極がフローティング電極で
    ある請求項2に記載の光学的変調素子。
  11. 【請求項11】 上記光学的変調物質が強誘電性液晶で
    ある請求項2に記載の光学的変調素子。
  12. 【請求項12】 上記光学的変調物質が反強誘電性液晶
    である請求項2に記載の光学的変調素子。
  13. 【請求項13】 上記光学的変調物質が双安定型ネマチ
    ック液晶である請求項2に記載の光学的変調素子。
  14. 【請求項14】 上記光学的変調素子が液晶であり、第
    1の極性の電圧を加えたときには、前記走査電極内の液
    晶分子と前記情報電極内の液晶分子のなす角度がチルト
    角の2倍である明状態の第1の透過率を示し、第1の極
    性の電圧と逆極性の第2の極性の電圧を加えたときに
    は、前記走査電極内の液晶分子及び前記情報電極内の液
    晶分子のなす角度が0°である暗状態の第2の透過状態
    を示す請求項2に記載の光学的変調素子。
  15. 【請求項15】 上記液晶が強誘電性液晶であり、上記
    角度がチルト角の2倍である請求項2に記載の光学的変
    調素子。
  16. 【請求項16】 互いに直交する複数の走査信号線と情
    報信号線、及び該信号線の交点を1画素として、各画素
    毎に画素電極とスイッチング素子を設けた第1の基板
    と、各画素毎に電気的に独立した対向電極を設けた第2
    の基板との間に光学的変調物質を挟持してなり、各画素
    において、上記画素電極が電気的に独立した複数の領域
    からなり、該画素電極と対向電極によって、直列接続さ
    れた複数のキャパシタンスが上記スイッチング素子の負
    荷として形成されている請求項1に記載の光学的変調素
    子。
  17. 【請求項17】 上記対向電極が、画素毎に電気的に独
    立した複数の領域からなり、上記直列接続されたキャパ
    シタンスが3以上である請求項16に記載の光学的変調
    素子。
  18. 【請求項18】 上記スイッチング素子が、薄膜トラン
    ジスタである請求項16に記載の光学的変調素子。
  19. 【請求項19】 上記光学的変調物質が、反強誘電性液
    晶である請求項16に記載の光学的変調素子。
  20. 【請求項20】 上記光学的変調物質が液晶であり、電
    圧無印加で第一の配向状態にあり、該配向状態では第一
    の透過率を示し、該液晶に第一の極性の電圧を加えたと
    きには、液晶分子が第一の配向状態から一方の方向の第
    二の配向状態にチルトし、所定の電圧値V0で第二の透
    過率を示し、且つ第一の極性とは逆の第二の極性の電圧
    を加えたときには、液晶分子が第一の配向状態から他方
    の方向の第三の配向状態にチルトし、所定の電圧値−V
    0で第二の透過率を示し、印加電圧に応じて第一の透過
    率と第二の透過率との間で連続的に透過率が変化する電
    圧−透過率特性を示す請求項16に記載の光学的変調素
    子。
  21. 【請求項21】 前記画素電極が電気的に独立した2つ
    の領域からなり、一方の領域の画素電極が前記スイッチ
    ング素子に電気接続されており、他方の領域の画素電極
    が基準電圧信号線に電気接続されている請求項16に記
    載の光学的変調素子。
  22. 【請求項22】 前記画素電極が電気的に独立した2つ
    の領域からなり、一方の領域の画素電極が前記スイッチ
    ング素子に電気接続されており、他方の領域の画素電極
    が該スイッチング素子に電気接続されていない走査信号
    線に電気接続されている請求項16に記載の光学的変調
    素子。
  23. 【請求項23】 上記光学的変調素子が液晶であり、前
    記画素電極が電気的に独立した2つの領域からなり、電
    圧無印加又は第1の極性の電圧を加えたときには、前記
    一方の領域内の液晶分子と前記他方の領域内の液晶分子
    のなす角度が所定の角度である明状態の第1の透過率を
    示し、第1の極性の電圧と逆極性の第2の極性の電圧を
    加えたときには、前記一方の領域内の液晶分子及び前記
    他方の領域内の液晶分子のなす角度が0°である暗状態
    の第2の透過状態を示し、印加電圧に応じて第1の透過
    率と第2の透過率との間で連続的に透過率が変化する電
    圧−透過率特性を示す請求項16に記載の光学的変調素
    子。
  24. 【請求項24】 上記液晶が、スメクチック液晶であ
    り、上記角度がチルト角の4倍である請求項23に記載
    の光学的変調素子。
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