JP2000009537A - カラー印刷物のシミュレーション方法およびそのシステム - Google Patents

カラー印刷物のシミュレーション方法およびそのシステム

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JP2000009537A
JP2000009537A JP10192377A JP19237798A JP2000009537A JP 2000009537 A JP2000009537 A JP 2000009537A JP 10192377 A JP10192377 A JP 10192377A JP 19237798 A JP19237798 A JP 19237798A JP 2000009537 A JP2000009537 A JP 2000009537A
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color
light
equation
spectrum
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JP10192377A
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English (en)
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Nobuaki Usui
信昭 臼井
Atsushi Imamura
淳志 今村
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Dainippon Screen Manufacturing Co Ltd
Original Assignee
Dainippon Screen Manufacturing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 3次元空間に配置されたカラー印刷物を、出
力デバイスの色再現範囲に応じてなるべく忠実に再現す
ることのできる技術を提供する。 【解決手段】 カラー印刷物に所定の光を照射した際に
所定の観察点で観察される反射光の照度スペクトルは、
光源と印刷物と観察点との位置関係に依存する拡散反射
成分と鏡面反射成分との線形結合である所定の関数で表
される。この関数の拡散反射成分と鏡面反射成分とのそ
れぞれに所定の定数あるいは所定の関数を乗じておけ
ば、照度スペクトルの輝度Yの値を任意の値に調整する
ことができる。したがって、印刷物を再現する出力デバ
イスの色再現範囲が小さい場合でも、その出力デバイス
の色再現範囲内にほぼ収まるように調整することができ
る。これにより、出力デバイスの色再現範囲に応じてな
るべく忠実に3次元空間に配置されたカラー印刷物を再
現することが可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、カラー印刷物を
ディスプレイデバイスやプリンタ等の出力デバイスで再
現する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】カラー印刷物をディスプレイデバイスや
プリンタなどの種々の出力デバイスによって再現する際
には、実物の印刷物になるべく近い色を再現することが
望ましい。カラー印刷物の色再現方法としては、本願出
願人によって開示された特開平7−234158号公報
に示されるような一般化された「拡張2色性反射モデ
ル」の式を用いることができる。この式に従って変換さ
れた色データを用いれば、出力デバイスにおいてカラー
印刷物をかなり忠実に再現することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の一般化
された拡張2色性反射モデルの式を用いる場合には、カ
ラー印刷物を忠実に再現できるか否かは、出力デバイス
の色再現の能力(色再現範囲)に依存するという問題が
あった。すなわち、出力デバイスによっては、変換され
た色データがその出力デバイスの色再現範囲を超えてし
まい、うまくカラー印刷物を再現できない場合があると
いう問題があった。
【0004】この発明は、従来技術における上述の課題
を解決するためになされたものであり、3次元空間に配
置されたカラー印刷物を、出力デバイスの色再現範囲に
応じてなるべく忠実に再現することのできる技術を提供
することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】上
述の課題の少なくとも一部を解決するため、本発明の第
1の方法は、3次元空間に配置されたカラー印刷物に関
してレンダリング処理を行なうことによって、出力デバ
イスに前記カラー印刷物を再現するシミュレーション方
法であって、(a)前記カラー印刷物に所定の輝度スペ
クトルφ(λ)の光を照射した場合に所定の観察点で観
察される反射光の照度スペクトルI(λ,θ,ρ)を、
数式11に従って求める工程と、(b)前記反射光の照
度スペクトルI(λ,θ,ρ)から所定のデバイス・イ
ンディペンデント表色系における3刺激値を求める工程
と、(c)前記所定のデバイス・インディペンデント表
色系における3刺激値を前記出力デバイスの所定の表色
系の色データに変換する工程と、を備え、前記工程
(a)は、前記数式11の所定の定数Cb,Csの少な
くとも一方を1未満の値に設定することによって、前記
反射光の照度スペクトルI(λ,θ,ρ)の輝度の範囲
を調整する工程と、を備えることを特徴とする。
【数11】 ここで、λは光の波長、Sb(λ),Ss(λ)はそれ
ぞれ所定の反射係数、Cb,Csは所定の定数、ρは前
記光の反射方向と観察方向のずれ角、f(ρ)は前記ず
れ角ρに応じて単調に減少する所定の関数、θは反射
角、Ie(λ)は前記観察点で観察される環境光の所定
の照度スペクトルである。
【0006】上記の第1のシミュレーション方法におい
ては、反射光の照度スペクトルI(λ,θ,ρ)が数式
11によって表され、それぞれの反射係数Sb(λ),
Ss(λ)に定数Cb,Csが乗じられている。したが
って、定数Cb,Csの少なくとも一方を1未満の値に
設定することによって、照射スペクトルI(λ,θ,
ρ)の輝度を出力デバイスの色再現範囲に応じた所定の
レベルに調整することができるため、3次元空間に配置
されたカラー印刷物を、出力デバイスの色再現範囲に応
じてなるべく忠実に再現することが可能となる。
【0007】本発明の第2の方法は、3次元空間に配置
されたカラー印刷物に関してレンダリング処理を行なう
ことによって、出力デバイスに前記カラー印刷物を再現
する方法であって、(a)前記カラー印刷物に所定の輝
度スペクトルφ(λ)の光を照射した場合に所定の観察
点で観察される反射光の照度スペクトルI(λ,θ,
ρ)を、数式12に従って求める工程と、(c)前記反
射光の照度スペクトルI(λ,θ,ρ)から所定のデバ
イス・インディペンデント表色系における3刺激値を求
める工程と、(d)前記所定のデバイス・インディペン
デント表色系における3刺激値を前記出力デバイスの所
定の表色系の色データに変換する工程と、を備え、前記
工程(a)は、前記数式12の所定の関数fb(ρ),
fs(ρ)のそれぞれを1以下の値の範囲をとるよう設
定することによって、前記反射光の照度スペクトルI
(λ,θ,ρ)の輝度の範囲を調整する工程と、を備え
ることを特徴とする。
【数12】 ここで、λは光の波長、Sb(λ),Ss(λ)はそれ
ぞれ所定の反射係数、ρは前記光の反射方向と観察方向
のずれ角、fb(ρ)は前記ずれ角ρに応じて単調に増
加する所定の関数、fs(ρ)は前記ずれ角ρに応じて
単調に減少する所定の関数、θは反射角、Ie(λ)は
前記観察点で観察される環境光の所定の照度スペクトル
である。
【0008】上記の第2のシミュレーション方法におい
ては、反射光の照度スペクトルI(λ,θ,ρ)が数式
12によって表され、それぞれの反射係数Sb(λ),
Ss(λ)にずれ角ρに応じて単調に増加する関数fb
(ρ),単調に減少する関数fs(ρ)が乗じられてい
る。したがって、2つの関数fb(ρ),fs(ρ)の
それぞれを1以下の値となるように設定することによっ
て、照射スペクトルI(λ,θ,ρ)の輝度を出力デバ
イスの色再現範囲に応じた所定のレベルに調整すること
ができる。また、関数fb(ρ),fs(ρ)を乗じる
ことにより、ρに応じて反射係数Ss(λ)の照度スペ
クトルI(λ,θ,ρ)への寄与が大きいときには、反
射係数Sb(λ)の照度スペクトルI(λ,θ,ρ)へ
の寄与を小さくすることができる。一方、反射係数Ss
(λ)の照度スペクトルI(λ,θ,ρ)への寄与が小
さいときには、反射係数Ss(λ)の照度スペクトルI
(λ,θ,ρ)への寄与を大きくすることができる。し
たがって、主となる反射係数による色味を用いて3次元
空間に配置されたカラー印刷物をなるべく忠実に再現す
ることが可能となる。
【0009】上記のカラー印刷物のシミュレーション方
法において、前記所定の関数fb(ρ),fs(ρ)の
それぞれは数式13によって表されることが好ましい。
【数13】 ここで、Cb,Csは所定の定数、mは1以下の所定の
正の定数、f(ρ)は前記ずれ角ρに応じて単調に減少
する所定の関数である。
【0010】こうすれば、関数fb(ρ),fs(ρ)
は、関数f(ρ)で関連付けられるため、ずれ角ρに応
じて主となる反射係数を用いて3次元空間に配置された
カラー印刷物を再現することが容易となる。
【0011】上記の第1および第2のシミュレーション
方法において、前記所定の関数f(ρ)は、数式14ま
たは数式15であることが好ましい。
【数14】 ここで、nは約350から約400の間の定数である。
【数15】 ここで、σは約70から約90の間の定数である。
【0012】関数f(ρ)として上記のようなずれ角ρ
に応じて単調に減少する関数を用いれば、反射係数の照
度スペクトルI(λ,θ,ρ)への寄与をうまく表すこ
とができる。
【0013】本発明の第1の装置は、3次元空間に配置
されたカラー印刷物に関してレンダリング処理を行なう
ことによって、出力デバイスに前記カラー印刷物を再現
するシステムであって、前記カラー印刷物に所定の輝度
スペクトルφ(λ)の光を照射した場合に所定の観察点
で観察される反射光の照度スペクトルI(λ,θ,ρ)
を、数式16に従って求める照度スペクトル算出部と、
前記反射光の照度スペクトルI(λ,θ,ρ)から所定
のデバイス・インディペンデント表色系における3刺激
値を求める3刺激値算出部と、前記所定のデバイス・イ
ンディペンデント表色系における3刺激値を前記出力デ
バイスの所定の表色系の色データに変換する色データ変
換部と、を備え、前記照度スペクトル算出部は、前記数
式16の所定の定数Cb,Csの少なくとも一方を1未
満の値に設定することによって、前記反射光の照度スペ
クトルI(λ,θ,ρ)の輝度の範囲を調整することを
特徴とする。
【数16】 ここで、λは光の波長、Sb(λ),Ss(λ)はそれ
ぞれ所定の反射係数、Cb,Csは所定の定数、ρは前
記光の反射方向と観察方向のずれ角、f(ρ)は前記ず
れ角ρに応じて単調に減少する所定の関数、θは反射
角、Ie(λ)は前記観察点で観察される環境光の所定
の照度スペクトルである。
【0014】上記の第1のシミュレーションシステムに
おいては、照度スペクトル算出部が反射光の照度スペク
トルI(λ,θ,ρ)を数式16に従って求める。数式
16の反射係数Sb(λ),Ss(λ)には、それぞれ
定数Cb,Csが乗じられている。したがって、照度ス
ペクトル算出部が、定数Cb,Csの少なくとも一方を
1未満の値に設定することによって、照射スペクトルI
(λ,θ,ρ)の輝度を出力デバイスの色再現範囲に応
じた所定のレベルに調整することができる。こうすれ
ば、色データ変換部によって変換された色データを用い
て、3次元空間に配置されたカラー印刷物を出力デバイ
スの色再現範囲に応じてなるべく忠実に再現することが
可能となる。
【0015】本発明の第2の装置は、3次元空間に配置
されたカラー印刷物に関してレンダリング処理を行なう
ことによって、出力デバイスに前記カラー印刷物を再現
するシステムであって、前記カラー印刷物に所定の輝度
スペクトルφ(λ)の光を照射した場合に所定の観察点
で観察される反射光の照度スペクトルI(λ,θ,ρ)
を、数式17に従って求める照度スペクトル算出部と、
前記反射光の照度スペクトルI(λ,θ,ρ)から所定
のデバイス・インディペンデント表色系における3刺激
値を求める3刺激値算出部と、前記所定のデバイス・イ
ンディペンデント表色系における3刺激値を前記出力デ
バイスの所定の表色系の色データに変換する色データ変
換部と、を備え、前記照度スペクトル算出部は、前記数
式17の所定の関数fb(ρ),fs(ρ)のそれぞれ
を1以下の値の範囲をとるよう設定することによって、
前記反射光の照度スペクトルI(λ,θ,ρ)の輝度の
範囲を調整することを特徴とする。
【数17】 ここで、λは光の波長、Sb(λ),Ss(λ)はそれ
ぞれ所定の反射係数、ρは前記光の反射方向と観察方向
のずれ角、fb(ρ)は前記ずれ角ρに応じて単調に増
加する所定の関数、fs(ρ)は前記ずれ角ρに応じて
単調に減少する所定の関数、θは反射角、Ie(λ)は
前記観察点で観察される環境光の所定の照度スペクトル
である。
【0016】上記の第2のシミュレーションシステムに
おいては、照度スペクトル算出部が反射光の照度スペク
トルI(λ,θ,ρ)を数式17に従って求める。数式
17の反射係数Sb(λ),Ss(λ)には、それぞれ
ずれ角ρに応じて単調に増加する関数fb(ρ),単調
に減少する関数fs(ρ)が乗じられている。したがっ
て、照度スペクトル算出部が、2つの関数fb(ρ),
fs(ρ)のそれぞれを1以下の値となるように設定す
ることによって、照射スペクトルI(λ,θ,ρ)の輝
度を出力デバイスの色再現範囲に応じた所定のレベルに
調整することができる。また、関数fb(ρ),fs
(ρ)を乗じることにより、ρに応じて反射係数Ss
(λ)の照度スペクトルI(λ,θ,ρ)への寄与が大
きいときには、反射係数Sb(λ)の照度スペクトルI
(λ,θ,ρ)への寄与を小さくすることができる。一
方、反射係数Ss(λ)の照度スペクトルI(λ,θ,
ρ)への寄与が小さいときには、反射係数Ss(λ)の
照度スペクトルI(λ,θ,ρ)への寄与を大きくする
ことができる。したがって、主となる反射係数による色
味を用いて3次元空間に配置されたカラー印刷物をなる
べく忠実に再現することが可能となる。
【0017】
【発明の他の態様】この発明は、以下のような態様も含
んでいる。第1の態様は、コンピュータに上記の発明の
各工程または各手段の機能を実行させるコンピュータプ
ログラムを記録した記録媒体である。記録媒体として
は、フレキシブルディスクやCD−ROMなどのコンピ
ュータが読取り可能な携帯型の記憶媒体や、コンピュー
タシステムの内部記憶装置(RAMやROMなどのメモ
リ)および外部記憶装置、あるいは、これ以外のコンピ
ュータプログラムが記録された媒体であってコンピュー
タシステムが読取り可能な種々の媒体を利用できる。
【0018】第2の態様は、コンピュータに上記の発明
の各工程または各手段の機能を実行させるコンピュータ
プログラムを通信経路を介して供給するプログラム供給
装置である。
【0019】
【発明の実施の形態】A.シミュレーション方法の概
要:次に、本発明の実施の形態を実施例に基づき説明す
る。図1は、印刷紙上に塗布されたインクによって入射
光が反射される様子を示す説明図である。図1に示すよ
うに、インクへの入射光Liは2つの異なった経路で反
射される。第1の反射光は、インクの表面と空気層との
境界において反射される鏡面反射光Lsである。第2の
反射光は、インクの表面を通過した光がインク中の色素
粒子によって散乱された後に、外部に出射される拡散反
射光Lbである。
【0020】図2は、光源と印刷物と視覚系(観察者)
との関係を示す説明図である。図2に示すように、視覚
系の位置は、鏡面反射光Lsの方向から角度ρ(以下、
「ずれ角」と呼ぶ)だけずれているのが普通である。印
刷物表面における光の反射点と視覚系とを結ぶ方向(観
察方向)は、入射光Liと反射光Lsとで構成される平
面上に存在しない場合があるが、この場合にも、鏡面反
射光Lsと観察方向とのなす角が、ずれ角ρとして定義
される。
【0021】図2の観察者によって観察される反射光の
照度は、次の数式18に示すように、鏡面反射光Lsの
照度と拡散反射光Lbの照度の線形結合で表わされると
考えられる。
【0022】
【数18】
【0023】ここで、λは光の波長、I(λ,θ,ρ)
は観察される反射光の照度スペクトル(分光照度)、I
s(λ,θ,ρ)は鏡面反射光Lsの照度スペクトル、
Ib(λ,θ,ρ)は拡散反射光Lbの照度スペクトル
である。すなわち、照度スペクトルI(λ,θ,ρ),
Is(λ,θ,ρ)及びIb(λ,θ,ρ)は反射角
θ、ずれ角ρ及び波長λに依存する。
【0024】数式18において、照度スペクトルIs
(λ,θ,ρ),Ib(λ,θ,ρ)をそれぞれ角度成
分と波長成分に分離できると仮定すると、数式18は次
の数式19のように書き換えられる。
【0025】
【数19】
【0026】ここで、φ(λ)は入射光の波長λに依存
する輝度スペクトル(分光輝度)である。また、Sb
(λ)は波長λの光に対する拡散反射係数、Ss(λ)
は波長λの光に対する鏡面反射係数である。
【0027】ところで、鏡面反射光Lsの照度は角度θ
に沿った反射方向(すなわち、ずれ角ρが0°)で観察
した場合に最も強く、この方向からずれるに従って急激
に低下する。このような現象に対応して、数式19にお
ける鏡面反射光Lsの角度成分As(θ,ρ)をずれ角
ρに応じて単調に減少する関数f(ρ)で表すことがで
きる。このような関数f(ρ)としては、例えば、数式
20や数式21で表される関数が好ましいことが発明者
による実験によって明らかとなっている。
【0028】
【数20】
【0029】
【数21】
【0030】ここで、数式20のnは定数であり、約3
50〜400の範囲の値で設定することが好ましい。ま
た、数式21のσは定数であり、約70〜約90の範囲
の値で設定することが好ましい。
【0031】一方、拡散反射光Lbの角度成分Ab
(θ,ρ)は cosθで表わすことができる。すなわち、
拡散反射光Lbは、光の反射角θのみに依存して、ずれ
角ρ(観察方向)には依存しない。これらの仮定の下で
は、数式19は次の数式22のように書き換えられる。
【0032】
【数22】
【0033】なお、本明細書において、観察される反射
光の照度スペクトルI(λ,θ,ρ)を構成する拡散反
射光Lbの拡散反射成分Sb(λ)と角度成分cosθと
の積を「拡散反射成分」と呼び、鏡面反射光Lsの鏡面
反射成分Ss(λ)と角度成分f(ρ)との積を「鏡面
反射成分」と呼ぶ。
【0034】実際に印刷物を観察する際には、標準的な
光源の他に自然光など、直接及び印刷物で反射してから
観察点で観察される環境光が存在する。そこで、数式2
2の右辺に観察点で観察される環境光の照度スペクトル
Ie(λ)を加算することによって、反射光の照度スペ
クトルI(λ,θ,ρ)を与える一般化された拡張2色
性反射モデルの式である数式23が得られる。
【0035】
【数23】
【0036】数式23において、反射係数Ss(λ),
Sb(λ)、および関数f(ρ)の定数n(数式20)
や定数σ(数式21)の値は、輝度スペクトルφ(λ)
を有する光源を用いた反射光の照度スペクトルに関する
測定を行ない、その結果を解析することによって決定で
きる。なお、この測定については、本願出願人によって
開示された特開平7−234158号公報に詳述されて
いるので、本明細書での説明は省略する。また、環境光
の照度スペクトルIe(λ)は、色再現の前提条件とし
て予め決定しておくことができる。このとき、数式23
における未知数は、反射角θとずれ角ρだけになる。し
たがって、観察者と印刷物と光源との3次元的な位置関
係を設定すれば、反射角θとずれ角ρが決まるので、数
式23を用いることによって反射光の照度スペクトルI
(λ,θ,ρ)を求めることができる。
【0037】反射光の照度スペクトルI(λ,θ,ρ)
が得られれば、CIE−XYZ表色系における3刺激値
X,Y,Zは、その定義に従って数式24で与えられ
る。
【0038】
【数24】
【0039】ここで、x(λ),y(λ),z(λ)は
等色関数である(なお、数式以外では、便宜上、x,
y,zの文字上のバーを省略している)。また、kは照
明する光の明るさに比例する量である。
【0040】このように、数式24で表される3刺激値
X,Y,Zは、観察される反射光の照度スペクトルI
(λ,θ,ρ)に、それぞれ等色関数x(λ),y
(λ),z(λ)を乗じて、可視光の波長領域(380
nm〜780nm)で積分して求められる。また、kは
入射光の輝度スペクトルφ(λ)に等色関数y(λ)を
乗じて、可視光の波長領域で積分して求められる。した
がって、刺激値Yは輝度を表している。ところで、数式
24に従えば刺激値Yの値は規格化され、0〜1の値を
取り得るが、本実施例においてはk=1として刺激値Y
を表す。したがって、刺激値Yの値は、入射光の輝度ス
ペクトルφ(λ)の大きさに依存する。
【0041】数式24によって求められた3刺激値X,
Y,Zを出力デバイスの表色系(例えばRGB表色系)
の色データに変換すれば、その出力デバイスにおいて印
刷物の色を忠実に再現することが可能である。
【0042】B.シミュレーションシステムの構成と処
理:図3は、この発明の実施例を適用して3次元空間に
配置されたカラー印刷物を再現するためのコンピュータ
システムを示すブロック図である。このコンピュータシ
ステムは、CPU10と、バスライン12とを備えてい
る。バスライン12には、ROM14と、RAM16と
が接続されており、また、入出力インタフェイス40,
41を介してキーボード30と、マウス32と、デジタ
イザ34と、カラーCRT36と、磁気ディスク38
と、フルカラープリンタ42とが接続されている。
【0043】RAM16には、照度スペクトル算出部1
7と、3刺激値算出部18と、色データ変換部19との
機能を有するアプリケーションプログラムがロードさ
れ、CPU10がこれらのプログラムを実行することに
よって、以下に説明する処理が実現される。このコンピ
ュータシステムは、いわゆるレンダリング処理を行なう
ことによって3次元空間に配置されたカラー印刷物を再
現する。
【0044】図4は、レイトレーシング方法によって印
刷物の色を再現する際の、印刷物50と光源52とスク
リーン(カラーCRT36の画面)54と観察点56の
3次元的な配置を示す説明図である。レイトレーシング
法は、3次元コンピュータグラフィックスの分野におい
て周知のレンダリング手法であり、スクリーン54上の
各画素PXと観察点56とを通る視線RLを、観察点5
6から光源52まで逆にたどることによってスクリーン
54上の各画素PXの色データ(RGBデータ)を求め
る方法である。なお、印刷物50は予め複数の微小多角
形ELに分割されている。個々の微小多角形ELは平面
であるが、印刷物50の全体は3次元的に湾曲している
ようにモデル化することが可能である。なお、入射角θ
とずれ角ρは、図4に示すように、視線RLと印刷物5
0が交わる位置に存在する微小多角形ELにおいて定義
される。
【0045】図5は、3次元的に湾曲した印刷物を再現
する際のレンダリング処理を説明するための説明図であ
る。図5では、観察点56と光源52とが同じ位置Aに
あり、また、印刷物60は球体である。図5に示すモデ
ルにおいては、観察点56で観察される拡散反射光Lb
のずれ角ρは、印刷物60によって反射された鏡面反射
光Lsと、印刷物60に入射する入射光Liとのなす角
に等しい。すなわち、ずれ角ρは、ρ=−2θ(θは反
射角)で表される。したがって、入射光Liの入射角θ
が0°の場合(垂直入射の場合)には、ずれ角ρも0°
となる。
【0046】このような位置関係が与えられると、図3
のコンピュータシステムはレンダリングイメージを生成
することができる。照度スペクトル算出部17は、ま
ず、インクの種類や色毎に異なる値を有する2つの反射
係数Ss(λ),Sb(λ)を、印刷物60に塗布され
たインクに応じて選択する。また、与えられた印刷物5
0と光源52とスクリーン(カラーCRT36の画面)
54と観察点56の3次元的な配置から、球体表面の各
微小多角形における反射角θとずれ角ρとを求める。照
度スペクトル算出部17は、反射角θとずれ角ρとの関
係に基づいて球体の印刷物60の各微小多角形における
反射光の照度スペクトルI(λ,θ,ρ)を求める。な
お、種々のインクに応じた反射係数Ss(λ),Sb
(λ)と、光源の輝度スペクトルφ(λ)と、環境光の
照度スペクトルIe(λ)とは、予め磁気ディスク38
に登録されている。また、ずれ角ρに応じて単調に減少
する関数f(ρ)も磁気ディスクに38に登録されてい
る。
【0047】3刺激値算出部18は、照度スペクトル算
出部17で求められた反射光の照度スペクトルI(λ,
θ,ρ)を用いて、前述のように数式24を用いて計算
することによって、所定のデバイス・インディペンデン
ト表色系における3刺激値を求める。
【0048】色データ変換部19は、3刺激値を用い
て、カラーCRT36に適した所定の表色系の色データ
(RGBデータ)に変換する。変換された色データは、
カラーCRT36の各画素に割り当てられる。具体的に
は、フレームメモリの画素位置にRGBデータを記憶す
る。なお、XYZ表色系からRGB表色系への変換は、
出力デバイスの色表現の特性に依存するので、その出力
デバイスに応じた変換式を用いることによって、その出
力デバイスに応じた色再現を行うことが可能である。こ
のように変換された色データに従って、カラーCRT3
6は印刷物60のレンダリングイメージを表示する。
【0049】上記のようにデバイス・インディペンデン
トなCIE−XYZ表色系の3刺激値X,Y,Zを求め
れば、その3刺激値X,Y,Zを出力デバイス(カラー
CRT,プリンタ等)に応じた変換式で他の表色系(R
GB表色系,YMCK表色系等)に変換することができ
るという利点がある。
【0050】図6は、図5に示す印刷物60のレンダリ
ングイメージを模式的に示す説明図である。このレンダ
リングイメージは、カラーCRT36に表示される。こ
のレンダリングイメージは、前述した数式23から得ら
れる反射光の照度スペクトルI(λ,θ,ρ)に従って
再現されたものである。なお、このレンダリングイメー
ジには環境光の照度スペクトルIe(λ)の寄与は含ま
れていない。図中に示す5つの円形あるいはリング状の
領域A1〜A5は、それぞれ輝度の異なる領域を示して
おり、中心から外側に向かうほど輝度が低下している。
図5では、各領域A1〜A5内の輝度がそれぞれの領域
内で一定であるかのように描かれているが、実際には各
領域の境目はなく、徐々にその輝度が変化している。ま
た、領域Bは、入射光Liを反射する光がない領域、す
なわち、輝度が0である背景領域を示している。領域A
5と領域Bとの境界は、図5の点A(光源52)からの
入射光Liが球体の印刷物60の表面と接する点(すな
わち、θ=90°,ρ=−180°)に該当する。
【0051】ところで、数式23によって得られる反射
光の照度スペクトルI(θ,ρ,λ)をそのまま出力デ
バイスに適した表色系での色データに変換した場合に
は、鏡面反射光Lsの輝度が大きく観察される領域(す
なわち、ずれ角ρが0°近傍の領域)において、出力デ
バイスによってはその色再現範囲外になってしまうこと
がある。例えば、図6のレンダリングイメージの中央部
の領域A1は最も輝度が高く、カラーCRT36の色再
現範囲外にある。
【0052】図7は、数式23に従って算出された反射
光の照度スペクトルI(λ,θ,ρ)から得られた刺激
値X,Yの分布を示すグラフである。図7は、図5に示
した球状の一様な色の印刷物に関する刺激値X,Yの分
布なので、ほぼ一本の曲線CL1(刺激値曲線と呼ぶ)
の上に乗っている。なお、環境光の照度スペクトルIe
(λ)は0としている。また、ずれ角ρに応じて単調に
減少する関数f(ρ)としては、数式20に示す関数を
用いており、定数nを80とした場合を示している。グ
ラフのX軸は照度スペクトルI(λ,θ,ρ)のXYZ
表色系における3刺激値のうちの刺激値Xを示してお
り、Y軸は刺激値Yを示している。これらの刺激値は、
数式24に従って求められたものである。なお、XYZ
表色系における刺激値Yは輝度を表している。
【0053】図7の刺激値曲線CL1の傾きの変化点P
は、数式23の拡散反射成分(Sb(λ)・cosθ)の
寄与と鏡面反射成分(Ss(λ)・f(ρ))の寄与の
割合が変化する点を示している。すなわち、輝度Yが、
変化点Pでの値YP以上の領域については鏡面反射成分
の寄与が大きく、輝度YP以下の領域については拡散反
射成分の寄与が大きい。したがって、輝度Yが値YP
上となる領域は、ずれ角ρが0°近傍の領域に対応し、
輝度Yが値YP以下となる領域は、ずれ角ρが比較的大
きな値をとる領域に対応する。輝度Yが最大となる点は
ρ=0°の点、すなわち図6の領域A1の中心点に相当
し、輝度Yが0となる点はρ≦−180°の点、すなわ
ち図6の領域Bに含まれる点に相当する。
【0054】また、図7には、出力デバイスとしてのカ
ラーCRT36の色再現範囲の上限が破線で示されてい
る。このカラーCRT36の色再現範囲は、輝度Yが0
〜80程度までである。通常、輝度Yが出力デバイスの
色再現範囲を超える場合には、色再現範囲を超えた部分
に対応する出力デバイスの画素領域の色データは、その
色データが取り得る値の最大値(8ビットならば25
5)となる。図7に示すように、反射光の照度スペクト
ルI(λ,θ,ρ)を与える式として数式23を用いる
ときには、輝度YがカラーCRT36の色再現範囲の上
限(輝度80)を超える部分が生じる場合がある。この
場合には、色再現範囲を超える部分に対応するカラーC
RT36の画素領域においては、領域内の色の違いを再
現することができないので、すべて白色に近い色として
表現される。図6のレンダリングイメージでは、領域A
がカラーCRT36の色再現範囲外となる領域に対応
し、本来の色味が表現されずに白く表示されてしまう。
【0055】C.第1のシミュレーション方法:本実施
例の第1のシミュレーション方法においては、上記の出
力デバイスの色再現範囲に起因する問題を解決するため
に照射光の照度スペクトルI(λ,θ,ρ)を与える式
として、数式23に代えて数式25を用いる。
【0056】
【数25】
【0057】ここで、Cb,Csは所定の定数である。
また、以下の説明では、数式25の環境光の照度スペク
トルIe(λ)が0の場合について説明する。
【0058】数式25では、数式23の拡散反射成分
(Sb(λ)・cosθ)と鏡面反射成分(Ss(λ)・
f(ρ))とにそれぞれ定数Cb,Csが乗じられてい
る。2つの定数Cb,Csの少なくとも一方を1未満の
値に設定すれば、拡散反射成分と鏡面反射成分との輝度
Yへの寄与を個別に調整することができるため、輝度Y
をカラーCRT36の色再現範囲に収まるように調整す
ることが可能となる。
【0059】図8は、数式25に従って、輝度Yを出力
デバイスの色再現範囲に応じて調整した場合の刺激値
X,Yの分布を示すグラフである。この刺激値曲線CL
2は、数式25の2つの定数Cb,Csを共に0.7に
設定した場合の刺激値を示している。また、関数f
(ρ)としては、数式20に示す関数が用いられてお
り、定数nは80に設定されている。
【0060】図8では、輝度Yの最大値がほぼ80程度
に調整されており、カラーCRT36の色再現範囲内に
ほぼ抑制されている。この刺激値曲線CL2は、定数C
b,Csを共に0.7に設定した場合であるため、図7
の刺激値曲線CL1を単純に0.7倍したものとなって
いるが、上記のように定数Cb,Csは個別に調整可能
である。例えば、鏡面反射成分の輝度Yへの寄与のみを
抑制する場合には、Cbを1に設定し、Csを1未満の
値に設定すればよい。さらに、拡散反射成分の輝度Yへ
の寄与も抑制する場合には、Cbも1未満の値に設定す
ればよい。このように、2つの定数Cb,Csは任意の
値に設定可能であるが、CbとCsとの比Cb/Csは
約0.7ないし約1.4の範囲で設定することが好まし
い。この範囲で設定すれば、輝度Yを出力デバイスの色
再現範囲内にうまく抑制できるとともに、作成されたレ
ンダリングイメージにおいて印刷物の本来の色味を失わ
ずに表現できる可能性がある。
【0061】なお、上記の実施例では、関数f(ρ)と
して数式20を用いているが、これに代えて数式21を
用いても同様の効果を得ることができる。
【0062】上記のように、照射光の照度スペクトルI
(λ,θ,ρ)として数式25を用いれば、2つの定数
Cb,Csをうまく設定することによって、拡散反射成
分と鏡面反射成分との輝度Yへの寄与をそれぞれ調整す
ることができるので、出力デバイスの色再現範囲に応じ
たカラー印刷物の再現が可能となる。
【0063】D.第2のシミュレーション方法:本実施
例の第2のシミュレーション方法においては、照射光の
照度スペクトルI(λ,θ,ρ)を与える式として、数
式23に代えて数式26を用いる。
【0064】
【数26】
【0065】ここで、fb(ρ)はずれ角ρに応じて単
調に増加する関数であり、fs(ρ)はずれ角ρに応じ
て単調に減少する関数である。関数fb(ρ),fs
(ρ)は、それぞれ1以下の値となるよう調整される。
以下の説明では、数式26の環境光の照度スペクトルI
e(λ)が0の場合について説明する。
【0066】数式26では、数式23の拡散反射成分
(Sb(λ)・cosθ)にずれ角ρに応じて単調に増加
する関数fb(ρ)が乗じられており、また、鏡面反射
係数Ss(λ)にずれ角ρに応じて単調に減少する関数
fs(ρ)が乗じられている。2つの関数fb(ρ),
fs(ρ)はいずれも0〜1の範囲の値をとる。数式2
3を用いた場合にはずれ角ρに応じて鏡面反射成分のみ
の輝度Yへの寄与が変化するのに対し、数式26を用い
れば、ずれ角ρに応じて拡散反射成分の輝度Yへの寄与
をも変化させることが可能となる。
【0067】2つの関数fb(ρ),fs(ρ)として
は、例えば数式27を用いることができる。
【0068】
【数27】
【0069】ここで、Cb,Csは1以下の所定の定
数、mは1以下の正の定数、f(ρ)はずれ角ρに応じ
て単調に減少する所定の関数である。なお、定数mおよ
び定数Cb,Csは個別に調整可能である。
【0070】図9は、数式26,数式27に従って、輝
度Yを出力デバイスの色再現範囲に応じて調整した場合
の刺激値X,Yの分布を示すグラフである。図9では、
定数Cb,Csは共に0.7に設定されており、また定
数mは0.8に、定数nは380に設定されている。
【0071】なお、図9のグラフでは、関数f(ρ)と
して数式20が用いられているが、これに代えて数式2
1を用いても同様の効果を得ることができる。また、数
式27では、2つの関数fb(ρ),fs(ρ)は、関
数f(ρ)によって関連付けられているが、関数fb
(ρ),fs(ρ)ともに独立の関数を適用できる。図
9では、輝度Yの最大値が80未満に調整されており、
カラーCRT36の色再現範囲内に抑制されていること
が分かる。
【0072】反射光の照度スペクトルI(λ,θ,ρ)
として数式26に示すような関数を用いれば、前述のよ
うに、ずれ角ρに応じて2つの反射成分を変化させるこ
とができる。すなわち、ずれ角ρが0°近傍の鏡面反射
成分の輝度Yへの寄与が大きくなる領域においては、拡
散反射成分の輝度Yへの寄与を抑制することができる。
このとき数式23を用いた場合と比べて、鏡面反射成分
の輝度Yへの寄与が、拡散反射成分の輝度Yへの寄与に
対して相対的に大きくなる。また、ずれ角ρが大きく鏡
面反射成分の輝度Yへの寄与が小さくなる領域において
は、拡散反射成分の輝度Yへの寄与を増大させることが
できる。このとき、数式23を用いた場合と比べて、拡
散反射成分の輝度Yへの寄与が、鏡面反射成分の輝度Y
への寄与に対して相対的に大きくなる。換言すれば、ず
れ角ρに応じて、鏡面反射成分の輝度Yへの寄与が大き
い場合には、鏡面反射成分を反射光の照度スペクトルI
(λ,θ,ρ)の主成分とすることができる。一方、鏡
面反射成分の輝度Yへの寄与が小さい場合には、拡散反
射成分を反射光の照度スペクトルI(λ,θ,ρ)の主
成分とすることができる。
【0073】このように決定された反射光の照度スペク
トルを用いてシミュレーションを行えば、照射スペクト
ルI(λ,θ,ρ)への寄与が大きくなるべき反射成分
を主成分としたレンダリングイメージを作成することが
できる。このとき、鏡面反射成分の大きい領域(ずれ角
ρが0°近傍の領域)では、主として鏡面反射成分の色
味で色を再現でき、拡散反射成分の大きい領域(ずれ角
ρが大きい領域)では、主として拡散反射成分の色味で
色を再現することができる。
【0074】上記のように、照射光の照度スペクトルI
(λ,θ,ρ)として数式26を用いれば、2つの関数
fb(ρ),fs(ρ)をうまく設定することによっ
て、拡散反射成分と鏡面反射成分との輝度Yへの寄与を
ずれ角ρに応じてそれぞれ調整することができる。これ
により、輝度Yを出力デバイスの色再現範囲内になるべ
く収めるようにすることができるとともに、2つの反射
成分のうちの主となる反射成分の色味を用いて色を再現
することが可能となる。
【0075】図10は、図7〜図9の3つの刺激値曲線
CL1〜CL3をまとめて示したグラフである。図10
から分かるように、本発明による数式25,数式26を
用いた場合の刺激値曲線CL2,CL3の輝度Yは、カ
ラーCRT36の色再現範囲でうまく調整されている。
上記において説明したように、本発明においては、数式
23の拡散反射成分と鏡面反射成分とに所定の定数、あ
るいは所定の関数を乗じることにより輝度Yの値を出力
デバイスの色再現範囲内にほぼ収まるように調整するこ
とが可能となっている。さらに、これらの所定の定数
や、所定の関数を適当に設定すれば、印刷物で反射され
る反射光の色味をうまく再現することができる。
【0076】なお、この発明は上記の実施例や実施形態
に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲に
おいて種々の態様において実施することが可能であり、
例えば以下のような変形も可能である。
【0077】(1)上記実施例では、ずれ角ρに応じて
単調に減少する関数f(ρ)として数式20や数式21
で表される関数を用いているが、このような関数であれ
ば他の関数を用いてもよい。
【0078】(2)上記実施例では、デバイス・インデ
ィペンデント表色系における3刺激値として、数式24
に従いCIE−XYZ表色系における3刺激値XYZを
求めているが他の表色系を用いてもよい。他の表色系と
しては、CIE−L*a*b*表色系やCIE−L*u*v*
表色系などの任意のデバイス・インディペンデント表色
系を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】印刷紙上に塗布されたインクによって入射光が
反射される様子を示す説明図。
【図2】光源と印刷物と視覚系(観察者)との関係を示
す説明図。
【図3】この発明の実施例を適用して3次元空間に配置
されたカラー印刷物を再現するためのコンピュータシス
テムを示すブロック図。
【図4】レイトレーシング方法によって印刷物の色を再
現する際の、印刷物50と光源52とスクリーン(カラ
ーCRT36の画面)54と観察点56の3次元的な配
置を示す説明図。
【図5】3次元的に湾曲した印刷物を再現する際のレン
ダリング処理を説明するための説明図。
【図6】図5に示す印刷物60のレンダリングイメージ
を模式的に示す説明図。
【図7】数式23に従って算出された反射光の照度スペ
クトルI(λ,θ,ρ)から得られた刺激値X,Yの分
布を示すグラフ。
【図8】数式25に従って、輝度Yを出力デバイスの色
再現範囲に応じて調整した場合の刺激値X,Yの分布を
示すグラフ。
【図9】数式26,数式27に従って、輝度Yを出力デ
バイスの色再現範囲に応じて調整した場合の刺激値X,
Yの分布を示すグラフ。
【図10】図7〜図9の3つの刺激値曲線CL1〜CL
3をまとめて示したグラフ。
【符号の説明】
10…CPU 12…バスライン 14…ROM 16…RAM 17…照度スペクトル算出部 18…3刺激値算出部 19…色データ変換部 30…キーボード 32…マウス 34…デジタイザ 36…カラーCRT 38…磁気ディスク 40,41…入出力インタフェイス 42…フルカラープリンタ 50…印刷物 52…光源 54…スクリーン 56…観察点 60…印刷物 Lb…拡散反射光 Li…入射光 Ls…鏡面反射光 θ…入射角,反射角 ρ…ずれ角
フロントページの続き Fターム(参考) 2C262 AA29 AB11 BA01 BA16 2G020 AA08 DA05 DA14 DA15 DA23 DA33 DA34 DA43 5B050 AA09 BA13 EA09 EA30 FA02 FA03 FA05 5C077 LL12 MP08 PP31 PP32 PP37 PP43 PQ12 SS07 TT02 TT06 5C079 HA19 HB01 HB05 HB12 JA25 LA02 LB02 MA11 MA17 MA20 NA03 PA02 PA03

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 3次元空間に配置されたカラー印刷物に
    関してレンダリング処理を行なうことによって、出力デ
    バイスに前記カラー印刷物を再現する方法であって、
    (a)前記カラー印刷物に所定の輝度スペクトルφ
    (λ)の光を照射した場合に所定の観察点で観察される
    反射光の照度スペクトルI(λ,θ,ρ)を、数式1に
    従って求める工程と、(b)前記反射光の照度スペクト
    ルI(λ,θ,ρ)から所定のデバイス・インディペン
    デント表色系における3刺激値を求める工程と、(c)
    前記所定のデバイス・インディペンデント表色系におけ
    る3刺激値を前記出力デバイスの所定の表色系の色デー
    タに変換する工程と、を備え、 前記工程(a)は、 前記数式1の所定の定数Cb,Csの少なくとも一方を
    1未満の値に設定することによって、前記反射光の照度
    スペクトルI(λ,θ,ρ)の輝度の範囲を調整する工
    程と、を備えることを特徴とするカラー印刷物のシミュ
    レーション方法。 【数1】 ここで、λは光の波長、Sb(λ),Ss(λ)はそれ
    ぞれ所定の反射係数、Cb,Csは所定の定数、ρは前
    記光の反射方向と観察方向のずれ角、f(ρ)は前記ず
    れ角ρに応じて単調に減少する所定の関数、θは反射
    角、Ie(λ)は前記観察点で観察される環境光の所定
    の照度スペクトルである。
  2. 【請求項2】 3次元空間に配置されたカラー印刷物に
    関してレンダリング処理を行なうことによって、出力デ
    バイスに前記カラー印刷物を再現する方法であって、
    (a)前記カラー印刷物に所定の輝度スペクトルφ
    (λ)の光を照射した場合に所定の観察点で観察される
    反射光の照度スペクトルI(λ,θ,ρ)を、数式2に
    従って求める工程と、(c)前記反射光の照度スペクト
    ルI(λ,θ,ρ)から所定のデバイス・インディペン
    デント表色系における3刺激値を求める工程と、(d)
    前記所定のデバイス・インディペンデント表色系におけ
    る3刺激値を前記出力デバイスの所定の表色系の色デー
    タに変換する工程と、を備え、 前記工程(a)は、 前記数式2の所定の関数fb(ρ),fs(ρ)のそれ
    ぞれを1以下の値の範囲をとるよう設定することによっ
    て、前記反射光の照度スペクトルI(λ,θ,ρ)の輝
    度の範囲を調整する工程と、を備えることを特徴とする
    カラー印刷物のシミュレーション方法。 【数2】 ここで、λは光の波長、Sb(λ),Ss(λ)はそれ
    ぞれ所定の反射係数、ρは前記光の反射方向と観察方向
    のずれ角、fb(ρ)は前記ずれ角ρに応じて単調に増
    加する所定の関数、fs(ρ)は前記ずれ角ρに応じて
    単調に減少する所定の関数、θは反射角、Ie(λ)は
    前記観察点で観察される環境光の所定の照度スペクトル
    である。
  3. 【請求項3】 請求項2記載のカラー印刷物のシミュレ
    ーション方法であって、 前記所定の関数fb(ρ),fs(ρ)のそれぞれは数
    式3によって表される、カラー印刷物のシミュレーショ
    ン方法。 【数3】 ここで、Cb,Csは所定の定数、mは1以下の所定の
    正の定数、f(ρ)は前記ずれ角ρに応じて単調に減少
    する所定の関数である。
  4. 【請求項4】 請求項1または3記載のカラー印刷物の
    シミュレーション方法であって、 前記所定の関数f(ρ)は、数式4または数式5であ
    る、カラー印刷物のシミュレーション方法。 【数4】 ここで、nは約350から約400の間の定数である。 【数5】 ここで、σは約70から約90の間の定数である。
  5. 【請求項5】 3次元空間に配置されたカラー印刷物に
    関してレンダリング処理を行なうことによって、出力デ
    バイスに前記カラー印刷物を再現するシステムであっ
    て、 前記カラー印刷物に所定の輝度スペクトルφ(λ)の光
    を照射した場合に所定の観察点で観察される反射光の照
    度スペクトルI(λ,θ,ρ)を、数式6に従って求め
    る照度スペクトル算出部と、 前記反射光の照度スペクトルI(λ,θ,ρ)から所定
    のデバイス・インディペンデント表色系における3刺激
    値を求める3刺激値算出部と、 前記所定のデバイス・インディペンデント表色系におけ
    る3刺激値を前記出力デバイスの所定の表色系の色デー
    タに変換する色データ変換部と、を備え、 前記照度スペクトル算出部は、前記数式6の所定の定数
    Cb,Csの少なくとも一方を1未満の値に設定するこ
    とによって、前記反射光の照度スペクトルI(λ,θ,
    ρ)の輝度の範囲を調整することを特徴とするカラー印
    刷物のシミュレーションシステム。 【数6】 ここで、λは光の波長、Sb(λ),Ss(λ)はそれ
    ぞれ所定の反射係数、Cb,Csは所定の定数、ρは前
    記光の反射方向と観察方向のずれ角、f(ρ)は前記ず
    れ角ρに応じて単調に減少する所定の関数、θは反射
    角、Ie(λ)は前記観察点で観察される環境光の所定
    の照度スペクトルである。
  6. 【請求項6】 3次元空間に配置されたカラー印刷物に
    関してレンダリング処理を行なうことによって、出力デ
    バイスに前記カラー印刷物を再現するシステムであっ
    て、 前記カラー印刷物に所定の輝度スペクトルφ(λ)の光
    を照射した場合に所定の観察点で観察される反射光の照
    度スペクトルI(λ,θ,ρ)を、数式7に従って求め
    る照度スペクトル算出部と、 前記反射光の照度スペクトルI(λ,θ,ρ)から所定
    のデバイス・インディペンデント表色系における3刺激
    値を求める3刺激値算出部と、 前記所定のデバイス・インディペンデント表色系におけ
    る3刺激値を前記出力デバイスの所定の表色系の色デー
    タに変換する色データ変換部と、を備え、 前記照度スペクトル算出部は、前記数式7の所定の関数
    fb(ρ),fs(ρ)のそれぞれを1以下の値の範囲
    をとるよう設定することによって、前記反射光の照度ス
    ペクトルI(λ,θ,ρ)の輝度の範囲を調整すること
    を特徴とするカラー印刷物のシミュレーションシステ
    ム。 【数7】 ここで、λは光の波長、Sb(λ),Ss(λ)はそれ
    ぞれ所定の反射係数、ρは前記光の反射方向と観察方向
    のずれ角、fb(ρ)は前記ずれ角ρに応じて単調に増
    加する所定の関数、fs(ρ)は前記ずれ角ρに応じて
    単調に減少する所定の関数、θは反射角、Ie(λ)は
    前記観察点で観察される環境光の所定の照度スペクトル
    である。
  7. 【請求項7】 請求項6記載のカラー印刷物のシミュレ
    ーションシステムであって、 前記所定の関数fb(ρ),fs(ρ)のそれぞれは数
    式8によって表される、カラー印刷物のシミュレーショ
    ンシステム。 【数8】 ここで、Cb,Csは所定の定数、mは1以下の所定の
    正の定数、f(ρ)は前記ずれ角ρに応じて単調に減少
    する所定の関数である。
  8. 【請求項8】 請求項5または7記載のカラー印刷物の
    シミュレーションシステムであって、 前記所定の関数f(ρ)は、数式9または数式10であ
    る、カラー印刷物のシミュレーションシステム。 【数9】 ここで、nは約350から約400の間の定数である。 【数10】 ここで、σは約70から約90の間の定数である。
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