JP2000002800A - X線発生装置 - Google Patents
X線発生装置Info
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- JP2000002800A JP2000002800A JP10171610A JP17161098A JP2000002800A JP 2000002800 A JP2000002800 A JP 2000002800A JP 10171610 A JP10171610 A JP 10171610A JP 17161098 A JP17161098 A JP 17161098A JP 2000002800 A JP2000002800 A JP 2000002800A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 ガスにエネルギービームを照射してX線を発
生させた場合に、残留ガスによってX線が吸収されるの
を防止する。 【解決手段】 X線発生装置に関し、ガス噴出部12に
よって減圧した容器10内に圧縮したガス14を噴出す
ると、ガス14は時間の経過とともに拡散してゆく。そ
のガス14を狙って、ビーム照射部16がエネルギービ
ーム18を照射する。この照射によってガス14の全部
または一部がプラズマ化され、そのプラズマからX線が
発生(輻射)する。そして、エネルギービーム18が照
射されたガス14は、照射位置の近傍に設けられたガス
排出部20によって素早く強制的に排出される。このよ
うに、エネルギービーム18が照射されたガス14はガ
ス排出部20によって素早く排出されるので、ほとんど
容器10内には残留しない。したがって、発生したX線
が残留ガスによって吸収されるのを防止することができ
る。
生させた場合に、残留ガスによってX線が吸収されるの
を防止する。 【解決手段】 X線発生装置に関し、ガス噴出部12に
よって減圧した容器10内に圧縮したガス14を噴出す
ると、ガス14は時間の経過とともに拡散してゆく。そ
のガス14を狙って、ビーム照射部16がエネルギービ
ーム18を照射する。この照射によってガス14の全部
または一部がプラズマ化され、そのプラズマからX線が
発生(輻射)する。そして、エネルギービーム18が照
射されたガス14は、照射位置の近傍に設けられたガス
排出部20によって素早く強制的に排出される。このよ
うに、エネルギービーム18が照射されたガス14はガ
ス排出部20によって素早く排出されるので、ほとんど
容器10内には残留しない。したがって、発生したX線
が残留ガスによって吸収されるのを防止することができ
る。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は高繰り返しでX線を
発生させる高繰り返しX線発生装置に関し、ガスにエネ
ルギービームを照射してX線を発生させた場合に、残留
ガスによるX線の吸収を防止するための技術に関する。
発生させる高繰り返しX線発生装置に関し、ガスにエネ
ルギービームを照射してX線を発生させた場合に、残留
ガスによるX線の吸収を防止するための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】X線縮小露光リソグラフ装置やX線顕微
鏡等で用いられるX線は、物質にエネルギービームを照
射することで発生させることができる。このX線を発生
させるX線発生装置の一例が、例えば特開平9−201
991号公報に開示されている。当該公報に開示された
X線発生装置では、減圧した容器内に設置された固体物
質に対して、エネルギービーム(例えばレーザー光)を
照射している。この照射によって固体物質が部分的にプ
ラズマ化され、そのプラズマからX線が発生(輻射)す
る。また、固体物質にエネルギービームを照射すると、
プラズマの他に固体粒子(以下「デブリ」と呼ぶ。)も
副次的に発生して飛散する。飛散したデブリは光学系等
の装置に付着して汚染するため、デブリをダクトから排
気装置を通じて排気する必要がある。
鏡等で用いられるX線は、物質にエネルギービームを照
射することで発生させることができる。このX線を発生
させるX線発生装置の一例が、例えば特開平9−201
991号公報に開示されている。当該公報に開示された
X線発生装置では、減圧した容器内に設置された固体物
質に対して、エネルギービーム(例えばレーザー光)を
照射している。この照射によって固体物質が部分的にプ
ラズマ化され、そのプラズマからX線が発生(輻射)す
る。また、固体物質にエネルギービームを照射すると、
プラズマの他に固体粒子(以下「デブリ」と呼ぶ。)も
副次的に発生して飛散する。飛散したデブリは光学系等
の装置に付着して汚染するため、デブリをダクトから排
気装置を通じて排気する必要がある。
【0003】ここで、上記デブリの発生を防止するため
には、エネルギービームを照射する物質をガス(気体物
質)にすればよい。すなわち、圧縮したガスにエネルギ
ービームを照射すると、そのガスの全部または一部がプ
ラズマ化される。そして、固体物質と同様に、そのプラ
ズマからX線が発生する。ガスを圧縮するのは、エネル
ギービームを密度の高い状態の気体分子や気体原子に照
射し易くするためである。また、エネルギービームを照
射する物質をガスにすると、デブリが発生しにくくな
る。ところが、ガスにはX線を吸収する性質がある。そ
のため、ガスが容器のX線発生領域やX線を取り出して
利用する領域に残留していると、次のエネルギービーム
照射時に、せっかく発生したX線も残留ガスに吸収され
てしまう。したがって、エネルギービームをガスに照射
した後は、そのガスを素早く容器から排出する必要があ
る。このようにガスを容器から排出するガス排出機構
は、例えば特開平1−137543号公報に開示されて
いる。
には、エネルギービームを照射する物質をガス(気体物
質)にすればよい。すなわち、圧縮したガスにエネルギ
ービームを照射すると、そのガスの全部または一部がプ
ラズマ化される。そして、固体物質と同様に、そのプラ
ズマからX線が発生する。ガスを圧縮するのは、エネル
ギービームを密度の高い状態の気体分子や気体原子に照
射し易くするためである。また、エネルギービームを照
射する物質をガスにすると、デブリが発生しにくくな
る。ところが、ガスにはX線を吸収する性質がある。そ
のため、ガスが容器のX線発生領域やX線を取り出して
利用する領域に残留していると、次のエネルギービーム
照射時に、せっかく発生したX線も残留ガスに吸収され
てしまう。したがって、エネルギービームをガスに照射
した後は、そのガスを素早く容器から排出する必要があ
る。このようにガスを容器から排出するガス排出機構
は、例えば特開平1−137543号公報に開示されて
いる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、特開平1−1
37543号公報に開示されたガス排出機構は、容器内
全体を排気することでガスを排気するものである。その
ため、エネルギービームをガスに照射した後にガスを排
気するには相当の時間を要する。短時間で繰り返してエ
ネルギービームをガスに照射する場合は、短時間では容
器内からガスを排気しきれずに、残留ガスが生ずる。し
たがって、次のエネルギービーム照射で発生したX線も
残留ガスに吸収されてしまう。また、上記ガス排出機構
は、X線を取り出すための光路上に、ガスを排気するた
めの通路が設けられている。そのため、当該通路を通じ
てガスを排気している際に、エネルギービームを照射す
ることになる。したがって、発生したX線が当該通路を
通じて排気されているガスに吸収されてしまう。本発明
はこのような点に鑑みてなされたものであり、ガスにエ
ネルギービームを照射してX線を発生させた場合に、残
留ガスによってX線が吸収されるのを防止することを目
的とする。
37543号公報に開示されたガス排出機構は、容器内
全体を排気することでガスを排気するものである。その
ため、エネルギービームをガスに照射した後にガスを排
気するには相当の時間を要する。短時間で繰り返してエ
ネルギービームをガスに照射する場合は、短時間では容
器内からガスを排気しきれずに、残留ガスが生ずる。し
たがって、次のエネルギービーム照射で発生したX線も
残留ガスに吸収されてしまう。また、上記ガス排出機構
は、X線を取り出すための光路上に、ガスを排気するた
めの通路が設けられている。そのため、当該通路を通じ
てガスを排気している際に、エネルギービームを照射す
ることになる。したがって、発生したX線が当該通路を
通じて排気されているガスに吸収されてしまう。本発明
はこのような点に鑑みてなされたものであり、ガスにエ
ネルギービームを照射してX線を発生させた場合に、残
留ガスによってX線が吸収されるのを防止することを目
的とする。
【0005】
【課題を解決するための第1の手段】請求項1に記載の
X線発生装置は、図1に模式的に示すように、減圧した
容器10内に圧縮したガス14を噴出するガス噴出部1
2と、噴出されたガス14にエネルギービーム18を照
射するビーム照射部16と、エネルギービーム18をガ
ス14に照射する照射位置の近傍に設けられ、そのエネ
ルギービーム18が照射されたガス14を排出するガス
排出部20とを有することを特徴とする。請求項1に記
載のX線発生装置によれば、ガス噴出部12によって減
圧した容器10内に圧縮したガス14を噴出すると、ガ
ス14は時間の経過とともに拡散してゆく。そのガス1
4があまり拡散せずに十分密度の高い状態にあるときに
そのガス14を狙って、ビーム照射部16がエネルギー
ビーム18を照射する。この照射によってガス14の全
部または一部がプラズマ化され、そのプラズマからX線
が発生(輻射)する。そして、エネルギービーム18が
照射されたガス14は、照射位置の近傍に設けられたガ
ス排出部20によって素早く強制的に排出される。この
ように、エネルギービーム18が照射されたガス14は
ガス排出部20によって素早く排出されるので、ほとん
ど容器10内には残留しない。したがって、次のエネル
ギービーム照射で発生したX線が残留ガスによって吸収
されるのを防止することができる。
X線発生装置は、図1に模式的に示すように、減圧した
容器10内に圧縮したガス14を噴出するガス噴出部1
2と、噴出されたガス14にエネルギービーム18を照
射するビーム照射部16と、エネルギービーム18をガ
ス14に照射する照射位置の近傍に設けられ、そのエネ
ルギービーム18が照射されたガス14を排出するガス
排出部20とを有することを特徴とする。請求項1に記
載のX線発生装置によれば、ガス噴出部12によって減
圧した容器10内に圧縮したガス14を噴出すると、ガ
ス14は時間の経過とともに拡散してゆく。そのガス1
4があまり拡散せずに十分密度の高い状態にあるときに
そのガス14を狙って、ビーム照射部16がエネルギー
ビーム18を照射する。この照射によってガス14の全
部または一部がプラズマ化され、そのプラズマからX線
が発生(輻射)する。そして、エネルギービーム18が
照射されたガス14は、照射位置の近傍に設けられたガ
ス排出部20によって素早く強制的に排出される。この
ように、エネルギービーム18が照射されたガス14は
ガス排出部20によって素早く排出されるので、ほとん
ど容器10内には残留しない。したがって、次のエネル
ギービーム照射で発生したX線が残留ガスによって吸収
されるのを防止することができる。
【0006】
【課題を解決するための第2の手段】請求項2に記載の
X線発生装置は、請求項1に記載されたX線発生装置に
おいて、ガス噴出部12によってガス14を噴出し、そ
の後にビーム照射部16によってエネルギービーム18
をガス14に照射し、さらにその後にガス排出部20に
よってエネルギービーム18が照射されたガス14を排
出する動作を制御する動作制御部を有することを特徴と
する。請求項1に記載のX線発生装置では、ガス14の
噴出、エネルギービーム18の照射、ガス14の排出を
連続的に実行することが可能である。しかしながら、請
求項2に記載のX線発生装置では、動作制御部は第1工
程でガス14を噴出し、第2工程でエネルギービーム1
8をガス14に照射し、第3工程でガス14を排出する
ように、ガス噴出部12,ビーム照射部16,ガス排出
部20を順番に作動させる。この順番で動作させると、
確実にガス14をプラズマ化してX線を発生させ、ガス
14が残留するのを防止することができる。しかもこれ
らの工程は短時間で繰り返して行うように制御できるの
で、ほぼ一定量のX線を安定して高繰り返しで発生させ
ることができる。
X線発生装置は、請求項1に記載されたX線発生装置に
おいて、ガス噴出部12によってガス14を噴出し、そ
の後にビーム照射部16によってエネルギービーム18
をガス14に照射し、さらにその後にガス排出部20に
よってエネルギービーム18が照射されたガス14を排
出する動作を制御する動作制御部を有することを特徴と
する。請求項1に記載のX線発生装置では、ガス14の
噴出、エネルギービーム18の照射、ガス14の排出を
連続的に実行することが可能である。しかしながら、請
求項2に記載のX線発生装置では、動作制御部は第1工
程でガス14を噴出し、第2工程でエネルギービーム1
8をガス14に照射し、第3工程でガス14を排出する
ように、ガス噴出部12,ビーム照射部16,ガス排出
部20を順番に作動させる。この順番で動作させると、
確実にガス14をプラズマ化してX線を発生させ、ガス
14が残留するのを防止することができる。しかもこれ
らの工程は短時間で繰り返して行うように制御できるの
で、ほぼ一定量のX線を安定して高繰り返しで発生させ
ることができる。
【0007】
【課題を解決するための第3の手段】請求項3に記載の
X線発生装置は、請求項2に記載されたX線発生装置に
おいて、ガス排出部20は、ガス14の排出を禁止する
排出禁止手段を備えており、少なくともビーム照射部1
6によってエネルギービーム18をガス14に照射して
いる期間は、排出禁止手段によってガス14の排出を禁
止することを特徴とする。請求項3に記載のX線発生装
置によれば、排出禁止手段は、少なくともビーム照射部
16によってエネルギービーム18をガス14に照射し
ている期間について、ガス14の排出を禁止する。その
ため、ガス噴出部12から噴出したガス14は容器10
内を拡散し、プラズマ化するガス14の量(体積)が増
える。一方、エネルギービーム18をガス14に照射し
ている期間に当該ガス14を排出すると、プラズマ化す
るガス14の量が減ってしまう。したがって、ガス14
に照射している期間にガス14の排出を禁止すると、よ
り多くのX線を発生させることができる。
X線発生装置は、請求項2に記載されたX線発生装置に
おいて、ガス排出部20は、ガス14の排出を禁止する
排出禁止手段を備えており、少なくともビーム照射部1
6によってエネルギービーム18をガス14に照射して
いる期間は、排出禁止手段によってガス14の排出を禁
止することを特徴とする。請求項3に記載のX線発生装
置によれば、排出禁止手段は、少なくともビーム照射部
16によってエネルギービーム18をガス14に照射し
ている期間について、ガス14の排出を禁止する。その
ため、ガス噴出部12から噴出したガス14は容器10
内を拡散し、プラズマ化するガス14の量(体積)が増
える。一方、エネルギービーム18をガス14に照射し
ている期間に当該ガス14を排出すると、プラズマ化す
るガス14の量が減ってしまう。したがって、ガス14
に照射している期間にガス14の排出を禁止すると、よ
り多くのX線を発生させることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明における実施の形態
を図面(図2〜図10)に基づいて説明する。ここで、
図2には、X線発生装置の構成を示す。実験装置の構成
について、図3には側面図を、図4には平面図をそれぞ
れ示す。図5には、各装置の動作タイミングをタイミン
グチャートで示す。図6には、ガスを噴出する第1工程
を示す。図7には、レーザーをガスに照射する第2工程
を示す。図8には、照射したガスを排出する第3工程を
示す。これらの図において、同一の要素には同一符号を
付している。図9には、実験装置によって発生させた軟
X線の強度をグラフで示す。図10には、実験装置によ
って吸収させた軟X線の透過率をグラフで示す。
を図面(図2〜図10)に基づいて説明する。ここで、
図2には、X線発生装置の構成を示す。実験装置の構成
について、図3には側面図を、図4には平面図をそれぞ
れ示す。図5には、各装置の動作タイミングをタイミン
グチャートで示す。図6には、ガスを噴出する第1工程
を示す。図7には、レーザーをガスに照射する第2工程
を示す。図8には、照射したガスを排出する第3工程を
示す。これらの図において、同一の要素には同一符号を
付している。図9には、実験装置によって発生させた軟
X線の強度をグラフで示す。図10には、実験装置によ
って吸収させた軟X線の透過率をグラフで示す。
【0009】まず、図2に示すX線発生装置について説
明する。このX線発生装置は、主として容器100,ガ
ス噴出装置130,レーザー発振器102,ガス排出装
置116,動作制御装置200等によって構成されてい
る。容器100は、真空ポンプ138によってダクト1
36を通じて空気等が排出され、ほぼ真空に減圧されて
いる。
明する。このX線発生装置は、主として容器100,ガ
ス噴出装置130,レーザー発振器102,ガス排出装
置116,動作制御装置200等によって構成されてい
る。容器100は、真空ポンプ138によってダクト1
36を通じて空気等が排出され、ほぼ真空に減圧されて
いる。
【0010】ガス噴出装置130は、ノズル126,ガ
ス室132,噴出弁128を備えている。ガス室132
は、10cm3 以上の容積を有するのが望ましい。このガ
ス室132には導入管120とノズル126とが異なる
位置にそれぞれ接続されている。ガス室132と導入管
120との接続部位には、供給弁134が設けられてい
る。導入管120にはガスボンベ124からガス108
が供給される。その供給の際、ガス圧調整器122によ
ってガス108の圧力が調整される。ガス108の圧力
は、5気圧以上に調整するのが望ましい。そして、噴出
に先立って供給弁134を開き、導入管120を通じて
圧縮したガス108をガス室132に供給する。その
後、次回の供給に備えて供給弁134を閉じる。一方、
ガス室132とノズル126との接続部位には、噴出弁
128が設けられている。噴出弁128を開くと、ガス
室132を満たした全量のガス108がノズル126か
ら容器100内に噴出する。こうして全量のガス108
を噴出した後、次回の噴出に備えて噴出弁128を閉じ
る。
ス室132,噴出弁128を備えている。ガス室132
は、10cm3 以上の容積を有するのが望ましい。このガ
ス室132には導入管120とノズル126とが異なる
位置にそれぞれ接続されている。ガス室132と導入管
120との接続部位には、供給弁134が設けられてい
る。導入管120にはガスボンベ124からガス108
が供給される。その供給の際、ガス圧調整器122によ
ってガス108の圧力が調整される。ガス108の圧力
は、5気圧以上に調整するのが望ましい。そして、噴出
に先立って供給弁134を開き、導入管120を通じて
圧縮したガス108をガス室132に供給する。その
後、次回の供給に備えて供給弁134を閉じる。一方、
ガス室132とノズル126との接続部位には、噴出弁
128が設けられている。噴出弁128を開くと、ガス
室132を満たした全量のガス108がノズル126か
ら容器100内に噴出する。こうして全量のガス108
を噴出した後、次回の噴出に備えて噴出弁128を閉じ
る。
【0011】レーザー発振器102は、容器100の外
側に設けられている。このレーザー発振器102によっ
て発振したレーザー光106は、入射窓104を通じて
容器100内に入射する。また、レーザー発振器102
はレンズ機能を備えており、レーザー光106をガス1
08に照射する照射位置で焦点を結ぶように調整されて
いる。さらに、ガス108を突き抜けたレーザー光10
6を遮蔽するため、上記照射位置の近傍には遮蔽板11
8が設けられている。ガス排出装置116は、レーザー
光106を照射したガス108を排出する。すなわち、
上記照射位置の近傍に吸入口112を配置し、その吸入
口112には排出管114を接続する。そして、吸入口
112と排出管114との接続部位には、排出禁止手段
に相当する排気弁110を設けている。ガス排出装置1
16は常にガス108を排出できる状態になっており、
排気弁110が開くと実際にガス108を吸入口112
から吸入して排出する。動作制御装置200はCPUを
中心に構成されており、その具体的な構成は一般的なも
のであるので説明を省略する。この動作制御装置200
は、上述したガス噴出装置130,レーザー発振器10
2,ガス排出装置116にそれぞれ信号を伝達すること
によって動作を制御する。すなわち、ガス噴出装置13
0については供給弁134,噴出弁128の開閉動作を
制御する。また、レーザー発振器102については、レ
ーザー光106の出力動作を制御する。さらに、ガス排
出装置116については、排気弁110の開閉動作を制
御する。
側に設けられている。このレーザー発振器102によっ
て発振したレーザー光106は、入射窓104を通じて
容器100内に入射する。また、レーザー発振器102
はレンズ機能を備えており、レーザー光106をガス1
08に照射する照射位置で焦点を結ぶように調整されて
いる。さらに、ガス108を突き抜けたレーザー光10
6を遮蔽するため、上記照射位置の近傍には遮蔽板11
8が設けられている。ガス排出装置116は、レーザー
光106を照射したガス108を排出する。すなわち、
上記照射位置の近傍に吸入口112を配置し、その吸入
口112には排出管114を接続する。そして、吸入口
112と排出管114との接続部位には、排出禁止手段
に相当する排気弁110を設けている。ガス排出装置1
16は常にガス108を排出できる状態になっており、
排気弁110が開くと実際にガス108を吸入口112
から吸入して排出する。動作制御装置200はCPUを
中心に構成されており、その具体的な構成は一般的なも
のであるので説明を省略する。この動作制御装置200
は、上述したガス噴出装置130,レーザー発振器10
2,ガス排出装置116にそれぞれ信号を伝達すること
によって動作を制御する。すなわち、ガス噴出装置13
0については供給弁134,噴出弁128の開閉動作を
制御する。また、レーザー発振器102については、レ
ーザー光106の出力動作を制御する。さらに、ガス排
出装置116については、排気弁110の開閉動作を制
御する。
【0012】ここで、適正条件として、ガス室132の
容積を10cm3 以上、ガス108の圧力を5気圧以上と
することを導き出した実験について、図3,図4を参照
しながら説明する。
容積を10cm3 以上、ガス108の圧力を5気圧以上と
することを導き出した実験について、図3,図4を参照
しながら説明する。
【0013】図3,図4に示す実験装置が図2に示すX
線発生装置と異なるのは、次の2点である。第1点は、
レーザー光106を照射したガス108を排出するため
の機構を備えていないことである。すなわち、図2に示
すガス排出装置116,吸入口112,排出管114,
ガス排出装置116を備えていない。このため、1回実
験を行うごとに、真空ポンプ138を用いてダクト13
6を通じて容器100内のガス108等を排出し、ほぼ
真空に減圧した。第2点は、発生する軟X線の強度,透
過率を測定するための装置を備えている点である。すな
わち、図4に示すように、X線誘導装置150,X線検
出器154,X線解析装置156等を備えていることで
ある。X線誘導装置150は誘導管162の中にミラー
160,スリット158,回折格子152を設けてお
り、容器100内で発生した軟X線をX線検出器154
に導く。軟X線を誘導する過程では、発生した軟X線を
ミラー160で反射させ、その反射波についてスリット
158で測定する軟X線を絞り、回折格子152で波長
13nm付近の軟X線を分光する。そして、X線検出器
154で軟X線の強度を検出し、X線解析装置156で
検出結果を蓄積してデータ表示やグラフ等にする。さら
に、レーザー発振器102によって発振したレーザー光
106は、ミラー102a、レンズ102bを通じて入
射窓104に入射する。ここで、レーザー光106に
は、エネルギー1J、パルス幅7ns、YAGの2倍高
調波(波長532nm)のものを用いた。また、ガス1
08に照射した焦点のサイズは直径約150μmであっ
た。この場合、照射強度は、約8.08×1011W/cm
2 になる。
線発生装置と異なるのは、次の2点である。第1点は、
レーザー光106を照射したガス108を排出するため
の機構を備えていないことである。すなわち、図2に示
すガス排出装置116,吸入口112,排出管114,
ガス排出装置116を備えていない。このため、1回実
験を行うごとに、真空ポンプ138を用いてダクト13
6を通じて容器100内のガス108等を排出し、ほぼ
真空に減圧した。第2点は、発生する軟X線の強度,透
過率を測定するための装置を備えている点である。すな
わち、図4に示すように、X線誘導装置150,X線検
出器154,X線解析装置156等を備えていることで
ある。X線誘導装置150は誘導管162の中にミラー
160,スリット158,回折格子152を設けてお
り、容器100内で発生した軟X線をX線検出器154
に導く。軟X線を誘導する過程では、発生した軟X線を
ミラー160で反射させ、その反射波についてスリット
158で測定する軟X線を絞り、回折格子152で波長
13nm付近の軟X線を分光する。そして、X線検出器
154で軟X線の強度を検出し、X線解析装置156で
検出結果を蓄積してデータ表示やグラフ等にする。さら
に、レーザー発振器102によって発振したレーザー光
106は、ミラー102a、レンズ102bを通じて入
射窓104に入射する。ここで、レーザー光106に
は、エネルギー1J、パルス幅7ns、YAGの2倍高
調波(波長532nm)のものを用いた。また、ガス1
08に照射した焦点のサイズは直径約150μmであっ
た。この場合、照射強度は、約8.08×1011W/cm
2 になる。
【0014】〔実験例1〕まず、ガス室132の容積を
5〜1000cm3 に変化させ、そのガス室132に10
気圧に圧縮したガス108(酸素ガス)を満たした。そ
の後、噴出弁128を開いて、口径0.5mmのノズル1
26からガス108を容器100内に噴出した。容器1
00は、10-4〜10-3Torrのほぼ真空状態になってい
た。そして、ガス108にレーザー光106を照射し
て、軟X線を発生させた。なお、レーザー光106に
は、エネルギー1J、パルス幅7ns、YAGの2倍高
調波(波長532nm)のものを用いた。また、ガス1
08に照射した焦点のサイズは直径約150μmであ
り、照射強度は約8.08×1011W/cm2 になった。
さらに、噴出開始からレーザー光106を照射するまで
待機する時間(以下、「待機時間」と呼ぶ。)を10μ
sとした。その実験により、容積を10cm3 未満にして
行うと軟X線の強度は非常に低かった。一方、容積を1
0cm3 以上にして行うと、軟X線は実用的に十分な高さ
の強度が得られた。したがって、ガス室132の容積は
少なくとも10cm3 必要になる。このような結果となっ
たのは、噴出させるガス108の容積が多いほど、高密
度状態でレーザー光106を照射させることができるた
めと考えられる。
5〜1000cm3 に変化させ、そのガス室132に10
気圧に圧縮したガス108(酸素ガス)を満たした。そ
の後、噴出弁128を開いて、口径0.5mmのノズル1
26からガス108を容器100内に噴出した。容器1
00は、10-4〜10-3Torrのほぼ真空状態になってい
た。そして、ガス108にレーザー光106を照射し
て、軟X線を発生させた。なお、レーザー光106に
は、エネルギー1J、パルス幅7ns、YAGの2倍高
調波(波長532nm)のものを用いた。また、ガス1
08に照射した焦点のサイズは直径約150μmであ
り、照射強度は約8.08×1011W/cm2 になった。
さらに、噴出開始からレーザー光106を照射するまで
待機する時間(以下、「待機時間」と呼ぶ。)を10μ
sとした。その実験により、容積を10cm3 未満にして
行うと軟X線の強度は非常に低かった。一方、容積を1
0cm3 以上にして行うと、軟X線は実用的に十分な高さ
の強度が得られた。したがって、ガス室132の容積は
少なくとも10cm3 必要になる。このような結果となっ
たのは、噴出させるガス108の容積が多いほど、高密
度状態でレーザー光106を照射させることができるた
めと考えられる。
【0015】〔実験例2〕上記実験例1において、ガス
室132の容積を200cm3 とし、圧縮するガス108
の圧力を1〜20気圧に変化させて、同様に軟X線を発
生させる実験を行なった。その実験により、圧力を5気
圧未満にして行うと、軟X線の強度が大幅に低かった。
一方、圧力を5気圧以上にして行うと、実用的に十分な
高さの強度が得られた。したがって、ガス108の圧力
は、少なくとも5気圧必要になる。このような結果とな
ったのは、圧力が高いほど噴出するガスを高密度の状態
に保つことができるためと考えられる。
室132の容積を200cm3 とし、圧縮するガス108
の圧力を1〜20気圧に変化させて、同様に軟X線を発
生させる実験を行なった。その実験により、圧力を5気
圧未満にして行うと、軟X線の強度が大幅に低かった。
一方、圧力を5気圧以上にして行うと、実用的に十分な
高さの強度が得られた。したがって、ガス108の圧力
は、少なくとも5気圧必要になる。このような結果とな
ったのは、圧力が高いほど噴出するガスを高密度の状態
に保つことができるためと考えられる。
【0016】次に、図2に示すように構成されたX線発
生装置によって、X線を発生させる手順について説明す
る。 (第1工程)図2に示すガス噴出装置130のガス室1
32に圧縮したガス108を満たした後、図5に示す時
刻t2に噴出弁128を開き、その後の時刻t4に噴出
弁128を閉じる。この噴出弁128の開閉によって、
ガス室132を満たした全量のガス108がノズル12
6から容器100内に噴出する。そして、噴出後のガス
108は、図6に示すように容器100内で次第に拡散
する。 (第2工程)図5に戻って、時刻t4の後、時刻t6に
レーザー発振器102をオンした後、その後の時刻t8
にオフにする。ここで、時刻t2から時刻t6までの間
隔(待機時間)は、2〜70μsとするのが望ましい。
レーザー発振器102をオンにすると、容器100内の
ガス108にレーザー光106が照射され、この状態を
図7に示す。レーザー光106が照射されたガス108
は、電離されてプラズマ140が発生する。そして、そ
のプラズマ140から電子衝突や再結合等により発生し
たX線142をほぼ全方位に向けて輻射する。 (第3工程)再び図5に戻って、時刻t8の後、時刻t
10に排気弁110を開き、その後の時刻t12に排気
弁110を閉じる。ここで、時刻t8から時刻t10ま
での間隔は、0〜50msとするのが望ましい。排気弁
110の開閉によって、容器100内を拡散しつつある
照射後のガス108を強制的に吸引して排出する。ま
た、図2に示すように、吸入口112が照射位置の近傍
に設けられているので、照射後のガス108を素早くか
つ確実に排出することができる。そのため、ガス108
はほとんど容器100内に残留しない。したがって、次
のレーザー光照射により発生したX線142が残留ガス
によって吸収されるのを防止することができる。
生装置によって、X線を発生させる手順について説明す
る。 (第1工程)図2に示すガス噴出装置130のガス室1
32に圧縮したガス108を満たした後、図5に示す時
刻t2に噴出弁128を開き、その後の時刻t4に噴出
弁128を閉じる。この噴出弁128の開閉によって、
ガス室132を満たした全量のガス108がノズル12
6から容器100内に噴出する。そして、噴出後のガス
108は、図6に示すように容器100内で次第に拡散
する。 (第2工程)図5に戻って、時刻t4の後、時刻t6に
レーザー発振器102をオンした後、その後の時刻t8
にオフにする。ここで、時刻t2から時刻t6までの間
隔(待機時間)は、2〜70μsとするのが望ましい。
レーザー発振器102をオンにすると、容器100内の
ガス108にレーザー光106が照射され、この状態を
図7に示す。レーザー光106が照射されたガス108
は、電離されてプラズマ140が発生する。そして、そ
のプラズマ140から電子衝突や再結合等により発生し
たX線142をほぼ全方位に向けて輻射する。 (第3工程)再び図5に戻って、時刻t8の後、時刻t
10に排気弁110を開き、その後の時刻t12に排気
弁110を閉じる。ここで、時刻t8から時刻t10ま
での間隔は、0〜50msとするのが望ましい。排気弁
110の開閉によって、容器100内を拡散しつつある
照射後のガス108を強制的に吸引して排出する。ま
た、図2に示すように、吸入口112が照射位置の近傍
に設けられているので、照射後のガス108を素早くか
つ確実に排出することができる。そのため、ガス108
はほとんど容器100内に残留しない。したがって、次
のレーザー光照射により発生したX線142が残留ガス
によって吸収されるのを防止することができる。
【0017】そして、時刻14で再び噴出弁128を開
いて、上記時刻t2から時刻t12までの第1工程〜第
3工程を繰り返す。この繰り返しは短時間で行うことも
できる。したがって、ほぼ一定量のX線142を高繰り
返しで安定して発生させることができる。なお、図2に
示すガス室132にガス108を充満させるタイミング
は、噴出弁128が開いている時期を除く任意の時期で
ある。例えば、図5に示す時刻t2から時刻t14まで
の期間中(一周期)において、噴出弁128が閉まる時
刻t4から時刻t14までの任意の時期に行えばよい。
いて、上記時刻t2から時刻t12までの第1工程〜第
3工程を繰り返す。この繰り返しは短時間で行うことも
できる。したがって、ほぼ一定量のX線142を高繰り
返しで安定して発生させることができる。なお、図2に
示すガス室132にガス108を充満させるタイミング
は、噴出弁128が開いている時期を除く任意の時期で
ある。例えば、図5に示す時刻t2から時刻t14まで
の期間中(一周期)において、噴出弁128が閉まる時
刻t4から時刻t14までの任意の時期に行えばよい。
【0018】ここで、適正条件として、待機時間として
2〜70μsとすることを導き出した実験について説明
する。なお、実験装置の構成は図3,図4に示すものと
同一である。
2〜70μsとすることを導き出した実験について説明
する。なお、実験装置の構成は図3,図4に示すものと
同一である。
【0019】〔実験例3〕上記実験例1において、ガス
室132の容積を200cm3 とし、1μ〜10msの範
囲について待機時間を変化させて、同様に軟X線を発生
させる実験を行なった。その実験結果について、待機時
間(横軸)に対して、発生した波長13nm付近の軟X
線の強度(縦軸)をグラフにすると図9に示すようにな
った。このグラフによれば、発生した軟X線の強度は、
待機時間が10μsのときに最大となった。また、待機
時間が2〜70μsの間では、最大値の半値を超える強
度が得られることが分かった。このような結果となった
のは、次のような理由が考えられる。すなわち、待機時
間が短いと、まだガス108が十分に噴出されない低密
度の状態になる。一方、待機時間が長いと、ガス108
が拡散してしまい、やはり低密度の状態になる。これら
の状態でレーザー光106を照射しても、希薄なプラズ
マしか形成されない。したがって、低い強度の軟X線し
か発生しないものと考えられる。
室132の容積を200cm3 とし、1μ〜10msの範
囲について待機時間を変化させて、同様に軟X線を発生
させる実験を行なった。その実験結果について、待機時
間(横軸)に対して、発生した波長13nm付近の軟X
線の強度(縦軸)をグラフにすると図9に示すようにな
った。このグラフによれば、発生した軟X線の強度は、
待機時間が10μsのときに最大となった。また、待機
時間が2〜70μsの間では、最大値の半値を超える強
度が得られることが分かった。このような結果となった
のは、次のような理由が考えられる。すなわち、待機時
間が短いと、まだガス108が十分に噴出されない低密
度の状態になる。一方、待機時間が長いと、ガス108
が拡散してしまい、やはり低密度の状態になる。これら
の状態でレーザー光106を照射しても、希薄なプラズ
マしか形成されない。したがって、低い強度の軟X線し
か発生しないものと考えられる。
【0020】また、本発明のX線発生装置では、レーザ
ー光106を照射したガス108をガス排出装置116
によって強制的に排出している。比較のために、ガス1
08を排出しないで繰り返しレーザー光106を照射し
て発生する軟X線の強度について実験した。なお、実験
装置の構成は図3,図4に示すものと同一である。
ー光106を照射したガス108をガス排出装置116
によって強制的に排出している。比較のために、ガス1
08を排出しないで繰り返しレーザー光106を照射し
て発生する軟X線の強度について実験した。なお、実験
装置の構成は図3,図4に示すものと同一である。
【0021】〔比較例〕10Hzのサイクルで断続的に
レーザー光106をガス108に照射する点を除いて、
実験例1と同様に繰り返し軟X線を発生させる実験を行
なった。この場合、真空ポンプ138を作動させない。
その実験により、1回目の軟X線の強度に比べると、2
回目以降の軟X線の強度が極めて低くなった。このよう
な結果となったのは、1回目に噴出してレーザー光を照
射したガス108がそのまま残留ガスとなり、2回目以
降に発生する軟X線を吸収するためと考えられる。そこ
で、圧力が1Torrの酸素ガスに対してレーザー光を照射
し、発生した軟X線(波長13nm付近)が酸素ガス中
を透過する透過率を計測する実験を行なった。その実験
結果を図10にグラフで示す。そのグラフから分かるよ
うに、波長10〜20nm付近の透過率は0.001〜
3%程度しかなく、ほとんどの軟X線が酸素ガスに吸収
されている。したがって、レーザー光を照射した後のガ
スは、素早く排出して残留させないようにする必要があ
る。
レーザー光106をガス108に照射する点を除いて、
実験例1と同様に繰り返し軟X線を発生させる実験を行
なった。この場合、真空ポンプ138を作動させない。
その実験により、1回目の軟X線の強度に比べると、2
回目以降の軟X線の強度が極めて低くなった。このよう
な結果となったのは、1回目に噴出してレーザー光を照
射したガス108がそのまま残留ガスとなり、2回目以
降に発生する軟X線を吸収するためと考えられる。そこ
で、圧力が1Torrの酸素ガスに対してレーザー光を照射
し、発生した軟X線(波長13nm付近)が酸素ガス中
を透過する透過率を計測する実験を行なった。その実験
結果を図10にグラフで示す。そのグラフから分かるよ
うに、波長10〜20nm付近の透過率は0.001〜
3%程度しかなく、ほとんどの軟X線が酸素ガスに吸収
されている。したがって、レーザー光を照射した後のガ
スは、素早く排出して残留させないようにする必要があ
る。
【0022】上記実施の形態によれば、ガス噴出装置1
30(ガス噴出部12)によって減圧した容器100
(容器10)内に圧縮したガス108(ガス14)を噴
出すると、ガス108は時間の経過とともに拡散してゆ
く。そのガス108が拡散して低密度になる前にガス1
08を狙って、レーザー発振器102(ビーム照射部1
6)がレーザー光106(エネルギービーム18)を照
射する。この照射によってガス108の全部または一部
がプラズマ化され、そのプラズマ140からX線142
が発生する。そして、レーザー光106が照射されたガ
ス108は、照射位置の近傍に設けられたガス排出装置
116(ガス排出部20)によって素早く強制的に排出
される。このように、レーザー光106が照射されたガ
ス108はガス排出装置116によって素早く排出され
るので、ほとんど容器100内に残留しない。したがっ
て、次のレーザー光照射によって発生したX線142が
残留ガスによって吸収されるのを防止することができ
る。
30(ガス噴出部12)によって減圧した容器100
(容器10)内に圧縮したガス108(ガス14)を噴
出すると、ガス108は時間の経過とともに拡散してゆ
く。そのガス108が拡散して低密度になる前にガス1
08を狙って、レーザー発振器102(ビーム照射部1
6)がレーザー光106(エネルギービーム18)を照
射する。この照射によってガス108の全部または一部
がプラズマ化され、そのプラズマ140からX線142
が発生する。そして、レーザー光106が照射されたガ
ス108は、照射位置の近傍に設けられたガス排出装置
116(ガス排出部20)によって素早く強制的に排出
される。このように、レーザー光106が照射されたガ
ス108はガス排出装置116によって素早く排出され
るので、ほとんど容器100内に残留しない。したがっ
て、次のレーザー光照射によって発生したX線142が
残留ガスによって吸収されるのを防止することができ
る。
【0023】図5に示すように、動作制御装置200
(動作制御部)は時刻t2から時刻t4の間にガス10
8を噴出し(第1工程)、時刻t6から時刻t8の間に
レーザー光106をガス108に照射し(第2工程)、
時刻t10から時刻t12の間にガス14を排出する
(第3工程)。このように、ガス噴出装置130の噴出
弁128,レーザー発振器102,ガス排出装置116
の排気弁110を順番に作動させると、確実にガス10
8をプラズマ化してX線142を発生させ、ガス108
が容器100内に残留するのを防止することができる。
しかもこれらの工程は短時間で繰り返して行うように制
御できるので、ほぼ一定量のX線142を高繰り返しで
安定して発生させることができる。
(動作制御部)は時刻t2から時刻t4の間にガス10
8を噴出し(第1工程)、時刻t6から時刻t8の間に
レーザー光106をガス108に照射し(第2工程)、
時刻t10から時刻t12の間にガス14を排出する
(第3工程)。このように、ガス噴出装置130の噴出
弁128,レーザー発振器102,ガス排出装置116
の排気弁110を順番に作動させると、確実にガス10
8をプラズマ化してX線142を発生させ、ガス108
が容器100内に残留するのを防止することができる。
しかもこれらの工程は短時間で繰り返して行うように制
御できるので、ほぼ一定量のX線142を高繰り返しで
安定して発生させることができる。
【0024】さらに、排気弁110(排出禁止手段)
は、レーザー発振器102によってレーザー光106を
ガス108に照射している期間(例えば図5に示す時刻
t6から時刻t8の期間)について、ガス108の排出
を禁止する。そのため、ガス噴出装置130のノズル1
26から噴出したガス108が高密度の状態で容器10
0内でプラズマ化するため、発生するX線の量が増え
る。こうしてレーザー光106をガス108に照射して
いる期間に当該ガス108の排出を禁止すると、より多
くのX線142を発生させることができる。なお、本実
施の形態では、レーザー光106を照射してX線142
を発生させる対象がガス(気体物質)であるので、デブ
リの発生が比較的少ない。
は、レーザー発振器102によってレーザー光106を
ガス108に照射している期間(例えば図5に示す時刻
t6から時刻t8の期間)について、ガス108の排出
を禁止する。そのため、ガス噴出装置130のノズル1
26から噴出したガス108が高密度の状態で容器10
0内でプラズマ化するため、発生するX線の量が増え
る。こうしてレーザー光106をガス108に照射して
いる期間に当該ガス108の排出を禁止すると、より多
くのX線142を発生させることができる。なお、本実
施の形態では、レーザー光106を照射してX線142
を発生させる対象がガス(気体物質)であるので、デブ
リの発生が比較的少ない。
【0025】〔他の実施の形態〕上述したX線発生装置
において、他の部分の構造,形状,大きさ,材質,個
数,配置および動作条件等については、上記実施の形態
に限定されるものでない。例えば、上記実施の形態を応
用した次の各形態を実施することもできる。 (1)上記実施の形態では、図2に示すように、ガス噴
出装置130のノズル126からガス108を噴出する
方向に、ガス排出装置116の吸入口112を設けた。
この形態に代えて、ガス108を噴出する方向以外の方
向であって、照射位置の近傍に吸入口112を設けても
よい。この場合、発生したX線を取り出すための光路か
ら外れた位置に設けられているとなおよい。こうすれ
ば、排出中のガス108によって、せっかく発生したX
線が吸収されるのを確実に防止することができる。 (2)上記実施の形態では、図2に示すように、ガス噴
出装置130のノズル126とガス排出装置116の吸
入口112とを容器100内に設けた。この形態に代え
て、ノズル126と吸入口112との間に管(例えば透
明な円筒管や角筒管)を設け、少なくとも当該管をほぼ
真空に減圧する構成としてもよい。この場合には、ノズ
ル126から噴出したガス108は管内にとどまり、こ
れ以上拡散しない。そのため、ガス108の高密度状態
をより長く維持することができるので、待機期間を延ば
すことができる。 (3)上記実施の形態では、図2に示すように、ガス噴
出装置130のノズル126,ガス排出装置116の吸
入口112をそれぞれ一つずつ設けた。この形態に代え
て、ノズル126または吸入口112のいずれかを複数
設けてもよい。ノズル126を複数設ける場合には、そ
れぞれの口先を照射位置に設けるのが望ましい。複数の
ノズル126から同時に噴出すれば、同一容積のガス1
08を素早く噴出することができる。また、吸入口11
2を複数設けた場合には、同時に排出を行うことにより
照射後のガス108を素早く排出することができる。
において、他の部分の構造,形状,大きさ,材質,個
数,配置および動作条件等については、上記実施の形態
に限定されるものでない。例えば、上記実施の形態を応
用した次の各形態を実施することもできる。 (1)上記実施の形態では、図2に示すように、ガス噴
出装置130のノズル126からガス108を噴出する
方向に、ガス排出装置116の吸入口112を設けた。
この形態に代えて、ガス108を噴出する方向以外の方
向であって、照射位置の近傍に吸入口112を設けても
よい。この場合、発生したX線を取り出すための光路か
ら外れた位置に設けられているとなおよい。こうすれ
ば、排出中のガス108によって、せっかく発生したX
線が吸収されるのを確実に防止することができる。 (2)上記実施の形態では、図2に示すように、ガス噴
出装置130のノズル126とガス排出装置116の吸
入口112とを容器100内に設けた。この形態に代え
て、ノズル126と吸入口112との間に管(例えば透
明な円筒管や角筒管)を設け、少なくとも当該管をほぼ
真空に減圧する構成としてもよい。この場合には、ノズ
ル126から噴出したガス108は管内にとどまり、こ
れ以上拡散しない。そのため、ガス108の高密度状態
をより長く維持することができるので、待機期間を延ば
すことができる。 (3)上記実施の形態では、図2に示すように、ガス噴
出装置130のノズル126,ガス排出装置116の吸
入口112をそれぞれ一つずつ設けた。この形態に代え
て、ノズル126または吸入口112のいずれかを複数
設けてもよい。ノズル126を複数設ける場合には、そ
れぞれの口先を照射位置に設けるのが望ましい。複数の
ノズル126から同時に噴出すれば、同一容積のガス1
08を素早く噴出することができる。また、吸入口11
2を複数設けた場合には、同時に排出を行うことにより
照射後のガス108を素早く排出することができる。
【0026】
【他の発明の態様】以上、本発明の実施の形態について
説明したが、この実施の形態には特許請求の範囲に記載
した発明の態様のみならず他の発明の態様を有するもの
である。この発明の態様を以下に列挙するとともに、必
要に応じて関連説明を行う。
説明したが、この実施の形態には特許請求の範囲に記載
した発明の態様のみならず他の発明の態様を有するもの
である。この発明の態様を以下に列挙するとともに、必
要に応じて関連説明を行う。
【0027】〔態様1〕 減圧した容器内に圧縮したガ
スを噴出するガス噴出部と、噴出されたガスにエネルギ
ービームを照射するビーム照射部と、発生したX線を取
り出すための光路から外れた位置に設けられ、エネルギ
ービームが照射されたガスを排出するガス排出部とを有
するX線発生装置。 〔態様1の関連説明〕 本態様によれば、ガス排出部
は、発生したX線を取り出すための光路から外れた位置
に設けられている。そのため、発生したX線が排出中の
ガスによって吸収されるのを防止することができる。
スを噴出するガス噴出部と、噴出されたガスにエネルギ
ービームを照射するビーム照射部と、発生したX線を取
り出すための光路から外れた位置に設けられ、エネルギ
ービームが照射されたガスを排出するガス排出部とを有
するX線発生装置。 〔態様1の関連説明〕 本態様によれば、ガス排出部
は、発生したX線を取り出すための光路から外れた位置
に設けられている。そのため、発生したX線が排出中の
ガスによって吸収されるのを防止することができる。
【0028】
【発明の効果】本発明によれば、ガスにエネルギービー
ムを照射してX線を発生させた場合に、残留ガスによる
X線の吸収を防止することができる。
ムを照射してX線を発生させた場合に、残留ガスによる
X線の吸収を防止することができる。
【図1】本発明の概念を示す模式図である。
【図2】X線発生装置の構成を示す図である。
【図3】実験装置の構成を示す側面図である。
【図4】実験装置の構成を示す平面図である。
【図5】動作タイミングを示すタイミングチャートであ
る。
る。
【図6】ガスを噴出する第1工程を示す模式図である。
【図7】レーザーをガスに照射する第2工程を示す模式
図である。
図である。
【図8】照射したガスを排出する第3工程を示す模式図
である。
である。
【図9】実験装置によって発生させた軟X線の強度を示
すグラフ図である。
すグラフ図である。
【図10】実験装置によって吸収させた軟X線の透過率
を示すグラフ図である。
を示すグラフ図である。
10 容器 12 ガス噴出部 14 ガス 16 ビーム照射部 18 エネルギービーム 20 ガス排出部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中野 健司 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 西村 靖彦 愛知県豊田市トヨタ町2番地 株式会社ト ヨタマックス内 (72)発明者 坂田 篤 愛知県豊田市トヨタ町2番地 株式会社ト ヨタマックス内 (72)発明者 東 博純 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 Fターム(参考) 4C092 AA07 AA14 AB21 BD18
Claims (3)
- 【請求項1】 減圧した容器内に圧縮したガスを噴出す
るガス噴出部と、 噴出されたガスにエネルギービームを照射するビーム照
射部と、 エネルギービームをガスに照射する照射位置の近傍に設
けられ、そのエネルギービームが照射されたガスを排出
するガス排出部とを有することを特徴とするX線発生装
置。 - 【請求項2】 請求項1に記載されたX線発生装置にお
いて、 ガス噴出部によってガスを噴出し、 その後にビーム照射部によってエネルギービームをガス
に照射し、 さらにその後にガス排出部によってエネルギービームが
照射されたガスを排出する動作を制御する動作制御部を
有することを特徴とするX線発生装置。 - 【請求項3】 請求項2に記載されたX線発生装置にお
いて、 ガス排出部は、ガスの排出を禁止する排出禁止手段を備
えており、 少なくともビーム照射部によってエネルギービームをガ
スに照射している期間は、排出禁止手段によってガスの
排出を禁止することを特徴とするX線発生装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10171610A JP2000002800A (ja) | 1998-06-18 | 1998-06-18 | X線発生装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10171610A JP2000002800A (ja) | 1998-06-18 | 1998-06-18 | X線発生装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000002800A true JP2000002800A (ja) | 2000-01-07 |
Family
ID=15926372
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10171610A Pending JP2000002800A (ja) | 1998-06-18 | 1998-06-18 | X線発生装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2000002800A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2003085707A1 (fr) * | 2002-04-05 | 2003-10-16 | Gigaphoton Inc. | Source de lumiere d'uv extremes |
US8814171B2 (en) | 2011-10-25 | 2014-08-26 | Ford Global Technologies, Llc | Engine sealing assembly |
RU224312U1 (ru) * | 2023-12-27 | 2024-03-21 | федеральное государственное автономное образовательное учреждение высшего образования "Санкт-Петербургский политехнический университет Петра Великого"(ФГАОУ ВО "СПбПУ") | Устройство для управляемого формирования и подачи эшелона ксеноновых мишеней в камеру источника жесткого ультрафиолетового излучения |
-
1998
- 1998-06-18 JP JP10171610A patent/JP2000002800A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2003085707A1 (fr) * | 2002-04-05 | 2003-10-16 | Gigaphoton Inc. | Source de lumiere d'uv extremes |
US7067832B2 (en) | 2002-04-05 | 2006-06-27 | Gigaphoton, Inc. | Extreme ultraviolet light source |
US8814171B2 (en) | 2011-10-25 | 2014-08-26 | Ford Global Technologies, Llc | Engine sealing assembly |
RU224312U1 (ru) * | 2023-12-27 | 2024-03-21 | федеральное государственное автономное образовательное учреждение высшего образования "Санкт-Петербургский политехнический университет Петра Великого"(ФГАОУ ВО "СПбПУ") | Устройство для управляемого формирования и подачи эшелона ксеноновых мишеней в камеру источника жесткого ультрафиолетового излучения |
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