JP6371057B2 - パターン形成方法 - Google Patents

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Description

本発明は、レジスト組成物を用いてネガ型のレジストパターンを形成した後、その上にパターン反転用組成物を塗布してパターン反転用膜を形成し、アルカリ現像を行うことにより、前記パターン反転用膜に、前記ネガ型のレジストパターンのイメージが反転したパターンを形成できるパターン形成方法に関する。
支持体の上に微細なパターンを形成し、これをマスクとしてエッチングを行うことによって該パターンの下層を加工する技術(パターン形成技術)は、半導体分野においてICデバイスの作製等に広く採用されている。
微細なパターンは、通常、有機材料からなり、例えばリソグラフィー法やナノインプリント法等の技術によって形成される。たとえばリソグラフィー法においては、基板等の支持体上に、レジスト材料からなるレジスト膜を形成し、該レジスト膜に対し、光、電子線等の放射線にて選択的露光を行い、現像処理を施すことにより、前記レジスト膜に所定形状のレジストパターンを形成する工程が行われる。そして、上記レジストパターンをマスクとして、基板をエッチングにより加工する工程を経て半導体素子等が製造される。
なお、露光した部分の現像液に対する溶解性が増大するレジスト材料をポジ型、露光した部分の現像液に対する溶解性が低下するレジスト材料をネガ型という。
近年、リソグラフィー技術の進歩により急速にパターンの微細化が進んでいる。レジストパターンの微細化の手法としては、一般に、露光光源の短波長化が行われている。具体的には、従来は、g線、i線に代表される紫外線が用いられていたが、現在では、KrFエキシマレーザーや、ArFエキシマレーザーを用いた半導体素子の量産が開始されており、たとえばArFエキシマレーザーを用いたリソグラフィーにより、45nmレベルの解像性でのパターン形成が可能となっている。また、解像性の更なる向上のために、これらエキシマレーザーより短波長のFエキシマレーザー、電子線、EUV(極紫外線)やX線などについても検討が行われている。
レジスト材料には、これらの露光光源に対する感度、微細な寸法のパターンを再現できる解像性等のリソグラフィー特性が求められる。このような要求を満たすレジスト材料として、露光により酸を発生する酸発生剤を含有する化学増幅型レジスト組成物が用いられている。化学増幅型レジスト組成物には、一般的に、前記酸発生剤とともに、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が変化する基材成分が配合されている。たとえばポジ型の化学増幅型レジスト組成物の基材成分としては、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大するものが用いられている。この化学増幅型レジスト組成物の基材成分としては、主に樹脂が用いられている(たとえば、特許文献1参照)。
解像性の更なる向上のための手法の1つとして、露光機の対物レンズと試料との間に、空気よりも高屈折率の液体(液浸媒体)を介在させて露光(浸漬露光)を行うリソグラフィー法、所謂、液浸リソグラフィー(Liquid Immersion Lithography。以下、液浸露光ということがある。)が知られている(たとえば、非特許文献1参照)。
液浸露光によれば、同じ露光波長の光源を用いても、より短波長の光源を用いた場合や高NAレンズを用いた場合と同様の高解像性を達成でき、しかも焦点深度幅の低下もないといわれている。また、液浸露光は、既存の露光装置を応用して行うことができる。そのため、液浸露光は、低コストであって、高解像性で、かつ、焦点深度幅にも優れるレジストパターンの形成を実現できると予想され、多額な設備投資を必要とする半導体素子の製造において、コスト的にも、解像度等のリソグラフィー特性的にも、半導体産業に多大な効果を与えるものとして大変注目されている。
液浸露光は、あらゆるパターン形状の形成において有効であり、更に、現在検討されている位相シフト法、変形照明法などの超解像技術と組み合わせることも可能であるとされている。現在、液浸露光技術としては、主に、ArFエキシマレーザーを光源とする技術が活発に研究されている。また、現在、液浸媒体としては、主に水が検討されている。
最近提案されているリソグラフィー技術の1つとして、パターニングを2回以上行ってレジストパターンを形成するダブルパターニングプロセスがある(たとえば、非特許文献2〜3参照)。
ダブルパターニングプロセスにはいくつか種類があり、たとえば、(1)リソグラフィー工程(レジスト組成物の塗布から露光、現像まで)およびエッチング工程を2回以上繰り返してパターンを形成する方法、(2)リソグラフィー工程を続けて2回以上繰り返す方法等がある。
(1)の方法によるパターンの形成は、たとえば以下の手順で実施される。まず、基板と下層膜とハードマスクとが積層された積層体を用意する。次に、ハードマスク上にレジスト膜を設け、該レジスト膜を、フォトマスクを介して選択的に露光し、現像することにより、所定のサイズのレジストパターンが複数、所定の位置に配置された第一のレジストパターンを形成する。次に、該第一のレジストパターンをマスクとしてハードマスクのエッチングを行った後、残った第一のレジストパターンを除去する。これにより、第一のレジストパターンが転写されたハードマスクが得られる。次に、該ハードマスク上にレジスト組成物を塗布することにより、ハードマスク内の間隙を充填するレジスト膜を形成する。そして、該レジスト膜を、パターン配置の異なるフォトマスクを介して選択的に露光し、現像して第二のレジストパターンを形成する。次に、該第二のレジストパターンをマスクとしてハードマスクのエッチングを行った後、残った第二のレジストパターンを除去する。これにより、第一のレジストパターンおよび第二のレジストパターンが転写されたハードマスクが得られる。このハードマスクをマスクとしてエッチングを行うことにより、下層膜にハードマスクのパターンが転写され、結果、使用したフォトマスクよりも狭ピッチのパターンが形成される。
(2)の方法では、たとえば、支持体上に第一のレジスト膜を形成し、該第一のレジスト膜をパターニングすることにより複数のレジストパターン(第一のレジストパターン)を形成した後、その上に第二のレジスト材料を塗布して前記複数のレジストパターン間の間隙を充填する第二のレジスト膜を形成し、該第二のレジスト膜をパターニングする。
これらのダブルパターニングプロセスによれば、同じ露光波長の光源を用いても、また、同じレジスト組成物を用いても、1回のリソグラフィー工程で形成する場合(シングルパターニング)よりも高解像性のレジストパターンを形成することが可能である。また、ダブルパターニングプロセスは、既存の露光装置を用いて行うことができる。
また、最近提案されているリソグラフィー技術として、酸によって脱離する酸不安定基を持つ構造を有する繰り返し単位を有し、上記酸不安定基の脱離によってアルカリ現像液に可溶になる樹脂と、高エネルギー線の露光により酸を発生する光酸発生剤又は光酸発生剤と加熱により酸を発生する熱酸発生剤と、有機溶剤とを含有する化学増幅ポジ型レジスト膜形成用組成物を用いてポジ型パターンを得る工程、該工程で得られたポジ型パターンを露光もしくは加熱して酸あるいは熱により、該ポジ型パターン中の上記樹脂の酸不安定基を脱離させてアルカリ溶解性を向上させ、かつ該樹脂にアルカリ性ウェットエッチング液に対する溶解性を失わない範囲で架橋を形成させて、上記ポジ型パターンに反転用膜形成用組成物に使用される有機溶剤に対する耐性を与える工程、反転用膜形成用組成物を用いて反転用膜を形成する工程、上記架橋が形成されたポジ型パターンをアルカリ性ウェットエッチング液で溶解除去する工程を含む、ポジネガ反転を用いたパターン形成方法が提案されている(特許文献2参照)。
特開2003−241385号公報 特開2009−211036号公報
プロシーディングスオブエスピーアイイ(Proceedings of SPIE),第5754巻,第119−128頁(2005年). プロシーディングスオブエスピーアイイ(Proceedings of SPIE),第5256巻,第985〜994頁(2003年). プロシーディングスオブエスピーアイイ(Proceedings of SPIE),第6153巻,第615301−1〜19頁(2006年).
レジスト膜にスペースパターンやホールパターンを形成する場合、ラインパターンやドットパターンを形成する場合に比べて、弱い光入射強度下でのパターン形成を強いられ、露光部および未露光部にそれぞれ入射する光の強度のコントラストも小さい。そのため、レジストパターン形成における解像力やリソグラフィーマージン(たとえば露光量に対する余裕度(ELマージン)、焦点深度に対する余裕度(DOFマージン)、パターン形状の垂直性等といったパターン形成能に制限が生じやすく、高解像のレジストパターンを形成すること、ホールパターンを密なピッチで形成することが難しい傾向がある。
高解像のレジストパターンを形成できる技術として、上述のようなダブルパターニングプロセスを用いることも考えられる。しかし、上記のようなダブルパターニングプロセスのうち、(1)の方法は、基板上にパターンを形成するためには、レジスト膜のパターニング(レジスト膜の形成、露光、現像)を少なくとも2回、その下層のハードマスクのエッチングを少なくとも2回行う必要があるなど、工程数の増大や薬液使用量の増大、それらに伴う製造コストの増大が問題となる。また、(2)の方法は、ラインアンドスペースパターンの形成には適しているものの、孤立スペースパターン(トレンチパターン)やホールパターンの形成には適していない。
また、特許文献2に記載されたパターン形成方法においては、ポジ型パターンを得た後、光酸発生剤から酸を発生させるための露光工程をあらたに設ける必要が生じる。また、熱酸発生剤を用いた場合、ポジ型パターン(第一のレジストパターン)の形成において、露光後加熱により熱酸発生剤から発生する酸の影響でコントラストが弱まり、解像性が低下する、パターンが形成できない等の不具合を生じるおそれがある。
そのため、スペースパターン、ホールパターン(特に、より密なピッチのホールパターン)等の微細なパターンを、できるだけ工程数を減らした簡便な方法で、かつ、高い解像性で形成できる新規な技術が求められる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、微細なパターンの形成に有用なパターン形成方法を課題とする。
上記の課題を解決するために、本発明は以下の構成を採用した。
すなわち、本発明のパターン形成方法は、支持体上に、露光により有機溶剤に対する溶解性が減少するレジスト組成物を塗布して、第一のレジスト膜を形成し、該第一のレジスト膜を露光し、該露光後の第一のレジスト膜を、有機溶剤を含有する現像液を用いたネガ型現像によりパターニングして、第一のレジストパターンを形成する工程(1)と、前記第一のレジストパターンが形成された前記支持体上に、前記第一のレジストパターンを溶解しない有機溶剤を含有するパターン反転用組成物を塗布して、パターン反転用膜を形成し、アルカリ現像液を用いたアルカリ現像により、前記第一のレジストパターンを除去しつつ該パターン反転用膜をパターニングして、パターンを形成する工程(2)とを有し、前記パターン反転用膜の前記アルカリ現像液に対する溶解速度が1.0〜3.5nm/sであり、前記パターン反転用組成物は、第一のレジストパターンを溶解しない有機溶剤(S’)とパターン反転用膜を構成する基材成分(A”)とを含有し、前記基材成分(A”)は、極性基として水酸基、シアノ基、カルボキシ基、塩基解離性基、下記一般式(f2−0−1)で表される基、下記一般式(f2−0−2)で表される基、及び下記一般式(f2−0−3)で表される基からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む構成単位(a”1)を有する樹脂成分(A”1)を含有する(但し、前記パターン反転用組成物は、シロキサン結合を有する有機珪素化合物を含有するものを除く)ことを特徴とする。
Figure 0006371057
[式(f2−0−1)中、Qは2価の連結基又は単結合であり、Rはフッ素化アルキル基である。式(f2−0−2)中、Q及びRはいずれも前記と同じである。式(f2−0−3)中、R51,R52はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子、又は炭素数1〜5のフッ素化アルキル基であり、m,nはそれぞれ独立して0〜5の整数(ただし、m+n≧1)であり、qは0〜5の整数である。]
本発明によれば、微細なパターンの形成に有用なパターン形成方法を提供できる。
本発明のパターン形成方法における工程(1)の実施形態を説明する概略工程図である。 本発明のパターン形成方法における工程(2)の実施形態を説明する概略工程図である。
本明細書及び本特許請求の範囲において、「脂肪族」とは、芳香族に対する相対的な概念であって、芳香族性を持たない基、化合物等を意味するものと定義する。
「アルキル基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状及び環状の1価の飽和炭化水素基を包含するものとする。アルコキシ基中のアルキル基も同様である。
「アルキレン基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状及び環状の2価の飽和炭化水素基を包含するものとする。
「ハロゲン化アルキル基」は、アルキル基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置換された基であり、該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
「フッ素化アルキル基」又は「フッ素化アルキレン基」は、アルキル基又はアルキレン基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された基をいう。
「構成単位」とは、高分子化合物(樹脂、重合体、共重合体)を構成するモノマー単位(単量体単位)を意味する。
「置換基を有していてもよい」と記載する場合、水素原子(−H)を1価の基で置換する場合と、メチレン基(−CH−)を2価の基で置換する場合との両方を含む。
「露光」は、放射線の照射全般を含む概念とする。
「アクリル酸エステルから誘導される構成単位」とは、アクリル酸エステルのエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
「アクリル酸エステル」は、アクリル酸(CH=CH−COOH)のカルボキシ基末端の水素原子が有機基で置換された化合物である。
アクリル酸エステルは、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。該α位の炭素原子に結合した水素原子を置換する置換基(Rα0)は、水素原子以外の原子又は基であり、たとえば炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基等が挙げられる。また、置換基(Rα0)がエステル結合を含む置換基で置換されたイタコン酸ジエステルや、置換基(Rα0)がヒドロキシアルキル基やその水酸基を修飾した基で置換されたαヒドロキシアクリルエステルも含むものとする。なお、アクリル酸エステルのα位の炭素原子とは、特に断りがない限り、アクリル酸のカルボニル基が結合している炭素原子のことである。
以下、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されたアクリル酸エステルをα置換アクリル酸エステルということがある。また、アクリル酸エステルとα置換アクリル酸エステルとを包括して「(α置換)アクリル酸エステル」ということがある。
「アクリルアミドから誘導される構成単位」とは、アクリルアミドのエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
アクリルアミドは、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよく、アクリルアミドのアミノ基の水素原子の一方または両方が置換基で置換されていてもよい。なお、アクリルアミドのα位の炭素原子とは、特に断りがない限り、アクリルアミドのカルボニル基が結合している炭素原子のことである。
アクリルアミドのα位の炭素原子に結合した水素原子を置換する置換基としては、前記α置換アクリル酸エステルにおいて、α位の置換基として挙げたもの(置換基(Rα0))と同様のものが挙げられる。
「ヒドロキシスチレン若しくはヒドロキシスチレン誘導体から誘導される構成単位」とは、ヒドロキシスチレン若しくはヒドロキシスチレン誘導体のエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
「ヒドロキシスチレン誘導体」とは、ヒドロキシスチレンのα位の水素原子がアルキル基、ハロゲン化アルキル基等の他の置換基に置換されたもの、並びにそれらの誘導体を含む概念とする。それらの誘導体としては、α位の水素原子が置換基に置換されていてもよいヒドロキシスチレンの水酸基の水素原子を有機基で置換したもの;α位の水素原子が置換基に置換されていてもよいヒドロキシスチレンのベンゼン環に、水酸基以外の置換基が結合したもの等が挙げられる。なお、ヒドロキシスチレンのα位(α位の炭素原子)とは、特に断りがない限り、ベンゼン環が結合している炭素原子のことをいう。
ヒドロキシスチレンのα位の水素原子を置換する置換基としては、前記α置換アクリル酸エステルにおいて、α位の置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
「ビニル安息香酸若しくはビニル安息香酸誘導体から誘導される構成単位」とは、ビニル安息香酸若しくはビニル安息香酸誘導体のエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
「ビニル安息香酸誘導体」とは、ビニル安息香酸のα位の水素原子がアルキル基、ハロゲン化アルキル基等の他の置換基に置換されたもの、並びにそれらの誘導体を含む概念とする。それらの誘導体としては、α位の水素原子が置換基に置換されていてもよいビニル安息香酸のカルボキシ基の水素原子を有機基で置換したもの;α位の水素原子が置換基に置換されていてもよいビニル安息香酸のベンゼン環に、水酸基およびカルボキシ基以外の置換基が結合したもの等が挙げられる。なお、ビニル安息香酸のα位(α位の炭素原子)とは、特に断りがない限り、ベンゼン環が結合している炭素原子のことをいう。
「スチレン」とは、スチレンおよびスチレンのα位の水素原子がアルキル基、ハロゲン化アルキル基等の他の置換基に置換されたものも含む概念とする。
「スチレンから誘導される構成単位」、「スチレン誘導体から誘導される構成単位」とは、スチレン又はスチレン誘導体のエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
上記α位の置換基としてのアルキル基は、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、炭素数1〜5のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基)等が挙げられる。
また、α位の置換基としてのハロゲン化アルキル基は、具体的には、上記「α位の置換基としてのアルキル基」の水素原子の一部または全部を、ハロゲン原子で置換した基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
また、α位の置換基としてのヒドロキシアルキル基は、具体的には、上記「α位の置換基としてのアルキル基」の水素原子の一部または全部を、水酸基で置換した基が挙げられる。該ヒドロキシアルキル基における水酸基の数は、1〜5が好ましく、1が最も好ましい。
(パターン形成方法)
本発明のパターン形成方法は、支持体上に、露光により有機溶剤に対する溶解性が減少するレジスト組成物を塗布して、第一のレジスト膜を形成し、該第一のレジスト膜を露光し、該露光後の第一のレジスト膜を、有機溶剤を含有する現像液を用いたネガ型現像によりパターニングして、第一のレジストパターンを形成する工程(1)と、前記第一のレジストパターンが形成された前記支持体上に、前記第一のレジストパターンを溶解しない有機溶剤を含有するパターン反転用組成物を塗布して、パターン反転用膜を形成し、アルカリ現像液を用いたアルカリ現像により、前記第一のレジストパターンを除去しつつ該パターン反転用膜をパターニングして、パターンを形成する工程(2)とを有する。
以下、本発明のパターン形成方法について、図面を参照しながら説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。
図1〜2に、本発明のパターン形成方法の一実施形態例を示す。
本実施形態では、工程(1)を図1に示す手順で行う。
すなわち、まず、図1(a)に示すように、支持体1上に、露光により有機溶剤に対する溶解性が減少するレジスト組成物を塗布して、第一のレジスト膜2を形成する。
次に、第一のレジスト膜2を、図1(b)に示すように、所定のパターンが形成されたフォトマスク3を介して露光し、露光後ベーク(ポストエクスポージャーベーク(PEB))を行う。これにより、第一のレジスト膜2のうち、露光された領域(露光部2a)の有機溶剤に対する溶解性が減少し、一方、露光されていない領域(未露光部2b)の有機溶剤に対する溶解性は変化しないか、変化してもその変化量がわずかであるため、露光部2aと未露光部2bとの間に有機溶剤に対する溶解速度の差(溶解コントラスト)が生じる。そのため、有機溶剤を含有する現像液(有機系現像液)による現像を行うと、第一のレジスト膜2の未露光部2bが除去され、露光部2aが残留し、その結果、図1(c)に示すように、支持体1上に、離間配置された複数の露光部2aから構成されるパターン(第一のレジストパターン)が形成される。
次に、工程(2)を図2に示す手順で行う。
工程(2)では、まず、複数の露光部2aから構成されるパターンが形成された支持体1(図2(a))上に、第一のレジストパターンを溶解しない有機溶剤を含有するパターン反転用組成物を塗布し、複数の露光部2a間の間隙を充填するパターン反転用膜6を形成する(図2(b))。
次に、アルカリ現像液による現像を行うと、第一のレジストパターンが除去される一方、露光部2a間に充填されたパターン反転用膜6は除去されずに残る。パターン反転用膜6のうち、露光部2aの上面に存在する部分は、その厚さが薄いため、アルカリ現像時に露光部2aとともに除去される。その結果、図2(c)に示すように、第一のレジストパターンのあった位置がスペース部6cとなり、第一のレジストパターンのイメージが反転したパターン(反転パターン)が形成される。
以下、本実施形態における工程(1)及び工程(2)について、より詳細に説明する。
[工程(1)]
工程(1)では、支持体上に、露光により有機溶剤に対する溶解性が減少するレジスト組成物を塗布して、第一のレジスト膜を形成し、該第一のレジスト膜を露光し、該露光後の第一のレジスト膜を、有機溶剤を含有する現像液を用いたネガ型現像によりパターニングして、第一のレジストパターンを形成する。
第一のレジストパターンの形成は、例えば以下のようにして行うことができる。
まず、支持体1上に、露光により有機溶剤に対する溶解性が減少するレジスト組成物を、スピンナーを用いる等の従来公知の方法で塗布し、ベーク(ポストアプライベーク(PAB))処理を、たとえば80〜150℃の温度条件にて40〜120秒間、好ましくは50〜90秒間施して第一のレジスト膜2を形成する。
かかるレジスト組成物の詳細については後述する。
第一のレジスト膜2の厚さは、好ましくは50〜500nm、より好ましくは50〜450nmである。第一のレジスト膜2の厚さをこの範囲内とすることにより、第一のレジストパターンを高解像度で形成できる。
次に、第一のレジスト膜2に対し、例えばArF露光装置、電子線描画装置、EUV露光装置等の露光装置を用いて、所定のパターンが形成されたフォトマスク3(マスクパターン)を介した露光、又はフォトマスク3を介さない電子線の直接照射による描画等により選択的露光を行う。
その後、ベーク(ポストエクスポージャーベーク(PEB))処理を、たとえば80〜150℃の温度条件にて40〜120秒間、好ましくは50〜90秒間施す。
次に、前記の選択的露光、及びベーク(PEB)処理後の第一のレジスト膜2をネガ型現像する。ネガ型現像は、有機溶剤を含有する現像液(有機系現像液)を用いて行う。
本態様のレジストパターン形成方法においては、ネガ型現像によりパターニングして第一のレジストパターンを形成することで、第一のレジスト膜2の露光部2aの、特に膜厚方向で、光学強度の弱い領域が生じるような場合でも、高解像性のパターンが得られやすい。
ネガ型現像の後、好ましくはリンス処理を行う。リンス処理は、有機溶剤を含有するリンス液を用いることが好ましい。さらに、ネガ型現像又はリンス処理の後、レジストパターン上に付着している有機系現像液又はリンス液を超臨界流体により除去する処理を行ってもよい。
次に、ネガ型現像又はリンス処理の後、乾燥を行う。また、場合によっては、上記ネガ型現像の後にベーク処理(ポストベーク)を行ってもよい。
上記のような操作を行うことにより、支持体1上に、離間配置された複数の露光部2aから構成される第一のレジストパターンを形成することができる。
支持体1としては、特に限定されず、従来公知のものを用いることができ、例えば、電子部品用の基板や、これに所定の配線パターンが形成されたもの等を例示することができる。より具体的には、シリコンウェーハ、銅、クロム、鉄、アルミニウム等の金属製の基板や、ガラス基板等が挙げられる。配線パターンの材料としては、例えば銅、アルミニウム、ニッケル、金等が使用可能である。
また、支持体1としては、上述のような基板上に、無機系及び/又は有機系の膜が設けられたものであってもよい。無機系の膜としては、無機反射防止膜(無機BARC)が挙げられる。有機系の膜としては、有機反射防止膜(有機BARC)や多層レジスト法における下層有機膜等の有機膜が挙げられる。
ここで、多層レジスト法とは、基板上に、少なくとも一層の有機膜(下層有機膜)と、少なくとも一層のレジスト膜(上層レジスト膜)とを設け、上層レジスト膜に形成したレジストパターンをマスクとして下層有機膜のパターニングを行う方法であり、高アスペクト比のパターンを形成できるとされている。すなわち、多層レジスト法によれば、下層有機膜により所要の厚みを確保できるため、レジスト膜を薄膜化でき、高アスペクト比の微細なパターン形成が可能となる。
多層レジスト法には、基本的に、上層レジスト膜と下層有機膜との二層構造とする方法(2層レジスト法)と、上層レジスト膜と下層有機膜との間に一層以上の中間層(金属薄膜等)を設けた三層以上の多層構造とする方法(3層レジスト法)と、に分けられる。
無機系の膜は、たとえばシリコン系材料などの無機系の反射防止膜組成物を基板上に塗工し、焼成等することにより形成できる。
有機系の膜は、たとえば、当該膜を構成する樹脂成分等を有機溶剤に溶解した有機膜形成用材料を基板にスピンナー等で塗布し、好ましくは200〜300℃、好ましくは30〜300秒間、より好ましくは60〜180秒間の加熱条件でベーク処理することにより形成できる。
露光に用いる波長は、特に限定されず、ArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザー、Fエキシマレーザー、EUV(極紫外線)、VUV(真空紫外線)、EB(電子線)、X線、軟X線等の放射線を用いて行うことができる。本態様のパターン形成方法は、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、EB又はEUV用としての有用性が高く、ArFエキシマレーザー、EBまたはEUV用として特に有用である。
露光量については、第一のレジスト膜2露光部2aの有機系現像液に対する溶解性が減少し得る程度であればよく、通常、第一のレジスト膜2の最適露光量(Eop)が用いられる。ここで、「最適露光量」とは、当該レジスト膜を選択的に露光し、所定のベーク温度にてPEB処理を行い、現像した際に、レジストパターンが、設計パターン寸法の通りに忠実に再現される露光量をいう。
フォトマスク3としては、特に限定されず、公知のものを利用でき、たとえば、遮光部の透過率が0%のバイナリーマスク(Binary−Mask)や、遮光部の透過率が6%のハーフトーン型位相シフトマスク(HT−Mask)を用いることができる。
該バイナリーマスクは、一般的には石英ガラス基板上に、遮光部としてクロム膜、酸化クロム膜等が形成されたものが用いられる。
該ハーフトーン型位相シフトマスクは、一般的には石英ガラス基板上に、遮光部としてMoSi(モリブデン・シリサイド)膜、クロム膜、酸化クロム膜、酸窒化シリコン膜等が形成されたものが用いられる。
なお、本実施形態では、フォトマスク3を介して露光を行っているが、本発明はこれに限定されず、フォトマスク3を介さない露光、たとえばEB等による描画により選択的露光を行ってもよい。
第一のレジスト膜2の露光方法は、空気や窒素等の不活性ガス中で行う通常の露光(ドライ露光)であってもよく、液浸露光(Liquid Immersion Lithography)であってもよい。
液浸露光は、予め第一のレジスト膜2と露光装置の最下位置のレンズ間を、空気の屈折率よりも大きい屈折率を有する溶媒(液浸媒体)で満たし、その状態で露光(浸漬露光)を行う露光方法である。
液浸媒体としては、空気の屈折率よりも大きく、かつ、露光されるレジスト膜の有する屈折率よりも小さい屈折率を有する溶媒が好ましい。かかる溶媒の屈折率としては、前記範囲内であれば特に制限されない。
空気の屈折率よりも大きく、かつ、前記レジスト膜の屈折率よりも小さい屈折率を有する溶媒としては、例えば、水、フッ素系不活性液体、シリコン系有機溶剤、炭化水素系有機溶剤等が挙げられる。
フッ素系不活性液体の具体例としては、CHCl、COCH、COC、C等のフッ素系化合物を主成分とする液体等が挙げられ、沸点が70〜180℃のものが好ましく、80〜160℃のものがより好ましい。フッ素系不活性液体が上記範囲の沸点を有するものであると、露光終了後に、液浸に用いた媒体の除去を、簡便な方法で行えることから好ましい。
フッ素系不活性液体としては、特に、アルキル基の水素原子が全てフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキル化合物が好ましい。パーフルオロアルキル化合物としては、具体的には、パーフルオロアルキルエーテル化合物やパーフルオロアルキルアミン化合物を挙げることができる。
さらに、具体的には、前記パーフルオロアルキルエーテル化合物としては、パーフルオロ(2−ブチル−テトラヒドロフラン)(沸点102℃)を挙げることができ、前記パーフルオロアルキルアミン化合物としては、パーフルオロトリブチルアミン(沸点174℃)を挙げることができる。
液浸媒体としては、コスト、安全性、環境問題、汎用性等の観点から、水が好ましく用いられる。
ネガ型現像に用いる、有機系現像液が含有する有機溶剤としては、レジスト組成物の基材成分(露光前の基材成分)を溶解し得るものであればよく、公知の有機溶剤の中から適宜選択できる。具体的には、ケトン系有機溶剤、エステル系有機溶剤、アルコール系有機溶剤、ニトリル系有機溶剤、アミド系有機溶剤、エーテル系有機溶剤等の極性溶剤、炭化水素系有機溶剤等が挙げられる。
本発明において、ケトン系有機溶剤は、構造中にC−C(=O)−Cを含む有機溶剤である。エステル系有機溶剤は、構造中にC−C(=O)−O−Cを含む有機溶剤である。アルコール系有機溶剤は、構造中にアルコール性水酸基を含む有機溶剤であり、「アルコール性水酸基」は、脂肪族炭化水素基の炭素原子に結合した水酸基を意味する。ニトリル系有機溶剤は、構造中にニトリル基を含む有機溶剤である。アミド系有機溶剤は、構造中にアミド基を含む有機溶剤である。エーテル系有機溶剤は、構造中にC−O−Cを含む有機溶剤である。
有機溶剤の中には、構造中に上記各溶剤を特徴づける官能基を複数種含む有機溶剤も存在するが、その場合は、当該有機溶剤が有する官能基を含むいずれの溶剤種にも該当するものとする。たとえば、ジエチレングリコールモノメチルエーテルは、上記分類中の、アルコール系有機溶剤、エーテル系有機溶剤のいずれにも該当するものとする。
炭化水素系有機溶剤は、ハロゲン化されていてもよい炭化水素からなり、ハロゲン原子以外の置換基を有さない炭化水素溶剤である。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
上記の中でも、ネガ型現像に用いられる有機系現像液は、高解像性のレジストパターンが得られやすいことから、エステル系有機溶剤及びケトン系有機溶剤からなる群より選ばれる1種以上の有機溶剤を含有することが好ましく、エステル系有機溶剤を含有することがより好ましい。
エステル系有機溶剤としては、たとえば、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、メトキシ酢酸エチル、エトキシ酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、2−メトキシブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、4−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−エチル−3−メトキシブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、2−エトキシブチルアセテート、4−エトキシブチルアセテート、4−プロポキシブチルアセテート、2−メトキシペンチルアセテート、3−メトキシペンチルアセテート、4−メトキシペンチルアセテート、2−メチル−3−メトキシペンチルアセテート、3−メチル−3−メトキシペンチルアセテート、3−メチル−4−メトキシペンチルアセテート、4−メチル−4−メトキシペンチルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸ブチル、蟻酸プロピル、乳酸エチル、乳酸ブチル、乳酸プロピル、炭酸エチル、炭酸プロピル、炭酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、ピルビン酸ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸イソプロピル、2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、メチル−3−メトキシプロピオネート、エチル−3−メトキシプロピオネート、エチル−3−エトキシプロピオネート、プロピル−3−メトキシプロピオネート等が挙げられる。
上記のなかでも、エステル系有機溶剤としては、酢酸ブチルが好ましい。
ケトン系有機溶剤としては、たとえば、1−オクタノン、2−オクタノン、1−ノナノン、2−ノナノン、アセトン、4−ヘプタノン、1−ヘキサノン、2−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、フェニルアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、アセトニルアセトン、イオノン、ジアセトニルアルコール、アセチルカービノール、アセトフェノン、メチルナフチルケトン、イソホロン、プロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、メチルアミルケトン(2−ヘプタノン)等が挙げられる。
ケトン系有機溶剤としては、メチルアミルケトン(2−ヘプタノン)が好ましい。
有機系現像液には、必要に応じて公知の添加剤を配合できる。該添加剤としては、たとえば界面活性剤が挙げられる。界面活性剤としては、特に限定されないが、たとえばイオン性や非イオン性のフッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤等を用いることができる。界面活性剤としては、非イオン性の界面活性剤が好ましく、フッ素系界面活性剤又はシリコン系界面活性剤がより好ましい。
界面活性剤を配合する場合、その配合量は、有機系現像液の全量に対して、通常0.001〜5質量%であり、0.005〜2質量%が好ましく、0.01〜0.5質量%がより好ましい。
ネガ型現像の処理は、公知の現像方法により実施することが可能であり、たとえば現像液中に支持体1を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、支持体1表面に現像液を表面張力によって盛り上げて一定時間静止する方法(パドル法)、支持体1表面に現像液を噴霧する方法(スプレー法)、一定速度で回転している支持体1上に一定速度で現像液塗出ノズルをスキャンしながら現像液を塗出し続ける方法(ダイナミックディスペンス法)等が挙げられる。
ネガ型現像後のリンス処理に用いるリンス液が含有する有機溶剤としては、たとえば前記有機系現像液に用いる有機溶剤として挙げた有機溶剤のうち、レジストパターンを溶解しにくいものを適宜選択して使用できる。通常、炭化水素系有機溶剤、ケトン系有機溶剤、エステル系有機溶剤、アルコール系有機溶剤、アミド系有機溶剤及びエーテル系有機溶剤から選択される少なくとも1種類の溶剤を使用する。これらのなかでも、炭化水素系有機溶剤、ケトン系有機溶剤、エステル系有機溶剤、アルコール系有機溶剤及びアミド系有機溶剤から選択される少なくとも1種類が好ましく、エステル系有機溶剤及びケトン系有機溶剤から選択される少なくとも1種類がより好ましく、エステル系有機溶剤が特に好ましい。
これらの有機溶剤は、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、上記以外の有機溶剤や水と混合して用いてもよい。ただし、現像特性を考慮すると、リンス液中の水の配合量は、リンス液の全量に対し、30質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、5質量%以下さらに好ましく、3質量%以下が特に好ましい。
リンス液には、必要に応じて公知の添加剤を配合できる。該添加剤としては、例えば界面活性剤が挙げられる。界面活性剤は、前記と同様のものが挙げられ、非イオン性の界面活性剤が好ましく、フッ素系界面活性剤又はシリコン系界面活性剤がより好ましい。
界面活性剤を配合する場合、その配合量は、リンス液の全量に対して、通常0.001〜5質量%であり、0.005〜2質量%が好ましく、0.01〜0.5質量%がより好ましい。
リンス液を用いたリンス処理(洗浄処理)は、公知のリンス方法により実施できる。該方法としては、たとえば一定速度で回転している支持体1上にリンス液を塗出し続ける方法(回転塗布法)、リンス液中に支持体1を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、支持体1表面にリンス液を噴霧する方法(スプレー法)等が挙げられる。
[工程(2)]
工程(2)では、工程(1)で第一のレジストパターンが形成された前記支持体上に、前記第一のレジストパターンを溶解しない有機溶剤を含有するパターン反転用組成物を塗布して、パターン反転用膜を形成し、アルカリ現像液を用いたアルカリ現像により、前記第一のレジストパターンを除去しつつ該パターン反転用膜をパターニングして、パターンを形成する。
たとえば、第一のレジストパターンが形成された支持体1上に、スピンナーを用いる等の従来公知の方法を用いてパターン反転用組成物を塗布し、ベーク処理(プレベーク)を施し、有機溶剤を揮発させることにより、複数の露光部2a間の間隙を充填するパターン反転用膜6を形成できる。
ベーク処理(プレベーク)の温度は、使用するパターン反転用組成物の組成によって適宜調整すればよく、例えば60℃以上であることが好ましく、80℃以上であることがより好ましく、90〜130℃がさらに好ましい。
ベーク時間は、40〜120秒間が好ましく、60〜90秒間がより好ましい。
本発明においては、パターン反転用膜6の膜厚t2(露光部2a間の間隙を充填している部分の膜厚の最小値)は、パターン反転用膜6のアルカリ現像液に対する溶解速度に合わせて適宜調節すればよい。
パターン反転用膜6のアルカリ現像液に対する溶解速度が若干速い場合、パターン反転用膜6の膜厚t2は、露光部2aの高さ(第一のレジストパターンの膜厚t1)より厚め(t2>t1)に設定することが好ましい。パターン反転用膜6のアルカリ現像液に対する溶解速度があまり速くない場合、パターン反転用膜6の膜厚t2は、露光部2aの高さと同じか、それよりも薄く設定すること(t2≦t1)が好ましい。後者(t2≦t1)の場合、露光部2aの上面を覆うパターン反転用膜6uの厚さが、工程(2)でのアルカリ現像時に容易に除去できる程度に薄いものとなる。つまり、このパターン反転用膜6u(露光部2a上に形成された膜)は、膜厚が薄いため、アルカリ現像による膜減りが生じやすい。そのため、アルカリ現像時に露光部2aとともに溶解して除去される。そのため、反転パターンを良好に形成できる。
パターン反転用膜6のアルカリ現像液に対する溶解速度が遅い(又は現像時間が短い)のにパターン反転用膜6が厚すぎると、工程(2)でのアルカリ現像時に露光部2aの上面のパターン反転用膜6uがうまく取り除かれず、逆に、パターン反転用膜6のアルカリ現像液に対する溶解速度が速い(又は現像時間が長い)のにパターン反転用膜6が薄すぎると、工程(2)でのアルカリ現像時に露光部2aだけでなくパターン反転用膜6もすべてアルカリ現像液に溶解除去され、良好な反転パターンを形成できないおそれがある。
パターン反転用膜6の形成は、「膜厚t2/膜厚t1」で表される、第一のレジストパターンの膜厚t1とパターン反転用膜6の膜厚t2との比を、以下のように設定して行うことが好ましい。すなわち、膜厚t2/膜厚t1=0.5〜1.5が好ましく、0.5〜1.3がより好ましく、0.55〜1.25がさらに好ましい。
膜厚t2/膜厚t1を前記の好ましい範囲に設定してパターン反転用膜6の形成を行うことで、アルカリ現像液を用いたアルカリ現像により、第一のレジストパターンは充分に除去される一方、パターン反転用膜6は、所望の膜厚を有する残像が形成されやすくなる。
設定の膜厚t2となるようにパターン反転用膜6を形成するには、支持体1上にパターン反転用組成物を塗布する際に、パターン反転用組成物の粘度や温度等を考慮し、支持体1の回転数を適宜制御すればよい。
次いで、パターン反転用膜6を形成した後、アルカリ現像を行う。上述のとおり、パターン反転用膜6のアルカリ現像液に対する溶解速度と膜厚t2(さらに現像時間)を適宜調節することで、アルカリ現像の後、パターン反転用膜6のうち、露光部2aの上面に存在する部分(パターン反転用膜6u)が除去される(これに伴い露光部2aも除去される)一方、露光部2a間に充填されたパターン反転用膜6は除去されずに像として残る。その結果、図2(c)に示すように、露光部2aのあった位置がスペース部6cとなり、第一のレジストパターンのイメージが反転したパターン(反転パターン)が形成される。
たとえば第一のレジストパターンがラインパターンの場合、該ラインパターンと同じ位置に、該ラインパターンの寸法(ライン幅)とほぼ同じ寸法(スペース幅)のスペースパターンが反転パターンとして形成される。また、第一のレジストパターンがドットパターンの場合、該ドットパターンと同じ位置に、該ドットパターンの寸法(ドット直径)とほぼ同じ寸法(ホール直径)のホールパターンが反転パターンとして形成される。
アルカリ現像は、アルカリ水溶液、例えば濃度0.1〜10質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液を用いて、好ましくは20〜30℃程度の温度条件で、現像時間が、好ましくは5〜90秒間で行われる。具体的には、パターン反転用膜6を、たとえば23℃にて、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液を用いて、好ましくは10〜30秒間現像(浸漬、ノズル塗布など)することにより、アルカリ現像が行われる。
工程(2)でのアルカリ現像において、パターン反転用膜6のアルカリ現像液に対する溶解速度は、1.0〜3.5nm/sであることが好ましく、1.0〜3.0nm/sであることがより好ましく、1.1〜3.0nm/sであることがさらに好ましい。
当該溶解速度が好ましい下限値以上であることにより、適度な膜減りを生じるようになり、後述するように、露光部2a上に形成されたパターン反転用膜6uがアルカリ現像時に露光部2aとともに溶解して除去され、解像性の良好な反転パターンが形成されやすくなる。一方、当該溶解速度が好ましい上限値以下であることにより、アルカリ現像液に膜が過剰に溶解しすぎることがなく、アルカリ現像後に所定の形状のパターン反転用膜6が形成されやすくなる。
かかる溶解速度は、後述の基材成分(A”)の種類や、基材成分(A”)とこれ以外の成分(例えば溶解抑制剤成分)との組合せ等により制御できる。
本発明において「アルカリ現像液に対する溶解速度」は、パターン反転用膜6を、工程(2)でのアルカリ現像と同様にしてアルカリ現像した際の溶解速度であり、たとえば下記の方法により測定される値を示す。
[アルカリ現像液に対する溶解速度の測定方法]
シリコン基板等の支持体上に、パターン反転用組成物を、スピンナーを用いて均一に塗布し、プレベーク(PAB)処理等を行ってパターン反転用膜を形成し、次いで、当該パターン反転用膜に対して、上記アルカリ現像を行い、その際の当該パターン反転用膜の溶解速度(単位時間当たりの膜減り量、単位:nm/s)をナノスペック(ナノメトリクス社製)により求める。
上記アルカリ現像後、純水等によるリンス処理を行ってもよい。
また、上記アルカリ現像後、ベーク処理(ポストベーク)をさらに行ってもよい。
ポストベークは(アルカリ現像やリンス処理後の水分を除去する目的で主に行われるため)、ベーク温度が、好ましくは120〜160℃程度の条件で行われ、ベーク時間が、好ましくは30〜90秒間である。
本実施形態においては、第一のレジストパターンとして、ラインパターンおよび/またはドットパターンを形成することで、スペースパターンおよび/またはホールパターンを反転パターンとして得ることができる。
このように反転パターンとして形成されるスペースパターンやホールパターンは、1回のリソグラフィー工程で直接形成される場合に比べて、解像力や形状、リソグラフィーマージン(たとえば露光量に対する余裕度(ELマージン)、焦点深度に対する余裕度(DOFマージン)、パターン形状の垂直性等)に優れたものである。
レジスト膜の極一部、微細な領域を除去する必要があるスペースパターンやホールパターンを直接形成する場合、上述したように、弱い光入射強度下でのパターン形成を強いられ、パターン形成能に制限が大きい。これに対し、本実施形態における工程(1)では、ネガ型現像によりレジストパターン(ネガ型レジストパターン)が形成されることから、光学強度の弱い領域が選択的に溶解除去される。このため、微細なパターンでも良好に形成できる。加えて、本実施形態における工程(2)で反転パターンを形成する際のパターン形成能は、第一のレジストパターン(孤立ラインパターンやドットパターン、ラインアンドスペースパターン等)を形成する際のパターン形成能に依存するため、スペースパターンやホールパターンを直接形成する場合に比べてパターン形成能に制限が少ない。したがって、かかる工程(1)と工程(2)とを有するパターン形成方法によれば、従来よりも微細なパターン(スペースパターン、ホールパターン(特に、より密なピッチのホールパターン)等)を、高い解像性で、かつ、良好な形状で形成できる。
本実施形態のパターン形成方法においては、工程(2)のパターン反転用組成物の塗布により、第一のレジストパターンを、工程(2)でのアルカリ現像により除去可能にしている。そのため、本実施形態のパターン形成方法では、ダブルパターニングプロセスの2回目のパターニングと比較し、露光及び露光後ベークの両方を行う必要がなく、アルカリ現像のみで反転パターンを形成できる。したがって、かかるパターン形成方法は、従来のダブルパターニングプロセスに比べて、工程数が少なく、簡便な方法であるといえ、スループットが向上する。
また、かかるパターン形成方法においては、工程(1)で用いるレジスト組成物として上述したような架橋形成能を有する等の特定のレジスト組成物(特許文献2に記載)を用いなければならない等の制限はなく、これまで使用されている従来公知の化学増幅型レジスト組成物をそのまま用いることができる。また、パターン反転用組成物も、これまで提案されている樹脂組成物等をそのまま用いることができる。
本発明のパターン形成方法においては、工程(1)で第一のレジストパターンを形成する際に、複数回の露光が可能なため、多様な形状のパターンを形成することが可能である。また、従来では困難であった、大面積パターンの反転も、本発明のパターン形成方法によれば可能である。
さらに、本発明においては、通常のパターニングを2回以上行って(ダブルパターニングにより)形成したレジストパターンに対して、上記工程(2)の操作を行ってもよい。これにより、さらに狭ピッチのより密なパターンや、複雑な形状のパターンを形成することができる。
本発明における工程(2)の後、形成されたパターンをマスクとして用いて、支持体1のエッチングを行うことができる。支持体1をエッチングすることにより、半導体デバイス等を製造することができる。
エッチングの方法は、公知の方法(ドライエッチング、ウェットエッチング)が利用できる。たとえば有機膜(レジストパターン、有機系の反射防止膜等)のエッチングは、ドライエッチングが好ましい。特に、酸素プラズマエッチング、またはCFガスもしくはCHFガスを用いたエッチングが好ましく、中でも酸素プラズマエッチングが特に好ましい。基板や無機系の反射防止膜のエッチングは、ハロゲンガスを用いたエッチングが好ましく、フッ化炭素系ガスを用いたエッチングがより好ましく、特にCFガス又はCHFガスを用いたエッチングが好ましい。
<レジスト組成物>
本発明のパターン形成方法に用いられるレジスト組成物は、露光により有機溶剤に対する溶解性が減少するものである。
かかるレジスト組成物としては、露光により酸を発生し、かつ、酸の作用によって有機系現像液に含まれる有機溶剤に対する溶解性が減少する基材成分(A)(以下「(A)成分」ともいう。)を含有するものが挙げられる。
かかるレジスト組成物を用いてレジスト膜を形成し、該レジスト膜に対して選択的露光を行うと、該レジスト膜の露光部では酸が発生し、該酸の作用により(A)成分の、有機系現像液に含まれる有機溶剤に対する溶解性、が減少する一方で、該レジスト膜の未露光部では(A)成分の、有機系現像液に含まれる有機溶剤に対する溶解性、が変化しないため、露光部と未露光部との間で該有機溶剤に対する溶解性の差が生じる。そのため、該レジスト膜を有機系現像液で現像すると、該レジスト膜の未露光部が溶解除去されてネガ型のレジストパターンが形成される。
かかるレジスト組成物は、露光により酸を発生する酸発生能を有するものであり、(A)成分が露光により酸を発生してもよく、(A)成分とは別に配合された添加剤成分が露光により酸を発生してもよい。
かかるレジスト組成物は、具体的には、
(1)露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)(以下「(B)成分」という。)を含有するものであってもよく;
(2)(A)成分が露光により酸を発生する成分であってもよく;
(3)(A)成分が露光により酸を発生する成分であり、かつ、さらに(B)成分を含有するものであってもよい。
すなわち、上記(2)及び(3)の場合、(A)成分は、「露光により酸を発生し、かつ、酸の作用により、有機系現像液に含まれる有機溶剤、に対する溶解性が減少する基材成分」となる。この場合、後述する(A1)成分が、露光により酸を発生し、かつ、酸の作用により、有機系現像液に含まれる有機溶剤、に対する溶解性が減少する高分子化合物であることが好ましい。このような高分子化合物としては、露光により酸を発生する構成単位を有する樹脂を用いることができる。露光により酸を発生する構成単位としては、公知のものを用いることができる。
かかるレジスト組成物は、上記(1)の場合であるものが好ましい。
≪(A)成分≫
本発明において、「基材成分」とは、膜形成能を有する有機化合物であり、好ましくは分子量が500以上の有機化合物が用いられる。該有機化合物の分子量が500以上であることにより、膜形成能が向上し、加えて、ナノレベルのレジストパターンを形成しやすい。
基材成分として用いられる有機化合物は、非重合体と重合体とに大別される。
非重合体としては、通常、分子量が500以上4000未満のものが用いられる。以下、「低分子化合物」という場合は、分子量が500以上4000未満の非重合体を示す。
重合体としては、通常、分子量が1000以上のものが用いられる。以下、「樹脂」又は「高分子化合物」という場合は、分子量が1000以上の重合体を示す。
重合体の分子量としては、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によるポリスチレン換算の質量平均分子量を用いるものとする。
かかるレジスト組成物に用いられる(A)成分として、好ましくは、酸の作用により極性が増大する酸分解性基を含む構成単位(a1)を有する高分子化合物(以下この高分子化合物を「(A1)成分」という)を含むものが用いられ、該(A1)成分とともに他の高分子化合物及び/又は低分子化合物を併用してもよい。
・(A1)成分
(A1)成分は、酸の作用により極性が増大する酸分解性基を含む構成単位(a1)を有する高分子化合物である。
かかる(A1)成分を含有するレジスト組成物を用いて形成されたレジスト膜を露光した場合、構成単位(a1)は、酸の作用によりその構造中の少なくとも一部の結合が開裂し、極性が増大する。このため、本態様のレジスト組成物は、現像液が有機系現像液の場合(溶剤現像プロセス)においてネガ型となり、現像液がアルカリ現像液の場合(アルカリ現像プロセス)においてポジ型となる。(A1)成分は露光前後で極性が変化するため、(A1)成分を用いることにより、アルカリ現像プロセスだけでなく、溶剤現像プロセスにおいても良好な現像コントラストを得ることができる。
つまり、溶剤現像プロセスを適用する場合、(A1)成分は、露光前は有機系現像液に対して溶解性が高く、露光により酸が発生すると、該酸の作用により極性が高くなって有機系現像液に対する溶解性が減少する。そのため、レジストパターンの形成において、当該レジスト組成物を支持体上に塗布して得られるレジスト膜に対して選択的に露光すると、露光部は有機系現像液に対して可溶性から難溶性に変化する一方で、未露光部は可溶性のまま変化しないため、有機系現像液で現像することにより、露光部と未露光部との間でコントラストをつけることができ、ネガ型レジストパターンが形成できる。
構成単位(a1):
構成単位(a1)は、酸の作用により極性が増大する酸分解性基を含む構成単位である。
「酸分解性基」は、酸の作用により、当該酸分解性基の構造中の少なくとも一部の結合が開裂し得る酸分解性を有する基である。
酸の作用により極性が増大する酸分解性基としては、たとえば、酸の作用により分解して極性基を生じる基が挙げられる。
極性基としては、たとえばカルボキシ基、水酸基、アミノ基、スルホ基(−SOH)等が挙げられる。これらのなかでも、構造中に−OHを含有する極性基(以下「OH含有極性基」ということがある。)が好ましく、カルボキシ基または水酸基がより好ましく、カルボキシ基が特に好ましい。
酸分解性基としてより具体的には、前記極性基が酸解離性基で保護された基(たとえばOH含有極性基の水素原子を、酸解離性基で保護した基)が挙げられる。
ここで「酸解離性基」とは、
(i)酸の作用により、該酸解離性基と該酸解離性基に隣接する原子との間の結合が開裂し得る酸解離性を有する基、又は、
(ii)酸の作用により一部の結合が開裂した後、さらに脱炭酸反応が生じることにより、該酸解離性基と該酸解離性基に隣接する原子との間の結合が開裂し得る基、
の双方をいう。
酸分解性基を構成する酸解離性基は、当該酸解離性基の解離により生成する極性基よりも極性の低い基であることが必要で、これにより、酸の作用により該酸解離性基が解離した際に、該酸解離性基よりも極性の高い極性基が生じて極性が増大する。その結果、(A1)成分全体の極性が増大する。極性が増大することにより、相対的に、現像液に対する溶解性が変化し、現像液が有機系現像液の場合には溶解性が減少する。
酸解離性基としては、特に限定されず、これまで、化学増幅型レジスト用のベース樹脂の酸解離性基として提案されているものを使用することができる。
上記極性基のうち、カルボキシ基または水酸基を保護する酸解離性基としては、たとえば、下記一般式(a1−r−1)で表される酸解離性基(以下、便宜上「アセタール型酸解離性基」ということがある)が挙げられる。
Figure 0006371057
[式中、Ra’、Ra’は水素原子またはアルキル基であり、Ra’は炭化水素基であり、Ra’は、Ra’、Ra’のいずれかと結合して環を形成してもよい。]
式(a1−r−1)中、Ra’、Ra’のアルキル基としては、上記α置換アクリル酸エステルについての説明で、α位の炭素原子に結合してもよい置換基として挙げたアルキル基と同様のものが挙げられ、メチル基またはエチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
Ra’の炭化水素基としては、炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、炭素数1〜10のアルキル基がより好ましく;直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1,1−ジメチルエチル基、1,1−ジエチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、2,2−ジメチルブチル基等が挙げられる。
Ra’が環状の炭化水素基となる場合、脂肪族でも芳香族でもよく、また多環式であってもよく、単環式であってもよい。単環式の脂環式炭化水素基としては、モノシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基が好ましい。該モノシクロアルカンとしては、炭素数3〜8のものが好ましく、具体的にはシクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタン等が挙げられる。多環式の脂環式炭化水素基としては、ポリシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとしては、炭素数7〜12のものが好ましく、具体的にはアダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
芳香族炭化水素基となる場合、含まれる芳香環として具体的には、ベンゼン、ビフェニル、フルオレン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等の芳香族炭化水素環;前記芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環等が挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
該芳香族炭化水素基として具体的には、前記芳香族炭化水素環から水素原子を1つ除いた基(アリール基);前記アリール基の水素原子の1つがアルキレン基で置換された基(たとえば、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基)等が挙げられる。前記アルキレン基(アリールアルキル基中のアルキル鎖)の炭素数は、1〜4であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
Ra’が、Ra’、Ra’のいずれかと結合して環を形成する場合、該環式基としては、4〜7員環が好ましく、4〜6員環がより好ましい。該環式基の具体例としては、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基等が挙げられる。
上記極性基のうち、カルボキシ基を保護する酸解離性基としては、たとえば、下記一般式(a1−r−2)で表される酸解離性基が挙げられる(下記式(a1−r−2)で表される酸解離性基のうち、アルキル基により構成されるものを、以下、便宜上「第3級アルキルエステル型酸解離性基」ということがある)。
Figure 0006371057
[式中、Ra’〜Ra’はそれぞれ炭化水素基であり、Ra’、Ra’は互いに結合して環を形成してもよい。]
Ra’〜Ra’の炭化水素基としては、前記Ra’と同様のものが挙げられる。Ra’は、炭素数1〜5のアルキル基であることが好ましい。Ra’、Ra’が互いに結合して環を形成する場合、下記一般式(a1−r2−1)で表される基が挙げられる。
一方、Ra’〜Ra’が互いに結合せず、独立した炭化水素基である場合、下記一般式(a1−r2−2)で表される基が挙げられる。
Figure 0006371057
[式中、Ra’10は炭素数1〜10のアルキル基であり、Ra’11はRa’10が結合した炭素原子と共に脂肪族環式基を形成する基である。、Ra’12〜Ra’14は、それぞれ独立に炭化水素基を示す。]
式(a1−r2−1)中、Ra’10の炭素数1〜10のアルキル基は、式(a1−r−1)におけるRa’の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基として挙げた基が好ましい。式(a1−r2−1)中、Ra’11が構成する脂肪族環式基は、式(a1−r−1)におけるRa’の環状のアルキル基として挙げた基が好ましい。
式(a1−r2−2)中、Ra’12及びRa’14は、それぞれ独立に炭素数1〜10のアルキル基であることが好ましく、該アルキル基は、式(a1−r−1)におけるRa’の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基として挙げた基がより好ましく、炭素数1〜5の直鎖状アルキル基であることがさらに好ましく、メチル基またはエチル基であることが特に好ましい。
式(a1−r2−2)中、Ra’13は、式(a1−r−1)におけるRa’の炭化水素基として例示された直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基であることが好ましい。これらの中でも、Ra’の環状のアルキル基として挙げられた基であることがより好ましい。
前記式(a1−r2−1)で表される基の具体例を以下に挙げる。以下の式中、「*」は結合手を示す(以下同じ)。
Figure 0006371057
前記式(a1−r2−2)で表される基の具体例を以下に挙げる。
Figure 0006371057
また、上記極性基のうち水酸基を保護する酸解離性基としては、たとえば、下記一般式(a1−r−3)で表される酸解離性基(以下、便宜上「第3級アルキルオキシカルボニル酸解離性基」ということがある)が挙げられる。
Figure 0006371057
[式中、Ra’〜Ra’はそれぞれアルキル基を示す。]
式(a1−r−3)中、Ra’〜Ra’は、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3のアルキル基がより好ましい。
また、各アルキル基の合計の炭素数は、3〜7であることが好ましく、3〜5であることがより好ましく、3〜4であることが最も好ましい。
構成単位(a1)としては、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸エステルから誘導される構成単位であって、酸の作用により極性が増大する酸分解性基を含む構成単位;ヒドロキシスチレン若しくはヒドロキシスチレン誘導体から誘導される構成単位の水酸基における水素原子の少なくとも一部が前記酸分解性基を含む置換基により保護された構成単位;ビニル安息香酸若しくはビニル安息香酸誘導体から誘導される構成単位の−C(=O)−OHにおける水素原子の少なくとも一部が前記酸分解性基を含む置換基により保護された構成単位等が挙げられる。
構成単位(a1)としては、上記のなかでも、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸エステルから誘導される構成単位が好ましい。
構成単位(a1)としては、下記一般式(a1−1)〜(a1−3)のいずれかで表される構成単位が好ましい。
Figure 0006371057
[式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。Vaはエーテル結合、ウレタン結合又はアミド結合を有していてもよい2価の炭化水素基であり、na1は0〜2の整数であり、Raは、上記式(a1−r−1)又は(a1−r−2)で表される酸解離性基である。Waは、na2+1価の炭化水素基であり、na2は1〜3の整数である。Raは、上記式(a1−r−1)又は(a1−r−3)で表される酸解離性基である。Waは、na3+1価の炭化水素基であり、na3は1〜3の整数であり、Vaは、エーテル結合、ウレタン結合、又はアミド結合を有していてもよい2価の炭化水素基であり、Raは、上記式(a1−r−1)又は(a1−r−2)で表される酸解離性基である。]
前記一般式(a1−1)〜(a1−3)中、Rにおける炭素数1〜5のアルキル基は、炭素数1〜5の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。
Rにおける炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基は、前記炭素数1〜5のアルキル基の水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換された基である。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
Rとしては、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のフッ素化アルキル基が好ましく、工業上の入手の容易さから、水素原子またはメチル基が最も好ましい。
前記式(a1−1)中、Vaは、エーテル結合、ウレタン結合又はアミド結合を有していてもよい2価の炭化水素基である。
Vaにおける2価の炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。
Vaにおける2価の炭化水素基としての脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、通常は飽和であることが好ましい。
該脂肪族炭化水素基として、より具体的には、直鎖状もしくは分岐鎖状の脂肪族炭化水素基、又は、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基等が挙げられる。
前記直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜6がより好ましく、1〜4がさらに好ましく、1〜3が最も好ましい。
直鎖状の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、メチレン基[−CH−]、エチレン基[−(CH−]、トリメチレン基[−(CH−]、テトラメチレン基[−(CH−]、ペンタメチレン基[−(CH−]等が挙げられる。
分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、−CH(CH)−、−CH(CHCH)−、−C(CH−、−C(CH)(CHCH)−、−C(CH)(CHCHCH)−、−C(CHCH−等のアルキルメチレン基;−CH(CH)CH−、−CH(CH)CH(CH)−、−C(CHCH−、−CH(CHCH)CH−、−C(CHCH−CH−等のアルキルエチレン基;−CH(CH)CHCH−、−CHCH(CH)CH−等のアルキルトリメチレン基;−CH(CH)CHCHCH−、−CHCH(CH)CHCH−等のアルキルテトラメチレン基などのアルキルアルキレン基等が挙げられる。アルキルアルキレン基におけるアルキル基としては、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましい。
前記構造中に環を含む脂肪族炭化水素基としては、脂環式炭化水素基(脂肪族炭化水素環から水素原子を2個除いた基)、脂環式炭化水素基が直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の末端に結合した基、脂環式炭化水素基が直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の途中に介在する基などが挙げられる。前記直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては前記と同様のものが挙げられる。
前記脂環式炭化水素基は、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜12であることがより好ましい。
前記脂環式炭化水素基は、多環式であってもよく、単環式であってもよい。単環式の脂環式炭化水素基としては、モノシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましい。該モノシクロアルカンとしては炭素数3〜6のものが好ましく、具体的にはシクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。多環式の脂環式炭化水素基としては、ポリシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとしては炭素数7〜12のものが好ましく、具体的にはアダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
Vaにおける2価の炭化水素基としての芳香族炭化水素基は、芳香環を有する炭化水素基である。
かかる芳香族炭化水素基は、炭素数が3〜30であることが好ましく、5〜30であることがより好ましく、5〜20がさらに好ましく、6〜15が特に好ましく、6〜10が最も好ましい。ただし、該炭素数には、置換基における炭素数を含まないものとする。
芳香族炭化水素基が有する芳香環として具体的には、ベンゼン、ビフェニル、フルオレン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等の芳香族炭化水素環;前記芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環等が挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
該芳香族炭化水素基として具体的には、前記芳香族炭化水素環から水素原子を2つ除いた基(アリーレン基);前記芳香族炭化水素環から水素原子を1つ除いた基(アリール基)の水素原子の1つがアルキレン基で置換された基(たとえば、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基におけるアリール基から水素原子をさらに1つ除いた基)等が挙げられる。前記アルキレン基(アリールアルキル基中のアルキル鎖)の炭素数は、1〜4であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
また、Vaとしては、上記2価の炭化水素基がエーテル結合、ウレタン結合もしくはアミド結合を介して結合したもの、又は、これらの結合を炭化水素鎖中に有するものが挙げられる。
前記式(a1−1)中、na1は、0〜2の整数であり、好ましくは0又は1であり、より好ましくは0である。
前記式(a1−2)中、Waにおけるna2+1価の炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。該脂肪族炭化水素基は、芳香族性を持たない炭化水素基を意味し、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、通常は飽和であることが好ましい。前記脂肪族炭化水素基としては、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基、或いは直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基と構造中に環を含む脂肪族炭化水素基とを組み合わせた基が挙げられ、具体的には、上述の式(a1−1)中のVaと同じ基が挙げられる。
前記na2+1価は、2〜4価が好ましく、2又は3価がより好ましい。
前記式(a1−3)中、Waにおけるna3+1価の炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。該脂肪族炭化水素基は、芳香族性を持たない炭化水素基を意味し、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、通常は飽和であることが好ましい。前記脂肪族炭化水素基としては、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基、或いは直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基と構造中に環を含む脂肪族炭化水素基とを組み合わせた基が挙げられ、具体的には、上述の式(a1−1)中のVaと同じ基が挙げられる。
前記na3+1価は、2〜4価が好ましく、2又は3価がより好ましい。
前記式(a1−3)中、Vaは、式(a1−1)中のVaと同じ基が挙げられる。
前記式(a1−2)としては、特に、下記一般式(a1−2−01)で表される構成単位が好ましい。
Figure 0006371057
式(a1−2−01)中、Raは、上記式(a1−r−1)または(a1−r−3)で表される酸解離性基である。na2は1〜3の整数であり、1又は2であることが好ましく、1であることがより好ましい。cは0〜3の整数であり、0又は1であることが好ましく、1であることがより好ましい。Rは前記と同じである。
以下に、上記式(a1−1)、(a1−2)でそれぞれ表される構成単位の具体例を示す。以下の各式中、Rαは、水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を示す。
Figure 0006371057
Figure 0006371057
Figure 0006371057
Figure 0006371057
Figure 0006371057
(A1)成分が有する構成単位(a1)は、1種でも2種以上でもよい。
(A1)成分中の構成単位(a1)の割合は、(A1)成分を構成する全構成単位に対し、20〜80モル%が好ましく、20〜75モル%がより好ましく、25〜70モル%がさらに好ましい。構成単位(a1)の割合を下限値以上とすることによって、感度、解像性、LWR等のリソグラフィー特性がより向上する。一方、上限値以下とすることにより、他の構成単位とのバランスをとることができる。
構成単位(a2):
構成単位(a2)は、ラクトン含有環式基、−SO−含有環式基又はカーボネート含有環式基を含む構成単位である。
構成単位(a2)のラクトン含有環式基、−SO−含有環式基又はカーボネート含有環式基は、(A1)成分をレジスト膜の形成に用いた場合に、レジスト膜の基板への密着性を高める上で有効なものである。
なお、前記の構成単位(a1)がその構造中にラクトン含有環式基、−SO−含有環式基又はカーボネート含有環式基を含むものである場合、該構成単位は構成単位(a2)にも該当するが、このような構成単位は構成単位(a1)に該当し、構成単位(a2)には該当しないものとする。
「ラクトン含有環式基」とは、その環骨格中に−O−C(=O)−を含む環(ラクトン環)を含有する環式基を示す。ラクトン環をひとつ目の環として数え、ラクトン環のみの場合は単環式基、さらに他の環構造を有する場合は、その構造に関わらず多環式基と称する。ラクトン含有環式基は、単環式基であってもよく、多環式基であってもよい。
ラクトン含有環式基としては、特に限定されることなく任意のものが使用可能である。具体的には、下記一般式(a2−r−1)〜(a2−r−7)でそれぞれ表される基が挙げられる。
Figure 0006371057
[式中、Ra’21はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基またはシアノ基であり;R”は水素原子、アルキル基、ラクトン含有環式基、カーボネート含有環式基、又は−SO−含有環式基であり;A”は酸素原子もしくは硫黄原子を含んでいてもよい炭素数1〜5のアルキレン基、酸素原子または硫黄原子であり、n’は0〜2の整数であり、m’は0または1である。]
前記一般式(a2−r−1)〜(a2−r−7)中、A”は、酸素原子(−O−)もしくは硫黄原子(−S−)を含んでいてもよい炭素数1〜5のアルキレン基、酸素原子または硫黄原子である。A”における炭素数1〜5のアルキレン基としては、直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基等が挙げられる。該アルキレン基が酸素原子または硫黄原子を含む場合、その具体例としては、前記アルキレン基の末端または炭素原子間に−O−または−S−が介在する基が挙げられ、たとえば−O−CH−、−CH−O−CH−、−S−CH−、−CH−S−CH−等が挙げられる。A”としては、炭素数1〜5のアルキレン基または−O−が好ましく、炭素数1〜5のアルキレン基がより好ましく、メチレン基が最も好ましい。
前記一般式(a2−r−1)〜(a2−r−7)中、Ra’21におけるアルキル基としては、炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。該アルキル基は、直鎖状または分岐鎖状であることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基またはエチル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
Ra’21におけるアルコキシ基としては、炭素数1〜6のアルコキシ基が好ましい。該アルコキシ基は、直鎖状または分岐鎖状であることが好ましい。具体的には、前記Ra’21におけるアルキル基として挙げたアルキル基と酸素原子(−O−)とが連結した基が挙げられる。
Ra’21におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
Ra’21におけるハロゲン化アルキル基としては、前記Ra’21におけるアルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。該ハロゲン化アルキル基としては、フッ素化アルキル基が好ましく、特にパーフルオロアルキル基が好ましい。
Ra’21における−COOR”、−OC(=O)R”において、R”はいずれも水素原子、アルキル基、ラクトン含有環式基、カーボネート含有環式基、又は−SO−含有環式基である。
R”におけるアルキル基としては、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれでもよく、炭素数は1〜15が好ましい。
R”が直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基の場合は、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜5であることがさらに好ましく、メチル基またはエチル基であることが特に好ましい。
R”が環状のアルキル基の場合は、炭素数3〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。具体的には、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基;ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基;アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
R”におけるラクトン含有環式基としては、前記一般式(a2−r−1)〜(a2−r−7)でそれぞれ表される基と同様のものが挙げられる。
R”におけるカーボネート含有環式基としては、後述のカーボネート含有環式基と同様であり、具体的には一般式(ax3−r−1)〜(ax3−r−3)でそれぞれ表される基が挙げられる。
R”における−SO−含有環式基としては、後述の−SO−含有環式基と同様であり、具体的には一般式(a5−r−1)〜(a5−r−4)でそれぞれ表される基が挙げられる。
Ra’21におけるヒドロキシアルキル基としては、炭素数が1〜6であるものが好ましく、具体的には、前記Ra’21におけるアルキル基の水素原子の少なくとも1つが水酸基で置換された基が挙げられる。
前記一般式(a2−r−2)、(a2−r−3)、(a2−r−5)中、A” における炭素数1〜5のアルキレン基としては、直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基等が挙げられる。該アルキレン基が酸素原子または硫黄原子を含む場合、その具体例としては、前記アルキレン基の末端または炭素原子間に−O−または−S−が介在する基が挙げられ、たとえば−O−CH−、−CH−O−CH−、−S−CH−、−CH−S−CH−等が挙げられる。A”としては、炭素数1〜5のアルキレン基または−O−が好ましく、炭素数1〜5のアルキレン基がより好ましく、メチレン基が最も好ましい。
以下に一般式(a2−r−1)〜(a2−r−7)でそれぞれ表される基の具体例を挙げる。
Figure 0006371057
Figure 0006371057
「−SO−含有環式基」とは、その環骨格中に−SO−を含む環を含有する環式基を示し、具体的には、−SO−における硫黄原子(S)が環式基の環骨格の一部を形成する環式基である。その環骨格中に−SO−を含む環をひとつ目の環として数え、該環のみの場合は単環式基、さらに他の環構造を有する場合は、その構造に関わらず多環式基と称する。−SO−含有環式基は、単環式であってもよく、多環式であってもよい。
−SO−含有環式基は、特に、その環骨格中に−O−SO−を含む環式基、すなわち−O−SO−中の−O−S−が環骨格の一部を形成するスルトン(sultone)環を含有する環式基であることが好ましい。−SO−含有環式基として、より具体的には、下記の一般式(a5−r−1)〜(a5−r−4)でそれぞれ表される基が挙げられる。
Figure 0006371057
[式中、Ra’51はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基またはシアノ基であり;R”は水素原子、アルキル基、ラクトン含有環式基、カーボネート含有環式基、又は−SO−含有環式基であり;A”は酸素原子もしくは硫黄原子を含んでいてもよい炭素数1〜5のアルキレン基、酸素原子または硫黄原子であり、n’は0〜2の整数である。]
前記一般式(a5−r−1)〜(a5−r−4)中、A”は前記一般式(a2−r−1)〜(a2−r−7)中のA”と同様である。Ra’51におけるアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基としては、前記一般式(a2−r−1)〜(a2−r−7)中のRa’21と同様である。
以下に一般式(a5−r−1)〜(a5−r−4)でそれぞれ表される基の具体例を挙げる。式中の「Ac」は、アセチル基を示す。
Figure 0006371057
Figure 0006371057
Figure 0006371057
−SO−含有環式基としては、上記の中でも、前記一般式(a5−r−1)で表される基が好ましく、前記化学式(r−sl−1−1)、(r−sl−1−18)、(r−sl−3−1)および(r−sl−4−1)のいずれかで表される基からなる群から選択される少なくとも一種を用いることがより好ましく、前記化学式(r−sl−1−1)で表される基が最も好ましい。
「カーボネート含有環式基」とは、その環骨格中に−O−C(=O)−O−を含む環(カーボネート環)を含有する環式基を示す。カーボネート環をひとつ目の環として数え、カーボネート環のみの場合は単環式基、さらに他の環構造を有する場合は、その構造に関わらず多環式基と称する。カーボネート含有環式基は、単環式基であってもよく、多環式基であってもよい。
カーボネート環含有環式基としては、特に限定されることなく任意のものが使用可能である。具体的には、下記一般式(ax3−r−1)〜(ax3−r−3)でそれぞれ表される基が挙げられる。
Figure 0006371057
[式中、Ra’x31はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基またはシアノ基であり;R”は水素原子、アルキル基、ラクトン含有環式基、カーボネート含有環式基、又は−SO−含有環式基であり;A”は酸素原子もしくは硫黄原子を含んでいてもよい炭素数1〜5のアルキレン基、酸素原子または硫黄原子であり、p’は0〜3の整数であり、q’は0または1である。]
前記一般式(ax3−r−1)〜(ax3−r−3)中、A”は、前記一般式(a2−r−1)中のA”と同様である。
Ra’ 31におけるアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基としては、それぞれ前記一般式(a2−r−1)〜(a2−r−7)中のRa’21の説明で挙げたものと同様のものが挙げられる。
以下に一般式(ax3−r−1)〜(ax3−r−3)でそれぞれ表される基の具体例を挙げる。
Figure 0006371057
上記の中でも、ラクトン含有環式基または−SO−含有環式基が好ましく、これらの中でもラクトン含有環式基がより好ましい。具体的には、前記一般式(a2−r−1)、(a2−r−2)または(a5−r−1)で表される基がより好ましく、前記化学式(r−lc−1−1)〜(r−lc−1−7)、(r−lc−2−1)〜(r−lc−2−13)、(r−sl−1−1)、(r−sl−1−18)のいずれかで表される基が好ましい。
構成単位(a2)としては、なかでも、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸エステルから誘導される構成単位が好ましい。
かかる構成単位(a2)は、下記一般式(a2−1)で表される構成単位であることが好ましい。
Figure 0006371057
[式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり、Ya21は単結合または2価の連結基であり、La21は−O−、−COO−又は−OCO−であり、R’は水素原子またはメチル基を示す。ただしLa21が−O−の場合、Ya21は−CO−にはならない。Ra21はラクトン含有環式基、カーボネート含有環式基、又は−SO−含有環式基である。]
Ya21の2価の連結基としては特に限定されないが、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基、ヘテロ原子を含む2価の連結基等が好適なものとして挙げられる。
・置換基を有していてもよい2価の炭化水素基について
2価の連結基としての炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。
脂肪族炭化水素基は、芳香族性を持たない炭化水素基を意味する。該脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、通常は飽和であることが好ましい。
前記脂肪族炭化水素基としては、直鎖状若しくは分岐鎖状の脂肪族炭化水素基又は構造中に環を含む脂肪族炭化水素基等が挙げられ、具体的には、上述の式(a1−1)におけるVaで例示した基が挙げられる。
前記直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよく、有していなくてもよい。該置換基としては、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、カルボニル基等が挙げられる。
環を含む脂肪族炭化水素基における、環状の脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。該置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、カルボニル基等が挙げられる。
前記置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
前記置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、前記アルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、その環構造を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子を含む置換基で置換されてもよい。該ヘテロ原子を含む置換基としては、−O−、−C(=O)−O−、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−O−が好ましい。
2価の炭化水素基としての芳香族炭化水素基としては、具体的には、上述の式(a1−1)におけるVaで例示された基が挙げられる。
前記芳香族炭化水素基は、当該芳香族炭化水素基が有する水素原子が置換基で置換されていてもよい。たとえば当該芳香族炭化水素基中の芳香環に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。該置換基としては、たとえば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基等が挙げられる。
前記置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
前記置換基としてのアルコキシ基、ハロゲン原子およびハロゲン化アルキル基としては、前記環状の脂肪族炭化水素基が有する水素原子を置換する置換基として例示したものが挙げられる。
・ヘテロ原子を含む2価の連結基について
ヘテロ原子を含む2価の連結基におけるヘテロ原子とは、炭素原子および水素原子以外の原子であり、たとえば酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ハロゲン原子等が挙げられる。
Ya21がヘテロ原子を含む2価の連結基である場合、該連結基として好ましいものとして、−O−、−C(=O)−O−、−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=O)−NH−、−NH−、−NH−C(=NH)−(Hはアルキル基、アシル基等の置換基で置換されていてもよい。)、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−O−、一般式−Y21−O−Y22−、−Y21−O−、−Y21−C(=O)−O−、−C(=O)−O−Y21、−[Y21−C(=O)−O]m’−Y22−または−Y21−O−C(=O)−Y22−で表される基[式中、Y21およびY22はそれぞれ独立して置換基を有していてもよい2価の炭化水素基であり、Oは酸素原子であり、m’は0〜3の整数である。]等が挙げられる。
前記へテロ原子を含む2価の連結基が−C(=O)−NH−、−NH−、−NH−C(=NH)−の場合、そのHはアルキル基、アシル等の置換基で置換されていてもよい。該置換基(アルキル基、アシル基等)は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜8であることがさらに好ましく、1〜5であることが特に好ましい。
式−Y21−O−Y22−、−Y21−O−、−Y21−C(=O)−O−、−C(=O)−O−Y21−、−[Y21−C(=O)−O]m’−Y22−または−Y21−O−C(=O)−Y22−中、Y21およびY22は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基である。該2価の炭化水素基としては、前記2価の連結基としての説明で挙げた「置換基を有していてもよい2価の炭化水素基」と同様のものが挙げられる。
21としては、直鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、直鎖状のアルキレン基がより好ましく、炭素数1〜5の直鎖状のアルキレン基がさらに好ましく、メチレン基またはエチレン基が特に好ましい。
22としては、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、メチレン基、エチレン基またはアルキルメチレン基がより好ましい。該アルキルメチレン基におけるアルキル基は、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3の直鎖状のアルキル基がより好ましく、メチル基が最も好ましい。
式−[Y21−C(=O)−O]m’−Y22−で表される基において、m’は0〜3の整数であり、0〜2の整数であることが好ましく、0または1がより好ましく、1が特に好ましい。つまり、式−[Y21−C(=O)−O]m’−Y22−で表される基としては、式−Y21−C(=O)−O−Y22−で表される基が特に好ましい。なかでも、式−(CHa’−C(=O)−O−(CHb’−で表される基が好ましい。該式中、a’は、1〜10の整数であり、1〜8の整数が好ましく、1〜5の整数がより好ましく、1または2がさらに好ましく、1が最も好ましい。b’は、1〜10の整数であり、1〜8の整数が好ましく、1〜5の整数がより好ましく、1または2がさらに好ましく、1が最も好ましい。
Ya21としては、単結合、又はエステル結合[−C(=O)−O−]、エーテル結合(−O−)、直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基若しくはこれらの組合せであることが好ましい。
前記式(a2−1)中、Ra21は、上述したラクトン含有環式基、−SO−含有環式基、又はカーボネート含有環式基であり、ラクトン含有環式基、−SO−含有環式基が好ましく、ラクトン含有環式基が特に好ましい。
(A1)成分が有する構成単位(a2)は、1種でも2種以上でもよい。
(A1)成分が構成単位(a2)を有する場合、構成単位(a2)の割合は、当該(A1)成分を構成する全構成単位の合計に対し、1〜80モル%であることが好ましく、5〜70モル%であることがより好ましく、10〜65モル%であることがさらに好ましく、10〜60モル%が特に好ましい。
構成単位(a2)の割合を下限値以上とすることにより、構成単位(a2)を含有させることによる効果が充分に得られ、一方、上限値以下とすることにより、他の構成単位とのバランスをとることができ、種々のリソグラフィー特性及びパターン形状が良好となる。
構成単位(a3):
構成単位(a3)は、極性基含有脂肪族炭化水素基を含む構成単位(ただし、上述した構成単位(a1)又は構成単位(a2)のいずれかに該当するものを除く)である。
(A1)成分が構成単位(a3)を有することにより、(A)成分の親水性が高まり、解像性の向上に寄与する。
極性基としては、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基等が挙げられ、特に水酸基が好ましい。
脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜10の直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基(好ましくはアルキレン基)や、環状の脂肪族炭化水素基(環式基)が挙げられる。該環式基としては、単環式基でも多環式基でもよく、例えばArFエキシマレーザー用レジスト組成物用の樹脂において、多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができる。該環式基としては多環式基であることが好ましく、炭素数は7〜30であることがより好ましい。
その中でも、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、またはアルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基を含有する脂肪族多環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位がより好ましい。該多環式基としては、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどから2個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。これらの多環式基の中でも、アダマンタンから2個以上の水素原子を除いた基、ノルボルナンから2個以上の水素原子を除いた基、テトラシクロドデカンから2個以上の水素原子を除いた基が工業上好ましい。
構成単位(a3)としては、極性基含有脂肪族炭化水素基を含むものであれば特に限定されることなく任意のものが使用可能である。
構成単位(a3)としては、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸エステルから誘導される構成単位であって、極性基含有脂肪族炭化水素基を含む構成単位が好ましい。
構成単位(a3)としては、極性基含有脂肪族炭化水素基における炭化水素基が炭素数1〜10の直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基のときは、アクリル酸のヒドロキシエチルエステルから誘導される構成単位が好ましく、該炭化水素基が多環式基のときは、下記の式(a3−1)で表される構成単位、式(a3−2)で表される構成単位、式(a3−3)で表される構成単位が好ましいものとして挙げられる。
Figure 0006371057
[式中、Rは前記と同じであり、jは1〜3の整数であり、kは1〜3の整数であり、t’は1〜3の整数であり、lは1〜5の整数であり、sは1〜3の整数である。]
式(a3−1)中、jは、1又は2であることが好ましく、1であることがさらに好ましい。jが2の場合、水酸基が、アダマンチル基の3位と5位に結合しているものが好ましい。jが1の場合、水酸基が、アダマンチル基の3位に結合しているものが好ましい。
jは1であることが好ましく、水酸基が、アダマンチル基の3位に結合しているものが特に好ましい。
式(a3−2)中、kは1であることが好ましい。シアノ基は、ノルボルニル基の5位または6位に結合していることが好ましい。
式(a3−3)中、t’は1であることが好ましい。lは1であることが好ましい。sは1であることが好ましい。これらは、アクリル酸のカルボキシ基の末端に、2−ノルボルニル基または3−ノルボルニル基が結合していることが好ましい。フッ素化アルキルアルコールは、ノルボルニル基の5又は6位に結合していることが好ましい。
(A1)成分が有する構成単位(a3)は、1種でもよく2種以上でもよい。
(A1)成分が構成単位(a3)を有する場合、構成単位(a3)の割合は、当該(A1)成分を構成する全構成単位の合計に対して1〜40モル%であることが好ましく、2〜30モル%であることがより好ましく、5〜25モル%であることがさらに好ましく、10〜20モル%が特に好ましい。
構成単位(a3)の割合を好ましい下限値以上とすることにより、レジストパターン形成において解像性がより高まる。一方、好ましい上限値以下とすることにより、他の構成単位とのバランスをとりやすくなる。
構成単位(a4):
構成単位(a4)は、酸非解離性の脂肪族環式基を含む構成単位である。
(A1)成分が構成単位(a4)を有することにより、(A)成分の疎水性が高まる。疎水性の向上は、特に溶剤現像プロセスの場合(本発明における工程(1)でのネガ型現像の際)に、解像性、レジストパターン形状等の向上に寄与する。
構成単位(a4)における「酸非解離性環式基」は、露光により当該レジスト組成物中に酸が発生した際(例えば、後述する(B)成分から酸が発生した際)に、該酸が作用しても解離することなくそのまま当該構成単位中に残る環式基である。
構成単位(a4)としては、例えば酸非解離性の脂肪族環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位等が好ましい。該環式基は、ArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のレジスト組成物の樹脂成分に用いられるものとして従来から知られている多数のものが使用可能である。
特にトリシクロデシル基、アダマンチル基、テトラシクロドデシル基、イソボルニル基、ノルボルニル基から選ばれる少なくとも1種であると、工業上入手し易いなどの点で好ましい。これらの多環式基は、炭素数1〜5の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を置換基として有していてもよい。
構成単位(a4)として、具体的には、下記一般式(a4−1)〜(a4−7)でそれぞれ表される構成単位を例示することができる。
Figure 0006371057
[式中、Rαは前記と同じである。]
(A1)成分が有する構成単位(a4)は、1種でも2種以上でもよい。
(A1)成分が構成単位(a4)を有する場合、構成単位(a4)の割合は、該(A1)成分を構成する全構成単位の合計に対して1〜40モル%であることが好ましく、5〜20モル%であることがより好ましい。
構成単位(a4)の割合を好ましい下限値以上とすることにより、構成単位(a4)を含有させることによる効果が充分に得られ、一方、好ましい上限値以下とすることにより、他の構成単位とのバランスをとりやすくなる。
本態様のレジスト組成物において、(A)成分は、構成単位(a1)を有する高分子化合物(A1)を含むものが好ましい。該(A1)成分として具体的には、構成単位(a1)と構成単位(a2)との繰り返し構造からなる高分子化合物、構成単位(a1)と構成単位(a3)との繰り返し構造からなる高分子化合物、構成単位(a1)と構成単位(a2)と構成単位(a3)との繰り返し構造からなる高分子化合物等が例示できる。
(A1)成分の質量平均分子量(Mw)(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算基準)は、特に限定されるものではなく、1000〜50000が好ましく、1500〜30000がより好ましく、2000〜20000が最も好ましい。
(A1)成分のMwがこの範囲の好ましい上限値以下であると、レジストとして用いるのに充分なレジスト溶剤への溶解性があり、この範囲の好ましい下限値以上であると、レジストパターン断面形状が良好である。
(A1)成分の分散度(Mw/Mn)は、特に限定されず、1.0〜5.0が好ましく、1.0〜4.0がより好ましく、1.0〜3.0が最も好ましい。なお、Mnは数平均分子量を示す。
(A1)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(A)成分中の(A1)成分の割合は、(A)成分の総質量に対し、25質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、75質量%以上がさらに好ましく、100質量%であってもよい。該割合が25質量%以上であると、特に、パターンの解像性が高まり、露光余裕度(ELマージン)や焦点深度幅(DOF)特性などのプロセスマージンをより確保しやすくなる。
本態様のレジスト組成物は、(A)成分として、前記(A1)成分に該当しない、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する基材成分(以下「(A2)成分」という。)を併用してもよい。
(A2)成分としては、特に限定されず、化学増幅型レジスト組成物用の基材成分として従来から知られている多数のもの(たとえばArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のベース樹脂)から任意に選択して用いればよい。(A2)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本態様のレジスト組成物において、(A)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本態様のレジスト組成物中、(A)成分の含有量は、形成しようとするレジスト膜厚等に応じて調整すればよい。
≪他の成分≫
本態様のレジスト組成物は、上述した(A)成分に加えて、該(A)成分以外の他の成分をさらに含有してもよい。他の成分としては、例えば以下に示す(B)成分、(D)成分、(E)成分、(F)成分、(S)成分などが挙げられる。
・(B)成分:酸発生剤成分
本態様のレジスト組成物は、(A)成分に加えて、さらに、酸発生剤成分(以下「(B)成分」という。)を含有してもよい。
(B)成分としては、特に限定されず、これまで化学増幅型レジスト用の酸発生剤として提案されているものを使用することができる。
このような酸発生剤としては、ヨードニウム塩やスルホニウム塩などのオニウム塩系酸発生剤、オキシムスルホネート系酸発生剤、ビスアルキル又はビスアリールスルホニルジアゾメタン類、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類などのジアゾメタン系酸発生剤、ニトロベンジルスルホネート系酸発生剤、イミノスルホネート系酸発生剤、ジスルホン系酸発生剤など多種のものが挙げられる。なかでも、オニウム塩系酸発生剤を用いるのが好ましい。
オニウム塩系酸発生剤としては、例えば、下記の一般式(b−1)で表される化合物(以下「(b−1)成分」ともいう)、一般式(b−2)で表される化合物(以下「(b−2)成分」ともいう)又は一般式(b−3)で表される化合物(以下「(b−3)成分」ともいう)を用いることができる。
Figure 0006371057
[式中、R101、R104〜R108はそれぞれ独立に置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、又は置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基である。R104、R105は、相互に結合して環を形成していてもよい。R102はフッ素原子又は炭素数1〜5のフッ素化アルキル基である。Y101は単結合又は酸素原子を含む2価の連結基である。V101〜V103はそれぞれ独立に単結合、アルキレン基又はフッ素化アルキレン基である。L101〜L102はそれぞれ独立に単結合又は酸素原子である。L103〜L105はそれぞれ独立に単結合、−CO−又は−SO−である。mは1以上の整数であって、M’m+はm価のオニウムカチオンである。]
{アニオン部}
・・(b−1)成分のアニオン部
式(b−1)中、R101は、置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、又は置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基である。
置換基を有していてもよい環式基:
該環式基は、環状の炭化水素基であることが好ましく、該環状の炭化水素基は、芳香族炭化水素基であってもよく、脂肪族炭化水素基であってもよい。脂肪族炭化水素基は、芳香族性を持たない炭化水素基を意味する。また、脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、通常は飽和であることが好ましい。
101における芳香族炭化水素基は、芳香環を有する炭化水素基である。該芳香族炭化水素基の炭素数は3〜30であることが好ましく、5〜30であることがより好ましく、5〜20がさらに好ましく、6〜15が特に好ましく、6〜10が最も好ましい。ただし、該炭素数には、置換基における炭素数を含まないものとする。
101における芳香族炭化水素基が有する芳香環として具体的には、ベンゼン、フルオレン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ビフェニル、又はこれらの芳香環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環などが挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
101における芳香族炭化水素基として具体的には、前記芳香環から水素原子を1つ除いた基(アリール基:たとえば、フェニル基、ナフチル基など)、前記芳香環の水素原子の1つがアルキレン基で置換された基(たとえば、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基など)等が挙げられる。前記アルキレン基(アリールアルキル基中のアルキル鎖)の炭素数は、1〜4であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
101における環状の脂肪族炭化水素基は、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基が挙げられる。
この構造中に環を含む脂肪族炭化水素基としては、脂環式炭化水素基(脂肪族炭化水素環から水素原子を1個除いた基)、脂環式炭化水素基が直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の末端に結合した基、脂環式炭化水素基が直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の途中に介在する基などが挙げられる。
前記脂環式炭化水素基は、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜12であることがより好ましい。
前記脂環式炭化水素基は、多環式基であってもよく、単環式基であってもよい。単環式の脂環式炭化水素基としては、モノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。該モノシクロアルカンとしては、炭素数3〜6のものが好ましく、具体的にはシクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。多環式の脂環式炭化水素基としては、ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとしては、炭素数7〜30のものが好ましい。中でも、該ポリシクロアルカンとしては、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等の架橋環系の多環式骨格を有するポリシクロアルカン;ステロイド骨格を有する環式基等の縮合環系の多環式骨格を有するポリシクロアルカンがより好ましい。
本明細書において「ステロイド骨格」とは、3つの六員環及び1つの五員環がつながった下記化学式で示される骨格(st)を意味する。
Figure 0006371057
なかでも、R101における環状の脂肪族炭化水素基としては、モノシクロアルカンまたはポリシクロアルカンから水素原子を1つ以上除いた基が好ましく、ポリシクロアルカンから水素原子を1つ除いた基がより好ましく、アダマンチル基、ノルボルニル基が特に好ましく、アダマンチル基が最も好ましい。
脂環式炭化水素基に結合してもよい、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜6がより好ましく、1〜4がさらに好ましく、1〜3が最も好ましい。
直鎖状の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、メチレン基[−CH−]、エチレン基[−(CH−]、トリメチレン基[−(CH−]、テトラメチレン基[−(CH−]、ペンタメチレン基[−(CH−]等が挙げられる。
分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、−CH(CH)−、−CH(CHCH)−、−C(CH−、−C(CH)(CHCH)−、−C(CH)(CHCHCH)−、−C(CHCH−等のアルキルメチレン基;−CH(CH)CH−、−CH(CH)CH(CH)−、−C(CHCH−、−CH(CHCH)CH−、−C(CHCH−CH−等のアルキルエチレン基;−CH(CH)CHCH−、−CHCH(CH)CH−等のアルキルトリメチレン基;−CH(CH)CHCHCH−、−CHCH(CH)CHCH−等のアルキルテトラメチレン基などのアルキルアルキレン基等が挙げられる。アルキルアルキレン基におけるアルキル基としては、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましい。
また、R101における環状の炭化水素基は、複素環等のようにヘテロ原子を含んでもよい。具体的には、前記一般式(a2−r−1)〜(a2−r−7)でそれぞれ表されるラクトン含有環式基、前記一般式(a5−r−1)〜(a5−r−4)でそれぞれ表される−SO−含有多環式基、その他以下に挙げる複素環式基が挙げられる。
Figure 0006371057
101の環式基における置換基としては、たとえば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、カルボニル基、ニトロ基等が挙げられる。
置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基が最も好ましい。
置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基がより好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基、たとえばメチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基等の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
置換基としてのカルボニル基は、環状の炭化水素基を構成するメチレン基(−CH−)を置換する基である。
置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基:
101の鎖状のアルキル基としては、直鎖状又は分岐鎖状のいずれでもよい。
直鎖状のアルキル基としては、炭素数が1〜20であることが好ましく、1〜15であることがより好ましく、1〜10が最も好ましい。具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デカニル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、イソトリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、イソヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基等が挙げられる。
分岐鎖状のアルキル基としては、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜15であることがより好ましく、3〜10が最も好ましい。具体的には、例えば、1−メチルエチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基などが挙げられる。
置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基:
101の鎖状のアルケニル基としては、直鎖状又は分岐鎖状のいずれでもよく、炭素数が2〜10であることが好ましく、2〜5がより好ましく、2〜4がさらに好ましく、3が特に好ましい。直鎖状のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、プロペニル基(アリル基)、ブチニル基などが挙げられる。分岐鎖状のアルケニル基としては、例えば、1−メチルビニル基、2−メチルビニル基、1−メチルプロペニル基、2−メチルプロペニル基などが挙げられる。
鎖状のアルケニル基としては、上記の中でも、直鎖状のアルケニル基が好ましく、ビニル基、プロペニル基がより好ましく、ビニル基が特に好ましい。
101の鎖状のアルキル基またはアルケニル基における置換基としては、たとえば、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、カルボニル基、ニトロ基、アミノ基、上記R101における環式基等が挙げられる。
なかでも、R101は、置換基を有していてもよい環式基が好ましく、置換基を有していてもよい環状の炭化水素基であることがより好ましい。より具体的には、フェニル基、ナフチル基、ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基;前記一般式(a2−r−1)〜(a2−r−7)でそれぞれ表されるラクトン含有環式基;前記一般式(a5−r−1)〜(a5−r−4)でそれぞれ表される−SO−含有環式基等が好ましい。
式(b−1)中、Y101は、単結合または酸素原子を含む2価の連結基である。
101が酸素原子を含む2価の連結基である場合、該Y101は、酸素原子以外の原子を含有してもよい。酸素原子以外の原子としては、たとえば炭素原子、水素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
酸素原子を含む2価の連結基としては、たとえば、酸素原子(エーテル結合:−O−)、エステル結合(−C(=O)−O−)、オキシカルボニル基(−O−C(=O)−)、アミド結合(−C(=O)−NH−)、カルボニル基(−C(=O)−)、カーボネート結合(−O−C(=O)−O−)等の非炭化水素系の酸素原子含有連結基;該非炭化水素系の酸素原子含有連結基とアルキレン基との組み合わせ等が挙げられる。この組み合わせに、さらにスルホニル基(−SO−)が連結されていてもよい。かかる酸素原子を含む2価の連結基としては、たとえば下記一般式(y−al−1)〜(y−al−7)でそれぞれ表される連結基が挙げられる。
Figure 0006371057
[式中、V’101は単結合または炭素数1〜5のアルキレン基であり、V’102は炭素数1〜30の2価の飽和炭化水素基である。]
V’102における2価の飽和炭化水素基は、炭素数1〜30のアルキレン基であることが好ましく、炭素数1〜10のアルキレン基であることがより好ましく、炭素数1〜5のアルキレン基であることがさらに好ましい。
V’101およびV’102におけるアルキレン基としては、直鎖状のアルキレン基でもよく分岐鎖状のアルキレン基でもよく、直鎖状のアルキレン基が好ましい。
V’101およびV’102におけるアルキレン基として、具体的には、メチレン基[−CH−];−CH(CH)−、−CH(CHCH)−、−C(CH−、−C(CH)(CHCH)−、−C(CH)(CHCHCH)−、−C(CHCH−等のアルキルメチレン基;エチレン基[−CHCH−];−CH(CH)CH−、−CH(CH)CH(CH)−、−C(CHCH−、−CH(CHCH)CH−等のアルキルエチレン基;トリメチレン基(n−プロピレン基)[−CHCHCH−];−CH(CH)CHCH−、−CHCH(CH)CH−等のアルキルトリメチレン基;テトラメチレン基[−CHCHCHCH−];−CH(CH)CHCHCH−、−CHCH(CH)CHCH−等のアルキルテトラメチレン基;ペンタメチレン基[−CHCHCHCHCH−]等が挙げられる。
また、V’101又はV’102における前記アルキレン基における一部のメチレン基が、炭素数5〜10の2価の脂肪族環式基で置換されていてもよい。当該脂肪族環式基は、前記式(a1−r−1)中のRa’の環状の脂肪族炭化水素基(単環式の脂肪族炭化水素基、多環式の脂肪族炭化水素基)から水素原子をさらに1つ除いた2価の基が好ましく、シクロへキシレン基、1,5−アダマンチレン基または2,6−アダマンチレン基がより好ましい。
101としては、エステル結合を含む2価の連結基、またはエーテル結合を含む2価の連結基が好ましく、上記式(y−al−1)〜(y−al−5)でそれぞれ表される連結基がより好ましい。
式(b−1)中、V101は、単結合、アルキレン基又はフッ素化アルキレン基である。V101におけるアルキレン基、フッ素化アルキレン基は、炭素数1〜4であることが好まい。V101におけるフッ素化アルキレン基としては、V101におけるアルキレン基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された基が挙げられる。なかでも、V101は、単結合、又は炭素数1〜4のフッ素化アルキレン基であることが好ましい。
式(b−1)中、R102は、フッ素原子又は炭素数1〜5のフッ素化アルキル基である。R102は、フッ素原子または炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基であることが好ましく、フッ素原子であることがより好ましい。
(b−1)成分のアニオン部の具体例としては、たとえば、Y101が単結合となる場合、トリフルオロメタンスルホネートアニオンやパーフルオロブタンスルホネートアニオン等のフッ素化アルキルスルホネートアニオンが挙げられ;Y101が酸素原子を含む2価の連結基である場合、下記式(an−1)〜(an−3)のいずれかで表されるアニオンが挙げられる。
Figure 0006371057
[式中、R”101は、置換基を有していてもよい脂肪族環式基、前記式(r−hr−1)〜(r−hr−6)でそれぞれ表される基、又は置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基であり;R”102は、置換基を有していてもよい脂肪族環式基、前記一般式(a2−r−1)〜(a2−r−7)でそれぞれ表されるラクトン含有環式基、又は前記一般式(a5−r−1)〜(a5−r−4)でそれぞれ表される−SO−含有環式基であり;R”103は、置換基を有していてもよい芳香族環式基、置換基を有していてもよい脂肪族環式基、又は置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基であり;v”はそれぞれ独立に0〜3の整数であり、q”はそれぞれ独立に1〜20の整数であり、t”は1〜3の整数であり、n”は0または1である。]
R”101、R”102およびR”103の置換基を有していてもよい脂肪族環式基は、前記R101における環状の脂肪族炭化水素基として例示した基であることが好ましい。前記置換基としては、R101における環状の脂肪族炭化水素基を置換してもよい置換基と同様のものが挙げられる。
R”103における置換基を有していてもよい芳香族環式基は、前記R101における環状の炭化水素基における芳香族炭化水素基として例示した基であることが好ましい。前記置換基としては、R101における該芳香族炭化水素基を置換してもよい置換基と同様のものが挙げられる。
R”101における置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基は、前記R101における鎖状のアルキル基として例示した基であることが好ましい。R”103における置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基は、前記R101における鎖状のアルケニル基として例示した基であることが好ましい。
・・(b−2)成分のアニオン部
式(b−2)中、R104、R105は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、または置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基であり、それぞれ、式(b−1)中のR101と同様のものが挙げられる。ただし、R104、R105は、相互に結合して環を形成していてもよい。
104、R105は、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基が好ましく、直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は直鎖状若しくは分岐鎖状のフッ素化アルキル基であることがより好ましい。
該鎖状のアルキル基の炭素数は、1〜10であることが好ましく、より好ましくは炭素数1〜7、さらに好ましくは炭素数1〜3である。R104、R105の鎖状のアルキル基の炭素数は、上記炭素数の範囲内において、レジスト用溶剤への溶解性も良好である等の理由により、小さいほど好ましい。また、R104、R105の鎖状のアルキル基においては、フッ素原子で置換されている水素原子の数が多いほど、酸の強度が強くなり、また、200nm以下の高エネルギー光や電子線に対する透明性が向上するため好ましい。前記鎖状のアルキル基中のフッ素原子の割合、すなわちフッ素化率は、好ましくは70〜100%、さらに好ましくは90〜100%であり、最も好ましくは、全ての水素原子がフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキル基である。
式(b−2)中、V102、V103は、それぞれ独立に、単結合、アルキレン基、またはフッ素化アルキレン基であり、それぞれ、式(b−1)中のV101と同様のものが挙げられる。
式(b−2)中、L101、L102は、それぞれ独立に単結合又は酸素原子である。
・・(b−3)成分のアニオン部
式(b−3)中、R106〜R108は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、又は置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基であり、それぞれ、式(b−1)中のR101と同様のものが挙げられる。
103〜L105は、それぞれ独立に、単結合、−CO−又は−SO−である。
{カチオン部}
式(b−1)、(b−2)及び(b−3)中、mは1以上の整数であって、M’m+はm価のオニウムカチオンであり、スルホニウムカチオン、ヨードニウムカチオンが好適に挙げられ、下記の一般式(ca−1)〜(ca−4)でそれぞれ表される有機カチオンが特に好ましい。
Figure 0006371057
[式中、R201〜R207、およびR211〜R212は、それぞれ独立に置換基を有していてもよいアリール基、アルキル基またはアルケニル基を表し、R201〜R203、R206〜R207、R211〜R212は、相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成してもよい。R208〜R209はそれぞれ独立に水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表し、R210は置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、又は置換基を有していてもよい−SO−含有環式基であり、L201は−C(=O)−または−C(=O)−O−を表し、Y201は、それぞれ独立に、アリーレン基、アルキレン基またはアルケニレン基を表し、xは1または2であり、W201は(x+1)価の連結基を表す。]
201〜R207、およびR211〜R212におけるアリール基としては、炭素数6〜20の無置換のアリール基が挙げられ、フェニル基、ナフチル基が好ましい。
201〜R207、およびR211〜R212におけるアルキル基としては、鎖状又は環状のアルキル基であって、炭素数1〜30のものが好ましい。
201〜R207、およびR211〜R212におけるアルケニル基としては、炭素数が2〜10であることが好ましい。
201〜R207、およびR210〜R212が有していてもよい置換基としては、例えば、アルキル基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、カルボニル基、シアノ基、アミノ基、アリール基、下記式(ca−r−1)〜(ca−r−7)でそれぞれ表される基が挙げられる。
Figure 0006371057
[式中、R’201はそれぞれ独立に、水素原子、置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、又は置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基である。]
R’201の置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、又は置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基は、前述の式(b−1)中のR101と同様のものが挙げられる他、置換基を有していてもよい環式基又は置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基として前述の式(a1−r−2)で表される酸解離性基と同様のものも挙げられる。
201〜R203、R206〜R207、R211〜R212は、相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成する場合、硫黄原子、酸素原子、窒素原子等のヘテロ原子や、カルボニル基、−SO−、−SO−、−SO−、−COO−、−CONH−または−N(R)−(該Rは炭素数1〜5のアルキル基である。)等の官能基を介して結合してもよい。形成される環としては、式中のイオウ原子をその環骨格に含む1つの環が、イオウ原子を含めて、3〜10員環であることが好ましく、5〜7員環であることが特に好ましい。形成される環の具体例としては、たとえばチオフェン環、チアゾール環、ベンゾチオフェン環、チアントレン環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾチオフェン環、9H−チオキサンテン環、チオキサントン環、チアントレン環、フェノキサチイン環、テトラヒドロチオフェニウム環、テトラヒドロチオピラニウム環等が挙げられる。
208〜R209は、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表し、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、アルキル基となる場合、相互に結合して環を形成してもよい。
210は、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、又は置換基を有していてもよい−SO−含有環式基である。
210におけるアリール基としては、炭素数6〜20の無置換のアリール基が挙げられ、フェニル基、ナフチル基が好ましい。
210におけるアルキル基としては、鎖状又は環状のアルキル基であって、炭素数1〜30のものが好ましい。
210におけるアルケニル基としては、炭素数が2〜10であることが好ましい。
210における、置換基を有していてもよい−SO−含有環式基としては、前述の「−SO−含有環式基」と同様のものが挙げられ、このなかでも一般式(a5−r−1)で表される基が好ましい。
201は、それぞれ独立に、アリーレン基、アルキレン基又はアルケニレン基を表す。
201におけるアリーレン基は、前述の式(b−1)中のR101における芳香族炭化水素基として例示したアリール基から水素原子を1つ除いた基が挙げられる。
201におけるアルキレン基、アルケニレン基は、前述の式(b−1)中のR101における鎖状のアルキル基、鎖状のアルケニル基として例示した基から水素原子を1つ除いた基が挙げられる。
前記式(ca−4)中、xは、1または2である。
201は、(x+1)価、すなわち2価または3価の連結基である。
201における2価の連結基としては、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基が好ましく、前述の一般式(a2−1)におけるYa21と同様の、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基、が例示できる。W201における2価の連結基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよく、環状であることが好ましい。なかでも、アリーレン基の両端に2個のカルボニル基が組み合わされた基が好ましい。アリーレン基としては、フェニレン基、ナフチレン基等が挙げられ、フェニレン基が特に好ましい。
201における3価の連結基としては、前記W201における2価の連結基から水素原子を1個除いた基、前記2価の連結基にさらに前記2価の連結基が結合した基などが挙げられる。W201における3価の連結基としては、アリーレン基に2個のカルボニル基が結合した基が好ましい。
前記式(ca−1)で表される好適なカチオンとして具体的には、下記式(ca−1−1)〜(ca−1−67)でそれぞれ表されるカチオンが挙げられる。
Figure 0006371057
Figure 0006371057
Figure 0006371057
[式中、g1、g2、g3は繰返し数を示し、g1は1〜5の整数であり、g2は0〜20の整数であり、g3は0〜20の整数である。]
Figure 0006371057
[式中、R”201は水素原子又は置換基であって、該置換基としては前記R201〜R207、およびR210〜R212が有していてもよい置換基として挙げたものと同様である。]
前記式(ca−2)で表される好適なカチオンとして具体的には、ジフェニルヨードニウムカチオン、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムカチオン等が挙げられる。
前記式(ca−3)で表される好適なカチオンとして具体的には、下記式(ca−3−1)〜(ca−3−6)でそれぞれ表されるカチオンが挙げられる。
Figure 0006371057
前記式(ca−4)で表される好適なカチオンとして具体的には、下記式(ca−4−1)〜(ca−4−2)でそれぞれ表されるカチオンが挙げられる。
Figure 0006371057
上記の中でも、カチオン部[(M’m+1/m]は、一般式(ca−1)で表されるカチオンが好ましく、式(ca−1−1)〜(ca−1−67)でそれぞれ表されるカチオンがより好ましい。
(B)成分は、上述した酸発生剤を1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
レジスト組成物が(B)成分を含有する場合、(B)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して0.5〜60質量部が好ましく、1〜50質量部がより好ましく、1〜40質量部がさらに好ましい。
(B)成分の含有量を上記範囲とすることで、パターン形成が充分に行われる。また、レジスト組成物の各成分を有機溶剤に溶解した際、均一な溶液が得られやすく、レジスト組成物としての保存安定性が良好となるため好ましい。
・(D)成分:酸拡散制御剤成分
本態様のレジスト組成物は、(A)成分に加えて、又は、(A)成分及び(B)成分に加えて、さらに、酸拡散制御剤成分(以下「(D)成分」という。)を含有してもよい。(D)成分は、レジスト組成物において露光により発生する酸をトラップするクエンチャー(酸拡散制御剤)として作用するものである。
(D)成分は、露光により分解して酸拡散制御性を失う光崩壊性塩基(D1)(以下「(D1)成分」という。)であってもよく、該(D1)成分に該当しない含窒素有機化合物(D2)(以下「(D2)成分」という。)であってもよい。
・・(D1)成分について
(D1)成分を含有するレジスト組成物とすることで、レジストパターンを形成する際に、露光部と未露光部とのコントラストを向上させることができる。
(D1)成分としては、露光により分解して酸拡散制御性を失うものであれば特に限定されず、下記一般式(d1−1)で表される化合物(以下「(d1−1)成分」という。)、下記一般式(d1−2)で表される化合物(以下「(d1−2)成分」という。)及び下記一般式(d1−3)で表される化合物(以下「(d1−3)成分」という。)からなる群より選ばれる1種以上の化合物が好ましい。
(d1−1)〜(d1−3)成分は、レジスト膜の露光部においては分解して酸拡散制御性(塩基性)を失うためクエンチャーとして作用せず、未露光部においてクエンチャーとして作用する。
Figure 0006371057
[式中、Rd〜Rdは置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、又は置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基である。但し、式(d1−2)中のRdにおける、S原子に隣接する炭素原子にはフッ素原子は結合していないものとする。Ydは単結合又は2価の連結基である。mは1以上の整数であって、Mm+はそれぞれ独立にm価の有機カチオンである。]
{(d1−1)成分}
・・・アニオン部
式(d1−1)中、Rdは置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、又は置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基であり、それぞれ前記式(b−1)中のR101と同様のものが挙げられる。
これらのなかでも、Rdとしては、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい脂肪族環式基、又は置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基が好ましい。これらの基が有していてもよい置換基としては、水酸基、オキソ基、アルキル基、アリール基、フッ素原子、フッ素化アルキル基、上記一般式(a2−r−1)〜(a2−r−7)でそれぞれ表されるラクトン含有環式基、エーテル結合、エステル結合、またはこれらの組み合わせが挙げられる。エーテル結合やエステル結合を置換基として含む場合、アルキレン基を介していてもよく、この場合の置換基としては、上記式(y−al−1)〜(y−al−5)でそれぞれ表される連結基が好ましい。
前記芳香族炭化水素基としては、フェニル基もしくはナフチル基がより好ましい。
前記脂肪族環式基としては、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等のポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基であることがより好ましい。
前記鎖状のアルキル基としては、炭素数が1〜10であることが好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等の直鎖状のアルキル基;1−メチルエチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基等の分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。
前記鎖状のアルキル基が置換基としてフッ素原子又はフッ素化アルキル基を有するフッ素化アルキル基である場合、フッ素化アルキル基の炭素数は、1〜11が好ましく、1〜8がより好ましく、1〜4がさらに好ましい。該フッ素化アルキル基は、フッ素原子以外の原子を含有してもよい。フッ素原子以外の原子としては、たとえば酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
Rdとしては、直鎖状のアルキル基を構成する一部又は全部の水素原子がフッ素原子により置換されたフッ素化アルキル基であることが好ましく、直鎖状のアルキル基を構成する水素原子の全てがフッ素原子で置換されたフッ素化アルキル基(直鎖状のパーフルオロアルキル基)であることが特に好ましい。
以下に(d1−1)成分のアニオン部の好ましい具体例を示す。
Figure 0006371057
・・・カチオン部
式(d1−1)中、Mm+は、m価の有機カチオンである。
m+の有機カチオンとしては、前記一般式(ca−1)〜(ca−4)でそれぞれ表されるカチオンと同様のものが好適に挙げられ、前記一般式(ca−1)で表されるカチオンがより好ましく、前記式(ca−1−1)〜(ca−1−67)でそれぞれ表されるカチオンがさらに好ましい。
(d1−1)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
{(d1−2)成分}
・・・アニオン部
式(d1−2)中、Rdは、置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、又は置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基であり、前記式(b−1)中のR101と同様のものが挙げられる。
ただし、Rdにおける、S原子に隣接する炭素原子にはフッ素原子は結合していない(フッ素置換されていない)ものとする。これにより、(d1−2)成分のアニオンが適度な弱酸アニオンとなり、(D)成分としてのクエンチング能が向上する。
Rdとしては、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、又は置換基を有していてもよい脂肪族環式基であることが好ましい。鎖状のアルキル基としては、炭素数1〜10であることが好ましく、3〜10であることがより好ましい。脂肪族環式基としては、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等から1個以上の水素原子を除いた基(置換基を有していてもよい);カンファー等から1個以上の水素原子を除いた基であることがより好ましい。
Rdの炭化水素基は置換基を有していてもよく、該置換基としては、前記式(d1−1)のRdにおける炭化水素基(芳香族炭化水素基、脂肪族環式基、鎖状のアルキル基)が有していてもよい置換基と同様のものが挙げられる。
以下に(d1−2)成分のアニオン部の好ましい具体例を示す。
Figure 0006371057
・・・カチオン部
式(d1−2)中、Mm+は、m価の有機カチオンであり、前記式(d1−1)中のMm+と同様である。
(d1−2)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
{(d1−3)成分}
・・・アニオン部
式(d1−3)中、Rdは置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、又は置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基であり、前記式(b−1)中のR101と同様のものが挙げられ、フッ素原子を含む環式基、鎖状のアルキル基、又は鎖状のアルケニル基であることが好ましい。中でも、フッ素化アルキル基が好ましく、前記Rdのフッ素化アルキル基と同様のものがより好ましい。
式(d1−3)中、Rdは、置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、又は置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基であり、前記式(b−1)中のR101と同様のものが挙げられる。
なかでも、置換基を有していてもよいアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、環式基であることが好ましい。
Rdにおけるアルキル基は、炭素数1〜5の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。Rdのアルキル基の水素原子の一部が水酸基、シアノ基等で置換されていてもよい。
Rdにおけるアルコキシ基は、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、炭素数1〜5のアルコキシ基として具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が挙げられる。なかでも、メトキシ基、エトキシ基が好ましい。
Rdにおけるアルケニル基は、上記式(b−1)中のR101と同様のものが挙げられ、ビニル基、プロペニル基(アリル基)、1−メチルプロペニル基、2−メチルプロペニル基が好ましい。これらの基はさらに置換基として、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基を有していてもよい。
Rdにおける環式基は、上記式(b−1)中のR101と同様のものが挙げられ、シクロペンタン、シクロヘキサン、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等のシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた脂環式基、又は、フェニル基、ナフチル基等の芳香族基が好ましい。Rdが脂環式基である場合、レジスト組成物が有機溶剤に良好に溶解することにより、リソグラフィー特性が良好となる。また、Rdが芳香族基である場合、EUV等を露光光源とするリソグラフィーにおいて、該レジスト組成物が光吸収効率に優れ、感度やリソグラフィー特性が良好となる。
式(d1−3)中、Ydは、単結合または2価の連結基である。
Ydにおける2価の連結基としては、特に限定されないが、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基(脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基)、ヘテロ原子を含む2価の連結基等が挙げられる。これらはそれぞれ、前記式(a2−1)におけるYa21の2価の連結基についての説明のなかで挙げた、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基、ヘテロ原子を含む2価の連結基と同様のものが挙げられる。
Ydとしては、カルボニル基、エステル結合、アミド結合、アルキレン基又はこれらの組み合わせであることが好ましい。アルキレン基としては、直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基であることがより好ましく、メチレン基又はエチレン基であることがさらに好ましい。
以下に(d1−3)成分のアニオン部の好ましい具体例を示す。
Figure 0006371057
Figure 0006371057
・・・カチオン部
式(d1−3)中、Mm+は、m価の有機カチオンであり、前記式(d1−1)中のMm+と同様である。
(d1−3)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(D1)成分は、上記(d1−1)〜(d1−3)成分のいずれか1種のみを用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
レジスト組成物が(D1)成分を含有する場合、(D1)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して、0.5〜10質量部であることが好ましく、0.5〜8質量部であることがより好ましく、1〜8質量部であることがさらに好ましい。
(D1)成分の含有量が好ましい下限値以上であると、特に良好なリソグラフィー特性及びレジストパターン形状が得られやすい。一方、上限値以下であると、感度を良好に維持でき、スループットにも優れる。
(D1)成分の製造方法:
前記の(d1−1)成分、(d1−2)成分の製造方法は、特に限定されず、公知の方法により製造することができる。
また、(d1−3)成分の製造方法は、特に限定されず、例えば、US2012−0149916号公報に記載の方法と同様にして製造される。
・・(D2)成分について
酸拡散制御剤成分としては、上記の(D1)成分に該当しない含窒素有機化合物成分(以下「(D2)成分」という。)を含有してもよい。
(D2)成分としては、酸拡散制御剤として作用するもので、かつ、(D1)成分に該当しないものであれば特に限定されず、公知のものから任意に用いればよい。なかでも、脂肪族アミンが好ましく、この中でも特に第2級脂肪族アミンや第3級脂肪族アミンがより好ましい。
脂肪族アミンとは、1つ以上の脂肪族基を有するアミンであり、該脂肪族基は炭素数が1〜12であることが好ましい。
脂肪族アミンとしては、アンモニアNHの水素原子の少なくとも1つを、炭素数12以下のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基で置換したアミン(アルキルアミンもしくはアルキルアルコールアミン)又は環式アミンが挙げられる。
アルキルアミンおよびアルキルアルコールアミンの具体例としては、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン等のモノアルキルアミン;ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等のジアルキルアミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デシルアミン、トリ−n−ドデシルアミン等のトリアルキルアミン;ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジ−n−オクタノールアミン、トリ−n−オクタノールアミン等のアルキルアルコールアミンが挙げられる。これらの中でも、炭素数5〜10のトリアルキルアミンがさらに好ましく、トリ−n−ペンチルアミン又はトリ−n−オクチルアミンが特に好ましい。
環式アミンとしては、たとえば、ヘテロ原子として窒素原子を含む複素環化合物が挙げられる。該複素環化合物としては、単環式のもの(脂肪族単環式アミン)であっても多環式のもの(脂肪族多環式アミン)であってもよい。
脂肪族単環式アミンとして、具体的には、ピペリジン、ピペラジン等が挙げられる。
脂肪族多環式アミンとしては、炭素数が6〜10のものが好ましく、具体的には、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、ヘキサメチレンテトラミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等が挙げられる。
その他の脂肪族アミンとしては、トリス(2−メトキシメトキシエチル)アミン、トリス{2−(2−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(2−メトキシエトキシメトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−エトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−エトキシプロポキシ)エチル}アミン、トリス[2−{2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ}エチル]アミン、トリエタノールアミントリアセテート等が挙げられ、トリエタノールアミントリアセテートが好ましい。
また、(D2)成分としては、芳香族アミンを用いてもよい。
芳香族アミンとしては、4−ジメチルアミノピリジン、ピロール、インドール、ピラゾール、イミダゾールまたはこれらの誘導体、トリベンジルアミン、2,6−ジイソプロピルアニリン、N−tert−ブトキシカルボニルピロリジン等が挙げられる。
(D2)成分は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
レジスト組成物が(D2)成分を含有する場合、(D2)成分は、(A)成分100質量部に対して、通常、0.01〜5質量部の範囲で用いられる。上記範囲とすることにより、レジストパターン形状、引き置き経時安定性等が向上する。
・(E)成分:有機カルボン酸、並びにリンのオキソ酸及びその誘導体からなる群より選択される少なくとも1種の化合物
本態様のレジスト組成物には、感度劣化の防止や、レジストパターン形状、引き置き経時安定性等の向上の目的で、任意の成分として、有機カルボン酸、並びにリンのオキソ酸及びその誘導体からなる群より選択される少なくとも1種の化合物(E)(以下「(E)成分」という。)を含有させることができる。
有機カルボン酸としては、例えば、酢酸、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸などが好適である。
リンのオキソ酸としては、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸等が挙げられ、これらの中でも特にホスホン酸が好ましい。
リンのオキソ酸の誘導体としては、たとえば、上記オキソ酸の水素原子を炭化水素基で置換したエステル等が挙げられ、前記炭化水素基としては、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基等が挙げられる。
リン酸の誘導体としては、リン酸ジ−n−ブチルエステル、リン酸ジフェニルエステル等のリン酸エステルなどが挙げられる。
ホスホン酸の誘導体としては、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸−ジ−n−ブチルエステル、フェニルホスホン酸、ホスホン酸ジフェニルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステル等のホスホン酸エステルなどが挙げられる。
ホスフィン酸の誘導体としては、ホスフィン酸エステルやフェニルホスフィン酸などが挙げられる。
(E)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
レジスト組成物が(E)成分を含有する場合、(E)成分は、(A)成分100質量部に対して、通常、0.01〜5質量部の範囲で用いられる。
・(F)成分:フッ素添加剤成分
本態様のレジスト組成物は、レジスト膜に撥水性を付与するために、フッ素添加剤成分(以下「(F)成分」という。)を含有してもよい。
(F)成分としては、例えば、特開2010−002870号公報、特開2010−032994号公報、特開2010−277043号公報、特開2011−13569号公報、特開2011−128226号公報に記載の含フッ素高分子化合物を用いることができる。
(F)成分としてより具体的には、下記式(f1−1)で表される構成単位(f1)を有する重合体が挙げられる。前記重合体としては、下記式(f1−1)で表される構成単位(f1)のみからなる重合体(ホモポリマー);該構成単位(f1)と前記構成単位(a1)との共重合体;該構成単位(f1)と前記構成単位(a1’)との共重合体;該構成単位(f1)と、アクリル酸又はメタクリル酸から誘導される構成単位と、前記構成単位(a1)との共重合体、であることが好ましい。ここで、該構成単位(f1)と共重合される前記構成単位(a1)としては、1−エチル−1−シクロオクチル(メタ)アクリレートから誘導される構成単位が好ましい。
Figure 0006371057
[式中、Rは前記と同様であり、Rf102およびRf103はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基を表し、Rf102およびRf103は同じであっても異なっていてもよい。nfは1〜5の整数であり、Rf101はフッ素原子を含む有機基である。]
式(f1−1)中、α位の炭素原子に結合したRは、前記と同様である。Rとしては、水素原子またはメチル基が好ましい。
式(f1−1)中、Rf102およびRf103のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。Rf102およびRf103の炭素数1〜5のアルキル基としては、上記Rの炭素数1〜5のアルキル基と同様のものが挙げられ、メチル基またはエチル基が好ましい。Rf102およびRf103の炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基として、具体的には、炭素数1〜5のアルキル基の水素原子の一部または全部が、ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。なかでもRf102およびRf103としては、水素原子、フッ素原子、又は炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、水素原子、フッ素原子、メチル基、またはエチル基が好ましい。
式(f1−1)中、nfは1〜5の整数であり、1〜3の整数が好ましく、1又は2であることがより好ましい。
式(f1−1)中、Rf101は、フッ素原子を含む有機基であり、フッ素原子を含む炭化水素基であることが好ましい。
フッ素原子を含む炭化水素基としては、直鎖状、分岐鎖状または環状のいずれであってもよく、炭素数は1〜20であることが好ましく、炭素数1〜15であることがより好ましく、炭素数1〜10が特に好ましい。
また、フッ素原子を含む炭化水素基は、当該炭化水素基における水素原子の25%以上がフッ素化されていることが好ましく、50%以上がフッ素化されていることがより好ましく、60%以上がフッ素化されていることが、浸漬露光時のレジスト膜の疎水性が高まることから特に好ましい。
なかでも、Rf101としては、炭素数1〜5のフッ素化炭化水素基がより好ましく、トリフルオロメチル基、−CH−CF、−CH−CF−CF、−CH(CF、−CH−CH−CF、−CH−CH−CF−CF−CF−CFが特に好ましい。
(F)成分の質量平均分子量(Mw)(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算基準)は、1000〜50000が好ましく、5000〜40000がより好ましく、10000〜30000が最も好ましい。この範囲の上限値以下であると、レジストとして用いるのにレジスト用溶剤への充分な溶解性があり、この範囲の下限値以上であると、レジストパターン断面形状が良好である。
(F)成分の分散度(Mw/Mn)は、1.0〜5.0が好ましく、1.0〜3.0がより好ましく、1.2〜2.5が最も好ましい。
(F)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
レジスト組成物が(F)成分を含有する場合、(F)成分は、(A)成分100質量部に対して、通常、0.5〜10質量部の割合で用いられる。
本態様のレジスト組成物には、さらに所望により混和性のある添加剤、例えばレジスト膜の性能を改良するための付加的樹脂、溶解抑制剤、可塑剤、安定剤、着色剤、ハレーション防止剤、染料などを適宜、添加含有させることができる。
・(S)成分:有機溶剤成分
本態様のレジスト組成物は、レジスト材料を有機溶剤成分(以下「(S)成分」ということがある)に溶解させて製造することができる。
(S)成分としては、使用する各成分を溶解し、均一な溶液とすることができるものであればよく、従来、化学増幅型レジスト組成物の溶剤として公知のものの中から任意のものを適宜選択して用いることができる。
たとえば、γ−ブチロラクトン等のラクトン類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチル−n−ペンチルケトン、メチルイソペンチルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどの多価アルコール類;エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、またはジプロピレングリコールモノアセテート等のエステル結合を有する化合物、前記多価アルコール類または前記エステル結合を有する化合物のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル等のモノアルキルエーテルまたはモノフェニルエーテル等のエーテル結合を有する化合物等の多価アルコール類の誘導体[これらの中では、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)が好ましい];ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類;アニソール、エチルベンジルエーテル、クレジルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、ペンチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、トルエン、キシレン、シメン、メシチレン等の芳香族系有機溶剤、ジメチルスルホキシド(DMSO)等を挙げることができる。
(S)成分は単独で用いてもよく、2種以上の混合溶剤として用いてもよい。
なかでも、PGMEA、PGME、γ−ブチロラクトン、EL、シクロヘキサノンが好ましい。
また、PGMEAと極性溶剤とを混合した混合溶剤も好ましい。その配合比(質量比)は、PGMEAと極性溶剤との相溶性等を考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2の範囲内とすることが好ましい。
より具体的には、極性溶剤としてEL又はシクロヘキサノンを配合する場合は、PGMEA:EL又はシクロヘキサノンの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2である。また、極性溶剤としてPGMEを配合する場合は、PGMEA:PGMEの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2、さらに好ましくは3:7〜7:3である。さらに、PGMEAとPGMEとシクロヘキサノンとの混合溶剤も好ましい。
また、(S)成分として、その他には、PGMEA及びELの中から選ばれる少なくとも1種とγ−ブチロラクトンとの混合溶剤も好ましい。この場合、混合割合としては、前者と後者の質量比が好ましくは70:30〜95:5とされる。
(S)成分の使用量は、特に限定されず、基板等に塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定される。たとえば、レジスト組成物の固形分濃度が、厚に応じて適宜設定される。たとえば、レジスト組成物の固形分濃度が1〜20質量%、好ましくは1〜20質量%、より好ましくは2〜15質量%の範囲内となるように(S)成分は用いられる。
<パターン反転用組成物>
本発明のパターン形成方法に用いられるパターン反転用組成物は、第一のレジストパターンを溶解しない有機溶剤(以下「(S’)成分」という。)を含有するものであって、パターン反転用膜を構成する基材成分(A”)(以下「(A”)成分」という。)を含有する。
加えて、かかるパターン反転用組成物として、好ましくは、工程(2)で、アルカリ現像液に対して適度な溶解速度を有する(好ましくは、上述の[アルカリ現像液に対する溶解速度の測定方法]による、アルカリ現像液に対する溶解速度が1.0〜3.5nm/sである)パターン反転用膜を形成し得るものが挙げられる。
パターン反転用組成物が(S’)成分を含有することで、パターン反転用組成物を塗布した際の、パターン反転用組成物中の有機溶剤による第一のレジストパターンの溶解を抑制でき、第一のレジストパターンの形状の悪化や消失、第一のレジストパターンとパターン反転用膜との界面でのミキシングの発生等を防止することができる。
≪(S’)成分≫
(S’)成分は、第一のレジストパターンを溶解しない有機溶剤である。
(S’)成分における「第一のレジストパターンを溶解しない」とは、支持体上にレジスト組成物を塗布し、乾燥させて、23℃条件下、膜厚0.2μmのレジスト膜を形成し、これを当該有機溶剤に浸漬したときに、60分経過後においても、当該レジスト膜の消失または膜厚の顕著な変動が生じない(好ましくは、該レジスト膜の膜厚が0.16μm以下とならない。)ことを示す。
(S’)成分としては、第一のレジストパターンを溶解せず、かつ、パターン反転用組成物に配合される成分を溶解し得るものであればよい。なかでも、支持体上への塗布性、樹脂成分などのパターン反転用組成物に配合される成分の溶解性の点から、アルコール系有機溶剤、エステル系有機溶剤が好ましく、エステル系有機溶剤がより好ましい。
ここで、「エステル系有機溶剤」とは、構造中にC−C(=O)−O−Cを含む化合物である。「アルコール系有機溶剤」とは、構造中にアルコール性水酸基を含む有機溶剤であり、脂肪族炭化水素の水素原子の少なくとも1つが水酸基で置換された化合物であって、常温、常圧下で液体である化合物である。前記脂肪族炭化水素を構成する主鎖の構造は、鎖状構造であってもよく、環状構造であってもよく、該鎖状構造中に環状構造を有していてもよく、また、該鎖状構造中にエーテル結合を含むものであってもよい。
エステル系有機溶剤としては、上述した、有機系現像液が含有する有機溶剤についての説明の中で、エステル系有機溶剤として例示したもの、と同様のものが挙げられ、それらの中でも、酢酸ブチル、エチル−3−エトキシプロピオネートが好ましい。
アルコール系有機溶剤としては、1価アルコール、2価アルコール、2価アルコールの誘導体等が好ましい。
1価アルコールとしては、炭素数にもよるが、1級または2級の1価アルコールが好ましく、なかでも1級の1価アルコールが最も好ましい。
ここで1価アルコールとは、炭素原子および水素原子のみから構成される炭化水素化合物の水素原子の1つが水酸基で置換された化合物を意味し、2価以上の多価アルコールの誘導体は含まれない。該炭化水素化合物は、鎖状構造のものであってもよく、環状構造を有するものであってもよい。
2価アルコールとは、前記炭化水素化合物の水素原子の2つが水酸基で置換された化合物を意味し、3価以上の多価アルコールの誘導体は含まれない。
2価アルコールの誘導体としては、2価アルコールの水酸基の1つが置換基(アルコキシ基、アルコキシアルキルオキシ基等)で置換された化合物が挙げられる。
アルコール系有機溶剤の沸点(常圧下)は、80〜250℃であることが好ましく、90〜220℃であることがさらに好ましく、100〜200℃であることが塗布性、保存時の組成物の安定性、およびベーク温度の観点から最も好ましい。
かかるアルコール系有機溶剤として具体的には、鎖状構造のものとして、プロピレングリコール(PG);1−ブトキシ−2−プロパノール(PGB)、n−ヘキサノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、1−ヘプタノール、5−メチル−1−ヘキサノール、6−メチル−2−ヘプタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、3−オクタノール、4−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、2−(2−ブトキシエトキシ)エタノール、n−ペンチルアルコール、s−ペンチルアルコール、t−ペンチルアルコール、イソペンチルアルコール、イソブタノール(イソブチルアルコール又は2−メチル−1−プロパノールとも称する。IBA。)、イソプロピルアルコール、2−エチルブタノール、ネオペンチルアルコール、n−ブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール、1−プロパノール、2−メチル−1−ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、4−メチル−2−ペンタノール(MIBC)等が挙げられる。
また、環状構造を有するものとして、シクロペンタンメタノール、1−シクロペンチルエタノール、シクロヘキサノール、シクロヘキサンメタノール(CM)、シクロヘキサンエタノール、1,2,3,6−テトラヒドロベンジルアルコール、exo−ノルボルネオール、2−メチルシクロヘキサノール、シクロヘプタノール、3,5−ジメチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール等が挙げられる。
アルコール系有機溶剤のなかでは、鎖状構造の1価アルコールまたは2価アルコールの誘導体が好ましく、1−ブトキシ−2−プロパノール(PGB);イソブタノール(イソブチルアルコール又は2−メチル−1−プロパノールとも称する。IBA。)、4−メチル−2−ペンタノール(MIBC)、n−ブタノールが好ましく、イソブタノール(2−メチル−1−プロパノール)、1−ブトキシ−2−プロパノール(PGB)が最も好ましい。
パターン反転用組成物に用いられる(S’)成分は、1種単独であってもよく、2種以上であってもよい。
(S’)成分の使用量は、特に限定されず、基板等に塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定される。たとえば、パターン反転用組成物中、後述の基材成分((A)成分)の濃度が、好ましくは1〜20質量%、より好ましくは2〜15質量%の範囲内となるように(S’)成分は用いられる。
また、パターン反転用組成物は、(S’)成分を用いることによる効果を損なわない範囲で、(S’)成分以外の有機溶剤(以下「(S”)成分」という)を含有してもよい。
(S”)成分としては、パターン反転用組成物に配合される成分を溶解し得るものが好ましい。具体的には、第一のレジストパターンを形成するレジスト材料として上述したレジスト組成物の説明で挙げた(S)成分と同様のものが挙げられる。
(S”)成分の配合量は、パターン反転用組成物に用いられる全有機溶剤中、20質量%以下が好ましく、1〜15質量%がより好ましい。
パターン反転用組成物に用いられる全有機溶剤の使用量は、特に限定されず、通常、当該パターン反転用組成物が、支持体上に塗布可能な濃度の液体となる量が用いられる。例えば、パターン反転用組成物の固形分濃度が1〜30質量%の範囲内となるように用いられる。
≪(A”)成分≫
(A”)成分は、パターン反転用膜を構成する基材成分であり、膜形成能を有する有機化合物である。
(A”)成分としては、上述の[アルカリ現像液に対する溶解速度の測定方法]において、パターン反転用組成物を、(A”)成分を溶媒に溶解した溶液、に変更した他は同様にして測定される、アルカリ現像液に対する溶解速度が1.0〜3.5nm/sである基材成分が好ましい。前記の溶媒としては、上記の(S’)成分と同様のものが挙げられる。
なかでも、(A”)成分としては、樹脂成分(A”1)(以下「(A”1)成分」ともいう。)を含有するものが好ましい。
・(A”1)成分
(A”1)成分としては、たとえば、極性基を含有する構成単位を有する樹脂が挙げられる。極性基を含有する構成単位を有することにより、(A”1)成分は、前記(S’)成分に対する溶解性が良好となる。また、アルカリ現像液に対して溶解性を有するようになる。
このような(A”1)成分の中で好適なものは、極性基として水酸基、シアノ基、カルボキシ基、塩基解離性基、下記一般式(f2−0−1)で表される基、下記一般式(f2−0−2)で表される基、及び下記一般式(f2−0−3)で表される基からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む構成単位(a”1)を有する樹脂成分が挙げられる。
Figure 0006371057
[式(f2−0−1)中、Qは2価の連結基又は単結合であり、Rはフッ素化アルキル基である。式(f2−0−2)中、Q及びRはいずれも前記と同じである。式(f2−0−3)中、R51,R52はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子、又は炭素数1〜5のフッ素化アルキル基であり、m,nはそれぞれ独立して0〜5の整数(ただし、m+n≧1)であり、qは0〜5の整数である。]
・・構成単位(a”1):
構成単位(a”1)は、極性基として水酸基、シアノ基、カルボキシ基、塩基解離性基、前記一般式(f2−0−1)で表される基、前記一般式(f2−0−2)で表される基、及び前記一般式(f2−0−3)で表される基からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む構成単位である。
「塩基解離性基について」
本発明において「塩基解離性基」とは、塩基の作用により解離し得る有機基をいう。塩基としては、一般的にリソグラフィー分野において用いられているアルカリ現像液が挙げられる。すなわち、「塩基解離性基」は、アルカリ現像液(たとえば、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液(23℃))の作用により解離する基である。
塩基解離性基は、アルカリ現像液の作用により加水分解が生じることにより解離する。そのため、該塩基解離性基が解離すると同時に親水基が形成され、(A”1)成分の親水性が高まり、アルカリ現像液に対する親和性が向上する。
構成単位(a”1)において、塩基解離性基は、上記定義に該当する有機基であれば特に限定されるものではなく、フッ素原子を含むものであってもよく、フッ素原子を含まないものであってもよく、フッ素原子を含むことが好ましい。特に、構成単位(a”1)中に含まれるフッ素原子が、塩基解離性基のみに存在することが好ましい。塩基解離性基がフッ素原子を含む場合、アルカリ現像液の作用により該塩基解離性基が解離した際、フッ素原子も構成単位(a”1)から解離するため、アルカリ現像液に対する親和性がより高くなる。
塩基解離性基の具体例としては、たとえば、下記一般式(II−1)〜(II−5)でそれぞれ表される基が挙げられる。
本発明において、塩基解離性基は、下記一般式(II−1)〜(II−5)でそれぞれ表される基からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、現像時には親水性となる特性に優れ、かつ、合成が容易である点から、下記一般式(II−1)、(II−4)、(II−5)でそれぞれ表される基であることが特に好ましい。
Figure 0006371057
[式中、Rはそれぞれ独立してフッ素原子を有していてもよい有機基である。]
式(II−1)〜(II−5)中、Rは、フッ素原子を有していてもよい有機基である。
「有機基」は、少なくとも1つの炭素原子を含む基である。
の構造は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよく、直鎖状または分岐鎖状であることが好ましい。
において、有機基の炭素数は1〜20であることが好ましく、炭素数1〜15であることがより好ましく、炭素数1〜10が特に好ましく、1〜5が最も好ましい。
は、フッ素化率が25%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましく、60%以上であることが特に好ましい。
「フッ素化率」は、当該有機基における(水素原子およびフッ素原子の合計数)に対する(フッ素原子数)の割合(%)である。
としては、たとえば、メチル基、エチル基、置換基を有していてもよいフッ素化炭化水素基が好ましく挙げられる。
における置換基を有していてもよいフッ素化炭化水素基について、炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよいが、脂肪族炭化水素基であることが好ましい。
脂肪族炭化水素基は、芳香族性を有さない炭化水素基である。脂肪族炭化水素基は、飽和、不飽和のいずれでもよいが、通常は飽和であることが好ましい。
すなわち、Rとしては、フッ素化飽和炭化水素基またはフッ素化不飽和炭化水素基であることが好ましく、フッ素化飽和炭化水素基、すなわちフッ素化アルキル基であることが特に好ましい。
フッ素化アルキル基としては、下記に挙げる無置換のアルキル基の水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換された基が挙げられる。フッ素化アルキル基は、無置換のアルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換された基であってもよく、無置換のアルキル基の水素原子の全部がフッ素原子で置換された基(パーフルオロアルキル基)であってもよい。
無置換のアルキル基としては、直鎖状、分岐鎖状または環状のいずれであってもよく、また、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基と環状アルキル基との組み合わせであってもよい。
無置換の直鎖状のアルキル基としては、炭素数1〜10が好ましく、炭素数1〜8がより好ましい。具体的には、たとえば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等が挙げられる。
無置換の分岐鎖状のアルキル基としては、炭素数3〜10が好ましく、炭素数3〜8がより好ましい。分岐鎖状のアルキル基としては、第3級アルキル基が好ましい。
無置換の環状のアルキル基としては、例えば、モノシクロアルカン、またはビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基が挙げられる。具体的には、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のモノシクロアルキル基;アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基等のポリシクロアルキル基などが挙げられる。
無置換の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基と環状アルキル基との組み合わせとしては、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基に置換基として環状のアルキル基が結合した基、環状のアルキル基に置換基として直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が結合した基等が挙げられる。
フッ素化炭化水素基が有していてもよい置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基等が挙げられる。
において、フッ素化アルキル基としては、直鎖状または分岐鎖状のフッ素化アルキル基が好ましい。特に、下記一般式(III−1)または(III−2)で表される基が好ましく、中でも、式(III−1)で表される基がより好ましい。
Figure 0006371057
[式(III−1)中、R41’は無置換の炭素数1〜9のアルキレン基であり、R42’は炭素数1〜9のフッ素化アルキル基である。但し、R41’とR42’との炭素数の合計は10以下である。また、式(III−2)中、R74〜R76は、それぞれ独立に、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基であり、R74〜R76の少なくとも1つはフッ素原子を有するアルキル基である。]
式(III−1)中、R41’のアルキレン基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってよく、直鎖状または分岐鎖状が好ましい。また、その炭素数は1〜5が好ましい。
41’としては、特に、メチレン基、エチレン基、プロピレン基が好ましい。
42’としては、炭素数1〜5の直鎖状または分岐鎖状のフッ素化アルキル基が好ましく、特にパーフルオロアルキル基が好ましい。なかでも、トリフルオロメチル基(−CF)、テトラフルオロエチル基(−CH)、−Cが好ましい。
式(III−2)中、R74〜R76のアルキル基としては、エチル基またはメチル基が好ましく、特にメチル基が好ましい。R74〜R76のアルキル基のうち、いずれか1つがフッ素化アルキル基であればよく、全てがフッ素化アルキル基であってもよい。
「一般式(f2−0−1)で表される基について」
前記式(f2−0−1)中、Qは、2価の連結基又は単結合である。
2価の連結基としては、たとえば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、シクロプロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、ペンテン基、イソペンテン基、ネオペンテン基、シクロペンチレン基、シクロへキシレン基、シクロへプチレン基、シクロオクチレン基等の炭素数1〜8の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキレン基が挙げられる。また、Qにおける2価の連結基はヘテロ原子を含んでいてもよく、エーテル基、エステル基、上述のアルキレン基中の水素原子および/又は炭素原子の少なくとも一つがヘテロ原子で置換された基等も挙げられる。これらの中でも、合成のしやすさ等の点で、直鎖状のアルキレン基が好ましく、特にメチレン基が好ましい。
は、フッ素化アルキル基である。該フッ素化アルキル基は、直鎖状、分岐鎖状もしくは環状のアルキル基の水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換された基である。
かかる直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、炭素数1〜8のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜5のアルキル基がさらに好ましい。かかるアルキル基としては、たとえばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられ、メチル基が特に好ましい。
前記環状のアルキル基としては、炭素数4〜12であることが好ましく、炭素数5〜10であることがさらに好ましく、炭素数6〜10であることが最も好ましい。
フッ素化アルキル基のフッ素化率は、10〜100%が好ましく、30〜100%がより好ましく、50〜100%が特に好ましく、100%、すなわち水素原子がすべてフッ素原子で置換されたものであることが最も好ましい。フッ素化率が10%以上であると、パターン反転用膜表面の疎水性が高まり、アルカリ現像液に対する溶解速度の制御が図られる。
上記のなかでも、Rのフッ素化アルキル基としては、直鎖状または分岐鎖状のフッ素化アルキル基が好ましく、炭素数1〜5のフッ素化アルキル基がより好ましく、アルキル基の水素原子がすべてフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキル基であることが特に好ましい。パーフルオロアルキル基の具体例としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等が挙げられ、トリフルオロメチル基が最も好ましい。
「一般式(f2−0−2)で表される基について」
前記式(f2−0−2)中、Q及びRは、いずれも、前記式(f2−0−1)におけるQ及びRと同様である。
「一般式(f2−0−3)で表される基について」
前記式(f2−0−3)中、R51,R52は、それぞれ独立して水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子、又は炭素数1〜5のフッ素化アルキル基である。
51,R52において、炭素数1〜5のアルキル基としては、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が好ましく、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などが挙げられ、メチル基が好ましい。
51,R52において、フッ素化アルキル基としては、前記R51,R52のアルキル基の水素原子の少なくとも1つがフッ素原子で置換されたものが挙げられる。
なかでも、R51,R52としては、水素原子が好ましく、共に水素原子であることが最も好ましい。
,nは、それぞれ独立して0〜5の整数(ただし、m+n≧1)であり、1〜3の整数であることが好ましく、アルカリ現像液に対する溶解速度の点から、m及びnが共に1であることが最も好ましい。
は、0〜5の整数であり、0〜3の整数であることが好ましく、0または1であることがより好ましく、最も好ましくは1である。
前記式(f2−0−3)で表される基を含む構成単位としては、下記一般式(f2−0−3−1)で表される基を含む構成単位も挙げられる。
Figure 0006371057
[式中、R51,R52、m,n、qはそれぞれ上記と同様である。R53,R54はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子、又は炭素数1〜5のフッ素化アルキル基であり、pは1〜5の整数である。]
前記式(f2−0−3−1)中、R53,R54は、前記のR51,R52とそれぞれ同様のものが挙げられる。なかでも水素原子が好ましく、共に水素原子であることが最も好ましい。
は1〜5の整数であり、1〜3の整数であることが好ましく、1または2であることがより好ましく、2であることが特に好ましい。
上記のなかでも、構成単位(a”1)における極性基としては、水酸基及び前記一般式(f2−0−3)で表される基からなる群より選ばれる少なくとも一種であることが特に好ましい。
構成単位(a”1)は、たとえば、ヒドロキシスチレンから誘導される構成単位、主鎖が環状型の構成単位(以下「主鎖環状型構成単位」という。)又はα位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸エステルから誘導される構成単位のいずれであってもよく、これらの中では、ヒドロキシスチレンから誘導される構成単位、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸エステルから誘導される構成単位であることが特に好ましい。
本発明において「主鎖環状型構成単位」とは、単環又は多環式の環構造を有し、該環構造の環上の少なくとも1つ、好ましくは2つ以上の炭素原子が主鎖を構成する構成単位をいう。主鎖環状型構成単位を含むことにより、膜表面の疎水性の高いパターン反転用膜が得られ、エッチング耐性も向上する。この理由は、主鎖が環状型であることにより、炭素密度が高くなっているためと推測される。
かかる主鎖環状型構成単位としては、例えば、ポリシクロオレフィンから誘導される構成単位が挙げられ、ビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテン(ノルボルネン)から誘導される構成単位、テトラシクロ[4.4.0.12.5.1.7.10]−3−ドデセンから誘導される構成単位、又はこれらの環骨格上に置換基を有するものであってもよい。
かかる主鎖環状型構成単位として、具体的には、上記例示の構成単位の環上の特定の位置に、置換基として少なくとも、前記一般式(f2−0−1)で表される基、前記一般式(f2−0−2)で表される基、又は前記一般式(f2−0−3)で表される基を有するものが挙げられる。
構成単位(a”1)として、好ましくは、下記一般式(a”11−1)で表される構成単位(以下この構成単位を「構成単位(a”11)」という。)が挙げられる。
・・・構成単位(a”11)
構成単位(a”1)としては、前記(S’)成分に対する溶解性が良好で、また、アルカリ現像液に対して溶解性を有するようになり、かつ、エッチング耐性に優れることから、下記一般式(a”11−1)で表される構成単位(以下この構成単位を「構成単位(a”11)」という。)が好適に例示できる。
Figure 0006371057
[式中、R20は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基であり;Rは炭素数1〜5のアルキル基であり;pは1〜3の整数であり;qは0〜2の整数である。]
前記式(a”11−1)中、R20における炭素数1〜5のアルキル基として、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などの直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。
20としては、水素原子またはメチル基が特に好ましい。
pは1〜3の整数であり、好ましくは1である。
水酸基の結合位置は、フェニル基のo−位、m−位、p−位のいずれでもよい。pが1である場合は、容易に入手可能で低価格であることからp−位が好ましい。pが2または3の場合は、任意の置換位置を組み合わせることができる。
qは0〜2の整数である。これらのうち、qは0または1であることが好ましく、特に工業上、0であることが好ましい。
のアルキル基としては、R20のアルキル基と同様のものが挙げられる。
の置換位置は、qが1である場合はo−位、m−位、p−位のいずれでもよい。qが2である場合は、任意の置換位置を組み合わせることができる。このとき、複数のRは、それぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
構成単位(a”11)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(A”1)成分中の構成単位(a”11)の割合は、(A”1)成分を構成する全構成単位の合計に対して40〜75モル%であることが好ましく、50〜70モル%であることがより好ましく、55〜65モル%であることがさらに好ましい。
構成単位(a”11)の割合が該範囲の下限値以上であると、パターン反転用組成物とした際に所定のアルカリ溶解性が得られやすくなり、該範囲の上限値以下であると、他の構成単位とのバランスが良好である。
・・構成単位(a”2):
(A”1)成分は、さらに、本発明の効果を損なわない範囲で、前記の構成単位(a”1)以外の構成単位(以下この構成単位を「構成単位(a”2)」という。)を含んでいてもよい。
構成単位(a”2)は、上述の構成単位(a”1)に分類されない構成単位であれば特に限定されるものではなく、ArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のレジスト用樹脂に用いられるものとして従来から知られている多数のものが使用可能である。
構成単位(a”2)としては、例えば、スチレンから誘導される構成単位、上述した構成単位(a1)、上述した構成単位(a4)、置換基を有さないポリシクロオレフィンから誘導される構成単位、置換基として多環の脂環式基を有するポリシクロオレフィンから誘導される構成単位等が挙げられる。
置換基を有さないポリシクロオレフィンから誘導される構成単位としては、ビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテン(ノルボルネン)、テトラシクロ[4.4.0.12.5.1.7.10]−3−ドデセン等が挙げられる。
また、置換基として多環の脂環式基を有するポリシクロオレフィンから誘導される構成単位としては、上記置換基を有さないポリシクロオレフィンから誘導される構成単位の環上に、置換基として、例えば、トリシクロデカニル基、アダマンチル基、テトラシクロドデカニル基等の多環式基を有する構成単位が挙げられる。
構成単位(a”2)としては、上記の中でも、アルカリ現像液に対する溶解性を容易に調整できることから、スチレンから誘導される構成単位、上述した構成単位(a1)を用いることが好ましい。
(A”1)成分は、上記構成単位(a”1)に加えて、さらに、構成単位(a”2)としてスチレンから誘導される構成単位(以下「構成単位(a”21)」ともいう)を有する樹脂が好ましい。
構成単位(a”2)として、構成単位(a”21)を有することにより、アルカリ現像液に対する溶解性を容易に調整できる。また、パターン反転用膜とした際、耐熱性やドライエッチング耐性が向上する。
構成単位(a”21)の中で好適なものとしては、下記一般式(a”21−1)で表される構成単位が挙げられる。
Figure 0006371057
[式中、R20は前記と同じであり;Rは炭素数1〜5のアルキル基であり;rは0〜3の整数である。]
前記一般式(a”21−1)中、R20は、上記一般式(a”11−1)におけるR20と同様である。
前記式(a”21−1)中、Rのアルキル基は、上記一般式(a”11−1)におけるRのアルキル基と同様のものが挙げられる。
rは0〜3の整数であり、0または1であることが好ましく、工業上、0であることが特に好ましい。
rが1である場合、Rの置換位置は、フェニル基のo−位、m−位、p−位のいずれでもよい。rが2又は3である場合には、任意の置換位置を組み合わせることができる。このとき、複数のRは、それぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
かかる構成単位(a”21)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(A”1)成分中、構成単位(a”21)の割合は、(A”1)成分を構成する全構成単位の合計に対して10〜25モル%であることが好ましく、10〜20モル%であることがより好ましく、10〜15モル%であることがさらに好ましい。
構成単位(a”21)の割合が該範囲の上限値以下であると、パターン反転用組成物とした際に所定のアルカリ溶解性が得られやすくなり、該範囲の下限値以上であると、他の構成単位とのバランスが良好である。
また、(A”1)成分は、上記構成単位(a”1)に加えて、又は、上記構成単位(a”1)と上記構成単位(a”21)とに加えて、さらに、上述した構成単位(a1)を有する樹脂が好ましい。
構成単位(a”2)として、上述した構成単位(a1)を採用することにより、アルカリ現像液に対する溶解性を容易に調整できる。また、より高い解像性で、かつ、良好な形状の反転パターンを形成することができる。
(A”1)成分における構成単位(a1)としては、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸エステルから誘導される構成単位であって、酸の作用により極性が増大する酸分解性基を含む構成単位(以下「構成単位(a”22−1)」ともいう);又は、ヒドロキシスチレン若しくはヒドロキシスチレン誘導体から誘導される構成単位の水酸基における水素原子の少なくとも一部が前記酸分解性基を含む置換基により保護された構成単位(以下「構成単位(a”22−2)」ともいう)が好ましい。
(A”1)成分における構成単位(a1)が前記構成単位(a”22−1)の場合、上述した一般式(a1−r−2)で表される酸解離性基を含む構成単位が好ましく、上記一般式(a1−r2−2)で表される基を含む構成単位がより好ましい。
(A”1)成分における構成単位(a1)が前記構成単位(a”22−2)の場合、上述した一般式(a1−r−1)で表される酸解離性基(アセタール型酸解離性基)を含む構成単位が好ましい。
(A”1)成分における構成単位(a1)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(A”1)成分中、構成単位(a1)の割合は、(A”1)成分を構成する全構成単位の合計に対して20〜50モル%であることが好ましく、20〜45モル%であることがより好ましく、20〜40モル%であることがさらに好ましい。
構成単位(a1)の割合が該範囲の下限値以上であると、パターン反転用組成物とした際に所定のアルカリ溶解性が得られやすくなる。また、解像性が高まり、より良好な形状の反転パターンが得られやすくなる。該範囲の上限値以下であると、他の構成単位とのバランスが良好である。
また、(A”1)成分中、構成単位(a”22−1)の割合は、(A”1)成分を構成する全構成単位の合計に対して20〜40モル%であることが好ましく、20〜35モル%であることがより好ましく、20〜30モル%であることがさらに好ましい。
また、(A”1)成分中、構成単位(a”22−2)の割合は、(A”1)成分を構成する全構成単位の合計に対して30〜50モル%であることが好ましく、30〜45モル%であることがより好ましく、30〜40モル%であることがさらに好ましい。
(A”1)成分としては、上記構成単位(a”1)を有する樹脂成分(以下この樹脂成分を「(A”1−1)成分」という。)が好ましい。
(A”1−1)成分のなかで好適なものとしては、たとえば、構成単位(a”1)と構成単位(a”2)とを有する共重合体が挙げられる。
構成単位(a”1)と構成単位(a”2)とを有する共重合体として、好ましくは、構成単位(a”11)と構成単位(a”21)とを有する共重合体、構成単位(a”11)と構成単位(a1)とを有する共重合体が挙げられる。これらの中でも、構成単位(a”11)と上記一般式(a”21−1)で表される構成単位と構成単位(a”22−1)とを有する共重合体、構成単位(a”11)と構成単位(a”22−2)とを有する共重合体が特に好ましい。
(A”1)成分は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
(A”1)成分としては、特に下記の様な構成単位の組み合わせを含む共重合体が好ましい。
Figure 0006371057
前記式(A”1−11)中、R20、R、p、qは、上記式(a”11−1)におけるR20、R、p、qとそれぞれ同様である。R、rは、上記式(a”21−1)におけるR、rとそれぞれ同様である。複数のR20は同じであっても異なっていてもよい。
R、Va、na1は、上記式(a1−1)におけるR、Va、na1とそれぞれ同様である。Ra’は、上記式(a1−r−2)で表される酸解離性基である。
Figure 0006371057
前記式(A”1−12)中、R20、R、p1、q1は、上記式(a”11−1)におけるR20、R、p、qとそれぞれ同様である。
Ra”は、上記式(a1−r−1)で表される酸解離性基である。
、p2、q2は、上記式(a”11−1)におけるR、p、qとそれぞれ同様である。
複数のR20は同じであっても異なっていてもよい。
(A”1)成分の質量平均分子量(Mw)(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算基準)は、特に限定されるものではなく、1000〜50000が好ましく、1500〜30000がより好ましく、2000〜20000が最も好ましい。この範囲の上限値以下であると、パターン反転用膜を形成する樹脂成分として用いるのに充分な有機溶剤への溶解性があり、この範囲の下限値以上であると、耐ドライエッチング性やパターン断面形状がより良好となる。
また、(A”1)成分の分散度(Mw/Mn)は、特に限定されず、1.0〜5.0が好ましく、1.0〜3.0がより好ましく、1.0〜2.5が最も好ましい。
(A”1)成分は、たとえば、各構成単位を誘導するモノマーを、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)のようなラジカル重合開始剤を用いた公知のラジカル重合等によって重合させることによって得ることができる。
また、主鎖環状型構成単位を有する場合、(A”1)成分は、たとえば特開2006−291177号公報に記載の方法により合成できる。
(A”)成分としては、上述した(A”1)成分以外の基材成分(樹脂又は低分子化合物)を含有していてもよい。
本発明におけるパターン反転用組成物において、(A”)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
パターン反転用組成物中、(A”)成分の含有量は、形成しようとする膜厚等に応じて調整すればよい。
≪他の成分≫
本発明におけるパターン反転用組成物には、上記の(S’)成分及び(A”)成分以外に、さらに所望により、混和性のある添加剤、例えばパターン反転用膜の性能を改良するための付加的樹脂、塗布性を向上させるための界面活性剤、溶解抑制剤、可塑剤、安定剤、着色剤、ハレーション防止剤、染料などを適宜、添加含有させることができる。
なかでも、溶解抑制剤を基材成分(A”)と併用することにより、パターン反転用膜のアルカリ現像液に対する溶解速度を制御できる。
・溶解抑制剤
溶解抑制剤として具体的には、上述したレジスト組成物に配合される(B)成分の説明で例示した、オニウム塩系酸発生剤、が好適に挙げられる。そのなかでもアルカリ現像液に対する溶解抑制の効果に優れ、所定の溶解速度に制御しやすいことから、上記式(b−1)で表される化合物が好ましい。
溶解抑制剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
パターン反転用組成物における溶解抑制剤の含有量は、(A”)成分100質量部に対し、25質量部以下が好ましく、0.1〜20質量部がより好ましく、0.5〜18質量部がさらに好ましい。上記範囲とすることで、パターン反転用膜のアルカリ現像液に対する溶解速度を容易に制御できる。また、均一な溶液が得られ、保存安定性が良好となるため好ましい。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
<第一のレジスト膜形成用のレジスト組成物の調製>
表1に示す各成分を混合して溶解し、化学増幅型レジスト組成物を調製した。
Figure 0006371057
表1中の各略号は以下の意味を有する。また、[ ]内の数値は配合量(質量部)である。
(A)−1:下記化学式(A)−1で表される高分子化合物。GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)は12000、分子量分散度(Mw/Mn)は1.94。13C−NMRにより求められた共重合組成比(構造式中の各構成単位の割合(モル比))はl/m/n=30/60/10。
(B)−1:下記化学式(B)−1で表される化合物からなる酸発生剤。
(D)−1:下記化学式(D)−1で表される化合物からなる酸拡散制御剤。
(E)−1:サリチル酸。
(F)−1:下記化学式(F)−1で表される含フッ素高分子化合物。GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)は23100、分子量分散度(Mw/Mn)は1.78。13C−NMRにより求められた共重合組成比(構造式中の各構成単位の割合(モル比))はl/m=77/23。
(S)−1:γ−ブチロラクトン。
(S)−2:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/プロピレングリコールモノメチルエーテル/シクロヘキサノン=45/30/25(質量比)の混合溶剤。
Figure 0006371057
<パターン反転用組成物の調製>
以下に示す各有機溶剤(S−1〜S−4)に、樹脂成分(P−1〜P−12)をそれぞれ混合し、パターン反転用組成物を調製した。
・有機溶剤
S−1:酢酸ブチル(BuAc)。
S−2:ジブチルエーテル(DBE)。
S−3:エチル−3−エトキシプロピオネート(EEP)。
S−4:4−メチル−2−ペンタノール(MIBC)。
・樹脂成分
以下に示す樹脂成分について、質量平均分子量(Mw)は、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の値を示す。共重合組成比(共重合体中の各構成単位の割合(モル比))は、カーボン13核磁気共鳴スペクトル(600MHz_13C−NMR)により求めた割合を示す。
P−1:仕込みモル比がm−クレゾール80モル%と3,4−ジメチルフェノール20モル%との混合物に、シュウ酸及びホルムアルデヒドを加えて縮合反応により得られた、質量平均分子量(Mw)4700のノボラック樹脂(GTR−B6)。
P−2:仕込みモル比がm−クレゾール40モル%とp−クレゾール20モル%と2,5−ジメチルフェノール40モル%との混合物に、シュウ酸及びホルムアルデヒドを加えて縮合反応により得られた、質量平均分子量(Mw)3900のノボラック樹脂(GTR−A5)。
P−3:下記化学式(P−3)で表される共重合体(FaHOa)。質量平均分子量(Mw)は7000、共重合組成比(モル比)はl/m/n=50/20/30。
P−4:下記化学式(P−4)で表される共重合体(A07)。質量平均分子量(Mw)は14500、共重合組成比(モル比)はl/m=60.5/39.5。
P−5:下記化学式(P−5)で表される共重合体(E25)。質量平均分子量(Mw)は10000、共重合組成比(モル比)はl/m=74/26。
Figure 0006371057
P−6:下記共通の化学式で表される共重合体(TT−05H)。質量平均分子量(Mw)は10000、共重合組成比(モル比)はl/m/n=60/35/5。
P−7:下記共通の化学式で表される共重合体(TT−15H)。質量平均分子量(Mw)は10000、共重合組成比(モル比)はl/m/n=60/25/15。
P−8:下記共通の化学式で表される共重合体(TT−15C)。質量平均分子量(Mw)は10000、共重合組成比(モル比)はl/m/n=65/20/15。
P−9:下記共通の化学式で表される共重合体(TT−15L)。質量平均分子量(Mw)は10000、共重合組成比(モル比)はl/m/n=70/15/15。
P−10:下記共通の化学式で表される共重合体(TT−25H)。質量平均分子量(Mw)は10000、共重合組成比(モル比)はl/m/n=60/15/25。
P−11:下記共通の化学式で表される共重合体(TT−25C)。質量平均分子量(Mw)は10000、共重合組成比(モル比)はl/m/n=62/13/25。
P−12:下記共通の化学式で表される共重合体(TT−25L)。質量平均分子量(Mw)は10000、共重合組成比(モル比)はl/m/n=70/5/25。
Figure 0006371057
得られたパターン反転用組成物(樹脂濃度3質量%)、及び、そのパターン反転用組成物により形成されるパターン反転用膜のアルカリ現像液に対する溶解速度(nm/秒)を表2〜4に示した。
尚、有機溶剤としてS−2:ジブチルエーテル(DBE)に、樹脂成分P−1〜P−5をそれぞれ混合したところ、樹脂成分がS−2に溶解せず、パターン反転用組成物を調製することができなかった。このため、有機溶剤としてS−2と、樹脂成分としてP−6〜P−12と、を用いる場合については、パターン反転用組成物の調製を行っていない。
<パターン反転用膜のアルカリ現像液に対する溶解速度の測定>
8インチのシリコンウェーハ上に、パターン反転用組成物を、スピンコート(1500rpm)により塗布し、ホットプレート上で、加熱温度90℃で60秒間のベーク処理を行い乾燥することにより、膜厚100nmのパターン反転用膜を形成した。
次いで、当該パターン反転用膜を、23℃にて2.38質量%TMAH水溶液「NMD−3」(商品名、東京応化工業社製)を用いて、LDノズルで30秒間アルカリ現像した。
そして、当該アルカリ現像の前後の膜厚を、それぞれナノスペック(ナノメトリクス社製)により測定し、当該パターン反転用膜のアルカリ現像液に対する溶解速度(単位時間当たりの膜減り量、単位:nm/s)を求めた。その結果を表2〜4に併記した。
Figure 0006371057
Figure 0006371057
Figure 0006371057
<反転パターンの形成(1)>
レジスト組成物として上記レジスト組成物(1−1)を用い、パターン反転用組成物として上記パターン反転用組成物(2−1)〜(2−36)をそれぞれ用いて、スペースアンドラインのレジストパターン(以下「SLパターン」という。))の反転パターン形成を以下のようにして行った。
(実施例1〜9、比較例1〜27)
[工程(1)]
有機系反射防止膜組成物「ARC29A」(商品名、ブリュワーサイエンス社製)を、スピンナーを用いて8インチのシリコンウェーハ上に塗布し、ホットプレート上で、205℃で60秒間焼成して乾燥させることにより、膜厚89nmの有機系反射防止膜を形成した。
該有機系反射防止膜上に、上記レジスト組成物(1−1)を、スピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で、110℃で50秒間のプレベーク(PAB)を行い、乾燥することにより、膜厚85nmのレジスト膜(第一のレジスト膜)を形成した。
次に、該第一のレジスト膜に対し、液浸用ArF露光装置NSR−S609B[Nikon社製;NA(開口数)=1.07,Annular in0.78/out0.97,Ratio0.80,液浸媒体:水]により、フォトマスク(6%ハーフトーン)を介して、ArFエキシマレーザー(193nm)を選択的に照射した。
そして、90℃で50秒間の露光後加熱(PEB)処理を行った。
次に、23℃にて、現像液として酢酸ブチルを用いて13秒間の溶剤現像を行い、その後、振り切り乾燥を行った。
その結果、スペース幅55nm/ピッチ110nm、膜厚85nmのSLパターンが形成された。
[工程(2)]
次いで、前記SLパターンの膜厚t1とパターン反転用膜の膜厚t2との比を、表5に示す「膜厚t2/膜厚t1」に設定して、パターン反転用膜の形成を行った。具体的には、前記SLパターンが形成された該有機系反射防止膜上に、上記パターン反転用組成物(2−1)〜(2−36)を、スピンナーを用いてそれぞれ塗布し、ホットプレート上で、90℃で60秒間のプレベーク(PAB)を行い、乾燥することにより樹脂膜(パターン反転用膜)を形成した。
次に、23℃にて2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液「NMD−3」(商品名、東京応化工業社製)を用いて20秒間のアルカリ現像を行った。
かかるアルカリ現像後のパターン形成の結果を表5に示す。
表中、「○」は、工程(1)で形成されたSLパターンの反転パターンが良好に形成されたことを表す。
「△」は、現像ムラはあるものの、該反転パターンが形成されたことを表す。
「×(1)」は、工程(1)で形成されたSLパターンだけでなく、パターン反転用膜も、TMAH水溶液によって溶解除去されていたことを表す。
「×(2)」は、パターン反転用膜がTMAH水溶液にほとんど溶解せず、工程(1)で形成されたSLパターンもパターン反転用膜も、TMAH水溶液によって溶解除去されずに残っていたことを表す。
「−」は、樹脂成分が有機溶剤に溶解せず、パターン反転用組成物を調製することができなかったことを表す。
Figure 0006371057
実施例1〜9のパターン形成方法においては、第一のレジスト膜に形成された前記SLパターンのライン部分がTMAH水溶液に溶解して除去されると共に、前記SLパターンのスペース部分に、前記パターン反転用膜に由来するラインが形成されることにより、前記SLパターンの反転パターンが形成された。
実施例1〜9のパターン形成方法における、パターン反転用膜のアルカリ現像液に対する溶解速度は、1.0〜3.5nm/sの範囲内にあることが確認できる。
<反転パターンの形成(2)>
レジスト組成物として上記レジスト組成物(1−1)を用い、パターン反転用組成物として上記パターン反転用組成物(2−10)を用いて、ドット(ピラー)状のレジストパターンの反転パターン(ホールパターン)形成を以下のようにして行った。
(実施例10)
[工程(1)]
有機系反射防止膜組成物「ARC29A」(商品名、ブリュワーサイエンス社製)を、スピンナーを用いて8インチのシリコンウェーハ上に塗布し、ホットプレート上で、205℃で60秒間焼成して乾燥させることにより、膜厚89nmの有機系反射防止膜を形成した。
該有機系反射防止膜上に、上記レジスト組成物(1−1)を、スピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で、90℃で50秒間のプレベーク(PAB)を行い、乾燥することにより、膜厚85nmのレジスト膜(第一のレジスト膜)を形成した。
次に、該第一のレジスト膜に対し、液浸用ArF露光装置NSR−S609B[Nikon社製;NA(開口数)=1.07,Annular in0.78/out0.97,Ratio0.80,液浸媒体:水]により、フォトマスク(6%ハーフトーン)を介して、ArFエキシマレーザー(193nm)を選択的に照射した。
そして、95℃で50秒間の露光後加熱(PEB)処理を行った。
次に、23℃にて、現像液として酢酸ブチルを用いて13秒間の溶剤現像を行い、その後、振り切り乾燥を行った。
その結果、直径50nm/ピッチ120nm、膜厚85nmのドット(ピラー)状のレジストパターンが形成された。
[工程(2)]
次いで、前記ドット(ピラー)状のレジストパターンの膜厚t1とパターン反転用膜の膜厚t2との比を、膜厚t2/膜厚t1=0.59に設定して、パターン反転用膜の形成を行った。具体的には、前記ドット(ピラー)状のレジストパターンが形成された該有機系反射防止膜上に、上記パターン反転用組成物(2−10)を、スピンナーを用いてそれぞれ塗布し、ホットプレート上で、90℃で60秒間のプレベーク(PAB)を行い、乾燥することにより樹脂膜(パターン反転用膜)を形成した。
次に、23℃にて2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液「NMD−3」(商品名、東京応化工業社製)を用いて20秒間のアルカリ現像を行った。
実施例10のパターン形成方法により、第一のレジスト膜に形成された前記ドット(ピラー)状のレジストパターンのドット(ピラー)部分がTMAH水溶液に溶解して除去され、反転パターンとして、ホール直径が約50nm/ピッチが約120nm/高さが約47nmのコンタクトホールパターンが良好な形状で形成された。
<反転パターンの形成(3)>
レジスト組成物として上記レジスト組成物(1−1)を用い、パターン反転用組成物として上記パターン反転用組成物(2−10)を用いて、大面積パターンの反転パターン形成を以下のようにして行った。
(実施例11)
[工程(1)]
有機系反射防止膜組成物「ARC29A」(商品名、ブリュワーサイエンス社製)を、スピンナーを用いて8インチのシリコンウェーハ上に塗布し、ホットプレート上で、205℃で60秒間焼成して乾燥させることにより、膜厚89nmの有機系反射防止膜を形成した。
該有機系反射防止膜上に、上記レジスト組成物(1−1)を、スピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で、90℃で50秒間のプレベーク(PAB)を行い、乾燥することにより、膜厚85nmのレジスト膜(第一のレジスト膜)を形成した。
次に、該第一のレジスト膜に対し、液浸用ArF露光装置NSR−S609B[Nikon社製;NA(開口数)=1.07,Annular in0.78/out0.97,Ratio0.80,液浸媒体:水]により、フォトマスク(6%ハーフトーン)を介して、ArFエキシマレーザー(193nm)を選択的に照射した。
そして、95℃で50秒間の露光後加熱(PEB)処理を行った。
次に、23℃にて、現像液として酢酸ブチルを用いて13秒間の溶剤現像を行い、その後、振り切り乾燥を行った。
その結果、大面積パターンとして、数字の5が描かれたレジストパターン(数字の大きさ:縦10μm×横10μm程度、数字部分の太さ:1.5μm程度、レジスト膜が除去されたところ(未露光部)が数字部分となっている、膜厚(露光部の高さ)85nm)が形成された。
[工程(2)]
次いで、前記数字の5が描かれたレジストパターンの膜厚t1とパターン反転用膜の膜厚t2との比を、膜厚t2/膜厚t1=0.59に設定して、パターン反転用膜の形成を行った。具体的には、前記数字の5が描かれたレジストパターンが形成された該有機系反射防止膜上に、上記パターン反転用組成物(2−10)を、スピンナーを用いてそれぞれ塗布し、ホットプレート上で、90℃で60秒間のプレベーク(PAB)を行い、乾燥することにより樹脂膜(パターン反転用膜)を形成した。
次に、23℃にて2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液「NMD−3」(商品名、東京応化工業社製)を用いて20秒間のアルカリ現像を行った。
実施例11のパターン形成方法により、第一のレジスト膜に形成された前記数字の5が描かれたレジストパターンの、数字部分以外の部分がTMAH水溶液に溶解して除去され、数字の5が描かれたレジストパターン(数字の大きさ:縦10μm×横10μm×高さ47μm程度、数字部分の太さ:1.5μm程度、パターン反転用膜の残像が数字部分となっている)が良好に形成された。
すなわち、工程(1)で形成された、数字の5が描かれたレジストパターン(大面積パターン)の反転パターンが良好な形状で形成された。
1 支持体、
2 第一のレジスト膜、
3 フォトマスク、
6 パターン反転用膜。

Claims (1)

  1. 支持体上に、露光により有機溶剤に対する溶解性が減少するレジスト組成物を塗布して、第一のレジスト膜を形成し、該第一のレジスト膜を露光し、該露光後の第一のレジスト膜を、有機溶剤を含有する現像液を用いたネガ型現像によりパターニングして、第一のレジストパターンを形成する工程(1)と、前記第一のレジストパターンが形成された前記支持体上に、前記第一のレジストパターンを溶解しない有機溶剤を含有するパターン反転用組成物を塗布して、パターン反転用膜を形成し、アルカリ現像液を用いたアルカリ現像により、前記第一のレジストパターンを除去しつつ該パターン反転用膜をパターニングして、パターンを形成する工程(2)とを有し、
    前記パターン反転用膜の前記アルカリ現像液に対する溶解速度が1.0〜3.5nm/sであり、
    前記パターン反転用組成物は、第一のレジストパターンを溶解しない有機溶剤(S’)とパターン反転用膜を構成する基材成分(A”)とを含有し、
    前記基材成分(A”)は、極性基として水酸基、シアノ基、カルボキシ基、塩基解離性基、下記一般式(f2−0−1)で表される基、下記一般式(f2−0−2)で表される基、及び下記一般式(f2−0−3)で表される基からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む構成単位(a”1)を有する樹脂成分(A”1)を含有する(但し、前記パターン反転用組成物は、シロキサン結合を有する有機珪素化合物を含有するものを除く)
    ことを特徴とする、パターン形成方法。
    Figure 0006371057
    [式(f2−0−1)中、Qは2価の連結基又は単結合であり、Rはフッ素化アルキル基である。式(f2−0−2)中、Q及びRはいずれも前記と同じである。式(f2−0−3)中、R51,R52はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子、又は炭素数1〜5のフッ素化アルキル基であり、m,nはそれぞれ独立して0〜5の整数(ただし、m+n≧1)であり、qは0〜5の整数である。]
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