JP5181878B2 - 溶銑製造方法 - Google Patents
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Description
上記のようなシャフト型溶解炉では、各羽口を構成する羽口管の先端側が、炉壁内面から炉内方向に挿入された構造(炉内方向に突き出た構造)となっている。このような構造とすることにより、炉壁への熱負荷が小さくなるので、炉壁構造を簡便にすることができ、鉄皮と簡単な水冷構造だけで設備の長期耐久性を保持できる利点がある。
したがって本発明の目的は、このような従来技術の課題を解決し、送風空気を炉径方向に対して均一に供給することで、炉腹断面積当たりの炭材の燃焼・発熱状態を均一化させ、溶銑を高い生産性で製造することができるシャフト型溶解炉を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、そのようなシャフト型溶解炉を用いて、溶銑を高い生産性で安定的に製造することができる溶銑製造方法を提供することにある。
[1] 炉下部周方向の複数箇所に羽口を有し、該羽口位置での炉内径が2〜4mであり、炉頂部から鉄源と炭材を装入し、前記複数の羽口から熱風を吹き込み、炭材の燃焼熱で鉄源を溶解することにより溶銑を製造するシャフト型溶解炉であって、
炉下部周方向において異なる箇所に設けられた複数の羽口は、少なくとも2種類の異なる羽口管挿入深さL(但し、炉壁内面と羽口管先端との間の水平方向距離)を有する羽口からなり、該異なる羽口管挿入深さLを有する羽口として、少なくとも、羽口管挿入深さLと炉稼働面の半径Rとの比L/Rが0以上0.2未満の羽口と、羽口管挿入深さLと炉稼働面の半径Rとの比L/Rが0.2以上0.4以下の羽口を備え、且つ、前記異なる羽口管挿入深さLを有する羽口は、羽口管挿入深さLと羽口レベルでの炉稼働面の半径Rとの比L/Rの差が0.05以上であるシャフト型溶解炉を用い、
主たる鉄源として、鉄系スクラップ、鉄含有ダストおよび/または鉄含有スラッジの塊成化物の1種以上を炉に装入することを特徴とする溶銑製造方法。
[3]上記[1]または[2]の溶銑製造方法において、シャフト型溶解炉は、羽口管挿入深さLと炉稼働面の半径Rとの比L/Rが0〜0.05の羽口を有し、炉壁が断熱構造を有することを特徴とする溶銑製造方法。
また、異なる羽口管挿入深さLを有する羽口について、羽口管挿入深さLと炉稼働面の半径Rとの比L/Rを最適化すること、さらには、羽口を炉径方向で対向するように設け、該対向する羽口が同一の羽口管挿入深さLを有し、炉周方向で隣接する羽口が異なる羽口管挿入深さLを有するように構成することにより、送風空気を炉径方向に対してより均一に供給することができ、炉腹断面積当たりの燃焼・発熱状況をより均一化させ且つ炭材充填層の有効発熱面積をより広くすることができる。
また、以上のようなシャフト型溶解炉を用いた本発明の溶銑製造方法によれば、溶銑を高い生産性で安定的に製造することができる。
使用する鉄源としては、鉱石類、鉄系スクラップ、鉄含有ダストまたは/および鉄含有スラッジの塊成化物などの1種以上が使用され、また炭材としては、一般にコークスが用いられる。したがって、本発明が対象とするシャフト型溶解炉には高炉も含まれるが、特に本発明は、後述するような理由により、鉄源として鉄含有ダストまたは/および鉄含有スラッジの塊成化物(以下、説明の便宜上「鉄含有ダスト/スラッジ塊成化物」という。)を用いるシャフト型溶解炉に好適なものである。なお、鉄含有ダスト/スラッジ塊成化物などの炉装入物については後に詳述する。
図において、1は炉体、2は炉頂に設けられる原料装入部、3は炉下部の周方向において適当な間隔で設けられる複数の羽口(送風羽口)、4はこの羽口3に熱風を供給する熱風管、5は炉体上部に接続される排気ダクト、6は前記排気ダクト5の途中に設けられる集塵装置である。
ここで、炉腹断面内でのガス流れの偏りを抑制するためには、羽口の設定位置を、炉の中心軸に対する回転対称ないしは炉の中心軸を含む面を対称面とする対称形とすることが望ましい。また、より好ましくは、羽口数を偶数本とし、この複数の羽口を炉周方向に等間隔で設けることである。
このため、炉腹断面積当たりの炭材の燃焼・発熱状態を均一化させ且つ炭材充填層の有効発熱面積を広くすることができる。
この実施形態では、炉周方向において等間隔で8本の羽口3が設けられているが、羽口管挿入深さLが異なる羽口3a(羽口管挿入深さL1:大)と羽口3b(羽口管挿入深さL2:小)が炉周方向で交互に配置されている。したがって、この実施形態では、炉径方向で対向する羽口3a(または3b)は同一の羽口管挿入深さL1(またはL2)を有し、且つ同じ羽口管挿入深さL1(またはL2)を有する4本の羽口3a(または3b)は炉周方向で90°の関係で配置されていることになる。図中、4本の羽口3aからなる羽口群の炉径方向での送風位置をAで、また、4本の羽口3bからなる羽口群の炉径方向での送風位置をBで示す。
なお、本実施形態では、2種類の異なる羽口管挿入深さL1,L2を有する羽口3a,3bを配置したが、3種類以上の異なる羽口管挿入深さLを有する羽口3を配置してもよい。
(a)異なる羽口管挿入深さLを有する羽口3は、それらのL/Rの差を0.05以上とする。
(b)異なる羽口管挿入深さLを有する羽口として、少なくとも、L/Rが0以上0.2未満の羽口と、L/Rが0.2以上0.4以下の羽口を備える。
ここで、炉の稼働面の半径とは、新炉の状態での炉内半径を指す。水冷構造であれば、旧炉でも稼働面位置が変わらないが、耐火物面の場合には、耐火物の損耗によって稼働面が羽口近傍レベルでは変化する。しかしながら、竪型炉の充填層の大部分を構成する上部から中間部分までに関しては、旧炉でも稼働面に殆ど変化がないので、充填層内のガス流れの状況を羽口管挿入深さLで設定・調整するという意味で、新炉稼働面をベースとすればよい。
さらに、羽口3bのL/Rが0以上0.2未満、羽口3aのL/Rが0.2以上0.4以下であることが好ましい。羽口3aのL/Rを0.2以上とすることにより、炉内径Dが充填層の炭材粒径(調和平均粒径)dpに対して相対的に大きい、D/dp≧30のような条件であっても、炉中心部領域に送風空気・酸素を到達させることができる。L/Rが0.4を超えるような条件では、充填層中を流れ落ちてくる流鉄による羽口へのアタックで羽口が損耗しやすく、また、水冷羽口からの抜熱量も大きくなる。一方、羽口3bのL/Rに関しては、炉壁近傍に送風空気が回るようにするには、羽口管挿入深さLをできるだけ小さくすることが望ましいが、炉壁への熱負荷が大きくなる。炉壁を断熱構造とする場合には、L/R≒0近傍まで小さくすることが可能であるが、簡易的水冷壁においては、炉壁近傍から少し離して、炉壁熱負荷を軽減できる範囲となる、L/Rが0より大きく0.2未満の領域が好ましい。
図3は、図2に示す実施形態において、羽口3aのL/Rを0.25、羽口3bのL/Rを0.15とした場合における羽口送風による炉径方向での酸素供給量の分布を模式的に示したものである。図において、aが羽口3aからの送風による酸素供給量、bが羽口3bからの送風による酸素供給量である。この両羽口3a、3bの酸素供給量分布を合わせたのがxであり、炉径方向で酸素供給量が均一化していることが判る。
この溶銑製造方法では、炉頂部2から鉄源と炭材を装入し、羽口3から熱風を吹き込み、炭材の燃焼熱で鉄源を溶解することにより溶銑を製造する。
炉に装入する炭材(コークスなど)の調和平均粒径dpは、炉内径Dに対してD/dp≧30、好ましくはD/dp≧40、より好ましくはD/dp≧50を満足することが望ましい。dpの小さい炭材の方が安価であるので、できるだけD/dpの大きい条件で操業することが、経済性の面からは好ましい。一方で、D/dpが大きいほど、炉中心部側には送風空気(酸素)が届きにくくなるので、炉中心部側での燃焼・発熱が不十分となるとともに、カーボンソリューションロス反応による吸熱が進みやすくなり、炉腹断面積当たりの生産性が低減傾向となる。したがって、本発明はこのようなD/dpの大きい条件において、その有用性が特に大きいと言える。
鉄源とコークスは、炉内に同時に装入してもよいし、交互に装入してもよい。また、主たる炉装入原料は、鉄系スクラップ、鉄含有ダスト/スラッジ塊成化物の1種以上の鉄源とコークスであるが、それ以外に、例えば、銑鉄、還元鉄、鉄鉱石等の鉄源、木炭や無煙炭等の炭材などを装入してもよい。
また、前記鉄含有スラッジは、酸化鉄及び/又は金属鉄を含むスラッジであり、その種類に特に制限はないが、上述したような各種ダストが湿式集塵機で捕集されることでスラッジ化したものが、代表例として挙げられる。
前記水硬性バインダーとしては、例えば、ポルトランドセメント、高炉セメント、アルミナセメント、フライアッシュセメントなどの各種セメント、高炉水砕スラグ微粉末、生石灰などの1種以上を用いることができる。原料中の水硬性バインダーの配合量は、強度の発現及びスラグ生成量の抑制の観点から、一般に2〜25mass%程度とすることが好ましい。
また、生成するスラグ量をなるべく少なくするという観点から、原料中でのSiO2、Al2O3、CaO、MgOの合計量を25mass%以下とすることが好ましい。当然、これら成分は水硬性バインダーなどに含有されるものも含まれる。
水の量は原料の配合によっても異なるが、成形時に圧縮しても水がしみ出てこない最大水量が望ましい。定量的には、JIS−A−1101(コンクリートのスランプ測定方法)に準じた測定においてスランプが0である最大水量となるように調整することが好ましい。水の量が少なすぎると適切に成形できず、また水硬性バインダーの硬化も進行しない。一方、水の量が多すぎて成形時に水がしみ出てくると、その水の処理などに特別な対応が必要になるからである。
成形物の形状は任意であるが、炉に装入した際の粉化をなるべく抑えるために角部が少ない方が好ましい。また、成形物の大きさも任意であるが、あまり小さいと竪型溶解炉に装入した際に炉の圧力損失を増大させ、一方、あまり大きいと竪型溶解炉に装入した際に塊成化物の中心部の昇温遅れによる還元・溶解遅れを生じるので、一般には容積で20〜2000cm3程度のサイズが好ましい。
また、鉄含有ダスト/スラッジ塊成化物としては、上述したような水硬性バインダーを用いて成形体を水和硬化させる製法以外の方法で製造されたものでもよい。
鉄源には鉄系スクラップ90mass%+鉄含有ダスト/スラッジ塊成化物10mass%を用い、炭材には鋳物コークス40mass%+篩目40mmで篩った篩上の高炉コークス60mass%を用い、出銑温度1500〜1550℃、コークス比130〜200kg/t・pigの条件で操業を行った。
また、発明例3,4と比較例2では、羽口内に酸素噴射管を配置し、この酸素噴射管から炉内に向けて酸素を噴射することにより送風酸素富化を行った。
2 原料装入部
3,3a,3b 羽口
4 熱風管
5 排気ダクト
6 集塵装置
10 炉壁
30 羽口管
31 羽口先端
100 炉壁内面
Claims (3)
- 炉下部周方向の複数箇所に羽口を有し、該羽口位置での炉内径が2〜4mであり、炉頂部から鉄源と炭材を装入し、前記複数の羽口から熱風を吹き込み、炭材の燃焼熱で鉄源を溶解することにより溶銑を製造するシャフト型溶解炉であって、
炉下部周方向において異なる箇所に設けられた複数の羽口は、少なくとも2種類の異なる羽口管挿入深さL(但し、炉壁内面と羽口管先端との間の水平方向距離)を有する羽口からなり、該異なる羽口管挿入深さLを有する羽口として、少なくとも、羽口管挿入深さLと炉稼働面の半径Rとの比L/Rが0以上0.2未満の羽口と、羽口管挿入深さLと炉稼働面の半径Rとの比L/Rが0.2以上0.4以下の羽口を備え、且つ、前記異なる羽口管挿入深さLを有する羽口は、羽口管挿入深さLと羽口レベルでの炉稼働面の半径Rとの比L/Rの差が0.05以上であるシャフト型溶解炉を用い、
主たる鉄源として、鉄系スクラップ、鉄含有ダストおよび/または鉄含有スラッジの塊成化物の1種以上を炉に装入することを特徴とする溶銑製造方法。 - シャフト型溶解炉は、羽口を炉径方向で対向するように設け、該対向する羽口は同一の羽口管挿入深さLを有し、炉周方向で隣接する羽口は異なる羽口管挿入深さLを有することを特徴とする請求項1に記載の溶銑製造方法。
- シャフト型溶解炉は、羽口管挿入深さLと炉稼働面の半径Rとの比L/Rが0〜0.05の羽口を有し、炉壁が断熱構造を有することを特徴とする請求項1または2に記載の溶銑製造方法。
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