JP4255601B2 - 移動通信システムにおける移動局の同期確立方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、移動通信システムにおける移動局の同期確立方法に関し、より詳細には、同期チャネルを複素数のまま同相で平均化してピーク検出を行う移動通信システムにおける移動局の同期確立方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
第3世代移動通信システムの無線アクセス方式であるW−CDMA(Wide-band Code Division Multiple Access)方式においては、移動局がある基地局からの下り信号を検出し、かつ同期確立を行う目的で、基地局から送信される同期チャネル(Synchronisation CHannel; SCH)が下り信号に多重されている。(3GPP Technical Specification 25.211参照)。
【0003】
通常、SCHは移動局側に既知の周波数およびタイムスロット、コードで、かつ既知のシンボルパターンで送信される。移動局は、同期確立すなわちSCHのタイミング検出を行うために、これらの周波数およびタイムスロット、コードおよびシンボルパターンで相関検出を行い、最も確からしいタイミングをもってSCHのタイミングを特定する。
【0004】
図2は、従来例における電力平均方法を示す。ここで、201は、移動局の相関器からの出力であり、同期捕捉を行うために基地局から送信される同期チャネルの相関値である。203は、同期チャネルの相関値を電力化するための電力化装置である。また、205は、同期チャネルの1周期の相関値についてピークを検出するためのピーク検出器である。
【0005】
SCHは所定の周期(出力値のピークを与える時間間隔)で繰り返し送信される。以下、この周期が1スロットであるとする。通常、雑音や干渉、受信電力変動などの影響を軽減するため、移動局はSCHの相関値を複数スロット分平均化する。従来は、移動局は相関器の出力を1スロットごとに電力化してから平均化を行っていた(電力平均)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
移動通信の伝搬路は、干渉や雑音が存在し、移動局におけるSCHの信号電力対雑音電力比(S/N)は一般に非常に小さい。一方、SCHはユーザ情報を伝送しない制御チャネルの一種であるため、システム容量の観点からは、SCHの送信電力や送信時間を極力小さくすることが望まれる。このように厳しい条件下において精度の高い同期確立を行うには、平均化時間を長くすればよい。しかし、平均化時間を長くすると、同期確立に要する時間が長くなってしまう。結果として、移動局の消費電力が大きくなったり、通信中に移動局がセル間を移動したときのセル切り替え制御(ハンドオーバ)に要する時間が長くなったりするという弊害が生じる。
【0007】
また、移動通信システムでは、受信レベルの減衰(フェージング)による受信レベル変動の影響を軽減するために、基地局に2つのアンテナを設置し、信号をある周期で所定のパターンで交互に送信する方法(Time Switched Transmit Diversity; TSTD)が用いられることがある。例えば、SCHにTSTDを適用する場合、SCHが1スロット毎に2つのアンテナから所定のパターンで交互に送信されるとする(3GPP Technical Specification 25.211 参照)。この場合、異なるアンテナから送信された信号の位相は一般に異なるので、同相で平均化することは困難である。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、SCHを同相で平均化することによって雑音や干渉の影響の軽減効果を高め、より高い精度で同期確立を行うこと、あるいは同期確立に要する時間を短縮する移動通信システムにおける移動局の同期確立方法を提供することにある。
【0028】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、移動局が基地局から送信される下り信号を検出した後、該信号に同期を合わせることができるように、該信号が周期的に同期チャネルを含む移動通信システムにおける移動局の同期確立方法において、平均化ウインドウサイズN内で、相関器の出力を複素数のまま同相で平均化して平均化相関値を出力する平均化ステップと、該平均化相関値を電力化して電力化相関値を出力する電力化ステップと、同相平均後の前記電力化相関値を平均化ウインドウ間で更に平均化して電力平均相関値を出力する電力平均ステップと、前記電力平均相関値に基づいてピークを検出するピーク検出ステップとを備え、前記平均化ステップは、前記相関器からの出力を、互いに異なる複数の平均化時間でn通り平均化し、各タイミングにおけるそれぞれの前記平均化ステップの出力を、重み付けして加算することを特徴とする。
【0029】
また、請求項2記載の発明は、移動局が基地局から送信される下り信号を検出した後、該信号に同期を合わせることができるように、該信号が周期的に同期チャネルを含む移動通信システムにおける移動局の同期確立方法において、平均化ウインドウサイズN内で、相関器の出力を複素数のまま同相で平均化して平均化相関値を出力する平均化ステップと、該平均化相関値を電力化して電力化相関値を出力する電力化ステップと、同相平均後の前記電力化相関値を平均化ウインドウ間で更に平均化して電力平均相関値を出力する電力平均ステップと、前記電力平均相関値に基づいてピークを検出するピーク検出ステップとを備え、前記平均化ステップは、前記相関器からの出力を、互いに異なる複数の平均化時間でn通り平均化し、複数の平均化時間におけるそれぞれの前記平均化ステップの最大相関値を、重み付けを行った上で比較し、比較の結果最も大きな相関値を与える平均化ステップの結果を選択して出力することを特徴とする。
【0030】
また、請求項3記載の発明は、移動局が基地局から送信される下り信号を検出した後、該信号に同期を合わせることができるように、該信号が周期的に同期チャネルを含む移動通信システムにおける移動局の同期確立方法において、平均化ウインドウサイズN内で、相関器の出力を複素数のまま同相で平均化して平均化相関値を出力する平均化ステップと、該平均化相関値を電力化して電力化相関値を出力する電力化ステップと、同相平均後の前記電力化相関値を平均化ウインドウ間で更に平均化して電力平均相関値を出力する電力平均ステップと、前記電力平均相関値に基づいてピークを検出するピーク検出ステップとを備え、前記平均化ステップは、適応的に変化する平均化時間に亘って平均化ウインドウサイズN内での平均化を行うことを特徴とする。
【0031】
また、請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明において、前記平均化時間は、前記移動局の移動速度に応じて変化することを特徴とする。
【0032】
また、請求項5記載の発明は、移動局が基地局から送信される下り信号を検出した後、該信号に同期を合わせることができるように、該信号が周期的に同期チャネルを含む移動通信システムにおける移動局の同期確立方法において、平均化ウインドウサイズN内で、相関器の出力を複素数のまま同相で平均化して平均化相関値を出力する平均化ステップと、該平均化相関値を電力化して電力化相関値を出力する電力化ステップと、同相平均後の前記電力化相関値を平均化ウインドウ間で更に平均化して電力平均相関値を出力する電力平均ステップと、前記電力平均相関値に基づいてピークを検出するピーク検出ステップとを備え、前記平均化ステップは、前記移動局の電源投入時、待ち受け中、および通信中のそれぞれの状態で変化する平均化時間に亘って平均化ウインドウサイズN内での平均化を行うことを特徴とする。
【0033】
また、請求項6記載の発明は、移動局が基地局から送信される下り信号を検出した後、該信号に同期を合わせることができるように、該信号が周期的に同期チャネルを含む移動通信システムにおける移動局の同期確立方法において、前記移動局が電源投入時の場合、前記同期チャネルの相関値を電力化してから平均化することにより電力平均相関値を出力する第1の電力平均ステップと、前記移動局が電源投入時以外の場合、平均化ウインドウサイズN内で、相関器の出力を複素数のまま同相で平均化して平均化相関値を出力し、該平均化相関値を電力化して電力化相関値を出力し、同相平均後の前記電力化相関値を平均化ウインドウ間で更に平均化して電力平均相関値を出力する第2の電力平均ステップと、前記第1の電力平均ステップまたは前記第2の電力平均ステップにおいて出力された電力平均相関値に基づいてピークを検出するピーク検出ステップと
を備えることを特徴とする。
【0034】
また、請求項7記載の発明は、請求項6記載の発明において、前記平均化ステップは、前記移動局が待ち受け中の場合と通信中とで異なる平均化時間に亘って平均化ウインドウサイズN内での平均化を行うことを特徴とする。
【0035】
また、請求項8記載の発明は、移動局が基地局から送信される下り信号を検出した後、該信号に同期を合わせることができるように、該信号が周期的に同期チャネルを含む移動通信システムにおける移動局の同期確立方法において、前記移動局が電源投入時および待ち受け中の場合、前記同期チャネルの相関値を電力化してから平均化することにより電力平均相関値を出力する第1の電力平均ステップと、前記移動局が電源投入時および待ち受け中以外の場合、平均化ウインドウサイズN内で、相関器の出力を複素数のまま同相で平均化して平均化相関値を出力し、前記平均化相関値を電力化して電力化相関値を出力し、同相平均後の前記電力化相関値を平均化ウインドウ間で更に平均化して電力平均相関値を出力する第2の電力平均ステップと、前記第1の電力平均ステップまたは前記第2の電力平均ステップにおいて出力された電力平均相関値に基づいてピークを検出するピーク検出ステップとを備えることを特徴とする。
また、請求項9記載の発明は、請求項1〜8のいずれか1項記載の発明において、前記平均化ウインドウサイズNは、前記平均化ウインドウの移動単位Mと等しいことを特徴とする。
また、請求項10記載の発明は、請求項1〜9のいずれか1項記載の発明において、前記平均化ステップは、前記平均化ウインドウ内の前記平均化関値の周期ごとに重み付けを行うことを特徴とする。
【0036】
本発明は、各周期で計算された相関値を、電力化する前に複素数のまま同相で平均化する。その後、電力化してからピーク検出を行う。また、同期チャネルにTSTD(Time Switched Transmit Diversity)が適用されている場合、あるいは設定により適用可能な場合にも、最も同相平均の効果が得られるような構成をとる。さらに、移動通信システムにおける移動機の電源投入時、待ち受け中、通信中の各状態に応じて適切な同期確立方法を選択し、効率的な同期確立動作を行う。
【0037】
これにより、同期確立時間の短縮や、検出精度の改善を図ることが可能となる。
【0038】
【発明の実施の形態】
図1は、SCHの構成を示す。同期チャネルの相関値101には、チャネル推定、送信ウェイトの推定に用いられる個別パイロットシンボル103が配置されており、受信信号電力測定には、このパイロットシンボルが用いられる。111は、時間(タイミング)に対する同期チャネルの相関出力を表したグラフである。
【0039】
SCHは、前述のように移動局に既知の周波数およびタイムスロット、コード、そしてシンボルパターンで送信される。図1の例では、SCHは1スロット周期で送信されている。移動局のピーク検出器205は、考えられるすべてのタイミングにおいて相関器による相関検出を行い、最も相関値の大きなタイミング(ピーク)113を検出する。従来の電力平均においては、図2のように相関器の出力をスロット毎に電力化してから平均化する。
【0040】
図3は、本実施形態における同期確立動作に使用される同相平均方法を示す。
【0041】
同相平均では、図3の例のように相関器の出力を複素数のまま平均化し、その後で電力化する。一般に、電力平均よりも同相平均の方が雑音や干渉に対する平均効果が高い。
【0042】
図4および図5は、平均化ウインドウを用いた同相平均を示す。移動通信の伝搬路では、フェージングなどの影響により信号の位相が激しく変動するため、一般に相関器の出力の位相は予測できない。しかし、フェージングなどによる伝搬路の位相変動の速さと比較して十分短い時間内であれば、位相変動は小さい。したがって、その短い時間間隔の範囲内でのみ同相で平均化することで、従来の電力平均よりも高い平均化効果を得ることができる。図4の例では、相関値201について平均化を行う際の平均化ウインドウサイズNは3スロットであり、平均化ウインドウの移動単位Mは1スロットである。
【0043】
平均化ウインドウサイズ内では、相関器の出力を複素数のまま同相で平均化する。その後、ウインドウ間の位相変動の影響を除去するために電力化が行われ、ウインドウ間での平均化が更に行われることによって、より信頼度の高い結果を出力する。図5の例では、平均化ウインドウサイズNおよび平均化ウインドウの移動単位Mはともに3スロットである。N=Mとすることによって、移動局の同相平均のために必要なバッファサイズは小さくすることができる。すなわち、図4の例では同相平均のために必要なバッファサイズは3スロット分必要であるが、図5の例では1スロット分のバッファサイズで足りる。
【0044】
図6は、図4に示す平均化ウインドウを用いた同相平均において、平均化ウインドウ内で重み付けを行った上で同相平均を行う例を示す。ここで、w0、w1およびw2は、平均化における重み係数である。平均化ウインドウ内の両端側ほど重み係数を小さくすることにより、フェージングなどによる相関値の位相変動の影響を軽減することができる。
【0045】
図7は、指数重み付け同相平均の例を示す。ここで、λは重み係数であり、0〜1の間の値をとる。λが大きくなるほど平均化時間は短くなり、反対にλが大きくなると、過去の相関値をより考慮することになるので、平均化時間は長くなる。指数重み付け同相平均では、同相平均のために必要なバッファは1スロット分のみで足りる。図7の例では、同相平均後の電力平均をM=1スロット毎に行っている。Mを大きくすると、平均化効果は小さくなる。しかし、演算量を削減できるので、ハードウェア上の問題などにより演算量を抑える必要がある場合には、Mを大きくすれば良い。
【0046】
図8および図9は、遅延検波型同相平均の例をそれぞれ示す。遅延検波型同相平均では、あるスロットの相関値の位相を直前のLスロットの相関値を参照信号として補正する(位相をゼロに戻す)。このように位相補正を行うことにより、相関値の位相が揃うこととなる。これらを複素数のまま平均化し、演算器803を使用してその結果の実数部を取り出すことによって、信頼度の高い相関検出ができる。図8の例ではL=1で遅延検波型同相平均を行っている。また、図9は、L=2の場合の例である。
【0047】
図10は、図9の遅延検波型同相平均において、平均化の際に重み付けを行う方法の例を示す。Lが大きいほど(すなわち、参照信号との時間差が大きいほど)重み係数を小さくすることによって、フェージングなどによる相関値の位相変動の影響を軽減することができる。
【0048】
図11は、SCHにTSTDが適用されている場合に対応した平均化ウインドウを用いた同相平均の例を示す。移動局はそれぞれのアンテナからの信号に対してバッファを用意し、同じアンテナから送信されたと推定されるSCHの相関値のみ同相平均する。すなわち、それぞれ1スロットおきに同相平均を行う。また、平均化ウインドウを用いた場合だけでなく、指数重み付け同相平均や遅延検波型同相平均の場合にも同様にそれぞれのアンテナに対してバッファを用意することによって、それぞれ1スロットおきに同相平均を行うことができる。
【0049】
移動局側にとっては、移動通信システムにTSTDが適用されているか否かを認識している場合とそうでない場合とが考えられる。例えば、TSTDの適用が基地局ごとに選択できるような移動通信システムにおいては、少なくとも移動局の電源投入時にはTSTDが適用されているかどうかを移動局側で認識することができない。このようにTSTD−OFF/ONが不明である場合の移動局の同期確立動作としては、以下の3つの方法が考えられる。
【0050】
第1の方法は、TSTD−OFFとTSTD−ONの両方を想定し、2通りの方法で平均化してその結果を合成しまたは選択する方法である。図12は、この方法による同期確立方法を実現するシステムの例を示す。図12の例では、TSTD−OFFを仮定した平均化回路1203と、TSTD−ONを仮定した平均化回路1205とが相関器1301に接続され、相関値合成/選択回路1207を使用して相関出力を合成しまたは選択する。
【0051】
相関値の合成は、例えば各タイミングにおけるそれぞれの平均化回路による出力を、所定の重み付けを行った上で加算することにより行うことができる。また、相関値の選択は、例えばそれぞれの平均化方法による最大相関値を所定の重み付けを行った上で比較し、より大きな相関値を与える平均化回路の出力結果を採用することにより行うことができる。
【0052】
第2の方法は、TSTD−OFFとTSTD−ONを想定した平均化方法を切り替えて用いる方法である。図13は、この方法による同期確立方法を実現するシステムの例を示す。1303は、相関器1301と両平均化回路との接続を切り替えることによって、平均化回路を選択する制御を行う制御部である。切り替え制御の方法としては、平均化回路の選択回数によって平均化回路を切り替える方法がある。例えば、同期確立の試行回数が奇数のときはTSTD−OFFを仮定した平均化回路1203で、偶数の時はTSTD−ONを仮定した平均化回路1205で平均化を行い、平均的な結果が得られるようにする。また、1回目から所定のN回までの同期確立の試行ではTSTD−OFFを想定した平均化を行い、N回の試行終了後まで連続して同期確立できなかった場合には、TSTD−ONであったと判断し、N+1回目以降はTSTD−ONを想定した平均化を行うことによって、より効果が高いTSTD−OFF時の同相平均を優先するなどの方法をとることもできる。
【0053】
第3の方法は、図14に示すように、相関器1401と制御部1405との間にTSTD−OFF/ONを判定する装置(TSTD判定器)1403を設け、平均化を行う前に予めTSTD−OFF/ONの判定を行い、その結果に応じて平均化方法を切り替える方法である。
【0054】
TSTD判定器1403で判定された結果を基に、制御部1405はどちらの平均化回路を用いるかを決定する。TSTD−OFF/ON判定の方法としては、例えば相関値の隣接スロットの相関をとり、相関値が大きければTSTD−ONと判定し、逆に相関値が小さければTSTD−OFFと判定する方法をとることができる。また、移動局が待ち受け中や通信中である場合には、在圏セルからの制御信号などでTSTD判定器1403にTSTD−OFF/ONを通知する方法もある。
【0055】
同相平均においては、一般に平均化時間が長いほど、言いかえれば平均化に使用するスロット数を多くするほど雑音や干渉の平均化効果は大きい。しかし、移動通信の伝搬路はフェージングなどの影響により信号の位相が時々刻々変動するため、平均化時間をあまり長くしすぎると位相変動の影響によりかえってピーク検出特性が劣化することもある。すなわち、伝搬路の状態や移動局の移動速度などに応じて、最適な平均化時間が存在する。そこで、平均化時間を適切に設定することが重要となる。このように、同相平均における平均化時間の設定方法としては、以下の2つの方法が考えられる。
【0056】
第1の方法は、図15に示すように、相関器1501からの出力を、n個の平均化回路1503−1〜1503−nにより異なる平均化時間T0〜Tn-1でn通り平均化を行い、その結果を相関値合成/選択回路1505により合成しまたは選択してピーク検出回路に出力する方法である。合成の方法としては、例えば各タイミングにおけるそれぞれの平均化回路1503の出力を、ある重み付けを行った上で加算する方法をとることができる。また、選択の方法として、例えば平均化回路1503−1〜1503−nのそれぞれの最大相関値を所定の重み付けを行った上で比較し、比較の結果最も大きな相関値を与える平均化回路の結果を採用するという方法が考えられる。
【0057】
第2の方法としては、相関器1601からの出力を平均化する平均化時間を適応的に変化させる方法がある。具体的には、例えば図16に示すように速度検出器1603によって移動局の速度を検出する。その検出結果に応じ、平均化回路203の平均化時間を平均化時間制御部1605により制御する。
【0058】
同期確立動作を行う移動局の状態は、大きく分けると電源投入時、待ち受け中状態、通信中状態の3つに分類できる。これらの各状態により、同期確立動作の対象となる基地局の受信信号の強度や、周波数ドリフトの大きさなど、同期確立動作に関わる条件は異なってくる。このため、各状態に応じて適切な同期確立方法を選択することにより、より高い精度で、またはより短時間で同期確立を行うことができる。従って、一般に各状態で同相平均の平均化時間を制御することは効果的である。
【0059】
また、例えば移動局の電源投入時では、移動局が何ら基地局の信号を受信していないことから、移動局の周波数安定度は一般に低く、同相平均が困難である場合がある。このような場合には、移動局の電源投入時は電力平均とし、待ち受け中や通信中は同相平均を行う方法が有効である。また、待ち受け中状態においても、移動局の消費電力を抑えるために移動局の周波数安定度が低くなってしまうことがある。このような場合には、移動局の電源投入時および待ち受け中は電力平均とし、通信中のみ同相平均を行うのがよい。また、通信中の同期確立動作は、通信中の基地局以外の信号に同期をとる動作となるため、通信中の基地局からの信号が干渉となり、一般に同期確立の対象となる基地局からの信号のS/Nは小さくなることが多い。したがって、同相平均を通信中のみ用い、移動局の電源投入時および待ち受け中は比較的簡単な電力平均を用いるという方法をとることは、移動局のハード構成の簡単化や消費電力削減の観点から効果的である。
【0060】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、同期チャネルを受信した移動局の相関器による出力を同相で平均化するので、従来の電力平均を行う場合よりも雑音や干渉に対する平均化効果が大きく、相関検出の検出確率を高め、および検出に要する時間を短くすることができる。あるいは、検出確率一定のままで、基地局の同期チャネルの送信電力を小さくすることができ、システム容量の向上を図ることができる。したがって、雑音や干渉の影響が軽減された、より精度の高い移動通信システムにおける移動局の同期確立動作を実現することが可能となる。
【0061】
また、本発明によれば、基地局が同期チャネルに関して送信ダイバーシチを適用している場合においても、そうでない場合においても、さらに、送信ダイバーシチの適用および非適用を選択可能な場合などのように、送信ダイバーシチが適用されているか否かが不明の場合においても対応して同相平均を用いることができる。
【0062】
また、本発明によれば、移動局の移動速度などに応じて最適な平均化時間を選び、同相平均をより効果的に行うことができる。
【0063】
更に、本発明によれば、移動局の電源投入時、待ち受け中、および通信中のそれぞれの状態に応じて適切な平均化方法や同相平均化時間を選択することにより、同期確立の精度を高め、もしくは同期確立時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】移動通信システムにおける一般的な同期チャネル送信方法および移動局の相関器出力の例を示す図である。
【図2】従来の電力平均方法を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る同相平均方法を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る平均化ウインドウを用いた同相平均を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る平均化ウインドウを用いた同相平均を示す図である。
【図6】図4の例において平均化ウインドウ内で重み付けを行い同相平均を行う方法を示す図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る指数重み付け同相平均を示す図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る遅延検波型同相平均を示す図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る遅延検波型同相平均を示す図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る重み付けを行う遅延検波型同相平均を示す図である。
【図11】TSTD−ONの場合の平均化ウインドウを用いた同相平均を示す図である。
【図12】TSTD−OFF/ONが不明の場合に、TSTD−OFFとTSTD−ONの両方を想定して平均化を行う方法を示す図である。
【図13】TSTD−OFFを仮定した平均化回路とTSTD−ONを仮定した平均化回路を切り替えて平均化を行う方法を示す図である。
【図14】TSTD−OFFかTSTD−ONかを予め判定し、平均化方法を切り替えて平均化を行う方法を示す図である。
【図15】複数の平均化時間で平均化を行い、その結果を合成または選択する方法を示す図である。
【図16】平均化時間を適応的に変化させる方法を示す図である。
【符号の説明】
101 同期チャネルの相関値
103 個別パイロットシンボル
111 時間に対する同期チャネルの相関出力
113 ピーク
201 同期チャネルの相関値
203 電力化装置
205 ピーク検出器
803 演算器
1201 相関器
1203 TSTD−OFFを仮定した平均化回路
1205 TSTD−ONを仮定した平均化回路
1207 相関出力合成/選択回路
1301 相関器
1303 制御部
1401 相関器
1403 TSTD判定器
1405 制御部
1501 相関器
1503−1 平均化回路(平均化時間T0)
1503−2 平均化回路(平均化時間T1)
1503−n 平均化回路(平均化時間Tn-1)
1505 相関出力合成/選択回路
1601 相関器
1603 速度検出器
1605 平均化時間制御部
w0、w1、w2、λ 重み係数
Claims (10)
- 移動局が基地局から送信される下り信号を検出した後、該信号に同期を合わせることができるように、該信号が周期的に同期チャネルを含む移動通信システムにおける移動局の同期確立方法において、
平均化ウインドウサイズN内で、相関器の出力を複素数のまま同相で平均化して平均化相関値を出力する平均化ステップと、
該平均化相関値を電力化して電力化相関値を出力する電力化ステップと、
同相平均後の前記電力化相関値を平均化ウインドウ間で更に平均化して電力平均相関値を出力する電力平均ステップと、
前記電力平均相関値に基づいてピークを検出するピーク検出ステップと
を備え、前記平均化ステップは、前記相関器からの出力を、互いに異なる複数の平均化時間でn通り平均化し、
各タイミングにおけるそれぞれの前記平均化ステップの出力を、重み付けして加算することを特徴とする同期確立方法。 - 移動局が基地局から送信される下り信号を検出した後、該信号に同期を合わせることができるように、該信号が周期的に同期チャネルを含む移動通信システムにおける移動局の同期確立方法において、
平均化ウインドウサイズN内で、相関器の出力を複素数のまま同相で平均化して平均化相関値を出力する平均化ステップと、
該平均化相関値を電力化して電力化相関値を出力する電力化ステップと、
同相平均後の前記電力化相関値を平均化ウインドウ間で更に平均化して電力平均相関値を出力する電力平均ステップと、
前記電力平均相関値に基づいてピークを検出するピーク検出ステップと
を備え、前記平均化ステップは、前記相関器からの出力を、互いに異なる複数の平均化時間でn通り平均化し、
複数の平均化時間におけるそれぞれの前記平均化ステップの最大相関値を、重み付けを行った上で比較し、比較の結果最も大きな相関値を与える平均化ステップの結果を選択して出力することを特徴とする同期確立方法。 - 移動局が基地局から送信される下り信号を検出した後、該信号に同期を合わせることができるように、該信号が周期的に同期チャネルを含む移動通信システムにおける移動局の同期確立方法において、
平均化ウインドウサイズN内で、相関器の出力を複素数のまま同相で平均化して平均化相関値を出力する平均化ステップと、
該平均化相関値を電力化して電力化相関値を出力する電力化ステップと、
同相平均後の前記電力化相関値を平均化ウインドウ間で更に平均化して電力平均相関値を出力する電力平均ステップと、
前記電力平均相関値に基づいてピークを検出するピーク検出ステップと
を備え、前記平均化ステップは、適応的に変化する平均化時間に亘って平均化ウインドウサイズN内での平均化を行うことを特徴とする同期確立方法。 - 前記平均化時間は、前記移動局の移動速度に応じて変化することを特徴とする請求項3記載の同期確立方法。
- 移動局が基地局から送信される下り信号を検出した後、該信号に同期を合わせることができるように、該信号が周期的に同期チャネルを含む移動通信システムにおける移動局の同期確立方法において、
平均化ウインドウサイズN内で、相関器の出力を複素数のまま同相で平均化して平均化相関値を出力する平均化ステップと、
該平均化相関値を電力化して電力化相関値を出力する電力化ステップと、
同相平均後の前記電力化相関値を平均化ウインドウ間で更に平均化して電力平均相関値を出力する電力平均ステップと、
前記電力平均相関値に基づいてピークを検出するピーク検出ステップと
を備え、前記平均化ステップは、前記移動局の電源投入時、待ち受け中、および通信中のそれぞれの状態で変化する平均化時間に亘って平均化ウインドウサイズN内での平均化を行うことを特徴とする同期確立方法。 - 移動局が基地局から送信される下り信号を検出した後、該信号に同期を合わせることができるように、該信号が周期的に同期チャネルを含む移動通信システムにおける移動局の同期確立方法において、
前記移動局が電源投入時の場合、前記同期チャネルの相関値を電力化してから平均化することにより電力平均相関値を出力する第1の電力平均ステップと、
前記移動局が電源投入時以外の場合、平均化ウインドウサイズN内で、相関器の出力を複素数のまま同相で平均化して平均化相関値を出力し、該平均化相関値を電力化して電力化相関値を出力し、同相平均後の前記電力化相関値を平均化ウインドウ間で更に平均化して電力平均相関値を出力する第2の電力平均ステップと、
前記第1の電力平均ステップまたは前記第2の電力平均ステップにおいて出力された電力平均相関値に基づいてピークを検出するピーク検出ステップと
を備えることを特徴とする同期確立方法。 - 前記平均化ステップは、前記移動局が待ち受け中の場合と通信中とで異なる平均化時間に亘って平均化ウインドウサイズN内での平均化を行うことを特徴とする請求項6記載の同期確立方法。
- 移動局が基地局から送信される下り信号を検出した後、該信号に同期を合わせることができるように、該信号が周期的に同期チャネルを含む移動通信システムにおける移動局の同期確立方法において、
前記移動局が電源投入時および待ち受け中の場合、前記同期チャネルの相関値を電力化してから平均化することにより電力平均相関値を出力する第1の電力平均ステップと、
前記移動局が電源投入時および待ち受け中以外の場合、平均化ウインドウサイズN内で、相関器の出力を複素数のまま同相で平均化して平均化相関値を出力し、前記平均化相関値を電力化して電力化相関値を出力し、同相平均後の前記電力化相関値を平均化ウインドウ間で更に平均化して電力平均相関値を出力する第2の電力平均ステップと、
前記第1の電力平均ステップまたは前記第2の電力平均ステップにおいて出力された電力平均相関値に基づいてピークを検出するピーク検出ステップと
を備えることを特徴とする同期確立方法。 - 前記平均化ウインドウサイズNは、前記平均化ウインドウの移動単位Mと等しいことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項記載の同期確立方法。
- 前記平均化ステップは、前記平均化ウインドウ内の前記平均化関値の周期ごとに重み付けを行うことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項記載の同期確立方法。
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