JP2021084092A - 副生成物の処理方法 - Google Patents

副生成物の処理方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2021084092A
JP2021084092A JP2019216822A JP2019216822A JP2021084092A JP 2021084092 A JP2021084092 A JP 2021084092A JP 2019216822 A JP2019216822 A JP 2019216822A JP 2019216822 A JP2019216822 A JP 2019216822A JP 2021084092 A JP2021084092 A JP 2021084092A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
product
oxide
metal
mass
less
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2019216822A
Other languages
English (en)
Inventor
建 星野
Ken Hoshino
建 星野
久宏 松永
Hisahiro Matsunaga
久宏 松永
陽太郎 井上
Yotaro Inoue
陽太郎 井上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Steel Corp
Original Assignee
JFE Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JFE Steel Corp filed Critical JFE Steel Corp
Priority to JP2019216822A priority Critical patent/JP2021084092A/ja
Publication of JP2021084092A publication Critical patent/JP2021084092A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

【課題】常温のスラグやダスト等の副生成物を加熱溶融させ、金属分と酸化物成分とを有用な材料として分離するとともに、加熱炉を効率的に運用できる副生成物の処理方法を提供する。【解決手段】金属製造工程で発生する副生成物を加熱して副生成物を金属と酸化物とに分離する副生成物の処理方法であって、副生成物は、スラグ、ダスト、スラッジおよび使用後耐火物から選ばれる1種以上であり、副生成物は、電気炉を用いて1500℃以上に加熱された後に別の容器に排出され、容器内で金属アルミニウムおよび金属シリコンから選ばれる1種以上と混合されて金属と酸化物に分離し、酸化物の化学組成は、CaO:17質量%以上59質量%以下、SiO2:17質量%以上53質量%以下、Al2O3:5質量%以上45質量%以下、MgO:2質量%以上20質量%以下、塩基度(CaO/SiO2):0.7以上2.0以下である。【選択図】なし

Description

本発明は、金属製造工程で発生する副生成物の処理方法に関する。
金属精錬工程では、原料中の不純物を高温で金属分と分離するため、大量のスラグ、ダストが発生する。また、金属精錬工程では高温の金属、スラグを保持する容器が必要であり、これら容器に使用される耐火物は経時劣化に伴い廃棄され使用済み耐火物となる。さらに、金属精錬工程で製造された鉄鋼スラブや各種金属のインゴットを、製品へ加工するにあたり、適宜圧延、加工、表面処理等が行われるが、その際に使用された水、油には金属酸化物が含まれこれを分離したスラッジが発生する。その他に、石炭火力発電所等では燃料中の灰分が燃焼後に残り、フライアッシュとして回収されている。
金属製造工程で発生するスラグ、ダスト、使用済み耐火物、スラッジ等の副生成物は、いずれもSiO、Al、CaO、MgO等の金属酸化物を主成分としており、砕石やコンクリート原料として利用することが期待される。しかしながら、これらの副生成物は、その組成に応じて、例えば、CaOやMgOが多いものは経時的に膨張や粉化が生じたり、微小ながら金属成分が溶出する可能性のあるものがあり、有効利用できていないものも少なくなかった。
このような問題に対し、特許文献1には、溶融状態の製鋼スラグにSiO含有物質と還元材とを添加し、還元材の一部または全部として、特殊な条件に適合した廃プラスチックを使用して溶融改質する技術が開示されている。特許文献1には、具体的な手段として、溶滓鍋中に保持された溶融転炉スラグに、浸漬ランスからSiO含有物質と酸素を吹き込むと共に、還元用物質を吹込むことが開示されている。
特開2009−114023号公報
特許文献1に開示された技術は、溶融製鋼スラグに適用するものであるが、金属精錬工程において発生するスラグは、生成直後は溶融しているものの経時的に冷却されて固体状態になっているものがほとんどであり、特許文献1に開示される技術を有効に実施できる機会はあまりない。さらには、金属精錬工程において発生するダストは、固体状態で生成されるので、特許文献1に開示される技術では処理できない。
本発明は、このような従来技術の問題点を鑑みてなされたものであり、その目的は、常温のスラグやダスト等の副生成物を加熱溶融させ、金属分と酸化物成分とを有用な材料として分離するとともに、加熱溶融するための加熱炉を効率的に運用できる副生成物の処理方法を提供することである。
上記課題を解決するための手段は、以下の通りである。
(1)金属製造工程で発生する副生成物を加熱して前記副生成物を金属と酸化物とに分離する副生成物の処理方法であって、前記副生成物は、スラグ、ダスト、スラッジおよび使用後耐火物から選ばれる1種以上であり、前記副生成物は、電気炉を用いて1500℃以上に加熱された後に別の容器に排出され、該容器内で金属アルミニウムおよび金属シリコンから選ばれる1種以上と混合されて金属と酸化物に分離され、前記酸化物の化学組成は、CaO:17質量%以上59質量%以下、SiO:17質量%以上53質量%以下、Al:5質量%以上45質量%以下MgO:2質量%以上20質量%以下、塩基度(CaO/SiO):0.7以上2.0以下である、副生成物の処理方法。
(2)前記副生成物は、金属および遊離炭素から選ばれる1種以上を合計で1質量%以上含有し、前記電気炉は抵抗加熱式電気炉である、(1)に記載の副生成物の処理方法。
(3)前記塩基度(CaO/SiO)は0.7以上1.6以下である、(1)または(2)に記載の副生成物の処理方法。
(4)前記副生成物が別の容器に排出される際に、金属アルミニウムおよび金属シリコンから選ばれる1種以上が、予め別の容器内に投入され、もしくは前記排出と同時に容器内へ投入されて、前記副生成物に混合される、(1)から(3)のいずれか1つに記載の副生成物の処理方法。
(5)前記副生成物が別の容器に排出された後に、金属アルミニウムおよび金属シリコンから選ばれる1種以上が前記副生成物に投入されて混合される、(1)から(3)のいずれか1つに記載の副生成物の処理方法。
(6)前記スラグおよび使用後耐火物は還元材を含有する、(1)から(5)のいずれか1つに記載の副生成物の処理方法。
(7)前記酸化物の化学組成を目標の範囲に調整するために、フライアッシュ、砂および砂利から選ばれる1種以上を前記副生成物に混合し、前記電気炉を用いて1500℃以上に加熱する(1)から(6)のいずれか1つに記載の副生成物の処理方法。
本発明に係る副生成物の処理方法の実施により、加熱炉を効率的に運用しつつ、常温のスラグやダスト等の副生成物を、路盤材やコンクリート等の骨材に利用できる有用な酸化物と、製鉄原料に利用できる有用な金属とに分離できる。
本発明者らは、金属製錬または精錬工程(特に、鉄鋼精錬工程)において発生する副生成物であるスラグ、ダスト、スラッジおよび使用後耐火物には、金属または遊離炭素の何れかあるいは両方を含むものがあることに着目した。副生成物に金属または遊離炭素が含まれていれば、例えば、抵抗加熱式電気炉を用いて副生成物に通電することで発熱させ、常温の副生物であっても部分的に溶融させ、さらに通電することでこれらを全体的に溶融させることができる。あるいは、アーク炉であればアーク熱により副生成物を溶融させることができる。その後、溶融させた副生成物を別の容器に移してスラグやダスト等の副生成物を金属と酸化物に分離させることで、加熱炉を効率的に運用しつつ金属製造工程で発生する副生成物を金属と酸化物とに分離できることを見出して本発明に想到した。以下、発明の実施形態を通じて本発明を説明する。
本実施形態に係る副生成物の処理方法では、電気炉を用いて、副生成物を1500℃以上に加熱する。副生成物を1500℃以上に加熱することで、副生成物を溶融させ、且つ、その後、副生成物を別の容器に移したとしても溶融状態を維持できる。一方、加熱温度が1500℃未満であると、副生成物を別の容器に移した場合に溶融状態を維持できない場合があり、副生成物を酸化物と金属とに十分に分離できず酸化物に残留する金属が多くなる。
酸化物の温度が高いほど粘度が低減し、酸化物と金属との分離が容易となるので、副生成物の加熱温度の上限は特に定めなくてよいが、2000℃程度まで上げても問題はない。副生成物の加熱には投入できるエネルギーが大きく、温度制御が容易である電気炉を用いることが好ましい。電気炉としては、抵抗加熱式電気炉、アーク炉、誘導加熱式電気炉等種々のものが使用できる。アーク炉や誘導加熱式電気炉を用いる場合は、副生成物に溶銑等の溶融金属や金属スクラップ等を加えて処理することもできる。
これら電気炉の中でも抵抗加熱式電気炉を用いることが好ましい。例えば、アーク炉では電極間でアーク放電を行い、そのアーク放電により生じる熱を副生物へ伝熱させて溶融させる必要がある。これに対して、副生成物であるスラグ、ダスト等に金属または遊離炭素が合計で1質量%以上含まれていれば、抵抗加熱式電気炉を用いることで、この金属や遊離炭素中を電気が流れて抵抗発熱し、この熱が直接副生成物に伝熱するので副生成物への伝熱が効率的に行われる。このため、アーク炉で加熱する場合に比べて、五分の一程度の時間で所定温度まで副生成物を昇温させることができる。実施形態における副生成物は、金属製造工程で発生するスラグ、ダスト、スラッジおよび使用後耐火物から選ばれる1種以上である。以後の説明では、電気炉として抵抗加熱式電気炉を用い、副生成物としてスラグおよびダストを用いたとして説明する。
副生成物であるスラグやダストを抵抗加熱式電気炉内に装入する。スラグおよびダストが堆積した炉内に電極を差し込み、電圧を印加する。このとき、スラグおよびダストに金属および遊離炭素が合計で1質量%以上存在することでスラグやダストに部分的に電流が流れ、これにより抵抗熱が発生してスラグやダストが昇温する。
スラグやダストの主成分は金属酸化物なので、溶融状態では電気伝導性を有する。このため、昇温によりスラグやダスト自体が溶融するようになると、流れる電流の量も増加する。これにより発熱量も増加していき、炉内に装入したスラグやダストは1500℃以上に加熱され、スラグやダストは全体的に溶融する。
スラグおよびダストが抵抗加熱式電気炉で溶融された後、溶融状態のスラグおよびダストは抵抗加熱式電気炉から別の容器に排出される。スラグおよびダストは抵抗式加熱炉で1500℃以上に加熱されているので、抵抗式加熱式電気炉から別の容器に排出したとしてもスラグおよびダストの溶融状態が維持される。また、スラグやダストに含まれる鉄や銅、ニッケル等の金属分も溶融して凝集するので、別の容器においてスラグおよびダストを金属と酸化物とに分離できる。別の容器とは、例えば、排滓鍋である。
溶融状態のスラグおよびダストは抵抗加熱式電気炉から別の容器に排出する際に、金属アルミニウムおよび金属シリコンから選ばれる1種以上を溶融状態のスラグおよびダストと混合することで、別の容器の内部で溶融状態のスラグおよびダスト中の未還元の酸化鉄や酸化ニッケル、酸化マンガン、酸化クロムといった金属酸化物を還元して、金属の回収量を増やすことができる。
金属アルミニウムおよび金属シリコンから選ばれる1種以上を予め別の容器内に投入しておき、そこへ溶融状態のスラグおよびダストを排出させてもよい。これにより、溶融状態のスラグおよびダストが当該容器内に排出されて流動する時に、金属アルミニウムや金属シリコンを巻き込ませ、これにより、溶融状態のスラグおよびダスト中に金属アルミニウムや金属シリコンを分散させることができる。
また、溶融状態のスラグおよびダストを別の容器内へ排出する際に、金属アルミニウム、および金属シリコンから選ばれる1種以上を、当該別の容器内へ一緒に投入して、両者を混合、撹拌してもよい。また、溶融状態のスラグおよびダストを別の容器内へ投入した後に、別の容器内へ金属アルミニウム、および金属シリコンから選ばれる1種以上を投入して、混合、撹拌してもよい。この場合、混合、撹拌の手段として、インペラを用いて機械的に混合、撹拌できる。または、別の容器の底部に羽口を設けておき、窒素ガスやアルゴンガス等のガスを羽口から吹込み、上昇するガスにより混合、撹拌してもよい。
本実施形態に係る副生成物の処理方法では、酸化物の化学組成をCaO:17質量%以上59質量%以下、SiO:17質量%以上53質量%以下、Al:5質量%以上45質量%以下MgO:2質量%以上20質量%以下、塩基度(CaO/SiO):0.7以上2.0以下にしている。酸化物の化学組成を上記範囲とすることで、溶融酸化物の粘性が溶融金属と分離するのに好ましい範囲となり、副生成物に含まれる金属と酸化物との分離が容易となる。さらに、酸化物の化学組成を上記範囲とすることで、酸化物の水和膨張も抑制され、路盤材やコンクリート等の骨材にも利用できる有用な材料となる。一方、酸化物の塩基度(CaO/SiO)が2.0より高くなると、溶融酸化物の粘度が高くなって金属と酸化物とが分離しづらくなり、分離後に酸化物に混入する金属が多くなる。また、酸化物の塩基度(CaO/SiO)が2.0より高くなったり、MgOが20質量%より多くなると、酸化物からf−CaOやf−MgOが析出しやすくなり、水和膨張が生じる。
酸化物の塩基度(CaO/SiO)は、0.7以上1.6以下であることが好ましい。酸化物の塩基度度(CaO/SiO)を、0.7以上1.6以下にすることで溶融酸化物の粘度が低くなり、金属と酸化物とがさらに分離し易くなる。さらに、酸化物の冷却過程における酸化物の体積変化や、酸化物からのf−CaOおよびf−MgOの析出が抑制され、これにより、酸化物の粉化を抑制でき、水和膨張をさらに抑制できる。一方、酸化物の塩基度(CaO/SiO)が1.6より高くなると、酸化物の冷却過程での2CaO・SiOの結晶転移(α’型またはβ型からγ型への転移)によって体積が変化しはじめ、これにより、酸化物が粉化するので好ましくない。
さらに、酸化物の化学組成はCaO、SiO、Al、MgOの合計が80質量%以上であることが好ましい。CaO、SiO、Al、MgOの合計が80質量%以上であることは、酸化物に含まれるFeO、FeおよびCrが少ないことを意味する。上記化学組成を満足することで、副生成物に含まれる金属分の多くを金属として分離・回収できることがわかる。
酸化物の化学組成は、抵抗加熱式電気炉に装入するスラグ、ダスト、スラッジおよび使用後耐火物の化学組成を予め確認しておき、装入するスラグ、ダスト、スラッジおよび使用後耐火物の割合を調整することで制御できる。また、酸化物の化学組成を調整する原料として、フライアッシュ、砂および砂利から選ばれる1種以上を更に加えてもよく、これらを加えることで酸化物の化学組成、特に、酸化物の塩基度が適正な範囲になるように制御できる。
ここで、ダストには、酸化物の塩基度をあげつつ回収する粒径を大きくして回収し易くする効果があるものがある。スラッジには、酸化物の塩基後を上げつつ還元を行う効果があるものがある。使用後耐火物には、酸化物の塩基度を下げつつ還元を行う効果があるものがある。フライアッシュ、砂、砂利は酸化物の塩基度を下げる効果があるものがある。これらの効果を考慮しながら、各原料の配合割合を調整しつつ酸化物の化学組成を上記範囲内に制御することで、ガラス化や膨張源を無くし、当該酸化物を路盤材やコンクリート等の骨材に利用できる有用な材料にできる。
また、金属アルミニウムおよび金属シリコンから選ばれる1種以上をスラグおよびダストに混合して金属酸化物の還元操作を別の容器内で行うようにすることで、抵抗加熱式電気炉は副生成物の溶融に専念し、金属分の還元、回収は主として別の容器内で行うことができるので、抵抗加熱式電気炉の稼働率を向上させることができ、本実施形態に係る副生成物の処理方法における副生成物の処理量が増加する。一方、抵抗加熱式電気炉で金属酸化物を還元すると、抵抗加熱式電気炉の耐火物の損耗が著しくなり、耐火物の補修までの間隔が短くなる。これにより、抵抗加熱式電気炉の稼働率が低下するので、本実施形態に係る副生成物の処理方法における副生成物の処理量が減少する。
また、抵抗加熱式電気炉への副生成物の装入は、低温で融液を生成するFeO、MnO、Alを含む原料を先に抵抗加熱式電気炉内に装入し、電圧を印加して溶融させた後に、順次他の原料を装入することが好ましい。これにより、高い効率で副生成物を全体的に溶融できる。さらに、最も低温で融液を生成する原料に加えて、原料全体の融点を低下させる原料を先に装入してもよい。
さらに、抵抗加熱式電気炉の炉壁耐火物保護のために、装入した副生成物の全てを溶解するのではなく、炉壁近傍の副生成物は溶解しないように操業してもよい。例えば、副生成物の全てが溶解しないように抵抗加熱式電気炉の電極を中心に寄せて操業してもよい。このように、炉壁近傍の副生成物は溶解しないように操業することで、セルフライニング層を形成する耐火物の溶損が少なくなり、この結果、耐火物の補修までの間隔が長くなる。なお、副生成物の全量が溶解しないように操業する場合には、溶融した副生成物を別の容器に排出する際に、溶解していない部分が混合しないようにする。
以上説明したように、本実施形態に係る副生成物の処理方法では、副生成物中の酸化物が所定の化学成分になるようにスラグ、ダスト、スラッジおよび使用後耐火物から選ばれる1種以上を配合して抵抗加熱式電気炉に装入し、当該副生成物を1500℃以上に加熱して、副生成物を溶融させる。その後、副生成物を別の容器に排出させ、当該別の容器で副生成物を酸化物と金属とに分離させる。これにより、抵抗加熱式電気炉の稼働率が向上し、本実施形態に係る副生成物の処理方法における副生成物の処理量を増やせる。さらに、副生成物を所定の化学成分の酸化物と金属とに分離できるので、常温の副生成物を路盤材やコンクリート等の骨材に利用できる有用な酸化物と、製鉄原料に利用できる有用な金属とに分離できる。
次に、本発明に係る副生成物の処理方法の実施例を説明する。まず、100kVAの抵抗加熱式電気炉に常温の副生成物を20kg装入し、当該副生成物に電極を差し込み、通電を開始した。電極間の副生成物の溶融が確認された後に原料を追装していき、200kgの副生成物を装入し、1500℃以上の所定温度にした後に別の容器に排出し、当該容器で副生成物に金属アルミニウムまたは金属シリコンを加え、インペラを用いて1時間撹拌して、副生成物を金属と酸化物とに分離した。
副生成物である各原料の化学組成を表1に示す。表1中、製鋼スラグBは、低温で融液を生成する原料である。フライアッシュや使用済耐火物は、原料全体の融点を低下させる原料である。また、Cr鉱石溶融還元炉スラグ、SUSダスト、冷延スラッジ、使用後耐火物およびフライアッシュは、還元材を含有する原料である。使用済耐火物に含まれる還元材は炭化ケイ素(SiC)である。表1中の「<0.1」は含有量が0.1質量%未満であることを示し、「<1」は含有量が1質量%未満であることを示す。また、表1において、化学組成の和が100に満たない材料があるが、この理由は、表1に示した原料が当該化学成分以外の他の成分を含むためである。
Figure 2021084092
発明例1〜36における各原料の配合割合を表2〜5に示す。同様に、比較例1〜19における各原料の配合割合を表6、7に示す。表2〜7における金属アルミニウムおよび金属シリコンはいずれも還元材である。
Figure 2021084092
Figure 2021084092
Figure 2021084092
Figure 2021084092
Figure 2021084092
Figure 2021084092
発明例1〜38における分離後の酸化物および金属の化学組成と酸化物と金属との分離状態を表8、表9に示す。同様に、比較例1〜19における分離後の酸化物および金属の化学組成と、酸化物と金属との分離状態を表10に示す。なお、本実施例では酸化物への金属の混入量が10質量%以下である場合に分離が良好とし、表8〜10の「分離」列に「〇」と記載した。一方、酸化物への金属の混入量が10質量%より多い場合に分離が良好ではないとし、表8〜10の「分離」列に「×」と記載した。また、表8〜10の「<1」は含有量が1質量%未満であることを意味する。
Figure 2021084092
Figure 2021084092
Figure 2021084092
発明例1〜11、37、38は、製鋼スラグA、B、C、Dにダスト、スラッジ、使用後耐火物(耐火物屑Aまたは耐火物屑B)、塩基度調整材(フライアッシュ)および還元材(金属アルミニウムまたは金属シリコン)を加えた発明例である。熱処理温度は1800℃である。発明例1〜11では、別の容器に排出させた後でも副生成物の温度が1400℃となり、金属の混入量10質量%以下で所定の化学成分の酸化物が分離回収でき、路盤材やコンクリート等の骨材として使用できる緻密な酸化物が得られた。また、発明例1〜11では還元材(金属アルミニウムまたは金属シリコン)を加えているので、酸化物中のFeO+Fe濃度は2質量%以下、Cr濃度は1質量%未満となり、酸化物中の金属を十分に回収することができた。なお、本実施例では塩基度調整材としてフライアッシュを用いたが、フライアッシュに代えて、砂、砂利を用いても同様の効果が得られる。
発明例12〜22は、Cr鉱石溶融還元炉スラグにダスト、スラッジ、使用後耐火物(耐火物屑Aまたは耐火物屑B)、塩基度調整材(フライアッシュ)および還元材(金属アルミニウムまたは金属シリコン)を加えた発明例である。熱処理温度は1800℃である。発明例12〜22においても、別の容器に排出させた後でも副生成物の温度が1400℃となり、金属の混入量10質量%以下で所定の化学成分の酸化物が分離回収でき、路盤材やコンクリート等の骨材として使用できる緻密な酸化物が得られた。また、発明例12〜22においても還元材(金属アルミニウムまたは金属シリコン)を加えているので、酸化物中のFeO+Fe濃度は1質量%以下、Cr濃度は1質量%未満となり、酸化物中の金属を十分に回収することができた。
発明例23〜33は、銅スラグにダスト、スラッジ、使用後耐火物(耐火物屑Aまたは耐火物屑B)、塩基度調整材(フライアッシュ)、還元材(金属アルミニウムまたは金属シリコン)を加えた発明例である。熱処理温度は1800℃である。発明例23〜33においても、別の容器に排出させた後でも副生成物の温度が1400℃となり、金属の混入量10質量%以下で所定の化学成分の酸化物が分離回収でき、路盤材やコンクリート等の骨材として使用できる緻密な酸化物が得られた。また、発明例23〜33においても還元材(金属アルミニウムまたは金属シリコン)を加えているので、酸化物中のFeO+Fe濃度は2質量%以下、Cr濃度は1質量%未満となり、酸化物中の金属を十分に回収することができた。
発明例34〜36は、発明例2、16、28と同じの原料配合であって、熱処理温度を1600℃とした発明例である。発明例34〜36においても金属の混入量10質量%以下で所定の化学成分の酸化物が分離回収でき、路盤材やコンクリート等の骨材として使用できる緻密な酸化物が得られた。
比較例1〜5は、製鋼スラグA、Bにスラッジ、使用済耐火物(耐火物屑Aまたは耐火物屑B)および塩基度調整材(フライアッシュ)を加えた比較例である。熱処理温度は1800℃である。比較例1は塩基度が2.1と高く、溶融状態の酸化物が高粘度となり、金属と酸化物とが分離しきらず、酸化物中に金属が多く混入した。また、比較例5は塩基度が6.1と高いために原料を完全に溶融させることができず、金属と酸化物とを分離させることができなかった。比較例2〜4は塩基度が低く溶融状態の酸化物の粘度が低いたために、10℃/minの冷却速度であっても酸化物がガラス化し、路盤材やコンクリート等の骨材として使用できる緻密な酸化物が得られなかった。
比較例6〜11は、Cr鉱石溶融還元炉スラグにダスト、スラッジ、使用後耐火物(耐火物屑Aまたは耐火物屑B)および塩基度調整材(フライアッシュ)を加えた比較例である。熱処理温度は1800℃である。比較例6は基度が2.1と高く、溶融状態の酸化物が高粘度となり、金属と酸化物とが分離しきらず、酸化物中に金属が多く混入した。比較例9はMgO含有量が22質量%と高いために酸化物が高粘度となり、金属と酸化物とが分離しきらず、酸化物中に金属が多く混入した。比較例11は塩基度が6.2と高いために原料を完全に溶融させることができず、金属と酸化物とを分離させることができなかった。比較例7、8、10は塩基度が0.1〜0.6と低く、溶融状態の酸化物の粘度が低いために、10℃/minの冷却速度であってもガラス化し、路盤材やコンクリート等の骨材として使用できる緻密な酸化物が得られなかった。
比較例12〜16は銅スラグにダスト、スラッジ、使用後耐火物(耐火物屑A、耐火物屑B)および塩基度調整材(フライアッシュ)を加えた比較例である。熱処理温度は1550℃である。比較例12は基度が2.1と高く、溶融状態の酸化物が高粘度となり、金属と酸化物とが分離しきらず、酸化物中に金属が多く混入した。比較例16は塩基度が6.2と高いために原料を完全に溶融させることができず、金属と酸化物とを分離させることができなかった。比較例13〜15は塩基度が0.1〜0.6と低く、溶融状態の酸化物の粘度が低いために、10℃/minの冷却速度であってもガラス化し、路盤材やコンクリート等の骨材として使用できる緻密な酸化物が得られなかった。
比較例17は発明例1と同じ原料配合であって、熱処理温度を1450℃にした比較例である。比較例18は発明例13と同じ配合であって、熱処理温度を1300℃にした比較例である。比較例19は発明例25と同じ配合であって、熱処理温度を1000℃にした比較例である。これらの比較例はいずれも熱処理温度が1500℃より低いために、別の容器に排出させた後の温度が1300℃未満となり、原料を完全に溶融させることができず、金属と酸化物とを分離させることができなかった。

Claims (7)

  1. 金属製造工程で発生する副生成物を加熱して前記副生成物を金属と酸化物とに分離する副生成物の処理方法であって、
    前記副生成物は、スラグ、ダスト、スラッジおよび使用後耐火物から選ばれる1種以上であり、
    前記副生成物は、電気炉を用いて1500℃以上に加熱された後に別の容器に排出され、該容器内で金属アルミニウムおよび金属シリコンから選ばれる1種以上と混合されて金属と酸化物に分離され、
    前記酸化物の化学組成は、CaO:17質量%以上59質量%以下、SiO:17質量%以上53質量%以下、Al:5質量%以上45質量%以下MgO:2質量%以上20質量%以下、塩基度(CaO/SiO):0.7以上2.0以下である、副生成物の処理方法。
  2. 前記副生成物は、金属および遊離炭素から選ばれる1種以上を合計で1質量%以上含有し、前記電気炉は抵抗加熱式電気炉である、請求項1に記載の副生成物の処理方法。
  3. 前記塩基度(CaO/SiO)は0.7以上1.6以下である、請求項1または請求項2に記載の副生成物の処理方法。
  4. 前記副生成物が別の容器に排出される際に、金属アルミニウムおよび金属シリコンから選ばれる1種以上が、予め別の容器内に投入され、もしくは前記排出と同時に容器内へ投入されて、前記副生成物に混合される、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の副生成物の処理方法。
  5. 前記副生成物が別の容器に排出された後に、金属アルミニウムおよび金属シリコンから選ばれる1種以上が前記副生成物に投入されて混合される、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の副生成物の処理方法。
  6. 前記スラグおよび使用後耐火物は還元材を含有する、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の副生成物の処理方法。
  7. 前記酸化物の化学組成を目標の範囲に調整するために、フライアッシュ、砂および砂利から選ばれる1種以上を前記副生成物に混合し、前記電気炉を用いて1500℃以上に加熱する請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の副生成物の処理方法。
JP2019216822A 2019-11-29 2019-11-29 副生成物の処理方法 Pending JP2021084092A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019216822A JP2021084092A (ja) 2019-11-29 2019-11-29 副生成物の処理方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019216822A JP2021084092A (ja) 2019-11-29 2019-11-29 副生成物の処理方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2021084092A true JP2021084092A (ja) 2021-06-03

Family

ID=76086459

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019216822A Pending JP2021084092A (ja) 2019-11-29 2019-11-29 副生成物の処理方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2021084092A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2021084845A (ja) * 2019-11-29 2021-06-03 Jfeスチール株式会社 コンクリートの製造方法

Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS61194125A (ja) * 1985-02-23 1986-08-28 Nippon Jiryoku Senko Kk ダスト,スラッジ類と製鋼スラグとの同時処理方法
JPH1036148A (ja) * 1996-07-22 1998-02-10 Sumitomo Metal Ind Ltd 溶銑脱燐スラグの処理方法およびスラグ
JP2005306654A (ja) * 2004-04-21 2005-11-04 Nippon Steel Corp 製鋼スラグの改質方法および改質製鋼スラグ
JP2011006301A (ja) * 2009-06-26 2011-01-13 Nippon Steel Corp 製鋼スラグの処理方法及び改質スラグ
JP2011074441A (ja) * 2009-09-30 2011-04-14 Jfe Steel Corp 製鋼スラグからの鉄及び燐の回収方法
WO2014003123A1 (ja) * 2012-06-27 2014-01-03 新日鐵住金株式会社 製鋼スラグ還元処理方法
JP2014521830A (ja) * 2011-11-29 2014-08-28 ヒュンダイ スチール カンパニー スラグを用いた有価金属回収および多機能性骨材の製造装置
JP2015504978A (ja) * 2012-01-31 2015-02-16 ヒュンダイ スチール カンパニー スラグの還元方法
JP2016145125A (ja) * 2015-02-06 2016-08-12 新日鐵住金株式会社 スラグ製品素材およびその製造方法

Patent Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS61194125A (ja) * 1985-02-23 1986-08-28 Nippon Jiryoku Senko Kk ダスト,スラッジ類と製鋼スラグとの同時処理方法
JPH1036148A (ja) * 1996-07-22 1998-02-10 Sumitomo Metal Ind Ltd 溶銑脱燐スラグの処理方法およびスラグ
JP2005306654A (ja) * 2004-04-21 2005-11-04 Nippon Steel Corp 製鋼スラグの改質方法および改質製鋼スラグ
JP2011006301A (ja) * 2009-06-26 2011-01-13 Nippon Steel Corp 製鋼スラグの処理方法及び改質スラグ
JP2011074441A (ja) * 2009-09-30 2011-04-14 Jfe Steel Corp 製鋼スラグからの鉄及び燐の回収方法
JP2014521830A (ja) * 2011-11-29 2014-08-28 ヒュンダイ スチール カンパニー スラグを用いた有価金属回収および多機能性骨材の製造装置
JP2015504978A (ja) * 2012-01-31 2015-02-16 ヒュンダイ スチール カンパニー スラグの還元方法
WO2014003123A1 (ja) * 2012-06-27 2014-01-03 新日鐵住金株式会社 製鋼スラグ還元処理方法
JP2016145125A (ja) * 2015-02-06 2016-08-12 新日鐵住金株式会社 スラグ製品素材およびその製造方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2021084845A (ja) * 2019-11-29 2021-06-03 Jfeスチール株式会社 コンクリートの製造方法
JP7095674B2 (ja) 2019-11-29 2022-07-05 Jfeスチール株式会社 コンクリートの製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN104039987B (zh) 炼钢炉渣还原处理方法
WO2018014418A1 (zh) 一种混合熔渣熔融还原回收与调质处理的方法
CN1060818C (zh) 生产水硬粘合料、粗钢、金属和/或合金例如铁铬合金或铁钒合金的方法
CN106755654A (zh) 一种熔渣冶金熔融还原生产的方法
CN101538629A (zh) 用粉铬矿冶炼铬铁合金及含铬铁水工艺及设备
JP2008163463A (ja) 含酸化クロムスラグからのクロム金属還元方法
JP4571818B2 (ja) 製鋼スラグの改質方法
JP6230531B2 (ja) 金属クロムの製造方法
SK58495A3 (en) Process for making steel and hydraulically active binders
CN106755658A (zh) 一种含钛熔渣冶金还原生产的方法
JP2021084092A (ja) 副生成物の処理方法
JP2021084091A (ja) 副生成物の処理方法
JP2001316712A (ja) 含クロム滓からのクロム回収方法
JP6451462B2 (ja) クロム含有スラグからのクロム回収方法
KR101691648B1 (ko) 용융환원 전기로(SAF)를 이용한 스테인리스 제강 Dust 중 유가금속 회수방법
JP3965139B2 (ja) 製鋼スラグの改質方法
JP5625654B2 (ja) 溶銑の製造方法
CN107058677A (zh) 一种利用不锈钢电炉渣的冶炼方法
JP7131534B2 (ja) 骨材の製造方法、粗骨材および細骨材
JP5634966B2 (ja) スラグにおける六価クロムの抑制方法
JP2000045008A (ja) 還元金属の製造方法
JP7364899B2 (ja) スラグ還元を伴った冷鉄源の溶解方法
RU2492151C1 (ru) Способ переработки сталеплавильных шлаков с получением цементного клинкера и чугуна
Sviridova et al. Determination of the Basic Parameters of the Recovery Process for Extracting Iron from Iron and Steel Slag
JP7095674B2 (ja) コンクリートの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210623

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20220502

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220517

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220614

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20220802

C60 Trial request (containing other claim documents, opposition documents)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C60

Effective date: 20220921