JP3965139B2 - 製鋼スラグの改質方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、上層路盤材、加熱アスファルト混合道路用材、アスファルト舗装用骨材等の有用な原料、硬化体・固化体原料、底質・海水浄化剤原料、もしくは鉄鋼、非鉄の製錬・精錬工程、廃棄物燃焼溶融炉、灰溶融炉、スラグ溶融炉における原料等に適用することができる改質製鋼スラグの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
製鋼スラグは遊離CaO(以降f.CaOと記載する)を含み、その水和反応時の体積変化から膨脹崩壊性を示す。また、微小な亀裂、開気孔が多いため、吸水率が高く強度が低い。これにより、土木工事用の仮設材、道路の地盤改良材、下層路盤材等の低級用途でしか使用されておらず、より高級用途である上層路盤材、加熱アスファルト混合道路用材、アスファルト舗装用骨材等には用いられていない。しかし、低級用途の需要の低下から在庫が増大しており、発生した製鋼スラグの置き場等の問題も発生している。このため、上層路磐材、加熱アスファルト混合道路用材、アスファルト舗装用骨材等、高級用途への有効利用が必要である。従来、スラグ中のf.CaOを減少させるスラグ熱間改質法、エージング法が種々検討されている。
【0003】
スラグ熱間改質法は、特許文献1に提案されているように、製鋼スラグに、珪酸含有改質剤、炭素含有還元剤及び鉄スクラップを混合し、該混合物を、酸素ガス含有気体を供給しつつ還元性雰囲気に維持しながら溶融することを特徴とする製鋼スラグの熱間改質法である。
また、エージング法は、特許文献2に提案されているように、製鋼スラグを精錬時の装入副原料のCaO量を50kg/粗鋼ton以下およびスラグ塩基度3.5以下を基準として分別して、これに適合するスラグを放冷固化後、スラグ温度が400〜1000℃の顕熱を保持した状態で40〜100℃の温水槽に投入してf.CaOの水和反応を促進させ安定化処理することを特徴とする方法である。
【0004】
【特許文献1】
特開平6−115984号公報
【特許文献2】
特開平6−183792号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記スラグ熱間改質法は、鉄スクラップを混合するため、1550℃以上に加熱し、該混合物を溶融する必要がある。この溶解に多量の熱と時間を必要とし、処理能力が低い。また還元性雰囲気で酸化鉄、酸化燐、酸化マンガン等の金属酸化物を還元して回収するため、f.CaOが完全にSiO2や低融点金属酸化物と反応しきれずに、改質スラグにはf.CaOが残存していた。
また、上記エージング法は、改質可能なスラグを限定しており、改質できないスラグが約半数程度残存する。スラグの塩基度が高い場合、エージング期間を短くしたときにf.CaOが低減できずにスラグの安定化が不十分となる。また、改質可能なスラグであっても数日以内のエージング期間が必要であり、処理能力が低い。また、100℃以下程度での完全固相反応では、f.CaOが完全にSiO2等と反応しきれずに、スラグの膨脹、粉化を単に軽減することはできるものの、上層路盤材に使用可能なまでに安定化することはできない。また、改質スラグは、砕石等と比較すると吸水率が高く、強度が不十分である。
【0006】
すなわち、従来の技術によって製造された改質スラグは、残存したf.CaOを未だ含み、吸水率も高く強度が低いため、上層路盤材等の高級用途に、有効利用することが不可能であった。
本発明は、このような従来の技術の課題に鑑みてなされたもので、製鋼スラグの改質法を改良し、f.CaOのみならず、吸水率をも減少させる方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨は、以下の通りである。
(1) 製鋼スラグへ固体酸化発熱源を添加したものに、酸素ガスまたは含酸素ガスを通気して発熱させ、1100℃以上で焼結処理する製鋼スラグの改質方法であって、熱処理前の製鋼スラグの成分を選択して、改質スラグの塩基度を2.5以下とすることを特徴とする製鋼スラグの改質方法。
(2) 製鋼スラグに、SiO2、Al23、FeO、Fe23、P25の1種以上を含有する物質を添加した物を用いることを特徴とする(1)に記載の製鋼スラグの改質方法。
(3) 前記SiO2、Al23、FeO、Fe23、P25の1種以上を含有する物質として、高炉スラグ、脱珪スラグ、フライアッシュ、廃ガラス、コンクリート廃材、廃レンガ、アルミ灰、アルミドロス、アルミニウム精錬スラグ、都市ゴミ・下水汚泥の焼却灰、灰溶融スラグ、下水汚泥溶融スラグ、カーシュレッダーダスト燃焼灰、転炉ダスト、電炉ダスト、高炉二次灰、天然砂、珪砂、廃棄鋳砂、粘土、土壌、天然砕石、鉄鉱石の1種以上を用いることを特徴とする(2)に記載の製鋼スラグの改質方法。
(4) 前記SiO2、Al23、FeO、Fe23、P25の1種以上を含有する物質としてフライアッシュを用いる場合、製鋼スラグ100質量部に対してフライアッシュ30質量部以下添加した物であことを特徴とする(3)に記載の製鋼スラグの改質方法。
(5) 製鋼スラグとして、溶銑予備処理スラグ、溶融還元炉スラグ、転炉スラグ、電気炉スラグ、二次精錬スラグまたはステンレス鋼スラグの1種以上を用いることを特徴とする(1)〜(4)いずれかに記載の製鋼スラグの改質方法。
(6) 製鋼スラグとして粒径5mm以下のものを用いることを特徴とする(1)〜(5)いずれかに記載の製鋼スラグの改質方法。
(7) 焼結処理に際し、転炉、電炉、精錬炉、滓鍋、混銑車、エージング処理工程、高炉排滓工程、もしくは焼結装置の1種以上を用いることを特徴とする(1)〜(6)いずれかに記載の製鋼スラグの改質方法。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明者らは上記課題を解決するために、製鋼スラグ中のf.CaOを減少させると共に、開気孔を減少させることで吸水率を低減し、強度を向上させる製鋼スラグの改質法を発明するに至った。
以下に詳細を説明する。
まず、製鋼スラグへ固体酸化発熱源を添加したものに、酸素ガスまたは含酸素ガスを通気して発熱させ、1100℃以上で焼結処理する方法について説明する。熱処理前の製鋼スラグの成分を必要に応じて適宜選択して、1100℃以上で所望の時間の焼結処理を行うことで、焼結処理後のスラグ性状をf.CaO≦2.7質量%かつ吸水率≦4.0質量%に改質することができる。
ここで、f.CaO≦2.7質量%であれば、改質製鋼スラグが膨張崩壊しても、水浸膨張比1.5%を達成でき、また吸水率≦4.0質量%であれば、さまざまな用途に用いても必要な強度を確保することができる。
【0009】
また、1100℃以上の焼結処理の所望の時間とは、特に規定するものではなく、焼結処理前の製鋼スラグの成分と焼結処理温度に応じて、適宜設定すれば良い。
まず、製鋼スラグ中のf.CaOを減少させる点については、製鋼スラグにはSiO2、Al23が含まれていることに着目し、製鋼スラグ中のf.CaOとSiO2、Al23との反応が起こる条件を検討したところ、製鋼スラグへ固体酸化発熱源を添加したものに、酸素ガスまたは含酸素ガスを通気して発熱反応させ、1100℃以上で焼結処理すれば良いことを見出した。
【0010】
本発明では、焼結処理というのは、製鋼スラグへ固体酸化発熱源を添加したものに、酸素ガスまたは含酸素ガスを通気し、これにより発熱することで、製鋼スラグ同士が反応し結合するという意味で用いている。
ここで、固体酸化発熱源とは酸素ガスと反応して発熱するものであれば、特に規定するものではないが、元素としてはC、Al、Si等が例示でき、それらを含有するものとしては、各種炭材、コークス、廃プラスティック、金属Si、金属Alや、アルミ灰等がある。また、固体酸化発熱源を不可避的にも含む物質として、前記固体酸化発熱源を含む灰分、例えば、フライアッシュ、汚泥焼却灰、金属Si、Alの精錬工程で排出される含金属灰等が挙げられる。
これらの固体酸化発熱源と酸素ガスが反応すると発熱するため、この熱を利用してf.CaOとSiO2との反応が起こる。通気するガスは、酸素ガス単独のものを用いると反応効率が良いので好ましいが、1100℃以上に加熱できれば空気、もしくは含酸素の各種燃焼廃ガスを用いても良い。
【0011】
熱処理前の製鋼スラグの成分としては、塩基度が小さい方が好ましい。ここで、スラグの塩基度とは、スラグのCaOとSiO2の質量比(CaO/SiO2)である。すなわち、熱処理前スラグの塩基度が小さいほど、f.CaOに対するSiO2量が多くなるため、反応が促進される。
従って、1100℃以上で焼結処理することで、スラグ中のf.CaOとSiO2との反応が起こるが、熱処理前の製鋼スラグの成分を適宜選択することで、改質製鋼スラグ中のf.CaO≦2.7質量%となる様に実施することができる。
【0012】
焼結処理を行った一例を図1に示すが、1100℃以上の温度で焼結処理を行った場合は、改質スラグの塩基度が2.5以下であればf.CaOを2.7質量%以下にまで低減でき、また更には改質スラグの塩基度が1.2であればf.CaOを0.9質量%にまで低減可能である。
しかし、1100℃未満の温度で焼結処理を行った場合は、改質スラグの塩基度が1.0〜2.0の範囲であっても、f.CaOを2.7質量%以下にまで低減することはできない。
従って、通常の製鋼スラグの組成域では、焼結温度を1100℃以上とすることで、f.CaO≦2.7質量%とすることができ、さらに塩基度が小さくなればなるほど低いf.CaOとすることができる。
【0013】
次に、製鋼スラグ中の吸水率を減少させる点についても、1100℃以上で焼結処理すれば良いことを見出した。さらに、焼結処理前スラグの塩基度が小さいほど好ましいことが判明した。
これについては、1100℃以上で焼結処理することで、スラグ中の液相率が増加することはもちろんのこと、焼結反応の際に、改質される製鋼スラグ粒各々の表面に、優先的に液相が拡がり、表面の亀裂、開気孔を優先的に改質するメカニズムが考えられる。こうして表面を優先的にかつ、表面から内部へと製鋼スラグに存在する亀裂、開気孔に液相が侵入することで空隙が減少し、これにより吸水率を減少させることができるものと考えられる。
また、SiO2、Al23は融点を低下させる作用があるため、同じ焼結処理温度でも、反応に寄与する液相率が大きくなるため、その点でSiO2、Al23をより多く含む方が好ましい。
【0014】
従って、1100℃以上で焼結処理するに際し、焼結処理前の製鋼スラグの成分を適宜選択することで、スラグ中の液相率を大きくさせ、改質製鋼スラグ中の吸水率≦4.0質量%とすることができる。
焼結処理を行った一例を図2に示すが、1100℃以上で焼結処理することで、前記したような表面を優先的に液相で覆って閉塞する現象が達成でき、温度を高くすればするほど、液相率も大きくなり、内部まで亀裂等の閉塞反応が起こるようになり、改質スラグとしての吸水率は低いものとなる。これらの方法により、吸水率≦4.0質量%が達成可能である。
【0015】
焼結処理方法については特に規定されない。具体的には、酸素、酸素ガス含有気体としては空気の使用、酸素富化燃料バーナー、コークス燃焼、含酸素雰囲気下でのロータリーキルン・焼結機・回転炉床型炉・流動床加熱炉・バッチ式加熱炉・連続式加熱炉・キュポラ炉・コークスベッド式炉・電気抵抗加熱・高周波加熱・アーク加熱・マイクロ波加熱等が例示できるが、いずれもスラグを均一に1100℃以上に焼結処理が可能なものであれば良い。
また、焼結処理温度の上限は特に規定するものではないが、コスト等を考慮すると、1250℃程度が好ましい。
さらに、焼結処理時間についても、上限は特に規定するものではないが、所望のスラグ成分に改質できる様に、塩基度や焼結処理温度等を考慮して、適宜設定すれば良く、生産性、コスト等を考慮して10〜15分程度が望ましい。
【0016】
スラグ成分の分析には蛍光X線分析(JIS K 0119)を、f.CaOの分析にはエチレングリコール抽出法ICP発光分光分析を用いることができる。f.CaOの分析において同様にf.CaOを抽出する方法としてTBP(トリブロムフェノール)法等があり、抽出が正しくできればいずれの方法を用いてもよい。
また、吸水率の測定には、JIS A1109もしくはA1110に規定される試験方法を用いた。
【0017】
次に、製鋼スラグに、SiO2、Al23、FeO、Fe23、P25の1種以上を含有する物質を添加した物を焼結処理する方法について説明する。
塩基度の低い製鋼スラグを改質する場合は、上述の通り焼結処理を行うだけでも良いが、塩基度の高い製鋼スラグを改質する場合は、SiO2源が不足するため、これを補うためにSiO2源を添加して熱処理することで、f.CaOの低減反応を実施できるため、好ましい。
SiO2の添加量は、所望とする製鋼スラグ中のf.CaOに応じて、適宜SiO2を添加して熱処理すれば良い。その上、前述の通りSiO2には製鋼スラグ組成域において、融点を低下させる効果があるため、SiO2源を添加することで、優先的に界面を改質する融液を増加して、改質を行うことが可能である。
【0018】
また、Al23、FeO、Fe23、P25はそれぞれ、f.CaOと反応してf.CaOの低減を実施でき、さらに融点を低下させる効果があるため、上記と同様の効果を得ることができるため、添加することが好ましい。特に、FeOは酸化反応によりFe23になるものもあり、その際に発熱するため、この熱を焼結反応に有効利用できるという作用もある。
さらに、SiO2、Al23、FeO、Fe23、P25の複数種を含有する物質を添加して、同様に焼結処理することでも良い。
【0019】
従って、製鋼スラグ中には低融点金属酸化物、例えばFeO、MnO、Al23、SiO2が含まれているが、更にSiO2、Al23を加え、焼結処理することで、改質製鋼スラグの吸水率をより低減でき、強度の向上を達成できる。
また、同じスラグ組成であれば、温度が高い程、界面を優先的に改質する融液層が増加するため、吸水率はより小さくなる。しかし、反応温度を高くするには加熱・熱源が必要で、加熱・熱源コストが大きくなるため、可能な限り低い温度で反応させることがコスト的にも重要である。
以上の様に、SiO2、Al23、FeO、Fe23、P25の1種以上を含有する物質を添加することが好ましく、添加量や焼結処理時間は実験等で適宜設定すれば良い。
【0020】
次に、SiO2、Al23、FeO、Fe23、P25の1種以上を含有する具体的な物質について説明する。これらの物質として、高炉スラグ、脱珪スラグ、フライアッシュ、廃ガラス、コンクリート廃材、廃レンガ、アルミ灰、アルミドロス、アルミニウム精錬スラグ、都市ゴミ・下水汚泥の焼却灰、灰溶融スラグ、下水汚泥溶融スラグ、カーシュレッダーダスト燃焼灰、転炉ダスト、電炉ダスト、高炉二次灰、天然砂、珪砂、廃棄鋳砂、粘土、土壌、天然砕石、鉄鉱石の1種以上を用いることで、本発明の改質は可能である。
これらは、一部廃棄物として指定されているものであり、安価に入手できるためコスト的に有利であり、廃棄物のリサイクル使用、廃棄物処理にもなるため好ましい。それぞれ改質されたスラグに悪影響を与える不純物を含まないものであれば特に限定されるものではない。もちろん、試薬のシリカも使用可能である。
【0021】
さらに、SiO2、Al23、FeO、Fe23、P25の1種以上を含有する物質としてフライアッシュを用いる場合、製鋼スラグ100質量部に対してフライアッシュ30質量部以下添加した物であることについて説明する。
フライアッシュは平均粒径が約10μmで、非常に微粒である。これを製鋼スラグに添加して焼結処理を行う際に、フライアッシュは反応ガス流で飛ばされて、添加したフライアッシュが製鋼スラグに有効に作用せず、焼成処理速度が低下する現象が起こり易い。また、焼結装置で焼成した場合、反応ガス流で飛ばされたフライアッシュにより、ガス気道の目詰まりが起こり易く生産性を阻害する。
特に、製鋼スラグ100質量部に対してフライアッシュ30質量部超添加した場合、ムラ焼けが発生して、良好な焼結を実施しづらくなる現象が見受けられる場合がある。従って、フライアッシュの配合は、製鋼スラグ100質量部に対してフライアッシュ30質量部以下添加した物であることが好ましい。
【0022】
本発明に用いられる製鋼スラグは特に限定されるものではなく、溶銑予備処理スラグ、溶融還元炉スラグ、転炉スラグ、電気炉スラグ、二次精錬スラグまたはステンレス鋼スラグ等を使用することができ、既に冷却したものも使用できるが、溶融状態又は半凝固状態で熱量を保有するものを使用すると、本発明において加熱に必要なエネルギーを減少し得るので好ましい。
また、従来の畑処理を主としてきた、エージング、粉砕、粒度調整を行うような方式のスラグ処理では、スラグ処理後に粒径5mm以下の製鋼スラグが大量に発生するが、このサイズの製鋼スラグ粉では、有効利用用途がなく在庫となりやすい。しかし、本発明方法では、この様な従来用途のなかった粒径5mm以下の製鋼スラグ粉の塊成化が実現でき、粉分の再利用ができるようになり、販途を拡げることを可能とするものである。
【0023】
焼結処理に際しては、前記の装置を用いて行えば良い。転炉、電炉、精錬炉、滓鍋、混銑車、高炉排滓工程を用いると、排出された製鋼スラグが高温状態であり、そのままスラグの顕熱を利用できるため、新たに加熱する温度が小さくなるため好ましい。特に、半溶融高炉スラグを滓鍋内に保持して使用すれば、更に加熱が必要なくなり好ましい。次いで、得られた物を前記装置・工程で酸素ガスを装置の底部から吹き込み、通ガスさせ、焼結反応を起こさせるようにして焼結処理させれば、熱効率の面から好ましい。
エージング処理工程を用いる場合、現状の畑方式スラグ処理工程の分級後に焼結機を増工程すればよいので、設備費が少なくてすむため好ましい。
【0024】
さらに、ロータリーキルン・焼結機・回転炉床型炉・流動床加熱炉・バッチ式加熱炉・連続式加熱炉・キュポラ炉・コークスベッド式炉・電気抵抗加熱・高周波加熱・アーク加熱・マイクロ波加熱等を新たに設置、もしくは遊休設備を利用することで、製鋼スラグの焼結改質が可能である。
これら焼結装置を用いる場合は、固体のスラグを処理可能であるため、冷却した製鋼スラグで野積みされたスラグについても全量改質することができ、在庫削減にも繋がるため好ましい。
【0025】
本発明の改質製鋼スラグの性状は、f.CaO≦2.7質量%かつ吸水率≦4.0質量%である。f.CaO≦2.7質量%であれば、改質製鋼スラグが膨張崩壊しても、水浸膨張比1.5%を達成できる。ここで、水浸膨張比とは、例えばJIS A5015の附属書2で測定される値であり、鐵鋼スラグ協会による製鋼スラグ路盤設計施工指針によれば、上層路盤材等の高級用途に供するには、路盤の膨脹による支持力の低下を防ぐため水浸膨張比1.5%以下とすることが重要である。
中級の用途である加熱アスファルト混合道路用材、アスファルト舗装用骨材については水浸膨張比を2.0%以下とすることで使用可能であるため、本発明の改質製鋼スラグは十分満足できる。
【0026】
また、一方吸水率は強度と相関があり、JIS A1109、または A1110で規定されている吸水率3%以下を満足することで、これら高級用途に適用可能である。他のJISで吸水率が規定されていない高級用途においては、吸水率4%以下を満足することで、いずれの用途でも使用できる強度を確保することができる。従って、本発明の示すようにいずれの高級用途向けに於いても吸水率≦4.0質量%が、強度の点で重要である。
いずれの用途先への使用についても、スラグ組成、改質材の配合、焼結改質温度を適宜調製することで、本発明の方法により実施できる。
【0027】
以上説明してきた規格が存在する高級用途以外の、中級用途として、本発明での上記のf.CaO≦2.7質量%かつ吸水率≦4.0質量%である改質製鋼スラグは、鉄鋼・非鉄の製錬・精錬工程、廃棄物燃焼溶融炉、灰溶融炉、スラグ溶融炉において主原料、副原料、耐火物保護剤、助剤、保温材原料、鎮静材原料、もしくは硬化体・固化体原料、底質・海水浄化剤原料として用いることができる。
【0028】
【実施例】
本発明による製鋼スラグの改質法の実施例を示す。
製鋼スラグとして、溶銑予備処理スラグを用いた。表1は本実施例に供した溶銑予備処理スラグ、フライアッシュの組成分析値を示す。溶銑予備処理スラグAは、塩基度が3.0でかつf.CaOが10質量%含まれる。溶銑予備処理スラグBは、塩基度が4.5でかつf.CaOが16質量%含まれる。この溶銑予備処理スラグにSiO2、Al23を含むフライアッシュを改質剤として添加した。
【0029】
溶銑予備処理スラグAもしくはBとフライアッシュをあらかじめ混合したもの100質量部に対し、コークスを5質量部加えて造粒し、焼結機を用いて所定の温度にて焼結した。表2に実施水準を示す。
実施例1、2、3は、1100℃以上で焼結したものであり、改質スラグ中のf.CaOの濃度は2.7質量%以下で、いずれのスラグも水浸膨張比≦1.5%をクリアし、良好に改質された。また、吸水率も4質量%以下まで改質されており、強度が高い改質製鋼スラグが得られた。
これに対し、比較例1、2ともに、1100℃未満で焼結させており、改質スラグ中のf.CaO濃度も高く、吸水率も高くなった。特に比較例2は、フライアッシュを35質量部配合しているため、ムラ焼けも観察された。
【0030】
【表1】
Figure 0003965139
【0031】
【表2】
Figure 0003965139
【0032】
【発明の効果】
本発明による改質製鋼スラグとその製造方法によれば、f.CaOが低く、かつ吸水率の小さい強度が高いスラグを得ることができる。しかも、比較的低温で確実な改質が可能となるので処理能力が向上し、改質されたスラグは、上層路盤材、加熱アスファルト混合道路用材、アスファルト舗装用骨材用途等の有用な原料に適用することができ、再生資源として高度に有効利用でき、また経済効果も大きい。
また、比較的に簡便なプロセスのため、既存の設備を利用可能であり、新たに設備を改造する場合でも軽微な改造で実施できる。
さらに、製鋼スラグの在庫の縮小に伴ない、在庫管理が容易となり、さらにスラグヤードの占有率を小さくできることから、スラグの運搬、払い出し等の作業の負荷が軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 改質製鋼スラグの塩基度に対するf.CaO。
【図2】 改質製鋼スラグの焼結温度に対する吸水率。

Claims (7)

  1. 製鋼スラグへ固体酸化発熱源を添加したものに、酸素ガスまたは含酸素ガスを通気して発熱させ、1100℃以上で焼結処理する製鋼スラグの改質方法であって、熱処理前の製鋼スラグの成分を選択して、改質スラグの塩基度を2.5以下とすることを特徴とする製鋼スラグの改質方法。
  2. 製鋼スラグに、SiO2、Al23、FeO、Fe23、P25の1種以上を含有する物質を添加した物を用いることを特徴とする請求項1に記載の製鋼スラグの改質方法。
  3. 前記SiO2、Al23、FeO、Fe23、P25の1種以上を含有する物質として、高炉スラグ、脱珪スラグ、フライアッシュ、廃ガラス、コンクリート廃材、廃レンガ、アルミ灰、アルミドロス、アルミニウム精錬スラグ、都市ゴミ・下水汚泥の焼却灰、灰溶融スラグ、下水汚泥溶融スラグ、カーシュレッダーダスト燃焼灰、転炉ダスト、電炉ダスト、高炉二次灰、天然砂、珪砂、廃棄鋳砂、粘土、土壌、天然砕石、鉄鉱石の1種以上を用いることを特徴とする請求項2に記載の製鋼スラグの改質方法。
  4. 前記SiO2、Al23、FeO、Fe23、P25の1種以上を含有する物質としてフライアッシュを用いる場合、製鋼スラグ100質量部に対してフライアッシュ30質量部以下添加した物であことを特徴とする請求項3に記載の製鋼スラグの改質方法。
  5. 製鋼スラグとして、溶銑予備処理スラグ、溶融還元炉スラグ、転炉スラグ、電気炉スラグ、二次精錬スラグまたはステンレス鋼スラグの1種以上を用いることを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載の製鋼スラグの改質方法。
  6. 製鋼スラグとして粒径5mm以下のものを用いることを特徴とする請求項1〜5いずれかに記載の製鋼スラグの改質方法。
  7. 焼結処理に際し、転炉、電炉、精錬炉、滓鍋、混銑車、エージング処理工程、高炉排滓工程、もしくは焼結装置の1種以上を用いることを特徴とする請求項1〜6いずれかに記載の製鋼スラグの改質方法。
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