本開示の原理の理解を深めることを目的として、図示される実施形態を参照し、特定の用語を使用して当該実施形態を説明する。しかし、本開示の範囲の限定を意図していないことは理解されよう。説明されるデバイス、器具、方法に対する任意の変更及び更なる改良、並びに、本開示の原理の任意の更なる応用は、本開示が関連する分野の当業者が普通に想到可能であるように十分に考えられている。具体的には、1つの実施形態に関して説明される特徴、コンポーネント及び/又はステップは、本開示の別の実施形態に関して説明される特徴、コンポーネント及び/又はステップと組み合わされてもよいことが十分に考えられている。更に、本明細書に提供される寸法は、具体例のためであり、様々なサイズ、寸法及び/又は比率を使用して、本開示の概念を実現することが考えられている。しかし、簡潔にするために、これらの組み合わせの非常に多くの繰り返しは個別に説明しない。単純化するために、場合によっては、図面全体を通して同じ参照符号を使用して、同じ又は同様の部品を指す。
本開示は、全体として、腎除神経治療の前に、主腎動脈における脈波伝播速度を決定/測定するデバイス、システム、及び方法に関する。主腎動脈内における圧力/流量パルスの速度(脈波伝播速度、即ちPWV)は、腎除神経術の成果から予測できるものであり得る。PWVは、抵抗性高血圧患者において非常に高い場合があり、そのため、比較的短い腎動脈でPWVの正確な測定を行うのが非常に難しい。血管(例えば、腎血管80)内に位置付けられた複数の圧力センシングデバイスを使用して、血管内のPWVを決定することができる。しかしながら、圧力センサのサンプリング周波数は、腎動脈などの短い血管内のPWVを決定するのにこの方法を使用する場合の限定要因であり得る。PWVを決定する別のやり方は、「水撃作用」方程式を利用して、無反射期間(例えば、初期収縮期)中の血管内部における圧力及び流量速度の同時の測定値から、PWVを計算することによるものである。
又は、別の方法として、この無反射期間を使用することができない場合、心周期全体の合計によってPWVを決定する、次の関係を使用することができる。
ρは血液密度、P及びUはそれぞれ圧力及び速度である。その方法の不利な点は、血管内流量速度の測定値を必要とすることであり、センサの配向/場所の依存度によって実行が困難になる場合がある。それに加えて、ガイドワイヤ上において、圧力及び流量速度センサはガイドワイヤ上の正確に同じ位置には配置されないため、PWV決定の精度が減少する。PWVを決定する代替のやり方は、圧力の測定と、波による動脈壁の拡張の視覚化とを同時に行うことによるものである。次に、PWVをブラムウェル・ヒルの式によって決定することができる。
Aは内腔の断面積、dAは圧力変化dPの結果としての断面積の変化である。或いは、PWVはメーンズ・コルテベーグの式によって与えられる。
ここで、Eはヤング率、rは血管半径、hは壁厚である。ブラムウェル・ヒルの式は、実際にはメーンズ・コルテベーグの式から導き出されるものであり、内腔半径rに関して次式のように書き換えることができる。
血管壁が薄く圧縮不能なものであり、壁厚hが内腔直径rよりもはるかに小さいものと仮定して、内腔半径の変化は、壁厚の変化dhに関して次式のように表すことができる。
負の符号は、内腔半径が増加した場合に壁厚が減少し、その逆もまた真であることを示す。この式を使用して、壁厚の関数としてPWVを次式のように計算することができる。
いくつかの実施形態では、血管壁厚は心拍と同期して推定することができる。例えば、基準測定は拡張期の終わりに、次の心パルスが出現する直前に行うことができ、第2の測定は、圧力が最大値である最大収縮期圧の時に行うことができる。適切なサンプリングを得る方法は、最高約100Hzのパルス繰返し数で撮像素子信号をサンプリングすることを伴う場合がある。例えば、壁厚及び圧力両方の最大値及び最小値は、一心周期内で決定することができ、dP及びdhはそれぞれ、圧力及び壁厚の最大値と最小値との差として得られる。この方策は、1心拍当たり1つのPWV測定値をもたらす。精度を向上させた場合、多数の心周期にわたるPWV推定値の平均がとられる。
上記のように、腎除神経術は抵抗性高血圧に対する治療の選択肢である。最近の研究で、主腎動脈内における圧力/流量パルスの速度(脈波伝播速度、即ちPWV)は、腎除神経治療の成果を予測する場合があることが示されている。いくつかの例では、本開示の実施形態は、腎動脈除神経術のために患者を階層化する、腎動脈の脈波伝播速度測定を行うように構成される。腎交感神経活性は、高血圧、心不全、及び/又は慢性腎不全の症状を悪化させる。特に、高血圧は、(1)血管抵抗の増加、(2)心拍数、一回拍出量、及び出力の増加、(3)血管筋の異常、並びに/又は(4)腎臓によるナトリウム保持及びレニン放出という4つのメカニズムのいずれかによって刺激される交感神経系活性の増加と結び付けられている。特にこの第4のメカニズムに関して、腎交感神経系の刺激は、腎機能及びホメオスタシスの維持に影響を与える場合がある。例えば、遠心性腎交感神経活性の増加は、腎血管抵抗の増加、レニンの放出、及びナトリウムの保持をもたらし、それらは全て高血圧を悪化させる。
一例として、血管内加熱又は冷却のどちらかによる熱的神経調節は、腎動脈を取り囲む遠心性及び/又は求心性交感神経線維を無能にすることによって腎交感神経活性を減少させ、腎除神経術を通して腎臓を神経支配し、それには、交感神経系(SNS)内の腎神経を選択的に無能にして、SNS内に少なくとも不完全伝導ブロックを作り出すことを伴う。
腎損傷又は腎臓ストレスのいくつかの形態は、(例えば、腎臓から脳又は他方の腎臓への)腎臓求心性信号の活性化を誘発する。例えば、一回拍出量又は腎血流の低減である腎虚血は、求心性腎神経活性の活性化をトリガする。求心性腎神経活性の増加によって、全身の交感神経活性化と血管の末梢血管狭窄(狭小化)とが増加する。血管狭窄の増加によって、血管の抵抗が増加し、それによって高血圧がもたらされる。(例えば、脳から腎臓への)遠心性腎神経活性によって更に、求心神経活性及びRAASカスケードの活性化が増加して、レニンの分泌増加、ナトリウムの保持、流体の保持、及び血管狭窄を通る腎血流の低減が誘発される。RAASカスケードはまた、血管の全身性血管狭窄に寄与し、それによって高血圧が悪化する。それに加えて、高血圧は、多くの場合、腎臓に供給する血管の血管狭窄及びアテローム硬化型狭窄をもたらし、それによって腎臓の低灌流が起こり、求心性腎神経活性がトリガされる。組み合わせによって、この要因のサイクルは、流体保持と心臓に対する仕事負荷の増加をもたらすので、患者の更なる心血管及び心腎の悪化の一因となる。
腎除神経術は、腎臓に入る電気信号(遠心性交感神経活性)及び腎臓から発する電気信号(求心性交感神経活性)両方に影響を与え、腎臓自体の機械的活性及びホルモン活性、並びにSNSの残りの電気的活性化に影響を及ぼす場合がある。腎臓に対する遠心性交感神経活性の遮断は、流体及び塩の保持を逆転させる(ナトリウム排泄増加及び利尿を増強する)ことによって、流体量と心臓に対する機械的負荷とを低下させ、不適切なレニン放出を低減させることによって、有害なホルモン性RAASカスケードを停止させることによって、高血圧及び関連する心血管疾患を緩和する。
腎臓から脳への求心性交感神経活性を遮断することによって、腎除神経術がSNS全体の活性レベルを低下させる。したがって、腎除神経術はまた、心臓及び血管など、交感神経系の他の部分の電気刺激を減少させることによって、更なる高血圧治療効果をもたらす。それに加えて、腎神経の遮断は、血管、腎臓、及び心臓に有害なことがあるサイトカイン及びホルモンのレベルを低下させるので、慢性交感神経過活性によって損傷した臓器に対して有益な効果を有する。
更に、腎除神経術は過活動のSNS活性を低減するので、高血圧に関連する他のいくつかの病的症状の治療に役立つ。SNS活性の増加によって特徴付けられるこれらの症状としては、左心室肥大、慢性腎疾患、慢性心不全、インスリン耐性(糖尿病及びメタボリック症候群)、心腎症候群、骨多孔症、並びに心臓突然死が挙げられる。例えば、腎除神経術の他の利益としては、理論的に、インスリン耐性の低減、中枢性睡眠時無呼吸症の低減、心不全における運動筋への灌流の改善、左心室肥大の低減、心房細動患者の心拍数の低減、致死性不整脈の抑止、及び慢性腎疾患における腎機能低下の緩徐化が挙げられる。更に、高血圧を伴って又は伴わずに存在する様々な疾患状態における腎交感神経緊張の慢性的な上昇は、顕在的な腎不全及び末期腎疾患の発展において役割を果たす。求心性腎交感神経信号の低減は全身の交感神経刺激の低減に寄与するので、腎除神経術は、交感神経によって神経支配される他の臓器にも利益をもたらす。したがって、腎除神経術は、様々な病的症状をも、それらが高血圧と直接関連付けられないものであっても緩和する。
いくつかの実施形態では、PWVは、抵抗性高血圧の治療における腎除神経術の成果を予測するものである。本明細書に記載するように、コンピューティングデバイスは、計算されたPWVをディスプレイに出力することができる。臨床医は、患者に腎除神経処置を勧めるか否かなど、PWVを考慮に入れて、治療的及び/又は診断的決定を行う。いくつかの例では、コンピュータシステムは、PWV及び/又は他の患者データに基づいて、治療の推奨又は成功見込みの予測を決定し、ディスプレイに出力することができる。つまり、コンピュータシステムは、PWVを利用して、どの患者が腎除神経術によって利益を得やすいか、及び/又は利益を得にくいかを特定する。
図1aは、本開示のいくつかの実施形態による例示のシステム100の概略図である。システム100は、階層化システムと呼ばれることがあるが、治療目的で患者を階層化するため、血管80(例えば、動脈、静脈など)における脈波伝播速度(PWV)決定を行うように構成される。例えば、腎動脈のPWV決定を利用して、患者が腎動脈除神経術に適しているか否かを決定する。システム100は、血管80内に位置決めされてもよい血管内デバイス110と、インターフェースモジュール120と、少なくとも1つのプロセッサ140及び少なくとも1つのメモリ150を有する処理システム130と、ディスプレイ160とを含む。
いくつかの実施形態では、システム100は、身体部分内の血管80の脈波伝播速度(PWV)決定を行うように構成される。血管内システム100は、PWVが治療目的で患者の階層化に使用されるという点で、階層化システムと呼ばれることがある。例えば、腎動脈のPWV決定を利用して、患者が腎動脈除神経術に適しているか否かを決定する。PWVの決定に基づいて、血管内システム100を使用して、1人又は複数人の患者を、予測される腎除神経術の治療効果の様々な程度とそれぞれ関連付けられたグループに分類する。任意の適切な数のグループ又はカテゴリが想到される。例えば、グループは、PWVに基づいて、腎除神経術による治療効果の見込みが低い患者、中程度の患者、及び/又は高い患者それぞれのグループを含む。階層化又は分類に基づいて、システム100は、1人又は複数人の患者が腎除神経術の適切な候補である程度を推奨することができる。
血管80は、天然及び人造両方の、流体が満たされた、又は流体で取り囲まれた構造を表す。血管80は患者の体内にある。血管80は、心臓血管系、末梢血管系、神経血管系、腎臓血管系、及び/又は体内の他の任意の適切な内腔を含む、患者の血管系の動脈又は静脈としての血管である。例えば、血管内デバイス110は、非限定的に、器官(肝臓、心臓、腎臓、胆嚢、膵臓、肺など)、導管、腸、神経系構造(脳、硬膜嚢、脊髄、及び末梢神経など)、泌尿器系、心臓内の弁膜、心室、又は心臓の他の部分、並びに/或いは身体の他の系を含む、あらゆる解剖学的位置及び組織タイプを検査するのに使用される。人体構造に加えて、血管内デバイス110は、非限定的に、心臓弁、ステント、シャント、フィルタ、及び他のデバイスなど、人造構造を検査するのに使用される。血管80の壁は、血管80内で流体がそこを通って流れる内腔82を規定する。
血管80は身体部分内に位置する。血管80が腎動脈の場合、患者の身体部分は、腹部、腰領域、及び/又は胸領域を含む。いくつかの例では、血管80は、頭部、頸部、胸部、腹部、腕、鼠径部、脚など、患者の身体の任意の部分内に位置する。
いくつかの実施形態では、血管内デバイス110は、カテーテル、ガイドワイヤ、若しくはガイドカテーテルなどの可撓性の細長い部材170、又は患者の血管80に挿入される他の長く薄い可撓性構造を含む。いくつかの実施形態では、血管80は、図2に示されるような腎動脈81である。本開示の血管内デバイス110の図示される実施形態は、血管内デバイス110の外径を規定する円形の断面プロファイルを有する円筒状プロファイルを有するが、他の例では、血管内デバイスの全体又は一部分は、他の幾何学的断面プロファイル(例えば、卵形、長方形、正方形、楕円形など)又は非幾何学的断面プロファイルを有する。いくつかの実施形態では、血管内デバイス110は、他の機器の受入れ及び/又はガイドのため、その長さの全体又は一部分に沿って延在する内腔を含むか、又は含まない。血管内デバイス110が内腔を含む場合、内腔は、血管内デバイス110の断面プロファイルに対して心出しされるか又は偏心される。
血管内デバイス110又はその様々な構成要素は、非限定例として、プラスチック、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエーテルブロックアミド(PEBAX)、熱可塑性樹脂、ポリイミド、シリコーン、エラストマー、ステンレス鋼やチタンなどの金属、ニチノールなどの形状記憶合金、及び/又は他の生体適合性材料を含む、様々な材料から製造される。それに加えて、血管内デバイスは、カテーテル、ガイドワイヤ、カテーテルとガイドワイヤとの組み合わせなどを含む、様々な長さ、直径、寸法、及び形状で製造される。例えば、いくつかの実施形態では、可撓性の細長い部材170は、約115cm〜155cmの範囲の長さを有するように製造される。特定の一実施形態では、可撓性の細長い部材170は、約135cmの長さを有して製造される。いくつかの実施形態では、可撓性の細長い部材170は、約0.35mm〜2.67mm(1フレンチ〜8フレンチ)の範囲の横断外径又は直径を有するように製造される。一実施形態では、可撓性の細長い部材170は、2mm(6フレンチ)の横断寸法を有するように製造され、それによって血管内デバイス110を、患者の腎臓血管系に挿入されるように構成することができる。これらの例は、単に例証目的で提供されるものであり、限定を意図するものではない。いくつかの例では、血管内デバイス195は、患者の血管系(又は他の内腔)内部で移動させることができ、それによって血管内から血管の圧力及び壁厚をモニタリングできるように、サイズ及び形状が決められる。
いくつかの実施形態では、血管内デバイス110は、可撓性の細長い部材170の長さに沿って配設されたセンサ202及びセンサ204を含む。センサ202、204は、血管80内の状態に関するデータを収集し、特に血管80の血管壁の変化を特定するように構成される。
一例では、センサ202は、光コヒーレンス断層撮影を使用して血管の壁厚を決定できるように、コヒーレント光源(例えば、レーザー源)及び光検出器と連通している、光学撮像素子(例えば、ミラー、レンズ、プリズムなど、及び/又はそれらの組み合わせ)を含む。いくつかの実施例では、センサ202は光音響変換器である。
OCTシステムは、時間領域又は周波数(高精細度)領域のどちらかで動作する。時間領域OCTでは、基準ミラーなどの走査光学系を長手方向で移動させて基準経路を変化させ、サンプル内の光の反射によって複数の光路を合致させることによって、干渉スペクトルが得られる。反射をもたらす信号は時間に伴ってサンプリングされ、特定の距離で移動する光が検出器内の干渉を作り出す。走査メカニズムを、サンプルを横断する横方向(又は回転方向)で移動させると、サンプルの反射率分布(即ち、イメージングデータセット)が生成され、そこから二次元及び三次元画像を生成することができる。周波数領域OCTでは、光周波数範囲を放射することができる光源が干渉計を通過し、干渉計は、サンプルから戻ってきた光を同じ光源からの基準光線と組み合わせ、組み合わされた光の強度が光周波数の関数として記録されて干渉スペクトルが形成される。干渉スペクトルのフーリエ変換は、サンプル内の深度に沿って反射率分布を提供する。或いは、波長掃引光源OCTでは、光周波数の範囲にわたって掃引される、光周波数が調節可能な光源を使用し、干渉光強度を掃引中の時間の関数として記録することによって、干渉スペクトルが記録される。時間領域及び周波数領域システムは更に、共通ビーム経路システム及び差分ビーム経路システムの光学レイアウトに基づいて変動し得る。共通ビーム経路システムは、単一の光ファイバーを通して全ての生成された光を送信して、基準信号及びサンプル信号を発生させ、差分ビーム経路システムは生成された光を分割して、光の一部分がサンプルに向けられ、他の部分が基準面に向けられるようにする。OCTシステム及び方法は、概して、Castellaらの米国特許第8,108,030号、Milnerらの米国特許出願公開第2011/0152771号、Conditらの米国特許出願公開第2010/0220334号、Castellaらの米国特許出願公開第2009/0043191号、Milnerらの米国特許出願公開第2008/0291463号、並びにKemp.Nの米国特許出願公開第2008/0180683号、米国特許第5,321,501号、米国特許第7,999,938号、米国特許第7,995,210号、米国特許第7,787,127号、米国特許第7,783,337号、米国特許第6,134,003号、及び米国特許第6,421,164号に記載されており、それらそれぞれの内容全体を参照により援用する。
一般に、センサ202(及び/又は他の類似のセンサ)を使用して血管からのイメージングデータを取得し、それから処理システム130が血管内画像を生成する。処理システム130は、血管内画像から、断面積、半径、直径、壁厚、及び/又はセンサから血管壁の距離など、血管と関連付けられた1つ又は複数の測定値を決定することができる。
血管内デバイス110はまた、可撓性の細長い部材170の遠位側部分に結合された圧力センサ204を含むことができる。センサ204は、血管80内の状態に関するデータを収集し、特に血管80内の圧力をモニタリングするように構成される。更に、センサ204は、血管80内部のセンサ204の位置で、流体(例えば、血液)の圧力を周期的に測定する。一例では、センサ204は容量性圧力センサであり、又は特に容量性MEMS圧力センサである。別の例では、センサ204は圧電抵抗圧力センサである。更に別の例では、センサ204は光学圧力センサである。いくつかの例では、センサ204は、それぞれVolcano Corporationから入手可能である、PrimeWire PRESTIGE(登録商標)圧力ガイドワイヤ、PrimeWire(登録商標)圧力ガイドワイヤ、及びComboWire(登録商標)XT圧力及び流量ガイドワイヤなど、市販の圧力モニタリング素子に見られるものと類似又は同一の構成要素を含む。いくつかの実施形態では、血圧測定値は、血管を通過する脈波を特定するのに使用される。
図6aに示されるように、センサ202、204は第1の距離D離れて配設される。いくつかの実施形態では、距離Dは0.5〜10cmの固定距離である。いくつかの実施形態では、固定距離は0.5cm未満である。いくつかの例では、2つのセンサは統合され、距離はゼロである。いくつかの実施形態では、距離Dは0.5〜2cm以内である。距離D1は脈波伝播速度(PWV)の計算に使用される。
センサ202、204は、血管内デバイス110の本体内に収容される。センサ202、204は、血管内デバイス110の遠位側部分の周りで円周方向に配設される。他の実施形態では、センサ202、204は血管内デバイス110に沿って線形的に配設される。センサ202、204は1つ又は複数の変換器素子を含む。センサ202及び/又はセンサ204は、血管内デバイス110の長さに沿って移動可能であり、及び/又は血管内デバイス110の長さに沿って静止位置で固定される。センサ202、204は、血管内デバイス110のセンサの平面アレイ又は別の形で適切に形作られたアレイの一部である。いくつかの実施形態では、可撓性の細長い部材170の外径は、センサ202、204の外径以上である。いくつかの実施形態では、可撓性の細長い部材110及びセンサ202、204の外径は約1mm以下であり、それは、血管80内の圧力波測定値に対する血管内デバイス110の影響を最小限に抑える助けとなる。いくつかの例では、図1a、図1b、図3a、及び図3bの血管80は、図2の血管81と一致する腎血管であり、腎動脈は約5mmの同等の円形直径を有する断面を有し、血管内デバイス110の1mmの外径は血管の4%未満を閉塞する。
処理システム130は血管内デバイス110と連通している。例えば、処理システム130は、インターフェースモジュール120を通して、センサ202及び/又はセンサ204を含む血管内デバイス110と連通する。プロセッサ140は、任意の数のプロセッサを含み、コマンドを送信し、血管内デバイス110から応答を受信する。いくつかの実現例では、プロセッサ140は、圧力センサ204による血管80内の圧力のモニタリングを制御し、且つ/又は撮像素子202による血管80の壁厚のモニタリングを制御する。特に、プロセッサ140は、センサ202、204の活性化をトリガして、特定の時間にデータを得るように構成される。センサ202、204からのデータは、処理システム130のプロセッサによって受信される。他の実施形態では、プロセッサ140は、血管内デバイス110から物理的に分離されるが、(例えば、無線通信を介して)血管内デバイス110と連通している。いくつかの実施形態では、プロセッサはセンサ202、204を制御するように構成される。
処理システム130はまた、血管80内の圧力のモニタリングと関連付けられた圧力データを受信し、血管80の壁厚のモニタリングと関連付けられたイメージングデータを受信することができる。いくつかの実施形態では、インターフェースモジュール120は、圧力センサ204からの圧力モニタリングに対応する圧力信号と、撮像素子202からの壁厚モニタリングに対応するイメージング信号の両方を受信することができる。他の例では、別個のインターフェースモジュールが圧力及びイメージングデータ用に設けられる。インターフェースモジュール120は、受信した圧力センサ信号及び/又は受信した撮像素子信号の処理、前処理、及び/又はサンプリングを行うことができる。インターフェースモジュール120は、圧力データ及び壁厚データを処理システム130に転送することができる。いくつかの実施形態では、受信データは処理システム130のメモリ150に格納される。
プロセッサ140は、センサに命令する、データを受信し処理するなどの論理機能を行うことができる、電力ピン、入力ピン、及び出力ピンを備えた集積回路を含む。プロセッサ140は、マイクロプロセッサ、コントローラ、デジタル信プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、又は等価の離散的若しくは集積論理回路構成のうち任意の1つ又は複数を含む。いくつかの例では、プロセッサ140は、1つ若しくは複数のマイクロプロセッサ、1つ若しくは複数のコントローラ、1つ若しくは複数のDSP、1つ若しくは複数のASIC、又は1つ若しくは複数のFPGA、並びに他の離散的又は集積論理回路構成の任意の組み合わせなど、複数の構成要素を含む。本明細書のプロセッサ140に与えられた機能は、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、又はそれらの任意の組み合わせとして実現される。
処理システム130は、他の機能の中でも特に、本明細書に記載の脈波伝播速度の決定方法を実現するプログラマブルコード命令を実行する、1つ又は複数のプロセッサ又はプログラマブルプロセッサ装置を含む。処理システム130は、コンピュータ及び/又は他のタイプのプロセッサベースのデバイス内に統合される。例えば、処理システム130は、血管内デバイス110の動作を制御又は指令する制御信号を生成するのに使用される、コンソール、タブレット、ラップトップ、携帯デバイス、又は他のコントローラの一部である。いくつかの実施形態では、ユーザは、血管内デバイス110の動作のプログラミング若しくは指令、及び/又はディスプレイ160の様相の制御を行う。いくつかの実施形態では、処理システム130は、有線及び/又は無線通信技術を介することを含めて、血管内デバイス110と直接(例えば、インターフェースモジュール120を用いずに)通信している。
更に、いくつかの実施形態では、インターフェースモジュール120及び処理システム130は、集められ、及び/又は同じシステム、ユニット、シャーシ、若しくはモジュールの一部である。インターフェースモジュール120及び処理システム130は共に、センサデータをアセンブルし、処理し、画像としてディスプレイ160に表示するようにする。例えば、様々な実施形態では、インターフェースモジュール120及び/又は処理システム130は、センサ202、204を構成する制御信号を生成し、センサ202、204を活性化させる信号を生成し、センサデータの計算を行い、センサデータの増幅、フィルタ処理、及び/又は統合を行い、センサデータを表示用の画像としてフォーマット化する。これらのタスク及び他のものの割当ては、インターフェースモジュール120と処理システム130との間で様々な形で分散される。特に、処理システム130は、受信したセンサデータを使用して、血管80内部の流体(例えば、血液)の脈波伝播速度を計算する。インターフェースモジュール120は、処理システム130から血管内デバイス110への制御信号の伝達、並びに血管内デバイス110から処理システム130への圧力データの伝達を容易にするように構成された回路構成を含むことができる。いくつかの実施形態では、インターフェースモジュール120はセンサ202、204に電力を供給することができる。いくつかの実施形態では、インターフェースモジュールは、処理システム130に伝達する前に、信号調整及び/又は圧力の前処理を行うことができる。
処理システム130は、患者に位置付けられた電極からECGデータを得るように構成された、心電計(ECG)コンソールと連通している。ECG信号は心臓の電気活性を表し、患者の心周期及び/又はその部分を特定するのに使用することができる。いくつかの例では、処理システム130は、血管内デバイス110から得た圧力データが心周期全体及び/又はその一部分のどちらにわたって得られているかに基づいて、PWVを計算するのに異なる式を利用することができる。ECGデータは、心周期の他の部分の中でも特に、過去、現在、及び次の心周期の開始と終了、収縮期の開始と終了、拡張期の開始と終了を特定するのに使用することができる。いくつかの例では、ECG信号の1つ又は複数の特定可能な特徴(非限定的に、P波の開始、P波のピーク、P波の終了、PR間隔、PRセグメント、QRS群の始まり、R波の開始、R波のピーク、R波の終了、QRS群の終了(J点)、STセグメント、T波の開始、T波のピーク、及びT波の終了を含む)を利用して、心周期の関連部分を選択することができる。ECGコンソールは、Koninklijke Philips N.V.から入手可能なPageWriter心電計システムなど、市販のECG素子に見られるものと類似又は同一の特徴を含む。
様々な周辺デバイスは、処理システム130の入出力の機能性を可能にするか、又は改善する。かかる周辺デバイスとしては、必ずしもそれらに限定されないが、標準的な入力デバイス(マウス、ジョイスティック、キーボードなど)、標準的な出力デバイス(プリンタ、スピーカー、プロジェクタ、グラフィカルディスプレイスクリーンなど)、CD−ROMドライブ、フラッシュドライブ、ネットワーク接続、及び処理システム130とシステム100の他の構成要素との電気接続を挙げることができる。非限定例として、処理システム130は、血管内デバイス110からの信号を操作して、獲得した圧力データ、イメージングデータ、PWVの計算、及び/又はそれらの組み合わせを表す画像を、ディスプレイ160上に生成する。かかる周辺デバイスはまた、血管内デバイス110及び/又は処理システム130の一般動作を可能にするプロセッサ命令を含むソフトウェアをダウンロードするのに、また例えば、血管内デバイス110に結合された補助デバイスの動作を制御する動作を実施するソフトウェア実装プログラムをダウンロードするのに使用される。いくつかの実施形態では、処理システム130は、広範囲の中央又は遠隔分散データ処理スキームで用いられる複数の処理装置を含む。
メモリ150は、例えば、読出し専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、FRAM(登録商標)、又はNANDフラッシュメモリなどの半導体メモリである。メモリ150は、プロセッサ140がメモリ150への書込み及びそこからの読出しを行うように、プロセッサ140及び関連するプロセッサとインターフェース接続する。例えば、プロセッサ140は、血管内デバイス110及び/又はインターフェースモジュール120からデータを受信し、そのデータをメモリ150に書き込むように構成される。このように、一連のデータ読出しがメモリ150に格納される。プロセッサ140は、メモリ150の消去又は上書き、メモリ150が一杯なときの検出、及び半導体メモリの管理と関連付けられた他の共通機能など、他の基本的なメモリ機能を行うことができる。
処理システム130は、受信した圧力データ及び壁厚データを使用して、血管内部の流体(例えば、血液)の脈波伝播速度を決定(例えば、計算)することができる。いくつかの実施形態では、血管は動脈である。一例では、血管は腎動脈である。いくつかの実施形態では、処理システム130は、式(4)を使用して脈波伝播速度を計算することができる。一例では、プロセッサ140は、受信した圧力データ及び壁厚データを同期させ、同期したデータを使用して、式(4)の脈波伝播速度を計算することができる。上述したように、式(4)は、血管壁厚h、血管壁厚の変化dh、圧力の変化dP、並びに血管内の流体の密度ρを使用する。
一例では、圧力センサ信号及び撮像素子信号をプロセッサ140によって同期させることができる。インターフェースモジュール120はタイマーを含むことができ、プロセッサ140は、インターフェースモジュール120に連通することによって、インターフェースモジュール120のタイマーをプロセッサタイマーと同期させることができる。それに加えて、インターフェースモジュール120は、撮像素子202及び圧力センサ204から受信した信号のサンプリングを行うことができ、サンプリングしたデータに対するタイムスタンプを含むことができ、次にタイムスタンプを押されたデータをプロセッサ140に送信することによって、血管内の圧力のモニタリングと関連付けられた圧力データと、プロセッサ140によって受信された血管の壁厚のモニタリングと関連付けられた壁厚データとがタイムスタンプを押され、プロセッサ140は、受信したタイムスタンプに基づいてデータを同期することができる。
或いは、インターフェースモジュール120の代わりに、撮像素子202及び圧力センサ204は、サンプリングを行い、サンプリングしたデータをインターフェースモジュール120に送信することができる。撮像素子202及び圧力センサ204はタイマーを含むことができ、プロセッサ140は、撮像素子202及び圧力センサ204に連通することによって、それらをプロセッサタイマーと同期させることができる。したがって、撮像素子202及び圧力センサ204から受信したデータはタイムスタンプを含むことができ、インターフェースモジュール120は、タイムスタンプを使用して、受信したデータを同期し、次にそれをプロセッサ140に送信することができる。別の例では、インターフェースモジュール120は、撮像素子202及び圧力センサ204から受信したタイムスタンプを押されたデータを、プロセッサ140に送信することができ、プロセッサ140は、受信したタイムスタンプに基づいてデータを同期することができる。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載するように、ECG信号の1つ又は複数の特徴を使用して、同期された形でセンサ202、204によるデータ収集をトリガすることができる。
いくつかの実施形態では、撮像素子202は血管内デバイス110の一部でなくてもよい。例えば、撮像素子202は、別個の血管内デバイスに結合されるか、又は外部イメージングデバイスの一部である。
図1bを参照すると、圧力センサを有する血管内デバイスと撮像素子を有する別個の血管内デバイスとを含む、システム101の概略図が示されている。システム101は、血管80内部に、第1の血管内デバイス195及び第2の血管内デバイス196を含む。第1の血管内デバイス195は圧力センサ204を含み、第2の血管内デバイス196は撮像素子202を含む。システム101は、階層化システムと呼ばれることがあるが、治療目的で患者を階層化するため、血管(例えば、動脈、静脈など)における脈波伝播速度(PWV)決定を行うように構成される。システム101は、インターフェースモジュール120を通して、図1aに示される、プロセッサ140及びメモリ150を有する処理システム130に結合することができ、PWV決定を行うことができる。例えば、患者が腎動脈除神経術に適しているか否かを決定するのに利用される、腎動脈のPWV決定を行うことができる。一般に、圧力センサ204はガイドワイヤ又はカテーテルの一方に結合され、撮像素子202はガイドワイヤ又はカテーテルの他方に結合される。いくつかの例では、第1の血管内デバイス194はガイドワイヤであり、第2の血管内デバイス196はカテーテルである。第1及び第2の血管内デバイス194、196は、いくつかの実施形態では、血管80内で横に並べて位置決めすることができる。いくつかの実施形態では、ガイドワイヤは、カテーテル及びガイドワイヤが同軸であるようにして、少なくとも部分的にカテーテルの内腔を通って延在し、内腔内に位置決めすることができる。
図2は、ヒトの腎臓の解剖学的構造内に位置決めされた血管内デバイス110を示している。ヒトの腎臓の解剖学的構造は、腎臓の口92で腹大動脈90から分岐して腎臓10の門95に入る左右腎動脈81によって、酸素化血液が供給されている腎臓10を含む。腹大動脈90は腎動脈81を心臓に接続する。脱酸素化血液は、腎静脈201及び下行大静脈211を介して、腎臓10から心臓に流れる。具体的には、腹大動脈を通って左腎動脈81内へと延在する、血管内デバイス110が示されている。代替実施形態では、カテーテルは、下方の腎血管115も通って移動するようにサイズ決めされ構成される。
左右の腎神経叢又は神経221は、左右腎動脈81をそれぞれ取り囲む。解剖学的に、腎神経221は、腎動脈81を取り囲む外膜細胞内の1つ又は複数の神経叢を形成する。本開示の目的のため、腎神経は、任意の個別の神経又は神経叢及び神経節として定義され、それらは、神経信号を腎臓10との間でやり取りし、解剖学的には、腎動脈81の表面上、腎動脈81が大動脈90から分岐する腹大動脈90の部分、及び/又は腎動脈81の下方の分岐上に位置する。神経叢に寄与する神経線維は、腹腔神経節、最下内蔵神経、腎皮質神経節、及び大動脈神経叢から生じる。腎神経221は、それぞれの腎動脈と密接に関連して、それぞれの腎臓10の基質内まで延在する。神経は、腎動脈の分枝によって、腎臓10の血管、糸球体、及び細管に分配される。各腎神経221は、一般に、腎臓の門95の範囲でそれぞれの腎臓10に入るが、腎動脈81、又は腎動脈81の分枝が腎臓10に入る位置を含む任意の位置で、腎臓10に入ることができる。
適切な腎機能は、高血圧症状を回避するために、心疾患ホメオスタシスを維持するために必須である。ナトリウムの排出は、適切な細胞外流体量及び血液量を維持し、最終的に流体量及び血液量の影響を最制御する鍵である。定常状態下で、動脈圧力は、尿量と水及びナトリウムの摂取とのバランスをもたらす圧力レベルまで上昇する。異常な腎臓機能によって、腎神経221による腎臓の交感神経過剰刺激によって起こるように、腎臓がナトリウム及び水を過度に保持している場合、動脈圧力は、ナトリウム排出を摂取に等しい量に維持するレベルまで増加する。高血圧患者では、ナトリウムの摂取と排出のバランスは、部分的には腎神経221による腎臓の交感神経刺激の結果として、動脈圧力の上昇を犠牲にして達成される。腎除神経術は、腎臓10の遠心性及び求心性交感神経活性を遮断又は抑制することによって、高血圧の症状及び後遺症を緩和する助けとなる。
いくつかの実施形態では、図1a及び図1bの血管80は、図2の血管81と一致する腎血管であり、脈波伝播速度は腎動脈内で決定される。処理システム130は、腎動脈内の脈波伝播速度(PWV)を決定する。処理システム130は、腎動脈の脈波伝播速度に基づいて、腎除神経療法の推奨を決定する。例えば、腎除神経術から治療的利益を得やすい、又は得にくい患者が、PWVに基づいて選択される。その点に関して、腎血管内の血液のPWVに少なくとも部分的に基づいて、処理システム130は、腎除神経術のための患者階層化を行うことができる。
図3は、単一の血管内に存在する様々な腔内特性及び腔内外距離を示す、腎動脈81のセグメントをより詳細に示している。特に、腎動脈81は、長手方向軸線LAに沿って腎動脈を通って長さ方向で延在する内腔335を含む。内腔335は管状の通路であって、酸素化血液が腹大動脈から腎臓へと流れるのを可能にする。腎交感神経221は、腎動脈81を取り囲む外膜内で延在することができ、遠心性(中枢神経系から離れて伝導する)及び求心性(中枢神経系に向かって伝導する)両方の腎神経を含む。
腎動脈81は、本質的に健康な内腔の直径D1と腔内外距離D2とを有する第1の部分341、狭い不規則な内腔と、プラーク360、370の形態であるアテローム硬化型の変化によって拡大した腔内外距離D3とを有する第2の部分342、及び狭い内腔と、厚くなった動脈壁によって拡大した腔内外距離D2’とを有する第3の部分343を含む。したがって、血管、例えば腎動脈81の腔内輪郭は、血管の長さに沿って大きく変動する。
図4a及び図4bは、腎動脈81の部分341、343、342それぞれを斜視図で示して、腎動脈81に並ぶ腎交感神経221を示している。図4aは、腎動脈81の外表面に付着された分岐するネットワークとして概略的に示されている、腎神経221を含む腎動脈81の部分341を示している。腎神経221は、腎動脈81の長手方向軸線LAに沿って長さ方向で延在することができる。高血圧の場合、脊髄から腎臓10まで通る交感神経は、ノルエピネフリンを生成するように身体に信号伝達し、それが信号のカスケードにつながり、最終的に血圧が上昇する。腎神経221の腎除神経術は、この応答を除去又は減少し、正常な血圧に戻るのを容易にする。
腎動脈81は、動脈の円周を取り囲み、動脈の角度軸θの周りで螺旋状に進む、平滑筋細胞330を有する。腎動脈81の平滑筋細胞330は、腎動脈81の長手方向軸線LAに対して横断方向(即ち、非平行)で延在する、より長い寸法を有する。腎神経221及び平滑筋細胞330の長さ方向寸法のミスアライメントは、「細胞ミスアライメント」として定義される。腎神経221及び平滑筋細胞330のこの細胞ミスアライメントは、平滑筋に対する影響を少なくして腎神経に選択的に影響を与えるように利用される。
図4aでは、腎動脈81の第1の部分341は、長手方向軸線LAに沿って腎動脈を通って長さ方向で延在する内腔340を含む。いくつかの例では、内腔340は円筒状の通路であって、酸素化血液が腹大動脈から腎臓へと流れるのを可能にする。内腔340は、腎動脈81の血液接触面を形成する内腔壁350を含む。距離D1は、内腔340の内腔径に対応し、血流内腔の直径又は周囲を規定する。距離D2は、壁厚に対応し、内腔壁350と腎神経221との間に存在する。比較的健康な腎動脈81は、内腔340に対してほぼ均一な距離D2又は壁厚を有する。比較的健康な腎動脈81は、大動脈付近の近位側部分から腎臓付近の遠位側部分まで、単位長さごとに断面積及び体積が実質的に規則的に減少する。
図4bは、長手方向軸線LAに沿って腎動脈を通って長さ方向で延在する内腔340’を含む、腎動脈81の第3の部分343を示している。内腔340’は、腎動脈81の血液接触面を形成する内腔壁350’を含む。一部の患者では、腎動脈の平滑筋壁は他の患者よりも厚く、その結果、図3に示されるように、腎動脈81の第3の部分343の内腔は他の患者の腎動脈と比べて直径が小さい。いくつかの例では、内腔340’は、図4aに示される内腔340よりも直径及び断面積が小さく、酸素化血液が腹大動脈から腎臓へと流れるのを可能にする円筒状の通路である。距離D2’は、内腔壁350’と腎神経221との間に存在し、図4aに示される距離D2よりも大きい。
図5aは、血管を通って移動する脈波と関連付けられた圧力測定値のグラフ500である。グラフ500は、血管を通って移動する流体、例えば血液の圧力曲線502を示している。横軸504は時間を表すことができ、縦軸506は水銀柱ミリメートル単位の流体圧を表すことができる。例えば、グラフ500は、それぞれ約1秒かかる(毎分約60拍の心拍に対応する)2つの完全なパルスを描いている。一例として、図5aの曲線502は、特定の地点における、例えば血管80内部の圧力センサ204の位置における、時間の関数としての圧力波を表すことができる。
図5bは、血管内の2つの異なる位置における、血管内を通って移動する脈波と関連付けられた圧力測定値のグラフを示している。グラフ510は、血管内の第1の位置における、血管を通って移動する流体、例えば血液の圧力曲線512を示し、グラフ520は、血管内の第2の位置における流体の圧力曲線522を示している。いくつかの例では、第2の位置は、第1の位置よりも流体流の遠位側又は下流側である。グラフ510及び520の横軸504は時間を表すことができ、縦軸506は水銀柱ミリメートル単位の流体圧を表すことができる。圧力曲線512及び522は、任意の所与の時間における2つの位置の間の圧力の著しい変化を示している。したがって、圧力センサ204及び撮像素子202を互いに近接させて保って、それらが血管内部の同じ位置をモニタリングするようにすること、並びに/又は圧力センサ及び撮像素子信号のサンプリングを高分解能にして、結果として得られる圧力データ及び壁厚データを同期させるのを可能にすることが重要であり得る。いくつかの例では、可撓性の血管では、圧力の増加/減少に対応して血管の拡張/収縮が起こるが、それを血管80の断面積の関連する増加/減少によってモニタリングすることができる。
いくつかの実施形態では、圧力は、血管の断面積のモニタリングの1cm以内でモニタリングすることができる。図1aを再び参照すると、圧力センサ204は、血管内デバイス110の可撓性の細長い部材170の長さに沿って、撮像素子202の1cm以内に位置決めすることができる。一例では、この制限を血管内デバイス110の設計仕様に組み込むことができる。また、図1bを再び参照すると、圧力センサ204は、血管内デバイス195及び血管内デバイス196が血管80に挿入されているとき、撮像素子202の1cm以内に位置決めすることができる。一例では、圧力センサ204及び撮像素子202を、ガイドワイヤを使用して1cm以内で機械的に整列させて、血管内デバイス195及び血管内デバイス196の挿入長さを調節することができる。また、撮像素子202を使用して、撮像素子202と圧力センサ204との間の距離を見出すことができ、ガイドワイヤを使用して、1cm以内で距離を調節/位置合わせし、撮像素子202及び圧力センサ204を位置合わせされたまま保つことができる。それに加えて、図1aのプロセッサ140上で実行する制御モジュールなどの別個のシステムが、血管内デバイス110に結合されたガイドワイヤ、及び撮像素子の位置を制御し、それらを位置合わせされたまま保つことができる。或いは、図1bを再び参照すると、撮像素子202とは別個のイメージングシステムが、圧力センサ、及び/又は撮像素子202の位置をモニタリングすることができ、プロセッサ140を通して、撮像素子202及び圧力センサ204を位置合わせされたまま保つことができる。
いくつかの実施形態では、血管内の波の速度を8m/秒、静脈直径を5mm、波圧力を40mmHg、壁厚を0.3mmと仮定して、dhを10μmと決定することができ、PWVが10m/秒の場合、dhは6.5μmである。したがって、壁厚評価の空間分解能は、3.5μmの壁の変化を検出できる必要がある。最大20m/秒の更に大きいPWVを仮定すると、壁厚評価の空間分解能は、20m/秒のPWVと18m/秒のPWVとを区別できるためには、0.4μmの壁の変化を検出できる必要がある。そのため、撮像素子202の空間分解能は、好ましくは0.4μm以上、より好ましくは1.0μm以上、更に好ましくは2.0μm以上、最も好ましくは3.0μm以上である。例えば、好ましい実施形態では、撮像素子202の空間分解能は、0.4〜4.0μmの範囲、好ましくは1.0〜4.0μmの範囲、より好ましくは2.0〜4.0μmの範囲、最も好ましくは3.0〜4.0μmの範囲である。いくつかの例では、測定値はOCTを用いて決定することができる。
図6a〜図6cは、血管を通って移動する脈波として、血管の様相を示している。図6a〜図6cは、本開示の一実施形態による、脈波が血管を通って移動しているときの血管内デバイス195を含む血管の概略例である。上述したように、図6a〜cの血管は可撓性であり、したがって圧力が血管を通って移動するにつれて、その断面積が変化する。グラフ610は、血管80内の異なる瞬間における位置の関数としての圧力波を示している。図に示されるように、血管80は拡張することができ、圧力パルスが増加するにつれて、その断面積は増加することができ、又はその壁厚は減少(延伸)することができる。特に、破線604は、異なる瞬間に測定された特定の断面を示している。図6aは、脈波の第1段階における血管80内の血管内デバイス195を示す概略図である。この段階で、圧力波はその最大値であり、血管の境界は拡張していない(例えば、血管壁605は延伸していない)。図6bは、図6aに類似しているが、圧力波が脈波の最小値とピークとの中間にあり、血管の境界が多少拡張し、血管壁605が多少延伸しているときの第2段階にある、血管80内の血管内デバイス195を示す概略図630である。図6cは、図6a及び6bに類似しているが、圧力波が本質的にピークにあり、血管の境界が本質的にその最大拡張にあり、血管壁605が本質的に最大限延伸しているときの第3段階にある、血管80内の血管内デバイス195を示す概略図650である。
図7a〜図7cは、血管内デバイス195が血管80内部にある血管80の断面図の概略例を示している。図7a〜図7cは、3つの異なる時点における、図6a〜図6cに対応する特定の位置にあるものなど、血管80の特定の位置の断面境界を示している。例えば、図700、720、及び740は、破線604によって指定される特定の位置における、図6a〜図6cの圧力波602が最小のとき、最小値とピークとの中間のとき、及び本質的にピークのときの断面積を示している。図はまた、断面の半径704、並びに断面内部の血管内デバイス195を示している。図示されるように、圧力波によって、血管80の境界は拡張することができ、例えば、壁は延伸し、また狭くなることができる。グラフに示されるように、血管の断面積(即ち、半径704)は、図面700〜740の間で増加することができる。特に、図7aは、図6aに示される脈波の第1段階と関連付けられた血管の断面図を示す概略図である。図7bは、図6bに示される脈波の第2段階と関連付けられた血管の断面図を示す概略図である。図7cは、図6cに示される脈波の第3段階と関連付けられた血管の断面図を示す概略図である。図7a〜cに示されるように、図7aから図7cまで圧力が増加するにつれて、半径704が増加し、壁厚701、702、703は減少(延伸)する。
図8は、血管内の脈波伝播速度を決定する方法800を示すフロー図を提供する。方法800は、図1a、図1b、図2、図6a、図6b、及び図6cを参照して実施することができる。ステップ802で、圧力が、血管、例えば血管80内でモニタリングされる。圧力は、図1a、図1b、図2、図6a、図6b、及び図6cに示される圧力センサ204を用いて、モニタリングすることができる。圧力センサは、血管80内部に位置決めされる血管内デバイス195の一部であることができる。図1aに示されるように、圧力センサ204は、プロセッサ140が圧力センサ204の圧力モニタリングを制御することができるように、インターフェースモジュール120を通してプロセッサ140と連通することができる。一例では、プロセッサは、圧力センサ204による圧力のモニタリングと関連付けられた圧力データを受信することができる。一例では、インターフェースモジュール120は、圧力センサから圧力モニタリングに対応する信号を受信することができ、圧力信号をサンプリングして圧力データを提供することができる。いくつかの例では、ステップ802及び804は任意の順序で行われるか、又は同時に行われる。
方法800のステップ804で、血管80の壁厚がモニタリングされる。血管80の断面は、図1a、図1b、図2、図6a、図6b、及び図6cに示される撮像素子202によってモニタリングすることができる。血管80の断面をモニタリングすることによって、その断面の血管壁厚をモニタリングすることができる。一例では、撮像素子は、血管80内部に位置決めされる血管内デバイス195の一部であることができる。別の例では、撮像素子は、血管内部の別個の血管内デバイス196の一部であることができ、又は撮像素子は血管80の外部であることができる。図1aに示されるように、撮像素子202は、プロセッサ140が撮像素子202の壁厚モニタリングを制御することができるように、インターフェースモジュール120を通してプロセッサ140と連通することができる。一例では、プロセッサは、撮像素子202による血管80の壁厚のモニタリングと関連付けられた壁厚データを受信することができる。一例では、インターフェースモジュール120は、撮像素子202から壁厚モニタリングに対応する信号を受信することができ、受信した信号をサンプリングして、壁厚データを提供することができる。
図2を再び参照すると、血管内デバイス110(例えば、ガイドワイヤ又はカテーテル)は、腎臓の解剖学的構造内で位置決めすることができる。いくつかの例では、血管内デバイス110を挿入する前に、ガイドワイヤ又はガイドカテーテルが、標準的な経皮技術を使用して、患者の大動血管系に導入される。ガイドワイヤ又はガイドカテーテルが、図2の図示される実施形態では左腎動脈81である、標的血管内で位置決めされると、血管内デバイス110は、ガイドワイヤを越えて、又はガイドカテーテルを通して患者の動血管系に導入され、対象範囲まで前進させられる。代替例では、血管内デバイス110は、患者の体外のガイドワイヤ又はガイドカテーテルに結合され、ガイドワイヤ/ガイドカテーテル及び血管内デバイス110は両方とも、患者に導入され、対象範囲まで同時に前進させられる。それに加えて、ユーザは、患者の血管系内における血管内デバイス110の案内及び位置決めを支援するため、非限定例として、蛍光透視、超音波、CT、又はMRIなどの外部イメージングを利用する。いくつかの例では、血管内デバイス110は、ガイドワイヤ又はガイドカテーテルを使用せずに導入される。
方法800のステップ806で、血管80内の圧力のモニタリングと関連付けられた圧力データが受信される。また、血管80の壁厚のモニタリングと関連付けられた壁厚データが受信される。上述したように、インターフェースモジュール120は、圧力センサ204からの圧力モニタリングに対応する信号と、撮像素子202からの壁厚モニタリングに対応する信号の両方を受信することができる。一例では、インターフェースモジュール120は、受信した信号をサンプリングし、壁厚データ及び圧力データをプロセッサ140に提供することができる。
方法800のステップ808で、血管80内の圧力データ及び血管80の壁厚に基づいて、血管80内の流体の脈波伝播速度が決定される。一例では、撮像素子202は、血管80の特定の断面における血管の壁厚を測定することができ、圧力センサ204は、本質的に同じ位置で血管内部の圧力を測定することができる。上述したように、また図1a、図6a、図6b、及び図6cに示されるように、圧力センサ204及び撮像素子202は、同じ血管内デバイス上にあるが、分離距離Dを有することができる。したがって、それぞれの瞬間に、圧力センサ204及び撮像素子202は、血管80のちょうど同じ場所の圧力信号及び撮像素子信号を生成しない。上述したように、圧力センサ204及び撮像素子202から受信した信号を、インターフェースモジュール120によってサンプリングすることができる。一例では、インターフェースモジュール120は、サンプリングされた壁厚データ及び圧力データを同期することができ、同じ瞬間に対応する壁厚データ及び圧力データを生成することができる。或いは、プロセッサは、壁厚データ及び圧力データに対する補間を使用して、本質的に同じ場所における同じ時間に対応する壁厚データ及び圧力データを見つけることができる。一例として、プロセッサ140は、式(4)を使用して脈波伝播速度を決定することができる。上述したように、プロセッサは、壁厚データの変化及び圧力データの変化を決定し、式(4)を使用して脈波伝播速度を計算することができる。
いくつかの実施形態では、方法800の適用を初期化する前に、ユーザ及び/又はプロセッサ140は、血管内デバイス195を利用して、非限定例として血管内腔体積を含む、血管の様々な心血管特性の基準測定を行う。例えば、血管を通して血管内デバイス195並びにその圧力センサ204及び撮像素子202を移動させ、少なくともパルス持続時間にわたって1つ又は複数の位置における血管の圧力及び壁厚をサンプリングすることによって、時間的及び空間的相関データを作成し、このデータを使用して、本質的に同じ場所における同じ時間に対応する壁厚データ及び圧力データを見つける。或いは、血管80の第1の脈波伝播速度測定値に基づいて、また圧力センサ204と撮像素子202との距離に基づいて、圧力波が圧力センサ204と撮像素子202との間を移動する時間差を推定することができる。この推定した時間差を使用して、サンプリングした圧力及び壁厚データを更に、血管80内部の本質的に同じ場所に対して時間的に同期させることができ、新しい(例えば、より正確な)脈波伝播速度を計算することができる。一例では、圧力及び壁厚データのサンプリング速度に基づいて、上記処置が繰り返される。
いくつかの実施形態では、方法800は任意に、PWVに基づいて療法の推奨を決定することを含む。いくつかの例では、臨床医は、計算されたPWV及び/又は他の患者データに基づいて療法の推奨を決定する。いくつかの実施形態では、処理システムは、PWV及び/又は他の患者データを評価して、療法の推奨を決定する。かかる例では、方法800は、療法の推奨の視覚的表現を出力することを含む。例えば、処理システムは、図式的表現と関連付けられた表示データを表示デバイスに出力することができる。「不良」、「可」、「良」などの文字による指示であることができ、及び/又は他の適切な単語が、特定の患者に対する療法と関連付けられた予測される効果を伝達する。他の例では、点数、色分け、及び/又は療法の推奨を表す他の図形を、ディスプレイに出力することができる。いくつかの例では、療法は腎除神経術であることができる。方法800は更に、PWVに基づいて、1人又は複数人の患者を、腎除神経術の結果として予測される治療効果のそれぞれの程度に対応するグループに分類することを含むことができる。方法800はまた、処理システムが分類ステップの図形的表現を表示デバイスに出力することを含むことができる。
本明細書に記載するイメージングデバイスは、電磁放射線(例えば、光コヒーレンス断層撮影、X線CTなどの不可視範囲の光波)に基づいて、後方散乱データ(又はその変換)を利用して、任意の組織タイプ又は組成(血管系に限定されないが、他のヒト並びにヒト以外の構造を含む)の画像を描画できることが認識されるべきである。かかるイメージング技術は本開示の趣旨及び範囲内である。
当業者であれば、本開示に包含される実施形態は上述した特定の例示的実施形態に限定されないことを理解するであろう。その点に関して、例証となる実施形態を図示し記載してきたが、広範囲の修正、変更、及び置換が上述の開示において想到される。例えば、血管内デバイスは、熱的神経調節の指示を有する、動脈及び静脈両方の、患者の血管系のどこかで利用される。かかる変形は、本開示の範囲から逸脱することなく、上記に対して行われることが理解される。したがって、添付の特許請求の範囲は概括的に、また本開示と一貫した形で解釈されることが適切である。