WO2024147230A1 - 半導体装置及びその製造方法 - Google Patents

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慎 下沢
孝昭 須澤
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富士電機株式会社
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Abstract

半導体基板と、前記半導体基板の上方に設けられ、側壁に段差部を有するコンタクトホールが設けられた層間絶縁膜と、前記コンタクトホールに設けられたコンタクト部と、を備え、前記コンタクト部は、前記コンタクトホールの側壁および底面に設けられたバリア層と、を有し、前記バリア層は、前記段差部と接する第1領域と、前記第1領域と異なる領域において、前記コンタクトホールの側壁と接する第2領域と、を有し、前期第1領域の最厚部分の膜厚をT、前記第2領域の最薄部分の膜厚をtとした場合に、0.3T≦t≦0.95Tを満たす半導体装置を提供する。

Description

半導体装置及びその製造方法
 本発明は、半導体装置及びその製造方法に関する。
 特許文献1には、「コンタクトホール14の側壁には、HTO膜11とBPSG膜12との界面に1段の段差14cが設けられ、当該段差14cにより、コンタクトホール14の上端部側の幅がコンタクトホール14の底面側の幅よりも階段状に広くなっている」構成の半導体装置が記載されている。
[先行技術文献]
[特許文献]
  [特許文献1] 再表2019-093015号公報
  [特許文献2] 特開昭63-205951号公報
  [特許文献3] 特開平5-299375号公報
  [特許文献4] 特開平7-94448号公報
  [特許文献5] 特開2001-223218号公報
  [特許文献6] 特表2004-515921号公報
  [特許文献7] 特表2007-511087号公報
  [特許文献8] 特開2008-141050号公報
解決しようとする課題
 バリア層の膜厚を均一化することが好ましい。
一般的開示
 本発明の第1の態様においては、半導体基板と、前記半導体基板の上方に設けられ、側壁に段差部を有するコンタクトホールが設けられた層間絶縁膜と、前記コンタクトホールに設けられたコンタクト部と、を備え、前記コンタクト部は、前記コンタクトホールの側壁および底面に設けられたバリア層と、を有し、前記バリア層は、前記段差部と接する第1領域と、前記第1領域よりも下側の領域において、前記コンタクトホールの側壁と接する第2領域と、を有し、前期第1領域の最厚部分の膜厚をT、前記第2領域の最薄部分の膜厚をtとした場合に、0.3T≦t≦0.95Tを満たす半導体装置を提供する。
 上記半導体装置において、前記層間絶縁膜は、前記半導体基板のおもて面に接して設けられた第1層間絶縁膜と、前記第1層間絶縁膜の上方に設けられた第2層間絶縁膜と、を有し、前記段差部は、前記第1層間絶縁膜と前記第2層間絶縁膜との境界に形成されてよい。
 上記いずれかの半導体装置において、前記コンタクト部は、前記半導体基板のおもて面から前記半導体基板の深さ方向に延伸して設けられたトレンチコンタクト部であってよい。
 上記いずれかの半導体装置において、前記バリア層は、前記コンタクトホールにおいて、前記側壁に設けられた第1バリアメタル層と、前記コンタクトホールにおいて、前記第1バリアメタル層に積層された第2バリアメタル層と、を有してよい。
 上記いずれかの半導体装置において、前記段差部よりも上方において、前記第2バリアメタル層の膜厚は、前記第1バリアメタル層の膜厚よりも厚くてよい。
 上記いずれかの半導体装置において、前記段差部よりも下方において、前記第2バリアメタル層の膜厚は、前記第1バリアメタル層の膜厚よりも薄くてよい。
 上記いずれかの半導体装置において、前記第1領域の最厚部分の膜厚Tは3nm以上、120nm以下であってよく、前記第2領域の最薄部分の膜厚tは1nm以上、114nm以下であってよい。
 上記いずれかの半導体装置において、前記第1領域における前記第1バリアメタル層の最厚部分の膜厚は、3nm以上、120nm以下であってよい。
 上記いずれかの半導体装置において、前記第1バリアメタル層は、Ti、TiN、Ta、TaNのいずれか1つを含んでよい。
 上記いずれかの半導体装置において、前記第2バリアメタル層は、TiN、TaNのいずれか1つを含んでよい。
 上記いずれかの半導体装置において、前記コンタクトホールにおいて、前記バリア層の内側に設けられたプラグ層を備えてよい。
 上記いずれかの半導体装置において、前記層間絶縁膜の上方において、前記バリア層または前記プラグ層の少なくとも1つあるいは両方が設けられてよい。
 上記いずれかの半導体装置において、前記プラグ層はタングステン、モリブデンのいずれか1つを含んでよい。
 上記いずれかの半導体装置において、前記コンタクトホールの前記側壁は、順テーパであってよい。
 上記いずれかの半導体装置において、前記コンタクトホールの前記側壁は、逆テーパであってよい。
 上記いずれかの半導体装置において、前記コンタクトホールの前記側壁の接線方向に対して垂直な方向における前記段差部の高さは、前記層間絶縁膜の上面における前記コンタクトホールの開口幅の15%以下であってよい。
 上記いずれかの半導体装置において、前記バリア層の膜厚は、前記段差部よりも上方において1nm以上、115nm以下であってよく、前記段差部よりも下方において1nm以上、114nm以下であってよい。
 本発明の第2の態様においては、半導体基板の上方に、側壁に段差部を設けたコンタクトホールを有する層間絶縁膜を形成する段階と、前記コンタクトホールの側壁および底面にバリア層を設ける段階と、前記コンタクトホールにおいて、前記バリア層の内側にプラグ層を設ける段階と、を備え、前記バリア層は、前記段差部と接する第1領域と、前記第1領域よりも下側の領域において、前記コンタクトホールの前記側壁と接する第2領域と、を有し、前期第1領域の最厚部分の膜厚をT、前記第2領域の最薄部分の膜厚をtとした場合に、0.3T≦t≦0.95Tを満たす、半導体装置の製造方法を提供する。
 上記半導体装置の製造方法において、前記バリア層を設ける段階は、前記コンタクトホールにおいて、前記側壁および前記底面に第1バリアメタル層を設ける段階と、前記コンタクトホールにおいて、前記第1バリアメタル層に積層させるように第2バリアメタル層を設ける段階と、を有してよい。
 上記いずれかの半導体装置の製造方法において、前記第1バリアメタル層を設ける段階の後であって、前記第2バリアメタル層を設ける段階の前に、前記第1領域をエッチングする段階を有してよい。
 上記いずれかの半導体装置の製造方法において、前記第1領域における前記第1バリアメタル層の最厚部分の膜厚は、3nm以上、120nm以下であってよい。
 上記いずれかの半導体装置の製造方法において、前記バリア層は、スパッタ法で形成されてよい。
 上記いずれかの半導体装置の製造方法において、前記プラグ層は、CVD法で形成されてよい。
 上記いずれかの半導体装置の製造方法において、前記第2バリアメタル層はCVD法で形成されてよい。
 なお、上記の発明の概要は、本発明の特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
半導体装置100の上面図の一例を示す。 図1Aにおけるa-a'断面の一例を示す。 半導体装置100の変形例の上面図を示す。 半導体装置100の変形例の上面図を示す。 半導体装置100の変形例のb-b'断面を示す。 半導体装置100の断面の拡大図である。 変形例である半導体装置100の断面の拡大図である。 変形例である半導体装置100の断面の拡大図である。 比較例における半導体装置の断面の拡大図である。 半導体装置100の製造工程の一例を示すフローチャートである。 半導体装置100の製造方法の一例を示す。 半導体装置100の製造方法の一例を示す。 半導体装置100の製造方法の一例を示す。
 以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
 本明細書においては半導体基板の深さ方向と平行な方向における一方の側を「上」、他方の側を「下」と称する。基板、層またはその他の部材の2つの主面のうち、一方の面を上面、他方の面を下面と称する。「上」、「下」の方向は、重力方向または半導体装置の実装時における方向に限定されない。
 本明細書では、X軸、Y軸およびZ軸の直交座標軸を用いて技術的事項を説明する場合がある。直交座標軸は、構成要素の相対位置を特定するに過ぎず、特定の方向を限定するものではない。例えば、Z軸は地面に対する高さ方向を限定して示すものではない。なお、+Z軸方向と-Z軸方向とは互いに逆向きの方向である。正負を記載せず、Z軸方向と記載した場合、+Z軸および-Z軸に平行な方向を意味する。
 本明細書では、半導体基板の上面および下面に平行な直交軸をX軸およびY軸とする。また、半導体基板の上面および下面と垂直な軸をZ軸とする。本明細書では、Z軸の方向を深さ方向と称する場合がある。また、本明細書では、X軸およびY軸を含めて、半導体基板の上面および下面に平行な方向を、水平方向と称する場合がある。
 本明細書においてP+型またはN+型と記載した場合、P型またはN型よりもドーピング濃度が高いことを意味し、P-型またはN-型と記載した場合、P型またはN型よりもドーピング濃度が低いことを意味する。
 図1Aは、半導体装置100の上面図の一例を示す。本例の半導体装置100は、トランジスタ部70を備える半導体チップである。半導体装置100は、半導体基板10にMOSゲート構造を有する半導体素子であれば、トランジスタに限定されない。
 トランジスタ部70は、半導体基板10の裏面側に設けられたコレクタ領域22を半導体基板10の上面に投影した領域である。コレクタ領域22については後述する。トランジスタ部70は、IGBT等のトランジスタを含む。本例では、トランジスタ部70はIGBTである。なお、トランジスタ部70は、MOSFET等の他のトランジスタであってもよい。
 本図においては、半導体装置100の活性部周辺の領域を示しており、他の領域を省略している。例えば、本例の半導体装置100のY軸方向の負側の領域には、エッジ終端構造部が設けられてよい。エッジ終端構造部は、半導体基板10の上面側の電界集中を緩和する。エッジ終端構造部は、例えばガードリング、フィールドプレート、リサーフおよびこれらを組み合わせた構造を有する。なお、本例では、便宜上、Y軸方向の負側のエッジについて説明するものの、半導体装置100の他のエッジについても同様である。
 半導体基板10は、半導体材料で形成された基板である。半導体基板10は、シリコン基板であってよく、炭化シリコン基板であってよい。本例の半導体基板10は、シリコン基板である。なお、本明細書で単に上面視と称した場合、半導体基板10の上面側から見ることを意味している。半導体基板10は、後述の通り、おもて面21および裏面23を有する。
 本例の半導体装置100は、半導体基板10のおもて面21において、ゲートトレンチ部40と、ダミートレンチ部30と、エミッタ領域12と、ベース領域14と、コンタクト領域15と、ウェル領域17とを備える。また、本例の半導体装置100は、半導体基板10のおもて面21の上方に設けられたエミッタ電極52およびゲート金属層50を備える。エミッタ電極52およびゲート金属層50は、後述するおもて面側金属層53の一例である。ゲートトレンチ部40は、半導体装置100が備えるMOSゲート構造の一例である。なお、本例の半導体装置100は、MOSゲート構造を備えるトランジスタであるが、MOSゲート構造を備えるダイオードであってもよい。
 エミッタ電極52は、ゲートトレンチ部40、ダミートレンチ部30、エミッタ領域12、ベース領域14、コンタクト領域15およびウェル領域17の上方に設けられている。また、ゲート金属層50は、接続部25およびウェル領域17の上方に設けられている。
 エミッタ電極52およびゲート金属層50は、金属を含む材料で形成される。エミッタ電極52の少なくとも一部の領域は、アルミニウム(Al)等の金属、または、アルミニウム‐シリコン合金(AlSi)、アルミニウム‐シリコン‐銅合金(AlSiCu)等の金属合金で形成されてよい。ゲート金属層50の少なくとも一部の領域は、アルミニウム(Al)等の金属、または、アルミニウム‐シリコン合金(AlSi)、アルミニウム‐シリコン‐銅合金(AlSiCu)等の金属合金で形成されてよい。エミッタ電極52およびゲート金属層50は、アルミニウム等で形成された領域の下層にチタンまたはチタン化合物等で形成されたバリア層60を有してよい。バリア層60については後述する。エミッタ電極52およびゲート金属層50は、互いに分離して設けられる。
 エミッタ電極52およびゲート金属層50は、層間絶縁膜38を挟んで、半導体基板10の上方に設けられる。層間絶縁膜38は、図1Aでは省略されている。層間絶縁膜38には、コンタクトホール54、コンタクトホール55およびコンタクトホール56が貫通して設けられている。
 コンタクトホール55は、ゲート金属層50とトランジスタ部70内のゲート導電部とを接続部25を介して電気的に接続する。コンタクトホール55の内部には、タングステン等で形成されたプラグ層64が形成されてもよい。プラグ層64については後述する。
 コンタクトホール56は、エミッタ電極52とダミートレンチ部30内のダミー導電部とを接続する。コンタクトホール56の内部には、タングステン等で形成されたプラグ層64が形成されてもよい。
 接続部25は、エミッタ電極52またはゲート金属層50等のおもて面側金属層53と接続される。一例において、接続部25は、ゲート金属層50とゲート導電部との間に設けられる。本例の接続部25は、X軸方向に延伸して設けられ、ゲート導電部と電気的に接続されてよい。接続部25は、エミッタ電極52とダミー導電部との間にも設けられてよい。本例では、エミッタ電極52とダミー導電部との間に接続部25が設けられていない。接続部25は、不純物がドープされたポリシリコン等の、導電性を有する材料である。本例の接続部25は、N型の不純物がドープされたポリシリコン(N+)である。接続部25は、酸化膜等の絶縁膜等を介して、半導体基板10のおもて面21の上方に設けられる。
 ゲートトレンチ部40は、半導体基板10のおもて面21側において、予め定められた延伸方向に延伸した複数のトレンチ部の一例である。ゲートトレンチ部40は、予め定められた配列方向(本例ではX軸方向)に沿って予め定められた間隔で配列される。本例のゲートトレンチ部40は、半導体基板10のおもて面21に平行であって配列方向と垂直な延伸方向(本例ではY軸方向)に沿って延伸する2つの延伸部分41と、2つの延伸部分41を接続する接続部分43を有してよい。
 接続部分43は、少なくとも一部が曲線状に形成されることが好ましい。ゲートトレンチ部40の2つの延伸部分41の端部を接続することで、延伸部分41の端部における電界集中を緩和できる。ゲートトレンチ部40の接続部分43において、接続部25を介して、ゲート金属層50がゲート導電部と電気的に接続されてよい。
 ダミートレンチ部30は、半導体基板10のおもて面21側において、予め定められた延伸方向に延伸した複数のトレンチ部の一例である。ダミートレンチ部30は、エミッタ電極52と電気的に接続されたトレンチ部である。ダミートレンチ部30は、ゲートトレンチ部40と同様に、予め定められた配列方向(本例ではX軸方向)に沿って予め定められた間隔で配列される。本例のダミートレンチ部30は、半導体基板10のおもて面21においてI字形状を有するが、ゲートトレンチ部40と同様に、半導体基板10のおもて面21においてU字形状を有してよい。即ち、ダミートレンチ部30は、延伸方向に沿って延伸する2つの延伸部分と、2つの延伸部分を接続する接続部分を有してよい。
 本例のトランジスタ部70は、2つのゲートトレンチ部40と2つのダミートレンチ部30を繰り返し配列させた構造を有する。即ち、本例のトランジスタ部70は、1:1の比率でゲートトレンチ部40とダミートレンチ部30を有している。例えば、トランジスタ部70は、2本の延伸部分41の間に1本のダミートレンチ部30を有する。
 但し、ゲートトレンチ部40とダミートレンチ部30の比率は本例に限定されない。ゲートトレンチ部40の比率がダミートレンチ部30の比率よりも大きくてよく、ダミートレンチ部30の比率がゲートトレンチ部40の比率よりも大きくてよい。ゲートトレンチ部40とダミートレンチ部30の比率は、2:3であってもよく、2:4であってもよい。また、トランジスタ部70は、全てのトレンチ部をゲートトレンチ部40として、ダミートレンチ部30を有さなくてもよい。
 ウェル領域17は、後述するドリフト領域18よりも半導体基板10のおもて面21側に設けられた第2導電型の領域である。ウェル領域17は、活性部120の周辺側に設けられるウェル領域の一例である。ウェル領域17は、一例としてP+型である。ウェル領域17は、ゲート金属層50が設けられる側の活性領域の端部から、予め定められた範囲で形成される。ウェル領域17の拡散深さは、ゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30の深さよりも深くてよい。ゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30の、ゲート金属層50側の一部の領域は、ウェル領域17に形成される。ゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30の延伸方向の端の底は、ウェル領域17に覆われてよい。
 コンタクトホール54は、トランジスタ部70において、エミッタ領域12およびコンタクト領域15の各領域の上方に形成される。コンタクトホール54は、Y軸方向両端に設けられたウェル領域17の上方には設けられていない。このように、層間絶縁膜には、1又は複数のコンタクトホール54が形成されている。1又は複数のコンタクトホール54は、延伸方向に延伸して設けられてよい。
 メサ部71は、半導体基板10のおもて面21と平行な面内において、トレンチ部に隣接して設けられたメサ部である。メサ部とは、隣り合う2つのトレンチ部に挟まれた半導体基板10の部分であって、半導体基板10のおもて面21から、各トレンチ部の最も深い底部の深さまでの部分であってよい。各トレンチ部の延伸部分を1つのトレンチ部としてよい。即ち、2つの延伸部分に挟まれる領域をメサ部としてよい。
 メサ部71は、トランジスタ部70において、ダミートレンチ部30またはゲートトレンチ部40の少なくとも1つに隣接して設けられる。メサ部71は、半導体基板10のおもて面21において、ウェル領域17と、エミッタ領域12と、ベース領域14と、コンタクト領域15とを有する。メサ部71では、エミッタ領域12およびコンタクト領域15が延伸方向において交互に設けられている。
 ベース領域14は、半導体基板10のおもて面21側に設けられた第2導電型の領域である。ベース領域14は、一例としてP-型である。ベース領域14は、半導体基板10のおもて面21において、メサ部71のY軸方向における両端部に設けられてよい。なお、図1Aは、当該ベース領域14のY軸方向の一方の端部のみを示している。
 エミッタ領域12は、ドリフト領域18よりもドーピング濃度の高い第1導電型の領域である。本例のエミッタ領域12は、一例としてN+型である。エミッタ領域12のドーパントの一例はヒ素(As)である。エミッタ領域12は、メサ部71のおもて面21において、ゲートトレンチ部40と接して設けられる。エミッタ領域12は、メサ部71を挟んだ2本のトレンチ部の一方から他方まで、X軸方向に延伸して設けられてよい。エミッタ領域12は、コンタクトホール54の下方にも設けられている。
 また、エミッタ領域12は、ダミートレンチ部30と接してもよいし、接しなくてもよい。本例のエミッタ領域12は、ダミートレンチ部30と接している。
 コンタクト領域15は、ベース領域14の上方に設けられ、ベース領域14よりもドーピング濃度の高い第2導電型の領域である。本例のコンタクト領域15は、一例としてP+型である。本例のコンタクト領域15は、メサ部71のおもて面21に設けられている。コンタクト領域15は、メサ部71を挟んだ2本のトレンチ部の一方から他方まで、X軸方向に設けられてよい。コンタクト領域15は、ゲートトレンチ部40またはダミートレンチ部30と接してもよいし、接しなくてもよい。本例のコンタクト領域15は、ダミートレンチ部30およびゲートトレンチ部40と接する。コンタクト領域15は、コンタクトホール54の下方にも設けられている。
 図1Bは、図1Aにおけるa-a'断面の一例を示す。a-a'断面は、トランジスタ部70において、エミッタ領域12を通過するXZ面である。本例の半導体装置100は、a-a'断面において、半導体基板10、層間絶縁膜38、エミッタ電極52およびコレクタ電極24を有する。コレクタ電極24は、半導体基板10の裏面23と接して設けられた裏面側金属層の一例である。エミッタ電極52は、半導体基板10および層間絶縁膜38の上方に形成される。
 ドリフト領域18は、半導体基板10に設けられた第1導電型の領域である。本例のドリフト領域18は、一例としてN-型である。ドリフト領域18は、半導体基板10において他のドーピング領域が形成されずに残存した領域であってよい。即ち、ドリフト領域18のドーピング濃度は半導体基板10のドーピング濃度であってよい。
 バッファ領域20は、ドリフト領域18よりも半導体基板10の裏面23側に設けられた第1導電型の領域である。本例のバッファ領域20は、一例としてN型である。バッファ領域20のドーピング濃度は、ドリフト領域18のドーピング濃度よりも高い。バッファ領域20は、ベース領域14の下面側から広がる空乏層が、第2導電型のコレクタ領域22に到達することを防ぐフィールドストップ層として機能してよい。なお、バッファ領域20は、省略されてよい。
 コレクタ領域22は、トランジスタ部70において、バッファ領域20の下方に設けられる。コレクタ領域22は、第2導電型を有する。本例のコレクタ領域22は、一例としてP+型である。
 コレクタ電極24は、半導体基板10の裏面23に形成される。コレクタ電極24は、金属等の導電材料で形成される。コレクタ電極24の材料は、エミッタ電極52の材料と同一であってもよく、異なっていてもよい。
 ベース領域14は、ドリフト領域18の上方に設けられる第2導電型の領域である。ベース領域14は、ゲートトレンチ部40に接して設けられる。ベース領域14は、ダミートレンチ部30に接して設けられてよい。
 エミッタ領域12は、ベース領域14の上方に設けられる。エミッタ領域12は、ベース領域14とおもて面21との間に設けられる。エミッタ領域12は、ゲートトレンチ部40と接して設けられる。エミッタ領域12は、ダミートレンチ部30と接してもよいし、接しなくてもよい。
 蓄積領域16は、ドリフト領域18よりも半導体基板10のおもて面21側に設けられる第1導電型の領域である。本例の蓄積領域16は、一例としてN+型である。但し、蓄積領域16が設けられなくてもよい。
 蓄積領域16は、ゲートトレンチ部40に接して設けられる。蓄積領域16は、ダミートレンチ部30に接してもよいし、接しなくてもよい。蓄積領域16のドーピング濃度は、ドリフト領域18のドーピング濃度よりも高い。蓄積領域16のイオン注入のドーズ量は、1.0E+12cm-2以上、1.0E+13cm-2以下であってよい。また、蓄積領域16のイオン注入ドーズ量は、3.0E+12cm-2以上、6.0E+12cm-2以下であってもよい。蓄積領域16を設けることで、キャリア注入促進効果(IE効果)を高めて、トランジスタ部70のオン電圧を低減できる。
 1つ以上のゲートトレンチ部40および1つ以上のダミートレンチ部30は、おもて面21に設けられる。各トレンチ部は、おもて面21からドリフト領域18まで設けられる。エミッタ領域12、ベース領域14、コンタクト領域15および蓄積領域16の少なくともいずれかが設けられる領域においては、各トレンチ部はこれらの領域も貫通して、ドリフト領域18に到達する。トレンチ部がドーピング領域を貫通するとは、ドーピング領域を形成してからトレンチ部を形成する順序で製造したものに限定されない。トレンチ部を形成した後に、トレンチ部の間にドーピング領域を形成したものも、トレンチ部がドーピング領域を貫通したものに含まれる。
 ゲートトレンチ部40は、おもて面21に形成されたゲートトレンチ、ゲート絶縁膜42およびゲート導電部44を有する。ゲート絶縁膜42は、ゲートトレンチの内壁を覆って形成される。ゲート絶縁膜42は、ゲートトレンチの内壁の半導体を酸化または窒化して形成してよい。ゲート導電部44は、ゲートトレンチの内部においてゲート絶縁膜42よりも内側に形成される。ゲート絶縁膜42は、ゲート導電部44と半導体基板10とを絶縁する。ゲート導電部44は、ポリシリコン等の導電材料で形成される。ゲートトレンチ部40は、おもて面21において層間絶縁膜38により覆われる。
 ゲート導電部44は、半導体基板10の深さ方向において、ゲート絶縁膜42を挟んでメサ部71側で隣接するベース領域14と対向する領域を含む。ゲート導電部44に所定の電圧が印加されると、ベース領域14のうちゲートトレンチに接する界面の表層に、電子の反転層によるチャネルが形成される。
 ダミートレンチ部30は、ゲートトレンチ部40と同一の構造を有してよい。ダミートレンチ部30は、おもて面21側に形成されたダミートレンチ、ダミー絶縁膜32およびダミー導電部34を有する。ダミー絶縁膜32は、ダミートレンチの内壁を覆って形成される。ダミー導電部34は、ダミートレンチの内部に形成され、且つ、ダミー絶縁膜32よりも内側に形成される。ダミー絶縁膜32は、ダミー導電部34と半導体基板10とを絶縁する。ダミートレンチ部30は、おもて面21において層間絶縁膜38により覆われてよい。
 層間絶縁膜38は、半導体基板10の上方に設けられる。本例の層間絶縁膜38は、おもて面21と接して設けられる。層間絶縁膜38の上方には、エミッタ電極52が設けられている。層間絶縁膜38には、エミッタ電極52と半導体基板10とを電気的に接続するための1又は複数のコンタクトホール54が設けられている。コンタクトホール55およびコンタクトホール56も同様に、層間絶縁膜38を貫通して設けられてよい。層間絶縁膜38の膜厚は、例えば1.0μmであるが、これに限定されない。本例の層間絶縁膜38は、おもて面21と接して設けられる第1の層間絶縁膜381と、第1の層間絶縁膜381の上方に設けられる第2の層間絶縁膜382とを有してよい。
 層間絶縁膜38は、シリコン酸化膜であってよい。層間絶縁膜38は、BPSG(Boro‐phospho Silicate Glass)膜であってもよいし、BSG(borosilicate glass)膜であってもよいし、PSG(Phosphosilicate glass)膜であってもよい。層間絶縁膜38は、高温シリコン酸化(HTO:High Temperature Oxide)膜を含んでもよい。第1の層間絶縁膜381および第2の層間絶縁膜382は、同一の材料であってもよく、異なる材料であってもよい。一例において、第1の層間絶縁膜381がHTO膜であり、第2の層間絶縁膜382がBPSG膜であってよい。また、層間絶縁膜38は3層以上の層構成であっても良い。
 図2Aは、半導体装置100の変形例の上面図を示す。本例においては、半導体装置100の一部の部材だけを示しており、一部の部材は省略している。
 半導体基板10は、上面視において端辺102を有する。本例の半導体基板10は、上面視において互いに向かい合う2組の端辺102を有する。本例においては、X軸およびY軸は、いずれかの端辺102と平行である。
 半導体基板10には活性部120が設けられている。活性部120は、半導体装置100が動作した場合に半導体基板10のおもて面21と裏面23との間で、深さ方向に主電流が流れる領域である。活性部120の上方には、エミッタ電極52が設けられているが本図では省略している。
 活性部120には、IGBT等のトランジスタ素子を含むトランジスタ部70と、還流ダイオード(FWD)等のダイオード素子を含むダイオード部80の少なくとも一方が設けられている。図2Aの例では、トランジスタ部70およびダイオード部80は、半導体基板10のおもて面21における所定の配列方向(本例ではX軸方向)に沿って、交互に配置されている。他の例では、活性部120には、トランジスタ部70およびダイオード部80の一方だけが設けられていてもよい。
 本例においては、トランジスタ部70が配置される領域には記号「I」を付し、ダイオード部80が配置される領域には記号「F」を付している。トランジスタ部70およびダイオード部80は、それぞれ延伸方向に長手を有してよい。つまり、トランジスタ部70のY軸方向における長さは、X軸方向における幅よりも大きい。同様に、ダイオード部80のY軸方向における長さは、X軸方向における幅よりも大きい。トランジスタ部70およびダイオード部80の延伸方向と、後述する各トレンチ部の長手方向とは同一であってよい。
 ダイオード部80は、半導体基板10の裏面23側に設けられたカソード領域82を半導体基板10の上面に投影した領域である。カソード領域82については後述する。半導体基板10の裏面23において、カソード領域82以外の領域には、P+型のコレクタ領域22が設けられてよい。本明細書では、ダイオード部80を、後述するゲート配線までY軸方向に延長した延長領域85も、ダイオード部80に含める場合がある。延長領域85の裏面23には、コレクタ領域22が設けられてよい。
 半導体装置100は、半導体基板10の上方に1つ以上のパッドを有してよい。本例の半導体装置100は、ゲートパッド112を有している。半導体装置100は、アノードパッドおよびカソードパッド等のパッドを有してもよい。各パッドは、本例の場合、端辺102の近傍に配置されている。端辺102の近傍とは、上面視における端辺102と、エミッタ電極52との間の領域を指す。半導体装置100の実装時において、各パッドは、ワイヤ等の配線を介して外部の回路に接続されてよい。また各パッドの配置位置は、端辺102の近傍の配置でなくてもよい。
 ゲートパッド112には、ゲート電位が印加される。ゲートパッド112は、活性部120のゲートトレンチ部40のゲート導電部44に電気的に接続される。半導体装置100は、ゲートパッド112とゲートトレンチ部40とを接続するゲート配線を備える。図2Aにおいては、ゲート配線に斜線のハッチングを付している。
 本例のゲート配線は、外周ゲート配線130と、活性部間ゲート配線131とを有している。ゲート配線はゲート金属層50や接続部25のどちらか一方、あるいは、両方を適宜組み合わせて構成されてよい。外周ゲート配線130と、活性部間ゲート配線131は同じ構成であってよく、異なる構成であってもよい。外周ゲート配線130は、上面視において活性部120と半導体基板10の端辺102との間に配置されている。本例の外周ゲート配線130は、上面視において活性部120を囲んでいる。上面視において外周ゲート配線130に囲まれた領域を活性部120としてもよい。また、外周ゲート配線130は、ゲートパッド112と接続されている。外周ゲート配線130は、半導体基板10の上方に配置されている。外周ゲート配線130は、ゲート金属層50および接続部25より構成されてよい。
 活性部間ゲート配線131は、複数の活性部120の間に設けられている。図2Aにおいては、Y軸方向に2つの活性部120が並んで配置されている。半導体基板10の内部の複数の活性部120の間に活性部間ゲート配線131を設けることで、半導体基板10の各領域について、ゲートパッド112からの配線長のバラツキを低減できる。
 活性部間ゲート配線131は、活性部120のゲートトレンチ部と接続される。活性部間ゲート配線131は、半導体基板10の上方に配置されている。本例の活性部間ゲート配線131は、ゲート金属層50および接続部25により構成されている。ゲート金属層50は、アルミニウム等を含む金属層であってよい。
 活性部間ゲート配線131は、外周ゲート配線130と接続されてよい。本例の活性部間ゲート配線131は、Y軸方向の略中央で一方の外周ゲート配線130から他方の外周ゲート配線130まで、活性部120を横切るように、X軸方向に延伸して設けられている。活性部間ゲート配線131により活性部120が分割されている場合、それぞれの分割領域において、トランジスタ部70およびダイオード部80がX軸方向に交互に配置されてよい。
 エッジ終端構造部140は、半導体基板10のおもて面21に設けられる。エッジ終端構造部140は、上面視において、活性部120と端辺102との間に設けられる。本例のエッジ終端構造部140は、外周ゲート配線130と端辺102との間に配置されている。エッジ終端構造部140は、半導体基板10のおもて面21側の電界集中を緩和する。エッジ終端構造部140は、活性部120を囲んで環状に設けられたガードリング、フィールドプレートおよびリサーフのうちの少なくとも一つを備えていてよい。
 図2Bは、半導体装置100の変形例の上面図を示す。本例の半導体装置100は、トランジスタ部70およびダイオード部80を備える。本図は、図2Aにおける領域Aの上面の拡大図である。
 本例の半導体装置100は、半導体基板10のおもて面21側の内部に設けられたゲートトレンチ部40、ダミートレンチ部30、エミッタ領域12、ベース領域14、コンタクト領域15およびウェル領域17を備える。ゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30は、それぞれがトレンチ部の一例である。
 本例のダミートレンチ部30は、ゲートトレンチ部40と同様に、半導体基板10のおもて面21においてU字形状を有してよい。即ち、ダミートレンチ部30は、延伸方向に沿って延伸する2つの延伸部分31と、2つの延伸部分31を接続する接続部分33を有してよい。
 本例の半導体装置100は、半導体基板10のおもて面21の上方に設けられたエミッタ電極52およびゲート金属層50を備える。エミッタ電極52およびゲート金属層50は互いに分離して設けられる。本例のトランジスタ部70は、トランジスタ部70とダイオード部80との境界に位置する境界部90を含む。但し、半導体装置100は、境界部90を備えなくてもよい。
 境界部90は、トランジスタ部70に設けられ、ダイオード部80と隣接する領域である。境界部90は、半導体基板10のおもて面21においてコンタクト領域15を有する。本例の境界部90は、エミッタ領域12を有さない。一例において、境界部90のトレンチ部は、ダミートレンチ部30である。本例の境界部90は、X軸方向における両端がダミートレンチ部30となるように配置されている。
 コンタクトホール54は、ダイオード部80において、ベース領域14の上方に設けられる。コンタクトホール54は、境界部90において、コンタクト領域15の上方に設けられる。いずれのコンタクトホール54も、Y軸方向両端に設けられたウェル領域17の上方には設けられていない。
 メサ部91は、境界部90に設けられている。メサ部91は、半導体基板10のおもて面21において、コンタクト領域15を有する。本例のメサ部91は、Y軸方向の負側において、ベース領域14およびウェル領域17を有する。
 メサ部81は、ダイオード部80において、隣り合うダミートレンチ部30に挟まれた領域に設けられる。メサ部81は、半導体基板10のおもて面21において、ベース領域14を有する。本例のメサ部81は、Y軸方向の負側においてウェル領域17を有する。
 エミッタ領域12は、メサ部71に設けられているが、メサ部81およびメサ部91には設けられなくてよい。コンタクト領域15は、メサ部71およびメサ部91に設けられているが、メサ部81には設けられなくてよい。
 図2Cは、半導体装置100の変形例のb-b'断面を示す。本図は、図2Bのb-b'断面に相当する。本例の半導体装置100は、バッファ領域20の裏面23側にコレクタ領域22およびカソード領域82を備える。
 コンタクト領域15は、メサ部91において、ベース領域14の上方に設けられる。コンタクト領域15は、メサ部91において、ダミートレンチ部30に接して設けられる。他の断面において、コンタクト領域15は、メサ部71のおもて面21に設けられてよい。
 蓄積領域16は、トランジスタ部70およびダイオード部80に設けられる。本例の蓄積領域16は、トランジスタ部70およびダイオード部80の全面に設けられる。但し、蓄積領域16は、ダイオード部80に設けられなくてもよい。
 カソード領域82は、ダイオード部80において、バッファ領域20の下方に設けられる。コレクタ領域22とカソード領域82との境界は、トランジスタ部70とダイオード部80との境界である。即ち、本例の境界部90の下方には、コレクタ領域22が設けられている。
 半導体装置100は、電力の制御等を行うためのパワー半導体装置であってよい。本例の半導体装置100は、半導体基板10の裏面23側に裏面側金属層を備える縦型半導体構造を有してよい。但し、半導体装置100は、裏面23側に金属層を備えない横型半導体構造を有してもよい。
 なお、本例では、半導体装置100として、トレンチゲート構造のRC-IGBTを例示して説明している。但し、半導体装置100は、プレーナゲート構造の半導体装置であってもよいし、ダイオード等の他の半導体装置であってもよい。半導体装置100は、NチャネルのMOSFETを備えてもよいし、PチャネルのMOSFETを備えてもよい。
 図3Aは、半導体装置100の断面の拡大図である。本例では、コンタクトホール54に設けられたコンタクト部65の近傍における断面の拡大図を示す。本例の断面は、半導体基板10のおもて面21においてエミッタ領域12を通過するXZ断面である。コンタクト部65は、バリア層60と、シリサイド層63と、プラグ層64とを備える。
 なお、本明細書においては、コンタクトホール54を用いて、コンタクト部65の近傍の構造を説明する場合があるが、コンタクトホール55およびコンタクトホール56等の他のコンタクトホールについても同様の構造が適用されてもよい。即ち、バリア層60、シリサイド層63およびプラグ層64は、コンタクトホール55およびコンタクトホール56等の他のコンタクトホールに設けられてもよい。
 コンタクトホール54は、側壁において段差部39を有する。段差部39は、第1の層間絶縁膜381と第2の層間絶縁膜382との境界に形成されてよい。段差部39は、コンタクトホール54の側壁であって、少なくとも1つの変曲点を含む領域であってよい。また、段差部39は、第1の層間絶縁膜381と第2の層間絶縁膜382との境界に形成された階段状の領域であってよい。
 段差部39の高さhは、層間絶縁膜38の上面におけるコンタクトホール54の、配列方向における開口幅dの15%以下であってよく、10%以下であってよく、5%以下であってよい。本例において、段差部39の高さhは120nm以下であってよく、80nm以下であってよく、40nm以下であってよい。本明細書において、段差部39の高さhとは、第2の層間絶縁膜382の側壁の接線方向に対し垂直な方向において測定した、第1の層間絶縁膜381の側壁までの高さであってよい。
 本例において、コンタクトホール54の側壁は、順テーパである傾斜を有している。コンタクトホール54の側壁のテーパ角は、70度以上、90度以下であってよい。
 本例において、コンタクトホール54のアスペクト比は、2以上であってよく、5以上であってよい。コンタクトホール54のアスペクト比は、0.5以上であってよく、10以下であってよい。本明細書において、コンタクトホール54のアスペクト比とは、半導体基板10の深さ方向におけるコンタクトホール54の深さを、層間絶縁膜38の上面におけるコンタクトホール54の開口幅dで除算した数値である。
 バリア層60は、コンタクトホール54において、シリサイド層63の上方に設けられる。バリア層60は、コンタクトホール54の底面および層間絶縁膜38の側壁に設けられる。本例のバリア層60は、コンタクトホール54において、シリサイド層63の上面および層間絶縁膜38の側壁に設けられる。バリア層60は、チタン(Ti)またはタンタル(Ta)を含んでよい。本例のバリア層60は、第1バリアメタル層61および第2バリアメタル層62を有する。
 また、本例のバリア層は、段差部39と接する領域である第1領域161と、第1領域161よりも下側の領域であって、コンタクトホール54の側壁と接する第2領域162と、第1領域161よりも上側の領域であって、コンタクトホール54の側壁と接する第3領域163とを有する。
 第1バリアメタル層61は、層間絶縁膜38の側壁に設けられる。第1バリアメタル層61は、コンタクトホール54の底面に設けられてもよい。第1バリアメタル層61は、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、窒化チタン(TiN)または窒化タンタル(TaN)の少なくとも1つを含んでよい。一例として、第1バリアメタル層61はTiである。
 第1領域161における、第1バリアメタル層61の膜厚は、2nm以上、119nm以下であってよい。また、第2領域162における、第1バリアメタル層61の膜厚は、0.5nm以上、113nm以下であってよい。ここで、第1バリアメタル層61の膜厚とは、コンタクトホール54の側壁の接線方向に対し垂直な方向において測定した、第1バリアメタル層61の厚さであってよい。
 第2バリアメタル層62は、コンタクトホール54において、第1バリアメタル層61に積層される。コンタクトホール54の底面において、第2バリアメタル層62は、半導体基板10のおもて面21に設けられたシリサイド層63に積層して設けられる。第2バリアメタル層62は、窒化チタン(TiN)または窒化タンタル(TaN)の少なくとも1つを含んでよい。一例として第2バリアメタル層62はTiNである。
 第1領域161における、第2バリアメタル層62の膜厚は、2nm以上、119nm以下であってよい。また、第2領域162における、第2バリアメタル層62の膜厚は、0.5nm以上、113nm以下であってよい。ここで、第2バリアメタル層62の膜厚とは、第1バリアメタル層61の表面の接線方向に対し垂直な方向において測定した、第2バリアメタル層62の厚さであってよい。
 段差部39よりも上方において、第2バリアメタル層62の膜厚は、第1バリアメタル層61の膜厚よりも厚くてよい。また、段差部39よりも下方において、第2バリアメタル層62の膜厚は、第1バリアメタル層61の膜厚よりも薄くてよい。
 シリサイド層63は、コンタクトホール54の下方において、半導体基板10の上面に設けられる。本例のシリサイド層63は、半導体基板10の上面に設けられる。シリサイド層63は、第1バリアメタル層61をアニールすることにより形成される。本例のシリサイド層63は、第1バリアメタル層61としてコンタクトホール54の底面に成膜されたTiをアニールすることによって形成されたチタンシリサイド層である。コンタクトホール54の底面において、第1バリアメタル層61の一部がシリサイド化されずに残存していてもよい。
 プラグ層64は、コンタクトホール54において、バリア層60の上方に設けられる。プラグ層64は、コンタクトホール54において、第2バリアメタル層62と接して設けられてよい。プラグ層64は、コンタクトホール54の内部に充填される導電性の材料である。プラグ層64は、おもて面側金属層53と異なる材料であってよい。例えば、プラグ層64の材料は、タングステンである。プラグ層64の材料は、モリブデンであってよい。プラグ層64は設けられなくてよく、コンタクトホール54内におもて面側金属層53が埋め込まれていてもよい。
 第1領域161におけるバリア層60の膜厚は、第2領域162におけるバリア層60の膜厚よりも厚い。ここで、バリア層60の膜厚とは、コンタクトホール54の側壁の接線方向に対して垂直な方向における、コンタクトホール54の側壁からバリア層60の表面までの距離を指す。
 第1領域161におけるバリア層60の膜厚のうち、最大のものをT、第2領域162におけるバリア層60の膜厚のうち、最小のものをtとしたとき、0.3T≦t≦0.95Tであってよく、0.5T≦t≦0.9Tであってよい。即ち、バリア層60の膜厚は、第1領域161および第2領域162において、均一であってよい。本明細書において、膜厚が「均一」であるとは、0.3T≦t≦0.95Tを満たすことであってよく、0.5T≦t≦0.9Tを満たすことであってよく、或いは0.5T≦t≦0.8Tを満たすことであってよい。第1領域161におけるバリア層60の膜厚Tは、3nm以上、120nm以下であってよい。
 段差部39よりも上方におけるバリア層60の膜厚は、段差部39よりも下方におけるバリア層60の膜厚よりも厚くてよい。一例では、バリア層60の膜厚は、段差部39よりも上方において、1nm以上、115nm以下であってよい。また、バリア層60の膜厚は、段差部39よりも下方において、1nm以上、114nm以下であってよい。
 段差部39は、2つ以上設けられてもよい。また、段差部39が2つ以上設けられることにより、第1領域161が複数設けられてよい。複数設けられた第1領域161のうち、層間絶縁膜38の上面に最も近いものよりも上側において、コンタクトホール54の側壁と接する領域が第3領域163であってよく、第1領域161および第3領域163と異なる領域であって、コンタクトホール54の側壁と接する領域が第2領域162であってよい。
 ここで、図4は、比較例におけるコンタクト部の近傍における断面の拡大図である。比較例において、段差部39よりも上方におけるバリア層60の膜厚と、段差部39よりも下方におけるバリア層60の膜厚との差が大きい。このように、バリア層60の膜厚に大きな差がある場合、アニール処理等の加熱処理時に膜厚の薄い段差部39よりも下方の部分に応力集中が起こり、バリア層60が破断し、半導体基板10の一部が露出するおそれがある。その場合、続くプラグ層64の形成時に用いるフッ化物が半導体基板10を侵し、半導体装置全体の性能に影響を与えるおそれがある。
 一方で、実施例における半導体装置100では、バリア層60の膜厚が均一である。したがって、加熱処理の際に応力集中が起こらず、バリア層60の破断を抑制することができ、半導体装置100の性能を担保することができる。
 図3Bは、変形例である半導体装置100の断面の拡大図である。本例では、コンタクトホール54の近傍における断面の拡大図を示す。本例の断面は、半導体基板10のおもて面21においてエミッタ領域12を通過するXZ断面である。本例の半導体装置100は、コンタクト部65としてトレンチコンタクト部を備える点で図3Aの実施例と相違する。
 トレンチコンタクト部は、コンタクトホール54を有し、半導体基板10のおもて面21から半導体基板10の深さ方向に延伸して設けられる。本例のトレンチコンタクト部の下端は、エミッタ領域12の下端よりも深い。トレンチコンタクト部の下端は、エミッタ領域12の下端よりも浅くてよい。本例では、トレンチコンタクト部の下端がベース領域14に接しているが、ベース領域14よりもドーピング濃度の高い第2導電型のプラグ領域に接してもよい。
 バリア層60は、トレンチコンタクト部において、第1バリアメタル層61、第2バリアメタル層62およびシリサイド層63を有してよい。第1バリアメタル層61は、層間絶縁膜38の側壁に接して設けられる。シリサイド層63は、トレンチコンタクト部において、半導体基板10の側壁および半導体基板10のおもて面21に接して設けられる。
 第2バリアメタル層62は、層間絶縁膜38の側壁に接して設けられた第1バリアメタル層61と、半導体基板10の側壁およびおもて面21に接して設けられたシリサイド層63とに積層して設けられる。プラグ層64は、コンタクトホール54において、第2バリアメタル層62の内側に設けられる。
 図3Cは、変形例である半導体装置100の断面の拡大図である。本例では、コンタクトホール54の近傍における断面の拡大図を示す。本例の断面は、半導体基板10のおもて面21においてエミッタ領域12を通過するXZ断面である。
 本例の半導体装置100は、コンタクトホール54の側壁が逆テーパを有する点で、図3Aの実施例と相違する。コンタクトホール54の側壁のテーパ角は、90度以上、110度以下であってよい。
 図3Cに示すように、第1バリアメタル層61および第2バリアメタル層62を含むバリア層60が層間絶縁膜38とおもて面側金属層53との間に形成されてよい。バリア層60がコンタクトホール54内に加えて、コンタクトホール54以外の領域における、層間絶縁膜38とおもて面側金属層53との間にも形成されてよい。また、プラグ層64が層間絶縁膜38とおもて面側金属層53との間に形成されてよい。プラグ層64は、図3Cに示すように、バリア層60とおもて面側金属層53の間に形成されてよい。
 なお、本例ではいずれも通常のコンタクト部65を有する場合について説明したが、例えば多層配線構造を有する半導体装置100についても、同様の構成としてよい。またコンタクトホール54、コンタクトホール55、コンタクトホール56の構成について、本例で示した直線形状でなく、配列方向と、延伸方向との寸法がほぼ同程度となる様な構成とした孔、正方形形状や楕円、長方形形状、また延伸方向に延びたコンタクトホールに対し、配列方向にも延伸させた形状や、複数の配列方向に延びたコンタクトホールと複数の延伸方向に延びたコンタクトホールとを組み合わせた格子形状などの構成としてよい。
 図5は、半導体装置100の製造工程の一例を示すフローチャートである。ステップS100において、半導体装置100のおもて面21側の素子構造を形成する。ステップS100では、おもて面21側の素子構造として、ダミートレンチ部30およびゲートトレンチ部40を形成する工程を含んでよい。ステップS100では、おもて面21側の素子構造として、半導体基板10へのイオン注入によって、ベース領域14、エミッタ領域12およびコンタクト領域15などを形成する工程を含んでよい。
 ステップS102において、半導体基板10の上方に層間絶縁膜38を形成する。層間絶縁膜38は、複数の絶縁膜を積層して形成されてよい。本例では、一例としてHTO膜である第1の層間絶縁膜381と、BPSG膜である第2の層間絶縁膜382を含んで形成されてよい。
 ステップS104において、層間絶縁膜38をエッチングすることによりコンタクトホールを形成する。ステップS104では、層間絶縁膜38に、コンタクトホール54、コンタクトホール55およびコンタクトホール56等のコンタクトホールを形成してよい。コンタクトホールのエッチング方法は、ドライエッチング、ウェットエッチングなどの手法のどちらか、あるいは両方を選択してよい。
 ステップS104におけるエッチングの一例として、まずドライエッチングでコンタクトホールの形成を行い、その後コンタクトホール54、55、56内のエッチング残渣の除去や露出した半導体基板10の表面の自然酸化膜除去等の目的でフッ酸や希フッ酸等を使用してコンタクトホールを5秒~500秒程度処理する方法がある。ウェットエッチングの処理時間は、層間絶縁膜の膜種や膜質、フッ酸濃度、処理条件、所望するコンタクト形状寸法等を鑑みて、任意に設定されてよい。また、ドライエッチング工程とウェットエッチング工程は連続で行われてよく、両工程の間に別の構造を形成する工程が行なわれてもよい。
 各コンタクトホールにおいて、第1の層間絶縁膜381と第2の層間絶縁膜382との境界に段差部39が形成されてよい。一般に、採用する複数の層間絶縁膜のエッチングレート差が大きい場合、またエッチング処理時間が長い場合に、段差部39の段差形状が大きくなる。
 ステップS104において、コンタクトホール54、55、56の形成時間や形成条件を制御することで、段差部39の高さhを、層間絶縁膜38の上面における各コンタクトホールの開口幅dの15%以下とすることができる。本実施例で示した程度のアスペクト比を有するコンタクトホールにおいて、第1バリアメタル層61、第2バリアメタル層62をスパッタ法で形成し、かつ各バリアメタル層膜厚を本実施例で示した程度の膜厚とする場合、段差部39の高さhを、層間絶縁膜38の上面における各コンタクトホールの開口幅dの15%以下とすることによって、均一なバリア層60を形成することができる。
 ステップS106において、第1バリアメタル層61を形成する。本例の第1バリアメタル層61は、スパッタ法により形成されたTi膜である。本例では、第1バリアメタル層61としてTi膜を形成する場合について説明するが、異なる種類の金属(例えば、Ta等)を用いて第1バリアメタル層61を形成してよい。また、第1バリアメタル層61を形成する際、コンタクトホール54、55、56内の底面にある半導体基板10の表面には自然酸化膜等が形成されておらず、半導体基板10が露出した状態で形成するのが望ましい。
 ステップS108において、第1バリアメタル層61の第1領域161をエッチングする。エッチングは、ウェットエッチングであってよく、ドライエッチングであってよい。第1領域161をエッチングすることにより、段差部39に接する第1領域161において肥厚して設けられた第1バリアメタル層61の膜厚を薄くすることができる。第1バリアメタル層61をエッチングする際、選択的にコンタクトホール54、55、56の側壁部の第1バリアメタル層61を部分的あるいは全部除去し、底面の第1バリアメタル層61は残しておくことが望ましい。
 ステップS108におけるエッチング方法の一例として、底面の第1バリアメタル層61の膜厚に対し、相対的に側壁部の第1バリアメタル層61の膜厚が薄い場合、側壁部の第1バリアメタル層61が除去され、底面の第1バリアメタル層が残るエッチング時間やエッチング条件を選択する方法が挙げられる。また、別の一例として、第1バリアメタル層61形成後アニール処理を行うことで底面の第1バリアメタル層をシリサイド層63とし、第1バリアメタル層61とシリサイド層63のエッチングレート差を利用して側壁部の第1バリアメタル層を選択的に除去する方法、または、ウェットエッチングにおいて層間絶縁膜をエッチングする条件を採用し、側壁部の層間絶縁膜をエッチングすることで側壁部の第1バリアメタル層61をリフトオフさせる方法等が挙げられる。また、ステップS108は省略されてもよい。
 ステップS110において、第1バリアメタル層61の上方に第2バリアメタル層62を形成する。第2バリアメタル層62は、コンタクトホール54の底面および側壁において、第1バリアメタル層61に積層して形成されてよい。本例の第2バリアメタル層62は、スパッタ法またはCVD(Chemical Vapor Deposition)法で形成したTiN膜である。
 ステップS112において、半導体基板10を窒素雰囲気下でアニールする。アニールの温度は、300度以上、1100度以下であってよい。またアニール処理時の雰囲気は、酸素が混入する雰囲気や、加圧、真空雰囲気等であってもよい。本例のアニールは、第2バリアメタル層62を形成した後に実行される。本例のアニールは、第2バリアメタル層62を形成する前に実行されてもよい。ステップS112においてアニールを経ることにより、第1バリアメタル層61の半導体基板10と接している部分がシリサイド化され、シリサイド層63が形成される。
 ステップS114において、プラグ層64を形成する。本例では、CVD法によりコンタクトホール54の内部を埋め込むように、タングステンを形成する。バリア層60は、プラグ層64の形成時に金属拡散防止層として機能してよい。バリア層60でコンタクトホール54の側壁および底面を覆うことにより、プラグ層64をCVDで形成する場合に、プラグ層64の材料ガスが半導体基板10側に侵入するのを防止することができる。また、プラグ層64はモリブデン等の材料を使う場合や、製造方法としてスパッタ法や蒸着法等を採用する場合でもよい。
 ステップS116において、プラグ層64をエッチバックする。これにより、コンタクトホール54の外部の不要なタングステン膜が除去されてよい。エッチバックはドライエッチングあるいはCMP(Chemical Mechanical Polishing)で行われてよい。タングステン膜が除去される際に、層間絶縁膜38上の第1バリアメタル層61および第2バリアメタル層62も除去されてよい。層間絶縁膜38上の第1バリアメタル層61および第2バリアメタル層62は、プラグ層64のエッチバックとは別の工程で除去されてもよい。バリア層60およびプラグ層64のエッチバックは省略されてもよい。
 図6Aは、半導体装置100の製造方法の一例を示す。本例では、図5で示した製造方法のフローチャートに沿って、コンタクトホール54の近傍の断面を示している。
 ステップS104において、層間絶縁膜38をエッチングすることによりコンタクトホールを形成する。本例において、層間絶縁膜38は、第1の層間絶縁膜381および第2の層間絶縁膜382を有する。第1の層間絶縁膜381および第2の層間絶縁膜382はそれぞれ異なる材料で形成されてよい。第1の層間絶縁膜381および第2の層間絶縁膜382はそれぞれ異なる材料で形成されているとき、或いは同種の材料でも組成比や膜質等が異なるとき、エッチングの速度が異なるエッチング方法およびエッチング条件を採用することで、コンタクトホール54の側壁に段差部39が形成される。また、段差部39の形成後、複数の層間絶縁膜38に対し開口幅が狭い側のエッチングレートが相対的に早くなるエッチング手段、或いは一例としてアルゴンを用いた逆スパッタ法等を適用することで、段差部39の高さhの低減、或いは段差部39の除去を実施してもよい。
 ステップS106において、第1バリアメタル層61を層間絶縁膜38の側壁および半導体基板10の上面に形成する。本例の第1バリアメタル層61は、おもて面21の上面に形成される。第1バリアメタル層61は、層間絶縁膜38の上面にも形成されてよい。
 第1バリアメタル層61は、スパッタ法により形成される。よって、第1バリアメタル層61の膜厚は、段差部39の近傍において、それ以外の領域よりも厚く形成される。この状態で第2バリアメタル層62をスパッタ法で形成した場合、段差部39近傍において厚く形成された第1バリアメタル層61の影響により、段差部39よりも下方において、第2バリアメタル層62が十分な厚さで形成されないおそれがある。
 そこで、ステップS108において、第1バリアメタル層61の第1領域161をエッチングすることにより、段差部39近傍における第1バリアメタル層61の膜厚を薄くしている。エッチングは、ウェットエッチングであってよく、アルゴンを用いた逆スパッタ等のドライエッチングであってよい。
 続くステップS110において、第1バリアメタル層61の上方に第2バリアメタル層62を形成する。本例の第2バリアメタル層62は、スパッタ法により形成されたTiN膜である。本例では、S108において段差部39近傍の肥厚化した第1バリアメタル層61を除去しているので、段差部39よりも下方においても、第2バリアメタル層62が十分な厚さで形成される。
 具体的には、バリア層60のうち、段差部39と接して設けられた第1領域161におけるバリア層60の最大の膜厚をT、第1領域161よりも下側の領域であって、コンタクトホール54の側壁と接して設けられた第2領域162におけるバリア層60の膜厚のうち、最小のものをtとしたとき、0.3T≦t≦0.95Tであってよく、0.5T≦t≦0.9Tであってよい。
 図6Bは、半導体装置100の製造方法の一例を示す。本例では、図5で示した製造方法のフローチャートの変形例における、コンタクトホール54の近傍の断面を示している。
 図6Bにおいては、第1バリアメタル層61をエッチングするステップS108を有しない製造方法が示されている。この場合、先述の通り、第1バリアメタル層61の膜厚は、段差部39の近傍において、それ以外の領域よりも厚く形成される。よって、スパッタ法により第2バリアメタル層62を形成した場合、段差部39よりも下方において、第2バリアメタル層62が十分に形成されないおそれがある。
 ここで、ステップS110においては、第2バリアメタル層62をCVD法で形成している。第2バリアメタル層62をCVD法で形成することにより、段差部39近傍において肥厚した第1バリアメタル層61の下側にも回り込むように第2バリアメタル層62を形成することができ、バリア層60の膜厚を均一に形成することができる。
 図6Cは、半導体装置100の製造方法の一例を示す。本例では、図5で示した製造方法のフローチャートの更なる変形例における、コンタクトホール54の近傍の断面を示している。
 図6Cにおいては、第1バリアメタル層61をエッチングするステップS108を有しない製造方法が示されている。ここで、図6Aの実施例と比較して、図6Cの実施例では、第1バリアメタル層61の膜厚が異なる。ここで、第1バリアメタル層61の膜厚は、コンタクトホール54の側壁の接線方向に対し垂直な方向において測定した、第1バリアメタル層61の膜厚を言う。
 図6CにおけるステップS106'において形成される第1バリアメタル層61の膜厚は、図6AにおけるステップS106において形成される第1バリアメタル層61の膜厚よりも薄い。具体的には、ステップS106において形成される第1バリアメタル層61の膜厚が5nm以上、30nm以下であるのに対し、S106'において形成される第1バリアメタル層61の膜厚は、2.5nm以上、20nm以下である。
 図6Cにおける実施例では、ステップS106'において形成される第1バリアメタル層61の膜厚が薄いので、図6AにおけるステップS106の場合と比較して、段差部39近傍における第1バリアメタル層61の膜厚が薄くなる。これにより、第1バリアメタル層61をエッチングするステップS108を省略しても、十分に第2バリアメタル層62を均一に形成することができる。
 以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、請求の範囲の記載から明らかである。
 請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
10・・・半導体基板、12・・・エミッタ領域、14・・・ベース領域、15・・・コンタクト領域、16・・・蓄積領域、17・・・ウェル領域、18・・・ドリフト領域、20・・・バッファ領域、21・・・おもて面、22・・・コレクタ領域、23・・・裏面、24・・・コレクタ電極、25・・・接続部、30・・・ダミートレンチ部、31・・・延伸部分、32・・・ダミー絶縁膜、33・・・接続部分、34・・・ダミー導電部、38・・・層間絶縁膜、39・・・段差部、40・・・ゲートトレンチ部、41・・・延伸部分、42・・・ゲート絶縁膜、43・・・接続部分、44・・・ゲート導電部、50・・・ゲート金属層、52・・・エミッタ電極、53・・・おもて面側金属層、54・・・コンタクトホール、55・・・コンタクトホール、56・・・コンタクトホール、60・・・バリア層、61・・・第1バリアメタル層、62・・・第2バリアメタル層、63・・・シリサイド層、64・・・プラグ層、65・・・コンタクト部、70・・・トランジスタ部、71・・・メサ部、80・・・ダイオード部、81・・・メサ部、82・・・カソード領域、85・・・延長領域、90・・・境界部、91・・・メサ部、100・・・半導体装置、102・・・端辺、112・・・ゲートパッド、120・・・活性部、130・・・ゲート配線、131・・・活性部間ゲート配線、140・・・エッジ終端構造部、161・・・第1領域、162・・・第2領域、163・・・第3領域、381・・・第1の層間絶縁膜、382・・・第2の層間絶縁膜

Claims (24)

  1.  半導体基板と、
     前記半導体基板の上方に設けられ、側壁に段差部を有するコンタクトホールが設けられた層間絶縁膜と、
     前記コンタクトホールに設けられたコンタクト部と、
     を備え、
     前記コンタクト部は、
     前記コンタクトホールの側壁および底面に設けられたバリア層と、
     を有し、
     前記バリア層は、
     前記段差部と接する第1領域と、
     前記第1領域よりも下側の領域において、前記コンタクトホールの側壁と接する第2領域と、
     を有し、
     前期第1領域の最厚部分の膜厚をT、前記第2領域の最薄部分の膜厚をtとした場合に、
     0.3T≦t≦0.95Tを満たす
     半導体装置。
  2.  前記層間絶縁膜は、
     前記半導体基板のおもて面に接して設けられた第1層間絶縁膜と、
     前記第1層間絶縁膜の上方に設けられた第2層間絶縁膜と、
     を有し、
     前記段差部は、前記第1層間絶縁膜と前記第2層間絶縁膜との境界に形成される、請求項1に記載の半導体装置。
  3.  前記コンタクト部は、前記半導体基板のおもて面から前記半導体基板の深さ方向に延伸して設けられたトレンチコンタクト部である、請求項1に記載の半導体装置。
  4.  前記バリア層は
     前記コンタクトホールにおいて、前記側壁に設けられた第1バリアメタル層と、
     前記コンタクトホールにおいて、前記第1バリアメタル層に積層された第2バリアメタル層と、
     を有する、請求項1に記載の半導体装置。
  5.  前記段差部よりも上方において、前記第2バリアメタル層の膜厚は、前記第1バリアメタル層の膜厚よりも厚い、請求項4に記載の半導体装置。
  6.  前記段差部よりも下方において、前記第2バリアメタル層の膜厚は、前記第1バリアメタル層の膜厚よりも薄い、請求項4に記載の半導体装置。
  7.  前記第1領域の最厚部分の膜厚Tは3nm以上、120nm以下であり、前記第2領域の最薄部分の膜厚tは1nm以上、114nm以下である、請求項1に記載の半導体装置。
  8.  前記第1領域における前記第1バリアメタル層の最厚部分の膜厚は、3nm以上、120nm以下である、請求項4に記載の半導体装置。
  9.  前記第1バリアメタル層は、Ti、TiN、Ta、TaNのいずれか1つを含む、請求項4に記載の半導体装置。
  10.  前記第2バリアメタル層は、TiN、TaNのいずれか1つを含む、請求項4に記載の半導体装置。
  11.  前記コンタクトホールにおいて、前記バリア層の内側に設けられたプラグ層を備える、請求項1に記載の半導体装置。
  12.  前記層間絶縁膜の上方において、前記バリア層または前記プラグ層の少なくとも1つあるいは両方が設けられる、請求項11に記載の半導体装置。
  13.  前記プラグ層はタングステン、モリブデンのいずれか1つを含む、請求項11に記載の半導体装置。
  14.  前記コンタクトホールの前記側壁は、順テーパである、請求項1に記載の半導体装置。
  15.  前記コンタクトホールの前記側壁は、逆テーパである、請求項1に記載の半導体装置。
  16.  前記コンタクトホールの前記側壁の接線方向に対して垂直な方向における前記段差部の高さは、前記層間絶縁膜の上面における前記コンタクトホールの開口幅の15%以下である、請求項1に記載の半導体装置。
  17.  前記バリア層の膜厚は、
     前記段差部よりも上方において1nm以上、115nm以下であり、
     前記段差部よりも下方において1nm以上、114nm以下である、
     請求項1から16のいずれか一項に記載の半導体装置。
  18.  半導体基板の上方に、側壁に段差部を設けたコンタクトホールを有する層間絶縁膜を形成する段階と、
     前記コンタクトホールの側壁および底面にバリア層を設ける段階と、
     前記コンタクトホールにおいて、前記バリア層の内側にプラグ層を設ける段階と、
     を備え、
     前記バリア層は、
     前記段差部と接する第1領域と、
     前記第1領域よりも下側の領域において、前記コンタクトホールの前記側壁と接する第2領域と、
     を有し、
     前期第1領域の最厚部分の膜厚をT、前記第2領域の最薄部分の膜厚をtとした場合に、
     0.3T≦t≦0.95Tを満たす
     半導体装置の製造方法。
  19.  前記バリア層を設ける段階は、
     前記コンタクトホールにおいて、前記側壁および前記底面に第1バリアメタル層を設ける段階と、
     前記コンタクトホールにおいて、前記第1バリアメタル層に積層させるように第2バリアメタル層を設ける段階と、
     を有する、請求項18に記載の半導体装置の製造方法。
  20.  前記第1バリアメタル層を設ける段階の後であって、前記第2バリアメタル層を設ける段階の前に、前記第1領域をエッチングする段階を有する、請求項19に記載の半導体装置の製造方法。
  21.  前記第1領域における前記第1バリアメタル層の最厚部分の膜厚は、3nm以上、120nm以下である、請求項19に記載の半導体装置の製造方法。
  22.  前記バリア層は、スパッタ法で形成される、請求項18から21のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
  23.  前記プラグ層は、CVD法で形成される、請求項18に記載の半導体装置の製造方法。
  24.  前記第2バリアメタル層はCVD法で形成される、請求項19に記載の半導体装置の製造方法。
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