WO2024147178A1 - 表示装置 - Google Patents

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WO2024147178A1
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達 岡部
庄治 岡崎
伸治 市川
博己 谷山
英二 藤本
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シャープディスプレイテクノロジー株式会社
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Abstract

有機EL表示装置(1)は、基板層(10)上に順に設けられたTFT層(20)および発光素子層(60)を備える。基板層の背面側には、カメラ(3)が配置される。表示領域のうち第1表示領域(DA1)内側の第2表示領域(DA2)は、カメラが受ける外光を透過する。第2表示領域(DA2)には、TFT(50)と有機EL素子(70)とを電気的に接続する接続線(40r)が設けられる。接続線は、透明配線層(TL1)を含む。第2表示領域の画素電極は、透明配線層に重ねて設けられる第1領域(PB1)と、透明配線層と同一層上に形成される第2領域(PB2)とを有する。

Description

表示装置
 本開示は、表示装置に関する。
 近年、有機エレクトロルミネッセンス(Electro Luminescence;以下、ELと称する)素子を用いた有機EL表示装置が実用化されている。有機EL表示装置は、スマートフォンやタブレット端末といった情報端末のディスプレイとして利用される場合、またはテレビ電話やテレビ会議といった双方向通信のコミュニケーションを行うためのディスプレイとして利用される場合に、画像を表示する正面側を撮影するカメラ、いわゆるインカメラと組み合わせられる。
 インカメラ付きの有機EL表示装置においては、当該装置の背面側の平面視で表示領域と重なる位置にカメラを配置させることが提案される。このような有機EL表示装置の一例は、特許文献1に開示される。
特開2022-041886号公報
 上述したようなインカメラ付きの有機EL表示装置では、平面視で表示領域のカメラと重なる部分が外光を透過する透過領域とされる。この透過領域には、有機EL素子と画素回路とを接続する接続線が設けられる。当該接続線は、表示領域においてカメラに利用される光の透過率を高めるべく、光透過性を有する透明配線層によって構成されることが望ましい。有機EL素子がトップエミッション型である場合、有機EL素子を構成する画素電極は、光反射性を有する。そのため、画素電極と透明配線層とは別々に形成しなければならない。このような場合、画素電極は、平面視で透明配線層の内側に収まるように当該透明配線層に重ねて設けられる。
 しかし、そうした構成を採ると、個々の発光素子に係るアライメントマージンとして、透明導電層および画素電極の両パターン間のマージンと、画素電極およびその上層に設けられる構成要素の両パターン間のマージンとを合わせた分のマージンが必要となる。それ故、互いに隣り合う画素電極の間に比較的長い距離を確保せざるを得ない。その結果、表示装置における表示画像の高精細化が阻害される。この問題は、表示領域のうち透過領域外の一般的な部分において、透明配線層と同一層に同一材料により透明導電層を形成し、画素電極が透明導電層に重ねて設けられる場合にも、同様に生じる。
 本開示の目的は、光を利用する電子部品が表示領域の背面側に重ねて配置される表示装置において、表示領域での電子部品に利用される光の透過率を高め、且つ表示画像を高精細化することにある。
 本開示は、表示装置を対象とする。本開示に係る第1の態様の表示装置は、基板と、前記基板上に設けられた薄膜トランジスタ層と、前記薄膜トランジスタ層上に設けられた発光素子層とを備える。前記薄膜トランジスタ層には複数の薄膜トランジスタが、前記発光素子層には複数の発光素子が、表示領域をなす複数のサブ画素に対応してそれぞれ設けられる。平面視で前記表示領域に重なる位置において、前記基板の背面側には、光を利用する電子部品が配置される。前記表示領域は、第1表示領域と、該第1表示領域の内側に設けられ、前記電子部品に利用される光を透過する第2表示領域とを有する。前記第2表示領域には、前記薄膜トランジスタと前記発光素子とを電気的に接続する接続線が設けられる。前記接続線は、光透過性を有する透明配線層を含む。前記第2表示領域の前記画素電極は、前記透明配線層に重ねて設けられる第1領域と、前記透明配線層と同一層上に形成される第2領域とを有する。
 また、本開示に係る第2の態様の表示装置は、基板と、前記基板上に設けられた薄膜トランジスタ層と、前記薄膜トランジスタ層上に設けられた発光素子層とを備える。前記薄膜トランジスタ層には複数の薄膜トランジスタが、前記発光素子層には複数の発光素子が、表示領域をなす複数のサブ画素に対応してそれぞれ設けられる。平面視で前記表示領域に重なる位置において、前記基板の背面側には、光を利用する電子部品が配置される。前記表示領域は、第1表示領域と、該第1表示領域の内側に設けられ、前記電子部品に利用される光を透過する第2表示領域とを有する。前記第2表示領域には、前記薄膜トランジスタと前記発光素子とを電気的に接続する接続線が設けられる。前記接続線は、光透過性を有する透明配線層を含む。前記第1表示領域の前記画素電極は、前記透明配線層と同一材料により同一層に形成された透明導電層に重ねて設けられる第1領域と、前記透明導電層と同一層上に形成される第2領域とを有する。
 本開示に係る表示装置によれば、表示領域での電子部品に利用される光の透過率を高め、且つ表示画像を高精細化できる。
図1は、実施形態1の有機EL表示装置の概略構成を例示する平面図である。 図2は、図1のII-II線における有機EL表示装置の断面図である。 図3は、有機EL表示装置の第1表示領域における画素と各種の配線とを例示する平面図である。 図4は、図3のIV-IV線における有機EL表示装置の第1表示領域の断面図である。 図5は、画素回路を例示する等価回路図である。 図6は、有機EL表示装置の第2表示領域およびその周辺の概略構成を例示する平面図である。 図7は、図6のVIIで囲んだ有機EL表示装置の要部を例示する平面図である。 図8は、図7のVIII-VIII線における有機EL表示装置の要部の断面図である。 図9は、図7のIX-IX線における有機EL表示装置の要部の断面図である。 図10は、実施形態1の有機EL表示装置の製造工程の一部を示す断面図である。図10の右側は図4に相当する部分の断面図であり、図10の左側は図8に相当する部分の断面図である。 図11は、実施形態1の有機EL表示装置の製造工程の一部を示す断面図である。図11の右側は図4に相当する部分の断面図であり、図11の左側は図8に相当する部分の断面図である。 図12は、実施形態1の有機EL表示装置の製造工程の一部を示す断面図である。図12の右側は図4に相当する部分の断面図であり、図12の左側は図8に相当する部分の断面図である。 図13は、実施形態1の有機EL表示装置の製造工程の一部を示す断面図である。図13の右側は図4に相当する部分の断面図であり、図13の左側は図8に相当する部分の断面図である。 図14は、実施形態1の有機EL表示装置の製造工程の一部を示す断面図である。図14の右側は図4に相当する部分の断面図であり、図14の左側は図8に相当する部分の断面図である。 図15は、実施形態1の有機EL表示装置の製造工程の一部を示す断面図である。図15の右側は図4に相当する部分の断面図であり、図15の左側は図8に相当する部分の断面図である。 図16は、実施形態1の有機EL表示装置の製造工程の一部を示す断面図である。図16の右側は図4に相当する部分の断面図であり、図16の左側は図8に相当する部分の断面図である。 図17は、実施形態1の有機EL表示装置の製造工程の一部を示す断面図である。図17の右側は図4に相当する部分の断面図であり、図17の左側は図8に相当する部分の断面図である。 図18は、実施形態1の有機EL表示装置の製造工程の一部を示す断面図である。図18の右側は図4に相当する部分の断面図であり、図18の左側は図8に相当する部分の断面図である。 図19は、実施形態1の有機EL表示装置の製造工程の一部を示す断面図である。図19の右側は図4に相当する部分の断面図であり、図19の左側は図8に相当する部分の断面図である。 図20は、実施形態1の有機EL表示装置の製造工程の一部を示す断面図である。図20の右側は図4に相当する部分の断面図であり、図20の左側は図8に相当する部分の断面図である。 図21は、実施形態2の有機EL表示装置の第1表示領域の図4に相当する断面図である。 図22は、実施形態2の有機EL表示装置の製造工程の一部を示す断面図である。図22の右側は図4に相当する部分の断面図であり、図22の左側は図8に相当する部分の断面図である。 図23は、実施形態2の有機EL表示装置の製造工程の一部を示す断面図である。図23の右側は図4に相当する部分の断面図であり、図23の左側は図8に相当する部分の断面図である。 図24は、実施形態3の有機EL表示装置の第1表示領域の図4に相当する断面図である。 図25は、実施形態3の有機EL表示装置の製造工程の一部を示す断面図である。図25の右側は図4に相当する部分の断面図であり、図25の左側は図8に相当する部分の断面図である。 図26は、実施形態3の有機EL表示装置の製造工程の一部を示す断面図である。図26の右側は図4に相当する部分の断面図であり、図26の左側は図8に相当する部分の断面図である。
 以下、例示的な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の実施形態では、本開示に係る表示装置として、有機EL表示装置を例に挙げて説明する。なお、図面は、本開示の技術を概念的に説明するためのものである。よって、図面は、本開示の技術を容易にするために寸法、比または数を、誇張あるいは簡略化して表す場合がある。
 以下の実施形態において、「第1方向」とは、表示装置の所定の使用状態の向きでの画面の横方向を意味する。「第2方向」とは、第1方向と直交する方向であり、表示装置の所定の使用状態の向きでの画面の縦方向を意味する。サブ画素などの構成要素の行とは、第1方向に一列をなす複数の構成要素の横の並びを意味する。サブ画素などの構成要素の列とは、第2方向に一列をなす複数の構成要素の縦の並びを意味する。
 以下の実施形態において、或る膜や層、素子などの構成要素の上に、他の膜や層、素子などの構成要素が設けられる、または形成されるとする記載は、或る構成要素の直上に他の構成要素が存在する場合のみを意味するのではなく、それら両方の構成要素の間に、それら以外の膜や層、素子などの構成要素が介在される場合も含む。
 また、以下の実施形態において、或る構成要素が他の構成要素に接続されるとする記載は、特に断らない限り、電気的に接続されることを意味する。当該記載は、本開示の技術の要旨を逸脱しない範囲において、直接的な接続を意味する場合のみならず、それら以外の構成要素を介した間接的な接続をも意味する。当該記載はさらに、或る構成要素に他の構成要素が一体化される、つまり或る構成要素の一部が他の構成要素を構成する場合も含む。
 また、以下の実施形態において、或る構成要素が他の構成要素と同一層であるとする記載は、或る構成要素が他の構成要素と同一のプロセスによって形成されることを意味する。或る構成要素が他の構成要素の下層であるとする記載は、或る構成要素が他の構成要素よりも先のプロセスによって形成されることを意味する。或る構成要素が他の構成要素の上層であるとする記載は、或る構成要素が他の構成要素よりも後のプロセスによって形成されることを意味する。
 また、以下の実施形態において、或る構成要素が他の構成要素と同一である、または同等であるとする記載は、或る構成要素と他の構成要素とが完全に同一である状態、または完全に同等である状態のみを意味するのではなく、或る構成要素と他の構成要素とが製造ばらつきや公差の範囲内で変動するといった実質的に同一である状態、または実質的に同等である状態を含む。
 また、以下の実施形態において、第1、第2、第3…という記載は、これらの記載が付与された語句を区別するために用いられ、その語句の数や何らかの順序までも限定するものではない。
 《実施形態1》
 この実施形態の有機EL表示装置1は、スマートフォンと呼ばれる多機能電話機やタブレット端末などのモバイル機器に使用される。有機EL表示装置1は、パーソナルコンピュータ(PC)、テレビジョン装置など、その他の各種機器に使用されてもよい。
  -有機EL表示装置の構成-
 図1および図2に示すように、有機EL表示装置1は、カメラ3と組み合わせられ、カメラ3により画面の正面側を撮影可能なインカメラ付きの表示装置を構成する。有機EL表示装置1は、表示領域DAと、額縁領域FAとを有する。
 表示領域DAは、画像を表示する領域である。表示領域DAは、画面を構成する。表示領域DAは、例えば矩形状に設けられる。表示領域DAは、少なくとも1つの辺が円弧状になった形状、少なくとも1つの角部が円弧状になった形状、少なくとも1つの辺に切欠きがある形状などの略矩形状、その他の任意の形状であってもよい。
 図3に示すように、表示領域DAは、複数の画素PXによって構成される。複数の画素PXは、マトリクス状に配列される。各画素PXは、3つのサブ画素SPによって構成される。3つのサブ画素SPは、赤色に発光するサブ画素SPrと、緑色に発光するサブ画素SPgと、青色に発光するサブ画素SPbとである。これら3つのサブ画素SPr、SPg、SPbは、例えばストライプ状に配列される。
 図1および図2に示すように、カメラ3は、有機EL表示装置1を構成する基板層10の背面側において、平面視で表示領域DAに重なる位置に配置される。カメラ3は、光を利用する電子部品の一例である。カメラ3は、例えばCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などのイメージセンサを有する。カメラ3は、有機EL表示装置1を収容する筐体(不図示)の内部に設置される。
 表示領域DAは、第1表示領域DA1と、第2表示領域DA2とを有する。第1表示領域DA1は、表示領域DAの大部分を占める領域である。第2表示領域DA2は、第1表示領域DA1の内側に設けられる。第2表示領域DA2は、カメラ3に利用される光を透過する部分を含む領域である。第2表示領域DA2は、例えば表示領域DAの一方側(図1で上側)に矩形状に設けられる。第2表示領域DA2は、円形や楕円形など、その他の形状であってもよい。
 額縁領域FAは、画面以外の非表示部分を構成する領域である。額縁領域FAは、例えば矩形枠状に設けられる。額縁領域FAは、矩形以外の枠形状とされてもよい。額縁領域FAは、端子部TPと、折り曲げ部BPとを含む。端子部TPは、外部回路(表示制御回路など)と接続するための部分である。端子部TPは、額縁領域FAの一辺を構成する部分の外縁寄りの位置に、当該一辺に沿って第1方向Xに延びるように設けられる。
 折り曲げ部BPは、額縁領域FAにおける端子部TPと表示領域DAとの間に設けられる。折り曲げ部BPは、第1方向Xに延びる折り曲げ軸周りに折り曲げられる部分である。折り曲げ部BPは、額縁領域FAの第1方向Xにおける全体に亘るように横長に延びる。図示しないが、折り曲げ部BPでは、TFT層20を構成する無機絶縁膜が除去され、他の部分よりも高い可撓性を得ている。
 有機EL表示装置1の額縁領域FAは、折り曲げ部BPでU字状をなすように、例えば180°程度折り曲げられる(図2に二点鎖線で示す)。そのことで、端子部TPは、有機EL表示装置1の背面側に配置される。端子部TPは、図示しないが、複数の端子を有する。端子部TPには、FPC(Flexible Printed Circuit)などの配線基板CBが接続される。
 有機EL表示装置1の額縁領域FAには、駆動回路DCが設けられる。駆動回路DCは、額縁領域FAにおいて、端子部TPが設けられた辺と隣り合う辺(図1で左右の各辺)を構成する部分に配置される。駆動回路DCは、後述するTFT層20の一部として、モノリシックに形成される。駆動回路DCは、ゲートドライバおよびエミッションドライバを含む。
 有機EL表示装置1の額縁領域FAには、第1額縁線40faと、第2額縁線40fbとが設けられる。第1額縁線40faおよび第2額縁線40fbはそれぞれ、表示領域DAを囲むように形成され、端子部TPへと延びる。第1額縁線40faには、ハイレベル電源電圧(ELVDD)が配線基板CBを介して供給される。第2額縁線40fbには、ローレベル電源電圧(ELVSS)が配線基板CBを介して供給される。
 有機EL表示装置1は、アクティブマトリクス駆動方式を採用する。有機EL表示装置1では、個々のサブ画素SPの発光を薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor;以下、TFTと称する)50により制御し、TFT50の動作により画像表示を行う。図2に示すように、有機EL表示装置1は、基板層10と、TFT層(薄膜トランジスタ層)20と、発光素子層60と、封止膜80とを備える。
  〈基板層〉
 基板層10は、有機EL表示装置1のベースをなす層である。基板層10は、基板の一例である。基板層10は、光透過性(本例では可視光の透過性を意味する;以下同じ)および可撓性を併せ持つ。基板層10は、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂などの有機樹脂材料によって形成される。基板層10の背面には、光透過性を有する保護フィルム11(後に参照する図4、図8、図9、図21、図24では不図示)が貼り付けられる。
  〈TFT層〉
 TFT層20は、基板層10上に設けられる。TFT層20は、上述した駆動回路DCを含む。TFT層20はさらに、各種の配線40を含む。
 各種の配線40には、上述した第1額縁線40faおよび第2額縁線40fbが含まれる。その他、各種の配線40としては、図3に示す複数のゲート線40gと、複数の発光制御線40eと、複数の電源線40pと、複数のソース線40sとが設けられる。ゲート線40gおよび発光制御線40eは、第1金属線の一例である。ソース線40sおよび電源線40pは、第2金属線の一例である。
 複数のゲート線40gはそれぞれ、ゲート信号を伝達する配線である。複数のゲート線40gは、表示領域DAにおいて、第2方向Yに互いに間隔をあけて配置され、第1方向Xに互いに平行に延びる。ゲート線40gは、サブ画素SPの行ごとに設けられる。各ゲート線40gは、駆動回路DCのゲートドライバに接続される。
 複数の発光制御線40eはそれぞれ、エミッション信号を伝達する配線である。複数の発光制御線40eは、表示領域DAにおいて、第2方向Yに互いに間隔をあけて配置され、第1方向Xに互いに平行に延びる。発光制御線40eは、サブ画素SPの行ごとに設けられる。各発光制御線40eは、駆動回路DCのエミッションドライバに接続される。
 複数の電源線40pはそれぞれ、所定のハイレベル電源電圧(ELVDD)を印加する配線である。複数の電源線40pは、表示領域DAにおいて、第1方向Xに互いに間隔をあけて配置され、第2方向Yに互いに平行に延びる。電源線40pは、サブ画素SPの列ごとに設けられる。各電源線40pは、第1額縁線40faに接続される。
 複数のソース線40sはそれぞれ、ソース信号を伝達する配線である。複数のソース線40sは、表示領域DAにおいて、第1方向Xに互いに間隔をあけて配置され、第2方向Yに互いに平行に延びる。ソース線40sは、サブ画素SPの列ごとに設けられる。各ソース線40sは、端子部TPに引き出され、配線基板CBを介して表示制御回路(ソースドライバ)に接続される。
 図4、図8および図9に示すように、TFT層20にさらに、複数のTFT50と、複数のキャパシタ51と、第1平坦化膜54と、第2平坦化膜56と、第3平坦化膜58と、複数の接続線40rとを含む。
 複数のTFT50は、複数のサブ画素SPに対応して設けられる。TFT50は、サブ画素SPごとに複数設けられる。本例において、サブ画素SPごとに設けられた複数のTFT50は、第1TFT50Aと、第2TFT50Bと、第3TFT50Cとである。例えば、第1TFT50A、第2TFT50Bおよび第3TFT50Cはいずれも、トップゲート型に構成される。図示しないが、第1TFT50A、第2TFT50Bおよび第3TFT50Cはそれぞれ、ゲート電極と、第1端子電極と、第2端子電極とを備える。
 キャパシタ51は、サブ画素SPごとに少なくとも1つ設けられる。図示しないが、キャパシタ51は、第1容量電極と、第2容量電極とを備える。第1容量電極と第2容量電極とは、TFT層20に含まれる絶縁膜(不図示)を介して互いに重なり合う。第1容量電極および第2容量電極はそれぞれ、他の電極または配線の一部によって構成されてもよい。
 第1平坦化膜54は、複数のTFT50および複数のキャパシタ51を覆うように設けられる。第2平坦化膜56および第3平坦化膜58は、この順で第1平坦化膜54上に積層される。第1平坦化膜54、第2平坦化膜56および第3平坦化膜58は、表示領域DAの全体に亘って広がる。TFT層20の表面は、第1平坦化膜54、第2平坦化膜56および第3平坦化膜58によって平坦化される。
 接続線40rは、所定のTFT50(第3TFT50C)と有機EL素子70とを接続する配線であり、第1表示領域DA1および第2表示領域DA2のそれぞれに複数設けられる。第1表示領域DA1の接続線40rは、サブ画素SPごとに設けられる。第2表示領域DA2の接続線40rは、画素回路PCごとに設けられる。
 複数の接続線40rはそれぞれ、下層接続線40raと、中間接続線40rbと、上層接続線40rcとを有する。下層接続線40ra、中間接続線40rbおよび上層接続線40rcは、互いに異なる層に形成される。中間接続線40rbは、第2接続線に相当する。上層接続線40rcは、第1接続線に相当する。
 各下層接続線40raは、第1平坦化膜54上に設けられる。下層接続線40raは、所定のTFT50(第3TFT50C)と中間接続線40rbとを接続する配線であり、第2平坦化膜56の下層に位置する。下層接続線40raは、第1表示領域DA1のサブ画素SPごと、および第2表示領域DA2の画素回路PCごとに、島状に形成される。各下層接続線40raは、第1平坦化膜54に形成された第1コンタクトホールHaを介して所定のTFT50(第3TFT50C)に接続される。
 各中間接続線40rbは、第2平坦化膜56上に設けられる。中間接続線40rbは、下層接続線40raと上層接続線40rc、ひいては所定のTFT50(第3TFT50C)とを接続する配線であり、第3平坦化膜58の下層に位置する。中間接続線40rbは、第1表示領域DA1のサブ画素SPごと、および第2表示領域DA2の画素回路PCごとに、島状に形成される。各中間接続線40rbは、第2平坦化膜56に形成された第2コンタクトホールHbを介して対応する下層接続線55に接続される。
 各上層接続線40rcは、第3平坦化膜58上に設けられる。上層接続線40rcは、中間接続線40rbと有機EL素子70とを接続する配線であり、有機EL素子70を構成する画素電極61の下層に位置する。上層接続線40rcは、第1表示領域DA1のサブ画素SPごと、および第2表示領域DA2の画素回路PCごとに、島状に形成される。各上層接続線40rcは、画素電極61に接続されると共に、第3平坦化膜58に形成された第3コンタクトホールHcを介して対応する中間接続線40rbに接続される。
 上述した各種の配線および電極は、中間接続線40rbおよび上層接続線40rcを除いて、例えば、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、銅(Cu)などの金属材料からなり、単層膜または積層膜によって構成される。中間接続線40rbおよび上層接続線40rc(透明配線層TL1、透明導電層TL2)はそれぞれ、結晶化された透明導電材料からなり、単層膜または積層膜によって構成される。
 本例の中間接続線40rbおよび上層接続線40rc(透明配線層TL1、透明導電層TL2)をなす透明導電材料はいずれも、インジウムスズ酸化物(ITO)である。このような中間接続線40rbおよび上層接続線40rc(透明配線層TL1、透明導電層TL2)は、光透過性を有し、可視光領域波長の吸収の程度が少ない。下層接続線40raは、中間接続線40rbのパターニングに用いられるエッチング液に耐性を有する、つまり当該エッチング液により腐食されない又は腐食され難い金属材料(例えばチタン(Ti)を含む金属材料)からなることが好ましい。
 第1平坦化膜54、第2平坦化膜56および第3平坦化膜58はそれぞれ、例えば、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂などの有機樹脂材料、またはポリシロキサン系のSOG(Spin On Glass)材料などからなる。第1平坦化膜54、第2平坦化膜56および第3平坦化膜58のうち少なくとも2つの平坦化膜は、互いに同じ材料によって構成されてもよい。第1平坦化膜54、第2平坦化膜56および第3平坦化膜58は、互いに異なる材料によって構成されてもよい。
  〈発光素子層〉
 発光素子層60は、TFT層20上に設けられる。図4に示すように、発光素子層60は、複数の有機EL素子(有機エレクトロルミネッセンス素子)70と、エッジカバー75とを含む。有機EL素子70は、発光素子の一例である。有機EL素子70は、トップエミッション型に構成される。有機EL素子70では、有機EL層62で発した光が封止膜80側から取り出される。
 複数の有機EL素子70は、複数のサブ画素SPに対応して設けられる。個々の有機EL素子70は、サブ画素SPを構成する。そして、複数の有機EL素子70は全体として、表示領域DAを構成する。各有機EL素子70の発光は、複数のTFT50およびキャパシタ51の動作により制御される。各有機EL素子70は、画素電極61と、有機EL層62と、共通電極63とを有する。
 画素電極61は、各サブ画素SPにおいて、第3平坦化膜58上に設けられる。画素電極61は、サブ画素SPに対応してマトリクス状に配列される。画素電極61は、下層接続線40ra、中間接続線40rbおよび下層接続線40rcを介して所定のTFT50に接続される。画素電極61は、陽極として機能し、有機EL層62にホール(正孔)を注入する。
 本例の画素電極61は、導電性積層体CLにより構成される。導電性積層体CLは、第1透明電極層61aと、反射電極層61bと、第2透明電極層61cとが順に積層されてなる。第1透明電極層61a、反射電極層61bおよび第2透明電極層61cはいずれも、共通のエッチング液(例えばPAN系のエッチング液)によりエッチングされる性質を有する導電材料で形成される。
 第1透明電極層61aおよび第2透明電極層61cはそれぞれ、光透過性を有する。本例の第1透明電極層61aおよび第2透明電極層61cは、インジウムスズ酸化物(ITO)からなる。第1透明電極層61aおよび第2透明電極層61cは、インジウム亜鉛酸化物(IZO)やインジウムガリウム亜鉛酸化物(In-Ga-Zn-O)など、その他の透明導電材料によって形成されてもよい。反射電極層61bは、光反射性を有する。本例の反射電極層61bは、銀(Ag)からなる。反射電極層61bは、銀合金、アルミニウム(Al)、アルミニウム合金など、その他の光反射性を有する金属材料によって形成されてもよい。
 エッジカバー75は、第2平坦化膜56上に設けられる。エッジカバー75は、複数の画素電極61を区画するように格子状に形成される。エッジカバー75は、画素電極61の上層に位置し、各画素電極61の外縁(周端部分)を覆う。エッジカバー75は、各画素電極61を部分的に露出させる複数の開口76を有する。エッジカバー75の各開口76の周縁は、平面視で当該開口76に対応する画素電極61の外縁に囲まれる。エッジカバー75の各開口76の周縁と、当該開口76に対応する画素電極61の外縁との間には、アライメントマージンM1が設けられる。
 エッジカバー75の表面の一部は、封止膜80側に突出して、複数のフォトスペーサ77を構成する。フォトスペーサ77は、柱状の支持物であり、例えば、有機EL表示装置1の製造において、有機EL層62を構成する機能層(例えば発光層)を形成するのに用いられる成膜用マスクと成膜対象の表面との間隔を保つ役割を果たす。フォトスペーサ77は、第1表示領域DA1および第2表示領域DA2のそれぞれに所定の配列で複数設けられ、額縁領域FAにも複数設けられる。
 エッジカバー75における各開口76の周縁は、平面視で対応する画素電極61の外縁に囲まれる。また、エッジカバー75における各開口76の周縁は、平面視で対応する透明導電層TL2の内側に位置してもよく、当該透明導電層TL2の外側に位置してもよい。エッジカバー75は、例えば、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂などの有機樹脂材料、またはポリシロキサン系のSOG材料などからなる。
 有機EL層62は、エッジカバー75の開口76内で個々の画素電極61上に設けられる。有機EL層62は、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、および電子注入層を有する。正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、および電子注入層は、この順で画素電極61上に積層され、各々の機能に適した公知の化合物からなる。有機EL層62は、画素電極61と共通電極63との間に電流を印加することで発光する。
 共通電極63は、表示領域DAの全体に亘り複数のサブ画素SPに共通して一続きに設けられる。共通電極63は、エッジカバー75および各有機EL層62を覆い、有機EL層62を介して各画素電極61と重なる。共通電極63は、額縁領域FAにまで広がり、第2額縁線40fbに接続される。共通電極63は、陰極として機能し、有機EL層62に電子を注入する。共通電極63には、仕事関数の小さな導電材料を用いることが好ましい。
 共通電極63の材料としては、例えば、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)などの導電性酸化物が挙げられる。共通電極63の材料は、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、リチウム(Li)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、イッテルビウム(Yb)などの金属であってもよい。共通電極63の材料は、金属化合物や合金であってもよい。共通電極63は、導電材料からなる層を複数積層して形成されてもよい。
  〈封止膜〉
 封止膜80は、発光素子層60上に設けられる。図4に示すように、封止膜80は、複数の有機EL素子70を覆い、各有機EL素子70(特に有機EL層62)を水分や酸素などから保護する。封止膜80は、表示領域DAの全体に設けられ、額縁領域FAにまで広がる。封止膜80は、例えばTFE(Thin Film Encapsulation)構造を有する。封止膜80は、第1無機膜81と、有機膜82と、第2無機膜83とを有する。第1無機膜81、有機膜82および第2無機膜83は、この順で発光素子層60上に設けられる。
 第1無機膜81および第2無機膜83は、有機膜82よりも額縁領域FAの外周側に延び、額縁領域FAの周縁部分で互いに重なる。有機膜82は、第1無機膜81および第2無機膜83によって包み込まれる。第1無機膜81および第2無機膜83はそれぞれ、例えば、酸化シリコン、窒化シリコン、酸窒化シリコンなどの無機絶縁材料からなる。有機膜82は、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリ尿素樹脂、パリレン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂などの有機樹脂材料からなる。
  〈画素回路〉
 各サブ画素SPに設けられた複数のTFT50およびキャパシタ51は、図5に示すような画素回路PCを構成する。画素回路PCは、各種の配線によって供給されるゲート信号、エミッション信号、ソース信号、ハイレベル電源電圧およびローレベル電源電圧に基づいて、有機EL素子70の発光を制御する。
 図5に示す等価回路図では、TFT50の第1端子電極を丸付き数字の1で示し、TFT50の第2端子電極を丸付き数字の2で示す。また、図5に示す等価回路図では、キャパシタ51の第1容量電極を四角付き数字の1で示し、キャパシタ51の第2容量電極を四角付き数字の2で示す。
 第1TFT50Aのゲート電極は、対応するゲート線40gに接続される。第1TFT50Aの第1端子電極は、対応するソース線40sに接続される。第1TFT50Aの第2端子電極は、対応する第2TFT50Bに接続される。第2TFT50Bのゲート電極は、対応する第1TFT50Aの第2端子電極に接続される。第2TFT50Bの第1端子電極は、対応する電源線40pに接続される。第2TFT50Bの第2端子電極は、対応する第3TFT50Cに接続される。
 第3TFT50Cのゲート電極は、対応する発光制御線40eに接続される。第3TFT50Cの第1端子電極は、対応する第2TFT50Bの第2端子電極に接続される。第3TFT50Cの第2端子電極は、対応する有機EL素子70(画素電極61)に接続される。キャパシタ51の第1容量電極は、電源線40pに接続される。キャパシタ51の第2容量電極は、第1TFT50Aの第2端子電極および第2TFT50Bのゲート電極に接続される。
  〈有機EL素子および画素回路の配置構成〉
 図6に示すように、第2表示領域DA2においては、有機EL素子70および画素回路PCの配置関係が第1表示領域DA1と相違し、各種の配線の延び方が変則的(イレギュラー)である。図6には、第2表示領域DA2およびその周囲の第1表示領域DA1における有機EL素子70および画素回路PCの配置関係を概略的に例示する。
 図6に示す模式図では、便宜上、有機EL素子70を円形のシンボル図形で示し、画素回路PCを矩形のシンボル図形で示す。また、図6の模式図では、赤色に発光する有機EL素子70に左傾斜ハッチングを付し、緑色に発光する有機EL素子70にドットハッチングを付し、青色に発光する有機EL素子70に右傾斜ハッチングを付す。
 図6の模式図では、便宜上、ゲート線40gおよび発光制御線40eを、代表した1本の配線(第1金属線40X)として一点鎖線で示す。ゲート線40gおよび発光制御線40eはそれぞれ、第1金属線40Xと同様な形状に延びる。また、図6の模式図では、便宜上、ソース線40sおよび電源線40pを、代表した1本の配線(第2金属線40Y)として破線で示す。ソース線40sおよび電源線40pはそれぞれ、第2金属線40Yと同様な形状に延びる。
 第1表示領域DA1では、画素回路PCが、対応する有機EL素子70に平面視で重なる箇所およびその近傍周辺に配置される。このことは、図6において、有機EL素子70と画素回路PCとを重ねた図示で示される。すなわち、第1表示領域DA1において、各画素回路PCは、対応する有機EL素子70がなすサブ画素SPと重なる位置に設けられる。
 図4に示すように、第1表示領域DA1において、各接続線40rを構成する下層接続線40ra、中間接続線40rbおよび上層接続線40rcは、対応する画素電極61と平面視で重なる領域またはその周囲に位置し、局所的な範囲で互いに接続される。これにより、各接続線40rは、所定のTFT50(第3TFT50C)の直上またはその周辺で当該TFT50から第3平坦化膜58上に引き出され、当該TFT50と画素電極61とを接続する。
 第1表示領域DA1の各上層接続線40rcは、透明導電層TL2によって構成される。透明導電層TL2は、後述する透明配線層TL1に付随する副次物である。透明導電層TL2は、第1表示領域DA1のサブ画素SPごとに島状に形成される。透明導電層TL2は、画素電極61と相似形とされ、画素電極61よりも一回り小さい面積を有する。第1表示領域DA1の各画素電極61は、対応する透明導電層TL2に重ねて設けられる。
 当該各画素電極61は、透明導電層TL2の全体に被さり、透明導電層TL2の周辺にも広がる。当該各画素電極61は、対応する透明導電層TL2の外縁の少なくとも一部を覆う。本例の当該各画素電極61は、対応する透明導電層TL2の外縁(周端面)を全周に亘って覆う。当該各画素電極61の外縁は、平面視で対応する透明導電層TL2の外縁の全周を囲む。
 当該各画素電極61は、第1領域PA1と、第2領域PA2とを有する。第1領域PA1は、画素電極61のうち透明導電層TL2に重ねて設けられる領域である。第2領域PA2は、画素電極61のうち透明導電層TL2と同一層上に形成される領域である。本例では、当該各画素電極61の第2領域PA2は、第3平坦化膜58の表面に形成され、第1領域PA1の全周に広がる枠状とされる。そして、当該第2領域PA2の内周部分が、透明導電層TL2の周端面にかかる。
 図6に示すように、第2表示領域DA2では、画素回路PCが、対応する有機EL素子70と平面視で重ならない離間した箇所に配置される。第2表示領域DA2において、各サブ画素SPをなす有機EL素子70が配置される領域と、それら各有機EL素子70に対応する複数の画素回路PCが配置される領域とは、互いに分けて設けられる。
 具体的には、第2表示領域DA2は、発光素子領域EAと、回路配置領域CAとを含む。発光素子領域EAは、第2表示領域DA2の中央部分に設けられる。発光素子領域EAには、複数の有機EL素子70が配置される。回路配置領域CAは、発光素子領域EAの周囲に設けられる。回路配置領域CAには、複数の画素回路PCが設けられる。それら各画素回路PCは、発光素子領域EAに配置された有機EL素子70の発光を制御するものである。
 発光素子領域EAには、隣り合う2つの有機EL素子70を1セットとして、複数セットの有機EL素子70が配置される。各セットをなす2つの有機EL素子70は、第1方向Xに並べて配置される。それら2つの有機EL素子70による発光は、互いに同色である。回路配置領域CAの画素回路PCは、有機EL素子70のセットごとに設けられ、当該セットの2つの有機EL素子70の発光を共通に制御する。
 第2表示領域DA2の接続線40rは、有機EL素子70のセットと画素回路PCとの組ごとに設けられる。それら各接続線40rは、各セットの有機EL素子70と画素回路PC、厳密には所定のTFT50(第3TFT50C)とを接続する。第2表示領域DA2における複数の上層接続線40rcはそれぞれ、対応するセットをなす2つの有機EL素子70にそれぞれ接続され、それら2つの有機EL素子70を互いに接続する。各セットをなす2つの有機EL素子70は、共通の上層接続線40rcに接続される。
 第2表示領域DA2における複数の中間接続線40rbはそれぞれ、図9にも示すように、発光素子領域EAから回路配置領域CAに引き出され、回路配置領域CAで下層接続線40raを経由して所定のTFT50(第3TFT50C)に接続される。図7に示すように、第2表示領域DA2において、互いに接続されない中間接続線40rbと上層接続線40rcとのいくつかは、平面視で互いに交差して延びる。図8に示すように、それら中間接続線40rbと上層接続線40rcとの交差部分には、第3平坦化膜58が介在する。
 第2表示領域DA2の各上層接続線40rcは、一対の電極端子部40tと、連結線部40lとを有する。一対の電極端子部40tは、上層接続線40rcの両端に分けて設けられ、互いに異なる有機EL素子70の画素電極61に接続される。連結線部40lは、一対の電極端子部40tを連結する。各電極端子部40tは、対応する画素電極61と相似形とされ、当該画素電極61よりも一回り小さい面積を有する。上層接続線40rcは、透明配線層TL1によって構成される。すなわち、第2表示領域DA2の各接続線40rは、画素電極61と同一層(第3平坦化膜58)上に形成された透明配線層TL1を含む。
 第2表示領域DA2の各画素電極61は、対応する透明配線層TL1のうち電極端子部40tを構成する部分に重ねて設けられる。当該画素電極61は、透明配線層TL1のうち電極端子部40tを構成する部分に被さり、その電極端子部40tを構成する部分の周辺にも広がる。当該画素電極61は、透明配線層TL1の外縁の一部、本例では電極端子部40tを構成する部分の外縁(周端面)を全周に亘って覆う。そして、当該画素電極61の外縁は、平面視で透明配線層TL1のうち電極端子部40tを構成する部分の外縁を囲む。
 当該各画素電極61は、第1領域PB1と、第2領域PB2とを有する。第1領域PB1は、画素電極61のうち透明配線層TL1に重ねて設けられる領域である。第2領域PB2は、画素電極61のうち透明配線層TL1と同一層上に形成される領域である。本例では、当該各画素電極61の第2領域PB2は、第3平坦化膜58の表面に形成され、第1領域PB1の全周に広がる枠状とされる。そして、当該第2領域PB2の内周部分が、透明配線層TL1の周端面にかかる。
 透明配線層TL1と透明導電層TL2とは、互いに同一層に同一材料により形成される。上述したように、本例の透明配線層TL1および透明導電層TL2は、結晶化された透明導電材料、本例ではインジウムスズ酸化物(ITO)により形成され、比較的高い光透過性を有する。インジウムスズ酸化物(ITO)は、結晶化される前は所定のエッチング液により腐食される一方で、結晶化された後は当該エッチング液により腐食され難くなる性質を有する。ここでいう「所定のエッチング液」には、透明配線層TL1および透明導電層TL2のパターニングに用いられるエッチング液(本例ではITOエッチング液)と、画素電極61(第1透明電極層61a、反射電極層61bおよび第2透明電極層61c)のパターニングに用いられるエッチング液(本例ではPAN系のエッチング液)とが含まれる。
 図6に示すように、第2表示領域DA2における複数のサブ画素SPに対応する各第1金属線40Xは、発光素子領域EAに配置される有機EL素子70の群の外側を経由して延びる。それら各第1金属線40Xは、発光素子領域EAを避けて回路配置領域CAを延び、回路配置領域CAの画素回路PC(第3TFT50Cの第2端子電極)に接続される。また、第2表示領域DA2における複数のサブ画素SPに対応する各第2金属線40Yは、発光素子領域EAに配置される有機EL素子70の群の外側を経由して延びる。
 このように、第2表示領域DA2において、接続線40r(中間接続線40rbおよび上層接続線40rc)、第1金属線40Xおよび第2金属線40Yは、発光素子領域EAでの正面側から背面側への光の透過率を低下させないように設計される。
  -有機EL表示装置の動作-
 有機EL表示装置1では、各サブ画素SPにおいて、まず、対応する発光制御線40eが選択され、その発光制御線40eを介して非活性状態を示すエミッション信号が第3TFT50Cに入力される。そのことで、第3TFT50Cがオフ状態になって、有機EL素子70が非発光状態となる。
 そして、非発光状態の有機EL素子70に対応するゲート線40gが選択され、そのゲート線40gを介して活性状態を示すゲート信号が第1TFT50Aに入力される。そのことで、第1TFT50Aがオン状態となる。第1TFT50Aがオン状態になると、ソース線40sを介して伝達されるソース信号に対応する所定の電圧が、第2TFT50Bに印加されると共に、キャパシタ51に書き込まれる。
 その後、対応する発光制御線40eが選択され、活性状態を示すエミッション信号が第3TFT50Cに入力される。そのことで、第3TFT50Cがオン状態となる。第3TFT50Cがオン状態になると、第2TFT50Bのゲート電極にかかる電圧に応じた駆動電流が電源線40pから有機EL素子70に供給される。
 このようにして、有機EL表示装置1では、各サブ画素SPにおいて、有機EL素子70(発光層)が駆動電流に応じた輝度で発光することにより、画像表示が行われる。なお、有機EL素子70の発光は、第1TFT50Aがオフ状態になっても、第2TFT50Bのゲート電極にかかる電圧がキャパシタ51によって保持されるので、次のフレームのゲート信号が入力されるまでサブ画素SPごとに維持される。
 また、有機EL表示装置1では、第2表示領域DA2において、正面側から背面側に外光を透過する。第2表示領域DA2を透過した外光は、カメラ3の受光部に入射する。カメラ3は、第2表示領域DA2を透過した外光を受けてイメージセンサで電気信号に変換する。そのことで、有機EL表示装置1では、カメラ3により、画面の前方を対象(被写側)として、画像撮影が行われる。
  -有機EL表示装置の製造方法-
 有機EL表示装置1を製造するには、まず、ガラス基板200の表面に有機樹脂材料を塗布してベーク処理を行うことにより、基板層10を形成する。次いで、基板層10上に、CVD(Chemical Vapor Deposition)法やスパッタリング、真空蒸着法といった公知の成膜法、スピンコート法やインクジェット法といった公知の塗布法、フォトリソグラフィなどの公知のパターニング技術を用いて、TFT層20、発光素子層60および封止膜80をこの順に形成する。
 そして、基板層10の裏面にガラス基板200側からレーザー光を照射するなどして、基板層10からガラス基板200を剥離する。続いて、封止膜80の表面に、偏光板やカバーパネルを貼り付ける。また、基板層10の背面に、保護フィルム11を貼り付ける。さらに、端子部TPに、配線基板CBを接続することにより、表示制御回路を実装する。しかる後、有機EL表示装置1をカメラ3と共に筐体内に収容し、有機EL表示装置1の背面側において、平面視で第2表示領域DA2と重なる位置にカメラ3を設置する。
 以上のようにして、有機EL表示装置1を製造できる。
 TFT層20を形成する工程では、ガラス基板200表面の基板層10上に、複数のTFT50およびキャパシタ51などを形成した後に、例えば、スピンコート法やスリットコート法により、アクリル系やポリイミド系の感光性樹脂、または感光性のSOG材料を塗布する。続いて、その塗布膜に対して、プリベーク、露光、現像およびポストベークを行う。そのことにより、図10に示すように、第1コンタクトホールHaを有する第1平坦化膜54(例えば厚さ0.5μm~3.0μm程度)を形成する。
 次に、第1平坦化膜54が形成された基板上に、例えば、スパッタリング法により、チタン膜を成膜する。そのことにより、図11に示すように、第1金属膜100(例えば厚さ100nm~500nm程度)を形成する。ここで、第1金属膜100を形成するのに、チタン膜に代えて、モリブデン膜を成膜するか、または、チタン膜、アルミニウム膜およびチタン膜を順に成膜してもよい。続いて、第1金属膜100をパターニングして、下層接続線40raを形成する(図12参照)。第1金属膜100のパターニングは、例えば、公知のチタンエッチング液などの金属材料に応じたエッチング液を用いたウェットエッチングやドライエッチングにより行う。
 次に、下層接続線40raが形成された基板上に、例えば、スピンコート法やスリットコート法により、アクリル系やポリイミド系の感光性樹脂、または感光性のSOG材料を塗布する。続いて、その塗布膜に対して、プリベーク、露光、現像およびポストベークを行う。そのことにより、図12に示すように、第2コンタクトホールHbを有する第2平坦化膜56(例えば厚さ0.5μm~30μm程度)を形成する。
 次に、第2平坦化膜56が形成された基板上に、例えば、スパッタリング法により、インジウムスズ酸化物膜を成膜する。そのことにより、図13に示すように、第1透明導電膜102(例えば厚さ50nm~150nm程度)を形成する。ここで、第1透明導電膜102を形成するのに、インジウム亜鉛酸化物膜、またはインジウムガリウム亜鉛酸化物膜を成膜してもよい。続いて、第1透明導電膜102をパターニングして、中間接続線40rbを形成する(図14参照)。第1透明導電膜102のパターニングは、例えば、公知のITOエッチング液などの透明導電材料に応じたエッチング液を用いたウェットエッチングにより行う。
 次に、中間接続線40rbが形成された基板上に、例えば、スピンコート法やスリットコート法により、アクリル系やポリイミド系の感光性樹脂、または感光性のSOG材料を塗布する。続いて、その塗布膜に対して、プリベーク、露光、現像およびプリベークを行う。そのことにより、図14に示すように、第3コンタクトホールHcを有する第3平坦化膜58(例えば厚さ0.5μm~3.0μm程度)を形成する。
 次に、第3平坦化膜58が形成された基板上に、例えば、スパッタリング法により、インジウムスズ酸化物膜を成膜する。そのことにより、図15に示すように、第2透明導電膜104(例えば厚さ50μm~150μm程度)を形成する。ここで、第2透明導電膜104を形成するのに、インジウム亜鉛酸化物膜、またはインジウムガリウム亜鉛酸化物膜を成膜してもよい。続いて、第2透明導電膜104をパターニングして、図16に示すように、上層接続線40rc(透明配線層TL1および透明導電層TL2)を形成する。第2透明導電膜104のパターニングは、例えば、公知のITOエッチング液などの透明導電材料に応じたエッチング液を用いたウェットエッチングにより行う。
 次に、上層接続線40rcが形成された基板に、例えば、200℃~250℃程度の温度で30分~120分間程度に亘ってアニール処理を施す。このアニール処理により、下層接続線40ra、中間接続線40rb、上層接続線40rc(透明配線層TL1および透明導電層TL2)を結晶化させる。そのことで、下層接続線40ra、中間接続線40rb、上層接続線40rc(透明配線層TL1および透明導電層TL2)の導電性および光透過性が高められる。また、透明配線層TL1および透明導電層TL2は、結晶化されることで、後に行う画素電極61のパターニングに用いられるPAN系のエッチング液に耐性を持つようになる。
 このようにして、TFT層20を形成できる。
 発光素子層60を形成する工程では、上層接続線40rcが形成された基板上に、例えば、スパッタリング法により、インジウムスズ酸化物膜106a(例えば厚さ5nm~100nm程度)、銀膜106b(例えば厚さ50nm~200nm程度)、およびインジウムスズ酸化物膜106c(例えば厚さ5nm~100nm程度)をこの順に成膜する。そのことにより、図17に示すように、第2金属膜106を形成する。ここで、第2金属膜106を形成するのに、インジウムスズ酸化物膜106a,106cに代えて、インジウム亜鉛酸化物膜若しくはインジウムガリウム亜鉛酸化物膜を成膜してもよい。また、銀膜106bに代えて、銀合金膜、アルミニウム膜、またはアルミニウム合金膜を成膜してもよい。続いて、第2金属膜106をパターニングして、図18に示すように、画素電極61を形成する。
 第2金属膜106のパターニングは、ウェットエッチングにより行う。このウェットエッチングでは、エッチング液として、リン酸、硝酸および酢酸を混合したPAN系のエッチング液を使用する。このとき、第2表示領域DA2の各上層接続線40rc(透明配線層TL1)は、PAN系のエッチング液に晒される。しかし、当該上層接続線40rc(透明配線層TL1)は、前もって結晶化されて耐性を持つため、エッチング液に腐食されない又は腐食され難く、画素電極61から部分的に露出した状態に残すことができる。
 次に、図19に示すように、画素電極61が形成された基板上に、例えば、スピンコート法やスリットコート法により、ポリイミド系の感光性樹脂を塗布する。続いて、その塗布膜108に対して、プリベーク、露光、現像およびプリベークを行う。そのことにより、図20に示すように、フォトスペーサ77を有するエッジカバー75を形成する。その後、エッジカバー75が形成された基板上に、公知の方法を用いて、有機EL層62および共通電極63を順に形成する。
 このようにして、発光素子層60を形成できる。
  -実施形態1の特徴-
 この実施形態1の有機EL表示装置1では、第2表示領域DA2に設けられた接続線40rが、光透過性を有する透明配線層TL1(上層接続線40rc)を含む。それによって、第2表示領域DA2でのカメラ3が受ける外光の透過率を高めることができる。また、第2表示領域DA2の画素電極61は、透明配線層TL1に重ねて設けられるが、その透明配線層TL1の外縁の一部を覆う。透明配線層TL1の外縁のうち画素電極61により覆われる部分では、個々の有機EL素子70に係るアライメントマージンとして、画素電極61とエッジカバー75の開口76との両パターン間のマージンM1を考慮すればよく、透明配線層TL1と画素電極61との両パターン間のマージンを確保しなくて済む。そのことで、第2表示領域DA2において、互いに隣り合う画素電極61の間に確保すべき距離を短くできる。これにより、有機EL表示装置1における表示画像を高精細化できる。
 この実施形態1の有機EL表示装置1では、第1表示領域DA1の画素電極61が、透明導電層TL2に重ねて設けられるが、その透明導電層TL2の外縁を全周に亘って覆う。透明導電層TL2の外縁のうち画素電極61により覆われる部分では、個々の有機EL素子70に係るアライメントマージンとして、画素電極61とエッジカバー75の開口76との両パターン間のマージンM1を考慮すればよく、透明導電層TL2と画素電極61との両パターン間のマージンを確保しなくて済む。そのことで、第1表示領域DA1において、互いに隣り合う画素電極61の間に確保すべき距離を短くできる。これにより、有機EL表示装置1における表示画像を高精細化できる。
 この実施形態1の有機EL表示装置1では、透明配線層TL1が結晶化された透明導電材料により形成される。当該透明導電材料は、結晶化される前は所定のエッチング液により腐食される一方、結晶化された後はエッチング液により腐食され難くなる性質を有する。そうした透明導電材料は、透明配線層TL1よりも上層に位置する膜や層のパターニングに上記所定のエッチング液を用いる場合、結晶化していると、当該エッチング液に晒されても腐食され難いので、透明配線層TL1の材料として好適である。
 この実施形態1の有機EL表示装置1では、透明配線層TL1がインジウムスズ酸化物(ITO)からなる。インジウムスズ酸化物(ITO)は、上述のエッチング液に対する性質を良好に示すことから、透明配線層TL1の具体的な材料として使用可能である。
 この実施形態1の有機EL表示装置1では、画素電極61が第1透明電極層61a、反射電極層61bおよび第2透明電極層61cからなる積層構造を有する。そして、透明配線層TL1は、第1透明電極層61a、反射電極層61bおよび第2透明電極層61cのパターニングに用いられるPAN系のエッチング液により腐食され難い性質を有する。これによれば、透明配線層TL1を残しつつ、第1透明電極層61a、反射電極層61bおよび第2透明電極層61cを一括でエッチングできる。それにより、画素電極61を形成するためのプロセスを削減できる。このことは、有機EL表示装置1のコストを低減するのに有利である。
 この実施形態1の有機EL表示装置1では、接続線40rが上層接続線40raに加えて中間接続線40rbを含んで構成される。上層接続線40raと中間接続線40rbとは、互いに異なる層に形成される。これにより、上層接続線40raおよび中間接続線40rbのレイアウトを、平面視で互いに交差して延びる配置として設計できる。そして、中間接続線40rbも光透過性を有する。このことは、第2表示領域DA2でのカメラ3が受ける外光の透過率を向上させるのに有利である。
 この実施形態1の有機EL表示装置1では、第2表示領域DA2における複数の有機EL素子70が発光素子領域EAに配置され、発光素子領域EAにおける有機EL素子70の発光を制御する複数の画素回路PCが発光素子領域EAの周囲に配置される。これによれば、発光素子領域EAに画素回路PCを設けずに済む。そのことで、発光素子領域EAにおいて、表示領域DAの正面側から背面側に光を好適に透過させ、カメラ3が受ける外光を確保できる。このことは、カメラ3の機能発揮に有利である。
 この実施形態1の有機EL表示装置1では、画素回路PCが、2つ以上の有機EL素子70を1セットとする有機EL素子70のセットごとに設けられる。そして、当該セットをなす2つ以上の有機EL素子70の発光は、共通の画素回路PCによって制御される。これによれば、第2表示領域DA2においては、有機EL素子70の数に対して画素回路PCの数を少なくできる。このことは、第2表示領域DA2でのカメラ3が受ける外光の透過率を高めるのに有利である。
 《実施形態2》
 この実施形態2の有機EL表示装置1は、第1表示領域DA1における画素電極61とTFT50との接続構成が上記実施形態1と異なる。なお、本実施形態では、第1表示領域DA1における画素電極61とTFT50との接続構成が上記実施形態1と異なる他は、有機EL表示装置1について上記実施形態1と同様に構成される。
 図21に示すように、この実施形態2の有機EL表示装置1において、第1表示領域DA1の各画素電極61は、第3平坦化膜58に形成された第3コンタクトホールHcを介して中間接続線40rbに接続される。上層接続線40rcは、上記実施形態1と同様に第2表示領域DA2には設けられる(図8および図9参照)一方、第1表示領域DA1には設けられない。第1表示領域DA1の各画素電極61は、その全体が第3平坦化膜58の表面に形成され、中間接続線40rbに直接接続される。
 この実施形態2の有機EL表示装置1を製造するには、図22に示すように、TFT層20を形成する工程で第2透明導電膜104をパターニングするときに、第2表示領域DA2のみに上層接続線40rcを形成し、第1表示領域DA1では第2透明導電膜104を除去する。しかる後の発光素子層60を形成する工程では、図23に示すように、上記実施形態1と同様にして第2金属膜106を形成する。そして、上記実施形態1と同様に、第2金属膜106をパターニングして、画素電極61を形成する。
  -実施形態2の特徴-
 この実施形態2の有機EL表示装置1では、第1表示領域DA1に上層接続線40rcが設けられない。これによれば、第1表示領域DA1の各サブ画素SPの構造を、第2表示領域DA2を有しないタイプの有機EL表示装置と近い構造にできる。このことは、インカメラ付きの有機EL表示装置1における表示画像の高精細化に有利である。
 《実施形態3》
 この実施形態3の有機EL表示装置1は、第1表示領域DA1における画素電極61とTFT50との接続構成が上記実施形態1と異なる。なお、本実施形態では、第1表示領域DA1における画素電極61とTFT50との接続構成が上記実施形態1と異なる他は、有機EL表示装置1について上記実施形態1と同様に構成される。
 図24に示すように、この実施形態3の有機EL表示装置1において、第1表示領域DA1の各画素電極61は、第3平坦化膜58に形成された第3コンタクトホイールHcを介して下層接続線40raに接続される。上層接続線40rc、第2平坦化膜56および中間接続線40rbは、上記実施形態1と同様に第2表示領域DA2には設けられる(図8および図9参照)一方、第1表示領域DA1には設けられない。第1表示領域DA1の第3平坦化膜58の厚さは、第2表示領域DA2の第2平坦化膜56と第3平坦化膜58との積層膜の厚さと同等である。
 この実施形態3の有機EL表示装置1を製造するには、図25に示すように、TFT層20を形成する工程で第2平坦化膜56を形成するときに、第2表示領域DA2のみに第2平坦化膜56を形成し、第1表示領域DA1では塗布膜を除去する。そして、図26に示すように、第3平坦化膜58を、第1表示領域DA1と第2表示領域DA2とで同程度の表面高さとなるように形成する。このとき、第1表示領域DA1と第2表示領域DA2とで第3平坦化膜58の厚さ調整が必要な場合は、塗布膜への露光時に、グレートーンマスクまたはハーフトーンマスクを用いてもよい。
  -実施形態3の特徴-
 この実施形態3の有機EL表示装置1では、第1表示領域DA1に上層接続線40rc、さらには第2平坦化膜56および中間接続線40rbが設けられない。これによれば、第1表示領域の各サブ画素の構造を、第2表示領域DA2を有しないタイプの有機EL表示装置と同じ構造にできる。このことは、インカメラ付きの有機EL表示装置1における表示画像の高精細化に有利である。
 《その他の実施形態》
 上記実施形態1では、第1表示領域DA1の各画素電極61が、透明導電層TL2の全体に被さり、透明導電層TL2の外縁を全周に亘って覆うとしたが、これに限らない。第1表示領域DA1の各画素電極61は、透明導電層TL2の外縁の一部のみを覆ってもよい。
 上記実施形態3では、第1表示領域DA1に上層接続線40rc(透明導電層TL2)が設けられないとしたが、これに限らない。上記実施形態3の有機EL表示装置1において、上記実施形態1と同様に、上層接続線40rc(透明導電層TL2)が第1表示領域DA1にも設けられてもよい。
 上記実施形態1では、透明導電層TL2が上層接続線40rcを構成し、TFT層20に含まれるとしたが、これに限らない。透明導電層TL2は、画素電極61の一部(すなわち、発光素子層60に含まれる)とみなしてもよい。
 上記実施形態1~3では、各画素電極61が、第1透明電極層61aと、反射電極層61bと、第2透明電極層61cとが順に積層されてなるとしたが、これに限らない。各画素電極61は、2層以下の導電層によって構成されてもよく、4層以上の導電層によって構成されてもよい。
 上記実施形態1~3では、発光素子領域EAに設けられた複数の有機EL素子70は、2つで1セットとし、セットごとに上層接続線40rcを介して互いに接続されるとしたが、これに限らない。発光素子領域EAにおける複数の有機EL素子70は、3つ以上で1セットとして、セットごとに上層接続線40rcを介して互いに接続されてもよい。
 また、発光素子領域EAに設けられる複数の有機EL素子70は、2つ以上で1セットになっていなくてもよい。すなわち、発光素子領域EAにおける複数の有機EL素子70は、互いに接続されず、個別に制御されてもよい。この場合、回路配置領域CAには、有機EL素子70ごとに別個の画素回路PCが設けられ、各有機EL素子70が接続線40rを介して別々の画素回路PCに接続される。
 上記実施形態1~3では、有機EL層62が各サブ画素SPに個別に設けられるとしたが、これに限らない。有機EL層62は、複数のサブ画素SPにおいて一続きとして共通に設けられてもよい。この場合、有機EL表示装置1は、カラーフィルタを備えるなどして、各サブ画素SPでの色調表現を行ってもよい。
 上記実施形態1~3では、各画素PXが3色のサブ画素SPによって構成されるとしたが、これに限らない。各画素PXを構成するサブ画素SPは、4色以上であってもよい。また、各画素PXを構成する3色のサブ画素SPは、ストライプ配列で設けられるとしたが、これに限らない。複数のサブ画素PSの配列は、ペンタイル配列など、他の配列であってもよい。
 上記実施形態1~3では、画素回路PCを構成する複数のTFT50が第1TFT50A、第2TFT50Bおよび第3TFT50Cの3つであるとしたが、これに限らない、画素回路PCを構成する複数のTFT50は、2つ以下であってもよく、4つ以上であってもよい。また、各TFT50は、ボトムゲート型に構成されてもよい。
 上記実施形態1~3では、画素電極61が陽極であり、共通電極63が陰極であるとしたが、これに限らない。有機EL表示装置1は、画素電極61が陰極として機能し、共通電極63が陽極として機能するように構成されてもよい。この場合、有機EL層62は、反転した積層構造とされる。
 上記実施形態1~3では、有機EL層62が、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、および電子注入層からなる5層構造であるとしたが、これに限らない。有機EL層62は、正孔注入層兼輸送層、発光層、および電子輸送層兼注入層からなる3層構造であってもよく、任意の積層構造を採用可能である。
 上記実施形態1~3では、有機EL表示装置1の基板が基板層であるとしたが、これに限らない。当該基板としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)からなるプラスチック基板やガラス基板など、光透過性を有するものであれば、任意の材料からなる基板を用いることが可能である。
 上記実施形態1~3では、有機EL表示装置1に組み合わせられる電子部品としてカメラ3を例示したが、これに限らない。当該電子部品は、有機EL表示装置1の背面側において第2表示領域DA2と重なる位置に配置され、表示領域DAを透過した光を利用するものであれば、指紋センサや顔認証センサ、輝度センサなど、その他の電子部品であってもよい。
 上記実施形態1~3では、本開示に係る表示装置として有機EL表示装置1を例示したが、これに限らない。本開示の技術は、電流によって駆動される複数の発光素子を備える表示装置に適用可能である。当該表示装置としては、量子ドット含有層を用いた発光素子であるQLED(Quantum-dot Light Emitting Diode)を備える表示装置が挙げられる。その他、本開示の技術は、液晶表示装置やプラズマ表示装置にも適用可能である。
 以上のように、本開示の技術の例示として、好ましい実施形態について説明した。しかし、本開示の技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。上記実施形態について、本開示の技術の趣旨を逸脱しない範囲においてさらに色々な変形が可能なこと、またそうした変形も本開示の技術の範囲に属することは、当業者に理解されるところである。
 以上説明したように、本開示は、表示装置について有用である。
 CL    導電性積層体
 DA    表示領域
 DA1   第1表示領域
 DA2   第2表示領域
 EA    発光素子領域
 PC    画素回路
 PA1,PB1  第1領域
 PA2,PB2  第2領域
 SP    サブ画素
 TL1   透明配線層
 TL2   透明導電層
 1     有機EL表示装置(表示装置)
 3     カメラ(電子部品)
 10    基板層(基板)
 20    TFT層(薄膜トランジスタ層)
 40r   接続線
 40rb  中間接続線(第2接続線)
 40rc  上層接続線(第1接続線)
 50    TFT(薄膜トランジスタ)
 60    発光素子層
 61    画素電極
 61a   第1透明電極層
 61b   反射電極層
 61c   第2透明電極層
 70    有機EL素子(発光素子)
 75    エッジカバー
 76    開口

Claims (12)

  1.  基板と、
     前記基板上に設けられた薄膜トランジスタ層と、
     前記薄膜トランジスタ層上に設けられた発光素子層と、を備え、
     前記薄膜トランジスタ層には複数の薄膜トランジスタが、前記発光素子層には複数の発光素子が、表示領域をなす複数のサブ画素に対応してそれぞれ設けられ、
     平面視で前記表示領域に重なる位置において、前記基板の背面側に光を利用する電子部品が配置される表示装置であって、
     前記表示領域は、第1表示領域と、該第1表示領域の内側に設けられ、前記電子部品に利用される光を透過する第2表示領域と、を有し、
     前記第2表示領域には、前記薄膜トランジスタと前記発光素子とを電気的に接続する接続線が設けられ、
     前記接続線は、光透過性を有する透明配線層を含み、
     前記第2表示領域の前記発光素子を構成する画素電極は、前記透明配線層に重ねて設けられる第1領域と、前記透明配線層と同一層上に形成される第2領域と、を有する、表示装置。
  2.  基板と、
     前記基板上に設けられた薄膜トランジスタ層と、
     前記薄膜トランジスタ層上に設けられた発光素子層と、を備え、
     前記薄膜トランジスタ層には複数の薄膜トランジスタが、前記発光素子層には複数の発光素子が、表示領域をなす複数のサブ画素に対応してそれぞれ設けられ、
     平面視で前記表示領域に重なる位置において、前記基板の背面側に光を利用する電子部品が配置される表示装置であって、
     前記表示領域は、第1表示領域と、該第1表示領域の内側に設けられ、前記電子部品に利用される光を透過する第2表示領域と、を有し、
     前記第2表示領域には、前記薄膜トランジスタと前記発光素子とを電気的に接続する接続線が設けられ、
     前記接続線は、光透過性を有する透明配線層を含み、
     前記第1表示領域の前記発光素子を構成する画素電極は、前記透明配線層と同一材料により同一層に形成された透明導電層に重ねて設けられる第1領域と、前記透明導電層と同一層上に形成される第2領域と、を有する、表示装置。
  3.  請求項2に記載の表示装置において、
     前記第1表示領域の前記画素電極は、前記透明導電層の外縁を全周に亘って覆う、表示装置。
  4.  請求項1~3のいずれか1項に記載の表示装置において、
     前記発光素子層は、前記画素電極の外縁を覆うように設けられたエッジカバーを含み、
     前記エッジカバーにおける前記画素電極を部分的に露出させる開口の周縁は、平面視で前記画素電極の外縁に囲まれる、表示装置。
  5.  請求項1~4のいずれか1項に記載の表示装置において、
     前記透明配線層は、結晶化された透明導電材料により形成され、
     前記透明導電材料は、結晶化される前は所定のエッチング液により腐食される一方、結晶化された後は前記エッチング液により腐食され難くなる性質を有する、表示装置。
  6.  請求項5に記載の表示装置において、
     前記透明導電材料は、インジウムスズ酸化物である、表示装置。
  7.  請求項5または6に記載の表示装置において、
     前記画素電極は、光透過性を有する第1透明電極層と、光反射性を有する反射電極層と、光透過性を有する第2透明電極層とが順に積層された導電性積層体により構成され、
     前記第1透明電極層、前記反射電極層および前記第2透明電極層はいずれも、前記エッチング液によりエッチングされる性質を有する導電材料により形成される、表示装置。
  8.  請求項1~7のいずれか1項に記載の表示装置において、
     前記接続線は、前記画素電極に電気的に接続される第1接続線と、該第1接続線と前記薄膜トランジスタとを電気的に接続する第2接続線と、を有し、
     前記第1接続線は、前記透明配線層によって構成され、
     前記第2接続線は、前記第1接続線とは異なる層に形成され、光透過性を有する、表示装置。
  9.  請求項1~8のいずれか1項に記載の表示装置において、
     前記第2表示領域は、複数の前記発光素子が配置される発光素子領域を含み、
     前記発光素子領域の周囲には、前記薄膜トランジスタを含み、当該発光素子領域に配置された前記発光素子の発光を制御する画素回路が設けられる、表示装置。
  10.  請求項9に記載の表示装置において、
     前記発光素子領域には、2つ以上の前記発光素子を1セットとして、複数セットの前記発光素子が配置され、
     前記画素回路は、前記発光素子のセットごとに設けられ、当該セットをなす2つ以上の前記発光素子の発光を共通に制御する、表示装置。
  11.  請求項1~10のいずれか1項に記載の表示装置において、
     前記電子部品は、カメラである、表示装置。
  12.  請求項1~11のいずれか1項に記載の表示装置において、
     前記発光素子は、有機エレクトロルミネッセンス素子である、表示装置。
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