WO2024111611A1 - 撥水剤組成物、非フッ素重合体の製造方法、処理方法及び物品 - Google Patents

撥水剤組成物、非フッ素重合体の製造方法、処理方法及び物品 Download PDF

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Abstract

本発明は、長鎖アルキル(メタ)アクリレート単量体に基づく構成単位、ハロゲン化ビニル単量体に基づく構成単位及び(メタ)アクリロイル基を2個以上有する単量体に基づく構成単位を有する非フッ素重合体を含む、撥水剤組成物に関する。

Description

撥水剤組成物、非フッ素重合体の製造方法、処理方法及び物品
 本発明は、撥水剤組成物、非フッ素重合体の製造方法、処理方法及び物品に関する。
 本願は、2022年11月22日に、日本に出願された特願2022-186728号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
 繊維製品等の物品の表面に撥水性を付与する方法としては、フッ素重合体を含む撥水剤組成物を用いて物品を処理する方法が知られている。しかし、前記方法で使用されるフッ素重合体は、環境負荷が高い点において懸念されている。そこで、物品の表面に充分な撥水性を付与でき、かつ環境負荷が低い非フッ素重合体を含む撥水剤組成物が要求されている。
 非フッ素重合体を含む撥水剤組成物として、例えば特許文献1には、ポリフルオロアルキル基を有さず、炭素数が20~30のアルキル基を有する(メタ)アクリレート単量体(A)に基づく構成単位と、ハロゲン化オレフィン単量体(B)に基づく構成単位とを有し、前記単量体(A)に基づく構成単位の割合が、全構成単位(100質量%)のうち、5~95質量%であり、前記単量体(B)に基づく構成単位の割合が、全構成単位(100質量%)のうち、5~60質量%であり、前記単量体(A)に基づく構成単位と前記単量体(B)に基づく構成単位の含有割合の合計が、全構成単位(100質量%)の65質量%以上であることを特徴とする非フッ素共重合体を含む撥水剤組成物が開示されている。
国際公開第2009/113589号
 しかし、特許文献1に記載の共重合体を含む撥水剤組成物で処理された物品は、撥水性が充分ではないことがある。
 本発明は、より撥水性に優れる物品が得られる撥水剤組成物、非フッ素重合体の製造方法、前記撥水剤組成物を用いた処理方法、及び前記撥水剤組成物を用いて処理された撥水性に優れる物品を提供することを課題とする。
 本発明は、下記の態様を有する。
[1] 長鎖アルキル(メタ)アクリレート単量体に基づく構成単位、ハロゲン化ビニル単量体に基づく構成単位及び(メタ)アクリロイル基を2個以上有する単量体に基づく構成単位を有する非フッ素重合体を含む、撥水剤組成物。
[2] 前記長鎖アルキル(メタ)アクリレート単量体は、下式(1)で表される、[1]に記載の撥水剤組成物。
 R-OC(=O)CR=CH (1)
 前記式(1)中、RはH、CH又は塩素原子を表し、H又はCHが好ましく、Hがより好ましく、Rは炭素数12~30、14~28、又は16~24のアルキル基を表す。
[3] 前記長鎖アルキル(メタ)アクリレート単量体に基づく構成単位は、前記式(1)におけるRの炭素数が12~18、16~18、又は18である長鎖アルキル(メタ)アクリレート単量体に基づく構成単位及び前記式(1)におけるRの炭素数が19~30、20~28、又は20~24である長鎖アルキル(メタ)アクリレート単量体に基づく構成単位を含む、[2]に記載の撥水剤組成物。
[4] 前記長鎖アルキル(メタ)アクリレート単量体に基づく構成単位の総量に対する、前記式(1)におけるRの炭素数が12~18、16~18、又は18である長鎖アルキル(メタ)アクリレート単量体に基づく構成単位の割合は、1~45質量%、5~40質量%、又は10~38質量%である、[3]に記載の撥水剤組成物。
[5] 前記ハロゲン化ビニル単量体は、塩化ビニル又は塩化ビニリデンである、[1]~[4]のいずれかに記載の撥水剤組成物。
[6] 前記(メタ)アクリロイル基を2個以上有する単量体は、下式(2)で表される、[1]~[5]のいずれかに記載の撥水剤組成物。
 Q-(RC(=O)CR=CH (2)
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000003
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000004
 前記式(2)中、nは2~10の整数を表し、RはH、CH又は塩素原子を表し、Rは単結合又は2価の有機基を表し、Qは炭素数1~16の直鎖若しくは分岐鎖のアルキレン基、多価アルコールの水酸基から水素を除いた残基、前記式(3)で表される3価の基、又は前記式(4)で表される3価の基を表し、複数の(RC(=O)CR=CH)は同一でも異なってもよく、前記式(3)及び前記式(4)中、*は結合手を表す。但し、Qが炭素数1~16の直鎖若しくは分岐鎖のアルキレン基又は多価アルコールの水酸基から水素を除いた残基の場合、Qと結合するR中の原子は酸素原子以外の原子である。
[7] 前記非フッ素重合体の構成単位の総量に対する、前記長鎖アルキル(メタ)アクリレート単量体に基づく構成単位の割合が50~90質量%、55~90質量%、又は60~85質量%であり、前記ハロゲン化ビニル単量体に基づく構成単位の割合が5~30質量%、5~25質量%、又は8~20質量%であり、前記(メタ)アクリロイル基を2個以上有する単量体に基づく構成単位の割合が0.1~20質量%、0.5~15質量%、又は1~10質量%である、[1]~[6]のいずれかに記載の撥水剤組成物。
[8] 界面活性剤及び重合開始剤の存在下、長鎖アルキル(メタ)アクリレート単量体、ハロゲン化ビニル単量体及び(メタ)アクリロイル基を2個以上有する単量体を含む混合物を重合する、非フッ素重合体の製造方法であって、前記非フッ素重合体を構成する単量体の総質量に対する、前記長鎖アルキル(メタ)アクリレート単量体の割合が50~90質量%、55~90質量%、又は60~85質量%であり、前記ハロゲン化ビニル単量体の割合が5~30質量%、5~25質量%、又は8~20質量%であり、前記(メタ)アクリロイル基を2個以上有する単量体の割合が0.1~20質量%、0.5~15質量%、又は1~10質量%である、非フッ素重合体の製造方法。
[9] さらに、分子量調整剤の存在下に重合させる、[8]に記載の非フッ素重合体の製造方法。
[10] 前記非フッ素重合体を構成する全単量体100質量部に対する前記分子量調整剤の割合が、0.1~20質量部、0.1~10質量部、0.5~9質量部、又は1~8質量部である、[9]に記載の非フッ素重合体の製造方法。
[11] [1]~[7]のいずれかに記載の撥水剤組成物を用いた処理方法。
[12] [1]~[7]のいずれかに記載の撥水剤組成物を用いて処理された物品。
 本発明によれば、より撥水性に優れる物品が得られる撥水剤組成物、非フッ素重合体の製造方法、前記撥水剤組成物を用いた処理方法、及び前記撥水剤組成物を用いて処理された撥水性に優れる物品を提供することができる。
 本明細書における用語の意味や定義は以下の通りである。
 「非フッ素重合体」は、重合体の総質量に対するフッ素原子の含有量が0.1質量%以下の重合体の総称である。重合体の総質量に対するフッ素原子の含有量は、燃焼イオンクロマトグラフィー法などにより測定することができる。
 「単量体に基づく構成単位」は、単量体1分子が重合して直接形成される原子団と、前記原子団の一部を化学変換して得られる原子団との総称である。
 「(メタ)アクリレート」は、アクリレート、メタクリレート、及び前記メタクリレートのメタクリロイル基中のメチル基を塩素原子で置換した化合物の総称である。同様に、「(メタ)アクリロイル基」は、アクリロイル基、メタクリロイル基、及びメタクリロイル基中のメチル基を塩素原子で置換した基の総称である。
 「長鎖アルキル」は、炭素数12以上のアルキル基を意味する。
 「ハロゲン化ビニル」は、エチレン中の少なくとも1個の水素原子がハロゲン原子で置換された化合物である。
 重合体の数平均分子量(以下、「Mn」とも記す。)及び重量平均分子量(以下、「Mw」とも記す。)は、標準ポリスチレン試料を用いて作成した検量線を用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(以下、「GPC」とも記す。)で測定することによって得られるポリスチレン換算分子量である。
 固形分濃度は、加熱前の試料の質量を試料質量、120℃の対流式乾燥機にて試料を4時間乾燥した後の質量を固形分質量として、(固形分質量/試料質量)×100によって計算される。
 数値範囲を示す「~」は、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含むことを意味する。
≪撥水剤組成物≫
 本実施形態の撥水剤組成物(以下、「本組成物」とも記す。)は、特定の重合体(以下、「重合体(A)」とも記す。)を含む。重合体(A)は、長鎖アルキル(メタ)アクリレート単量体(以下、「単量体(a)」とも記す。)に基づく構成単位、ハロゲン化ビニル単量体(以下、「単量体(b)」とも記す。)に基づく構成単位及び(メタ)アクリロイル基を2個以上有する単量体(以下、「単量体(c)」とも記す。)に基づく構成単位を有する非フッ素重合体である。重合体(A)は、後述の単量体(d)に基づく構成単位及び単量体(e)に基づく構成単位のいずれか一方又は両方を含んでもよい。
 本組成物は、重合体(A)と媒体とを含んでもよい。
 本組成物は、界面活性剤、分子量調整剤、及び重合開始剤からなる群から選択される1種以上を含んでいてもよい。
 本組成物は、必要に応じて、他の成分を含んでいてもよい。
 本組成物は、重合体(A)を含む非フッ素重合体溶液であることが好ましい。非フッ素重合体溶液には、後述する製造方法によって得られた分散液、及び物品を処理するために、さらに任意の媒体に希釈された分散液も包含される。
 本組成物は、重合体(A)と媒体として有機溶剤とを含み、界面活性剤を含まない非フッ素重合体溶液であってもよい。
<重合体(A)>
 重合体(A)は、単量体(a)に基づく単位(以下、「単位(a)」とも記す。)と、単量体(b)に基づく単位(以下、「単位(b)」とも記す。)と、単量体(c)に基づく単位(以下、「単位(c)」とも記す。)を有する。
 重合体(A)は、必要に応じて、単量体(d)に基づく単位(以下、「単位(d)」とも記す。)、及び単量体(e)に基づく単位(以下、「単位(e)」とも記す。)のいずれか一方又は両方をさらに有していてもよい。
(単量体(a))
 単量体(a)は、長鎖アルキル(メタ)アクリレート単量体である。長鎖アルキル(メタ)アクリレートは、1分子中に、炭素数12以上のアルキル基及び1個の(メタ)アクリロイル基を有する単量体である。
 単量体(a)としては、下式(1)で表される長鎖アルキル(メタ)アクリレート単量体が好ましい。
 R-OC(=O)CR=CH (1)
 前記式(1)中、RはH、CH又は塩素原子を表し、Rは炭素数12~30のアルキル基を表す。
 Rは、H又はCHが好ましく、Hがより好ましい。
 長鎖アルキル基は、直鎖でも分岐鎖でもよく、直鎖が好ましい。
 Rの炭素数は、12~30が好ましく、14~28がより好ましく、16~24がさらに好ましい。炭素数が前記下限値以上であると、撥水性に優れる。炭素数が前記上限値以下であると、入手性及び取扱い性に優れる。
 単量体(a)としては、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレートが好ましい。
 また、単量体(a)は、2種以上を併用してもよい。単量体(a)としては、前記式(1)におけるRの炭素数が12~18である長鎖アルキル(メタ)アクリレート単量体(以下、「単量体(a1)」とも記す。)及び前記式(1)におけるRの炭素数が19~30である長鎖アルキル(メタ)アクリレート単量体(以下、「単量体(a2)」とも記す。)を併用することが特に好ましい。
 単量体(a1)は、前記式(1)におけるRの炭素数が12~18である長鎖アルキル(メタ)アクリレート単量体のうちいずれか2種以上の混合物であってもよい。単量体(a2)は、前記式(1)におけるRの炭素数が19~30である長鎖アルキル(メタ)アクリレート単量体のうちいずれか2種以上の混合物であってもよい。
 単量体(a1)のアルキル基の炭素数は、12~18であり、16~18が好ましく、18がより好ましい。炭素数が前記下限値以上であると、撥水性に優れる。炭素数が前記上限値以下であると、入手性及び取扱い性に優れる。
 単量体(a2)のアルキル基の炭素数は、19~30であり、20~28が好ましく、20~24がより好ましい。炭素数が前記下限値以上であると、撥水性に優れる。炭素数が前記上限値以下であると、入手性及び取扱い性に優れる。
 単量体(a1)及び単量体(a2)を併用する場合、単量体(a)に基づく構成単位の総量に対する、単量体(a1)に基づく構成単位の割合は、1~45質量%が好ましく、5~40質量%がより好ましく、10~38質量%がさらに好ましい。前記割合が前記下限値以上であると、初期の撥水性がより良好となる。前記割合が前記上限値以下であると、洗濯後の撥水性がより良好となる。
 単量体(a1)及び単量体(a2)を併用する場合、単量体(a)に基づく構成単位の総量に対する、単量体(a2)に基づく構成単位の割合は、55~99質量%が好ましく、60~95質量%がより好ましく、62~90質量%がさらに好ましい。前記割合が前記下限値以上であると、初期の撥水性がより良好となる。前記割合が前記上限値以下であると、洗濯後の撥水性がより良好となる。
 単量体(a1)及び単量体(a2)を併用する場合、単量体(a)に基づく構成単位の総量に対する、単量体(a1)に基づく構成単位及び単量体(a2)に基づく構成単位の割合は、70質量%以上が好ましく、72質量%以上がより好ましく、75質量%以上がさらに好ましく、85質量%以上が特に好ましく、100質量%であっても良い。前記割合が前記下限値以上であると、初期撥水性が良好となる。前記割合が前記上限値以下であると、洗濯後の撥水性がより良好となる。
(単量体(b))
 単量体(b)は、ハロゲン化ビニルである。単量体(b)としては、ハロゲン原子を1個又は2個有するハロゲン化ビニルが好ましく、ハロゲン原子を2個有するハロゲン化ビニリデンがより好ましい。
 前記ハロゲン化ビニルが有するハロゲン原子は、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましく、塩素原子、臭素原子がより好ましく、塩素原子がさらに好ましい。また、前記ハロゲン化ビニルが2個以上のハロゲン原子を有するとき、複数のハロゲン原子は同一でも異なってもよい。
 単量体(b)としては、塩化ビニル又は塩化ビニリデンが好ましい。
 単量体(b)は、2種以上を併用してもよい。
(単量体(c))
 単量体(c)は、(メタ)アクリロイル基を2個以上有する単量体である。単量体(c)としては、下式(2)で表される(メタ)アクリロイル基を2個以上有する単量体が好ましい。
 Q-(RC(=O)CR=CH (2)
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000005
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000006
 前記式(2)中、nは2~10の整数を表し、RはH、CH又は塩素原子を表し、Rは単結合又は2価の有機基を表し、Qは炭素数1~16の直鎖若しくは分岐鎖のアルキレン基、多価アルコールの水酸基から水素を除いた残基、前記式(3)で表される3価の基、又は前記式(4)で表される3価の基を表し、複数の(RC(=O)CR=CH)は同一でも異なってもよく、前記式(3)及び前記式(4)中、*は結合手を表す。但し、Qは炭素数1~16の直鎖若しくは分岐鎖のアルキレン基又は多価アルコールの水酸基から水素を除いた残基の場合、Qと結合するR中の原子は酸素原子以外の原子である。
 nは、2~10の整数であり、2~8の整数であることが好ましく、2~6の整数であることがより好ましい。
 RはH、CH又は塩素原子を表す。RはH又はCHであることが好ましい。
 Rは単結合又は2価の有機基を表す。Rが2価の有機基である場合、Rの炭素数は、2~12が好ましく、2~8がより好ましく、1~6がさらに好ましい。
 Qが炭素数1~16の直鎖若しくは分岐鎖のアルキレン基又は多価アルコールの水酸基から水素を除いた残基の場合、Rは酸素原子を有さないことが好ましい。
 Rが単結合又はアルキレン基であり、Qが炭素数1~16の直鎖若しくは分岐鎖のアルキレン基であり、QとRの合計炭素数が16以下の場合、Qが炭素数1~16の直鎖若しくは分岐鎖のアルキレン基であり、Rは単結合とする。
 Qが多価アルコールの水酸基から水素を除いた残基又は前記式(4)で表される3価の基の場合、Rは単結合が好ましい。Qが炭素数1~16の直鎖若しくは分岐鎖のアルキレン基又は前記式(3)で表される3価の基の場合、Rは2価の有機基が好ましい。
 Rが2価の有機基である場合、Rは、2価の炭化水素基並びに2価の炭化水素基中の1個以上の炭素原子がヘテロ原子で置換された2価の有機基、又は炭素原子を含まない有機基が好ましい。
 2価の炭化水素基としては、2価の飽和炭化水素基及び2価の不飽和炭化水素基が例示される。2価の不飽和炭化水素基としては、2価の飽和炭化水素基中の1つ以上の炭素-炭素1重結合が炭素-炭素2重結合又は3重結合に置換された基が例示される。
 ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子が例示され、窒素原子、酸素原子が好ましい。Rがヘテロ原子を含む場合、ヘテロ原子の数は1~4個が好ましく、1~3個がより好ましい。
 Rは直鎖又は分岐鎖であり、直鎖が好ましい。
 Rが2価の有機基である場合、Rは、下式(5)又は(6)で表される2価の基であることが好ましい。
 -R-NH-R- 式(5)
 -R-O-R 式(6)
 前記式(5)及び(6)中、R~Rはそれぞれ独立に、単結合又は炭素数1~6のアルキレン基である。RはQに結合し、RはC(=O)に結合する。RはQに結合し、RはC(=O)に結合する。アルキレン基は直鎖でも分岐鎖でもよく、直鎖が好ましい。
 アルキレン基の炭素数は1~4が好ましく、1~3がより好ましく、1又は2がさらに好ましい。
 前記式(5)において、R、Rが単結合である2価の基が好ましい。
 前記式(6)において、Rが炭素数1~6のアルキレン基であり、Rが単結合である2価の基が好ましい。
 Qが炭素数1~16の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基の場合、Qの炭素数は、1~8が好ましく、1~6がより好ましく、1~3がさらに好ましい。アルキレン基は直鎖が好ましい。
 アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基等が例示される。
 Qが多価アルコールの水酸基から水素を除いた残基であるとき、前記多価アルコールの水酸基数は、2~10が好ましく、2~8がより好ましく、2~6がさらに好ましい。前記多価アルコールは、直鎖であっても分岐鎖であってもよい。
 前記多価アルコールの炭素数は、2~20が好ましく、2~18がより好ましく、3~15がさらに好ましい。
 多価アルコールとしては、エーテル性酸素原子を有していてもよい炭化水素化合物中の2~10個の水素原子が水酸基に置換された化合物が例示される。前記炭化水素化合物は、飽和炭化水素化合物でもよく、不飽和炭化水素化合物でもよい。不飽和炭化水素化合物としては、前記飽和炭化水素化合物中の1つ以上の炭素-炭素1重結合が炭素-炭素2重結合又は3重結合に置換された化合物、芳香環を有する化合物が例示される。芳香環はアリール基として含まれていてもよく、アリーレン基として含まれていてもよい。多価アルコールが芳香環を有する化合物である場合、芳香環の数は1又は2が好ましい。
 多価アルコールがエーテル性酸素原子を有する場合、エーテル性酸素原子の数は、1~5が好ましく、1~4がより好ましく、1~3がさらに好ましい。
 単量体(c)としては、例えば、1,4-ブタンジオールジアクリラート、1,4-ブタンジオールジメタクリラート、1,6-ヘキサンジオールジアクリラート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリラート、1,10-デカンジオールジアクリラート、1,10-デカンジオールジメタクリラート、トリメチロールプロパントリアクリラート、トリメチロールプロパントリメタクリラート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリラート、ジトリメチロールプロパンテトラメタクリラート、ジペンタエリトリトールヘキサアクリラート、ジペンタエリトリトールヘキサメタクリラート、ビスフェノールAジアクリラート、ビスフェノールAジメタクリラート、イソシアヌル酸トリス(2-アクリロイルオキシエチル)、イソシアヌル酸トリス(2-メタクリロイルオキシエチル)、1,3,5-トリアクリロイルヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン、1,3,5-トリメタクリロイルヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン、N,N’-メチレンビスアクリルアミド、N,N’-メチレンビスメタクリルアミドが挙げられる。
 単量体(c)は、2種以上を併用してもよい。
(単量体(d))
 単量体(d)は、架橋しうる官能基及び(メタ)アクリロイル基と重合可能な基を1個有する単量体又は(メタ)アクリロイル基と重合可能な基を2個以上有する単量体(但し、(メタ)アクリロイル基を2個以上有する単量体を除く)である。
 重合体(A)が単量体(d)に基づく構成単位を有することにより、洗濯及び摩擦耐久性がさらに向上する。
 (メタ)アクリロイル基と重合可能な基としては、分子末端に炭素-炭素2重結合を有する基が例示され、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基が好ましい。
 架橋しうる官能基としては、共有結合、イオン結合又は水素結合のうち少なくとも1つ以上の結合を有する官能基、又は前記結合の相互作用により架橋構造を形成できる官能基が好ましい。
 前記官能基としては、イソシアネート基、ブロックドイソシアネート基、アルコキシシリル基、1級アミノ基、アルコキシメチルアミド基、シラノール基、1級アミド基、エポキシ基、水酸基、オキサゾリン基、カルボキシル基、スルホン酸基等が好ましく、水酸基、ブロックドイソシアネート基、1級アミノ基、又はエポキシ基が特に好ましい。
 単量体(d)としては、架橋し得る官能基を有する(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミド類、架橋し得る官能基を有するビニルエーテル類、又は架橋し得る官能基を有するビニルエステル類が好ましい。
 単量体(d)としては、下記の化合物が挙げられる。
 2-イソシアナトエチル(メタ)アクリレート、3-イソシアナトプロピル(メタ)アクリレート、4-イソシアナトブチル(メタ)アクリレート、2-イソシアナトエチル(メタ)アクリレートの2-ブタノンオキシム付加体、2-イソシアナトエチル(メタ)アクリレートのピラゾール付加体、2-イソシアナトエチル(メタ)アクリレートの3,5-ジメチルピラゾール付加体、2-イソシアナトエチル(メタ)アクリレートの3-メチルピラゾール付加体、2-イソシアナトエチル(メタ)アクリレートのε-カプロラクタム付加体、3-イソシアナトプロピル(メタ)アクリレートの2-ブタノンオキシム付加体、3-イソシアナトプロピル(メタ)アクリレートのピラゾール付加体。
 3-イソシアナトプロピル(メタ)アクリレートの3,5-ジメチルピラゾール付加体、3-イソシアナトプロピル(メタ)アクリレートの3-メチルピラゾール付加体、3-イソシアナトプロピル(メタ)アクリレートのε-カプロラクタム付加体、4-イソシアナトブチル(メタ)アクリレートの2-ブタノンオキシム付加体、4-イソシアナトブチル(メタ)アクリレートのピラゾール付加体、4-イソシアナトブチル(メタ)アクリレートの3,5-ジメチルピラゾール付加体、4-イソシアナトブチル(メタ)アクリレートの3-メチルピラゾール付加体、4-イソシアナトブチル(メタ)アクリレートのε-カプロラクタム付加体。
 メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、γ-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、トリメトキシビニルシラン、ビニルトリメトキシシラン。
 t-ブチル(メタ)アクリルアミドスルホン酸、(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、グリシジル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、ポリオキシアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2-(メタ)アクリロイルオキシヘキサヒドロフタル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドフォスフェート、アリル(メタ)アクリレート、2-ビニル-2-オキサゾリン、2-ビニル-4-メチル-(2-ビニルオキサゾリン)ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのポリカプロラクトンエステル。
 トリ(メタ)アリルイソシアヌレート(T(M)AIC、日本化成社製)、トリアリルシアヌレート(TAC、日本化成社製)、3-(メチルエチルケトオキシム)イソシアナトメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシル(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)シアナート(テックコートHE-6P、京絹化成社製)。ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのポリカプロラクトンエステル(プラクセルFA、FMシリーズ ダイセル化学工業社製)。
 単量体(d)としては、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルメタクリレート又はヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのポリカプロラクトンエステル(プラクセルFA、FMシリーズ ダイセル化学工業社製)、2-イソシアナトエチル(メタ)アクリレートの3,5-ジメチルピラゾール付加体が好ましい。
 単量体(d)は、2種以上を併用してもよい。
(単量体(e))
 単量体(e)は、単量体(a)、単量体(b)、単量体(c)、及び単量体(d)を除く単量体である。
 単量体(e)としては、下記の化合物が挙げられる。
 メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)メタクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシルメタクリレート、シクロドデシルアクリレート、3-エトキシプロピルアクリレート、メトキシ-ブチルアクリレート、2-エチルブチルアクリレート、1、3-ジメチルブチルアクリレート、2-メチルペンチルアクリレート。
 酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ブテン、イソプレン、ブタジエン、エチレン、プロピレン、ビニルエチレン、ペンテン、エチル-2-プロピレン、ブチルエチレン、シクロヘキシルプロピルエチレン、デシルエチレン、ドデシルエチレン、ヘキセン、イソヘキシルエチレン、ネオペンチルエチレン、(1,2-ジエトキシカルボニル)エチレン、(1,2-ジプロポキシカルボニル)エチレン、メトキシエチレン、エトキシエチレン、ブトキシエチレン、2-メトキシプロピレン、ペンチルオキシエチレン、シクロペンタノイルオキシエチレン、シクロペンチルアセトキシエチレン、スチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、ヘキシルスチレン、オクチルスチレン、ノニルスチレン。
 N-メチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリルアミドエチルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルモルホリン。
 ビニルアルキルエーテル、ハロゲン化アルキルビニルエーテル、ビニルアルキルケトン、アジリジニルエチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシルポリオキシアルキレン(メタ)アクリレート、ポリオキシアルキレンジ(メタ)アクリレート。
 クロトン酸アルキルエステル、マレイン酸アルキルエステル、フマル酸アルキルエステル、シトラコン酸アルキルエステル、メサコン酸アルキルエステル、トリアリルシアヌレート、酢酸アリル、N-ビニルカルバゾール、マレイミド、N-メチルマレイミド、側鎖にシリコーンを有する(メタ)アクリレート、ウレタン結合を有する(メタ)アクリレート、末端が炭素数1~4のアルキル基であるポリオキシアルキレン鎖を有する(メタ)アクリレート、アルキレンジ(メタ)アクリレート。
 単量体(e)は、2種以上を併用してもよい。
 重合体(A)を構成する全単位に対する単位(a)、単位(b)及び単位(c)の合計の割合は、70質量%以上が好ましく、75~98質量%がより好ましく、80~97質量%がさらに好ましい。単位(a)、単位(b)及び単位(c)の合計の割合が上記下限値以上であれば、本組成物で処理された物品の撥水性がより優れる。
 重合体(A)が単位(d)及び単位(e)のいずれか一方又は両方を含む場合、重合体(A)を構成する全単位に対する単位(a)、単位(b)及び単位(c)の合計の割合は、75~98質量%が好ましく、80~97質量%がより好ましい。
 重合体(A)を構成する全単位に対する単位(a)の割合は、50~90質量%が好ましく、55~90質量%がより好ましく、60~85質量%がさらに好ましい。単位(a)の割合が上記下限値以上であれば、本組成物で処理された物品の撥水性がより優れる。単位(a)の割合が上記上限値以下であれば、単位(b)、単位(c)及びその他の単位を充分に含有でき、本組成物で処理された物品の撥水性がより優れる。
 重合体(A)を構成する全単位に対する単位(b)の割合は、5~30質量%が好ましく、5~25質量%がより好ましく、8~20質量%がさらに好ましい。単位(b)の割合が上記下限値以上であれば、本組成物で処理された物品の撥水性がより優れる。単位(b)の割合が上記上限値以下であれば、単位(a)、単位(c)及びその他の単位を充分に含有でき、本組成物で処理された物品の撥水性がより優れる。
 重合体(A)を構成する全単位に対する単位(c)の割合は、0.1~20質量%が好ましく、0.5~15質量%がより好ましく、1~10質量%がさらに好ましい。単位(c)の割合が上記下限値以上であれば、本組成物で処理された物品の撥水性がより優れる。単位(c)の割合が上記上限値以下であれば、単位(a)、単位(b)及びその他の単位を充分に含有でき、本組成物で処理された物品の撥水性がより優れる。
 重合体(A)を構成する全単位に対する単位(a)及び単位(b)の合計の割合は、55質量%以上が好ましく、60~98質量%がより好ましく、68~96質量%がさらに好ましい。単位(a)及び単位(b)の合計の割合が上記下限値以上であれば、本組成物で処理された物品の撥水性がより優れる。単位(a)及び単位(b)の割合が上記上限値以下であれば、単位(c)及びその他の単位を充分に含有でき、本組成物で処理された物品の撥水性がより優れる。
 重合体(A)を構成する全単位に対する単位(b)及び単位(c)の合計の割合は、5.1~50質量%が好ましく、5.5~40質量%がより好ましく、6~30質量%がさらに好ましい。単位(b)及び単位(c)の合計の割合が上記下限値以上であれば、本組成物で処理された物品の撥水性がより優れる。単位(b)及び単位(c)の割合が上記上限値以下であれば、単位(a)及びその他の単位を充分に含有でき、本組成物で処理された物品の撥水性がより優れる。
 重合体(A)を構成する全単位に対する単位(c)及び単位(a)の合計の割合は、50.1~95質量%が好ましく、55~90質量%がより好ましく、60~90質量%がさらに好ましい。単位(c)及び単位(a)の合計の割合が上記下限値以上であれば、本組成物で処理された物品の撥水性がより優れる。単位(c)及び単位(a)の割合が上記上限値以下であれば、単位(b)及びその他の単位を充分に含有でき、本組成物で処理された物品の撥水性がより優れる。
 単位(a)/単位(b)の質量比は、1.6~19が好ましく、2.2~18がより好ましく、3~10がさらに好ましい。単位(a)/単位(b)の質量比が上記下限値以上であれば、本組成物で処理された物品の撥水性がより優れる。単位(a)/単位(b)の質量比が上記上限値以下であれば、重合体(A)の製造時に、単量体成分の重合が進みやすい。
 単位(b)/単位(c)の質量比は、0.25~300が好ましく、0.3~50がより好ましく、0.8~20がさらに好ましい。単位(b)/単位(c)の質量比が上記下限値以上であれば、本組成物で処理された物品の撥水性がより優れる。単位(b)/単位(c)の質量比が上記上限値以下であれば、重合体(A)の製造時に、単量体成分の重合が進みやすい。
 単位(c)/単位(a)の質量比は、0.001~0.4が好ましく、0.005~0.27がより好ましく、0.010~0.17がさらに好ましい。単位(c)/単位(a)の質量比が上記下限値以上であれば、本組成物で処理された物品の撥水性がより優れる。単位(c)/単位(a)の質量比が上記上限値以下であれば、重合体(A)の製造時に、単量体成分の重合が進みやすい。
 {単位(a)+単位(b)}/単位(c)の質量比は、2.75~950が好ましく、4~800がより好ましく、6~200がさらに好ましい。{単位(a)+単位(b)}/単位(c)の質量比が上記下限値以上であれば、本組成物で処理された物品の撥水性がより優れる。{単位(a)+単位(b)}/単位(c)の質量比が上記上限値以下であれば、重合体(A)の製造時に、単量体成分の重合が進みやすい。
 重合体(A)が単位(d)を含む場合、重合体(A)を構成する全単位に対する単位(d)の割合は、0.1~15質量%が好ましく、0.2~10質量%がより好ましく、0.5~6質量%がさらに好ましい。単位(d)の割合が上記下限値以上であれば、本組成物で処理された物品の撥水性がより優れる。単位(d)の割合が上記上限値以下であれば、単位(a)、単位(b)、単位(c)及びその他の単位を充分に含有でき、本組成物で処理された物品の撥水性がより優れる。
 重合体(A)が単位(e)を含む場合、重合体(A)を構成する全単位に対する単位(e)の割合は、0.1~15質量%が好ましく、0.2~10質量%がより好ましく、0.5~6質量%がさらに好ましい。単位(e)の割合が上記下限値以上であれば、本組成物で処理された物品の撥水性がより優れる。単位(e)の割合が上記上限値以下であれば、単位(a)、単位(b)、単位(c)及びその他の単位を充分に含有でき、本組成物で処理された物品の撥水性がより優れる。
 重合体(A)が単位(d)又は単位(e)を含む場合、重合体(A)を構成する全単位に対する単位(d)及び単位(e)の合計の割合は、0.2~30質量%が好ましく、0.4~20質量%がより好ましく、1~12質量%がさらに好ましい。単位(d)及び単位(e)の割合が上記下限値以上であれば、本組成物で処理された物品の撥水性がより優れる。単位(d)及び単位(e)の割合が上記上限値以下であれば、単位(a)、単位(b)、単位(c)を充分に含有でき、本組成物で処理された物品の撥水性がより優れる。
 各単位の割合は、H-NMR、ガスクロマトグラフィー、及び高速液体クロマトグラフィーによる各単量体成分の反応率によって算出できる。重合体(A)の製造時において、単量体成分の重合体(A)への転化率が高い(例えば90%以上)場合には、単量体成分の仕込み量に基づいて各単位の割合を算出してもよい。
 重合体(A)のMnは、5,000~100,000が好ましく、8,000~90,000がより好ましく、10,000~60,000がさらに好ましい。重合体(A)のMnが上記下限値以上であれば、本組成物で処理された物品の撥水性がより優れる。重合体(A)のMnが上記上限値以下であれば、重合体(A)の水分散性がより優れる。
 重合体(A)のMwは、8,000~1,000,000が好ましく、12,000~900,000がより好ましく、15,000~800,000がさらに好ましい。重合体(A)のMwが上記下限値以上であれば、本組成物で処理された物品の撥水性がより優れる。重合体(A)のMwが上記上限値以下であれば、重合体(A)の水分散性がより優れる。
(媒体)
 媒体としては、水、アルコール、グリコール、グリコールエーテル、ハロゲン化合物、炭化水素、ケトン、エステル、エーテル、窒素化合物、硫黄化合物、無機溶剤、有機酸等が挙げられる。なかでも、溶解性、取扱いの容易さの点から、水、アルコール、グリコール、グリコールエーテル及びグリコールエステルからなる群から選ばれる1種以上の媒体が好ましい。
 アルコールとしては、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、2-メチルプロパノール、1,1-ジメチルエタノール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、3-ペンタノール、2-メチル-1-ブタノール、3-メチル-1-ブタノール、1,1-ジメチルプロパノール、3-メチル-2-ブタノール、1,2-ジメチルプロパノール、1-ヘキサノール、2-メチル-1-ペンタノール、4-メチル-2-ペンタノール、2-エチル-1-ブタノール、1-へプタノール、2-へプタノール、3-へプタノール等が挙げられる。
 グリコール、又はグリコールエーテルとしては、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセタート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセタート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセタート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコール、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ポリプロピレングリコール、ヘキシレングリコール等が挙げられる。
 ハロゲン化合物としては、ハロゲン化炭化水素、ハロゲン化エーテル等が挙げられる。ハロゲン化合物は、フッ素を含まないことが好ましい。ハロゲン化炭化水素としては、ハイドロクロロカーボン、ハイドロブロモカーボン等が挙げられる。
 炭化水素としては、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素等が挙げられる。
 脂肪族炭化水素としては、ペンタン、2-メチルブタン、3-メチルペンタン、ヘキサン、2,2-ジメチルブタン、2,3-ジメチルブタン、ヘプタン、オクタン、2,2,4-トリメチルペンタン、2,2,3-トリメチルヘキサン、デカン、ウンデカン、ドデカン、2,2,4,6,6-ペンタメチルヘプタン、トリデカン、テトラデカン、ヘキサデカン等が挙げられる。
 脂環式炭化水素としては、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等が挙げられる。
 芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられる。
 ケトンとしては、アセトン、メチルエチルケトン、2-ペンタノン、3-ペンタノン、2-ヘキサノン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。
 エステルとしては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ペンチル等が挙げられる。
 エーテルとしては、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
 窒素化合物としては、ピリジン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等が挙げられる。
 硫黄化合物としては、ジメチルスルホキシド、スルホラン等が挙げられる。
 無機溶剤としては、液体二酸化炭素が挙げられる。
 有機酸としては、酢酸、プロピオン酸、りんご酸、乳酸等が挙げられる。
媒体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。媒体を2種以上混合して用いる場合、水と混合して用いることが好ましい。混合した媒体を用いることにより、重合体の溶解性、分散性の制御がしやすく、加工時における物品に対する浸透性、濡れ性、溶媒乾燥速度等の制御がしやすい。
 媒体が有機溶媒と水の混合物である場合、有機溶媒の含有量は、水の100質量部に対して、1~40質量部が好ましく、2~30質量部がより好ましく、3~25質量部がさらに好ましい。
(界面活性剤)
 界面活性剤としては、炭化水素系界面活性剤が挙げられる。炭化水素系界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、又は両性界面活性剤が挙げられる。
 界面活性剤としては、分散安定性の点から、ノニオン性界面活性剤とカチオン性界面活性剤若しくは両性界面活性剤との併用、又は、アニオン性界面活性剤の単独が好ましく、ノニオン性界面活性剤とカチオン性界面活性剤との併用が好ましい。
 カチオン性界面活性剤に対するノニオン界面活性剤の質量比は、97/3~40/60が好ましい。
 ノニオン性界面活性剤とカチオン性界面活性剤との特定の組み合わせにおいては、重合体(A)(100質量%)に対する合計量を、少なくすることができるため、物品の撥水性への悪影響を低減できる。
 ノニオン性界面活性剤としては、界面活性剤s~sからなる群から選ばれる1種以上が好ましい。
界面活性剤s
 界面活性剤sは、ポリオキシアルキレンモノアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンモノアルケニルエーテル、又はポリオキシアルキレンモノアルカポリエニルエーテルである。
 界面活性剤sとしては、ポリオキシアルキレンモノアルキルエーテル、又はポリオキシアルキレンモノアルケニルエーテルが好ましい。界面活性剤sは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
 アルキル基、アルケニル基、又はアルカポリエニル基(以下、アルキル基、アルケニル基、及びアルカポリエニル基をまとめてR基と記す。)としては、炭素数が4~26の基が好ましい。R基は、直鎖であってもよく、分岐鎖であってもよい。分岐鎖のR基としては、2級アルキル基、2級アルケニル基又は2級アルカポリエニル基が好ましい。
 R基の具体例としては、オクチル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、ステアリル基(オクタデシル基)、ベヘニル基(ドコシル基)、オレイル基(9-オクタデセニル基)等が挙げられる。
 ポリオキシアルキレン(以下、POAと記す。)鎖としては、ポリオキシエチレン(以下、POEと記す。)鎖及びポリオキシプロピレン(以下、POPと記す。)鎖のいずれか一方又は両方が2個以上連なった鎖が好ましい。POA鎖は、1種のPOA鎖からなる鎖であってもよく、2種以上のPOA鎖からなる鎖であってもよい。2種以上のPOA鎖からなる場合、各POA鎖はブロック状に連結されることが好ましい。
 界面活性剤sとしては、化合物(s11)がより好ましい。
10O[CHCH(CH)O]-(CHCHO)H ・・・(s11)。 但し、R10は、炭素数が8以上のアルキル基又は炭素数が8以上のアルケニル基であり、rは、5~50の整数であり、sは、0~20の整数である。
 rが5以上であれば、水に可溶となり、水系媒体中に均一に溶解するため、撥水剤組成物の物品への浸透性が良好となる。rが50以下であれば、親水性が抑えられ、撥水性が良好となる。
 sが20以下であれば、水に可溶となり、水系媒体中に均一に溶解するため、撥水剤組成物の物品への浸透性が良好となる。
 r及びsが2以上である場合、POE鎖とPOP鎖とはブロック状に連結される。
 R10としては、直鎖又は分岐鎖が好ましい。
 rは、10~30の整数が好ましい。
 sは、0~10の整数が好ましい。
 化合物(s11)としては、下記の化合物が挙げられる。但し、POE鎖とPOP鎖とはブロック状に連結される。
1837O[CHCH(CH)O]-(CHCHO)30H、
1835O-(CHCHO)30H、
1633O[CHCH(CH)O]-(CHCHO)20H、
1225O[CHCH(CH)O]-(CHCHO)15H、
(C17)(C13)CHO-(CHCHO)15H、
1021O[CHCH(CH)O]-(CHCHO)15H、
界面活性剤s
 界面活性剤sは、分子中に1個以上の炭素-炭素3重結合及び1個以上の水酸基を有する化合物である。
 界面活性剤sとしては、分子中に1個の炭素-炭素3重結合、及び1個又は2個の水酸基を有する化合物が好ましい。
 界面活性剤sは、分子中にPOA鎖を有してもよい。POA鎖としては、POE鎖、POP鎖、POE鎖とPOP鎖とがランダム状に連結された鎖、又はPOE鎖とPOP鎖とがブロック状に連結された鎖が挙げられる。
 界面活性剤sとしては、化合物(s21)~(s24)が好ましい。
HO-C(R11)(R12)-C≡C-C(R13)(R14)-OH ・・・(s21)、
HO-(AO)-C(R11)(R12)-C≡C-C(R13)(R14)-(OA-OH ・・・(s22)、
HO-C(R15)(R16)-C≡C-H ・・・(s23)、
HO-(AO)-C(R15)(R16)-C≡C-H ・・・(s24)。
 A~Aは、それぞれアルキレン基である。
 u及びvは、それぞれ0以上の整数であり、(u+v)は、1以上の整数である。
 wは、1以上の整数である。
 u、v、wが、それぞれ2以上である場合、A~Aは、それぞれ同一であってもよく、異なっていてもよい。
 POA鎖としては、POE鎖、POP鎖、又はPOE鎖とPOP鎖とを含む鎖が好ましい。POA鎖の繰り返し単位の数は、1~50が好ましい。
 R11~R16は、それぞれ水素原子又はアルキル基である。
 アルキル基としては、炭素数が1~12のアルキル基が好ましく、炭素数が1~4のアルキル基がより好ましい。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソブチル基等が挙げられる。
 化合物(s22)としては、化合物(s25)が好ましい。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000007
 但し、x及びyは、それぞれ0~100の整数である。
 化合物(s25)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
 化合物(s25)としては、x及びyが0である化合物、xとyとの和が平均1~4である化合物、又はxとyとの和が平均10~30である化合物が好ましい。
界面活性剤s
 界面活性剤sは、POE鎖と、炭素数が3以上のオキシアルキレンが2個以上連続して連なったPOA鎖とが連結し、かつ両末端が水酸基である化合物である。
 前記POA鎖としては、ポリオキシテトラメチレン(以下、POTと記す。)及びPOP鎖のいずれか一方又は両方が好ましい。
 界面活性剤sとしては、化合物(s31)又は化合物(s32)が好ましい。
HO(CHCHO)g1(CO)(CHCHO)g2H ・・・(s31)、
HO(CHCHO)g1(CHCHCHCHO)(CHCHO)g2H ・・・(s32)。
 g1は、0~200の整数である。
 tは、2~100の整数である。
 g2は、0~200の整数である。
 g1が0の場合、g2は、2以上の整数である。g2が0の場合、g1は、2以上の整数である。
 -C-は、-CH(CH)CH-であってもよく、-CHCH(CH)-であってもよく、-CH(CH)CH-と-CHCH(CH)-とが混在したものであってもよい。
 POA鎖は、ブロック状である。
 界面活性剤sとしては、下記の化合物が挙げられる。
HO-(CHCHO)15-(CO)35-(CHCHO)15H、
HO-(CHCHO)-(CO)35-(CHCHO)H、
HO-(CHCHO)45-(CO)17-(CHCHO)45H、
HO-(CHCHO)34-(CHCHCHCHO)28-(CHCHO)34H。
界面活性剤s
 界面活性剤sは、分子中にアミンオキシド部分を有する化合物である。
 界面活性剤sとしては、化合物(s41)が好ましい。
(R17)(R18)(R19)N(→O) ・・・(s41)。
 R17~R19は、それぞれ1価炭化水素基である。
 本明細書においては、アミンオキシド(N→O)を有する界面活性剤をノニオン性界面活性剤として扱う。
 化合物(s41)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
 化合物(s41)としては、重合体の分散安定性の点から、化合物(s42)が好ましい。
(R20)(CHN(→O) ・・・(s42)。
 R20は、炭素数が6~22のアルキル基、炭素数が6~22のアルケニル基、炭素数が6~22のアルキル基が結合したフェニル基、又は炭素数が6~22のアルケニル基が結合したフェニル基である。R20としては、炭素数が8~22のアルキル基、又は炭素数が8~22のアルケニル基が好ましい。
 化合物(s42)としては、下記の化合物が挙げられる。
[H(CH12](CHN(→O)、
[H(CH14](CHN(→O)、
[H(CH16](CHN(→O)、
[H(CH18](CHN(→O)。
界面活性剤s
 界面活性剤sは、ポリオキシエチレンモノ(置換フェニル)エーテルの縮合物又はポリオキシエチレンモノ(置換フェニル)エーテルである。
 置換フェニル基としては、1価炭化水素基で置換されたフェニル基が好ましく、アルキル基、アルケニル基又はスチリル基で置換されたフェニル基がより好ましい。
 界面活性剤sとしては、ポリオキシエチレンモノ(アルキルフェニル)エーテルの縮合物、ポリオキシエチレンモノ(アルケニルフェニル)エーテルの縮合物、ポリオキシエチレンモノ(アルキルフェニル)エーテル、ポリオキシエチレンモノ(アルケニルフェニル)エーテル、又はポリオキシエチレンモノ[(アルキル)(スチリル)フェニル]エーテルが好ましい。
 ポリオキシエチレンモノ(置換フェニル)エーテルの縮合物又はポリオキシエチレンモノ(置換フェニル)エーテルとしては、ポリオキシエチレンモノ(ノニルフェニル)エーテルのホルムアルデヒド縮合物、ポリオキシエチレンモノ(ノニルフェニル)エーテル、ポリオキシエチレンモノ(オクチルフェニル)エーテル、ポリオキシエチレンモノ(オレイルフェニル)エーテル、ポリオキシエチレンモノ[(ノニル)(スチリル)フェニル]エーテル、ポリオキシエチレンモノ[(オレイル)(スチリル)フェニル]エーテル等が挙げられる。
界面活性剤s
 界面活性剤sは、ポリオールの脂肪酸エステルである。
ポリオールとは、グリセリン、ソルビタン、ソルビット、ポリグリセリン、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレングリセリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンエーテル又はポリオキシエチレンソルビットエーテルを表わす。
 界面活性剤sとしては、ステアリン酸とポリエチレングリコールとの1:1(モル比)エステル、ソルビットとポリエチレングリコールとのエーテルとオレイン酸とのl:4(モル比)エステル、ポリオキシエチレングリコールとソルビタンとのエーテルとステアリン酸との1:1(モル比)エステル、ポリエチレングリコールとソルビタンとのエーテルとオレイン酸との1:1(モル比)エステル、ドデカン酸とソルビタンとの1:1(モル比)エステル、オレイン酸とデカグリセリンとの1:1又は2:1(モル比)エステル、ステアリン酸とデカグリセリンとの1:1又は2:1(モル比)エステルが挙げられる。
界面活性剤s
 界面活性剤がカチオン性界面活性剤を含む場合、前記カチオン性界面活性剤としては、界面活性剤sが好ましい。
 界面活性剤sは、置換アンモニウム塩である。
 界面活性剤sとしては、窒素原子に結合する水素原子の1個以上が、アルキル基、アルケニル基又は末端が水酸基であるPOA鎖で置換されたアンモニウム塩が好ましく、化合物(s71)がより好ましい。
[(R21]・X ・・・(s71)。
 R21は、水素原子、炭素数が1~22のアルキル基、炭素数が2~22のアルケニル基、又は末端が水酸基であるPOA鎖である。4つのR21は、同一でもよく、異なってもよいが、4つのR21は同時に水素原子ではない。
 R21としては、炭素数が6~22の長鎖アルキル基、又は炭素数が6~22の長鎖アルケニル基が好ましい。
 R21が長鎖アルキル基以外のアルキル基の場合、R21としては、メチル基又はエチル基が好ましい。
 R21が、末端が水酸基であるPOA鎖の場合、POA鎖としては、POE鎖が好ましい。
 Xは、対イオンである。
 Xとしては、塩素イオン、エチル硫酸イオン、又は酢酸イオンが好ましい。
 化合物(s71)としては、モノステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、モノステアリルジメチルモノエチルアンモニウムエチル硫酸塩、モノ(ステアリル)モノメチルジ(ポリエチレングリコール)アンモニウムクロリド、モノフルオロヘキシルトリメチルアンモニウムクロリド、ジ(牛脂アルキル)ジメチルアンモニウムクロリド、ジメチルモノココナッツアミン酢酸塩等が挙げられる。
界面活性剤s
 界面活性剤が両性界面活性剤を含む場合、前記両性界面活性剤としては、界面活性剤sが好ましい。
 界面活性剤sは、アラニン類、イミダゾリニウムベタイン類、アミドベタイン類又は酢酸ベタインである。
 界面活性剤sが有する疎水基としては、炭素数が6~22の長鎖アルキル基、又は炭素数が6~22の長鎖アルケニル基が好ましい。
 界面活性剤sとしては、ドデシルベタイン、ステアリルベタイン、ドデシルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ドデシルジメチルアミノ酢酸ベタイン、脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン等が挙げられる。
界面活性剤s
 界面活性剤として、界面活性剤sを用いてもよい。
 界面活性剤sは、親水性単量体と炭化水素系疎水性単量体との、ブロック共重合体、ランダム共重合体、又は親水性共重合体の疎水性変性物からなる高分子界面活性剤である。
 界面活性剤sとしては、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレートと長鎖アルキルアクリレートとのブロック又はランダム共重合体、酢酸ビニルと長鎖アルキルビニルエーテルとのブロック又はランダム共重合体、酢酸ビニルと長鎖アルキルビニルエステルとのブロック又はランダム共重合体、スチレンと無水マレイン酸との重合物、ポリビニルアルコールとステアリン酸との縮合物、ポリビニルアルコールとステアリルメルカプタンとの縮合物、ポリアリルアミンとステアリン酸との縮合物、ポリエチレンイミンとステアリルアルコールとの縮合物、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース等が挙げられる。
 界面活性剤sの市販品としては、クラレ社のMPポリマー(商品番号:MP-103、MP-203)、エルフアトケム社のSMAレジン、信越化学社のメトローズ、日本触媒社のエポミンRP等が挙げられる。
 界面活性剤の組み合わせとしては、撥水剤組成物の撥水性、耐久性に優れる点、得られた乳化液の安定性の点から、界面活性剤sと界面活性剤sと界面活性剤sとの組み合わせ、又は界面活性剤sと界面活性剤sと界面活性剤sとの組み合わせ、又は界面活性剤sと界面活性剤sと界面活性剤sと界面活性剤sとの組み合わせが好ましく、界面活性剤sが化合物(s71)である上記の組み合わせがより好ましい。界面活性剤の合計量は、重合体(100質量部)に対して1~10質量部が好ましく、1~7質量部がより好ましい。
(分子量調整剤)
 分子量調整剤としては、例えば、芳香族化合物、メルカプトアルコール、メルカプトカルボン酸、アルキルメルカプタンが好ましく、メルカプトカルボン酸又はアルキルメルカプタンがより好ましい。分子量調整剤としては、例えば、メルカプトエタノール、メルカプトプロピオン酸、n-オクチルメルカプタン、n-ドデシルメルカプタン、tert-ドデシルメルカプタン、ステアリルメルカプタン、α-メチルスチレンダイマ(CH=C(Ph)CHC(CHPh、但し、Phはフェニル基である。)が挙げられ、n-ドデシルメルカプタン、tert-ドデシルメルカプタン、ステアリルメルカプタンが特に好ましい。
(重合開始剤)
 重合開始剤としては、例えば、熱重合開始剤、光重合開始剤、放射線重合開始剤、ラジカル重合開始剤、イオン性重合開始剤が挙げられ、ラジカル重合開始剤が好ましい。ラジカル重合開始剤としては、例えば、重合温度に応じ、アゾ系重合開始剤、過酸化物系重合開始剤、レドックス系開始剤を用いることができる。ラジカル重合開始剤としては、アゾ系化合物が好ましく、アゾ系化合物の塩がより好ましい。開始剤としては、例えば、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン](和光純薬社製、VA-061)の酢酸塩、2,2’-アゾビス(2-アミノジノプロパン)(日宝化学社製、NC-32)が挙げられる。重合温度は、30~80℃が好ましい。
(他の成分)
 本実施形態の撥水剤組成物は、必要に応じて他の成分を含有していてもよい。
 他の成分としては、架橋剤、浸透剤、消泡剤、吸水剤、帯電防止剤、制電性重合体、防皺剤、風合い調整剤、造膜助剤、水溶性高分子(ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等。)、熱硬化剤(メラミン樹脂、ウレタン樹脂、トリアジン環含有化合物、イソシアネート系化合物等。)、エポキシ硬化剤(イソフタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバチン酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド、1,6-ヘキサメチレンビス(N,N-ジメチルセミカルバジド)、1,1,1’,1,’-テトラメチル-4,4’-(メチレン-ジ-パラ-フェニレン)ジセミカルバジド、スピログリコール等。)、熱硬化触媒、架橋触媒、合成樹脂、繊維安定剤、無機微粒子等が挙げられる。
 本実施形態の撥水剤組成物は、必要に応じて、本実施形態の重合体(A)以外の、撥水性を発現できる重合体、市販の撥水剤、フッ素原子を有さない撥水性化合物等を含んでいてもよい。フッ素原子を有さない撥水性化合物としては、パラフィン系化合物、脂肪族アマイド系化合物、アルキルエチレン尿素化合物、シリコン系化合物等が挙げられる。
 本組成物が架橋剤を含む場合、基材との密着性が向上しやすい。
 架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、メチロール系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、及びオキサゾリン系架橋剤が好ましい。
 イソシアネート系架橋剤としては、2個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート系架橋剤が好ましい。
 イソシアネート系架橋剤としては、例えば、芳香族ブロックタイプイソシアネート系架橋剤、脂肪族ブロックタイプイソシアネート系架橋剤、芳香族非ブロックタイプイソシアネート系架橋剤、脂肪族非ブロックタイプイソシアネート系架橋剤が挙げられる。イソシアネート系架橋剤は、界面活性剤によって乳化された水分散型、又は親水基を有した自己水分散型が好ましい。
 メチロール系架橋剤としては、例えば、尿素又はメラミンとホルムアルデヒドとの縮合物又は予備縮合物、メチロール-ジヒドロキシエチレン-尿素及びその誘導体、メチロール-エチレン-尿素、メチロール-プロピレン-尿素、メチロール-トリアゾン、ジシアンジアミド-ホルムアルデヒドの縮合物、メチロール-カルバメート、メチロール-(メタ)アクリルアミド、これらの重合体が挙げられる。
 カルボジイミド系架橋剤は、分子中にカルボジイミド基を有するポリマーであり、物品等のカルボキシ基、アミノ基、活性水素基と優れた反応性を示す架橋剤である。
 オキサゾリン系架橋剤は、分子中にオキサゾリン基を有するポリマーであり、物品等のカルボキシ基と優れた反応性を示す架橋剤である。
 他の架橋剤としては、例えば、ジビニルスルホン、ポリアミド及びそのカチオン誘導体、ポリアミン及びそのカチオン誘導体、ジグリシジルグリセロール等のエポキシ誘導体、(エポキシ-2,3-プロピル)トリメチルアンモニウムクロライド、N-メチル-N-(エポキシ-2,3-プロピル)モルホリニウムクロライド等のハライド誘導体、エチレングリコールのクロロメチルエーテルのピリジニウム塩、ポリアミン-ポリアミド-エピクロヒドリン樹脂、ポリビニルアルコール又はその誘導体、ポリアクリルアミド又はその誘導体、グリオキサール樹脂系防しわ剤が挙げられる。
 本組成物が、メチロール系架橋剤又はグリオキサール樹脂系防しわ剤を含む場合、添加剤として、触媒を含むことが好ましい。好ましい触媒としては、例えば、無機アミン塩、有機アミン塩が挙げられる。無機アミン塩としては、例えば、塩化アンモニウムが挙げられる。有機アミン塩としては、例えば、アミノアルコール塩酸塩、セミカルバジド塩酸塩が挙げられる。アミノアルコール塩酸塩としては、例えば、モノエタノールアミン塩酸塩、ジエタノールアミン塩酸塩、トリエタノール塩酸塩、2-アミノ-2-メチルプロパノール塩酸塩が挙げられる。
(各成分の割合)
 本組成物が媒体を含む場合、媒体の含有量は、本組成物の所望の固形分濃度に応じて適宜選定できる。
 本組成物の固形分濃度は、本組成物の製造直後は、5~60質量%が好ましく、10~50質量%がより好ましく、15~45質量%がさらに好ましい。
 本組成物の固形分濃度は、本組成物を物品の処理に用いる際には、0.01~15質量%が好ましく、0.1~10質量%がより好ましく、0.5~8質量%がさらに好ましい。
 なお、固形分濃度は、本組成物における重合体(A)と界面活性剤の合計の含有量である。
 本組成物の総質量に対する重合体(A)の割合は、0.01~60質量%が好ましく、0.1~50質量%がより好ましく、0.5~45質量%がさらに好ましい。
 本組成物が界面活性剤を含む場合、本組成物中の界面活性剤の含有量は、重合体(A)の100質量部に対して1~10質量部が好ましく、1~8質量部がより好ましく、2~7質量部がさらに好ましい。
 本組成物が分子量調整剤を含む場合、本組成物中の分子量調整剤の含有量は、重合体(A)の100質量部に対して0.1~20質量部が好ましく、0.1~10質量部がより好ましく、0.5~9質量部がさらに好ましく、1~8質量部がよりさらに好ましい。
 本組成物が重合開始剤を含む場合、本組成物中の重合開始剤の含有量は、重合体(A)の100質量部に対して0.01~5質量部が好ましく、0.05~4質量部がより好ましく、0.1~3質量部がさらに好ましい。
 本組成物の総質量に対する、フッ素原子の含有量は、0.1質量%以下が好ましく、0質量%がより好ましい。本組成物の総質量に対するフッ素原子の含有量は、燃焼イオンクロマトグラフィー法などにより測定することができる。
≪非フッ素重合体の製造方法≫
 本実施形態の非フッ素重合体の製造方法は、界面活性剤及び重合開始剤の存在下、単量体(a)、単量体(b)及び単量体(c)を含む単量体成分を含む混合物を重合する製造方法である。また、同時に撥水剤組成物も製造される。
 単量体成分は、単量体(d)及び単量体(e)のいずれか一方又は両方をさらに含んでいてもよい。
 単量体(a)、単量体(b)、単量体(c)、単量体(d)及び単量体(e)はそれぞれ、公知の製造方法により製造したものを使用できる。市販されている単量体については市販品を使用できる。
 非フッ素重合体を構成する単量体の総質量に対する、混合物に含まれる単量体(a)、単量体(b)及び単量体(c)の合計の割合は、70質量%以上が好ましく、75~98質量%がより好ましく、80~97質量%がさらに好ましい。単量体(a)、単量体(b)及び単量体(c)の合計の割合が上記下限値以上であれば、本組成物で処理された物品の撥水性、その洗濯耐久性に優れる。
 単量体成分が単量体(d)及び単量体(e)のいずれか一方又は両方を含む場合、非フッ素重合体を構成する単量体の総質量に対する、混合物に含まれる単量体(a)、単量体(b)及び単量体(c)の合計の割合は、75~98質量%が好ましく、80~97質量%がより好ましい。
 非フッ素重合体を構成する単量体の総質量に対する、混合物に含まれる単量体(a)の割合は、50~90質量%が好ましく、55~90質量%がより好ましく、60~85質量%がさらに好ましい。単量体(a)の割合が上記下限値以上であれば、本組成物で処理された物品の撥水性がより優れる。単量体(a)の割合が上記上限値以下であれば、単量体(b)及び単量体(c)を充分に含有でき、本組成物で処理された物品の撥水性がより優れる。
 非フッ素重合体を構成する単量体の総質量に対する、混合物に含まれる単量体(b)の割合は、5~30質量%が好ましく、5~25質量%がより好ましく、8~20質量%がさらに好ましい。単量体(b)の割合が上記下限値以上であれば、本組成物で処理された物品の撥水性がより優れる。単量体(b)の割合が上記上限値以下であれば、単量体(c)及び単量体(a)を充分に含有でき、本組成物で処理された物品の撥水性がより優れる。
 非フッ素重合体を構成する単量体の総質量に対する、混合物に含まれる単量体(c)の割合は、0.1~20質量%が好ましく、0.5~15質量%がより好ましく、1~10質量%がさらに好ましい。単量体(c)の割合が上記下限値以上であれば、本組成物で処理された物品の撥水性がより優れる。単量体(c)の割合が上記上限値以下であれば、重合収率が良好であり、非フッ素重合体(A)は単量体(a)及び単量体(b)に基づく単位を充分に含有でき、本組成物で処理された物品の撥水性がより優れる。
 非フッ素重合体を構成する単量体の総質量に対する、混合物に含まれる単量体(a)及び単量体(b)の合計の割合は、55質量%以上が好ましく、60~98質量%がより好ましく、68~96質量%がさらに好ましい。単量体(a)及び単量体(b)の合計の割合が上記下限値以上であれば、本組成物で処理された物品の撥水性がより優れる。単量体(a)及び単量体(b)の合計の割合が上記上限値以下であれば、単量体(c)を充分に含有でき、本組成物で処理された物品の撥水性がより優れる。
 非フッ素重合体を構成する単量体の総質量に対する、混合物に含まれる単量体(b)及び単量体(c)の合計の割合は、5.1~50質量%が好ましく、5.5~40質量%がより好ましく、6~30質量%がさらに好ましい。単量体(b)及び単量体(c)の合計の割合が上記下限値以上であれば、本組成物で処理された物品の撥水性がより優れる。単量体(b)及び単量体(c)の合計の割合が上記上限値以下であれば、単量体(a)を充分に含有でき、本組成物で処理された物品の撥水性がより優れる。
 非フッ素重合体を構成する単量体の総質量に対する、混合物に含まれる単量体(c)及び単量体(a)の合計の割合は、50.1~95質量%が好ましく、55~90質量%がより好ましく、60~90質量%がさらに好ましい。単量体(c)及び単量体(a)の合計の割合が上記下限値以上であれば、本組成物で処理された物品の撥水性がより優れる。単量体(c)及び単量体(a)の合計の割合が上記上限値以下であれば、単量体(b)を充分に含有でき、本組成物で処理された物品の撥水性がより優れる。
 混合物に含まれる単量体(a)/単量体(b)の質量比は、1.6~19が好ましく、2.2~18がより好ましく、3~10がさらに好ましい。単量体(a)/単量体(b)の質量比が上記下限値以上であれば、本組成物で処理された物品の撥水性がより優れる。単量体(a)/単量体(b)の質量比が上記上限値以下であれば、重合体(A)の製造時に、単量体成分の重合が進みやすい。
 混合物に含まれる単量体(b)/単量体(c)の質量比は、0.25~300が好ましく、0.3~50がより好ましく、0.8~20がさらに好ましい。単量体(b)/単量体(c)の質量比が上記下限値以上であれば、本組成物で処理された物品の撥水性がより優れる。単量体(b)/単量体(c)の質量比が上記上限値以下であれば、重合体(A)の製造時に、単量体成分の重合が進みやすい。
 混合物に含まれる単量体(c)/単量体(a)の質量比は、0.001~0.4が好ましく、0.005~0.27がより好ましく、0.01~0.17がさらに好ましい。単量体(c)/単量体(a)の質量比が上記下限値以上であれば、本組成物で処理された物品の撥水性がより優れる。単量体(c)/単量体(a)の質量比が上記上限値以下であれば、重合体(A)の製造時に、単量体成分の重合が進みやすい。
 混合物に含まれる{単量体(a)+単量体(b)}/単量体(c)の質量比は、2.75~950が好ましく、4~800がより好ましく、6~200がさらに好ましい。{単量体(a)+単量体(b)}/単量体(c)の質量比が上記下限値以上であれば、本組成物で処理された物品の撥水性がより優れる。{単量体(a)+単量体(b)}/単量体(c)の質量比が上記上限値以下であれば、重合体(A)の製造時に、単量体成分の重合が進みやすい。
 混合物が単量体(d)を含む場合、非フッ素重合体を構成する単量体の総質量に対する、混合物に含まれる単量体(d)の割合は、0.1~15質量%が好ましく、0.2~10質量%がより好ましく、0.5~6質量%がさらに好ましい。
 混合物が単量体(e)を含む場合、非フッ素重合体を構成する単量体の総質量に対する、混合物に含まれる単量体(e)の割合は、0.1~15質量%が好ましく、0.2~10質量%がより好ましく、0.5~6質量%がさらに好ましい。
 混合物が単量体(d)又は単量体(e)を含む場合、非フッ素重合体を構成する単量体の総質量に対する、混合物に含まれる単量体(d)及び単量体(e)の合計の割合は、0.2~30質量%が好ましく、0.4~20質量%がより好ましく、1~12質量%がさらに好ましい。
 単量体成分の重合方法としては、乳化重合法、溶液重合法、懸濁重合法、塊状重合法等が挙げられる。これらの中でも乳化重合法が好ましい。単量体成分を乳化重合法により重合することにより、重合体(A)の分子量(Mn、Mw)を高くできる。
 乳化重合法では、例えば、媒体、単量体成分、界面活性剤、及び重合開始剤を含む乳化液中にて前記単量体成分を重合する。乳化液は、必要に応じて、分子量調整剤を含んでいてもよい。
 媒体、界面活性剤、重合開始剤、分子量調節剤は前記と同様のものが挙げられる。
 非フッ素重合体を構成する全単量体100質量部に対する前記分子量調整剤の割合は、0.1~20質量部が好ましく、0.1~10質量部がより好ましく、0.1~5質量部がさらに好ましい。
 乳化液は、媒体、単量体成分、必要に応じて界面活性剤を混合し、ホモジナイザー、高圧乳化機等で分散した後、重合開始剤を添加することによって調製できる。なお、単量体成分が気体の場合、前記分散後に反応系に添加することができる。
 乳化液中の単量体成分の濃度は、5~60質量%が好ましく、10~50質量%がより好ましい。乳化液中の単量体成分の濃度が前記範囲内であれば、重合体(A)の分子量を充分に高くできる。
 乳化液中の界面活性剤の含有量は、単量体成分の100質量部に対して0.1~10質量部が好ましい。界面活性剤の含有量が前記下限値以上であれば、乳化液の分散安定性に優れる。界面活性剤の含有量が前記上限値以下であれば、界面活性剤に起因する、重合体(A)を含む組成物で処理された物品の撥水性への悪影響を低減できる。
 乳化液中の重合開始剤の含有量は、単量体成分の100質量部に対して0.01~5質量部が好ましい。重合開始剤の含有量が前記下限値以上であれば、反応率が高くなりやすく重合収率が向上しやすい。重合開始剤の含有量が前記上限値以下であれば、所望の範囲の分子量の重合体が得られやすい。
 乳化液中にて単量体成分を重合することで、重合体(A)の分散液が得られる。
 分散液においては、重合体(A)が水性媒体中に乳化粒子として分散されている。
 分散液において、重合体(A)の乳化粒子の平均粒子径は、10~1000nmが好ましく、30~600nmがより好ましく、50~300nmがさらに好ましい。平均粒子径が前記上限値以下であれば、重合体(A)の乳化粒子で処理された物品の撥水性、重合体(A)の乳化粒子の分散性がより優れる。平均粒子径が前記下限値以上であれば、重合体(A)の乳化粒子が機械的剪断力に対してより安定である。
 重合体(A)の乳化粒子の平均粒子径は、重合体(A)の分散液を水で固形分濃度1質量%に希釈したサンプルについて動的光散乱法によって得られた自己相関関数からキュムラント法解析によって算出される。
 乳化液中にて単量体成分を重合して得られた重合体(A)の分散液は、そのまま本組成物としてもよく、水性媒体で希釈して固形分濃度を調整してから本組成物としてもよい。本組成物には、さらに他の成分を添加してもよい。
<撥水剤組成物の処理方法>
 本実施形態の処理方法は、本組成物を用いた処理方法である。本組成物を被処理物品に付着できる方法であればよく、例えば、本組成物が液状媒体を含む場合には、塗布、含浸、浸漬、スプレー、ブラッシング、パディング、サイズプレス、ローラー等の公知の方法によって物品に本分散液を処理した後、乾燥する方法が挙げられる。
 被処理物品に付着させる撥水剤組成物における固形分の量は、特に限定されないが、例えば繊維布帛の場合、繊維布帛100gあたり0.1~5gが好ましい。
 被処理物品に付着させる撥水剤組成物における重合体(A)の量は、特に限定されないが、例えば繊維布帛の場合、繊維布帛100gあたり0.05~5gが好ましい。
 乾燥は、常温で行っても加熱してもよく、加熱することが好ましい。加熱する場合、加熱温度は90~200℃が好ましい。また、撥水剤組成物が架橋剤を含有する場合、必要であれば、前記架橋剤の架橋温度以上に加熱してキュアリングすることが好ましい。
<物品>
 本実施形態の物品は、本組成物を用いて処理された物品である。
 本組成物で処理される物品としては、例えば、繊維、繊維布帛(繊維織物、繊維編物、不織布、起毛布等)、繊維布帛を備えた繊維製品(スキーウェア、レインウェア、コート、ブルゾン、ウィンドブレーカー、ダウンジャケット、スポーツウェア、作業衣、ユニフォーム、防護服等の衣料、バックパック、カバン、テント等)、ガラス、紙、木、皮革、人工皮革、石、コンクリート、セラミックス、金属、金属酸化物、窯業製品、樹脂成形品、多孔質樹脂が挙げられる。多孔質樹脂は、例えば、フィルターとして用いられる。多孔質樹脂の材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラフルオロエチレンが挙げられる。
 処理される物品としては、繊維、繊維布帛、繊維布帛を備えた繊維製品が好ましい。繊維の種類としては、特に限定されないが、綿、羊毛、絹又はセルロース等の天然繊維、ポリエステル、ポリアミド、アクリル、アラミド、レーヨン、又はリヨセル等の化学繊維、及びこれらの繊維を複数用いて得られる繊維が挙げられる。繊維基材が不織布である場合の繊維としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラフルオロエチレン、ガラス及びレーヨンが挙げられる。
 繊維布帛の厚みは、特に限定されないが、10μm~5cmである。
 (作用機序)
 以上説明した本組成物にあっては、重合体(A)が単位(a)、単位(b)及び単位(c)を有するため、本組成物で処理された物品の撥水性に優れる。また、その撥水性は、洗濯によって低下しにくいため、本組成物で処理された物品の洗濯耐久性に優れる。この効果が奏されるメカニズムとしては以下のようなことが考えられる。単量体(a)及び単量体(b)は(メタ)アクリロイル基を1個有する化合物であるため、重合は1次元的に進行すると考えられる。一方、単量体(c)は(メタ)アクリロイル基を2個以上有する化合物であるため、重合は2次元的、場合によっては3次元的に進行すると考えられる。すなわち、単量体(c)に基づく構成単位を有することによって、重合体は緻密な構造となることが予想される。この緻密な構造が撥水性及び洗濯耐久性の向上に寄与していると考えられる。
 以下、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。「部」は「質量部」を示す。
 例1~11、16~26及び29は実施例であり、例12~15、27、28は比較例である。
<単量体単位の割合>
 重合体の組成(重合体を構成する全単位に対する各単量体単位の割合)は、単量体成分の仕込み量に基づいて算出した。
<重合体の分子量>
 下記の回収方法にて回収した重合体について、分子量の測定を行った。
(重合体の回収)
 重合体エマルションの10gにテトラヒドロフラン(THF)の20gを加え攪拌した。この混合液を減圧下8gまで濃縮した。濃縮液をメタノール30gが入ったビーカーに攪拌しながら滴下し、重合体を析出させた。デカンテーションにより上澄みを除去し、35℃で一晩真空乾燥して重合体を得た。
<分子量の測定>
 回収した重合体を、1%のTHF溶液とし、孔径0.45μmのフィルタに通し分析サンプルとした。このサンプルについて、下記の測定条件で数平均分子量(Mn)及び質量平均分子量(Mw)を測定した。測定条件は下記のとおりである。
 装置:東ソー社製、TOSOH EcoSEC HLC-8320GPC、
 カラム:Shodex GPC KF-802 (8.0mmI.D. x 300mm)とKF-806M (8.0mmI.D. x 300mm)を直列に接続したもの、
 測定温度:40℃、
 注入量:30μL、
 流出速度:1.0ml/分、
 溶離液:THF、
 標準試料::Polymer laboratories社製、EasiCal PS-2。
<布帛の撥水加工>
 後述する重合例で得られたエマルションは、以下の方法を用いて布帛に加工し、撥水加工布を得た。エマルションと架橋剤であるブロックドイソシアネート(明成化学工業社製メイカネートTP-10)を蒸留水で希釈し撥水剤組成物を調製した。この撥水剤組成物に染色済ナイロン布帛並びにポリエステル布帛を浸漬し、均一に絞った。これを110℃で90秒間テンターを用いて乾燥した後、更に170℃で90秒間熱処理した。
<撥水性評価(初期)>
 試験布について、JIS L1092-2009のスプレー試験にしたがって撥水性を評価した。撥水性は、1~5の5段階の等級で表した。点数が大きいほど撥水性が良好であることを示す。等級に+(-)を記したものは、前記等級の標準的なものと比べてそれぞれの性質がわずかに良い(悪い)ことを示す。
<洗濯耐久性評価(洗濯後)>
 試験布について、JIS L1930付属書F[C型基準洗濯機(パルセーター式)の洗濯方法仕様書]に規定するC4Mの水洗い法にしたがって、洗濯を20回繰り返した。洗濯後、タンブル乾燥機を用いて乾燥し、室温25℃、湿度60%の部屋で一晩風乾させた後、前記撥水性を評価した。
<総合評価>
 例16~29に関しては、3を3点、3+を3.2点、4-を3.8点、4を4点として、ポリエステル布帛の初期評価、洗濯後評価、ナイロン布帛の初期評価、洗濯後評価の合計を総合評価とした。
 本明細書で記載される化合物名は以下の通りである。
単量体(a):
 BeA:ベヘニルアクリレート
 StA:ステアリルアクリレート
単量体(b):
 VdCl:塩化ビニリデン
単量体(c):
 16HDA:1,6-ヘキサンジオールジアクリラート
 110DDA:1,10-デカンジオールジアクリラート
 16HDMA:1,6-ヘキサンジオールジメタクリラート
 TMP3A:トリメチロールプロパントリアクリラート
 TMP3MA:トリメチロールプロパントリメタクリラート
 DTMP4A:ジトリメチロールプロパンテトラアクリラート
 DPE6A:ジペンタエリトリトールヘキサアクリラート
 BPA2M:ビスフェノールAジメタクリラート
 ICN3A:イソシアヌル酸トリス(2-アクリロイルオキシエチル)
 1353ATA:1,3,5-トリアクリロイルヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン
 NNMBAA:N,N’-メチレンビスアクリルアミド
 NNMBMA:N,N’-メチレンビスメタクリルアミド
単量体(d):
 D-BP:イソシアナトエチルアクリレートの3,5-ジメチルピラゾール付加体
単量体(e):
 DMAA:ジメチルアクリルアミド
界面活性剤:
 E420:ポリオキシエチレンオレイルエーテル(エマルゲン(花王社商品名)420、エチレンオキシド約13モル付加物)
 P204:エチレンオキシドプロピレンオキシド重合物(日本油脂社商品名、プロノン204、エチレンオキシドの割合は40質量%。)
 TMAC:ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド63%、イソプロパノール32%、水5%の溶液(ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ社製)
品名。)
分子量調整剤:
 StSH:ステアリルメルカプタン
重合開始剤:
 VA-061A:2,2'-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン](和光純薬社製、VA-061)の酢酸塩
媒体:
 DPG:ジプロピレングリコール
 水
(重合例1)
<重合体エマルションの製造>
 ガラス製ビーカーに、StAの72質量部、16HDAの4質量部、MOI-BPの4質量部、E420の2.5質量部、P204の2.5質量部、TMACの0.5質量部、StSHの4質量部、水の155質量部、及びDPGの30質量部を入れ、60℃で30分間加温した後、ホモミキサー(日本精機製作所社製、バイオミキサー)を用いて混合して混合液を得た。
 上記混合液を、60℃に保ちながら高圧乳化機(APVラニエ社製、ミニラボ)を用いて、40MPaで処理して乳化液を得た。この乳化液をステンレス鋼製反応器に入れ、40℃以下となるまで冷却した。これに対して、VdClの20質量部、VA061Aの0.5質量部を加えて、気相を窒素置換した後、撹拌しながら60℃で15時間重合反応を行い、重合体エマルションを得た。固形分濃度は36.8質量%であった。
(重合例2-15)
 表1に示す仕込割合に変更した以外は重合例1と同様にして、重合例2-15の重合体エマルションを得た。得られたエマルションの固形分濃度も、表1に示す。
(例1-15)
 重合例1-15にて得たエマルションを固形分1質量%にて、上記布帛の撥水加工に従って加工し、得られた加工布を撥水性に従って評価した。評価結果を表1に示す。単量体(a)、単量体(b)、及び単量体(c)を使用した例1-11は、単量体(a)を使用し、単量体(b)及び単量体(c)のいずれか一方又は両方を使用しない例12-15に比較して良好な撥水性を得ることができた。
(重合例16-29)
 表2に示す仕込割合に変更した以外は重合例1と同様にして、重合例16-29の重合体エマルションを得た。得られたエマルションの固形分濃度も、表2に示す。
(例16-29)
 重合例16-29にて得たエマルションを固形分1質量%にて、上記布帛の撥水加工に従って加工し、得られた加工布を撥水性に従って評価した。評価結果を表2に示す。単量体(a)、単量体(b)、及び単量体(c)を使用した例16-26及び29は、単量体(a)及び単量体(b)を使用し、単量体(c)を使用しない例27-28に比較して良好な撥水性及び撥水性の洗濯耐久性を得ることができた。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000008
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000009

Claims (12)

  1.  長鎖アルキル(メタ)アクリレート単量体に基づく構成単位、ハロゲン化ビニル単量体に基づく構成単位及び(メタ)アクリロイル基を2個以上有する単量体に基づく構成単位を有する非フッ素重合体を含む、撥水剤組成物。
  2.  前記長鎖アルキル(メタ)アクリレート単量体は、下式(1)で表される、請求項1に記載の撥水剤組成物。
     R-OC(=O)CR=CH (1)
     前記式(1)中、RはH、CH又は塩素原子を表し、Rは炭素数12~30のアルキル基を表す。
  3.  前記長鎖アルキル(メタ)アクリレート単量体に基づく構成単位は、前記式(1)におけるRの炭素数が12~18である長鎖アルキル(メタ)アクリレート単量体に基づく構成単位及び前記式(1)におけるRの炭素数が19~30である長鎖アルキル(メタ)アクリレート単量体に基づく構成単位を含む、請求項2に記載の撥水剤組成物。
  4.  前記長鎖アルキル(メタ)アクリレート単量体に基づく構成単位の総量に対する、前記式(1)におけるRの炭素数が12~18である長鎖アルキル(メタ)アクリレート単量体に基づく構成単位の割合は、1~45質量%である、請求項3に記載の撥水剤組成物。
  5.  前記ハロゲン化ビニル単量体は、塩化ビニル又は塩化ビニリデンである、請求項1に記載の撥水剤組成物。
  6.  前記(メタ)アクリロイル基を2個以上有する単量体は、下式(2)で表される、請求項1に記載の撥水剤組成物。
     Q-(RC(=O)CR=CH (2)
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000001
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000002
     前記式(2)中、nは2~10の整数を表し、RはH、CH又は塩素原子を表し、Rは単結合又は2価の有機基を表し、Qは炭素数1~16の直鎖若しくは分岐鎖のアルキレン基、多価アルコールの水酸基から水素を除いた残基、前記式(3)で表される3価の基、又は前記式(4)で表される3価の基を表し、複数の(RC(=O)CR=CH)は同一でも異なってもよく、前記式(3)及び前記式(4)中、*は結合手を表す。但し、Qが炭素数1~16の直鎖若しくは分岐鎖のアルキレン基又は多価アルコールの水酸基から水素を除いた残基の場合、Qと結合するR中の原子は酸素原子以外の原子である。
  7.  前記非フッ素重合体の構成単位の総量に対する、前記長鎖アルキル(メタ)アクリレート単量体に基づく構成単位の割合が50~90質量%であり、前記ハロゲン化ビニル単量体に基づく構成単位の割合が5~30質量%であり、前記(メタ)アクリロイル基を2個以上有する単量体に基づく構成単位の割合が0.1~20質量%である、請求項1に記載の撥水剤組成物。
  8.  界面活性剤及び重合開始剤の存在下、長鎖アルキル(メタ)アクリレート単量体、ハロゲン化ビニル単量体及び(メタ)アクリロイル基を2個以上有する単量体を含む混合物を重合する、非フッ素重合体の製造方法であって、前記非フッ素重合体を構成する単量体の総質量に対する、前記長鎖アルキル(メタ)アクリレート単量体の割合が50~90質量%であり、前記ハロゲン化ビニル単量体の割合が5~30質量%であり、前記(メタ)アクリロイル基を2個以上有する単量体の割合が0.1~20質量%である、非フッ素重合体の製造方法。
  9.  さらに、分子量調整剤の存在下に重合させる、請求項8に記載の非フッ素重合体の製造方法。
  10.  前記非フッ素重合体を構成する全単量体100質量部に対する前記分子量調整剤の割合が、0.1~20質量部である、請求項9に記載の非フッ素重合体の製造方法。
  11.  請求項1~7のいずれか一項に記載の撥水剤組成物を用いた処理方法。
  12.  請求項1~7のいずれか一項に記載の撥水剤組成物を用いて処理された物品。
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