WO2024024932A1 - がん細胞を含む、注射器によって投与される組成物 - Google Patents

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Abstract

ダメージ関連分子パターン(DAMPs)を発現するがん細胞を含む組成物を、無針注射器で対象に投与することによって、その組成物中のがん細胞が投与と同時にせん断力を受けて傷害を受け、がん細胞からDAMPsが細胞外に放出されることにより細胞性免疫が効率的に賦活されることを見出した。

Description

がん細胞を含む、注射器によって投与される組成物
 本開示は、がん細胞を含む、注射器によって投与される組成物に関する。
 がん細胞を不活化して、この不活化がん細胞を抗原として対象に投与することにより、対象におけるがんに対する細胞性免疫を賦活し、がん治療に用いる手法の開発が進められている(非特許文献1)。この手法を用いるものとしては、例えば、がんワクチンとして臨床試験が進められているVaccinogen社のOncoVax(登録商標)を挙げることができる。OncoVax(登録商標)は、患者から摘出したがん組織中のがん細胞を、放射線処理により不活化し、この不活化がん細胞をBCGアジュバントと共に投与するように製剤化されたものである。この製剤を有針注射器により患者に投与することによって、がん患者が有する元々のがんに対する免疫を獲得することが期待されている。
 しかしながら、このような手法を用いた場合には、例えば次のような課題があった。
 (1)有針注射器を用いて放射線処理したがん細胞を投与しただけでは、がん細胞の細胞内容物が効果的に細胞外に放出されないため、免疫細胞への刺激が起こりにくく、細胞性免疫が賦活されにくいものであった。そのため、細胞性免疫を賦活しやすくするために、不活化がん細胞にBCGなどの細胞性免疫の賦活を目的とするアジュバントを添加する必要があった。
 (2)がん細胞を放射線処理により完全に不活化するためには、がん細胞の種類によっては、高い線量の放射線処理が必要であった。
特開2012-061269号公報
Cancer research 1979; 39: 1365-1360
 本開示の課題は、少なくとも、がん細胞を含む、無針注射器によって投与される組成物の提供である。
 本発明者らは、ダメージ関連分子パターン(DAMPs)を発現するがん細胞を含む組成物を、無針注射器で対象に投与することによって、その組成物中のがん細胞が投与と同時にせん断力を受けて傷害を受け、がん細胞からDAMPsが細胞外に放出されることにより細胞性免疫が効率的に賦活されることを見出した。さらに、無針注射器による投与によって物質(抗原)が効率的に細胞内に送達されることも組み合わさることで、より効率的に細胞性免疫が賦活されることを見出した。
 すなわち、本開示は以下のとおりである。
[1]ダメージ関連分子パターン(DAMPs)を発現するがん細胞を含む組成物であって、無針注射器によって対象に投与される、前記組成物。
[2]前記DAMPsが、少なくともHMGB1を含む、[1]に記載の組成物。
[3]不活化されたがん細胞を含む組成物であって、無針注射器によって対象に投与される、前記組成物。
[4]前記がん細胞の不活化が、放射線照射、薬剤投与又は加熱処理により行われたものである、[3]に記載の組成物。
[5]前記がん細胞の不活化が、放射線照射及び加熱処理により行われたものである、[4]に記載の組成物。
[6]前記がん細胞が、不活化後一定期間培養されたものである、[3]~[5]の何れかに記載の組成物。
[7]前記組成物に含まれるがん細胞が、固形がんに由来するがん細胞である、[1]~[6]の何れかに記載の組成物。
[8]前記固形がんが、膵臓がん、脳腫瘍、咽頭がん、大腸がん、子宮頸がん、前立腺がん、乳がん、卵巣がん、悪性黒色腫、肺腺がん、肝がん又は腎がんである、[7]に記載の組成物。
[9]前記がん細胞が、前記対象から採取されたがん細胞である、[1]~[8]の何れかに記載の組成物。
[10]がんを治療又は予防するための、[1]~[9]の何れかに記載の組成物。
[11]前記治療又は予防をするがんが、前記組成物に含まれるがん細胞の由来元のがんである、[10]に記載の組成物。
[12]がんに対する細胞性免疫を賦活するための、[1]~[9]の何れかに記載の組成物。
[13]無針注射器と[1]~[12]の何れかに記載の組成物とを含む、がんを治療又は予防するためのキット。
[14]放射線照射及び加熱処理により不活化されたがん細胞を含む組成物であって、有針注射器によって対象に投与される、前記組成物。
[15]有針注射器と[14]に記載の組成物とを含む、がんを治療又は予防するためのキット。
[16]ダメージ関連分子パターン(DAMPs)を発現するがん細胞を含む組成物を、無針注射器によって対象に投与することを含む、がんを治療又は予防するための方法。
[17]不活化されたがん細胞を含む組成物を、無針注射器によって対象に投与することを含む、がんを治療又は予防するための方法。
[18]ダメージ関連分子パターン(DAMPs)を発現するがん細胞を含む組成物を、無針注射器によって対象に投与することを含む、がんに対する細胞性免疫を賦活するための方法。
[19]不活化されたがん細胞を含む組成物を、無針注射器によって対象に投与することを含む、がんに対する細胞性免疫を賦活するための方法。
[20]がんの治療又は予防において使用するための、無針注射器によって対象に投与される、ダメージ関連分子パターン(DAMPs)を発現するがん細胞を含む組成物。
[21]がんの治療又は予防において使用するための、無針注射器によって対象に投与される、不活化されたがん細胞を含む組成物。
[22]放射線照射及び加熱処理により不活化されたがん細胞を含む組成物を、有針注射器によって対象に投与することを含む、がんを治療又は予防するための方法。
[23]がんの治療又は予防において使用するための、有針注射器によって対象に投与される、放射線照射及び加熱処理により不活化されたがん細胞を含む組成物。
[24]有針注射器によって対象に投与される、がんを治療又は予防するための医薬の製造における、放射線照射及び加熱処理により不活化されたがん細胞を含む組成物の使用。
[25]がんに対する細胞性免疫の賦活において使用するための、無針注射器によって対象に投与される、ダメージ関連分子パターン(DAMPs)を発現するがん細胞を含む組成物。
[26]がんに対する細胞性免疫の賦活において使用するための、無針注射器によって対象に投与される、不活化されたがん細胞を含む組成物。
[27]無針注射器によって対象に投与される、がんを治療又は予防するための医薬の製造における、ダメージ関連分子パターン(DAMPs)を発現するがん細胞を含む組成物の使用。
[28]無針注射器によって対象に投与される、がんを治療又は予防するための医薬の製造における、不活化されたがん細胞を含む組成物の使用。
[29]無針注射器によって対象に投与される、がんに対する細胞性免疫を賦活するための医薬の製造における、ダメージ関連分子パターン(DAMPs)を発現するがん細胞を含む組成物の使用。
[30]無針注射器によって対象に投与される、がんに対する細胞性免疫を賦活するための医薬の製造における、不活化されたがん細胞を含む組成物の使用。
[31]放射線照射及び加熱処理により不活化されたがん細胞を含む組成物を、有針注射器によって対象に投与することを含む、がんに対する細胞性免疫を賦活するための方法。
[32]がんに対する細胞性免疫の賦活において使用するための、有針注射器によって対象に投与される、放射線照射及び加熱処理により不活化されたがん細胞を含む組成物。
[33]有針注射器によって対象に投与される、がんに対する細胞性免疫を賦活するための医薬の製造における、放射線照射及び加熱処理により不活化されたがん細胞を含む組成物の使用。
 本開示により、少なくとも、がん細胞を含む、無針注射器によって投与される組成物を提供できる。
 また本開示に係る組成物を用いることにより、例えば以下のような効果がある。
 まず、無針注射器によりがん細胞を含む組成物を対象に投与した場合、有針注射器により同じ状態のがん細胞を含む組成物を対象に投与した場合と比較して、効率的に細胞性免疫を賦活できる。
 また、本開示に係る組成物を無針注射器で投与することで、細胞性免疫の賦活を目的とするアジュバント(例えばBCGなど)を用いずに、がんに対する細胞性免疫を賦活することができる。即ち、ワクチン製剤の開発過程で一般的に使用されるアジュバントを使用しないものとすることができ、またはアジュバントの使用量を低減させることができる。更に、有針注射器によるがん細胞を含む組成物の投与と比較して、無針注射器によるがん細胞を含む組成物の投与の場合、細胞性免疫が優位に賦活できることから、BCGなどの細胞性免疫の賦活を目的とするアジュバント以外のアジュバントの利用も可能になる。
 また、従来は対象にがん細胞を投与する際に、がんを発生させないために、がん細胞を完全に不活化する必要があった。一方で、無針注射器を用いて対象にがん細胞を含む組成物を投与すると、その組成物中のがん細胞が生体内に投与される時に該がん細胞は傷害を受け死滅するため、がん細胞を完全に不活化する必要は無くなった。これにより、がん細胞を含む組成物を対象に投与する前に行うがん細胞の不活化の方法及び条件が増えた。なお、がん細胞の不活化の方法及び条件によっては、有針注射器を用いた場合でも効率的に細胞性免疫を賦活できる。
 さらに、従来は、免疫原性細胞の細胞死を誘導するために、生体内においてがん細胞に適切な種類の放射線をがん細胞の細胞死が誘導される強さで照射するといったことも行われていた。一方で、本開示に係る組成物は、例えば、DAMPsを発現するがん細胞を含む組成物であって、無針注射器によって対象に投与するものであり、すなわち、がん細胞が、生体外において、例えば、放射線照射、薬剤投与又は加熱処理等の最適な不活化処理が行われたものであるので、生体内への放射線照射を行わなくても、細胞性免疫を効率的に賦活することが可能である。
本開示の一実施形態に係る、無針注射器の概略構成を示す図である。 本開示の一実施形態に係る、放射線処理後の乳がん細胞を無針注射器又は有針注射器によってマウスへ投与したときの、腫瘍発生結果を示す写真である。 本開示の一実施形態に係る、放射線処理後の乳がん細胞を無針注射器又は有針注射器によって投与したマウスから摘出したsplenocyteを用いて、インターフェロンγのELISpotアッセイを行ったときの結果を示す写真(A)及びグラフ(B)である。 本開示の一実施形態に係る、放射線処理後の大腸がん細胞又は放射線未処理の大腸がん細胞をそれぞれ無針注射器又は有針注射器によってマウスへの投与したときの、腫瘍発生結果を示す写真である。 本開示の一実施形態に係る、放射線処理後の大腸がん細胞又は放射線未処理の大腸がん細胞をそれぞれ無針注射器又は有針注射器によって投与したマウスから摘出したsplenocyteを用いて、インターフェロンγのELISpotアッセイを行ったときの結果を示すグラフである。 本開示の一実施形態に係る、各種がん細胞における放射線照射後のHMGB1発現量を示す写真である。 本開示の一実施形態に係る、放射線処理後、加熱処理後、又は放射線及び熱による複合処理後の大腸がん細胞を有針注射器によって投与したマウスから摘出したsplenocyteを用いて、インターフェロンγのELISpotアッセイを行ったときの結果を示すグラフである。図中、*はp<0.05を示す。 本開示の一実施形態に係る、放射線処理後の大腸がん細胞を無針注射器又は有針注射器によって投与したマウスから摘出したsplenocyteを用いて、インターフェロンγのELISpotアッセイを行ったときの結果を示すグラフである。図中、*はp<0.05を示す。
 各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は、一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲内で、適宜、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。本開示は、実施形態によって限定されることはなく、クレームの範囲によってのみ限定される。
 本明細書に開示された各々の態様は、本明細書に開示された他のいかなる特徴とも組み合わせることができる。
<ダメージ関連分子パターン(DAMPs)を発現するがん細胞を含む組成物>
 本開示の一実施形態は、ダメージ関連分子パターン(DAMPs)を発現するがん細胞を含む組成物であって、無針注射器によって対象に投与される、前記組成物である。
 ダメージ関連分子パターン(DAMPs)とは、傷害を受けた細胞が発現するものであり、傷害を受けていない細胞にはほとんど発現していない分子である。
 本実施形態の組成物に含まれるがん細胞は傷害を受けた細胞であり、例えば放射線照射処理等の不活化処理による傷害を受けた細胞である。一方で、傷害を受けていない細胞とは、典型的には、該不活化処理による傷害を受けていない正常細胞であるが、該処理による傷害を受けていないがん細胞であってもよい。
 本実施形態の組成物に含まれるがん細胞は、少なくともDAMPsを、傷害を受けていない細胞よりも多く発現する細胞である。
 本実施形態の組成物に含まれるがん細胞に発現するDAMPsは、本実施形態の組成物の効果を妨げない限り特に限定されず、例えば、高移動度グループボックス1(HMGB1)、熱ショックタンパク質、S100A8、S100A9、Cyclophilin A、Cytochrome c、Enolase-1、Uric acid、Matrilin-2、Histone、Fibrinogen、IL-33、Hyaluronan、Ferritin、Profilin-1、Fibronectin、ATP、LL-37、mtDNA、Calreticulin等を挙げることができる。
 本実施形態の組成物に含まれるがん細胞に発現するDAMPsは、少なくともHMGB1を含むものであることが好ましく、HMGB1以外のDAMPsを1又は複数含んでもよい。ここで複数とは、本実施形態の組成物の効果を妨げない限り特に限定されず、例えば、2以上、3以上、5以上、10以上であってよく、また100以下、50以下、30以下、15以下であってよい。また、これらの下限及び上限を任意で組み合せることができ、例えば、2以上かつ100以下、3以上かつ50以下、5以上かつ30以下、10以上かつ15以下であってよい。
 本実施形態の組成物に含まれるがん細胞におけるDAMPsの発現の程度は、本実施形態の組成物の効果を妨げない限り特に限定されない。DAMPsの発現量がコントロール細胞と比較して大きければよく、例えば、DAMPsの発現量がコントロール細胞のそれに対して1.00倍超、1.04倍以上、1.10倍以上、1.20倍以上、1.22倍以上、1.30倍以上、1.40倍以上、1.41倍以上、1.50倍以上、1.70倍以上、1.71倍以上、2.00倍以上であってもよい。
 本実施形態の無針注射器は、注射針を介することなく前記組成物を対象に投与できる注入器の一態様である。すなわち、該一態様において、前記組成物は、注射針を介することなく組成物を対象に投与する注入器によって対象に投与されうる。
 本実施形態の組成物を無針注射器によって対象に投与することによって、有針注射器を使用した場合よりも効率的に細胞性免疫を賦活することができるという効果がある。
 つまり、まず、無針注射器を用いることにより、有針注射器を使用した場合とは異なり、組成物に含まれるがん細胞が、投与と同時にせん断力を受けて傷害を受けるため、がん細胞内のDAMPsが当該がん細胞の外に効率的に放出されることとなる。そして、がん細胞から放出されたDAMPsによって局所的な炎症が生じ、免疫反応が生じる。その結果、樹状細胞のファゴサイトーシスが亢進され、投与された組成物による効率的な細胞性免疫が賦活されると推測される。その後、該組成物の投与部位における局所的な効果のみならず、当該投与部位から遠方に存在するがん細胞に対する細胞性免疫も賦活される。
 すなわち、DAMPsを発現するがん細胞を含む組成物を、無針注射器によって対象に投与することによって、アブスコパル効果様の効果を再現性良く生じさせることができ、かつアブスコパル効果様の効果を増強することができる。
 したがって、本実施形態の組成物を無針注射器によって対象に投与することは、がん治療やがん予防などに有用である。手術不能症例や放射線治療が不可能な大腸がん症例などにおいても、アブスコパル効果様の効果を期待できるため本実施形態の組成物を無針注射器によって対象に投与することは有用である。
 本実施形態の組成物に含まれるがん細胞は、固形がんに由来するものであってよい。固形がんとしては、例えば、膵臓がん、脳腫瘍、咽頭がん、大腸がん、子宮頸がん、前立腺がん、乳がん、卵巣がん、悪性黒色腫、肺腺がん、肝がん又は腎がんなどが挙げられ、該組成物に含まれるがん細胞の種類はこれらのうちの一又は複数であってよい。固形がんは、好ましくは大腸がん又は乳がんである。乳がんは、エストロゲン、プロラクチン及びHer2のいずれのマーカーも陰性であるトリプルネガティブ乳がんであってもよい。
 がん細胞は、前記対象から採取されたがん細胞(すなわち、本実施形態の組成物が投与される対象から採取されたがん細胞)であってもよく、本実施形態の組成物が投与される対象以外の対象から採取されたがん細胞であってもよいが、前者であることが好ましい。いずれの対象から採取された場合であっても、がん細胞は、がん組織として採取された後、例えば酵素処理することにより組織を分解し、単一細胞の状態にされたものであることが好ましい。
 がん細胞は、必要に応じて、がん細胞の精製などの前処置を行ってもよい。
 前記対象は、哺乳動物の個体(生体)である。前記哺乳動物としては特に制限されないが、ヒトが挙げられ、また、ヒトを除く哺乳動物が挙げられる。ヒトを除く哺乳動物としては、マウス、ラット、モルモット、ハムスター、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ブタ、サル、イヌ、ネコ等が挙げられる。投与される部位は特に制限されず、例えば、皮内、皮下、筋層、リンパ節等が挙げられ、該投与される部位はこれらのうちの一又は複数であってよい。また、投与される部位として、例えば膵臓、脳、咽頭、大腸、子宮頸部、前立腺、乳腺、卵巣、皮膚、肺、肝臓、腎臓等の臓器又は組織も挙げられ、これらの臓器又は組織のうちの一又は複数であってよい。
 本実施形態の組成物の効果を妨げない限り、組成物中におけるがん細胞の含有量は特に限定されない。
 例えば、下限を1.0×10個/mL以上、5.0×10個/mL以上、1.0×10個/mL以上、5.0×10個/mL以上、1.0×10個/mL以上、5.0×10個/mL以上、1.0×10個/mL以上、5.0×10個/mL以上、1.0×10個/mL以上、5.0×10個/mL以上、1.0×1010個/mL以上、5.0×1010個/mL以上、1.0×1011個/mL以上とすることができ、また上限を1.0×1012個/mL以下、5.0×1011個/mL以下、1.0×1011個/mL以下、5.0×1010個/mL以下、1.0×1010個/mL以下、5.0×10個/mL以下、1.0×10個/mL以下、5.0×10個/mL以下、1.0×10個/mL以下、5.0×10個/mL以下、1.0×10個/mL以下、5.0×10個/mL以下、1.0×10個/mL以下、とすることができる。また、これらの下限及び上限を任意に組み合わせて一定の範囲としてもよく、例えば、1.0×10個/mL以上かつ1.0×1012個/mL以下、5.0×10個/mL以上かつ5.0×1011個/mL以下、1.0×10個/mL以上かつ1.0×1011個/mL以下、5.0×10個/mL以上かつ5.0×1010個/mL以下、1.0×10個/mL以上かつ1.0×1010個/mL以下、5.0×10個/mL以上かつ5.0×10個/mL以下、1.0×10個/mL以上かつ1.0×10個/mL以下としてもよい。また、組成物1mL当たりの重量で表す場合、1ng/mL~1000mg/mLとしてもよく、1μg/mL~1000mg/mLとしてもよく、1mg/mL~1000mg/mLとしてもよい。
 本実施形態の組成物の投与量は、当該組成物の効果を妨げない限り特に限定されず、対象の年齢、性別、体重、がんの種類やステージ、投与経路等により適宜調整することができる。例えば、ヒト成人(体重60kg)に非経口的に投与する場合、上述の含有量の組成物を1日当たり1ng~1000mg投与してもよく、1μg~1000mg投与してもよく、1mg~1000mg投与してもよい。単回投与であってもよく、複数回投与でもよい。
 本実施形態の組成物の投与は、無針注射器を用いて非経口的に行われるものである。例えば、皮内投与、皮下投与、筋層投与が挙げられ、これらの投与経路のうちの一又は複数であってよい。
 本実施形態の組成物の形態は液状であってよく、剤形としては、例えば注射剤が挙げられる。
 本実施形態の組成物は、DAMPsを発現するがん細胞を単独で含んでもよく、担体や添加剤と混合して使用してもよい。ここで、担体としては、薬理的に許容される溶媒、希釈剤などが挙げられ、液体状の組成物の調製には例えば、水、生理食塩水、緩衝液などが用いられる。添加剤としては、安定剤、pH調整剤、増粘剤、抗酸化剤、等張化剤、緩衝剤、溶解補助剤、懸濁化剤、保存剤、凍害防止剤、凍結保護剤、凍結乾燥保護剤、制菌剤などが挙げられる。本実施形態の組成物は、当業者に既知の方法により製造することができる。
 がん細胞にDAMPsを発現させる方法は特に限定されないが、例えば後述の<不活化されたがん細胞を含む組成物>の項に記載するがん細胞を不活化する方法によって行うことが出来る。
<無針注射器>
 本開示の他の実施形態は、
 前記組成物を前記対象に投与する無針注射器であって、
 組成物を収容した収容部と、
 前記収容部と連通するノズル部であって、前記組成物を前記対象に向けて射出するための射出口を有するノズル部と、
 作動時に前記収容部に収容されている前記組成物を加圧することで前記射出口から前記組成物を前記対象に向けて射出する加圧部と、
 を備える、
 無針注射器である。
 本実施形態の無針注射器は、<ダメージ関連分子パターン(DAMPs)を発現するがん細胞を含む組成物>の項における無針注射器の一態様でもある。
 本実施形態の無針注射器において、「先端側」とは、無針注射器から前記組成物が射出される射出口が配置されている側を意味し、「基端側」とは、無針注射器において先端側とは反対の側を意味するものであり、これらの文言は、特定の箇所や位置を限定的に指すものではない。
 本実施形態の無針注射器では、前記組成物を前記対象に対して射出するために、駆動部が射出エネルギーの付与を行う。本実施形態の無針注射器による「射出」は、前記駆動部による射出エネルギーを利用して、前記加圧部により、前記収容部に収容されている前記組成物が加圧されることで、前記組成物が収容部の流路を流れることで実現される。射出エネルギーとしては、従来の無針注射器に用いられる射出エネルギーであってよく、例えば、火薬等の燃焼エネルギー、ガス発生剤等の発生エネルギー、圧電素子等の電気的エネルギー、ばね等の機械的エネルギー等を利用することができ、また、これらの形態のエネルギーを適宜組み合わせたエネルギーを利用することができる。
 火薬の燃焼エネルギーを射出エネルギーとして利用する場合、火薬としては、例えば、ジルコニウムと過塩素酸カリウムを含む火薬(ZPP)、水素化チタンと過塩素酸カリウムを含む火薬(THPP)、チタンと過塩素酸カリウムを含む火薬(TiPP)、アルミニウムと過塩素酸カリウムを含む火薬(APP)、アルミニウムと酸化ビスマスを含む火薬(ABO)、アルミニウムと酸化モリブデンを含む火薬(AMO)、アルミニウムと酸化銅を含む火薬(ACO)、アルミニウムと酸化鉄を含む火薬(AFO)のうち何れか一つの火薬、又はこれらのうち複数の組み合わせを含む火薬が挙げられる。これらの火薬の特徴としては、その燃焼生成物が高温状態では気体であっても常温では気体成分を含まないため、点火後燃焼生成物が直ちに凝縮を行う。それにより、前記組成物の射出のための加圧過程において、該加圧時の燃焼生成物の温度を、点火薬の燃焼により、前記組成物に掛かる圧力が最初のピーク射出力を迎えてから短時間に常温近傍まで推移させることができる。
 また、ガス発生剤の発生エネルギーを射出エネルギーとして利用する場合、ガス発生剤としては、シングルベース無煙火薬(例えば、ニトロセルロース98質量%、ジフェニルアミン0.8質量%、硫酸カリウム1.2質量%を含むシングルベース無煙火薬が挙げられる。)や、エアバッグ用ガス発生器やシートベルトプリテンショナ用ガス発生器に使用されている各種ガス発生剤を用いることも可能である。
 本実施形態の無針注射器では、加圧部により、作動時に前記収容部に収容されている前記組成物を加圧することで前記射出口から前記組成物を前記対象に向けて射出する。
 前記加圧部による加圧は、例えば、前記収容部を破壊するなど、系を破壊することがない限り特に制限されず、通常の無針注射器における加圧条件を採用することができる。
 ここで、前記圧力とは収容部内の圧力のことである。その測定方法は特に制限されないが、例えば、下記のようにして測定することができる。すなわち、特開2005-21640号公報に記載の測定方法のように、射出の力を、ノズルの下流に配置されたロードセルのダイアフラムに分散して与えるようにし、ロードセルからの出力は、検出増幅器を介してデータ採取装置にて採取されて、時間ごとの射出力(N)として記憶されるという方法によって測定する。このように測定された射出圧を、無針注射器の射出口31aの面積によって除することで、射出圧を算出する。収容部の内圧測定による測定値は射出圧と同等であり、射出圧をもって収容部内の圧力とすることができる。
 上記駆動部による射出エネルギーはピストンを介してプランジャに伝えられ、プランジャが収容部内を摺動することで、収容部に収容されている前記組成物がノズル部に形成された流路に沿って押し出され、最終的に射出口から対象に向けて射出される。
 収容部には当初から前記組成物が収容されていてもいなくてもよく、収容されていない場合には、射出口を有するノズルを介して前記組成物を収容部内に吸引することにより収容することがきる。このように、収容部への収容操作を必要とする構成を採用することで、必要とする任意の前記組成物を対象へ投与することが可能となる。そのため、本実施形態の無針注射器では、シリンジ部と注射器本体とは着脱可能に構成されていてよい。
 本実施形態における、無針注射器によって対象に投与されることは、対象にジェット注射によって投与されることであってよい。
 ここで、本開示において「ジェット注射」とは、注射針を介することのない注射であって、前記組成物が射出口から対象に向けて射出され、それにより対象の内と外との境界を貫通する貫通孔が形成され、該貫通孔を通じて組成物を対象内に投与することができる高圧の超極微液流が生まれることを特徴とする、注射を指す。例えば、該対象の皮膚を貫通することができる高圧の超極微液流が生まれることを特徴とする注射を指してよい。または該対象の開腹手術中において、臓器に直接投与する場合、臓器を貫通することができる高圧の超極微液流が生まれることを特徴とする注射を指してよい。
 本実施形態の無針注射器は、従来の無針注射器において、前記収容部に前記組成物を収容させることで得ることができる。そのような従来の無針注射器としては、例えば、国際公開第2019/156238号に記載の無針注射器、国際公開第2019/156239号に記載の無針注射器、国際公開第2019/156237号に記載の無針注射器、特許5989039号明細書に記載の無針注射器などが挙げられる。これらは前記ジェット注射が可能な無針注射器であるが、これらの他にも、前記ジェット注射が可能な市販の無針注射器は多数存在する。例えば、Straits(Pharmajet社)、Tropis(Pharmajet社)、Vitajet (Bioject Medical Technologies Inc.)、Biojector 2000 (Bioject Medical Technologies Inc.)、Bioject Zetajet (Bioject Medical Technologies Inc.)、Glide(Glide Pharma社)、MediJector Vision(Antares社)、Sumaval DosePro(Zogenix社)、SQ Pen(Bespak社)、Injex(Equidyne社)等が挙げられる。
 以下に、図面を参照して本実施形態の無針注射器の例として、注射器1(無針注射器)について説明する。なお、以下の実施形態の構成は例示であり、本実施形態の構成に限定されるものではない。なお、注射器1の長手方向における相対的な位置関係を表す用語として、「先端側」及び「基端側」を用いる。当該「先端側」は、後述する注射器1の先端寄り、すなわち射出口31a寄りの位置を表し、当該「基端側」は、注射器1の長手方向において「先端側」とは反対側の方向、すなわち駆動部7側の方向を表している。また、本例示は、点火装置によって点火される火薬の燃焼エネルギーを射出エネルギーとして加圧に用いる例示であるが、本実施形態はこれに限定されるものではない。
(注射器1の構成)
 図1は、注射器1の概略構成を示す図であり、注射器1のその長手方向に沿った断面図でもある。注射器1は、シリンジ部3とプランジャ4とで構成されるサブ組立体と、注射器本体6とピストン5と駆動部7とで構成されるサブ組立体とが一体に組み立てられた注射器組立体10が、ハウジング(注射器ハウジング)2に取り付けられることで構成される。
 上記の通り、注射器組立体10は、ハウジング2に対して脱着自在となるように構成されている。注射器組立体10に含まれるシリンジ部3とプランジャ4との間に形成される収容部32には前記組成物が充填され、そして、当該注射器組立体10は、前記組成物の射出を行う度に使い捨てられるユニットである。一方で、ハウジング2側には、注射器組立体10の駆動部7に含まれる点火器71に電力供給するバッテリ9が含まれている。バッテリ9からの電力供給は、ユーザがハウジング2に設けられたボタン8を押下する操作を行うことで、配線を介してハウジング2側の電極と、注射器組立体10の駆動部7側の電極との間で行われることになる。なお、ハウジング2側の電極と注射器組立体10の駆動部7側の電極とは、注射器組立体10がハウジング2に取り付けられると、自動的に接触するように両電極の形状および位置が設計されている。またハウジング2は、バッテリ9に駆動部7に供給し得る電力が残っている限りにおいて、繰り返し使用することができるユニットである。なお、ハウジング2においては、バッテリ9の電力が無くなった場合には、バッテリ9のみを交換しハウジング2は引き続き使用してもよい。
 次に、注射器組立体10の詳細について説明する。まず、シリンジ部3及びプランジャ4を含むサブ組立体について説明すると、シリンジ部3は、その内部に前記組成物を収容可能な空間である収容部32が形成されている。より詳しくは、図1に示すように、シリンジ部3の軸方向に延びる内壁面に沿ってプランジャ4が摺動自在に配置されており、シリンジ部3の内壁面とプランジャ4によって収容部32が画定されている。また、シリンジ部3は、収容部32と連通するノズル部31を有し、ノズル部31の先端側に射出口31aが形成されている。ノズル部31は、その流路断面積が収容部32側から射出口31a側に向かって徐々に減少しており、収容部32に充填されている前記組成物を射出口31aに導くための流路である。図1に示す例では、プランジャ4の先端側の形状は、ノズル部31の形状と概ね一致している。
 次に、注射器本体6、ピストン5、及び駆動部7を含むサブ組立体について説明する。ピストン5は、例えば金属製であり、駆動部7の点火器71で生成される燃焼生成物(燃焼ガス)により加圧されて、注射器本体6の内部に形成されている貫通孔を摺動するように構成されている。注射器本体6は、概略円筒状の部材であり、その軸方向に延在する内壁面に沿ってピストン5が摺動自在に収容されている。なお、ピストン5は樹脂製でもよく、その場合、耐熱性や耐圧性が要求される部分には金属を併用してもよい。また、図1に示すように、ピストン5は、プランジャ4と一体に連結されている。
 次に、駆動部7について説明する。図1に示すように、駆動部7は、注射器本体6における貫通孔を基準として基端側に固定されている。駆動部7は、電気式点火器である点火器71を有している。点火器71は、注射器本体6における貫通孔の内部を臨むように配置されており、その内部には点火薬が収容されている。点火薬としては、上掲の通り種々の火薬を採用することができる。また、点火薬は、例えば、適宜の薄肉金属によって形成された火薬カップに収容することができる。
 次に、上記構成の注射器1の動作内容について説明する。図1に示すように、ハウジング2に対して注射器組立体10を装着した状態で、ノズル部31の射出口31aから前記組成物を吸引する。これにより、前記組成物を収容部32内に充填することができる。この状態から、例えば、注射器1における射出口31aを対象に当接させた状態で、ユーザがハウジング2に設けられたボタン8を押下する操作を行うと、これをトリガとして、バッテリ9から駆動部7の点火器71に作動電力が供給され、点火器71が作動する。点火器71が作動すると、点火薬が点火されることで燃焼し、燃焼生成物(火炎や燃焼ガスなど)が生成される。その結果、例えば点火器71の火薬カップが開裂し、点火薬の燃焼ガスが注射器本体6における貫通孔内に放出される。これにより、注射器本体6の貫通孔内の圧力が急激に高まり、注射器本体6の先端側に向けてピストン5が押圧される結果、注射器本体6における貫通孔の内壁面に沿って先端側に向かってピストン5が摺動する。上記の通り、ピストン5と一体にプランジャ4が連結されているため、ピストン5に連動してプランジャ4もシリンジ部3の内壁面に沿って摺動することとなる。すなわち、プランジャ4がシリンジ部3の先端側に位置するノズル部31に向かって押し込まれることで、前記組成物が収容されている収容部32の容積が減少し、急激に加圧されることとなる。その結果、収容部32に充填されている前記組成物がノズル部31に押し込まれ、射出口31aから高圧で射出される。これにより、前記組成物を、対象に投与することができる。
 また、図1に示す注射器本体6内には、特に追加的な火薬成分は配置されていないが、ピストン5を介して前記組成物にかける圧力推移を調整するために、点火器71での火薬燃焼によって生じる燃焼生成物によって燃焼しガスを発生させるガス発生剤等を、点火器71内や注射器本体6の貫通孔内に配置することもできる。点火器71内にガス発生剤を配置する構成は、国際公開公報01-031282号や特開2003-25950号公報等に開示されているように既に公知の技術である。また、ガス発生剤の一例としては、ニトロセルロース98質量%、ジフェニルアミン0.8質量%、硫酸カリウム1.2質量%を含むシングルベース無煙火薬が挙げられる。また、エアバッグ用ガス発生器やシートベルトプリテンショナ用ガス発生器に使用されている各種ガス発生剤を用いることも可能である。貫通孔内に配置されるときのガス発生剤の寸法や大きさ、形状、特に表面形状を調整することで、該ガス発生剤の燃焼完了時間を変化させることが可能であり、これにより、前記組成物にかける圧力推移を所望の推移、すなわち対象に前記組成物が適切に到達し得る推移とすることができる。本実施形態では、必要に応じて使用されるガス発生剤なども駆動部7に含まれるものとする。本実施形態においては、プランジャ4およびピストン5を含んで「加圧部」が構成される。
<不活化されたがん細胞を含む組成物>
 本開示の他の実施形態は、不活化されたがん細胞を含む組成物であって、無針注射器によって対象に投与される、前記組成物である。
 本実施形態において、がん細胞を不活化するとは、任意の手段によって、HMGB1等に代表されるDAMPsを細胞内に蓄積する免疫原性細胞死を誘導することである。このように不活化されたがん細胞は、典型的には、上述の<ダメージ関連分子パターン(DAMPs)を発現するがん細胞を含む組成物>の項に記載するDAMPsを発現する。
 本実施形態において、がん細胞の不活化の程度は、該組成物に含まれる全てのがん細胞のうちの10%以上、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上、98%以上または99%以上が不活化されたことであってよく、100%が不活化されていてもよい。
 がん細胞の不活化の程度は、例えば細胞の不活化処理の24、48、72時間後において、当業者に既知の方法であるMTS assayを実施して、細胞の死滅または成長の状態を確認すること等により、判断することができる。具体的には、例えば、細胞の不活化処理の24時間後において生細胞が確認でき、72時間後に生細胞が確認できなければ、完全な不活化が出来ていた、すなわち、組成物に含まれる全てのがん細胞のうちの100%が不活化出来ていたと判断することができる。一方で、細胞の不活化処理の72時間後に生細胞が確認できた場合は不活化が不完全であったと判断することができ、例えば細胞の不活化処理の72時間後において、組成物に含まれる全てのがん細胞のうち50%の生存が確認できた場合は不活化の程度が50%であったと判断することができる。
 がん細胞の不活化手段は、がん細胞を不活化できる限り特に限定されず、例えば、放射線処理、薬剤処理、加熱処理などが挙げられ、これらの処理のうちの一又は複数であってよい。放射線処理と加熱処理を組み合わせた複合処理を行うことが好ましい。
 がん細胞の不活化手段として放射線処理が用いられる場合、X線による処理、炭素イオン線などの重粒子線による処理、アルファ線による処理、ベータ線による処理、又はガンマ線による処理などが挙げられる。X線による処理の場合、がん細胞を不活化できる限りX線の線量は特に限定されないが、例えば、下限として12Gy以上、25Gy以上、50Gy以上、100Gy以上としてよく、また、上限として100Gy以下、50Gy以下、25Gy以下としてよい。これらの上限と下限を任意で組み合わせて、例えば、12Gy以上かつ100Gy以下、25Gy以上100Gy以下、50Gy以上100Gy以下、12Gy以上50Gy以下、25Gy以上50Gy以下、12Gy以上25Gy以下等であってよい。
 放射線処理の前に細胞数を調整することが好ましい。例えば1×10個/ml~1×10個/ml、5×10個/ml~5×10個/ml等に調整してもよく、1×10個/mlに調整してもよい。
 がん細胞の不活化手段として薬剤処理が用いられる場合、mitomycin c、doxycycline、B/B homodimerizer等のアポトーシス又はネクロトーシスを起こす薬剤による処理等が挙げられる。具体的には、mitomycin cを用いる場合は、例えば、がん細胞を含む液に1.5μg/ml~150μg/ml(例えば15μg/ml)の最終濃度となるようにmitomycin cを添加し、水浴槽で37℃2時間処理することができる。また、doxycyclineを用いる場合は、例えば、がん細胞を含む液に0.1mg/ml~10mg/ml(例えば1mg/ml)の最終濃度となるようにdoxycyclineを添加し、24時間培養することにより処理することができる。また、B/B homodimerizerを用いる場合は、例えば、がん細胞を含む液に1nM~100nM(例えば10nM)の最終濃度となるようにB/B homodimerizerを添加し、24時間培養することにより処理することができる。各薬剤を用いたときの薬剤濃度、反応温度、反応時間等は適宜変更することができる。
 がん細胞の不活化手段として加熱処理が用いられる場合、例えば、細胞を1×10個/mlの濃度以下になるようにPBSに懸濁させた懸濁液を微量遠心管(1.5ml)にいれて、ドライバスインキュベーター上で42℃~55℃(例えば45℃)で30分間処理することができる。反応温度、反応時間等は適宜変更することができる。
 本実施形態において、がん細胞は不活化後一定期間培養してもよい。一定期間培養することにより、不活化されたがん細胞内にDAMPsを蓄積させることができる。ここで、一定期間培養することとは特に限定されないが、例えば、下限として12時間以上、24時間以上、48時間以上、72時間以上培養することであってよく、また、上限として24時間以下、48時間以下、72時間以下培養することであってよい。これらの上限と下限を任意で組み合わせて、例えば、12時間以上かつ24時間以下、12時間以上かつ48時間以下、12時間以上かつ72時間以下、24時間以上かつ48時間以下、24時間以上かつ72時間以下、48時間以上かつ72時間以下等であってよい。
 また、不活化されたがん細胞の培養条件は、そのがん細胞の培養ができる条件である限り特に限定されず、使用する培地、温度、湿度などの条件は限定されない。
 本実施形態において、対象から採取されたがん組織は、単一細胞の状態まで分解した後に放射線処理等によって不活化を行い培養することが好ましいが、がん組織を単一細胞の状態まで分解せずに、細分化、スライスのみした状態またはがん組織そのままの状態で放射線処理等による不活化を行い培養してもよい。
 DAMPs、無針注射器、投与による効果、がん細胞、対象、組成物中のがん細胞の含有量、組成物の投与量、投与経路、形態、剤形等に関する記載は、上述の<ダメージ関連分子パターン(DAMPs)を発現するがん細胞を含む組成物>の項における記載を援用できる。
<放射線照射及び加熱処理により不活化されたがん細胞を含む組成物>
 本開示の他の実施形態は、放射線照射及び加熱処理により不活化されたがん細胞を含む組成物であって、有針注射器によって対象に投与される、前記組成物である。
 がん細胞の不活化手段として、放射線処理と加熱処理を組み合わせた複合処理を行う場合には、無針注射器を用いて対象に投与する場合のみならず、有針注射器を用いて対象に投与する場合にも、がん細胞内のDAMPsが当該がん細胞の外に効率的に放出されることとなる。そして、がん細胞から放出されたDAMPsによって局所的な炎症が生じ、免疫反応が生じる。その結果、樹状細胞のファゴサイトーシスが亢進され、投与された組成物による効率的な細胞性免疫が賦活されると推測される。その後、該組成物の投与部位における局所的な効果のみならず、当該投与部位から遠方に存在するがん細胞に対する細胞性免疫も賦活される。
 すなわち、放射線処理と加熱処理を組み合わせた複合処理を行ったがん細胞を含む組成物を、有針注射器によって対象に投与することによって、アブスコパル効果様の効果を再現性良く生じさせることができ、かつアブスコパル効果様の効果を増強することができる。
 したがって、本実施形態の組成物を有針注射器によって対象に投与することは、がん治療やがん予防などに有用である。手術不能症例や放射線治療が不可能な大腸がん症例などにおいても、アブスコパル効果様の効果を期待できるため本実施形態の組成物を有針注射器によって対象に投与することは有用である。
 がん細胞の不活化手段として放射線処理が用いられる場合、X線による処理、炭素イオン線などの重粒子線による処理、アルファ線による処理、ベータ線による処理、又はガンマ線による処理などが挙げられる。X線による処理の場合、がん細胞を不活化できる限りX線の線量は特に限定されないが、例えば、下限として12Gy以上、25Gy以上、50Gy以上、100Gy以上としてよく、また、上限として100Gy以下、50Gy以下、25Gy以下としてよい。これらの上限と下限を任意で組み合わせて、例えば、12Gy以上かつ100Gy以下、25Gy以上100Gy以下、50Gy以上100Gy以下、12Gy以上50Gy以下、25Gy以上50Gy以下、12Gy以上25Gy以下等であってよい。
 放射線処理の前に細胞数を調整することが好ましい。例えば1×10個/ml~1×10個/ml、5×10個/ml~5×10個/ml等に調整してもよく、1×10個/mlに調整してもよい。
 がん細胞の不活化手段として加熱処理が用いられる場合、例えば、細胞を1×10個/mlの濃度以下になるようにPBSに懸濁させた懸濁液を微量遠心管(1.5ml)にいれて、ドライバスインキュベーター上で42℃~55℃(例えば45℃)で30分間処理することができる。反応温度、反応時間等は適宜変更することができる。
 本実施形態の組成物の投与は、有針注射器を用いて非経口的に行われるものである。例えば、皮内投与、皮下投与、筋層投与が挙げられ、これらの投与経路のうちの一又は複数であってよい。有針注射器の種類は特に限定されず、針のゲージや長さ、針先の形状は、投与部位に応じて通常用いられるものを用いることができる。
 DAMPs、がん細胞、対象、組成物中のがん細胞の含有量、組成物の投与量、形態、剤形等に関する記載は、上述の<ダメージ関連分子パターン(DAMPs)を発現するがん細胞を含む組成物>の項における記載を援用でき、がん細胞の不活化の定義や不活化の程度、不活化後の培養に関しては上述の<不活化されたがん細胞を含む組成物>の項における記載を援用できる。
<がんを治療又は予防するためのがん細胞を含む組成物>
 上述の<ダメージ関連分子パターン(DAMPs)を発現するがん細胞を含む組成物>、<不活化されたがん細胞を含む組成物>又は<放射線照射及び加熱処理により不活化されたがん細胞を含む組成物>の項に記載する組成物はいずれも、がんを治療又は予防するために用いることができる。すなわちこれらの組成物はいずれも医薬組成物として利用することが出来る。
 本実施形態において、がんが治療されたとは、当該組成物を投与した対象において、当該組成物を投与していないコントロール対象又は当該組成物を投与する前の対象と比較して、がん細胞数が減少したこと、がん体積が減少したこと又はがんが完全に消失したこと等により判断することができる。
 本実施形態において、がんの予防とは、例えば、がん未経験の対象ががんになることを予防することであってよく、固形がん摘出後の再発予防又は転移予防であってよい。
 本実施形態の組成物は、がんを治療又は予防するためのワクチンとして使用することもできる。
 前記治療又は予防をするがんは、本実施形態の組成物に含まれるがん細胞の由来元のがんであることが好ましい。がんとしては、例えば、膵臓がん、脳腫瘍、咽頭がん、大腸がん、子宮頸がん、前立腺がん、乳がん、卵巣がん、悪性黒色腫、肺腺がん、肝がん又は腎がん等が挙げられ、これらのがんのうちの一又は複数であってよい。具体的には、治療又は予防の対象となるがんが乳がんであるとき、本実施形態の組成物に含まれるがん細胞は、前記治療又は予防をする乳がんに由来するがん細胞であることが好ましい。
 がん細胞は、前記対象から採取されたがん細胞(すなわち、本実施形態の組成物が投与される対象から採取されたがん細胞)であってもよく、本実施形態の組成物が投与される対象以外の対象から採取されたがん細胞であってもよいが、前者であることが好ましい。
 DAMPs、無針注射器、投与による効果、がん細胞、対象、組成物中のがん細胞の含有量、組成物の投与量、投与経路、形態、剤形、不活化等に関する記載は、上述の<ダメージ関連分子パターン(DAMPs)を発現するがん細胞を含む組成物>、<不活化されたがん細胞を含む組成物>又は<放射線照射及び加熱処理により不活化されたがん細胞を含む組成物>の項における記載を援用できる。
 本実施形態の他の例として、例えば以下のものを挙げることができる:
・ダメージ関連分子パターン(DAMPs)を発現するがん細胞を含む組成物を、無針注射器によって対象に投与することを含む、がんを治療又は予防するための方法;
・不活化されたがん細胞を含む組成物を、無針注射器によって対象に投与することを含む、がんを治療又は予防するための方法;
・がんの治療又は予防において使用するための、無針注射器によって対象に投与される、ダメージ関連分子パターン(DAMPs)を発現するがん細胞を含む組成物;
・がんの治療又は予防において使用するための、無針注射器によって対象に投与される、不活化されたがん細胞を含む組成物;
・無針注射器によって対象に投与される、がんを治療又は予防するための医薬の製造における、ダメージ関連分子パターン(DAMPs)を発現するがん細胞を含む組成物の使用;
・無針注射器によって対象に投与される、がんを治療又は予防するための医薬の製造における、不活化されたがん細胞を含む組成物の使用;
・放射線照射及び加熱処理により不活化されたがん細胞を含む組成物を、有針注射器によって対象に投与することを含む、がんを治療又は予防するための方法;
・がんの治療又は予防において使用するための、有針注射器によって対象に投与される、放射線照射及び加熱処理により不活化されたがん細胞を含む組成物;
・有針注射器によって対象に投与される、がんを治療又は予防するための医薬の製造における、放射線照射及び加熱処理により不活化されたがん細胞を含む組成物の使用。
<がんに対する細胞性免疫を賦活するためのがん細胞を含む組成物>
 上述の<ダメージ関連分子パターン(DAMPs)を発現するがん細胞を含む組成物>、<不活化されたがん細胞を含む組成物>又は<放射線照射及び加熱処理により不活化されたがん細胞を含む組成物>の項に記載する組成物はいずれも、がんに対する細胞性免疫を賦活するために用いることができる。すなわちこれらの組成物はいずれも医薬組成物として利用することが出来る。
 本実施形態の組成物を無針注射器によって対象に投与することによって、有針注射器を使用した場合よりも効率的にがんに対する細胞性免疫を賦活することができる。
 つまり、まず、無針注射器を用いることにより、有針注射器を使用した場合とは異なり、組成物に含まれるがん細胞が、投与と同時にせん断力を受けて傷害を受けるため、がん細胞内のDAMPsが当該がん細胞の外に効率的に放出されることとなる。そして、がん細胞から放出されたDAMPsによって局所的な炎症が生じ、免疫反応が生じる。その結果、樹状細胞のファゴサイトーシスが亢進され、投与された組成物による効率的な細胞性免疫が賦活されると推測される。その後、該組成物の投与部位における局所的な効果のみならず、当該投与部位から遠方に存在するがん細胞に対する細胞性免疫が賦活される。
 DAMPs、無針注射器、投与による効果、がん細胞、対象、組成物中のがん細胞の含有量、組成物の投与量、投与経路、形態、剤形、不活化等に関する記載は、上述の<ダメージ関連分子パターン(DAMPs)を発現するがん細胞を含む組成物>、<不活化されたがん細胞を含む組成物>又は<放射線照射及び加熱処理により不活化されたがん細胞を含む組成物>の項における記載を援用できる。
 本実施形態の他の例として、例えば以下のものを挙げることができる:
・ダメージ関連分子パターン(DAMPs)を発現するがん細胞を含む組成物を、無針注射器によって対象に投与することを含む、がんに対する細胞性免疫を賦活するための方法;
・不活化されたがん細胞を含む組成物を、無針注射器によって対象に投与することを含む、がんに対する細胞性免疫を賦活するための方法;
・がんに対する細胞性免疫の賦活において使用するための、無針注射器によって対象に投与される、ダメージ関連分子パターン(DAMPs)を発現するがん細胞を含む組成物;
・がんに対する細胞性免疫の賦活において使用するための、無針注射器によって対象に投与される、不活化されたがん細胞を含む組成物;
・無針注射器によって対象に投与される、がんに対する細胞性免疫を賦活するための医薬の製造における、ダメージ関連分子パターン(DAMPs)を発現するがん細胞を含む組成物の使用;
・無針注射器によって対象に投与される、がんに対する細胞性免疫を賦活するための医薬の製造における、不活化されたがん細胞を含む組成物の使用;
・放射線照射及び加熱処理により不活化されたがん細胞を含む組成物を、有針注射器によって対象に投与することを含む、がんに対する細胞性免疫を賦活するための方法;
・がんに対する細胞性免疫の賦活において使用するための、有針注射器によって対象に投与される、放射線照射及び加熱処理により不活化されたがん細胞を含む組成物;
・有針注射器によって対象に投与される、がんに対する細胞性免疫を賦活するための医薬の製造における、放射線照射及び加熱処理により不活化されたがん細胞を含む組成物の使用。
<がんを治療又は予防するためのキット>
 本開示の他の実施形態は、上述の無針注射器と上述のがん細胞を含む組成物とを含む、がんを治療又は予防するためのキットである。または上述の有針注射器と上述のがん細胞を含む組成物とを含む、がんを治療又は予防するためのキットである。
 これらのキットは、無針注射器又は有針注射器とがん細胞を含む組成物以外にも、緩衝液や希釈液などを任意で含むことができる。
 以下実施例により、本開示をより詳細に説明するが、本開示の範囲が実施例のみに限定されないことは言うまでもない。
<実施例1 放射線処理後の乳がん細胞のマウスへの投与>
 乳がん細胞である4T1細胞(ATCC(American Type Culture Collection)より入手)を、Gammacell(登録商標)40 Exactorによって線量100Grayの放射線で処理した後、RPMI 1640 complete mediumで24時間培養した。24時間後に細胞を回収して、stem cellbankerにより使用時まで凍結保存した。なお、このとき4T1細胞に対して放射線処理を行ってはいるが、がん細胞の不活化は不十分であった。
 マウス(Balb/c、6週令、オス又はメス)への上記がん細胞の投与前にstem cellbankerで保存した細胞解凍し、PBSで2回洗浄した。有針注射器又は無針注射器を用いてマウスの臀部に1×10個(PBS30μlに懸濁)のがん細胞を皮下投与した。その1週間後、がん細胞の投与部位において腫瘍が発生するかどうかを確認した。
 その結果、有針注射器(図中、Normal syringeと示す)を用いた場合は、いずれのマウスにおいても腫瘍が発生した(図2、N=4)。一方で、無針注射器(図中、DDと示す)を用いた場合は、いずれのマウスにおいても腫瘍の発生は確認できなかった(図2、N=4)。
 また、マウス(Balb/c、6週令、オス又はメス、n=4)への上記がん細胞の投与前にstem cellbankerで保存した細胞解凍し、PBSで2回洗浄した。有針注射器又は無針注射器を用いてマウスの臀部に5×10個(PBS30μlに懸濁)のがん細胞を皮下投与し、その4日後に同様に2回目のがん細胞の投与を行った。2回目の接種が完了した10日後に、次の方法によりがん特異免疫反応を解析した。
 まずそれらのマウスから摘出した脾臓をつぶしてsplenocyteを回収した。SplenocyteをAKC lysing buffer(Gibco)で5分間処理し、PBSで5×10個/mlで2回洗浄した。また、4T1細胞をMitomycin C(Nacalai、15μg/ml)の存在下で3時間37℃の水浴で処理して、その後PBSで2回洗浄した。
 AKC lysing bufferで処理した後のSplenocyteと、Mitomycin Cで処理した後の4T1細胞を10:1の細胞数割合で混合し、RPMI 1640 complete medium with 50μM 2-mercaptoethanol(Nacalai)で48時間培養した。
 培養後、Splenocyteを回収し、5×10個のSplenocyteを、2×10個の4T1細胞と共に、IFN-gamma ELIspot plateに播種し、48時間培養した。培養後、当業者に既知の方法により、そのELIspot plateの呈色反応を行った。
 その結果、放射線処理後の乳がん細胞を、無針注射器によって投与した群(図中、DDと示す)では、有針注射器によって投与した群(図中、Normal syringeと示す)と比較して、より多くの数の呈色反応を確認することができた(図3)。
 すなわち、まず、無針注射器を用いることにより、有針注射器を使用した場合とは異なり、乳がん細胞が、投与と同時にせん断力を受けて傷害を受け、乳がん細胞内のDAMPsが当該乳がん細胞の外に効率的に放出された。そして、乳がん細胞から放出されたDAMPsによって局所的な炎症が生じ、免疫反応が生じた。
 その結果、樹状細胞のファゴサイトーシスが亢進され、投与された組成物による効率的な細胞性免疫が賦活され、その後、該組成物の投与部位における局所的な効果のみならず、当該投与部位から遠方に存在するがん細胞に対する細胞性免疫も賦活された。
<実施例2 放射線処理後の大腸がん細胞のマウスへの投与>
 大腸がん細胞であるMC38細胞(ATCC(American Type Culture Collection)より入手)を、Gammacell(登録商標)40 Exactorによって線量25Grayの放射線で処理した後、DMEM complete medium(DMEM+10%FBS+ペニシリン/ストレプトマイシン)で24時間培養した。24時間後に細胞を回収して、stem cellbankerにより、使用時まで凍結保存した。
 マウス(C57/B6、6週令、オス又はメス)への上記がん細胞の投与前にstem cellbankerで保存した細胞解凍し、PBSで2回洗浄した。有針注射器又は無針注射器を用いてマウスの臀部に1×10個(PBS30μlに懸濁)のがん細胞を皮下投与した。コントロールとしては、放射線照射を行っていない大腸がん細胞を有針注射器又は無針注射器を用いてマウスの臀部にそれぞれ投与した。その1週間後、がん細胞の投与部位において腫瘍が発生するかどうかを確認した。
 その結果、放射線未処理の細胞を有針注射器で投与した群(図中、NLと示す)を用いた場合は、いずれのマウスにおいても腫瘍が発生した(図4、N=5)。一方で、放射線処理後の細胞を有針注射器で投与した群(図中、NDと示す)、放射線未処理の細胞を無針注射器で投与した群(図中、DDLと示す)、及び放射線処理後の細胞を無針注射器で投与した群(図中、DDDと示す)を用いた場合は、いずれのマウスにおいても腫瘍の発生は確認できなかった(図4、各群N=5)。
 また、マウス(C57/B6、6週令、オス又はメス、n=4)への上記がん細胞の投与前にstem cellbankerで保存した細胞解凍し、PBSで2回洗浄した。有針注射器又は無針注射器を用いてマウスの臀部に1×10個(PBS30μlに懸濁)のがん細胞を皮下投与し、その4日後に同様に2回目のがん細胞の投与を行った。2回目の接種が完了した10日後に、次の方法によりがん特異免疫反応を解析した。
 まずそれらのマウスから摘出した脾臓をつぶしてsplenocyteを回収した。SplenocyteをAKC lysing buffer(Gibco)で5分間処理し、PBSで5×10個/mlで2回洗浄した。また、MC38細胞をMitomycin C(Nacalai、15μg/ml)の存在下で3時間37℃の水浴で処理して、その後PBSで2回洗浄した。
 AKC lysing bufferで処理した後のSplenocyteと、Mitomycin Cで処理した後のMC38細胞を10:1の細胞数割合で混合し、RPMI 1640 complete medium with 50μM 2-mercaptoethanol(Nacalai)で48時間培養した。
 培養後、Splenocyteを回収し、5×10個のSplenocyteを、2×10個のMC38細胞と共に、IFN-gamma ELIspot plateに播種し、48時間培養した。培養後、当業者に既知の方法により、そのELIspot plateの呈色反応を行った。
 その結果、放射線処理後の大腸がん細胞を、無針注射器によって投与した群(図中、DDDと示す)では、放射線未処理の細胞を有針注射器で投与した群(図中、NLと示す)、放射線処理後の細胞を有針注射器で投与した群(図中、NDと示す)及び放射線未処理の細胞を無針注射器で投与した群(図中、DDLと示す)と比較して、より多くの数の呈色反応を確認することができた(図5)。すなわち、まず、無針注射器を用いることにより、有針注射器を使用した場合とは異なり、大腸がん細胞が、投与と同時にせん断力を受けて傷害を受け、大腸がん細胞内のDAMPsが当該大腸がん細胞の外に効率的に放出された。そして、大腸がん細胞から放出されたDAMPsによって局所的な炎症が生じ、免疫反応が生じた。
 その結果、樹状細胞のファゴサイトーシスが亢進され、投与された組成物による効率的な細胞性免疫が賦活され、その後、該組成物の投与部位における局所的な効果のみならず、当該投与部位から遠方に存在するがん細胞に対する細胞性免疫も賦活された。
<実施例3 各種がん細胞における放射線照射後のHMGB1発現量の検討>
 乳がん細胞である4T1細胞(ATCC(American Type Culture Collection)より入手)を、Gammacell(登録商標)40 Exactorによって線量100Grayの放射線で処理した後、RPMI 1640 complete mediumで24時間培養した。また、大腸がん細胞であるMC38細胞(ATCC(American Type Culture Collection)より入手)を、Gammacell(登録商標)40 Exactorによって線量25Grayの放射線で処理した後、DMEM complete medium(DMEM+10%FBS+ペニシリン/ストレプトマイシン)で24時間培養した。
 これらの培養細胞に対して、RIPA buffer(Nacalaiより入手)による処理を行うことにより、タンパク質を抽出した。2.5μgの抽出したタンパク質を5~15%ポリアクリルアミド電気泳動(PAGE)により分離した。その後、ウェスタンブロット法により英道後のタンパク質を膜に転写し、検出抗体と反応させた。使用した一次抗体は、HMGB-1(biolegend,direct-blot,clone 3E8,cat;651411)、β-actin(cell signaling,clone 8H10D10,cat3700S)であり、使用した二次抗体は、anti-mouse IgG(cytiva,cat:NA931V)である。抗体反応後、化学発光試薬であるimmunoStar(wako)を用いて化学発光を検出した。その結果を図6に示す。4T1細胞を用いた場合は、Mockと比較して25Gy照射したがん細胞はHMGB-1の発現量が1.04倍となり、50Gy照射したがん細胞はHMGB-1の発現量が1.22倍となった。また、MC38細胞を用いた場合は、Mockと比較して12Gy照射したがん細胞はHMGB-1の発現量が1.41倍となり、25Gy照射したがん細胞はHMGB-1の発現量が1.7倍となった。
<実施例4 放射線及び熱による複合処理後の大腸がん細胞のマウスへの有針注射器による投与>
・放射線処理した細胞の取得
 大腸がん細胞であるMC38細胞(ATCC(American Type Culture Collection)より入手)をDMEM complete medium(DMEM+10%FBS+1%ペニシリン/ストレプトマイシン)で培養した。細胞を80%コンフルエントの状態まで培養して、Gammacell(登録商標)40 Exactorによって線量25Gyの放射線で処理した。その後、trypsin EDTA溶液を2ml添加して、37℃で5分間インキュベートすることにより、プレートから細胞を剥離した。遠心分離し上清を捨て、細胞を回収した。回収した細胞を24時間培養した。24時間後に細胞を回収して、5×10個/mlの細胞濃度となるように凍結保存液であるCellbankerに添加して、-80℃で保存した。
・加熱処理した細胞の取得
 大腸がん細胞であるMC38細胞(ATCC(American Type Culture Collection)より入手)をDMEM complete medium(DMEM+10%FBS+1%ペニシリン/ストレプトマイシン)で培養した。細胞を80%コンフルエントの状態まで培養し、PBS10mlで細胞を洗浄した。trypsin EDTA溶液を2ml添加して、37℃で5分間インキュベート後、細胞が、プレートから剥離していることを確認した。次に遠心分離し上清を捨て、細胞を回収した。DMEM complete medium(DMEM+10%FBS+ペニシリン/ストレプトマイシン)を入れて攪拌し、細胞浮遊液を作成したのち、45℃で30分間加熱処理した。その後、加熱処理した細胞を24時間培養した。24時間後に細胞を回収して、5×10個/mlの細胞濃度となるようにCellbankerに添加して、-80℃で保存した。
・放射線及び熱により複合処理した細胞の取得
 大腸がん細胞であるMC38細胞(ATCC(American Type Culture Collection)より入手)をDMEM complete medium(DMEM+10%FBS+1%ペニシリン/ストレプトマイシン)で培養した。細胞を80%コンフルエントの状態まで培養して、Gammacell(登録商標)40 Exactorによって線量25Grayの放射線で処理した。その後、培地を捨てPBS10mlで細胞を洗浄した。trypsin EDTA溶液を2ml添加して、37℃で5分間インキュベート後、細胞が、プレートから剥離していることを確認した。次に遠心分離し上清を捨て、細胞を回収した。DMEM complete medium(DMEM+10%FBS+1%ペニシリン/ストレプトマイシン)を入れて攪拌し、細胞浮遊液を作成したのち、45℃で30分間加熱処理した。その後遠心分離して、細胞を回収した。回収した細胞をDMEM complete medium(DMEM+10%FBS+1%ペニシリン/ストレプトマイシン)で24時間培養した。24時間後に細胞を回収して、5×10個/mlの細胞濃度となるようにCellbankerに添加して、-80℃で保存した。
 また、上記方法により処理したがん細胞をマウス(C57/B6、6週令、オスまたはメス、n=4)に投与する前に、解凍後、PBSで2回洗浄した。
 有針注射器を用いてマウスの臀部に1×10個(PBS100μlに懸濁)の上記3種類の方法で処理したがん細胞をそれぞれ別のマウスに皮下投与し、その4日後に同様に2回目のがん細胞の投与を行った。2回目の接種が完了した10日後に、次の方法によりがん特異免疫反応を解析した。
 まずそれらのマウスから摘出した脾臓をつぶしてsplenocyteを回収した。SplenocyteをAKC lysing buffer(Gibco)で5分間処理し、PBSで5×10個/mlで2回洗浄した。また、MC38細胞をMitomycin C(Nacalai、15μg/ml)の存在下で3時間37℃の水浴で処理して、その後PBSで2回洗浄した。
 AKC lysing bufferで処理した後のSplenocyteと、Mitomycin Cで処理した後のMC38細胞を10:1の細胞数割合で混合し、RPMI 1640 complete medium with 50μM 2-mercaptoethanol(Nacalai)で48時間培養した。
 培養後、Splenocyteを回収し、5×10個のSplenocyteを、2×10個のMC38細胞と共に、IFN-gamma ELIspot plateに播種し、48時間培養した。培養後、当業者に既知の方法により、そのELIspot plateの呈色反応を行った。
 その結果、放射線処理後の大腸がん細胞、加熱処理後の大腸がん細胞(図7中、それぞれRadiation、Heatと示す)を接種したマウス群でそれぞれIFNγ産生細胞のスポットが確認できた。さらに、放射線処理後に加熱処理を行ったことにより複合処理した大腸がん細胞(図7中、Mixと示す)を接種したマウス群でより多くの数の呈色反応を確認することができた(図7)。すなわち、放射線処理と加熱処理に複合効果があることが確認できた。
<実施例5 放射線及び熱による複合処理後の大腸がん細胞のマウスへの有針及び無針注射器投与>
 放射線及び熱により複合処理した細胞を以下の手法により取得した。大腸がん細胞であるMC38細胞(ATCC(American Type Culture Collection)より入手)をDMEM complete medium(DMEM+10%FBS+1%ペニシリン/ストレプトマイシン)で培養した。細胞を80%コンフルエントの状態まで培養して、Gammacell(登録商標)40 Exactorによって線量25Grayの放射線で処理した。その後、培地を捨てPBS10mlで細胞を洗浄した。trypsin EDTA溶液を2ml添加して、37℃で5分間インキュベート後、細胞が、プレートから剥離していることを確認した。次に遠心分離し上清を捨て、細胞を回収した。DMEM complete medium(DMEM+10%FBS+1%ペニシリン/ストレプトマイシン)を入れて攪拌し、細胞浮遊液を作成したのち、45℃で30分間加熱処理した。その後遠心分離して、細胞を回収した。回収した細胞をDMEM complete medium(DMEM+10%FBS+1%ペニシリン/ストレプトマイシン)で24時間培養した。24時間後に細胞を回収して、5×10個/mlの細胞濃度となるようにCellbankerに添加して、-80℃で保存した。
 また、上記方法で処理したがん細胞をマウス(C57/B6、6週令、オス又はメス、n=4)に投与する前に、解凍後、PBSで2回洗浄した。
 有針注射器もしくは無針注射器を用いてマウスの臀部に1×10個(有針注射器の場合PBS100μlに懸濁;無針注射器の場合PBS30μlに懸濁)の上記方法で複合処理したがん細胞をそれぞれ別のマウスに皮下投与し、その4日後に同様に2回目のがん細胞の投与を行った。2回目の接種が完了した10日後に、次の方法によりがん特異免疫反応を解析した。
 まずそれらのマウスから摘出した脾臓をつぶしてsplenocyteを回収した。SplenocyteをAKC lysing buffer(Gibco)で5分間処理し、PBSで5×10個/mlで2回洗浄した。また、MC38細胞をMitomycin C(Nacalai、15μg/ml)の存在下で3時間37℃の水浴で処理して、その後PBSで2回洗浄した。
 AKC lysing bufferで処理した後のSplenocyteと、Mitomycin Cで処理した後のMC38細胞を10:1の細胞数割合で混合し、RPMI 1640 complete medium with 50μM 2-mercaptoethanol(Nacalai)で48時間培養した。
 培養後、Splenocyteを回収し、5×10個のSplenocyteを、2×10個のMC38細胞と共に、IFN-gamma ELIspot plateに播種し、48時間培養した。培養後、当業者に既知の方法により、そのELIspot plateの呈色反応を行った。
 その結果、上記方法で複合処理した大腸がん細胞を有針注射器で接種したマウス群(図8中、Normal syringeと示す)よりも、無針注射器(図8中、DDと示す)で接種したマウス群で、より多くの数の呈色反応を確認することができた(図8)。すなわち、放射線及び熱により複合処理した細胞を用いた場合においても、無針注射器で投与することによって、より効率的に細胞性免疫が惹起されることが示された。
 1・・・・注射器、2・・・・ハウジング、3・・・・シリンジ部、4・・・・プランジャ、5・・・・ピストン、6・・・・注射器本体、7・・・・駆動部、8・・・・ボタン、9・・・・バッテリ、10・・・・注射器組立体、31・・・・ノズル部、31a・・・射出口、32・・・・収容部、71・・・・点火器

Claims (15)

  1.  ダメージ関連分子パターン(DAMPs)を発現するがん細胞を含む組成物であって、無針注射器によって対象に投与される、前記組成物。
  2.  前記DAMPsが、少なくともHMGB1を含む、請求項1に記載の組成物。
  3.  不活化されたがん細胞を含む組成物であって、無針注射器によって対象に投与される、前記組成物。
  4.  前記がん細胞の不活化が、放射線照射、薬剤投与又は加熱処理により行われたものである、請求項3に記載の組成物。
  5.  前記がん細胞の不活化が、放射線照射及び加熱処理により行われたものである、請求項4に記載の組成物。
  6.  前記がん細胞が、不活化後一定期間培養されたものである、請求項3に記載の組成物。
  7.  前記組成物に含まれるがん細胞が、固形がんに由来するがん細胞である、請求項1~6の何れか一項に記載の組成物。
  8.  前記固形がんが、膵臓がん、脳腫瘍、咽頭がん、大腸がん、子宮頸がん、前立腺がん、乳がん、卵巣がん、悪性黒色腫、肺腺がん、肝がん又は腎がんである、請求項7に記載の組成物。
  9.  前記がん細胞が、前記対象から採取されたがん細胞である、請求項1~6の何れか一項に記載の組成物。
  10.  がんを治療又は予防するための、請求項1~6の何れか一項に記載の組成物。
  11.  前記治療又は予防をするがんが、前記組成物に含まれるがん細胞の由来元であるがんである、請求項10に記載の組成物。
  12.  がんに対する細胞性免疫を賦活するための、請求項1~6の何れか一項に記載の組成物。
  13.  無針注射器と請求項1~6の何れか一項に記載の組成物とを含む、がんを治療又は予防するためのキット。
  14.  放射線照射及び加熱処理により不活化されたがん細胞を含む組成物であって、有針注射器によって対象に投与される、前記組成物。
  15.  有針注射器と請求項14に記載の組成物とを含む、がんを治療又は予防するためのキット。
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JP2012061269A (ja) * 2010-09-17 2012-03-29 Daicel Corp 注射器
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PODOLSKA MALGORZATA J., SHAN XIAOMEI, JANKO CHRISTINA, BOUKHERROUB RABAH, GAIPL UDO S., SZUNERITS SABINE, FREY BENJAMIN, MUÑOZ LUI: "Graphene-Induced Hyperthermia (GIHT) Combined With Radiotherapy Fosters Immunogenic Cell Death", FRONTIERS IN ONCOLOGY, FRONTIERS RESEARCH FOUNDATION, CH, vol. 11, 16 August 2021 (2021-08-16), CH , pages 664615, XP093133452, ISSN: 2234-943X, DOI: 10.3389/fonc.2021.664615 *

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