WO2023191046A1

WO2023191046A1 - Ｈｒｇに対するモノクローナル抗体を用いたｈｒｇの測定方法

Info

Publication number: WO2023191046A1
Application number: PCT/JP2023/013531
Authority: WO
Inventors: 崇興内海; 規央太田; 洋子井上; 裕史西; 賢一下迫; 正洋西堀; 博史森松
Original assignee: 塩野義製薬株式会社; 国立大学法人岡山大学
Priority date: 2022-03-31
Filing date: 2023-03-31
Publication date: 2023-10-05

Abstract

本発明が解決しようとする課題は、被検試料中のＨＲＧを特異的に検出・捕捉できるモノクローナル抗体、およびそれらのセット（組合せ）、それらを用いたＨＲＧの測定方法を提供することである。本発明者らは、鋭意研究の結果、被検試料中のＨＲＧを良好な感度及び特異性をもって検出及び捕捉できる抗体、それらのセット、それらを用いたＨＲＧの測定方法を見出すことにより、本発明を完成するに至った。

Description

ＨＲＧに対するモノクローナル抗体を用いたＨＲＧの測定方法

　本発明は、ヒスチジンリッチ糖タンパク質（Ｈｉｓｔｉｄｉｎｅ―ｒｉｃｈ　ｇｌｙｃｏｐｒｏｔｅｉｎ、以下、単に「ＨＲＧ」という場合がある。）に対するモノクローナル抗体、それらのセット（組合せ）、それらを用いたＨＲＧの測定方法に関する。

　ヒスチジンリッチ糖タンパク質（Ｈｉｓｔｉｄｉｎｅ―ｒｉｃｈ　ｇｌｙｃｏｐｒｏｔｅｉｎ）は、１９７２年にＨｅｉｍｂｕｒｇｅｒ　ｅｔ　ａｌ　（１９７２）によって同定された分子量約８０ｋＤａの血漿タンパク質である。合計５０７個のアミノ酸より構成され、そのうちヒスチジンが６６残基存在する高ヒスチジン含有タンパク質であり、主として肝臓で合成され、約１００～１５０μｇ／ｍＬという非常に高いと考えられる濃度でヒト血漿中に存在する。ヒスチジンリッチ糖タンパク質は、凝固線溶系の調節や血管新生の制御に関与していることが知られている（非特許文献１）。

　血中のヒスチジンリッチ糖タンパク質を敗血症患者と健常人とで比較すると、敗血症患者において有意に低いことが知られている（特許文献１）。

　特許文献１は、ＨＲＧに対するモノクローナル抗体を捕捉抗体として、ＮｉＮＴＡ－ＨＲＰプローブをＨＲＧの検出に用いた血中ＨＲＧの測定方法を開示している。しかし、本法による測定はバックグランドが高く、感度が低いものであり、特に検出系がＮｉＮＴＡであり、ＨＲＧ以外のヒスチジンを多数含むアミノ酸配列を検出してしまう問題がある。また、ＳｉｎｏＢｉｏｌｏｇｉｃａｌ社やＲａｙｂｉｏｔｅｃｈ社からＨＲＧ検出キットが市販されているが、バックグランドや検出感度の点で十分ではない。

ＷＯ２０１３／１８３４９４

Ｂｌｏｏｄ，　Ｖｏｌ．１１７，　Ｎｏ．７，　２０９３－２１０１　（２０１１）

　本発明が解決しようとする課題は、被検試料中のＨＲＧを特異的に検出・捕捉できるモノクローナル抗体、およびそれらのセット（組合せ）、それらを用いたＨＲＧの測定方法を提供することである。

　本発明者らは、鋭意研究の結果、被検試料中のＨＲＧを良好な感度及び特異性をもって検出及び捕捉できる抗体、それらのセット、それらを用いたＨＲＧの測定方法を見出すことにより、本発明を完成するに至った。

　すなわち本発明は、
（１）下記１）～６）：
１）配列番号４１のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ１、
配列番号４２のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ２、及び
配列番号４３のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ３を含む重鎖可変領域、
並びに、
配列番号７のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ１、
配列番号４５のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ２、及び
配列番号９のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ３を含む軽鎖可変領域、
２）配列番号３３のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ１、
配列番号３４のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ２、及び
配列番号３５のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ３を含む重鎖可変領域、
並びに、
配列番号３７のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ１、
配列番号３８のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ２、及び
配列番号３９のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ３を含む軽鎖可変領域、
３）配列番号３のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ１、
配列番号４のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ２、及び
配列番号５のアミノ酸配列かにおいて１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列らなるＣＤＲ３を含む重鎖可変領域、
並びに、
配列番号７のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ１、
配列番号８のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ２、及び
配列番号９のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ３を含む軽鎖可変領域、
４）配列番号１１のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ１、
配列番号１２のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ２、及び
配列番号１３のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ３を含む重鎖可変領域、
並びに、
配列番号１５のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ１、
配列番号１６のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ２、及び
配列番号１７のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ３を含む軽鎖可変領域、
５）配列番号２１のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ１、
配列番号２２のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ２、及び
配列番号２３のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ３を含む重鎖可変領域、
並びに、
配列番号２５のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ１、
配列番号２６のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ２、及び
配列番号２７のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ３を含む軽鎖可変領域、
６）配列番号１１のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ１、
配列番号２９のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ２、及び
配列番号１３のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ３を含む重鎖可変領域、
並びに、
配列番号１５のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ１、
配列番号３１のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ２、及び
配列番号１７のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ３を含む軽鎖可変領域、
のいずれかに記載の重鎖可変領域並びに軽鎖可変領域を含む、ＨＲＧに対するモノクローナル抗体又はその抗体断片。
（２）下記１）～７）：
１）配列番号４０のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び
配列番号４４のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域、
２）配列番号３２のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び
配列番号３６のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域、
３）配列番号２のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び
配列番号６のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域、
４）配列番号１０のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び
配列番号１４のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域、
５）配列番号１８のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び
配列番号１９のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域、
６）配列番号２０のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び
配列番号２４のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域、
７）配列番号２８のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び、
配列番号３０のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域、
のいずれかに記載の重鎖可変領域並びに軽鎖可変領域を含む、（１）記載のモノクローナル抗体又はその抗体断片。
（３）以下の１）又は２）から選択される、被検試料中のＨＲＧを測定に用いるための、ＨＲＧに対するモノクローナル抗体若しくはその抗体断片のセット。
１）捕捉抗体が、
配列番号４１のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ１、
配列番号４２のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ２、及び
配列番号４３のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ３を含む重鎖可変領域、
並びに、
配列番号７のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ１、
配列番号４５のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ２、及び
配列番号９のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ３を含む軽鎖可変領域を含む、ＨＲＧに対するモノクローナル抗体又はその抗体断片であり、
検出抗体が、以下（ｉ）から（ｉｖ）のいずれかに記載の重鎖可変領域並びに軽鎖可変領域を含む、ＨＲＧに対するモノクローナル抗体又はその抗体断片である。
（ｉ）配列番号１１のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ１、
配列番号１２のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ２、及び
配列番号１３のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ３を含む重鎖可変領域、
並びに、
配列番号１５のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ１、
配列番号１６のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ２、及び
配列番号１７のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ３を含む軽鎖可変領域、
（ｉｉ）配列番号２１のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ１、
配列番号２２のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ２、及び
配列番号２３のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ３を含む重鎖可変領域、
並びに、
配列番号２５のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ１、
配列番号２６のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ２、及び
配列番号２７のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ３を含む軽鎖可変領域、
（ｉｉｉ）配列番号１１のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ１、
配列番号２９のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ２、及び
配列番号１３のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ３を含む重鎖可変領域、
並びに、
配列番号１５のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ１、
配列番号３１のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ２、及び
配列番号１７のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ３を含む軽鎖可変領域、
（ｉｖ）配列番号３３のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ１、
配列番号３４のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ２、及び
配列番号３５のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ３を含む重鎖可変領域、
並びに、
配列番号３７のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ１、
配列番号３８のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ２、及び
配列番号３９のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ３を含む軽鎖可変領域、
２）捕捉抗体が、
配列番号３のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ１、
配列番号４のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ２、及び
配列番号５のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ３を含む重鎖可変領域、
並びに、
配列番号７のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ１、
配列番号８のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ２、及び
配列番号９のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ３を含む軽鎖可変領域を含む、ＨＲＧに対するモノクローナル抗体又はその抗体断片であり、
検出抗体が、以下（ｉ）から（iii）のいずれかに記載の重鎖可変領域並びに軽鎖可変領域を含む、ＨＲＧに対するモノクローナル抗体又はその抗体断片である。
（ｉ）配列番号１１のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ１、
配列番号１２のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ２、及び
配列番号１３のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ３を含む重鎖可変領域、
並びに、
配列番号１５のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ１、
配列番号１６のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ２、及び
配列番号１７のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ３を含む軽鎖可変領域、
（ｉｉ）配列番号１１のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ１、
配列番号２９のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ２、及び
配列番号１３のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ３を含む重鎖可変領域、
並びに、
配列番号１５のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ１、
配列番号３１のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ２、及び
配列番号１７のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ３を含む軽鎖可変領域、
（iii）配列番号３３のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ１、
配列番号３４のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ２、及び
配列番号３５のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ３を含む重鎖可変領域、
並びに、
配列番号３７のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ１、
配列番号３８のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ２、及び
配列番号３９のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ３を含む軽鎖可変領域。
（３－１）１）捕捉抗体が、
配列番号４１のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ１、
配列番号４２のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ２、及び
配列番号４３のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ３を含む重鎖可変領域、並びに、
配列番号７のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ１、
配列番号４５のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ２、及び
配列番号９のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ３を含む軽鎖可変領域を含む、ＨＲＧに対するモノクローナル抗体又はその抗体断片であり、
検出抗体が、以下（ｉｖ）に記載の重鎖可変領域並びに軽鎖可変領域を含む、ＨＲＧに対するモノクローナル抗体又はその抗体断片である（３）記載のＨＲＧに対するモノクローナル抗体若しくはその抗体断片のセット。
（ｉｖ）配列番号３３のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ１、
配列番号３４のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ２、及び
配列番号３５のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ３を含む重鎖可変領域、
並びに、
配列番号３７のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ１、
配列番号３８のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ２、及び
配列番号３９のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ３を含む軽鎖可変領域。
（４）以下の１）又は２）から選択される、（３）記載のモノクローナル抗体若しくはその抗体断片のセット。
１）捕捉抗体が、
配列番号４０のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び
配列番号４４のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含む、ＨＲＧに対するモノクローナル抗体又はその抗体断片であり、
検出抗体が、以下（ｉ）から（ｖ）のいずれかに記載の重鎖可変領域並びに軽鎖可変領域を含む、ＨＲＧに対するモノクローナル抗体又はその抗体断片のいずれかである。
（ｉ）配列番号１０のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び
配列番号１４のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域、
（ｉｉ）配列番号１８のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び
配列番号１９のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域、
（ｉｉｉ）配列番号２０のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び
配列番号２４のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域、
（ｉｖ）配列番号２８のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び
配列番号３０のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域、
（ｖ）配列番号３２のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び
配列番号３６のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域、
２）捕捉抗体が、
配列番号２のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び
配列番号６のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含む、ＨＲＧに対するモノクローナル抗体又はその抗体断片であり、
検出抗体が、以下（ｉ）から（ｉｖ）のいずれかに記載の重鎖可変領域並びに軽鎖可変領域を含む、ＨＲＧに対するモノクローナル抗体又はその抗体断片のいずれかである。
（ｉ）配列番号１０のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び
配列番号１４のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域、
（ｉｉ）配列番号１８のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び
配列番号１９のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域、
（ｉｉｉ）配列番号２８のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び
配列番号３０のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含む、ＨＲＧに対するモノクローナル抗体又はその抗体断片、
（ｉｖ）配列番号３２のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び
配列番号３６のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域。
（４－１）１）捕捉抗体が、
配列番号４０のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び
配列番号４４のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含む、ＨＲＧに対するモノクローナル抗体又はその抗体断片であり、
検出抗体が、以下（ｖ）に記載の重鎖可変領域並びに軽鎖可変領域を含む、ＨＲＧに対するモノクローナル抗体又はその抗体断片のいずれかである（４）記載のモノクローナル抗体若しくはその抗体断片のセット。
（ｖ）配列番号３２のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び
配列番号３６のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域。
（５）（１）又は（２）に記載のモノクローナル抗体若しくはその抗体断片又は（３）、（４）、（３－１）又は（４－１）に記載のモノクローナル抗体若しくはその抗体断片のセットを含む被検試料中のＨＲＧの検出又は定量のためのキット。
（６）前記の被検試料中のＨＲＧの検出又は定量が、酵素免疫測定法（ＥＬＩＳＡまたはＥＩＡ）、蛍光免疫測定法（ＦＩＡ）、放射免疫測定法（ＲＩＡ）、化学発光免疫測定法から選択されるいずれかの免疫測定法によるものである（５）記載のキット。
（７）前記免疫測定法がサンドイッチＥＬＩＳＡ法である、（６）記載のキット。
（８）被検試料が血液である、（７）記載のキット。
（９）敗血症の検出のための、（８）記載のキット。
（１０）捕捉抗体及び検出抗体を用いて被検試料中のＨＲＧを測定する方法であって、
捕捉抗体とＨＲＧと検出抗体とを含むサンドイッチ免疫複合体を形成する工程を含み、
前記捕捉抗体が、
配列番号４１のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ１、
配列番号４２のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ２、及び
配列番号４３のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ３を含む重鎖可変領域、
並びに、
配列番号７のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ１、
配列番号４５のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ２、及び
配列番号９のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ３を含む軽鎖可変領域を含む、ＨＲＧに対するモノクローナル抗体又はその抗体断片であり、
前記検出抗体が、
配列番号３３のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ１、
配列番号３４のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ２、及び
配列番号３５のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ３を含む重鎖可変領域、
並びに、
配列番号３７のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ１、
配列番号３８のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ２、及び
配列番号３９のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ３を含む軽鎖可変領域を含む、ＨＲＧに対するモノクローナル抗体又はその抗体断片である、
被検試料中のＨＲＧの測定方法。
（１１）前記捕捉抗体が、
配列番号４０のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び、
配列番号４４のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含む、ＨＲＧに対するモノクローナル抗体又はその抗体断片であり、
前記検出抗体が、
配列番号３２のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び、
配列番号３６のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含む、ＨＲＧに対するモノクローナル抗体又はその抗体断片である、（１０）記載の測定方法。
（１２）敗血症の検出のための、（１０）又は（１１）記載の測定方法。
（１３）配列番号１で示されるアミノ酸配列からなるＨＲＧの３０５位～４１０位のアミノ酸配列中に含まれる異なるエピトープに特異的に結合する２つの異なる抗体を用いることを特徴とする、被検試料中のＨＲＧの測定方法。
（１４）異なるエピトープの一方が、配列番号１で示されるアミノ酸配列からなるＨＲＧの３０５～３２５位のアミノ酸配列を含むエピトープである、（１３）記載の測定方法。
（１４－１）異なるエピトープの一方が、配列番号１で示されるアミノ酸配列からなるＨＲＧの３１１～３１９位のアミノ酸配列を含むエピトープである、（１３）記載の測定方法。
（１５）異なるエピトープの一方が、配列番号１で示されるアミノ酸配列からなるＨＲＧの３９１～４１９位のアミノ酸配列を含むエピトープである、（１４）記載の測定方法。
（１５－１）異なるエピトープの一方が、配列番号１で示されるアミノ酸配列からなるＨＲＧの４００～４１０位のアミノ酸配列を含むエピトープである、（１４－１）記載の測定方法。
（１６）前記の２つの異なる抗体が、
配列番号４１のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ１、
配列番号４２のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ２、及び
配列番号４３において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列のアミノ酸配列からなるＣＤＲ３を含む重鎖可変領域、
並びに、
配列番号７のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ１、
配列番号４５のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ２、及び
配列番号９のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ３を含む軽鎖可変領域を含む、ＨＲＧに対するモノクローナル抗体又はその抗体断片、並びに
配列番号３３のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ１、
配列番号３４のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ２、及び
配列番号３５のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ３を含む重鎖可変領域、
並びに
配列番号３７のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ１、
配列番号３８のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ２、及び配列番号３９のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ３を含む軽鎖可変領域を含む、ＨＲＧに対するモノクローナル抗体又はその抗体断片、
の組合せである、（１３）～（１５）、（１４－１）又は（１５－１）のいずれかに記載の測定方法。
（１７）２つの異なる抗体が、
配列番号４０のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び、
配列番号４４のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含む、ＨＲＧに対するモノクローナル抗体又はその抗体断片、並びに
配列番号３２のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び、
配列番号３６のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含む、ＨＲＧに対するモノクローナル抗体又はその抗体断片、
の組合せである、（１６）記載の測定方法。
（１８）被検試料中のＨＲＧの測定方法がサンドイッチＥＬＩＳＡ法である、（１３）～（１７）、（１４－１）又は（１５－１）のいずれかに記載の測定方法。
（１９）被検試料が血液である、（１８）記載の測定方法。
（２０）敗血症の検出のための、（１９）記載の測定方法。
（２１）捕捉抗体と検出抗体との組合せを含むＨＲＧに対するモノクローナル抗体又はその抗体断片のセットを用いた、被検試料中のＨＲＧを測定する方法であって、
（a）被検試料と固相に固定された捕捉抗体とを、前記捕捉抗体と同種の抗体又はその抗体断片を含む反応液（捕捉抗体－被検試料反応液）中で反応させ、固相に固定された捕捉抗体とＨＲＧとを含む免疫複合体を生成する工程；及び
（b）工程（a）で生成された前記免疫複合体を、検出抗体を用いて測定する工程、
を含む、
被検試料中のＨＲＧを測定する方法。
（２２）前記のセットが、（３）、（４）、（３－１）又は（４－１）のいずれかに記載のモノクローナル抗体若しくはその抗体断片のセットである、（２１）に記載の測定方法。
（２３）見かけの検出感度を減弱させるための、（２１）又は（２２）に記載の方法。
（２４）前記の免疫複合体を生成する工程の前に、被検試料を希釈する工程をさらに含み、前記被検試料を希釈する際の希釈倍率を低下させるための、（２１）～（２３）のいずれかに記載の測定方法。
（２５）捕捉抗体－被検試料反応液に加えるための捕捉抗体と同種の抗体又はその抗体断片を含む、（５）記載のキット。
（２６）（３）、（４）、（３－１）又は（４－１）のいずれかに記載のモノクローナル抗体若しくはその抗体断片のセット含む（２５）記載のキット。
（２７）前記キットにおける前記反応液中の抗体の濃度が１．５～５０μg/mLである（２５）又は（２６）記載のキット。
（２８）前記（２１）の測定方法を記載した書面を含む、（２５）～（２７）記載のキット。

　本発明のモノクローナル抗体は、被検試料中のＨＲＧを良好な感度及び特異性で検出及び／又は捕捉することができる。これにより、被検試料中のＨＲＧの量的な変化を正確に捉えることができ、敗血症などのＨＲＧの変化をもたらす原因となる疾患によるＨＲＧの変化の検出を可能とし、ＨＲＧの変化をもたらす原因となる疾患の診断に応用できるという優れた効果を奏するものである。

健常者検体８例および敗血症患者検体１２例についての血漿中のＨＲＧ濃度の箱ひげ図である。左図が捕捉抗体：７５－２Ｄ、検出抗体：６－１２Ａ－１０Ｂ－９Ｇの組合せであり、右図が捕捉抗体：７５－２Ｄ、検出抗体：５０－６Ｃ－２Ａの組合せである。なお、縦軸が血漿中のＨＲＧ濃度（μｇ／ｍＬ）であり、Ｏｕｔｌｉｅｒｓの数字は箱ひげ図からの外れ値の個数を示し、Ａｖｇは、各群のＨＲＧ濃度（μｇ／ｍＬ）の平均値を示す（図２から５も同じ）。健常者検体８例および敗血症患者検体１２例についての血漿中のＨＲＧ濃度の箱ひげ図である。左図が捕捉抗体：７５－２Ｄ、検出抗体：６５－３Ａの組合せであり、左図が捕捉抗体：７５－２Ｄ、検出抗体：６７－８Ａ－５Ｆの組合せである。健常者検体８例および敗血症患者検体１２例についての血漿中のＨＲＧ濃度の箱ひげ図であり、捕捉抗体：７５－２Ｄ、検出抗体：６９－１Ａの組合せの図である。健常者検体８例および敗血症患者検体１２例についての血漿中のＨＲＧ濃度の箱ひげ図である。左図が捕捉抗体：３－４Ｅ、検出抗体６－１２Ａ－１０Ｂ－９Ｇの組合せであり、右図が捕捉抗体：３－４Ｅ、検出抗体：５０－６Ｃ－２Ａの組合せである。健常者検体８例および敗血症患者検体１２例についての血漿中のＨＲＧ濃度の箱ひげ図である。左図が捕捉抗体：３－４Ｅ、検出抗体：６７－８Ａ－５Ｆの組合せであり、右図が捕捉抗体：３－４Ｅ、検出抗体：６９－１Ａの組合せである。７５－２Ｄで免疫沈降した健常者血漿（８検体：Ｈ１－００１～Ｈ１－００８）サンプルを抗ＨＲＧ抗体でウェスタンブロット（ＷＢ）解析した結果である。なお、精製ヒトＨＲＧのレーンは実施例１記載の精製ヒトＨＲＧをそのままＷＢに供したものである。７５－２Ｄ、６－１２Ａ－１０Ｂ－９Ｇ又は６９－１Ａで免疫沈降した健常者血漿（Ｈ１－００３）、健常者血漿（Ｈ１－００３）と精製ヒトＨＲＧとの混合物、健常者血漿（Ｈ１－００４）を抗ＨＲＧ抗体でＷＢ解析した結果である。なお、精製ヒトＨＲＧのレーンは実施例１記載の精製ヒトＨＲＧをそのままＷＢに供したものである。捕捉抗体（７５－２Ｄ）、検出抗体（６９－１Ａ）を組合せとするサンドイッチＥＬＩＳＡ法の標準曲線である。各標準曲線は、抗体添加緩衝液に添加した抗体（７５－２Ｄ）の濃度が、０、１．５、５、１５、５０μｇ／ｍＬの５濃度に対するものを示す。なお、縦軸が４５０ｎｍの吸光度であり、横軸はＨＲＧ濃度（μｇ／ｍＬ）を示す。捕捉抗体（７５－２Ｄ）、検出抗体（６９－１Ａ）を組合せとするサンドイッチＥＬＩＳＡ法の標準曲線である。各標準曲線は、抗体添加緩衝液に添加した抗体（７５－２Ｄ）の濃度が、３、４、５、７、１０μｇ／ｍＬの５濃度に対するものを示す。

　本発明の抗体の抗原であるヒトヒスチジンリッチ糖タンパク質（ＨＲＧ）は、５２５アミノ酸残基からなるヒトヒスチジンリッチ糖タンパク質前駆体（ＮＣＢＩアクセッション番号：ＮＰ＿０００４０３．１、配列番号１）の１－１８位の分泌シグナルペプチドが切断されて生じる、５０７アミノ酸残基からなるペプチドである。本明細書において、ヒトヒスチジンリッチ糖タンパク質のアミノ酸残基番号は、その前駆体であるヒトヒスチジンリッチ糖タンパク質前駆体の残基番号で表す。

　本発明のＨＲＧに対するモノクローナル抗体とは、ＨＲＧ、好ましくはヒト由来のＨＲＧに特異的に結合するモノクローナル抗体であって、ＨＲＧに特異的に結合し、被検試料中のＨＲＧを良好な感度及び特異性で検出又は捕捉することができるモノクローナル抗体をいう。なお、本発明のＨＲＧに対するモノクローナル抗体は配列番号１のアミノ酸からなるＨＲＧの１９位～５２５位の５０７個のアミノ酸からなるペプチドの部分に結合する。

　本明細書において、抗体が「ＨＲＧに特異的に結合」するとは、抗体のＨＲＧに対する結合活性が、それ以外の抗原に対する結合活性と比べて、例えば、好ましくは２倍以上、３倍以上、５倍以上、より好ましくは１０倍以上、２０倍以上、３０倍以上、さらに好ましくは５０倍以上、１００倍以上高いことを意味する。抗原に対する抗原結合分子の結合活性は、ＥＬＩＳＡやＦＡＣＳ、Ｂｉａｃｏｒｅなどの当業者に公知の方法により測定および比較することができる。たとえば、本明細書の実施例１又は２の方法で測定することも可能である。

　本発明の抗体は、ヒトヒスチジンリッチ糖タンパク質（ＨＲＧ）の全長又は一部断片を含む抗原タンパク質を用いて、公知の抗体の製造法に従って製造することができる。これらの抗原タンパク質は、公知のタンパク質発現ならびに精製法によって調製することができる。

　モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマクローンのスクリーニングは、ハイブリドーマ細胞を、例えばマイクロタイタープレート中で培養し、増殖の見られたウェルの培養上清中の抗体を回収し、得られた抗体の前述のマウス免疫感作で用いた本発明の抗原に対する反応性を、ＲＩＡ、ＥＬＩＳＡ、ＦＡＣＳ等の測定法によって測定し、当該抗原あるいはハプテンに対して特異的結合を示すモノクローナル抗体を産生するクローンを選択することによって行うことができる。その場合、抗原を固相化しそこに結合する培養上清中の抗体を、放射性物質、蛍光物質、酵素などで標識した二次抗体で検出する方法を用いることができる。また、抗原の発現細胞を用いる場合には、該細胞にハイブリドーマ培養上清を添加し、次に蛍光で標識した二次抗体を反応させた後、フローサイトメーター等の蛍光検出装置で該細胞の蛍光強度を測定することにより、該細胞膜上の本発明の抗原に結合できるモノクローナル抗体を検出することができる。

　選択したハイブリドーマからのモノクローナル抗体の製造は、ハイブリドーマをｉｎ　ｖｉｔｒｏで培養するか、またはマウス、ラット、モルモット、ハムスターまたはウサギ等、好ましくはマウスまたはラット、より好ましくはマウスの腹水中等で培養し、得られた培養上清、または哺乳動物の腹水から単離することにより行うことができる。ｉｎ　ｖｉｔｒｏで培養する場合には、培養する細胞種の特性、試験研究の目的及び培養方法等の種々条件に合わせて、ハイブリドーマを増殖、維持及び保存し、培養上清中にモノクローナル抗体を産生させるために用いられる既知栄養培地あるいは既知の基本培地から調製されるあらゆる栄養培地を用いて実施することが可能である。

　基本培地としては、例えば、Ｄ－ＭＥＭ培地、ＲＰＭＩ１６４０培地、ＩＭＤＭ培地、ＡＳＦ１０４培地等が挙げられ、該基本培地には、目的に応じて、例えば血清、ホルモン、サイトカイン及び／または種々無機あるいは有機物質等を含有させることができる。

　モノクローナル抗体の単離、精製は、上述の培養上清あるいは腹水を、飽和硫酸アンモニウム、イオン交換クロマトグラフィー（ＤＥＡＥまたはＤＥ５２等）、抗イムノグロブリンカラムあるいはプロテインＡカラム等のアフィニティカラムクロマトグラフィーに供すること等により行うことができる。

　本発明の抗体として、抗体遺伝子を抗体産生細胞、例えばハイブリドーマからクローニングし、適当なベクターに組み込んで、これを宿主細胞に導入し、遺伝子組換え技術を用いて産生させた組換え型抗体を用いることができる（例えば、Ｃａｒｌら、ＴＨＥＲＡＰＥＵＴＩＣＭＯＮＯＣＬＯＮＡＬ　ＡＮＴＩＢＯＤＩＥＳ、１９９０年発行）。

　具体的には、目的とする抗体を産生するハイブリドーマや抗体を産生する免疫細胞、例えば感作リンパ球等を癌遺伝子等により不死化させた細胞から、抗体の可変領域（Ｖ領域）をコードするｍＲＮＡを単離する。ｍＲＮＡの単離は、公知の方法、例えばグアニジン超遠心法（Ｃｈｉｒｇｗｉｎ、Ｊ．Ｍ．ら、Ｂｉｏｃｈｅｍｉｓｔｒｙ(１９７９) １８、５２９４-５２９９)等により全ＲＮＡを調製し、ｍＲＮＡ　Ｐｕｒｉｆｉｃａｔｉｏｎ　Ｋｉｔ（ファルマシア製）等を使用してｍＲＮＡを調製する。

　得られたｍＲＮＡから逆転写酵素を用いて抗体Ｖ領域のｃＤＮＡを合成する。ｃＤＮＡの合成は、ＡＭＶ　Ｒｅｖｅｒｓｅ　Ｔｒａｎｓｃｒｉｐｔａｓｅ　Ｆｉｒｓｔ－ｓｔｒａｎｄ　ｃＤＮＡ　Ｓｙｎｔｈｅｓｉｓ　Ｋｉｔ等を用いて行うことができる。また、ｃＤＮＡの合成及び増幅を行うには５’－Ａｍｐｌｉ　ＦＩＮＤＥＲ　ＲＡＣＥＫｉｔ (クローンテック製）及びＰＣＲを用いた５’－ＲＡＣＥ法（Ｆｒｏｈｍａｎ，Ｍ．Ａ．ら、Ｐｒｏｃ．Ｎａｔｌ．Ａｃａｄ．Ｓｃｉ．ＵＳＡ１９８８年、第８５巻、８９９８頁など)を使用することができる。得られたＰＣＲ産物から目的とするＤＮＡを精製し、ベクターＤＮＡと連結し組換えベクターを作製する。目的とするＤＮＡの塩基配列を公知の方法、例えば、デオキシ法により確認する。

　目的とする抗体の可変領域（Ｖ領域）をコードするＤＮＡが得られれば、これを所望の抗体定常領域（Ｃ領域）をコードするＤＮＡと連結し、これを発現ベクターへ組み込む。または、抗体のＶ領域をコードするＤＮＡを、抗体Ｃ領域のＤＮＡを含む発現ベクターへ組み込んでもよい。本発明で使用される抗体を製造するには、抗体遺伝子を発現制御領域、例えば、エンハンサー／プロモーターの制御下で発現するよう発現ベクターに組み込む。次に、この発現ベクターにより宿主細胞を形質転換し、抗体を発現させることができる。

　なお、本発明のモノクローナル抗体の定常領域の配列は、ＨＲＧへの結合性が失われない限りにおいて、特に限定されない。

　抗体遺伝子の発現は、抗体の重鎖（Ｈ鎖）または軽鎖（Ｌ鎖）を別々に発現ベクターに組み込んで宿主を同時形質転換させてもよいし、あるいはＨ鎖及びＬ鎖をコードするＤＮＡを単一の発現ベクターに組み込んで宿主を形質転換させてもよい（ＷＯ９４／１１５２３参照）。

　上記以外の本発明の抗体の作製方法には、いわゆるファージディスプレイ技術（ＮａｔｕｒｅＢｉｏｔｅｃｈｎｏｌｏｇｙ２３，１１０５（２００５））も用いることができる。具体的には、例えばヒトや動物（例えば、ウサギ、マウス、ラット、ハムスターなど）のＢリンパ球を材料として公知の方法により作製された抗体遺伝子ライブラリー、もしくはヒトや動物のＧｅｒｍ　Ｌｉｎｅ配列から選別、及び改変して完全合成した抗体遺伝子ライブラリーを、バクテリオファージ、大腸菌、酵母、動物細胞等の細胞表面やリボソーム上等に提示させる。このとき、細胞表面に提示させる抗体の形態としてはＩｇＧ分子、ＩｇＭ分子、Ｆａｂフラグメント、一本鎖Ｆｖ（ｓｃＦｖ）フラグメント等が挙げられる。

　こうして得た抗体フラグメント遺伝子は公知の方法によりＩｇＧ抗体遺伝子の対応領域と組換えることにより、抗体遺伝子を得ることができる。そして、このようにして得られた遺伝子を適当なベクターに組み込んで、これを宿主に導入し、遺伝子組換え技術を用いて抗体を産生することができる（例えば、Ｃａｒｌら、ＴＨＥＲＡＰＥＵＴＩＣＭＯＮＯＣＬＯＮＡＬ　ＡＮＴＩＢＯＤＩＥＳ、１９９０年発行）。

　本発明のモノクローナル抗体の抗体断片の種類は、特に限定されないが、例えばＦａｂ（ｆｒａｇｍｅｎｔ　ｏｆ　ａｎｔｉｇｅｎ　ｂｉｎｄｉｎｇ）、Ｆａｂ’、Ｆ（ａｂ’）_２、Ｆｖ、ＳｃＦｖ等が挙げられる。これらの抗体断片の概要については、Ｈｕｄｓｏｎ，　Ｐ．Ｊ．　ｅｔ　ａｌ．，　Ｎａｔ．　Ｍｅｄ．　９　（２００３）　１２９－１３４及びＰｌｕｅｃｋｔｈｕｎ，　Ａ．，　Ｉｎ：　Ｔｈｅ　Ｐｈａｒｍａｃｏｌｏｇｙ　ｏｆ　Ｍｏｎｏｃｌｏｎａｌ　Ａｎｔｉｂｏｄｉｅｓ，　Ｖｏｌ．　１１３，　Ｒｏｓｅｎｂｕｒｇ　ａｎｄ　Ｍｏｏｒｅ　（ｅｄｓ．），　Ｓｐｒｉｎｇｅｒ－Ｖｅｒｌａｇ，　Ｎｅｗ　Ｙｏｒｋ　（１９９４），　２６９－３１５に記載されている。

　本発明の抗体又はその抗体断片が検出抗体として用いられる場合、ＨＲＧの検出用に用いる観点から、微小粒子、蛍光物質、酵素、ビオチン、放射性標識体、磁性粒子等の標識が付加されることが好ましい。

　微小粒子としては、抗体又はその抗体断片の抗原結合性を損なわない限りにおいて特に限定されず、例えば、金コロイドのような金属コロイド粒子、着色ラテックス粒子のような着色粒子等が挙げられる。

　蛍光物質としては、抗体又はその抗体断片の抗原結合性を損なわない限りにおいて特に限定されず、例えば、ローダミン系、クマリン系、オキサジン系、カルボピロニン系、シアニン系、ピロメセン系、ナフタレン系、ビフェニル系、アントラセン系、フェナントレン系、ピレン系、カルバゾール系、Ｃｙ系、ＥｖｏＢｌｕｅ系、フルオレセイン系又はこれらの誘導体等が挙げられる。

　酵素としては、抗体又はその抗体断片の抗原結合性を損なわない限りにおいて特に限定されず、ホースラディッシュ・ペルオキシダーゼ（ＨＲＰ）、アルカリホスファターゼ、ペルオキシダーゼ、β－Ｄ－ガラクトシダーゼ、マイクロペルオキシダーゼ等が挙げられる。

　放射性標識体としては、特に限定されないが、例えば、^３Ｈ、^１４Ｃ、^１５Ｎ、^３５Ｓ、^９０Ｙ、^９９Ｔｃ、^１１１Ｉｎ、^１２５Ｉ、^１３１Ｉ等が挙げられる。

　本発明の抗体又はその抗体断片は、タグを付加することができる。このようなタグとしては、例えば、ＦＬＡＧ、ＨＡ（ヘマグルチニン）、ＧＳＴ（グルタチオン－Ｓ－トランスフェラーゼ）、Ｍｙｃ、ポリヒスチジン（６×Ｈｉｓタグ等）等が挙げられる。これらのタグは抗体の固相化、精製、検出等に用いることができる。タグ化された抗体又は抗体断片は、例えば、本発明の抗体又はその抗体断片をコードするポリヌクレオチドに、タグをコードするポリヌクレオチドを付加したものを作製し、動物細胞等のｉｎ　ｖｉｖｏ又は無細胞翻訳系等のｉｎ　ｖｉｔｒｏのタンパク質発現システムに導入することにより製造することができる。

　本発明は、被検試料中のＨＲＧを測定に用いるための、ＨＲＧに対するモノクローナル抗体もしくはその抗体断片のセットを含む。当該抗体のセットは、配列番号１で示されるアミノ酸配列からなるＨＲＧのエピトープに結合する２種類の抗体の組合せを含み、一方の抗体が、捕捉抗体として、もう一方の抗体が、検出抗体として機能することにより、被検試料中のＨＲＧを良好な感度及び特異性をもって測定することができる。なお、捕捉抗体とは、被検試料中のＨＲＧと特異的に結合する抗体であって、自身が固相に固定されることにより被検物質中のＨＲＧを固相上に捕捉するための抗体をいう。検出抗体とは、被検試料中のＨＲＧと特異的に結合し、且つ標識物質を有する抗体であって、該標識物質を介して検出可能なシグナルを提供する抗体をいう。なお、捕捉抗体及び検出抗体は抗体断片であってもよい。

　本明細書において測定とは、定性的に検出する方法（検出）、及び定量的に測定する方法（定量）のいずれもが包含される。

　本発明における、被検試料中のＨＲＧを測定に用いるための、ＨＲＧに対するモノクローナル抗体もしくはその抗体断片のセットとして好ましいものは以下の組合せである。

　捕捉抗体が、７５－２Ｄであり、
検出抗体が、６－１２Ａ－１０Ｂ－９Ｇ、５０－６Ｃ－２Ａ、６５－３Ａ、６７－８Ａ－５Ｆ又は６９－１Ａである抗体のセット、又は
捕捉抗体が、３－４Ｅであり、
検出抗体が、６－１２Ａ－１０Ｂ－９Ｇ、５０－６Ｃ－２Ａ、６７－８Ａ－５Ｆ又は６９－１Ａである抗体のセット。

　特に好ましいセットは以下の組合せである。
　捕捉抗体が、７５－２Ｄであり、検出抗体が６９－１Ａである抗体のセット。

　本発明の被検試料中のＨＲＧの検出又は定量のためのキットは、本発明のモノクローナル抗体もしくはその抗体断片のセットを含み、被検試料中のＨＲＧの検出又は定量に用いられる。被検試料としては、特に限定されず、例えば、血液、尿、唾液、リンパ液、精液、涙液、眼内液、硝子体液、糞便、汗、若しくは他の体液又はそれらの分離物若しくは抽出物（血漿等）が挙げられるが、好ましくは血液又はその分離物若しくは抽出物であり、より好ましくは血漿である。

　なお、被検試料を希釈する際の希釈液として、緩衝液（例えばリン酸緩衝液、イミダゾール緩衝液、トリエタノールアミン－塩酸、クエン酸緩衝液、及びグッド緩衝液等）等が挙げられ、タンパク質安定化剤（例えばウシ血清アルブミン（ＢＳＡ）等）、プロテアーゼ阻害剤（例えばアプロチニン等）、塩化ナトリウム、及び防腐剤（例えばアジ化ナトリウム、プロクリン及び抗生物質等）等を含み得る。

　本発明のキットには、特に限定されず、用いる検出又は測定方法によって適宜選択し得るが、抗ＨＲＧ抗体及びその抗体断片以外に、さらに測定対象の前処理用、検出用又は測定用の１種又は複数種の測定用器具及び／又は試薬を含むことが好ましい。

　本発明のキットには、その他の試薬として、上記のＨＲＧに対するモノクローナル抗体又はその抗体断片の他に、水、標準物質としてのＨＲＧ、ｐＨ緩衝成分、界面活性剤、塩類（塩化ナトリウム、塩化カリウム等）、糖類（スクロース、トレハロース、糖アルコール等）、ブロッキング剤（ウシ血清アルブミン（ＢＳＡ）、カゼイン、血清等）、発色又は蛍光検出用基質等から選択される１種以上を含んでいてもよい。これらの成分は液体（水溶液）の形態で供されるのが好ましい。

　ｐＨ緩衝成分としては、特に限定されないが、例えば、リン酸、ホウ酸、酢酸、クエン酸、ギ酸、カコジル酸等の酸又はこれらの塩；グリシン等のアミノ酸；トリスヒドロキシアミノメタン（Ｔｒｉｓ）、ＨＥＰＥＳ、ＭＥＳ等のグッドバッファー等が挙げられる。

　界面活性剤としては、特に限定されないが、非イオン性界面活性剤が好ましく、エステルエーテル型、エステル型、エーテル型のいずれも用いることができる。より具体的にはＴｗｅｅｎ２０、Ｔｗｅｅｎ４０、Ｔｗｅｅｎ８０、Ｔｒｉｔｏｎ－Ｘ１００、ポリオキシエチレン（６０）ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン（６５）ソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレン（８０）ソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ノニデットＰ－４０、ＣＨＡＰＳ等が挙げられる。これらの界面活性剤は、いずれかを単独で用いても良いし、２種以上を組み合わせても良い。

　本発明のキットのＨＲＧの検出又は定量は、酵素免疫測定法（ＥＬＩＳＡまたはＥＩＡ）、蛍光免疫測定法（ＦＩＡ）、放射免疫測定法（ＲＩＡ）、化学発光免疫測定法から選択されるいずれかの免疫測定法により測定されることが好ましい。特にサンドイッチＥＬＩＳＡによる測定が好ましい。

　検出又は測定方法がイムノクロマトグラフィー法又はＥＬＩＳＡ法の場合、測定用器具は、捕捉抗体を担持する固相基材を含むことが好ましい。

　検出又は測定方法がイムノクロマトグラフィー法又はＥＬＩＳＡ法の場合は、標識抗体は、測定用器具に含まれていても良いし、測定用器具とは別に、例えばサンプル用チューブ等に含まれていても良い。

　イムノクロマトグラフィーキットの態様において、測定用器具としては、特に限定されないが、１種以上の抗ＨＲＧ抗体若しくはその抗体断片が固定化された、吸水性の固相基材を含むことが好ましい。固相基材の材質としては、例えば、ニトロセルロースが挙げられる。

　サンドイッチＥＬＩＳＡ法は、例えば次のように行う。まず、一方の抗体（捕捉抗体）をＥＬＩＳＡ用プレートのウェル表面に固相化する。次いでウェル表面への非特異的な吸着を防ぐためにブロッキングを行った後、試料を添加し、試料中のＨＲＧを該抗体と接触させて複合体を形成させる。該抗体と結合しなかったタンパク質を洗浄により除去した後、標識した他方の抗体（検出抗体）をウェルに加え、ＨＲＧに接触させて複合体を形成させ、該標識により検出・定量を行う。定量は、用いた標識に基づき検出したシグナルを、ＨＲＧの標準物質を使用して作成した検量線（本明細書において標準曲線と記載することもある。）を利用して数値化すること等の公知の方法により行うことができる。

　サンドイッチＥＬＩＳＡ法には標識抗体を使用することができ、例えば酵素標識抗体を使用することができる。標識に利用される酵素としては、ペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、グルコースオキシダーゼ、β－ガラクトシダーゼなどが例示される。酵素の検出に用いられる基質剤としては、選択した標識酵素に応じて適当なものが選ばれる。例えば、酵素としてペルオキシダーゼを選択した場合には、ｏ－フェニレンジアミン（ＯＰＤ）、テトラメチルベンジジン（ＴＭＢ）などが使用され、アルカリホスファターゼを選択した場合においては、ｐ－ニトロフェニルホスフェート（ＰＮＰＰ）などが使用される。また、反応停止液、基質溶解液についても、選択した酵素に応じて、従来公知のものを特に制限なく適宜使用することができる。

　本発明は、別の実施態様として、以下の被検試料中のＨＲＧを測定する方法（別法）を含む。
[別法]
捕捉抗体と検出抗体との組合せを含むＨＲＧに対するモノクローナル抗体又はその抗体断片のセットを用いた、被検試料中のＨＲＧを測定する方法であって、
（a）被検試料と固相に固定された捕捉抗体とを、前記捕捉抗体と同種の抗体又はその抗体断片を含む反応液中で反応させ、固相に固定された捕捉抗体とＨＲＧとを含む免疫複合体を生成する工程；及び
（b）工程（a）で生成された免疫複合体を、検出抗体を用いて測定する工程、
を含む、被検試料中のＨＲＧを測定する方法。
　なお、上記別法の工程（a）を、別の工程「被検試料と固相に固定された捕捉抗体とを、前記捕捉抗体と同種の抗体又はその抗体断片を含まない反応液中で反応させ、固相に固定された捕捉抗体とＨＲＧとを含む免疫複合体を生成する工程」と置き換えた被検試料中のＨＲＧを測定する方法を本明細書では通常法という。また、上記別法、通常法を含めて、捕捉抗体と検出抗体との組合せを含むＨＲＧに対するモノクローナル抗体又はその抗体断片のセットを用いた、被検試料中のＨＲＧを測定する方法において、被検試料（のＨＲＧ）と固相に固定された捕捉抗体とを反応させる際の反応液を、本明細書では捕捉抗体－被検試料反応液という。なお、本明細書実施例における「抗体添加緩衝液」は、捕捉抗体－被検試料反応液として用いられている。

　上記の別法においては、検量線を作成するために測定するＨＲＧの標準物質に対しても被検試料と同じく前記工程（a）および（b）を含む測定法を経て、測定値を算出し、検量線を作成する。

　上記の別法において、捕捉抗体－被検試料反応液中の捕捉抗体と同種の抗体又はその抗体断片は、被検試料中の測定対象であるＨＲＧと固相に固定された捕捉抗体とが免疫複合体を生成するのを競合的に阻害すると考えられる。これにより、ＨＲＧと固相に固定された捕捉抗体の免疫複合体の生成量を減弱し、見かけの検出感度を下げることができる。ＥＬＩＳＡなどの免疫測定法では、定量的測定に適した測定対象（本発明においてはＨＲＧ）の濃度域があり、ＨＲＧのようにヒト血漿などの被検試料中で高い濃度で存在する場合、測定に供するサンプルをその濃度域に調整するために、非常に高い倍率（たとえば５０００倍）で希釈する必要がある。本別法を用いることにより、このような被検試料の希釈倍率を下げることができ、結果として、希釈回数を少なくすることで測定誤差を低減できる。

　上記の別法における、捕捉抗体－被検試料反応液中の「捕捉抗体と同種の抗体又はその抗体断片」とは、捕捉抗体に用いる抗体と同じ性質を有する抗体又はその抗体断片を意味する。捕捉抗体と同種の抗体又はその抗体断片としては、捕捉抗体と同じエピトープを有する抗体又はその抗体断片が好ましく、捕捉抗体と同じＣＤＲ１～ＣＤＲ３を含む重鎖可変領域及びＣＤＲ１～ＣＤＲ３を含む軽鎖可変領域のアミノ酸配列を有する抗体又はその抗体断片がより好ましく、捕捉抗体と同じ重鎖可変領域および軽鎖可変領域のアミノ酸配列又はその抗体断片を有する抗体がさらに好ましい。

　上記の別法における、被検試料中のＨＲＧを測定に用いるための、ＨＲＧに対するモノクローナル抗体もしくはその抗体断片のセットとして好ましいものは以下の組合せである。

　上記別法における好ましいＨＲＧに対するモノクローナル抗体もしくはその抗体断片のセットにおいて、捕捉抗体－被検試料反応液中の「捕捉抗体と同種の抗体又はその抗体断片」は、各々の抗体のセットで用いている捕捉抗体と同一の抗体が好ましい。例えば、捕捉抗体が、７５－２Ｄであり、検出抗体が６９－１Ａである抗体のセットにおいて、捕捉抗体－被検試料反応液中に加える抗体は、７５－２Ｄが好ましい。

　一般的なＥＬＩＳＡにおける有効な吸光度範囲はおおよそ０．０１～３．００であることを考慮すると上記の別法における、捕捉抗体－被検試料反応液中の捕捉抗体と同種の抗体又はその抗体断片の好ましい濃度は、１．５～５０μｇ／ｍＬであり、より好ましい濃度は１．５から１５μｇ／ｍＬであり、最も好ましくは７μｇ／ｍＬである。ここに挙げる抗体濃度（μｇ／ｍＬ）は通常の重鎖、軽鎖、定常領域を有する抗体を想定した濃度であり、抗体断片など抗体の分子量が小さくなる場合などはその分子量に応じた濃度（μｇ／ｍＬ）に補正される。

　本発明の被検試料中のＨＲＧの検出又は定量のためのキットには別法を用いても良く、当該キットが別法用である場合は、前記キットに添付される書面等には、前記の別法による測定方法を記載されていることが好ましい。さらに、当該書面には「捕捉抗体－被検試料反応液中の捕捉抗体の濃度が１．５～５０μg/mLとなるように捕捉抗体を添加する」等の別法を実施するための条件などの記載がされていてもよい。

　以下に本発明の実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。

実施例１：抗ＨＲＧマウスモノクローナル抗体の調製

（1）抗原の作製
　ヒト血漿（２４０ｍＬ）を出発原料とし、Ｎｉ－ＮＴＡ（ｎｉｃｋｅｌ－ｎｉｔｒｉｌｏｔｒｉａｃｅｔｉｃ　ａｃｉｄ）アフィニティクロマトグラフィ及び高性能液体クロマトグラフィー（陰イオン交換カラム（単分散系親水性ポリマービーズ：　Ｍｏｎｏ　Ｑ））　により、ＨＲＧを精製した。精製試料は、リン酸緩衝生理食塩水（Ｐｈｏｓｐｈａｔｅ　Ｂｕｆｆｅｒｅｄ　Ｓａｌｉｎｅ：　１×　ＰＢＳ（－）、以下、「ＰＢＳ」と表記する。）で透析し、ＨＲＧを５００～１０００μｇ／ｍｌ（５ｍＬ）含む調製物を保存した。本方法による精製試料は実施例６～実施例１３でも「ヒト精製ＨＲＧ」として用いた。

（２）ハイブリドーマの作製及びスクリーニング
　調製した抗原をＢＡＬＢ／ｃマウスに免疫し、Ｓａｄｏ　Ｙ　ｅｔ　ａｌ．，　Ａｃｔａ　Ｈｉｓｔｏｃｈｅｍ．　Ｃｙｔｏｃｈｅｍ．　３９：　８９－９４　（２００６）に記載の方法によりヒトＨＲＧに対する抗体を産生するハイブリドーマを作製した。得られたハイブリドーマについて、抗原に反応性を示す抗体を産生する株をＥＬＩＳＡ法により選択した。選択したハイブリドーマを限界希釈法によりクローニングし、ヒトＨＲＧに対する抗体を安定に産生する株をさらに選択した。

（３）モノクローナル抗体の精製
　通常の増殖培地で一定濃度まで拡大培養した後、無血清培地で徐々に希釈し、最終的に無血清培地に順化させた。順化させたハイブリドーマは徐々に拡大培養させ、最終的に３００ｍＬで培養した。ハイブリドーマの増殖具合を確認しながら、生細胞数が２０％以下になった時点で培養上清を回収した。
　得られた培養上清は、常法に従ってＰｒｏｔｅｉｎ　Ａカラムに負荷し、結合緩衝液で十分洗浄した後に溶出緩衝液で抗体を溶出させた。抗体を含む溶出液は中和後、５ＬのＤ－ＰＢＳで２回透析を行った。透析された抗体溶液は、クリーンベンチ内で０．２μｍのメンブランフィルターを用いて無菌ろ過した。

実施例２：サンドイッチＥＬＩＳＡ系に適用可能な抗体の組み合わせの評価
　精製した抗ＨＲＧモノクローナル抗体２１種について、以下に示す方法にてサンドイッチＥＬＩＳＡ系が成立する抗体の組み合わせを評価した。

（１）試験条件
（１．１）検出抗体の調製
　精製した抗ＨＲＧ抗体をＢｉｏｔｉｎ　Ｌａｂｅｌｉｎｇ　Ｋｉｔ－ＳＨ　（Ｃａｔ＃　ＬＫ０９、同仁化学研究所）を用いてビオチン標識して、検出抗体を得た。
（１．２）評価用標準物質（ヒト精製ＨＲＧタンパク質）の調製
　４．０μＬのヒト精製ＨＲＧタンパク質　（１　ｍｇ／ｍＬ）に４９６μＬの０．１％　ＢＳＡ含有ＰＢＳを混合し、ヒト精製ＨＲＧタンパク質溶液（１０μｇ／ｍＬ）を得た。さらに、５０μＬのヒト精製ＨＲＧタンパク質　（１０μｇ　／ｍＬ）に４９５０μＬの０．１％　ＢＳＡ含有ＰＢＳを混合して１００倍希釈し、ヒト精製ＨＲＧタンパク質溶液　（１００　ｎｇ／ｍＬ）を調製した。
（１．３）捕捉抗体の調製
　捕捉抗体として、精製した抗ＨＲＧ抗体を０．２Ｍ　炭酸緩衝液で希釈して、捕捉抗体溶液（１０μｇ／ｍＬ）を得た。

（２）試験方法
　３８４ウェルマキシソーププレート　（ＮＵＮＣ社）に捕捉抗体溶液を１ウェルあたり２５μＬで分注し、プレートを室温で３時間インキュベートした。プレートを、１ウェル当たり１２０μＬの洗浄液　（０．０５％Ｔｗｅｅｎ２０含有ＰＢＳ）で２回洗浄した。ブロッキング溶液　（１％ＢＳＡ含有ＰＢＳ）を１ウェルあたり３０μＬで分注し、プレートを室温で３時間インキュベートした。ブロッキング溶液を除去し、評価用標準物質を１ウェルあたり２０μＬ　（ｎ＝２）で分注し、プレートを室温で３時間インキュベートした。プレートを上記のように洗浄液で４回洗浄した後、各検出抗体の溶液を１ウェルあたり１０μＬ、ホースラディッシュ・ペルオキシダーゼ・ストレプトアビジン溶液　（０．０５μｇ／ｍＬ）を１ウェルあたり１０μＬで分注し、プレートを室温で１時間インキュベートした。プレートを上記のように洗浄液で４回洗浄した後、発色基質溶液　（ＴＭＢ（３，３’，５，５’－テトラメチルベンジジン））を１ウェルあたり２０μＬで分注し、プレートを室温で１０分間インキュベートした後、反応停止液　０．５Ｍ　Ｈ_２ＳＯ_４、２０μＬ／ｗｅｌｌを加えて、４５０ｎｍの吸光度を測定した。

（３）結果
　２１種類の抗ＨＲＧモノクローナル抗体の組み合わせを評価した結果を表１に示す。なお、表１では、各組み合わせの波長４５０ｎｍの吸光度が１．０　ＯＤ未満：－、１．０　ＯＤ以上２．０　ＯＤ未満：＋、２．０　ＯＤ以上３．０　ＯＤ未満：＋＋、３．０　ＯＤ以上：＋＋＋と判定した。サンドイッチＥＬＩＳＡ系が成立するレベルの吸光度変化が達成された抗体の組み合わせは、表１で＋＋又は＋＋＋と評価された８６組であった。

実施例３：サンドイッチＥＬＩＳＡ系での各抗体の反応性評価
　サンドイッチＥＬＩＳＡ系に適用可能な抗体の組み合わせ８６種について、ＨＲＧとの反応性評価を行った。

試験条件
（１．１）検出抗体の調製（同上）
　精製した抗ＨＲＧ抗体をＢｉｏｔｉｎ　Ｌａｂｅｌｉｎｇ　Ｋｉｔ－ＳＨ　（Ｃａｔ＃　ＬＫ０９、同仁化学研究所）を用いてビオチン標識して、検出抗体を得た。
（１．２）検量線用標準物質（ヒト精製ＨＲＧタンパク質）の調製
　４．０μＬのヒト精製ＨＲＧ　（１ｍｇ／ｍＬ）に３９６μＬの０．１％　ＢＳＡ含有ＰＢＳを混合し、ヒトＨＲＧ溶液を得た。ヒトＨＲＧ溶液を０．１％　ＢＳＡ含有ＰＢＳで１００倍に希釈し、検量線の上限を１００ｎｇ／ｍＬとした。
　ヒトＨＲＧ溶液をさらに希釈して、希釈系列　（５０ｎｇ／ｍＬ、２５ｎｇ／ｍＬ、１２．５　ｎｇ／ｍＬ、６．２５ｎｇ／ｍＬ、３．１２５ｎｇ／ｍＬ、１．５６ｎｇ／ｍＬ及び０ｎｇ／ｍＬ）を調製した。
（１．３）捕捉抗体の調製（同上）
　捕捉抗体として、精製した抗ＨＲＧ抗体を０．２Ｍ　炭酸緩衝液で希釈して、捕捉抗体溶液（１０μｇ／ｍＬ）を得た。

（２）試験方法
　３８４ウェルマキシソーププレート　（ＮＵＮＣ社）に捕捉抗体溶液を１ウェルあたり２５μＬで分注し、プレートを室温で３時間インキュベートした。プレートを、１ウェル当たり１２０μＬの洗浄液　（０．０５％Ｔｗｅｅｎ２０含有ＰＢＳ）で２回洗浄した。ブロッキング溶液（１％ＢＳＡ含有ＰＢＳ）を１ウェルあたり３０μＬで分注し、プレートを室温で３時間インキュベートした。ブロッキング溶液を除去し、７段階に希釈した検量線用標準物質を１ウェルあたり２０μＬ（ｎ＝２）で分注し、プレートを４℃　で一晩インキュベートした。プレートを上記のように洗浄液で４回洗浄した後、各検出抗体の溶液を１ウェルあたり１０μＬ、ホースラディッシュ・ペルオキシダーゼ・ストレプトアビジン溶液（０．０５μｇ／ｍＬ）を１ウェルあたり１０μＬで分注し、プレートを室温で２時間インキュベートした。プレートを上記のように洗浄液で４回洗浄した後、発色基質溶液（ＴＭＢ（３，３’，５，５’－テトラメチルベンジジン））を１ウェルあたり２０μＬで分注し、プレートを室温で１０分間インキュベートした後、反応停止液　０．５Ｍ　Ｈ_２ＳＯ_４、２０μＬ／ｗｅｌｌを加えて、４５０ｎｍの吸光度を測定した。検量線用標準物質のＨＲＧ濃度に対する吸光度の測定値をプロットして、検量線を作成した。

（３）結果
　いずれの抗ＨＲＧ抗体の組合せも、ＨＲＧを検出するためのＥＬＩＳＡ法の抗体として有用であることが分かった。

実施例４：患者検体の測定
　実施例１で作製した各抗体を用いて、実施例３に記載のサンドイッチＥＬＩＳＡ系により、敗血症患者検体１２名および成人健常者８名の血中ＨＲＧ値の測定を行い、異なる抗体の組み合わせを用いたサンドイッチＥＬＩＳＡ系による測定値の相関分析を行った。

（１）試験条件
（１．１）生体試料
　敗血症患者１２名および成人健常者８名から血液を採取し、血漿検体（２０検体）を得た。各血漿検体は、０．１％ＢＳＡ含有ＰＢＳで１，６００倍に希釈して測定に用いた。
（１．２）検出抗体、捕捉抗体及び検量線用標準物質
　検出抗体として、実施例３と同様にして調製したビオチン標識抗ＨＲＧ抗体を用いた。各検出抗体を抗体希釈用溶液（０．１％ＢＳＡ含有ＰＢＳ）で希釈して、各検出抗体の溶液（いずれも２．５μｇ／ｍＬ）を得た。検量線用標準物質及び捕捉抗体は、実施例３と同様にして調製した。

（２）試験方法
　３８４ウェルマキシソーププレート（ＮＵＮＣ社）をセットしたプレートに、捕捉抗体溶液を１ウェルあたり２５μＬで分注し、プレートを室温で３時間インキュベートした。実施例３と同様に、プレートを洗浄してブロッキングした。ブロッキング溶液を除去し、７段階に希釈した検量線用標準物質及び１，６００倍希釈した血漿検体を１ウェルあたり２０μＬ（ｎ＝２）で分注し、プレートを４℃で一晩インキュベートした。実施例３と同様に、プレートを洗浄液で４回洗浄した後、各検出抗体の溶液を１ウェルあたり１０μＬ、ホースラディッシュ・ペルオキシダーゼ・ストレプトアビジン溶液（０．０５μｇ／ｍＬ）を１ウェルあたり１０μＬで分注し、プレートを室温で２時間インキュベートした。プレートを上記のように洗浄液で４回洗浄した後、発色基質溶液（ＴＭＢ（３，３’，５，５’－テトラメチルベンジジン））を１ウェルあたり２０μＬで分注し、プレートを室温で１０分間インキュベートした後、反応停止液　０．５Ｍ　Ｈ_２ＳＯ_４、２０μＬ／ｗｅｌｌを加えて、４５０ｎｍの吸光度を測定した。

（３）データ処理
　抗体の組み合わせごとに検量線を作成した。検量線から、１，６００倍希釈した各血漿検体についてＨＲＧの値を得た。得られたＨＲＧの値を１，６００倍した値を、各血漿検体中のＨＲＧ濃度値とした。検量線から得られた値がマイナスである場合は「０μｇ／ｍＬ」とみなした。また、測定における測定濃度範囲の最大値は１６０μｇ／ｍＬであったため、１６０μｇ／ｍＬ以上の濃度と測定されたサンプルは「１６０μｇ／ｍＬ」とみなした。

（４）結果
　敗血症患者と成人健常者の血漿検体中のＨＲＧ濃度差は、捕捉抗体として７５－２Ｄを用い、検出抗体として抗ＨＲＧ抗体として６－１２Ａ－１０Ｂ－９Ｇ、５０－６Ｃ－２Ａ、６５－３Ａ、６７－８Ａ－５Ｆ又は６９－１Ａを用いて測定した場合、或いは、捕捉抗体として３－４Ｅを用い、検出抗体として６－１２Ａ－１０Ｂ－９Ｇ、５０－６Ｃ－２Ａ、６７－８Ａ－５Ｆ又は６９－１Ａを用いて測定した場合に、敗血症患者と成人健常者の血漿検体中のＨＲＧ濃度差が大きく測定された（図１～図５）。敗血症患者と成人健常者の血漿検体中のＨＲＧ濃度の有意差は、いずれの抗体の組合せの場合もウェルチのｔ検定でｐ＝０．００００２以下であった。

実施例４：抗ＨＲＧ抗体のアミノ酸配列の解析
　実施例１にて作製された抗ＨＲＧ抗体の内、表１に記載の７クローンについて、抗ＨＲＧ抗体の可変領域の塩基配列解析を実施した。抗ＨＲＧ抗体産生ハイブリドーマの凍結ストック（１×１０^６　ｃｅｌｌｓ／ｖｉａｌ、１本）よりｔｏｔａｌ　ＲＮＡを精製し、ｃＤＮＡを合成した。合成したｃＤＮＡを鋳型に縮重プライマーを用いて、抗体可変領域をＰＣＲにて増幅した。ＰＣＲにて得られた増幅産物をシーケンス解析し、可変領域を解析した。

　上記の解析により得られた各抗ＨＲＧ抗体のアミノ酸配列を表２に示す。

　抗ＨＲＧモノクローナル抗体６９－１Ａのアミノ酸配列は以下の通りである。
　重鎖可変領域：ＥＶＫＬＥＥＳＧＧＧＬＶＱＰＧＧＳＭＫＬＳＣＡＡＳＧＦＴＦＳＤＡＷＭＤＷＶＲＱＳＰＥＫＧＬＥＷＶＡＥＩＲＳＫＡＮＮＨＧＴＹＹＡＥＳＶＫＧＲＦＴＩＳＲＤＤＳＫＳＳＶＹＬＲＭＮＳＬＳＡＥＤＴＧＩＹＹＣＴＲＰＦＡＹＷＧＱＧＴＬＶＴＶＳＡ（配列番号３２）
　重鎖ＣＤＲ１：ＧＦＴＦＳＤＡＷＭＤ（配列番号３３）
　重鎖ＣＤＲ２：ＥＩＲＳＫＡＮＮＨＧＴＹＹＡＥＳＶ（配列番号３４）
　重鎖ＣＤＲ３：ＰＦＡＹ（配列番号３５）
　軽鎖可変領域：ＤＶＶＶＴＱＴＰＬＳＬＰＶＳＬＧＤＱＡＳＩＳＣＲＳＳＱＳＬＶＨＩＤＧＮＴＹＦＨＷＹＶＱＫＰＧＱＳＰＫＬＬＩＹＫＶＳＮＲＦＳＧＶＰＤＲＦＳＧＳＧＳＧＴＤＦＴＬＫＩＳＲＶＥＡＥＤＬＧＶＹＦＣＳＱＳＴＨＶＰＬＴＦＧＡＧＴＫＬＥＬＫ（配列番号３６）
　軽鎖ＣＤＲ１：ＲＳＳＱＳＬＶＨＩＤＧＮＴＹＦＨ（配列番号３７）
　軽鎖ＣＤＲ２：ＫＶＳＮＲＦＳ（配列番号３８）
　軽鎖ＣＤＲ３：ＳＱＳＴＨＶＰＬＴ（配列番号３９）

　抗ＨＲＧモノクローナル抗体７５－２Ｄのアミノ酸配列は以下の通りである。
　重鎖可変領域：ＱＶＱＬＱＱＳＧＡＥＬＭＫＰＧＡＳＶＫＩＳＣＫＡＴＧＹＴＦＳＳＹＷＩＥＷＶＫＱＲＰＧＨＧＬＥＷＩＧＥＩＬＰＧＳＧＲＴＮＹＮＥＫＦＫＧＫＡＴＦＴＡＤＴＳＳＮＴＡＹＭＱＬＳＳＬＴＳＥＤＳＡＶＹＹＣＡＲＹＳＹＦＹＹＦＤＹＷＧＱＧＴＴＬＴＶＳＳ（配列番号４０）
　重鎖ＣＤＲ１：ＧＹＴＦＳＳＹ（配列番号４１）
　重鎖ＣＤＲ２：ＥＩＬＰＧＳＧＲＴＮＹＮＥ（配列番号４２）
　重鎖ＣＤＲ３：ＹＳＹＦＹＹＦＤＹ（配列番号４３）
　軽鎖可変領域：ＤＮＶＬＴＱＳＰＡＩＭＳＡＳＬＧＥＲＶＴＭＴＣＴＡＳＳＳＶＳＳＳＹＬＨＷＹＱＱＫＰＧＳＳＰＫＬＷＩＹＳＴＳＮＬＡＳＧＶＰＡＲＦＳＧＳＧＳＧＴＳＹＳＬＴＩＳＳＭＥＡＥＤＡＡＴＹＹＣＨＱＹＨＲＳＰＷＴＦＧＧＧＴＫＬＥＩＫ（配列番号４４）
　軽鎖ＣＤＲ１：ＴＡＳＳＳＶＳＳＳＹＬＨ（配列番号７）
　軽鎖ＣＤＲ２：ＳＴＳＮＬＡＳ（配列番号４５）
　軽鎖ＣＤＲ３：ＨＱＹＨＲＳＰＷＴ（配列番号９）

実施例５：抗ＨＲＧモノクローナル抗体が認識する結合部位の決定
　抗ＨＲＧモノクローナル抗体６９－１Ａ及び７５－２Ｄが、配列番号１に示すアミノ酸配列から成るヒトＨＲＧタンパク質に、いずれのアミノ酸配列をエピトープとして結合するのかを確認した。

（１）ペプチドマイクロアレイの調製
　特異的抗体結合性ペプチドエピトープを明らかにするために、重複ペプチドスキャニング法を利用した。ＨＲＧタンパク質のアミノ酸配列をＮＣＢＩタンパク質データベースから得た。ＰＥＰｐｅｒＰｒｉｎｔ（登録商標）（Ｈｅｉｄｅｌｂｅｒｇ，　Ｇｅｒｍａｎｙ）を依頼して、ＨＲＧタンパク質配列からデザインされたＰＥＰｐｅｒＣＨＩＰペプチドマイクロアレイを作製した。各ペプチドは、１４アミノ酸残基が重複する１５アミノ酸残基のオーバーラップペプチドライブラリーからなり、ペプチドが互いから分離されていることを確実にするために、Ｎ－およびＣ－末端にて中性ＧＳＧＳＧＳＧリンカーで延長した。各マイクロアレイには、ＨＲＧタンパク質に由来するペプチド１，０５０個をデュプリケートでプリントし（合計２，１００スポット）、対照ペプチドとして、ＨＡペプチドおよびｃ－Ｍｙｃペプチドを各アレイにフレーム上に配置した。抗ＨＲＧモノクローナル抗体２１種類を処理した後、抗マウスＩｇＧポリクローナル２次抗体で染色し、蛍光強度をスキャナーで読み取り、タンパク質と抗体の結合を定量化した。

（２）試験方法
　各マイクロアレイは、以下のように処理した。試料とインキュベートする前に、スライドガラスを標準バッファーに慣らした後ブロッキングバッファーで処理した。マイクロアレイを蛍光標識抗マウスＩｇＧ　２次抗体で処理し、スキャナーを用いて非特異的相互作用によるバックグラウンド蛍光強度を測定した。マイクロアレイを抗ＨＲＧモノクローナル抗体２１種類とインキュベートした。マイクロアレイを蛍光標識抗マウスＩｇＧ　２次抗体を用いて染色した。スキャナーを用いて各位置の蛍光強度を測定した。

（３）解析方法
　解析ソフトＰＥＰＳｌｉｄｅアナライザーを使用して行った。このソフトウェアは、各スポットの蛍光強度測定値およびバックグラウンド蛍光測定値、各スポットに該当するペプチド配列の紐づけを行う。補正後蛍光強度や各データの平均値、中央値および中央値の標準偏差を算出した。

（４）結果
　ＨＲＧモノクローナル抗体ｃｌｏｎｅ　Ｎｏ．　６９－１Ａは、表３のペプチド＃２～＃８に対して良好な結合性を示した。その他のペプチドには強く結合しなかった。このことから、当該抗体の結合部位は、配列番号１で示されるアミノ酸配列の３０５～３２５番目の範囲に含まれていると考えられた。特にペプチド＃２～＃８に共通に含まれているアミノ酸配列（ＰＬＰＱＧＰＰＰＬ：　配列番号５６）をエピトープとしてヒトＨＲＧタンパク質に結合することが示唆された。当該エピトープは、配列番号１に示すアミノ酸配列におけるＮ末端から３１１～３１９番目のアミノ酸配列に相当する。

　抗ＨＲＧモノクローナル抗体ｃｌｏｎｅ　Ｎｏ．　７５－２Ｄは、表４のペプチド＃１１～＃２６に対して結合性を示し、特にペプチド＃１７～＃２１に対して強い結合性を示した。このことから、当該抗体の結合部位は、配列番号１で示されるアミノ酸配列の３９１～４１９番目の範囲に含まれていると考えられた。特にペプチド＃１７～＃２１に共通に含まれているアミノ酸配列（ＨＰＨＧＨＨＰＨＣＨＤ：　配列番号：７３）をエピトープとしてヒトＨＲＧタンパク質に結合することが示唆された。当該エピトープは、配列番号１に示すアミノ酸配列におけるＮ末端から、４００～４１０番目のアミノ酸配列に相当する。

実施例６：抗ＨＲＧモノクローナル抗体による免疫沈降による捕捉
（１）免疫沈降
　抗ＨＲＧ抗体の利用方法として、免疫沈降によるＨＲＧの精製の可能性を検討した。なお、比較に用いた市販抗体としては、任意の１つの市販抗体より免疫沈降能が良い抗体を予め選択して用いた。具体的には、Ｒ＆Ｄ社の抗体（Ｃｌｏｎｅ　Ｎｏ．　２２７９０１、Ｃａｔ　Ｎｏ．　ＭＡＢ１８６９）を用いた。
　免疫沈降に用いた試料は、実施例１に記載の精製ヒトＨＲＧと健常者血漿を用いた。

（２）試験方法
　精製した抗ＨＲＧ抗体（７５－２Ｄ、６－１２Ａ－１０Ｂ－９Ｇ及び６９－１Ａの３抗体）をＢｉｏｔｉｎ　Ｌａｂｅｌｉｎｇ　Ｋｉｔ－ＳＨ　（Ｃａｔ＃　ＬＫ０９、同仁化学研究所）を用いてビオチン標識して、捕捉抗体を得た。調製した捕捉抗体をＰＢＳに溶解し、Ｄｙｎａｂｅａｄｓ　Ｍ－２８０　Ｓｔｒｅｐｔａｖｉｄｉｎと室温で２時間反応させた。反応後、０．１％　ＢＳＡ含有ＰＢＳにて磁石を用いて洗浄を行い、抗体固定化ビーズを調製した。
（２－１）７５－２Ｄの抗体固定化ビーズについて、健常者血漿（８検体：Ｈ１－００１～Ｈ１－００８）血漿２５μＬをＰＢＳにて３倍希釈して加え、室温で４時間反応させた。
（２－２）別の実験として、７５－２Ｄ、６－１２Ａ－１０Ｂ－９Ｇ及び６９－１Ａの３抗体の固定化ビーズについて、健常者血漿（Ｈ１－００３、００４）血漿２５μＬ、健常者血漿（Ｈ１－００３）血漿２５μＬと精製ヒトＨＲＧとの混合物をＰＢＳにて３倍希釈して加え、室温で４時間反応させた。
　反応後、０．１％　ＢＳＡ含有ＰＢＳにて磁石を用いて洗浄を行った。ビーズに捕捉されたＨＲＧを抽出液で抽出し、ウエスタンブロッティング（ＷＢ）にて評価を行った。ＷＢは、市販のＲ＆Ｄ社の抗ＨＲＧ抗体（Ｃｌｏｎｅ　Ｎｏ．　２２７９０１、Ｃａｔ　Ｎｏ．　ＭＡＢ１８６９）、及びＥＣＬ　Ａｎｔｉ－ｍｏｕｓｅ　ＩｇＧ，　Ｈｏｒｓｅｒａｄｉｓｈ　Ｐｅｒｏｘｉｄａｓｅ　ｌｉｎｋｅｄ　ｗｈｏｌｅ　ａｎｔｉｂｏｄｙを用いて行った。図６は上記（２－１）のＷＢの結果であり、図７は上記（２－２）のＷＢの結果である。

（３）結果
　図６より、７５－２Ｄが、ヒト血漿中に存在する分子量が約２ｋＤａ異なる２つのＨＲＧのｉｓｏｆｏｒｍを認識し、免疫沈降できることが分かった。
　図７より、６－１２Ａ－１０Ｂ－９Ｇ及び６９－１Ａも７５－２Ｄと同様にヒト血漿中に存在する分子量が血漿中に存在する７７ｋＤａと７５ｋＤａと約２ｋＤａ異なる２つのＨＲＧのｉｓｏｆｏｒｍの両方を同様に認識し、免疫沈降できることが分かった。

実施例７：サンドイッチＥＬＩＳＡ系で捕捉抗体－被検試料反応液に添加する捕捉抗体の濃度差による反応性の比較（別法の検討１）
　精製した抗ＨＲＧ抗体２種（捕捉抗体（７５－２Ｄ）、検出抗体（６９－１Ａ）の組合せ）を用いて、以下に示す方法にてサンドイッチＥＬＩＳＡ系を構築し、捕捉抗体－被検試料反応液に捕捉抗体が含まれる場合に、その捕捉抗体の濃度による反応性の違いを評価した。
（１）試験条件
（１－１）緩衝液の調製
０．３ＭＮａＣｌ、０．１％ＢＳＡ、０．０１％マウスγグロブリン、０．０５％Ｔｗｅｅｎ２０、０．１％Ｐｒｏｃｌｉｎｅを含む５０ｍＭＰＢ（リン酸緩衝液、ｐＨ７．４、以下「ＰＢ」と表記する。）
（１－２）抗体希釈液の調製
０．４％ＢｌｏｃｋＡｃｅ、０．１％Ｐｒｏｃｌｉｎｅを含むＰＢＳ
（１－３）洗浄液の調製
０．０５％Ｔｗｅｅｎ２０、０．１％Ｐｒｏｃｌｉｎｅを含むＰＢＳ
（１－４）捕捉抗体の調製
　精製した抗ＨＲＧ抗体（７５－２Ｄ）をＰＢＳで希釈して、捕捉抗体溶液（５μｇ／ｍＬ）を得た。
（１－５）検出抗体の調製
　精製した抗ＨＲＧ抗体（６９－１Ａ）をホースラディッシュ・ペルオキシダーゼ（ＨＲＰ）標識し、抗体希釈液で希釈して、検出抗体溶液（７５ｎｇ／ｍＬ）を得た。
（１－６）検量線用標準物質（ヒト精製ＨＲＧタンパク質）の調製
　ヒト精製ＨＲＧ（１０００μｇ／ｍＬ）を緩衝液で希釈し、検量線用標準物質溶液（５０μｇ／ｍＬ）を得た。検量線の上限を５０μｇ／ｍＬとし、検量線用標準物質溶液（５０μｇ／ｍＬ）を緩衝液にて５倍希釈し、検量線用標準物質溶液（１０μｇ／ｍＬ）を得た。検量線用標準物質溶液をさらに希釈して、５倍希釈系列（２、０．４、及び０．０８ μｇ／ｍＬ）を調製した。　
（１－７）抗体添加緩衝液
　上記（１－１）の緩衝液に精製した抗ＨＲＧ抗体（７５－２Ｄ）を０、１．５、５、１５、５０μｇ／ｍＬの濃度となるように添加して抗体添加緩衝液を調製した。
（２）試験方法
　９６ウェルマキシソーププレート（ＴｈｅｒｍｏＦｉｓｈｅｒ、ＮＵＮＣ社）に上記（１．４）の捕捉抗体溶液を１ウェルあたり１５０μＬで分注し、プレートを室温で２時間インキュベートした。プレートを１ウェル当たり３００μＬの洗浄液で２回洗浄した。ブロッキング溶液（１％ＢＳＡ含有ＰＢＳ）を１ウェルあたり３００μＬで分注した。プレートを４℃で一晩以上インキュベートした。作製したプレートは４℃で保管した。
　ブロッキング溶液を除去し、プレートを１ウェル当たり３００μＬの洗浄液で２回洗浄した後、５段階に希釈した検量線用標準物質を１ウェルあたり２５μＬ（ｎ＝２）で分注した。検量線用標準物質を添加した各ウェルに抗体添加緩衝液（１．５μｇ／ｍＬ）を１ウェルあたり１００μＬで分注した。同様に検量線用標準物質を添加した各ウェルに抗体添加緩衝液の０、５、１５、５０μｇ／ｍＬの４濃度についても、１ウェルあたり１００μＬで分注した。
　プレートを室温で２時間インキュベートした。プレートを１ウェル当たり３００μＬの洗浄液で３回洗浄した後、検出抗体の溶液を１ウェルあたり１００μＬで分注し、プレートを室温で１時間インキュベートした。プレートを上記のように洗浄液で３回洗浄した後、発色基質溶液　（ＴＭＢ（３，３’，５，５’－テトラメチルベンジジン））を１ウェルあたり１００μＬで分注し、プレートを室温で１５分間インキュベートした後、反応停止液　０．５Ｍ　Ｈ_２ＳＯ_４、５０μＬ／ｗｅｌｌを加えて、４５０ｎｍの吸光度を測定した。検量線用標準物質のＨＲＧ濃度に対する吸光度の測定値をプロットして、検量線を作成した。
（３）結果
　５点の濃度の抗体添加緩衝液を添加した条件に対して、それぞれ作成した検量線を図８に示す。一般的なＥＬＩＳＡにおける有効な吸光度範囲はおおよそ０．０１～３．００であることを考慮すると、サンドイッチＥＬＩＳＡ系が成立するレベルの吸光度範囲が達成された抗体添加緩衝液濃度は、１．５μｇ／ｍＬから５０μｇ／ｍＬの範囲であると思われる。経済的な面からは少ない抗体使用量が望ましく、そのような観点では抗体添加緩衝液中の捕捉抗体の濃度は１．５μｇ／ｍＬから１５μｇ／ｍＬの範囲が好ましい。

実施例８：サンドイッチＥＬＩＳＡ系で反応液に添加する抗体添加緩衝液の至適な抗体濃度の検討（別法の検討２）
　反応液へ添加する抗体添加緩衝液の抗体濃度を３μｇ／ｍＬ～１０μｇ／ｍＬの範囲で変化させ、至適な抗体添加緩衝液の抗体濃度の検討を実施した。
試験条件
　緩衝液、抗体希釈液、洗浄液、捕捉抗体及び検出抗体の調製については、実施例７に記載した条件と同一の条件を用いて試験した。
（１－２）検量線用標準物質（ヒト精製ＨＲＧタンパク質）の調製
　精製ＨＲＧ（１０００μｇ／ｍＬ）を緩衝液で希釈し、検量線用標準物質溶液（２.５μｇ／ｍＬ）を得た。検量線の上限を２.５μｇ／ｍＬとし、検量線用標準物質溶液（２.５μｇ／ｍＬ）を緩衝液にて２倍希釈し、検量線用標準物質溶液（１．２５μｇ／ｍＬ）を得た。検量線用標準物質溶液をさらに希釈して、２倍希釈系列（０．６３、０．３２、及び０．１６ μｇ／ｍＬ）を調製した。
（１－３）抗体添加緩衝液
　緩衝液に精製した抗ＨＲＧ抗体（７５－２Ｄ）を３、４、５、７、１０μｇ／ｍＬの濃度となるように添加した。
（２）試験方法
　９６ウェルマキシソーププレート（ＴｈｅｒｍｏＦｉｓｈｅｒ、ＮＵＮＣ社）に捕捉抗体溶液を１ウェルあたり１５０μＬで分注し、プレートを室温で２時間インキュベートした。プレートを、１ウェル当たり３００μＬの洗浄液で２回洗浄した。ブロッキング溶液（１％ＢＳＡ含有ＰＢＳ）を１ウェルあたり３００μＬで分注した。プレートを４℃で一晩以上インキュベートした。作製したプレートは４℃で保管した。
　ブロッキング溶液を除去し、プレートを１ウェル当たり３００μＬの洗浄液で２回洗浄した後、５段階に希釈した検量線用標準物質を１ウェルあたり２５μＬ（ｎ＝２）で分注した。検量線用標準物質を添加した各ウェルに抗体添加緩衝液（３μｇ／ｍＬ）を１ウェルあたり１００μＬで分注した。同様に検量線用標準物質を添加した各ウェルに抗体添加緩衝液の４、５、７、１０μｇ／ｍＬの４濃度について１ウェルあたり１００μＬで分注した。
　プレートを室温で２時間インキュベートした。プレートを１ウェル当たり３００μＬの洗浄液で３回洗浄した後、検出抗体溶液を１ウェルあたり１００μＬで分注し、プレートを室温で１時間インキュベートした。プレートを上記のように洗浄液で３回洗浄した後、発色基質溶液　（ＴＭＢ（３，３’，５，５’－テトラメチルベンジジン））を１ウェルあたり１００μＬで分注し、プレートを室温で１５分間インキュベートした後、反応停止液　０．５Ｍ　Ｈ_２ＳＯ_４、５０μＬ／ｗｅｌｌを加えて、４５０ｎｍの吸光度を測定した。検量線用標準物質のＨＲＧ濃度に対する吸光度の測定値をプロットして、検量線を作成した。
（３）結果
　５濃度の抗体添加緩衝液を添加した条件に対して、それぞれ作成した検量線を図９に示す。いずれの抗体添加濃度においてもサンドイッチＥＬＩＳＡ系が成立するレベルの吸光度範囲が達成された。検体希釈倍率を１０１倍に設定した場合に、血漿中ＨＲＧ濃度域０．１６～２．５μｇ／ｍＬをより定量的に測定できる抗体添加緩衝液濃度として、最適な抗体添加緩衝液濃度は、７μｇ／ｍＬであることがわかった。

実施例９：サンドイッチＥＬＩＳＡ系で反応液へ７μｇ／ｍＬの抗体添加緩衝液を添加した際の定量範囲の検討（別法の検討３）
　サンドイッチＥＬＩＳＡ系の定量範囲を設定するために、０．０４～２．５ μｇ／ｍＬのヒト精製ＨＲＧの測定を行った。
（１）試験条件
　緩衝液、抗体希釈液、洗浄液、捕捉抗体及び検出抗体の調製については、実施例７に記載した条件と同一の条件を用いて試験した。
（１－１）抗体添加緩衝液
　緩衝液に精製した抗ＨＲＧ抗体（７５－２Ｄ）を７μｇ／ｍＬの濃度となるように添加した。
（１－２）ヒト精製ＨＲＧ希釈例の調製
　ヒト精製ＨＲＧ（１０００μｇ／ｍＬ）を緩衝液で希釈し、精製ＨＲＧ溶液（２.５μｇ／ｍＬ）を得た。精製ＨＲＧ溶液（２.５μｇ／ｍＬ）を緩衝液にて２倍希釈し、精製ＨＲＧ溶液（１．２５μｇ／ｍＬ）を得た。精製ＨＲＧ溶液をさらに希釈して、２倍希釈系列（０．６３、０．３２、０．１６、０．０８、及び０．０４ μｇ／ｍＬ）を調製した。ヒト精製ＨＲＧを加えない緩衝液をブランク溶液（ＨＲＧ濃度０．００μｇ／ｍＬ）とした。
（２）試験方法
　９６ウェルマキシソーププレート（ＴｈｅｒｍｏＦｉｓｈｅｒ、ＮＵＮＣ社）に捕捉抗体溶液を１ウェルあたり１５０μＬで分注し、プレートを室温で２時間インキュベートした。プレートを、１ウェル当たり３００μＬの洗浄液で２回洗浄した。ブロッキング溶液（１％ＢＳＡ含有ＰＢＳ）を１ウェルあたり３００μＬで分注した。プレートを４℃で一晩以上インキュベートした。作製したプレートは４℃で保管した。
　ブロッキング溶液を除去し、プレートを１ウェル当たり３００μＬの洗浄液で２回洗浄した後、前記のヒト精製ＨＲＧ希釈列（２.５μｇ／ｍＬ～０．０４ μｇ／ｍＬの７段階希釈）溶液又はブランク溶液を１ウェルあたり２５μＬ（ｎ＝５）で分注した。
　ヒト精製ＨＲＧ希釈列（７段階）溶液又はブランク溶液を添加した各ウェルに抗体添加緩衝液（７μｇ／ｍＬ）を１ウェルあたり１００μＬで分注した。
　プレートを室温で２時間インキュベートした。プレートを１ウェル当たり３００μＬの洗浄液で３回洗浄した後、検出抗体溶液を１ウェルあたり１００μＬで分注し、プレートを室温で１時間インキュベートした。プレートを上記のように洗浄液で３回洗浄した後、発色基質溶液　（ＴＭＢ（３，３’，５，５’－テトラメチルベンジジン））を１ウェルあたり１００μＬで分注し、プレートを室温で１５分間インキュベートした後、反応停止液　０．５Ｍ　Ｈ_２ＳＯ_４、５０μＬ／ｗｅｌｌを加えて、４５０ｎｍの吸光度を測定した（表５）。
（３）結果
　定量範囲を設定するために、０．０４～２．５μｇ／ｍＬの精製ＨＲＧの含量測定を行い、５回同時測定した結果、同時再現性の変動係数は２．２％　～　７．３％であった。定量範囲は、ブランクの吸光度の平均±３ＳＤと該当する濃度の吸光度の平均±３ＳＤ　が重ならない濃度範囲とした。これを満たす濃度範囲は、０．１６～　２．５μｇ／ｍＬであった（表５）。

　このことから設定したサンドイッチＥＬＩＳＡ系の好ましい定量範囲を０．１６～２．５μｇ／ｍＬと判断した。

実施例１０：サンドイッチＥＬＩＳＡ系の再現性の検討（別法の検討４）
　定量性が０．１６～２．５μｇ／ｍＬで認められたことから、検量線を０．１６～２．５μｇ／ｍＬの範囲とし、測定系の再現性を検討した。同時再現性は、５重測定を行ったときの同一測定時内における変動係数、日差再現性は、同一検体を２重測定で日を変えて４回測定したときの測定間における変動係数とした。測定者間差再現性は、同一検体を２重測定で測定者を変えて3回測定したときの測定間における変動係数とした。
（１）試験条件
　緩衝液、抗体希釈液、洗浄液、捕捉抗体及び検出抗体の調製については、実施例７に記載した条件と同一の条件を用いて試験した。
（１－１）検量線用標準物質（ヒト精製ＨＲＧタンパク質）の調製
　ヒト精製ＨＲＧ（１０００μｇ／ｍＬ）を緩衝液で希釈し、検量線用標準物質溶液（２.５μｇ／ｍＬ）を得た。検量線の上限を２.５μｇ／ｍＬとし、検量線用標準物質溶液（２.５μｇ／ｍＬ）を緩衝液にて２倍希釈し、検量線用標準物質溶液（１．２５μｇ／ｍＬ）を得た。検量線用標準物質溶液をさらに希釈して、２倍希釈系列（０．６３、０．３２及び０．１６μｇ／ｍＬ）を調製した。
（１－２）抗体添加緩衝液
　実施例９と同じく、緩衝液に精製した抗ＨＲＧ抗体（７５－２Ｄ）を７μｇ／ｍＬの濃度となるように添加した。
（１－３）生体試料
　成人健常者のプール血漿検体（２検体）を緩衝液で１０１倍に希釈して測定に用いた。
（２）試験方法
　９６ウェルマキシソーププレート（ＴｈｅｒｍｏＦｉｓｈｅｒ、ＮＵＮＣ社）に捕捉抗体溶液を１ウェルあたり１５０μＬで分注し、プレートを室温で２時間インキュベートした。プレートを、１ウェル当たり３００μＬの洗浄液で２回洗浄した。ブロッキング溶液（１％ＢＳＡ含有ＰＢＳ）を１ウェルあたり３００μＬで分注した。プレートを４℃で一晩以上インキュベートした。作製したプレートは４℃で保管した。
　ブロッキング溶液を除去し、プレートを１ウェル当たり３００μＬの洗浄液で２回洗浄した後、５段階に希釈した検量線用標準物質溶液を１ウェルあたり２５μＬ（ｎ＝２）で分注した。同時再現性では、生体試料（２検体）を１ウェルあたり２５μＬ（ｎ＝５）で分注した。日差再現性では、各日で生体試料（２検体）を１ウェルあたり２５μＬ（ｎ＝２）で分注した。測定者間再現性では、各測定者で生体試料（２検体）を１ウェルあたり２５μＬ（ｎ＝２）で分注した。
　検量線用標準物質溶液及び生体試料を添加した各ウェルに抗体添加緩衝液（７μｇ／ｍＬ）を１ウェルあたり１００μＬで分注した。
　プレートを室温で２時間インキュベートした。プレートを１ウェル当たり３００μＬの洗浄液で３回洗浄した後、検出抗体の溶液を１ウェルあたり１００μＬで分注し、プレートを室温で１時間インキュベートした。プレートを上記のように洗浄液で３回洗浄した後、発色基質溶液　（ＴＭＢ（３，３’，５，５’－テトラメチルベンジジン））を１ウェルあたり１００μＬで分注し、プレートを室温で１５分間インキュベートした後、反応停止液　０．５Ｍ　Ｈ_２ＳＯ_４、５０μＬ／ｗｅｌｌを加えて、４５０ｎｍの吸光度を測定した。検量線用標準物質のＨＲＧ濃度に対する吸光度の測定値をプロットして、検量線を作成した。
（３）結果
　生体試料（２検体）を用いて測定系の再現性の検討を行った結果、同時再現性の変動係数は、検体１で３．６％、検体２で１．８％（表６）、日差再現性の変動係数は、検体１で７．３％、検体２で９．３％（表７）と良好な値を示した。測定者間再現性の変動係数においても、検体１で８．４％、検体２で６．６％（表８）であった。反応液へ７μｇ／ｍＬの抗体添加緩衝液を使用した本サンドイッチＥＬＩＳＡ系は、高い再現性を有するＨＲＧ定量系であることが明らかとなった。

実施例１１：干渉物質の影響の検討（別法の検討５）
　本サンドイッチＥＬＩＳＡ系が受ける干渉物質の影響を評価し、干渉物質が含まれる血漿検体のＨＲＧ定量に使用できるかについて検討した。
（１）試験条件
　緩衝液、抗体希釈液、洗浄液、捕捉抗体及び検出抗体の調製については、実施例７に記載した条件と同一の条件を用いて試験した。検量線用標準物質（ヒト精製ＨＲＧタンパク質）および抗体添加緩衝液の調製については実施例１０と同一の条件を用いて試験した。
（１－１）干渉物質
干渉チェック・Ａプラス［遊離型ビリルビン、抱合型ビリルビン、溶血ヘモグロビン、乳び］（シスメックス株式会社）を添付文書の標準操作法に従って調製した。ベースとなる検体に成人健常者のプール血漿検体を用いた。
　具体的には、試薬瓶内で溶解させた遊離型ビリルビン及び遊離型ビリルビン（ブランク）をベース検体に対して１０分の１量となるようにそれぞれ添加した。これをサンプルＡとサンプルＢとした。サンプルＡとサンプルＢの混合比が、０：１０、２：８、４：６、６：４、８：２、１０：０となるように調製して希釈系列を作製し、干渉物質を含む溶液とした。同様に、抱合型ビリルビン、溶血ヘモグロビン、乳びについても調製した。
（１－２）干渉物質を含む溶液の調製
　干渉物質を含む溶液を緩衝液で１０１倍に希釈して測定に用いた。
（２）試験方法
　９６ウェルマキシソーププレート（ＴｈｅｒｍｏＦｉｓｈｅｒ、ＮＵＮＣ社）に捕捉抗体溶液を１ウェルあたり１５０μＬで分注し、プレートを室温で２時間インキュベートした。プレートを、１ウェル当たり３００μＬの洗浄液で２回洗浄した。ブロッキング溶液（１％ＢＳＡ含有ＰＢＳ）を１ウェルあたり３００μＬで分注した。プレートを４℃で一晩以上インキュベートした。作製したプレートは４℃で保管した。
　ブロッキング溶液を除去し、プレートを１ウェル当たり３００μＬの洗浄液で２回洗浄した後、５段階に希釈した検量線用標準物質溶液と希釈した干渉物質を含む溶液を１ウェルあたり２５μＬ（ｎ＝２）で分注した。
　検量線用標準物質溶液及び希釈した干渉物質を含む溶液を添加した各ウェルに抗体添加緩衝液（７μｇ／ｍＬ）を１ウェルあたり１００μＬで分注した。
　プレートを室温で２時間インキュベートした。プレートを１ウェル当たり３００μＬの洗浄液で３回洗浄した後、検出抗体の溶液を１ウェルあたり１００μＬで分注し、プレートを室温で１時間インキュベートした。プレートを上記のように洗浄液で３回洗浄した後、発色基質溶液　（ＴＭＢ（３，３’，５，５’－テトラメチルベンジジン））を１ウェルあたり１００μＬで分注し、プレートを室温で１５分間インキュベートした後、反応停止液　０．５Ｍ　Ｈ_２ＳＯ_４、５０μＬ／ｗｅｌｌを加えて、４５０ｎｍの吸光度を測定した。検量線用標準物質のＨＲＧ濃度に対する吸光度の測定値をプロットして、検量線を作成した。
（３）結果
　遊離型ビリルビンが、４．１、８．２、１２．３、１６．４、２０．５ｍｇ/ｄＬの５濃度の時に得られた検体のＨＲＧ濃度は、遊離型ビリルビンが０ｍｇ/ｄＬの時のＨＲＧ濃度に対して、９２～１０１％であった。（表９）

　抱合型ビリルビンが、３．９、７．８、１１．８、１５．７、１９．６ｍｇ/ｄＬの５濃度の時に得られた検体のＨＲＧ濃度は、抱合型ビリルビンが０ｍｇ/ｄＬの時のＨＲＧ濃度に対して、１０５～１１６％であった。（表１０）

　溶血ヘモグロビンが、１０４、２０８、３１２、４１６、５２０ｍｇ/ｄＬの５濃度の時に得られた検体のＨＲＧ濃度は、溶血ヘモグロビンが０ｍｇ/ｄＬの時のＨＲＧ濃度に対して、１０１～１１０％であった。（表１１）

　乳びが、３４０、６８０、１０２０、１３６０、１７００ＦＴＵの５濃度の時に得られた検体のＨＲＧ濃度は、乳びが０ＦＴＵの時のＨＲＧ濃度に対して、９４～１００％であった。（表１２）

　このことより、本サンドイッチＥＬＩＳＡ系は、干渉物質の影響を受けない定量系であり、一般的な血漿検体のＨＲＧ定量に使用できることが明らかとなった。

実施例１２：通常法との比較（別法の検討６）
　本サンドイッチＥＬＩＳＡ系（別法）と本サンドイッチＥＬＩＳＡ系（通常法）を比較するために敗血症患者１０名の血漿検体のＨＲＧ値の測定を行った。同一検体を２重測定で日を変えて３回測定したときの測定間における変動係数を算出し、再現性を確認した。
[本サンドイッチＥＬＩＳＡ系（通常法）]
（１）試験条件
（１－１）緩衝液の調製
０．１％ＢＳＡ含有ＰＢＳ、ｐＨ７．４（ＧＩＢＣＯ）
（１－２）抗体希釈液の調製
０．１％ＢＳＡ含有ＰＢＳ、ｐＨ７．４（ＧＩＢＣＯ）
（１－３）洗浄液の調製
０．０５％Ｔｗｅｅｎ２０含有ＰＢＳ、ｐＨ７．４（Ｔａｋａｒａ）
（１－４）捕捉抗体の調製
　精製した抗ＨＲＧ抗体（７５－２Ｄ）を０．２Ｍ炭酸緩衝液で希釈して、捕捉抗体溶液（１０μｇ／ｍＬ）を得た。
（１－５）検出抗体の調製
　精製した抗ＨＲＧ抗体（６９－１Ａ）をホースラディッシュ・ペルオキシダーゼ（ＨＲＰ）標識し、抗体希釈液で希釈して、検出抗体溶液（７５ｎｇ／ｍＬ）を得た。
（１－６）検量線用標準物質（ヒト精製ＨＲＧタンパク質）の調製
　４．０μＬの精製ＨＲＧ（１０００μｇ／ｍＬ）に３９６μＬの０．１％ＢＳＡ含有ＰＢＳを混合し、検量線用標準物質溶液（１０μｇ／ｍＬ）を得た。検量線用標準物質溶液（１０μｇ／ｍＬ）を０．１％ＢＳＡ含有ＰＢＳで１００倍に希釈し、検量線の上限を１００ｎｇ／ｍＬとした。検量線用標準物質溶液（１００ｎｇ／ｍＬ）をさらに２倍希釈して、希釈系列（５０ｎｇ／ｍＬ、２５ｎｇ／ｍＬ、１２．５　ｎｇ／ｍＬ、６．２５ｎｇ／ｍＬ、３．１２５ｎｇ／ｍＬ、１．５６ｎｇ／ｍＬ及び０ｎｇ／ｍＬ）を調製した。
（１－７）生体試料の調製
　敗血症患者１０名から血液を採取し、血漿検体（１０検体）を得た。各血漿検体は、０．１％ＢＳＡ含有ＰＢＳで５，０００倍に希釈して測定に用いた。
（２）　試験方法
　９６ウェルマキシソーププレート（ＮＵＮＣ社）に捕捉抗体溶液を１ウェルあたり１００μＬで分注し、プレートを室温で２時間インキュベートした。
　プレートを、１ウェル当たり３００μＬの洗浄液（０．０５％Ｔｗｅｅｎ２０含有ＰＢＳ）で２回洗浄した。ブロッキング溶液（１％ＢＳＡ含有ＰＢＳ）を１ウェルあたり１５０μＬで分注し、プレートを室温で２時間インキュベートした。ブロッキング溶液を除去し、プレートを１ウェル当たり３００μＬの洗浄液で２回洗浄した後、７段階に希釈した検量線用標準物質溶液、及び生体試料（１０検体）を１ウェルあたり１００μＬ（ｎ＝２）で分注し、プレートを４℃で一晩インキュベートした。
　プレートを１ウェル当たり３００μＬの洗浄液で４回洗浄した後、検出抗体溶液を１ウェルあたり１００μＬで分注し、プレートを室温で２時間インキュベートした。プレートを上記のように洗浄液で４回洗浄した後、発色基質溶液（ＴＭＢ（３，３’，５，５’－テトラメチルベンジジン））を１ウェルあたり１００μＬで分注し、プレートを室温で１０分間インキュベートした後、反応停止液　０．５Ｍ　Ｈ_２ＳＯ_４、５０μＬ／ｗｅｌｌを加えて、４５０ｎｍの吸光度を測定した。検量線用標準物質のＨＲＧ濃度に対する吸光度の測定値をプロットして、検量線を作成した。
[本サンドイッチＥＬＩＳＡ系（別法）]
（１）試験条件
　緩衝液、抗体希釈液、洗浄液、捕捉抗体及び検出抗体の調製については、実施例７に記載した条件と同一の条件を用いて試験した。検量線用標準物質（ヒト精製ＨＲＧタンパク質）および抗体添加緩衝液の調製については実施例１０と同一の条件を用いて試験した。
（１－１）生体試料の調製
　敗血症患者１０名から血液を採取し、血漿検体（１０検体）を得た。各血漿検体は、緩衝液で１０１倍に希釈して測定に用いた。
（２）試験方法
　９６ウェルマキシソーププレート（ＴｈｅｒｍｏＦｉｓｈｅｒ、ＮＵＮＣ社）に捕捉抗体溶液を１ウェルあたり１５０μＬで分注し、プレートを室温で２時間インキュベートした。プレートを、１ウェル当たり３００μＬの洗浄液で２回洗浄した。ブロッキング溶液（１％ＢＳＡ含有ＰＢＳ）を１ウェルあたり３００μＬで分注した。プレートを４℃で一晩以上インキュベートした。作製したプレートは４℃で保管した。
　ブロッキング溶液を除去し、プレートを１ウェル当たり３００μＬの洗浄液で２回洗浄した後、５段階に希釈した検量線用標準物質溶液を１ウェルあたり２５μＬ（ｎ＝２）で分注した。日差再現性では、各日で生体試料（１０検体）を１ウェルあたり２５μＬ（ｎ＝２）で分注した。
　検量線用標準物質溶液及び生体試料を添加した各ウェルに抗体添加緩衝液（７μｇ／ｍＬ）を１ウェルあたり１００μＬで分注した。
　プレートを室温で２時間インキュベートした。プレートを１ウェル当たり３００μＬの洗浄液で３回洗浄した後、検出抗体の溶液を１ウェルあたり１００μＬで分注し、プレートを室温で１時間インキュベートした。プレートを上記のように洗浄液で３回洗浄した後、発色基質溶液　（ＴＭＢ（３，３’，５，５’－テトラメチルベンジジン））を１ウェルあたり１００μＬで分注し、プレートを室温で１５分間インキュベートした後、反応停止液　０．５Ｍ　Ｈ_２ＳＯ_４、５０μＬ／ｗｅｌｌを加えて、４５０ｎｍの吸光度を測定した。検量線用標準物質のＨＲＧ濃度に対する吸光度の測定値をプロットして、検量線を作成した。
（３）結果
　生体試料（１０検体）を用いて測定系の再現性の検討を行った結果、本サンドイッチＥＬＩＳＡ系(通常法）の日差再現性の変動係数は、６．１～２５．３％、平均で１３．１％（表１３）、本サンドイッチＥＬＩＳＡ系(別法)では、３．５～１１．３％、平均で５．８％（表１４）であった。このことから、本サンドイッチＥＬＩＳＡ系(別法)は、特に高い再現性を有するＨＲＧ定量系であることが明らかとなった。

実施例１３：市販品との比較（別法の検討７）
　本サンドイッチＥＬＩＳＡ系（別法）と市販のＨＲＧのＥＬＩＳＡキットと比較するために敗血症患者１０名の血漿検体のＨＲＧ値の測定を行った。
[市販品]
（１）試験条件
　市販品として[RayBio（登録商標） Human HPRG ELISA Kit Catalog #: ELH-HPRG」を用いた。
（２）試験方法
　添付文書に従い、測定を実施した。
[本サンドイッチＥＬＩＳＡ系（別法）]
（１）試験条件
　緩衝液、抗体希釈液、洗浄液、捕捉抗体及び検出抗体の調製については、実施例７に記載した条件と同一の条件を用いて試験した。検量線用標準物質（ヒト精製ＨＲＧタンパク質）および抗体添加緩衝液の調製については実施例１０と同一の条件を用いて試験した。
（１－１）生体試料の調製
　敗血症患者１０名から血液を採取し、血漿検体（１０検体）を得た。各血漿検体は、緩衝液で１０１倍に希釈して測定に用いた。
（２）試験方法
　９６ウェルマキシソーププレート（ＴｈｅｒｍｏＦｉｓｈｅｒ、ＮＵＮＣ社）に捕捉抗体溶液を１ウェルあたり１５０μＬで分注し、プレートを室温で２時間インキュベートした。プレートを、１ウェル当たり３００μＬの洗浄液で２回洗浄した。ブロッキング溶液（１％ＢＳＡ含有ＰＢＳ）を１ウェルあたり３００μＬで分注した。プレートを４℃で一晩以上インキュベートした。作製したプレートは４℃で保管した。
　ブロッキング溶液を除去し、プレートを１ウェル当たり３００μＬの洗浄液で２回洗浄した後、５段階に希釈した検量線用標準物質溶液、及び生体試料（１０検体）を１ウェルあたり２５μＬ（ｎ＝２）で分注した。
　検量線用標準物質溶液及び生体試料を添加した各ウェルに抗体添加緩衝液（７μｇ／ｍＬ）を１ウェルあたり１００μＬで分注した。
　プレートを室温で２時間インキュベートした。プレートを１ウェル当たり３００μＬの洗浄液で３回洗浄した後、検出抗体の溶液を１ウェルあたり１００μＬで分注し、プレートを室温で１時間インキュベートした。プレートを上記のように洗浄液で３回洗浄した後、発色基質溶液　（ＴＭＢ（３，３’，５，５’－テトラメチルベンジジン））を１ウェルあたり１００μＬで分注し、プレートを室温で１５分間インキュベートした後、反応停止液　０．５Ｍ　Ｈ_２ＳＯ_４、５０μＬ／ｗｅｌｌを加えて、４５０ｎｍの吸光度を測定した。検量線用標準物質のＨＲＧ濃度に対する吸光度の測定値をプロットして、検量線を作成した。
（３）結果
　市販品では、本サンドイッチＥＬＩＳＡ系（別法）に対して、血漿検体中のＨＲＧ濃度が３０～７９％、平均５６．９％であり、低く測定されることが明らかになった。（表１５）このことから、市販品では、検体中で検出できていないＨＲＧがより多く存在する可能性が示唆された。一方、本サンドイッチＥＬＩＳＡ系（別法）では、市販品が検出できない検体中のＨＲＧを測定できることが示唆された。このことから市販品に比較して、本サンドイッチＥＬＩＳＡ系（別法）は検体中のＨＲＧをより正確に測定できることが示唆された。

　本発明のＨＲＧに対するモノクローナル抗体、それらのセット、それらを用いたＨＲＧの測定方法は、被検試料中の測定に有用である。

Claims

下記１）～６）：
１）配列番号４１のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ１、
配列番号４２のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ２、及び
配列番号４３のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ３を含む重鎖可変領域、
並びに、
配列番号７のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ１、
配列番号４５のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ２、及び
配列番号９のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ３を含む軽鎖可変領域、
２）配列番号３３のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ１、
配列番号３４のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ２、及び
配列番号３５のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ３を含む重鎖可変領域、
並びに、
配列番号３７のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ１、
配列番号３８のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ２、及び
配列番号３９のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ３を含む軽鎖可変領域、
３）配列番号３のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ１、
配列番号４のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ２、及び
配列番号５のアミノ酸配列かにおいて１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列らなるＣＤＲ３を含む重鎖可変領域、
並びに、
配列番号７のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ１、
配列番号８のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ２、及び
配列番号９のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ３を含む軽鎖可変領域、
４）配列番号１１のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ１、
配列番号１２のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ２、及び
配列番号１３のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ３を含む重鎖可変領域、
並びに、
配列番号１５のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ１、
配列番号１６のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ２、及び
配列番号１７のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ３を含む軽鎖可変領域、
５）配列番号２１のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ１、
配列番号２２のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ２、及び
配列番号２３のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ３を含む重鎖可変領域、
並びに、
配列番号２５のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ１、
配列番号２６のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ２、及び
配列番号２７のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ３を含む軽鎖可変領域、
６）配列番号１１のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ１、
配列番号２９のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ２、及び
配列番号１３のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ３を含む重鎖可変領域、
並びに、
配列番号１５のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ１、
配列番号３１のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ２、及び
配列番号１７のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ３を含む軽鎖可変領域、
のいずれかに記載の重鎖可変領域並びに軽鎖可変領域を含む、ＨＲＧに対するモノクローナル抗体又はその抗体断片。
下記１）～７）：
１）配列番号４０のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び
配列番号４４のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域、
２）配列番号３２のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び
配列番号３６のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域、
３）配列番号２のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び
配列番号６のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域、
４）配列番号１０のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び
配列番号１４のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域、
５）配列番号１８のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び
配列番号１９のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域、
６）配列番号２０のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び
配列番号２４のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域、
７）配列番号２８のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び、
配列番号３０のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域、
のいずれかに記載の重鎖可変領域並びに軽鎖可変領域を含む、請求項１記載のモノクローナル抗体又はその抗体断片。
以下の１）又は２）から選択される、被検試料中のＨＲＧを測定に用いるための、ＨＲＧに対するモノクローナル抗体若しくはその抗体断片のセット。
１）捕捉抗体が、
配列番号４１のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ１、
配列番号４２のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ２、及び
配列番号４３のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ３を含む重鎖可変領域、
並びに、
配列番号７のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ１、
配列番号４５のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ２、及び
配列番号９のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ３を含む軽鎖可変領域を含む、ＨＲＧに対するモノクローナル抗体又はその抗体断片であり、
検出抗体が、以下（ｉ）から（ｉｖ）のいずれかに記載の重鎖可変領域並びに軽鎖可変領域を含む、ＨＲＧに対するモノクローナル抗体又はその抗体断片である。
（ｉ）配列番号１１のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ１、
配列番号１２のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ２、及び
配列番号１３のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ３を含む重鎖可変領域、
並びに、
配列番号１５のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ１、
配列番号１６のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ２、及び
配列番号１７のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ３を含む軽鎖可変領域、
（ｉｉ）配列番号２１のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ１、
配列番号２２のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ２、及び
配列番号２３のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ３を含む重鎖可変領域、
並びに、
配列番号２５のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ１、
配列番号２６のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ２、及び
配列番号２７のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ３を含む軽鎖可変領域、
（ｉｉｉ）配列番号１１のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ１、
配列番号２９のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ２、及び
配列番号１３のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ３を含む重鎖可変領域、
並びに、
配列番号１５のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ１、
配列番号３１のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ２、及び
配列番号１７のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ３を含む軽鎖可変領域、
（ｉｖ）配列番号３３のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ１、
配列番号３４のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ２、及び
配列番号３５のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ３を含む重鎖可変領域、
並びに、
配列番号３７のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ１、
配列番号３８のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ２、及び
配列番号３９のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ３を含む軽鎖可変領域、
２）捕捉抗体が、
配列番号３のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ１、
配列番号４のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ２、及び
配列番号５のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ３を含む重鎖可変領域、
並びに、
配列番号７のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ１、
配列番号８のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ２、及び
配列番号９のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ３を含む軽鎖可変領域を含む、ＨＲＧに対するモノクローナル抗体又はその抗体断片であり、
検出抗体が、以下（ｉ）から（iii）のいずれかに記載の重鎖可変領域並びに軽鎖可変領域を含む、ＨＲＧに対するモノクローナル抗体又はその抗体断片である。
（ｉ）配列番号１１のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ１、
配列番号１２のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ２、及び
配列番号１３のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ３を含む重鎖可変領域、
並びに、
配列番号１５のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ１、
配列番号１６のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ２、及び
配列番号１７のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ３を含む軽鎖可変領域、
（ｉｉ）配列番号１１のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ１、
配列番号２９のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ２、及び
配列番号１３のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ３を含む重鎖可変領域、
並びに、
配列番号１５のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ１、
配列番号３１のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ２、及び
配列番号１７のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ３を含む軽鎖可変領域、
（iii）配列番号３３のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ１、
配列番号３４のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ２、及び
配列番号３５のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ３を含む重鎖可変領域、
並びに、
配列番号３７のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ１、
配列番号３８のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ２、及び
配列番号３９のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ３を含む軽鎖可変領域。
以下の１）又は２）から選択される、請求項３記載のモノクローナル抗体若しくはその抗体断片のセット。
１）捕捉抗体が、
配列番号４０のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び
配列番号４４のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含む、ＨＲＧに対するモノクローナル抗体又はその抗体断片であり、
検出抗体が、以下（ｉ）から（ｖ）のいずれかに記載の重鎖可変領域並びに軽鎖可変領域を含む、ＨＲＧに対するモノクローナル抗体又はその抗体断片のいずれかである。
（ｉ）配列番号１０のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び
配列番号１４のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域、
（ｉｉ）配列番号１８のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び
配列番号１９のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域、
（ｉｉｉ）配列番号２０のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び
配列番号２４のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域、
（ｉｖ）配列番号２８のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び
配列番号３０のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域、
（ｖ）配列番号３２のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び
配列番号３６のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域、
２）捕捉抗体が、
配列番号２のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び
配列番号６のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含む、ＨＲＧに対するモノクローナル抗体又はその抗体断片であり、
検出抗体が、以下（ｉ）から（ｉｖ）のいずれかに記載の重鎖可変領域並びに軽鎖可変領域を含む、ＨＲＧに対するモノクローナル抗体又はその抗体断片のいずれかである。
（ｉ）配列番号１０のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び
配列番号１４のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域、
（ｉｉ）配列番号１８のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び
配列番号１９のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域、
（ｉｉｉ）配列番号２８のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び
配列番号３０のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含む、ＨＲＧに対するモノクローナル抗体又はその抗体断片、
（ｉｖ）配列番号３２のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び
配列番号３６のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域。
請求項１又は２に記載のモノクローナル抗体又はその抗体断片又は請求項３又は４に記載のモノクローナル抗体若しくはその抗体断片のセットを含む被検試料中のＨＲＧの検出又は定量のためのキット。
前記の被検試料中のＨＲＧの検出又は定量が、酵素免疫測定法（ＥＬＩＳＡまたはＥＩＡ）、蛍光免疫測定法（ＦＩＡ）、放射免疫測定法（ＲＩＡ）、化学発光免疫測定法から選択されるいずれかの免疫測定法によるものである請求項５記載のキット。
前記免疫測定法がサンドイッチＥＬＩＳＡ法である、請求項６記載のキット。
被検試料が血液である、請求項７記載のキット。
敗血症の検出のための、請求項８記載のキット。
捕捉抗体及び検出抗体を用いて被検試料中のＨＲＧを測定する方法であって、
捕捉抗体とＨＲＧと検出抗体とを含むサンドイッチ免疫複合体を形成する工程を含み、
前記捕捉抗体が、
配列番号４１のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ１、
配列番号４２のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ２、及び
配列番号４３のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ３を含む重鎖可変領域、
並びに、
配列番号７のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ１、
配列番号４５のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ２、及び
配列番号９のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ３を含む軽鎖可変領域を含む、ＨＲＧに対するモノクローナル抗体又はその抗体断片であり、
前記検出抗体が、
配列番号３３のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ１、
配列番号３４のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ２、及び
配列番号３５のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ３を含む重鎖可変領域、
並びに、
配列番号３７のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ１、
配列番号３８のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ２、及び
配列番号３９のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなるＣＤＲ３を含む軽鎖可変領域を含む、ＨＲＧに対するモノクローナル抗体又はその抗体断片である、
被検試料中のＨＲＧの測定方法。
前記捕捉抗体が、
配列番号４０のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び、
配列番号４４のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含む、ＨＲＧに対するモノクローナル抗体又はその抗体断片であり、
前記検出抗体が、
配列番号３２のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなる重鎖可変領域、及び、
配列番号３６のアミノ酸配列において１～２個のアミノ酸が欠失、置換、挿入及び／若しくは付加されていてもよいアミノ酸配列からなる軽鎖可変領域を含む、ＨＲＧに対するモノクローナル抗体又はその抗体断片である、請求項１０記載の測定方法。
敗血症の検出のための、請求項１０又は１１記載の測定方法。
捕捉抗体と検出抗体との組合せを含むＨＲＧに対するモノクローナル抗体又はその抗体断片のセットを用いた、被検試料中のＨＲＧを測定する方法であって、
（a）被検試料と固相に固定された捕捉抗体とを、前記捕捉抗体と同種の抗体又はその抗体断片を含む反応液中で反応させ、固相に固定された捕捉抗体とＨＲＧとを含む免疫複合体を生成する工程；及び
（b）工程（a）で生成された前記免疫複合体を、検出抗体を用いて測定する工程、
を含む、
被検試料中のＨＲＧを測定する方法。
前記のセットが、請求項３又は４に記載のモノクローナル抗体若しくはその抗体断片のセットである、請求項１３に記載の測定方法。