WO2023175784A1 - 制御装置、制御方法、測定システム、およびプログラム - Google Patents
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Abstract
測定システム(1)は、測定ゾーン内を飛行して測定を実施する飛行体(30)と飛行体(30)の飛行経路を制御する管理装置(10)を備える測定システム(1)である。管理装置(10)は、測定ゾーン内の風況を収集する情報収集部(11)と、風況に基づいて、測定ゾーン内に風上または風下から進入し、測定ゾーン内において風に正対して飛行する飛行経路を計画する飛行計画管理部(12)を備える。飛行体(30)は、飛行経路に従って飛行し、測定ゾーン内において測定を実施する。
Description
本発明は、制御装置、制御方法、測定システム、およびプログラムに関する。
飛行機の制御は熟練のパイロットでも困難が多い。操縦は高度な知識と経験、集中力が必要であり、長距離飛行時においては、人的負担を軽減するために、自動航行プログラムが必須となっている。一方で、回転翼機を中心として、様々なタイプの無人飛行機が普及している。特に複数のローターを同時に駆動するタイプの無人飛行機は、制御プログラムも含めて、広く普及している。
無人飛行機は、撮影、観測、および地形測量など広い分野で利用されている。飛行する上で、飛行経路の気象は重要である。乱気流や豪雨などは、飛行や目的とする撮影、測定に大きな影響を与える。特に、小型の無人飛行機では、風の影響が極めて大きく、上空では自機の最高速度以上の風速も珍しくない。飛行の目的によっては悪天候の地域を避けたり、好天時に延期したりするなどの対応が必要となる。
風景撮影、設備点検、および地形測量など、悪天候と無関係な目的の場合は、悪天候の回避が第一選択となる。一般に、飛行機は飛行安全を重視するため、悪天候を避ける傾向にあるが、発着点である空港付近や、その経路上については、事業上の理由から、安全基準を定めつつ、一定の悪天候下でも飛行を実施する。悪天候を撮影することが目的であったり、極端気象の観測が目的であったりする場合は、悪天候下での飛行が必須となり避けられない場合もある。
引用文献1では、ドローン観測の精度評価について報告されているが、測定精度だけでなく、複数ドローンを使った観測や飛行制御方法など課題も多い。特に、長時間の持続的な測定および長距離の飛行を行うためには、いかに省エネルギーで飛行するかが重要な要因となる。
飯塚達哉、小阪尚子、倉恒子、梅宮悠輔、設樂丘、「ドローンによる異なる天候下における鉛直プロファイル大気環境計測の精度評価」、日本気象学会、2021年度秋季大会講演予稿集、p. 215
目的によっては、悪天候下での飛行が避けられない場合があり、雨天または強風下での運用が必要とされるケースも少なくない。
特に強風については、飛行そのものに大きな影響を与えるため、いかに風の影響を考慮して、効率的な飛行を実現できるかが課題となる。例えば、気象観測においては、できるだけ長時間持続的に定点に滞留することが望まれる。さらに、燃料または電池の問題から、観測中は低エネルギーでの飛行が望まれる。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、所定の領域内に効率的に留まり飛行することを目的とする。
本発明の一態様の制御装置は、所定の領域内を飛行して測定を実施する飛行体の飛行経路を制御する制御装置であって、前記領域内の風況を収集する収集部と、前記風況に基づいて、前記領域内に風上または風下から進入し、前記領域内において風に正対して飛行する飛行経路を計画する計画部を備える。
本発明の一態様の制御方法は、所定の領域内を飛行する飛行体の飛行経路を制御する制御方法であって、コンピュータが、前記領域内の風況を収集し、前記風況に基づいて、前記領域内に風上または風下から進入し、前記領域内において風に正対して飛行する飛行経路を計画する。
本発明の一態様の測定システムは、所定の領域内を飛行して測定を実施する複数台の飛行体と当該飛行体の飛行経路を制御する制御装置を備える測定システムであって、前記制御装置は、前記領域内の風況を収集する収集部と、前記風況に基づいて、前記領域内に風上または風下から進入し、前記領域内において風に正対して飛行する飛行経路を計画する計画部を備え、前記飛行体は、前記飛行経路に従って飛行し、前記領域内において測定を実施し、前記計画部は、前記領域内に滞留する前記飛行体を入れ替えて前記領域内での測定を持続する飛行経路を計画する。
本発明によれば、所定の領域内に効率的に留まり飛行することができる。
[測定システムの構成]
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
図1を参照し、本実施形態の測定システム1の構成の一例について説明する。同図に示す測定システム1は、管理装置10と飛行体30を備える。測定システム1は、複数台の飛行体30を備えてもよい。管理装置10は、測定点を含む測定ゾーン内の風況および測定ゾーンまでの風況に基づいて飛行体30の飛行経路を計画する。飛行体30は、飛行経路に従って飛行し、測定ゾーン内で測定を実施する。
管理装置10は、情報収集部11、飛行計画管理部12、測定管理部13、および通信部14を備える。
情報収集部11は、各種の気象情報、衛星写真データなどを情報提供装置50から収集して、情報を統合し、飛行体30の基地から測定点に至る飛行経路上の風況および測定点の風況を推定し、風況マップを作成する。情報提供装置50は、例えば、気象情報および衛星情報を提供する外部のサービスである。情報収集部11は、飛行体30が実測した風況を収集してもよい。情報収集部11は、各飛行体30の飛行状況、センサデータ、および外部情報などをもとに風況マップを随時更新する。情報収集部11は、推定した風況情報を各飛行体30に随時提供してもよい。
飛行計画管理部12は、後述の測定管理部13の生成した測定計画および情報収集部11の収集した風況に基づき、測定計画で示された測定が実施できるように、飛行体30の出発から帰還までの全行程の飛行計画を作成する。例えば、飛行計画管理部12は、長時間持続的に測定ゾーン内に滞留できるように、測定を実施する測定ゾーン内に風上または風下から進入し、領域内において風に正対して飛行する飛行経路を計画する。飛行経路の詳細については後述する。作成した飛行計画は飛行体30に配信される。飛行計画には、例えば、出発時刻、飛行経路、測定開始時刻、および測定時間が含まれる。飛行計画管理部12は、逐次更新される風況マップおよび飛行体30の実際の飛行状況に応じて飛行計画を更新してもよい。
飛行計画管理部12は、複数台の飛行体30を利用して測定を分担し、測定ゾーン内に滞留する飛行体30を入れ替えて測定ゾーン内での測定を持続できるように各飛行体30の飛行計画を作成してもよいし、飛行体30が目的の測定を実施できない場合に予備機の割当を管理してもよい。
測定管理部13は、測定計画を作成する。測定管理部13は、例えば、未実施の測定を実施するために、次に測定を実施する測定点および測定時間を決定し、測定計画を作成する。測定だけでなく、撮影または点検を目的とした計画を作成してもよい。ここでは、測定、撮影、および点検などの行為を区別する必要はないため、これらの行為を単に測定と称する。測定管理部13は、測定対象、測定点、および測定時間などの指定を行うが、使用する飛行体30の割り当てなどの測定に必要なリソースは管理しない。例えば、複数台の飛行体30が必要な測定計画の場合、飛行計画管理部12が、測定計画を実施できる複数台の飛行体30の飛行計画を作成する。
通信部14は、各飛行体30に飛行計画や風況情報を送信したり、各飛行体30から飛行状況や実測した風況を受信したりする。通信部14は、衛星通信を含む、各種移動体通信網、直接通信をするための無線通信手段を利用できる。
飛行体30は、飛行計画部31、飛行制御部32、通信部33、飛行機能34、および測定機能35を備える。飛行体30は、飛行しながら、目的の測定を行うものであり、一般的な固定翼機の他、ホバリングの可能な垂直離着陸機、回転翼機でもよい。飛行のためのエンジンおよび推進方式には、電池で動作するモーター、燃料によるレシプロエンジン、ターボプロップエンジンとプロペラ、あるいはターボファンエンジンなどがあるが、ここではその方式は問わない。
飛行計画部31は、管理装置10から配信された飛行計画に従って飛行制御部32に指示することでその時の飛行経路を決める。飛行計画部31は、飛行体30の飛行中も管理装置10からの配信を受けて飛行計画を修正する。飛行計画部31は、実際の飛行経路と計画とのずれ、管理装置10から配信される風況情報、および飛行体30で得られるセンサ情報と飛行状況に基づいて飛行計画を修正してもよい。
飛行制御部32は、飛行計画部31の指示に基づき、飛行機能34の各装置の動きを制御する。
通信部33は、管理装置10との間で通信を行う。通信部33は、他の飛行体30との間で通信を行ってもよい。
飛行機能34は、推力を発生するエンジンやプロペラ、揚力を得るための翼、飛行制御するための補助翼や方向舵、昇降舵や揚力制御のためのフラップ、およびそれらに類する各種装置を含む。飛行機能34は、一般的な飛行機に備わる飛行のための装置の機能である。
測定機能35は、目的とする測定を行うための各種センサを含む。測定機能35は、測定点にて、各種センサを用いてセンサ情報を取得し、蓄積する。測定機能35は、事前の設定、もしくは、管理装置10からの指示に応じて、センサ情報を管理装置10または他の飛行体30へ送信してもよい。
なお、図1では、管理装置10と飛行体30とを別々の構成としたが、飛行体30が管理装置10を搭載してもよい。あるいは、飛行体30が管理装置10の一部の機能を有してもよい。例えば、管理装置10が備える情報収集部11と飛行計画管理部12の機能を飛行体30の飛行経路を制御する制御装置として飛行体30に搭載し、飛行体30が風況を収集し、測定ゾーンまでの飛行経路を計画してもよい。あるいは、複数台の飛行体30のうちのいずれかが管理装置10の機能を有し、管理装置10の機能を有する飛行体30が他の飛行体30を管理してもよい。
[測定システムの動作]
図2のフローチャートを参照し、管理装置10の処理の流れの一例について説明する。
図2のフローチャートを参照し、管理装置10の処理の流れの一例について説明する。
ステップS11にて、管理装置10は、測定計画を作成する。担当者が測定計画を管理装置10に入力してもよい。
ステップS12にて、管理装置10は、各種の気象予報情報および衛星写真データなどを収集して、基地から測定ゾーンに至る経路上および測定ゾーンにおける風況を推定する。
ステップS13にて、管理装置10は、測定計画および風況に基づき、飛行計画を作成する。
ステップS14にて、管理装置10は、作成した飛行計画を飛行体30へ送信する。
なお、管理装置10は、飛行体30が飛行中も、ステップS12の風況の推定を継続して実施し、風況に応じてステップS13の飛行計画の作成を実施し、飛行体30へ更新された飛行計画を送信してもよい。
図3のフローチャートを参照し、飛行体30の処理の流れの一例について説明する。
ステップS21にて、飛行体30は、管理装置10から飛行計画の配信を受けて飛行計画を設定する。
ステップS22にて、飛行体30は、飛行計画に従って飛行する。
ステップS23にて、飛行体30は、測定ゾーンにて測定を実施する。
なお、上記では管理装置10が飛行経路を計画する例を説明したが、管理装置10が各飛行体30に測定すべき測定ゾーンを割り当て、各飛行体30が風況を収集し、各飛行体30が測定ゾーンまでの飛行経路を計画して、飛行してもよい。
[測定ゾーン]
次に、測定ゾーンについて説明する。
次に、測定ゾーンについて説明する。
目的によって測定を行う範囲は様々である。例えば、地上に対して固定された座標について持続的に実施する測定、移動する対象(例えば船舶、飛行体、あるいは台風のような気象現象)に対して一定の位置を保って実施する測定、あるいは、測定対象の輪郭に沿って一定距離で周回して実施する測定などがある。いずれの場合も、ある時点で1機体の測定しようとする点は1つの座標で与えられる。実際の運用としては、気流の影響、対象の移動、あるいは飛行機自体の移動能力によって、絶対座標を完全に固定することは困難である。
また、測定の目的によっては正確に座標通りであることが要求されるとは限らず、目的に応じて、許容される範囲で、測定点がずれることは問題とならない。よって、計算上、理想的な測定点(以下、理想点)は決定するものの、その理想点の周囲の許容範囲を目的別に定義した上で、システムが動作することとする。例として、理想点を中心とした直径α、高さβの円柱の場合について述べる。この円柱内に留まって計測することで、目的とする測定ができるとみなす。この円柱の空間のことを測定ゾーン、または単にゾーンと呼ぶ。なお、測定ゾーンは円柱に限らず、他の形状であってもよい。
[飛行経路]
飛行経路の説明の前に、飛行体30の各種速度について説明する。
飛行経路の説明の前に、飛行体30の各種速度について説明する。
飛行機の速度には、その機体が含まれる空気塊に対する速度(対気速度)と、地面に対しての速度(対地速度)がある。特に明示しない場合は、対気速度を指すこととする。固定翼揚力で飛行する飛行機では、その機体設計、離陸重量、および姿勢等によって、失速速度が変わる。失速速度にいくらかのバッファを積んだ速度、すなわち失速せずに安全に飛行できる最低速度を最低安全速度と呼ぶ。移動距離あたりの飛行消費エネルギーが最小となる速度を巡航速度と呼ぶ。さらに単位時間あたりの飛行消費エネルギーが最小となる速度を滞留速度と呼ぶ。安全な飛行状態にあることは最低条件であるので、基本的には、滞留速度は最低安全速度に等しくなる。ただし、低エネルギー飛行を意図する場合は、滞留速度と明示する。飛行のコストである電池に蓄えられた電気エネルギーや燃料などを総じて飛行消費エネルギーと呼ぶ。
続いて、飛行経路について説明する。飛行は3次元空間内で行われる。エレベータ等による機体のピッチ制御によって、翼の迎え角を変えることで、上昇、下降を制御するのが一般的である。上昇、下降に応じて同じエンジン出力でも対気速度は変わる。最高速度も変化するため、水平移動にも当然影響がある。ここでは水平移動の飛行経路について説明する。
図4に、測定ゾーン100までの飛行経路310,320の一例を示す。測定ゾーン100の風上中点110または風下中点120を測定ゾーンへの進入点とする。図4では、測定ゾーン100の風上中点110を進入点としている。測定ゾーン100が円の場合には、円の中心を通る風向と平行な直線が円周と交差する点のうち、風上にあるものを風上中点110、風下にあるものを風下中点120と呼ぶ。風向きは風上中点110から風下中点120の方向である。
測定ゾーンへの進入点110を中心とし、所定の距離を半径とする接近円200を設定し、接近円200上にチェックポイント210を設定する。チェックポイント210は、飛行体30の現在位置と進入点110を結ぶ直線よりも風上側に設定される。現在位置からチェックポイント210までが飛行経路310、チェックポイント210から進入点110までが飛行経路320である。
管理装置10は、風況に基づいて測定ゾーン100への進入点110とチェックポイント210を設定し、飛行経路310,320を計画する。管理装置10または飛行体30は、風況変化に応じて、進入点110とチェックポイント210を再設定してもよい。
飛行体30は、チェックポイント210を通過し、進入点110から測定ゾーン100内に進入する。飛行体30は、測定ゾーン100までの距離に応じた飛行制御が行われる。具体的には、出発から順に、出発直後を含む遠方における遠方制御、目標座標の近傍における近傍制御、ゾーンに進入後のゾーン内制御、そしてゾーンを離脱して基地に帰還するまで帰還制御が行われる。図4の場合、飛行経路310では遠方制御、飛行経路320では近傍制御、測定ゾーン100内ではゾーン内制御が行われる。以下、遠方制御、近傍制御、およびゾーン内制御について説明する。
[遠方制御]
遠方制御では、到達性、到達時間、および到達エネルギーを考慮して飛行制御を行う。到達性とは、目的地に到達できる可能性、あるいは到達しやすさである。到達時間とは、目的地までの到達時間である。到達エネルギーとは、目的地までの飛行で消費するエネルギー総量である。
遠方制御では、到達性、到達時間、および到達エネルギーを考慮して飛行制御を行う。到達性とは、目的地に到達できる可能性、あるいは到達しやすさである。到達時間とは、目的地までの到達時間である。到達エネルギーとは、目的地までの飛行で消費するエネルギー総量である。
目的地まで無風静穏であれば現在位置と目的地を結ぶ直線を飛行経路とする飛行が可能であるが、現実にはそのような状況はまれである。目的地に接近した時点で風下に位置していると、風速が飛行体30の最高速度よりも大きい場合、目的地への到達が不可能となる場合もある。到達性を高くするためには、接近時の風況変化に対応するため、安全を見込んでより風上に迂回した経路とするとよい。ただし、大回りしすぎたり、風上方向への飛行が増えたりすると、到達時間および到達エネルギーが増大する。例えば、図4の接近円200の風上中点220を経由点とすると、風上中点220に到達後は、風に流されるだけで進入点110に到達できるが、風上中点220までの飛行距離が長く、向かい風による損実の総量も大きい。また、チェックポイント210より風下側の点230を経由点とすると、風況変化により、飛行体30が最高速度で飛行しても進入点110に到達できない可能性が生じる。目的地に到達できなければ、再度迂回したり待機飛行をしたりして風況変化を待つか、他機と調整して別の目的地を設定してもらうか、あるいは帰還するしかない。当初の飛行目的は果たされないため、到達性は極めて重要である。
遠方制御では、測定ゾーン100の推定風況と飛行体30の速度から、低エネルギー飛行でかつより確実に測定ゾーン100に到達できるように、接近円200へ進入するチェックポイント210が決定される。決定方法にはバリエーションがあるが、到達性を考慮し、風速が大きいほど遠回りの経路となるようにチェックポイント210が決定される。飛行体30の現在位置からチェックポイント210までは直線の経路を想定する。その直線と直交する風の成分を横風成分と呼ぶ。直線と平行な風の成分は接近速度に直接影響するが、飛行体30の速度よりも大きい場合を除き、経路選択には影響しない。ただし、現実問題として、最高速度に近い横風の場合は、目的地に近づくことが困難であり、時間的、エネルギー的制約から、到達を断念する風速を設定する。飛行推進に要するエネルギーに対して、飛行制御にかかるエネルギーは小さいため、理想的には、エネルギーコスト0で飛行方位は設定変更が可能と考える。飛行体30の最大速度に近い向かい風が吹いている場合は、目標点までの直線に直交する方向へ飛行し、風況が変化する場所を探索する。
[近傍制御]
近傍制御では、飛行体30はチェックポイント210から進入点110に直線で向かう。現場の風況に応じて、機首方位が制御される偏流飛行をするものとする。具体的には、飛行体30と進入点110を結ぶ直線に対して鉛直方向の風の成分と、同直線に対して鉛直成分の飛行体30の対気速度とが釣り合うように機首方位を調整して飛行する。原理的には、横風成分の風速が飛行体30の最高速度よりも小さい場合は、偏流飛行によって、目的地まで直線経路で飛行することが可能である。
近傍制御では、飛行体30はチェックポイント210から進入点110に直線で向かう。現場の風況に応じて、機首方位が制御される偏流飛行をするものとする。具体的には、飛行体30と進入点110を結ぶ直線に対して鉛直方向の風の成分と、同直線に対して鉛直成分の飛行体30の対気速度とが釣り合うように機首方位を調整して飛行する。原理的には、横風成分の風速が飛行体30の最高速度よりも小さい場合は、偏流飛行によって、目的地まで直線経路で飛行することが可能である。
飛行体30の最低安全速度より測定ゾーン100の風速が大きいか同じ場合、図5に示すように、測定ゾーン100の風上中点110を進入点とする飛行経路が計画される。チェックポイント210から進入点110までは、機首方位を風上方向に向けて偏流飛行し、進入点110に到達する前に機首方位を調整し、飛行体30を風に正対させる。そして、対地的には後退しながら測定ゾーン100に進入する。
飛行体30の最低安全速度より測定ゾーン100の風速が小さい場合、図6に示すように、測定ゾーン100の風下中点120を進入点とする飛行経路が計画される。飛行体30は、測定ゾーン100の風下中点120から風に正対しつつ、測定ゾーン100内に前進進入する。
[ゾーン内制御]
ゾーン内制御では、長時間持続的にゾーン内に留まることができる飛行経路を選択する。具体的には、飛行体30は、風に正対し、かつ最低安全速度を下回らないようにしつつ、対地速度ができるだけ小さくなるように飛行する。
ゾーン内制御では、長時間持続的にゾーン内に留まることができる飛行経路を選択する。具体的には、飛行体30は、風に正対し、かつ最低安全速度を下回らないようにしつつ、対地速度ができるだけ小さくなるように飛行する。
風速が最低安全速度を上回り、最高速度以下の場合、風速と飛行体30の対気速度を一致させることで、対地速度を0にできる。飛行体30がゾーンの外周近くを飛行する場合、風況変化によってゾーン外に出てしまう可能性がある。また、飛行体30が最高速度に近い速度で飛行すると飛行消費エネルギーが大きい。そこで、飛行体30はゾーンの中心近くに移動しつつ、上下移動も行い、最低安全速度に近い層を探索する。最低安全速度に近い層でゾーン中心に位置して、対地速度が0の状態を可能な限り維持すれば、低エネルギーでの滞留飛行が可能である。
風速が最低安全速度以下である場合、対地速度を0にできず、前進せざるを得ない。風速が最低安全速度以下である場合、図7に示すように、飛行体30は風下中点120から測定ゾーン100に進入し、測定ゾーン100内で長時間滞空できるように、風上中点110を目指して飛行する。飛行体30が風上中点110に接近すると、測定ゾーン100外に出ないように旋回し、風下中点120を目指して飛行する。飛行体30が風下中点120に接近すると、測定ゾーン100外に出ないように旋回し、風上中点110を目指して飛行する。飛行体30は、このような飛行を繰り返して測定ゾーン100内に留まる。ゾーン内の上方空間にゆとりがある場合、繰り返し飛行の最中に上昇することで、対地速度を低下できる。ゾーン内の全高度を飛行して風速が最低安全速度に近い層を探し、その層で風に向かって飛行することで対地速度を低下できる。
風速が飛行体30の最高速度を上回る場合、風に正対して全速で飛行しても、風下に向かって対地的に後退しつつ移動することになる。飛行体30を下層もしくは上層へ移動させて、より小さい風速の層を探索する。最高速度以下の風速の層があれば、その層で滞留飛行へと移行する。飛行体30がゾーン境界へと後退し、ゾーン外に移動した場合、そのままゾーン内に復帰することは不可能である。ゾーン風上への迂回経路を計画し、計画に従ってゾーン風上の進入点を目指す。ゾーン内に復帰する迂回経路が計画できない場合、飛行体30は帰還することになる。このとき、別の飛行体30がゾーン風上の進入点へ到達できる場合、別の飛行体30を当該ゾーンの測定に割り当ててもよい。
図8を参照し、測定ゾーン100の上層と下層で風向きと風速が異なる場合の飛行体30の経路選択の一例について説明する。図8の例では、ゾーン上層は飛行体30の最高速度よりも速い風速の強風が吹き、ゾーン下層は飛行体30の最低安全速度よりも遅い風速の弱風が吹いているものとする。
飛行体30は、ゾーン上層の強風の風上中点(図上の右側)から後退進入し、飛行経路410で示すように、ゾーン上層を後退しながら進む。このとき、ゾーン内で上下左右のより適切な風速位置を探索してもよい。
飛行体30は、飛行経路420で示すように、シア面を通過し、ゾーン下層でゾーン下層の弱風の風下へ進む。
飛行体30は、ゾーンの外周近くまで移動すると、ゾーン上層に戻るか、ゾーン下層に留まるか飛行経路を選択する。
ゾーン上層に戻る場合、飛行体30は、飛行経路430で示すように、ゾーン上層へ上昇し、機首方位を風上へ向け、ゾーン上層を後退しながら進む。
ゾーン下層に留まる場合、飛行体30は、飛行経路440で示すように、ゾーン外に出ないように旋回し、機首方位を風上に向け、ゾーン下層を風上方向に進む。
飛行体30がゾーン内の風況に基づいてゾーン内制御での飛行経路を選択してもよいし、飛行体30がゾーン内の風況を管理装置10へ送信し、管理装置10が風況に基づいて飛行経路を選択し、飛行体30へ送信してもよい。
[作用・効果]
以上説明したように、本実施形態の測定システム1は、測定ゾーン内を飛行して測定を実施する飛行体30と飛行体30の飛行経路を制御する管理装置10を備える測定システム1である。管理装置10は、測定ゾーン内の風況を収集する情報収集部11と、風況に基づいて、測定ゾーン内に風上または風下から進入し、測定ゾーン内において風に正対して飛行する飛行経路を計画する飛行計画管理部12を備える。飛行体30は、飛行経路に従って飛行し、測定ゾーン内において測定を実施する。飛行体30が測定ゾーン内で風に正対して飛行することにより、測定ゾーン内により長時間留まることができる。これにより、測定ゾーン内で目的とする測定を実施できる。
以上説明したように、本実施形態の測定システム1は、測定ゾーン内を飛行して測定を実施する飛行体30と飛行体30の飛行経路を制御する管理装置10を備える測定システム1である。管理装置10は、測定ゾーン内の風況を収集する情報収集部11と、風況に基づいて、測定ゾーン内に風上または風下から進入し、測定ゾーン内において風に正対して飛行する飛行経路を計画する飛行計画管理部12を備える。飛行体30は、飛行経路に従って飛行し、測定ゾーン内において測定を実施する。飛行体30が測定ゾーン内で風に正対して飛行することにより、測定ゾーン内により長時間留まることができる。これにより、測定ゾーン内で目的とする測定を実施できる。
本実施形態によれば、飛行体30の現在位置と測定ゾーン内への進入点とを結ぶ直線よりも風上側にチェックポイントを設定し、チェックポイントを経由することにより、低エネルギー消費かつ測定ゾーンへの到達性の高い飛行経路を飛行できる。
本実施形態によれば、測定ゾーン内において、飛行体30が失速せずに安全に飛行できる最低安全速度に近い風速の層を飛行することにより、低エネルギー消費で測定ゾーン内に滞留することができる。
上記説明した管理装置10および飛行体30の各部には、例えば、図9に示すような、中央演算処理装置(CPU)901と、メモリ902と、ストレージ903と、通信装置904と、入力装置905と、出力装置906とを備える汎用的なコンピュータシステムを用いることができる。このコンピュータシステムにおいて、CPU901がメモリ902上にロードされた所定のプログラムを実行することにより、管理装置10および飛行体30の各部が実現される。このプログラムは磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録することも、ネットワークを介して配信することもできる。
1…測定システム
10…管理装置
11…情報収集部
12…飛行計画管理部
13…測定管理部
14…通信部
30…飛行体
31…飛行計画部
32…飛行制御部
33…通信部
34…飛行機能
35…測定機能
10…管理装置
11…情報収集部
12…飛行計画管理部
13…測定管理部
14…通信部
30…飛行体
31…飛行計画部
32…飛行制御部
33…通信部
34…飛行機能
35…測定機能
Claims (8)
- 所定の領域内を飛行して測定を実施する飛行体の飛行経路を制御する制御装置であって、
前記領域内の風況を収集する収集部と、
前記風況に基づいて、前記領域内に風上または風下から進入し、前記領域内において風に正対して飛行する飛行経路を計画する計画部を備える
制御装置。 - 請求項1に記載の制御装置であって、
前記計画部は、前記飛行体と前記領域内への進入点とを結ぶ直線よりも風上側に通過点を設定し、通過点を経由する飛行経路を計画する
制御装置。 - 請求項1または2に記載の制御装置であって、
前記計画部は、前記領域内において、前記飛行体が失速せずに安全に飛行できる最低安全速度に近い風速の層を飛行する飛行経路を計画する
制御装置。 - 所定の領域内を飛行する飛行体の飛行経路を制御する制御方法であって、
コンピュータが、
前記領域内の風況を収集し、
前記風況に基づいて、前記領域内に風上または風下から進入し、前記領域内において風に正対して飛行する飛行経路を計画する
制御方法。 - 請求項4に記載の制御方法であって、
前記飛行体と前記領域内への進入点とを結ぶ直線よりも風上側に通過点を設定し、通過点を経由する飛行経路を計画する
制御方法。 - 請求項4または5に記載の制御方法であって、
前記領域内において、前記飛行体が失速せずに安全に飛行できる最低安全速度に近い風速の層を飛行する飛行経路を計画する
制御方法。 - 所定の領域内を飛行して測定を実施する複数台の飛行体と当該飛行体の飛行経路を制御する制御装置を備える測定システムであって、
前記制御装置は、
前記領域内の風況を収集する収集部と、
前記風況に基づいて、前記領域内に風上または風下から進入し、前記領域内において風に正対して飛行する飛行経路を計画する計画部を備え、
前記飛行体は、
前記飛行経路に従って飛行し、前記領域内において測定を実施し、
前記計画部は、前記領域内に滞留する前記飛行体を入れ替えて前記領域内での測定を持続する飛行経路を計画する
測定システム。 - 請求項1ないし3のいずれかに記載の制御装置の各部としてコンピュータを動作させるプログラム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
PCT/JP2022/011977 WO2023175784A1 (ja) | 2022-03-16 | 2022-03-16 | 制御装置、制御方法、測定システム、およびプログラム |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
PCT/JP2022/011977 WO2023175784A1 (ja) | 2022-03-16 | 2022-03-16 | 制御装置、制御方法、測定システム、およびプログラム |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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WO2023175784A1 true WO2023175784A1 (ja) | 2023-09-21 |
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ID=88022546
Family Applications (1)
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PCT/JP2022/011977 WO2023175784A1 (ja) | 2022-03-16 | 2022-03-16 | 制御装置、制御方法、測定システム、およびプログラム |
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Country | Link |
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WO (1) | WO2023175784A1 (ja) |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2019008409A (ja) * | 2017-06-21 | 2019-01-17 | エスゼット ディージェイアイ テクノロジー カンパニー リミテッドSz Dji Technology Co.,Ltd | 飛行制御方法、情報処理装置、プログラム及び記録媒体 |
JP2019127155A (ja) * | 2018-01-24 | 2019-08-01 | 株式会社イームズラボ | 移動装置、移動方法及びプログラム |
JP2021059339A (ja) * | 2021-01-22 | 2021-04-15 | 株式会社エアロネクスト | 連結可能な複数の飛行体を備える飛行体システム |
-
2022
- 2022-03-16 WO PCT/JP2022/011977 patent/WO2023175784A1/ja unknown
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