WO2023119841A1

WO2023119841A1 - ホルダ

Info

Publication number: WO2023119841A1
Application number: PCT/JP2022/039516
Authority: WO
Inventors: 章之植田; 研根本; 華阿部; 拓也幸田
Original assignee: 花王株式会社
Priority date: 2021-12-24
Filing date: 2022-10-24
Publication date: 2023-06-29
Also published as: JP2023094950A

Abstract

ホルダ（１）は、着用者の腰周りに環状に装着されるとともに、吸収性パッド（１１）を着用者に装着した状態に保持可能なものであり、着用者の身長方向に沿う高さ方向（ＨＤ）及び胴周り方向に沿う周方向（ＣＤ）を有する。ホルダ１は、高さ方向（ＨＤ）の一部に、吸収性パッド（１１）が止着される被止着領域（２３）を有している。被止着領域（２３）は、周方向（ＣＤ）に延びており、該周方向（ＣＤ）に伸縮性を有している。被止着領域（２３）の周方向（ＣＤ）の伸長応力は、高さ方向（ＨＤ）における被止着領域（２３）以外の領域における周方向（ＣＤ）の伸長応力よりも大きい。

Description

ホルダ

　本発明は、吸収性パッドを着用者に装着した状態に保持するホルダに関する。

　使い捨ておむつ等の吸収性物品の一種として、尿等の体液を吸収保持する吸収性パッドと、着用者の腰周りに環状に装着されるとともに、着用者の股間部に配置された吸収性パッドを保持するホルダとを備え、吸収性パッドがホルダに対して着脱自在に構成されたセパレートタイプのものが知られている。従来のセパレートタイプの吸収性物品においては、特許文献１及び２に記載されているように、ホルダの外面（非肌対向面）又は内面（肌対向面）に、吸収性パッドが着脱可能に止着される被止着領域を有している。

特開２００４－３２９３８６号公報特開２００４－３２９５９０号公報

　本発明は、着用者の腰周りに装着されるとともに、吸収性パッドを着用者に装着した状態に保持可能な環状のホルダに関する。
　一実施形態において、前記ホルダは、着用者の身長方向に沿う高さ方向及び胴回り方向に沿う周方向を有していることが好ましい。
　一実施形態において、前記ホルダは、前記高さ方向の一部に、前記吸収性パッドが止着される被止着領域を有していることが好ましい。
　一実施形態において、前記被止着領域は、前記周方向に延びており、該周方向に伸縮性を有していることが好ましい。
　一実施形態において、前記被止着領域の周方向の伸長応力は、前記高さ方向における前記被止着領域以外の領域における周方向の伸長応力よりも大きいことが好ましい。
　本発明の他の特徴、効果及び実施形態は、以下に説明される。

図１は、本発明のホルダの一実施形態を示す斜視図である。図２は、図１に示すホルダの最大伸長状態における腹側部側の非肌対向面（外面）を模式的に示す平面図である。図３は、図２のＩ－Ｉ線断面（図２に示すホルダの高さ方向に沿う断面）を模式的に示す断面図である。図４は、図１に示すホルダの使用例を示す図であり、該ホルダ及びこれに止着された吸収性パッドを含む使い捨ておむつ（吸収性物品）の斜視図である。図５は、図４に示すおむつの展開且つ最大伸長状態における肌対向面（内面）側を一部破断して模式的に示す展開平面図である。図６（ａ）～（ｅ）は、被止着領域の伸長応力を高めるためのホルダの構造を示す図であって、ホルダの腹側部の高さ方向に沿う断面図である。図７は、図１に示すホルダの構成部材として用いることができる特定伸縮性不織布を示す図であって、該不織布を一部破断して模式的に示す斜視図である。

発明の詳細な説明

　セパレートタイプの吸収性物品の装着状態において、ホルダの被止着領域には、吸収性パッドの重量が掛かるので、重力方向の下方に引っ張られる力が集中し易い。そのため、吸収性パッドが下方にずれたり、身体に装着されたホルダごと下方にずれたりすることがある。斯かるずれが生じると、吸収性パッドと身体との間に隙間が生じるので、排泄物が吸収性パッドの外に漏れる虞があった。このようなずれを解消するため、ホルダの周方向の伸長応力を高めることが考えられるが、該伸長応力を単に高めると着用者の腰周りを過剰に締め付けることになり、履き心地が損なわれることがある。特許文献１及び２は、吸収性パッドのずれ落ちの抑制と、ホルダの履き心地とを両立させる技術を開示するものではない。

　本発明は、吸収性パッドのずれ落ちの抑制と、ホルダの履き心地とを両立させるホルダを提供することに関する。

　以下、本発明をその好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。図面は基本的に模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なる場合がある。

　図１～３には、本発明のホルダの一実施形態であるホルダ１が示されている。また図４及び図５には、本発明のホルダの使用例として、ホルダ１とこれに止着された吸収性パッド１１とを含む、使い捨ておむつ１０が示されている。おむつ１０は、図４に示すように、ホルダ１と吸収性パッド１１とがホルダ側止着構造６及びパッド側止着構造１６を介して結合されたものであり、ホルダ１が有するウエスト開口部ＷＨと、ホルダ１の高さ方向ＨＤの下端部と吸収性パッド１１の長手方向（後述する縦方向Ｘ）に沿う両側縁部とで画成される一対のレッグ開口部ＬＨ，ＬＨとを有する。なお、吸収性パッド１１は、ホルダ１の構成部材ではない。

　セパレートタイプの吸収性物品であるおむつ１０は、ホルダ１と吸収性パッド１１とが止着構造６，１６を介して結合・分離自在であるため、従来の非セパレートタイプの吸収性物品に比べて環境に対する負荷が低減されている。すなわち、着用者の腰周りに対応する部分（ホルダ相当部分）と着用者の股間部に対応する部分（吸収性パッド相当部分）とが一体不可分である従来の非セパレートタイプの吸収性物品を使用後に廃棄する場合、ホルダ相当部分は汚れていなくても、排泄物で汚れた状態の吸収性パッド相当部分とともに廃棄せざるを得なかったが、おむつ１０であれば、ホルダ１はそのままで吸収性パッド１１のみを新品と交換すればよいため、非セパレートタイプの吸収性物品に比べてゴミ廃棄量、二酸化炭素排出量が低減され、環境に対する負荷の低減に貢献することができる。
　また、おむつ１０の着用中、吸収性パッド１１はホルダ１に着脱可能に固定されているので、該吸収性パッド１１を新品に交換する作業は簡単であり、おむつ１０は、従来の非セパレートタイプの吸収性物品に比べて交換作業の負荷が大幅に軽減されている。

　ホルダ１は、着用者の腰周りに環状に装着されるとともに、吸収性パッド１１を着用者に装着した状態、すなわち着用状態に保持可能なものであり、着用者の身長方向に沿う高さ方向ＨＤ及び胴周り方向に沿う周方向ＣＤを有している。ホルダ１には、吸収性パッド１１が有するパッド側止着構造１６を脱着可能に止着可能なホルダ側止着構造６が設けられている。このようにホルダ１は、ホルダ側止着構造６が設けられている領域、すなわち吸収性パッド１１が止着される被止着領域２３を有している。

　ここで、吸収性パッド１１について図４及び図５を参照しながら簡単に説明すると、吸収性パッド１１は、着用者の肌から相対的に近い位置に配置された液透過性の表面シート１２、着用者の肌から相対的に遠い位置に配置された液不透過性、液難透過性又は撥水性の裏面シート１３、及び両シート１２，１３間に介在配置された吸収体１４を含む。吸収性パッド１１を構成するこれらの部材どうしは、接着剤等の公知の接合手段により一体とされている。吸収性パッド１１は、平面視において一方向に長い形状をなし、吸収性パッド１１を使用する際にはその長手方向を、予め着用者に装着された状態のホルダ１の高さ方向ＨＤに一致させる。吸収性パッド１１の長手方向は、おむつ１０の着用者の前後方向に対応する縦方向Ｘに対応し、縦方向Ｘに直交する吸収性パッド１１の横方向Ｙは、ホルダ１の周方向ＣＤに対応する。吸収性パッド１１の縦方向Ｘに沿う両側部には、おむつ１０の着用時に着用者の肌側に起立する一対の防漏カフ１５，１５が配置されている。各防漏カフ１５は、防漏カフ１５の主体をなす防漏カフ形成用シート１５０と、縦方向Ｘに伸長状態で該シート１５０に固定された弾性部材１５１とを含む。なお吸収性パッド１１は、防漏カフ１５に代えて、又は防漏カフ１５とともに一対のレッグカフを備えていてもよい。前記レッグカフは、吸収性パッド１１における着用者の脚周りに対応するレッグ縁部に配置されるもので、レッグ縁部形成用シートと、該レッグ縁部に沿って該レッグ縁部形成用シートに伸縮可能に固定されたレッグカフ形成用弾性部材とを含む。前記レッグ縁部形成用シートは、例えば、防漏カフ形成用シート１５０及び／又は裏面シート１３であり得る。前記レッグカフは、防漏カフ形成用シート１５０を用いて防漏カフ１５とともに一体的に形成され得る。吸収性パッド１１の縦方向Ｘの両端部それぞれの肌対向面にはパッド側止着構造１６が配置されており、このパッド側止着構造１６をホルダ１のホルダ側止着構造６に止着させることで、吸収性パッド１１をホルダ１に脱着可能に止着させることができる。
　なお、吸収性パッド１１は、本発明のホルダが適用可能な吸収性パッドの一実施形態に過ぎず、本発明のホルダが適用可能な吸収性パッドは、該ホルダのホルダ側止着構造に止着可能なパッド側止着構造を有していればよく、吸収性パッド１１に限定されない。

　本明細書において「肌対向面」とは、吸収性物品、ホルダ、吸収性パッド等の着用物品又はその構成部材（例えばホルダのホルダ側止着構造）における、該着用物品の着用状態において着用者の肌側に向けられる面を指し、「非肌対向面」は、該着用物品又はその構成部材における、該着用物品の着用状態において肌側とは反対側に向けられる面を指す。

　以下、ホルダ１について詳細に説明する。
　ホルダ１は、着用者の腹側（前側）に配置される腹側部Ｆと、着用者の背側（後側）に配置される背側部Ｒとを有し、ホルダ１の主体をなすホルダ本体部２を備える。ホルダ本体部２は、ホルダ１の平面視における外形形状（輪郭）を形作っており、ホルダ１の高さ方向ＨＤの上端１ａ及び下端１ｂは、ホルダ本体部２の上端及び下端である。ホルダ側止着構造６はホルダ本体部２に固定されている。

　本実施形態では、ホルダ１（ホルダ本体部２）は、図１に示すように環状をなしており、着用状態で着用者の胴部が挿入されるウエスト開口部ＷＨを有している。具体的には、本実施形態のホルダ１では、腹側部Ｆ及び背側部Ｒそれぞれのホルダ本体部２どうしが、それらの長手方向両端部にて、接着剤、融着等の公知の接合手段によって互いに接合されて一対の接合部Ｓ，Ｓが形成されており、それら一対の接合部Ｓ，Ｓを介して腹側部Ｆと背側部Ｒとが連結し、環状を構成している。接合部Ｓは、一般的な非セパレートタイプのパンツ型使い捨ておむつにおけるサイドシール部に相当するものである。

　本実施形態では、ホルダ１（ホルダ本体部２）は、図２に示す如き最大伸長状態の平面視において長方形形状をなし、高さ方向ＨＤの上端１ａ及び下端１ｂは、高さ方向ＨＤと直交する方向に平行な直線状である。
　また本実施形態では、腹側部Ｆと背側部Ｒとは、平面視において互いに同形状・同寸法であり、且つ接合部Ｓを破壊せずに維持した状態で腹側部Ｆと背側部Ｒとを重ね合わせたときにそれらの輪郭が一致する。

　本明細書において「最大伸長状態」とは、吸収性物品、ホルダ、吸収性パッド等の着用物品の各部の弾性部材を最大伸長させて、設計寸法、すなわち弾性部材の影響を一切排除した状態で平面状に広げたときの寸法と同じとなるまで拡げた状態をいう。
　また、「展開且つ最大伸長状態」とは、着用物品を平面状に拡げて展開状態とした上で、前記最大伸長状態とした状態を指し、前述したホルダ１の接合部Ｓの如き、サイドシール部を有する吸収性物品の場合は、該吸収性物品をサイドシール部で切り離して平面状に拡げて前記展開状態とする。

　本実施形態では、ホルダ本体部２は、ホルダ１の非肌対向面（外面）を形成する外層シート３と、ホルダ１の肌対向面（内面）を形成する内層シート４とを含む（図３参照）。内層シート４は、ホルダ１の着用時に着用者の肌と接触し得る。

　本実施形態では、外層シート３は、図３に示すように、高さ方向ＨＤの上端部が肌対向面側に折り返されており、その外層シート３の折り返しの折り目にホルダ１の上端１ａが位置し、ホルダ１の上端１ａの近傍（上端部）は、外層シート３とその折り返し部３０との積層構造を含む。折り返し部３０とこれに対向する外層シート３との間は、接着剤、融着等の公知の接合手段により互いに接合されている。

　外層シート３及び内層シート４としては、それぞれ、各種製法による不織布、織布、樹脂製フィルムなどを用いることができる。各シート３，４として使用可能な不織布の具体例として、スパンボンド不織布、エアスルー不織布、ニードルパンチ不織布が挙げられ、単層構造でもよく、１種又は２種以上の不織布を積層した積層構造でもよい。
　これら両シート３，４は、互いに同種でもよく、異種でもよい。ここでいう「同種」とは、対比するシートどうしで、製造プロセス、構成繊維の種類、構成繊維の繊維径及び長さ、繊維シートの厚み及び坪量がすべて同じである場合を意味する。これらのうちの１つでも異なる場合、その対比するシートどうしは互いに「異種」である。

　ホルダ１は、水分を吸収保持する吸収体を含んでいないため、両シート３，４をはじめとするホルダ本体部２の構成部材として洗濯可能なものを用いれば、洗濯して繰り返し使用することが可能なものとなり得る。ホルダ１が洗濯可能なものであることは、ゴミ廃棄量、二酸化炭素排出量の低減につながり、環境に対する負荷の低減に貢献することができる。ホルダ１を洗濯可能なものとする観点からは、両シート３，４等の、ホルダ本体部２の構成部材としては、織布が好ましい。

　両シート３，４の一方又は両方は、高さ方向ＨＤと直交する方向（周方向ＣＤ）に伸縮性を有していてもよい。本発明のホルダには、前述の弾性部材５を備えていない形態が包含されるところ、斯かる形態においては、両シート３，４の一方又は両方が、高さ方向ＨＤと直交する方向に伸縮性を有する不織布から構成されることが好ましい。本発明には例えば、外層シート３は高さ方向ＨＤと直交する方向、すなわち周方向ＣＤに伸縮性を有し、内層シート４は伸縮性を有しない形態が包含される。

　両シート３，４に使用可能な前記の「伸縮性を有する不織布」について詳述する。斯かる不織布は、例えば図７に示すように、伸長可能な２枚の不織布１３２，１３３間に、複数の弾性フィラメント１３１が配された不織布１３０である。このような弾性フィラメント１３１を含む不織布１３０を、以下、「特定伸縮性不織布」とも言う。
　図７に示す特定伸縮性不織布１３０における各弾性フィラメント１３１は、第１及び第２の不織布１３２，１３３と接合している。第１の不織布１３２と第２の不織布１３３は、同種のものでもよく、あるいは異種のものでもよい。ここでいう同種の不織布とは、不織布の製造プロセス、不織布の構成繊維の種類、構成繊維の繊維径や長さ、不織布の厚みや坪量等がすべて同じである不織布どうしを意味する。これらのうちの少なくとも一つが異なる場合には異種の不織布であるという。また「弾性」とは、伸ばすことができ、且つ元の長さに対して１００％伸ばした状態（元の長さの２００％の長さになる）から力を解放したときに、元の長さの１２５％以下の長さまで戻る性質をいう。

　特定伸縮性不織布１３０において各不織布１３２，１３３はいずれも伸長可能なものである。各不織布１３２，１３３は、弾性フィラメント１３１の延びる方向と同方向に伸長可能になっている。ここで言う「伸長可能」とは、（イ）不織布１３２，１３３の構成繊維自体が伸長する場合と、（ロ）構成繊維自体は伸長しなくても、交点において結合していた繊維どうしが離れたり、繊維どうしの結合等により複数本の繊維で形成された立体構造が構造的に変化したり、構成繊維がちぎれたり、繊維のたるみが引き伸ばされたりして、不織布全体として伸長する場合とを包含する。

　各不織布１３２，１３３は、弾性フィラメント１３１と接合される前の原反の状態で既に伸長可能になっていてもよい。あるいは、弾性フィラメント１３１と接合される前の原反の状態では伸長可能ではないが、弾性フィラメント１３１と接合された後に伸長可能となるように加工が施されて、伸長可能になるものであってもよい。不織布を伸長可能にするための具体的な方法としては、熱処理、ロール間延伸、歯溝やギアによるかみ込み延伸、テンターによる引張延伸などが挙げられる。

　各弾性フィラメント１３１は、特定伸縮性不織布１３０の全長にわたって実質的に連続している。弾性フィラメント１３１は弾性樹脂を含んでいる。各弾性フィラメント１３１は、互いに交差せずに一方向に延びるように配列している。ただし、特定伸縮性不織布１３０の製造条件の不可避的な変動に起因して、意図せず弾性フィラメント１３１が交差することは許容される。各弾性フィラメント１３１は、互いに交差しない限り、直線状に延びていてもよく、あるいは蛇行しながら延びていてもよい。

　伸縮性不織布としては、各種公知のものを用いることができ、例えば、特開２００８－１７９１２８号公報に記載の伸縮シート、特開２００７－２２０６６号公報に記載の伸縮シート、同公報に記載の伸縮性不織布の製造方法により製造される伸縮性不織布、特開平１０－２９２５９号公報に記載の積層シート等を用いることもできる。

　本実施形態のホルダ側止着構造６は、図１等に示すように、ホルダ本体部２の非肌対向面（外面）に設けられている。より具体的には、ホルダ側止着構造６は、外層シート３の非肌対向面に固定されている。

　ホルダ側止着構造６としては、吸収性パッド１１が有するパッド側止着構造１６（図５参照）を脱着可能に止着可能なものであればよく、公知の着脱自在な止着構造を特に制限なく用いることができる。例えば、ホルダ側止着構造６及びパッド側止着構造１６の一方又は両方が、粘着剤を塗布して形成された粘着部を備え、該粘着部を介してパッド側止着構造１６がホルダ側止着構造６に脱着可能に止着するようになされていてもよい。

　本実施形態では、ホルダ側止着構造６及びパッド側止着構造１６を含む止着構造として、機械的面ファスナーを採用している。ここでいう「機械的面ファスナー」とは、鉤状の突起からなるフック材（係合部材）が一面に配置された面部材（オス部材）と、パイル状の突起からなるループ材が一面に配置された面部材（メス部材）とが、一組みとなった留め具を指す。機械的面ファスナーの具体例として、マジックテープ（登録商標）が挙げられる。
　具体的には本実施形態では、ホルダ側止着構造６は、機械的面ファスナーのメス部材であり、基材と、該基材の非肌対向面（外面）に設けられている。これによりホルダ１は、パッド側止着構造１６が止着可能な被止着領域２３を備える。ホルダ側止着構造６が備える前記基材は、接着剤、融着等の公知の接合手段６０（図３参照）を介して、ホルダ本体部２に直接固定されている。またパッド側止着構造１６は、機械的面ファスナーのオス部材であり、典型的には、樹脂製フィルム、織布、不織布などからなる基材の表面に多数の前記フック材が配置された構成を有している。

　本実施形態のホルダ１は、高さ方向ＨＤにおいて被止着領域２３より上側に上部領域２１と、該被止着領域２３より下側に下部領域２５とを有している（図２及び図３参照）。これら上部領域２１及び下部領域２５は、被止着領域２３以外の領域である。すなわち高さ方向ＨＤにおいて、上部領域２１、被止着領域２３、及び下部領域２５の順で配置されている。

　被止着領域２３は、周方向ＣＤに延びており、該周方向ＣＤに伸縮性を有している。
　本実施形態の被止着領域２３は、該領域２３において周方向ＣＤに延在する弾性部材５ｂによって、伸縮性を有している。
　また、本実施形態のホルダ１は、被止着領域２３以外の領域も、周方向ＣＤに伸縮性を有している。すなわち、上部領域２１及び下部領域２５それぞれが周方向ＣＤに伸縮性を有している。

　本実施形態のホルダ１における被止着領域２３及びそれ以外の領域２１，２５は、高さ方向ＨＤと直交する方向（周方向ＣＤ）に伸縮可能に配置された弾性部材５ａ，５ｂを備える。これにより、各領域２１，２３，２５において周方向ＣＤに伸縮性が発現する。より具体的には、図３に示すように、外層シート３と内層シート４との間、及び外層シート３とその折り返し部３０との間に、複数の弾性部材５ａ，５ｂが高さ方向ＨＤと直交する方向（周方向ＣＤ）に伸縮可能に配置されている。複数の弾性部材５ａ，５ｂは、図１に示すように、腹側部Ｆ及び背側部Ｒそれぞれの高さ方向ＨＤと直交する方向（周方向ＣＤ）の全長にわたって延在し、高さ方向ＨＤに間欠配置されている。各弾性部材５ａ，５ｂは、周辺の他の部材と接着剤によって固定されている。

　本実施形態のホルダ１は、被止着領域２３の周方向ＣＤの伸長応力が、高さ方向ＨＤにおける被止着領域２３以外の領域における周方向ＣＤの伸長応力よりも大きい。斯かる構成（以下、「構成（Ａ）」ともいう。）では、例えば周方向ＣＤにおける伸長応力について下記（１）～（３）の何れかの大小関係が成立する。伸長応力の測定方法は後述する。
（１）Ｅ２＞Ｅ１＞Ｅ３
（２）Ｅ２＞Ｅ１＝Ｅ３
（３）Ｅ２＞Ｅ３＞Ｅ１
　Ｅ１：周方向ＣＤにおける上部領域２１の伸長応力
　Ｅ２：周方向ＣＤにおける被止着領域２３の伸長応力
　Ｅ３：周方向ＣＤにおける下部領域２５の伸長応力

　ホルダ１が上部領域２１及び被止着領域２３のみ有する形態において、前記構成（Ａ）では、周方向ＣＤにおける伸長応力について下記（４）の大小関係が成立する。
（４）Ｅ２＞Ｅ１
　またホルダ１が被止着領域２３及び下部領域２５のみ有する形態において、前記構成（Ａ）では、周方向ＣＤにおける伸長応力について下記（５）の大小関係が成立する。
（５）Ｅ２＞Ｅ３

　本実施形態のホルダ１は、図３に示すように、被止着領域２３に配された弾性部材５ｂが、高さ方向ＨＤにおいて被止着領域２３以外の領域に配された弾性部材５ａよりも太さが大きい。これら弾性部材５ａ，５ｂは、同一材料から形成されており、太い弾性部材５ｂの伸長応力が、細い弾性部材５ａの伸長応力よりも大きくなっている。これにより、太い弾性部材５ｂが配された被止着領域２３は高応力で伸びる部分となり、細い弾性部材５ｂが配された被止着領域２３以外の領域は低応力で伸びる部分となっている。
　また、上部領域２１及び下部領域２５それぞれに配された弾性部材５ａは太さが同じであり、上部領域２１における単位面積当たりの弾性部材５ａの数が下部領域２５のそれよりも多い。すなわち、本実施形態のホルダ１では前記（１）の大小関係が成立する。
　本実施形態の被止着領域２３において弾性部材５ｂは、高さ方向ＨＤに等間隔に配されており、被止着領域２３の高さ方向ＨＤ全域に前記の伸縮性が発現する（図３参照）。

　本実施形態のホルダ１は、着用者の腰周りに装着された装着状態を安定して維持することができる。具体的には、前記構成（Ａ）によって、ホルダ１の被止着領域２３が他の領域よりも着用者の身体に強固に密着するので、吸収性パッド１１による重量でホルダ１が重力方向の下方にズレ落ちることを効果的に抑制できる。これにより、吸収性パッド１１がずれ落ちることによる、排泄物の漏れを抑制できる。これに加え、被止着領域２３に伸長応力を集中させるので、ホルダ全体の伸長応力を高めた場合よりも、身体への締め付けを低減でき、良好な履き心地を維持できる。このようにして、ホルダ１は、吸収性パッドのずれ落ちの抑制と、ホルダ１の履き心地とを両立できる。

　被止着領域２３の周方向ＣＤの伸長応力Ｅ２が、上部領域２１の周方向ＣＤの伸長応力Ｅ１よりも大きい場合（以下、「構成（Ｂ）」ともいう。）も同様に、上述した効果が奏される。斯かる構成（Ｂ）では、前記（１）～（３）及び（４）の何れかの大小関係が成立する。

　吸収性パッドのずれ落ちをより抑制する観点から、被止着領域２３の周方向ＣＤの伸長応力Ｅ２は、上部領域２１及び下部領域２５それぞれの伸長応力Ｅ１，Ｅ３よりも大きいことが好ましい。上記と同様の観点から、前記（１）～（３）の何れかの大小関係が成立することが好ましく、前記（３）の大小関係が成立することがより好ましい。

　吸収性パッドのずれ落ちの抑制と、ホルダ１の履き心地とをより両立させる観点から、前記（１）～（５）の何れかの大小関係が成立する各領域２１，２３，２５の伸長応力は、以下の範囲内であることが好ましい。以下の伸長応力は周方向ＣＤにおける伸長応力である。
　被止着領域２３の伸長応力Ｅ２は、上部領域２１の伸長応力Ｅ１に対して好ましくは１１０％以上、より好ましくは１２０％以上であり、また好ましくは２００％以下、より好ましくは１８０％以下であり、また好ましくは１１０％以上２００％以下、より好ましくは１２０％以上１８０％以下である。
　被止着領域２３の伸長応力Ｅ２は、下部領域２５の伸長応力Ｅ１に対して好ましくは１１０％以上、より好ましくは１２０％以上であり、また好ましくは２００％以下、より好ましくは１８０％以下であり、また好ましくは１１０％以上２００％以下、より好ましくは１２０％以上１８０％以下である。

　下部領域２５の伸長応力Ｅ３は、上部領域２１の伸長応力Ｅ１に対して好ましくは１１０％以上、より好ましくは１２０％以上であり、また好ましくは２５０％以下、より好ましくは２００％以下であり、また好ましくは１１０％以上２５０％以下、より好ましくは１２０％以上２５０％以下である。

　被止着領域２３の伸長応力Ｅ２は、好ましくは０．２ｃＮ／１０ｍｍ以上、より好ましくは０．３ｃＮ／１０ｍｍ以上であり、また好ましくは１．０ｃＮ／１０ｍｍ以下、より好ましくは０．８ｃＮ／１０ｍｍ以下であり、また好ましくは０．２ｃＮ／１０ｍｍ以上１．０ｃＮ／１０ｍｍ以下、より好ましくは０．３ｃＮ／１０ｍｍ以上０．８ｃＮ／１０ｍｍ以下である。
　上部領域２１の伸長応力Ｅ１は、好ましくは０．０５ｃＮ／１０ｍｍ以上、より好ましくは０．１ｃＮ／１０ｍｍ以上であり、また好ましくは０．５ｃＮ／１０ｍｍ以下、より好ましくは０．４ｃＮ／１０ｍｍ以下であり、また好ましくは０．０５ｃＮ／１０ｍｍ以上０．５ｃＮ／１０ｍｍ以下、より好ましくは０．１ｃＮ／１０ｍｍ以上０．４ｃＮ／１０ｍｍ以下である。
　下部領域２５の伸長応力Ｅ３は、好ましくは０．１ｃＮ／１０ｍｍ以上、より好ましくは０．１５ｃＮ／１０ｍｍ以上であり、また好ましくは０．６ｃＮ／１０ｍｍ以下、より好ましくは０．５ｃＮ／１０ｍｍ以下であり、また好ましくは０．１ｃＮ／１０ｍｍ以上０．６ｃＮ／１０ｍｍ以下、より好ましくは０．１５ｃＮ／１０ｍｍ以上０．５ｃＮ／１０ｍｍ以下である。

〔伸長応力の測定方法〕
　ホルダ１の腹側部Ｆ又は背側部Ｒにおけるホルダ側止着構造６が設けられた領域、すなわち被止着領域２３から、周方向ＣＤの長さ１２０ｍｍ×高さ方向ＨＤの長さ３０ｍｍのサンプル片を切り出す。サンプル片は、ホルダ側止着構造６及びホルダ本体部２ごと切り出す。また、被止着領域２３以外の領域（上部領域２１や下部領域２５）を測定対象とする場合、該被止着領域２３以外の領域から、周方向ＣＤの長さ１２０ｍｍ×高さ方向ＨＤの長さ３０ｍｍのサンプル片を切り出す。この場合、サンプル片はホルダ本体部２ごと切り出す。各領域において高さ方向ＨＤの長さが３０ｍｍ以上ある場合は、高さ方向ＨＤ下端側からサンプル片（周方向ＣＤの長さ１２０ｍｍ×高さ方向ＨＤの長さ３０ｍｍ）を切り出す。また一方で、各領域における高さ方向ＨＤの長さが３０ｍｍ未満である場合は、可能な限り大きなサンプル片を切り出して測定する。
　次いで、切り出したサンプル片を、テンシロン引張試験機（ＯＲＩＥＮＴＥＣ社製「ＲＴＣ－１２１０Ａ」）における一対のチャックに挟む。このときのチャック間距離は１００ｍｍとする。次いで、３００ｍｍ／ｍｉｎの速度でチャック間の距離が２００ｍｍとなるまでサンプル片を伸長させた後、該チャック間の距離を１５０ｍｍまで戻したときの引張り荷重を測定し、該荷重を「ｃＮ／１０ｍｍ」の単位に換算する。斯かる測定を５枚のサンプル片について行い、これらの平均（チャック間の距離を１５０ｍｍまで戻したときの引張り荷重の平均）を伸長応力（ｃＮ／１０ｍｍ）とする。

　本実施形態の被止着領域２３、上部領域２１及び下部領域２５は、前述したように各領域２１，２３，２５に配される同一材料の弾性部材５ａ，５ｂの太さや該弾性部材の配置又は弾性部材の固定時の負荷応力により、前記（１）の大小関係が成立している。弾性部材５ａ，５ｂの太さは、弾性部材の非伸長状態における太さである。前記「弾性部材の固定時の負荷応力」は、弾性部材を伸長状態でホルダ本体部２に固定するときの、該弾性部材の伸長応力である。
　被止着領域２３とそれ以外の領域とで弾性部材の太さが異なる場合、前記（１）～（５）の何れかの大小関係をより容易に成立させる観点から、これら弾性部材の太さは以下の範囲内であることが好ましい。
　被止着領域２３における弾性部材の太さは、上部領域２１における弾性部材の太さに対して好ましくは１１０％以上、より好ましくは１２０％以上であり、また好ましくは３００％以下、より好ましくは２００％以下であり、また好ましくは１１０％以上４００％以下、より好ましくは１２０％以上３００％以下である。
　被止着領域２３における弾性部材の太さは、下部領域２５における弾性部材の太さに対して好ましくは１１０％以上、より好ましくは１２０％以上であり、また好ましくは３００％以下、より好ましくは２００％以下であり、また好ましくは１１０％以上４００％以下、より好ましくは１２０％以上３００％以下である。

　上部領域２１と下部領域２５とで弾性部材の太さが異なる場合、吸収性パッドのずれ落ち防止効果をより向上させる観点から、上部領域２１における弾性部材の太さは、下部領域２５における弾性部材の太さに対して好ましくは３０％以上、より好ましくは４０％以上であり、また好ましくは１００％以下、より好ましくは７５％以下であり、また好ましくは３０％以上１００％以下、より好ましくは４０％以上７５％以下である。

　各領域２１，２３，２５に配される弾性部材の太さは、以下の方法により測定される。前述したように、弾性部材の太さは、弾性部材の非伸長状態における太さである。
　弾性部材が糸状である場合、一本の弾性部材について、該弾性部材の断面の直径を異なる３箇所それぞれで測定し、その算術平均値を「弾性部材の太さ」とする。
　弾性部材が帯状である場合、一本の弾性部材について、該弾性部材の主面における伸長方向に直交する長さを異なる３箇所それぞれで測定し、その算術平均値を「弾性部材の太さ」とする。
　弾性部材が複数の弾性繊維の束で構成されている場合、該弾性部材を一定の長さ（例：１００ｍｍ）で切り出したものをサンプルとし、そのサンプルの質量を該サンプルの長さで除して、弾性部材の太さ（繊度）とする。
　各領域２１，２３，２５のうち、１つの領域に配された複数の弾性部材の太さが異なっている場合は、該１つの領域に配された複数の弾性部材の太さの平均値を、当該領域に配される弾性部材の太さとする。

　各領域２１，２３，２５に配される弾性部材を構成する樹脂としては、例えば、天然ゴム、ＥＶＡゴム、スチレン－ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム及びネオプレンゴム等の合成ゴム、ポリウレタン並びに熱可塑性エラストマーが挙げられる。熱可塑性エラストマーとしては、例えば、ＳＢＳ（スチレン－ブタジエン－スチレン）、ＳＩＳ（スチレン－イソプレン－スチレン）、ＳＥＢＳ（スチレン－エチレン－ブタジエン－スチレン）、及びＳＥＰＳ（スチレン－エチレン－プロピレン－スチレン）等のスチレン系エラストマー、エチレン系α－オレフィンエラストマー及びエチレン・ブテン・オクテン等を共重合したプロピレン系エラストマー等のオレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、並びにポリウレタン系エラストマーを挙げることができる。これらの構成樹脂は、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。

　本実施形態では、被止着領域２３が、ホルダ１の着用時に着用者の腸骨領域と高さ方向ＨＤにおいて重なるようになされている。斯かる構成により、ホルダ１の着用中におけるずれ落ちがより抑制されるとともに、ずれ落ち難くなることで着用感がより良好になる。ここでいう「腸骨領域」とは、着用者の上前腸骨棘から腸骨稜にわたる部分を包含する範囲を指す。「上前腸骨棘」及び「腸骨稜」は、解剖学の用語である。腸骨領域については、特開２００８－２９５９３０号公報の［００２０］に記載の説明が適宜適用される。

　本実施形態の被止着領域２３は、図２に示すように、ホルダ１の上端１ａ及び下端１ｂそれぞれから高さ方向ＨＤに所定長さＬ１，Ｌ２離間した位置に配されている。上端１ａから被止着領域２３の上端６ａまでの高さ方向ＨＤの長さＬ１は、下端１ｂから被止着領域２３の下端６ｂまでの高さ方向ＨＤの長さＬ２に比べて長いことが好ましい。斯かる大小関係「長さＬ１＞長さＬ２」が成立することで、ホルダ１の着用時に被止着領域２３が着用者の腸骨領域と高さ方向ＨＤにおいて重なりやすくなるため、前述したホルダ１のずれ落ち防止効果がより一層確実に奏されるようになる。
　長さＬ１と長さＬ２との比率は、前者＞後者を前提とし、前者／後者（Ｌ１／Ｌ２）として、好ましくは１．１以上、より好ましくは１．２以上、そして、好ましくは８．０以下、より好ましくは５．０以下である。

　被止着領域２３の高さ方向ＨＤの長さ（幅）は特に制限されないが、吸収性パッドの止着性とホルダ１の着用感とのバランス等の観点から、最大伸長状態のホルダ１の同方向ＨＤの全長に対して、好ましくは３０％以上、より好ましくは４０％以上、そして、好ましくは８０％以下、より好ましくは７０％以下である。

　本実施形態では、被止着領域２３の幅は周方向ＣＤの全長にわたって一定であるが、本発明では、被止着領域２３の幅は周方向ＣＤの全長にわたって一定でなくてもよい。被止着領域２３の幅は、ホルダ側止着構造６の幅と同義である。
　本実施形態の被止着領域２３は、ホルダ１の周方向ＣＤにおいて部分的に形成されている（図２参照）。これに代えて、被止着領域２３は、ホルダ１の周方向ＣＤの全域に連続して形成されていてもよい。

　本実施形態では、前述したように、被止着領域２３におけるホルダ側止着構造６とホルダ本体部２とが公知の接合手段６０により接合されている。斯かる接合について、ホルダ側止着構造６は、その全域がホルダ本体部２と接合されていてもよく、部分的にホルダ本体部２と接合されていてもよい。被止着領域２３にクッション性を付与し、柔らかい風合いを得る観点から、ホルダ側止着構造６とホルダ本体部２とは、高さ方向ＨＤに延び、且つ周方向ＣＤに間欠的に形成された接合部によって接合されていることが好ましい。

　図６には、ホルダ１に配される弾性部材の配置パターンが例示されている。後述するホルダの実施形態については、前述のホルダ１と異なる構成を主に説明し、ホルダ１と同様の構成は同一の符号を付して説明を省略する。後述するホルダの実施形態において特に説明しない構成は、図１～３に示すホルダ１についての説明が適宜適用される。
　また図６には、ホルダ１の腹側部Ｆの断面図を示し、背側部Ｒの図示を省略しているが、以下の説明はホルダ１の背側部Ｒにも適宜適用される。

　図６（ａ）に示すホルダ１Ａは、高さ方向ＨＤにおいて被止着領域２３とそれ以外の領域２１，２５とで、該高さ方向ＨＤにおける弾性部材間の間隔が異なっている。具体的には、被止着領域２３、上部領域２１、及び下部領域２５では、これら領域２１，２３，２５に配される弾性部材５ａが同一の形成材料からなり太さが同じであるが、被止着領域２３は、上部領域２１及び下部領域２５それぞれに比して、高さ方向ＨＤにおける弾性部材５ａ，５ａ間の間隔Ｌ５が短い〔図６（ａ）参照〕。すなわち、被止着領域２３の高さ方向ＨＤにおける弾性部材５ａ，５ａ間の間隔Ｌ５は、上部領域２１及び下部領域２５の高さ方向ＨＤにおける弾性部材５ａ，５ａ間の間隔Ｌ４よりも短い（Ｌ５＜Ｌ４）。これにより、他の領域２１，２５よりも被止着領域２３における単位面積当たりの弾性部材５ａの本数が多くなるので、ホルダ１Ａは前記構成（Ａ）又は（Ｂ）を具備し得る。
　図６（ａ）に示す実施形態では、被止着領域２３において弾性部材５ａが高さ方向ＨＤに等間隔で配されている。

　図６（ｂ）に示すホルダ１Ｂは、高さ方向ＨＤにおいて被止着領域２３とそれ以外の領域２１，２５とで、該高さ方向ＨＤにおける弾性部材間の間隔及び該弾性部材の太さの双方が異なっている。具体的には、被止着領域２３、上部領域２１、及び下部領域２５では、これら領域２１，２３，２５に配される弾性部材５ａ，５ｂが同一の形成材料からなるが、被止着領域２３は、上部領域２１及び下部領域２５それぞれに比して、弾性部材の太さが大きく（５ｂ＞５ａ）且つ高さ方向ＨＤにおける弾性部材間の間隔が短い（Ｌ５＜Ｌ４）。すなわち、被止着領域２３に配された弾性部材５ｂは、上部領域２１及び下部領域２５それぞれに配された弾性部材５ａよりも太さが大きく、且つ被止着領域２３の高さ方向ＨＤにおける弾性部材５ｂ，５ｂ間の間隔Ｌ５は、上部領域２１及び下部領域２５の高さ方向ＨＤにおける弾性部材５ａ，５ａ間の間隔Ｌ４よりも短い（Ｌ５＜Ｌ４）。これにより、他の領域２１，２５よりも被止着領域２３における、弾性部材の太さが大きくなり且つ単位面積当たりの弾性部材５ａの本数が多くなるので、ホルダ１Ｂは前記構成（Ａ）又は（Ｂ）を具備し得る。
　図６（ｂ）に示す実施形態では、被止着領域２３において弾性部材５ｂが高さ方向ＨＤに等間隔で配されている。

　図６（ｃ）に示すホルダ１Ｃは、被止着領域２３において、高さ方向ＨＤにおける中心より下方の領域２３ｂが、該中心より上方の領域２３ａよりも、周方向ＣＤの伸長応力が大きい。斯かる構成により、ホルダ１Ｃのずれ落ちをより抑制できる。このように、被止着領域２３は、周方向ＣＤにおける伸長応力を高さ方向ＨＤにおいて異ならせていてもよい。斯かる場合、ホルダ１Ｃは前記構成（Ａ）又は（Ｂ）を具備することを前提とする。
　図６（ｃ）に示すホルダ１Ｃは、被止着領域２３の高さ方向ＨＤ全長（全幅）を二等分して、上側に位置する上方の領域２３ａと下側に位置する下方の領域２３ｂとに区分したとき、下方の領域２３ｂに配された弾性部材５ｂが、上方の領域２３ａに配された弾性部材５ａよりも太さが大きい。斯かる構成に加えて又は代えて、下方の領域２３ｂの高さ方向ＨＤにおける弾性部材５ｂ，５ｂ間の間隔Ｌ７が、上方の領域２３ａの高さ方向ＨＤにおける弾性部材５ａ，５ａ間の間隔Ｌ６よりも短いことが好ましい。

　上述した実施形態は、ホルダ本体部２における弾性部材の太さや配置を調整することによって、前記構成（Ａ）又は（Ｂ）を具備するものであったが、ホルダ本体部２以外に弾性部材を配し、ホルダに前記構成（Ａ）又は（Ｂ）を具備させてもよい。

　図６（ｄ）に示すホルダ１Ｄは、被止着領域２３において、ホルダ本体部２に弾性部材５ａを有するとともに、ホルダ側止着構造６とホルダ本体部２との間に弾性部材５ａを有する。これにより、他の領域２１，２５よりも被止着領域２３における単位面積当たりの弾性部材５ａの本数が多くなるので、ホルダ１Ｄは前記構成（Ａ）又は（Ｂ）を具備し得る。
　本実施形態における被止着領域２３は、ホルダ本体部２における弾性部材と、ホルダ側止着構造６とホルダ本体部２との間における弾性部材とで、該弾性部材の太さ、及び高さ方向ＨＤにおける該弾性部材間の間隔の一方又は双方を同じにしてもよく、異ならせてもよい。
　本実施形態の被止着領域２３においては、ホルダ本体部２における弾性部材と、ホルダ側止着構造６とホルダ本体部２との間における弾性部材とは、該弾性部材の太さ、及び高さ方向ＨＤにおける該弾性部材間の間隔の双方が同じである。

　図６（ｅ）に示すホルダ１Ｅは、被止着領域２３を形成するホルダ側止着構造６が伸縮性不織布１４０からなる。斯かる伸縮性不織布１４０は、ホルダ１Ｅに周方向ＣＤに伸縮性を発現するように配されている。これにより、被止着領域２３における伸長応力が高められるので、ホルダ１Ｅは前記構成（Ａ）又は（Ｂ）を具備し得る。
　伸縮性不織布１４０としては、前述した特定伸縮性不織布１３０を用いることができる。特定伸縮性不織布１３０は、互いに交差せずに一方向に延びるように配列した複数の弾性フィラメント１３１が、実質的に非伸長状態で、それらの全長にわたり、伸長可能な不織布１３２，１３３に接合されているものである（図７参照）。
　また伸縮性不織布１４０に、特定伸縮性不織布１３０以外の他の伸縮性のシート材を用いてもよい。例えば、使い捨ておむつ等に従来用いられている各種の伸縮性のシート材を用いることができ、（１）弾性繊維層の両面又は片面に伸長可能な繊維層が一体化されているシート、（２）ネット状の弾性シートの両面又は片面に伸長可能な繊維層が一体化されているシート、（３）弾性フィルムからなる弾性シートの両面又は片面に伸長可能な繊維層が一体化されているシート等を、伸縮性不織布１４０として好ましく用いることができる。前記（１）の弾性繊維層と伸長可能な繊維層との一体化の方法としては、例えば、これらを積層して水流交絡させる方法、エアスルー等により繊維を交絡させる方法、ヒートエンボス、接着剤、超音波等によって接合させる方法が挙げられる。

　図１及び図６（ａ）～（ｅ）に示す実施形態のように、各領域２１，２３，２５において、弾性部材の太さを調整すること、高さ方向ＨＤにおける弾性部材間の間隔を調整すること、及びホルダ本体部２以外に弾性部材や伸縮性不織布を配することの１の手段又は２以上の手段によって、ホルダに前記構成（Ａ）又は（Ｂ）を具備させることができる。
　上述した実施形態のホルダ１，１Ｂ～１Ｅそれぞれは、被止着領域２３、上部領域２１及び下部領域２５を有するものであったが、本発明のホルダは、被止着領域２３及び上部領域２１のみを有するものであってもよく、被止着領域２３及び下部領域２５のみを有するものであってもよい。斯かる場合においても、図１及び図６（ａ）～（ｅ）に示す実施形態と同様に、各領域において、弾性部材の太さを調整すること、高さ方向ＨＤにおける弾性部材間の間隔を調整すること、及びホルダ本体部２以外に弾性部材を配することの１又は２以上の手段によって、ホルダに前記構成（Ａ）又は（Ｂ）を具備させることができる。

　本発明は前記実施形態に何ら制限されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
　例えば、本発明のホルダは、使用時に着用者の腰周りに環状に装着されるものであればよく、使用時以外は環状でなくてもよい。例えば、ホルダ本体部２が一方向に長い帯状をなし、そのホルダ本体部２の長手方向の一端部と他端部とが着脱自在に結合可能になされており、未使用時は帯状、使用時（装着時）に、ホルダ本体部２の長手方向の一端部と他端部とを結合させて該ホルダ本体部２を環状にするようになされていてもよい。あるいは、ホルダ本体部２が周方向ＣＤに複数の部材（例えば、腹側部Ｆに対応する部材と背側部Ｒに対応する部材）に分割され、且つそれら複数の部材どうしが一方向に着脱自在に連結可能になされており、使用時（装着時）に、それら複数の部材どうしを結合させて環状のホルダ本体部２を形成するようになされていてもよい。

　前記実施形態では、ホルダ１（ホルダ本体部２）は最大伸長状態の平面視において長方形形状をなしていたが、本発明では、ホルダの平面視形状は特に制限されない。例えば、最大伸長状態のホルダ１の平面視において、上端１ａ及び／又は下端１ｂは、高さ方向ＨＤに対して直交せずに交差する部分を有していてもよい。例えば、最大伸長状態のホルダ１の平面視において、下端１ｂは、その全体又は一部（例えば横方向Ｙの中央部）が、上端１ａ側に向かって凸の凸状をなしていてもよい。

　前記実施形態では、ホルダ１の腹側部Ｆと背側部Ｒとは、平面視において互いに同形状・同寸法であったが、本発明では、互いに形状及び／又は寸法が異なっていてもよい。具体的には例えば、背側部Ｒの下端１ｂが、腹側部Ｆの下端１ｂよりも下方に（ホルダ側止着構造６から遠くに）位置していてもよい。

　前記実施形態では、外層シート３及び内層シート４は何れも単層構造であったが、本発明では、両シート３，４の一方又は両方が積層構造であってもよい。例えば、外層シート３は、横方向Ｙに伸縮性を有するシートを含む２枚以上のシートの積層構造からなり、内層シート４は、非伸縮性シートからなる単層構造とすることができる。
　前記実施形態では、外層シート３が折り返されて折り返し部３０が形成されていたが、本発明では、外層シート３は折り返されていなくてもよい。

　前記実施形態では、ホルダ１は、ホルダ本体部２を構成するシート状部材として外層シート３及び内層シート４を含んでいたが、本発明では、両シート３，４以外の他のシート状部材を含んでいてもよい。具体的には例えば、ホルダ１（ホルダ本体部２）は、両シート３，４に加えて更に、ホルダ１の肌対向面（内面）における着用者のウエスト部に対応する領域（例えば、折り返し部３０の配置領域及びその近傍）に配置される機能性シートを含んでいてもよい。前記機能性シートは、例えば、吸汗性、吸湿性、抗菌性、消臭性等の諸機能のうちの少なくとも１つを有する。

　前記実施形態では、ホルダ側止着構造６は、ホルダ本体部２の非肌対向面（外面）に設けられていたが、本発明では、ホルダ本体部２の肌対向面（内面）に設けられていてもよく、その場合は例えば、内層シート４の肌対向面及び／又は外層シート３の折り返し部３０の肌対向面にホルダ側止着構造６を固定することができる。

　前記実施形態では、ホルダ側止着構造６が機械的面ファスナーのメス部材、パッド側止着構造１６が機械的面ファスナーのオス部材であったが、本発明ではこれとは逆に、ホルダ側止着構造６が機械的面ファスナーのオス部材、パッド側止着構造１６が機械的面ファスナーのメス部材でもよい。

　前述した本発明の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
＜１＞
　着用者の腰周りに装着されるとともに、吸収性パッドを着用者に装着した状態に保持可能な環状のホルダであって、
　着用者の身長方向に沿う高さ方向及び胴回り方向に沿う周方向を有し、
　前記高さ方向の一部に、前記吸収性パッドが止着される被止着領域を有しており、
　前記被止着領域は、前記周方向に延びており、前記周方向に伸縮性を有しており、
　前記被止着領域の周方向の伸長応力が、前記高さ方向における前記被止着領域以外の領域における周方向の伸長応力よりも大きい、ホルダ。

＜２＞
　前記高さ方向における前記被止着領域より上側に上部領域を有しており、
　前記被止着領域及び前記上部領域は、前記周方向に伸縮性を有し、該被止着領域の周方向の伸長応力が、該上部領域の周方向の伸長応力よりも大きい、前記＜１＞に記載のホルダ。
＜３＞
　前記周方向における前記上部領域の伸長応力に対する前記周方向における前記被止着領域の伸長応力が１１０％以上２００％以下、好ましくは１２０％以上１８０％以下である、前記＜２＞に記載のホルダ。
＜４＞
　前記高さ方向における前記被止着領域より下側に下部領域を有しており、
　前記下部領域は、前記周方向に伸縮性を有し、該被止着領域の周方向の伸長応力が、該下部領域の周方向の伸長応力よりも大きい、前記＜３＞に記載のホルダ。
＜５＞
　前記周方向における前記下部領域の伸長応力に対する前記周方向における前記被止着領域の伸長応力の比率が１１０％以上２００％以下、好ましくは１２０％以上１８０％以下である、前記＜４＞に記載のホルダ。
＜６＞
　前記周方向における前記上部領域の伸長応力に対する前記周方向における前記下部領域の伸長応力の比率が１１０％以上２５０％以下、好ましくは１２０％以上２５０％以下である、前記＜４＞又は＜５＞に記載のホルダ。
＜７＞
　前記ホルダの上端から前記被止着領域の上端までの前記高さ方向の長さは、該ホルダの下端から該被止着領域の下端までの該高さ方向の長さに比べて長い、前記＜１＞～＜６＞の何れか１に記載のホルダ。
＜８＞
　前記ホルダの下端から該被止着領域の下端までの前記高さ方向の長さに対する前記ホルダの上端から前記被止着領域の上端までの前記高さ方向の長さの比率が、１．１以上８．０以下、好ましくは１．２以上５．０以下である、前記＜７＞に記載のホルダ。
＜９＞
　前記被止着領域が、前記ホルダの着用時に着用者の腸骨領域と前記高さ方向において重なるようになされている、前記＜１＞～＜７＞の何れか１に記載のホルダ。
＜１０＞
　前記被止着領域は、前記高さ方向における中心より下方の領域が、該中心より上方の領域よりも、前記周方向の伸長応力が大きい、前記＜１＞～＜９＞の何れか１に記載のホルダ。

＜１１＞
　前記被止着領域には、前記吸収性パッドが有するパッド側止着構造を脱着可能に止着可能なホルダ側止着構造が設けられており、該ホルダ側止着構造が伸縮性不織布からなる、前記＜１＞～＜１０＞の何れか１に記載のホルダ。
＜１２＞
　最大伸長状態の前記ホルダの高さ方向の全長に対して、前記被止着領域の該高さ方向の長さが、好ましくは３０％以上８０％以下、好ましくは４０％以上７０％以下である、前記＜１＞～＜１１＞の何れか1に記載のホルダ。
＜１３＞
　前記＜１＞～＜１２＞の何れか１に記載のホルダと、
　前記ホルダに装着される吸収性パッドと、
を備える、吸収性物品。

　本発明のホルダによれば、装着状態におけるセパレートタイプの吸収性物品に特有の課題を解決することができる。具体的には、吸収性パッドのずれ落ちの抑制と、ホルダの履き心地とを両立できる。

Claims

　着用者の腰周りに装着されるとともに、吸収性パッドを着用者に装着した状態に保持可能な環状のホルダであって、
　着用者の身長方向に沿う高さ方向及び胴回り方向に沿う周方向を有し、
　前記高さ方向の一部に、前記吸収性パッドが止着される被止着領域を有しており、
　前記被止着領域は、前記周方向に延びており、前記周方向に伸縮性を有しており、
　前記被止着領域の周方向の伸長応力が、前記高さ方向における前記被止着領域以外の領域における周方向の伸長応力よりも大きい、ホルダ。
　前記高さ方向における前記被止着領域より上側に上部領域を有しており、
　前記被止着領域及び前記上部領域は、前記周方向に伸縮性を有し、該被止着領域の周方向の伸長応力が、該上部領域の周方向の伸長応力よりも大きい、請求項１に記載のホルダ。
　前記周方向における前記上部領域の伸長応力に対する前記周方向における前記被止着領域の伸長応力が１１０％以上２００％以下である、請求項２に記載のホルダ。
　前記高さ方向における前記被止着領域より下側に下部領域を有しており、
　前記下部領域は、前記周方向に伸縮性を有し、該被止着領域の周方向の伸長応力が、該下部領域の周方向の伸長応力よりも大きい、請求項３に記載のホルダ。
　前記周方向における前記下部領域の伸長応力に対する前記周方向における前記被止着領域の伸長応力の比率が１１０％以上２００％以下である、請求項４に記載のホルダ。
　前記周方向における前記上部領域の伸長応力に対する前記周方向における前記下部領域の伸長応力の比率が１１０％以上２５０％以下である、請求項４又は５に記載のホルダ。
　前記ホルダの上端から前記被止着領域の上端までの前記高さ方向の長さは、該ホルダの下端から該被止着領域の下端までの該高さ方向の長さに比べて長い、請求項１～６の何れか１項に記載のホルダ。
　前記ホルダの下端から該被止着領域の下端までの前記高さ方向の長さに対する前記ホルダの上端から前記被止着領域の上端までの前記高さ方向の長さの比率が、１．１以上８．０以下である、請求項７に記載のホルダ。
　前記被止着領域が、前記ホルダの着用時に着用者の腸骨領域と前記高さ方向において重なるようになされている、請求項１～７の何れか１項に記載のホルダ。
　前記被止着領域は、前記高さ方向における中心より下方の領域が、該中心より上方の領域よりも、前記周方向の伸長応力が大きい、請求項１～９の何れか１項に記載のホルダ。
　前記被止着領域には、前記吸収性パッドが有するパッド側止着構造を脱着可能に止着可能なホルダ側止着構造が設けられており、該ホルダ側止着構造が伸縮性不織布からなる、請求項１～１０の何れか１項に記載のホルダ。
　最大伸長状態の前記ホルダの高さ方向の全長に対して、前記被止着領域の該高さ方向の長さが、３０％以上８０％以下である、請求項１～１１の何れか1項に記載のホルダ。
　請求項１～１２の何れか１項に記載のホルダと、
　前記ホルダに装着される吸収性パッドと、
を備える、吸収性物品。