WO2023119400A1 - アシスト装置およびアシストベルト - Google Patents

Abstract

アシスト装置１０は、利用者Ｕの上半身に装着される第一装着具１１と、利用者Ｕの下半身に装着される第二装着具１２と、利用者Ｕの手首に装着される第三装着具１３と、第一装着具１１と第二装着具１２とを通じて利用者Ｕが前傾姿勢から直立姿勢となる方向のアシスト力を利用者Ｕに与えるための駆動部１７と、第三装着具１３と第一装着具１１の上部との間に設けられているベルト５０と、を備え、ベルト５０は、第一装着具１１に固定される第一固定部５１と、第三装着具１３に固定される第二固定部５２と、を有する。

Description

アシスト装置およびアシストベルト

　本開示は、アシスト装置およびアシストベルトに関する。

　利用者の身体に装着され、その利用者の作業を補助するアシスト装置が種々提案されている（例えば、特許文献１参照）。特許文献１に開示のアシスト装置は、利用者の上半身に装着される第一装着具と、利用者の下半身の一部である大腿部に装着される第二装着具と、第一装着具と第二装着具との間に設けられているアーム状の伝達部材と、アーム状の伝達部材にトルクを生じさせる第一アクチュエータとを備える。このアシスト装置は、利用者が例えば荷物を持ち上げる作業を補助するために、前記トルクによって、第一装着具と第二装着具との間でアシスト力を発生させることが可能となる。

特開２０２１－９４６５０号公報

　特許文献１に開示のアシスト装置は、さらに、利用者の手首に装着される第三装着具と、第一装着具に搭載されている第二アクチュエータと、紐状部材とを備える。紐状部材は、その一端が第三装着具に取り付けられており、その他端側が第二アクチュエータによって巻き取られる。

　前記アシスト装置によれば、第一アクチュエータが、利用者の上半身と下半身との間で行われる動作の補助を行うとともに、第二アクチュエータが、紐状部材を巻き取ることで利用者の腕による動作の補助を行うことが可能となる。しかし、第一アクチュエータと第二アクチュエータとを同期させて駆動する制御が複雑となり、駆動のタイミングにずれが生じると、利用者に違和感を与える可能性がある。

　本開示のアシスト装置は、利用者の上半身に装着される第一装着具と、前記利用者の下半身に装着される第二装着具と、前記利用者の手首に装着される第三装着具と、前記第一装着具と前記第二装着具とを通じて前記利用者が前傾姿勢から直立姿勢となる方向のアシスト力を前記利用者に与えるための駆動部と、前記第三装着具と前記第一装着具の上部との間に設けられているベルトと、を備え、前記ベルトは、前記第一装着具に固定される第一固定部と、前記第三装着具に固定される第二固定部と、を有する。

　本開示のアシストベルトは、利用者の上半身に装着される第一装着具と、前記利用者の下半身に装着される第二装着具と、前記第一装着具と前記第二装着具とを通じて前記利用者が前傾姿勢から直立姿勢となる方向のアシスト力を前記利用者に与えるための駆動部と、を備えるアシスト装置に用いられるアシストベルトであって、前記利用者の手首に装着される第三装着具と、前記第三装着具と前記第一装着具の上部との間に設けられるベルトと、を備え、前記ベルトは、前記第一装着具に固定される第一固定部と、前記第三装着具に固定される第二固定部と、を有する。

　本開示のアシスト装置およびアシストベルトによれば、利用者の上半身と下半身との間で行われる動作の補助と、利用者の腕による動作の補助とが同期し、アシスト動作に違和感が生じない。

図１は、利用者に装着されたアシスト装置の一例を示す背面図である。 図２は、図１に示すアシスト装置の側面図である。 図３は、アクチュエータを簡略化して示す説明図である。 図４は、図１に示すアシスト装置の斜視図である。 図５は、別の第三装着具を有するアシストベルトの説明図である。 図６は、さらに別の第三装着具を有するアシストベルトの説明図である。 図７は、別のアシスト装置の斜視図である。 図８は、さらに別のアシスト装置の斜視図である。

＜本開示の発明の実施形態の概要＞
　以下、本開示の発明の実施形態の概要を列記して説明する。

（１）本開示のアシスト装置は、利用者の上半身に装着される第一装着具と、前記利用者の下半身に装着される第二装着具と、前記利用者の手首に装着される第三装着具と、前記第一装着具と前記第二装着具とを通じて前記利用者が前傾姿勢から直立姿勢となる方向のアシスト力を前記利用者に与えるための駆動部と、前記第三装着具と前記第一装着具の上部との間に設けられているベルトと、を備え、前記ベルトは、前記第一装着具に固定される第一固定部と、前記第三装着具に固定される第二固定部と、を有する。

　前記アシスト装置によれば、利用者が前傾姿勢から直立姿勢となる方向に駆動部がアシスト力を付与すると、そのアシスト力によって、その利用者の上半身の第一装着具、およびベルトを通じて、第三装着具が装着されている利用者の手首を引き上げる力が得られる。このため、例えば利用者が荷物を持ち上げる動作に対して、アシスト装置は補助することが可能となる。しかも、利用者の上半身と下半身との間で行われる動作の補助と、利用者の腕による動作の補助とが同期し、アシスト動作に違和感が生じない。

　（２）好ましくは、前記アシスト力に従って、前記第三装着具及び前記ベルトによって前記利用者の手首を引き上げる力が得られる。つまり、前記アシスト力に基づいて、前記第三装着具及び前記ベルトを通じて前記利用者の手首が引き上げられる。

（３）好ましくは、アシスト装置は、前記ベルトに作用する荷重を検出するセンサと、前記センサの検出結果に基づいて前記駆動部を制御する制御装置と、をさらに備える。この場合、例えば利用者が荷物を持ち上げる場合に、その荷物が重い場合と軽い場合とで、前記駆動部の出力を変更することが可能となる。

（４）好ましくは、前記ベルトの前記第二固定部は、前記第三装着具を着脱可能とする。この場合、第三装着具を、別の形式に変更することが容易となる。

（５）前記（４）のアシスト装置において、好ましくは、前記第三装着具は、前記利用者の手首に装着する本体部と、前記本体部と一体であるフックと、を有する。この場合、フック付きの第三装着具と、フック無しの第三装着具とを択一的に選択して用いることが可能となる。

（６）または、前記（１）から（３）いずれか一つのアシスト装置において、好ましくは、前記第三装着具は、前記利用者の手首に装着する本体部と、フックと、前記本体部に前記フックを着脱可能とする取り付け部と、を有する。この場合、第三装着具が、フック付きの場合とフック無しの場合とに択一的に選択することが可能となる。

（７）また、前記各アシスト装置において、好ましくは、前記ベルトは、前記第一固定部と前記第二固定部との間の長さを調整可能とする長さ調整部を有する。この場合、利用者の体格に応じてベルトの長さを変更することが可能となり、利用者の腕による動作の補助を適切に行うことが可能となる。

（８）本開示のアシストベルトは、利用者の上半身に装着される第一装着具と、前記利用者の下半身に装着される第二装着具と、前記第一装着具と前記第二装着具とを通じて前記利用者が前傾姿勢から直立姿勢となる方向のアシスト力を前記利用者に与えるための駆動部と、を備えるアシスト装置に用いられるアシストベルトであって、前記利用者の手首に装着される第三装着具と、前記第三装着具と前記第一装着具の上部との間に設けられるベルトと、を備え、前記ベルトは、前記第一装着具に固定される第一固定部と、前記第三装着具に固定される第二固定部と、を有する。

　前記アシストベルトを前記アシスト装置に用いることで、利用者が前傾姿勢から直立姿勢となる方向に駆動部がアシスト力を付与すると、そのアシスト力によって、その利用者の上半身の第一装着具、およびベルトを通じて、第三装着具が装着されている利用者の手首を引き上げる力が得られる。このため、例えば利用者が荷物を持ち上げる動作に対して、アシスト装置は補助することが可能となる。しかも、利用者の上半身と下半身との間で行われる動作の補助と、利用者の腕による動作の補助とが同期し、アシスト動作に違和感が生じない。

＜本開示の発明の実施形態の詳細＞
　以下、本開示の発明の実施形態を説明する。
〔アシスト装置の全体構成について〕
　図１は、利用者Ｕに装着されたアシスト装置の一例を示す背面図であり、図２は、図１のアシスト装置の側面図である。アシスト装置１０は、利用者Ｕが例えば荷物を持ち上げる際及び荷物を持ち下げる際に、その利用者Ｕの腰部に対する大腿部の回動（股関節の屈曲動作及び伸展動作）を支援する装置である。アシスト装置１０が利用者Ｕの身体に対して支援する動作を「アシスト動作」と称する。アシスト動作によって利用者Ｕに付与する力を「アシスト力」と称する。

　各図中、互いに直交するＸ方向、Ｙ方向、及びＺ方向のうち、Ｚ方向は、鉛直方向である。Ｙ方向はアシスト装置１０を装着し直立姿勢にある利用者Ｕの前後方向である。Ｘ方向はアシスト装置１０を装着し直立姿勢にある利用者Ｕの左右方向である。アシスト動作に関して、前記のような、腰部に対する大腿部の回動の支援は、大腿部に対する腰部の回動の支援と同じである。図１に示すアシスト装置１０によるアシスト動作は、利用者Ｕの腰部を通過するＸ方向の仮想軸Ｌｉを中心としたトルクを、その利用者Ｕに与える動作である。このトルクを「アシストトルク」と称する。

　アシスト装置１０は、利用者Ｕの上半身に装着される一つの第一装着具１１と、利用者Ｕの下半身に装着される左右の第二装着具１２と、利用者Ｕの手首に装着される左右の第三装着具１３とを備える。図１および図２に示すアシスト装置１０は、さらに、利用者Ｕにアシスト力を付与するための駆動部１７として、利用者Ｕの背面に設けられるバックパック部２４、左右の回動機構２５、および左右のアシストアーム２６を備える。アシスト装置１０は、駆動部１７の動作を制御する制御装置１６を備える。制御装置１６は、バックパック部２４のケース内に設けられている。

　第一装着具１１は、利用者Ｕの腰部および肩部を含む上半身に装着される。第一装着具１１は、腰サポート部２１、ジャケット部２２、およびフレーム３９を有する。腰サポート部２１は、利用者Ｕの腹部、腰部および臀部に沿って装着される。腰サポート部２１は、前ベルト２１ａと、後ベルト２１ｂと、左右の側部パッド２１ｃとを有する。前ベルト２１ａ及び後ベルト２１ｂは、側部パッド２１ｃを利用者Ｕの腰部の左右両側に固定する。

　ジャケット部２２は、利用者Ｕの肩部及び胸の周りに装着される。ジャケット部２２は左右の肩ベルト２２ａと胸ベルト２２ｂとを有する。肩ベルト２２ａはフレーム３９に連結されている。フレーム３９は、左右の肩ベルト２２ａによって利用者Ｕの背面側に装着される。フレーム３９は、胸ベルト２２ｂによって、位置ずれしないように利用者Ｕに装着される。フレーム３９は、肩ベルト２２ａよりも剛性の高い部材であり、例えばアルミなどの金属製の部材である。フレーム３９は、利用者Ｕの肩部から腰部にまで及ぶ形状であり、上下逆のＵ字形状を有する。フレーム３９は、利用者Ｕの背面とバックパック部２４との間を通過して、左右の回動機構２５を互いに繋ぐ。

　第二装着具１２は、利用者Ｕの下半身の一部である左右の大腿部に装着される。第二装着具１２は、樹脂や、革、布等を用いたベルト状の部材を含む装着部１２ａと、装着部１２ａと一体である前パッド部１２ｂとを有する。前パッド部１２ｂは、例えば金属製であり、装着部１２ａよりも硬質である。前パッド部１２ｂは、利用者Ｕの大腿部の前面に接触する。装着部１２ａは、大腿部に巻き付けられ、第二装着具１２を位置ずれしないように大腿部に装着する。第二装着具１２（前パッド部１２ｂ）に、アシストアーム２６の先端部が連結されている。

　第三装着具１３は、利用者Ｕの左右の腕それぞれの少なくとも手首に装着される。第三装着具１３は、樹脂、革、布等を用いたベルト状の部材により構成されている本体部６０を有する。本体部６０が利用者Ｕの手首に巻き付けられ、第三装着具１３は手首に位置ずれしないように装着される。左手首の第三装着具１３と第一装着具１１の一部（フレーム３９）との間に、後述するベルト５０が設けられている。右手首の第三装着具１３と第一装着具１１の別の一部（フレーム３９）との間に、後述するベルト５０が設けられている。

　回動機構２５は、フレーム３９の左右端部に固定されている。回動機構２５は、左右の側部パッド２１ｃに取り付けられている。回動機構２５にアシストアーム２６が回動可能となって設けられている。回動機構２５は、側部パッド２１ｃに固定されたケース２５ａと、ケース２５ａ内部に回動可能となって設けられている従動プーリ２５ｃとを有する。従動プーリ２５ｃは、その従動プーリ２５ｃと一体回転可能な軸部２５ｂを有する。

　アシストアーム２６は軸部２５ｂに固定されていて、従動プーリ２５ｃとアシストアーム２６とは一体回動可能である。これにより、アシストアーム２６は、第一装着具１１に対して回動可能となる。アシストアーム２６の回動中心は、利用者Ｕの腰部を通る左右方向の仮想軸Ｌｉに一致する。アシストアーム２６は、第一装着具１１と第二装着具１２とを繋ぐ。第二装着具１２によって、アシストアーム２６の先端部が利用者Ｕの大腿部に固定される。アシストアーム２６は、利用者Ｕの大腿部に沿って設けられ、利用者Ｕの上半身と大腿部とを相対的に回動させる。

　バックパック部２４はフレーム３９に固定されている。バックパック部２４は、そのケース内に、左右のアクチュエータ１４と、各部に必要な電力を供給するためのバッテリ（図示省略）とを備える。アクチュエータ１４は、アシストアーム２６を回動させるアシストトルクを発生する機能を有する。図３は、アクチュエータ１４を簡略化して示す説明図である。アクチュエータ１４は、モータ４０、渦巻バネ４０ｂ、回転検出器４１、減速機４２、駆動プーリ４３、およびワイヤ４４を備える。モータ４０は、制御装置１６によって制御される。

　モータ４０は、アシストアーム２６を回動させるトルクを発生する。そのための構成を具体的に説明する。モータ４０の出力軸４０ａが渦巻バネ４０ｂの一端に接続される。渦巻バネ４０ｂの他端は減速機４２の入力軸４２ａに接続されている。減速機４２の出力軸４２ｂに駆動プーリ４３が接続されている。以上より、モータ４０の回転力は、渦巻バネ４０ｂおよび減速機４２を介して駆動プーリ４３に伝達される。

　駆動プーリ４３に、ワイヤ４４の一端が取り付けられている。ワイヤ４４は、フレーム３９（図１参照）に沿って設けられている保護チューブ（図示省略）内を通過する。ワイヤ４４の他端は、回動機構２５の従動プーリ２５ｃに取り付けられている。駆動プーリ４３の回転力は、ワイヤ４４を介して従動プーリ２５ｃに伝達される。駆動プーリ４３の回転力により、従動プーリ２５ｃと一体回動可能であるアシストアーム２６が回動する。

　左側のアクチュエータ１４は、左側のワイヤ４４を通じて左側の回動機構２５に接続され、左側の回動機構２５に回転力を伝達する。右側のアクチュエータ１４は、右側のワイヤ４４を通じて右側の回動機構２５に接続され、右側の回動機構２５に回転力を伝達する。

　回転検出器４１（図３参照）は、ロータリエンコーダなどであり、その出力は制御装置１６へ与えられる。回転検出器４１がアクチュエータ１４の軸（入力軸４２ａ）の回転状態を検出することで、制御装置１６は、アシストアーム２６の回動状態として、アシストアーム２６の回動角度を検出することが可能となる。制御装置１６は、マイクロコンピュータ等により構成されている。

　以上のように、モータ４０を含むバックパック部２４、ワイヤ４４、左右の回動機構２５、および左右のアシストアーム２６によって駆動部１７が構成される。利用者Ｕが例えば荷物を持ち上げる際に、駆動部１７は、第一装着具１１と第二装着具１２とを通じて、利用者Ｕが前傾姿勢から直立姿勢となる方向のアシスト力を利用者Ｕに与えることが可能となる。つまり、駆動部１７は、利用者が前傾姿勢から直立姿勢となる方向のアシスト力を第一装着具１１と第二装着具１２との間で発生させることが可能となる。

　また、利用者Ｕが例えば荷物を持ち下げる際に、駆動部１７は、第一装着具１１と第二装着具１２とを通じて、利用者Ｕが直立姿勢から前傾姿勢となる方向のアシスト力を利用者Ｕに与えることも可能となる。つまり、駆動部１７は、利用者Ｕが直立姿勢から前傾姿勢となる方向のアシスト力を第一装着具１１と第二装着具１２との間で発生させることが可能である。この場合、駆動部１７は、利用者Ｕが直立姿勢から前傾姿勢へと姿勢変化する際に、アシストトルクを前記姿勢変化の制動力として発生させる。

〔アシストベルト１５について〕
　図４は、図１に示すアシスト装置１０の斜視図である。図４では、腰サポート部２１を省略している。図１、図２および図４に示すように、アシスト装置１０は、利用者Ｕの右腕用のアシストベルト１５と、利用者Ｕの左腕用のアシストベルト１５とを備える。左右それぞれのアシストベルト１５は、利用者Ｕの手首に装着される第三装着具１３と、第三装着具１３と第一装着具１１の上部との間に設けられるベルト５０とを備える。左のアシストベルト１５と右のアシストベルト１５とは同じ構成である。

　図４に示すように、ベルト５０は、第三装着具１３と、第一装着具１１の一部であるフレーム３９の上部との間に設けられる。ベルト５０は、布製又は革製の帯状の部材であり湾曲可能である。本実施形態のベルト５０は、全長にわたって非伸縮性である。つまり、ベルト５０は、その長手方向に伸縮し難い特性又は伸縮しない特性を有する。なお、ベルト５０は、紐状のベルト（ワイヤーのような部材）であってもよい。ベルト５０の端部（第一固定部５１）は、フレーム３９のうち利用者の背面側の上部に対応する部分、つまり、利用者の肩部に近いフレーム３９の上部に取り付けられている。そのベルト５０は、前記端部（第一固定部５１）から利用者Ｕの肩部の上を通過し、さらに利用者Ｕの前に向かって延びて設けられ、第三装着具１３と繋がっている。

　ベルト５０は、フレーム３９に固定される第一固定部５１を有する。第一固定部５１は、金属製の固定具であり、本実施形態ではカラビナ５１ａにより構成されている（図４参照）。ベルト５０の第一の端部にカラビナ５１ａが取り付けられている。フレーム３９に金属製のループ部５６が設けられている。ループ部５６にカラビナ５１ａが係合する。これにより、ベルト５０の第一固定部５１は、フレーム３９に変位不能となって固定される。

　ベルト５０は、第三装着具１３に固定される第二固定部５２を有する。第二固定部５２は、金属製または樹脂製の固定具であり、本実施形態では、バックル５２ａにより構成されている。ベルト５０の第二の端部にバックル５２ａが取り付けられている。第三装着具１３にバックル５２ａの第一部材５３を取り付けるための装着部５７が設けられている。これにより、ベルト５０の第二固定部５２は、第三装着具１３に変位不能となって固定される。

　バックル５２ａは、相互で連結状態または分離状態となる第一部材５３と第二部材５４とを有する。第二部材５４がベルト５０に取り付けられている。第一部材５３と第二部材５４とを分離することで、ベルト５０から第三装着具１３を外すことが可能である。

　バックル５２ａは、カラビナ５１ａからバックル５２ａまでのベルト５０の長さを調整する機能を有する。これにより、利用者の体格に応じて、ベルト５０の長さが変更される。このように、ベルト５０は、第一固定部５１（カラビナ５１ａ）と第二固定部５２（バックル５２ａ）との間の長さを調整可能とする長さ調整部を有する。

　図１および図４に示す形態では、第三装着具１３は、利用者Ｕの手首に装着する本体部６０と、本体部６０と一体であるフック６１とを有する。前記のとおり、本体部６０が、樹脂、革または布等を用いたベルト状の部材により構成されている。フック６１は、樹脂または金属を用いた硬質部材であり、荷物の一部に係合可能とする形状を有する。図１に示すように、本体部６０が利用者Ｕの手首に装着された状態で、フック６１は利用者Ｕの手のひらに沿って設けられる。これにより、利用者Ｕは、フック６１を介して荷物を持つことが可能となり、利用者Ｕの手指の負担が軽減される。

　図４に示すように、フック６１は、本体部６０においてベルト５０の延長線Ｑ上に取り付けられている。つまり、本体部６０は、利用者の手首に巻かれた状態で、筒状となる。筒状である本体部６０の周方向の一箇所に第二固定部５２（装着部５７）が設けられている。その一箇所と同じ周方向の位置にベルト５０が接続される。フック６１は、第二固定部５２と周方向について同じ位置で本体部６０に取り付けられている。このため、フック６１に作用する荷重を本体部６０を通じて直線的にベルト５０に伝達させることが可能となる。

　前記のとおり、ベルト５０が有する第二固定部５２（バックル５２ａ）は、第三装着具１３を着脱可能とする。このため、図５に示すように、第三装着具１３を、別の形式に変更することが容易となる。図５に示す第三装着具１３は、本体部６０を有するが、フックを有していない。図５に示す第三装着具１３に設けられている装着部５７に、バックル５２ａの第一部材５３が取り付けられている。この構成により、フック６１付きの第三装着具１３（図４参照）と、フック６１無しの第三装着具１３（図５参照）とを択一的に選択して用いることが可能となる。

　図４および図５に示す形態では、第三装着具１３の全体を、バックル５２ａによって、ベルト５０から外すことが可能である。その変形例として、フック６１を本体部６０から取り外し可能となる構成であっていてもよい。つまり、図６に示すように、第三装着具１３は、利用者の手首に装着する本体部６０と、フック６１と、本体部６０にフック６１を着脱可能とする取り付け部６２とを有する構成であってもよい。取り付け部６２は、フック６１が有する取付片部６１ａを例えば止めねじによって固定可能である。その止めねじを外すことでフック６１を本体部６０から外すことが可能である。この場合においても、第三装着具１３が、フック６１付きの場合とフック６１無しの場合とに択一的に選択することが可能となる。

　ベルト５０に作用する荷重を検出するセンサ６５が、ベルト５０に設けられている（図４参照）。センサ６５は例えばベルト５０の歪を検出するための歪センサである。制御装置１６は、センサ６５の検出結果に基づいて駆動部１７を制御する。モータ４０の出力は、アシスト力と相関がある。制御装置１６はセンサ６５の検出結果に基づいてモータ４０の出力を調整する制御を行う。センサ６５によれば、例えば利用者Ｕが荷物を持ち上げる場合に、その荷物が重い場合と軽い場合とで、駆動部１７（モータ４０）の出力を変更することが可能となる。センサ６５と制御装置１６との間の検出結果などの情報通信は、無線であってもよく、有線であってもよい。有線の場合、センサ６５から延びるケーブルが制御装置１６にコネクタ接続される。

　図１に示すアシスト装置１０（第一形態）は、前記のとおり、利用者Ｕにアシスト力を付与するための駆動部１７として、モータ４０を有し利用者Ｕの背面に設けられるバックパック部２４、左右の回動機構２５、および左右のアシストアーム２６を備える。バックパック部２４のアクチュエータ１４が、アシスト力の駆動源となるモータ４０を有し、モータ４０の力がワイヤ４４を通じてアシストアーム２６に伝達される。

〔アシスト装置１０の変形例（その１）〕
　図７は、別のアシスト装置１０の斜視図である。図７に示すアシスト装置１０（第二形態）は、アシスト力の駆動源となるモータ４０、およびそのモータ４０を減速する減速機４２が、利用者Ｕの腰部の左右両側に位置する回動機構２５に搭載されている。第一装着具１１のバックパック部２４に、モータ４０に電力を供給するバッテリおよび制御装置１６が設けられている。回動機構２５は、前記第一形態（図１）と同様、第一装着具１１の腰サポート部２１に取り付けられている。モータ４０の動力によって、アシストアーム２６が回動する。

　第一装着具１１および第二装着具１２の構成は、第二形態と前記第一形態とで同様である。第二形態に係るアシスト装置１０は、アシストベルト１５として、第三装着具１３およびベルト５０を備える。このアシストベルト１５は、第一形態のそれと同じである。アシストベルト１５が有するベルト５０は、前記第一形態と同様、バックパック部２４のフレーム３９の上部に取り付けられる。図７において、第一形態と同じ構成については、同じ符号が付されている。

　第二形態のアシスト装置１０は、利用者Ｕにアシスト力を付与するための駆動部１７として、モータ４０を有する左右の回動機構２５、および左右のアシストアーム２６を備える。アシストアーム２６の先端側に第二装着具１２が取り付けられている。駆動部１７は、第一装着具１１と第二装着具１２とを通じて利用者Ｕが前傾姿勢から直立姿勢となる方向のアシスト力を利用者Ｕに与えるように構成されている。

〔アシスト装置１０の変形例（その２）〕
　図８は、さらに別のアシスト装置１０の斜視図である。図８に示すアシスト装置１０（第三形態）は、アシスト力の駆動源となるモータ４０、およびモータ４０を減速する減速機４２が、第一装着具１１のバックパック部２４に搭載されている。第三形態では、第一装着具１１と左右の第二装着具１２とが動力ベルト７０によって繋がっている。動力ベルト７０の上端側は、モータ４０によって回転するドラム７１に巻き取られる。ドラム７１はバックパック部２４のケースに収容されている。動力ベルト７０は、長尺の部材であり、可撓性を有する。

　動力ベルト７０は分岐しており、左に分岐する動力ベルト７０は、左の第二装着具１２に接続されていて、右に分岐する動力ベルト７０は、右の第二装着具１２に接続されている。モータ４０の回転によってドラム７１が動力ベルト７０を巻き取ることで、その動力ベルト７０の張力によって、利用者Ｕが前傾姿勢から直立姿勢となる方向のアシスト力を発生させる。つまり、第三形態では、利用者Ｕにアシスト力を付与するための駆動部１７は、モータ４０および減速機４２を有するバックパック部２４と、そのモータ４０の回転によって巻き取られる動力ベルト７０とを有して構成される。

　第三形態の第二装着具１２は、利用者Ｕの下半身の一部である膝部に装着される。第三形態に係るアシスト装置１０は、アシストベルト１５として、第三装着具１３およびベルト５０をさらに備える。このアシストベルト１５は、第一形態のそれと同じである。アシストベルト１５が有するベルト５０は、バックパック部２４のフレーム３９に取り付けられる。図８において、第一形態と同じ構成については、同じ符号が付されている。

　モータ４０によって動力ベルト７０をドラム７１に巻取り可能として構成されている駆動部１７は、第一装着具１１と第二装着具１２とを通じて利用者Ｕが前傾姿勢から直立姿勢となる方向のアシスト力を利用者Ｕに与えることができる。
　利用者Ｕが直立姿勢から前傾姿勢となることで、例えば荷物を持ち下ろす場合、利用者Ｕの姿勢変化に伴って、ドラム７１から動力ベルト７０が繰り出される。その繰り出しの際に、ドラム７１に制動トルクをモータ４０によって発生させる。これにより、アシスト装置１０は、利用者Ｕが荷物を持ち下ろす場合のアシスト動作が可能となる。

〔前記各形態のアシスト装置１０について〕
　以上のように、前記各形態のアシスト装置１０は、利用者Ｕの上半身に装着される第一装着具１１と、利用者Ｕの下半身（脚の一部）に装着される第二装着具１２と、利用者Ｕの手首に装着される第三装着具１３と、駆動部１７とを備える。駆動部１７は、第一装着具１１と第二装着具１２とを通じて利用者Ｕが前傾姿勢から直立姿勢となる方向のアシスト力を利用者に与える機能を有する。アシスト装置１０は、アシストベルト１５として、第三装着具１３と第一装着具１１の上部との間に設けられているベルト５０を備える。ベルト５０は、第一装着具１１に固定される第一固定部５１と、第三装着具１３に固定される第二固定部５２とを有する。

　このようなアシスト装置１０によれば、利用者Ｕが前傾姿勢から直立姿勢となる方向に、駆動部１７がアシスト力を付与すると、そのアシスト力によって、その利用者Ｕの上半身の第一装着具１１、およびベルト５０を通じて、第三装着具１３が装着されている利用者Ｕの手首を引き上げる力が得られる。このため、例えば利用者Ｕが荷物を持ち上げる動作に対して、アシスト装置１０は補助することが可能となる。しかも、利用者Ｕの上半身と下半身との間で行われる動作の補助と、利用者Ｕの腕による動作の補助とが同期し、アシスト動作に違和感が生じない。

〔その他〕
　第一装着具１１、第二装着具１２、および駆動部１７を備える既存のアシスト装置１０に、アシストベルト１５を追加的に適用することが可能である。

　前記実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の権利範囲は、前記実施形態ではなく請求の範囲によって示され、請求の範囲に記載された構成と均等の範囲内でのすべての変更を含む。

　１０　アシスト装置
　１１　第一装着具
　１２　第二装着具
　１３　第三装着具
　１５　アシストベルト
　１７　駆動部
　５０　ベルト
　５１　第一固定部
　５２　第二固定部
　６０　本体部
　６１　フック
　６２　取り付け部
　６５　センサ
 

Claims (8)

1. 　利用者の上半身に装着される第一装着具と、
   　前記利用者の下半身に装着される第二装着具と、
   　前記利用者の手首に装着される第三装着具と、
   　前記第一装着具と前記第二装着具とを通じて前記利用者が前傾姿勢から直立姿勢となる方向のアシスト力を前記利用者に与えるための駆動部と、
   　前記第三装着具と前記第一装着具の上部との間に設けられているベルトと、
   　を備え、
   　前記ベルトは、前記第一装着具に固定される第一固定部と、前記第三装着具に固定される第二固定部と、を有する、
   　アシスト装置。
2. 　前記アシスト力に従って、前記第三装着具及び前記ベルトによって前記利用者の手首を引き上げる力が得られる、請求項１に記載のアシスト装置。
3. 　前記ベルトに作用する荷重を検出するセンサと、前記センサの検出結果に基づいて前記駆動部を制御する制御装置と、をさらに備える、請求項１または請求項２に記載のアシスト装置。
4. 　前記ベルトの前記第二固定部は、前記第三装着具を着脱可能とする、請求項１から請求項３のいずれか一項に記載のアシスト装置。
5. 　前記第三装着具は、前記利用者の手首に装着する本体部と、前記本体部と一体であるフックと、を有する、請求項４に記載のアシスト装置。
6. 　前記第三装着具は、前記利用者の手首に装着する本体部と、フックと、前記本体部に前記フックを着脱可能とする取り付け部と、を有する、請求項１から請求項３のいずれか一項に記載のアシスト装置。
7. 　前記ベルトは、前記第一固定部と前記第二固定部との間の長さを調整可能とする長さ調整部を有する、請求項１から請求項６のいずれか一項に記載のアシスト装置。
8. 　利用者の上半身に装着される第一装着具と、前記利用者の下半身に装着される第二装着具と、前記第一装着具と前記第二装着具とを通じて前記利用者が前傾姿勢から直立姿勢となる方向のアシスト力を前記利用者に与えるための駆動部と、を備えるアシスト装置に用いられるアシストベルトであって、
   　前記利用者の手首に装着される第三装着具と、
   　前記第三装着具と前記第一装着具の上部との間に設けられるベルトと、
   　を備え、
   　前記ベルトは、前記第一装着具に固定される第一固定部と、前記第三装着具に固定される第二固定部と、を有する、
   　アシストベルト。
    

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